JP6877237B2 - 緊張材用定着具、及びプレストレストコンクリート構造物 - Google Patents
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Description
コンクリート構造物に埋設される緊張材用定着具であって、
緊張材が貫通される湾曲した貫通孔と、その緊張材の端部を固定する固定端部と、を有する二つの筒部と、
前記各筒部の外方に突出すると共に、前記両筒部を並列状態で一体化するリブと、を備え、
前記両筒部は、前記各筒部の固定端部が互いに反対方向に位置した状態で、前記両筒部の並列方向から見て前記両貫通孔が交差する。
上記本開示に係る緊張材用定着具と、
緊張材の端部を把持する円錐状のウェッジと、
前記ウェッジを嵌め込むソケットと、によって定着された前記緊張材を備える。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
コンクリート構造物に埋設される緊張材用定着具であって、
緊張材が貫通される湾曲した貫通孔と、その緊張材の端部を固定する固定端部と、を有する二つの筒部と、
前記各筒部の外方に突出すると共に、前記両筒部を並列状態で一体化するリブと、を備え、
前記両筒部は、前記各筒部の固定端部が互いに反対方向に位置した状態で、前記両筒部の並列方向から見て前記両貫通孔が交差する。
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
・全体構成
実施形態1では、図11,12に示すように、シールドトンネル用のセグメント620,640の周方向にプレストレスを導入する場合を例に、緊張材用定着具100を説明する。セグメント620は、後述する定着具本体1α(1αA,1αB)とシース400とが埋め込まれたコンクリート構造物であり、セグメント640は、シース400のみが埋め込まれたコンクリート構造物である。本例では、定着具本体1α有のセグメント620と定着具本体1α無のセグメント640とを二つずつ合計四つ用意し、各セグメント620,640の中心角を90°として、セグメント620とセグメント640とを交互に円環状に配置している。また、本例では、二つの緊張材(第一緊張材200Aと第二緊張材200B)を上記セグメント620,640の周方向に連続して配置し、二つの緊張材200A,200Bの対向する端部同士を緊張材用定着具100で接続する。実施形態1では、各緊張材200A,200Bの一端部のみをジャッキにより緊張する片引きの例を説明する。以下、緊張材用定着具100の各構成について詳しく説明し、その後にこの緊張材用定着具100を用いた定着方法について説明する。なお、図11においては、説明の便宜上、緊張材用定着具100を誇張して図示している。
緊張材用定着具100は、緊張材の端部同士を接続して固定する。本例では、図11に示すように、異なる緊張材である第一緊張材200Aと第二緊張材200Bの端部同士をそれぞれ接続して固定する。よって、本例では、セグメント620,640の周方向に二つの緊張材用定着具100,100を配置する(図11を参照)。ここで用いる緊張材用定着具100は、いずれも同様の構成を有する。
定着具本体1αは、図1〜10に示すように、緊張材200A,200Bがそれぞれ貫通される湾曲した貫通孔10h(図1)を有する二つの筒部10,10と、各筒部10,10の外方に突出すると共に、両筒部10,10を並列状態で一体化するリブ20と、を備える。二つの筒部10,10は、所定の間隔を有して離れて配置される。本例では、筒部10の長手方向に所定の間隔を有して二つのリブ20,20を備え、二つの筒部10,10と二つのリブ20,20とで囲まれる領域に空洞部40(図9,10)を備える。また、本例では、筒部10の表面とリブ20の表面との間を斜めに連結する補強部60を備える。
二つの筒部10,10は、図5〜10に示すように、同一の形状であり、定着具本体1αの長手方向の中央部分を境界にして、一方の筒部10を水平方向に180°回転させれば、他方の筒部10になる。
取付口11は、図1に示すように、シース400が取り付けられる。取付口11の内径は、開口側が広く、奥部側が狭くなるテーパ状に形成されている。開口側の内径はシース400の外径よりも若干大きく、奥部側の内径はシース400の外径よりも若干小さい。奥部側の狭くなった部分は、シース400の端部が当接される当止部となる。つまり、シース400を取付口11に挿入し、シース400の端部が当止部に当接されるまで押し込むことで、シース400を筒部10に接続することができる。
