<第一実施形態>
本実施形態は、実装基板の各部分から発生する磁界の経時変化の程度を表す磁界差マップ情報を出力することにより、異常被疑箇所の特定を可能にする出力装置に関する実施形態である。ここで、実施形態における「異常被疑箇所」は、異常の発生が疑われる箇所であり、当該箇所には、現在は異常の発生が不明であるが将来異常が発生する可能性が高い箇所が含まれるものとする。
[構成と動作]
図1は、本実施形態の出力装置の例である出力装置1の構成を表す概念図である。図1には、出力装置1の他、装置50が表されている。装置50は、実装基板71と筐体40とを備える。装置50は、実装基板71の稼働により動作する装置である。当該動作の種類は任意である。また、出力装置1は、実装基板71における異常被疑箇所を特定するための情報を出力するための装置である。
出力装置1は、測定部10と処理装置20とを備える。
測定部10は、以下において説明する磁界マップ情報の取得の際に、作業者又は作業ロボット等(以下、「作業者等」という。)により、筐体40の天板41に取り付けられて使用されるものである。測定部10は、磁界マップ情報の取得を行うとき以外は、筐体40から取り外されている。
測定部10は、X−Yステージ11と、Zステージ12と、回転ステージ13と、磁界センサ14とを備える。これらは、図示されない制御用の配線により処理装置20に接続されている。
X−Yステージ11の上面は筐体40の天板41に固定されている。X−Yステージ11は、処理装置20から送付されるX−Y方向移動制御信号に従い、下面11bを上面11aに対して、X−Y方向に移動させる。当該下面にはZステージ12が固定されている。Zステージ12は、X−Yステージ11の下面11bの移動に伴い、X−Y方向に移動する。
Zステージ12は、処理装置20から送付されるZ方向移動制御信号に従い、その下面をその上面に対し、Z方向に移動させる。当該下面には回転ステージ13が固定されている。回転ステージ13は、Zステージ12の下面の移動に伴い、移動する。
回転ステージ13は、処理装置20から送付される回転制御信号に従い、その下面をその上面に対してX−Y面内で回転させる。当該下面には磁界センサ14が固定されている。磁界センサ14は当該下面の移動又は回転に伴い、移動又は回転する。
磁界センサ14は、その下端近傍に位置する磁界検出部が検出した磁界検出信号を処理装置20に送付する。当該送付は、無線によるものでも有線によるものでも構わない。磁界センサ14としては、例えば、NECプラットフォームズ株式会社が販売する磁界プローブCP−25Aや星和電機株式会社が販売する磁界プローブE19−CP−25Aを用いることができる。その場合は、無線により、磁界検出信号を処理部20に送付することができる。ただし、処理部20は、当該無線の磁界検出信号を受信する受信部を備えることを前提とする。
処理装置20は、例えば、コンピュータを備える構成である。処理装置20は、作業者等からの入力情報に従い、Zステージに、磁界センサ14の下端と実装基板71の上面との距離を所定の設定値に設定させる。当該設定値は、磁界センサ14の下端が実装基板71に実装された部品に当たらず、しかも、実装基板71に十分近い距離である。ただし、処理装置20は、前記設定値を、コネクタや放熱装置等の、高さが他の実装部品と比較して顕著に高い高実装部品がある場合は、高実装部品以外の実装部品に当たらず、実装基板71に十分に近い距離にする。その場合、処理装置20は、磁界センサ14の(X,Y)座標を、高さが顕著に高い実装部品が設置されている(X,Y)座標から除外するよう、予め、X−Yステージ11に指示する。
次に、処理装置20は、回転ステージ13に、磁界センサ14のX−Y面内での回転位置を初期値にさせる。
そして、処理装置20は、X−Yステージ11に、磁界センサ14の下端を実装基板71に対してX−Y面内でスキャンさせる。その際、前述の高実装部品がある場合は、処理装置20は、スキャン範囲から、高実装部品に磁界センサ14が当たる範囲を除外させる。当該スキャンの最中、磁界センサ14は、磁界検出信号を、逐次、処理装置20に送付する。
処理装置20は、磁界検出信号の電圧値を逐次測定し、その時点における磁界センサ14下端のX−Y座標と関連付けて、逐次記憶する。当該電圧値は、磁界センサ14の検出部の位置の磁界の大きさを表す。
処理装置20は、例えば、スペクトラムアナライザが備える構成を備えることにより、磁界検出信号の電圧値を取得しても構わない。スペクトラムアナライザが備える構成を備える場合、処理装置20は、作業者等が指定した周波数ごとの磁界検出信号の電圧値を取得することが可能になる。実装基板71の各位置から発生する磁界は、その発生原因となる電流の周波数により、複数の異なる周波数になる場合がある。スペクトラムアナライザが備える構成を備える場合、処理装置20は、想定される周波数ごとの磁界検出信号の電圧値を取得することが可能になる。
こうして、一回のスキャンが終了すると、磁界センサ14下端のX−Y座標と関連付けられた磁界検出信号の電圧値を表す磁界マップ情報が処理装置20に格納される。
なお、磁界マップ情報が流れる電流の経路が変わる等により短い期間で頻繁に変わるような場合は、磁界マップ情報を複数回取得して、各(X,Y)座標についての電圧の平均値を求めても構わない。
処理装置20は、このようなスキャンを、磁界センサ14のX−Y面内での回転角度をいくつかの値に設定して行う。設定する当該回転角度は、例えば、初期値、初期値から45度回転した角度及び初期値から90度回転した角度の3通りである。このように磁界センサ14のX−Y面内での回転角度を変えるのは、実装基板の各部分から磁界センサ14の磁界検出部に入力される磁界の大きさが、X−Y面内での回転角度に依存する場合があるからである。
