本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の半導体装置は、論理回路の信号経路中に設けられる第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を含む。第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子は、プログラム可能な不揮発スイッチである。そして第1のスイッチング素子は、整流素子と、抵抗変化素子とを有し、第2のスイッチング素子は、上記整流素子を持たず、抵抗変化素子を有することを特徴とする。そしてこのような第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とが同一配線層中に形成されることを想定する。
図15および図16に、整流素子を有する第1のスイッチング素子と、整流素子を持たない第2のスイッチング素子とを有する半導体装置の等価回路図を示す。スイッチング素子の端子の数と、整流素子の有無との組み合わせで、多数のバリエーションが考えられる。図15(a)は、実施形態の整流素子付4端子スイッチ122および3端子スイッチ123の等価回路図である。図15(b)は、実施形態の整流素子付2端子スイッチ722および2端子スイッチ723の等価回路図である。図15(c)は、実施形態の整流素子付4端子スイッチ822および2端子スイッチ823の等価回路図である。図16(a)は、実施形態の整流素子付2端子スイッチ922および3端子スイッチ923の等価回路図である。図16(b)は、実施形態の整流素子付3端子スイッチ1022および3端子スイッチ1023の等価回路図であり、図16(c)は実施形態の整流素子付3端子スイッチ1122および2端子スイッチ1123の等価回路図である。以下、具体的な実施形態の半導体装置、およびその製造方法について、説明する。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態による半導体装置、およびその製造方法について、説明する。本実施形態は、多層配線層内部に「整流素子付4端子スイッチおよび3端子スイッチ」を形成した半導体装置である。図1は、第1実施形態の半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。本実施形態は、図15(a)に等価回路図を示す、多層配線層内部に整流素子付4端子スイッチおよび3端子スイッチを含む半導体装置である。
(構成)
図1の半導体装置は、半導体基板101上の多層配線層の内部に、整流素子付4端子スイッチ122および3端子スイッチ123を有する。
多層配線層は、半導体基板101上にて、層間絶縁膜102、Low−k絶縁膜103、層間絶縁膜104、バリア絶縁膜107、保護絶縁膜114、層間絶縁膜115、Low−k絶縁膜116、層間絶縁膜117、およびバリア絶縁膜121の順に積層した絶縁積層体を有する。多層配線層は、層間絶縁膜104およびLow−k絶縁膜103に形成された配線溝に、第1バリアメタル106aおよび第1バリアメタル106bを介して、第1配線105aおよび第1配線105bが埋め込まれている。さらに多層配線層は、層間絶縁膜104およびLow−k絶縁膜103に形成された配線溝に、第1バリアメタル106cおよび第1バリアメタル106dを介して、第1配線105cおよび第1配線105dが埋め込まれている。
さらに多層配線層は、層間絶縁膜117およびLow−k絶縁膜116に形成された配線溝に、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cが埋め込まれている。さらに、層間絶縁膜115、保護絶縁膜114、および第1ハードマスク膜112に形成された下穴に、ビア119a、ビア119b、ビア119cが埋め込まれている。第2配線118aとビア119a、第2配線118bとビア119b、第2配線118cとビア119cが一体となっている。さらに、第2配線118aとビア119a、第2配線118bとビア119b、第2配線118cとビア119cの側面乃至底面が第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cによって覆われている。
バリア絶縁膜107に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線105aおよび第1配線105b、第1配線105aおよび第1配線105bに挟まれた層間絶縁膜104、バリア絶縁膜107の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜107上に、イオン伝導層109a、第2電極110a、整流層108a、および第3電極111が順に積層されて、整流素子付4端子スイッチ122が形成されている。さらに、第3電極111上に第1ハードマスク膜112および第2ハードマスク膜113が形成されている。さらに、イオン伝導層109a、第2電極110a、整流層108a、第3電極111、第1ハードマスク膜112および第2ハードマスク膜113の積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜114で覆われている。
多層配線層は、バリア絶縁膜107に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線105cおよび第1配線105d、第1配線105cおよび第1配線105dに挟まれた層間絶縁膜104、バリア絶縁膜107の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜107上に、イオン伝導層109b、第2電極110b、整流層108bの順に積層した3端子スイッチ123が形成されており、イオン伝導層109b、第2電極110bの積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜114で覆われている。
第1配線105aおよび第1配線105bの一部を、整流素子付4端子スイッチ122の下部電極とし、第1配線105cおよび第1配線105dの一部を、3端子スイッチ123の下部電極とすることで、工程数を簡略化しながら、電極抵抗を下げることができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、少なくとも3PRのマスクセットを作成するだけで、整流素子付4端子スイッチ122と3端子スイッチ123を同じ配線層内に搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成することができるようになる。
整流素子付4端子スイッチ122は、バリア絶縁膜107に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層109aと第1配線105aおよび第1配線105bとが直接接している。そして、イオン伝導層109aの一部を構成する金属が、第1配線105aおよび第1配線105bに拡散して、合金層を形成している。
3端子スイッチ123は、バリア絶縁膜107に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層109bと第1配線105cおよび第1配線105dが直接接している。そして、イオン伝導層109bの一部を構成する金属が、第1配線105cおよび第1配線105dに拡散して、合金層を形成している。
整流素子付4端子スイッチ122は、第2電極110a上に整流層108aを有し、整流層108aは上面で第3電極111に接している。整流素子付4端子スイッチ122の第3電極111はエッチングによって、2つの領域に電気的に分離されている。この際、整流層108aは第3電極111と同じく2つに分離されていても良いし、分離されていなくても良い。第3電極111上には、第3電極111と同じく分離された第1ハードマスク膜112および第2ハードマスク膜113が残っている。第2ハードマスク膜113は、残っていなくても良い。
整流素子付4端子スイッチ122は第3電極111上にて、ビア119aおよびビア119bと第3電極111とが第2バリアメタル120aおよび第2バリアメタル120bを介して、電気的に接続されている。
整流素子付4端子スイッチ122は、整流層108aを介して、第2電極110aと第1配線105aもしくは第1配線105b間に電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層109aへの第1配線105aおよび第1配線105bを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。この際、整流層108aにおける電流によってオン抵抗が決まる。
3端子スイッチ123は第2電極110b上にて、ビア119cと第2電極110bとが第2バリアメタル120cを介して電気的に接続されている。第2電極110b上には整流層108bが残っていても良いし、3端子スイッチ123の製造工程のエッチング時に除去されても良い。3端子スイッチ123は、電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層109bへの第1配線105cおよび第1配線105dを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。
半導体基板101は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板101には、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI(Silicon on Insulator)基板、TFT(Thin Film Transistor)基板、液晶製造用基板等の基板を用いることができる。
層間絶縁膜102は、半導体基板101上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜102には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜102は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
Low−k絶縁膜103は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜103は、層間絶縁膜102、104間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜103には、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜103の当該配線溝に、第1バリアメタル106a、第1バリアメタル106b、第1バリアメタル106c、第1バリアメタル106dを介して、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dが埋め込まれている。
層間絶縁膜104は、Low−k絶縁膜103上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜104には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜104は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜104には、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜104の当該配線溝に、第1バリアメタル106a、第1バリアメタル106b、第1バリアメタル106c、第1バリアメタル106dを介して、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dが埋め込まれている。
第1配線105aおよび第1配線105bは、層間絶縁膜104およびLow−k絶縁膜103に形成された配線溝に、第1バリアメタル106aおよび第1バリアメタル106bを介して埋め込まれた配線である。第1配線105aおよび第1配線105bは、整流素子付4端子スイッチ122の下部電極を兼ねており、イオン伝導層109aと直接接している。イオン伝導層109aの上面は、第2電極110aに直接接している。第1配線105aおよび第1配線105bを構成する金属には、イオン伝導層109aにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線105aおよび第1配線105bを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1配線105cおよび第1配線105dは、層間絶縁膜104およびLow−k絶縁膜103に形成された配線溝に、第1バリアメタル106cおよび第1バリアメタル106dを介して埋め込まれた配線である。第1配線105cおよび第1配線105dは、3端子スイッチ123の下部電極を兼ねており、イオン伝導層109bと直接接している。イオン伝導層109bの上面は、第2電極110bに直接接している。第1配線105cおよび第1配線105dを構成する金属には、イオン伝導層109bにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線105cおよび第1配線105dを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1バリアメタル106a、第1バリアメタル106b、第1バリアメタル106c、第1バリアメタル106dは、バリア性を有する導電性膜である。第1バリアメタル106a、第1バリアメタル106b、第1バリアメタル106c、第1バリアメタル106dは、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属が層間絶縁膜104や下層へ拡散することを防止するために、配線の側面乃至底面を被覆する。第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dが銅を主成分とする金属元素からなる場合、第1バリアメタル106a、第1バリアメタル106b、第1バリアメタル106c、第1バリアメタル106dには、例えばタンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜107は、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを含む層間絶縁膜104上に形成される。これにより、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、層間絶縁膜115中への第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属の拡散を防いだり、第3電極111、整流層108a、整流層108b、第2電極110a、第2電極110b、イオン伝導層109a、イオン伝導層109bの加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜107には、例えば、SiC膜、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。バリア絶縁膜107は、保護絶縁膜114および第1ハードマスク膜112と同一材料であることが好ましい。
イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bは、抵抗が変化する膜である。第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105d(下部電極)を形成する金属から生成される金属イオンの作用(拡散、イオン伝導など)により、抵抗が変化する材料を用いることができる。オン状態へのスイッチングに伴う抵抗変化を、金属イオンの還元による金属の析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられる。
イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bはそれぞれ、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dに接する金属酸化物のイオン伝導層と、第2電極110aおよび第2電極110bに接するポリマーのイオン伝導層とで、構成される。
イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bのうち、ポリマーのイオン伝導層は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF(Radio Frequency)電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm供給する。
イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bのうち、金属酸化物のイオン伝導層は、複数の役割がある。一つは、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属が、ポリマーのイオン伝導層を堆積している間の加熱やプラズマでポリマーのイオン伝導層中に拡散することを防止する役割である。他の一つは、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dが酸化され、ポリマーのイオン伝導層への拡散が促進されやすくなることを防止する役割である。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、チタンは、金属酸化物のイオン伝導層を構成する金属の成膜後にポリマーのイオン伝導層の成膜チャンバー内で減圧下において酸素雰囲気に曝され、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンとなり、イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bの一部となる。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属膜の最適膜厚は、0.5〜1nmである。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜は、積層を形成したり、単層としたりしても良い。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜の成膜は、スパッタリングで行うことが好ましい。スパッタリングによりエネルギーを得た金属原子またはイオンは、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dに突入、拡散し、合金層を形成する。
イオン伝導層109aは、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105aおよび第1配線105bに挟まれた層間絶縁膜104、バリア絶縁膜107の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜107上に形成されている。
イオン伝導層109bは、第1配線105c、第1配線105d、第1配線105cおよび第1配線105dに挟まれた層間絶縁膜104、バリア絶縁膜107の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜107上に形成されている。
第2電極110aおよび第2電極110bは、整流素子付4端子スイッチ122および3端子スイッチ123の上部電極であり、イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bと直接接している。
第2電極110aおよび第2電極110bには、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどを含有したルテニウム合金を使用する。ルテニウムは、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属よりもイオン化しにくく、イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bにおいて拡散、イオン伝導しにくい金属である。ルテニウム合金に添加される、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムは、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属と密着性が良い。第2電極110aおよび第2電極110bを構成し、ルテニウムに添加される第1の金属は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムよりも負方向に大きい金属を選択することが望ましい。チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどは、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムより負方向に大きく、ルテニウムに比べて化学反応が自発的に起こりやすいため、反応性が高い。このため、第2電極110aおよび第2電極110bを形成するルテニウム合金において、ルテニウムと合金化することで、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属で形成された金属架橋との密着性が向上する。
一方、ルテニウムを含まないチタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどの添加金属のみだと、反応性が高くなってしまい、「オフ」状態に遷移しなくなる。「オン」状態から「オフ」状態への遷移は、金属架橋の酸化反応(溶解反応)によって進行するが、第2電極110aおよび第2電極110bを構成する金属が、その金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが負方向に第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属よりも大きくなった場合、第1配線105a、第1配線105b、第1配線105c、第1配線105dを形成する金属で形成された金属架橋の酸化反応よりも第2電極110aおよび第2電極110bを構成する金属の酸化反応が進行するため、「オフ」状態に遷移できなくなる。
このため、第2電極110aおよび第2電極110bを構成する金属の形成に使用する金属材料は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが銅よりも負方向に小さいルテニウムとの合金とする必要がある。
さらに、第2電極110aおよび第2電極110bを構成する金属に金属架橋の成分である銅が混入すると、標準ギブズエネルギーが負方向に大きい金属を添加した効果が薄れる。このため、ルテニウムに添加する金属は銅および銅イオンに対してバリア性のある材料が好ましい。例えば、タンタル、チタンなどである。一方、添加金属の量は大きいほど、「オン」状態が安定化することがわかっており、5atm%の添加によっても安定性が向上することがわかっている。特に添加金属をチタンとした場合にオフへの遷移とオン状態の安定性に優れており、特に第2電極110aおよび第2電極110bを構成する金属をルテニウムとチタンの合金とし、チタンの含有率を20atm%〜30atm%の範囲が好ましい。該ルテニウム合金における、ルテニウムの含有比率は、60atm%以上90atm%以下が望ましい。
ルテニウム合金の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて合金を成膜する場合、ルテニウムと第1の金属との合金ターゲットを用いる方法、ルテニウムターゲットと第1の金属のターゲットを同一チャンバー内で同時にスパッタリングするコスパッタ法、予め第1の金属の薄膜を形成し、その上に、スパッタリング法を用いてルテニウムを成膜し、衝突原子のエネルギーで合金化するインターミキシング法がある。コスパッタ法およびインターミキシング法を用いると、合金の組成を変えることができる。インターミキシング法を採用する際には、ルテニウムの成膜を完了した後に、混合状態の「平坦化」のため、400℃以下での熱処理を加えることが好ましい。
第2電極110aおよび第2電極110bは、2層構造であることが望ましい。イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bと接する第2電極110aおよび第2電極110bがルテニウム合金だとすると、整流層108aおよび整流層108bに接する側は整流素子の下部電極となる。金属種は酸化しにくく、加工しやすく、かつ、組成によって仕事関数の調整が可能な金属窒化物、例えば窒化チタンや窒化タンタルを用いることができる。
第2電極110aおよび第2電極110bの、整流層108aおよび整流層108bとの界面における酸化を抑制できるのであれば、チタンやタンタルを用いても良い。窒化チタン、窒化タンタル、チタン、タンタルはルテニウム合金の上層にスパッタリング法により真空一貫で成膜する。窒化する場合はチャンバー内に窒素を導入し、リアクティブスパッタリング法により窒化物を成膜する。
整流層108aおよび整流層108bは双極性の整流効果を有する層であり、印加電圧に対して電流が非線形的に増加する特徴を有する。プール・フレンケル型の絶縁膜や、ショットキー型の絶縁膜、スレッショルドスイッチング型の揮発性抵抗変化膜、などを用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化イットリウム、酸化マンガン、酸化ニオブ、窒化シリコン、炭窒化シリコン、酸化シリコン、非晶質シリコンのいずれかを含む膜を用いることができる。特に非晶質シリコン、窒化シリコン、非晶質シリコンの順で積層とすることで、優れた非線形性が生じる。非晶質シリコンで窒化シリコン膜を挟むことで窒化シリコン膜の一部の組成を化学量論比から窒素欠乏の状態とし、第2電極110aおよび第2電極110bや第3電極111とのバリアハイトの差を少なくすることで、高電圧印加時に窒化シリコンにトンネル電流が流れやすくすることができる。この結果、非線形的な電流変化が生ずる。
第3電極111は整流素子の上部電極となる金属で、例えば、タンタル、チタン、タングステンあるいはそれらの窒化物等を用いることができる。整流素子の電流電圧特性を正・負、両極において対称とするために、第2電極110aおよび第2電極110bと同じ材料を用いることが望ましい。また、第3電極111は、ビア119aおよびビア119bを第2電極110a上に電気的に接続する場合に、エッチングストップ層としての機能も有する。そのため、層間絶縁膜115のエッチングに使用するフッ化炭素系のガスのプラズマに対して、エッチング速度が小さいことが好ましい。第3電極111の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて金属窒化物を成膜する場合、窒素とアルゴンの混合ガスのプラズマを用いて金属ターゲットを蒸発させるリアクティブスパッタ法を用いることが好ましい。金属ターゲットより蒸発した金属は窒素と反応し、金属窒化物となって基板上に成膜される。
第3電極111は、整流素子を形成する整流素子付4端子スイッチ122上のみに存在し、整流素子付4端子スイッチ122上で2つの領域に分離される。この結果、整流素子付4端子スイッチ122上にて2つの整流素子が独立に配置される。
第1ハードマスク膜112は、第3電極111、第2電極110aおよび第2電極110b、整流層108aおよび整流層108b、イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bをエッチングする際のハードマスク膜兼パッシベーション膜となる膜である。第1ハードマスク膜112には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。第1ハードマスク膜112は、保護絶縁膜114、およびバリア絶縁膜107と同一材料を含むことが好ましい。
第2ハードマスク膜113は、第3電極111、第2電極110aおよび第2電極110b、整流層108aおよび整流層108b、イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bをエッチングする際のハードマスク膜となる膜である。第2ハードマスク膜113には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。
第2ハードマスク膜113の形状により、整流素子付4端子スイッチ122と3端子スイッチ123を作り分ける。整流素子付4端子スイッチ122および3端子スイッチ123共にバリア絶縁膜107上に、イオン伝導層109aおよびイオン伝導層109b、第2電極110aおよび第2電極110b、整流層108aおよび整流層108b、第3電極111、第1ハードマスク膜112、第2ハードマスク膜113を成膜する。その後、2回のパターニングとエッチングを経て形成した第2ハードマスク膜113の形状を整流素子付4端子スイッチ122部に転写する要領で、2つの整流素子を1回のエッチング工程で分離して第2電極110a上に形成している。
