JP6876882B1 - リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

電極活物質層と、前記電極活物質層の表面上に設けられる絶縁層とを備え、前記絶縁層が、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーとを含み、前記絶縁性微粒子が、ヘテロ原子を有するπ共役系化合物とキノン系電子受容体とを含んでなるリチウムイオン二次電池用電極である。

Description

本発明は、絶縁層を備えるリチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、電力貯蔵用の大型定置用電源、電気自動車用等の電源として利用されており、近年では電池の小型化及び薄型化の研究が進展している。リチウムイオン二次電池は、金属箔の表面に電極活物質層を形成した両電極と、両電極の間に配置されるセパレータを備えるものが一般的である。セパレータは、両電極間の短絡防止や電解液を保持する役割を果たす。
近年、上記セパレータの収縮時に良好な短絡抑制機能を持たせ、また、セパレータの代わりに電極間の絶縁性を確保するために、電極活物質層の表面に多孔質の絶縁層を設けることが検討されている。
例えば絶縁層として、バインダー高分子により無機物粒子同士が連結及び固定され、無機物粒子同士の間隙によりマイクロ単位の気孔が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特表2007−520867号公報
ところで、リチウムイオン二次電池の電極においては、充放電の際、リチウムイオンの吸蔵及び放出に伴って膨張及び収縮するものが多い。電極の膨張収縮の影響は絶縁層にも及ぶことがあり、これによって絶縁層中の無機物粒子が電解液中に脱落し、電解液の組成にムラが生じると、電池の抵抗が上昇しやすくなってしまう。
そこで、本発明は、良好な出力を発揮することが可能で、絶縁層中の絶縁性微粒子が電解液中に脱落しにくいリチウムイオン二次電池用電極、及びその電極を備えるリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、絶縁層に使用される絶縁性微粒子として、所定のπ共役系化合物及びキノン系電子受容体を使用することで、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[10]である。
[1] 電極活物質層と、前記電極活物質層の表面上に設けられる絶縁層とを備え、前記絶縁層が、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーとを含み、前記絶縁性微粒子が、ヘテロ原子を有するπ共役系化合物とキノン系電子受容体とを含んでなるリチウムイオン二次電池用電極。
[2] 前記ヘテロ原子を有するπ共役系化合物が、芳香族環に隣接する位置に前記ヘテロ原子を有する[1]に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[3] 前記絶縁性微粒子がリチウム含有化合物を含む[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[4] 前記絶縁層において、前記絶縁性微粒子を50〜95体積%含む[1]〜[3]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[5] 前記絶縁層の空隙率が80%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[6] 前記絶縁層の厚さが20〜120μmである[1]〜[5]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[7] 前記絶縁性微粒子の平均粒子径が0.1〜200μmである[1]〜[6]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極を備えるリチウムイオン二次電池。
[9] 互いに対向するように配置された正極、及び負極を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記正極及び負極の少なくとも一方の電極が、他方の電極に対向する面に前記絶縁層が設けられた、前記リチウムイオン二次電池用電極である[8]に記載のリチウムイオン二次電池。
[10] 前記正極及び負極の間に配置されるセパレータをさらに備える[8]又は[9]に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、良好な出力を発揮することが可能で、絶縁層中の絶縁性微粒子が電解液中に脱落しにくいリチウムイオン二次電池用電極、及びその電極を備えるリチウムイオン二次電池を提供できる。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極の一実施形態を示す概略断面図である。
<リチウムイオン二次電池用電極>
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用電極について詳細に説明する。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池用電極10は、電極活物質層11と、電極活物質層11の表面上に設けられる絶縁層12とを備える。また、リチウムイオン二次電池用電極10において、電極活物質層11は、通常、電極集電体13の上に積層される。
