JP6878470B2 - ケイ酸塩製品及びその強化方法 - Google Patents

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Description

本発明はケイ酸塩製品及びその製造分野に係る。具体的には、ガラス板、特にディスプレイ装置中において使用するカバーガラス板に係る。
現代科学技術のスピーディな発展に伴い、タッチパネルは多くの電子ディスプレイ製品のトップの選択肢となっている。タッチパネルの最も外側の層のカバーガラスはタッチパネルの重要な材料の一つである。近年において、電子ディスプレイ製品に対して軽量化及び薄型化が求められ、そのため、電子ディスプレイ製品の保護に用いられるカバーガラスも次第に薄くなってきている。
しかしながら、カバーガラスの厚みが薄くなると、強度も低くなり、場合によっては使用中または携帯中の落下などによりカバーガラス自身が破裂し、または亀裂ができた後にゆっくり破裂してしまう;また、長時間の使用過程において、表面にかき傷が存在する可能性があり、かき傷が比較的深い場合は、ガラスがゆっくり破裂することをもたらしやすい。
化学強化したカバーガラス板としても、場合によっては破裂することがあり、または圧縮応力層を貫通するかき傷を起点として、ゆっくり破裂してしまう。
CN105102394Aはガラス板及びガラス板の製造方法について開示し、その注目ポイントは化学強化後のガラス板の反りを防止することであり、成分間の配合及び化学強化方法の強度及び耐破裂特性に対する影響については考慮していない。
CN102639457Aはガラス板及びその製造方法について開示し、その注目ポイントは以下である。即ち、Naの表面への溶出を抑制し、さらにはガラス表面の反射防止フィルムまたは透明導電フィルムの剥離を抑制し、得られるガラス板は耐候性に優れ、成分間の配合及び化学強化方法の強度及び破裂耐性に対する影響については考慮していない。
そのため、速い破裂及びゆっくりした破裂に耐えられるカバーガラス板を開発することが必要とされている。
また、従来のガラス板の耐化学性(Chemical Resistance)も理想的とは言えず、化学的に薄くする過程において、酸によって浸食されるのが速すぎて、浸食の不均一をもたらす可能性があり、ガラス表面において微小な欠陥及びスリットが生じることがあり、これにより表面圧縮応力値が低下し、破裂しやすい。
本出願の発明者は以下について見出した。ガラス中の各成分及びその含有量が特定の配合関係を満たすように制御することにより、カバーガラス板の強度を高めることができ、カバーガラス板の速い破裂を防止できるだけでなく、ゆっくり破裂することも効果的に防止できる。
さらには、発明者は驚くべく以下について見出した。圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを増やすことによりガラス強度を高めることができ、それに衝撃が加えられたときに速やかに破裂することを防止することができるが、しかし圧縮応力及び圧縮応力層の厚さを増大するだけでは、自然破裂が発生しすく、または衝撃もしくはかき傷ができた後にゆっくり破裂しやすくなる。発明者らは、さらに圧縮応力値の深さによる変化及び圧縮応力層の深さを制御することにより、このような自然破裂または衝撃後のゆっくりとした破裂を効果的に防止できることを見い出した。
本発明の目的はガラス組成物及びガラス板を提供することであり、従来技術におけるガラス板が衝撃を受けた後に速やかに破裂、自然破裂すること、または衝撃もしくはかき傷ができた後にゆっくり破裂することを解決することができる。
上記目的を実現するために、本発明はガラス組成物を提供し、SiO、Al、NaO、KO、MgO及びZrOを含有し、100重量部のSiOに対して、Alの含有量は15〜28重量部、NaOの含有量は13〜25重量部、KOの含有量は6〜15重量部、MgOの含有量は7〜16重量部、ZrOの含有量は0.1〜5重量部である;
さらに、下記式(1)の計算により得られるMは5〜13である;
Figure 0006878470