処理装置20は、各磁界マップ情報が取得されると、それらを、磁界センサ14のX−Y面内での回転角度、及び、取得した日時と関連付けて、保持する。
その後、測定部10は、作業者等により、筐体40の天板41から取り外される。
作業者等は、実装基板71が稼働を開始すると、まず、測定部10を筐体40の天板41に取付け、処理装置20に、上記磁界マップ情報の取得、記憶を行わせる。当該磁界マップ情報を、以下、「初期磁界マップ情報」ということにする。その後、測定部10は、筐体40の天板41から取り外される。
作業者等は、測定部10の天板41への取付け、処理装置20による磁界マップ情報の取得、記憶、及び、測定部10の天板41からの取り外しを、その後の所定のタイミングで行う。当該タイミングは、例えば、1年ごとのタイミングである。ただし、作業者等は、実装基板の動作モードが複数ある場合は、当該タイミングを、同じ動作モードで動作しているタイミングに統一する。その理由は、磁界マップ情報は動作モードにより異なる場合があるためである。以下、初期磁界マップ情報の取得の後に取得された磁界マップ情報を、測定磁界マップ情報ということにする。
処理装置20は、測定磁界マップ情報を取得すると、各X−Y座標についての測定磁界マップ情報と初期磁界マップ情報との差を表すマップ情報を求める。各X−Y座標についての測定磁界マップ情報と初期磁界マップ情報との差を、以下、「磁界差マップ情報」ということにする。磁界差マップ情報は、磁界センサ14のX−Y平面内での回転角度ごとに求められる。
処理装置20は、磁界差マップ情報を出力する。磁界差マップ情報は、例えば、磁界センサ14の磁界検出部のX−Y座標について表されたマップ状のものである。
ここで、図1の処理装置20の説明を中断して、初期磁界マップ情報、測定磁界マップ情報及び磁界差マップ情報の例を、図2を参照して説明する。図2は、初期磁界マップ情報、測定磁界マップ情報及び磁界差マップ情報の例を表すイメージ図である。図2は、磁界センサ14のX−Y面内での回転位置を初期値にした場合の、磁界検出信号の電圧値に関する情報例を表す図である。
図2(a)は、前述の初期磁界マップ情報の例を表す。また、図2(b)は測定磁界マップ情報を表す。また、図2(c)は、磁界差マップ情報を表す。図2(a)及び図2(b)において、周囲の濃色領域に囲まれた淡色領域は、当該濃色領域よりも磁界検出信号の電圧値が高い。また、当該淡色領域に囲まれた濃色領域は、当該淡色領域よりも磁界検出信号の電圧値が高い。図2(c)においては、より濃色な領域ほど、初期磁界マップ情報と測定磁界マップ情報とで、磁界検出信号の電圧値の差が大きい。作業者等は、測定磁界マップ情報と、別途保持する電子デバイス等の配置を表す実装マップ情報とを対比する。
これにより、作業者等は、図2(c)の濃色領域に設置された電子デバイス等に異常が生じている可能性が高いことを判断する。
例えば、通電箇所の通電が異常に停止した場合には、電流が流れなくなるので、正常時には電流により発生していた磁界が、検出されなくなる。その場合、当該通電停止箇所は、図2(c)に表すような磁界差マップ情報において、濃色に表示される。前記通電停止は、例えば、はんだ付けが正しく行われていないことや電気端子の接触不良による搭載電子デバイスの実装の不良により生じ得る。当該実装不良は、振動、環境温度又は湿度により発生する場合もあり得る。当該通電停止は、あるいは、電子デバイスの経時変化による動作停止や、静電気や落雷等の影響により流れる高電圧、高電流により搭載電子デバイスの破壊により生じる場合がある。
あるいは、例えば、通電電流が異常に増加した箇所も、図2(c)に表すような磁界差マップ情報において、濃色に表示される。
作業者等は、磁界差マップ情報において、上記のような異常が生じている箇所を特定することができる。
ここで、図1の処理装置20に説明を戻す。
処理装置20は、例えば、磁界検出信号の電圧値の差についての閾値である電圧差閾値を予め保持している。そして、処理装置は、各磁界差マップ情報において、これらの閾値を超えたX−Y座標の範囲を表す情報を出力する。当該範囲は、実装基板71における実装されている電子デバイス等に異常が生じていることが疑われる範囲に対応する。
作業者等は、当該範囲と予め作成されている実装基板71における電子デバイス等の実装位置を表す実装マップ情報とから、異常が生じている電子デバイス等を特定し、交換等の処置を行う。
処理装置20は、予め前記実装マップ情報を保持し、前記範囲と当該実装マップ情報とから異常が生じていることが疑われる電子デバイス等を特定し、その電子デバイス等を表す情報を出力しても構わない。
また、図1の構成においては、測定部10の上面は、筐体40により実装基板71に対して固定されている。しかしながら、測定部10の上面は、筐体40以外の他の部材を介して実装基板71に対して固定されていても構わない。測定部10の上部を実装基板71に対して固定するために用いられる構造は任意である。
また、測定部10の上面が筐体40以外の部材により実装基板71に固定される場合は、筐体40は存在しなくても構わない。
図3は、図1に表す処理装置20の構成例を表す概念図である。処理装置20は、移動制御部21と、磁界測定部22と、処理部23と、記憶部24と、出力部25と、入力部26とを備える。
入力部26は、例えば、キーボードである。入力部26は入力された情報を処理部23に送る。当該入力情報には、例えば、処理部23が行う磁界マップ情報取得のための開始情報が含まれる。
処理部23は、例えば、コンピュータの中央演算処理装置である。処理部23は、入力部26から前述の開始情報が入力されると、移動制御部21に図1に表す磁界センサ14の移動を行わせつつ、磁界測定部22を介して、磁界センサ14から送付される磁界検出信号の電圧値の取得を行う。処理部23は、さらに磁界センサ14の下端近傍の磁界検出部の位置と測定日時を関連付けた磁界マップ情報を、記憶部24に格納させる。