電極活物質層11は、電極集電体13の両表面に積層されてもよく、その場合、絶縁層12は各電極活物質層11の表面上に設けられるとよい。このように、絶縁層12をリチウムイオン二次電池用電極10の両面に設けると、負極及び正極を複数積層して多層構造とした場合でも、各正極と各負極の間の短絡を有効に防止できる。
本発明において、リチウムイオン二次電池用電極10は、負極又は正極のいずれでもよいが、正極であることが好ましい。
[絶縁層]
絶縁層は、絶縁性微粒子と、バインダー(以下、「絶縁層用バインダー」ともいう)とを含む。絶縁層は、絶縁性微粒子が絶縁層用バインダーによって結着されて構成される層であり、多孔質構造を有する。
(絶縁性微粒子)
絶縁層に含有される絶縁性微粒子は、ヘテロ原子を有するπ共役系化合物とキノン系電子受容体とを含んでなる。これらを含むことで良好な出力を発揮することが可能となる。また、ヘテロ原子を有するπ共役系化合物とキノン系電子受容体は有機物であるため、絶縁層に対する密着性が高い。そのため、絶縁層中の絶縁性微粒子が電解液中に脱落しにくく、脱落に伴う電解液組成にムラが生じることを防ぎ、これに起因する電池抵抗の上昇を防止できる。
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物としては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフタルアミド、ポリピロール、ポリアニリンポリフェニルアミン、ポリスルホン(PSF)等が挙げられる。
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物は、分子内に極性を持たせることで強度向上を図る観点から、芳香族環に隣接する位置にヘテロ原子を有するπ共役系化合物が好ましい。
また、π共役系化合物の融点は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。有機物は電解液により膨潤しやすい。有機物が膨潤すると絶縁層の空隙がふさがれてしまい抵抗が上がりやすくなる。そこで、有機物であるπ共役系化合物の融点が200℃以上であることで、電解液による膨潤が抑制され、抵抗の上昇を防ぐことができる。実用的な観点から、π共役系化合物の融点は350℃以下であることが好ましい。
ここで、π共役系化合物の融点とは、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度である。具体的には、融点の測定は、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製「DSC−60」を用いる。試料量は約1mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30mL/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させたπ共役系化合物を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温した際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度を測定することによって行う。
上記したなかでも、ヘテロ原子を有するπ共役系化合物としては、PPS、PPE、PEEK、PSFがより好ましい。
キノン系電子受容体は、リチウムイオンの輸送及び移動のためにイオンを放出して、出力向上に寄与すると考えられる。
そのようなキノン系電子受容体としては、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ:CCl)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(クロラニル:CCl)が好ましく挙げられ、なかでも、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノンがより好ましい。
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物とキノン系電子受容体との割合(ヘテロ原子を有するπ共役系化合物の体積(cm)/キノン系電子受容体の質量(g))は、出力特性を向上させる観点から、100体積(cm)/0.1質量(g)〜100体積(cm)/0.5質量(g)であることが好ましく、100体積(cm)/0.2質量(g)〜100体積(cm)/0.4質量(g)であることがより好ましい。
なお、上記の「体積(cm)」は比重から算出されるものをいう。
絶縁性微粒子はリチウム含有化合物を含むことが好ましい。リチウム含有化合物を含むことで、出力特性を高めることができる。
リチウム含有化合物としては、LiO、LiOH,LiNO,LiTFSI(リチウムビス−トリフルオロメタンスルホンイミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiBOB(リチウムビス(オキサレート)ボラート、LiB(C)、LiCFS(リチウムトリフルオロメタンスルホネート)、LiPF(リチウムヘキサフルオロホスフェート)、LiBF(リチウムテトラフルオロボラート)、LiAsF(リチウムヘキサフルオロアルセネート)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、LiOが好ましい。
