JP6875920B2 - 繊維用柔軟剤及びそれを含有する不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維用柔軟剤に関する。詳しくは、溶融紡糸時にブリードアウトしたり、汗や尿等で溶出してべたつきが生じたりすることなく、不織布に良好な触感を付与する、繊維用柔軟剤及びそれを含有する不織布に関する。
従来から、使い捨ておむつや生理用品のような吸収性物品を構成するシート部材として、不織布が用いられている。使い捨ておむつ等を構成する不織布は、例えば乳幼児の肌に直接触れるものであるため、特に柔軟性や肌触りが優れている必要がある。
そのため不織布の柔軟剤や滑剤として界面活性剤や脂肪酸アミド化合物、シリコーン系化合物等が広く用いられている(特許文献1〜4参照)。
また、特許文献5には、ポリオレフィンを含有する物品の柔軟仕上げのための内部添加剤として、脂肪酸とポリアルキレングリコールとを反応させて得られる化合物が提案されている。
しかし、界面活性剤などが溶融紡糸時にブリードアウトしたり、汗や尿等で溶出してぬめりやべたつきが生じ、また皮膚を刺激することにより皮膚炎の原因になり得るという問題がある。
特開昭58−60068号公報 特開昭60−215870号公報 特開2003−220660号公報 特開2009−138311号公報 特表2006−508194号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、溶融紡糸時にブリードアウトしたり、汗や尿等で溶出してべたつきが生じたりすることなく、不織布に良好な触感を付与する、繊維用柔軟剤を提供することを課題とするものである。
本発明は、(a)酸変性ポリオレフィンと、(b)下記一般式(1)で表されるアミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物とのブロック共重合体を含有する、繊維用柔軟剤に関するものである。
−CONH−R−O−(AO)−H (1)
(式中、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素原子数1乃至4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表す。Aは炭素原子数2乃至4のアルキレン基を表し、nは4乃至100の整数を表す。)
前記(a)酸変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンの片末端をα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物により変性したものが好ましい。
中でも、前記(a)酸変性ポリオレフィンが、ポリ(イソ)ブテニルコハク酸又はその無水物であることが好ましい。
さらに前記ブロック共重合体が、前記(a)酸変性ポリオレフィンに由来するブロック(A)と、前記(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物に由来するブロック(B)とが、(A)−(B)−(A)型に結合した構造、(A)−(B)型に結合した構造、又はこれら双方の構造を有する共重合体であることが好ましい。
ここで、前記ブロック共重合体中の酸基の一部もしくは全部が塩基性物質により中和されていてもよい。
本発明はまた、下記一般式(2)で表されるブロック共重合体を含有する、繊維用柔軟剤に関するものである。
Figure 0006875920
(式中、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、Rは炭素原子数1乃至4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、Aは炭素原子数2乃至4のアルキレン基、nは1乃至100の整数、R、Rはそれぞれ独立してポリオレフィン残基、M、Mはそれぞれ独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)
本発明はさらに、前記の繊維用柔軟剤を0.1〜20質量%含有する不織布にも関する。
以下、本発明について詳細に説明する。
[(a)酸変性ポリオレフィン]
(a)酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンを、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物によりグラフト共重合して変性することにより得ることができる。
前記ポリオレフィンとしては、炭素原子数2乃至30の、好ましくは炭素原子数2乃至12の、さらに好ましくは炭素原子数2乃至10の、オレフィンの1種もしくは2種以上の混合物を重合することによって得られるポリオレフィン(重合法)、高分子量ポリオレフィンの熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィン(熱減成法)が使用できる。かかるポリオレフィンは、片末端及び/又は両末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(50%以上、好ましくは75%以上)とするものであるが、変性のしやすさの点で、一分子当たりの平均末端二重結合量が1乃至1.5個のものが好ましい。ポリオレフィンの数平均分子量Mnは100乃至10,000が好ましく、300乃至7,000がより好ましく、500乃至5,000が最も好ましい。