処理部23は、最初に格納させる磁界マップ情報を、初期磁界マップ情報として、記憶部24に初期磁界マップ情報格納部51に格納する。処理部23は、また、2回目以降に格納させる磁界マップ情報を、測定磁界マップ情報として、記憶部24に測定磁界マップ情報格納部52に格納する。測定磁界マップ情報格納部52には、測定磁界マップ情報の取得のたびに測定磁界マップ情報が蓄積される。
処理部23は、新たな測定磁界マップ情報を記憶部24に格納させた場合は、図1に表す磁界センサ14の磁界検出部の各X−Y座標における、磁界差マップ情報を導出し、記憶部24に磁界差マップ情報格納部53に格納させる。当該磁界差マップ情報は、その測定マップ情報と初期磁界マップ情報とにおける電圧差を表すマップ情報である。磁界差マップ情報格納部53には、新たに作成されるたびに磁界差マップ情報が蓄積される。
処理部23は、入力部26から入力された情報により指定された、初期磁界マップ情報、測定磁界マップ情報又は磁界差マップ情報を、出力部25に出力させる。
移動制御部21は、処理部23からの指示情報により、X−Yステージ11、Zステージ12及び回転ステージ13に制御信号を送り、磁界センサ14の磁界検出部を指定された位置に移動させる。
磁界測定部22は、磁界センサ14から送付される磁界検出信号の電圧値を特定し、それらを表す情報を処理部23に送付する。
磁界検出部22は、スペクトラムアナライザが備える構成を備えることにより、作業者等により指定された周波数ごとの、磁界検出信号の電圧値を取得しても構わない。前述のように、実装基板71の各位置から発生する磁界は、その発生原因となる電流の周波数により、複数の異なる周波数になる場合がある。磁界検出部22が、スペクトラムアナライザが備える構成を備える場合、処理装置20は、想定される周波数ごとの磁界検出信号の電圧値を取得することが可能になる。
記憶部24は、処理装置20の各構成が上記動作を行うために必要なプログラムや情報を予め保持する。記憶部24は、また、処理装置20の各構成が指示する情報を保持する。当該情報には、処理部23が格納を指示する、初期磁界マップ情報、測定磁界マップ情報及び磁界差マップ情報が含まれる。記憶部24は、また、処理装置20の各構成が指示する格納情報を、処理装置20の備える、送付を指示された構成に送付する。
出力部25は、例えば、ディスプレイ、プリンタ又は通信装置である。出力部25は、処理部23が指示する情報を出力する。
図4は、作業者等が行う動作の動作フロー例を表す概念図である。
作業者等は、例えば、対象基板の最初の稼働が開始されたことを判定することにより、図4に表す動作を開始する。ここで、対象基板は、図4の動作の対象となる実装基板(図1の実装基板71)である。
作業者等は、まず、A101の動作として、A102の動作が未実行の対象基板があるかについての判定を行う。ここでは、対象基板が複数枚ある場合が想定されている。
作業者等は、A101の動作による判定結果がyesの場合は、A102の動作として、A102の動作が未実行の対象基板を一つ特定する。
そして、作業者等は、A103の動作として、特定した対象基板に対して、例えば、図1に表されるように、測定部10を筐体40の天板41に設置する。
そして、作業者等は、A104の動作として、図1に表す出力装置1により、初期磁界マップ情報の取得及び格納を行う。出力装置1の処理装置20の処理部23が行う、磁界マップ情報(初期磁界マップ情報が含まれる)の取得及び格納のため処理例は、図5に表される。
そして、作業者等は、A105の動作として、測定部10を筐体40の天板41から取り外す。そして、作業者等はA101の動作を再度行う。
こうして、A101乃至A105の動作が繰り返され、すべての対象基板についてA104の動作による初期磁界マップ情報の取得が完了する。すると、A101の動作による判定結果がnoになり、A106の動作として、異常被疑箇所の特定を試みるかについての判定を行う。作業者等主体は、当該判定を、例えば、予め設定された日時になったかを判定することにより行う。
作業者等は、A106の動作による判定結果がyesの場合は、A107の動作として、A108の動作が未実行の対象基板があるかについての判定を行う。
作業者等は、A107の動作による判定結果がyesの場合は、A108の動作を行う。一方、作業者等は、A107の動作による判定結果がnoの場合は、同動作として、A108の動作を未実行の対象基板を一つ特定する。
そして、作業者等は、A109の動作として、A108の動作により特定した対象基板に対して測定部(図1に表す測定部10)を取り付ける。
そして、作業者等は、A110の動作として、図1に表す処理装置20に磁界差マップ情報の出力を行わせる。磁界差マップ情報は、前述のように、新たに取得された測定磁界マップ情報とA104の処理により取得された初期磁界マップ情報との差を表すマップ情報である。磁界差マップ情報のために、図3に表される処理部23が行う処理の例は、図6に表される。
そして、作業者等は、A111の動作として、A110の動作により出力された磁界差マップ情報から、その対象基板に異常被疑箇所があるかを判定する。作業者等は、当該判定を、例えば、磁界差マップ情報において、電圧差が予め設定された閾値を超える領域があるか否かを判定することにより行う。
作業者等は、A111の動作による判定結果がyesの場合は、A112の動作を行う。一方、作業者等は、A111の動作による判定結果がnoの場合は、A113の動作を行う。
作業者等は、A112の動作を行う場合は、同動作として、異常被疑箇所の特定を行う。作業者等は、当該特定を、例えば、予め保持するその対象基板についての電子デバイス等の配置マップから、A111の動作において異常被疑箇所であることを判定した範囲にあるものを特定することにより行う。