収納部12は、ソケット3の一端面を当て止めして支圧する支圧部12aと、ソケット3の外周を囲むように支圧部12aの外周縁から立設する側壁部12bと、を備える。支圧部12aは、ソケット3の一端面を支圧する環状の平面であり、ほぼ中央部分に緊張材200A(200B)が引き出される引出孔12ah(図1,7,8)が形成されている。図1では、支圧部12aに後述する溝部12dが形成されているためにソケット3が支圧部12aから浮いて見えているが、溝部12d以外の部分でソケット3を支圧している。本例では、収納部12は、ソケット3の外周面に沿った内径を有する円筒状である。
細径部13は、収納部12における支圧部12aの引出孔12ahに連続して設けられ、引出孔12ahの径とほぼ同等の内径であり緊張材200A(200B)が貫通可能な内径を備える。細径部13は、収納部12における支圧部12a(固定端部10p)の外径よりも小さい外径を備える(図1,4〜6,9,10を参照)。更に、細径部13の外径は、取付口11(取付端部10q)の外径よりも小さい(図1,5,6,9,10を参照)。
リブ20は、第一緊張材200Aや第二緊張材200Bの緊張力によって定着具本体1αに作用する圧縮応力を支圧する部材である。また、リブ20は、両筒部10,10を並列して一体に連結する部材である。リブ20は、各筒部10,10の全周に亘って外方に突出して設けられる板状部材であることが好ましい。実施形態1の定着具本体1αは、定着具本体1αに作用する圧縮応力を支圧するリブ20を備える点を特徴の一つとする。本例では、リブ20は、両筒部10,10の長手方向に所定の間隔を有して二つ設けられている。二つの筒部10,10と二つのリブ20,20とは、一体に成形された鋳造部品である。
空洞部40は、図9,10に示すように、二つの筒部10,10と二つのリブ20,20とで囲まれる空間部分である。実施形態1の定着具本体1αは、空洞部40を備える点を特徴の一つとする。定着具本体1αは、両筒部10,10がセグメント620に埋設して使用されるため、空洞部40を備えることで、両筒部10,10が互いに対向する内側において、両筒部10,10とセグメント620との付着力を向上することができる。上記内側における両者10,620の付着力を向上することで、筒部10,10間に作用するせん断応力を低減し易い。また、空洞部40にあるコンクリート部分は、定着具本体1αに作用する圧縮応力の支圧部として機能すると考えられる。
補強部60は、筒部10の表面とリブ20の表面との間を斜めに連結した肉盛り部分である。本例では、補強部60は、図4〜6,9,10に示すように、各筒部10の全周に亘って設けられ、筒部10における細径部13の表面からリブ20の表面に向かって徐々に外径が大きくなるような湾曲状である。実施形態1の定着具本体1αは、補強部60を備える点を特徴の一つとする。補強部60を備えることで、リブ20が受ける圧縮応力の作用方向(支圧方向)にリブ20が変形することを抑制し易い。
上記の定着具本体1αは、両筒部10における収納部12の少なくとも一方の開口側に、パッキン90を介してねじ込まれるグラウトキャップ80を備えることができる。グラウトキャップ80は、収納部12の装着部分12nに装着されて、定着具本体1α内及び定着具本体1αに接続されるシース400内にグラウトを注入するための注入口となる(図1を参照)。グラウトキャップ80は、収納部12の装着部分12nに装着されるため、グラウトキャップ80の中心軸と収納部12の中心軸とは同軸となる。グラウトキャップ80は、収納部12の軸方向と直交する断面の形状が多角形状であり、一端側にグラウト注入孔80hを備える(図3を参照)。本例では、グラウトキャップ80の上記断面の形状は四角形状である(図3を参照)。グラウトキャップ80の上記断面の形状は、グラウトキャップ80の軸方向(収納部12の軸方向)に沿った一部に設けられていてもよい。上記断面における外周輪郭が多角形状であればよく、内周輪郭は多角形状でも、それ以外の形状、例えば円形状であってもよい。グラウトキャップ80の上記断面における外周輪郭が多角形状であることで、グラウトキャップ80を保持し易く、グラウトキャップ80を収納部12の装着部分12nに装着し易い。グラウトキャップ80の他端側に、収納部12の装着部分12nの内径とほぼ同等の外径を有する円筒状の装着部分80nを備える。この装着部分80nの外周面には、収納部12の装着部分12nと係合する係合部(図示せず)が形成されている。係合部は、グラウトキャップ80の周方向に形成され、装着部分12nに形成された雌ねじに螺合する雄ねじであることが挙げられる。
