以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図18を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63a、63b、67等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図6参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、後述する第3図柄表示装置81(図2)で表示される保留図柄表示(Ds1〜Ds8)の並び替えを行う場合などに、遊技者により操作される。
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯または点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する押しボタン式の打ち止めスイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび打ち止めスイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「ドル箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、第1始動口63a、第2始動口63b、第1可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。第1始動口63a、第2始動口63b、第1可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図6参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
遊技領域の中央下部に、振分装置1000が設けられている。振分装置1000には、普通電動役物64が上部に設けられている。普通電動役物64は、通常状態では、向かい合った羽根64a,64bが所定間隔(遊技球が約1球分入球可能な間隔(遊技球の直径は約11mm))を隔てつつ上方に起立した状態で配置されている。振分装置1000内に遊技球が入球するルートは、通常状態(羽根64a,64bが上方に起立した状態)では、普通電動役物64の羽根64a,64bの間を通るルートのみとなっており、遊技者は、まず、その普通電動役物64の羽根64a,64bの間へ遊技球を通過させるように遊技球を発射する。
振り分け装置630内に遊技球が入球すると、入球した遊技球が第1始動口63a及び第2始動口63bに交互に振り分けられる。ここで、図4を参照して、振分装置1000による遊技球の振り分け動作の概略について説明する。
図4(a)は、入球した遊技球を第1始動口63aへ振り分ける動作を説明するために模式的に図示した振分装置1000の正面透視図であり、図4(b)は、入球した遊技球を第2始動口63bへ振り分ける動作を説明するために模式的に図示した振分装置1000の正面透視図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、振分装置1000には、内部に円板部材1300が回動可能に内装されると共に、その円板部材1300の外周面には、左受け部1310L及び右受け部1310Rが凹設される。
図4(a)に示すように、振分装置1000は、入球した遊技球を左受け部1310Lが受けると、その遊技球の重さにより(即ち、遊技球の重さの分、円板部材1300の重心位置が回動中心に対して一側(図4(a)右側)へ偏心されることで)、円板部材1300が、左受け部1310Lに遊技球を収納しつつ、一方向(図4(a)時計回り方向)へ回動される。円板部材1300の回動により、左受け部1310Lが下方に到達されると、左受け部1310Lに収納されていた遊技球が、左誘導通路1110Lに排球されると共にこの左誘導通路1110Lにより第1始動口63aへ誘導される。
図4(b)に示すように、振分装置1000は、図4(a)に示す遊技球の次に入球した遊技球を、右受け部1310Rにより受ける。即ち、振分装置1000は、右受け部1310Rが左受け部1310Lと180度位相を異ならせて配設され、左受け部1310Lが下方に位置すると、右受け部1310Rが上方に位置し、入球した遊技球を交互に受けることができるように構成される。
この場合、振分装置1000は、次に入球した遊技球を右受け部1310Rが受けると、左受け部1310Lが遊技球を受けた場合と同様に、遊技球の重さにより、円板部材1300が、右受け部1310Rに遊技球を収納しつつ、一方向(図4(a)時計回り方向)へ回動され、右受け部1310Rが下方に到達される。右受け部1310Rに収納されていた遊技球は、右誘導通路1110Rに排球されることで、第2始動口63bへ誘導される。
このように、左受け部1310Lが遊技球を受けると、円板部材1300が一方向へ180度回動して、遊技球を第1始動口63aへ誘導すると共に、右受け部1310Rが上方に配設され、次に入球した遊技球をこの右受け部1310Rが受ける。右受け部1310Rが遊技球を受けると、円板部材1300が一方向へ180度回動して、遊技球を第2始動口63bへ誘導すると共に、左受け部1310Lが上方に配設され、次に入球した遊技球をこの左受け部1310Lが受ける。
よって、振分装置1000は、入球する遊技球を第1始動口63aと第2始動口63bとに均等に振り分けて入賞させることができ、その結果、第1始動口63aへの入賞に起因する抽選遊技(以下、第1抽選遊技)と第2始動口63bへの入賞に起因する抽選遊技(以下、第2抽選遊技)とを効率良く実行することができる。
図2に戻って説明する。遊技盤13の中央左側には、普通図柄始動口67が設けられている。普通図柄始動口67は、ゲート型で遊技球の通過を検出することができるセンサを有した始動口で構成されている。普通図柄始動口67を遊技球が通過した場合に、普通図柄(第2図柄)の抽選が行われる。普通図柄始動口67へ遊技球が通過したことに対して行われる抽選では、普通図柄の当たりか否かの当否判定が行われる。
普通図柄(第2図柄)の抽選が行われると、後述する、可変表示装置ユニット80に設けられた第2図柄表示部88において普通図柄の変動表示が開始されて、「○」と「×」の図柄が交互に所定時間(例えば、20秒)点灯した後に、抽選結果を示す普通図柄(本実施形態では「○」もしくは「×」の図柄)が停止表示(点灯表示)される。第2図柄表示部88において変動表示が行われている間に普通図柄始動口67に球が通過すると、その通過回数は、最大4回まで保留され、その保留球数が第1図柄表示装置37により表示される。
普通図柄の当たりと判定された場合には、第2図柄表示部88に普通図柄の抽選が当たりであったことを示す図柄である「○」が点灯表示される。当たりである図柄が表示されると、普通電動役物64が作動し、通常時は上方に起立した状態で維持されている普通電動役物64の羽根64a,64bが略垂直に起立した状態から略V字形(逆ハの字形)に可動し、遊技球を羽根64a,64bが誘導することにより、振り分け装置630に所定時間(本実施形態では1.2s)遊技球を入球し易い状態になる。一方、普通図柄の外れと判定された場合には、第2図柄表示部88に普通図柄の抽選が外れであったことを示す図柄である「×」が点灯表示される。
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、発光手段である複数の発光ダイオード(以下、「LED」と略す)37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、後述する主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、第1始動口63a、第2始動口63b、普通図柄始動口67に入賞された球のうち変動表示が未実行である球(保留球)の数である保留球数を点灯状態により示すものである。また、大当たり中のラウンド数やエラー表示もそれに対応する点灯状態により示される。
7セグメント表示器37bは、左右に2つの7セグメントLEDで構成されている。左側の7セグメントLEDは、第1抽選遊技の判定結果を示す第1特別図柄が変動表示(動的表示)される。具体的には、第1始動口63aへの入賞に基づいて決定された、変動時間(動的表示時間)が経過するまで変動表示(本実施形態では、7セグメントの中央のセグメントが点滅表示)した後に、判定結果を示す図柄で停止表示される。判定結果が外れの場合には中央の1セグメントが点灯表示する外れを示す図柄「−」が表示される。一方、判定結果が当たりである場合には、当たりに対応した図柄「3」、「7」などの外れを示す図柄とは異なる図柄が表示される。第2抽選遊技についても、第1抽選遊技と同様に構成されている。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
また、パチンコ機10における変動パターン(変動態様または動的表示態様)は、後述するが、変動態様毎に変動時間が設定されており、時間情報に関する動的表示態様に該当する。さらには、変動パターンは、リーチとなる変動パターンと非リーチとなる変動パターンとで、変動時間の比較的長い長時間変動パターンと比較的変動時間の短い短時間変動パターンとに分けることもできる。このように、大まかに、時間の一定基準(ここでは、リーチ、非リーチ、または、基準時間(例えば、10秒より長いか否か))で仕分けた場合に対しても、時間情報に関する動的表示態様に該当する。
また、変動開始時間となるまでの時間情報については、正確な変動開始となる時間も該当するし、上記した、大まかな変動パターンの時間情報(例えば、長時間変動パターンであるか否か等)に基づいて決定される時間情報(例えば、変動開始までに行われる長時間変動パターンの回数等)についての情報も該当する。
なお、本パチンコ機10では、第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入賞に対して行われる抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R通常大当たり、15R確変大当たり、2R確変大当たりが用意されている。LED37bに表示される大当たり図柄は、その大当たり種別を示す図柄となっている(本実施形態では、15R通常大当たりでは「9」、15R確変大当たりでは「7」、2R確変大当たりでは「3」が例えば表示される)。
ここで、「15R通常大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりであり、大当たり後には、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図示せず)での遊技が設定される当たりのことである。「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりであり、大当たり後には、後述する、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルが設定される当たりのことである。「2R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が2ラウンドの大当たりであり、大当たり後には、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図示せず)が設定される当たりのことである。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口79が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37における変動表示と同期させながら、第3図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81が設けられている。
第3図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御されることにより、左側表示領域Dm1に第3図柄の一つである第1特別図柄を示す、左、中及び右の3つの図柄列が表示される(図5(a)参照)。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の左側表示領域Dm1上にて第3図柄(第1特別図柄)が変動表示(動的表示)されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。また、第3図柄の一つである第2特別図柄においても、右側表示領域Dm2に、第1特別図柄と同様に表示される。
ここで、図5を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図5は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図5(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図5(b)は、実際の表示画面における保留図柄表示の並び替え前と並び替え後を例示した図である。
第3図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)は、「0」から「9」の数字を付した10種類の特別図柄によりそれぞれ構成されている。また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う(例えば「777」)変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。
図5(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、主に、上下に分割して、上側の表示領域Dmに第3図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)を表示する表示領域と、下側の表示領域Dsに保留図柄(第1抽選遊技と第2抽選遊技の保留個数)を表示する表示領域とで構成されている。上側表示領域Dmは、左側表示領域Dm1と右側表示領域Dm2に分割して表示可能に構成されている。主に、左側表示領域Dm1は、第1始動口63aへの入賞に基づく第1抽選遊技の判定結果を示す第1特別図柄が変動表示される。一方、右側表示領域Dm2は、第2始動口63bへの入賞に基づく第2抽選遊技の判定結果を示す第2特別図柄が変動表示される。
左側表示領域Dm1は、左・中・右のそれぞれ3つの図柄列L1,L2,L3が表示される。各図柄列L1〜L3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列L1〜L3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、各図柄列L1〜L3に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列L1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列L2及び右図柄列L3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。一方、右側表示領域Dm2には、第2特別図柄が第1特別図柄と同様に、図柄列R1、R2、R3が表示され、同様に変動表示が行われる。
また、左側表示領域Dm1と右側表示領域Dm2とには、有効ラインU1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄が有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃って停止されれば、大当たりとして大当たり動画が表示される。
一方、下側表示領域Dsは、上側表示領域Dmよりも横長に設けられており、さらに左右方向に8つの小領域の保留図柄表示エリアDs1〜Ds8に等区分されている。
実際の表示画面では、図5(b)に示すように、上側表示領域Dmに特別図柄(第3図柄)の主図柄が合計3個、左側表示領域Dm1と右側表示領域Dm2とにそれぞれ表示される。
なお、本実施形態においては、第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入賞は、それぞれ最大4回まで保留される。第1特別図柄が変動表示中に第1始動口63aに遊技球が入賞すると、その入賞に基づく第1抽選遊技の開始は保留されて、下側表示領域Dsの保留図柄表示エリア(Ds1〜Ds8)の表示領域のうち保留図柄が表示されていないエリアのうち最も若い番号の保留図柄表示エリア(左側の保留図柄表示エリア)に、第1抽選遊技の保留図柄である「○」が表示される。
また、第2特別図柄が変動表示中に第2始動口63bに遊技球が入賞すると、第1始動口63aに入賞した場合と同様に、第2抽選遊技の保留図柄である「●」が下側表示領域Dsの保留図柄表示エリア(Ds1〜Ds8)に表示される。
図2に戻って説明する。振分装置1000に遊技球が入球すると、遊技球は、第1始動口63aと第2始動口63bとへ順番に(即ち、交互に)振り分けられる。第1特別図柄の変動表示が停止している状態で、さらに第1抽選遊技における保留がない状態で、第1始動口63aに入賞した場合には、第2特別図柄が変動表示中か否かに関わらず、第1特別図柄が左側表示領域Dm1で変動表示された後に停止表示される。一方、第2始動口63bに遊技球が入賞した場合には、第1特別図柄が変動表示中であるか否かに関わらず、第2特別図柄が変動表示される。
本パチンコ機10では、上記説明したように、第1特別図柄と第2特別図柄とは同時に左側表示領域Dm1と右側表示領域Dm2とでそれぞれ同時に変動表示を可能に構成されている。よって、振分装置1000により、第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に入賞する遊技球が振り分けられることで、第1抽選遊技と第2抽選遊技とを効率よく実行することができる。第1抽選遊技と第2抽選遊技とは、それぞれで大当たり遊技を実行するか否かの抽選が実行されるので、大当たり遊技の抽選機会が第1抽選遊技のみで実行する場合と比較して抽選回数を多くすることが可能となり、遊技者が大当たりを得られる機会を多くできる。
なお、本実施形態では、第1抽選遊技と第2抽選遊技の2つで構成されたパチンコ機10について説明するが、これに限らず、3つや4つ、それ以上の抽選遊技とそれに対応する始動口をそれぞれ設けて、同時にそれぞれの抽選結果を変動表示可能に構成するようにしても当然良い。
第1始動口63a、第2始動口63bへ遊技球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1始動口スイッチまたは第2始動口スイッチ(図示せず)がオンとなる。その第1始動口スイッチ、第2始動口スイッチのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37で示される。また、第1始動口63a、第2始動口63bは、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
遊技領域の下方右側には横長矩形状の可変入賞装置65が配設されている。パチンコ機10においては、主制御装置110での第1抽選遊技または第2抽選遊技の大当たりに関する抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37を点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81の対応する表示領域(左側表示領域Dm1または右側表示領域Dm2)に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この可変入賞装置65の開閉動作は、決定された大当たりの種別によって決定され、例えば、15R通常大当たりであれば、最高で15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特典遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
具体的には、可変入賞装置65は、第1始動口63aまたは第2始動口63bに入賞したことに基づいて第1特別図柄または第2特別図柄が当たりを示す図柄で停止表示されると、その大当たり種別に基づいて開閉動作が設定され、特定入賞口65aが所定時間、または所定条件が成立するまで(本実施形態では、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
可変入賞装置65は、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
更に、遊技盤13には、アウト口66が設けられている。いずれの入賞口63a,63b,65a,79にも入賞しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90、91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとしたりすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図6参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ(図3、122)が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図6参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ(図3、122)は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図6を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図6は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
主制御装置110では、大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示部88における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタを格納するカウンタ用バッファ(図示せず)が設けられている。
RAM203は、図6に図示したカウンタ用バッファのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
RAM203は、第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b、第1特別図柄保留球実行エリア203c、第2特別図柄保留球実行エリア203d、第1特別図柄保留球数カウンタ203e、第2特別図柄保留球数カウンタ203f、普通図柄保留球数カウンタ203g、普通図柄保留球格納エリア203h、普通図柄保留球実行エリア203i、普通図柄フラグ203j、時短カウンタ203k、確変フラグ203m、第1大当たりフラグ203o、第2大当たりフラグ203p、第1変動停止フラグ203q、第2変動停止フラグ203r、第1変動時間記憶エリア203s、第2変動時間記憶エリア203t、並び替え保留記憶エリア203u、その他メモリエリア203vを少なくとも有している。
第1特別図柄保留球格納エリア203aは、上限個数(本実施形態では、4個)まで、第1始動口63aに入賞したことに基づいて取得された各種カウンタ値を記憶するための記憶エリアである。また、第2特別図柄保留球格納エリア203bは、上限個数(本実施形態では、4個)まで、遊技球が第2始動口63bに入賞したことに基づいて取得された各種カウンタ値を記憶するための記憶エリアである。
第1特別図柄保留球実行エリア203cは、第1特別図柄を変動表示開始するための各種カウンタ値が格納される記憶エリアであり、第1特別図柄が変動表示停止した場合に、第1特別図柄保留球格納エリア203aに各種カウンタ値が記憶されている場合に、その各種カウンタ値がシフトして記憶される記憶エリアである。第2特別図柄保留球実行エリア203dは、第2特別図柄を変動表示開始するための各種カウンタ値が格納される記憶エリアであり、詳細については第1特別図柄保留球実行エリア203cと同様である。
第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b、第1特別図柄保留球実行エリア203c、第2特別図柄保留球実行エリア203dは、始動入賞の検出に伴ってカウンタ用バッファより取得した特別当たり乱数カウンタC1、特別当たり種別カウンタC2、変動パターン判定用カウンタC3、変動種別カウンタCS1の各値がそれぞれ記憶される。MPU201は、タイマ割込処理の中で、球が第1始動口63aへ入賞したことを検出すると、カウンタ用バッファから各カウンタC1〜C3,CS1の値を取得し、第1保留球格納エリア203aの特別当たり乱数カウンタ格納エリア203a1、特別当たり種別カウンタ格納エリア203a2、変動パターン判定用カウンタ203a3、変動種別カウンタ格納エリア203a4にそれぞれ格納する。一方、球が第2始動口63bへ入賞したことを検出すると、第1特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、カウンタ用バッファから各カウンタC1〜C3、CS1の値を取得し、各対応するエリア(図示せず)にそれぞれ同様に記憶される。
MPU201は、変動演出の実行開始タイミングであることを検出すると、大当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示の設定等の処理を実行するために、上述した第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203bに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(カウンタC1〜C3,CS1の各値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この特別図柄保留球実行エリア203cへシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
第1特別図柄保留球数カウンタ203e、第2特別図柄保留球数カウンタ203fは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理の中で検出される第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入賞に基づいて、第1図柄表示装置37で行われる変動表示演出(第3図柄表示装置81で行われる変動表示演出)の保留球数(待機回数)をそれぞれ最大4回まで計数するカウンタである。第1特別図柄保留球数カウンタ203e、第2特別図柄保留球数カウンタ203fは、電源投入後のRAM203の初期設定処理によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、それぞれ最大値4まで1加算される。一方、第1特別図柄保留球数カウンタ203a、第2特別図柄保留球数カウンタ203bは、変動表示演出が実行される毎に1減算される。
また、第1特別図柄保留球数カウンタ203eの値(即ち、保留球数)は、第1始動口63aに遊技球が入賞したことに基づいて、第1特別図柄保留球格納エリア203aにカウンタ値が格納された場合に、主制御装置110から出力される第1特別図柄保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される。第1特別図柄保留球数コマンドは、始動入賞が検出されて第1特別図柄保留球数カウンタ203eが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
また、第2特別図柄保留球数カウンタ203fの値(即ち、保留球数)は、第2始動口63bに遊技球が入賞したことに基づいて、第2特別図柄保留球格納エリア203bにカウンタ値が格納される場合に、主制御装置110から出力される第2特別図柄保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される。第2特別図柄保留球数コマンドは、始動入賞が検出されて第2特別図柄保留球数カウンタ203fが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
MPU201は、第1特別図柄保留球実行エリア203cまたは第2特別図柄保留球実行エリア203dにカウンタ用バッファから取得される上記カウンタC1〜C3、CS1の各値がそれぞれ記憶された場合には、第1特別図柄保留球実行エリア203cまたは第2特別図柄保留球実行エリア203dに格納されたデータを、第1変動開始処理または第2変動開始処理において参照し、その参照データに基づいて大当たり抽選を行うと共に、その抽選結果に対応する変動パターン及び停止種別を決定する。第1図柄表示装置37では、主制御装置110の制御により、この決定された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示演出が行われる。
また、ここで決定された変動パターン及び停止種別は、第1または第2変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドによって、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114へ通知される。そして、表示制御装置114の制御によって、第3図柄表示装置81では、変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドにより通知された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示演出が行われる。
普通図柄保留球数カウンタ203gは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理の中で検出される普通図柄始動口67を遊技球が通過(以下「始動入賞」と称す)したことに基づいて、第1図柄表示装置37で行われる変動表示演出(第3図柄表示装置81の第2図柄表示部88、第2図柄表示装置88で行われる変動表示演出)の保留球数(待機回数)をそれぞれ最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203gは、普通図柄始動口67を遊技球が通過したことに基づいて記憶される保留球数の合計を記憶するカウンタである。電源投入後のRAM203の初期設定処理によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される。一方、普通図柄保留球数カウンタ203gは、変動表示演出が実行される毎に1減算される。
普通図柄保留球格納エリア203hは、普通図柄始動口67への始動入賞の検出に伴ってカウンタ用バッファより取得した普通当たり乱数カウンタC4が記憶される記憶エリアである。主制御装置110のMPU201は、タイマ割込処理の中で、球が普通図柄始動口67へ通過(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから普通当たり乱数カウンタC4の値を取得し、普通図柄保留球格納エリア203hの普通当たり乱数カウンタ格納エリア203h1に格納する。普通図柄フラグ203jを普通図柄フラグ格納エリア203h2にオンに設定して格納(記憶)する。普通図柄保留球格納エリア203hは、一の始動入賞に対応するデータ(カウンタC4の値、普通図柄フラグ203j)が、最大4回分まで記憶(保留)できるように、4つの保留エリアを有している。普通図柄保留球格納エリア203hには、普通図柄始動口67へ通過(始動入賞)した順に保留球のデータが、データが空いている保留エリアの内、消化される順序の早い保留エリアから順に記憶される。
また、普通図柄保留球実行エリア203iは、始動入賞に基づいて、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、各カウンタ値が格納され、普通図柄の当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示(変動パターン)の設定等の処理において参照すべきデータ(カウンタC4の値)を記憶するためのメモリである。
なお、MPU201は、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、当たり抽選や、第2図柄表示部88または第2図柄表示装置88の表示の設定等の処理を実行するために、上述した普通図柄保留球格納エリア203hに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(普通当たり乱数カウンタC4の値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この普通図柄保留球実行エリア203iへシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
普通図柄フラグ203jは、普通当たり乱数カウンタC4のデータが記憶されており、保留されていることを示すフラグであり、また、普通図柄が変動表示中であることを示すフラグである。普通図柄保留球実行エリア203iまたは普通図柄保留球格納エリア203hに普通当たり乱数カウンタC4の値が格納されるとオンに設定される。また、普通当たりカウンタC4の値が次の保留エリア(保留が消化され、一つ保留個数を減らした保留個数に対応する保留エリア)にシフトされた場合には、シフトされる前の保留エリアの普通図柄フラグ203jはオフに設定され、一方シフトされて記憶された保留エリアの普通図柄フラグ203jはオンに設定される。また、普通図柄の変動表示が変動停止処理されると普通図柄フラグ203jはオフに設定される。
時短カウンタ203kは、15R通常大当たり遊技が実行された後に、時短回数100が設定されるカウンタエリアである。時短回数が設定されると、時短回数が0に設定されるまでの間、普通図柄当たり乱数テーブル202cにおいて高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルが設定される。また、普通図柄の当たりを示す図柄「○」が第2図柄表示部88に表示された場合に、普通電動役物64の羽根64a,64bが通常遊技状態よりも長い開放時間(本実施形態では、1s)開放する動作を2回繰り返される。この遊技状態を以下、時短遊技状態とする。
時短カウンタ203kは、第1特別図柄または第2特別図柄が変動表示停止する毎に1ずつ減算され、時短カウンタ203kの値が0となると、時短遊技状態から通常遊技状態へと移行し、普通図柄当たり乱数カウンタ202cの低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルが設定され、普通図柄の当たりを示す図柄「○」が第2図柄表示部88に表示された場合に、開放時間が0.2sで開放回数1回の設定で、普通電動役物64の羽根64a,64bが開放される。
確変フラグ203mは、遊技状態が高確率遊技状態であることを示すフラグである。第1特別図柄または第2特別図柄において、15R確変大当たり遊技が当選したことが報知され、15R確変大当たり遊技が実行された場合に、大当たり遊技が終了したことに基づいて、オンに設定されるフラグである。一方、確変フラグ203mがオンに設定されて、第1特別図柄または第2特別図柄で大当たりを示す図柄(すべての種別)で停止表示されるとオフに設定され、大当たり遊技後に、大当たり種別により、15R確変大当たりまたは2R確変大当たりであればオンに設定される。
第1大当たりフラグ203oは、第1始動口63aに入賞したことに基づいて、取得した特別当たり乱数カウンタC1の値が当たりであると判定された場合に、オンに設定されるフラグである。また、大当たり遊技が終了するとオフに設定される。
第2大当たりフラグ203pは、第2始動口63bに入賞したことに基づいて、取得した特別当たり乱数カウンタC1の値が当たりであると判定された場合に、オンに設定されるフラグである。また、大当たり遊技が終了するとオフに設定される。
第1変動停止フラグ203qは、第1特別図柄が変動表示中に、第2特別図柄の大当たり判定が当たりであると判定されたことを示すフラグである。後述する、主制御装置110のMPU201が実行する第2特別図柄大当たり判定処理において、オンに設定される。また、第1特別図柄変動停止処理において、第1特別図柄の変動表示が仮停止処理された場合にオフに設定される。
第2停止フラグ203rは、第2特別図柄が変動表示中に、第1特別図柄の大当たり判定が当たりであると判定されたことを示すフラグである。後述する、主制御装置110のMPU201が実行する第1特別図柄大当たり判定処理において、オンに設定される。また、第2特別図柄変動停止処理において、第2特別図柄の変動表示の仮停止処理が実行された場合にオフに設定される。
第1変動時間記憶エリア203sは、第1特別図柄の変動時間がカウント(計測)される記憶エリアである。第1変動時間記憶エリア203sは、第1特別図柄が変動表示開始されると変動時間をカウント(割り込み回数をカウント)し、変動時間(1割り込みで2ms)が計測される。
第2変動時間記憶エリア203tは、第2特別図柄の変動時間がカウント(計測)される記憶エリアである。第2変動時間記憶エリア203tは、第2特別図柄が変動開始されると変動時間をカウント(割り込み回数をカウント)し、変動時間(1割り込みで2ms)が計測される。
本実施形態では、第1変動時間記憶エリア203sおよび第2変動時間記憶エリア203tは、割り込み回数をカウントすることにより変動時間を計測したが、それに限らず、RTCから変動開始時に計時データを取得し、その後も随時、計時データを取得して、変動時間を計測する構成であってもよい。また、予め変動表示する変動時間を記憶させて、その値を随時減算していく構成であっても当然よい。
並び替え保留記憶エリア203uは、第1先読み処理または第2先読み処理において、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに記憶されている保留エリア1〜4の各データに基づいて判定した各判定結果が記憶される記憶領域である。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示部88、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ208や、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ(図3、122)回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ(図3、122)回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動表示演出(変動表示)といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、振動センサ228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81の下側表示領域Dsに表示されている入賞順に表示されている保留図柄表示を変動表示開始順に並び替えて表示されるように、音声出力装置226を制御し、また、表示制御装置114へ指示する。
また、振動センサ228は、遊技板213の裏面に取り付けられている。パチンコ機10では、入賞口への入賞が遊技状態を決定する重要な要因となるので、振動によって球の流れを変え、意図的に入賞口への入賞が行われることを阻止する必要がある。そこで、振動センサ228の出力から、遊技者などによってパチンコ機10に振動が与えられたと判断される場合は、その振動エラーを伝えるエラーコマンドを表示制御装置114に送信する。その他、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
音声ランプ制御装置113のRAM223には、コマンド記憶領域223a、第1特別図柄保留球数カウンタ223b1、第2特別図柄保留球数カウンタ223b2、第1変動開始フラグ223c1、第2変動開始フラグ223c2、第1停止種別選択フラグ223d1、第2停止種別選択フラグ223d2、従第1変動停止フラグ223e、従第2変動停止フラグ223f、従第1変動再開フラグ223g、従第2変動再開フラグ223h、従第1変動時間記憶エリア223i、従第2変動時間記憶エリア223j、従並び替え後記憶エリア223k、その他メモリエリア223mが少なくとも設けられている。
コマンド記憶領域223aは、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ出力された各種コマンドがそのコマンドに対する処理が実行されるまで一時的に記憶され領域である。詳細には、リングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理が実行されると、コマンド記憶領域223aに記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
第1特別図柄保留球数カウンタ223b1は、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203aと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる第1特別図柄の変動表示(動的表示)であって、主制御装置110において保留されている変動表示演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
第2特別図柄保留球数カウンタ223b2は、主制御装置110の第2特別図柄保留球数カウンタ203aと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる第2特別図柄の変動表示(動的表示)であって、主制御装置110において保留されている変動表示演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
第1変動開始フラグ223c1は、電源投入時に初期値としてオフに設定され、主制御装置110から出力された第1特別図柄の変動パターンを通知する第1変動パターンコマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
第2変動開始フラグ223c2は、電源投入時に初期値としてオフに設定され、主制御装置110から出力された第2特別図柄の変動パターンを通知する第2変動パターンコマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
第1停止種別選択フラグ223d1は、主制御装置110から出力される第1特別図柄の変動停止種別を通知する第1停止種別コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
第2停止種別選択フラグ223d2は、主制御装置110から出力される第2特別図柄の変動停止種別を通知する第2停止種別コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
従第1変動停止フラグ223eは、第1特別図柄が仮停止していることを示すフラグである。主制御装置110から仮第1変動停止コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における第1特別図柄の変動表示を停止処理する処理を実行した場合に、オフに設定される。
従第2変動停止フラグ223fは、第2特別図柄が仮停止していることを示すフラグである。主制御装置110から仮第2変動停止コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における第2特別図柄の変動表示を停止処理する処理を実行した場合に、オフに設定される。
従第1変動再開フラグ223gは、仮停止されていた第1特別図柄の変動表示が再開されることを示すフラグである。主制御装置110から第1特別図柄変動再開コマンドを受信した場合に、従第1再開フラグ223gがオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81の第1特別図柄の変動表示が再開される処理を実行した場合に、オフに設定される。
従第2変動再開フラグ223hは、仮停止されていた第2特別図柄の変動表示が再開されることを示すフラグである。主制御装置110から第2特別図柄変動再開コマンドを受信した場合に、従第2再開フラグ223hがオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81の第2特別図柄の変動表示が再開される処理を実行した場合に、オフに設定される。
従第1変動時間記憶エリア223iは、第1特別図柄の変動時間を計測した値が記憶される記憶領域である。主制御装置110のMPU201のRAM203の第1変動時間記憶エリア203sと同期した値で記憶される記憶エリアである。第1特別図柄の変動開始に基づいて、1ms毎に1ずつ加算されて実際の変動表示した変動時間が記憶される。
従第2変動時間記憶エリア223jは、第2特別図柄の変動時間を計測した値が記憶される記憶領域である。主制御装置110のMPU201のRAM203の第2変動時間記憶エリア203tと同期した値で記憶される記憶エリアである。第2特別図柄の変動表示開始に基づいて、1ms毎に1ずつ加算されて実際の変動表示した変動時間が記憶される。
従並び替え保留記憶エリア223kは、主制御装置110から出力される入賞コマンドに基づいて、主制御装置110におけるRAM203の並び替え保留記憶エリア203uと同様のデータが、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して出力される入賞コマンドに基づいて記憶される記憶領域である。
その他メモリエリア223mは、音声ランプ制御装置113のMPU221が使用するその他カウンタ値等を一時的に記憶して置くためのエリアである。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ(図3、122)(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ(図3、122)回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
なお、停電が発生すると、主制御装置110のMPU201は、並び替え保留記憶エリア203uの各データをバックアップデータとしてRAM203のバックアップエリアに記憶する。そして、再度、パチンコ機10に電力が供給されると、バックアップエリアより並び替え保留記憶エリア203uのバックアップされた各データが読み出され、並び替え保留記憶エリア203uの対応する各保留エリアまたは変動中データ記憶領域に記憶される。
そして、立ち上げ処理において、第1先読み更新処理で生成される入賞コマンドと同様に、バックアップしたデータが読み出され記憶された並び替え保留記憶エリア203uに基づいて全ての入賞コマンドが生成され、音声ランプ制御装置113に出力されることにより、従並び替え保留記憶エリア223kにも同じ並び替え保留記憶エリア203uと同期したデータが設定される。
また、立ち上げ処理において、音声ランプ制御装置113に入賞コマンドを送信することで、並び替え保留記憶エリア203uと従並び替え保留記憶エリア223kとのデータを停電時からの復帰時にも同期させる構成を説明したが、それに限らず、主制御装置110のMPU201と同様に、音声ランプ制御装置113のMPU221が、停電発生時に、従並び替え保留記憶エリア223kの各データをRAM223にバックアップデータとして記憶させる構成にしても当然よい。
RAM消去スイッチ(図3、122)回路253は、電源投入時(RAM消去スイッチ(図3、122)を押しながら電源投入)にRAM消去スイッチ(図3、122)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
主制御装置110のMPU201は、特別図柄や普通図柄の入賞の検知や、その入賞に対して当たりや変動パターンの選択等の各種抽選等の制御処理を実行している。その為、MPU201の制御負荷は大きくなっており、安定してパチンコ機10の制御を実行するために、本実施形態のように、遊技動作示唆設定を設定するか否かの抽選を、サブ制御装置に該当する音声ランプ制御装置113のMPU221が行うようにすることで、主制御装置110の制御負荷を軽くすることができる。
主制御装置110と音声ランプ制御装置113との制御基板は、基板ボックスと呼ばれる、透明なプラスチック製のベース部材と蓋部材で構成された箱(ボックス)により覆われている。その基板ボックスは、ベース部材と蓋部材とを容易に離間できないように「封止部材」と呼ばれる不正防止のための部材によりかしめが行われている。一般的に封止部材は、ベース部材と蓋部材を勘合させた場合に、ベース部材と蓋部材との一部を貫通して設けられた貫通孔にピン形状の封止部材を挿入する(かしめる)ことで、貫通孔を形成している部材を破壊するか、封止部材を破壊するか等の開封痕の残る方法でしかベース部材と蓋部材を離間させることが困難に構成されている。
次いで、図7から図18を参照して、振分装置1000の詳細構成について説明する。まず、図7(a)及び図7(b)を参照して、振分装置1000の全体構成について説明する。
図7(a)は、振分装置1000の正面図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印VIIb方向視における振分装置1000の側面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、振分装置1000は、基板部材1100(図8参照)と、その基板部材1100の前面側(図7紙面手前側)に配設される前面部材1200(図9から図12参照)と、それら基板部材1100及び前面部材1200の対向間(内部空間)に回動可能に配設される円板部材1300(図13参照)とを備え、入球した遊技球を第1位置と第2位置との2位置(本実施形態では第1始動口63a及び第2始動口63b)へ交互に振り分ける(図4参照)。
次いで、図8から図13を参照して、基板部材1100、前面部材1200及び円板部材1300の詳細構成について、順に説明する。図8(a)は、基板部材1100の正面図であり、図8(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向視における基板部材1100の側面図であり、図8(c)は、図8(a)の矢印VIIIc方向視における基板部材1100の底面図である。なお、図8(a)では、基板部材1100に対する前面部材1200の配設位置の関係を示すために、前面部材1200が二点鎖線を用いて模式的に図示される。
図8(a)から図8(c)に示すように、基板部材1100は、正面視横長の板状に形成され、その板状体の隅部4ヶ所には、挿通孔1100aが穿設される。これら各挿通孔1100aに挿通された締結ねじにより、基板部材1100が、遊技盤13のベース板60(図2参照)に締結固定される。
基板部材1100の略中央部4ヶ所には、挿通孔1100bが穿設される。これら挿通孔1100bには、基板部材1100の背面側(図8(a)紙面奥側)から締結ねじが挿通され、その締結ねじにより、基板部材1100の前面側(図8(a)紙面手前側)に前面部材1200が締結固定される。
基板部材1100の中央下方には、2本の誘導通路(左誘導通路1110L及び右誘導通路1110R)が配設される。これら左誘導通路1110L及び右誘導通路1110Rは、円板部材1300の左受け部1310L及び右受け部1310R(図13参照)から排球される遊技球を受け入れると共にその受け入れた遊技球を第1始動口63a及び第2始動口63b(図4参照)へ誘導するための通路であり、遊技球の入口となる開口(左開口1111L及び右開口1111R)が一端側に上方に開口して形成されると共に、遊技球の出口となる開口が他端側に左連通孔1120L及び右連通孔1120Rにそれぞれ連通された状態で形成される。
左誘導通路1110Lの左開口1111Lは、右誘導通路1110Rの右開口1111Rよりも、基板部材1100の前面側(図8(c)下側)に配設される。即ち、左開口1111L及び右開口1111Rは、基板部材1100の前後方向(図8(a)紙面垂直方向)に沿って並設され、これにより、基板部材1100に前面部材1200が締結固定された組み立て状態では、左開口1111L及び右開口1111Rが、前面部材1200の左排球口1222L及び右排球口1222R(いずれも図9(c)参照)にそれぞれ連通される。
よって、後述するように、円板部材1300の左受け部1310Lから排球される遊技球は、前面部材1200の左排球口1222Lを介して、左誘導通路1110Lの左開口1111Lに、円板部材1300の右受け部1310Rから排球される遊技球は、前面部材1200の右排球口1222Rを介して、右誘導通路1110Rの右開口1111Rに、それぞれ導入される(図14から図18参照)。
なお、基板部材1100の左連通孔1120Lには第1始動口63aが、右連通孔1120Rには第2始動口63bが、それぞれ接続される(図4参照)。よって、左誘導通路1110Lは、左開口1111Lから導入された遊技球を、左連通孔1120Lに誘導して、第1始動口63aに入賞させる。一方、右誘導通路1110Rは、右開口1111Rから導入された遊技球を、右連通孔1120Rに誘導して、第2始動口63bに入賞させる。
次いで、図9及び図10を参照して、前面部材1200の全体構成について説明する。図9(a)は、前面部材1200の正面図であり、図9(b)は、図9(a)の矢印IXb方向視における前面部材1200の側面図であり、図9(c)は、図9(a)のIXc−IXc線における前面部材1200の断面図である。図10(a)は、前面部材1200の背面図であり、図10(b)は、図10(a)の矢印Xb方向視における前面部材1200の上面図である。
図9及び図10に示すように、前面部材1200は、板状の前面板部材1210と、その前面板1210の背面側(図10紙面手前側)に配設される円筒状の対面壁部材1220と、その対面壁部材1220の内周側に同心に配設される軸部材1230とを備え、これらが樹脂材料から一体に形成される。
対面壁部材1220は、内部に円板部材1300(図13参照)が回動可能に内装される部位であり、その内径寸法が、円板部材1300の外径寸法と同一の寸法または若干大きな寸法に設定される。
対面壁部材1220は、軸方向一端側(図9(c)右側)の開口が前面板部材1210により閉封され、軸方向他端側(図9(c)左側)の開口が開放して形成される。この開放された開口は、基板部材1100により閉封される(図7及び図8参照)。即ち、振分装置1000の組み立ては、前面部材1200の対面壁部材1220の開放側から円板部材1300を挿入すると共に、基板部材1100を締結固定することで、円板部材1300を振分装置1000の内部に回転可能かつ脱落不能に内装することができる。よって、組み立て工程して、製造コストの削減を図ることができる。
対面壁部材1220には、入球口1221と、左排球口1222L及び右排球口1222Rと、左溝1223L及び右溝1223Rと、案内傾斜部1224と、被締結孔1225とが形成される。
入球口1221は、遊技領域を流下する遊技球が入球される開口であり、対面壁部材1220の最上部となる位置に鉛直方向(図10上下方向)に沿って穿設される。また、入球口1221は、対面壁部材1220の軸方向(図9(c)左右方向)における中央(即ち、回転部材1300における左受け部1310L及び右受け部1310R(図13参照)の両者の移動軌跡が重なる位置)に配設され、入球された遊技球を、左受け部1310L及び右受け部1310Rのいずれにも受けさせる(誘導する)ことができる。
左排球口1222L及び右排球口1222Rは、円板部材1300の左受け部1310L及び右受け部1310Rにより搬送された遊技球を、基板部材1100の左誘導通路1110L及び右誘導通路1110Rへ導入するための開口であり、対面壁部材1220の最下部となる位置(即ち、入球口1221から180度位相を異ならせた位置)に鉛直方向(図10上下方向)に沿って穿設される。
左排球口1222L及び右排球口1222Rは、対面壁部材1220の軸方向(図9(c)左右方向)に互いに離間されると共に、円板部材1300が回動される際の左受け部1310L及び右受け部1310Rの出口側(傾斜側面1312側、図13参照)の移動軌跡上にそれぞれ配置される。
左溝1223L及び右溝1223Rは、対面壁部材1220の内周面に凹設される断面円弧状の凹溝であり、対面壁部材1220の周方向に沿って延設される。円板部材1300の回動に伴い、左受け部1310L又は右受け部1310Rに収納された遊技球が左排球口1222L又は右排球口1222Rへ向けて搬送される際には、その遊技球の一部を左溝1223L又は右溝1223Rに受け入れることができる(例えば、図15参照)。
左溝1223L及び右溝1223Rの内周面(延設方向に垂直な断面における円弧形状)の曲率半径は、遊技球の曲率半径と同等または若干大きな曲率半径に設定される。よって、遊技球が左溝1223L又は右溝1223Rに受け入れられた状態で円板部材1300が回動されると、遊技球が左溝1223L又は右溝1223R上を転動または摺動される。
案内傾斜部1224は、上面側が開放されると共に、底面に入球口1221が開口される凹部であり、その凹部の内壁は、入球口1221へ向けて下降傾斜する4面の傾斜面として形成される(図10(b)参照)。よって、案内傾斜部1224内に流下された遊技球を入球口1221へ案内して確実に入球させることができる。
案内傾斜部1224の内壁は、遊技球の直径よりも高く(大きく)されるので、その内部(凹部空間内)に遊技球を保持しておくことができる。即ち、入球孔1221から左受け部1310L又は右受け部1310R(図13参照)へ遊技球を導入させることができない場合は、円板部材1300の回動に伴い、左受け部1310L又は右受け部1310Rが入球口1221の直下に配設されるまでの間、遊技球を案内傾斜部1224の内部に保持できる。円板部材1300の回動に伴い、左受け部1310L又は右受け部1310Rが入球口1221の直下に配設された場合には、保持している遊技球を、入球口1221を介して速やかに左受け部1310L又は右受け部1310Rへ導入させることができる。
被締結孔1225は、対面壁部材1220の端面(図10紙面手前側面)に開口されるねじ孔であり、基板部材1100の挿通孔1100b(図8参照)に対応する位置に形成される。即ち、基板部材1100の背面側から挿通孔1100bに挿通された締結ねじが、対面壁部材1220の被締結孔1225に締結されることで、前面部材1200が基板部材1100に締結固定される。
対面壁部材1220の外周面には、対面側磁石1226が埋設される。対面側磁石1226は、左排球口1222L又は右排球口1222Rへ向けて搬送される遊技球に磁力(引き付ける力)を作用させるための磁石であり、左溝1223L及び右溝1223Rの延設方向に沿って、複数個(本実施の形態では各3個)がそれぞれ列設される。
対面壁部材1220の内周面側には、軸部1230が前面板部材1210の背面から垂直に立設される。軸部1230は、対面壁部材1220の内周面に同心に配設され、円板部材1300(図13参照)を回動可能に軸支する軸として使用される。
次いで、図11及び図12を参照して、前面部材1200の左排球口1222L及び右排球口1222Rと左溝1223L及び右溝1223Rとの詳細構成について説明する。
図11は、図9(c)のXI−XI線における対面壁部材1220の断面図であり、図12は、図10(a)の矢印XII方向視における対面壁部材1220の内周面を平面に展開して図示した平面展開図である。
なお、左排球口1222Lは右排球口1222Rと、左溝1223Lは右溝1223Rと、それぞれ同一の構成であるので、ここでは、右排球口1222R及び右溝1223Rのみを説明し、左排球口1222L及び左溝1223Lについての説明は省略する。
図11及び図12に示すように、右排球口1222Rは、対面壁部材1220の内周面側(図11上側)から外周面側(図11下側)へ向かうに従って直径が大きくされるテーパ孔として形成される。即ち、右排球口1222Rは、その孔の延設方向が、円板部材1300の回動方向進行側(図11では右溝1223Rから離間する方向)へ向けて傾斜して延設される孔として形成される。よって、後述するように、円板部材1300の右受け部1310Rから排球される遊技球を、対面壁部材1220の右排球口1222R内へスムーズに入り込ませると共に、入り込んだ遊技球を滞らせることなく出口まで通過させることができる(図16(b)参照)。
右排球口1222Rは、対面壁部材1220の内周面側の開口縁部であって、右溝1223Rの終端に対面する側(図11左側)の開口縁部の位置が、右溝1223Rの底面よりも対面壁部材1220の中心側(即ち、円板部材1300に近接する側、図11上側)に配設される。
よって、遊技球が、その一部を右溝1223Rに受け入れさせつつ(嵌り込ませつつ)、右排球口1222Rに到達する際に(図15及び図16参照)、その遊技球の外周面を、右排球口1222Rの開口縁部(右溝1223Rの終端に対面する側、図11左側)に当接させることができる(図16(b)参照)。これにより、後述するように、右排球口1222Rへ遊技球を確実に排球させることができるだけでなく、円板部材1300の回動を停止させることができる。
右溝1223Rは、終端(図12下端)が右排球口1222Rに接続される一方、始端(図12上端)は、入球口1221に接続されない。即ち、入球口1221から約80度位相を進めた位置に右溝1223Rの始端(図12上端)は位置する。入球孔1221から約80度の位相範囲では、右受け部1310Rに受け入れられている遊技球は対面壁部材1220の内周面にはほぼ接触されず(図14(b)及び図15(a)参照)、右溝1223Rの凹設が無駄となるからである。これにより、不必要な凹設による対面壁部材1220の強度低下を抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。一方で、右溝1223Rの始端を、入球口1221から90度位相を進めた位置よりも少し(約10度)早めた位置とすることで、遊技球を右溝1223Rに確実に導入することができると共に、右溝1223Rによる効果(転動抵抗または摺動抵抗を遊技球に作用させる)を最大限発揮させることができる。