そのうち、wt(NaO)は100重量部のSiOに対するNaOの重量部であり、
wt(KO)は100重量部のSiOに対するKOの重量部であり、
wt(MgO)は100重量部のSiOに対するMgOの重量部であり、
wt(ZrO)は100重量部のSiOに対するZrOの重量部であり、
wt(Al)は100重量部のSiOに対するAlの重量部である;
の値は0.53、Pの値は0.153、Pの値は0.36、Pの値は0.67、Pの値は0.018である。
好ましくは、M値は6〜10であり、M値はより好ましくは6.5〜9であり、さらに好ましくは7〜8である。
好ましくは、100重量部のSiOに対して、Alの含有量は18〜25重量部、NaOの含有量は17〜23重量部、KOの含有量は7〜12重量部、MgOの含有量は8〜14重量部、ZrOの含有量は0.8〜2重量部である。
好ましくは、100重量部のSiOに対して、Alの含有量は22重量部、NaOの含有量は19重量部、KOの含有量は9重量部、MgOの含有量は12重量部、ZrOの含有量は1.4重量部である。
好ましくは、本発明のガラス組成物はさらに一定量のSrOを含有し、100重量部のSiOに対して、SrOの含有量は0〜3重量部であり、好ましくは0.6重量部未満である。
好ましくは、前記ガラス組成物はさらにBaO及びCaOを含有し、100重量部のSiOに対して、BaOの含有量は0〜2重量部であり、好ましくは0.5重量部未満であり、CaOの含有量は0〜2重量部であり、好ましくは0.5重量部未満である。
好ましくは、本発明の前記ガラス組成物の10%HF酸/20℃/20min侵食量は38mg/cm未満である。
好ましくは、本発明の前記ガラス組成物のヤング率は65GPaより高く、より好ましくは75GPaより高い。
本発明はさらに、本発明のガラス組成物から製造されるガラス板を提供する。
さらには、本発明のガラス板表面から3μm深さの圧縮応力値及び7μm深さの圧縮応力値の比、及び圧縮応力層の厚さは以下の式(2)によって計算され、得られる耐クラック因子のK値は8未満である:
Figure 0006878470
式中、xはガラス板の表面から3μm深さの圧縮応力値であり、yはガラス板の表面から7μm深さの圧縮応力値であり、単位はMPaである;dは圧縮応力層の厚さを示し、単位はμmである;
の値は3.5であり、Qの値は1.8であり、Qの値は0.12である。
好ましくは、耐クラック因子のK値は7.7未満であり、さらに好ましくは7.3未満である。
好ましくは、該ガラス組成物の10%HF酸/20℃/20min侵食量は38mg/cm未満である。
好ましくは、該ガラス組成物のヤング率は65GPaより高く、より好ましくは75GPaより高い。
本発明はさらに化学強化ガラス板の製造方法を提供し、ガラス組成物を板状製品にし、さらに化学強化を行うことを含む。
化学強化時の溶融塩温度は380〜450℃であり、好ましくは390〜420℃であり、さらに好ましくは400℃であり、浸漬時間は0.3〜9時間であり、好ましくは1〜8時間であり、より好ましくは2〜7時間であり、さらに好ましくは3〜6時間であり、よりさらに好ましくは4〜5時間である。
好ましくは、化学強化の過程中に超音波処理を加える。
超音波の平均音響エネルギー密度は50〜60W/Lであり、超音波周波数は25〜40kHzである。
超音波処理の温度は380〜425℃であり、好ましくは390〜410℃であり、最も好ましくは400℃である;処理時間は10〜80minであり、好ましくは15〜50minであり、さらに好ましくは20〜40minである。
好ましくは、前記超音波処理は間欠方式により行われ、超音波処理の時間間隔は1〜40minであり、好ましくは3〜35minであり、さらに好ましくは5〜20minである;毎回の超音波処理時間は10〜80minであり、好ましくは15〜50minであり、さらに好ましくは20〜40minである。
さらに好ましくは、化学強化と同時にマイクロ波のガラス表面への照射を行い、好ましくは超音波処理と交互に行う。