炭素原子数2乃至30のオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、炭素原子数5乃至30の、好ましくは炭素原子数5乃至12の、炭素原子数さらに好ましくは5乃至10のα−オレフィン、例えば、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセン、炭素原子数4乃至30の、好ましくは炭素原子数4乃至18の、さらに好ましくは炭素原子数4乃至8のジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、11−ドデカジエン等が挙げられる。
前記ポリオレフィンの酸変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びそれらの無水物、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものはフマル酸及び無水マレイン酸であり、特に無水マレイン酸である。
ポリオレフィンの片末端及び/又は両末端を酸変性する方法としては、例えばステンレス製オートクレーブに片末端及び/又は両末端が変性可能なポリオレフィンとα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物と、必要に応じ有機過酸化物とを仕込んで窒素置換をし、反応温度150〜250℃にて反応させる方法が挙げられる。
変性に用いるα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、ポリオレフィンの質量に基づき、通常20〜0.1%、好ましくは10〜0.5%である。この反応は、溶融法又は溶液法いずれの方法で行ってもよい。
末端が酸変性されたポリオレフィン一分子当たりの酸変性度はGPCによる数平均分子量Mnと酸価もしくは鹸化価によって求めることができる。本発明では、樹脂との相溶性が良好であり、溶融紡糸時のブリードアウトが抑制されたブロック共重合体を得るために、酸変性度は0.5〜1.5個が好ましく、より好ましいのは0.7〜1.0個である。
(a)酸変性ポリオレフィンとしては、特にポリ(イソ)ブテニルコハク酸又はその無水物が好ましく用いることができる。
ここで、ポリ(イソ)ブテニル無水コハク酸(PIBSA)は、イソブテンの単独重合体、もしくはイソブテンとn−ブテンとの共重合体であるポリ(イソ)ブテンと無水マレイン酸を反応させることで得ることができ、以下の化学式(3)に表すように片末端のみがマレイン化されていることを特徴とする。
Figure 0006875920
上記化学式中、aは繰り返し単位の繰り返し数を表す。
ところで、一般的な酸変性ポリオレフィンでは、上述の酸変性処理により、片末端が酸変性されたポリオレフィンと、両末端が酸変性されたポリオレフィンとを生成できるため、前記(a)酸変性ポリオレフィンに由来するブロック(A)と、前記(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物に由来するブロック(B)とが、繰り返し交互に結合した構造を有する高分子量物が生成する。
これに対し、PIBSA等の片末端のみが酸変性されたポリオレフィンは、樹脂との相溶性が良好な(A)−(B)−(A)型又は(A)−(B)型のブロック共重合体を高純度で得ることができる。
[(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物]
(b)下記一般式(1)で表されるアミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物は、アミドアルコールに公知の方法でアルキレンオキサイドを付加することにより得ることができる。
−CONH−R−O−(AO)n−H (1)
上記式中、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表す。Aは炭素原子数2乃至4のアルキレン基を表し、nは1乃至100の整数を表す。
上記Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などのドデシル基、ミリスチル基などのテトラデシル基、パルミチル基などのヘキサデシル基、ステアリル基などのオクタデシル基、エイコシル基、ベヘニル基等が挙げられる。Rの具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
(AO)の具体例としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げられる。
アミドアルコールは、例えばアルカノールアミンをカルボン酸又はその反応性誘導体(例えばそのエステル化合物)とアミド化反応させることにより製造することができる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。
また、カルボン酸又はその反応性誘導体としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ベヘン酸メチル等のカルボン酸又はそのアルキルエステルが挙げられる。
アミドアルコールに付加させるアルキレンオキサイドとしては、炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。アルキレンオキサイドの付加は、例えばアルカリ触媒の存在下、80乃至200℃の温度で行なうことができる。
前記一般式(1)において、nは、通常1乃至100、好ましくは2乃至60、特に好ましくは6乃至30の整数である。nが2以上であって、(AO)nが2種以上のアルキレンオキシ基で構成される場合の結合形式はブロック若しくはランダム又はこれらの組合せのいずれでもよい。