右溝1223Rは、右排球口1222Rへ向かうに従って、対面壁部材1220の内周面からの凹設深さが大きく(深く)される。この場合、上述したように、右溝1223Rは、内周面の曲率半径が、遊技球の曲率半径と同等とされる。
よって、円板部材1300の回転に伴い遊技球が右溝1223Rを転動または摺動する際には、右溝1223Rから遊技球へ作用させる転動抵抗または摺動抵抗を、右排球口1222Rへ近づくほど大きくすることができる。また、遊技球が右溝1223Rに受け入れられる量(嵌り込む量)を、右排出孔1222Rへ近づくに従って徐々に大きくできる。よって、後述するように、円板部材1300の回動速度を低減させ易くして、右排球口1222Rへの遊技球の排球を確実化できると共に、右排球口1222Rへ入り込む方向への慣性力を遊技球に持たせることができる。
右溝1223Rの底面側には、その右溝1223Rの延設方向に沿って対面側磁石1226が列設される。即ち、対面側磁石1226は、遊技球が円板部材1300の回動動作に伴い移動する移動軌跡に対応する位置に配設される。また、対面側磁石1226は、対面壁部材1220の入球口1221よりも右排球口1222Rに近い側(図12下側)に配設される。本実施の形態では、右排球口1222Rの開口縁部(図11右側)から15度位相を後退させた(図11反時計方向に中心角15度の)範囲内に配設される。
よって、右溝1223を遊技球が通過する際には、その遊技球へ対面側磁石1226の磁力(遊技球を引き付ける力)を作用させることができ、その結果、円板部材1300に回動抵抗を作用させることができる。よって、後述するように、円板部材1300の回動速度を低減させ易くして、右排球口1222Rへの遊技球の排球を確実化できる。
また、本実施形態では、対面側磁石1226の磁力を作用させる対象として遊技球を利用するので、円板部材1300に磁石を配設する必要がない。よって、その分、部品点数を削減して、組み立てコスト及び製品コストの削減を図ることができる。但し、対面側磁石1226と引き付け合う磁極の向きで円板部材1300に磁石を設けても良い。
対面側磁石1226は、複数(本実施形態では3個)が配設されると共に、それら複数の対面側磁石1226は、右排球口1222Rに近いものほど、遊技球(即ち、右溝1223Rの底面)から対面壁部材1220の径方向に離間する離間量が小さくされる。よって、対面側磁石1226による磁力(遊技球を引き付ける力)による効果を、遊技球が右排球口1222Rへ近づくほど大きくできる。よって、後述するように、対面側磁石1226から遊技球へ磁力を作用させる効果を徐々に強くすることができるので、円板部材1300の回動速度をスムーズに低減させることができる。
次いで、図13を参照して、円板部材1300について説明する。図13(a)は、円板部材1300の上面図であり、図13(b)は、図13(a)の矢印XIIIb方向視における円板部材1300の正面図であり、図13(c)は、図13(b)の矢印XIIIc方向視における円板部材1300の底面図である。なお、図13(b)では、左受け部1310L及び右受け部1310Rを破線により模式的に図示する一方、押込板1320の図示を省略する。
図13に示すように、円板部材1300は、対面壁部材1220の入球口1221から入球された遊技球を左排球口1222L又は右排球口1222Rへ搬送するための部材であり(図9から図12参照)、所定の厚み(図13(a)及び図13(c)上下方向寸法)を有する軸方向視円形の円板状に形成される。
なお、以下においては、円板部材1300の軸方向一端側(図13(b)紙面手前側)の面を前面Fと称し、その前面Fの反対側の面を背面Bと称す。本実施形態では、円板部材1300は、前面Fが前面部材1200の前面板部材1210(図9(c)参照)に対面すると共に、背面Bが基板部材1100(図8参照)に対面する向きで、それら基板部材1100及び前面部材1200の間に内装される。
円板部材1300は、その外周面に凹設される左受け部1310L及び右受け部1310Rと、それら左受け部1310L及び右受け部1310Rの開口部分にそれぞれ架設される押込板1320と、前面部材1200の軸部1230(図9及び図10参照)により軸支される軸受部となるワンウェイクラッチ1330とを備える。
左受け部1310L及び右受け部1310Rは、入球口1221に入球された遊技球を受けると共に、その受けた遊技球を収納し、左排球口1222L及び右排球口1222Rへそれぞれ排球するための正面視長方形の凹部であり、互いに180度位相を異ならせて配置される。
左受け部1310L及び右受け部1310Rは、傾斜底面1311と、その傾斜底面1311に連なる傾斜側面1312とを備える。傾斜底面1311は、凹部の底面を形成する平坦面であり、この傾斜底面1311の一端側(傾斜側面1312と反対側)に入球口1221から遊技球が落下される。
傾斜底面1311は、円板部材1300の回転方向前方側(傾斜側面1312側)へ向けて下降傾斜される。即ち、左受け部1310L及び右受け部1310Rは、円板部材1300の外周面からの凹設深さが傾斜側面1312側ほど深く(円板部材1300の軸心から傾斜底面1311までの距離が、傾斜側面1312側ほど短く)される。よって、入球口1221から傾斜底面1311へ落下した遊技球は、その傾斜底面1311上を傾斜側面1312へ向けて転動される(図14参照)。その結果、後述するように、遊技球の重さによって円板部材1300全体としての重心位置が軸心から偏心され、円板部材1300が回動される(図14及び図15参照)。
傾斜側面1312は、凹部の側面を形成する平坦面であり、凹部に収納された遊技球は、傾斜側面1312上を左溝1223L又は右溝1223Rへ向けて転動される(図15(a)参照)。傾斜側面1312は、傾斜底面1311との間に90度以上の角度を有しつつ、傾斜底面1311の下降傾斜端となる他端側(円板部材1300の回動方向前方側)から立設される。
ここで、左受け部1310L及び右受け部1310Rは、傾斜底面1311の一端側(傾斜側面1312と反対側となる上昇傾斜端)が共に円板部材1300の厚み方向(図13(a)及び図13(c)方向)中央に位置する一方、左受け部1310Lは、傾斜側面1312が円板部材1300の前面F側に位置し、右受け部1310Rは、傾斜側面1312が円板部材1300の背面B側に位置する。
即ち、傾斜底面1311の一端側(傾斜側面1312と反対側となる上昇傾斜端)は、左受け部1310L及び右受け部1310Rの両者において、円板部材1300が回動される際に、入球口1221に対応する位置(対面する位置)を通過可能に形成される。よって、入球口1221から落下された遊技球を受け凹部に収容することができる。
一方、左受け部1310Lの傾斜側面1312は、回動部材1300が回動される際に、左溝1223L及び左排球口1222Lに対応する位置(対面する位置)を、右受け部1310Rの傾斜側面1312は、回動部材1300が回動される際に、右溝1223R及び右排球口1222Rに対応する位置(対面する位置)を、それぞれ通過可能に形成される。よって、収納される遊技球を左排球口1222L又は右排球口1222Rへ排球することができる。
左受け部1310L及び右受け部1310Rは、傾斜底面1211の一端側(傾斜側面1312と反対側となる上昇傾斜端)における凹設深さが最小となるところ、かかる一側における凹設深さの寸法は、遊技球の直径よりも少なくとも大きな深さ寸法とされる。これにより、入球口1221から遊技球を受ける初期段階において、傾斜底面1311で跳ね返った遊技球が対面壁部材1220の内周面へ衝突することを抑制して、円板部材1300の回動動作を円滑に進行させることができる。
一方、傾斜底面1211の一端側(傾斜側面1312と反対側となる上昇傾斜端)における凹設深さの寸法は、遊技球の直径の1.5倍よりも小さな深さ寸法とされる。これにより、入球口1221から2個以上の遊技球が連なって入球される場合でも、回転部材1300の回動動作に伴って、2個目以降の遊技球を入球口1221(案内傾斜部1224)へ押し戻すことができる。
押込板1320は、遊技球を、左溝1223L又は右溝1223Rへ押し当てると共に左排球口1222L又は右排球口1222Rへ押し込むための板状の部材であり(図15及び図16参照)、両端が締結ねじにより円板部材1300に締結固定される。なお、円板部材1300の外周面には、押込板1320の厚み寸法よりも深い収納溝が凹設され、その収納溝に押込板1320は収納された状態で締結固定される。よって、押込板1320及び締結ねじの頭部は、円板部材1300の外周面から突出されない。
ここで、押込板1320は、遊技球を排球口へ押し込む際に大きな反力を繰り返し受けるため、締結ねじが折損する恐れがある。この場合、押込板1320は、収納溝に収納されているので、押込板1320が遊技球を排球口へ押し込む際に受ける反力を、収納溝の側面に作用させる(収納溝の側面に押込板1320を支持させる)ことができ、その分、締結ねじが受ける荷重負担を軽減させることができる。よって、締結ねじの折損を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、押込板1320を締結ねじにより円板部材1300に締結固定するが、かかる締結ねじによる締結を省略しても良い。即ち、押込板1320は、収納溝に収納されると共に、その収納溝の開口は、対面壁部材1220の内周面により閉封されるので、円板部材1300の外周面と対面壁部材1220の内周面との間の隙間寸法を押込板1320の厚み寸法よりも小さな寸法に設定すれば、押込板1320を、遊技球を押込み可能かつ脱落不能に配設できる。よって、締結ねじを省略できる分、部品点数を削減すると共に組み立て工程を簡素化して、製造コストの削減を図ることができる。
ワンウェイクラッチ1330は、円板部材1300の回転方向を規制するための部品であり、図13(b)に示す円板部材1300の正面視(前面F視)において、図13(b)時計周り(右回転)の回動は許容する一方、その反対方向(図13(b)反時計周り(左回転))の回動は規制する。
即ち、円板部材1300は、左受け部1310L及び右受け部1310Rの底面1311が下降傾斜する方向への回動(即ち、遊技球の重さによって円板部材1300が回動すべき方向への回動)が許容されると共に、反対方向への回動が規制される。
ここで、例えば、入球口1221に入球した遊技球を左受け部1310L又は右受け部1310Rが受けた直後(傾斜底面1311に落下した遊技球の転動が開始される前、図14(a)参照)に、遊技者がガラスユニット16を叩くなどの外乱により振分装置1000に振動が入力されると、その振動の影響により、円板部材1300が本来回動すべき方向とは逆方向へ回動するおそれがある。これに対し、本実施形態では、円板部材1300がワンウェイクラッチ1330を介して軸支されているので、振動などの外乱の影響を受けた場合でも、本来回動すべき方向とは反対方向へ円板部材1300が回動することを回避できる。
次いで、図14から図18を参照して、振分装置1000による遊技球の振分動作について説明する。図14、図15及び図16は、左受け部1310Lで受けた遊技球を左排球口1222Lから排球する動作の遷移を図示する振分装置1000の部分断面模式図であり、図17及び図18は、右受け部1310Rで受けた遊技球を右排球口1222Rから排球する動作の遷移を図示する振分装置1000の部分断面模式図である。
図14(a)に示すように、遊技領域を流下する遊技球が入球口1221(図9及び図10参照)に入球され、その遊技球を左受け部1310Lが受ける場合には、遊技球が入球口1221から左受け部1310Lの底面1311の一端側(図14(a)左側)に落下される。
図14(b)に示すように、入球(落下)された遊技球は、左受け部1310Lの底面1311の下降傾斜によって、その底面1311上を他端側(傾斜側面1312側)へ向けて転動される。
その結果、遊技球の重さが円板部材1300に加わり、その遊技球の重さを含めた円板部材1300全体の重心位置が軸心に対して偏心されることで、円板部材1300が遊技球の転動する方向(即ち、図14(b)の時計回り方向)へ向けて回動される。このように、底面1311が下降傾斜され、その下降傾斜方向に沿って遊技球が転動されるので、その分、遊技球を含めた円板部材1300全体の重心位置の変化を大きくすることができる。よって、円板部材1300を確実に回動させることができると共にその回動動作を速やかに行わせることができる。
また、仮に、例えば、異物の噛み込みなどの抵抗により、遊技球が底面1311を傾斜側面1312へ向けて転動されている間に、円板部材1300の回動動作が開始されない場合でもあっても、その底面1311を転動する遊技球を傾斜側面1312に衝突させることができ、その遊技球の傾斜側面1312への衝突により、円板部材1300に衝撃力を与えることができる。よって、円板部材1300が回動動作を開始するためのきっかけ(例えば、衝撃力による異物の除去など)を付与することができる。特に、この衝撃力の作用方向は、円板部材1300が本来回動すべき方向に一致するため、円板部材1300が回動動作を開始するためのきっかけを効果的に付与できる。
ここで、遊技領域を流下する遊技球が、不安定な状態(例えば、落下方向が一定でなく、側壁に衝突を繰り返すような暴れた状態)で入球口1221へ入球し、その入球した遊技球が、例えば、押込板1320に衝突した後、傾斜側面1312と反対側の側面(図14(a)左側の側面)に衝突する場合には、その衝突の際の衝撃力により、左受け部1310Lに収納された遊技球の重さによって回動すべき本来の方向とは反対方向(図14(a)の反時計回り)へ円板部材1300の回動が開始されるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、円板部材1300が、ワンウェイクラッチ1330を介して軸部1230(図9及び図10参照)に軸支されるので、左受け部1310Lの底面1311が下降傾斜する方向(即ち、遊技球の重さによって回動すべき本来の方向)への回動のみを許容し、その反対方向(図14(a)の反時計回り)への回動を規制することができる。
傾斜側面1312の傾斜は、図14(b)に示す状態では、底面1311から離間するに従って上昇する傾斜(上昇傾斜)であるが、円板部材1300の回動が開始されると、その円板部材1300の回動に伴って、上昇傾斜の傾斜角が徐々に減少され、水平に達した後に、底面1311から離間するに従って下降する傾斜(下降傾斜)となる。そのため、左受け部1310に収納される遊技球は、傾斜側面1312上をその下降傾斜に沿って円板部材1300の外周面(対面壁部材1220の内周面)へ向けて転動される。
図15(a)に示すように、遊技球は、傾斜側面1312上をその下降傾斜に沿って転動されることで、対面壁部材1220の内周面に到達する。この場合、対面壁部材1220の内周面に凹設される左溝1223Lは、左受け部1310L(傾斜側面1312)の移動軌跡に沿って延設されるので、円板部材1300が回動する際には、左受け部1310に収納された遊技球の一部が左溝1223Lに受け入れられた状態を形成できる。
図15(a)、図15(b)及び図16(a)に示すように、円板部材1300の回動動作が更に進行されると、傾斜側面1312の下降傾斜の傾斜角が更に増加されることとなり、遊技球は自重および円板部材1300の回動に伴い作用する遠心力により、対面壁部材1220の内周面へ向けて移動される。その結果、円板部材1300は、左溝1223Lに遊技球の一部が受け入れられた状態を維持しつつ、回動される。
このように、円板部材1300が回動する際には、円板部材1300が対面壁部材1220(左溝1223L)に対し、遊技球を介して連結された状態を形成できる。よって、左溝1223Lを遊技球が転動または摺動する際の抵抗を利用して、円板部材1300に回動抵抗を作用させることができ、その結果、円板部材1300が回動方向へ過大な慣性力(回動速度)を有することを抑制できる。よって、その後、遊技球を左排球口1222Lへ排球する際には(図16(b)参照)、その排球を確実に行うことができる。
なお、左受け部1310Lの開口部分には、押込板1320が架設され、この押込板1320は、遊技球の一部が左溝1223に受け入れられた状態で、円板部材1300が回動動作される場合に、遊技球に対し円板部材1300の回動方向後方においてその遊技球に当接可能に形成される。よって、かかる押込板1320を介して、遊技球の転動抵抗または摺動抵抗を円板部材1300に伝達でき、その結果、円板部材1300に回動抵抗を付与することができる。
上述のように、左受け部1310Lに収納された遊技球の一部が左溝1223Lに受け入れられた状態(即ち、左受け部1310Lから突出された状態)を形成できれば、その受け入れ量(突出量)の分だけ、遊技球を左排球口1222Lに近づけた状態とし、かかる左排球口1222Lに入り込みやすい状態としておけるので、左排球口1222Lへの遊技球の排球(図16(b)参照)を確実に行うことができる。
なお、左溝1223Lは、左排球口1222Lへ向かうに従って凹設深さが大きく(深く)されるので、遊技球と左溝1223Lとの間の転動または摺動による抵抗を、その遊技球が左排球口1222Lに近づく(即ち、円板部材1300の回動が進行する)に従って、徐々に大きくすることができる。よって、円板部材1300の回動方向への慣性力(回動速度)を効率的に抑制することができる。
また、左受け部1310Lに収納された遊技球の一部が左溝1223Lに受け入れられる量(即ち、左受け部1310Lから遊技球が突出される量)を徐々に大きくできるので、円板部材1300の回動に伴って、径方向外方(即ち、左溝1223Lに受け入れられる方向)へ遊技球を移動させることができる。この径方向外方への移動により、左排球口1222Lへ入り込む方向への慣性力を遊技球に持たせることができるので、かかる遊技球を左排球口1222Lへ入り込みやすくでき、その結果、左排球口1222Lへの遊技球の排球(図16(b)参照)を確実に行うことができる。
ここで、遊技球が左溝1223Lを転動または摺動するのは、円板部材1300が所定角度だけ回動された後である(図12及び図15(a)参照)。これにより、入球口1221(図9及び図10参照)に入球した遊技球を左受け部1310Lが受けて円板部材1300が回動を開始する初期段階は(図14参照)、その円板部材1300の回動に勢いがないところ、遊技球と左溝1223Lとの間の転動または摺動による抵抗を発生させず、円板部材1300の回動を円滑かつ速やかに開始および進行させることができる。一方、円板部材1300の回動動作が進行する段階(図15(a)に示す中期および図15(b)から図16(b)に示す後期の段階)では、円板部材1300の慣性力が徐々に増加し、勢いが増すところ、遊技球と左溝1223Lとの間の転動または摺動による抵抗を利用して、円板部材1300の慣性力を効率的に抑制することができる。
図15(b)及び図16(a)に示すように、左溝1223Lの終端近傍には、対面側磁石1226が配設される。対面側磁石1226は、左溝1223Lの延設方向(即ち、左受け部1222Lに収納された遊技球が円板部材1300の回動に伴い移動する移動軌跡)に沿って配設されるので、円板部材1300の回動に伴い遊技球が左溝1223Lを転動または摺動する際には、その遊技球に対面側磁石1226の磁力(遊技球を引き付ける力)を作用させることができる。これにより、対面側磁石1226の磁力を、遊技球を介して、円板部材1300に回動抵抗(制動力)として作用させることができ、円板部材1300を減速させることができる。その結果、入球口1221に入球した遊技球の右受け部1310Rでの受け取り(図17(a)参照)及び左排球口1222Lへの遊技球の排球(図16(b)参照)を確実に行うことができる。
また、このように、対面側磁石1226を左溝1223Lの終端近傍に配設することで、磁力を利用した円板部材1300の制動(回動抵抗の付与)を効果的に行うことができる。即ち、上述したように、入球口1221に入球した遊技球を左受け部1310Lが受けて円板部材1300が回動を開始する初期段階は(図14参照)、その回動に勢いがないところ、その段階では磁力(遊技球を引き付ける力)を発生させず、円板部材1300の回動動作を円滑かつ速やかに開始および進行させることができる。一方、円板部材1300の回動動作が進行する段階(特に、図15(b)から図16(b)に示す後期の段階)では、円板部材1300の慣性力が最大に増加しており、勢いが増すところ、磁力(遊技球を引き付ける力)を利用して、円板部材1300の回動方向への慣性力(回動速度)を効果的に抑制できる。
この場合、対面側磁石1226は、左溝1223Lに沿って(即ち、円板部材1300の周方向に沿って)複数が配設されるので、円板部材1300が回動動作する際には、複数の対面側磁石1226の磁力をそれぞれ利用して、円板部材1300に回動抵抗を継続的に作用させることができる。即ち、円板部材1300に回動抵抗が急激に作用されると、急制動され、円板部材1300の回動動作が不安定となるため、入球口1221に入球した遊技球の右受け部1310Rによる受け取り(図17(a)参照)及び左排球口1222Lへの遊技球の排球(図16(b)参照)が阻害される。これに対し、本実施形態によれば、同じだけの磁力のエネルギーを、円板部材1300に回動抵抗として徐々に作用させることができる。よって、円板部材1300を円滑に減速させ、円板部材1300の回動動作を安定化させることができる。その結果、入球口1221に入球した遊技球の右受け部1310Rによる受け取り及び左排球口1222Lへの遊技球の排球を確実に行うことができる。
更に、複数の対面側磁石1226は、左排球口1222Lに近いものほど、左溝1223Lの底面から円板部材1300の径方向外方に離間する離間量が小さくされる、即ち、左排球口1222Lに近いものほど左溝1223Lを転動または摺動する遊技球に近い位置に配置されるので、対面側磁石1226による磁力(遊技球を引き付ける力)による効果を、遊技球が左排球口1222Lへ近づくほど大きくすることができる。即ち、円板部材1300に作用される回動抵抗を徐々に大きくして、円板部材1300を急制動させることなく円滑に減速させることができる。よって、上述した場合と同様に、円板部材1300の回動動作を安定化させることができ、その結果、入球口1221に入球した遊技球の右受け部1310Rによる受け取り及び左排球口1222Lへの遊技球の排球を確実に行うことができる。
図16(b)に示すように、円板部材1300の左受け部1310Lが、対面壁部材1220の左排球口1222Lに到達されると、左受け部1310Lに収納される遊技球が、左排球口1222Lへ入り込むと共にその左排球口1222Lを通過することで、左誘導通路1110L(図8参照)へ排球される。
上述したように、左受け部1310Lの開口部分に架設される押込板1320は、円板部材1300の回動方向後方から遊技球に当接可能に形成される。よって、遊技球が左排球口1222Lに排球される際には、押込板1320が遊技球に円板部材1300の回動方向後方から当接することで、その遊技球を左排球口1222Lへ押し込む(押し入れる)ことができる。
この場合、左排球口1222Lは、左溝1223Lの終端に対面する側(図16(b)左側)の開口縁部の位置が、左溝1223Lの底面よりも円板部材1300の外周面に近接して配設される。よって、図16(a)及び図16(b)に示すように、遊技球の一部が左溝1223Lに受け入れられつつ(即ち、左受け部1310Lから突出されつつ)、左受け部1310Lが左排球口1222Lに到達した場合には、その遊技球を左排球口1222Lの開口縁部(左溝1223Lの終端に対面する側、図16(b)左側)に当接させることができる。これにより、左排球口1222Lへ遊技球を確実に排球させることができるだけでなく、円板部材1300の回動を停止させることができる。その結果、入球口1221に入球した遊技球の右受け部1310Rによる受け取りを安定して行うことができる。
なお、左溝1223Lの対面壁部材1220の内周面からの凹設深さは、左排球口1222Lに連通される終端において最大の深さ寸法となるが、本実施の形態では、この最大の深さ寸法が、遊技球の直径の略1/4とされる。この最大の凹設深さは、遊技球の直径の1/4以上が好ましく、1/3以上とすることが更に好ましい。遊技球を左排球口1222Lの開口縁部に確実に当接させることができると共に、左受け部1310L内へ跳ね返ることを抑制できるからである。
更に、左排球口1222Lは、対面壁部材1220の内周面側(図16(b)上側)から外周面側(図16(b)下側)へ向かうに従って直径が大きくされるテーパ孔として形成される。即ち、左排球口1222Lは、左溝1223Lの終端に対面する側(図16(b)左側)の内周面が、円板部材1300の回動方向進行側へ向けて傾斜される。よって、円板部材1300の左受け部1310Lから排球される遊技球を、左排球口1222L内へスムーズに入り込ませると共に、その入り込んだ遊技球を滞らせることなく出口(図16(b)下側)まで通過させることができる。
なお、左排球口122Lは、円板部材1300の外周面(左受け部1310Lの開口)に対面して配設されると共に、垂直方向の最下方に配設される。よって、遊技球を左受け部1310Lから左排球口1222Lへ排球する場合には、円板部材1300の回動動作に伴う遠心力を利用して排球できると共に、遊技球を下方(遊技球に重力が作用する方向)へ向けて排球できる。即ち、排球の際には、遊技球の自重(重力)がその遊技球を左排球口1222Lへ入り込ませる方向へ作用するので、遊技球を噛み込ませ難くして、確実に排球することができる。
ここで、対面壁部材1220は、入球口1221に対して左排球口1222L及び右排球口1222Rが180度位相を異ならせた位置に配設されると共に(図9から図12参照)、円板部材1300は、左受け部1310Lに対して右受け部1310Rが180度位相を異ならせた位置に配設されるので(図13参照)、入球口1221に入球した遊技球を左受け部1310L又は右受け部1310Rの一方が受けるタイミングと、左受け部1310L又は右受け部1310Rの他方が左排球口1222L又は右排球口1222Rへ遊技球を排球するタイミングとを一致させることができる。
即ち、例えば、図16(b)に示すように、左受け部1310Lが左排球口1222Lと同じ位相に位置した状態では、図17(a)に示すように、右受け部1310Rが入球口1221(図9及び図10参照)と同じ位相に位置する状態となるので、左受け部1310L又は右受け部1310Rの一方で受けた遊技球を、左排球口1222L又は右排球口1222Rへ排球する際または排球した後に、左受け部1310L又は右受け部1310Rの他方により、次の遊技球を受けることができ、左受け部1310L又は右受け部1310Rの一方で受けた遊技球を左排球口1222L又は右排球口1222Rへ向けて運んでいる途中で(即ち、円板部材1300が回動されている状態で)、次の遊技球を受ける必要がない。よって、かかる次の遊技球を左受け部1310L又は右受け部1310Rの他方で確実に受けることができる。
上述したように、遊技球が左排球口1222Lの開口縁部に当接されることで、円板部材1300の回動が停止された状態では(図16(b)参照)、円板部材1300の右受け部1310Rが入球口1221(図9及び図10参照)に対面される(図17(a)参照)。よって、この場合、遊技領域を流下する遊技球が入球口1221に入球されると、その遊技球を右受け部1310Rが受ける。
図17(a)に示すように、入球口1221(図9及び図10参照)に入球された遊技球を左受け部1310Lが受けると、その遊技球は、入球口1221から右受け部1310Rの底面1311の一端側(図17(a)左側)に落下される。
図17(b)に示すように、入球(落下)された遊技球は、右受け部1310Rの底面1311の下降傾斜によって、その底面1311上を他端側(傾斜側面1312側)へ向けて転動される。
その結果、遊技球の重さが円板部材1300に加わり、その遊技球の重さを含めた円板部材1300全体の重心位置が軸心に対して偏心されることで、円板部材1300が遊技球の転動する方向(即ち、図17(b)の時計回り方向)へ向けて回動される。
ここで、左受け部1310Lの底面1311と右受け部1310Rの底面1311とが円板部材1300の周方向に沿って下降傾斜される傾斜方向は同一方向であるので、左受け部1310Lが受けた遊技球の重さにより円板部材1300が回動される際の回動方向と、右受け部1310Rが受けた遊技球の重さにより円板部材1300が回動される際の回動方向とを同一方向とできる。即ち、円板部材1300の回動方向を一方向に統一できる。よって、円板部材1300が遊技球を受ける受け部(左受け部1310L又は右受け部1310R)に応じて一方向および他方向に交互に回動する場合と比較して、遊技球を2つの位置(左排球口1222L及び右排球口1222R)へ振り分ける動作を安定して実行できる。
なお、図18(a)に示すように、遊技球が傾斜側面1312上をその下降傾斜に沿って転動され、対面壁部材1220の内周面(右溝1223R)に到達した以降の動作(作用・効果)は、上述した左受け部1310Lが遊技球を受けた場合と同様であるので(図14から図16参照)、その説明は省略する。
以上のように、振分装置1000によれば、遊技球を左排球口1222L及び右排球口1222Rへ交互に振り分けることができる。また、振り分ける動作を、遊技球の重さを利用して、機械的な構成により実行できるので、その動作のための動力を不要とできる。更に、振分装置1000は、円板状に形成される円板部材1300を利用する構造であるので、平面的な配置が可能である。よって、遊技盤13(ベース板60)とガラスユニット16との間というように(いずれも図1及び図2参照)、その間隔が比較的狭い領域においても、振分装置1000を配設することができる。
次いで、図19から図22を参照して、第2実施形態における振分装置2000について説明する。第1実施形態では、左排球口1222L又は右排球口1222Rの開口縁部へ遊技球が当接されることで、円板部材1300の回動が停止される場合を説明したが(図16(b)参照)、第2実施形態の円板部材1300は、制動部材2240により制動されることで、その回動が停止される。なお、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図19は、第2実施形態における前面部材2200の断面図である。図19に示すように、第2実施形態における前面部材2200には、凹部空間である収納部2230が2ヶ所に凹設されると共に、それら各収納部2230の凹部空間に制動部材2240が動作可能にそれぞれ配設される。ここで、図20及び図21を参照して、収納部2230及び制動部材2240の詳細構成について説明する。
図20(a)は、前面部材2200の断面図であり、図20(b)は、図20(a)の矢印XXb方向視における前面部材2200の平面図である。図20に示すように、収納部2230は、動作用凹部2231と、その動作用凹部2231に連なる軸支用凹部2232とを備える。
動作用凹部2231は、制動部材2240の突出片2342及び対面片2243を動作可能(揺動可能)に収納するための凹部であり、左排球口1222L及び右排球口1222Rを挟んで左溝1223L及び右溝1223Rの反対側となる対面壁部材1220の内周面の2ヶ所にそれぞれ凹設される。動作用凹部2231は、一面側(図20(a)上側)が対面壁部材1220の内周面に開口されると共に、一端側(図20(a)右側)が左排球口1222L又は右排球口1222Rに連通される。
軸支用凹部2232は、制動部材2240の軸部2241を動作可能(回動可能)に収納(軸支)するための凹部であり、動作用凹部2231の互いに対向する側壁に、その動作用凹部2231よりも浅い凹設深さで凹設される。軸支用凹部2232は、一面側(図20(a)上側)が対面壁部材1220の内周面に開口される。
図21(a)は、制動部材2240の側面図であり、図21(b)は、図21(a)の矢印XXIb方向視における制動部材2240の上面図である。図21に示すように、制動部材2240は、円柱状の軸部2241と、その軸部2241の外周面から延設される突出片2242と、その突出片2242の延設方向とは反対側へ向けて軸部2241の外周面から延設される対面片2243と、その対面片2243の延設先端に配設される弾性部材2244とを備え、これらが樹脂材料から一体に形成される。
軸部2241は、収納部2230の軸支用凹部2232に回動可能に軸支される部位である。突出片2242は、動作用凹部2231の一端側の開口を介して左排球口1222L又は右排球口1222Rへ突出される部位であり、それら左排球口1222L又は右排球口1222Rを通過する遊技球により押し下げられる。
対面片2243は、その先端側を円板部材1300の外周面に当接させる部位であり、突出片2242が遊技球により押し下げられることで、軸部2241を中心として円板部材1300へ向けて押し上げられる。弾性部材2244は、ゴム状弾性体から構成され、対面片2243が押し上げられることで、円板部材1300の外周面に当接される。
突出片2242は、側面視円弧状に湾曲して形成される。この突出片2242の湾曲の向きは、軸部2241から離間するに従って下方(即ち、円板部材1300の外周面から離間する方向、図22(a)参照)へ下降傾斜される向きとされる。
対面片2243は、その全長寸法が突出片2242の全長寸法よりも大きく(長く)され、かつ、幅寸法(図21(b)上下方向寸法)が突出片2242の幅寸法よりも大きく(広く)される。即ち、対面片2243は、弾性部材2244を除いた重量であっても、突出片2242よりも重くされる。よって、制動部材2240の重心位置は、軸部2241よりも対面片2243側に位置する。
なお、対面片2243は、側面視くの字状に屈曲して形成され、その屈曲角度を大きくする方向へ弾性変形しやすくされる。即ち、対面片2243は、上述のように、その幅寸法が突出片2242の幅寸法よりも大きく(広く)される場合であっても、円板部材1300の外周面に近接する方向または離間する方向(図22(b)上下方向)への弾性変形性が確保される。
図22を参照して、制動部材2240による円板部材1300の制動動作について説明する。図22は、振分装置2000の部分断面図であり、図22(a)は遊技球により制動部材2240の突出片2242が押し下げられる前の状態が、図22(b)は遊技球により制動部材2240の突出片2242が押し下げられた後の状態が、それぞれ図示される。
なお、左排球口1222L側に配設される制動部材2240及びその制動部材2240を収納する収納部2230と、右排球口1222R側に配設される制動部材2240及びその制動部材2240を収納する収納部2230とは、それぞれ同一の構成であるので、ここでは、右排球口1222R側における構成のみを説明し、左排球口1222L側における構成についての説明は省略する。
図22(a)に示すように、制動部材2240は、非動作状態(初期状態)では、突出片2242が、右排球口1222Rの内部へ突出されると共に、対面片2243が、円板部材1300の外周面に対面して配設される。
図22(b)に示すように、円板部材1300の右受け部1310Rから排球された遊技球が、対面壁部材1220の右排球口1310Rを通過する際には、その遊技球によって制動部材2240の突出片2242を通過方向へ押し下げさせ、制動部材2240を、軸部2241を中心として回動させることで、対面片2243を押し上げさせる。これにより、押し上げられた対面片2243の延設先端を、弾性部材2244を介して、円板部材1300の外周面に当接させることができ、円板部材1300を停止させることができる。その結果、入球口1221(図9及び図10参照)に入球した遊技球の左受け部1310Lによる受け取り(図14(a)参照)を確実に行うことができる。
このように、制動部材2240は、右排球口1222Rを通過する遊技球を利用して動作され、その対面片2243を円板部材1300に当接させる動作を機械的な構成により実行できるので、かかる動作のための動力(アクチュエータ)や制御を不要とできる。また、遊技球の通過を検出するセンサも不要とできる。その結果、部品点数や制御コストを削減して、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、遊技球が右排球口1222Rを通過した後も、制動部材2240の対面片2243(弾性部材2244)が円板部材1300の外周面に当接された状態が維持されると、円板部材1300のその後の回動動作が阻害される。よって、遊技球が通過した後は、制動部材2240を非動作状態(初期状態)へ速やかに復帰させる必要がある。一方で、この復帰動作に動力を使用したのでは、上述のように、制動動作を機械的に行うことで、制御やセンサを不要として、製品コストを削減する意義が没却される。
これに対し、本実施形態では、制動部材2240の重心位置が、上述したように、軸部2241に対して対面片2243側(図22(a)左側)に位置する。よって、遊技球の通過により突出片2242が押し下げられると共に対面片2243が押し上げられた場合(軸部2241を中心として制動部材2240が一方向(図22(b)時計回り)に回動された場合)には、制動部材2240の自重(重心位置の軸部2241からの偏心)を利用して、制動部材2240を他方向(図22(b)反時計回り)に回動させ、図22(a)に示す非動作状態(初期状態)に復帰させることができる。よって、復帰動作のための動力等を不要とできる。
突出片2242は、その延設先端側(図22(a)右側)ほど円板部材1300の外周面から離間する方向へ円弧状に湾曲して形成されるので、右排球口1222Rに排球された遊技球の通過が、かかる突出片2242により阻害されることを抑止し、かつ、その通過する遊技球に突出片2242をスムーズに押し下げさせることができる。
なお、対面片2243には、その延設先端(円板部材1300の外周面に当接する部分)に弾性部材2244が配設されるので、円板部材1300の外周面との間の摩擦力を確保して、円板部材1300を減速または停止させる作用を発揮させやすくできる。
このように、弾性部材2244を利用することで、製品コストの削減を図ることができる。即ち、例えば、円板部材1300の外周面に凹設した凹部へ、対面片2243から突出させた凸部を凹凸嵌合させることで、円板部材1300を停止させる構造も考えられるが、かかる構造と比較して、本実施形態では、円板部材1300及び制動部材2240に凹凸形状を形成する必要がないので、部品の形状を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
また、対面片2243は、円板部材1300の外周面に近接する方向または離間する方向へ弾性変形可能に形成されると共に、その延設先端に弾性部材2244が配設されるので、対面片2243の延設先端(弾性部材2244)を円板部材130の外周面に当接させる際には、円板部材1300や制動部材2240などの組み立て誤差や寸法公差を、対面片2243自体の弾性変形および弾性部材2244の弾性変形により吸収することができる。
同様に、突出片2242が右排球口1222Rを通過する遊技球により押し下げられる際には、その押し下げられる位置や遊技球の通過する向きのばらつきを、突出片2242の弾性変形だけでなく、対面片2243の弾性変形によっても吸収することができるので、遊技球が突出片2242に跳ね返されることを抑制して、確実に通過させることができる。
対面片2243が押し上げられ円板部材1300の外周面に当接される際には、両者の間の当接力(即ち、円板部材1300を減速または停止させるための制動力)を、突出片2242や弾性部材2244の弾性変形だけでなく、対面片の弾性変形も利用して、徐々に作用させることができるので、円板部材1300の回動動作が急激に変化されることを抑制できる。
振分装置2000の組み立ては、前面部材2200の収納部2230に制動部材2240を収納させる工程が加わる以外は、第1実施形態の場合と同様であり、前面部材2200の対面壁部材1220の開放側から円板部材1300を挿入すると共に、基板部材1100を締結固定することにより行われる。
即ち、収納部2230は、対面壁部材1220の内周面(円板部材1300の外周面に対面する面)に凹設され、かかる収納部2230の凹部空間の開口には、円板部材1300の外周面が対面される。よって、収納部2230の凹部空間の開口を、円板部材1300の外周面により塞ぐことができ、収納部2230に収納される制動部材2240を、収納部2230の凹部空間と円板部材1300の外周面との間に動作可能に保持することができる。その結果、制動部材2240を保持する部材(脱落を防止する部材)を円板部材1300に兼用させることができ、かかる保持のための部材を別途設けることを不要とできるので、その分、部品コストの削減を図ることができる。
次いで、図23から図29を参照して、第3実施形態における振分装置3000について説明する。第1実施形態では、円板部材1300の一方向への回動により、遊技球を振り分ける振分装置3000について説明したが、第3実施形態の振分装置3000は、一方向および他方向へ交互に回動することで、遊技球を振り分ける。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図23は、第3実施形態における振分装置3000の部分拡大正面透視図であり、図23(a)は、入球した遊技球を第1始動口63aへ振り分ける動作が、図23(b)は、入球した遊技球を第2始動口63bへ振り分ける動作が、それぞれ模式的に図示される。
図23を参照して、振分装置3000による遊技球の振り分け動作の概略について説明する。振分装置3000には、内部に支持板部材3300が配設される。支持板部材3300は、図23(a)に実線で示す第1角度位置または図23(b)に実線で示す第2角度位置の間で回動可能に軸支されており、振分装置3000内に入球された遊技球を、中央板3330と左受け板3340Lとの間または中央板3330と右受け板3340Rとの間で受ける。
図23(a)に破線で示すように、第2角度位置にある支持板部材3300は、入球された遊技球を中央板3330と左受け板3340Lとの間で受ける。この場合、支持板部材3300は、図23(a)に実線で示すように、遊技球の重さにより、図23(a)反時計回りに回動され、第1角度位置に配置されると共に、遊技球を第1始動口63aへ振り分ける。
一方、図23(b)に破線で示すように、第1角度位置にある支持板部材3300は、入球された遊技球を中央板3330と右受け板3340Rとの間で受ける。この場合、支持板部材3300は、図23(b)に実線で示すように、遊技球の重さにより、図23(b)時計回りに回動され、第2角度位置に配置されると共に、遊技球を第2始動口63bへ振り分ける。
このように、支持板部材3300は、受けた遊技球の重さにより回動され、第1角度位置または第2角度位置に交互に配置されると共に、遊技球を第1始動口63aと第2始動口63bとに均等に振り分けて入賞させる。
ここで、支持板部材3300には、重り部材3400が配設され、中央板3330が真上を向いた姿勢で停止しないようにされている。即ち、図23(a)に破線で示す第2角度位置で遊技球を受けた支持板部材3300が、反時計回りに回動され、遊技球を第1始動口63aへ誘導すると共に、図23(a)に実線で示す第1角度位置に配置されると、重り部材3400が下降傾斜側(左受け板3340L側)に配置され、支持板部材3300を第1角度位置に維持する。よって、支持板部材3300は、次に入球される遊技球を、図23(a)に実線で(図23(b)に破線で)示す第1角度位置で受けるため、その遊技球を第2始動口63bへ誘導する。
一方、図23(b)に破線で示す第1角度位置で遊技球を受けた支持板部材3300が、時計回りに回動され、遊技球を第2始動口63bへ誘導すると共に、図23(b)に実線で示す第2角度位置に配置されると、重り部材3400が下降傾斜側(右受け板3340R側)に配置され、支持板部材3300を第2角度位置に維持する。よって、支持板部材3300は、次に入球される遊技球を、図23(b)に実線で(図23(a)に破線で)示す第2角度位置で受けるため、その遊技球を第1始動口63aへ誘導する。
このように、支持板部材3300は、振分装置3000に入球する遊技球を第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に誘導することができる。
次いで、図24から図29を参照して、振分装置3000の詳細構成について説明する。まず、図24(a)及び図24(b)を参照して、振分装置3000の全体構成について説明する。
図24(a)は、振分装置3000の正面図であり、図24(b)は、振分装置3000の側面図である。図24(a)及び図24(b)に示すように、振分装置3000は、基板部材3100(図25参照)と、その基板部材3100の前面側(図24紙面手前側)に配設される前面部材3200(図26参照)と、それら基板部材3100及び前面部材3200の対向間(内部空間)に回動可能に配設される支持板部材3300(図27参照)と、その支持板部材3300に装着される重り部材3400(図28参照)とを備え、入球した遊技球を第1位置と第2位置との2位置(本実施形態では第1始動口63a及び第2始動口63b)へ交互に振り分ける(図23参照)。
次いで、図25から図28を参照して、基板部材3100、前面部材3200、支持板部材3300及び重り部材3400の詳細構成について、順に説明する。図25(a)は、基板部材3100の正面図であり、図25(b)は、図25(a)の矢印XXVb方向視における基板部材3100の側面図である。なお、図25(a)では、基板部材3100に対する前面部材3200の配設位置の関係を示すために、前面部材3200が二点鎖線を用いて模式的に図示される。
図25(a)及び図25(b)に示すように、基板部材3100は、正面視横長の板状に形成され、その板状体の隅部4ヶ所には、挿通孔1100aが穿設される。これら各挿通孔1100aに挿通された締結ねじにより、基板部材3100が、遊技盤13のベース板60(図2参照)に締結固定される。
基板部材3100の略中央部4ヶ所には、挿通孔1100bが穿設される。これら挿通孔1100bには、基板部材3100の背面側(図25(a)紙面奥側)から締結ねじが挿通され、その締結ねじにより、基板部材3100の前面側(図25(a)紙面手前側)に前面部材3200が締結固定される。
基板部材3100の中央上方には、支持板部材3300を回動可能に支持するための軸孔3130が穿設されると共に、基板部材3100の中央下方には、遊技球の出口となる開口である左連通孔3120L及び右連通孔3120Rが穿設される。軸孔3130には、支持板部材3300の回動軸3320(図27参照)が挿通される。
左連通孔3120L及び右連通孔3120Rは、支持板部材3300から排球される遊技球を第1始動口63a及び第2始動口63b(図23参照)へ入賞させるための開口であり、基板部材3100に前面部材3200が締結固定された組み立て状態では、前面部材3200の壁部材3220a,3220b,3220cにより形成される誘導通路(図26参照)の下流端に配置される。
次いで、図26を参照して、前面部材3200の全体構成について説明する。図26(a)は、前面部材3200の背面図であり、図26(b)は、図26(a)の矢印XXVIb方向視における前面部材3200の側面図である。
図26に示すように、前面部材3200は、板状の前面板部材1210と、その前面板1210の背面側(図26(a)紙面手前側)に立設される壁部材3220a,3220b,3220cとを備え、これらが樹脂材料から一体に形成される。
前面板部材1210の中央上方には、支持板部材3300を回動可能に支持するための軸孔3230が穿設される。この軸孔3230には、支持板部材3300の回動軸3320(図27参照)が挿通される。壁部材3220a,3220b,3220cは、支持板部材3300(図27参照)の周囲を囲うと共に、その支持板部材3300により振り分けられる遊技球の誘導通路を形成するための部材である。
壁部材3220a,3220b,3220cは、それらにより囲まれる内部空間の正面側(図26(a)紙面奥側)の開口が前面板部材1210により閉封され、背面側(図26(a)紙面手前側)の開口が開放して形成される。この開放された開口は、基板部材3100により閉封される(図24及び図25参照)。
即ち、振分装置3000の組み立ては、前面部材3200の壁部材3220a,3220b,3220cにより囲まれる内部空間の背面側の開口から支持板部材3300を内装し、支持板部材3300の回動軸3320を、軸孔3130,3230にそれぞれ挿通させつつ、基板部材3100を締結固定する。これにより、支持板部材3300を振分装置3000の内部に回転可能かつ脱落不能に内装することができる。よって、組み立て工程して、製造コストの削減を図ることができる。
壁部材3220aは、背面視逆U字状に形成され、壁部材3220bは、壁部材3220aの内方側において、上下に延設される背面視直線状に形成される。即ち、壁部材3220bは、壁部材3220aの上下方向(図26(a)上下方向)に延設される背面視直線状の部分に対し、1個の遊技球が通過可能な間隔を隔てつつ対向して配設される。
壁部材3220bの背面視直線状の部分の上端は、それぞれ内方へ向けて(互いに近接する方向へ向けて)屈曲される。この屈曲され左右方向(図26(a)左右方向)に延設される直線状の部分は、支持板部材3300の左受け板3340L又は右受け板3340Rに当接して、支持板部材3300の回動角を規制する部位として機能する。
壁部材3220cは、壁部材3220a,3220bの上下方向に延設される背面視直線状の部分の下端同士を接続して形成される。これにより、遊技球が通過する誘導通路が区画され、誘導通路の終端が形成される。
壁部材3220aには、入球口1221(図9及び図10参照)と、案内傾斜部1224と、被締結孔1225とが形成される。これらは、第1実施形態における各部位1221,1224,1225と同一の構成であるので、その説明は省略する。
次いで、図27を参照して、支持板部材3300の全体構成について説明する。図27(a)は、支持板部材3300の正面図であり、図27(b)は、図27(a)の矢印XXVIIb方向視における支持板部材3300の側面図であり、図27(c)は、図27(a)の矢印XXVIIc方向視における支持板部材3300の底面図である。
図27(a)から図27(c)に示すように、支持板部材3300は、円筒状の中央円筒部3310と、その中央円筒部3310の両端面から突出される軸状の回動軸3320と、中央円筒部3310の外周面から上方(図27(a)上側)へ向けて延設される中央板3330と、中央円筒部3310の外周面から左右(図27(a)左側および右側)へ向けて延設される左受け板3340L及び右受け板3340Rと、それら左受け板3340L及び右受け板3340Rの底面側(図27(a)下側)に配設される案内部3350とを備え、これらが樹脂材料から一体に形成される。但し、回動軸3320は、金属材料から形成され、中央円筒部3310に内嵌される。
中央円筒部3310の外径寸法は、軸孔3130,3230の内径よりも大きくされると共に、中央円筒部3310の軸方向(図27(b)左右方向)の長さ寸法は、振分装置3000の組み立て状態における基板部材3100の前面と前面部材3200の前面板部材1220の背面との対向間隔と同等か若干小さな寸法に設定される。よって、回動軸3320が軸孔3130,3230に挿通された振分装置3000の組み立て状態では、支持板部材3300が脱落不能かつ回動可能な状態で基板部材3100及び前面部材3200の対向間に内装される。
中央板3330、左受け板3340L及び右受け板3340Rは、平板状に形成される部位であり、中央板3330に対して、左受け板3340L及び右受け板3340Rが垂直に延設される。中央板3330と左受け板3340との間の空間、又は、中央板3330と右受け板3340との間の空間が、振分装置3000内に入球した遊技球を受ける部位となる。
案内部3350は、支持板部材3300の傾斜状態に応じて、重り部材3400を案内するための部位であり、断面円形の棒状に形成される。詳細には、左受け板3340L及び右受け板3340Rの延設方向と平行に左右方向(図27(a)左右方向)に延設される直線状の部分と、その直線状の部分の両端を、左受け板3340L及び右受け板3340Rの底面に接続する部分とから形成される。重り部材3400は、案内部3350の左右方向に延設される直線状の部分を摺動することで、支持板部材3300の下降傾斜側へ移動される(図29参照)。
案内部3350の左右方向に延設される直線状の部分は、その延設方向に垂直な断面形状が円形に形成される。よって、重り部材3400と案内部3350との間の接触面積を小さくして、摺動抵抗を抑えることができる。よって、重り部材3340を途中で止まらせることなく、案内部3350の下降傾斜に沿って重り部材3400を確実に移動させることができると共に、その重り部材3400の移動(重心位置の変化)を迅速に行うことができる。その結果、重り部材3400の移動に伴う重心位置の変化を利用して、支持板部材3300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に確実に維持することができる(図29(a)又は図29(d)参照)。
次いで、図28を参照して、重り部材3400の全体構成について説明する。図28(a)は、重り部材3400の正面図であり、図28(b)は、図28(a)の矢印XXVIIIb方向視における重り部材3400の側面図である。
図28(a)及び図28(b)に示すように、重り部材3400は、支持板部材3300の案内部3350に装着され、重りとして機能する部材であり、金属材料からなる有端の素材(例えば、ピアノ線)を巻回することで環状に形成される。よって、重り部材3400を弾性変形させることで、その一部に開口を形成することができるので、その開口を介して、案内部材3350を重り部材3400の内周側に挿通させることができる。よって、その装着作業を容易として、組み立て工数の削減を図ることができる。
なお、重り部材3400は、有端の素材を巻回して形成されるところ、その端部同士が正面視において重ね合わされている。即ち、有端の素材は周方向に沿って180度以上の長さを有する。このように、重り部材3400を、その端部同士が重ね合わせて形成することで、金属材料にへたりが生じ、重り部材3400が大径化した場合でも、かかる重り部材3400が案内部3350から脱落されることを抑制できる。
また、重り部材3400の素材は、その素材の長手方向に垂直な断面形状が円形に形成される。よって、重り部材3400と案内部3350との間の接触面積を小さくして、摺動抵抗を抑えることができるので、上述したように、重り部材3400を確実かつ迅速に移動させることができる。
次いで、図29を参照して、振分装置3000による遊技球の振分動作および重り部材3400の作用について説明する。図29(a)から図29(d)は、入球された遊技球を受けると共にその遊技球を排球する支持板部材3300の動作の遷移を図示する支持板部材3300の正面図である。
図29(a)に示すように、第1角度位置では、支持板部材3300は、左受け板3340L側が下方に位置し、中央板3330及び右受け板3340Rにより遊技球を受ける姿勢とされる。なお、第1角度位置では、左受け板3340Lが前面部材33200の壁部材3220bの上端に当接され、回動軸3320を回動中心とする支持板部材3300の正面視反時計回り(図29(b)左回り)の回動が規制された状態となる(図23(a)及び図23(b)参照)。
図29(b)及び図29(c)に示すように、第1角度位置にある支持板部材3300が中央板3330及び右受け板3340Rにより遊技球を受けると、その遊技球の重さにより、支持板部材3300が回動軸3320を回動中心として正面視時計回り(図29(b)右回転方向)に回動される。
図29(d)に示すように、支持板部材3300が第2角度位置まで回動されると、中央板3330及び右受け板3340Rで受けた遊技球が、第2始動口63b(図23(b)参照)へ排球されると共に、支持板部材3300が、中央板3330及び左受け板3340Lにより遊技球を受ける姿勢とされる。なお、第2角度位置では、右受け板3340Rが前面部材33200の壁部材3220bの上端に当接され、回動軸3320を回動中心とする支持板部材3300の正面視時計回り(図29(d)右回り)の回動が規制された状態となる(図23(a)及び図23(b)参照)。
図29(d)に示す第2角度位置に支持板部材3300が配置された状態で、次の遊技球が入球されると、その遊技球を、中央板3330及び左受け板3340Lにより受ける戸共に、上述とは反対側へ支持板部材3300が回動されることで、第2始動口63a(図23(a)参照)へ遊技球が排球される。
このように、例えば、支持板部材3300が第1角度位置に配置されると、遊技球を中央板3330及び右受け板3340Rで受けると共に(図29(a)及び図29(b))、その遊技球の重さを利用して、第1角度位置から第2角度位置へ回動動作されることで(図29(c)及び図29(d))、遊技球を第2始動口63bへ排球する。同時に、次の遊技球を中央板3330及び左受け板3340Lで受ける姿勢(第2角度位置)に支持板部材3300が配置される。これにより、遊技球を第1位置および第2位置(本実施形態では第1始動口63a及び第2始動口63b)に交互に振り分けることができる。
しかしながら、中央板3330、左受け板3340L及び右受け板3340Rが遊技球を受ける位置、遊技球の落下方向、或いは、左受け板3340L及び右受け板3340Rから遊技球が排球される方向などには、その都度ばらつきがあり、そのばらつきの状態や、振分装置3000に外部から入力される振動などの外乱が支持板部材3300に伝達されるタイミングによっては、例えば、図29(a)に示す第1角度位置で遊技球を受け、図29(d)に示す第2角度位置へ支持板部材3300が回動され遊技球を排球した後に、図29(d)に示す第2角度位置に維持されるべき支持板部材3300が、図29(a)に示す第1角度位置に逆戻りすることがある。この場合には、次の遊技球を、先の遊技球と同様に、中央板3330及び右受け板3340Rで受けることとなり、図29(a)から図29(d)の動作が繰り返されることで、遊技球が第2始動口63bへ連続して排球される。そのため、遊技球を第1位置および第2位置(本実施形態では第2始動口63a及び第2始動口63b)へ交互に振り分けることができない。
これに対し、振分装置3000によれば、案内部3350と、その案内部3350により案内されて移動する重り部材3400とを備え、例えば、図29(d)に示す第2角度位置では、重り部材3400が下降傾斜側(右受け板3340R側)へ移動されるので、その重り部材3400の移動に伴う重心位置の変化を利用して、支持板部材3300を本来あるべき姿勢(図29(d)の第2角度位置)に維持することができる。
具体的には、図29(a)に示すように、第1角度位置では、重り部材3400が案内部3350の下降傾斜端(左受け板3340L側)に位置されることで、かかる左受け板3340L側を重くして、支持板部材3300を第1角度位置に維持する。
図29(b)及び図29(c)に示すように、支持板部材3300が中央板3330及び右受け板3340Rにより遊技球を受け、その遊技球の重さにより、支持板部材3300が回動軸3320を回動中心として正面視時計回り(図29(b)右回転方向)に回動されると、案内部3350も同じ方向へ回動され、案内部3350が右受け板3340R側へ下降傾斜されることで、重り部材3400が案内部3350の下降傾斜に沿って移動される。
図29(d)に示すように、支持板部材3300が第2角度位置まで回動されると、重り部材3400は、案内部3350の下降傾斜端に到達される。その結果、重り部材3400の移動分だけ、全体としての重心位置を右受け板3340R側に変化させる(下方に位置する右受け板3340R側をより重くする)ことができる。よって、図29(d)に示す第2角度位置では、支持板部材3300が正面視反時計回り(図29(d)左回り)に回動され難くして、図29(a)に示す第1角度位置に逆戻りすることを抑制できるので、かかる支持板部材3300を第2角度位置に維持できる。
本実施形態では、支持板部材3300が樹脂材料から構成される一方、重り部材3400が金属材料から構成されるので、重り部材3400の移動に伴う重心位置の変化を顕著とすることができる。その結果、支持板部材3300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持する効果を確実に発揮できる。
次いで、図30を参照して、第4実施形態における支持板部材4300について説明する。第3実施形態では、案内部3350の重り部材3400を案内する部分が直線状に形成される場合を説明したが、第4実施形態の案内部4350は、正面視円弧状に湾曲して形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図30(a)は、第4実施形態における支持板部材4300の正面図であり、図30(b)は、第2角度位置に配置された支持板部材4300の正面図である。なお、図30(b)では、比較のために、第3実施形態における案内部3350が破線を用いて重ねて図示される。
図30(a)に示すように、第4実施形態における案内部4350は、回動軸3320と同心となる正面視円弧状に湾曲して形成され、左受け板3340L及び右受け板3340Rの底面に配設される。なお、案内部4350の断面形状は、第3実施形態における案内部3350と同様に、断面円形とされる。
図30(b)に示すように、第4実施形態における支持板部材4300によれば、支持板部材4300が回動軸320を回動中心として回動された状態では、上昇傾斜側の勾配を大とすることができる。即ち、第3実施形態における案内部3350では、上昇傾斜側の位置P1における重り部材3400(図28参照)の案内方向(即ち、重力(自重)によって摺動移動される重り部材3400が案内部3350によって案内される下降傾斜方向)が、案内部3350の直線状の部分の延設方向となる。
これに対し、第4実施形態における案内部4350では、上昇傾斜側の位置P2における重り部材3400の案内方向が、案内部4350の接線方向となるため、その下降傾斜の角度をより大きくする(より下方へ向ける)ことができる。よって、支持板部材4300の回動動作に伴って案内部4350の上昇傾斜側(位置P2)に位置することとなった重り部材3400の移動を、第3実施形態の案内部3350と比較して、より確実かつ速やかに行わせることができる。