マイクロ波の周波数範囲は1.1GHz〜6.2GHzであり、且つ好ましくは2.6GHz〜4.6GHzであり、さらに好ましくは3.0GHz〜4.0GHzであり、最も好ましくは3.3GHz〜3.5GHzである。
マイクロ波を印加する時間は5〜60minであり、好ましくは10〜40minであり、最も好ましくは12〜25minである。
マイクロ波を印加する時間間隔は2〜30minであり、好ましくは5〜20minであり、さらに好ましくは7〜15minである;毎回マイクロ波を印加する時間は5〜60minであり、好ましくは10〜40minであり、最も好ましくは12〜25minである。
本発明の前記ガラス板はフラットパネルディスプレイにおいて応用できる。
本発明はさらに、本発明のガラス板を用いて製造されたフラットパネルディスプレイを提供する。
本発明の発明者は数学的フィッテイング(Mathematical fitting)の方法により、意外にも以下について見出した。ガラス中の各成分のガラスの物理化学性能に対する影響が特殊な規律性を呈し、酸化ケイ素以外の他の成分の含有量が線形変化を示す際、各成分の含有量の係数が異なることにより、式(1)のM値に対する影響力が異なり、これによりM値の変化は曲線を呈し、そのため、最適な点が存在する。各成分の含有量がさらに式(1)が示すM値の範囲を満たす場合、経験により得られたガラス板のヤング率、表面圧縮応力の値、耐破裂性能及び耐化性能がベストとなり、Mが大きすぎるまたは小さすぎることはガラス板の上記性能の低下をもたらす。
例えば、本出願の発明者らは驚きことに以下について見出した。100重量部のSiOに対して、Alの含有量が20重量部、NaOの含有量が19重量部、KOの含有量が9重量部、MgOの含有量が10重量部、ZrOの含有量は0.9重量部である場合、Mの値が8.5であり、この場合、ガラスは比較的優れた耐破裂性能及びゆっくりとした破裂に耐える性能を有し、このような性能の突然の変化は当業者の一般的な予測を越えている。化学強化する際に超音波処理及びマイクロ波処理を行い、さらに処理条件を最適化させる(実施例8及び実施例9参照)場合、これにより得られる耐破裂性能及びゆっくりとした破裂に耐える効果は当業者にとって予測できないものである。
本出願の発明者は以下について見出している。ガラス板表面から一定の深さの応力値及び応力層の厚みは式(2)によって計算され、計算により得られる耐クラック因子Kの値が8未満である場合、本発明のガラス板はより高いヤング率、比較的好ましい圧縮応力値分布及び応力層の厚みを有する。圧縮応力値が深さ変化に伴って変化が速すぎる場合は、計算によって得られる耐クラック因子K値は大きすぎてしまい、使用過程においてガラス板は自然破裂しやすく、衝撃を受けた後にゆっくりとした破裂が発生しやすい。
また、本発明のガラス板は比較的高いヤング率及び比較的強い耐化学腐食性を有する。
本発明によれば、前記ガラス板の製造方法は本分野の通常の手段を用いることができ、例えばオーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、リドロー(Redraw)法、フロート法などである。
以下の化学強化方法により本発明が限定する耐クラック因子K値8未満のものが容易に得られ、具体的には以下である:
化学強化方法について、本分野の通常手段を用いることができ、ガラス板表面層上のLiO及びNaOを溶融塩中のNaO及びKOとイオン交換すればよい。例えば、ガラス板を熱い硝酸ナトリウム(NaNO)溶融塩、硝酸カリウム(KNO)溶融塩またはその混合溶融塩中に浸漬する方法を用いることができる。また、まずはガラス板を、NaNOを含有する硝酸塩中に浸漬させ、それからKNOを含有する硝酸塩中に浸漬することができる。
化学強化の過程において、攪拌もイオンの運動を加速させることができるものの、攪拌により滞留ゾーン(Stagnation zone)が存在しやすく、速度が制御されにくい。好ましくは、化学強化の過程において超音波振動を加え、イオン交換液中の関連イオン(例えばK)の運動を向上させる。関連イオン(例えばK)は置換によりガラス表面に入り、これによりガラス表面付近の該イオン(例えばK)が不足し、濃度が低下し、超音波振動を加えることにより、ガラス表面付近の該イオン(例えばK)が速やかに補充され、これと共に、交換により出たイオン(例えばNa)が速やかに離れるようにし、ガラス表面付近の該イオンの濃度(例えばNa)を低下させ、これによりイオン交換の速度を向上させ、イオン交換の過程をより徹底させる。