[ブロック共重合体]
本発明に係るブロック共重合体は、前記(a)酸変性ポリオレフィンと、前記(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物とを反応させることにより得られる。
(a)酸変性ポリオレフィンと(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物の反応は、触媒の存在下、150乃至250℃で行うことができる。触媒として具体的には、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等の酸触媒、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化錫等の金属酸化物等が挙げられる。
また、上記触媒として、三酸化アンチモンなどのアンチモン系触媒;モノブチルスズオキシドなどのスズ系触媒;テトラブチルチタネートなどのチタン系触媒;テトラブチルジルコネートなどのジルコニウム系触媒;酢酸ジルコニル、酢酸亜鉛などの有機酸金属塩系触媒;酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどのパラジウム系触媒;及びこれらの2種以上の組み合わせを用いてもよい。これらのうち好ましいものは、ジルコニウム系触媒及び有機酸金属塩系触媒であり、特に好ましいものは酢酸ジルコニルである。
(a)酸変性ポリオレフィンと(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物のとのブロック共重合体中に酸基を有する場合は、塩基性物質で中和してもよい。
中和に使用する塩基性物質としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩、アンモニア、有機アミン等及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
前記ブロック共重合体としては、前記(a)酸変性ポリオレフィンに由来するブロック(A)と、前記(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物に由来するブロック(B)とが、(A)−(B)−(A)型又は(A)−(B)型に結合した構造を有するブロック共重合体が、特に、(A)−(B)−(A)型構造のブロック共重合体が、樹脂との相溶性が良好であり、溶融紡糸時のブリードアウトが抑制される点で好ましい。
なお、通常“(A)−(B)−(A)型のブロック共重合体”は、(B)ブロックを中心として左右対称な構造を有している共重合体を指すことが多い。ただ本発明においては、(B)(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物に由来するブロックは、一方の末端がアミド結合に由来する基であり、他方の末端が付加物であるアルキレンオキサイドに由来する基である。このため、(A)−(B)−(A)型のブロック共重合体において、(A)ブロックと(B)ブロックの2つの結合基は異なるもの(謂わば左右非対称な構造)となっている。
(A)−(B)−(A)型のブロック共重合体としては、下記一般式(2)で表されるブロック共重合体が挙げられる。
Figure 0006875920
上記式中、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、Rは炭素原子数1乃至4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、Aは炭素原子数2乃至4のアルキレン基、nは1乃至100の整数、R、Rはそれぞれ独立してポリオレフィン残基、M、Mはそれぞれ独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。
前記一般式(2)において、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
の具体例としては前述の式(1)の定義と同様であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
の具体例としてはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、従って(AO)の具体例としては、前述の式(1)の定義と同様、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げられる。
nは前述の式(1)の定義と同様であり、通常1乃至100、好ましくは2乃至60、特に好ましくは6乃至30の整数である。
、Rはポリオレフィン残基であり、具体的には先に例示したポリオレフィンに由来する残基が挙げられるが、好ましくはポリ(イソ)ブテニル基である。M、Mは水素原子、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウムが挙げられる。
また本発明の繊維用柔軟剤には、(A)−(B)−(A)型のブロック共重合体とともに下記一般式(4)及び式(5)で表される構造を有する、(A)−(B)型のブロック共重合体が含まれていてもよい。
Figure 0006875920
Figure 0006875920