特に、棒状の案内部3350,4350を環状の重り部材3400(図28参照)が摺動する構成では、摩擦抵抗が大きいため、上昇傾斜側(位置P1,P2)に位置することとなった重り部材3400の移動が開始されないおそれがあり(即ち、静摩擦係数は動摩擦係数より大きい)、このような構成に対して、案内部4350を正面視円弧状に湾曲させる構成が特に有効となる。
次いで、図31を参照して、第5実施形態における支持板部材5300について説明する。第3実施形態では、案内部3350の重り部材3400を案内する部分が、始端から終端まで直線状に形成される場合を説明したが、第5実施形態の案内部5350には、重り部材3400を案内する部分の一部に窪み(窪み部5350a)が形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図31(a)は、第5実施形態における支持板部材5300の正面図であり、図31(b)は、第2角度位置に配置された支持板部材5300の正面図である。なお、図31(b)では、案内部5350に重り部材3400が装着された状態の支持板部材5300が図示される。
図31(a)に示すように、第5実施形態における案内部5350には、左受け板3340L及び右受け板3340Rの延設方向と平行に左右方向(図31(a)左右方向)に延設される直線状の部分の両端(図31(a)左側および右側)に、下方へ向けて窪む窪み部5350aが形成される。
窪み部5350aは、一端側または他端側(図31(a)左側および右側)へ直線状に下降傾斜して形成される。なお、案内部5350の断面形状は、窪み部5350aを含む全体が同じ断面形状に設定されると共に、第3実施形態における案内部3350と同様に、断面円形とされる。
図31(b)に示すように、案内部5350の両端に窪み部5350aが形成されるので、支持板部材5300が回動軸3320を回動中心として回動されることに伴って、案内部5350が下降傾斜されると共に、その案内部5350の下降傾斜に沿って重り部材3400が一端側(図31(b)では右側)へ向けて移動する際には、その重り部材3400を窪み部5350aに嵌り込ませることができる。これにより、重り部材3400が上昇傾斜側(図31(b)左側)へ跳ね返ることを抑制できる。
即ち、第3実施形態における案内部3350のように(図29参照)、重り部材3400を案内する部分の全体が、始端から終端まで直線状に形成されると、案内部3350の下降傾斜に沿って重り部材3400が終端まで勢い良く摺動され、終端(図29(d)右端)で逆方向へ跳ね返されると、その跳ね返された重り部材3400の移動を阻害するものが存在しないため、かかる重り部材3400が始端(図29(d)左端)まで跳ね返される恐れがある。その場合には、その重り部材3400の移動に伴って、支持板部材3300が反対方向へ回動してしまい、本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持することができない。
これに対し、第5実施形態における案内部5350では、案内部5350の終端(図31(b)では右端)に窪み部5350aが形成されるので、案内部5350の下降傾斜に沿って重り部材3400が終端まで勢い良く摺動されたとしても、その重り部材3400は、窪み部5350aに嵌り込まれつつ、終端(図31(b)右端)に衝突されるため、終端で逆方向へ跳ね返されたとしても、窪み部5350aの上昇傾斜により重り部材3400の跳ね返り方向への移動を阻害することができる。これにより、重り部材3400が始端(図31(b)左端)まで跳ね返されることを抑制でき、支持板部材5300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に確実に維持できる。
次いで、図32及び図33を参照して、第6実施形態および第7実施形態における重り部材6400,7400について説明する。第3実施形態では、断面円形の線条体の素材から重り部材3400が形成される場合を説明したが、第6実施形態および第7実施形態の重り部材6400,7400は、板状の素材から形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図32(a)は、第6実施形態における重り部材6400の斜視図であり、図32(b)は、変形状態における重り部材6400の斜視図である。図32(a)に示すように、第6実施形態における重り部材6400は、金属材料から構成され、その周方向の一部に、径方向に延設されるスリットが形成された円環平板状の部材である。この重り部材6400によれば、素材が軸方向に厚みを有するので、図32(b)に示すように、スリットを挟んだ両端を軸方向に互いにずらすことで、弾性変形させ、案内部3530を容易に挿通させることができる。
図33(a)は、第7実施形態における重り部材7400の斜視図であり、図33(b)は、変形状態における重り部材7400の斜視図である。図33(a)に示すように、第7実施形態における重り部材7400は、金属材料から構成され、その周方向の一部に、軸方向へ延設されるスリットが形成された円筒状の部材である。この重り部材7400によれば、素材が径方向に厚みを有するので、図33(b)に示すように、スリットを挟んだ両端を径方向に互いにずらすことで、弾性変形させ、案内部3530を容易に挿通させることができる。
第6実施形態および第7実施形態における重り部材6400,7400によれば、例えば、平板状の素材からプレス加工によりスリットも含めた形状を打ち抜くことで、重り部材6400を一工程で形成できると共に、平板状の素材をロール加工によりロールさせ、比較的長いロール状体を作成し、そのロール状体を所定長さ毎に切断することで、複数の重り部材7400を形成できるので、これら重り部材7400の製造効率を高めることができ、その分、製品コストを削減できる。このように、重り部材6400,7400は製造が容易である一方で、平板状の素材からなるため、その重りとしての重量を確保しやすい。これにより、支持板部材3300等に重りとして適用することで、その持板部材3300等を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に確実に維持できる。
次いで、図34から図36を参照して、第8実施形態における支持板部材8300について説明する。第3実施形態では、環状の重り部材3400に案内部3350が挿通され、その案内部3350に沿って重り部材3400が摺動される場合を説明したが、第8実施形態の重り部材8400は、案内部に沿って転動される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図34(a)は、第8実施形態における支持板部材8300の正面図であり、図34(b)は、図34(a)の矢印XXXIVb方向視における支持板部材8300の側面図であり、図34(c)は、図34(a)の矢印XXXIVc方向視における支持板部材8300の底面図である。また、図35(a)は、図34(b)のXXXVa−XXXVa線における支持板部材8300の断面図であり、図35(b)は、図34(a)のXXXVb−XXXVb線における支持板部材8300の断面図である。
図34及び図35に示すように、第8実施形態における支持板部材8300は、左受け板3340L及び右受け板3340Rの底面側に、重り部材8400を収納する箱体8350と、その箱体8350の開口に取着される蓋体8360とが配設され、これら箱体8350及び蓋体8360により形成される通路に沿って重り部材8400が転動される(図36参照)。
箱体8350は、一面側(図34(a)紙面手前側)が開口された箱状体であり、天井面が中央円筒部3310、左受け板3340L及び右受け板3340Rにより形成されると共に、底面が左受け板3340L及び右受け板3340Rの延設方向(図35(a)左右方向)と平行に形成される。箱体8350の互いに対向する側壁(図35(a)左側および右側の側壁)は、その側壁の一部が断面半円状に外方へ向けて膨出されており、その膨出部分(肉厚部分)に被締結孔8351がそれぞれ形成される。
蓋体8360は、正面視長方形の板状体であり、その長手方向(図34(a)左右方向)両端に締結ねじ8370を挿通するための挿通孔が穿設される。その挿通孔に挿通させた締結ねじ8370を、箱体8350の被締結孔8351に締結することで、蓋体8360が箱体8350に締結固定され、その箱体8350の一面側(図34(a)紙面手前側)の開口が蓋体8360により閉封される。
重り部材8400は、金属材料から円柱状に形成され、その軸心が回動軸3320と平行となる姿勢で、箱体8350及び蓋体8360により形成される通路内に収納される。なお、重り部材8400の軸方向長さは、箱体8350の側壁と蓋体8360との間の対向間隔(図35(b)左右方向間隔)よりも若干小さくされる。これにより、重り部材8400の重量を確保することができると共に、重り部材8400が通路内で姿勢を乱し、箱体8350の側壁と蓋体8360との間に噛み込まれることを抑制できる。
次いで、図36を参照して、重り部材8400の作用について説明する。図36(a)から図36(d)は、入球された遊技球を受けると共にその遊技球を排球する支持板部材8300の動作の遷移を図示する支持板部材8300の正面図である。なお、遊技球の振り分け動作については、第3実施形態の場合(図29参照)と同様であるので、その説明は省略する。
図36(a)に示すように、第1角度位置では、重り部材8400が、箱体8350及び蓋体8360により形成される通路(以下「通路」と称す)の下降傾斜端(左受け板3340L側)に位置されることで、かかる左受け板3340L側を重くして、支持板部材8300を第1角度位置に維持する。
図36(b)及び図36(c)に示すように、支持板部材8300が中央板3330及び右受け板3340Rにより遊技球を受け、その遊技球の重さにより、支持板部材3300が回動軸3320を回動中心として正面視時計回り(図2369(b)右回転方向)に回動されると、通路も同じ方向へ回動され、かかる通路が右受け板3340R側へ下降傾斜されることで、重り部材8400が通路の下降傾斜に沿って転動される。
図36(d)に示すように、支持板部材8300が第2角度位置まで回動されると、重り部材8400は、通路の下降傾斜端(対向する側壁の一方)に到達される。その結果、重り部材8400の移動分だけ、全体としての重心位置を右受け板3340R側に変化させる(下方に位置する右受け板3340R側をより重くする)ことができる。よって、図36(d)に示す第2角度位置では、支持板部材8300が正面視反時計回り(図36(d)左回り)に回動され難くして、図36(a)に示す第1角度位置に逆戻りすることを抑制できるので、かかる支持板部材8300を第2角度位置に維持できる。
本実施形態では、左受け板3340L及び右受け板3340Rと平行な通路を形成し、その通路を転動可能な円柱状体として重り部材8400が形成されるので、支持板部材8300の回動動作に伴って通路が下降傾斜された場合には、その通路の下降傾斜に沿って重り部材8400を確実かつ迅速に移動させることができる。
例えば、第3実施形態の場合のように、環状の重り部材3400が案内部3350を摺動により移動する構造では、摺動抵抗が大きいため、重り部材3400の移動が開始されないことや、案内部3350の下降傾斜に沿って移動する重り部材3400が途中で止まることがあり、また、その移動速度が遅いため、重り部材3400の移動(重心位置の変化)が間に合わないことがある。
これに対し、本実施形態では、重り部材8400が円柱状体として形成され、通路を転動する構造とされるので、通路の下降傾斜端まで重り部材8400を確実に移動させることができると共に、重り部材8400の移動(重心位置の変化)を迅速に行うことができる。その結果、重り部材8400の移動に伴う重心位置の変化を利用して、支持板部材8300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に確実に維持することができる。
ここで、本実施形態では、箱体8350が樹脂材料から構成されるので、支持板部材8300の全体を一体に形成することができ、製造コストの削減を図ることができる。また、重り部材8400が金属材料から構成されることで、その重量を確保できるので、転動に伴う重心位置の変化を大きくできる。
一方で、支持板部材8300による遊技球の振り分け動作時には(図36参照)、箱体8350の互いに対向する側壁(即ち、重り部材8400が転動する通路の一端側および他端側、図35(a)左側および右側)に重り部材8400が繰り返し衝突されるため、上述のように、箱体8350が樹脂材料から構成されると共に、重り部材8400が金属材料から構成される場合には、箱体8350の互いに対向する側壁の破損を招きやすい。
これに対し、本実施形態では、箱体8350の互いに対向する側壁に、締結ねじ8351を締結する被締結孔8351が形成されると共に、その被締結孔8351の形成に伴い側壁の一部が部分的に外方へ向けて膨出される(肉厚とされる)。よって、箱体8350の互いに対向する側壁に、金属材料からなる締結ねじ8370が埋め込まれた状態を形成できると共に、側壁の一部を部分的に肉厚とすることができるので、側壁(重り部材84000が衝突する部分)を補強して、その側壁の破損を抑制できる。また、箱体8350と蓋体8360とを締結固定するための構成を、重り部材84000が衝突する部分(箱体8350の側壁)を補強する構成としても兼用できるので、補強のための構成を別途設けることを不要として、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図37を参照して、第9実施形態における支持板部材9300について説明する。第8実施形態では、重り部材8400が転動する通路の底面が、始端から終端まで正面視直線状に形成される場合を説明したが、第9実施形態の通路の底面には、重り部材8400を案内する部分の一部に窪み(窪み部9350a)が形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図37(a)は、第9実施形態における支持板部材9300の正面図であり、図37(b)は、第2角度位置に配置された支持板部材9300の正面図である。なお、図37(a)では、重り部材8400の図示が省略される。
図37(a)に示すように、第9実施形態における箱体9350の底面には、左受け板3340L及び右受け板3340Rの延設方向と平行に左右方向(図37(a)左右方向)に延設される直線状の部分の両端(図37(a)左側および右側)に、下方へ向けて窪む窪み部9350aが形成される。窪み部9350aは、一端側または他端側(図37(a)左側および右側)へ直線状に下降傾斜して形成される。
図37(b)に示すように、箱体9350の両端に窪み部9350aが形成されるので、支持板部材9300が回動軸3320を回動中心として回動されることに伴って、通路(箱体9350の底面)が下降傾斜され、その下降傾斜に沿って重り部材8400が終端まで勢い良く転動されたとしても、その重り部材8400は、窪み部9350aに嵌り込まれつつ、終端(図37(b)右端)に衝突されるため、終端で逆方向へ跳ね返されたとしても、窪み部9350aの上昇傾斜により重り部材8400の跳ね返り方向への移動を阻害することができる。これにより、重り部材8400が始端(図37(b)左端)まで跳ね返されることを抑制でき、支持板部材9300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に確実に維持できる。
次いで、図38から図43を参照して、第10実施形態における振分装置10000について説明する。第3実施形態では、重り部材3400を案内部3350に沿って摺動させることで重心位置を変化させる場合を説明したが、第10実施形態では、左重り部材10360L又は右重り部材10360Rのいずれか一方を下方に垂下させることで重心位置を変化させる。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図38は、第10実施形態における振分装置10000の部分拡大正面透視図であり、図38(a)は、入球した遊技球を第1始動口63aへ振り分ける動作が、図38(b)は、入球した遊技球を第2始動口63bへ振り分ける動作が、それぞれ模式的に図示される。
図38を参照して、振分装置10000による遊技球の振り分け動作の概略について説明する。振分装置10000には、内部に支持板部材10300が配設される。支持板部材10300は、図38(a)に実線で示す第1角度位置または図38(b)に実線で示す第2角度位置の間で回動可能に軸支されており、振分装置10000内に入球された遊技球を、中央板3330と左受け板3340Lとの間または中央板3330と右受け板3340Rとの間で受ける。
図38(a)に破線で示すように、第2角度位置にある支持板部材10300は、入球された遊技球を中央板3330と左受け板3340Lとの間で受ける。この場合、支持板部材10300は、図38(a)に実線で示すように、遊技球の重さにより、図38(a)反時計回りに回動され、第1角度位置に配置されると共に、遊技球を第1始動口63aへ振り分ける。
一方、図38(b)に破線で示すように、第1角度位置にある支持板部材10300は、入球された遊技球を中央板3330と右受け板3340Rとの間で受ける。この場合、支持板部材10300は、図38(b)に実線で示すように、遊技球の重さにより、図38(b)時計回りに回動され、第2角度位置に配置されると共に、遊技球を第2始動口63bへ振り分ける。
このように、支持板部材10300は、受けた遊技球の重さにより回動され、第1角度位置または第2角度位置に交互に配置されると共に、遊技球を第1始動口63aと第2始動口63bとに均等に振り分けて入賞させる。
ここで、支持板部材10300には、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rが配設され、中央板3330が真上を向いた姿勢で停止しないようにされている。即ち、図38(a)に破線で示す第2角度位置で遊技球を受けた支持板部材10300が、反時計回りに回動され、遊技球を第1始動口63aへ誘導すると共に、図2383(a)に実線で示す第1角度位置に配置されると、左重り部材10360Lが下降傾斜側(左受け板3340L側)に垂下され、支持板部材10300を第1角度位置に維持する。よって、支持板部材10300は、次に入球される遊技球を、図38(a)に実線で(図38(b)に破線で)示す第1角度位置で受けるため、その遊技球を第2始動口63bへ誘導する。
一方、図38(b)に破線で示す第1角度位置で遊技球を受けた支持板部材10300が、時計回りに回動され、遊技球を第2始動口63bへ誘導すると共に、図38(b)に実線で示す第2角度位置に配置されると、右重り部材10360Rが下降傾斜側(右受け板3340R側)に垂下され、支持板部材10300を第2角度位置に維持する。よって、支持板部材10300は、次に入球される遊技球を、図38(b)に実線で(図23(a)に破線で)示す第2角度位置で受けるため、その遊技球を第1始動口63aへ誘導する。
このように、支持板部材10300は、振分装置10000に入球する遊技球を第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に誘導することができる。
次いで、図39から図41を参照して、基板部材3100及び支持板部材10300の詳細構成について、順に説明する。図39(a)は、基板部材10100の正面図であり、図39(b)は、図39(a)の矢印XXXIXb方向視における基板部材10100の側面図である。なお、図39(a)では、基板部材10100に対する前面部材3200の配設位置の関係を示すために、前面部材3200が二点鎖線を用いて模式的に図示される。
図39(a)及び図39(b)に示すように、基板部材10100は、第3実施形態における基板部材3100に対し、上突起10141及び下突起10142が追加される点のみが異なり、他の構成は同一である。よって、異なる構成のみを説明する。
基板部材10100の軸孔3130の周囲には、一対の上突起10141及び一対の下突起10142が突設される。これら上突起10141及び下突起10142は、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rを磁石10380に磁着させると共にその磁着を解除させる際に使用される円柱状の突起であり(図42及び図43参照)、一対の上突起10141は、軸孔3130よりも上方となる位置において、左右均等に配置され、一対の下突起10142は、軸孔3130よりも下方となる位置において、左右均等に配置される。
軸孔3130よりも左方(図39(a)左側)に位置する上突起10141及び下突起10142は、支持板部材10300が回動軸3320を回動中心として回動される際の左係止片10370Lの移動軌跡上に突設され、軸孔3130よりも右方(図39(a)右側)に位置する上突起10141及び下突起10142は、支持板部材10300が回動軸3320を回動中心として回動される際の左係止片10370Lの移動軌跡上に突設される。よって、支持板部材10300が回動軸3320を回動中心として回動される際には、左係止片10370L及び右係止片10370Rが上突起10141又は下突起10142に係止される(図42及び図43参照)。
次いで、図40及び図41を参照して、支持板部材10300の全体構成について説明する。図40(a)は、支持板部材10300の正面図であり、図40(b)は、図40(a)の矢印XLb方向視における支持板部材10300の側面図であり、図40(c)は、図40(a)の矢印XLc方向視における支持板部材10300の底面図である。また、図41(a)は、図40(b)のXLIa−XLIa線における支持板部材10300の断面図であり、図41(b)は、第1角度位置に配置された支持板部材10300の正面図である。
図40及び図41に示すように、左受け板3340Lの底面には、回動軸10351を回動可能に軸支する軸受10350が取着され、その軸受10350に回動可能に軸支される回動軸10351には、左重り部材10360L及び左係止片10370Lが固着される。同様に、右受け板3340Rの底面には、回動軸10351を回動可能に軸支する軸受10350が取着され、その軸受10350に回動可能に軸支される回動軸10351には、右重り部材10360R及び右係止片10370Rが固着される。
左重り部材10360L及び右重り部材10360Rは、金属材料(磁性材料)から構成される板状体であり、互いに同一形状に形成される。左係止片10370L及び右係止片10370Rは、支持板部材10300が回動軸2210を回動中心として回動される際に、上突起1141又は下突起1142に係止される部位であり、例えば、図41(a)に示すように、中央板3330を対称面として面対称に配設される。
なお、左重り部材10360L及び左係止片10370Lと、右重り部材10360R及び右係止片10370Rとは、それぞれ同じ回動軸10351に固着されているので、それら各回動軸10351と共に同位相で回動される(図42及び図43参照)。
また、左受け板3340Lの底面および右受け板3340Rの底面には、磁石10380がそれぞれ配設される。これら各磁石10380は、左重り部材10360L又は右重り部材10360Rを磁着することで、これら左重り部材10360L又は右重り部材10360Rを左受け板3340L又は右受け板3340Rに近接した状態に維持する(図42及び図43参照)。
図41(b)に示すように、支持板部材10300は、左受け板3340Lが右受け板3340Rよりも下方となる第1角度位置に配置されると、下降傾斜側(左受け板3340L側)に位置する左重り部材10360Lが垂直に垂下される一方、上昇傾斜側(右受け板3340R側)に位置する右重り部材10360Rが磁石10380に磁着される。よって、支持板部材10300は、その重心位置を回動軸3320よりも左受け板3340L側に偏心させ、回動軸3320を回動中心として図41(b)時計回りに回動されることが抑制されるので、次の遊技球を受けない限り、図41(b)に示す第1角度位置に維持される。
一方、図41(b)に示す状態(第1角度位置)において、次の遊技球が入球されると、支持板部材10300は、その遊技球を中央板3330と右受け板3340Rとにより受ける。その結果、支持板部材10300は、遊技球の重さにより、回動軸3320を回動中心として、図41(b)の時計回りに回動され、第2角度位置に配置される(図38(b)の実線の状態を参照)。
この第2角度位置では、支持板部材10300は、第1角度位置において垂直に垂下されていた左重り部材10360Lが磁石10380に磁着される一方、第1角度位置において磁石10380に磁着されていた右重り部材10360Rが、その磁着が解除されて、垂直に垂下される。よって、支持板部材10300は、その重心位置を回動軸3320よりも右受け板3340R側に偏心させ、回動軸3320を回動中心として正面視反時計回りに回動されることが抑制されるので、次の遊技球を受けない限り、第2角度位置に維持される。
なお、本実施形態では、磁石10380を利用して、上昇傾斜側に位置する左重り部材10360L又は右重り部材10360Rが左受け板3340L又は右受け板3344Rに近接された状態を維持するので、例えば、2部材の機械的な係合を利用して、近接した状態に維持する構成の場合と比較して、構造の簡素化を図ることができると共に、近接状態の維持およびその解除動作の信頼性の向上を図ることができる。
また、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rを金属材料(磁性材料)から構成するので、磁石10380を左受け板3340L及び右受け板3340Rのみにすれば良く、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rに磁石を配設する必要がなり。よって、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rと、左受け板3340L及び右受け板3340Rとの両者にそれぞれ磁石を配設する構成の場合と比較して、磁石の数を半数に低減できるので、その分、部品点数を削減して、製品コストの削減を図ることができる。
さらに、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rを金属材料から構成することで、磁石の配設数を低減できるだけでなく、重りとしての重量を嵩ませることができるので、その分、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rの回動に伴う重心位置の移動量を大きくすることができる。その結果、支持板部材10300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持しやすくできる。
次いで、図42及び図43を参照して、支持板部材10300が回動軸3320を回動中心として第1角度位置から第2角度位置(又はその逆に)配置される際に、左重り部材10360L及び右重り部材10360Rの状態(垂下状態および磁着状態)がそれぞれ交互に切り替えられる原理について説明する。
図42(a)は、第1角度位置に配置された支持板部材10300の正面模式図であり、図42(b)及び図42(c)は、第1角度位置から第2角度位置へ向けて遷移する状態における支持板部材10300の正面模式図であり、図42(d)は、第2角度位置に配置された支持板部材10300の正面模式図である。
一方、図43(a)は、第2角度位置に配置された支持板部材10300の正面模式図であり、図43(b)及び図43(c)は、第2角度位置から第1角度位置へ向けて遷移する状態における支持板部材10300の正面模式図であり、図43(d)は、第1角度位置に配置された支持板部材10300の正面模式図である。
なお、第1角度位置から第2角度位置への遷移、及び、第2角度位置から第1角度位置への遷移において、左重り部材10360Lの状態が交互に切り替えられる原理は、右重り部材10360Rの状態が交互に切り替えられ原理と同一であるので、右重り部材10360Rについてのみ説明し、左重り部材10360Lについての説明は省略する。また、図42(b)から図42(d)では上突起10141の図示が、図43(b)から図43(d)では下突起10142の図示が、それぞれ省略される。
まず、図42(a)から図42(d)を参照して、第1角度位置(図42(a))から第2角度位置(図42(d))へ遷移する際の右重り部材10360Rの状態について説明する。
図42(a)に示すように、右受け板3340Rが上昇傾斜側となる第1角度位置では、右重り部材10360Rが磁石10380に磁着され、右受け板3340Rに右重り部材10360Rが近接された状態が維持される。この場合、右係止片10370Rは、上突起1141及び下突起1142の両者との間に隙間を有する位置に配置される。
図42(b)に示すように、右受け板3340Rが回動軸3320を回動中心として下降傾斜方向(図42(b)時計回り)へ回動され、下降傾斜角度が角度θ2に達すると、右係止片10370Rが下突起10142に当接される。この右係止片10370Rが下突起10142に当接された状態から、右受け板3340Rが回動軸3320を回動中心として下降傾斜方向(図42(b)時計回り)へ更に回動されると、右係止片10370Rが下突起10142により相対的に上方(右受け板3340Rに近接する方向、図42(b)上側)へ押し上げられることで、図42(c)に示すように、右重り部材10360Rが右受け板3340Rから離間する方向(図42(b)下側)へ回動され、図42(c)に示すように、磁石10380による磁着が解除される。
右重り部材10360Rは、右係止片10370Rよりも重量が重くされるため、磁石10380による磁着が解除されると、回動軸10351を回動中心として、垂直に垂下される。右受け板3340Rが回動軸3320を回動中心として下降傾斜方向(図42(c)時計回り)に更に回動され、下降傾斜角度が角度θ4に達すると、第2角度位置に配置される。
図42(d)に示すように、右受け板3340Rが下降傾斜側となる第2角度位置では、右重り部材10360Rが垂直に垂下される。この場合、右係止片10370Rは、下突起1142との間に隙間を有する位置に配置される。よって、右重り部材10360Rの重さを右受け板3340Rに効率的に作用させることができる。
次いで、図43(a)から図43(d)を参照して、第2角度位置(図43(a))から第1角度位置(図43(d))へ遷移する際の右重り部材10360Rの状態について説明する。
図43(a)に示すように、右受け板3340Rが下降傾斜側となる第2角度位置では、右重り部材10360Rが垂直に垂下される。この状態から、右受け板3340Rは、右重り部材10360Rを垂直に垂下させた状態のまま、回動軸3320を回動中心として上昇傾斜方向(図43(a)反時計回り)へ回動される。
図43(b)に示すように、右受け板3340Rが回動軸3320を回動中心として上昇傾斜方向(図43(b)反時計回り)へ回動され、上昇傾斜角度が角度θ5に達すると、右係止片10370Rが上突起10141に当接される。この右係止片10370Rが上突起10141に当接された状態から、右受け板3340Rが回動軸3320を回動中心として上昇傾斜方向(図43(b)反時計回り)へ更に回動されると、右係止片10370Rが上突起10141により相対的に下方(図43(b)下側)へ押し上げられることで、図43(c)に示すように、右重り部材10360Rが右受け板3340Rへ近接する方向(図43(c)上側)へ回動され、磁石10380に磁着される。
なお、本実施の形態では、右係止片10370Rが上突起10141に当接されることで、右重り部材10360Rを磁石10380へ向けて近接させることができるので、かかる磁石10380による磁着を確実に行うことができる。よって、磁石10380の磁力を不必要に強くする必要がないので、上述した磁石10380の磁着の解除(図42(b)及び図42(c)参照)を確実化することができる。
右受け板3340Rは、右重り部材10360Rが磁石10380に磁着され、右重り部材10360Rが近接された状態のまま、回動軸3320を回動中心として上昇傾斜方向(図43(c)反時計回り)に更に回動され、上昇傾斜角度が角度θ1に達すると、第1角度位置に配置される。
図43(d)に示すように、右受け板3340Rが上昇傾斜側となる第1角度位置では、右重り部材10360Rが磁石10380による磁着により右受け板3340Rに近接された状態に維持される。この場合、右係止片10370Rは、上突起1141との間に隙間を有する位置に配置される。よって、右係止片10370Rが外乱などの影響により上突起1141に当接され、磁石10380による右重り部材10360Rの磁着が不用意に解除されることを抑制できる。
このように、本実施形態では、支持板部材10300が、左受け板3340L及び右受け板3340Rにそれぞれ回動可能に垂下される左重り部材10360L及び右重り部材1036ORと、それら左重り部材10360L及び右重り部材1036ORに連結される左傾斜片10370L及び右傾斜片10370Rとを備え、第1角度位置または第2角度位置まで支持板部材10300が配置される際には、上昇傾斜側に配置される左重り部材10360L又は右重り部材1036ORは磁石10380に磁着させ左受け板3340L又は右受け板3340Rに近接させておく一方、下降傾斜側に配置される左重り部材10360L又は右重り部材1036ORは磁石10380による磁着を解除して、左受け板3340L又は右受け板3340Rから鉛直に垂下させることができる。これにより、支持板部材10300の重心位置を移動させることができ、かかる支持板部材10300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持することができる。
例えば、第1角度位置では、図41(b)に示すように、上昇傾斜側(右受け板3340R側)に位置する右重り部材10360Rが磁石10380の磁着により右受け板3340Rに近接されると共に、下降傾斜側(左受け板3340L側)に位置する左重り部材10360Lが垂直に垂下されるので、全体としての重心位置を左受け板3340L側に変化させる(即ち、下降傾斜側に位置する左受け板3340L側をより重くする)ことができる。その結果、支持板部材10300が逆方向へ回動されて、第2角度位置に逆戻りすることを抑制し、第1角度位置に維持できる。第2角度位置に配置された支持板部材10300についても同様である。
次いで、図44を参照して、第11実施形態における支持板部材11300について説明する。第10実施形態では、左重り部材10360Lを磁着するための磁石10380と右重り部材10360Rを磁着するための磁石10380とをそれぞれ個別に設ける場合を説明したが、第11実施形態では、1の磁石10380が、左重り部材10360Lの磁着と右重り部材10360Rの磁着とを兼用するように構成される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図44(a)は、第11実施形態における支持板部材11300の正面図であり、図44(b)は、第1角度位置に配置された支持板部材11300の正面図であり、図44(c)は、第2角度位置に配置された支持板部材11300の正面図である。
図44(a)から図44(c)に示すように、第11実施形態における支持板部材11300は、中央円筒部3310の底面に1の磁石10380が配設される。また、左重り部材11360L及び右重り部材11360Rは、第10実施形態における左重り部材10360L及び右重り部材10360Rよりも長さ寸法が大きくされる。
即ち、左重り部材11360L及び右重り部材11360Rは、回動軸10351から先端(図44(a)下端)までの長さ寸法が、回動軸10351から磁石10380までの直線距離よりも大きくされる。よって、第1角度位置では、図44(b)に示すように、右重り部材11360Rが磁石10380に磁着可能とされる一方、第2角度位置では、図44(c)に示すように、左重り部材11360Lが磁石10380に磁着可能とされる。
このように、本実施形態では、1の磁石1038を、左重り部材11360L及び右重り部材11360Rを磁着して左受け板3340L又は右受け板3340Rに近接した状態に維持するための磁石として兼用する。よって、その兼用の分、部品点数を削減して、製品コストの削減を図ることができる。また、このように、左重り部材11360L及び右重り部材11360Rの長さ寸法を大きくすることで、それら左重り部材11360L及び右重り部材11360Rの変位に伴う重心位置の移動量をより大きくできる。その結果、支持板部材11300を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持しやすくできる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態のうちの一の実施形態における一部または全部の構成を、他の実施形態における一部または全部の構成と組み合わせて、或いは、置き換えて、パチンコ機を構成しても良い。例えば、第1実施形態における振分装置1000と、第3実施形態における振分装置3000とを組み合わせて(即ち、遊技盤13に両者を配設して)パチンコ機を構成することが例示される。
上記各実施形態では、各振分装置1000〜10000による遊技球の振り分け先(第1位置および第2位置)に、第1始動口63a及び第2始動口63bが配設される場合を一例として説明したが、第1位置および第2位置に配設されるものは第1始動口63a及び第2始動口63bに限定されるものではなく、他のどのような構成であっても良い。即ち、入賞口などの種類は問わない。また、第1位置および第2位置に配設されるものは、入賞口などの遊技球が入球する構成である必要はない。例えば、釘や風車であっても良い。また、何も配設されていなくても良い。即ち、第1位置および第2位置とは、遊技領域における位置を特定するものであり、その位置に存在する構成は限定されない。
上記第1及び第2実施形態では、対面壁部材1220に配設される対面側磁石1226の磁力を作用させる対象が遊技球である場合を説明したが、これに代えて、或いは、これに加えて、円板部材1300の外周面近傍に磁石を配設し、この磁石へ対面側磁石1226の磁力を作用させるようにしても良い。対面側磁石1226の磁力を、円板部材の位相(回動位置)に応じて、より精度良く作用させることができる。
上記第3から第9実施形態では、案内部3350〜5350に装着する又は箱体8350,9350の通路に収納する重り部材3400〜8400の数が1個である場合を説明したが、2個以上の重り部材3400〜8400を同時に装着または収納しても良い。案内部3350〜5350及び通路の延設方向(摺動または転動する方向)のスペースを有効に利用することで(即ち、その延設方向に沿って2個以上を並設状態で装着または収納することで)、振分装置の小型化を図りつつ、重さをより確保できる。
上記第3から第7実施形態では、重り部材3400〜7400が開いた系として構成される場合を説明したが、これら重り部材3400〜7400を閉じた系として構成しても良い。その場合には、案内部3350〜5350を、左受け板3340L及び右受け板3340Rと別体とすれば良い。
上記第10及び第11実施形態では、左重り部材10360L,11360L及び右重り部材10360R,11360Rを金属材料(磁性材料)から構成する場合を説明したが、樹脂材料などの非磁性材料から構成しても良い。この場合には、磁石1380に磁着可能な磁極の向きで、左重り部材10360L,11360L及び右重り部材10360R,11360Rにも磁石を配設すれば良い。
上記第10及び第11実施形態では、左重り部材10360L,11360L及び右重り部材10360R,11360Rが、その長手方向(図41(a)上下方向)中央に重心が位置する形状(即ち、正面視矩形状で厚み寸法が一定の平板形状)とされる場合を説明したが、回動軸10351から先端までの長さ方向中央よりも先端側に重心が偏心するように構成することが好ましい。左重り部材10360L,11360L及び右重り部材10360R,11360Rの変位に伴う支持板部材10300,11300の重心位置の移動量をより大きくできるからである。
なお、重心を先端側に偏心させる方法としては、左重り部材10360L,11360L及び右重り部材10360R,11360Rの厚み寸法または(及び)幅寸法を先端側ほど大きくする方法、左重り部材10360L,11360L及び右重り部材10360R,11360Rの先端側にアルミシートや鉛シートを貼着する或いは金属製のねじを締結する方法などが例示される。
<第12実施形態について>
次に、図45〜図71を参照して、パチンコ機10における第12実施形態について説明する。上述した第3実施形態では、振分装置3000に入球した遊技球を、左右に回動可能な支持板部材3300によって、振分装置3000内において左右位置に配設された第1始動口63aと第2始動口63bとに振り分けることができるように構成されている。
これに対して、第12実施形態では、振分装置4000の入球口63に入球した遊技球が、前後に傾動する支持板部材4300によって、振分装置4000内において前後位置(一方がベース板60の表面で他方がベース板60の裏面)に配置された第1始動口63aと第2始動口63bとに振り分けられる。また、ベース板60の表面に配置された第1始動口63aに付随して普通電動役物64が設けられ、この普通電動役物64が可動すると、入球口63へ入球せずベース板60の表面を流下する遊技球が第1始動口63aへ容易に入球可能となる。更に、普通電動役物64が可動し、入球口63へ入球しなかった遊技球が第1始動口63aへ容易に入球可能となると、第1始動口63aへの入球に基づく変動演出の変動時間が短くなるよう構成されている。
これにより、第3実施形態では、振分装置3000の入球口へ入球しなかった遊技球を各始動口へ入球させることができなかったのに対し、第12実施形態では、普通電動役物64により振分装置4000の入球口63へ入球しなかった遊技球を第1始動口63aへ入球させることができる。その結果、第1始動口63aへ遊技球が容易に入球可能な状態、即ち、遊技者にとって有利な状態とすることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
更に、時短遊技状態では、普通電動役物64が可動し、第1始動口63aへ遊技球が容易に入球可能な状態となる。その結果、始動口へ上限数以上の遊技球が入球するオーバーフローが発生しやすくなる。本第12実施形態では、第1始動口63aへ遊技球が容易に入球可能な状態となると、第1始動口63aへの入球に基づく変動演出の変動時間が短くなるので、オーバーフローの発生を抑制できる。
なお、第3実施形態では、第1始動口63aへの入球に基づく変動演出と、第2始動口63bへの入球に基づく変動演出とを同時に実行できるように構成されているが、本第12実施形態では、より一般的な構成とするため、変動演出は第1始動口63aまたは第2始動口63bへ入球した順序で、一の変動演出が実行されるよう構成されている。また、各始動口に基づいて選択される大当たり種別も一部変更している。
上述したように、本第12実施形態と、上述した第3実施形態との構造上における相違点は、振分装置3000に替えて振分装置4000を用いる点であり、その他の構成は同一であるため、同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第12実施形態における振分装置4000と、上述した第3実施形態における振分装置3000との構造上における相違点は、第1始動口63aと第2始動口63bとの位置関係が左右から前後となっていること、支持板部材の振り分け動作が左右から前後となっていること、第1始動口63aに付随して普通電動役物64が設けられていること、である。これらの構造の詳細について、図45から図47を参照して説明する。
更に、電気的構成における相違点は、主制御装置110のROM202に格納される変動パターンテーブルの内容と、各始動口に基づく大当たり種別テーブルと、主制御装置110のRAM203および音声ランプ制御装置113のRAM223に格納される各種領域とが相違し、制御処理における相違点は、主制御装置110のMPU201により実行される処理の一部と、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される処理の一部とが相違する。これらの電気的構成および制御処理の詳細は、図48から図71を参照して説明する。
図45を参照して、本実施形態における遊技盤13について説明する。図45は、第12実施形態における遊技盤13の図である。本第12実施形態におけるパチンコ機10の遊技盤13には、可変表示装置ユニット80の下方に振分装置4000が設けられている。この振分装置4000は、遊技盤13に設けられた開口部に背面側より取り付けられている。
振分装置4000は、背面側に配置される背面カバー部材を有しており、その背面カバー部材の前面側に、前面カバー部材4100が取り付けられている。遊技盤13に振分部材4000を取り付けられる場合には、遊技盤13の開口部に前面カバー部材4100を挿入した状態で、背面カバー部材4200により遊技盤13の背面側にビス等で固定される。
振分装置4000が遊技盤13に取り付けられた状態では、前面カバー部材4100の上部に形成された遊技球が入球可能な入球口63が遊技盤13の前面側に突出するように構成されている。前面カバー部材4100は、内部が透過可能な樹脂(ポリカーボネイト等)で、内部に遊技球が流下することが可能な流路を有した箱形形状で構成されている。前面カバー部材4100には、入球口63を通過して内部に流入した遊技球の転動方向を振り分ける回転振分部材4300が配置されている。その回転振分部材4300の下方には、第1始動口63aと第2始動口63bが配置されている。
詳細については、後述するが、振分装置4000の入球口63に入球した遊技球は、回転振分部材4300により、第1始動口63aと第2始動口63bとに、交互に振り分けられるように構成されている。本実施形態では、第1始動口63aに遊技球が入球することにより第1特別図柄(第1図柄の一つ)の抽選が実行され、第2始動口63bに遊技球が入球することにより第2特別図柄(第1図柄の一つ)の抽選が実行される。
第1始動口63aと第2始動口63bとの入球に対して、それぞれ4球を上限に保留球として記憶されるように構成されている。よって、振分装置4000により第1始動口63aと第2始動口63bに交互に遊技球が入球するように構成されているので、一方の始動口に入球が偏り、保留球の上限を超えてしまうオーバーフローの発生を抑制することができる。
また、前面カバー部材4100には、第1始動口63aに遊技球が入球し易くする可変部材64が設けられている。この可変部材64についての詳細については、後述するが、第2図柄の当たりとなると、一定時間(例えば、0.5秒間)可動されて、前面カバー部材4100その両側面に形成された開口部を開放することにより、前面カバー部材4100内部に遊技球が開口部を通じて入球して、第1始動口63aに入球し易くなるように構成されている。
次に、図46〜図47を参照して、振分装置4000の詳細について説明する。図46は、振分装置4000の入球口63に遊技球が入球した場合に、回転振分部材4300により第1始動口63aに遊技球が振り分けられる場合を示した図である。
振分装置4000は、前面側にコの字形状で内部を遊技球が流下可能な前面カバー部材4100と、その前面カバー部材4100の背面側に配置されている背面カバー部材4200とがビス等で固定されて構成されている。前面カバー部材4100は、略縦長の箱形状で構成されており、背面側が開口したコの字形状で構成されている。この前面カバー部材4100には、回動可能に固定された回転振分部材4300と、第1始動口63a、第2始動口63b、可変部材64がそれぞれ配置(形成)される。
前面カバー部材4100の回転振分部材4300の前方下部には、第1始動口63aが形成されている。第1始動口63aは、上部に遊技球が入球可能な開口部が形成されており、開口部に入球した遊技球が流下する第1流路4121aが形成されている。この第1流路4121aは、第1始動口63aに入球した遊技球をパチンコ機10の外部へと排出するための流路であり、前面カバー部材4100の背面側に突出して下方に垂直に遊技球が流下することが可能な樋形状で構成される。なお、この第1流路4121aを流下した遊技球は、他の入賞口(特定入賞口65a等)に入球した遊技球が遊技盤13の背面側よりパチンコ機10の外部(島設備等)に排出される為の流路部材である集合樋へと流下して、他の入賞口に入球した遊技球と共にパチンコ機10の外部へと排出される。なお、第1始動口63aの開口部内には、遊技球の通過を検出可能な検出スイッチ(磁気センサ等)が配置されており、遊技球の通過を主制御装置110に対して通知することが可能な構成となっている。なお、第1始動口63aの開口部上部の前面カバー部材4100の両側面には遊技球が通過可能な左側開口部4100a、右側開口部4100bがそれぞれ形成されている。
前面カバー部材4100には、図示しないソレノイドで回動可能に構成された可変部材64が取り付けられている。可変部材64は、左側開口部4100aを塞ぐことが可能な位置に配置される左側可変部材64aと右側開口部4100bを塞ぐことが可能な位置に配置される右側可変部材64bとで構成されている。この左側可変部材64aと右側可変部材64bとは左右対称の形状で構成されおり、羽根形状で構成され、下端部を回動可能に前面カバー部材4100に固定されている。
左側可変部材64aと右側可変部材64bとは図46(a)に示すように、左側開口部4100aと右側開口部4100bとを塞ぐように可変部材64が垂直に直立した位置に配置される閉位置と、左側開口部4100aと右側開口部4100bとへ遊技球を誘導するように可変部材64が逆ハの字の位置に配置される開位置とに可変制御される。なお、この閉位置と開位置とに可変させる駆動構造については、すでに公知であり、本実施形態でもその公知な構成と同様にソレノイドが励磁されることにより、左側可変部材64aと右側可変部材64bとが連動して回動するように構成され、励磁されない状態では、閉位置で回動が固定されて構成される。
なお、本実施形態では、一のソレノイドにより左側可変部材64aと右側可変部材64bとが連動して回動するように構成したが、これに限られず、左側可変部材64aと右側可変部材64bとにそれぞれソレノイドを連結し、それぞれの可変部材64を独立して動作可能に構成してもよい。これにより、可変部材64の動作のバリエーションを増やし、遊技者の興趣向上を図ることができる。
第2始動口63bは、第1始動口63aの背面側の位置に前面カバー部材6100より突出して形成される。この第2始動口63bは、第1始動口63aと同様に、遊技球が入球可能な開口部を有したポケット構造で構成されており、背面側に遊技球が排出される排出口が形成されている。この排出口には、前面カバー部材4100の背面側に固定される背面カバー体4200に形成されている第2流路4122aと連通する開口部と勘合するように構成されている。第2始動口63bの内部には、第1始動口63aと同様に、遊技球が入球したことを検出することが可能な検出スイッチ(磁気センサ)が配置されている。また、排出口より第2流路4122aを流下した遊技球は、前述した集合樋まで流下して、パチンコ機10の外部に排出される。
前面カバー部材4100の上面には前述した遊技球が入球可能な開口面を有した入球口63が形成されており、縦長の樋形状で構成されている。入球口63の内部は、前面側(パチンコ機10の前面側)より背面側に序々に突出した突出壁部が遊技球をパチンコ機10の背面側方向へと誘導する誘導部が形成されている。
入球口63の下部には、回転振分部材4300が第1始動口63a側と第2始動口63b側へと回動可能に固定されている。この回転振分部材4300は、前面カバー体4100に回動可能に固定される軸部4300zを有しており、その軸部から垂直上方に垂直壁部4300sが形成されている。また、軸部4300zより、垂直壁部4300sに対して、約90度の第1壁部4300tと第2壁部4300uとがそれぞれ形成されている。
図46(b)に示すように、回転振分部材4300の垂直壁部4300sと第1壁部4300uとの間に遊技球を1球受け入れることが可能な第1収容部4300aが形成され、垂直壁部4300sと第2壁部4300uとの間に遊技球を1球受け入れることが可能な第2収容部4300cが形成されている。なお、軸部4300zの幅は、遊技球1球分より若干大きい幅で構成されており、垂直壁部4300s、第1壁部4300t、第2壁部4300uも軸部4300zと同様の幅で構成されている。
図46(b)に示すように、回転振分部材4300が右方向(パチンコ機10の奥行き方向)に最大角度まで回動している状態(以下、第1位置と称す)では、第1収容部4300aが入球口63と対向する位置に配置されている。よって、入球口63に入球した遊技球は、第1収容部4300aへと収容され、その遊技球の自重により、回転振分部材4300が左方向(パチンコ機10の手前側方向)に回動され、第1始動口64aの開口部に向けて流下する。その後、回転振分部材4300は、左方向(パチンコ機10の手前側方向)に最大角度まで回動した状態(以後、第2位置と称す)で保持される(図47(b)参照)。
回転振分部材4300の垂直壁部4300sの先端部には磁石4300bが設けられている。また、前面カバー部材4300の両側面にもベース側磁石4301が配置されている。ベース側磁石4301は、垂直壁部4300bが垂直方向の位置となった場合における磁石4300bの位置と向かい合う位置に配置されている。回転振分部材4300の磁石4300bとベース側磁石4301とは互いに反発する極性になるように構成されている。詳細には、ベース側磁石4301は、ベース体に固定された磁石で構成されており、先端部に磁極(S極またはN極)が発生するように構成されている。
磁石4300bは、棒状で構成された磁石で構成され、互いの先端部がベース側磁石4301側に向くように、垂直壁部4300sに固定されている。回転振分部材4300が回動し、垂直壁部4300sが垂直となる位置で、ベース側磁石4301と磁石4300bとが最も接近する(先端部同士が向かい合う)位置となる。ここで、互いの磁石は、極性が同じ(例えば、N極とN極)となるように配置されているので反発しあうように取り付けられている。
これにより、垂直壁部4300sがベース側磁石4301に近づくと、近づくのを妨げるように磁力が働き、回転振分部材4300が回動する方向と反対の回転力が働く。よって、入球口63に遊技球が入球して、その入球した遊技球により第1位置または第2位置方向へと回転振分部材4300が回動した後に、反動で回転振分部材4300が再び元の位置へと戻ろうとした場合に、ベース側磁石4301に近づくと磁力により戻ろうとする回転方向と反対の力が加わり、元の位置へ戻る不具合を抑制できる。従って、回転振分部材4300が遊技球により回転した後に、その回転した位置で停止させることができる。その結果、入球口63に遊技球が入球することにより、回転振分部材6300を交互に第1位置と第2位置とに可変させることができ、第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に遊技球を振り分けることができる。
また、第1入球口63aへの入賞に起因する抽選遊技と第2入球口63bへの入賞に起因する抽選遊技とを効率良く実行できる。よって、第1始動口および第2始動口に設定された保留球の上限数をそれぞれ有効に活用できる。即ち、保留球が上限数に達しているにも関わらず、入賞が発生してしまうこと(所謂オーバーフロー)の発生を抑制して、遊技者の不利益となることを回避できる。
次に、図47を参照して、振分回転部材4300が遊技球を第2始動口63bへ遊技球を誘導する(振り分ける)場合について説明する。上述したように、図46で説明したように、回転振分部材4300が第1位置に配置された状態で、入球口63に遊技球が入球すると第2位置へと回動して遊技球を第1始動口63aへと誘導すると、図47(b)に示すように第2位置に回転振分部材4300が配置される。その状態で入球口63に遊技球が入球すると、第2収容部4300cに遊技球が流下して、遊技球の自重により第1位置へと回転振分部材4300が回転されて、第2入球口64bに遊技球が誘導される。
このように、本実施形態における振分装置4000は、入球口63に遊技球が入球すると交互に第1始動口63aと第2始動口63bとに遊技球を誘導する。これにより、遊技球が一方の始動口に偏って入賞することを抑制でき、一方の始動口に対する保留球のみが上限をオーバーする不具合を抑制できる。
さらに、後述するが、第1特別図柄と第2特別図柄とで選択される変動時間の平均を同じになるように構成することで、偏り無く第1特別図柄と第2特別図柄とを効率よく変動させ、よりオーバーフローを抑制できる。また、第1特別図柄と第2特別図柄の外れ変動時間を短く設定(入球口63に入球する設計値に基づいた値)することで、よりオーバーフローを抑制できる。
さらに、本実施形態では、第1始動口63aに可変部材64(電動役物)が付随されているので、後述する時短遊技や確変遊技状態となると、第1始動口63aへの入球数が第2始動口63bよりも多くなる。詳細については後述するが、この場合に本実施形態では、第1特別図柄の変動時間を第2特別図柄の変動時間よりも短く設定され易く構成したので、第1特別図柄の保留球がオーバーフローするのを抑制することができる。
また、前面カバー部材4100には、前面側に回転振分部材4300の状態が視認し難いように渦巻き状の模様が形成されている。これにより、回転振分部材4300が第1位置にあるのか、第2位置にあるのかを判別し難くなっており、遊技者が入球する入球口を判別して打ち分けることが困難にできる。また、渦巻き状が形成されていても、前面カバー部材が内部を透過可能な樹脂で構成されているので、遊技球が流下しているか否かは判別でき、球詰まり等の不具合を早期に判別できる。
また、本実施形態では、遊技盤13は木製で構成したが、アクリル樹脂等で構成して、そのアクリル樹脂に遊技球の転動方向を変化させるための釘を配置するように構成してもよい。このようにすることで、振り分け装置4000の背面側に形成される遊技球を排出するための流路を透明な樹脂等で構成することにより遊技球が振り分け装置4000に入球してから排出されるまでを遊技者に視認させることができる。よって、遊技球の流下する態様を楽しませることができる。
また、本実施形態では、第1始動口63aと第2始動口63bに入球した遊技球を検知するための検出スイッチを第1始動口63a、第2始動口63b内部にそれぞれ配置したが、第1流路4121a、第2流路4122a内にそれぞれ配置するように構成してもよい。このように構成することで、検出スイッチが外部よりピアノ線等でオンされる不正を抑制できる。また、その検出スイッチの手前に、検出スイッチに流下する流路と、外部に排出される流路とをそれぞれ形成して、遊技球がランダムに振り分けられるようにしておくことで、遊技者が検出スイッチに検出されるかを期待して遊技をすることができ、遊技の興趣を向上できる。
従来の構成のように、第1始動口63aと第2始動口63bとを左右に配列して、その中間上部に回転振分部材4300を配置すると、第1始動口63aまたは第2始動口63bの片側(詳細には、第1始動口63a、第2始動口63bの反対側)にのみ電動役物等の羽根部材は設けることができるが、それぞれの始動口の両側には配置することができなかった。しかしながら、本実施形態の構成では、第1始動口63aの両側に羽根部材の電動役物を設けることができるので、第1始動口63aへの入賞率を大きく可変させることができ、遊技の興趣を向上できる。なお、本実施形態では、第1始動口63aを第2始動口63bの前面側に配置したが、それに限らず、第2始動口63bを前面側に配置するように構成してもよい。また、例えば、遊技状態の変化(時短、確変遊技等)により、第1始動口63aと第2始動口63bとを入れ替える制御を行うように構成してもよい。この場合には、制御的に、第1始動口63aに入賞した遊技球を第2始動口63bに入賞したと判別するように構成すればよい。
なお、本実施形態では、電動役物64の左側可変部材64aと右側可変部材64bは同期して開閉するように構成したが、それぞれ独立して開閉するように構成してもよい。この場合には、第2図柄の当たり種別により、開閉する可変部材を決定してもいし、左側のみ、右側のみ、両方の3種類から開閉を決定する抽選を実行するように構成してもよい。
<第12実施形態における電気的構成について>
次に、図48を参照して、第12実施形態における本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図48は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。第12実施形態では、主制御装置110のROM202、RAM203及び音声ランプ制御装置113のROM222、RAM223の内容において、上記各実施形態と相違し、その他の部分については同一であるため、同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