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物とリチウム含有化合物との割合(ヘテロ原子を有するπ共役系化合物の体積(cm)/リチウム含有化合物の質量(g))は、出力特性を向上させる観点から、100体積(cm)/0.9質量(g)〜100体積(cm)/4.5質量(g)であることが好ましく、100体積(cm)/1.8質量(g)〜100体積(cm)/3.6質量(g)であることがより好ましい。
絶縁性微粒子の平均粒子径は0.1〜200μmであることが好ましい。平均粒子径が1μm以上であることで、絶縁層の厚みを一定化し、出力を向上させることができる。また、200μm以下であることで、粒子界面数が減り絶縁層強度が向上して、絶縁層中の絶縁性微粒子が電解液中に脱落しにくくなる。
絶縁性微粒子の平均粒子径は、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上であり、また、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下である。
なお、平均粒子径は、JISK5600−2−5に従い粒ゲージによって求めた粒度分布において、発生する最小粒度を意味する。
絶縁層における絶縁性微粒子の含有量は50〜95体積%であることが好ましい。含有量が50体積%以上であると、イオン電導性が高まり、出力特性を向上させることができる。含有量が95体積%以下であると、絶縁層用バインダーの割合が高くなって絶縁層中の絶縁性微粒子が電解液中に脱落しにくくなる。これら観点から、絶縁性微粒子の含有量は、より好ましくは55〜94体積%、さらに好ましくは60〜93体積%である。
ここで、絶縁性微粒子は例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、ヘテロ原子を有するπ共役系化合物と、キノン系電子受容体とを既述の好ましい体積比で混合する。次いで得られた混合体をアルゴンまたは空気中で200〜500℃の高温にて1〜50時間、大気圧にて加熱する。次いで混合体を既述の好ましい平均粒子径となるように粉砕などして調整して、絶縁性微粒子を作製する。また、必要に応じて、リチウム含有化合物を混合体と混合して、絶縁性微粒子を作製してもよい。
絶縁層には、無機粒子を含有してもよい。無機粒子の具体例としては、アルミナ、ベーマイト、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、酸化亜鉛、窒化ホウ素、二酸化スズ、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、フッ化リチウム、クレイ、ゼオライト、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
(絶縁層用バインダー)
絶縁層用バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ(メタ)アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びポリビニルアルコール等が挙げられる。これらバインダーは、1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、カルボキシメチルセルロースなどは、ナトリウム塩などの塩の態様にて使用されていてもよい。
これらのなかでは、フッ素含有樹脂、アクリル樹脂であることが好ましく、アクリル樹脂であることがより好ましい。
上記アクリル樹脂について以下、詳細に説明する。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。具体的には、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有することが好ましく、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有する。
アルキル(メタ)アクリレートは、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜12、より好ましくは2〜8のアルキルアクリレートである。そして、アクリル系重合体は、アルキル基の炭素数が2〜8のアルキルアクリレート由来の構成単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有する。
アルキル基の炭素数が2〜8のアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらにおけるアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、その構造異性体である分岐アルキル基であってもよく、例えば2−エチルヘキシルアクリレートなどであってもよい。
また、アクリル系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートと、アルキル(メタ)アクリレート以外のビニルモノマーとの共重合体であってもよい。アルキル(メタ)アクリレート以外のビニルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリレート、アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマー、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど芳香環含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
好適なアクリル系重合体の具体例としては、ポリメチルメタクリレートが挙げられる。