上記式中、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、Rは炭素原子数1乃至4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、Aは炭素原子数2乃至4のアルキレン基、nは1乃至100の整数、R、Rはそれぞれ独立してポリオレフィン残基、M、Mはそれぞれ独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。
前記一般式(4)及び式(5)における、R、R’、R、A、nは前述の式(1)の定義と同様である。
また、R、R、M、Mについても前述に定義した通りである。
(a)片末端が酸変性されたポリオレフィンと(b)ポリエーテルの仕込み比は特に限定されないが、(A)−(B)−(A)型のブロック共重合体を高収率で得る点でモル比で(a)/(b)=0.8/1〜3/1が好ましい。
本発明のブロック共重合体は樹脂との相溶性が良好であり、樹脂の非晶領域にある程度留まるため溶融紡糸時のブリードアウトが抑制され、繊維自体を柔軟化することができると考えられる。
本発明において不織布を構成する熱可塑性繊維としては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維、ナイロン−6繊維、ナイロン−66繊維、共重合ナイロンなどのポリアミド系繊維、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性繊維などが用いられる。
中でも風合いの観点から、ポリオレフィン系繊維であることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体などの樹脂から成る繊維が挙げられる。中でも、強度が強く使用時において破断し難く、且つ衛生材料の生産時における寸法安定性に優れることから、ポリプロピレン繊維を用いることが好ましい。ポリプロピレンは、一般的なチーグラーナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよい。他のα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のものであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。また、エチレンランダム共重合ポリプロピレンでもよく、エチレン含有量は2%未満、好ましくは1%未満であることが好ましい。これらは1種類単独でも2種類以上を組み合わせてもよい。好ましくは1種類単独で用いることがよい。あるいはポリオレフィン系樹脂を表面層とする芯鞘繊維でもよい。また、その繊維形状も通常の円形繊維のみでなく、捲縮繊維および異形繊維などの特殊形態の繊維であってもよい。強度・寸法安定性の観点から、ホモポリプロピレンを主成分とするものであることが特に好ましい。
また、ポリプロピレンの場合、MFRとして下限が20g/10分以上、好ましくは30g/10分を超え、より好ましくは40g/10分を超え、さらに好ましくは53g/10分を超えるものである。上限は100g/10分以下、好ましくは85g/10分以下、より好ましくは70g/10分以下、さらに好ましくは65g/10分未満である。MFRがこの範囲にあると樹脂の流動性が良く、3%伸長時応力を低くすることができ不織布として柔軟性が良好であり、また不織布を安定に生産することができる。
本発明の繊維用柔軟剤は、溶融押出し前における原料樹脂に対し、たとえばペレット製造段階で均一に添加することが好ましい。添加方法は特に制限はなく、ドライブレンドによる添加方法でも、マスターバッチ化しその後ドライブレンドでも使用目的に応じて選択することができるが、例えば、10〜70質量%と高濃度に含むペレット状のマスターバッチとしておくと、繊維及び不織布の製造時に柔軟剤の添加及び原料樹脂との混合が容易となるので好ましい。
本発明の繊維用柔軟剤の不織布中の含有量は、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜20質量%である。
本発明の不織布を構成する熱可塑性繊維には、目的に応じて、核剤、難燃剤、無機充填剤、顔料、着色剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、親水化剤、柔軟剤、滑剤などを配合してもよい。
なお、不織布を衛生材料として使用する場合、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、タルクなどの白色顔料を配合することが好ましい。
熱可塑性繊維を接合して不織布を製造する際の接合手段としては、部分熱圧着法、熱風法、溶融成分での接合(ホットメルト剤)法、その他各種の方法が挙げられるが、強度の観点から、部分熱圧着法が好ましい。
本発明の不織布を構成する熱可塑性繊維の平均単糸繊度は、0.5dtex以上3.5dtex以下であることが好ましく、より好ましくは0.7dtex以上3.2dtex以下であり、さらに好ましくは0.9dtex以上2.8dtex以下であり、最も好ましくは、2.5dtex以下である。紡糸安定性の観点から、0.5dtex以上であることが好ましく、繊度が細い程、不織布として糸の接着点が多くなるため強度が高く、柔軟性が良好となる。主として衛生材料に使用されるため、不織布の強力の観点から、3.5dtex以下であることが好ましい。
本発明の不織布の目付は、8g/m以上40g/m以下であり、好ましくは10g/m以上30g/m以下、より好ましくは10g/m以上25g/m以下、さらに好ましくは10g/m以上23g/m未満であり、そして最も好ましくは20g/m未満である。不織布の目付は薄ければ薄いほど柔軟性が良く、衛生材料として好適に使用することができるが、8g/m以上であれば衛生材料に使用される不織布に要求される強力要件を満足し、一方、40g/m以下であれば、衛生材料に使用される不織布の柔軟性を満足し、外観的に厚ぼったい印象を与えない。