まず、図49、および図50を参照し、主制御装置110に設けられているRAM203について説明する。主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図49を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図56参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図66参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203のカウンタ用バッファ203iに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる特別図柄1保留球格納エリア203aと特別図柄2保留球格納エリア203bが設けられており、これらの各エリアには、第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203bが設けられており、これらの各エリアには、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜399)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜399の値を取り得るカウンタの場合は399)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜399の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜399の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図56参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図66参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1始動口63aに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aに格納され、球が第2始動口63bに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル202aによって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この第1当たり乱数テーブル202aには、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類の判定値が含まれる。即ち、それぞれの状態においてテーブルに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なっている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1始動口63aに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aに格納され、球が第2始動口63bに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。
ここで、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。
一方で、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄1保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄1保留球格納エリア203aに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0〜299の範囲の2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、特別図柄の低確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は3個あり、その乱数値である「0〜2」は、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202a(図51(b)参照)に格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が3なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「3/400」となる。
一方で、特別図柄の高確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は30個あり、その値である「0〜29」は、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202a(図51(b)参照)に格納されている。このように特別図柄の高確率時には、乱数値の総数が400ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が30なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「3/40」となる。
また、本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されており、この第1当たり種別カウンタC2の値と、ROM202内に設けられている第1当たり種別選択テーブル202b(図52(a)〜(b)参照)とに基づいて大当たり種別が決定される。図52(a)に示すように、第1特別図柄(特図1)の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0〜19」であった場合の大当たり種別は、「大当たりA」となる。また、値が「20〜99」であった場合の大当たり種別は、「大当たりB」となる。一方、図52(b)に示すように、第2特別図柄(特図2)の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0〜19」であった場合の大当たり種別は、「大当たりA」となる。また、値が「20〜59」であった場合の大当たり種別は、「大当たりB」となる。また、値が「60〜99」であった場合の大当たり種別は、「大当たりC」となる。
停止種別選択カウンタC3は、例えば0〜99の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり99)に達した後0に戻る構成となっている。本実施形態では、停止種別選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される外れ時の停止種別が選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」(例えば98,99)と、同じくリーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」(例えば90〜97の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば0〜89の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。停止種別選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1始動口63aに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aに格納され、球が第2始動口63bに入賞したタイミングでRAM203の特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。
なお、停止種別選択カウンタC3の値(乱数値)から、特別図柄の停止種別を決定するための乱数値は、停止種別選択テーブル(図示せず)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。また、本実施形態ではこのテーブルを、特別図柄の高確率時用と、特別図柄の低確率時用とに分けており、テーブルに応じて、外れの停止種別ごとに設定される乱数値の範囲を変えている。これは、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態であるか、特別図柄の低確率状態であるか等に応じて、停止種別の選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0〜89と広い高確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後外れリーチ」が98,99と狭くなると共に「前後外れ以外リーチ」も90〜97と狭くなり、「前後外れリーチ」や「前後外れ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態であれば、第1始動口63aへの球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0〜79と狭い低確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。また、低確率状態では、「前後外れ以外リーチ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が80〜97と広くなり、「前後外れ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、演出時間の長いリーチ表示を多く行うことできるので、第1始動口63aへの球の入球時間を確保でき、第3図柄表示装置81による変動表示が継続して行われ易くなる。尚、後者のテーブルにおいても、「前後外れリーチ」の停止種別に対応した乱数値の範囲は98,99に設定される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。ここで、変動時間とは、特別図柄の変動が開始されてから、図柄が停止表示され、図柄が確定するまでの時間のことを指す。例えば、9.6秒の図柄変動が実行された後で、図柄が0.4秒間だけ停止表示されて図柄が確定する場合には、変動時間が10秒(9.6秒+0.4秒)であると表記する。この変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図66参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。なお、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターン選択テーブル202d(図53(a)〜(d)参照)、または時短変動パターン選択テーブル202e(図54(a)〜(c)参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている(図51(a)参照)。本実施形態では、この変動パターン選択テーブルを、パチンコ機10が時短中か否かによって使い分けており、時短中に利用される時短変動パターン選択テーブル202eでは、通常時に利用される変動パターン選択テーブル202dに比べて、短い変動時間となる変動パターンが選択されるようになっている。これは、パチンコ機10が時短中であるか否かに応じて、変動時間を変更するためである。これにより、パチンコ機10が時短中の場合は始動口へ入賞しやすくなることで、始動口への入賞があったにも関わらず保留球数が上限値であるため入賞が無効となってしまう(所謂オーバーフロー)回数が増加することが考えられるが、時短中において変動時間を短くすることで、保留球数の消化が早くなり、保留球数が上限となる頻度を減らすことができるので、所謂オーバーフローとなる回数を軽減することができる。
変動パターン選択テーブル202d(図53(a)〜(d)参照)には、例えば、外れ用の変動パターンとして、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種、「外れスペシャルリーチ」各種が規定され、大当たり用の変動パターンとして、「当たりノーマルリーチ」各種、「当たりスーパーリーチ」各種、「当たりスペシャルリーチ」各種が規定されている。そして、変動パターン選択テーブル202dに規定された各種変動パターンから、抽選結果や停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に応じて変動パターンが選定される。なお、この変動パターン選択テーブル202dに規定されている、5秒〜30秒の変動パターン演出の変動時間としては、例えば、5秒〜30秒の変動時間が規定されている。
時短変動パターン選択テーブル202e(図54(a)〜(c)参照)には、第1始動口への入球に基づき用いられる特図1時短変動パターンテーブル202e1と、第2始動口への入球に基づき用いられる特図2時短変動パターンテーブル202e2とが設けられており、特図1時短変動パターンテーブル202e1には0.5秒(時短外れAまたは時短当たりA)の変動時間の変動パターンが規定されており、特図2時短変動パターンテーブル202e2には2.0秒の変動時間の変動パターン(時短外れBまたは時短当たりB)が規定されている。そして、遊技状態が時短中である場合に、時短変動パターン選択テーブル202eを用いて変動パターンが選択されるので、第1特別図柄の変動時間は第2特別図柄の変動時間に比べて短くなる。これにより、遊技状態が時短中となり、第1始動口63aに入球しやすい状態(即ち、第1特別図柄の変動回数が多くなる状態)となる場合でも、第1特別図柄の変動時間が第2特別図柄の変動時間よりも長くなってしまうとの変動時間の偏りを軽減することができる。よって、振分装置4000により第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に入球させることで上述した変動時間の偏りを軽減する効果を損なうことなく、第1始動口63aに入球しやすくなる時短遊技を遊技者へ提供することができる。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される第2当たり乱数テーブル(図51(d))によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、第2当たり乱数テーブルによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄の当たりと判定する。また、この第2当たり乱数テーブルは、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態である期間)用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時(普通図柄の時短状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
普通図柄の低確率時に、普通図柄の当たりとなる乱数値は24個あり、その範囲は「5〜28」となっている。これら乱数値は、低確率時用の第2当たり乱数テーブルに格納されている。このように普通図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が24なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/10」となる。
パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、球が普通図柄始動口67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜28」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第1始動口63aが「0.2秒間×1回」だけ開放される。なお、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第1始動口63aが「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、普通図柄の高確率時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5〜204」となっている。これらの乱数値は、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/1.2」となる。
パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、球が普通図柄始動口67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第1始動口63aが「1秒間×2回」開放される。このように、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第1始動口63aの解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1始動口63aへ球が入球し易い状態となる。なお、第2当たり乱数カウンタC4の値(乱数値)から、普通図柄の当たりか否かを判定する乱数値を格納したテーブル(図示せず)は、ROM202内に設けられている。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第1始動口63aが「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜239)、タイマ割込処理(図56参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図66参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
図48に戻り、説明を続ける。RAM203は、図49に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図66参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図65参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図64参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図50に示すように、特別図柄1保留球格納エリア203aと、特別図柄2保留球格納エリア203bと、普通図柄保留球格納エリア203cと、特別図柄1保留球数カウンタ203dと、特別図柄2保留球数カウンタ203eと、普通図柄保留球数カウンタ203fと、確変中カウンタ203gと、時短中カウンタ203hと、カウンタ用バッファ203iと、変動実行フラグ203jと、変動順格納エリア203kと、その他メモリエリア203zを有している。
特別図柄1保留球格納エリア203aは、第1始動口63a(第1特別図柄)専用の記憶エリアであり、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が第1始動口63aへ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。なお、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、第1特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄1保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1〜C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1〜C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア〜保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア〜保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本実施形態では、特別図柄1保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア〜第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
本パチンコ機10では、球が第1始動口63aへ入賞(始動入賞)し、その始動入賞に応じて各カウンタC1〜C3の各値が取得されると直ちに、それらの値を含む入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113へ送信される。入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113によって受信されると、音声ランプ制御装置113は、入賞情報コマンドから、各カウンタC1〜C3の各値を抽出し、それらを入賞情報としてRAM233の入賞情報格納エリア223aに格納する。
特別図柄2保留球格納エリア203bは、第2始動口63b(第2特別図柄)専用の記憶エリアであり、上述した特別図柄1保留球格納エリア203aに対して、第1始動口63a(第1特別図柄)が第2始動口63b(第2特別図柄)に変更される点で相違するのみであるので、その詳細な説明は省略する。
普通図柄保留球格納エリア203cは、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球が普通図柄始動口67を通過したタイミングで、カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄1保留球数カウンタ203dは、第1始動口63aへの入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる特別図柄(第1図柄)の変動表示(第3図柄表示装置81で行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄1保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、第1始動口63aへ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図61のS604参照)。一方、特別図柄1保留球数カウンタ203dは、新たに第1特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図57のS206参照)。
この特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(第1特別図柄における変動表示の保留回数N1)または、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(第2特別図柄における変動表示の保留回数N2)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図57のS209,S214、図61のS605,S612参照)。保留球数コマンドは、特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値が変更される度に、主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
なお、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、保留球数が変化する度に表示制御装置114に対して、保留球数を通知するための表示用保留球数コマンドを送信する。表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81に保留球数図柄を表示する。
普通図柄保留球数カウンタ203fは、普通図柄始動口67における球の通過に基づいて第2図柄表示装置83で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203fは、初期値がゼロに設定されており、球が普通図柄始動口67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図63のS804参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図62のS705参照)。
球が普通図柄始動口67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203cに記憶される(図63のS805)。一方、球が普通図柄始動口67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203bには新たに何も記憶されない(図63のS803:No)。
確変中カウンタ203gは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態(特別図柄の高確率状態)であるか否かを示すカウンタであり、確変中カウンタ203gの値が1以上であれば、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であることを示し、確変中カウンタ203gの値が0であれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(特別図柄の低確率状態)であることを示す。この確変中カウンタ203gは、初期値がゼロに設定されており、主制御装置110において、大当たりの最終ラウンドにおいて特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖するタイミング(即ち、大当たりの終了タイミング)に大当たり種別に応じた値が設定される。具体的には、「大当たり種別A」の場合は0が設定され、「大当たり種別B」および「大当たり種別C」の場合は100が設定される。その後、確変中カウンタ203gの値が1以上の間は、特別図柄の変動演出が終了する毎に1が減算される(図57のS221)。
MPU201によって特別図柄1変動開始処理(図59参照)または特別図柄2変動開始処理(図60参照)が実行されると、特別図柄の抽選が行われる。特別図柄1変動開始処理または特別図柄2変動開始処理では、確変中カウンタ203gの値が参照され、その値が1以上であれば、第1当たり乱数テーブル202aにおける高確率時用の判定値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる一方、確変中カウンタ203gの値が0であれば、第1当たり乱数テーブル202aにおける低確率時用の判定値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。
時短中カウンタ203hは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203hの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203hの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。この時短中カウンタ203hは、初期値がゼロに設定されており、大当たりの最終ラウンドにおいて特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖するタイミング(即ち、大当たりの終了タイミング)に大当たり種別に応じた値が設定される。具体的には、「大当たり種別A」および「大当たり種別B」の場合は100が設定され、「大当たり種別C」の場合は0が設定される。その後、時短中カウンタ203hの値が0になるまで、特別図柄の変動演出が終了する毎に1が減算される(図57のS223)。
普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、時短中カウンタ203hの値が参照され、その値が1以上であれば、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに基づいて、普通図柄の抽選が行われる一方、時短中カウンタ203hの値が0であれば、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに基づいて、普通図柄の抽選が行われる(図62のS710,S711参照)。
カウンタ用バッファ203iは、上述したように、各カウンタ値がカウントされる為に用いられるバッファエリアである。
変動実行フラグ203jは、第1特別図が優先に変動されるか、第2特別図柄が優先に変動されるかを示すフラグである。なお、このフラグは、電断時にもバックアップされる領域であり、RAMクリア等された初期状態では、第1特別図柄が優先に設定されている。
変動順格納エリア203kは、特別図柄1保留球格納エリア203aと、特別図柄2保留球格納エリア203bとに記憶されている各保留データについて入賞順序を記憶するエリアである。この変動順格納エリア203kには、8個の記憶エリアが設定されており入賞した順に先の記憶エリアに順序が記憶される。なお、特別図柄の変動開始に基づいて、記憶エリアもシフトされる。
その他メモリエリア203zは、上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、主制御装置110のMPU201が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域である。
図48に戻って説明を続ける。上述の通り、主制御装置110のMPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202が設けられている。このROM202について、図51〜図54を参照して説明する。
図51(a)は、主制御装置110に設けられているROM202の内容を模式的に示した図である。図51(a)に示した通り、ROM202には、第1当たり乱数テーブル202aと、第1当たり種別選択テーブル202bと、第2当たり乱数テーブル202cと、変動パターン選択テーブル202dと、時短変動パターン選択テーブル202eが少なくとも設けられている。
第1当たり乱数テーブル202aは、上述した通り、特別図柄の大当たりとなる乱数の値が規定されたテーブルである。この第1当たり乱数テーブル202aに規定されている乱数値と、第1当たり乱数カウンタC1の値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この第1当たり乱数テーブル202aには、特別図柄の低確率時に特別図柄の大当たりか否かを判別するためのテーブル(低確率時用の第1当たり乱数テーブル202a)と、特別図柄の高確率時に特別図柄の大当たりか否かを判別するためのテーブル(高確率時用の第1当たり乱数テーブル202a)とが設けられており、それぞれのテーブルに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なっている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。なお、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aには、小当たりの判定値が「30〜39」で設定されている。一方、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aには、小当たり判定値は設定されていない。
これにより、遊技者にとって有利な状態である高確率時に比べ、遊技者にとって有利でない状態である低確率時に、遊技者に有利とならない小当たりが成立しないようにすることができ、遊技者の感じる不満を低減できると共に、遊技者にとって有利な状態である高確率時に、遊技者に有利とならない小当たりが成立することで、遊技者にとって過剰に有利な状態となることを防止することができる。
第1当たり種別選択テーブル202bは、(図51(c)参照)は、大当たり種別を決定するための第1当たり種別カウンタC2の判定値が、大当たり種別毎にそれぞれ設定されているデータテーブルである。図51(c)に示した通り、第1当たり種別選択テーブル202bは、第1特別図柄専用の特図1用選択テーブル202b1(図52(a)参照)と第2特別図柄専用の特図2用選択テーブル202b2(図52(b)参照)とで構成されている。
図52(a)に示すように、特図1用選択テーブル202b1は、大当たりAと大当たりBとがそれぞれ選択可能に設定されており、大当たりAの判定値として第1当たり種別カウンタC2の値「0〜19」が、大当たりBの判定値として「20〜99」が設定されている。また、図52(b)に示すように、特図2用選択テーブル202b2は、大当たりA、大当たりB、大当たりCがそれぞれ選択可能に設定されており、大当たりAの判定値として、第1当たり種別カウンタC2の値「0〜19」が、大当たりBの判定値として「20〜59」が、大当たりCの判定値として「60〜99」がそれぞれ設定されている。
第2当たり乱数テーブル202c(図51(d)参照)は、普通図柄の当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。図51(d)に示した通り、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態中)は、第2当たり乱数カウンタバッファに格納された第2当たり乱数カウンタC3の値が5〜28の範囲の場合に普通図柄の当たりと判定される。なお、上述の通り、普通図柄の当たりと判定された場合は、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第1始動口63aに付随する電動役物が「0.2秒間×1回」だけ開放される。
一方、普通図柄の高確率時(普通図柄の時短状態中)は、第2当たり乱数カウンタC3の値が5〜204の範囲の場合に普通図柄の当たりと判定される。なお、上述の通り、普通図柄の当たりと判定された場合は、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第1始動口63aに付随する電動役物が「1秒間×2回」開放される。
変動パターン選択テーブル202d(図53(a)参照)は、変動パターンの表示態様を決定するために用いられるデータテーブルであり、変動種別カウンタCS1の値毎に表示態様が規定されている。この変動パターン選択テーブル202dには、特別図柄の抽選結果に対応した複数の異なるテーブルが規定されている。具体的には、図53(a)に示すように、変動パターン選択テーブル202dは、当否判定結果が大当たりである場合専用の大当たり用変動パターンテーブル202d1(図53(b)参照)と、当否判定結果が外れであり、通常遊技状態である場合専用の外れ用(通常)変動パターンテーブル202d2(図53(c)参照)と、当否判定結果が外れであり、確変遊技状態である場合専用の外れ用(確変)変動パターン選択テーブル202d3(図53(d)参照)によりそれぞれ少なくとも構成されている。
時短変動パターン選択テーブル202e(図54(a)参照)は、時短遊技状態における変動パターンの表示態様を決定するために用いられるデータテーブルであり、変動種別カウンタCS1の値毎に表示態様が規定されている。この時短変動パターン選択テーブル202eには、上述した変動パターン選択テーブル202dと同様に、特別図柄の抽選結果に対応した複数の異なるテーブルが規定されている。具体的には、変動パターン選択テーブル202dと同様のパターン選択テーブルが規定されており、各選択テーブルの内容は、変動パターン選択テーブル202dよりも短い変動時間のものが規定されている。これにより、パチンコ機10が時短中の場合は始動口へ入賞しやすくなることで、始動口への入賞があったにも関わらず保留球数が上限値であるため入賞が無効となってしまう(所謂オーバーフロー)回数が増加することが考えられるが、時短中において変動時間を短くすることで、保留球数の消化が早くなり、保留球数が上限となる頻度を減らすことができるので、所謂オーバーフローとなる回数を軽減することができる。
次に、図55を参照して、音声ランプ制御装置113のROM222、およびRAM223について説明を行う。音声ランプ制御装置113のROM222には、変動パターンテーブルが少なくとも格納されている。変動パターンテーブルについては、既に公知のものであるため簡単に説明するが、主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに基づいて、その変動パターンコマンドが示す大まかな変動内容(変動時間、変動種別(リーチ、外れ等))から更に詳細な変動内容を決定する。これにより、さらに多様な変動態様を決定することができる。
また、図55に示した通り、音声ランプ制御装置113のRAM223には、入賞情報格納エリア223aと、特別図柄1保留球数カウンタ223bと、特別図柄2保留球数カウンタ223cと、変動開始フラグ223dと、停止種別選択フラグ223eと、その他メモリエリア223zとが少なくとも設けられている。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報である各カウンタC1〜C3の各値がそれぞれ格納される。本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選が行われた場合に得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が主制御装置110において予測(推定)され、その予測された各種情報が、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ入賞情報コマンドによって通知される。
音声ランプ制御装置113では、入賞情報コマンドが受信されると、その入賞情報コマンドにより通知された各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が入賞情報として抽出されて、その入賞情報が、入賞情報格納エリア223aに記憶される。より具体的には、抽出された入賞情報が、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。
特別図柄1保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄1保留球数カウンタ223bにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1始動口63aへの入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において第1特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を取得して、特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する(図70のS1508参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄1保留球数カウンタ223bの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納すると共に、格納後の特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bの値分の保留球数図柄を第3図柄表示装置81の下側表示領域Dsに表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄1保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203aと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81の下側表示領域Dsに表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203aの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
なお、特別図柄2保留球数カウンタ223cは、第2始動口63b(第2特別図柄)専用の保留球数カウンタであり、上述した特別図柄1保留球数カウンタ223bに対して、第1始動口63a(第1特別図柄)が第2始動口63b(第2特別図柄)に変更される点で相違するのみであるので、その詳細な説明は省略する。
変動開始フラグ223dは、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドを受信した場合にオンされ(図70のS1502参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図71のS1607参照)。変動開始フラグ223dがオンになると、受信した変動パターンコマンドから抽出された変動パターンに基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。
ここで設定された表示用変動パターンコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図69参照)のコマンド出力処理(S1402)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
停止種別選択フラグ223eは、主制御装置110から送信される停止種別コマンドを受信した場合にオンされ(図70のS1505参照)、第3図柄表示装置81における停止種別の設定がなされるときにオフされる(図71のS1607参照)。停止種別選択フラグ223eがオンになると、受信した停止種別コマンドから抽出された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)が設定される。また、設定された停止種別は、表示用停止種別コマンドによって、表示制御装置114に通知される。表示制御装置114では、音声ランプ制御装置113より受信した表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
その他メモリエリア223zは、上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、音声ランプ制御装置113のMPU221が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域である。
RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図70参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
<第12実施形態における主制御装置の制御処理について>
次に、図56から図71のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図56は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、299,99,99,239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37において表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行し(S104)、その後、第1始動口63aの入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理(S104)、及び、始動入賞処理(S105)の詳細は、図57〜図61を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置83において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、普通図柄始動口67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理(S106)、及び、スルーゲート通過処理(S107)の詳細は、図62および図63を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図57を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図57は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図56参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37において行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S201)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、特別図柄の大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)および特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を取得する(S203)。次に、第1特別図柄の保留球または第2特別図柄の保留球のどちらで変動を実行するかを判定し、変動実行フラグ203jの設定を行う、変動実行判定処理を実行する(S204)。なお、変動実行判定処理については、図58を参照して後述する。
変動実行判定処理によって設定された、変動実行フラグ203jが、特図1で変動実行であるかを判定し(S205)、特図1で変動実行でなければ(S205:No)、変動実行フラグ203jが特図2で変動実行であるかを判定し(S210)、特図2で変動実行でなければ(S210:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、変動実行フラグ203jが特図1で変動実行であれば(S205:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を1減算し(S206)、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを設定する(S207)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図66参照)の外部出力処理(S1101)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する。
S207の処理により保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄1保留球格納エリア203aに格納されたデータをシフトする(S208)。S208の処理では、特別図柄1保留球格納エリア203aの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、第1図柄表示装置37において変動表示を開始するための特別図柄1変動開始処理を実行する(S209)。なお、特別図柄1変動開始処理については、図59を参照して後述する。
S205の処理において、変動実行フラグ203jが特図1で変動実行でなければ(S205:No)、変動実行フラグ203jが特図2で変動実行であるかを判別し、(S210)、変動実行フラグ203jが特図2で変動実行であれば(S210:Yes)、第2特別図柄の保留球について、上述した第1特別図柄の保留球についての処理と同様の処理を行う。
具体的には、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)を1減算し(S211)、演算により変更された特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を示す保留球数コマンドを設定する(S212)。ここで設定された保留球数コマンドにより、RAM223の特別図柄2保留球数カウンタ223cが更新される。S212の処理により保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄2保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトし(S213)、第1図柄表示装置37において変動表示を開始するための特別図柄2変動開始処理を実行する(S214)。なお、特別図柄2変動開始処理については、図60を参照して後述する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S215)。第1図柄表示装置37において実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S215:No)、第1図柄表示装置37の表示を更新し(S216)、本処理を終了する。
一方、S215の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S215:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様を設定する(S217)。停止図柄の設定は、図59を参照して後述する特別図柄1変動開始処理(S209)または、図60を参照して後述する特別図柄2変動開始処理(S214)によって予め行われる。この特別図柄1変動開始処理または特別図柄2変動開始処理が実行されると、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、第1特別図柄または第2特別図柄の停止図柄が設定される。より具体的には、第1特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるかが決定され、第2特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるか、大当たりCとなるかが決定される。
なお、本実施形態では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37において青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には赤色のLEDを点灯させ、大当たりCになる場合には赤色のLEDと青色のLEDとを点灯させる。また、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S217の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37において実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の表示(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S218)。そして、今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S218:Yes)、大当たりの開始を設定し(S219)、S224の処理へ移行する。
一方、S218の処理において、今回の抽選結果が特別図柄の外れであれば(S218:No)、確変中カウンタ203gの値が0より大きいか否かを判別し(S220)、確変中カウンタ203gの値が0より大きいと判別した場合は(S220:Yes)、確変中カウンタ203gの値を1減算して(S221)、S222へと処理を移行する。一方、確変中カウンタ203gの値が0であると判別した場合は(S220:No)、S221の処理をスキップして、S222の処理へ移行する。
S222の処理では、時短中カウンタ203hの値が0より大きいか否かを判別し(S222)、時短中カウンタ203hの値が0より大きいと判別した場合は(S222:Yes)、時短中カウンタ203hの値を1減算して(S223)、S224へと処理を移行する。一方、時短中カウンタ203hの値が0であると判別した場合は(S222:No)、S223の処理をスキップして、S224の処理へ移行する。
S219、S222、またはS223の処理後に実行されるS224の処理では、S217の処理で設定された停止図柄に対応した第1図柄表示装置37の表示態様であるLEDの点灯と第3図柄表示装置81の変動停止を同調させるために停止コマンドが設定される(S224)。
次に、図58を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される変動実行判定処理(S204)について説明する。図58は、変動実行判定処理(S204)を示したフローチャートである。この変動実行判定処理(S204)は、タイマ割込処理(図56参照)の特別図柄変動処理(図57参照)の中で実行される処理であり、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bの、どちらの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて実行するかを判定するための処理である。
変動実行判定処理では、まず、変動実行フラグ203jに0を設定することで、初期化を行い(S301)、変動順格納エリア203kのデータを取得する(S302)。その後、変動順格納エリア203kのデータをシフトする(S303)。S303の処理では、変動順格納エリア203kの第1エリア〜第8エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、第1エリア→実行エリア、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→保留第3エリア、第5エリア→第4エリア、第6エリア→第5エリア、第7エリア→保留第6エリア、第8エリア→保留第7エリア、といった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、実行エリアのデータが特図1であるか否かを判定する(S304)。
S304の処理にて、実行エリアのデータが特図1であると判定された場合(S304:Yes)、変動実行フラグ203jを特図1で変動実行に設定し(S305)、本処理を終了し、特別図柄変動処理へ戻る。
一方、実行エリアのデータが特図1でないと判定された場合(S304:No)、実行エリアのデータが特図2であるか否かを判定する(S306)。S306の処理にて、実行エリアのデータが特図2であると判定された場合(S306:Yes)、変動実行フラグ203jを特図2で変動実行に設定し(S307)、本処理を終了し、特別図柄変動処理へ戻る。
S306の処理にて、実行エリアのデータが特図2でないと判定された場合(S306:No)、変動実行する保留球が無いため、変動実行フラグ203jが初期状態のまま、本処理を終了し、特別図柄変動処理へ戻る。
次に、図59を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄1変動開始処理(S209)について説明する。図59は、特別図柄1変動開始処理(S209)を示したフローチャートである。この特別図柄1変動開始処理(S209)は、タイマ割込処理(図56参照)の特別図柄変動処理(図57参照)の中で実行される処理であり、特別図柄1保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
特別図柄1変動開始処理では、まず、特別図柄1保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている第1特別図柄の第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び、停止種別選択カウンタC3の各値を取得し(S401)、確変中であるか否かを判定する(S402)。具体的には、確変中カウンタ203gが0より大きい場合は確変中であると判定し、確変中カウンタ203gが0の場合は確変中でないと判定する。S402の処理にて、確変中であると判定された場合(S402:Yes)、第1当たり乱数テーブル202aの高確率時の大当たり判定値および小当たり判定値に基づいて抽選結果を取得し(S403)、S405の処理に移る。ここで、特別図柄の抽選結果は、S103の処理で更新された第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり乱数テーブル202aの高確率時の大当たり判定値(図51(b))に格納されている値(当たり値)とを1つ1つ比較することによって判定する(S403)。第1当たり乱数カウンタC1の値が「0〜29」の範囲にあれば大当たりであると判定し、「30〜39」の範囲にあれば小当たりであると判定し、「40〜399」の範囲にあれば外れであると判定する(図51(b)参照)。
一方、確変中カウンタ203gが0で、確変中でないと判定された場合(S402:No)、第1当たり乱数テーブル202aの低確率時の大当たり判定値および小当たり判定値に基づいて抽選結果を取得し(S404)、S405の処理に移る。ここで、特別図柄の抽選結果は、S103の処理で更新された第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり乱数テーブル202aの高確率時の大当たり判定値(図51(b))に格納されている値(当たり値)とを1つ1つ比較することによって判定する(S404)。第1当たり乱数カウンタC1の値が「0〜29」の範囲にあれば、大当たりであると判定し、「30〜399」の範囲にあれば外れであると判定する(図51(b)参照)。
次に、抽選結果を含む入賞情報コマンドを設定し(S405)、S406の処理に移る。S406の処理では、S403又はS404の処理にて取得した抽選結果が大当たりであるか否かを判定する。S403又はS404の処理にて取得した抽選結果が大当たりであると判定された場合(S406:Yes)、S401の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値に基づき、特図1用選択テーブル202b1より表示態様を設定し(S407)、S408の処理へ移行する。
より具体的には、S401の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値と、第1当たり種別選択テーブル202bの特図1用選択テーブル202b1に格納されている乱数値とを比較し、3種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB、大当たりC)のうち、大当たり種別が何であるかを判定する。上述したように、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜19」の範囲にあれば、大当たりA(15R普通大当たり)であると判定し、「20〜99」の範囲にあれば、大当たりB(15R確変大当たり)であると判定する(図52(a)参照)。
このS407の処理では、判定された大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に応じて、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。また、大当たり種別に対応した停止図柄を、第3図柄表示装置81において停止表示させるべく、大当たり種別(大当たりA、大当たりB)が停止種別として設定される。
次に、時短中であるか否かを判定する(S408)。具体的には、時短中カウンタ203hが0より大きい場合は時短中であると判定し、時短中カウンタ203hが0の場合は時短中でないと判定する。時短中カウンタが0であり、時短中でないと判定された場合は(S408:No)、大当たりの変動パターンを変動パターン選択テーブル202dの大当たり用変動パターンテーブル202d1に基づき決定する(S409)。S409の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM203のカウンタ用バッファ203iに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。なお、変動種別カウンタCS1の数値と図柄変動の種別との関係は、変動パターン選択テーブル202d(図53(a)〜(d)参照)に規定されている。具体的には、大当たり時であれば、変動種別カウンタCS1の値が「0〜50」の範囲にあればノーマルリーチ(30秒)、「51〜179」の範囲にあればスーパーリーチ(60秒)、「180〜198」の範囲にあればスペシャルリーチ(90秒)の変動パターンとなる(図53(b)参照)。
一方、S408の処理において、時短中カウンタが0より大きく、時短中であると判定された場合は(S408:Yes)、大当たりの変動パターンを特図1時短変動パターンテーブル202e1に基づき決定する(S410)。S410の処理で変動パターンが設定されると、S409の処理と同様に、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。なお、変動種別カウンタCS1の数値と図柄変動の種別との関係は、時短変動パターン選択テーブル202e(図54(a)〜(c)参照)に規定されており、具体的には、変動種別カウンタCS1の値に関わらず(全範囲の値において)、時短当たりA(0.5秒)の変動パターンとなる(図54(b)参照)。
S406の処理において、特別図柄の外れであると判定された場合には(S406:No)、外れの表示態様を設定する(S411)。S411の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、特別図柄1保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている停止種別選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる停止種別を決定する。例えば、停止種別としては、「前後外れリーチ」、「前後外れ以外リーチ」、「完全外れ」などが規定されている。
次に、時短中であるか否かを判定する(S412)。具体的には、時短中カウンタ203hが0より大きい場合は時短中であると判定し、時短中カウンタ203hが0の場合は時短中でないと判定する。時短中カウンタが0であり、時短中でないと判定された場合は(S412:No)、外れの変動パターンを変動パターン選択テーブル202dの外れ用(通常)選択テーブル202d2または外れ用(確変)選択テーブル202d3に基づき決定する(S413)。通常時(確変中カウンタ203gが0の場合)に外れ用(通常)選択テーブル202d2に基づき決定され、確変時(確変中カウンタ203gが0より大きい場合)に外れ用(確変)選択テーブル202d3に基づき決定される。ここでは、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、S409およびS410の処理と同様に、RAM203のカウンタ用バッファ203iに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。なお、変動種別カウンタCS1の数値と図柄変動の種別との関係は、変動パターン選択テーブル202d(図53(a)〜(d)参照)に規定されている。具体的には、確変中でない外れ時に完全外れであれば、変動種別カウンタCS1の値が「0〜98」の範囲にあれば短外れ(7秒)、「99〜198」の範囲にあれば長外れ(10秒)となり、リーチであれば、変動種別カウンタCS1の値が「0〜149」の範囲にあればノーマルリーチ(30秒)、「150〜197」の範囲にあればスーパーリーチ(60秒)となり、「198」であれば、スペシャルリーチ(90秒)となる。