また、アクリル系重合体は、架橋していてもよく、好ましい具体例としては、架橋ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。
なお、本明細書においては、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味し、他の類似する用語も同様である。
電極活物質層への絶縁層の浸み込みをより抑制する観点から、アクリル樹脂の重量平均分子量は、10万〜200万であることが好ましい。
絶縁層に含有される絶縁層用バインダーの含有量は、絶縁層全量基準で、5〜50体積%が好ましい。含有量が5体積%以上であると、絶縁層用バインダーの割合が高くなって絶縁層中の絶縁性微粒子が電解液中に脱落しにくくなる。含有量が50体積%以下であると、絶縁性微粒子割合が高くなってイオン電導性が高まり、出力特性を向上させることができる。これら観点から、絶縁層用バインダーの含有量は、5〜45体積%がより好ましく、6〜40体積%がさらに好ましい。
絶縁層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、絶縁性微粒子及び絶縁層用バインダー以外の他の任意成分を含んでもよい。ただし、絶縁層の総体積量のうち、絶縁性微粒子及び絶縁層用バインダーの総含有量は、90体積%以上であることが好ましく、95体積%以上であることがより好ましい。
絶縁層の厚さは20〜120μmであることが好ましい。絶縁層の厚さが20μm以上であることで、絶縁に十分な正極負極間の距離を保ち安全性を向上させることができる。また、120μm以下であることで、正極負極間を一定以内に保ち、出力特性を向上させることができる。
絶縁層は、上記のように、多孔質構造を有するが、その空隙率は、80%以下であることが好ましく、50〜80%がより好ましく、55〜75%がさらに好ましく、63〜73%がよりさらに好ましい。空隙率を80%以下とすることで、電極活物質層に対する絶縁層による被覆率が上昇して、短絡抑制効果が向上する。また空隙率を50%以上とすることで、絶縁層による抵抗上昇を抑制し、充放電特性などの電池特性が向上する。空隙率は実施例に記載の方法で求めることができる。
[電極活物質層]
電極活物質層は、典型的には、電極活物質と、電極用バインダーとを含む。電極が正極である場合、電極活物質は正極活物質となり、電極活物質層は正極活物質層となる。一方、電極が負極である場合、電極活物質は負極活物質となり、電極活物質層は負極活物質層となる。電極活物質層は正極活物質層であることが好ましい。
(正極活物質)
正極活物質層に使用される正極活物質としては、例えば、金属酸リチウム化合物が挙げられる。金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等が例示できる。また、正極活物質として、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)等を使用してもよい。さらに、正極活物質として、リチウム以外の金属を複数使用したものを使用してもよく、三元系と呼ばれるNCM(ニッケルコバルトマンガン)系酸化物、NCA(ニッケルコバルトアルミニウム系)系酸化物等を使用してもよい。正極活物質として、これらの物質を1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(負極活物質)
負極活物質層に使用される負極活物質としては、グラファイト、ハードカーボン等の炭素材料、スズ化合物とシリコンと炭素の複合体、リチウム等が挙げられるが、これら中では炭素材料が好ましく、グラファイトがより好ましい。負極活物質として、上記物質を1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(電極活物質の平均粒子径)
電極活物質の平均粒子径は、特に限定されないが、0.5〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましく、5〜25μmであることがさらに好ましい。
(電極活物質の含有量)
電極活物質層における電極活物質の含有量は、電極活物質層全量基準で、60〜99質量%が好ましく、80〜99質量%がより好ましく、90〜98質量%がさらに好ましい。
(電極用バインダー)
電極用バインダーの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有樹脂、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリ(メタ)アクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、及びポリビニルアルコール等が挙げられる。これらバインダーは、1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、カルボキシメチルセルロース等は、ナトリウム塩等の塩の態様にて使用されていてもよい。
これらのなかでは、フッ素含有樹脂が好ましく、中でもポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
電極活物質層におけるバインダーの含有量は、電極活物質層全量基準で、0.5質量%以上であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1.0〜10質量%がさらに好ましい。
(導電助剤)