すなわち、ウェハ全面に一度、整流素子付4端子スイッチ122のための積層構造体を成膜し、3端子スイッチ123を形成したい素子部には整流素子付4端子スイッチ122における整流素子部を形成するパターニングを行わない(レジストを残さない)ようにする。これにより、3端子スイッチ123上の第2ハードマスク膜113を目減りさせる。その後、エッチングを行うことで、3端子スイッチ123上の第3電極111を除去することができる。すなわち、整流素子付4端子スイッチ122上の整流素子が形成されていない箇所と同じ状態となる。3端子スイッチ123の第2電極110a上には整流層108bが残っていても良いし、残っていなくても良い。また、第1ハードマスク膜112および第2ハードマスク膜113は、3端子スイッチ123上には残っていない。
保護絶縁膜114は、整流素子付4端子スイッチ122および3端子スイッチ123にダメージを与えることなく、さらにイオン伝導層109aおよびイオン伝導層109bからの酸素の脱離を防ぐ機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜114には、例えば、窒化シリコン膜、炭窒化シリコン膜等を用いることができる。保護絶縁膜114は、第1ハードマスク膜112およびバリア絶縁膜107と同一材料であることが好ましい。同一材料である場合には、保護絶縁膜114とバリア絶縁膜107および第1ハードマスク膜112とが一体化して、界面の密着性が向上し、整流素子付4端子スイッチ122および3端子スイッチ123をより保護することができるようになる。
層間絶縁膜115は、保護絶縁膜114上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜115には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜115は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜115は、層間絶縁膜117と同一材料としてもよい。層間絶縁膜115には、ビア119a、ビア119b、ビア119cを埋め込むための下穴が形成され、当該下穴に第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cを介してビア119a、ビア119b、ビア119cが埋め込まれている。
Low−k絶縁膜116は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜116は、層間絶縁膜115、117間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜116には、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜116の当該配線溝に、第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cを介して第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cが埋め込まれている。
層間絶縁膜117は、Low−k絶縁膜116上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜117には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜117は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜117は、層間絶縁膜115と同一材料としてもよい。層間絶縁膜117には、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜117の当該配線溝に、第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cを介して第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cが埋め込まれている。
第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cは、層間絶縁膜117およびLow−k絶縁膜116に形成された配線溝に第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cを介して埋め込まれた配線である。第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cは、ビア119a、ビア119b、ビア119cと一体になっている。
ビア119aおよびビア119bは、層間絶縁膜115、および保護絶縁膜114、第1ハードマスク膜112および第2ハードマスク膜113に形成された下穴に、第2バリアメタル120aおよび第2バリアメタル120bを介して埋め込まれている。ビア119cは、層間絶縁膜115、および保護絶縁膜114に形成された下穴に、第2バリアメタル120cを介して埋め込まれている。
ビア119aおよびビア119bは、第2バリアメタル120aおよび第2バリアメタル120bを介して第3電極111と電気的に接続されている。ビア119cは、第2バリアメタル120cを介して第2電極110bと電気的に接続されている。第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cおよびビア119a、ビア119b、ビア119cには、例えば、銅を用いることができる。
第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cは、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118c、およびビア119a、ビア119b、ビア119cの側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cは、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118c(ビア119a、ビア119b、ビア119cを含む)を形成する金属が、層間絶縁膜115、117や下層へ拡散することを防止する。
例えば、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118c、およびビア119a、ビア119b、ビア119cが銅を主成分とする金属元素からなる場合には、第2バリアメタル120a、第2バリアメタル120b、第2バリアメタル120cには、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜121は、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cを含む層間絶縁膜117上に形成された絶縁膜である。バリア絶縁膜121は、第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、上層への第2配線118a、第2配線118b、第2配線118cを形成する金属の拡散を防ぐ役割を有する。バリア絶縁膜121には、例えば、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。
(実施態様1)
上記第1実施形態に記載してある「多層配線層内部に形成した整流素子付3端子スイッチおよび3端子スイッチ」の効果について、図2乃至図5に従って説明する。また、素子構成の説明については図1に記載の用語に従って説明する。
図2に、整流素子の電流電圧特性の概念図を示す。整流素子付4端子スイッチ122の第2電極110aと第3電極111との間に電圧を印加すると、整流層108aを介した非線形的、かつ正負極で対称な電流電圧特性を示す。低電圧領域では高抵抗を示す一方、印加電圧の増加に伴って指数関数的に電流が増加する。抵抗変化は不揮発に保たれず、電圧印加を止めると揮発的に直ちに低抵抗状態は解除される。
図3に、3端子スイッチ123の、第1配線と第2電極との間における電流電圧特性の概念図を示す。第2電極110bを接地し、第1配線105cに正電圧を印加すると、第1配線105cを構成する金属が電気化学反応でイオン化し、イオン伝導層109b中に注入される。注入された金属イオンは第2電極110b側までマイグレーションし、電子を受け取ることで金属架橋としてイオン伝導層109b内にて析出する。金属架橋によって第2電極110bと第1配線105c間が接続されると、図3のV3において低抵抗状態(オン)に遷移する。一方、第1配線105cに負電圧を印加すると金属架橋が溶解反応で金属イオン化し、第1配線105cに回収されることで、図3の−V3にて高抵抗状態(オフ)に遷移する。3端子スイッチ123の抵抗変化は、電圧印加を止めても不揮発的に保たれる。低抵抗状態に遷移する際、直列に接続したトランジスタによって電流制限がかかり、低抵抗状態の抵抗値が決められる。すなわち、トランジスタの電流制限で金属架橋の太さが制御できる。3端子スイッチ123における第1配線105dと第2電極110bとの間においても、上記と同様の電流電圧特性を示す。
図4および図5に、整流素子付4端子スイッチ122の、第1配線105aとビア119bに接する第3電極111との間における電流電圧特性の概念図を示す。整流素子付4端子スイッチ122における不揮発スイッチングは、3端子スイッチ123における第1配線105cと第2電極110bとの間における電流電圧特性(図3)と同じになるが、電流制限は整流層108aにて行われる。このため、整流素子付4端子スイッチ122の電流電圧特性は、図2と図3の電流電圧特性を合わせた特性を示す。図4に、図2および図3の特性を重ねて示す。
ビア119bに接する第3電極111を接地し、第1配線105aに正電圧を印加すると、図2と図3の電流電圧特性が交差するV2までは高抵抗な整流素子の電流電圧特性を示す。このためオフ状態の読み取り電圧であるV1では高抵抗状態が保たれ、スニーク電流が抑制できる。V2から第1配線105aと第2電極110aとの間のイオン伝導層109aが低抵抗に遷移するV3までは高抵抗な3端子スイッチ123の電流電圧特性を示すが、第1配線105aと第2電極110a間が低抵抗に遷移した後は整流素子の電流電圧特性を示す。一方、第1配線105aに負電圧を印加すると、まずは第1配線105aと第2電極110aとの間が高抵抗に遷移する−V3までは整流素子の電流電圧特性を示し、また−V3から図2と図3の電流電圧特性が交差する−V2までは3端子スイッチ123の電流電圧特性を示すが、−V2から0Vまでは高抵抗な整流素子の電流電圧特性を示す。
図5に、整流素子付4端子スイッチ122の、第1配線105aとビア119bに接する第3電極111との間における電流電圧特性を示す。整流素子付4端子スイッチ122の、第1配線105bとビア119aに接する第3電極111間においても、上記と同様の電流電圧特性を示す。
(実施態様2)
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法を、図6から図9を参照しながら説明する。具体的には、「多層配線層内部に形成した整流素子付4端子スイッチおよび3端子スイッチ」を形成した半導体装置の製造プロセスについて説明する。特に、「整流素子付4端子スイッチおよび3端子スイッチ」の構成を採用するスイッチング素子を多層配線層内部に形成する工程について説明する。
(工程1)
半導体基板601(例えば、半導体素子が形成された基板)上に層間絶縁膜602(例えば、酸化シリコン膜、膜厚500nm)を堆積し、その後、層間絶縁膜602にLow−k絶縁膜603として比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜、膜厚150nm)を堆積する。その後、Low−k絶縁膜603上に層間絶縁膜604として酸化シリコン膜(例えば、酸化シリコン膜、膜厚100nm)を堆積する。その後、リソグラフィ法(フォトレジスト形成、ドライエッチング、フォトレジスト除去を含む)を用いて、層間絶縁膜604およびLow−k絶縁膜603に配線溝を形成する。その後、当該配線溝に第1バリアメタル606a、第1バリアメタル606b、第1バリアメタル606c、第1バリアメタル606d(例えば、窒化タンタル/タンタル、膜厚5nm/5nm)を介して第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605d(例えば、銅)を埋め込む(図6(a))。
層間絶縁膜602、層間絶縁膜604は、プラズマCVD法によって形成することができる。第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605dは、例えば、PVD(Physical Vapor Deposition)法によって第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605d(例えば、窒化タンタル/タンタルの積層膜)を形成し、PVD法による銅シードの形成後、電解めっき法によって銅を配線溝内に埋設し、150℃以上の温度で熱処理後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって配線溝内以外の余剰の銅を除去することで形成することができる。このような一連の銅配線の形成方法は、当該技術分野における一般的な手法を用いることができる。ここで、CMP法とは、多層配線形成プロセス中に生じるウェハ表面の凹凸を、研磨液をウェハ表面に流しながら回転させた研磨パッドに接触させて研磨することによって平坦化する方法である。溝に埋め込まれた余剰の銅を研磨することによって埋め込み配線(ダマシン配線)を形成したり、層間絶縁膜を研磨することで平坦化を行う。
(工程2)
次に、図6(b)に示すように、第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605dを含む層間絶縁膜604上に、バリア絶縁膜607(例えば、窒化シリコン膜もしくは炭窒化シリコン膜、膜厚30nm)を形成する。ここで、バリア絶縁膜607は、プラズマCVD法によって形成することができる。バリア絶縁膜607の膜厚は、10nm〜50nm程度であることが好ましい。
(工程3)