一方、S412の処理において、時短中カウンタが0より大きく、時短中であると判定された場合は(S412:Yes)、外れの変動パターンを特図1時短変動パターンテーブル202e1に基づき決定する(S414)。S414の処理で変動パターンが設定されると、S410の処理と同様に、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。なお、変動種別カウンタCS1の数値と図柄変動の種別との関係は、時短変動パターン選択テーブル202e(図54(a)〜(c)参照)に規定されており、具体的には、変動種別カウンタCS1の値に関わらず(全範囲の値において)、時短外れA(0.5秒)の変動パターンとなる(図54(b)参照)。
S409,S410,S413またはS414の処理が終わると、次に、S409,S410,S413またはS414の処理で決定した変動パターンを表示制御装置114へ通知するための変動パターンコマンドを設定する(S415)。次いで、S409,S410,S413またはS414の処理で設定された停止種別を表示制御装置114へ通知するための停止種別コマンドを設定する(S416)。これらの変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図66)のS1101の処理で、これらのコマンドが音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、停止種別コマンドをそのまま表示制御装置114へ送信する。S416の処理が終わると、特別図柄変動処理へ戻る。
次に、図60を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄2変動開始処理(S214)について説明する。図60は、特別図柄2変動開始処理(S214)を示したフローチャートである。この特別図柄2変動開始処理(S214)は、タイマ割込処理(図56参照)の特別図柄変動処理(図57参照)の中で実行される処理であり、特別図柄2保留球格納エリア203bの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
この特別図柄2変動開始処理では、特別図柄1変動開始処理(S209)と同様に、S501の処理によって、第2特別図柄の第1当たり乱数カウンタC1と、第1当たり乱数テーブル202aの第1当たり乱数テーブル202aの判定値に基づく抽選結果とを取得する。S510およびS514の処理を除き、第2特別図柄の保留球格納エリアにおける実行エリアのデータに対してS209の処理と同一の処理を行うため、その詳細な説明を省略する。
S510の処理は、S503またはS504の処理で取得した抽選結果が大当たりであり(S506:Yes)、遊技状態が時短中である場合に(S508:Yes)、実行される。S510の処理では、大当たりの変動パターンを特図2時短変動パターンテーブル202e2(図54(c))に基づき決定する(S510)。S510の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。なお、変動種別カウンタCS1の数値と図柄変動の種別との関係は、時短変動パターン選択テーブル202e(図54(a)〜(c)参照)に規定されており、具体的には、変動種別カウンタCS1の値に関わらず(全範囲の値において)、時短当たりB(0.5秒)の変動パターンとなる(図54(c)参照)。
また、S514の処理は、S503またはS504の処理で取得した抽選結果が外れであり(S506:No)、遊技状態が時短中である場合に(S512:Yes)、実行される。S514の処理では、外れの変動パターンを特図2時短変動パターンテーブル202e2(図54(c))に基づき決定する(S514)。S514の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。なお、変動種別カウンタCS1の数値と図柄変動の種別との関係は、時短変動パターン選択テーブル202e(図54(a)〜(c)参照)に規定されており、具体的には、変動種別カウンタCS1の値に関わらず(全範囲の値において)、時短外れB(0.5秒)の変動パターンとなる(図54(c)参照)。
次に、図61を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図61は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図56参照)の中で実行され、第1始動口63aの入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタが示す値の保留処理を行うための処理である。
始動入賞処理が実行されると、まず、球が第1始動口63aへ入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S601)。ここでは、第1始動口63aの入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第1始動口63aへ入賞したと判別されると(S601:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)を取得する(S602)。そして、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S603)。
そして、第1始動口63aへの入賞がないか(S601:No)、或いは、第1始動口63aへの入賞があっても特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満でなければ(S603:No)、S608の処理へ移行する。一方、第1始動口63aへの入賞があり(S601:Yes)、且つ、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満であれば(S603:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を1加算する(S604)。そして、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを設定する(S605)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図66参照)の外部出力処理(S1101)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する。
S605の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3の各値を特別図柄1保留球格納エリア203aへ格納し(S606)、変動順格納エリア203kの最初のエリアへ特図1を設定し(S607)、S608の処理へ移行する。なお、S607の処理では、特別図柄1保留球カウンタ203dまたは特別図柄2保留球カウンタ203eの値を参照し、その合計値が1であれば、第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が2であれば第2エリアを、その値が3であれば第3エリアを、その値が4であれば第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。この変動順格納エリア203kに設定された値を上述した変動実行判定処理(S204)にて判別することにより、本実施形態のように始動口が第1特別図柄を変動させるものと、第2特別図柄を変動させるものとの2種類の変動がある場合でも、始動口に入賞した順序で変動を開始させることができる。
S608の処理では、球が第2始動口63bに入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S608)。球が第2始動口63bに入賞したと判別されると(S608:Yes)、特別図柄2保留球数カウンタ203eについて、第1始動口63aに入賞した場合と同様の処理を行う。
より具体的には、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を取得し(S609)、値が上限値(本実施形態では4)未満であれば(S610:Yes)、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)を1加算すし(S611)、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を示す保留球数コマンドを設定する(S612)。そして、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3の各値を特別図柄2保留球格納エリア203bへ格納し(S613)、変動順格納エリア203kの最初のエリアへ特図2を設定し(S614)、本処理を終了する。なお、S614での最初のエリアの判定はS607の処理と同様にして行う。
第2始動口63bへの入賞がないか(S608:No)、或いは、第2始動口63bへの入賞があっても特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が4未満でなければ(S610:No)、そのまま本処理をする。
次に、図62を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図62は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図56参照)の中で実行され、第2図柄表示装置83において行う第2図柄の変動表示や、第1始動口63aに付随する電動役物の開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S701)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされている最中と、第1始動口63aに付随する電動役物の開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S701:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S701:No)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S702)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中でなければ(S702:No)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S703)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S704)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0であれば(S704:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0でなければ(S704:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1減算する(S705)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S706)。S706の処理では、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203cの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S707)。
次に、RAM203の時短中カウンタ203hの値が0より大きいか否かを判定する(S708)。尚、時短中カウンタ203hは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203hの値が0より大きければ(S708:Yes)、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203hの値が0であれば(S708:No)、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。
時短中カウンタ203hの値が0でない(即ち、1以上である)場合は(S708:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S709)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S709:Yes)、S711の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、普通図柄の抽選が当たりとなりにくくなるように構成されている。これは、特別図柄の大当たり中(即ち、特別遊技状態中)は、遊技者が特別入賞口65aに入賞させようとして球を打つので、第1始動口63aに付随する電動役物が開放されて、特別入賞口65aに入賞させようとした球が、第1始動口63aに入ることをできるだけ抑制するためである。尚、特別入賞口65aは、第1始動口63aの直ぐ下に設けられているので、特別図柄の大当たり中に第1始動口63aに球が入ることを抑制していても、第1始動口63aには球が多く入球する。その結果、殆どの場合、パチンコ機10が特別遊技状態に移行している間に、第1始動口63aについての保留球数は最大(4回)になる。
S709の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S709:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S707の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S710)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,205〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図51(d)参照)。
S708の処理において、時短中カウンタ203hの値が0である場合は(S708:No)、S711の処理へ移行する。S711の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S707の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S711)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜28」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,29〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図51(a)参照)。
次に、S710またはS711の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S712)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S712:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S713)。このS713の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、時短中カウンタ203hの値が0より大きいか否かを判定し(S714)、時短中カウンタ203hの値が0より大きいと判定した場合は(S714:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S715)。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S715:Yes)、S717の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、球が第1始動口63aに入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、普通図柄の外れとなった場合と同様に、電動役物の開放回数および開放時間が設定される。
S715の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S715:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第1始動口63aに付随する電動役物の開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S716)、S719の処理へ移行する。
S714の処理において、時短中カウンタ203hの値が0である場合は(S714:No)、S717の処理へ移行する。S717の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、第1始動口63aに付随する電動役物の開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S717)、S719の処理へ移行する。
S712の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S712:No)、外れ時の表示態様を設定する(S718)。このS718の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S719の処理へ移行する。
S719の処理では、時短中カウンタ203hの値が0より大きいか否かを判定し(S719)、時短中カウンタ203hの値が0より大きければ(S719:Yes)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S720)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203hの値が0であれば(S719:No)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S721)、本処理を終了する。このように、特別図柄の大当たり中を除き、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第1始動口63aの解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1始動口63aへ球が入球し易い状態となる。
S702の処理において、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であれば(S702:Yes)、第2図柄表示装置83において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S722)。尚、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置83において変動表示が開始される前に、S720の処理またはS721の処理によって予め設定された時間である。
S722の処理において、変動時間が経過していなければ(S722:No)、本処理を終了する。一方、S722の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S722:Yes)、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S723)。S723の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S713の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S718の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。S723の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図66参照)の第2図柄表示更新処理(S1107参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S713の処理またはS718の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置83において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S724)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S724:Yes)、第1始動口63aに付随する電動役物の開閉制御開始を設定し(S725)、本処理を終了する。S725の処理によって、電動役物の開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図66参照)の電動役物開閉処理(S1105参照)が実行された場合に、電動役物の開閉制御が開始され、S716の処理またはS717の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物の開閉制御が継続される。一方、S724の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S724:No)、S725の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図63のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図63は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図56参照)の中で実行され、普通図柄始動口67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理では、まず、球が普通図柄始動口67を通過したか否かを判定する(S801)。ここでは、普通図柄始動口67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が普通図柄始動口67を通過したと判定されると(S801:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S802)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S803)。
球が普通図柄始動口67を通過していないか(S801:No)、或いは、球が普通図柄始動口67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満でなければ(S803:No)、本処理を終了する。一方、球が普通図柄始動口67を通過し(S801:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満であれば(S803:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1加算する(S804)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S805)、本処理を終了する。尚、S805の処理では、普通図柄保留球カウンタ203fの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
図64は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S901)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図65を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図65は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S1002)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S1003)。
その後、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S1004)、オンされていれば(S1004:Yes)、処理をS1012へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S1004:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1005)、記憶されていなければ(S1005:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS1012へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1005:Yes)、RAM判定値を算出し(S1006)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S1007:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1012へ移行する。なお、図66のS1114の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S1012の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S1012)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S1013,S1014)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S1013,S1014)を実行する。RAMの初期化処理(S1013,S1014)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S1013)、その後、RAM203の初期値を設定する(S1014)。RAM203の初期化処理の実行後は、S1010の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S1004:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S1005:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1007:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S1008)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S1009)、S1010の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S1010の処理では、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114に対して各種演出の実行を許可する。次いで、割込みを許可して(S1011)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図66を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図66は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1101〜S1007の各処理が実行され、その残余時間でS1110,S1111のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、タイマ割込処理(図56参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1101)。具体的には、タイマ割込処理(図56参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図57参照)や始動入賞処理(図61参照)で設定された保留球数コマンドや、特別図柄1変動処理(図59参照)や特別図柄2変動処理(図60参照)で設定された入賞情報コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図67参照)で設定されたラウンド数コマンドや、を音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1102)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1103)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1104)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。最終ラウンドにおいて特定入賞口65aを閉鎖した後は、大当たりの終了を設定する。この大当たりの終了の設定には、特殊変動期間の開始の設定が含まれる。一方、最終ラウンド以外のラウンドにおいて特定入賞口65aを閉鎖する場合は、ラウンド間演出開始コマンドを設定する。なお、本実施形態では、大当たり制御処理(S1104)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
次に、第1始動口63aに付随する電動役物の開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1105)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図62参照)のS725の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS716の処理またはS717の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37の表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1106)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄1変動開始処理(図59参照)または特別図柄2変動開始処理(図60参照)によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37において開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄1変動開始処理(図59参照)または特別図柄2変動開始処理(図60参照)によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37において実行されている変動表示を終了し、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37に停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置83の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1107)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(図62参照)のS720の処理またはS721の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置83において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置83では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図62参照)のS723の処理によって第2図柄表示装置83の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置83において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(図62参照)のS713の処理またはS718の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1108)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1108:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1109)、既に所定時間が経過していれば(S1109:Yes)、処理をS1101へ移行し、上述したS1101以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1109:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1110,S1111)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1110)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1102の処理と同一の方法によって実行する(S1111)。
ここで、S1101〜S1107の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1108の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1108:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図64のNMI割込処理が実行されたということなので、S1112以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1112)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1113)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1114)、RAM203のアクセスを禁止して(S1115)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1108の処理は、S1101〜S1107で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1110とS1111の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1101の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1101の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存したりしなくても、初期設定の処理(S1001)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1101の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走したりすることなく正確な制御を行うことができる。
次に、図67のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1104)を説明する。図67は、この大当たり制御処理(S1104)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S1104)は、メイン処理(図66参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理では、まず、特別図柄の大当たり中であるかを判定する(S1201)。具体的には、特別図柄変動処理(図57参照)のS219の処理が実行され、特別図柄の大当たりの開始が設定されていれば、特別図柄の大当たりが開始される。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S1201の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S1201:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1201の処理において、特別図柄の大当たり中であれば(S1201:Yes)、新たなラウンドの開始タイミングであるかを判定する(S1202)。新たなラウンドの開始タイミングであれば(S1202:Yes)、特定入賞口(大開放口)65aを開放し(S1203)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定する(S1204)。ラウンド数コマンドを設定した後は、本処理を終了する。ここで設定されたラウンド数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図66参照)の外部出力処理(S1101)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、ラウンド数コマンドを受信すると、そのラウンド数コマンドからラウンド数を抽出する。そして、抽出したラウンド数に応じた表示用ラウンド数コマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114によって表示用ラウンド数コマンドが受信されると、第3図柄表示装置81において新たなラウンド演出が開始される。
一方、S1202の処理において、新たなラウンドの開始タイミングでなければ(S1202:No)、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したかを判定する(S1205)。具体的には、特定入賞口(大開放口)65aを開放した後に所定時間(例えば、30秒)が経過した場合、または、特定入賞口(大開放口)65aを開放した後に球が所定数(例えば、10個)入賞した場合に、閉鎖条件が成立したと判定する。
S1205の処理において、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立していないと判定した場合は(S1205:No)、そのまま本処理を終了する。一方、S1205の処理において、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したと判定した場合は(S1205:Yes)、特定入賞口(大開放口)65aを閉鎖して(S1206)、今回の特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖が最終ラウンドのものであるか否か(即ち、大当たりの全てのラウンドが終了したか否か)を判定する(S1207)。
特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖が最終ラウンドのものであると判定された場合には(S1207:Yes)、大当たりの終了を設定し(S1208)、各種カウンタに大当たり後に対応した値を設定する(S1209)。即ち、時短中カウンタ203hに100を設定することにより、大当たりの終了から特別図柄の抽選が100回実行されるまで普通図柄の高確率状態(時短状態)となるように設定する。各種カウンタ値の設定後は、本処理を終了する。
また、特定入賞口(大開放口)65aを閉鎖したラウンドが最終ラウンドでないと判定した場合は(S1207:No)、S1208およびS1209をスキップし、本処理を終了する。
<第1実施形態における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図68から図71を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図68を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図68は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1301)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1416の電源断処理(図69参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1302)。図69を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図69のS1413参照)、S1416の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1416の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1302:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1416の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1303)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1306の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1303:Yes)、S1304へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1303:No)、S1308へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1303:Yes)、S1304へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1416の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1303:No)、S1308へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1302:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1416の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1304へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1304の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1304)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1305:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1306)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1305:No)、RAM223の異常を報知して(S1307)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1308の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1308)。電源断フラグはS1416の電源断処理の実行時にオンされる(図69のS1415参照)。つまり、電源断フラグは、S1416の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS1308の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1416の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1308:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1309)、RAM223の初期値を設定した後(S1310)、割込み許可を設定して(S1311)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1308の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1304からS1306の処理を経由してS1308の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1308:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1309をスキップして、処理をS1310へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1310)、割込み許可を設定して(S1311)、メイン処理へ移行する。
なお、S1309のクリア処理をスキップするのは、S1304からS1306の処理を経由してS1308の処理へ至った場合には、S1304の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図69を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図69は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、前回のS1401の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1401)、1m秒以上経過していなければ(S1401:No)、S1402〜S1410の処理を行わずにS1411の処理へ移行する。S1401の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1402〜S1410が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1411のコマンド判定処理や、S1412の変動表示設定処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。S1411の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1412の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1401の処理で1m秒以上経過していれば(S1401:Yes)、まず、S1403〜S1412の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1402)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1408の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1403)、その後電源投入報知処理を実行する(S1404)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1405の処理へ移行する。
S1405の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1406)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、特別図柄1保留球数カウンタ223bおよび特別図柄2保留球数カウンタ223cの値に応じて保留ランプ(Ds)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1407)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。
また、変動演出が未実行の期間や、高速変動期間中に枠ボタン22が押された場合は、ステージを変更する処理を行い、表示制御装置114に対する背面画像変更コマンドを設定する。この背面画像変更コマンドに、変更後のステージに対応する背面画像の種別に関する情報を含めることにより、表示制御装置114において、第3図柄表示装置81に表示される背面画像を、ステージに応じた画像に変更する処理が行われる。また、変動表示開始時に予告キャラが出現した場合に枠ボタン22を押すことで今回の変動による大当たりの期待値を表示したり、リーチ演出中に枠ボタン22を押すことで大当たりへの期待感を持てる演出に変更したり、枠ボタン22を複数のリーチ演出のうち1のリーチ演出を選択するための決定ボタンとしても良い。なお、枠ボタン22が配設されていない場合には、S1407の処理は省略される。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1408)、その後音編集・出力処理を実行する(S1409)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S1409の処理後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1410)、S1411の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1408のランプ編集処理が実行される。なお、S1409の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
S1411の処理では、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1411)。このコマンド判定処理の詳細については、図70を参照して後述する。
そして、コマンド判定処理の後、変動表示設定処理が実行される(S1412)。変動表示設定処理では、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドが生成されて設定される。その結果、そのコマンドが表示制御装置114に送信される。尚、この変動表示設定処理の詳細については、図71を参照して後述する。
S1412の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1413)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1413の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1413:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1415)、電源断処理を実行する(S1416)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1417)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1413の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1413:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1414)、RAM223が破壊されていなければ(S1414:No)、S1401の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1414:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図70を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1411)について説明する。図70は、このコマンド判定処理(S1411)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1411)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図69参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
コマンド判定処理(S1411)では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信したか否かを判定する(S1501)。変動パターンコマンドを受信した場合には(S1501:Yes)、変動開始フラグ223dをオンにし(S1502)、変動パターンコマンドから変動パターン種別を抽出し(S1503)、メイン処理に戻る。ここで抽出された変動パターン種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図71参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の開始とその変動パターン種別を通知する表示用変動パターンコマンドを設定するために用いられる。
一方、変動パターンコマンドを受信していない場合には(S1501:No)、次いで、主制御装置110より停止種別コマンドを受信したか否かを判定する(S1504)。そして、停止種別コマンドを受信した場合には(S1504:Yes)、RAM223の停止種別選択フラグ223eをオンに設定し(S1505)、受信した停止種別コマンドから停止種別を抽出して(S1506)、メイン処理に戻る。ここで抽出された停止種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図71参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の停止種別を通知する表示用停止種別コマンドを設定するために用いられる。
一方、停止種別コマンドを受信していない場合には(S1504:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1507)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1507:Yes)、受信したコマンドから保留球数を抽出し、受信したコマンドが第1特別図柄のものであれば特別図柄1保留球数カウンタ223bに、受信したコマンドが第2特別図柄のものであれば特別図柄2保留球数カウンタ223cに、抽出した保留球数を格納する(S1508)。次いで、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223bの値または特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドを設定する(S1509)。
ここで、保留球数コマンドは、球が第1始動口63aへ入賞(始動入賞)したとき、又は、特別図柄の抽選が行われたときに主制御装置110から送信されるので、始動入賞が検出される毎に、又は、特別図柄の抽選が行われる毎に、S1508の処理によって音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ(223b,223c)の値を主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ(203d,203e)の値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ(223b,223c)の値が主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ(203d,203e)の値とずれても、始動入賞の検出時や特別図柄の抽選時に、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ(223b,223c)の値を修正し、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ(203d,203e)の値に合わせることができる。また、S1509の処理が実行されると、更新された特別図柄保留球数カウンタ(223b,223c)の値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドが設定される。これにより、表示制御装置114では、保留球数に応じた保留球数図柄を第3図柄表示装置81に表示することができる。
S1507の処理において、保留球数コマンドを受信していない場合には(S1507:No)、次いで、主制御装置110より入賞情報コマンドを受信したか否かを判定する(S1510)。そして、入賞情報コマンドを受信した場合には(S1510:Yes)、受信したコマンドから特別図柄における大当たり判定結果を入賞情報として抽出し入賞情報格納エリア223aの最初のエリアに格納し(S1511)、メイン処理に戻る。尚、S1511の処理では、入賞情報コマンドが第1特別図柄のものであれば、特別図柄1保留球カウンタ223bの値を参照し、その値が0であれば、第1特別図柄用の保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。また、入賞情報コマンドが第2特別図柄のものであれば、特別図柄2保留球カウンタ223cの値を参照し、その値が0であれば、第2特別図柄用の保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
S1510の処理において、入賞情報コマンドを受信していない場合には(S1510:No)、次いで、主制御装置110よりラウンド数コマンドを受信したか否かを判定する(S1512)。そして、ラウンド数コマンドを受信した場合には(S1512:Yes)、受信したラウンド数コマンドからラウンド数を抽出し(S1513)、その抽出したラウンド数に応じた表示用ラウンド数コマンドを設定して(S1514)、本処理を終了する。ここで設定された表示用ラウンド数コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図69参照)のコマンド出力処理(S1402)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用ラウンド数コマンドを受信すると、第3図柄表示装置81において新たなラウンド演出を開始する。
一方、S1512の処理において、ラウンド数コマンドを受信していない場合には(S1512:No)、その他のコマンドを受信したか否かを判定し、その受信したコマンドに応じた処理を実行して(S1515)、メイン処理に戻る。その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行うものである。その他のコマンドの具体例としては、例えば、オープニング演出を開始するためのオープニング開始コマンドが挙げられる。
次に、図71を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1412)について説明する。図71は、この変動表示設定処理(S1412)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1412)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図69参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dがオンか否かを判別する(S1601)。そして、変動開始フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1601:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S1606の処理へ移行する。一方、変動開始フラグ223dがオンであると判別された場合(S1601:Yes)、変動開始フラグ223dをオフし(S1602)、次いで、コマンド判定処理(図70参照)のS1503の処理において、変動パターンコマンドから抽出した変動演出における変動パターン種別を、RAM223より取得する(S1603)。
そして、取得した変動パターン種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1604)。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
次いで、入賞情報格納エリア223aに格納されたデータをシフトする(S1605)。S1605の処理では、第1特別図柄の変動が開始される場合には入賞情報格納エリア223aの第1特別図柄用の第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを、第2特別図柄の変動が開始される場合には入賞情報格納エリア223aの第2特別図柄用の第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、第1エリア→実行エリア、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S1606の処理へ移行する。
S1606の処理では、RAM233に設けられた停止種別選択フラグ223eがオンか否かを判別する(S1606)。そして、停止種別選択フラグ223eがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1607:No)、主制御装置110より停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この変動表示設定処理を終了し、メイン処理に戻る。一方、停止種別選択フラグ223eがオンであると判別された場合(S1606:Yes)、停止種別選択フラグ223eをオフし(S1607)、次いで、コマンド判定処理(図70参照)のS1606の処理において、停止種別コマンドから抽出された変動演出における停止種別を、RAM223より取得する(S1608)。
次に、主制御装置110からの停止種別コマンドによって指示された停止種別をそのまま、第3図柄表示装置81における変動演出の停止種別として設定し(S1609)、S1610の処理へ移行する。
S1610の処理では、設定された停止種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定し(S1610)、本処理を終了する。表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドを受信することによって、この表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