電極活物質層は、導電助剤をさらに含んでもよい。導電助剤は、電極活物質層が正極活物質層である場合に好ましくは使用される。導電助剤は、上記電極活物質よりも導電性が高い材料が使用され、具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラック(AB)、カーボンナノチューブ、棒状カーボン等の炭素材料等が挙げられる。導電助剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。電極活物質層において、導電助剤が含有される場合、導電助剤の含有量は、電極活物質層全量基準で、0.5〜15質量%であることが好ましく、1.0〜9質量%であることがより好ましい。
電極活物質層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、電極活物質、導電助剤、及びバインダー以外の他の任意成分を含んでもよい。ただし、電極活物質層の総質量のうち、電極活物質、導電助剤、及びバインダーの総含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
各電極活物質層11の厚さは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。
[電極集電体]
電極集電体を構成する材料としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性を有する金属が挙げられる。これらの中では、電極集電体が正極集電体の場合、アルミニウム、チタン、ニッケル及びステンレス鋼が好ましく、アルミニウムがより好ましい。また、電極集電体が負極集電体の場合、銅、チタン、ニッケル及びステンレス鋼が好ましく、銅がより好ましい。電極集電体は、一般的に金属箔からなり、その厚さは、特に限定されないが、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。電極集電体の厚さが1〜50μmであると、電極集電体のハンドリングが容易になるとともに、エネルギー密度の低下を抑制できる。
<リチウムイオン二次電池用電極の製造方法>
次に、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。本発明のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法では、まず、電極活物質層を形成し、その電極活物質層の表面上に絶縁層を形成する。
(電極活物質層の形成)
電極活物質層の形成においては、まず、電極活物質と、電極用バインダーと、溶媒とを含む電極活物質層用組成物を用意する。電極活物質層用組成物は、必要に応じて配合される導電助剤などのその他成分を含んでもよい。電極活物質、電極用バインダー、導電助剤などは上記で説明したとおりである。電極活物質層用組成物は、スラリーとなる。
電極活物質層組成物における溶媒は、水または有機溶剤を使用する。有機溶剤の具体例としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドから選択される1種又は2種以上が挙げられる。これらの中では、N−メチルピロリドンが好ましい。
電極活物質層用組成物の固形分濃度は、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは20〜65質量%である。
電極活物質層は、上記電極活物質層用組成物を使用して公知の方法で形成すればよく、例えば、上記電極活物質層用組成物を電極集電体の上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
また、電極活物質層は、電極活物質層用組成物を、電極集電体以外の基材上に塗布し、乾燥することにより形成してもよい。電極集電体以外の基材としては、公知の剥離シートが挙げられる。基材の上に形成した電極活物質層は、好ましくは絶縁層を電極活物質層上に形成した後、基材から電極活物質層を剥がして電極集電体の上に転写すればよい。
電極集電体又は基材の上に形成した電極活物質層は、好ましくは加圧プレスする。加圧プレスすることで、電極密度を高めることが可能になる。加圧プレスは、ロールプレスなどにより行えばよい。
(絶縁層の形成)
絶縁層の形成に使用する絶縁層用組成物は、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーと、溶媒とを含む。絶縁層用組成物は、必要に応じて配合されるその他の任意成分を含んでいてもよい。絶縁性微粒子、絶縁層用バインダーなどの詳細は上記で説明したとおりである。絶縁層用組成物はスラリーとなる。溶媒としては、水又は有機溶剤を使用すればよく、有機溶剤の詳細は、電極活物質層用塗工液で説明したとおりである。絶縁層用組成物の固形分濃度は、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは15〜50質量%である。
絶縁層は、絶縁層用組成物を、電極活物質層の上に塗布して乾燥することによって形成することができる。絶縁層用組成物を電極活物質層の表面に塗布する方法は特に限定されず、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、バーコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