そして、作業者等は、A113の動作として、A109の動作により取り付けた測定部を取り外す。そして、作業者等は、A107の動作を再度行う。
こうして、A107乃至A113の動作を繰り返した結果として、すべての対象基板についてA112の動作により異常被疑箇所が特定される。すると、A107の動作による判定結果がnoになり、A114の動作が行われる。
作業者等は、A114の動作を行う場合は、同動作として、図4に表される動作を終了するかについての判定を行う。作業者等がロボットである場合は、作業者等は、当該判定を、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
作業者等は、A114の動作による判定結果がyesの場合は、図4の動作を終了する。一方、作業者等は、A114の動作による判定結果がnoの場合は、A106の動作を再度行う。
そして、A106乃至A114の動作が、A114の動作による判定結果がyesになるまで繰り返され、異なるタイミングで取得された磁界差マップ情報及び異常被疑箇所が、図1に表される処理装置20に蓄積される。
なお、測定部の取り外しが行われずに、測定部が対象基板に対して予め取り付けられ、その状態が維持される場合も想定され得る。その場合、図4に表すA103、A105、A109及びA113の動作はなくなる。その場合、図4に表される動作は、動作部分を有さないロボットやコンピュータ等の情報処理装置により行われる処理により実行され得る。
図5は、図4に表すA104の動作又はA110の動作を受けて図3に表す処理部23が行う、磁界マップ情報の取得及び格納処理の処理フロー例を表す概念図である。当該磁界マップ情報は、図4に表すA104の動作の際に取得される場合は初期磁界マップ情報である。一方、当該磁界マップ情報は、図4に表すA110の動作の際に取得される場合は、初期磁界マップ情報の取得の後に取得される磁界マップ情報である測定磁界マップ情報である。
処理部23は、例えば、図3に表す入力部26を介して作業者等により入力された開始情報により、図5に表す処理を開始する。
処理部23は、まず、S201の処理として、図3に表す移動制御部21に、磁界センサ14の下端と対象基板である実装基板71の上面との距離を、磁界マップ情報の取得のために予め設定された設定値に設定させる。移動制御部21は当該指示を受けて、図1に表されるZステージ12に当該距離を設定値に設定させる。
次に、処理部23は、S202の処理として、予め設定された磁界センサ14の回転角度に、S203の処理を未実施のものがあるかについての判定を行う。処理部23は、S202の処理による判定結果がyesの場合は、S203の処理として、S203の処理をまだ行っていない磁界センサ14の回転角度を、予め設定された値の中から一つ選択する。
そして、処理部23は、図3に表す移動制御部21に、S203の処理により選択した回転角度に、磁界センサ14の回転角度を設定させる。移動制御部21は当該指示を受けて、図1に表す回転ステージ13に、磁界センサ14の回転角度を設定させる。
そして、処理部23は、S205の処理として、(X,Y)座標の値を初期値である(X0,Y0)に設定する。
そして、処理部23は、S206の処理として、移動制御部21に、磁界センサ14を座標(X,Y)に移動させる。
そして、処理部23は、磁界測定部22が検出した、磁界センサ14から送付された磁界検出信号の電圧値を、(X,Y)座標、回転角度及び対象基板の基板ID(Identifier)と関連付けて、記憶部24に格納させる。記憶部24は、当該情報を、初期磁界マップ情報の取得の際には初期磁界マップ情報格納部51に格納する。また、記憶部24は、当該情報を、測定磁界マップ情報の取得の際には測定磁界マップ情報格納部52に格納する。
そして、処理部23は、S208の処理として、X座標をX=X+ΔXに設定する。ΔXは、磁界検出信号の電圧値を取得するX座標に関する間隔である。ΔXは、実装基板71における異常被疑箇所を特定できる限度で、ある程度粗い値に、事前の検討により調整されている。ΔXがある程度粗い値に設定されるのは、磁界マップ情報の取得に要する時間を短くし、また、記憶部24に格納される磁界マップ情報の情報量を少なくするためである。
そして、処理部23は、S209の処理として、Xの値がXの最大値として予め設定されている値であるXmを超えたかについての判定を行う。Xmの値は、磁界センサ14が磁界検出信号を検出するX軸方向の範囲に、実装基板71のX軸方向の範囲が含まれるよう、設定されている。
処理部23は、S209の処理による判定結果がnoの場合は、S206の処理を再度行う。そして、S206乃至S209の処理が繰り返され、座標Y=Y0について、ΔXごとのX座標の磁界検出信号の電圧値が記憶部24に格納される。
そして、処理部23は、S209の処理によりyesを判定し、S210の処理を行う。その場合、処理部23は、(X,Y)座標の値を(X0、Y+ΔY)に設定する。ΔYは、磁界検出信号の電圧値を取得するY座標に関する間隔である。ΔYは、実装基板71における異常被疑箇所を特定できる限度において、ある程度粗い値に、事前の検討により調整されている。ある程度粗い値に設定されるのは、磁界マップ情報の取得に要する時間を短くし、また、記憶部24に格納される磁界マップ情報の情報量を少なくするためである。
そして処理部23は、S211の処理として、Yの値がYの最大値として予め設定されている値のYmを超えたかについての判定を行う。Ymの値は、磁界センサ14が磁界検出信号を検出するY方向の範囲に、実装基板71のY方向の範囲が含まれるように、設定されている。
処理部23は、S211の処理による判定結果がnoの場合は、S206の処理を再度行う。そして、S206乃至S211の処理が繰り返され、座標(X0、Y0)と座標(X,Ym)との間に含まれる、ΔXごとのX座標及びΔYごとのY座標の磁界検出信号の電圧値が記憶部24に格納される。