このように、本第12実施形態の構成では、時短中には、電動役物が開閉されることによって、第2始動口63bよりも第1始動口63aへ入賞しやすい状態となるため、第1始動口63aに基づく変動演出が多く(即ち、変動演出の時間が長く)なり、振分装置4000により第1始動口63aと第2始動口63bとのどちらか一方の変動演出が多く(変動演出の時間が長く)なることを防止している効果が無くなってしまうとの問題点を解決できる。具体的には、本第12実施形態の構成では、時短中に、第2始動口63bよりも第1始動口63aに基づく変動演出の変動時間が短い変動時間となる。これにより、時短中において第1始動口63aに基づく変動演出が多くなった場合でも、第1始動口63aに基づく変動演出の変動時間が短いために、第1始動口63aに基づく変動演出が第2始動口63bに基づく変動演出に比べて長く実行されてしまうことを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、時短中に変動時間が短くなるように構成したが、これに限らず、第2始動口63bよりも第1始動口63aに多く入賞した際(普通図柄の当たりによって電動役物が開閉した場合など)に第1始動口63aの入賞に基づく変動演出の変動時間を短くするように構成してもよい。これにより、時短中ではないが第1始動口63aに入賞しやすい場合においても、第1始動口63aに基づく変動演出の変動時間を短くでき、第1始動口63aへ入賞したにも関わらず保留球数が上限値であることで入賞が無効となってしまう回数(所謂オーバーフローの回数)を減らすことができる。
また、本実施形態では、第1始動口63aへの入賞に基づく変動と第2始動口63bへの入賞に基づく変動とを、入賞順に変動するように構成したが、これに限らず、同時に変動するように構成してもよい。これにより、第2始動口63bへの入賞に基づく変動演出の演出時間が長い場合でも、第1始動口63aへの入賞に基づく変動演出を同時に実行することができるため、第1始動口63aへ入賞しやすい状態(例えば、時短状態など)において、第1始動口63aへ入賞したにも関わらず保留球数が上限値であることで入賞が無効となってしまう回数(所謂オーバーフローの回数)を減らすことができる。
<第12実施形態の変形例について>
次いで、図72〜図74を参照して、第12実施形態の変形例におけるパチンコ機10について説明する。上述した第12実施形態では、振分装置4000の入球口63に入球した遊技球が、前後に回動する回転振分部材4300によって、振分装置4000内において前後位置に配置された第1始動口63aと第2始動口63bとに振り分けられる。
これに対して、第12実施形態の変形例における振分装置5000では、本第12実施形態の変形例では、前後に回動する回転振分部材4300によって、振分装置4000内において上下縦並びの位置に配置された第1始動口63aと第2始動口63bとに振り分けられる。また、第2始動口63bの両側には可変部材642と、開口部4100cおよび4100dと、が設けられる。
これにより、本第12実施形態の変形例では、第2始動口63bに対しても、第1始動口63aと同様に、第2始動口63bへ遊技球が入球し易い状態とすることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
上述したように、本第12実施形態の変形例と、上述した第12実施形態との構造上における相違点は、振分装置4000に替えて振分装置5000を用いる点であり、その他の構成は同一であるため、同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第12実施形態の変形例における振分装置5000と、上述した第12実施形態における振分装置4000との構造上における相違点は、第1始動口63aと第2始動口63bとの位置関係が前後から上下となっていること、回転振分装置4300によって振り分けられた遊技球を、第2始動口63bへ誘導する流路5110aが設けられていること、第2始動口63bの両側に可変部材642と、開口部4100cおよび4100dと、が設けられていることである。これらの構造の詳細について、図72から図74を参照して説明する。
図72を参照して、第12実施形態の変形例における遊技盤13を説明する。図72は第12実施形態の変形例における遊技盤13の図である。振分装置5000には、振分装置4000と同一の外形の前面カバー部材4100が、振分装置4000と同様にして遊技盤13に取り付けられている。前面カバー部材4100の内部には、回転振分部材4300が配置され、その下方に第1始動口63aと第2始動口63bとが縦並びで配置されており、回転振分部材4300に振り分けられた遊技球が入球可能となっている。
また、前面カバー部材4100には、第1始動口63aへ遊技球を入球し易くする可変部材641と、第2始動口63bへ遊技球を入球し易くする可変部材642と、が設けられている。
この可変部材641,642についての詳細は、後述するが、第2図柄の当たりとなると、一定時間(例えば、0.5秒間)可動されて、前面カバー部材4100その両側面に形成された開口部を開放することにより、前面カバー部材4100内部に遊技球が開口部を通じて入球して、第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球し易くなるように構成されている。
次に、図73および図74を参照して、振分装置5000の詳細について説明する。図73は、振分装置5000の入球口63に遊技球が入球した場合に、回転振分部材4300により第1始動口63aに遊技球が振り分けられる場合を示した図である。
振分装置5000は、前面側にコの字形状で内部を遊技球が流下可能な前面カバー部材4100と、その前面カバー部材4100の背面側に配置されている背面カバー部材4200とがビス等で固定されて構成されている。前面カバー部材4100は、略縦長の箱形状で構成されており、背面側が開口したコの字形状で構成されている。この前面カバー部材4100には、回動可能に固定された回転振分部材4300と、第1始動口63a、第2始動口63b、可変部材641,642がそれぞれ配置(形成)される。
前面カバー部材4100の回転振分部材4300の前方下部には、第1始動口63aが形成されている。第1始動口63aは、上部に遊技球が入球可能な開口部が形成されており、開口部に入球した遊技球が流下する第1流路4121aが形成されている。この第1流路4121aは、第1始動口63aに入球した遊技球をパチンコ機10の外部へと排出するための流路であり、前面カバー部材4100の背面側に突出して下方に遊技球が流下することが可能な樋形状で構成される。なお、この第1流路4121aを流下した遊技球は、他の入賞口(特定入賞口65a等)に入球した遊技球が遊技盤13の背面側よりパチンコ機10の外部(島設備等)に排出される為の流路部材である集合樋へと流下して、他の入賞口に入球した遊技球と共にパチンコ機10の外部へと排出される。なお、第1始動口63aの開口部内には、遊技球の通過を検出可能な検出スイッチ(磁気センサ等)が配置されており、遊技球の通過を主制御装置110に対して通知することが可能な構成となっている。なお、第1始動口63aの開口部上部の前面カバー部材4100の両側面には遊技球が通過可能な左側開口部4100a、右側開口部4100bがそれぞれ形成されている。
前面カバー部材4100の回転振分部材4300の後方には、奥に振り分けられた遊技球が通過可能な通過口5110aが設けられている。その通過口5110aの先は、背面流路部材5110によって、背面流路5110aが形成されている。この背面流路部材5100は、通過口5110aとその下方の通過口5110bとを前面カバー部材4100の背面で繋ぐ流路となっており、樹脂材料で前面カバー部材4100と一体に形成されている。
より具体的には、背面流路5110aは、通過口5110aを起点として、前面カバー部材4100の背面側を、第1始動口63aの第1流路4121aを避けるように右に迂回しつつ下降する。その後、回転振分部材4300および第1始動口63aの下方であって、第2始動口63bの上方に設けられた通過口5110bに繋がるように形成される。これにより、回転振分部材4300によって奥に振り分けられた遊技球は、背面流路5110aを経由して、通過口5110bから前面カバー部材4100の内部へ誘導される。よって、回転振分部材4300によって奥に振り分けられた遊技球は、通過口5110bの鉛直下方に設けられた第2始動口63bへ誘導されることとなる。
前面カバー部材4100の通過口5110bの下方には、第2始動口63bが配設される。この第2始動口63bは、第1始動口63aと同様に、遊技球が入球可能な開口部を有したポケット構造で構成されており、背面側に遊技球が排出される第2流路4122aが形成されている。第2始動口63bの内部には、第1始動口63aと同様に、遊技球が入球したことを検出することが可能な検出スイッチ(磁気センサ)が配置されている。また、第2流路4122aを流下した遊技球は、前述した集合樋まで流下して、パチンコ機10の外部に排出される。なお、第1始動口63aの開口部内には、遊技球の通過を検出可能な検出スイッチ(磁気センサ等)が配置されており、遊技球の通過を主制御装置110に対して通知することが可能な構成となっている。なお、第2始動口63bの開口部上部の前面カバー部材4100の両側面には遊技球が通過可能な左側開口部4100c、右側開口部4100dがそれぞれ形成されている。
また、前面カバー部材4100には、図示しないソレノイドで回動可能に構成された可変部材641,642が取り付けられている。可変部材641は、左側開口部4100aを塞ぐことが可能な位置に配置される左側可変部材641aと右側開口部4100bを塞ぐことが可能な位置に配置される右側可変部材641bとで構成されている。可変部材642は、左側開口部4100cを塞ぐことが可能な位置に配置される左側可変部材642aと右側開口部4100dを塞ぐことが可能な位置に配置される第2右側可変部材641bとで構成されている。この左側可変部材641a,642aと右側可変部材641b,642bとは左右対称の形状で構成されおり、羽根形状で構成され、下端部を回動可能に前面カバー部材4100に固定されている。
左側可変部材641aと右側可変部材641bとは図73(a)に示すように、左側開口部4100aと右側開口部4100bとを塞ぐように可変部材641が垂直に直立した位置に配置される閉位置と、左側開口部4100aと右側開口部4100bとへ遊技球を誘導するように(図74(a)参照)可変部材641が逆ハの字の位置に配置される開位置とに可変制御される。
また、左側可変部材642aと右側可変部材642bとは図73(a)に示すように、左側開口部4100aと右側開口部4100bとを塞ぐように可変部材642が垂直に直立した位置に配置される閉位置と、左側開口部4100aと右側開口部4100bとへ遊技球を誘導するように(図74(a)参照)可変部材642が逆ハの字の位置に配置される開位置とに可変制御される。
この閉位置と開位置とに可変させる駆動構造については、第12実施形態と同一であるため、その詳細な説明を省略するが、左側可変部材641a,642aと左側可変部材用ソレノイド(図示せず)とが連結部材(図示せず)によって連結されており、右側可変部材641b,642bと右側可変部材用ソレノイド(図示せず)とが連結部材(図示せず)によって連結されている。これにより、可変部材641a,642aを可変部材用ソレノイド(図示せず)によって同時に動作させることができ、可変部材641b,642bを右側可変部材用ソレノイド(図示せず)によって同時に動作させることができる。よって、各可変部材641a,642a,641b,642bにそれぞれソレノイドを連結して動作させる場合に比べ、ソレノイドの数を減らすことができ、その結果、部品点数や制御コストを削減して、製品コストの削減を図ることができる。
なお、可変部材641a,642a,641b,642bに一のソレノイドを連結して動作可能とすることで、更に製品コストの削減を図れるよう構成してもよいし、各可変部材641a,642a,641b,642bをそれぞれ別のソレノイドによって動作可能とすることで、可変部材の動作のバリエーションを増やし、遊技者の興趣向上を図れるよう構成してもよい。
前面カバー部材4100の上面には前述した遊技球が入球可能な開口面を有した入球口63が形成されており、縦長の樋形状で構成されている。入球口63の内部は、前面側(パチンコ機10の前面側)より背面側に序々に突出した突出壁部が遊技球をパチンコ機10の背面側方向へと誘導する誘導部が形成されている。
入球口63の下部には、回転振分部材4300が第1始動口63a側と第2始動口63b側へと回動可能に固定されている。この回転振分部材4300の構造は、第12実施形態と同一であるため、その説明を省略する。
図73(b)に示すように、回転振分部材4300が右方向(パチンコ機10の奥行き方向)に最大角度まで回動している状態(以下、第1位置と称す)では、第1収容部4300aが入球口63と対向する位置に配置されている。よって、入球口63に入球した遊技球は、第1収容部4300aへと収容され、その遊技球の自重により、回転振分部材4300が左方向(パチンコ機10の手前側方向)に回動され、第1始動口64aの開口部に向けて流下する。その後、回転振分部材4300は、左方向(パチンコ機10の手前側方向)に最大角度まで回動した状態(以後、第2位置と称す)で保持される(図74(b)参照)。
次に、図74を参照して、振分回転部材4300が遊技球を第2始動口63bへ遊技球を誘導する(振り分ける)場合について説明する。上述したように、図73で説明したように、回転振分部材4300が第1位置に配置された状態で、入球口63に遊技球が入球すると第2位置へと回動して遊技球を第1始動口63aへと誘導すると、図74(b)に示すように第2位置に回転振分部材4300が配置される。その状態で入球口63に遊技球が入球すると、第2収容部4300cに遊技球が流下して、遊技球の自重により第1位置へと回転振分部材4300が回転されて、背面流路5110aを経由して第2入球口64bに遊技球が誘導される。
このように、本実施形態における振分装置4000は、入球口63に遊技球が入球すると交互に第1始動口63aと第2始動口63bとに遊技球を誘導する。これにより、遊技球が一方の始動口に偏って入賞することを抑制でき、一方の始動口に対する保留球のみが上限をオーバーする不具合を抑制できる。
さらに、後述するが、第1特別図柄と第2特別図柄とで選択される変動時間の平均を同じになるように構成することで、偏り無く第1特別図柄と第2特別図柄とを効率よく変動させ、よりオーバーフローを抑制できる。また、第1特別図柄と第2特別図柄の外れ変動時間を短く設定(入球口63に入球する設計値に基づいた値)することで、よりオーバーフローを抑制できる。
さらに、本実施形態では、第1始動口63aに可変部材641(電動役物)が付随され、第2始動口63bに可変部材642(電動役物)が付随されているので、後述する時短遊技や確変遊技状態となると、保留球が上限数に達しているにも関わらず、入賞が発生してしまう、所謂オーバーフローが発生しやすくなる。詳細については後述するが、この場合に本実施形態では、各特別図柄の変動時間短く設定されるよう構成したので、各特別図柄の保留球がオーバーフローするのを抑制することができ、遊技者の不利益となることを回避できる。
なお、本第12実施形態の変形例では、時短中となった場合に、可変部材641および642が開閉されるよう構成したが、これに限らず、大当たり種別に応じてどちらの可変部材が開閉するかを規定してもよい。例えば、大当たり種別Aであれば可変部材641および可変部材642のどちらもが開閉されるが、大当たり種別Bでは可変部材641のみが開閉されるなど。これにより、大当たり種別によって開閉される可変部材が変化する(即ち、遊技者の獲得できる遊技価値が変化する)ので、遊技者は大当たりとなった場合の大当たり種別に、より注目することとなり、遊技者の興趣を向上させることができる。
また、可変部材641および642が開閉する場合において、開閉タイミングに時間差を設け、可変部材641および642のどちらもが閉じている状態となる時間を短くなるように構成してもよい。これにより、可変部材641および642が同じタイミングで開閉する場合に比べ、第1始動口63aおよび第2始動口63bどちらにも入球しない状態である時間が短くなる。この結果、遊技者にとって有利な状態となる時間が長くなっているかのような印象を遊技者へ与えることができる。
<第13実施形態について>
次に、図75を参照して、パチンコ機10における第13実施形態について説明する。図75は、第13実施形態における遊技盤13の図である。第12実施形態では、支持板部材4300が遊技盤の正面から見て左右方向で、一方向および他方向へ交互に回動することで、遊技球を振り分ける振分装置4000を説明したが、第13実施形態の振分装置6000は、振分装置6000への入球口に入球センサ6000aを備え、振分装置6000の入球口へ遊技球が入球したことに基づいて、入球を報知することができる。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図75に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、第1始動口63a、振分装置6000、右側第2始動口63b2、可変入賞装置65、一般入賞口79、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。第1始動口63a、振分装置6000内部の第2始動口63b、63b2、可変入賞装置65、一般入賞口79、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。第13実施形態におけるパチンコ機10において、第12実施形態におけるパチンコ機10と異なる部分は、振分装置4000に替えて振分装置6000が配設され、右側第2始動口63b2が追加で配設されている部分である。
本パチンコ機10では、球が第1始動口63aへ入球した場合に、第1特別図柄(第1図柄の一つ)の抽選が行われ、球が第2始動口63b,63b2へ入球した場合に、第2特別図柄(第1図柄の一つ)の抽選が行われる。そして、普通図柄始動口67における球の通過に対して行われる普通図柄の抽選では、普通図柄の当たりか否かの当否判定が行われる。普通図柄の当たりになると、所定時間(例えば、0.2秒または1秒)だけ右側第2始動口63b2に付随する電動役物が開放され、右側第2始動口63b2へ球が入球し易い状態になる。つまり、普通図柄の当たりになると、球が右側第2始動口63b2へ入球し易くなり、その結果、特別図柄の抽選が行われ易くなる。その他、抽選の方法などは上述した各実施形態と同一であるため、その説明を省略する。
次に、図76を参照して、振分装置6000の構成について説明する。図76(a)〜(b)は、振分装置6000の内部の構造を示した図である。実際には、この前面側にカバー体が配置されており、そのカバー体は、内部が透視可能な部材で構成されており、渦巻き状の柄が表面に内部が透視不可能または困難に着色されており、内部が視認し難くなるように構成されている。
振分装置6000の上部には、遊技球が入球可能な通過口が設けられており、その通過口を遊技球が通過したことを検知可能にする透過型の入球センサ6000aが配置されている。通過口を通過した遊技球は、振り分け部材6300によって、その下方に配置された第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に振り分けられる。
振り分け部材6300は、入球した遊技球を振り分け部材6300の収容部6300aまたは6300cで受ける。収容部6300aで遊技球を受けた場合には、遊技球の重さにより、振り分け部材6300は、正面視(図76(a)参照)左回りに回転して、遊技球を第1始動口63aへと誘導する。ここで、振り分け部材6300は、それぞれ左右周りに約90度回動可能に構成されており、収容部6300aと収容部6300cとの境界壁には磁石6300bが設けられている。
振分装置6000の背面側に設けられるベース体には、振り分け部材6300の磁石6301bが通過口の中央線上の位置にベース側磁石6301が配置されている。振り分け部材6300の磁石6300bとベース側磁石6301とは互いに反発する極性になるように構成されている。詳細には、ベース側磁石6301は、ベース体に固定された棒状の磁石で構成されており、先端部に磁極(S極またはN極)が発生するように構成されている。ベース側磁石6301は、先端部を振り分け部材6300側に向くように配置されて固定されている。
磁石6300bもベース側磁石6301と同様に棒状で構成された磁石で構成され、先端部がベース側磁石6301側に向くように、振り分け部材6300に固定されている。振り分け部材6300が回動し、収容部6300aと収容部6300cの境界壁が真上(通過口の遊技球が約1球分入球可能な間隔の中心線上)に来る位置で、ベース側磁石6301と振り分け部材6300の磁石6300bとが最も接近する(先端部同士が向かい合う)位置となる。ここで、互いの磁石は、極性が同じ(例えば、N極とN極)となるように配置されているので反発仕合、振り分け部材6300の境界壁が真上を向く位置で停止することが無く、左右どちらかに回動した位置に維持されることとなる。
これにより、振り分け部材6300は、磁石6300bが通過口の中心線上となる位置(上方となる位置)となると、磁石6300bとベース側磁石6301とが反発することにより、振り分け部材6300が左右どちらかに回転し、収容部6300aと収容部6300cとのどちらかが、振分装置6000に入球してくる遊技球を受ける側(遊技機上方側)を向くようになる。よって、入球した遊技球が収容部6300aと収容部6300cとの境界壁と当接して、球詰まりが発生するのを防止することができる。
また、磁石6300bとベース側磁石6301とが反発することで、例えば、収容部6300aが遊技球を受けて左に約90度回転して、遊技球を第1始動口63aへ誘導した後に、振り分け部材6300が右回転する(収容部6300aが上方を向く)のを防止することができる。これにより、遊技球を第1始動口63aへ誘導した後には、収容部6300cが上方を向いた状態となり、次に振分装置6000に入球した遊技球は、収容部6300cが受けて、遊技球の重さにより振り分け部材6300が右に約180度回転して、遊技球を第2始動口63bへ誘導する。このように、振り分け部材6300は、振分装置6000に入球する遊技球を第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に誘導することができる。よって、均等に第1始動口63aと第2始動口63bとに遊技球を振り分けて入賞させることができ、後述する、第1始動口63aへの入賞に起因する抽選遊技(以下、第1抽選遊技)と第2始動口63bへの入賞に起因する抽選遊技(以下、第2抽選遊技)とを効率良く実行することができる。
右側第2始動口63b2は、第2始動口63bと同様に遊技球が入球すると第2特別図柄の抽選が開始されることとなる入球口である。なお、第2特別図柄は、第2始動口63bと右側第2始動口63b2とを合わせて保留球は4個となっている。
また、振分装置6000の通過口(遊技球が1球通過可能な大きさ)には、可変表示ユニット80の右側を通過した遊技球も、左側を通過した遊技球も入球可能となっており、右側第2始動口63b2には、右側を通過した遊技球のみが入球可能に構成されている。
ここで、図76(a)は、振り分け部材6300が収容部6300aを上方に向く位置に回動した状態で停止している場合を示した図である。この場合に通過口を遊技球が通過すると、収容部6300aに遊技球が収容され、遊技球の自重により振り分け部材6300を左回りに回動させて誘導部z1に誘導されながら第1始動口63aに遊技球が誘導される。
遊技球が振り分け部材6300により第1入球口へと振り分けられた後には、図76(b)に示すように、収容部6300cが上方に向く位置で振り分け部材6300が停止される。その後、通過口を遊技球が通過すると収容部6300cに収容され、第2始動口63bへと遊技球が振り分けられる。よって、交互に第1始動口63aと第2始動口63bとに振り分けることができる。
本パチンコ機10では、電源の投入等により初期設定が行われると、必ず「特別図柄の低確率状態」に設定される。その後、特別図柄の大当たりになると、「特別図柄の高確率状態」へ移行すると共に、「普通図柄の時短状態」へ移行する。「特別図柄の高確率状態」へ移行すると、その状態は、どの種別の大当たりになっても、その特別図柄の大当たり終了後から特別図柄の抽選が100回終了するまで継続される。そして、大当たりが終了してから特別図柄の抽選が100回終了するまでに、新たに特別図柄の大当たりにならかった場合は「特別図柄の低確率状態」に戻る。
なお、「特別図柄の高確率状態」が継続されている間に、新たに特別図柄の大当たりになると、「特別図柄の高確率状態」はさらに、その新たな特別図柄の大当たり終了後から特別図柄の抽選が100回終了するまで継続される。例えば、特別図柄の大当たりになって「特別図柄の高確率状態」に移行した後、2回目の特別図柄の抽選で新たな大当たりになると、「特別図柄の高確率状態」はさらに、その新たな大当たりの終了後から特別図柄の抽選が12回行われるまで継続される。よって、この場合は、新たな大当たりの前に行われた2回の特別図柄の抽選と、新たな大当たりの後に行われる100回の特別図柄の抽選との少なくとも102回の抽選が終了するまで、「特別図柄の高確率状態」が継続されることになる。
また、特別図柄の大当たりになって、「普通図柄の通常状態」から「普通図柄の時短状態」へ移行すると、その状態は、その特別図柄の大当たり終了後から特別図柄の抽選が8回終了するまで継続される。一方、特別図柄の大当たりになった後、所定回数分の特別図柄の抽選が終了するまでに、新たな特別図柄の大当たりにならないと、「普通図柄の通常状態」に戻る。
そして、「普通図柄の時短状態」が継続されている間に、新たに特別図柄の大当たりになると、「普通図柄の時短状態」はさらに、その新たな特別図柄の大当たり終了後から、特別図柄の抽選が100回終了するまで継続される。例えば、特別図柄の大当たりになって「普通図柄の時短状態」に移行した後、5回目の特別図柄の抽選で新たな大当たりになると、「普通図柄の時短状態」はさらに、その新たな大当たりの終了後から特別図柄の抽選が8回行われるまで継続される。即ち、本実施形態では、「普通図柄の時短状態」が継続されている間に、新たに特別図柄の大当たりになると、その度に、その新たな特別図柄の大当たり種別に応じて時短期間(「普通図柄の時短状態」の継続期間)が更新される。
遊技領域の正面視右側上部(図75の右側上部)には、発光手段である複数の発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、後述する主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、第1始動口63aまたは第2始動口63b,63b2への入球(始動入賞)に伴って行われる特別図柄の抽選が実行中であるか否かを点灯状態により示すことによって変動表示を行ったり、変動終了後の停止図柄として、その特別図柄の抽選結果に応じた特別図柄(第1図柄)を点灯状態により示したり、第1始動口63または第2始動口63b,63b2に入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を点灯状態により示すものである。
この第1図柄表示装置37において特別図柄(第1図柄)の変動表示が行われている間に球が第1始動口63aへ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81においても示され、第2始動口63b,63b2へ入球した場合にも、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81においても示される。第なお、本実施形態においては、第1始動口63a、第2始動口63b,63b2への入球は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下(例えば、2回)、または、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。
7セグメント表示器37bは、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態(特別図柄の高確率状態や、普通図柄の時短中など)を表示することができる。また、LED37aには、変動終了後の停止図柄として特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別(大当たりA、大当たりB、大当たりC)に応じた特別図柄(第1図柄)が示される。
また、遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口79が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81と、LEDで構成された第2図柄表示装置83とが設けられている。この可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は、第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。例えば、第1始動口63aへ球が入球(始動入賞)すると、それをトリガとして、第1図柄表示装置37において特別図柄(第1図柄)の変動表示が実行される。更に、第3図柄表示装置81では、その特別図柄の変動表示に同期して、その特別図柄の変動表示に対応する第3図柄の変動表示が行われる。
第3図柄表示装置81は、8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御されることにより、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態では、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、第3図柄表示装置81はその第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示が行われる。なお、表示装置に代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
ここで、図77を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図77は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図77(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図77(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄により構成されている。各主図柄は、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にかんな、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110(図78参照)により行われる特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。一方、特別図柄の抽選結果が外れであった場合は、同一の主図柄が揃わない変動表示が行われる。
第1特別図柄と第2特別図柄との抽選遊技の抽選結果を示す特別図柄の変動表示は同時には行われず、どちらか一方のみが行われる。第1特別図柄と第2特別図柄とに対応する保留球がそれぞれ記憶されている場合には、その遊技状態に設定されている優先度に基づいて、入賞した順で特別図柄の変動が設定される。
本実施形態では、図52(a)および(b)に示したように、第1特別図柄(特図1)では15ラウンドの大当たりのみが選択されるように設定されており、第2特別図柄では、2ラウンドの大当たりが40%の確率で選択されるように設定されている。高確率遊技状態に移行する大当たりの割合としては、第1特別図柄と第2特別図柄とでそれぞれ80%となっており同一の割合で構成されている。
よって、第1特別図柄の方が第2特別図柄よりも遊技者に有利な大当たりが選択され易く設定されている。ここで、振分装置6000により第1始動口63aと第2始動口63bとに交互に入賞するようになっているため、第1特別図柄と第2特別図柄との抽選が交互に実行される。
このように構成することで、一方の入賞口に偏って入賞することを防止し、遊技者の損害が過大になってしまうことを抑制でき、遊技店側の損害が過大になりすぎたり、射幸性が著しく高くなってしまったりする不具合を抑制できるように構成している。また、一方の入賞口に偏って入賞することで、保留球数の上限を超えて入賞する、所謂オーバーフローの発生頻度を減らすことができる。よって、入球口に球が入球したにも関わらず入賞とならないことによる遊技者の不満を低減できると共に、遊技者が保留球数の上限となる度に球の射出を止めてしまい遊技の回転率が悪くなることで遊技店側の売上が上がらなくなることを防止できる。
図77に戻って説明を続ける。図77(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側が保留球数などを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1〜Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1〜Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。この主表示領域Dmの中段部が有効ラインL1として設定されており、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
一方、副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に2つの小領域Ds1〜Ds2に等区分されている。このうち、小領域Ds1、小領域Ds2は、第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域である。具体的には、小領域Ds1には、特別図柄1の保留球数を示す保留図柄と振分装置6000への入球に基づく演出図柄が表示され、小領域Ds2には、特別図柄2の保留球数を示す保留図柄と振分装置6000への入球に基づく演出図柄が表示される。
詳細については後述するが、振分装置6000へ球が入球すると、入球センサ6000aにより入球が検知され、振分装置6000内の振り分け部材6300の傾きに応じてDs1またはDs2に演出図柄が表示される。その後、第1始動口63aまたは第2始動口63bに入賞すると、保留球数を示す保留図柄が表示される。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の保留球と第2特別図柄の保留球とをそれぞれ識別できるように第1特別図柄の保留球は「白丸図柄(図78(a)参照)」で表示され、第2特別図柄の保留球は、「白三角図柄(図78(a)参照)」で表示され、演出図柄は「白四角図柄(図77(a)参照)」で表示され、演出図柄と保留図柄とが一体的な図柄として表示される。
本実施形態では、演出図柄と保留図柄とが一体的な図柄として保留球数の表示領域に表示されるようになっており、振分装置6000への入球に基づき、その一体的な図柄の一部である演出図柄が表示されるため、遊技者に対し、振分装置6000へ入球したことに基づいて、保留図柄が表示されているかのような印象を与えることができる。
実際の表示画面では、図77(b)に示すように、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄が合計9個表示され、時として、キャラクタが現出する等して予告演出が行われる。また、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆されることもある。
一方、第3図柄表示装置81(第1図柄表示装置37)にて変動表示が行われている間に球が第1始動口63aへ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、副表示領域Dsの小領域Ds1においても示される。小領域Ds1には、保留球数1球につき1つの保留球数図柄が表示され、その保留球数図柄の表示数に応じて、保留球数が表示される。即ち、小領域Ds1に1つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が1球であることを示し、4つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が4球であることを示す。また、小領域Ds1に保留球数図柄が表示されていない場合は、保留球数が0球である、即ち、保留球が存在しないことを示す。また、第2始動口63bの保留球についても、第1始動口63aと同様に設定される。
なお、本実施形態においては、第1始動口63aまたは第2始動口63b,63b2への入球は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下(例えば、2回)、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、小領域Ds1における保留球数図柄の表示に代えて、保留球数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第3図柄表示装置81に保留球数を表示させないものとしてもよい。
<第13実施形態における電気的構成について>
次に、図85を参照して、パチンコ機10の電気的構成について説明する。第13実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成において、第12実施形態におけるパチンコ機10と異なる部分は、音声ランプ制御装置113である。よって、ここでは第12実施形態におけるパチンコ機10と異なる部分についてのみ説明し、その他の同一部分については、その説明を省略する。
また、図85に示した通り、第13実施形態の音声ランプ制御装置113のRAM223には、第12実施形態におけるRAM223の領域に加え、先行特図1保留球数カウンタ223fと、先行特図2保留球数カウンタ223gと、特図1先行入賞フラグ223hと、特図2先行入賞フラグ223iと、が少なくとも設けられている。
先行特図1保留球数カウンタ223fは、振り分け部材6300が第1始動口63aへ遊技球を振り分ける方向に向いている場合に、通過口を遊技球が通過すると1加算されるカウンタである。
先行特図2保留球数カウンタ223gは、先行特図2保留球数カウンタ223fに対して、振り分け部材6300が第2入球口へ遊技球を振り分ける方向に向いている場合に、通過口を通過すると1加算される点で相違する。
特図1先行入賞フラグ223hは、第1始動口63aに振り分けられる向きに振り分け部材6300が向いている場合に、通過口を遊技球が通過したことを示すフラグである。このフラグにより、通過口を遊技球が通過した後に、第1始動口63aに遊技球が入球したかを判別できる。本実施形態では、特図1先行入賞フラグ223hがオンされてから3秒間経過しても第1始動口63aに入球しない場合には、第1始動口63aに入球せずに、振分装置6000外へ排出されたと判別することができる。
特図2先行入賞フラグ223iは、第2始動口63bに振り分けられる向きに振り分け部材6300が向いている場合に、通過口を遊技球が通過したことを示すフラグである。このフラグにより、通過口を遊技球が通過した後に、第2始動口63bに遊技球が入球したかを判別できる。本実施形態では、特図2先行入賞フラグ223iがオンされてから3秒間経過しても第2始動口63bに入球しない場合には、第2始動口63bに入球せずに、振分装置6000外へ排出されたと判別することができる。
次に、図79〜図81を参照して、本実施形態における保留図柄の表示態様について説明する。図79は、振分装置6000の通過口(入球センサー6000a)を通過して、第1始動口63aに入球するまでに第3図柄表示装置81に表示される表示態様の表示タイミングについて示したタイミングチャートである。
図79(a)は、通過口を遊技球が通過して、その後に入球判断期間(3秒間)が経過するまでに、第1始動口63aに入球した場合のタイミングチャートである。小領域Ds1に通過口に遊技球が通過したことを示す演出図柄「白四角図柄」が2個表示されており、第1特別図柄の保留図柄である「白丸図柄」が2個表示されている(図80(a)参照)。ここで、本実施形態では、通過口に遊技球が通過すると、振り分け部材6300が、収容部6300aが上方を向いている状態で、第1始動口63aに振り分けることが可能な状態である場合には、小領域Ds1の空き領域のうち、最も入賞順序の若い位置に、「白四角図柄」が表示される(図80(b)参照)。その後、第1始動口63aに遊技球が3秒以内に入球すると、「白四角図柄」の内部に第1特別図柄の保留図柄である「白丸図柄」が表示される(図81(a)参照)。白丸図柄が表示される場合には、演出図柄は、保留図柄が非表示になるまで継続して表示される。
これにより、遊技者は、四角図柄の内部に白丸図柄が表示された状態の融合された図柄が第1特別図柄の保留図柄であると認識する。よって、演出図柄が表示されて、白丸図柄が表示されるまでを、保留図柄が表示される演出として認識できる。従って、遊技者は、演出図柄が表示されたタイミングで第1特別図柄の保留が表示されたように認識でき、第1始動口63aに実際入球するまでの時間差による違和感を軽減できる。
図79(b)は、通過口に入球して第1始動口63aに入球判断期間を経過しても入球しない場合の表示態様の表示タイミングについて示した図である。通過口に入球したタイミングで、振り分け部材6300が第1入球口に振り分ける向きを向いている場合には、図80(b)に示すように、小領域Ds1に演出図柄を追加して表示する。その後、入球判断期間(本実施形態では、3秒間)を経過しても第1始動口63aに入球しない場合には、図81(b)に示すように、演出図柄を非表示に設定する。
このように、演出図柄を入球判断期間が経過したタイミングで非表示にすることで、遊技者に第1始動口63aに入球しなかったことを報知することができる。よって、遊技者は、正確な保留球の数を認識しながら遊技を行うことができる。
なお、振り分け部材6300が第2始動口63bに遊技球を振り分ける位置に向いている状態で通過口を遊技球が通過した場合には、小領域Ds2に演出図柄「白四角図柄」が表示される。第2特別図柄は、演出図柄の白四角図柄の内部に白三角図柄が表示される。
なお、振り分け部材6300の位置は、回転センサ990によって識別可能に構成されている。本実施形態では、回転センサ990によって、振り分け部材6300の位置を判別する構成としたが、それに限らず、入球した入球口により振り分け部材6300の位置を毎回判別するように構成してもよい。具体的には、第1始動口63aに入球したことに基づいて、振り分け部材6300は収容部6300cが上方を向いている状態として判別するように構成する。このように構成することで、専用のセンサ等を設けなくても、振り分け部材6300の位置を判別できる。また、振り分け部材6300が振動等で回動してしまったとしても、毎回入球口に入球する毎に、位置を更新して判別することで、正しく振り分け部材6300の位置を判別できる。
なお、上述した入球センサ6000aと回転センサ990とは、音声ランプ制御装置113の入出力ポート225に接続されている。
<第13実施形態における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図82〜87を参照して、パチンコ機10の制御処理について説明する。第13実施形態におけるパチンコ機10の制御処理において、第12実施形態におけるパチンコ機10と異なる部分は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される制御処理である。よって、ここでは第12実施形態におけるパチンコ機10と異なる部分についてのみ説明し、その他の同一部分については、その説明を省略する。
図82を参照して、本実施形態において音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図82は、このメイン処理を示したフローチャートである。第13実施形態の音声ランプ制御装置113のメイン処理では、第12実施形態の音声ランプ制御装置113のメイン処理に加え、先行入賞検出処理(S1451)と先行入賞演出処理(S1452)とが実行され、コマンド判定処理(S1411)における一部の処理が変更される。先行入賞演出処理(S1452)はコマンド判定処理(S1411)などと同様に短い周期で実行されるように構成されており、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができるよう構成されている。
図83を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される先行入賞検出処理(S1451)について説明する。図83は、この先行入賞検出処理(S1451)を示したフローチャートである。この先行入賞検出処理(S1451)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図82参照)の中で実行され、上述したように、入球センサ6000aによる入球検出があったことを検知する。
先行入賞検出処理(S1451)では、まず、球が入球口へ入球したか否かを入球センサ6000aによって判別する(S2001)。球が入球口へ入球していないと判別された場合は(S2002)、そのまま本処理を終了する。一方、球が入球口へ入球したと判別された場合は、遊技球が第1始動口63aまたは第2始動口63bのどちらに入球するかを予測する。入賞先の予測の方法としては、振り分け部材6300の軸に搭載されている傾きを検知する回転センサ990(図示せず)により、振り分け部材6300の向きを傾きから算出することで予測する。なお、入賞先の予測のための振り分け部材6300の向きの検出は、傾きを検知する回転センサ990によるものでなくても良い。例えば、磁石とホールセンサを用いて、どちらかに傾いている場合に磁石とホールセンサが接近して検知するように構成することで実現するものであっても良い。また、入賞先の予測は、上述したように振り分け部材6300の向きは左右交互となっているので、入賞回数に基づいて入賞先を予測するようにしても良く、その場合センサを不要とすることができ、製品コストの低減を図ることができる。
次に、S2002の処理により球が第1入球口へ入賞すると予測されたか否かを判定し(S2003)、球が第1入球口へ入賞しないと予測された場合は(S2003:No)、S2009の処理へ移行する。一方、球が第1入球口へ入賞すると予測された場合は(S2003:Yes)、先行特図1保留数カウンタの値(SN1)を取得する(S2004)。その取得した先行特図1保留数カウンタの値(SN1)が所定回数未満(本実施形態では4未満)であるかを判定し(S2005)、所定回数未満でなければ(S2005:No)、S2006〜S2008の処理をスキップし、S2009の処理へ移行する。一方、先行特図1保留数カウンタの値(SN1)が所定回数未満であれば(S2005:Yes)、先行特図1保留数カウンタの値(SN1)を1加算する(S2006)。その後、特図1先行入賞フラグ223hをオンにし(S2007)、表示用特図1先行入賞演出コマンドを設定し(S2008)、S2009の処理へ移行する。
S2007の処理でオンにされた特図1先行入賞フラグ223hに基づいて、音声ランプ制御装置113におけるメイン処理(図82)の音編集・出力処理(S1409)にて、入賞音が出力される。これにより、遊技者が視認可能な振分装置6000へ球が入球するタイミングで入賞音を出力することができるので、遊技者が入賞を視認できない第1始動口63aまたは第2始動口63bのいずれかに入賞するタイミングで入賞音が出力されていた従来に比べ、遊技者の違和感を低減することができる。また、S2008の処理によって設定された表示用特図1先行入賞演出コマンドによって、保留図柄が点灯したかのような演出(図80(b)参照)を、遊技者が視認可能な振分装置6000へ球が入球するタイミングで実行することができるので、遊技者が入賞を視認できない第1始動口63aまたは第2始動口63bのいずれかに入賞するタイミングで保留図柄が点灯されていた従来に比べ、遊技者の違和感を低減することができる。
なお、ここで出力される音声は、第1始動口63aに入球するまで、継続して出力される。第1始動口63aに入球しなかった場合には、入球判断期間の3秒間が経過すると、フラグがオフにされるのに基づいて、停止される。
S2003,S2005またはS2008の処理が終わると、S2002の処理により球が第2入球口へ入賞すると予測されたか否かを判定し(S2009)、球が第2入球口へ入賞しないと予測された場合は(S2009:No)、S2009の処理へ移行する。一方、球が第2入球口へ入賞すると予測された場合は(S2009:Yes)、第1入球口へ入賞すると予測された場合(S2003〜S2008)と同様の処理を実行する。具体的には、先行特図2保留数カウンタの値(SN2)を取得し(S2010)、その取得した先行特図2保留数カウンタの値(SN2)が所定回数未満(本実施形態では4未満)であるかを判定し(S2011)、所定回数未満でなければ(S2011:No)、S2012〜S2014の処理をスキップし、本処理を終了する。一方、先行特図2保留数カウンタの値(SN2)が所定回数未満であれば(S2011:Yes)、先行特図2保留数カウンタの値(SN2)を1加算し(S2012)、特図2先行入賞フラグ223iをオンにし(S2013)、表示用特図2先行入賞演出コマンドを設定し(S2014)、本処理を終了する。
次に、図84を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1411)について説明する。図84は、このコマンド判定処理(S1411)を示したフローチャートである。第13実施形態の音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理では、第12実施形態の音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理におけるS1508およびS1509の処理に替えて、保留球数コマンド受信処理(S1551)が実行される。その他の処理については、同一であるため、その説明を省略する。
図85を参照し、保留球数コマンド受信処理(S1551)について説明する。図85は、この保留球数コマンド受信処理(S1551)を示したフローチャートである。この保留球数コマンド受信処理(S1551)では、まず、受信した保留球数コマンドが特別図柄1の保留球数コマンドであるか否かを判別する(S2101)。受信した保留球数コマンドが特別図柄1であると判別された場合(S2101:Yes)、受信した保留球数コマンドに含まれている値、即ち、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄1における変動表示の保留回数N1)を抽出し、これを音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する(S2102)。その後、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドを設定する(S2103)。
この表示用保留球数コマンドは、球が第1始動口63aに入賞(始動入賞)したとき、又は、特別図柄の抽選が行われたときに主制御装置110から送信されるので、始動入賞が検出される毎に、又は、特別図柄の抽選が行われる毎に、S2102の処理によって音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bの値が主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値とずれても、始動入賞の検出時や特別図柄の抽選時に、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を修正し、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値に合わせることができる。また、S2103の処理が実行されると、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドが設定される。これにより、表示制御装置114では、保留球数に応じた保留球数図柄が第3図柄表示装置81に表示される。
次に、先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)を取得し(S2104)、特別図柄1における変動表示の保留回数N1が、取得した先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)よりも多いか否かを判定する(S2105)。特別図柄1における変動表示の保留回数N1が、取得した先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)よりも多いと判定された場合(S2105:Yes)、先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)を特別図柄1における変動表示の保留回数N1に変更し(S2106)、S2107の処理へ移行する。一方、特別図柄1における変動表示の保留回数N1が、取得した先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)よりも多くないと判定された場合は、S2106の処理をスキップしてS2107の処理へ移行する。
S2107の処理では、特図1先行入賞フラグ223hがオンとなってから所定期間以内(本実施形態では3秒以内)であり、かつ、特別図柄1における変動表示の保留回数N1と取得した先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)とが、同じ値であるか否かを判定する(S2107)。S2107の判定が真であれば、特図1先行入賞フラグをオフに設定し(S2108)、本処理を終了する。一方、S2107の判定が偽であれば、S2108の処理をスキップし、本処理を終了する。ここで、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図83)の先行入賞検出処理(S1451)での入球センサ6000aによる入球検知に基づいて、特図1先行入賞フラグ223hがオンに設定され、先行特図1保留球数カウンタが1加算される。その入球検知後の第1入球口への入賞により主制御装置にて特別図柄1における変動表示の保留回数N1が1加算され、保留球数コマンドとして送信されるので、特別図柄1における変動表示の保留回数N1と取得した先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)とが一致する。そこで、特図1先行入賞フラグがオンとなってから所定期間の間に、保留球数コマンドを受信することで、特別図柄1における変動表示の保留回数N1と取得した先行特図1保留球数カウンタの値(SN1)が一致する場合に、入球センサ6000aでの入球検知後に第1始動口63aへの入賞があったとして特図1先行入賞フラグをオフに設定する。この特図1先行入賞フラグが入球検知後から所定期間以内にオフに設定されない場合、入球センサ6000aでの入球検知後に第1始動口63aへ入賞しなかったと判別することができる。
一方、受信した保留球数コマンドが特別図柄1でないと判別された場合(S2101:No)、S2102〜S2108の処理と同様の処理を特別図柄2に対して実行する(S2109〜S2115)。処理の詳細は上述したS2102〜S2108の説明と同様であるため省略する。
次に、図86を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される先行入賞演出処理(S1452)について説明する。図86は、この先行入賞演出処理(S1452)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1452)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図82参照)の中で実行され、入球センサ6000aにより入球検知したにも関わらず、第1入球口または第2入球口へ入賞しなかった場合に、疑似保留図柄の表示を変更するために、表示用特図1先行入賞演出コマンドまたは表示用特図2先行入賞演出コマンドを生成し設定する。
先行入賞演出処理では、まず、特図1先行入賞フラグ223hがオンとなってから所定期間が経過しているか否かを判定する(S2201)。特図1先行入賞フラグ223hがオンとなってから所定期間が経過していると判定された場合(S2201:Yes)、先行特図1保留球数カウンタ223fを1減算し(S2202)、特図1先行入賞フラグ223hをオフする。その後、表示用特図1先行入賞演出コマンドを設定し(S2204)、メイン処理へ戻る。
一方、特図1先行入賞フラグ223hがオンとなってから所定期間が経過していないと判定された場合(S2201:No)、特図2先行入賞フラグ223iがオンとなってから所定期間が経過しているか否かを判定する(S2205)。特図2先行入賞フラグ223iがオンとなってから所定期間が経過していると判定された場合(S2205:Yes)、先行特図2保留球数カウンタ223gを1減算し(S2206)、特図2先行入賞フラグ223iをオフする。その後、表示用特図2先行入賞演出コマンドを設定し(S2208)、メイン処理へ戻る。一方、特図2先行入賞フラグ223iがオンとなってから所定期間が経過していないと判定された場合(S2205:No)、そのまま処理を終了し、メイン処理へ戻る。
次に、図87を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1412)について説明する。図87は、この変動表示設定処理(S1412)を示したフローチャートである。第13実施形態の変動表示設定処理では、変動開始フラグがオンの場合(S1601:Yes)において、変動開始する特別図柄に応じて、先行特図1保留球数カウンタ223fの値(SN1)または先行特図保留球数カウンタ223gの値(SN2)を1減算する(S1651)部分において相違し、その他は同一の処理であるため、その説明を省略する。
このように、本第13実施形態の構成では、通過口を遊技球が通過すると、通過した遊技球が振り分けられることが識別できる音声(第1始動口63aでは、「ピュイー」という効果音、第2始動口63bでは、「ブーン」という効果音)が出力される。これにより、通過口に遊技球が通過したタイミングで第1始動口63aと第2始動口63bとのどちらに入球するかを判別することができる。
さらに、本実施形態のように、通過口に遊技球が通過したタイミングで、演出図柄を表示しない構成であっても、通過口に遊技球が通過したタイミングと、入球口に入球するタイミングとの時間差の違和感を軽減することができる。
また、本実施形態では、通過口に遊技球が通過したタイミングで、その遊技球がどの入球口に振り分けられるかを判別して、対応する位置に演出図柄を表示し、その後、その演出図柄に保留図柄を表示させて可変させるので、通過口を通過したタイミングで保留球が増加しているように遊技者に感じさせることができる。よって、遊技者の違和感を軽減できる。
なお、本実施形態では、演出図柄は、第1特別図柄、第2特別図柄の保留に対しても同一の図柄としたが、異なる図柄で表示するように構成してもよい。
また、本実施形態では、演出図柄と保留図柄を融合させて表示したが、それに限らず、連続したアニメーションで演出図柄と保留図柄を表示するように構成してもよい。具体的には、通過口を通過したタイミングで滴が落ちる演出図柄に対応するアニメーションをして、その後、その滴が飛び散る画像を入球判断期間の間表示して、第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球したタイミングで、水の妖精を模したキャラクタを保留図柄として、滴の中より表示して、滴を非表示にしてもよい。なお、入球口に入球しなかった場合には、キャラクタは表示されぬまま、滴の表示態様が非表示となる。これにより、滴のアニメーションが表示されると、妖精が表示されるかを遊技者は期待して遊技を行うことができる。
<第14実施形態について>
次いで、図88〜図94を参照して、第14実施形態におけるパチンコ機10について説明する。上述した第13実施形態では、入球センサ6000aによる振分装置6000への入球検知に基づいて、演出図柄が表示される。その演出図柄は、第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入球に基づき表示される保留図柄とで一体的な図柄となるよう構成されている。これにより、振分装置6000への入球に基づいて保留図柄が表示されているかのような印象を遊技者へ与えることができる。入球検知後の所定期間内に第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入球がない場合(振分装置へは入球したが、入賞しなかった場合)には、一度表示した演出図柄を非表示にするようにしている。
これに対して第14実施形態では、入球センサ6000aによる振分装置6000への入球検知に基づいて、疑似的に保留球数を示唆するための図柄である疑似保留図柄を対応する小領域Ds1,Ds2に表示する。第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入球に基づいて表示される保留図柄は、主表示領域Dmの左下の領域である小領域Ds3に表示され、遊技者が保留個数を認識困難な識別情報を表示する(図90(a)〜(c)参照)。(本実施形態では、保留球数が1個の場合に「A」、2個の場合に「B」、3個の場合に「C」、4個の場合に「D」と表示することとする。)そして、入球検知後の所定期間内に第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入球がない場合には、一度表示した疑似保留図柄を非表示にする際に疑似的な変動表示を実行することで、疑似保留図柄を非表示にする際に、遊技者へ与える違和感を低減することができる。