不織布の製造方法は、特に限定されないが、主に衛生材料に使用されるため、強度の観点から、スパンボンド(S)法であることが好ましく、SS、SSS、SSSSと積層することで分散が向上するため、より好ましい。また、目的に応じて、スパンボンド(S)繊維をメルトブローン(M)繊維と積層してもよく、SM、SMS、SMMS、SMSMSと積層した構造であってもよい。
スパンボンド繊維は、芯鞘型複合繊維としてもよく、この場合には、芯を構成するたとえばエチレン系などの重合体と、鞘を構成するたとえば結晶性プロピレン系などの重合体とを、それぞれ別個に押出機等で溶融し、各溶融物を所望の芯鞘構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する紡糸回金から吐出させて、芯鞘型の複合長繊維を紡出させる。紡出させた後の処理は上記と同様でよい。芯鞘型複合繊維の繊度は、5.5dtex以下であり、より柔軟性に優れた不織布が得られる点で、好ましくは3.5dtex以下である。
ここで、芯鞘型の複合繊維とは、繊維断面において、円形状の芯部が,芯を同じくするドーナツ状の鞘部に包まれる同心型、芯部と鞘部の芯がずれてかつ芯部が鞘部に包まれる偏心型、または、偏心した芯部が鞘部に包まれていない並列型の形態などを有する。
本発明の不織布は柔軟性が高く触感に優れるため衛生材料の製造に好適に使用することができ、衛生材料としては、使い捨てオムツ、生理用ナプキン又は失禁パットが挙げられ、それらの表面のトップシート、外側のバックシート、足回りのサイドギャザー等に好適に使用される。
また、本発明の不織布の用途は前記用途に限られず、例えば、マスク、カイロ、テープ基布、防水シート基布、貼布薬基布、救急絆基布、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどに使用することもできる。
次に実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、ブロック共重合体、及び不織布の製造法に関して詳細を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は特に断りのない限り、質量基準とする。
[製造例1:アミドアルコールの合成]
窒素導入管、攪拌機、温度計付きガラス製フラスコに80℃で溶解したパルミチン酸メチル3205gを仕込んだ。あらかじめ調整したモノエタノールアミン731g、28%−ソディウムメチラート64g混合液を5時間かけて滴下し、80℃、窒素雰囲気下で5時間維持した後、脱溶剤により未反応モノエタノールアミン、メタノールを除き、3560gの粘ちょう液体を得た。得られた粘ちょう液体のアミン価は、ソディウムメチラート分を差し引いた値で、0.01mgKOH/gであった。IRスペクトルでは、O−H伸縮3300cm−1、N−H伸縮3100cm−1、C=O伸縮1650cm−1、N−H変角1565cm−1に特徴的な吸収があった。
[製造例2:アミドアルコールエチレンオキサイド付加物(1)の合成]
窒素導入管、攪拌機、温度計付きステンレス製オートクレーブ(以下同様)に製造例1で得たアミドアルコール1500gを80℃溶融状態で仕込み、充分に窒素置換を行った。90℃に昇温した後、エチレンオキサイド2750gを5時間かけて導入し、2時間同温度で熟成して反応を完結させた。さらにキョーワード(登録商標)700SL(協和化学工業(株)製)適量を加えて吸着、ろ過し淡黄色液体を得た。水酸基価は65.7mgKOH/g、水分は0.02%であった。
[製造例3:アミドアルコールエチレンオキサイド付加物(2)の合成]
ステンレス製オートクレーブに製造例1で得たアミドアルコール3000gを80℃溶融状態で仕込み、充分に窒素置換を行った。90℃に昇温した後、エチレンオキサイド1700gを5時間かけて導入し、2時間同温度で熟成して反応を完結させた。さらにキョーワード(登録商標)700SL(協和化学工業(株)製)適量を加えて吸着、ろ過し淡黄色液体を得た。水酸基価は119.8mgKOH/g、水分は0.02%であった。
[製造例4:ブロック共重合体1の合成]
ステンレス製オートクレーブにポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価18mgKOH/g)を7115g、製造例2で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(1)を853g、製造例3で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(2)を52g仕込んだ。充分に窒素置換を行い、80℃まで昇温させた後、48%KOH261g、酢酸カリウム219gを添加し、更に充分な窒素置換を行い、220℃まで昇温させた後、220℃、0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で5時間維持し、得られた生成物は粘ちょう体のポリマーであった。生成物のエステル価は6.1mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1735cm−1、C(=O)O逆対称伸縮1561cm−1、さらにC(=O)−N−C(=O)伸縮1709及び1772cm−1に特徴的な吸収があり、N−H伸縮3100cm−1の吸収が消滅していることを確認した。得られた生成物をブロック共重合体1とする。