そして、処理部23は、S211の処理によりyesを判定し、S202の処理を再度行う。その後、処理部23は、S202乃至S211の処理を繰り返し、磁界センサ14について予め設定された各回転角度についての磁界検出信号の電圧値の分布を表す磁界マップ情報が記憶部24に格納される。
そして、処理部23は、S202の処理によりnoを判定し、図5に表す処理を終了する。
対象基板が複数ある場合は、図5に表す処理が、各対象基板に対して行われる。
図6は、図4に表すA110の動作の際に処理部23が行う、磁界差マップ情報の導出及び出力処理の処理フロー例を表す概念図である。
処理部23は、例えば、図3に表す入力部26を介して作業者等により入力された開始情報により、図6に表す処理を開始する。
処理部23は、まず、S301の処理として、S302の処理が未処理の対象基板はあるかについての判定を行う。
処理部23は、S301の処理による判定結果がyesの場合は、S302の処理として、S302の処理が未処理の対象基板を一つ選択する。
そして、処理部23は、S303の処理として、S302の処理により選択された対象基板についての初期磁界マップ情報と測定磁界マップ情報とを記憶部24から読み出す。
そして、処理部23は、S304の処理として、選択された対象基板についてS305の処理が未実施の磁界センサ14の回転角度があるかについての判定を行う。
処理部23は、S304の処理による判定結果がyesの場合は、S305の処理として、S305の処理を未実施の回転角度を一つ選択する。
そして、処理部23は、S306の処理として、座標(X,Y)として(X0、Y0)を選択する。座標(X0、Y0)は、図5のS205に表されるものと同じである。
そして、処理部23は、S307の処理として電圧差を求める。ここで、電圧差は、S307の処理の時点で選択されている、対象基板、回転角度及び(X、Y)座標についての磁界検出信号の電圧値の、初期磁界マップ情報における値と測定磁界マップ情報における値との差である。
そして、処理部23は、S308の処理として、S307の処理により導出した電圧差を、その対象基板の基板ID、その回転角度及び(X,Y)座標と関連付けて、記憶部24に格納させる。記憶部24は、これらを、磁界差マップ情報格納部53に格納する。
そして、処理部23は、S309の処理として、Xの値にΔXを加算する。ΔXは図5のS208に表されるものと同じものである。
そして、処理部23は、S310の処理として、Xの値がXmを超えたかについての判定を行う。Xmは、図5のS209に表されるものと同じものである。
処理部23は、S310の処理による判定結果がnoの場合は、S307の処理を行う。
その後、S307乃至S310の処理が繰り返され、Y=Y0について、ΔXごとの各Xについての電圧差が、図3に表される磁界差マップ情報格納部53に格納される。
そして、処理部23は、S310の処理によりyesを判定し、S311の処理として、(X,Y)を(X0,Y+ΔY)に設定する。ここで、ΔYは、図5のS210に表されるものと同じである。
そして、処理部23は、S312の処理によりnoを判定した場合は、S307の処理を再度行う。その後、S307乃至S312の処理が繰り返され、ΔXごと及びΔYごとの各(X,Y)座標についての電圧差が、図3に表される磁界差マップ情報格納部53に格納される。
そして、処理部23は、312の処理によりyesを判定し、S304の処理を再度行う。その後、S304乃至S312の処理が繰り返され、各回転角度についての磁界差マップ情報が、図3に表される磁界差マップ情報格納部53に格納される。
そして、処理部23はS304の処理によりnoを判定し、S301の処理を再度行う。その後、S301乃至S312の処理が繰り返された結果、各対象基板についての磁界差マップ情報が、図3に表される磁界差マップ情報格納部53に格納される。
そして、処理部23は、S301の処理によりnoを判定し、S313の処理を行う。
処理部23は、S313の処理を行う場合は、図3に表される磁界差マップ情報格納部53に格納された磁界差マップ情報における電圧差を、対象基板ごと及び回転角度ごとに、図2(c)に表されるもののようにマップ化する。そして、処理部23は、マップ化した磁界差マップ情報を、図3に表される出力部に出力させる。
図4のA111及びA112の動作は、図3に表される処理部23が行う処理として実行される場合も想定され得る。図7は、A111及びA112の動作を処理部23が実行する場合に処理部23が行う処理の処理フロー例を表す概念図である。
処理部23は、例えば、図3に表す入力部26を介して作業者等により入力された開始情報により、図7に表す処理を開始する。
処理部23は、まず、S401の処理として、図4の直近のA110の動作の際に図3の記憶部24が保持する磁界差マップ情報格納部53に格納された電圧差を、記憶部24から読み出す。各電圧差は、対象基板の基板ID、磁界センサ14の回転角度及び磁界センサ14の(X,Y)座標と関連付けられている。
処理部23は、また、S402の処理として、記憶部24から、実装マップ情報を読み出す。実装マップ情報は、各実装基板のX−Y座標上のどの位置にどのような構成(電子デバイス等)が配置されているかを表す情報である。
そして、処理部23は、S403の処理として、S404の処理が未処理の対象基板の基板IDはあるかについての判定を行う。処理部23は、S403の処理による判定結果がyesの場合は、S404の処理として、S404の処理が未処理の対象基板の基板IDを一つ選択する。
そして、S405の処理として、S406の処理が未処理の磁界センサ14の回転角度があるかについての判定を行う。処理部23は、S405の処理による判定結果がyesの場合は、S406の処理として、S406の処理が未処理の回転角度を一つ選択する。