さらに好ましくは超音波処理を行った後、一定の時間間隔を開けてから二回目の超音波処理を行う;間欠処理により、間隔となっている期間中の溶融塩液を穏やかにし、さらにはガラス表面のアルカリ金属イオン交換に一定の時間を提供する。
さらに好ましくは、マイクロ波をガラス表面に放射する。マイクロ波がガラス表面に照射された場合、ガラス中のアルカリイオン成分はマイクロ波に応答して振動し、これによりガラスの分子間結合構造を多少緩ませ、さらに熱が生じるようになる。また、イオン交換液中の大粒径イオンもマイクロ波によって振動が生じ、これによりイオン活性が向上され且つ熱が生成し、さらにはガラスのイオン交換反応を促進し、これによりガラスのイオン交換時間を短縮させる。好ましくは、マイクロ波も間欠的に用いる。さらに好ましくは、超音波及びマイクロ波を交互に使用する。マイクロ波の照射によりガラスのイオン交換の深さを向上させることができる。
例えば、化学強化処理においてその他の条件が同じ場合において、ソーダライムシリケートガラスを400℃の硝酸カリウム溶液中に浸漬し、3.6時間処理し、期間中にマイクロ波で20min照射することにより、ソーダライムシリケートガラスは400〜500MPaの圧縮応力及び範囲が20〜25μmの圧縮応力層の厚さを有することができる;マイクロ波で照射しない場合、ソーダライムシリケートガラスは一般的に300〜400MPaの圧縮応力を有し且つ範囲が10〜20μmの圧縮圧力層の厚さを有する;アルカリアルミノシリケートガラスを410℃の硝酸カリウム溶液中に浸して3.5時間処理し、期間中マイクロ波で20min照射した場合、アルカリアルミノシリケートガラスは670〜710Mpaの圧縮応力及び範囲が60〜65μmの圧縮応力層の厚みを有する。マイクロ波照射を用いていない場合、同じ圧縮応力値及び圧縮応力層の厚さに達するまでは、4.6時間前後を必要とする。
本出願は前記化学強化過程においては超音波及び/またはマイクロ波を使用することにより、より容易に製造されるガラス板の耐クラック因子のK値を8未満になるようにすることができる。
以下に実施例を通じてさらに本発明を説明し、しかし本発明はこれにより制限されるものではない。本発明の下記実施例において使用される試薬はいずれも市販品である。
以下に本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。以下のように理解すべきである。ここで説明している具体的な実施形態は本発明を説明及び解釈するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
表1及び表2は実施例1〜10及び比較例1〜5におけるガラスの成分及び含有量及びその製造プロセスのパラメータを示している。
ガラス液の製造は特別に制限されず、以下は実施例1を例として、製造ステップに対して説明する:
適量の各種原料を混合し、白金製坩堝中に入れて1,400〜1,600℃になるまで加熱し、溶融させ、消泡させ、均質化した後、型に入れ、アニーリング処理を行った後、ガラスブロックを製造する。それから該ガラスブロックを切断し、研磨した後にガラス板を得て、厚さは0.5mmで、必要とするサイズ(65mm*135mm)に切断する。
ガラス板を硝酸カリウム(KNO)溶融塩中に浸漬し、溶融温度及び浸漬時間は具体的には表に示される通りである:超音波処理及びマイクロ波処理の具体的なパラメータは表に示される通りである。