[製造例5:ブロック共重合体2の合成]
ステンレス製オートクレーブにポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価18mgKOH/g)を10450g、製造例2で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(1)を1342g、製造例3で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(2)を83g仕込んだ。充分に窒素置換を行い、90℃まで昇温させた後、48%KOH125g、を添加し、更に充分な窒素置換を行い、205℃まで昇温させた後、205℃、0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で5時間維持し、得られた生成物は粘ちょう体のポリマーであった。生成物のエステル価は6.1mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1735cm−1、C(=O)O逆対称伸縮1561cm−1、さらにC(=O)−N−C(=O)伸縮1709及び1772cm−1に特徴的な吸収があり、N−H伸縮3100cm−1の吸収が消滅していることを確認した。得られた生成物をブロック共重合体2とする。
[製造例6:ブロック共重合体3の合成]
ステンレス製オートクレーブにポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価18mgKOH/g)を7310g、製造例2で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(1)を935g、製造例3で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(2)を85g仕込んだ。充分に窒素置換を行い、80℃まで昇温させた後、ZnO170gを添加し、更に充分な窒素置換を行い、220℃まで昇温させた後、220℃、0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で5時間維持し、得られた生成物は粘ちょう体のポリマーであった。生成物のエステル価は6.1mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1735cm−1、C(=O)O逆対称伸縮1561cm−1、さらにC(=O)−N−C(=O)伸縮1709及び1772cm−1に特徴的な吸収があり、N−H伸縮3100cm−1の吸収が消滅していることを確認した。得られた生成物をブロック共重合体3とする。
[製造例7:ブロック共重合体4の合成]
ステンレス製オートクレーブにポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価18mgKOH/g)を7225g、製造例2で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(1)を884g、製造例3で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(2)を51g仕込んだ。充分に窒素置換を行い、80℃まで昇温させた後、TiO340gを添加し、更に充分な窒素置換を行い、220℃まで昇温させた後、220℃、0.2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で5時間維持し、得られた生成物は粘ちょう体のポリマーであった。生成物のエステル価は6.1mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1735cm−1、C(=O)O逆対称伸縮1561cm−1、さらにC(=O)−N−C(=O)伸縮1709及び1772cm−1に特徴的な吸収があり、N−H伸縮3100cm−1の吸収が消滅していることを確認した。得られた生成物をブロック共重合体4とする。
[製造例8:酸変性ポリプロピレンの調製]
Mnが3,300で平均末端二重結合数が0.9の低分子量ポリプロピレン9,700部と無水マレイン酸300部とを、窒素ガス雰囲気下、220℃で溶融し10時間反応を行った。その後、過剰のマレイン酸を200℃で4時間減圧留去して、ポリプロピレンの無水マレイン酸変性物(片末端酸変性物)を得た。Mnは3,400、鹸化価は30mgKOH/g、1分子あたりの酸変性度は0.9であった。
[製造例9:ブロック共重合体5の調製]
ステンレス製オートクレーブに製造例8で作製したポリプロピレンの無水マレイン酸変性物を4,000g、製造例2で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(1)を750g、製造例3で得たアミドアルコールエチレンオキサイド付加物(2)を46g、酸化防止剤(イルガノックス1010)13g、48%NaOH 90g、イオン水100gを仕込んだ。充分に窒素置換を行い、220℃まで昇温した後、攪拌を1時間行なった。更に2kPa以下、微量窒素バブリングの減圧下条件で6時間維持した。得られた生成物のハンドリングは良好であり、固体状のポリマーであった。生成物のエステル価は7.5mgKOH/gであった。また、IRスペクトルでは、C=O伸縮1737cm−1、C(=O)O−逆対称伸縮1579cm−1に特徴的な吸収があった。得られた生成物をブロック共重合体5とする。
[製造例10:化合物1の合成]