次に、バリア絶縁膜607上にハードマスク膜624(例えば、酸化シリコン膜、膜厚40nm)を形成する。このとき、ハードマスク膜624は、ドライエッチング加工におけるエッチング選択比を大きく保つ観点から、バリア絶縁膜607とは異なる材料であることが好ましく、絶縁膜であっても導電性膜であってもよい。ハードマスク膜624には、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタン、チタン、タンタル、窒化タンタル等を用いることができ、窒化シリコン膜/酸化シリコン膜の積層体を用いることができる。ハードマスク膜624上にフォトレジスト(図示せず)を用いて開口部をパターニングし、フォトレジストをマスクとしてドライエッチングすることによりハードマスク膜624に開口部パターンを形成し、その後、酸素プラズマアッシング等によってフォトレジストを剥離する(図6(c))。このとき、ドライエッチングは必ずしもバリア絶縁膜607の上面で停止している必要はなく、バリア絶縁膜607の内部にまで到達していてもよい。
(工程4)
ハードマスク膜624をマスクとして、ハードマスク膜624の開口部から露出するバリア絶縁膜607をエッチバック(ドライエッチング)することにより、バリア絶縁膜607に開口部を形成して、バリア絶縁膜607の開口部から第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605dを露出させる(図6(d))。その後、窒素およびアルゴンの混合ガスを用いたプラズマに曝すことで、第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605dの露出面に形成された酸化銅を除去するとともに、エッチバック時に発生したエッチング副生成物などを除去する。バリア絶縁膜607のエッチバックでは、反応性ドライエッチングを用いることで、バリア絶縁膜607の開口部の壁面をテーパ面とすることができる。反応性ドライエッチングでは、エッチングガスとしてフッ化炭素を含むガスを用いることができる。ハードマスク膜624は、エッチバック中に完全に除去されることが好ましいが、絶縁材料である場合にはそのまま残存してもよい。また、バリア絶縁膜607の開口部の形状は円形とし、円の直径は30nmから500nmとすることができる。
(工程5)
第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605dを含むバリア絶縁膜607上に、イオン伝導層609を形成する。まず、1nmのジルコニウムをスパッタリング法で堆積する。このジルコニウムは、ポリマーのイオン伝導層の成膜時に酸化され、イオン伝導層609の一部を形成する。この際、第1配線605a、第1配線605b、第1配線605c、第1配線605dのイオン伝導層609に接している箇所にジルコニウムが拡散し、合金層が自発的に形成される。さらに、350℃の温度で真空環境下にてアニールを行うことで、合金層の厚さを厚くすることができる。アニールは2分程度が好ましい。さらに、ポリマーのイオン伝導層として、シリコン、酸素、炭素、水素を含むSiOCH系ポリマー膜をプラズマCVD法によって形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところで、RF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm、別ラインで反応室に直接500sccm供給する。バリア絶縁膜607の開口部は大気暴露によって水分などが付着しているため、ポリマーのイオン伝導層の堆積前に250℃から350℃程度の温度にて、減圧下で熱処理を加えて脱ガスしておくことが好ましい。
イオン伝導層609上に、上層/下層の積層構造の第2電極610を形成する。まず第2電極610の下層として、「ルテニウムとチタンの合金」を10nmの膜厚でコスパッタ法にて形成する。この際、ルテニウムターゲットとチタンターゲットは同一チャンバー内に存在し、同時にスパッタリングすることで合金膜を堆積する。この際、ルテニウムターゲットへの印加パワーを150W、チタンターゲットへの印加パワーを50Wとすることで、「ルテニウムとチタンの合金」中のルテニウムの含有率を75atm%とする。このルテニウム合金は3端子スイッチの上部電極となる。さらに第2電極610の上層として、ルテニウム合金上に窒化チタンを5nm〜10nmの膜厚でリアクティブスパッタ法にて形成する。この際、チタンターゲットへの印加パワーを500W〜1kWとし、窒素ガスとアルゴンガスをチャンバー内に導入してスパッタリングする。この際、窒素の流量とアルゴンの流量を1:1とすることで、窒化チタン中のチタンの割合を70atm%とする。
第2電極610上に整流層608として、非晶質シリコン、窒化シリコン、非晶質シリコンをこの順にプラズマCVD法によって成膜する。それぞれの膜厚は5nm以下が望ましい。例えば非晶質シリコンを2nm、窒化シリコンを1nm成膜する。成膜はプラズマを着火した状態で投入するガスを切り替えることで、連続的に成膜する。窒化シリコンは、SiH4ガスと窒素ガスの流量を調節することで組成の制御が可能となる。この際、SiH4と窒素ガスの流量を4:1にすることで、化学量論比に近い組成の窒化シリコンが得られる。
整流層608上に第3電極611として、窒化チタンを15nm〜25nmの膜厚でリアクティブスパッタ法にて形成する。この際、チタンターゲットへの印加パワーを500W〜1kWとし、窒素ガスとアルゴンガスをチャンバー内に導入してスパッタリングする。この際、窒素の流量とアルゴンの流量を1:1とすることで、窒化チタン中のチタンの割合を70atm%とする(図7(a))。
(工程6)
第3電極611上に、第1ハードマスク膜612(例えば、窒化シリコン膜もしくは炭窒化シリコン膜、膜厚30nm)、および第2ハードマスク膜613(例えば、酸化シリコン膜、膜厚100nm)をこの順に積層する(図7(b))。第1ハードマスク膜612および第2ハードマスク膜613は、プラズマCVD法を用いて成膜することができる。第1ハードマスク膜612および第2ハードマスク膜613は、当該技術分野における一般的なプラズマCVD法を用いて形成することができる。また、第1ハードマスク膜612と第2ハードマスク膜613とは、異なる種類の膜であることが好ましく、例えば、第1ハードマスク膜612を窒化シリコン膜とし、第2ハードマスク膜613を酸化シリコン膜とすることができる。このとき、第1ハードマスク膜612は、後述する保護絶縁膜614、およびバリア絶縁膜607と同一材料であることが好ましい。また、第1ハードマスク膜612は、プラズマCVD法によって形成することができるが、例えば、SiH4/N2の混合ガスを高密度プラズマとすることによって、高密度な窒化シリコン膜などを用いることが好ましい。
(工程7)
第2ハードマスク膜613上に、整流素子付4端子スイッチの整流素子部をパターニングするためのフォトレジスト625をリソグラフィ法により形成する(図7(c))。この際、整流素子を形成しない3端子スイッチの第2ハードマスク膜613上はパターニングせず、フォトレジストを現像時に除去し、残さない。
(工程8)
フォトレジスト625をマスクとして、第2ハードマスク膜613の一部をドライエッチングし、その後、酸素プラズマアッシングと、有機剥離を用いてフォトレジストを除去する(図7(d))。フォトレジスト625が形成されていない箇所はエッチングにより膜厚が目減りして、フォトレジスト625が形成されている箇所は目減りしない。エッチング膜厚は30nm〜70nm程度が望ましい。具体的にはエッチング膜厚は60nm、フォトレジスト625が形成されている箇所の第2ハードマスク膜613の残膜は100nm、フォトレジスト625が形成されていない箇所の第2ハードマスク膜613の残膜は40nm程度が望ましい。
(工程9)
加工された第2ハードマスク膜613上に整流素子付4端子スイッチおよび3端子スイッチのスイッチ素子部をパターニングするためのフォトレジスト626をリソグラフィ法により形成する(図8(a))。
(工程10)
フォトレジスト626をマスクとして、第2ハードマスク膜613の残りをドライエッチングし、その後、酸素プラズマアッシングと、有機剥離を用いてフォトレジストを除去する(図8(b))。フォトレジスト625およびフォトレジスト626の両者とも形成されなかった箇所は、ドライエッチング後に第1ハードマスク膜612が露出している。第2ハードマスク膜613は2段階のドライエッチングで加工されており、整流素子付4端子スイッチの整流素子部の箇所の残膜は100nm、整流素子付4端子スイッチの整流素子形成箇所以外、および3端子スイッチ箇所の残膜は40nm、それ以外の残膜は0nmである。第1ハードマスク膜612が露出している箇所は、第1ハードマスク膜612がドライエッチングされていないことが望ましいが、数nm程度エッチングされていても良い。
(工程11)
第2ハードマスク膜613をマスクとし、加工された第2ハードマスク膜613の形状を下層に転写する要領で、第1ハードマスク膜612、第3電極611、整流層608、第2電極610、イオン伝導層609を連続的にドライエッチングする。これにより、整流素子付4端子スイッチ形成箇所に整流層608a、第2電極610a、イオン伝導層609aが形成され、3端子スイッチ形成箇所に整流層608b、第2電極610b、イオン伝導層609bが形成される(図8(c))。この際、3端子スイッチ形成箇所の第2ハードマスク膜613、第1ハードマスク膜612、第3電極611は、エッチングされて除去される。特に、3端子スイッチ形成箇所では、第3電極611が除去されている。なお、3端子スイッチ形成箇所に整流層608bは残っていても除去されていても良い。整流素子付4端子スイッチ形成箇所では、整流素子形成箇所のみ第2ハードマスク膜613、第1ハードマスク膜612、第3電極611が残っている。整流素子形成箇所の第2ハードマスク膜613は除去されていても良い。整流素子付4端子スイッチ形成箇所の整流素子を形成しない箇所は、3端子スイッチと同じ状態となっており、第2ハードマスク膜613、第1ハードマスク膜612、第3電極611はエッチングされて除去される。整流層608bは残っていても除去されていても良い。工程7および工程9でフォトレジスト625およびフォトレジスト626が形成されなかった箇所は、第2電極610およびイオン伝導層609までエッチングで除去されている。ドライエッチング後、バリア絶縁膜607は数nm程度であればエッチングされていても良い。
例えば、第3電極611および第2電極610の上層が窒化チタンの場合にはCl2系のRIEで加工することができ、第2電極610の下層がルテニウムとチタンの合金の場合には、Cl2/O2の混合ガスでRIE加工することができる。また、イオン伝導層609のエッチングでは、下面のバリア絶縁膜607上でドライエッチングを停止させる必要がある。イオン伝導層609がシリコン、酸素、炭素、水素を含むSiOCH系ポリマー膜であり、バリア絶縁膜607が窒化シリコン膜や炭窒化シリコン膜である場合には、CF4系、CF4/Cl2系、CF4/Cl2/Ar系などの混合ガスでエッチング条件を調節することでRIE加工することができる。このようなハードマスクRIE法を用いることで、抵抗変化素子部をレジスト除去のための酸素プラズマアッシングに曝すことなく、抵抗変化素子部を加工することができる。また、加工後に酸素プラズマによって酸化処理する場合には、レジストの剥離時間に依存することなく酸化プラズマ処理を照射することができるようになる。
(工程12)
第1ハードマスク膜612、第2ハードマスク膜613、第3電極611、整流層608a、整流層608b、第2電極610a、第2電極610b、イオン伝導層609aを含むバリア絶縁膜607上に、保護絶縁膜614(例えば、窒化シリコン膜、もしくは炭窒化シリコン膜、20nm)を堆積する(図8(d))。保護絶縁膜614は、プラズマCVD法によって形成することができるが、成膜前には反応室内で減圧下に維持する必要があり、このときイオン伝導層609aおよびイオン伝導層609bの側面から酸素が脱離し、イオン伝導層のリーク電流が増加するという問題が生じる。それらを抑制するためには、保護絶縁膜614の成膜温度を400℃以下とすることが好ましい。さらに、成膜前に減圧下で成膜ガスに曝されるため、還元性のガスを用いないことが好ましい。例えば、SiH4/N2の混合ガスを高密度プラズマによって、基板温度400℃で形成した窒化シリコン膜などを用いることが好ましい。
(工程13)
保護絶縁膜614上に、層間絶縁膜615(例えば、酸化シリコン膜)、Low−k絶縁膜616として比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜、膜厚150nm)、層間絶縁膜617(例えば、酸化シリコン膜)をこの順に堆積する。その後、第2配線618a、第2配線618b、第2配線618c用の配線溝、およびビア619a、ビア619b、ビア619c用の下穴を形成し、銅デュアルダマシン配線プロセスを用いて、当該配線溝および当該下穴内に第2バリアメタル620a、第2バリアメタル620b、第2バリアメタル620c(例えば、窒化タンタル/タンタル)を介して第2配線618a、第2配線618b、第2配線618c(例えば、銅)およびビア619a、ビア619b、ビア619c(例えば、銅)を同時に形成する。その後、ビア619a、ビア619b、ビア619cを含む層間絶縁膜617上に、バリア絶縁膜621(例えば、窒化シリコン膜)を堆積する。ビア619a、ビア619b、ビア619cの形成は、下層配線形成と同様のプロセスを用いることができる。層間絶縁膜615、Low−k絶縁膜616および層間絶縁膜617は、プラズマCVD法で形成することができる。整流素子付4端子スイッチおよび3端子スイッチによって形成される段差を解消するため、層間絶縁膜615を厚く堆積し、CMP法によって層間絶縁膜615を削り込んで平坦化し、層間絶縁膜615を所望の膜厚としてもよい。
ビア619a、ビア619b、ビア619cは同じフォトマスクによる露光でパターニングされ、同時にエッチングされ、形成される。ビア619a、ビア619b、ビア619cの高さの差分、第3電極611および第2電極610bはエッチングに曝され、深さ方向下に掘り込まれる。ビア619aおよびビア619bが形成される箇所の第1ハードマスク膜612および第2ハードマスク膜613は、ビア619aおよびビア619b形成時にエッチングされ除去される。この結果、ビア619aおよびビア619bは直接に第3電極611に接続する。
整流層608bは、ビア619cの形成時にエッチングされ除去される。この結果、ビア619cは直接に第2電極610bに接続する。ビア619a、ビア619b、ビア619cを形成するエッチングに、窒化チタンルテニウム合金に対してエッチングレートが遅いフルオロカーボン系のエッチングガスを用いることで、ビア619a、ビア619b、ビア619cのエッチングは第3電極611および第2電極610bにてストップする。
こうして図9に示すような、半導体基板上の多層配線層の内部に、整流素子付4端子スイッチおよび3端子スイッチを有する半導体装置が製造できる。