本分野で知られている方法を用いて圧縮応力S(単位:MPa)及び圧縮応力層の厚みt(単位:μm)を測定する。このような方法は以下を含むが、これらに限られない。例えば、Luceo有限会社(日本東京)が製造したFSM−6000または類似の市販装置で、これを用いて表面応力(FSM)を測定し、本発明の実施例及び引用例はLuceo有限会社(日本東京)が製造したFSM−6000を用いて圧縮応力及び圧縮応力層の厚みを測定し、具体的方法はASTM 1422C−99(テーマは「化学強化平板ガラスに関する標準仕様」)及びASTM 1279.19779(テーマが「アニーリング、熱強化及び完全強化された平板ガラスにおける縁部及び表面応力の非破壊光弾性測定のための標準試験方法」)に記載の通りであり、その全文は引用により本文に援用される。表面応力測定は応力光学係数(SOC)の精密測定に頼るものであり、それは応力によって誘導されるガラスの複屈折と関連している。
該装置は以下のパラメータを有する:
測定範囲:0〜1000Mpa
測定精度:±20Mpa
測定範囲(応力層の深さ):10−100μm
精密度(応力層の深さ):±5μm
光源:orihara社が製造する高輝度LED光源
測定形状:平板ガラス 10×10mm またはそれ以上
プリズム:サイズ=12*7mm RI=1.72/590nm
測定する際、ガラスの二つの面に対して鏡面仕上げ(磨き)、研磨または腐食を行い、表面の3μmを除去し、測定した後に引き続き磨き、研磨、または腐食を行い、4μmが無くなるまで行う。
球落下実験が用いる球体はステンレス素材であり、質量は130gで、直径は31.5cmである。試験時にガラスを本分野で通常用いられるフェノール樹脂材質のベークライト板型上に置き、前記ステンレス球体を異なる高さから落下させ、複数回の球体落下により、破裂時の球体落下の高さの単純平均値を計算し、破裂高度とする。
ガラスのゆっくりとした破裂に耐える性能について、例えばガラス板を静置した場合、そのゆっくりとした破裂を観察するのに時間がかかりすぎてしまうため、実験の要求により、微小な亀裂が生じたガラス板を振動装置上に置き、その破裂を加速させる。亀裂の長さの変化状況を観察し、亀裂が10mm、15mm、20mmに達するのに必要な時間を測定する(min)。
振動装置は市販の如何なる振動装置を用いることができ、実施例と比較例が同じ振動装置と操作パラメータを使用するであれば良い。例えば本発明の実施例及び比較例は以下を用いている:煙台潔順気動設備製造有限会社が生産する気動振動装置(QSE小型エコ型振動装置、例えばQSE−20、振動力10N、周波数7〜70Hz、騒音25db、使用温度-10〜70℃)操作時に測定待ちの平板ガラスを振動装置の上に置く。
Figure 0006878470
Figure 0006878470
Figure 0006878470
Figure 0006878470
Figure 0006878470
Figure 0006878470
表1〜3に示すように、実施例1〜5及び8〜15のガラス組成物中の各成分の含有量及びM値はいずれも本発明の範囲内である。異なるところは、比較例4のガラス組成物中の各成分の含有量は本発明の範囲内であるものの、M値は本発明の範囲外にある;比較例5〜7のガラス組成物のM値は本発明の範囲内にあるものの、各成分の含有量は本発明の範囲外である。比較すると、実施例1〜5及び8〜15のガラス製品の耐化学性、ヤング率はいずれも比較例4〜7より優れ、さらに球体落下実験において、ガラス板に破裂が生じる平均高度はいずれも比較例4〜7より高く、振動試験中の亀裂がそれぞれ10mm、15mm及び20mmに達するのに所要の時間はいずれも比較例4〜7より長く、即ちゆっくりとした破裂に耐える優れた性能を有する。
これから分かるように、ガラス組成物中の各成分の含有量及びM値は同時に本発明の範囲内にあるということを満たし、各成分の含有量が本発明の範囲を満たすだけ、またはM値が本発明の範囲を満たすだけの場合は、いずれもガラス製品の耐化学性、ヤング率及び耐破裂性能において予測できない技術効果が得られる。
さらには、表1及び2から分かるように、ガラス組成物中の各成分の含有量は本発明の範囲を満たし、M値は5〜13の範囲を満たし、これと同時に耐クラック因子のK値が8未満の実施例1〜11の耐化学性、ヤング率はいずれも比較例1〜4より優れ、これとともに球落下実験において、ガラス板が破裂する平均高さはいずれも比較例1〜4より高く、振動試験中の亀裂がそれぞれ10mm、15mm及び20mmに達するのに必要な時間はいずれも比較例1〜4より長く、即ち比較的優れたゆっくりとした破裂に耐える性能を有する。