ウェッジ2は、複数(本例では3つ)の分割片を組み合わせることで、ほぼ円錐状に構成される。分割片を組み合わせたとき、その中心部には各緊張材200A,200Bの把持孔が形成されると共に、隣り合う分割片の間には太径側端部から細径側端部に亘ってスリットが形成される。このスリットは、ウェッジ2がそれぞれソケット3に圧入された際、スリットの間隔が狭まることで、確実に各緊張材200A,200Bを把持することに寄与する。各分割片は、内周面に緊張材200A,200Bを強固に把持するための雌ねじ部が形成されている。更に、ウェッジ2の太径側端部の周方向には溝が形成されており、この溝にOリングを嵌め込むことで、各分割片がばらけることを防止できる。
ソケット3は、テーパ状の挿入孔が形成された円筒体である。ソケット3の外径は、筒部10における収納部12の包囲部分12mの内径と同等である。テーパ状の挿入孔は、ウェッジ2の外径に対応した形状、大きさであり、嵌め込まれたウェッジ2をくさび、ソケット3をくさび受けとして機能させて、各緊張材200A,200Bの定着を行う。
緊張材200A,200Bは、緊張状態で、その端部が上述した緊張材用定着具100に定着されることで、導入された緊張荷重をプレストレスとしてセグメント620,640(図11)に付与する。本例では、緊張材200A,200Bとして、複数の素線を撚り合わせたPC鋼線に樹脂被覆を形成したPC鋼撚り線を利用している。その他、緊張材は、上記樹脂被覆を備えていない裸PC鋼撚り線や、単一のPC鋼線などを利用することができる。
以下、上述した緊張材用定着具100の定着方法について、主に図11,12を参照して説明する。本例では、円環状に構築したセグメント620,640の周方向に連続して配置した二つの緊張材(第一緊張材200A及び第二緊張材200B)の対向する端部同士を、緊張材用定着具100に固定して接続することで、セグメント620,640の周方向にプレストレスを導入する。二つの緊張材200A,200Bの対向する端部同士を接続するため、二つの緊張材用定着具100,100を、セグメント620,640の周方向に離間して配置している。本例では、各緊張材200A,200Bの一端部(図11の時計回り方向に位置する端部)をジャッキで緊張せずに固定のみを行い、その緊張材200A,200Bの他端部(図11の反時計回り方向に位置する端部)をジャッキで緊張して固定する片引きの形態を説明する。
まず、定着具本体1αを備える円弧状のセグメント620を作製する。本例では、左側の定着具本体1αAを備えるセグメント620と、右側の定着具本体1αBを備えるセグメント620と、をそれぞれ作製する。セグメント620は、定着具本体1αA(1αB)の各筒部10における取付口11にシース400をそれぞれ取り付け、その状態で型枠内に配置してコンクリートを打設することで作製できる。このとき、各筒部10における収納部12の開口部が露出するように、セグメント620に切欠き622a,622bを形成しておく。切欠き622aは、定着具本体1αA(1αB)から緊張材を引き出すと共に、その引き出した緊張材の端部をジャッキ900で緊張するための作業領域である。一方、切欠き622bは、定着具本体1αA(1αB)に緊張材を挿入するための作業領域である。切欠き622bは、ジャッキで緊張する作業領域は不要で、緊張材を挿入することができ、その端部にウェッジ2及びソケット3を装着可能な程度の作業領域でよい。切欠き622bも、切欠き622aと同様に、ジャッキで緊張可能な程度の作業領域としてもよい。得られたセグメント620は、収納部12の開口部が露出した状態の定着具本体1αA(1αB)と、シース400と、が埋め込まれている。また、本例では、図11に示すように、シース400のみが埋め込まれたセグメント640も二つ用意する。
次に、第一緊張材200Aを配置する。第一緊張材200Aの一端部は、左側の定着具本体1αAに対して、ジャッキで緊張せずに固定のみを行い、その他端部は、右側の定着具本体1αBに対して、ジャッキ900で緊張して固定する。よって、左側の定着具本体1αAを備える緊張材用定着具100に着目した場合、第一緊張材200Aが布設される側が二次側となり、右側の定着具本体1αBを備える緊張材用定着具100に着目した場合、第一緊張材200Aが布設される側が一次側となる。