また、乾燥温度は、上記溶媒を除去できれば特に限定されないが、例えば40〜120℃、好ましくは50〜90℃である。また、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、30秒〜20分間である。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した絶縁層を有するリチウムイオン二次電池用電極を有する。具体的には、本発明のリチウムイオン二次電池は、互いに対向するように配置された正極、及び負極を備え、負極及び正極の少なくとも一方の電極が、上記した絶縁層を有するリチウムイオン二次電池用電極となるが、少なくとも正極が上記した絶縁層を有するリチウムイオン二次電池用電極であることが好ましい。リチウムイオン二次電池用電極(負極又は正極)においては、他方の電極(正極又は負極)に対向する面に絶縁層が設けられるとよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極及び負極の間に配置されるセパレータをさらに備えてもよい。セパレータが設けられることで、正極及び負極の間の短絡がより一層効果的に防止される。また、セパレータは、後述する電解質を保持してもよい。正極又は負極に設けられる絶縁層は、セパレータに接触していてもよいし、接触していなくてもよいが、接触することが好ましい。
セパレータとしては、多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等が挙げられ、これらの中では多孔性の高分子膜が好ましい。多孔性の高分子膜としては、オレフィン系多孔質フィルムが例示される。セパレータは、リチウムイオン二次電池駆動時の発熱により加熱されて熱収縮などすることがあるが、そのような熱収縮時でも、上記絶縁層が設けられることで短絡が抑制しやすくなる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池では、セパレータが省略されてもよい。セパレータが省略されても、負極又は正極の少なくともいずれか一方に設けられた絶縁層により、負極と正極の間の絶縁性が確保されるとよい。
リチウムイオン二次電池は、負極、正極がそれぞれ複数積層された多層構造であってもよい。この場合、負極及び正極は、積層方向に沿って交互に設けられればよい。また、セパレータが使用される場合、セパレータは各負極と各正極の間に配置されればよい。
リチウムイオン二次電池において、上記した負極及び正極、又は負極、正極、及びセパレータは、バッテリーセル内に収納される。バッテリーセルは、角型、円筒型、ラミネート型などのいずれでもよい。
リチウムイオン二次電池は、電解質を備える。電解質は特に限定されず、リチウムイオン二次電池で使用される公知の電解質を使用すればよい。電解質としては例えば電解液を使用する。
電解液としては、有機溶媒と、電解質塩を含む電解液が例示できる。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、メチルアセテートなどの極性溶媒、又はこれら溶媒の2種類以上の混合物が挙げられる。電解質塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFCO、LiN(SOCF、LiN(SOCFCF、LiN(COCF及びLiN(COCFCF、リチウムビスオキサレートボラート(LiB(C)等のリチウムを含む塩が挙げられる。また、有機酸リチウム塩−三フッ化ホウ素錯体、LiBH等の錯体水素化物等の錯体が挙げられる。これらの塩又は錯体は、1種単独で使用してもよいが、2種以上の混合物であってもよい。
また、電解質は、上記電解液に更に高分子化合物を含むゲル状電解質であってもよい。高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のポリアクリル系ポリマーが挙げられる。なお、ゲル状電解質は、セパレータとして使用されてもよい。
電解質は、負極及び正極間に配置されればよく、例えば、電解質は、上記した負極及び正極、又は負極、正極、及びセパレータが内部に収納されたバッテリーセル内に充填される。また、電解質は、例えば、負極又は正極上に塗布されて負極及び正極間に配置されてもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
得られたリチウムイオン二次電池は、以下の評価方法により評価した。
(出力特性)
各実施例、比較例で作製したリチウムイオン二次電池について、以下のように放電容量を求めることで評価した。
1Cの定電流充電を行い、次いで4.2V到達次第電流を減少させ0.05Cとなった時点で充電完了する定電圧充電を行った。その後、10Cの定電流放電を行い、2.5Vまで放電させた時点で放電完了とする放電を行い、放電容量を計算した。以下の基準で出力特性を評価した。
A:1Cの定電流の放電容量に比べ、10Cの放電容量が30%以上である。
B:1Cの定電流の放電容量に比べ、10Cの放電容量が20%以上30%未満である。
C:1Cの定電流の放電容量に比べ、10Cの放電容量が10%以上20%未満である。
D:1Cの定電流の放電容量に比べ、10Cの放電容量が10%未満である。
(絶縁層中の絶縁性微粒子の電解液中への脱落のしやすさ)
作製した絶縁層つきの電極をジエチルカーボネートの溶媒に浸漬する。浸漬したまま60℃で24時間静置した後に40kHzの超音波を1分間照射する。ジエチルカーボネートから取り出し、照射後の電極の重量を測定し、照射前の重量と比較して、絶縁層中の絶縁性微粒子の電解液中への脱落のしやすさ(絶縁性微粒子脱落性)を評価した。評価指標は下記のとおりとした。
A:脱落率5%未満
B:脱落率5%以上10%未満
C:脱落率10%以上30%未満
D:脱落率30%以上
得られたリチウムイオン二次電池用電極の物性は、以下の測定方法により測定した。
(絶縁層の空隙率)