さらに好ましくは、ガラス組成物中の各成分の含有量は本発明の範囲を満たすものの、M値は5〜13の範囲を満たし、化学強化過程において超音波を加えていない、または超音波及びマイクロ波処理を加えていない場合、耐化学性、ヤング率、ガラス板が破裂する高さ、及び振動実験中の亀裂の長さが一定の長さに達するのに必要とする時間などの性能は、化学強化過程において超音波またはマイクロ波処理を加えたガラス板よりいずれも比較的弱い。具体的には実施例6及び実施例7のデータを参照のこと。M値はそれぞれ6.6及び9.1であり、5〜13の範囲を満たすものの、化学強化過程において超音波及びマイクロ波処理を経ておらず、そのため耐クラック因子のK値はいずれも比較的高く、それぞれ7.8及び7.9である。ヤング率はそれぞれ68.4GPa及び67.4GPaであり、その他の化学強化過程において超音波及びマイクロ波で処理したサンプル(実施例1〜5、8〜11)よりもヤング率が低く、しかし比較例1〜4の値より高い;球落下実験において、ガラス板に破裂が生じる平均高さは実施例1〜5、8〜11より少々低いが、比較例1〜4より高い;振動実験における亀裂が一定の長さに達するのに必要な時間は実施例1〜5、8〜11より短いが、比較例1〜4より長く、即ちゆっくりとした破裂に耐える性能は実施例1〜5、8〜11より悪いが、比較例1〜4より優れている。
比較例4について、M値は4.4であり、5〜13の範囲内にないものの、化学強化過程において超音波処理及びマイクロ波処理を行い、比較によれば、その3μm及び7μmにおける表面圧縮応力値と抗破裂因子Kはいずれも比較例1〜3より優れ、10%HF/20℃/20minの耐化学性は41mg/cm2で、ヤング率は65.5GPaであり、破裂が発生する球体落下の高さは36cmであり、いずれも比較例1〜3の対応の性能より優れている。振動実験において、亀裂がそれぞれ10mm、15mm及び20mmに達するのに必要な時間は8min、18min及び27minであり、いずれも比較例1〜3の時間より長く、M値が5〜13の範囲を満たしていないものの、超音波処理及びマイクロ波処理を経ることにより、得られるガラス板サンプルも比較的優れた、ゆっくりとした破裂に耐える性能を有する。
以上において本発明の好ましい実施形態について記載しているが、本発明は上記実施形態中の具体的な内容に限定されることなく、本発明の技術思想の範囲内であれば、本発明の技術構成に対して複数の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はいずれも本発明の保護範囲に属するものである。
さらに説明すべきは、上記具体的な実施形態中に記載されている各具体的技術的特徴は、矛盾しない場合、如何なる任意の方式によって組み合わせを行うことができる。不必要な繰り返しを避けるため、本発明においては各種可能な組み合わせに対しては別途説明を行わないことにする。
また、本発明の各種異なる実施形態は任意の組み合わせを行うことができ、本発明の思想に背かない限り、同じように本発明が開示した内容と見なされるべきである。

Claims (19)

  1. ガラスであって、
    SiO、Al、NaO、KO、MgO及びZrOを含有し、
    100重量部のSiOに対して、Alの含有量は15〜28重量部、NaOの含有量は13〜25重量部、KOの含有量は6〜15重量部、MgOの含有量は7〜16重量部、ZrOの含有量は0.1〜5重量部であり、
    さらにBaO及びCaOを含有し、100重量部のSiOに対して、BaOの含有量は0.7〜2重量部であり、CaOの含有量は0重量部よりも多くかつ2重量部以下であり、
    かつ、下記式(1)の計算により得られるMは6.5〜9であり、
    Figure 0006878470

    式中、wt(NaO)は100重量部のSiOに対するNaOの重量部であり、