次に、第一緊張材200Aの挿入・固定と同様に、第二緊張材200Bの挿入・固定を行う。第二緊張材200Bの一端部は、右側の定着具本体1αBに対して、ジャッキで緊張せずに固定のみを行い、その他端部は、左側の定着具本体1αAに対して、ジャッキ900で緊張して固定する。よって、右側の定着具本体1αBを備える緊張材用定着具100に着目した場合、第二緊張材200Bが布設される側が二次側、その反対側が一次側となり、左側の定着具本体1αAを備える緊張材用定着具100に着目した場合、第二緊張材200Bが布設される側が一次側、その反対側が二次側となる。
各グラウトキャップ80のグラウト注入孔80hからグラウトを注入する。注入されたグラウトは、収納部12内の溝部12dを通って筒部10の内部を充填し、更にシース400と緊張材200A,200Bとの間も充填する。注入されたグラウトは、各緊張材200A,200Bの反対側の端部が固定される緊張材用定着具100における収納部12の溝部12dから排出される。同様に、各緊張材200A,200Bの固定のみを行った端部も、余長を切断して、収納部12の装着部分12n(図1)にグラウトキャップ80を装着する。セグメント620に形成された切欠き622a,622bには、コンクリートを充填・固化する。
上述した定着方法によって、第一緊張材200Aと第二緊張材200Bの端部同士を接続して固定する過程において、定着具本体1αA,1αBに作用する圧縮応力の状態を説明する。
実施形態1の緊張材用定着具100は、定着具本体1αに板状のリブ20を備えることで、定着具本体1αの筒部10,10間に偏った圧縮応力が生じると共に、緊張材200A,200Bの布設方向の片側に偏った圧縮応力が一時的に作用した片圧縮の状態の場合であっても、その圧縮応力をリブ20で支圧できる。そのため、定着具本体1αが圧縮応力の偏った側に動いてコンクリート構造物(セグメント620)にめり込んだり、損傷が生じたりすることを抑制できる。また、リブ20が両筒部10,10を一体化しているため、片圧縮の状態における両筒部10,10間に作用するせん断応力を低減することができる。特に、上記緊張材用定着具100は、圧縮応力が作用し易い各筒部10の固定端部10p近傍にリブ20を設けることで、上記せん断応力を効果的に低減することができる。
上述した緊張材用定着具は、シールドトンネルやタンクなどの円形コンクリート構造物の周方向にプレストレスを導入する際に好適に利用することができる。特に、上記円形コンクリート構造物の周方向に複数の緊張材を接続する際に好適に利用できる。
実施形態1では、定着具本体1αが、筒部10の表面とリブ20の表面との間を斜めに連結する補強部60を備える形態を説明した。その他に、図13〜20に示すように、補強部を備えない定着具本体1βとすることもできる。実施形態1の定着具本体1αと実施形態2の定着具本体1βとは、補強部の有無が異なるのみであり、その他の構成については同じである。補強部を備えないことで、定着具本体1βを軽量化できる。
実施形態2では、定着具本体1βが、二つの筒部10,10と二つのリブ20,20とで囲まれる領域に空洞部40を備え、補強部を備えない形態を説明した。その他に、更に空洞部を備えない定着具本体とすることもできる(後述する解析例における試作品1、図21を参照)。空洞部を備えない定着具本体は、二つの筒部における各細径部同士を連結すると共に、二つのリブにおける内側部分を連結する板状の連結部を備える。空洞部を備えない定着具本体は、リブと連結部とで、両筒部を一体化することになる。よって、空洞部を備えない(連結部を備える)定着具本体は、両筒部を強固に固定できるため、緊張材の緊張力によって作用する圧縮応力によって定着具本体が長手方向に変形することを抑制し易い。
実施形態1〜3では、筒部10,10がソケット3を収納する収納部12を備える形態を説明した。その他に、筒部は、収納部のうちソケットの外周を囲む側壁部を備えない定着具本体とすることもできる(図示せず)。この定着具本体は、筒部の固定端部にソケットの一端面を支圧する支圧部を備える。側壁部を備えないことで、定着具本体を軽量化・小型化できる。
実施形態1〜4では、筒部とソケットとが別部材である形態を説明した。その他に、筒部とソケットとが一体構造である定着具本体とすることもできる(図示せず)。つまり、筒部は、固定端部にソケットを備える。換言すれば、ソケットの一端面が支圧部に一体化している。この固定端部の内径は、開口側が広く、奥部側が狭くなるテーパ形状に形成される。このテーパ形状は、ウェッジのテーパ形状に適合する。筒部とソケットとが一体構造であることで、ソケットを別途用意する必要がなく、部品点数を削減できる。