そして、処理部23は、S407の処理として、(X,Y)座標として(X0、Y0)を選択する。(X0、Y0)は、図5のS205及び図6のS306の処理に表すものと同じものである。
そして、処理部23は、S408の処理として、同処理の時点で選択されている基板ID及び回転角度並びに(X,Y)座標と関連付けられている電圧差は、電圧差に関する閾値を超えているかについての判定を行う。当該閾値は、電圧差が当該閾値を超えた場合は異常が発生している可能性が高いものとして、予め、経験等により定められたものである。
処理部23は、S408の処理による判定結果がyesの場合は、S410の処理を行う。一方、処理部23は、S408の処理による判定結果がnoの場合は、S410の処理を行う。
S408の判定結果がyesの場合、処理部23は、S410の処理として、選択されている基板IDの実装マップにおいて選択されている(X,Y)座標に存在する構成(電子デバイス等)を特定する。
そして、処理部23は、S410の処理により特定した構成の構成IDが、異常構成リストにあるかについての判定を行う。異常構成リストは、選択された基板IDについての最初のS411の処理が行われる際に、処理部23が作成し、図3に表される記憶部24に保持させるものである。S411の処理は、同じ構成IDの異常構成リストへの重複格納を排除する趣旨で行われるものである。
処理部23は、S411の処理による判定結果がno場合は、S412の処理として、S410の処理により特定した構成IDを異常構成リストに格納する。一方、処理部23は、S411の処理による判定結果がyesの場合は、S410の処理により特定した構成IDを異常構成リストに格納せずに、S413の処理を行う。
処理部23は、S413の処理を行う場合は、Xの値として、X+ΔXを選択する。ここで、ΔXは、図5のS208及び図6のS309に表されるものと同じである。
そして、処理部23は、S414の処理として、Xの値がXmを超えたかについての判定を行う。ここで、Xmの値は、図5のS209及び図6のS310に表されるものと同じである。
処理部23は、S414の処理による判定結果がnoの場合は、S408の処理を再度行う。そして、S408乃至S414の処理が繰り返された結果、Y=Y0についてのΔXごとの各X座標について、電圧差がそれについての閾値を超えている場合に、その座標にある構成の構成IDが異常構成リストに格納される。
そして、処理部23は、S414の処理によりyesを判定し、S415の処理により、(X,Y)として、(X0、Y+ΔY)を選択する。
そして、処理部23は、S416の処理によりYの値がYmを超えたかについての判定を行う。そして、処理部23は、S416の処理による判定結果がnoの場合は、S408の処理を再度行う。そして、S408乃至S416の処理が繰り返された結果、ΔYごとの各Y座標及びΔXごとの各X座標について、電圧差がそれについての閾値を超えている場合に、その座標にある構成の構成IDが異常構成リストに格納される。
そして、処理部23は、S416の処理によりyesを判定した場合は、S405の処理を再度行う。そして、図1に表される磁界センサ14についての各回転角度について、上記と同様の場合に構成IDが異常構成リストに格納される。
そして、S405の判定結果がnoになり、処理部23は、S403の処理を再度行う。そして、S403乃至S416の処理が繰り返された結果として、上記と同様の場合に、構成IDが、各対象基板についての異常構成リストに格納される。
そして、処理部23は、S403の処理により、すべての対象基板についての図7の処理が完了したことを表すnoを判定する。
そして、処理部23は、S417の処理として、各対象基板についての、異常の可能性が高い構成の構成IDが格納された異常構成リストを、図3に表される出力部25に出力させる。
そして、処理部23は、図7に表される処理を終了する。
なお、本実施形態の出力装置は、前述のように、磁界検出情報の電圧値の特定にスペクトラムアナライザを用いる場合がある。その場合、当該出力装置は、想定される周波数ごとの、磁界差マップ情報を出力することが可能になる。前述のように、実装基板の各位置から発生する磁界は、その発生原因となる電流の周波数により、複数の異なる周波数になる場合がある。前記出力装置が想定される周波数ごとの磁界差マップ情報を出力する場合、作業者等は、各周波数が関連する電子デバイス等を予め絞り込むが可能になる。そのため、前記出力装置は、作業者等に、異常が疑われる電子デバイス等のより正確な特定を可能にする。
以上の説明では、磁界センサが検出する磁界検出信号が表す磁界情報が、磁界検出信号の電圧値の場合の例を説明した。しかしながら、磁界情報は、磁界検出部が検出した、磁界に関する他の情報であっても構わない。当該情報としては、例えば、磁界の周波数や向きを表す情報が想定され得る。その場合、本実施形態の出力装置は、磁界の周波数や向きの経時変化による差を表す情報を出力する。そして、作業者等は、磁界の周波数や向きの経時変化による差を表す情報から異常被疑箇所を特定する。
[効果]
本実施形態の出力装置は、実装基板の各部分から発生する磁界の経時変化の程度を表す磁界差マップ情報を出力する。作業者等は、出力された磁界差マップ情報により実装基板における異常被疑箇所を特定することができる。実装基板のある部分の磁界の経時変化の程度は、必ずしも、その部分の温度の経時変化とは連動しないものである。従い、前記出力装置は、温度の経時変化による実装基板における異常被疑箇所の特定が困難な場合にもその特定を可能にする。なお、温度の経時変化による実装基板における異常被疑箇所の特定が困難な場合は、[発明が解決すべき課題]の項で説明した通りである。