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、2つの整流素子を有する整流素子付4端子スイッチ122と、整流素子を搭載しない3端子スイッチ123を、多層配線構造の同一配線中に有する半導体装置を実現できる。本実施形態では、同じ配線層中に同時に、2つの整流素子を有する整流素子付4端子スイッチ122と3端子スイッチ123を形成することができる。電源ラインの3端子スイッチは、トランジスタと接続される。
実施形態の製造方法では、整流素子付4端子スイッチ122のスタック加工用のハードマスクをエッチングする際、3端子スイッチ123を形成する箇所のハードマスク上に整流素子部をパターニングするためのフォトレジストを形成しない。これにより、整流素子付4端子スイッチ122の整流素子パターンのエッチング時に、3端子スイッチ123上のハードマスクを目減りさせる。その結果、整流素子付4端子スイッチ122のスタック加工のエッチング時に3端子スイッチ123は整流素子の上部電極(第3電極111)までエッチングされ、残存している整流層108bを介さずに3端子スイッチ123にビア119cを接続できる。
さらに本実施形態の製造方法によれば、整流素子を有する多端子スイッチの整流素子が2つ以上の場合、整流素子同士の上部電極が分離し、スイッチ上で2つの整流素子がそれぞれ電気的に独立させることができる。本実施形態の製造方法を用いることで、整流素子を搭載した多端子スイッチに必要なフォトマスクと露光工程のみで、3端子スイッチも同時で形成でき、製造コストの増加を招かない。
本実施形態によれば、プログラマブルロジックを構成する配線切り替えスイッチと、電源ライン制御用スイッチにそれぞれ適した構造のスイッチ素子を提供できる。配線切り替えスイッチにはセレクトトランジスタを必要とせず省面積化が可能な整流素子を有する多端子スイッチを、電源ライン制御用スイッチにはセレクトトランジスタと接続でき、オン時の抵抗を可変に制御できる3端子スイッチのみを、それぞれ用いることができる。高電圧が印加される場合がある電源ライン制御用スイッチは十分な電流で書き込むことで低オン抵抗が実現でき、高信頼性を保つことができる。また、プログラマブルロジックの動作時における動作周波数変更に際して、電源電圧の調整を行う必要があった場合、電源電圧に合わせてオン抵抗を変更することもできる。
本実施形態によれば、トランジスタによる電流制御でオン抵抗が可変な3端子スイッチ123と、オン抵抗が一律に決まってしまうが素子面積を大幅に低減できる整流素子付4端子スイッチ122を同じ配線層内に同時に形成できる。このため、低オン抵抗で高信頼性化が可能なスイッチ素子を電源ラインに搭載したプログラマブル回路が実現でき、高信頼性を有する小面積・低消費電力かつ低コストなプログラマブルロジックを提供できる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による半導体装置、およびその製造方法について、説明する。本実施形態は、多層配線層内部に「整流素子付2端子スイッチおよび2端子スイッチ」を形成した半導体装置である。図10は、第2実施形態の半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。本実施形態は、図15(b)に等価回路図を示す、多層配線層内部に整流素子付2端子スイッチおよび2端子スイッチを含む半導体装置である。
(構成)
図10の半導体装置は、半導体基板701上の多層配線層の内部に、整流素子付2端子スイッチ722および2端子スイッチ723を有する。
多層配線層は、半導体基板701上にて、層間絶縁膜702、Low−k絶縁膜703、層間絶縁膜704、バリア絶縁膜707、保護絶縁膜714、層間絶縁膜715、Low−k絶縁膜716、層間絶縁膜717、およびバリア絶縁膜721の順に積層した絶縁積層体を有する。多層配線層は、層間絶縁膜704およびLow−k絶縁膜703に形成された配線溝に、第1バリアメタル706aおよび第1バリアメタル706bを介して、第1配線705aおよび第1配線705bが埋め込まれている。
さらに多層配線層は、層間絶縁膜717およびLow−k絶縁膜716に形成された配線溝に、第2配線718aおよび第2配線718bが埋め込まれている。さらに、層間絶縁膜715、保護絶縁膜714、および第1ハードマスク膜712に形成された下穴に、ビア719aおよびビア719bが埋め込まれている。第2配線718aとビア719a、第2配線718bとビア719bが一体となっている。さらに、第2配線718aとビア719a、および第2配線718bとビア719bの側面乃至底面が、第2バリアメタル720a、および第2バリアメタル720bによって覆われている。
バリア絶縁膜707に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線705a、バリア絶縁膜707の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜707上に、イオン伝導層709a、第2電極710a、整流層708a、および第3電極711が順に積層されて、整流素子付2端子スイッチ722が形成されている。さらに、整流素子付2端子スイッチ722の第3電極711上に、第1ハードマスク膜712および第2ハードマスク膜713が形成されている。さらに、イオン伝導層709a、第2電極710a、整流層708a、第3電極711、第1ハードマスク膜712および第2ハードマスク膜713の積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜714で覆われている。
多層配線層は、バリア絶縁膜707に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線705b、バリア絶縁膜707の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜707上に、イオン伝導層709b、第2電極710b、整流層708bの順に積層した2端子スイッチ723が形成されており、イオン伝導層709b、第2電極710b、整流層708bの積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜714で覆われている。
第1配線705aの一部を、整流素子付2端子スイッチ722の下部電極とし、第1配線705bの一部を、2端子スイッチ723の下部電極とすることで、工程数を簡略化しながら、電極抵抗を下げることができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、少なくとも3PR(3 Photoresist mask)のマスクセットを作成するだけで、整流素子付2端子スイッチ722と2端子スイッチ723を同じ配線層内に搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成することができるようになる。
整流素子付2端子スイッチ722は、バリア絶縁膜707に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層709aと第1配線705aとが直接接している。そして、イオン伝導層709aの一部を構成する金属が、第1配線705aに拡散して、合金層を形成している。
2端子スイッチ723は、バリア絶縁膜707に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層709bと第1配線705bが直接接している。そして、イオン伝導層709bの一部を構成する金属が、第1配線705bに拡散して、合金層を形成している。
整流素子付2端子スイッチ722は、第2電極710a上に整流層708aを有し、整流層708aは上面で第3電極711に接している。第3電極711上には、第1ハードマスク膜712および第2ハードマスク膜713が残っている。第2ハードマスク膜713は、残っていなくても良い。
整流素子付2端子スイッチ722は第3電極711上にて、ビア719aと第3電極711とが第2バリアメタル720aを介して、電気的に接続されている。整流素子付2端子スイッチ722は、整流層708aを介して、第2電極710aと第1配線705aとの間に電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層709aへの第1配線705aを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。この際、整流層708aにおける電流によってオン抵抗が決まる。
2端子スイッチ723は第2電極710b上にて、ビア719bと第2電極710bとが第2バリアメタル720bを介して電気的に接続されている。整流層708bは、第2電極710b上に残っていても良いし、2端子スイッチ723の製造工程のエッチング時に除去されても良い。2端子スイッチ723は、電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層709bへの第1配線705bを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。
半導体基板701は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板701には、第1実施形態と同様に、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI基板、TFT基板、液晶製造用基板等の基板を用いることができる。
層間絶縁膜702は、半導体基板701上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜702には第1実施形態と同様に、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜702は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
Low−k絶縁膜703は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜703は、層間絶縁膜702、704間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜703には、第1配線705a、第1配線705bを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜703の当該配線溝に、第1バリアメタル706aおよび第1バリアメタル706bを介して、第1配線705aおよび第1配線705bが埋め込まれている。
層間絶縁膜704は、Low−k絶縁膜703上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜704には第1実施形態と同様に、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜704は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜704には、第1配線705aおよび第1配線705bを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜704の当該配線溝に、第1バリアメタル706aおよび第1バリアメタル706bを介して、第1配線705aおよび第1配線705bが埋め込まれている。
第1配線705aは、層間絶縁膜704およびLow−k絶縁膜703に形成された配線溝に、第1バリアメタル706aおよび第1バリアメタル706bを介して埋め込まれた配線である。第1配線705aは、整流素子付2端子スイッチ722の下部電極を兼ねており、イオン伝導層709aと直接接している。イオン伝導層709aの上面は、第2電極710aに直接接している。第1配線705aを構成する金属には、イオン伝導層709aにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線705aを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1配線705bは、層間絶縁膜704およびLow−k絶縁膜703に形成された配線溝に、第1バリアメタル706bを介して埋め込まれた配線である。第1配線705bは、2端子スイッチ723の下部電極を兼ねており、イオン伝導層709bと直接接している。イオン伝導層709bの上面は、第2電極710bに直接接している。第1配線705bを構成する金属には、イオン伝導層709bにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線705bを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1バリアメタル706aおよび第1バリアメタル706bは、バリア性を有する導電性膜である。第1バリアメタル706aおよび第1バリアメタル706bは、第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属が層間絶縁膜704や下層へ拡散することを防止するために、配線の側面乃至底面を被覆する。第1配線705aおよび第1配線705bが銅を主成分とする金属元素からなる場合、第1バリアメタル706aおよび第1バリアメタル706bには、例えばタンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜707は、第1配線705aおよび第1配線705bを含む層間絶縁膜704上に形成される。これにより、第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、層間絶縁膜715中への第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属の拡散を防いだり、第3電極711、整流層708a、整流層708b、第2電極710a、第2電極710b、イオン伝導層709a、イオン伝導層709bの加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜707には、例えば、SiC膜、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。バリア絶縁膜707は、保護絶縁膜714および第1ハードマスク膜712と同一材料であることが好ましい。
イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bは、抵抗が変化する膜である。第1配線705aおよび第1配線705b(下部電極)を形成する金属から生成される金属イオンの作用(拡散、イオン伝導など)により、抵抗が変化する材料を用いることができる。オン状態へのスイッチングに伴う抵抗変化を、金属イオンの還元による金属の析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられる。
イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bはそれぞれ、第1配線705aおよび第1配線705bに接する金属酸化物のイオン伝導層と、第2電極710aおよび第2電極710bに接するポリマーのイオン伝導層との積層構造で、構成される。
イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bのうち、ポリマーのイオン伝導層は、プラズマCVD法を用いて形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF(Radio Frequency)電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm供給する。
イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bのうち、金属酸化物のイオン伝導層は、複数の役割がある。一つは、第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属が、ポリマーのイオン伝導層を堆積している間の加熱やプラズマでポリマーのイオン伝導層中に拡散することを防止する役割である。他の一つは、第1配線705aおよび第1配線705bが酸化され、ポリマーのイオン伝導層への拡散が促進されやすくなることを防止する役割である。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、チタンは、金属酸化物のイオン伝導層を構成する金属の成膜後にポリマーのイオン伝導層の成膜チャンバー内で減圧下において酸素雰囲気に曝され、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンとなり、イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bの一部となる。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属膜の最適膜厚は、0.5〜1nmである。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜は、積層を形成したり、単層としたりしても良い。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜の成膜は、スパッタリングで行うことが好ましい。スパッタリングによりエネルギーを得た金属原子またはイオンは、第1配線705aおよび第1配線705bに突入、拡散し、合金層を形成する。
イオン伝導層709aは、第1配線705a、バリア絶縁膜707の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜707上に形成されている。イオン伝導層709bは、第1配線705b、バリア絶縁膜707の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜707上に形成されている。
第2電極710aおよび第2電極710bは、整流素子付2端子スイッチ722および2端子スイッチ723の上部電極であり、イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bと直接接している。
第2電極710aおよび第2電極710bには、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどを含有したルテニウム合金を使用する。ルテニウムは、第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属よりもイオン化しにくく、イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bにおいて拡散、イオン伝導しにくい金属である。ルテニウム合金に添加される、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムは、第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属と密着性が良い。第2電極710aおよび第2電極710bを構成し、ルテニウムに添加される金属としては、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムよりも負方向に大きい金属を選択することが望ましい。チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどは、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムより負方向に大きく、ルテニウムに比べて化学反応が自発的に起こりやすいため、反応性が高い。このため、第2電極710aおよび第2電極710bを形成するルテニウム合金において、ルテニウムと合金化することで、第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属で形成された金属架橋との密着性が向上する。
一方、ルテニウムを含まないチタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどの添加金属のみだと、反応性が高くなってしまい、「オフ」状態に遷移しなくなる。「オン」状態から「オフ」状態への遷移は、金属架橋の酸化反応(溶解反応)によって進行するが、第2電極710aおよび第2電極710bを構成する金属が、その金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが負方向に第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属よりも大きくなった場合、第1配線705aおよび第1配線705bを形成する金属で形成された金属架橋の酸化反応よりも第2電極710aおよび第2電極710bを構成する金属の酸化反応が進行するため、「オフ」状態に遷移できなくなる。
このため、第2電極710aおよび第2電極710bを構成する金属の形成に使用する金属材料は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが銅よりも負方向に小さいルテニウムとの合金とする必要がある。
さらに、第2電極710aおよび第2電極710bを構成する金属に金属架橋の成分である銅が混入すると、標準ギブズエネルギーが負方向に大きい金属を添加した効果が薄れる。このため、ルテニウムに添加する金属は銅および銅イオンに対してバリア性のある材料が好ましい。例えば、タンタル、チタンなどである。一方、添加金属の量は大きいほど、「オン」状態が安定化することがわかっており、5atm%の添加によっても安定性が向上することがわかっている。特に添加金属をチタンとした場合にオフへの遷移とオン状態の安定性に優れており、特に第2電極710aおよび第2電極710bを構成する金属をルテニウムとチタンの合金とし、チタンの含有率を20atm%〜30atm%の範囲が好ましい。該ルテニウム合金における、ルテニウムの含有比率は、60atm%以上90atm%以下が望ましい。
ルテニウム合金の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて合金を成膜する場合、ルテニウムと第1の金属との合金ターゲットを用いる方法、ルテニウムターゲットと第1の金属のターゲットを同一チャンバー内で同時にスパッタリングするコスパッタ法、予め第1の金属の薄膜を形成し、その上に、スパッタリング法を用いてルテニウムを成膜し、衝突原子のエネルギーで合金化するインターミキシング法がある。コスパッタ法およびインターミキシング法を用いると、合金の組成を変えることができる。インターミキシング法を採用する際には、ルテニウムの成膜を完了した後に、混合状態の「平坦化」のため、400℃以下での熱処理を加えることが好ましい。
第2電極710aおよび第2電極710bは、2層構造であることが望ましい。イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bと接する第2電極710aおよび第2電極710bがルテニウム合金だとすると、整流層708aおよび整流層708bに接する側は整流素子の下部電極となる。金属種は酸化しにくく、加工しやすく、かつ、組成によって仕事関数の調整が可能な金属窒化物、例えば窒化チタンや窒化タンタルを用いることができる。
第2電極710aおよび第2電極710bの、整流層708aおよび整流層708bとの界面における酸化を抑制できるのであれば、チタンやタンタルを用いても良い。窒化チタン、窒化タンタル、チタン、タンタルはルテニウム合金の上層にスパッタリング法により真空一貫で成膜する。窒化する場合はチャンバー内に窒素を導入し、リアクティブスパッタリング法により窒化物を成膜する。
整流層708aおよび整流層708bは双極性の整流効果を有する層であり、印加電圧に対して電流が非線形的に増加する特徴を有する。プール・フレンケル型の絶縁膜や、ショットキー型の絶縁膜、スレッショルドスイッチング型の揮発性抵抗変化膜、などを用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化イットリウム、酸化マンガン、酸化ニオブ、窒化シリコン、炭窒化シリコン、酸化シリコン、非晶質シリコンのいずれかを含む膜を用いることができる。特に非晶質シリコン、窒化シリコン、非晶質シリコンの順で積層とすることで、優れた非線形性が生じる。非晶質シリコンで窒化シリコンを挟むことで窒化シリコンの一部の組成を化学量論比から窒素欠乏の状態とし、第2電極710aや第3電極711とのバリアハイトの差を少なくすることで、高電圧印加時に窒化シリコンにトンネル電流が流れやすくすることができる。この結果、非線形的な電流変化が生ずる。
第3電極711は整流素子の上部電極となる金属で、例えば、タンタル、チタン、タングステンあるいはそれらの窒化物等を用いることができる。整流素子の電流電圧特性を正・負、両極において対称とするために、第2電極710aと同じ材料を用いることが望ましい。また、第3電極711は、ビア719aを第2電極710a上に電気的に接続する場合に、エッチングストップ層としての機能も有する。そのため、層間絶縁膜715のエッチングに使用するフッ化炭素系のガスのプラズマに対して、エッチング速度が小さいことが好ましい。第3電極711の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて金属窒化物を成膜する場合、窒素とアルゴンの混合ガスのプラズマを用いて金属ターゲットを蒸発させるリアクティブスパッタ法を用いることが好ましい。金属ターゲットより蒸発した金属は窒素と反応し、金属窒化物となって基板上に成膜される。
第3電極711は、整流素子を形成する整流素子付2端子スイッチ722上のみに存在しており、2端子スイッチ723には存在していない。
第1ハードマスク膜712は、第3電極711、第2電極710aおよび第2電極710b、整流層708aおよび整流層708b、イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bをエッチングする際のハードマスク膜兼パッシベーション膜となる膜である。第1ハードマスク膜712には第1実施形態と同様に、例えば、窒化シリコンや酸化シリコン等、それらの積層を用いることができる。第1ハードマスク膜712は、保護絶縁膜714、およびバリア絶縁膜707と同一材料を含むことが好ましい。
第2ハードマスク膜713は、第3電極711、第2電極710aおよび第2電極710b、整流層708aおよび整流層708b、イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bをエッチングする際のハードマスク膜となる膜である。第2ハードマスク膜713には第1実施形態と同様に、例えば、窒化シリコンや酸化シリコン等、それらの積層を用いることができる。
上述した第1実施形態と同様に第2ハードマスク膜713の形状により、整流素子付2端子スイッチ722と2端子スイッチ723を作り分ける。整流素子付2端子スイッチ722および2端子スイッチ723のバリア絶縁膜707上に、イオン伝導層709aおよびイオン伝導層709b、第2電極710aおよび第2電極710b、整流層708aおよび整流層708b、第3電極711、第1ハードマスク膜712、第2ハードマスク膜713を成膜する。その後、第1実施形態の図7(c)〜図8(b)のような、2回のパターニングとエッチングを経て第2ハードマスク膜713を加工する。こうして加工された第2ハードマスク膜713の形状を整流素子付2端子スイッチ722部に転写する要領で、1つの整流素子を第2電極710a上に形成している。
すなわち、ウェハ全面に一度、整流素子付2端子スイッチ722のための積層構造体を成膜し、2端子スイッチ723を形成したい素子部には整流素子付2端子スイッチ722における整流素子部を形成するパターニングを行わない(レジストを残さない)ようにする。これにより2端子スイッチ723上の第2ハードマスク膜713を、第1実施形態の図7(d)のように目減りさせる。その後、エッチングを行うことで、2端子スイッチ723上の第3電極711を除去することができる。すなわち、整流素子付2端子スイッチ722上の整流素子が形成されていない箇所と同じ状態となる。2端子スイッチ723の第2電極710a上には整流層708bが残っていても良いし、残っていなくても良い。また、第1ハードマスク膜712および第2ハードマスク膜713は、2端子スイッチ723上には残っていない。
保護絶縁膜714は、整流素子付2端子スイッチ722および2端子スイッチ723にダメージを与えることなく、さらにイオン伝導層709aおよびイオン伝導層709bからの酸素の脱離を防ぐ機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜714には第1実施形態と同様に、例えば、窒化シリコン、炭窒化シリコン等を用いることができる。保護絶縁膜714は、第1ハードマスク膜712およびバリア絶縁膜707と同一材料であることが好ましい。同一材料である場合には、保護絶縁膜714とバリア絶縁膜707および第1ハードマスク膜712とが一体化して、界面の密着性が向上し、整流素子付2端子スイッチ722および2端子スイッチ723をより保護することができるようになる。