実施形態1〜5で説明した緊張材用定着具は、各緊張材の両端部をジャッキで同時に緊張する両引きにも好適に利用できる。緊張材が比較的長い場合、緊張材の一端部での緊張だけでは、緊張材の全長に亘って実質的に均一に緊張力を付与できない場合がある。そこで、緊張材の両端部を同時に緊張することがある。緊張材を両引きする形態について、図11,12を参照して説明する。
実施形態1では、複数の緊張材(二つの緊張材200A,200B)を円形コンクリート構造物(セグメント620,640)の周方向に連続して配置し、二つの緊張材200A,200Bの対向する端部同士を緊張材用定着具100により接続する形態を説明した。その他に、実施形態1の緊張材用定着具100は、円形コンクリート構造物の周方向に一つの緊張材を配置し、一周した緊張材の両端部を連結する場合にも利用できる。この場合、緊張材用定着具は一つでよい。一つの緊張材を連結する場合は、その両端部をジャッキで同時に緊張する両引きを行ってもよいし、一方の端部のみをジャッキで緊張する片引きを行ってもよい。
実施形態1〜5で説明した緊張材用定着具は、図11に示すように、円形コンクリート構造物の周方向にプレストレスを導入する際に好適に利用できる。例えば、シールドトンネルやタンクなどの円環状構造物や、半円状構造物、アーチカルバートなどのコンクリート構造物の周方向にプレストレスを導入する際に好適に利用できる。その他に、直線状部を有するコンクリート構造物の直線部分にプレストレスを導入する際にも利用できる。
緊張材用定着具としての性能を満たすかを確認するために、所定の緊張力を与えた緊張材を緊張材用定着具に固定することを想定し、その緊張力によって緊張材用定着具(定着具本体)に作用する最大せん断応力をFEM(Finite Element Method)解析によって調べた。本例では、定着具本体について、以下の三つの試作品1〜3を設定した。
試作品1は、図21に示すように、二つのリブ20を備え、空洞部及び補強部を備えない。つまり、試作品1は、二つのリブ20,20間において、二つの筒部10,10同士がリブ20以外の連結部によって連結されている。試作品1の材質は、球状黒鉛鋳鉄(FCD450)である。
試作品2は、図22に示すように、二つのリブ20と、空洞部40と、を備え、補強部60を備えない。試作品2は、試作品1に対して空洞部40を備える点のみが異なり、その他の構成は試作品1と同様である。
試作品3は、図23に示すように、二つのリブ20と、空洞部40と、補強部60と、を備える。補強部60は、外表面が湾曲状であり、内側補強部62が外側補強部64よりも湾曲状の曲げ半径が大きくなっている。試作品3は、試作品2に対して補強部60を備える点のみが異なり、その他の構成は試作品2と同様である。
緊張材用定着具に対して緊張力によって作用する圧縮応力が両側にかかる形態(両圧縮の形態)において、緊張材用定着具(定着具本体)に作用する最大せん断応力をFEM解析によって調べた。両圧縮の形態における解析モデルを図24に示す。この解析モデルでは、長尺状の解析用コンクリート構造物1000の中央部分に定着具本体1を埋設し、解析用コンクリート構造物1000の両端面のうち荷重を受け止める端面1220(定着具本体1の取付口と対向する端面)の領域を拘束し、荷重をかける端面1240(定着具本体1の収納部と対向する端面)の領域を解放した。各筒部10における収納部12の開口部側には、コンクリートに切欠き622aが形成されている(図12を併せて参照)。そして、定着具本体1に対して、各筒部の収納部側から緊張力として573kNまで載荷した。定着具本体1を上記試作品1〜3として、それぞれFEM解析を行った。
緊張材用定着具に対して緊張力によって作用する圧縮応力が片側にかかる形態(片圧縮の形態)において、緊張材用定着具(定着具本体)に作用する最大せん断応力をFEM解析によって調べた。片圧縮の形態における解析モデルを図25に示す。この解析モデルでは、解析例1と同様に、長尺状の解析用コンクリート構造物1000の中央部分に定着具本体1を埋設する。解析用コンクリート構造物1000の両端面のうち、一方の端面の全領域及び他方の端面のうち定着具本体1の取付口と対向する領域を、荷重を受け止める端面1220として拘束し、他方の端面のうち定着具本体1の収納部12と対向する領域を、荷重をかける端面1240として解放した。各筒部10における収納部12の開口部側には、コンクリートに切欠き622a,622bが形成されている(図12を併せて参照)。そして、定着具本体1に対して、解放した収納部側から緊張力として573kNまで載荷した。定着具本体1を上記試作品1〜3として、それぞれFEM解析を行った。
1,1α,1αA,1αB,1β 定着具本体