ステンレス製オートクレーブにポリ(イソ)ブテニルコハク酸無水物(鹸化価90mgKOH/g)を1389g、イオン交換水、17gを仕込み90℃に昇温させ、2時間撹拌を行った後、60℃に冷却しモノエタノールアミン、53gを仕込んだ。60℃に温調し、密閉条件下で5時間維持し、得られた生成物は粘ちょう体のポリマーであった。また、IRスペクトルでは、アミドの吸収帯1556cm−1、アミン変角振動1630cm−1、N−H伸縮3180cm−1の吸収を確認した。得られた生成物を化合物1とする。
<マスターバッチの作製>
ベースとなるポリプロピレン樹脂(MFR=60g/10分)に対して上記で合成を行った化合物を20質量%となる様に添加し、二軸押し出し機にて150℃〜180℃で溶融混練を行い、出てきたストランドを冷却・カットし、マスターバッチのペレットを作製した。
<不織布の作製>
以下実施例に示す化合物の添加量となる様、ベースとなるポリプロピレン樹脂に対して上記マスターバッチを添加し、押出機にて溶融混練を行いダイスより吐出させスパンボンド法により紡糸後、エンボス加工を行い目付20g/m(=20gsm)のスパンボンド不織布を製造した。
<触感の評価法>
(1)不織布単体の触感評価 :作製した不織布を10枚重ねにし、手で触った際の触感の評価を行った。
4:柔らかい触感
3:やや柔らかい触感
2:やや硬い触感
1:硬い触感(ブランク不織布と同じ)
(2)トップシート材料としての評価 :市販のおむつのトップシート部分の不織布を1枚剥し、代わりに作成した不織布を敷き、その上から手で触った際の触感の評価を行った。
4:柔らかい触感
3:やや柔らかい触感
2:やや硬い触感
1:硬い触感(ブランク不織布と同じ)
(3)バックシート材料としての評価 :市販のおむつのバックシートの上から作製した不織布を重ね、その上から手で触った際の触感の評価を行った。
4:柔らかい触感
3:やや柔らかい触感
2:やや硬い触感
1:硬い触感(ブランク不織布と同じ)
(4)不織布のべたつき感の有無
不織布表面にブリードアウトした柔軟剤成分によるべたつき感の有無を確認した。
○:べたつき感無し
△:ややべたつき感を感じる
×:べたつきを感じる
(5)溶出確認試験
(実施例ポリマーの溶出)
実施例1〜10で作製した不織布10gを蒸留水200mlに浸漬させ、40℃の温浴中で6時間静置し、不織布表面にブリードアウトしている薬剤を溶出させた。不織布を取出し蒸留水をエバポレーターで蒸発させた結果、残留分は確認できなかった。
(比較例活性剤の溶出)
比較例1〜6で作製した不織布10gを蒸留水200mlに浸漬させ、40℃の温浴中で6時間静置し、不織布表面にブリードアウトしている薬剤を溶出させた。不織布を取出し蒸留水をエバポレーターで蒸発させた。比較例3〜8においては残留分が確認され、IRで残留分の測定を行った結果、それぞれベヘン酸アミド、エルカ酸アミド由来と考えられるアミドのC=O伸縮のピーク(1650cm−1)、N−H変角のピーク(1600cm−1)が、また(ポリエチレングリコール(Mn=400)ラウリン酸エステルジエステル、又はポリエチレングリコール(Mn=400)デカン酸ジエステル)、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド由来と考えられるエステルのC=O伸縮のピーク(1735cm−1)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド由来と考えられるC−N伸縮振動のピーク(1460〜1480cm−1)が確認された。
(抽出前後の触感の変化)
前段落にて溶出試験を行った試験布の触感を確認し、溶出の前後で触感に変化があるかを確認した。
○:触感に変化は感じない
△:わずかに触感に変化を感じる
×:明らかに触感に変化を感じる(硬い手触りになる)
[実施例1]
ベースとなるポリプロピレン樹脂25部とブロック共重合体1の20%マスターバッチ75部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度15%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
[実施例2]
使用するマスターバッチをブロック共重合体2のマスターバッチに変更した以外は実施例1と同様にして、化合物含有濃度15%、目付20gsmのスパンボンド不織布を作成した。製造した不織布は、同様の評価方法にて触感の評価を行った。
[実施例3]
使用するマスターバッチをブロック共重合体3のマスターバッチに変更した以外は実施例1と同様にして、化合物含有濃度15%、目付20gsmのスパンボンド不織布を作成した。製造した不織布は、同様の評価方法にて触感の評価を行った。
[実施例4]
使用するマスターバッチをブロック共重合体4のマスターバッチに変更した以外は実施例1と同様にして、化合物含有濃度15%、目付20gsmのスパンボンド不織布を作成した。製造した不織布は、同様の評価方法にて触感の評価を行った。
[実施例5]
ベースとなるポリプロピレン樹脂50部とブロック共重合体1の20%マスターバッチ50部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度10%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
[実施例6]
使用するマスターバッチをブロック共重合体2のマスターバッチに変更した以外は実施例5と同様にして、化合物含有濃度5%、目付20gsmのスパンボンド不織布を作製した。製造した不織布は、同様の評価方法にて触感の評価を行った。
[実施例7]