層間絶縁膜715は、保護絶縁膜714上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜715には第1実施形態と同様に、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜715は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜715は、層間絶縁膜717と同一材料としてもよい。層間絶縁膜715には、ビア719aおよびビア719bを埋め込むための下穴が形成され、当該下穴に第2バリアメタル720aおよび第2バリアメタル720bを介して、ビア719aおよびビア719bが埋め込まれている。
Low−k絶縁膜716は第1実施形態と同様に、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜716は、層間絶縁膜715、717間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜716には、第2配線718aおよび第2配線718bを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜716の当該配線溝に、第2バリアメタル720aおよび第2バリアメタル720bを介して、第2配線718aおよび第2配線718bが埋め込まれている。
層間絶縁膜717は、Low−k絶縁膜716上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜717には第1実施形態と同様に、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜717は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜717は、層間絶縁膜715と同一材料としてもよい。層間絶縁膜717には、第2配線718aおよび第2配線718bを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜717の当該配線溝に、第2バリアメタル720aおよび第2バリアメタル720bを介して、第2配線718aおよび第2配線718bが埋め込まれている。
第2配線718aおよび第2配線718bは、層間絶縁膜717およびLow−k絶縁膜716に形成された配線溝に、第2バリアメタル720aおよび第2バリアメタル720bを介して埋め込まれた配線である。第2配線718aおよび第2配線718bは、ビア719aおよびビア719bと一体になっている。
ビア719aは、層間絶縁膜715、および保護絶縁膜714、第1ハードマスク膜712および第2ハードマスク膜713に形成された下穴に第2バリアメタル720aを介して埋め込まれている。ビア719bは、層間絶縁膜715、および保護絶縁膜714に形成された下穴に、第2バリアメタル720bを介して埋め込まれている。
ビア719aは、第2バリアメタル720aを介して第3電極711と電気的に接続されている。ビア719bは、第2バリアメタル720bを介して第2電極710bと電気的に接続されている。第2配線718a、第2配線718bおよびビア719a、ビア719bには、例えば、銅を用いることができる。
第2バリアメタル720aおよび第2バリアメタル720bは、第2配線718a、第2配線718b、ビア719a、ビア719bの側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。第2バリアメタル720aおよび第2バリアメタル720bは、第2配線718aおよび第2配線718b(ビア719aおよびビア719bを含む)を形成する金属が、層間絶縁膜715、717や下層へ拡散することを防止する。
第2配線718a、第2配線718b、ビア719a、ビア719bが銅を主成分とする金属元素からなる場合には、第2バリアメタル720aおよび第2バリアメタル720bには、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜721は、第2配線718aおよび第2配線718bを含む層間絶縁膜717上に形成された絶縁膜である。バリア絶縁膜721は、第2配線718aおよび第2配線718bを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、上層への第2配線718aおよび第2配線718bを形成する金属の拡散を防ぐ役割を有する。バリア絶縁膜721には、例えば、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、1つの整流素子を有する整流素子付2端子スイッチ722と、整流素子を搭載しない2端子スイッチ723を、多層配線構造の同一配線中に有する半導体装置を実現できる。本実施形態では、同じ配線層中に同時に、1つの整流素子を有する整流素子付2端子スイッチ722と2端子スイッチ723を形成することができる。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態による半導体装置、およびその製造方法について、説明する。本実施形態は、多層配線層内部に「整流素子付4端子スイッチおよび2端子スイッチ」を形成した半導体装置である。図11は、第3実施形態の半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。本実施形態は、図15(c)に等価回路図を示す、多層配線層内部に整流素子付4端子スイッチおよび2端子スイッチを含む半導体装置である。
(構成)
図11の半導体装置は、半導体基板801上の多層配線層の内部に、整流素子付4端子スイッチ822および2端子スイッチ823を有する。
多層配線層は、半導体基板801上にて、層間絶縁膜802、Low−k絶縁膜803、層間絶縁膜804、バリア絶縁膜807、保護絶縁膜814、層間絶縁膜815、Low−k絶縁膜816、層間絶縁膜817、およびバリア絶縁膜821の順に積層した絶縁積層体を有する。多層配線層は、層間絶縁膜804およびLow−k絶縁膜803に形成された配線溝に、第1バリアメタル806aおよび第1バリアメタル806bを介して、第1配線805aおよび第1配線805bが埋め込まれている。さらに多層配線層は、層間絶縁膜804およびLow−k絶縁膜803に形成された配線溝に、第1バリアメタル806cを介して、第1配線805cが埋め込まれている。
さらに多層配線層は、層間絶縁膜817およびLow−k絶縁膜816に形成された配線溝に、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cが埋め込まれている。さらに、層間絶縁膜815、保護絶縁膜814、および第1ハードマスク膜812に形成された下穴に、ビア819a、ビア819b、ビア819cが埋め込まれている。第2配線818aとビア819a、第2配線818bとビア819b、第2配線818cとビア819cが一体となっている。さらに、第2配線818aとビア819a、第2配線818bとビア819b、第2配線818cとビア819cの側面乃至底面が第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cによって覆われている。
バリア絶縁膜807に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線805aおよび第1配線805b、第1配線805aおよび第1配線805bに挟まれた層間絶縁膜804、バリア絶縁膜807の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜807上に、イオン伝導層809a、第2電極810a、整流層808a、および第3電極811が順に積層されて、整流素子付4端子スイッチ822が形成されている。さらに、第3電極811上に第1ハードマスク膜812および第2ハードマスク膜813が形成されている。さらに、イオン伝導層809a、第2電極810a、整流層808a、第3電極811、第1ハードマスク膜812および第2ハードマスク膜813の積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜814で覆われている。
多層配線層は、バリア絶縁膜807に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線805c、バリア絶縁膜807の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜807上に、イオン伝導層809b、第2電極810b、整流層808bの順に積層した2端子スイッチ823が形成されており、イオン伝導層809b、第2電極810bの積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜814で覆われている。
第1配線805aおよび第1配線805bの一部を、整流素子付4端子スイッチ822の下部電極とし、第1配線805cの一部を、2端子スイッチ823の下部電極とすることで、工程数を簡略化しながら、電極抵抗を下げることができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、少なくとも3PRのマスクセットを作成するだけで、整流素子付4端子スイッチ822と2端子スイッチ823を同じ配線層内に搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成することができるようになる。
整流素子付4端子スイッチ822は、バリア絶縁膜807に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層809aと第1配線805aおよび第1配線805bとが直接接している。そして、イオン伝導層809aの一部を構成する金属が、第1配線805aおよび第1配線805bに拡散して、合金層を形成している。
2端子スイッチ823は、バリア絶縁膜807に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層809bと第1配線805cが直接接している。そして、イオン伝導層809bの一部を構成する金属が、第1配線805cに拡散して、合金層を形成している。
整流素子付4端子スイッチ822は、第2電極810a上に整流層808aを有し、整流層808aは上面で第3電極811に接している。整流素子付4端子スイッチ822の第3電極811はエッチングによって、2つの領域に電気的に分離されている。この際、整流層808aは第3電極811と同じく2つに分離されていても良いし、分離されていなくても良い。第3電極811上には、第3電極811と同じく分離された第1ハードマスク膜812および第2ハードマスク膜813が残っている。第2ハードマスク膜813は、残っていなくても良い。
整流素子付4端子スイッチ822は第3電極811上にて、ビア819aおよびビア819bと第3電極811とが第2バリアメタル820aおよび第2バリアメタル820bを介して、電気的に接続されている。
整流素子付4端子スイッチ822は、整流層808aを介して、第2電極810aと第1配線805aもしくは第1配線805b間に電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層809aへの第1配線805aおよび第1配線805bを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。この際、整流層808aにおける電流によってオン抵抗が決まる。
2端子スイッチ823は第2電極810b上にて、ビア819cと第2電極810bとが第2バリアメタル820cを介して電気的に接続されている。整流層808bは、第2電極810b上に残っていても良いし、2端子スイッチ823の製造工程のエッチング時に除去されても良い。2端子スイッチ823は、電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層809bへの第1配線805cを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。
半導体基板801は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板801には第1実施形態などと同様に、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI基板、TFT基板、液晶製造用基板等の基板を用いることができる。
層間絶縁膜802は、半導体基板801上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜802には第1実施形態などと同様に、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜802は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
Low−k絶縁膜803は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜803は、層間絶縁膜802、804間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜803には、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜803の当該配線溝に、第1バリアメタル806a、第1バリアメタル806b、第1バリアメタル806cを介して、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cが埋め込まれている。
層間絶縁膜804は、Low−k絶縁膜803上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜804には第1実施形態などと同様に、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜804は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜804には、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜804の当該配線溝に、第1バリアメタル806a、第1バリアメタル806b、第1バリアメタル806cを介して、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cが埋め込まれている。