10 筒部
10h 貫通孔
10p 固定端部
10q 取付端部
11 取付口
12 収納部
12a 支圧部
12ah 引出孔
12b 側壁部
12d 溝部
12m 包囲部分
12n 装着部分
13 細径部
20 リブ
40 空洞部
60 補強部
62 内側補強部
64 外側補強部
80 グラウトキャップ
80h グラウト注入孔
80n 装着部分
90 パッキン
2 ウェッジ
3 ソケット
200A 第一緊張材
200B 第二緊張材
400 シース
620,640 セグメント
622a,622b 切欠き
900 ジャッキ
1000 解析用コンクリート構造物
1220 荷重を受け止める端面
1240 荷重をかける端面
Claims (16)
- コンクリート構造物に埋設される緊張材用定着具であって、
緊張材が貫通される湾曲した貫通孔と、その緊張材の端部を固定する固定端部と、を有する二つの筒部と、
前記各筒部の外方に突出すると共に、前記両筒部を並列状態で一体化するリブと、を備え、
前記リブは、前記各筒部の全周に亘って外方に突出して設けられる板状部材であり、
前記両筒部は、前記各筒部の固定端部が互いに反対方向に位置した状態で、前記両筒部の並列方向から見て前記両貫通孔が交差する緊張材用定着具。 - コンクリート構造物に埋設される緊張材用定着具であって、
緊張材が貫通される湾曲した貫通孔と、その緊張材の端部を固定する固定端部と、を有する二つの筒部と、
前記各筒部の外方に突出すると共に、前記両筒部を並列状態で一体化するリブと、を備え、
前記リブは、前記両筒部の長手方向に所定の間隔を有して二つ設けられる板状部材であり、
前記両筒部は、前記各筒部の固定端部が互いに反対方向に位置した状態で、前記両筒部の並列方向から見て前記両貫通孔が交差する緊張材用定着具。 - 前記各筒部と前記各リブとで囲まれる領域に空洞部を備える請求項2に記載の緊張材用定着具。
- 前記筒部の表面と前記リブの表面との間を斜めに連結する補強部を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の緊張材用定着具。
- 前記補強部の外表面が湾曲状である請求項4に記載の緊張材用定着具。
- 前記筒部の全周に亘って前記補強部を備え、
前記両筒部が互いに対向する側を内側、その反対側を外側とするとき、
前記補強部は、内側の湾曲状の曲げ半径が外側の湾曲状の曲げ半径よりも大きい請求項5に記載の緊張材用定着具。 - 前記両筒部の少なくとも一方は、前記固定端部の外径よりも小さい外径を有する細径部を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の緊張材用定着具。
- 前記両筒部の少なくとも一方は、その外周面の少なくとも一部に凹凸部を備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の緊張材用定着具。
- 前記両筒部の少なくとも一方は、前記固定端部に前記緊張材の端部を把持するウェッジを嵌め込むソケットを収納する収納部を備える請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の緊張材用定着具。
- 前記収納部は、軸方向に一様な内径を備える請求項9に記載の緊張材用定着具。
- 前記収納部は、前記筒部内にグラウトを通すための溝部を備える請求項9又は請求項10に記載の緊張材用定着具。
- 前記収納部の開口側にグラウトキャップを備え、
前記グラウトキャップは、グラウト注入孔を備える請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の緊張材用定着具。 - 前記グラウトキャップは、前記収納部の軸方向と直交する断面の形状が多角形状である部分を有する請求項12に記載の緊張材用定着具。
- 前記筒部と、前記緊張材の端部を把持するウェッジを嵌め込むソケットと、が一体構造である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の緊張材用定着具。
- 更に、
緊張材の端部を把持する円錐状のウェッジと、
前記ウェッジを嵌め込むソケットと、を備える請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の緊張材用定着具。 - 請求項14又は請求項15に記載の緊張材用定着具によって定着された前記緊張材を備えるプレストレストコンクリート構造物。
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