なぜなら、振分装置6000への入球に基づいて表示される疑似保留図柄に対して、保留図柄であるかのような印象を持っている遊技者にとって、疑似保留図柄が非表示となる(即ち、保留球が1つ消化されたように見える)場合に変動表示が実行されないと不自然だからである。
この第14実施形態におけるパチンコ機10が、第13実施形態におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図91参照)に含まれる一部処理が、第13実施形態におけるパチンコ機10と異なっている点である。その他の構成や、主制御装置110によって実行される処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理については第13実施形態におけるパチンコ機10と同一である。以下、第13実施形態のパチンコ機10と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
<第14実施形態における電気的構成について>
まず、図88〜図90を参照して、第14実施形態における保留図柄と疑似保留図柄の表示および変動表示について説明する。第14実施形態では、変動期間中に疑似的に変動表示を停止し再開させることが可能な期間(差替可能期間)が予め各変動パターンに定められている。
図88は、変動期間中の差替可能期間において、入球検知後の所定期間内に第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入球がないと判断した場合を示した図である。具体的には、特別図柄1に対する疑似保留図柄および保留図柄が2個の場合において、振分装置6000へ入球があり、入球センサ6000aにより入球が検知されると、小領域Ds1に表示される疑似保留図柄が3個に変化する(図90(a)参照)。その後、差替可能期間において、入球判断期間aの期間内に第1始動口63aまたは第2始動口63bの入賞がないと判断すると、疑似的な停止表示が表示されると共にその次に実行される変動表示と連続的な演出が行われることを示唆する疑似的な連続変動予告(疑似連続予告)を表示する(図90(b)参照)。その後、疑似保留図柄の表示が2個の状態へと変更されると共に、疑似的な変動表示が開始される(図90(c))。その疑似的な変動表示が停止すると、疑似保留図柄および保留図柄の表示が1個の状態へと変更されると共に、特別図柄1の保留球の入賞情報を基にした変動表示が開始される。
次に図89について説明する。図89は、変動期間中における上述した差替可能期間ではない期間(差替不可能期間)において、入球検知後の所定期間内に第1始動口63aまたは第2始動口63bへの入球がないと判断される場合を示した図である。この場合は、次に実行される変動表示の前に、疑似的な変動表示が実行されることで、疑似保留図柄に基づく変動表示が疑似的に表示される。
具体的には、特別図柄1に対する疑似保留図柄および保留図柄が2個の場合において、振分装置6000へ入球があり、入球センサ6000aにより入球が検知されると、小領域Ds1に表示される疑似保留図柄が3個に変化する(図90(a)参照)。その後、変動期間の差替不可能期間において、入球判断期間aの期間内に第1始動口63aまたは第2始動口63bの入賞がないと判断すると、そのまま実行中の変動表示が継続される。その変動表示の停止後、疑似保留図柄の表示が2個の状態へと変更されると共に、疑似的な変動表示が開始される。その疑似的な変動表示が停止すると、疑似保留図柄および保留図柄が1個減算されて1個の状態へと表示が変更されると共に、特別図柄1の保留の入賞情報を基にした変動表示が開始される。ここで、疑似的な変動表示が停止した際に、その次に実行される変動表示と連続的な演出が行われることを示唆する疑似的な連続変動予告(疑似連続予告)を表示するようにしてもよい。
このように、本実施形態では、通過口に入球した疑似保留図柄と保留図柄との両方を第3図柄表示装置81に表示するように構成した。疑似保留図柄を遊技者に分かり易い図柄で表示して、保留図柄を遊技者に識別し難い図柄で表示することで、遊技者は、疑似保留図柄を保留図柄であるかのように認識できる。よって、通過口に通過したタイミングで疑似保留図柄は加算されて表示されるので、入球口に入球するまでの時間差による違和感を軽減できる。
また、本実施形態の構成では、通過口を通過した遊技球が第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球しなかった場合、通過口を通過せずに第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球した場合に、保留図柄との差異が生じてしまう。
しかしながら、通過口を通過した遊技球が第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球しなかった場合には、疑似保留図柄の数が実際の保留図柄よりも多くなるが、疑似変動が特別図柄で実行されることにより、疑似保留図柄が保留図柄よりも一つ多く消化される。これにより、差異を解消できる。また、通過口を通過せずに第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球した場合には、疑似保留図柄を保留図柄に合わせて点灯させることで、差異を解消できる。
<第14実施形態における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次いで、図91〜図94を参照して、第14実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図91を参照して、第14実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるメイン処理について説明する。図91は、このメイン処理を示すフローチャートである。
第14実施形態におけるメイン処理では、第13実施形態における先行入賞演出処理(S1413)に代えて、疑似連続変動処理(S1461)が実行される。
図92を参照して、上述した疑似連続変動処理(S1461)について説明する。図92は、この疑似連続変動処理(S1461)を示すフローチャートである。疑似連続変動処理(S1461)は、入球センサ6000aによる入球検知があったにも関わらず、第1始動口63aまたは第2入球口65bに入球しなかった場合に、入球センサ6000aによる入球検知に基づき第3図柄表示装置81に表示される疑似保留図柄を消費して変動演出を行う疑似連続変動演出を実行するための処理である。
疑似連続変動処理では、まず、特図1先行入賞フラグまたは特図2先行入賞フラグがオンとなってから所定期間が経過しているか否かを判定する(S3001)。特図1先行入賞フラグまたは特図2先行入賞フラグがオンとなってから所定期間が経過していると判定された場合は(S3001:Yes)、入球センサ6000aによる入球検知があったにも関わらず、第1始動口63aまたは第2入球口65bに入球しなかった場合であるので、疑似連続変動開始処理を実行し(S3002)、本処理を終了する。
ここで、図93を参照し、疑似連続変動開始処理(S3002)について説明する。図93は、この、疑似連続変動開始処理(S3002)を示したフローチャートである。この、疑似連続変動開始処理(S3002)は、入球センサ6000aによる入球検知があったにも関わらず、第1始動口63aまたは第2入球口65bに入球しなかった場合に、入球センサ6000aによる入球検知に基づき第3図柄表示装置81に表示される疑似保留図柄を消費して変動演出を行う疑似連続変動演出を開始するための処理である。
疑似連続変動開始処理では、まず、特図1先行入賞フラグ223hがオンであるか否かを判定する(S3101)。特図1先行入賞フラグ223hがオンでないと判定された場合(S3101:No)、そのままS3109の処理へ移行する。一方、特図1先行入賞フラグ223hがオンであると判定された場合(S3101:Yes)、特図1先行入賞フラグ223hをオフに設定する(S3102)。その後、特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)と、先行特図1保留球数カウンタ223fの値(SN1)とを取得し(S3104)、特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)よりも先行特図1保留球数カウンタ223fの値(SN1)が大きいか否かを判定する(S3104)。特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)よりも先行特図1保留球数カウンタ223fの値(SN1)が大きくないと判定された場合(S3104:No)、S3109の処理へ移行する。
一方、特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)よりも先行特図1保留球数カウンタ223fの値(SN1)が大きいと判定された場合は(S3104:Yes)、先行特図1保留球数カウンタ223fの値(SN1)を特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)になるよう変更し(S3105)、停止図柄の差し替え可能期間であるか否かを判定する(S3106)。
停止図柄の差し替え可能期間であると判定された場合(S3106:Yes)、表示用疑似停止種別コマンド、表示用疑似変動パターンコマンド、および、表示用特図1先行入賞演出コマンドを順に設定する(S3107)。ここで設定された表示用疑似停止種別コマンドによって変動表示を疑似的に停止表示させ(図90(b)参照)、表示用疑似変動パターンコマンドによって疑似的な連続変動演出が開始され(図90(c)参照)、表示用特図1先行入賞演出コマンドによって疑似保留図柄の表示が更新される(図90(c)参照)。これにより、入球センサ6000aによる入球検知があったにも関わらず、第1始動口63aまたは第2入球口65bに入球しなかったなどにより、特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)と先行特図1保留球数カウンタ223fの値とが一致しなくなった場合に、疑似的な連続変動演出を行い、先行特図1保留球数カウンタ223fの値を更新できる。遊技者からしてみれば、先行特図1保留球数カウンタ223fの値に基づく疑似保留図柄が消費されて疑似的な連続変動演出が行われるように見せることができ、特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)と先行特図1保留球数カウンタ223fの値の不一致を修正する際に、遊技者が感じる違和感を低減することができる。
一方、停止図柄の差し替え可能期間でないと判定された場合(S3106:No)、表示用疑似連続変動パターンコマンド、および、表示用特図1先行入賞演出コマンドを順に設定する(S3108)。ここで設定された表示用疑似連続変動パターンコマンドによって次の変動演出として疑似保留図柄を消費して実行される疑似連続変動演出が設定され、表示用特図1先行入賞演出コマンドによって疑似保留図柄の表示が更新される。これにより、停止図柄を差し替えできない場合でも、次の変動演出として疑似保留図柄を消費して実行する疑似連続変動演出が設定されるので、次の変動演出において遊技者が感じる違和感を抑えながら、特別図柄1保留球数カウンタの値(N1)と先行特図1保留球数カウンタ223fの値の不一致を修正することができる。
S3101,S3104,S3107またはS3108の処理の後に実行されるS3109の処理では、特図2先行入賞フラグ223iがオンであるか否かが判定される(S3109)。特図2先行入賞フラグ223iがオンであると判定されると(S3109:Yes)、特図2について上述した特図1と同様の処理を行い(S3110〜S3116)、特図2先行入賞フラグ223iがオンでないと判定されると(S3109:No)、S3110〜S3116の処理をスキップして本処理を終了する。
図92に戻り、説明を続ける。特図1先行入賞フラグまたは特図2先行入賞フラグがオンとなってから所定期間が経過していないと判定された場合は(S3001:No)、疑似連続変動開始してから所定期間が経過しているか否かを判定する(S3003)。疑似連続変動開始してから所定期間が経過していないと判定された場合(S3003:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、疑似連続変動開始してから所定期間が経過していると判定された場合(S3003:Yes)、疑似連続変動の停止態様を決定するための、疑似連続変動停止処理を実行する(S3004)。
ここで、図94を参照して、疑似連続変動停止処理(S3004)について説明する。図94は、この疑似連続変動停止処理(S3004)を示すフローチャートである。疑似連続変動停止処理(S3004)は、疑似連続変動演出の停止態様を決定するための処理である。
疑似連続変動停止処理では、まず、連続変動の保留があるか否かを判定する(S3201)。S3202の処理にて、連続変動の保留があると判定された場合は(S3201:Yes)、疑似連続変動表示の停止図柄で表示用停止種別コマンドを設定する(S3202)。これにより、変動演出が開始されている疑似連続変動演出と次の保留で実行される変動演出とで連続的な変動演出を実行することができる。
一方、連続変動の保留がないと判定された場合は(S3201:No)、通常変動表示の停止図柄で表示用停止種別コマンドを設定する(S3203)。これにより、連続変動表示の停止図柄が表示されたにも関わらず、連続的な変動表示が開始されなくなる不具合を防止できる。
なお、主制御装置110のMPU201により実行される制御処理については、第13実施形態と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
このように、本第13実施形態の構成では、通過口を遊技球が通過すると、通過した遊技球が振り分けられることが識別できる音声(第1始動口63aでは、「ピュイー」という効果音、第2始動口63bでは、「ブーン」という効果音)が出力される。これにより、通過口に遊技球が通過したタイミングで第1始動口63aと第2始動口63bとのどちらに入球するかを判別することができる。
さらに、本実施形態のように、通過口に遊技球が通過したタイミングで、演出図柄を表示しない構成であっても、通過口に遊技球が通過したタイミングと、入球口に入球するタイミングとの時間差の違和感を軽減することができる。
また、本実施形態では、通過口に遊技球が通過したタイミングで、その遊技球がどの入球口に振り分けられるかを判別して、対応する位置に演出図柄を表示し、その後、その演出図柄に保留図柄を表示させて可変させるので、通過口を通過したタイミングで保留球が増加しているように遊技者に感じさせることができる。よって、遊技者の違和感を軽減できる。
なお、本実施形態では、演出図柄は、第1特別図柄、第2特別図柄の保留に対しても同一の図柄としたが、異なる図柄で表示するように構成してもよい。
また、本実施形態では、演出図柄と保留図柄を融合させて表示したが、それに限らず、連続したアニメーションで演出図柄と保留図柄を表示するように構成してもよい。具体的には、通過口を通過したタイミングで滴が落ちる演出図柄に対応するアニメーションをして、その後、その滴が飛び散る画像を入球判断期間の間表示して、第1始動口63aまたは第2始動口63bに入球したタイミングで、水の妖精を模したキャラクタを保留図柄として、滴の中より表示して、滴を非表示にしてもよい。なお、入球口に入球しなかった場合には、キャラクタは表示されぬまま、滴の表示態様が非表示となる。これにより、滴のアニメーションが表示されると、妖精が表示されるかを遊技者は期待して遊技を行うことができる。
また、本実施形態では、疑似保留図柄が保留図柄の数よりも多いと判別された場合には、変動中の変動パターン内で、疑似変動が可能であるか判別される。この判別は、予め変動パターンに定められている切替可能期間内であるかを判別する。よって、差異が判明した場合には、疑似変動が可能である場合には速やかにその解消をすることができる。また、切替可能期間外である場合には、次以降の変動で疑似変動が実行されるのでの、差異が長時間続いてしまう不具合を抑制できる。
また、本実施形態の構成に加え、疑似変動の変動態様で行う連続予告を当たりの変動パターンで設定しておくことで、遊技者は、疑似変動が実行されると、大当たりへの期待を高めることができる。
また、本実施形態では、保留図柄の個数を判別し難くアルファベットで表示したが、それ以外の表示態様で表示してもよい。例えば、直線の棒状の表示をして、その長さの違いにより保留球数を示しても良い。また、保留図柄の表示は、第3図柄表示装置81では一切行わないようにしてもよい。このように構成することで、より疑似保留図柄を遊技者に本当の保留個数であるかのように思わせることができる。なお、この場合には、枠ランプ等(例えば、桜の花びらの役物を配置して、その花びらの点灯個数)により保留図柄を報知することで、遊技者により分かり難くしながらも、本当の保留個数を報知できる。
なお、上記した各実施形態の一部またはすべてをそれぞれ組み合わせたパチンコ機としてもよい。
例えば、上述した第12実施形態における入球口63に、本実施形態と同様に入球センサを配設することで、入球口63への入球時に入球音を発生させることができ、第12実施形態においても、通過口を通過したタイミングで保留球が増加しているように遊技者に感じさせることができる。
更に、支持板部材4300がどちらに傾動しているかを検出するセンサを配設することで、入球口63を通過した遊技球がどちらに振り分けられるかを識別できる音声(第1始動口63aでは、「ピュイー」という効果音、第2始動口63bでは、「ブーン」という効果音)を出力することが可能となるし、疑似保留図柄を表示することも可能となる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
以下に変形改良の例を例示する。第1実施形態において、振分装置1000の前面を遊技球が流下可能とし、普通電動役物64に替えて第1始動口63aまたは第2始動口63bの前面に普通電動役物64を配設してもよい。この普通電動役物は左右に可動するものではなく、前後に可動するようにし、振分装置1000の前面を流下する遊技球が入球可能とするように設けられるものである。また、第1始動口63aおよび第2始動口63bを振分装置1000の外周部に近い場所に配置し、第1始動口63aまたは第2始動口63bに付随して普通電動役物64を配設してもよい。この普通電動役物64は左右に可動し、振分装置1000の左右を流下する遊技球を入球可能とするものである。これにより、振分装置1000においても、いずれか一方の始動口に対して、遊技球の入球のし易さを可変させることができる。
また、第12実施形態から第14実施形態における磁力を用いて安定した振り分けを実現するように構成した支持板部材に替えて、第3実施形態から第11実施形態における重り部材を用いて安定した振り分けを実現するように構成した支持板部材を用いるようにしてもよい。これにより、遊技球への磁力による影響を考慮する必要がなくなることによる設計コストの低減や、部品点数が削減されることによる製品コストの低減ができる。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
遊技領域を備え、その遊技領域を遊技球が流下する遊技機において、前記流下する遊技球を受けると共に、その受けた遊技球の重さで動作して、前記遊技球を第1位置と第2位置とへ交互に振り分ける振分部材を備えることを特徴とする遊技機1。
遊技機1によれば、遊技領域を流下する遊技球を受け、その受けた遊技球を第1位置と第2位置とへ交互に振り分ける振分部材を備えるので、例えば、第1位置および第2位置を目標位置に設定することで、遊技領域における異なる目標位置に対して遊技球を均等に誘導できる。
また、振分部材は、受けた遊技球の重さで動作するので、遊技球を第1位置と第2位置とへ交互に振り分ける動作を機械的な構成により実行でき、かかる動作のための動力や制御を不要とできる。その結果、部品点数や制御コストを削減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機1において、入球により遊技の当否がそれぞれ抽選される第1始動口および第2始動口と、前記振分部材により前記第1位置に振り分けられた遊技球を前記第1始動口へ誘導する第1誘導部と、前記振分部材により前記第2位置に振り分けられた遊技球を前記第2始動口へ誘導する第2誘導部と、を備えることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、遊技機1の奏する効果に加え、振分部材により第1位置および第2位置に交互に振り分けられる遊技球を第1始動口および第2始動口にそれぞれ誘導する第1誘導部および第2誘導部を備えるので、第1始動口および第2始動口(異なる目標位置)に対して遊技球を均等に誘導できる。
ここで、第1始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、第1始動口に対応した第1特別図柄が動的表示された後、抽選結果が報知されると共に、第2始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、第2始動口に対応した第2特別図柄が動的表示された後、抽選結果が報知される。
この場合、第1特別図柄の動的表示中に第1始動口に遊技球が入球すると、実行中の動的表示の終了後に第1特別図柄を動的表示する権利が上限数(例えば、4)まで保留球として記憶される。同様に、第2特別図柄の動的表示中に第2始動口に遊技球が入球すると、実行中の動的表示の終了後に第2特別図柄を動的表示する権利が、上限数(例えば、4)まで保留球として記憶される。
しかしながら、第1始動口と第2始動口とに均等に遊技球を入球させることは困難であり、一方の始動口のみに入球が偏り易いため、保留球の上限数(例えば、合計8)を活用することが困難であるという問題点があった。即ち、保留球を上限数まで記憶させる(第1始動口および第2始動口の双方において、それぞれ保留球を上限数まで記憶させる)と、一方の始動口において上限数以上の遊技球が入球するオーバーフローが発生し易くなる。オーバーフローが発生すると、オーバーフローした入球分の当否抽選および動的表示がなされないため、その分、遊技者に不利益となる。
これに対し、遊技機2によれば、遊技領域を流下する遊技球を、振分部材によって第1始動口および第2始動口に均等に入球させられる。よって、第1始動口および第2始動口に設定された保留球の上限数をそれぞれ有効に活用できる。即ち、オーバーフローの発生を抑制して、遊技者の不利益を回避できる。
遊技機1又は2において、前記振分部材は、回動可能に軸支される円板状の円板部材と、その円板部材に対面して配設される対面壁部材と、を備え、前記対面壁部材は、前記遊技領域を流下する遊技球が入球する入球口と、その入球口から周方向に位相を異ならせた位置に配設されると共に前記第1位置に前記遊技球を排球する第1排球口と、前記入球口から周方向に位相を異ならせた位置に配設されると共に前記第2位置に前記遊技球を排球する第2排球口と、を備え、前記円板部材は、前記対面壁部材の入球口に入球した遊技球を受けると共に、その受けた遊技球の重さで前記円板部材が回動動作されることで、前記受けた遊技球を、前記第1排球口を介して第1位置へ排球する第1受け部と、前記対面壁部材の入球口に入球した遊技球を受けると共に、その受けた遊技球の重さで前記円板部材が回動動作されることで、前記受けた遊技球を、前記第2排球口を介して第2位置へ排球する第2受け部と、を備えると共に、対面壁部材の入球口に入球した遊技球を第1受け部および第2受け部が交互に受けるように構成されることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、遊技機1又は2の奏する効果に加え、遊技球を第1位置および第2位置に交互に振り分けることができる。また、振り分ける動作を、遊技球の重さを利用して、機械的な構成により実行できるので、その動作のための動力を不要とできる。
即ち、遊技領域を流下する遊技球が対面壁部材の入球口に入球され、その入球した遊技球を円板部材の第1受け部が受けると、円板部材が遊技球の重さで回動動作され、第1受け部が対面壁部材の第1排球口に到達されることで、第1排球口を介して第1位置に遊技球が排球される。この場合、対面壁部材の入球口に入球した遊技球を、第1受け部および第2受け部が交互に受けるように構成されるので、次いで、対面壁部材の入球口に入球した遊技球を、円板部材の第2受け部が受け、円板部材が遊技球の重さで回動動作されると共に、第2受け部が対面壁部材の第2排球口に到達されることで、第2排球口を介して第2位置に遊技球が排球される。これにより、遊技球が第1位置および第2位置に交互に振り分けられると共に、振り分ける動作が遊技球の重さを利用して実行される。
また、振分部材は、円板部材が円板状に形成され、平面的な配置が可能であるので、比較的奥行き寸法(遊技盤と板ガラスとの間の間隔)が小さい遊技領域においても、振分部材の配設スペースを確保しやすくできる。
遊技機3において、前記第1受け部および第2受け部は、前記対面壁部材の入球口に入球した遊技球を受ける受け面が、前記円板部材の周方向に沿って下降傾斜されることを特徴とする遊技機4。
遊技機4によれば、遊技機3の奏する効果に加え、第1受け部および第2受け部は、対面壁部材の入球口に入球した遊技球を受ける受け面が、円板部材の周方向に沿って下降傾斜されるので、入球口から入球した遊技球を第1受け部の受け面または第2受け部の受け面が受けると、その受け面の下降傾斜に沿って遊技球を円板部材の周方向に沿って転動させ、遊技球の重さが円板部材に作用する位置を移動させることができる。これにより、遊技球の重さが加わることによる円板部材の重心位置の変化を大きくできるので、円板部材を確実に回動させることができると共にその回動動作を速やかに行わせることができる。
遊技機4において、前記第1受け部の受け面と第2受け部の受け面とが前記円板部材の周方向に沿って下降傾斜される傾斜方向が同一方向であることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、遊技機4の奏する効果に加え、第1受け部の受け面と第2受け部の受け面とが円板部材の周方向に沿って下降傾斜される傾斜方向が同一方向であるので、第1受け部が受けた遊技球の重さにより円板部材が回動される際の回動方向と、第2受け部が受けた遊技球の重さにより円板部材が回動される際の回動方向とを同一方向とできる。即ち、円板部材の回動方向を一方向に統一できる。よって、円板部材が一方向および他方向に回動する場合と比較して、遊技球を第1位置および第2位置へ振り分ける動作を安定して実行できる。また、円板部材の回動速度を減速または停止させる機構を設ける場合には、その機構の配設数の削減および構造の簡素化を図ることができる。
遊技機5において、前記円板部材は、ワンウェイクラッチを介して軸支され、前記第1受け部の受け面および第2受け部の受け面が下降傾斜する方向への回動が許容されると共に反対方向への回動が規制されることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、遊技機5の奏する効果に加え、円板部材は、ワンウェイクラッチを介して軸支され、第1受け部の受け面および第2受け部の受け面が下降傾斜する方向への回動(即ち、遊技球の重さによって回動すべき方向への回動)が許容されると共に反対方向への回動が規制されるので、振動などの外乱の影響を受けた場合でも、回動すべき方向と反対方向へ円板部材が回動することを回避でき、その結果、第1位置および第2位置へ遊技球を振り分ける動作の信頼性の向上を図ることができる。
なお、ワンウェイクラッチは、一方向への回動のみ許容し、他方向への回動を規制するものであれば、その方式は問わない。ワンウェイクラッチの方式としては、例えば、スプラグ式やカム式などが例示される。
遊技機3から6のいずれかにおいて、前記対面壁部材の第1排球口および第2排球口は、前記円板部材の回動方向進行側へ向けて傾斜して延設されることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、遊技機3から6のいずれかの奏する効果に加え、対面壁部材の第1排球口および第2排球口は、円板部材の回動方向進行側へ向けて傾斜して延設されるので、円板部材の第1受け部または第2受け部から対面壁部材の第1排球口または第2排球口へ遊技球をスムーズに入り込ませることができる。
即ち、振分部材は、円板部材が回動する構造であるので、第1受け部または第2受け部から第1排球口または第2排球口へ遊技球が移動する際に、これら第1受け部または第2受け部と第1排球口または第2排球口との間に遊技球が噛み込むおそれがある。これに対し、遊技機7では、第1排球口および第2排球口は、円板部材の回動方向進行側へ向けて傾斜して(即ち、遊技球が第1受け部または第2受け部から押し出される方向へ沿って)延設されるので、第1受け部または第2受け部から押し出される遊技球を第1排球口または第2排球口へスムーズに受け入れさせることができる。
遊技機3から7のいずれかにおいて、前記対面壁部材は、前記入球口に対して第1排球口および第2排球口が180度位相を異ならせた位置に配設されると共に、前記円板部材は、前記第1受け部に対して第2受け部が180度位相を異ならせた位置に配設されることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、遊技機3から7のいずれかの奏する効果に加え、対面壁部材は、入球口に対して第1排球口および第2排球口が180度位相を異ならせた位置に配設されると共に、円板部材は、第1受け部に対して第2受け部が180度位相を異ならせた位置に配設されるので、入球口に入球した遊技球を第1受け部または第2受け部の一方が受けるタイミングと、第1受け部または第2受け部の他方が第1排球口または第2排球口へ遊技球を排球するタイミングとを一致させることができる。
即ち、第1受け部または第2受け部の一方が第1排球口または第2排球口と同じ位相に位置すると、第1受け部または第2受け部の他方が入球口と同じ位相に位置するので、第1受け部または第2受け部の一方で受けた遊技球を、第1排球口または第2排球口へ排球する際または排球した後に、第1受け部または第2受け部の他方により、次の遊技球を受けることができ、第1受け部または第2受け部の一方で受けた遊技球を第1排球口または第2排球口へ向けて運んでいる途中で(即ち、円板部材が回動されている状態で)、次の遊技球を受ける必要がない。よって、かかる次の遊技球を第1受け部または第2受け部の他方で確実に受けることができる。
遊技機8において、前記対面壁部材は、前記円板部材の外周面に対面して前記第1排球口および第2排球口が配設されると共に、前記第1排球口および第2排球口が最下方に配設されることを特徴とする遊技機9。
遊技機9によれば、遊技機8の奏する効果に加え、対面壁部材は、円板部材の外周面に対面して第1排球口および第2排球口が配設されると共に、第1排球口および第2排球口が最下方に配設されるので、第1受け部または第2受け部から第1排球口または第2排球口へ遊技球を下方へ向けて排球できる。即ち、排球の際には、遊技球の自重が第1排球口または第2排球口へ入り込む方向へ作用するので、遊技球を噛み込ませ難くして、確実に排球することができる。
遊技機3から7のいずれかにおいて、前記対面壁部材は、前記第1排球口および第2排球口が同じ位相となる位置に配設されると共に、前記入球口に対して第1排球口および第2排球口が90度位相を異ならせた位置に配設され、前記円板部材は、前記第1受け部および第2受け部が、90度位相を異ならせつつ前記円板部材の周方向4ヶ所に交互に配設されることを特徴とする遊技機10。
遊技機10によれば、遊技機3から7の奏する効果に加え、同じ位相となる位置に配設される第1排球口および第2排球口が入球口に対して90度位相を異ならせた位置に配設されると共に、第1受け部および第2受け部が、90度位相を異ならせつつ円板部材の周方向4ヶ所に交互に配設されるので、入球口に入球した遊技球を第1受け部または第2受け部の一方が受けるタイミングと、その一方に対し90度位相を異ならせた位置に配設される第1受け部または第2受け部の他方が第1排球口または第2排球口へ遊技球を排球するタイミングとを一致させることができる。
即ち、第1受け部または第2受け部の一方が第1排球口または第2排球口と同じ位相に位置すると、その一方に対し90度位相を異ならせた位置に配設される第1受け部または第2受け部の他方が入球口と同じ位相に位置するので、第1受け部または第2受け部の一方で受けた遊技球を、第1排球口または第2排球口へ排球する際または排球した後に、その一方に対し90度位相を異ならせた位置に配設される第1受け部または第2受け部の他方により、次の遊技球を受けることができ、第1受け部または第2受け部の一方で受けた遊技球を第1排球口または第2排球口へ向けて運んでいる途中で(即ち、円板部材が回動されている状態で)、次の遊技球を受ける必要がない。よって、かかる次の遊技球を第1受け部または第2受け部の他方で確実に受けることができる。
また、入球口に対して第1排球口および第2排球口が90度位相を異ならせた位置に配設されるので、例えば、180度位相を異ならせる構成と比較して、第1受け部または第2受け部で受けた遊技球を、第1排球口または第2排球口へ排球するために必要とされる円板部材の回動角度を小さくすることができ、その結果、円板部材の回動動作に伴う慣性力の影響を小さくできる。よって、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
遊技機3から10のいずれかにおいて、前記対面壁部材は、前記円板部材に対面する面に凹設され、前記円板部材が回動動作する際の前記第1受け部および第2受け部の移動軌跡に沿って延設される共に前記第1排球口および第2排球口に連通される第1溝および第2溝を備え、前記第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部が前記第1溝または第2溝に受け入れられた状態で、前記円板部材が回動動作されることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、遊技機3から10のいずれかにおいて、対面壁部材の円板部材に対面する面に第1溝および第2溝が凹設され、それら第1溝および第2溝は、円板部材が回動動作する際の第1受け部および第2受け部の移動軌跡に沿って延設されるので、円板部材が回動動作する際には、第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部が第1溝または第2溝に受け入れられた状態を形成できる。よって、円板部材が回動動作する際には、円板部材が対面壁部材に対し遊技球を介して連結された状態を形成できるので、第1溝または第2溝を遊技球が転動または摺動する際の抵抗を利用して、円板部材に回動抵抗を作用させ、その慣性力が過大となることを抑制できる。その結果、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
また、第1溝および第2溝は、第1排球口および第2排球口に連通されるので、第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部を、第1溝または第2溝に受け入れられた状態(即ち、第1受け部または第2受け部から突出された状態)を形成できれば、その受け入れ(突出)分、遊技球を第1排球口または第2排球口に近づけた状態とし、かかる第1排球口または第2排球口に入り込みやすい状態としておけるので、第1排球口または第2排球口への遊技球の排球を確実に行うことができる。
さらに、第1溝および第2溝が第1排球口および第2排球口に連通され、第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部が第1溝または第2溝に受け入れられた状態(即ち、第1受け部または第2受け部から突出された状態)とされることで、第1受け部または第2受け部が第1排球口または第2排球口に到達した場合には、遊技球を第1排球口または第2排球口の開口縁部(第1溝または第2溝の延長線上に位置する縁部)に当接させることができる。これにより、第1排球口または第2排球口への遊技球の排球を確実に行うことができるだけでなく、円板部材の回動速度を低減させる又は停止させることができる。その結果、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取りを安定して行うことができる。
なお、第1溝および第2溝は、終端が第1排球口および第2排球口に連通されるが、入球口には連通されず、第1溝および第2溝の始端は、入球口から所定の回動角度分だけ離間されていることが好ましい。この構成によれば、入球口に入球した遊技球を第1受け部または第2受け部が受けて円板部材が回動を開始する初期段階は、その回動に勢いがないところ、遊技球と第1溝または第2溝との間の転動または摺動による抵抗を発生させず、円板部材の回動動作を円滑かつ速やかに進行させることができる。一方、円板部材の回動動作が進行する段階では、円板部材の慣性力が徐々に増加し、勢いが増すところ、遊技球と第1溝または第2溝との間の転動または摺動による抵抗を利用して、円板部材の慣性力を抑制して、その回動動作の適正化を図ることができる。
遊技機11において、前記第1溝および第2溝は、前記第1排球口および第2排球口へ向かうに従って凹設深さが大きくされることを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、遊技機11の奏する効果に加え、第1溝および第2溝は、第1排球口および第2排球口へ向かうに従って凹設深さが大きくされるので、遊技球と第1溝または第2溝との間の転動または摺動による抵抗を、第1受け部または第2受け部が第1排球口または第2排球口へ近づくほど大きくすることができる。よって、円板部材の慣性力を抑制して、その回動動作の適正化を効果的に図ることができる。
また、第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部が第1溝または第2溝に受け入れられる量(即ち、第1受け部または第2受け部から突出される量)を徐々に大きくして、その受け入れられる(突出される)方向へ遊技球を移動させることができるので、第1排球口または第2排球口へ入り込む方向への慣性力を遊技球に持たせることができる。その結果、第1排球口または第2排球口に入り込みやすくでき、第1排球口または第2排球口への遊技球の排球を確実に行うことができる。
遊技機12において、前記第1溝および第2溝は、その最大の凹設深さが前記遊技球の直径の1/2よりも大きくされることを特徴とする遊技機13。
遊技機13によれば、遊技機12の奏する効果に加え、第1溝および第2溝の最大の凹設深さが遊技球の直径の1/2よりも大きくされるので、第1溝または第2溝に受け入れられる部分(即ち、第1受け部または第2受け部から突出される部分)をより大きくして、遊技球を第1排球口または第2排球口により近づけておけるので、遊技球を第1排球口または第2排球口に入り込みやすい状態を形成でき、第1排球口または第2排球口への遊技球の排球をより確実に行うことができる。
遊技機11から13のいずれかにおいて、前記第1排球口および第2排球口は、前記第1溝および第2溝の終端に対面する側の開口縁部の位置が、前記第1溝および第2溝の底面よりも前記円板部材に近接して配設されることを特徴とする遊技機14。
遊技機14によれば、遊技機11から13の奏する効果に加え、第1排球口および第2排球口は、第1溝および第2溝の終端に対面する側の開口縁部の位置が、第1溝および第2溝の底面よりも円板部材に近接して配設されるので、第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部が第1溝または第2溝に受け入れられつつ(即ち、第1受け部または第2受け部から突出されつつ)、第1受け部または第2受け部が第1排球口または第2排球口に到達した場合には、遊技球を第1排球口または第2排球口の開口縁部(第1溝または第2溝の終端に対面する側)に当接させることができる。これにより、第1排球口または第2排球口への遊技球の排球を確実に行うことができるだけでなく、円板部材の回動速度を低減させる又は停止させることができる。その結果、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取りを安定して行うことができる。
遊技機11から14のいずれかにおいて、前記第1受け部および第2受け部は、その第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部が前記第1溝または第2溝に受け入れられた状態で、前記円板部材が回動動作される場合に、前記遊技球に対し前記円板部材の回動方向後方において前記遊技球に当接可能に位置する押込部を備えることを特徴とする遊技機15。
遊技機15によれば、遊技機11から14の奏する効果に加え、第1受け部および第2受け部は、その第1受け部または第2受け部に収納された遊技球の一部が第1溝または第2溝に受け入れられた状態で、円板部材が回動動作される場合に、遊技球に対し円板部材の回動方向後方においてその遊技球に当接可能に位置する押込部を備えるので、かかる押込部が第1溝または第2溝を転動または摺動する遊技球に円板部材の回動方向後方から当接することで、遊技球の転動抵抗または摺動抵抗を円板部材に伝達でき、その結果、円板部材の慣性力の抑制を図ることができる。また、遊技球が第1排球口または第2排球口に排球される際には、押込部が遊技球に円板部材の回動方向後方から当接することで、遊技球を第1排球口または第2排球口に押し入れることができる。これにより、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
遊技機3から15のいずれかにおいて、前記振分部材は、前記円板部材に配設され磁石として構成される円板側磁石と、その円板側磁石に引き合う磁極の向きで前記対面壁部材に配設されると共に磁石として構成される対面側磁石とを備え、前記円板側磁石および対面側磁石は、前記円板部材の第1受け部および第2受け部が、前記対面壁部材の入球口よりも、前記対面壁部材の第1排球口および第2排球口に近い側となる前記円板部材の回動位置で、互いに引き合う位置に配設されることを特徴とする遊技機16。
遊技機16によれば、遊技機3から15のいずれかの奏する効果に加え、円板側磁石および対面側磁石が円板部材および対面壁部材に互いに引き合う磁極の向きでそれぞれ配設されるので、円板部材が回動動作する際には、円板側磁石および対面側磁石の磁力(引き合う力)を利用して、円板部材に回動抵抗を作用させることができ、円板部材の慣性力が過大となることを抑制できる。その結果、円板部材を減速または停止させることができるので、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
また、円板側磁石および対面側磁石は、円板部材の第1受け部および第2受け部が、対面壁部材の入球口よりも、対面壁部材の第1排球口および第2排球口に近い側となる円板部材の回動位置で、互いに引き合う位置に配設されるので、磁力による回動抵抗を円板部材に適正に作用させることができる。即ち、入球口に入球した遊技球を第1受け部または第2受け部が受けて円板部材が回動を開始する初期段階は、その回動に勢いがないところ、その段階では磁力を発生させず、円板部材の回動動作を円滑かつ速やかに進行させることができる。一方、円板部材の回動動作が進行する段階では、円板部材の慣性力が徐々に増加し、勢いが増すところ、磁力を利用して、円板部材の慣性力を抑制できる。その結果、円板部材を減速または停止させることができる。
遊技機3から15のいずれかにおいて、前記振分部材は、前記対面壁部材に配設され磁石として構成される対面側磁石を備え、前記対面側磁石は、前記円板部材の第1受け部または第2受け部に収納された遊技球が前記円板部材の回動動作に伴い移動する移動軌跡に対応する位置であって、前記対面壁部材の入球口よりも第1排球口および第2排球口に近い側に配設されることを特徴とする遊技機17。
遊技機17によれば、遊技機3から15のいずれかの奏する効果に加え、対面側磁石が、円板部材の第1受け部または第2受け部に収納された遊技球が円板部材の回動動作に伴い移動する移動軌跡に対応する位置に配設されるので、円板部材が回動動作する際には、対面側磁石の磁力(遊技球を引き付ける力)を利用して、円板部材に回動抵抗を作用させることができ、円板部材の慣性力が過大となることを抑制できる。その結果、円板部材を減速または停止させることができるので、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
また、対面側磁石は、対面壁部材の入球口よりも第1排球口および第2排球口に近い側に配設されるので、磁力による回動抵抗を円板部材に適正に作用させることができる。即ち、入球口に入球した遊技球を第1受け部または第2受け部が受けて円板部材が回動を開始する初期段階は、その回動に勢いがないところ、その段階では磁力(遊技球を引き付ける力)を発生させず、円板部材の回動動作を円滑かつ速やかに進行させることができる。一方、円板部材の回動動作が進行する段階では、円板部材の慣性力が徐々に増加し、勢いが増すところ、磁力(遊技球を引き付ける力)を利用して、円板部材の慣性力を抑制できる。その結果、円板部材を減速または停止させることができる。
このように、遊技機17では、対面側磁石による磁力を作用させる対象として遊技球を利用できるので、円板部材に磁石を配設する必要がない。よって、その分、部品点数を削減して、組み立てコスト及び製品コストの削減を図ることができる。
遊技機16又は17において、前記対面側磁石は、前記円板側磁石または前記遊技球から前記円板部材の径方向に所定距離だけ離間した位置に配設されると共に、前記円板部材の周方向に沿って複数が配設されることを特徴とする遊技機18。
遊技機18によれば、遊技機16又は17の奏する効果に加え、円板部材が回動動作する際には、周方向に沿って配設される複数の対面側磁石の磁力を利用して、円板部材に回動抵抗を継続的に作用させることができる。即ち、円板部材に回動抵抗が急激に作用されると、急制動され、円板部材の回動動作が不安定となるため、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への遊技球の排球が阻害される。これに対し、遊技機18によれば、同じだけの磁力のエネルギーを、円板部材に回動抵抗として徐々に作用させることができる。よって、円板部材を円滑に減速または停止させ、円板部材の回動動作を安定化させることができる。その結果、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
遊技機18において、前記複数の対面側磁石は、前記対面壁部材の第1排球口または第2排球口に近いものほど、前記円板側磁石または前記遊技球から前記円板部材の径方向に離間する離間量が小さくされることを特徴とする遊技機19。
遊技機19によれば、遊技機18の奏する効果に加え、複数の対面側磁石は、対面壁部材の第1排球口または第2排球口に近いものほど、円板側磁石または遊技球から円板部材の径方向に離間する離間量が小さくされるので、対面側磁石による磁力による効果を、第1受け部または第2受け部が第1排球口または第2排球口へ近づくほど大きくすることができる。よって、円板部材の慣性力を抑制して、その回動動作の適正化を効果的に図ることができる。その結果、円板部材を減速または停止させることができるので、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
遊技機3から19のいずれかにおいて、前記振分部材は、前記対面壁部材に軸支される軸部と、その軸部から延設され前記第1排球口または第2排球口の内部へ突出される突出片と、その突出片の反対側へ向けて前記軸部から延設され前記円板部材の外周面に対面して配設される対面片とを有する制動部材を備え、前記円板部材の第1受け部または第2受け部から排球され前記対面壁部材の第1排球口または第2排球口を通過する遊技球により前記制動部材の突出片が押し下げられることに伴って、押し上げられた前記制動部材の対面片が前記円板部材の外周面に当接することを特徴とする遊技機20。
遊技機20によれば、制動部材は、対面壁部材に軸支される軸部から延設される突出片が、第1排球口または第2排球口の内部へ突出されると共に、その突出片の反対側へ向けて軸部から延設される対面片が、円板部材の外周面に対面して配設され、円板部材の第1受け部または第2受け部から排球された遊技球が対面壁部材の第1排球口または第2排球口を通過する際には、その遊技球が制動部材の突出片を押し下げ、制動部材が軸部を中心として回動されることで、制動部材の対面片が押し上げられるので、この押し上げられた制動部材の対面片を円板部材の外周面に当接させることができる。その結果、円板部材を減速または停止させることができるので、入球口に入球した遊技球の第1受け部または第2受け部による受け取り及び第1排球口または第2排球口への排球を確実に行うことができる。
また、制動部材は、第1排球口または第2排球口を通過する遊技球を利用して動作され、制動部材の対面片を円板部材に当接させる動作を機械的な構成により実行できるので、かかる動作のための動力や制御を不要とできる。また、遊技球の通過を検出するセンサも不要とできる。その結果、部品点数や制御コストを削減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機20において、前記対面壁部材は、前記円板部材の外周面に対面する面に凹設される凹部空間である収納部を備え、その収納部の凹部空間に前記制動部材が動作可能に収納されることを特徴とする遊技機21。
遊技機21によれば、制動部材を動作可能に収納する収納部は、円板部材の外周面に対面する面に凹設されるので、かかる収納部の凹部空間の開口を、円板部材の外周面により塞ぐことができる。即ち、収納部に収納された制動部材を、収納部の凹部空間と円板部材の外周面との間に動作可能に保持することができる。よって、制動部材を保持する部材(脱落を防止する部材)を円板部材に兼用させることができ、かかる保持のための部材を別途設けることを不要とできるので、その分、部品コストの削減を図ることができる。
遊技機20又は21において、前記制動部材の対面片には、前記円板部材の外周面に当接する部分にゴム状弾性体から構成される弾性部材が配設されることを特徴とする遊技機22。
遊技機22によれば、遊技機20又は21の奏する効果に加え、制動部材の対面片には、円板部材の外周面に当接する部分にゴム状弾性体から構成される弾性部材が配設されるので、円板部材の外周面との間の摩擦力を確保して、円板部材を減速または停止させる作用を発揮させやすくできる。また、弾性部材がゴム状弾性体から構成されるので、弾性部材を円板部材の外周面に当接させる際には、円板部材や制動部材などの組み立て誤差や寸法公差を、弾性部材の弾性変形により吸収することができるので、円板部材を減速または停止させる作用を安定して発揮させることができる。さらに、例えば、円板部材の外周面に凹設した凹部へ、対面片から突出させた凸部を凹凸嵌合させることで、円板部材を停止させる構造と比較して、凹凸形状を形成する必要がないので、部品の形状を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機20から22のいずれかにおいて、前記制動部材は、前記対面片が前記突出片よりも重く、重心位置が軸部に対して対面片側に配置されることを特徴とする遊技機23。
遊技機23によれば、遊技機20から22のいずれかの奏する効果に加え、制動部材は、対面片が突出片よりも重く、重心位置が軸部に対して対面片側に配置されるので、遊技球の通過により突出片が押し下げられると共に対面片が押し上げられた場合(軸部を中心として一方向に回動された場合)には、制動部材の自重(重心位置の軸部からの偏心)を利用して、制動部材を他方向に回動させ、初期位置に復帰させることができる。よって、初期位置へ復帰させる付勢力を作用させるための付勢部材を設ける必要がないので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機20から23のいずれかにおいて、前記制動部材の対面片は、前記円板部材の外周面に近接する方向または離間する方向へ弾性変形可能に形成されることを特徴とする遊技機24。
遊技機24によれば、遊技機20から23のいずれかの奏する効果に加え、制動部材の対面片が、円板部材の外周面に近接する方向または離間する方向へ弾性変形可能に形成されるので、対面片が押し上げられ円板部材の外周面に当接される際には、円板部材や制動部材などの組み立て誤差や寸法公差を、対面片の弾性変形により吸収することができるので、円板部材を減速または停止させる作用を安定して発揮させることができる。同様に、通過する遊技球が突出片を押し下げる位置や通過する向きのばらつきを、対面片の弾性変形により吸収することができるので、その遊技球が跳ね返されたりすることを抑制して、確実に通過させることができる。また、対面片が押し上げられ円板部材の外周面に当接される際には、両者の間の当接力(即ち、円板部材を減速または停止させるための制動力)を対面片の弾性変形により徐々に作用させることができるので、円板部材の回動動作の急激な変化を抑制できる。
遊技機20から24のいずれかにおいて、前記制動部材の突出片は、先端側ほど前記円板部材の外周面から離間する方向へ円弧状に湾曲して形成されることを特徴とする遊技機25。
遊技機25によれば、遊技機20から24のいずれかの奏する効果に加え、制動部材の突出片は、先端側ほど円板部材の外周面から離間する方向へ円弧状に湾曲して形成されるので、第1排球口または第2排球口に排球された遊技球の通過が突出片により阻害されることを抑止し、かつ、その通過する遊技球に突出片をスムーズに押し下げさせることができる。
遊技機1又は2において、前記振分部材は、前記遊技領域を流下する遊技球が入球する入球口と、その入球口に入球した遊技球を受ける第1受け部および第2受け部を有すると共に第1受け部および第2受け部の間を中心として回動可能に軸支される本体部と、その本体部に配設される案内部と、その案内部により案内されて移動する移動体と、を備え、前記入球口に入球した遊技球を前記本体部の第1受け部で受けると、その遊技球の重さで、第1受け部が第2受け部よりも下方となる第1角度位置まで前記本体部が回動することで、前記第1受け部で受けた遊技球を第1位置へ排球すると共に、前記入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に前記第2受け部が配置され、前記入球口に入球した遊技球を前記本体部の第2受け部で受けると、その遊技球の重さで、第2受け部が第1受け部よりも下方となる第2角度位置まで前記本体部が回動することで、前記第2受け部で受けた遊技球を第2位置へ排球すると共に、前記入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に前記第1受け部が配置され、前記第1角度位置では、前記案内部が第1受け部側へ下降傾斜して、前記移動体が前記第1受け部側へ移動されると共に、前記第2角度位置では、前記案内部が第2受け部側へ下降傾斜して、前記移動体が前記第2受け部側へ移動されることを特徴とする遊技機26。
遊技機26によれば、遊技機1又は2の奏する効果に加え、遊技領域を流下する遊技球が入球する入球口と、第1受け部および第2受け部を有すると共に第1受け部および第2受け部の間を中心として回動可能に軸支される本体部とを備え、入球口に入球した遊技球を本体部の第1受け部で受けると、その遊技球の重さで、第1受け部が第2受け部よりも下方となる第1角度位置まで本体部が回動することで、第1受け部で受けた遊技球を第1位置へ排球すると共に、入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に第2受け部が配置され、入球口に入球した遊技球を本体部の第2受け部で受けると、その遊技球の重さで、第2受け部が第1受け部よりも下方となる第2角度位置まで本体部が回動することで、第2受け部で受けた遊技球を第2位置へ排球すると共に、入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に第1受け部が配置されるので、遊技球を第1位置および第2位置に交互に振り分けることができる。また、振り分ける動作を、遊技球の重さを利用して、機械的な構成により実行できるので、その動作のための動力を不要とできる。
このように、例えば、本体部が第1角度位置にあると、遊技球を第2受け部で受け、その遊技球の重さを利用して、第1角度位置から第2角度位置へ本体部が回動動作され、遊技球を第2位置へ排球すると共に、次の遊技球を第1受け部で受ける姿勢(第2角度位置)に設定される。
しかしながら、遊技球を受ける位置、遊技球の落下方向、或いは、第1受け部から遊技球が排球される方向などには、その都度ばらつきがあり、そのばらつきの状態や、振動などの外乱を本体部が受けるタイミングによっては、例えば、第1角度位置から第2角度位置へ回動された後、その第2角度位置に維持されるべき本体部が、第1角度位置に逆戻りすることがある。この場合には、次の遊技球を、先の遊技球と同様に、第2受け部により受けることとなり、第2位置へ連続して排球することになる。そのため、遊技球を第1位置および第2位置へ交互に振り分けることができない。
これに対し、遊技機26によれば、本体部に配設される案内部と、その案内部により案内されて移動する移動体とを備え、第1角度位置では、案内部が第1受け部側へ下降傾斜して、移動体が第1受け部側へ移動されると共に、第2角度位置では、案内部が第2受け部側へ下降傾斜して、移動体が第2受け部側へ移動されるので、移動体の移動に伴う重心位置の変化を利用して、本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持することができる。
例えば、第1角度位置にある本体部が、遊技球を第2受け部で受け、その遊技球の重さを利用して、第1角度位置から第2角度位置へ回動動作される(第2受け部が下方に位置される)場合には、案内部が第2受け部側へ下降傾斜されることで、移動体が第2受け部側へ移動されるので、この移動体の移動分だけ、全体としての重心位置を第2受け部側に変化させる(即ち、下方に位置する第2受け部側をより重くする)ことができる。その結果、本体部が引き戻されて、第1角度位置に逆戻りすることを抑制し、第2角度位置に維持できる。第2角度位置にある本体部が、遊技球を第1受け部で受ける場合も同様であり、第1角度位置へ回動動作されると、移動体が第1受け部側へ移動することで、本体部を第1角度位置に維持できる。
遊技機26において、前記案内部は、前記第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向に沿って延設される棒状に形成され、前記移動体は、前記案内部が挿通される環状に形成されることを特徴とする遊技機27。
遊技機27によれば、遊技機26の奏する効果に加え、案内部は、第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向に沿って延設される棒状に形成され、移動体は、案内部が挿通される環状に形成されるので、移動体を本体部の回動方向に応じて移動させる機構を、簡素な構造により達成できる。よって、製品コストの削減を図ると共に、安定した動作を可能として、信頼性の向上を図ることができる。
遊技機27において、前記移動体は、弾性材料からなる有端の素材を環状に形成したものであることを特徴とする遊技機28。
遊技機28によれば、遊技機27の奏する効果に加え、移動体が、弾性材料からなる有端の素材を環状に形成したものであるので、移動体を案内部に装着する作業を容易として、組み立て工数の削減を図ることができる。即ち、移動体を案内部に装着する際には、弾性変形させることで移動体の一部を開口させ、その開口を介して、棒状の案内部を環状の移動体に挿通させることができる。
なお、環状とは、円形である必要はなく、その内周側に棒状の移動体を挿通可能な形状であれば、多角形状でも楕円形状でも良い。また、移動体は、素材を巻回したものであっても良く、素材から削り出したものでも良く、素材から打ち抜いたものでも良い。
遊技機28において、前記移動体は、前記有端の素材を巻回し、端部同士が重ね合わされていることを特徴とする遊技機29。
遊技機29によれば、遊技機28の奏する効果に加え、移動体は端部同士が重ねあわされているので、その分、移動体の一部を開口させるのに必要な弾性変形量が大きくなる。よって、案内部に装着した移動体が脱落することを抑制できる。また、移動体は、素材を巻回して形成されるので、その製造を簡素化して、部品コストの低減を図ることができる。
遊技機27から29のいずれかにおいて、前記案内部または移動体の少なくとも一方は断面円形に形成されることを特徴とする遊技機30。
遊技機30によれば、遊技機27から29のいずれかの奏する効果に加え、案内部または移動体の少なくとも一方は断面円形に形成されるので、両者の接触面積を小さくして、摺動抵抗を抑えることができる。よって、本体部の回動動作に伴って案内部が下降傾斜された場合には、途中で止まらせることなく、下降傾斜に沿って移動体を確実に移動させることができると共に、移動体の移動(重心位置の変化)を迅速に行うことができる。その結果、移動体の移動に伴う重心位置の変化を利用して、本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に確実に維持することができる。
遊技機26において、前記案内部は、前記第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向に沿って延設される通路状に形成され、前記移動体は、前記案内部を転動する球状または円柱状に形成されることを特徴とする遊技機31。
遊技機31によれば、遊技機26の奏する効果に加え、案内部が、第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向に沿って延設される通路状に形成され、その案内部を転動する球状または円柱状に移動体が形成されるので、本体部の回動動作に伴って案内部が下降傾斜された場合には、その案内部の下降傾斜に沿って移動体を確実かつ迅速に移動させることができる。