前記出力装置は、想定される周波数ごとの、磁界差マップ情報を出力する場合がある。前述のように、実装基板の各位置から発生する磁界は、その発生原因となる電流の周波数により、複数の異なる周波数になる場合がある。前記出力装置が想定される周波数ごとの磁界差マップ情報を出力する場合、作業者等は、各周波数が関連する電子デバイス等を予め絞り込むが可能になる。そのため、前記出力装置は作業者等に、異常が疑われる電子デバイス等のより正確な特定を可能にする。
<第二実施形態>
第二実施形態は、第一実施形態で説明された磁界差マップ情報に加えて温度差マップ情報も出力する出力装置に関する実施形態である。温度差マップ情報は、各(X、Y)座標についての温度の、実装基板の稼働開始当初の温度との差を表すマップ情報である。
[構成と動作]
本実施形態の出力装置は、まず、図1に表す出力装置1の構成により、前述の磁界差マップ情報を出力する。
その後、本実施形態の出力装置は、作業者等により、図8及び図9に表される状態に変更される。
図8に表される状態では、図1に表される出力装置1が備える磁界センサ14は、取り外され、磁界センサ14があった位置に温度センサ15が設置されている。また、図9に表される処理装置20では、図3に表される磁界測定部22は取り外され、温度測定部27が温度センサ15及び処理部23等に接続されている。
以下、本実施形態の出力装置1が行う温度差マップ情報の取得及び出力動作等について説明する。
図9に表される処理部23は、第一実施形態における磁界センサ14を移動させた場合と同様の方法により、図8に表される温度センサ15を移動させる。これにより、温度センサ15は、各(X,Y)座標についての温度を検出した温度検出信号を温度測定部27に送付する。温度測定部27は、温度検出信号を温度情報に変換し、処理部23に逐次送付する。
その結果、処理部23は、各(X,Y)座標についての温度情報である温度マップ情報を取得し、図9に表される記憶部24に格納する。処理部23は、実装基板71が最初に稼働を開始した当初に取得した温度マップ情報である初期温度マップ情報を、初期温度マップ情報格納部61に格納させる。処理部23は、その後に取得した温度マップ情報である測定温度マップ情報を、測定温度マップ情報格納部62に格納させる。
処理部23は、測定温度マップ情報を格納させた場合には、各(X、Y)座標についての、初期温度マップ情報と測定温度マップ情報とにおける温度差を表す温度差マップ情報を導出する。そして、導出した温度差マップ情報を温度差マップ情報格納部63に格納する。
処理部23は、格納させた温度差マップ情報を、出力部25に出力させる。
作業者等は、当該温度差マップ情報と第一実施形態で説明された実装マップ情報から、温度差の観点から異常の発生が疑われる位置にある構成(電子デバイス等)を、異常被疑箇所として特定する。
なお、図9に表される処理部23は、温度差マップ情報と実装マップ情報とから、異常被疑構成を自動的に特定し、特定した被疑構成を出力部25に出力させても構わない。
本実施形態の出力装置は、磁界マップ情報と温度マップ情報とを同時に取得するものであっても構わない。図10及び図11は、磁界マップ情報と温度マップ情報とを同時に取得し得る出力装置1の構成例を表す概念図である。
図10に表す測定部10においては、回転ステージ13の下面に、磁界センサ14と温度センサ15とが近接して設置されている。
また、図11に表されるように、処理装置20は、磁界測定部22と温度測定部27とを備える。
処理部23は、当該構成により、各(X,Y)座標についての磁界マップ情報と温度マップ情報とを取得する。
なお、処理部23は、磁界センサ14と温度センサ15とのX−Y平面での位置のずれを、取得した磁界マップ情報におけるX−Y座標と温度マップ情報におけるX−Y座標とで補正しても構わない。
図10及び図11に表される出力装置が行う上記以外の動作は、図8及び図9に表されるものと同じである。
[効果]
本実施形態の出力装置は、第一実施形態の出力装置が行う磁界差マップ情報の出力に加えて、温度差マップ情報の出力も行う。温度差マップ情報は、実装基板の各(X,Y)座標についての初期の温度と測定温度との差を表す情報である。そのため、作業者等は、磁界差マップ情報により磁界の経時変化の観点からの異常被疑箇所の特定に加えて、温度の経時変化の観点からも異常被疑箇所を特定することができる。そのため、第二実施形態の出力装置は、磁界の経時変化による異常被疑箇所の特定が困難な場合もその特定を可能にする。磁界の経時変化による異常被疑箇所の特定が困難な場合としては、例えば、第一実施形態において説明した高実装部品があるために、磁界センサを実装基板に十分に近づけられない場合が想定される。そのような場合であっても、温度センサであれば、実装基板から離れた距離で温度を測定することが可能な場合があり得る。
図12は、実施形態の出力装置の最小限の構成である出力装置1xの構成を表す概念図である。
出力装置1xは、磁界検出部14xと、移動手段11xと、取得手段23xと、出力手段25xとを備える。
磁界検出部14xは、検出した磁界に関する磁界検出信号を出力する。移動手段11xは、実装基板の基板面と所定の間隔が離れた、前記基板面に平行な面、の面内を、前記磁界検出部を移動させる。取得手段23xは、前記移動の過程において前記磁界検出部が出力する前記磁界検出信号が表す前記磁界に関する磁界情報を、前記面内の位置を表す位置情報と関連付けて取得する。出力手段25xは、等しい前記位置における、異なる時期に取得された二つの前記磁界情報の差を表す磁界差情報を出力する。
出力装置1xが出力する前記磁界差情報は、前記実装基板の各部分が放出する磁界が経時変化したか否かを表す情報である。従い、作業者等は、当該磁界差情報から、磁界が変化する異常が生じたと判断される前記実装基板上の位置にある構成を特定することができる。また、磁界の経時変化が生じた異常が生じる箇所は、必ずしも、温度の経時変化が生じる箇所に等しくない。そのため、出力装置1xは、温度の経時変化による特定が困難な異常被疑箇所の特定を可能にする。