    wt(KO)は100重量部のSiOに対するKOの重量部であり、
    wt(MgO)は100重量部のSiOに対するMgOの重量部であり、
    wt(ZrO)は100重量部のSiOに対するZrOの重量部であり、
    wt(Al)は100重量部のSiOに対するAlの重量部であり、
    の値は0.53、Pの値は0.153、Pの値は0.36、Pの値は0.67、Pの値は0.018であるガラス組成物から製造され、
    以下の式(2)の計算により得られる耐クラック因子のK値は6.0〜7.8であり、
    Figure 0006878470

    式中、xはガラス板の表面から3μm深さの圧縮応力値であり、yはガラス板の表面から7μm深さの圧縮応力値であり、単位はMPaであり、dは圧縮応力層の厚さを示し、単位はμmであり、
    の値は3.5であり、Q の値は1.8であり、Q の値は0.12であることを特徴とする、ガラス
  2. M値は7〜8である、請求項1に記載のガラス
  3. 100重量部のSiOに対して、Alの含有量は18〜25重量部、NaOの含有量は17〜23重量部、KOの含有量は7〜12重量部、MgOの含有量は8〜14重量部、ZrOの含有量は0.8〜2重量部である、請求項1または2に記載のガラス
  4. 前記ガラス組成物はさらに一定量のSrOを含有し、100重量部のSiOに対して、SrOの含有量は0重量部よりも多くかつ3重量部以下である、請求項1または2に記載のガラス
  5. 前記ガラス組成物の10%HF酸/20℃/20min侵食量は、38mg/cm未満である、請求項1に記載のガラス
  6. 前記ガラス組成物のヤング率は65GPaより高い、請求項1に記載のガラス
  7. 請求項に記載のガラス板の製造方法であって、
    請求項1〜6のいずれかに記載のガラス組成物を板状製品にし、さらに化学強化を行い、
    前記化学強化は前記板状製品を硝酸塩の溶融塩中に浸漬することを含み、
    あるいは、前記板状製品を硝酸ナトリウム(NaNO)溶融塩、硝酸カリウム(KNO)溶融塩またはそれらの混合溶融塩中に浸漬することを含み
    あるいは、前記板状製品を硝酸ナトリウム(NaNO)溶融塩中に浸漬してから硝酸カリウム(KNO)溶融塩中に浸漬することを含むことを特徴とする、製造方法。
  8. 化学強化時の溶融塩温度は380〜450℃であり、
    浸漬時間は0.3〜9時間である、請求項に記載の製造方法。
  9. 化学強化の過程中に超音波処理を加える、請求項に記載の製造方法。
  10. 前記超音波処理中の超音波の平均音響エネルギー密度は50〜60W/Lであり、超音波周波数は25〜40kHzである、請求項に記載の製造方法。
  11. 前記超音波処理の温度は380〜425℃であり、
    処理時間は10〜80minである、請求項に記載の製造方法。
  12. 前記超音波処理は間欠方式により行われ、超音波処理の時間間隔は1〜40minであり、
    毎回の超音波処理の時間は10〜80minである、請求項に記載の製造方法。
  13. 化学強化と同時にマイクロ波のガラス表面への照射を行う、請求項に記載の製造方法。
  14. マイクロ波のガラス表面への照射を超音波処理と交互に行う、請求項に記載の製造方法。
  15. マイクロ波の周波数範囲は1.1GHz〜6.2GHzである、請求項13に記載の製造方法。
  16. マイクロ波を印加する時間は5〜60minである、請求項13に記載の製造方法。
  17. マイクロ波を印加する時間間隔は2〜30minであり、毎回マイクロ波を印加する時間は5〜60minである、請求項13に記載の製造方法。
  18. 請求項に記載のガラス板のフラットパネルディスプレイにおける応用。
  19. 請求項に記載のガラス板により製造されることを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
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