イオンミリング方式で、絶縁層が形成されたリチウムイオン二次電池用電極の断面を露出させた。次に、露出させたリチウムイオン二次電池用電極の断面を、FE−SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)を用いて、絶縁層全体が観察できる倍率で観察し、絶縁層の画像を得た。なお、倍率は5000〜25000倍であった。次に、画像解析ソフト「Image J」を使用して、絶縁層の実部分が黒く表示され、絶縁層の空隙部分が白く表示されるように、得られた画像を2値化処理した。そして、白部分の面積の割合を測定した。この白部分の面積の割合が絶縁層の空隙率(%)となる。
(絶縁層の厚み)
絶縁層の厚みは、上述のSEMの画像から5点平均にて測定した。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質としてNCA系酸化物(平均粒径10μm)を100質量部と、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量部と、電極用バインダーとしてポリフッ化ビニリデン2質量部と、溶媒としてのN−メチルピロリドンとを混合し、固形分濃度60質量%に調整した正極活物質層用スラリーを得た。この正極活物質層用スラリーを、正極集電体としての厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、予備乾燥後、120℃で真空乾燥した。その後、両面に正極活物質層用スラリーを塗布した正極集電体を、400kN/mの線圧でローラにより加圧プレスし、更に電極寸法の100mm×200mm角に打ち抜いて、両面に正極活物質層を有する正極とした。該寸法のうち、正極活物質が塗布された面積は100mm×180mmであった。なお、両面に形成された正極活物質層の厚さは、片面あたり50μmであった。
(負極の作製)
負極活物質としてグラファイト(平均粒径10μm)100質量部と、電極用バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩を1.5質量部と、スチレンブタジエンゴム(SBR)1.5質量部と、溶媒として水とを混合し、固形分50質量%に調整した負極活物質層用スラリーを得た。この負極活物質層用スラリーを、負極集電体としての厚さ12μmの銅箔の両面に塗布して100℃で真空乾燥した。その後、両面に負極活物質層用スラリーを塗布した負極集電体を、500kN/mの線圧でローラにより加圧プレスし、更に電極寸法の110mm×210mm角に打ち抜いて、両面に負極活物質層を有する負極とした。該寸法のうち、負極活物質が塗布された面積は110mm×190mmであった。なお、両面に形成された負極活物質層の厚さは、片面あたり50μmであった。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を3:7の体積比(EC:DEC)で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPFを1モル/リットルとなるように溶解して、電解液を調製した。
(絶縁層の形成)
まず、絶縁性微粒子を下記にようにして作製した。
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物としてのPSFを80cmと、キノン系電子受容体としてのクロラニルを0.2gとを混合して混合体を得た。次いで混合体を空気中で350℃までの高温にて24時間、大気圧にて加熱した。次いで混合体にリチウム含有化合物としてのLiOを1.8g混合した。その後、ビーズミルで粉砕して、平均粒子径70μmの絶縁性微粒子を作製した。
使用した各材料は以下のとおりである。
PSF:ポリスルホン
クロラニル:テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン
LiO:酸化リチウム
(絶縁層の形成)
次に、絶縁層用バインダーとしての架橋ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量:100万)を、濃度10質量%でNMPに溶解したポリマー溶液を用意した。作製した絶縁性微粒子に、当該粒子82gに対して架橋ポリメチルメタクリレートが20cmとなるように、上記ポリマー溶液を中程度のせん断をかけながら混合して、絶縁層用組成物(絶縁層用スラリー)を調製した。絶縁層用スラリーにおける固形分濃度は40質量%であった。
得られた絶縁層用スラリーを正極活物質層の両面に温度90℃でグラビア塗工により、せん断力をかけながら塗布した。塗布時の絶縁層用スラリーの粘度は2000cpsであった。その後、加熱オーブンを用いて塗膜を90℃で10分間乾燥させ、正極の両面に絶縁層を形成した。乾燥後の絶縁層の厚さは片面あたり100μmであった。
(電池の製造)
上記で得た負極10枚と、絶縁層を有する正極9枚と、セパレータ18枚を積層して積層体を得た。ここで、負極と正極は交互に配置して、各負極と正極の間にセパレータを配置した。また、セパレータとしては、ポリエチレン製多孔質フィルムを用いた。
各正極の正極集電体の露出部の端部を纏めて超音波融着で接合するとともに、外部に突出する端子用タブを接合した。同様に、各負極の負極集電体の露出部の端部を纏めて超音波融着で接合するとともに、外部に突出する端子用タブを接合した。
次いで、アルミラミネートフィルムで上記積層体を挟み、端子用タブを外部に突出させ、三辺をラミネート加工によって封止した。封止せずに残した一辺から、上記で得た電解液を注入し、真空封止することによってラミネート型のセルを製造した。