使用するマスターバッチをブロック共重合体3のマスターバッチに変更した以外は実施例4と同様にして、目付20gsmのスパンボンド不織布を作製した。製造した不織布は、同様の評価方法にて触感の評価を行った。
[実施例8]
使用するマスターバッチをブロック共重合体4のマスターバッチに変更した以外は実施例4と同様にして、目付20gsmのスパンボンド不織布を作成した。製造した不織布は、同様の評価方法にて触感の評価を行った。
[比較例1]
ベースとなるポリプロピレン樹脂50部とポリブテニルコハク酸(鹸化価90mgKOH/g)の20%マスターバッチ50部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度10%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
[比較例2]
ベースとなるポリプロピレン樹脂50部と化合物5の20%マスターバッチ50部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度10%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
[比較例3]
ベースとなるポリプロピレン樹脂50部とカルシウムステアレート/グリセリンモノステアレート(=50/50に配合)の20%マスターバッチ50部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度10%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
[比較例4]
ベースとなるポリプロピレン樹脂50部とベヘニルベヘネートの20%マスターバッチ50部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度10%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
[比較例5]
ベースとなるポリプロピレン樹脂50部とベヘニン酸アミドの20%マスターバッチ50部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度10%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
[比較例6]
ベースとなるポリプロピレン樹脂50部とエルカ酸アミドの20%マスターバッチ50部をドライブレンドし、前記不織布の作製法にて、化合物含有濃度10%、目付20gsmのスパンボンド不織布を得た。製造した不織布は、上記評価方法にて触感の評価を行った。
このようにして製造した不織布の評価結果を表1に示す。
Figure 0006875920
以上の結果より、本発明に関わるブロック共重合体を含有する繊維用柔軟剤は、不織布自体の触感の改善及びトップシート・バックシートに加工した際の触感に良好な性能を付与することが判明した。


Claims (7)

  1. (a)酸変性ポリオレフィンと、(b)下記一般式(1)で表されるアミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物とのブロック共重合体を含有する、繊維用柔軟剤。
    −CONH−R−O−(AO)−H (1)
    (式中、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素原子数1乃至4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表す。Aは炭素原子数2乃至4のアルキレン基を表し、nは1乃至100の整数を表す。)
  2. 前記(a)酸変性ポリオレフィンが、ポリオレフィンの片末端をα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物により変性したものである、請求項1に記載の繊維用柔軟剤。
  3. 前記(a)酸変性ポリオレフィンが、ポリ(イソ)ブテニルコハク酸又はその無水物である、請求項1又は請求項2に記載の繊維用柔軟剤。
  4. 前記ブロック共重合体が、前記(a)酸変性ポリオレフィンに由来するブロック(A)と、前記(b)アミドアルコールのアルキレンオキサイド付加物に由来するブロック(B)とが、(A)−(B)−(A)型に結合した構造である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の繊維用柔軟剤。
  5. 前記ブロック共重合体中の酸基の一部もしくは全部が塩基性物質により中和されてなるものである、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の繊維用柔軟剤。
  6. 下記一般式(2)で表されるブロック共重合体を含有する、繊維用柔軟剤。
    Figure 0006875920
    (式中、Rは炭素原子数1乃至21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、Rは炭素原子数1乃至4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、Aは炭素原子数2乃至4のアルキレン基、nは1乃至100の整数、R、Rはそれぞれ独立してポリオレフィン残基、M、Mはそれぞれ独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)
  7. 請求項1乃至請求項6に記載の繊維用柔軟剤を0.1〜20質量%含有する不織布。
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