例えば、案内部を移動体が摺動する構造では、摺動抵抗が大きいため、案内部の下降傾斜に沿って移動する移動体が途中で止まることがあり、また、移動速度が遅いため、移動体の移動(重心位置の変化)が間に合わないことがある。これに対し、遊技機31のように、移動体が球状または円柱状に形成され、案内部を転動する構造であれば、下降傾斜端まで移動体を確実に移動させることができると共に、移動体の移動(重心位置の変化)を迅速に行うことができる。その結果、移動体の移動に伴う重心位置の変化を利用して、本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に確実に維持することができる。
遊技機27において、前記案内部は、一面側が開放される箱体と、その箱体の一面側に取着される蓋体とを備え、それら箱体および蓋体の間に形成される内部空間に前記移動体が収納されることを特徴とする遊技機32。
遊技機32によれば、遊技機27の奏する効果に加え、案内部は、一面側が開放される箱体と、その箱体の一面側に取着される蓋体とを備え、それら箱体および蓋体の間に形成される内部空間に移動体が収納されるので、移動体を案内部に案内可能に保持させる作業を容易として、組み立て工数の削減を図ることができる。
遊技機32において、前記箱体および蓋体は、樹脂材料から構成されると共に、前記蓋体は、金属材料から構成される締結ねじにより前記箱体に締結固定され、前記締結ねじが締結される被締結部分が、前記第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向に沿って延設される前記内部空間の一端側および他端側にそれぞれ形成されることを特徴とする遊技機33。
遊技機33によれば、遊技機32の奏する効果に加え、箱体および蓋体が、樹脂材料から構成されると共に、蓋体が、金属材料から構成される締結ねじにより箱体に締結固定され、締結ねじが締結される被締結部分が、第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向に沿って延設される内部空間の一端側および他端側にそれぞれ形成されるので、本体部の回動動作に伴って案内部が下降傾斜された際に下降傾斜端となる部分に締結ねじ及び被締結部分を位置させることができる。よって、下降傾斜端となる部分を補強して、移動体の衝突により破損することを抑制できる。また、箱体と蓋体とを締結固定するための構成を、移動体が衝突する部分(下降傾斜端となる部分)を補強する構成としても兼用できるので、補強のための部材を別途設けることを不要として、その分、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機27から33のいずれかにおいて、前記案内部は、前記第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向の一端側および他端側を下方に窪ませて形成される窪み部を備えることを特徴とする遊技機34。
遊技機34によれば、遊技機27から33のいずれかの奏する効果に加え、案内部は、第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向の一端側および他端側を下方に窪ませて形成される窪み部を備えるので、本体部の回動動作に伴って案内部が下降傾斜され、その下降傾斜に沿って移動体が一端側または他端側へ移動する際には、その移動体を窪み部に嵌り込ませて、上昇傾斜側へ跳ね返ることを抑制できる。
遊技機27から30のいずれかにおいて、前記案内部は、前記第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向の一端側および他端側よりも中央部が下方となるように湾曲した円弧状に形成されることを特徴とする遊技機35。
遊技機35によれば、遊技機27から30のいずれかの奏する効果に加え、案内部は、第1受け部および第2受け部を繋ぐ方向の一端側および他端側よりも中央部が下方となるように湾曲した円弧状に形成されるので、本体部の回動動作に伴って案内部が下降傾斜された状態では、上昇傾斜側の勾配を大とすることができる。よって、本体部の回動動作に伴って案内部の上昇傾斜側に位置することとなった移動体の移動を確実かつ速やかに行わせることができる。特に、棒状の案内部を環状の移動体が摺動する構成では、摩擦抵抗が大きいため、上昇傾斜側に位置することとなった移動体の移動が開始されないおそれがあり、このような構成に対して、遊技機35は特に有効となる。
遊技機26から35のいずれかにおいて、前記本体部および案内部が樹脂材料から構成されると共に、前記移動体が金属材料から構成されることを特徴とする遊技機36。
遊技機36によれば、遊技機26から35のいずれかにおいて、本体部および案内部が樹脂材料から構成されると共に、移動体が金属材料から構成されるので、移動体の移動に伴う重心位置の変化を顕著とすることができる。その結果、本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持しやすくすることができる。
遊技機1又は2において、前記振分部材は、前記遊技領域を流下する遊技球が入球する入球口と、第1受け部および第2受け部を有すると共に第1受け部および第2受け部の間を中心として回動可能に軸支される本体部と、その本体部の回動動作に伴い重心位置を移動させる重心位置移動手段と、を備え、前記入球口に入球した遊技球を前記本体部の第1受け部で受けると、その遊技球の重さで、第1受け部が第2受け部よりも下方となる第1角度位置まで前記本体部が回動することで、前記第1受け部で受けた遊技球を第1位置へ排球すると共に、前記入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に前記第2受け部が配置され、前記入球口に入球した遊技球を前記本体部の第2受け部で受けると、その遊技球の重さで、第2受け部が第1受け部よりも下方となる第2角度位置まで前記本体部が回動することで、前記第2受け部で受けた遊技球を第2位置へ排球すると共に、前記入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に前記第1受け部が配置され、前記重心位置移動手段は、前記本体部の第1受け部側および第2受け部側にそれぞれ回動可能に垂下される一対の垂下体と、前記第1角度位置または第2角度位置まで前記本体部が回動される際に、上方側に位置する垂下体を前記本体部に近接させる近接手段および上方側に位置していた垂下体への前記近接手段による本体部への近接を解除して垂下させる解除手段とを備えることを特徴とする遊技機37。
遊技機37によれば、遊技機1又は2の奏する効果に加え、遊技領域を流下する遊技球が入球する入球口と、第1受け部および第2受け部を有すると共に第1受け部および第2受け部の間を中心として回動可能に軸支される本体部とを備え、入球口に入球した遊技球を本体部の第1受け部で受けると、その遊技球の重さで、第1受け部が第2受け部よりも下方となる第1角度位置まで本体部が回動することで、第1受け部で受けた遊技球を第1位置へ排球すると共に、入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に第2受け部が配置され、入球口に入球した遊技球を本体部の第2受け部で受けると、その遊技球の重さで、第2受け部が第1受け部よりも下方となる第2角度位置まで本体部が回動することで、第2受け部で受けた遊技球を第2位置へ排球すると共に、入球口から入球した遊技球を受けることが可能な位置に第1受け部が配置されるので、遊技球を第1位置および第2位置に交互に振り分けることができる。また、振り分ける動作を、遊技球の重さを利用して、機械的な構成により実行できるので、その動作のための動力を不要とできる。
このように、例えば、本体部が第1角度位置にあると、遊技球を第2受け部で受け、その遊技球の重さを利用して、第1角度位置から第2角度位置へ本体部が回動動作され、遊技球を第2位置へ排球すると共に、次の遊技球を第1受け部で受ける姿勢(第2角度位置)に設定される。
しかしながら、遊技球を受ける位置、遊技球の落下方向、或いは、第1受け部から遊技球が排球される方向などには、その都度ばらつきがあり、そのばらつきの状態や、振動などの外乱を本体部が受けるタイミングによっては、第1角度位置から第2角度位置へ回動された際に、第2角度位置に維持されるべき本体部が、遊技球の排球動作時の反発力によって跳ね上げられ、第1角度位置に逆戻りすることがある。この場合には、次の遊技球を、先の遊技球と同様に、第2受け部により受けることとなり、第2位置へ連続して排球することになる。そのため、遊技球を第1位置および第2位置へ交互に振り分けることができない。
これに対し、遊技機37によれば、本体部の第1受け部側および第2受け部側にそれぞれ回動可能に垂下される一対の垂下体と、第1角度位置または第2角度位置まで本体部が回動される際に、上方側に位置する垂下体を本体部に近接させる近接手段および上方側に位置していた垂下体への近接手段による本体部への近接を解除して垂下させる解除手段とを有する重心位置移動手段を備えるので、本体部の回動動作に伴い重心位置を移動させることができ、これにより本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持することができる。
例えば、第1角度位置にある本体部が、遊技球を第2受け部で受け、その遊技球の重さを利用して、第1角度位置から第2角度位置へ回動動作される(第2位置が下方に位置される)場合には、上方側(第1受け部側)に位置する垂下体が本体部に近接されると共に、下方側(第2受け部側)に位置する垂下体が垂下されるので、全体としての重心位置を第2受け部側に変化させる(即ち、下方に位置する第2受け部側をより重くする)ことができる。その結果、本体部が引き戻されて、第1角度位置に逆戻りすることを抑制し、第2角度位置に維持できる。第2角度位置にある本体部が、遊技球を第1受け部で受ける場合も同様であり、第1角度位置へ回動動作されると、上方側(第1受け部側)に位置する垂下体が本体部へ近接されると共に、下方側(第2受け部側)に位置する垂下体が垂下されることで、本体部を第1角度位置に維持できる。
遊技機37において、前記振分部材は、前記一対の垂下体の間において前記本体部に配設され磁石として構成される本体側磁石と、その本体側磁石に引き合う磁極の向きで前記垂下体に配設されると共に磁石として構成される垂下側磁石と、を備え、前記近接手段は、前記本体側磁石に垂下側磁石が磁着されることで、前記上方側に位置する垂下体を前記本体部に近接した状態に維持することを特徴とする遊技機38。
遊技機38によれば、遊技機37において、近接手段は、本体側磁石と垂下側磁石との磁着を利用して、上方側に位置する垂下体を本体部に近接した状態に維持するので、例えば、2部材の機械的な係合を利用して、近接した状態に維持する構成の場合と比較して、構造の簡素化を図ることができると共に、近接およびその解除動作の信頼性の向上を図ることができる。
遊技機37において、前記振分部材は、前記一対の垂下体の間において前記本体部に配設され磁石として構成される本体側磁石を備えると共に、前記一対の垂下体が磁性材料から構成され、前記近接手段は、前記本体側磁石に前記垂下体が磁着されることで、前記上方側に位置する垂下体を前記本体部に近接した状態に維持することを特徴とする遊技機39。
遊技機39によれば、遊技機37において、近接手段は、本体側磁石と垂下体との磁着を利用して、上方側に位置する垂下体を本体部に近接した状態に維持するので、例えば、2部材の機械的な係合を利用して、近接した状態に維持する構成の場合と比較して、構造の簡素化を図ることができると共に、近接およびその解除動作の信頼性の向上を図ることができる。
また、一対の垂下体が磁性材料から構成されることで、本体部のみに磁石を配設すれば良い。よって、本体部と垂下体とのそれぞれに磁石を配設する構成の場合と比較して、垂下体に配設する磁石を不要とできる分、部品点数を削減して、製品コストの削減を図ることができる。
さらに、垂下体が磁性材料から構成されることで、その重量を嵩ませることができ、その分、垂下体の変位(本体部への近接および解除(垂下))に伴う重心位置の下方側への移動量を大きくできる。その結果、本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持しやすくできる。
遊技機38又は39において、前記振分部材は、前記本体部を回動可能に軸支する基板部材と、その基板部材から前記本体部へ向けて突出される近接用突起部と、を備えると共に、前記垂下体は、前記垂下体から延設されると共に前記本体部の回動に伴い上方側へ位置する際に前記近接用突起部に係止可能とされる延設片を備え、前記近接手段は、前記本体部の回動に伴い下方側から上方側へ移動する垂下体の延設片が前記近接用突起に係止されることで、前記垂下体が前記本体部へ近接され、前記本体側磁石に、前記垂下側磁石または前記磁性材料から構成される垂下体が磁着されることを特徴とする遊技機40。
遊技機40によれば、遊技機38又は39の奏する効果に加え、振分部材は、本体部を回動可能に軸支する基板部材と、その基板部材から本体部へ向けて突出される近接用突起部と、を備えると共に、垂下体は、その垂下体から延設されると共に本体部の回動に伴い上方側へ位置する際に近接用突起部に係止可能とされる延設片を備えるので、本体部の回動に伴い下方側から上方側へ移動する垂下体の延設片が近接用突起に係止されることで、垂下体を本体部へ近接させ、本体側磁石に垂下側磁石または磁性材料から構成される垂下体を磁着させることができる。これにより、上方側に位置する垂下体を本体部に確実に近接させることができる。また、このように、近接用突起部への延設片の係止により、垂下体を本体部に近接させることができる、即ち、本体側磁石への垂下側磁石または垂下体の磁着を補助できるので、これら本体側磁石および垂下側磁石の磁力を弱くすることができ、その分、部品コストの削減を図ることができると共に、垂下体が下方側に位置する際に、近接状態の解除を確実化することができる。
遊技機38から40のいずれかにおいて、前記振分部材は、前記本体部を回動可能に軸支する基板部材と、その基板部材から前記本体部へ向けて突出される解除用突起部と、を備えると共に、前記垂下体は、前記垂下体から延設されると共に前記本体部の回動に伴い下方側へ位置する際に前記解除用突起部に係止可能とされる延設片を備え、前記近接手段は、前記本体部の回動に伴い上方側から下方側へ移動する垂下体の延設片が前記解除用突起に係止されることで、前記垂下体が前記本体部から離間され、前記本体側磁石と垂下側磁石または磁性材料からなる垂下体との磁着による前記垂下体の本体部への近接が解除されることを特徴とする遊技機41。
遊技機41によれば、遊技機38から40のいずれかの奏する効果に加え、振分部材は、本体部を回動可能に軸支する基板部材と、その基板部材から前記本体部へ向けて突出される解除用突起部とを備えると共に、垂下体は、その垂下体から延設されると共に本体部の回動に伴い下方側へ位置する際に解除用突起部に係止可能とされる延設片を備えるので、本体部の回動に伴い上方側から下方側へ移動する垂下体の延設片が解除用突起に係止されることで、垂下体を本体部から離間させ、本体側磁石および垂下側磁石の磁着(垂下体の本体部への近接)を解除することができる。これにより、下方側に位置する垂下体を垂下させ、全体としての重心位置を確実に移動させることができる。
なお、一の延設片が、遊技機40における延設片と遊技機41における延設片とを兼用する(即ち、近接用突起部および解除用突起部の両者に係止可能とされる)ように構成することが好ましい。これにより、近接用突起部に係止されるための延設片と、解除用突起部垂下体に係止されるための延設片とを垂下体に設ける必要がなく、その分、製品コストを削減できる。
遊技機38から41のいずれかにおいて、前記一対の垂下体は、前記本体部に回動可能に軸支される回動軸から先端までの長さ寸法が、前記回動軸から前記本体部の中心までの長さ寸法よりも大きくされ、前記本体部に配設される少なくとも1の前記本体側磁石が、前記一対の垂下体の一方および他方を前記本体部に近接した状態に維持するための磁石として兼用可能とされることを特徴とする遊技機42。
遊技機42によれば、遊技機38から41のいずれかの奏する効果に加え、一対の垂下体は、本体部に回動可能に軸支される回動軸から先端までの長さ寸法が、回動軸から本体部の中心までの長さ寸法よりも大きくされるので、本体部に配設される少なくとも1の本体側磁石を、一対の垂下体の一方および他方を本体部に近接した状態に維持するための磁石として兼用することができる。よって、その兼用の分、部品点数を削減して、製品コストの削減を図ることができる。また、このように、垂下体の長さ寸法を、回動軸から本体部の中心までの長さ寸法よりも大きくすることで、その垂下体の変位(本体部への近接および解除(垂下))に伴う重心位置の下方側への移動量を大きくでき、その結果、本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持しやすくできる。
遊技機37から42のいずれかにおいて、前記一対の垂下体は、前記本体部に回動可能に軸支される回動軸から先端までの長さ方向中央よりも先端側に重心位置が配置されることを特徴とする遊技機43。
遊技機43によれば、遊技機37から42のいずれかにおいて、一対の垂下体は、本体部に回動可能に軸支される回動軸から先端までの長さ方向中央よりも先端側に重心位置が配置されるので、垂下体の変位(本体部への近接および解除(垂下))に伴う重心位置の下方側への移動量を大きくでき、その結果、本体部を本来あるべき姿勢(第1角度位置または第2角度位置)に維持しやすくできる。
<特徴A群>(8チャンス入賞時に入賞音を鳴らす)
遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口に遊技球が入球したことに基づいて第1情報を取得し、前記第2入球口に入球したことに基づいて第2情報を取得する取得手段と、抽選条件の成立を契機に、前記取得手段により取得された前記第1情報と前記第2情報とのそれぞれに基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示手段に所定時間、動的表示する動的表示手段と、前記抽選条件が成立するまで、前記第1情報と前記第2情報とをそれぞれ記憶することが可能な記憶手段と、その記憶手段に前記第1情報または前記第2情報が記憶されることに基づいて、それぞれの記憶数を示す識別図柄を前記表示手段に表示させる識別図柄表示手段と、前記抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果であることを示す前記識別情報が表示されたことに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、を有した遊技機において、遊技球が入球可能な開口部を有する通過口と、その通過口を通過し遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記通過口に遊技球が通過したことを示す報知態様を報知する報知手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機A1。
遊技機A1によれば、遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口に遊技球が入球したことに基づいて第1情報を取得し、前記第2入球口に入球したことに基づいて第2情報を取得する取得手段と、抽選条件の成立を契機に、前記取得手段により取得された前記第1情報と前記第2情報とのそれぞれに基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示手段に所定時間、動的表示する動的表示手段と、前記抽選条件が成立するまで、前記第1情報と前記第2情報とをそれぞれ記憶することが可能な記憶手段と、その記憶手段に前記第1情報または前記第2情報が記憶されることに基づいて、それぞれの記憶数を示す識別図柄を前記表示手段に表示させる識別図柄表示手段と、前記抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果であることを示す前記識別情報が表示されたことに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、を有し、遊技球が入球可能な開口部を有する通過口と、その通過口を通過し遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記通過口に遊技球が通過したことを示す報知態様を報知する報知手段と、を有するものである。これにより、通過口を通過したことにより報知態様が報知されるので、通過口を通過してから、第1入球口と第2入球口に入球するまでの時間差による違和感を報知態様によって軽減できる。よって、遊技者の違和感を軽減することができるという効果がある。
遊技機A1において、前記通過口に遊技球が通過した場合に、その通過した遊技球が前記振り分け手段により前記第1入球口と前記第2入球口とのどちらに振り分けられるかを判別する判別手段を有し、前記報知手段は、前記判別手段による判別結果を判別可能な報知態様を報知するものであることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記通過口に遊技球が通過した場合に、その通過した遊技球が前記振り分け手段により前記第1入球口と前記第2入球口とのどちらに振り分けられるかを判別する判別手段を有し、前記報知手段は、前記判別手段による判別結果を判別可能な報知態様を報知するものである。これにより、遊技者は、第1入球口と第2入球口とのどちらに遊技球を振り分けられるかを事前に知ることが出来る。よって、遊技者が今後の遊技の展開を予測し易い遊技機を提供することができるという効果がある。
遊技機A2において、前記報知手段は、前記通過口に遊技球が通過したことに基づいて、特定の音声を出力するものであることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、前記報知手段は、前記通過口に遊技球が通過したことに基づいて、特定の音声を出力するものであるので、遊技者は容易に通過口を通過したことを判別できるという効果がある。
遊技機A1からA3のいずれかにおいて、前記報知手段は、前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球した場合に、所定の報知態様を報知し、前記通過口に遊技球が通過した場合に報知される報知態様は、前記通過口を遊技球が通過してから前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球するのに要する時間以上の長さで報知されるものであることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A1からA3のいずれかの奏する効果に加え、前記報知手段は、前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球した場合に、所定の報知態様を報知し、前記通過口に遊技球が通過した場合に報知される報知態様は、前記通過口を遊技球が通過してから前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球するのに要する時間以上の長さで報知されるものであるので、通過口に通過したタイミングで第1入球口または第2入球口に遊技球が入球しているように遊技者に思わせることができる。よって、より遊技者が違和感を感じることを抑制できるという効果がある。
<特徴B群>(仮保留図柄を入賞タイミングで表示)
遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口に遊技球が入球したことに基づいて第1情報を取得し、前記第2入球口に入球したことに基づいて第2情報を取得する取得手段と、抽選条件の成立を契機に、前記取得手段により取得された前記第1情報と前記第2情報とのそれぞれに基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示手段に所定時間、動的表示する動的表示手段と、前記抽選条件が成立するまで、前記第1情報と前記第2情報とをそれぞれ記憶することが可能な記憶手段と、前記抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果であることを示す前記識別情報が表示されたことに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、を有した遊技機において、遊技球が入球可能な開口部を有する通過口と、その通過口を通過し遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記通過口を遊技球が通過したことに基づいて、その通過口を通過した遊技球が、前記振り分け手段により前記第1入球口と前記第2入球口とのどちらに振り分けられるかを判別する判別手段と、その判別手段による判別結果に基づく第1報知態様を報知する第1報知手段と、前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球したことに基づいて、前記第1報知態様を可変させる第2報知手段とを有するものであることを特徴とする遊技機B1。
遊技機B1によれば、遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口に遊技球が入球したことに基づいて第1情報を取得し、前記第2入球口に入球したことに基づいて第2情報を取得する取得手段と、抽選条件の成立を契機に、前記取得手段により取得された前記第1情報と前記第2情報とのそれぞれに基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示手段に所定時間、動的表示する動的表示手段と、前記抽選条件が成立するまで、前記第1情報と前記第2情報とをそれぞれ記憶することが可能な記憶手段と、前記抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果であることを示す前記識別情報が表示されたことに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、を有し、遊技球が入球可能な開口部を有する通過口と、その通過口を通過し遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記通過口を遊技球が通過したことに基づいて、その通過口を通過した遊技球が、前記振り分け手段により前記第1入球口と前記第2入球口とのどちらに振り分けられるかを判別する判別手段と、その判別手段による判別結果に基づく第1報知態様を報知する第1報知手段と、前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球したことに基づいて、前記第1報知態様を可変させる第2報知手段とを有するものである。これにより、通過口に通過して報知される第1報知態様とその可変された第2報知態様とで、通過口に入球したことで、第1入球口または第2入球口に遊技球に入球したかのように遊技者に思わせることができる。よって、遊技者に通過口に入球したタイミングと第1入球口または第2入球口に入球したタイミングの時間差による違和感を軽減できる。従って、遊技者の違和感を軽減できるという効果がある。
遊技機B1において、前記第1報知手段は、前記第1報知態様を報知した場合に、その第1報知態様が所定時間以上経過しても前記第2報知手段により前記第2報知態様に可変されない場合には、第1報知態様を非報知態様に設定するものであることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、前記第1報知手段は、前記第1報知態様を報知した場合に、その第1報知態様が所定時間以上経過しても前記第2報知手段により前記第2報知態様に可変されない場合には、第1報知態様を非報知態様に設定するものであるので、通過口を通過した遊技球が第1または第2入球口に入球しなかったことを遊技者に認識させることができるという効果がある。
<特徴C群>(疑似保留図柄と本保留図柄とをそれぞれ表示)
遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口に遊技球が入球したことに基づいて第1情報を取得し、前記第2入球口に入球したことに基づいて第2情報を取得する取得手段と、抽選条件の成立を契機に、前記取得手段により取得された前記第1情報と前記第2情報とのそれぞれに基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示手段に所定時間、動的表示する動的表示手段と、前記抽選条件が成立するまで、前記第1情報と前記第2情報とをそれぞれ記憶することが可能な記憶手段と、前記抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果であることを示す前記識別情報が表示されたことに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、を有した遊技機において、遊技球が入球可能な開口部を有する通過口と、その通過口を通過し遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記通過口を遊技球が通過したことに基づいて、その通過口を通過した遊技球が、前記振り分け手段により前記第1入球口と前記第2入球口とのどちらに振り分けられる順序であるかを判別する判別手段と、その判別手段による判別結果に対応した装飾図柄を前記表示手段に表示する装飾図柄表示手段と、を有し、前記装飾図柄表示手段は、開始条件の成立に基づいて、前記表示手段に表示されている前記装飾図柄のうち、最も先に表示されている前記装飾図柄を非表示にするものであり、前記動的表示手段は、前記開始条件の成立に基づいて、前記識別情報の動的表示を開始するものであることを特徴とする遊技機C1。
遊技機C1によれば、遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口に遊技球が入球したことに基づいて第1情報を取得し、前記第2入球口に入球したことに基づいて第2情報を取得する取得手段と、抽選条件の成立を契機に、前記取得手段により取得された前記第1情報と前記第2情報とのそれぞれに基づいて抽選を実行する抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示手段に所定時間、動的表示する動的表示手段と、前記抽選条件が成立するまで、前記第1情報と前記第2情報とをそれぞれ記憶することが可能な記憶手段と、前記抽選手段による抽選結果が特定の抽選結果であることを示す前記識別情報が表示されたことに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、を有し、遊技球が入球可能な開口部を有する通過口と、その通過口を通過し遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記通過口を遊技球が通過したことに基づいて、その通過口を通過した遊技球が、前記振り分け手段により前記第1入球口と前記第2入球口とのどちらに振り分けられる順序であるかを判別する判別手段と、その判別手段による判別結果に対応した装飾図柄を前記表示手段に表示する装飾図柄表示手段と、を有し、前記装飾図柄表示手段は、開始条件の成立に基づいて、前記表示手段に表示されている前記装飾図柄のうち、最も先に表示されている前記装飾図柄を非表示にするものであり、前記動的表示手段は、前記開始条件の成立に基づいて、前記識別情報の動的表示を開始するものである。
これにより、装飾図柄により第1入球口または第2入球口に入球したことを報知することができる。よって、通過口を通過したタイミングと第1または第2入球口に入球したタイミングとの違いによる違和感を軽減できる。従って、遊技者の違和感を軽減できるという効果がある。
遊技機C1において、前記開始条件は、少なくとも前記抽選条件の成立により成立するものであることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、前記開始条件は、少なくとも前記抽選条件の成立により成立するものであるので、遊技者に開始条件の成立を分かり易く識別させることができるという効果がある。
遊技機C1またはC2において、前記表示手段に表示されている前記第1入球口に対応する前記装飾図柄または前記第2入球口に対応する前記装飾図柄の数と前記記憶手段に記憶されている前記第1情報または前記第2情報の数との差を判別する差異判別手段を有するものであることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、前記表示手段に表示されている前記第1入球口に対応する前記装飾図柄または前記第2入球口に対応する前記装飾図柄の数と前記記憶手段に記憶されている前記第1情報または前記第2情報の数との差を判別する差異判別手段を有するものであるので、第1情報または第2情報の数と装飾図柄との数に差異があるかを判別することができるという効果がある。
遊技機C3において、前記差異判別手段は、前記通過口を遊技球が通過してから、その遊技球が前記第1入球口または前記第2入球口に入球するまでに要する時間以上の基準時間が経過したことに基づいて、前記差異を判別するものであることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C3の奏する効果に加え、前記差異判別手段は、前記通過口を遊技球が通過してから、その遊技球が前記第1入球口または前記第2入球口に入球するまでに要する時間以上の基準時間が経過したことに基づいて、前記差異を判別するものであるので、通過口を通過した遊技球が第1入球口または第2入球口に入球したかを正確に判別できるという効果ある。
遊技機C3またはC4において、前記差異判別手段は、前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球したことに基づいて、前記差異を判別するものであることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C3またはC4の奏する効果に加え、前記差異判別手段は、前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球したことに基づいて、前記差異を判別するものであるので、通過口を経由せずに第1または第2入球口に入球したかを判別できるという効果ある。
遊技機C3からC5のいずれかにおいて、表示されている前記装飾図柄の数が前記記憶手段に記憶されている前記第1情報または前記第2情報の数よりも大きいと前記差異判別手段により判別された場合には、動的表示している前記識別情報の動的表示時間内に前記開始条件を設定する条件設定手段を有し、前記動的表示手段は、前記識別情報を動的表示している場合に前記条件設定手段により前記開始条件が設定されると、前記識別図柄を特定の識別情報で停止表示した後に、再度、動的表示を開始するものであることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C3からC5のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、表示されている前記装飾図柄の数が前記記憶手段に記憶されている前記第1情報または前記第2情報の数よりも大きいと前記差異判別手段により判別された場合には、動的表示している前記識別情報の動的表示時間内に前記開始条件を設定する条件設定手段を有し、前記動的表示手段は、前記識別情報を動的表示している場合に前記条件設定手段により前記開始条件が設定されると、前記識別図柄を特定の識別情報で停止表示した後に、再度、動的表示を開始するものである。よって、装飾図柄の数と第1情報と第2情報との数を合わせることができるという効果がある。
遊技機C3からC5のいずれかにおいて、前記装飾図柄表示手段は、前記差異判別手段により表示されている前記装飾図柄の数が前記記憶手段に記憶されている前記第1情報または前記第2情報の数よりも少ないと判別された場合には、その少ない前記第1情報または前記第2情報に対応する前記装飾図柄を差の数で追加して表示するものであることを特徴とする遊技機C7。
<特徴D群>
遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口または前記第2入球口へ遊技球が入球したことに基づいて、抽選を行う抽選手段と、その抽選手段の抽選結果が、特定の抽選結果となった場合に、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、を有した遊技機において、遊技球が通過可能な開口部を有する通過口と、その通過口を通過した遊技球が流下する第1流路と、前記通過口を通過しなかった遊技球が流下する第2流路と、前記第1流路を流下する遊技球を、前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記第2流路を流下する遊技球を、前記第1入球口または前記第2入球口へ入球し難くする第1位置と、その第1位置よりも入球し易くする第2位置とに可変可能な可変部材と、所定条件の成立を契機に、前記可変部材を、前記第1位置から前記第2位置へと可変ささせる可変制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機D1。
遊技機D1によれば、第1入球口または第2入球口へ遊技球が入球したことに基づいて、抽選手段により抽選が実行される。その抽選手段の抽選結果が、特定の抽選結果となった場合に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技付与手段により付与される。遊技球が通過可能な開口部を有する通過口を通過した遊技球が流下する第1流路と、前記通過口を通過しなかった遊技球が流下する第2流路が形成されている。その第1流路を流下する遊技球を、第1入球口と第2入球口とに交互に振り分け手段により振り分けられる。第2流路を流下する遊技球を、第1入球口または第2入球口へ入球し難くする第1位置と、その第1位置よりも入球し易くする第2位置とに可変部材により可変される。所定条件の成立を契機に、可変部材が第1位置から第2位置へと可変制御手段により可変される。これにより、第1入球口と第2入球口へは、通過口を通過した遊技球が交互に入球し易くでき、通過口を通過しなかった遊技球も、所定契機が成立することにより第1入球口または第2入球口に遊技球を入球し易くことができる。よって、規則的な入球と、突発的な入球とを遊技者に提供することができ、遊技者の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機D1において決定条件の成立に基づいて、前記可変部材を前記第1位置から前記第2位置に前記可変制御手段により可変させるか否かを決定する決定手段を有するものであることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の効果に加え、決定条件の成立に基づいて、可変部材を第1位置から第2位置に可変制御手段により可変させるかが決定手段により決定されるので、遊技者に決定条件が成立することを期待させることができるという効果がある。
遊技機D1またはD2において、前記第2入球口は前記第1入球口の背面側に並列して配置されており、前記可変部材は、前記第1入球口に付随して配置され、前記可変制御手段により前記第2位置に可変されることで、前記第2流路を流下する遊技球を前記第1入球口へ案内する案内部を有するものであることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1またはD2の奏する効果に加え、第2入球口は第1入球口の背面側に並列して配置されており、可変部材が、第1入球口に付随して配置され、可変制御手段により第2位置に可変されることで、第2流路を流下する遊技球が第1入球口へ案内部により案内されるので、第1入球口と第2入球口とを効率良く配置しながらも、1入球口へより多くの遊技球を入球させることができるという効果がある。
遊技機D3において、前記可変部材は、前記第1入球口の両側に配置され、前記第1位置では、前記第2流路を流下する遊技球が前記第1入球口に入球することを規制し、前記第2位置では、前記第2流路を流下する遊技球を受けて前記第1入球口へと案内するものであることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D3の奏する効果に加え、可変部材が第1入球口の両側に配置される。第1位置では、第2流路を流下する遊技球が第1入球口に入球することが可変部材により規制され、第2位置では、第2流路を流下する遊技球を受けて第1入球口へと可変部材により案内されるので、可変部材により第1入球口への入賞率を変えて、遊技者の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機D1またはD2において、前記第1入球口と前記第2入球口とは同一平面上にそれぞれ配置されており、前記可変部材は、前記第1入球口に付随する第1可変部材と、前記第2入球口に付随する第2可変部材とを有しているものであることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D1またはD2の奏する効果に加え、第1入球口と第2入球口とは同一平面上にそれぞれ配置されており、可変部材には、第1入球口に付随する第1可変部材と、第2入球口に付随する第2可変部材とが備えられているので、第1入球口と第2入球口への入賞率を可変させることができ、遊技者の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機D5において、前記可変制御手段は、前記第1可変部材と前記第2可変部材とを同期して、前記第1位置から前記第2位置に可変させる同期手段を有しているものであることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D5の奏する効果に加え、前記可変制御手段では、第1可変部材と第2可変部材とを同期して、第1位置から第2位置に同期手段により可変させるので、第1入球口と第2入球口とへの入賞率を同期して可変させることができるという効果がある。
遊技機D6において、前記同期手段は、前記第1可変部材と前記第2可変部材とを連結して可変可能な連結可変手段を有しているものであることを特徴とする遊技機D7。
遊技機D7によれば、遊技機D6の奏する効果に加え、前記同期手段では、第1可変部材と第2可変部材とを連結して連結可変手段により可変されるので、容易な構成で第1可変部材と第2可変部材とを同期して可変させることができるという効果がある。
遊技機D1からD7のいずれかにおいて、前記抽選手段の抽選結果に基づいて、識別情報を表示手段に動的表示する動的表示手段と、前記所定条件の成立を契機に、前記動的表示手段による動的表示時間を、所定契機に基づいて短くなるように設定する変動表示短縮手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機D8。
遊技機D8によれば、遊技機D1からD7のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、抽選手段の抽選結果に基づいて、識別情報が表示手段に動的表示手段により動的表示される。所定条件の成立を契機に、動的表示手段による動的表示時間が所定契機に基づいて短くなるように変動表示短縮手段により設定される。よって、第1入球口または第2入球口への入賞率の上昇に合わせて、動的表示の時間を短くすることで、効率よく遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機D1からD8のいずれかにおいて、前記第1入球口または前記第2入球口に遊技球が入球したことに基づいて、情報を取得する取得手段と、その取得手段により取得された前記情報を前記第1入球口と前記第2入球口とに対してそれぞれ所定数まで記憶される記憶手段と、を有し、前記抽選手段は、抽選条件が成立したことを契機に、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて予め定められた順序で抽選を実行するものであることを特徴とする遊技機D9。
遊技機D9によれば、遊技機D1からD8のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第1入球口または第2入球口に遊技球が入球したことに基づいて、情報が取得手段により取得される。その取得手段により取得された情報が第1入球口と第2入球口とに対してそれぞれ所定数まで記憶手段により記憶される。記抽選手段は、抽選条件が成立したことを契機に、記憶手段に記憶された情報に基づいて予め定められた順序で抽選が抽選手段により実行される。これにより、第1入球口と第2入球口とに遊技球をより多く入球させようとする遊技者の意欲を増大させることができる。よって、遊技者の遊技に対する意欲を増大できるという効果がある。
遊技機D1からD9のいずれかにおいて、前記振り分け部材は、前記通過口を通過した遊技球を受けることが可能な第1受け部と、その第1受け部とは異なる第2受け部とを有し、前記第1受け部が遊技球を受けることにより第1方向に移動して前記第1入球口へと遊技球を案内し、前記第2受け部が遊技球を受けることにより第2方向に移動して前記第2入球口へ遊技球を案内するものであることを特徴とする遊技機D10。
遊技機D10によれば、遊技機D1からD9のいずれかの奏する効果に加え、振り分け部材の第1受け部が遊技球を受けることにより第1方向に移動して第1入球口へと遊技球が案内され、第2受け部が遊技球を受けることにより第2方向に移動して第2入球口へ遊技球が案内されるので、駆動手段等を備えることなく、遊技球を第1入球口と第2入球口とに遊技球を振り分けることができるという効果がある。
遊技機D10において、前記振り分け部材は、回動可能な軸部を有し、前記第1方向に回動することにより前記第2受け部が前記通過口と対向する位置に配置され、前記第2方向に回動することにより前記第1受け部が前記通過口と対向する位置に配置されるものであることを特徴とする遊技機D11。
遊技機D11によれば、遊技機D10の奏する効果に加え、振り分け部材を回動させることにより第1受け部と第2受け部とに交互に遊技球が入球するように位置を移動させることができるので、コンパクトな構成で振り分け部材を構成することができるという効果がある。
遊技機D10またはD11において、前記振り分け部材は、前記第1受け部または前記第2受け部が遊技球を受けていない状態で、前記第1方向または前記第2方向とへ移動することを規制する規制手段を有していることを特徴とする遊技機D12。
遊技機D12によれば、遊技機D10またはD11の奏する効果に加え、振り分け部材では、第1受け部または第2受け部が遊技球を受けていない状態で、第1方向または第2方向とへ移動するこが規制手段により規制されるので、遊技球を振り分け部材が受けてない状態で、振り分け部材が回転してしまう不具合を抑制でき、遊技球の振り分けが不規則になることを抑制できるという効果がある。
<特徴E群>
遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口または前記第2入球口へ遊技球が入球したことに基づいて、抽選を行う抽選手段と、その抽選手段の抽選結果が、特定の抽選結果となった場合に、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、遊技球を遊技者の操作に基づいて発射可能な発射手段と、その発射手段により発射された遊技球が流下する第1流路と、その第1流路とは異なる第2流路と、前記第1流路または前記第2流路を通過した遊技球が通過可能な開口部を有する通過口と、前記通過口を通過した遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記第1流路を流下して、前記通過口に通過しなかった遊技球を前記第1入球口へと誘導し易くする第1位置と、その第1位置よりも誘導し難くする第2位置とに可変する第1可変部材と、前記第2流路を流下して、前記通過口に通過しなかった遊技球を前記第1入球口へと誘導し易くする第3位置と、その第3位置よりも誘導し難くする第4位置とに可変する第2可変部材と、を有するものであることを特徴とする遊技機E1。
遊技機E1によれば、第1入球口または第2入球口へ遊技球が入球したことに基づいて、抽選が抽選手段により実行される。その抽選手段の抽選結果が、特定の抽選結果となった場合に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技付与手段により付与される。遊技球が遊技者の操作に基づいて発射手段により発射される。その発射手段により発射された遊技球が流下する第1流路またはその第1流路とは異なる第2流路を通過した遊技球が通過可能な開口部を有する通過口を通過した遊技球が第1入球口と第2入球口とに交互に振り分け手段により振り分けられる。第1流路を流下して、通過口に通過しなかった遊技球が第1入球口へと誘導し易くする第1位置と、その第1位置よりも誘導し難くする第2位置とに第1可変部材が可変される。第2流路を流下して、通過口に通過しなかった遊技球を第1入球口へと誘導し易くする第3位置と、その第3位置よりも誘導し難くする第4位置とに第2可変部材が可変される。これにより、通過口を遊技球が通過しなかったとして、第1流路と第2流路とのどちらを遊技球が流下すれば第1入球口へ入球させることができるかを楽しむことができる。よって、遊技に対する興趣を向上できるという効果がある。
遊技機E1において、前記第1可変部材が前記第1位置または前記第2可変部材が前記第3位置に可変している場合には、前記通過口を通過するよりも、前記第1入球口に入球し易く設定されるものであることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、第1可変部材が第1位置または第2可変部材が第3位置に可変している場合には、通過口を通過するよりも、第1入球口に入球し易く設定されるので、通過口を通過させるのみではなく、第1可変部材または第2可変部材を狙って遊技球を発射させる楽しみ方もできる。よって、遊技の興趣を向上できるという効果がある。
遊技機E1またはE2において、前記第1可変部材と前記第2可変部材とは、同期して可変させる同期可変手段を有するものであることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E1またはE2の奏する効果に加え、第1可変部材と第2可変部材とは、同期して同期可変手段により可変されるので、第1入球口への入球率をより上昇させることができるという効果がある。
遊技機E1またはE2において、前記第1可変部材と前記第2可変部材とを独立して可変させる独立可変手段を有するものであることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、第1可変部材と第2可変部材とが独立して独立可変手段により可変されるので、遊技者に第1可変部材が可変される場合と第2可変部材が可変される場合とで異なる興趣を提供することができるという効果がある。
遊技機E1からE4のいずれかにおいて決定条件の成立に基づいて、前記第1可変部材または前記第2可変部材を可変させるか否かを決定する決定手段を有するものであることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E1からE4のいずれかの奏する効果に加え、決定条件の成立に基づいて、第1可変部材または第2可変部材を可変させるか否かが決定手段により決定されるので、第1可変部材または第2可変部材が可変する契機である決定条件の成立を遊技者に期待させることにより、興趣を向上できるという効果がある。
遊技機E1からE5のいずれかにおいて、前記第2入球口は前記第1入球口の背面側に並列して配置されており、前記第1可変部材と前記第2可変部材とは、前記第1入球口に付随して配置され、前記第1位置または前記第3位置とに可変されることで、遊技球を前記第1入球口へ案内する案内部を有するものであることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E1からE5のいずれかの奏する効果に加え、第2入球口は第1入球口の背面側に並列して配置されており、第1可変部材と第2可変部材とは、第1入球口に付随して配置され、第1位置または第3位置とに可変されることで、遊技球が第1入球口へ案内部により案内されるので、遊技領域に省スペースで第1入球口と第2入球口を配置できるという効果がある。
遊技機E1からE6のいずれかにおいて、前記第1可変部材または前記第2可変部材を所定条件の成立に基づいて、前記第1位置または前記第3位置に可変され易い特別状態を設定する状態設定手段と、前記抽選手段の抽選結果に基づいて、識別情報を表示手段に動的表示する動的表示手段と、前記特別状態が設定されたことに基づいて、前記動的表示手段による動的表示時間を、短くなるように設定する変動表示短縮手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機E7。
遊技機E7によれば、遊技機E1からE6の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、抽選手段の抽選結果に基づいて、識別情報が表示手段に動的表示手段により動的表示される。所定条件の成立を契機に、動的表示手段による動的表示時間が所定契機に基づいて短くなるように変動表示短縮手段により設定される。よって、第1入球口または第2入球口への入賞率の上昇に合わせて、動的表示の時間を短くすることで、効率よく遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機E1からE7のいずれかにおいて、前記振り分け部材は、前記通過口を通過した遊技球を受けることが可能な第1受け部と、その第1受け部とは異なる第2受け部とを有し、前記第1受け部が遊技球を受けることにより第1方向に移動して前記第1入球口へと遊技球を案内し、前記第2受け部が遊技球を受けることにより第2方向に移動して前記第2入球口へ遊技球を案内するものであることを特徴とする遊技機E8。
遊技機E8によれば、遊技機E1からE7のいずれかの奏する効果に加え、振り分け部材の第1受け部が遊技球を受けることにより第1方向に移動して第1入球口へと遊技球が案内され、第2受け部が遊技球を受けることにより第2方向に移動して第2入球口へ遊技球が案内されるので、駆動手段等を備えることなく、遊技球を第1入球口と第2入球口とに遊技球を振り分けることができるという効果がある。
遊技機E8において、前記振り分け部材は、回動可能な軸部を有し、前記第1方向に回動することにより前記第2受け部が前記通過口と対向する位置に配置され、前記第2方向に回動することにより前記第1受け部が前記通過口と対向する位置に配置されるものであることを特徴とする遊技機E9。
遊技機E9によれば、遊技機E8の奏する効果に加え、振り分け部材を回動させることにより第1受け部と第2受け部とに交互に遊技球が入球するように位置を移動させることができるので、コンパクトな構成で振り分け部材を構成することができるという効果がある。
遊技機E8またはE9において、前記振り分け部材は、前記第1受け部または前記第2受け部が遊技球を受けていない状態で、前記第1方向または前記第2方向とへ移動することを規制する規制手段を有していることを特徴とする遊技機E10。
遊技機E10によれば、遊技機E8またはE9の奏する効果に加え、振り分け部材では、第1受け部または第2受け部が遊技球を受けていない状態で、第1方向または第2方向とへ移動するこが規制手段により規制されるので、遊技球を振り分け部材が受けてない状態で、振り分け部材が回転してしまう不具合を抑制でき、遊技球の振り分けが不規則になることを抑制できるという効果がある。
前記各遊技機は、パチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z1。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された入賞口に入賞(又は入賞口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
前記各遊技機は、スロットマシンであることを特徴とする遊技機Z2。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
前記各遊技機は、パチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機等の遊技機では、入球口への遊技媒体の入賞に基づいて、当否が判定され、その判定結果が大当たりであるときに、遊技者にとって有利となる遊技価値が付与される。その入球口への遊技媒体の流下を振り分ける等の目的で、入球口へ遊技媒体を導入するための導入流路が設けられているものがあった。
例えば、2種類の入球口を備える遊技機において、導入流路内で振り分けを行うことで、2種類の入球口への遊技媒体の入賞を交互にさせることができ、2種類の入球口のうち一方に偏って入球することを防止できる遊技機が提案されていた(例えば、特許文献1:特開2012−231902号公報)。
しかしながら、上記遊技機においては、2種類の入球口への入賞は、導入路に入球した遊技球が規則的に交互に振り分けられることで、遊技が単調なものとなってしまう不具合があった。これにより、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうという問題があった。
本技術的思想は上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技者の興趣を向上することができる遊技機を提供することを目的としている。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、遊技球が入球可能な第1入球口とその第1入球口とは異なる第2入球口と、前記第1入球口または前記第2入球口へ遊技球が入球したことに基づいて、抽選を行う抽選手段と、その抽選手段の抽選結果が、特定の抽選結果となった場合に、遊技者に有利となる特典遊技を付与する特典遊技付与手段と、
遊技球を遊技者の操作に基づいて発射可能な発射手段と、その発射手段により発射された遊技球が流下する第1流路と、その第1流路とは異なる第2流路と、前記第1流路または前記第2流路を通過した遊技球が通過可能な開口部を有する通過口と、 前記通過口を通過した遊技球を前記第1入球口と前記第2入球口とに交互に振り分けることが可能な振り分け手段と、前記第1流路を流下して、前記通過口に通過しなかった遊技球を前記第1入球口へと誘導し易くする第1位置と、その第1位置よりも誘導し難くする第2位置とに可変する第1可変部材と、前記第2流路を流下して、前記通過口に通過しなかった遊技球を前記第1入球口へと誘導し易くする第3位置と、その第3位置よりも誘導し難くする第4位置とに可変する第2可変部材と、を有するものである。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記第1可変部材が前記第1位置または前記第2可変部材が前記第3位置に可変している場合には、前記通過口を通過するよりも、前記第1入球口に入球し易く設定されるものである。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想1または2記載の遊技機において、前記第1可変部材と前記第2可変部材とは、同期して可変させる同期可変手段を有するものである。
技術的思想4の遊技機は、技術的思想1または2記載の遊技機において、前記第1可変部材と前記第2可変部材とを独立して可変させる独立可変手段を有するものである。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、第1入球口または第2入球口へ遊技球が入球したことに基づいて、抽選が抽選手段により実行される。その抽選手段の抽選結果が、特定の抽選結果となった場合に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技付与手段により付与される。遊技球が遊技者の操作に基づいて発射手段により発射される。その発射手段により発射された遊技球が流下する第1流路またはその第1流路とは異なる第2流路を通過した遊技球が通過可能な開口部を有する通過口を通過した遊技球が第1入球口と第2入球口とに交互に振り分け手段により振り分けられる。
第1流路を流下して、通過口に通過しなかった遊技球が第1入球口へと誘導し易くする第1位置と、その第1位置よりも誘導し難くする第2位置とに第1可変部材が可変される。第2流路を流下して、通過口に通過しなかった遊技球を第1入球口へと誘導し易くする第3位置と、その第3位置よりも誘導し難くする第4位置とに第2可変部材が可変される。
これにより、通過口を遊技球が通過しなかったとして、第1流路と第2流路とのどちらを遊技球が流下すれば第1入球口へ入球させることができるかを楽しむことができる。よって、遊技に対する興趣を向上できるという効果がある。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、第1可変部材が第1位置または第2可変部材が第3位置に可変している場合には、通過口を通過するよりも、第1入球口に入球し易く設定されるので、通過口を通過させるのみではなく、第1可変部材または第2可変部材を狙って遊技球を発射させる楽しみ方もできる。よって、遊技の興趣を向上できるという効果がある。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想1または2記載の遊技機の奏する効果に加え、第1可変部材と第2可変部材とは、同期して同期可変手段により可変されるので、第1入球口への入球率をより上昇させることができるという効果がある。
技術的思想4記載の遊技機によれば、技術的思想1または2記載の遊技機の奏する効果に加え、第1可変部材と第2可変部材とが独立して独立可変手段により可変されるので、遊技者に第1可変部材が可変される場合と第2可変部材が可変される場合とで異なる興趣を提供することができるという効果がある。