[実施例2]
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物をPSFからPPEに変更した以外は実施例1と同様にして、絶縁性微粒子を作製した。その後、実施例1と同様にして、電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
なお、使用したPPEの物性は以下のとおりである。
PPE:ポリフェニレンエーテル
[実施例3]
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物をPSFからPPSに変更した以外は実施例1と同様にして、絶縁性微粒子を作製した。その後、実施例1と同様にして、電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
なお、使用したPPSの物性は以下のとおりである。
PPS:ポリフェニレンスルフィド
[実施例4、5]
ヘテロ原子を有するπ共役系化合物において、PSF及び架橋ポリメチルメタクリレートの配合を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、絶縁性微粒子を作製した。その後、実施例1と同様にして、電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6、7]
絶縁層の厚みを表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
PSFを80cm、クロラニルを0.2gとし、LiOを混合しなかった以外は実施例1と同様にして、絶縁性微粒子を作製した。その後、実施例1と同様にして、電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
絶縁性微粒子を表1に示すアルミナ粒子(住友化学製「AA1.5」平均粒子径1.5μm)に変更し、平均粒子径1.5μmとした以外は実施例1と同様にして、絶縁性微粒子を作製した。その後、実施例1と同様にして、電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で使用したPSFを80cmと、キノン系電子受容体としてのクロラニルを0.2gとを用意し、300℃のホットプレート上で加熱混合した。その後、混合物にジクロロメタンを加え、50質量%となるように添加、攪拌を行った溶液を、ワイヤーバを使用してテフロン(登録商標)上にキャストし、厚さ100μmのPSFフィルムを得た。
得られたPSFフィルムを正極活物質層の両面に配置して貼り合わせ、正極の両面に絶縁層を形成した。
その後、実施例1と同様にして、電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
絶縁層用スラリーだけで、絶縁層を形成した以外は実施例1と同様に実施して電池を作製し物性の測定と各種評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006876882
10 リチウムイオン二次電池用電極
11 電極活物質層
12 絶縁層
13 電極集電体

Claims (9)

  1. 電極活物質層と、前記電極活物質層の表面上に設けられる絶縁層とを備え、
    前記絶縁層が、絶縁性微粒子と、絶縁層用バインダーとを含み、
    前記絶縁性微粒子が、ヘテロ原子を有するπ共役系化合物とキノン系電子受容体とを含んでなり、前記ヘテロ原子を有するπ共役系化合物と前記キノン系電子受容体との割合(ヘテロ原子を有するπ共役系化合物の体積(cm )/キノン系電子受容体の質量(g))が、100体積(cm )/0.1質量(g)〜100体積(cm )/0.5質量(g)であり、
    前記絶縁層において、前記絶縁性微粒子を50〜95体積%含むリチウムイオン二次電池用電極。
  2. 前記ヘテロ原子を有するπ共役系化合物が、芳香族環に隣接する位置に前記ヘテロ原子を有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
  3. 前記絶縁性微粒子がリチウム含有化合物を含む請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
  4. 前記絶縁層の空隙率が80%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
  5. 前記絶縁層の厚さが20〜120μmである請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
  6. 前記絶縁性微粒子の平均粒子径が0.1〜200μmである請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極を備えるリチウムイオン二次電池。
  8. 互いに対向するように配置された正極、及び負極を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記正極及び負極の少なくとも一方の電極が、他方の電極に対向する面に前記絶縁層が設けられた、前記リチウムイオン二次電池用電極である請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記正極及び負極の間に配置されるセパレータをさらに備える請求項に記載のリチウムイオン二次電池。

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