そのため、出力装置1xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
ここで、図12に表す出力装置1xは、例えば、図1又は図10に表す出力装置1である。また、磁界検出部14xは例えば、図1又は図10に表す磁界センサ14の磁界を検出する部分である。また、移動手段11xは、例えば、図1又は図10に表すX−Yステージである。また、取得手段23xは、例えば、図3又は「図10に表す、磁界測定部22と処理部23との組合せである。また、出力手段25xは、例えば、図3又は図11に表される出力部25である。また、前記実装基板は、例えば、図1又は図10に表す実装基板71である。また、前記基板面は、例えば、図1又は図10に表す実装基板71の上面である。また、前記磁界情報は、例えば、前述の、磁界検出信号の電圧値、周波数又は磁界の向きである。また、前記面内は、例えば、前述のX−Y面内である。また、前記位置情報は、例えば、前述の(X,Y)座標である。また、前記磁界差情報は、例えば、前述の電圧差、周波数差又は磁界の向きの経時変化による差である。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
検出した磁界に関する磁界検出信号を出力する磁界検出部と、
実装基板の基板面と所定の間隔が離れた、前記基板面に平行な面、の面内を、前記磁界検出部を移動させる移動手段と、
前記移動の過程において前記磁界検出部が出力する前記磁界検出信号が表す前記磁界に関する磁界情報を、前記面内の位置を表す位置情報と関連付けて取得する取得手段と、
等しい前記位置における、異なる時期に取得された二つの前記磁界情報の差を表す磁界差情報を出力する出力手段と、
を備える、出力装置。
(付記2)
前記磁界情報が、前記磁界検出信号の電圧値を表す、付記1に記載された出力装置。
(付記3)
前記磁界検出部を前記面内で回転させる回転手段をさらに備え、前記出力手段は、複数の前記回転に係る回転角度についての前記磁界差情報を出力する、付記1又は付記2に記載された出力装置。
(付記4)
温度検出部が検出した温度に関する温度検出信号を出力する温度センサをさらに備え、
前記移動手段は、前記温度検出部を前記移動させ、
前記取得手段は、前記移動の過程において前記温度センサが出力する前記温度検出信号が表す前記温度に関する温度情報を、前記位置情報と関連付けて取得し、
前記出力手段は、等しい前記位置における、異なる時期に取得された二つの前記温度情報の差を表す温度差情報を出力する、
付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載された出力装置。
(付記5)
前記実装基板の前記位置に存在する構成を表す実装情報を保持し、前記磁界差情報と前記実装情報とから、異常が疑われる前記構成である被疑構成を出力する、付記1乃至付記4のうちのいずれか一に記載された出力装置。
(付記6)
前記実装基板の前記位置に存在する構成を表す実装情報を保持し、前記磁界差情報及び前記温度差情報と前記実装情報とから、異常が疑われる前記構成である被疑構成を出力する、付記4に記載された出力装置。
(付記7)
前記磁界差情報が前記磁界検出信号の所定の周波数についてのものである付記1乃至付記6のうちのいずれか一に記載された出力装置。
(付記8)
前記磁界差情報が複数の前記周波数の各々についてのものである付記7に記載された出力装置。
(付記9)
検出した磁界に関する磁界検出信号を出力する磁界検出部を、実装基板の基板面と所定の間隔が離れた、前記基板面に平行な面の面内を移動させ、
前記移動の過程において、前記磁界検出部が出力する前記磁界検出信号が表す前記磁界に関する磁界情報を、前記面内の位置を表す位置情報と関連付けて取得し、
等しい前記位置における、異なる時期に取得された二つの前記磁界情報の差を表す磁界差情報を出力する、
出力方法。
(付記10)
温度検出部が検出した温度に関する温度検出信号を出力する温度センサの前記温度検出部を前記移動させ、
前記移動の過程において前記温度センサが出力する前記温度検出信号が表す前記温度に関する温度情報を、前記位置情報と関連付けて取得し、
等しい前記位置における、異なる時期に取得された二つの前記温度情報の差を表す温度差情報を出力する、
付記9に記載された出力方法。
(付記11)
前記磁界情報の取得の際に前記磁界検出部及び前記移動を行わせる手段である移動手段を前記実装基板に対して設置し、前記磁界情報の取得の後に前記設置を解除する、付記9又は付記10に記載された出力方法。
(付記12)
前記磁界検出部及び前記移動を行わせる手段である移動手段の前記実装基板に対する設置及び前記設置の解除が共に行われない、付記9又は付記10に記載された出力方法。
(付記13)
前記磁界情報の取得の際には、前記移動を行わせる手段である移動手段に前記磁界検出部が取り付けられておりかつ前記移動手段に前記温度検出部が取り付けられておらず、前記温度情報の取得の際には、前記移動手段に前記温度検出部が取り付けられておりかつ前記移動手段に前記磁界検出部が取り付けられていない、付記10に記載された出力方法。
(付記14)
検出した磁界に関する磁界検出信号を出力する磁界検出部との前記磁界検出部を、実装基板の基板面と所定の間隔が離れた、前記基板面に平行な面、の面内を移動させる処理と、
前記移動の過程において前記磁界検出部が出力する前記磁界検出信号が表す前記磁界に関する磁界情報を、前記面内の位置を表す位置情報と関連付けて取得する処理と、
等しい前記位置における、異なる時期に取得された二つの前記磁界情報の差を表す磁界差情報を出力する処理と、
をコンピュータに実行させる、出力プログラム。