第1配線805aおよび第1配線805bは、層間絶縁膜804およびLow−k絶縁膜803に形成された配線溝に、第1バリアメタル806aおよび第1バリアメタル806bを介して埋め込まれた配線である。第1配線805aおよび第1配線805bは、整流素子付4端子スイッチ822の下部電極を兼ねており、イオン伝導層809aと直接接している。イオン伝導層809aの上面は、第2電極810aに直接接している。第1配線805aおよび第1配線805bを構成する金属には、イオン伝導層809aにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線805aおよび第1配線805bを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1配線805cは、層間絶縁膜804およびLow−k絶縁膜803に形成された配線溝に、第1バリアメタル806cを介して埋め込まれた配線である。第1配線805cは、2端子スイッチ823の下部電極を兼ねており、イオン伝導層809bと直接接している。イオン伝導層809bの上面は、第2電極810bに直接接している。第1配線805cを構成する金属には、イオン伝導層809bにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線805cを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1バリアメタル806a、第1バリアメタル806b、第1バリアメタル806cは、バリア性を有する導電性膜である。第1バリアメタル806a、第1バリアメタル806b、第1バリアメタル806cは、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属が層間絶縁膜804や下層へ拡散することを防止するために、配線の側面乃至底面を被覆する。第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cが銅を主成分とする金属元素からなる場合、第1バリアメタル806a、第1バリアメタル806b、第1バリアメタル806cには、例えばタンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜807は、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを含む層間絶縁膜804上に形成される。これにより、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、層間絶縁膜815中への第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属の拡散を防いだり、第3電極811、整流層808a、整流層808b、第2電極810a、第2電極810b、イオン伝導層809a、イオン伝導層809bの加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜807には第1実施形態などと同様に、例えば、SiC膜、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。バリア絶縁膜807は、保護絶縁膜814および第1ハードマスク膜812と同一材料であることが好ましい。
イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bは、抵抗が変化する膜である。第1配線805a、第1配線805b、第1配線805c(下部電極)を形成する金属から生成される金属イオンの作用(拡散、イオン伝導など)により、抵抗が変化する材料を用いることができる。オン状態へのスイッチングに伴う抵抗変化を、金属イオンの還元による金属の析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられる。
イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bはそれぞれ、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cに接する金属酸化物のイオン伝導層と、第2電極810aおよび第2電極810bに接するポリマーのイオン伝導層とで、構成される。
イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bのうち、ポリマーのイオン伝導層は、プラズマCVD法を用いて形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm供給する。
イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bのうち、金属酸化物のイオン伝導層は、複数の役割がある。一つは、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属が、ポリマーのイオン伝導層を堆積している間の加熱やプラズマでポリマーのイオン伝導層中に拡散することを防止する役割である。他の一つは、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cが酸化され、ポリマーのイオン伝導層への拡散が促進されやすくなることを防止する役割である。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、チタンは、金属酸化物のイオン伝導層を構成する金属の成膜後にポリマーのイオン伝導層の成膜チャンバー内で減圧下において酸素雰囲気に曝され、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンとなり、イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bの一部となる。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属膜の最適膜厚は、0.5〜1nmである。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜は、積層を形成したり、単層としたりしても良い。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜の成膜は、スパッタリングで行うことが好ましい。スパッタリングによりエネルギーを得た金属原子またはイオンは、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cに突入、拡散し、合金層を形成する。
イオン伝導層809aは、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805aおよび第1配線805bに挟まれた層間絶縁膜804、バリア絶縁膜807の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜807上に形成されている。
イオン伝導層809bは、第1配線805c、バリア絶縁膜807の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜807上に形成されている。
第2電極810aおよび第2電極810bは、整流素子付4端子スイッチ822および2端子スイッチ823の上部電極であり、イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bと直接接している。
第2電極810aおよび第2電極810bには、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどを含有したルテニウム合金を使用する。ルテニウムは、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属よりもイオン化しにくく、イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bにおいて拡散、イオン伝導しにくい金属である。ルテニウム合金に添加される、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムは、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属と密着性が良い。第2電極810aおよび第2電極810bを構成し、ルテニウムに添加される第1の金属は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムよりも負方向に大きい金属を選択することが望ましい。チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどは、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムより負方向に大きく、ルテニウムに比べて化学反応が自発的に起こりやすいため、反応性が高い。このため、第2電極810aおよび第2電極810bを形成するルテニウム合金において、ルテニウムと合金化することで、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属で形成された金属架橋との密着性が向上する。
一方、ルテニウムを含まないチタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどの添加金属のみだと、反応性が高くなってしまい、「オフ」状態に遷移しなくなる。「オン」状態から「オフ」状態への遷移は、金属架橋の酸化反応(溶解反応)によって進行するが、第2電極810aおよび第2電極810bを構成する金属が、その金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが負方向に第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属よりも大きくなった場合、第1配線805a、第1配線805b、第1配線805cを形成する金属で形成された金属架橋の酸化反応よりも第2電極810aおよび第2電極810bを構成する金属の酸化反応が進行するため、「オフ」状態に遷移できなくなる。
このため、第2電極810aおよび第2電極810bを構成する金属の形成に使用する金属材料は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが銅よりも負方向に小さいルテニウムとの合金とする必要がある。
さらに、第2電極810aおよび第2電極810bを構成する金属に金属架橋の成分である銅が混入すると、標準ギブズエネルギーが負方向に大きい金属を添加した効果が薄れる。このため、ルテニウムに添加する金属は銅および銅イオンに対してバリア性のある材料が好ましい。例えば、タンタル、チタンなどである。一方、添加金属の量は大きいほど、「オン」状態が安定化することがわかっており、5atm%の添加によっても安定性が向上することがわかっている。特に添加金属をチタンとした場合にオフへの遷移とオン状態の安定性に優れており、特に第2電極810aおよび第2電極810bを構成する金属をルテニウムとチタンの合金とし、チタンの含有率を20atm%〜30atm%の範囲が好ましい。該ルテニウム合金における、ルテニウムの含有比率は、60atm%以上90atm%以下が望ましい。
ルテニウム合金の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて合金を成膜する場合、ルテニウムと第1の金属との合金ターゲットを用いる方法、ルテニウムターゲットと第1の金属のターゲットを同一チャンバー内で同時にスパッタリングするコスパッタ法、予め第1の金属の薄膜を形成し、その上に、スパッタリング法を用いてルテニウムを成膜し、衝突原子のエネルギーで合金化するインターミキシング法がある。コスパッタ法およびインターミキシング法を用いると、合金の組成を変えることができる。インターミキシング法を採用する際には、ルテニウムの成膜を完了した後に、混合状態の「平坦化」のため、400℃以下での熱処理を加えることが好ましい。
第2電極810aおよび第2電極810bは、2層構造であることが望ましい。イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bと接する第2電極810aおよび第2電極810bがルテニウム合金だとすると、整流層808aおよび整流層808bに接する側は整流素子の下部電極となる。金属種は酸化しにくく、加工しやすく、かつ、組成によって仕事関数の調整が可能な金属窒化物、例えば窒化チタンや窒化タンタルを用いることができる。
第2電極810aおよび第2電極810bの、整流層808aおよび整流層808bとの界面における酸化を抑制できるのであれば、チタンやタンタルを用いても良い。窒化チタン、窒化タンタル、チタン、タンタルはルテニウム合金の上層にスパッタリング法により真空一貫で成膜する。窒化する場合はチャンバー内に窒素を導入し、リアクティブスパッタリング法により窒化物を成膜する。
整流層808aおよび整流層808bは、双極性の整流効果を有する層であり、印加電圧に対して電流が非線形的に増加する特徴を有する。プール・フレンケル型の絶縁膜や、ショットキー型の絶縁膜、スレッショルドスイッチング型の揮発性抵抗変化膜、などを用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化イットリウム、酸化マンガン、酸化ニオブ、窒化シリコン、炭窒化シリコン、酸化シリコン、非晶質シリコンのいずれかを含む膜を用いることができる。特に非晶質シリコン、窒化シリコン、非晶質シリコンの順で積層とすることで、優れた非線形性が生じる。非晶質シリコンで窒化シリコン膜を挟むことで窒化シリコン膜の一部の組成を化学量論比から窒素欠乏の状態とし、第2電極810aや第3電極811とのバリアハイトの差を少なくすることで、高電圧印加時に窒化シリコンにトンネル電流が流れやすくすることができる。この結果、非線形的な電流変化が生ずる。
第3電極811は整流素子の上部電極となる金属で、例えば、タンタル、チタン、タングステンあるいはそれらの窒化物等を用いることができる。整流素子の電流電圧特性を正・負、両極において対称とするために、第2電極810aおよび第2電極810bと同じ材料を用いることが望ましい。また、第3電極811は、ビア819a、ビア819bを第2電極810a上に電気的に接続する場合に、エッチングストップ層としての機能も有する。そのため、層間絶縁膜815のエッチングに使用するフッ化炭素系のガスのプラズマに対して、エッチング速度が小さいことが好ましい。第3電極811の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて金属窒化物を成膜する場合、窒素とアルゴンの混合ガスのプラズマを用いて金属ターゲットを蒸発させるリアクティブスパッタ法を用いることが好ましい。金属ターゲットより蒸発した金属は窒素と反応し、金属窒化物となって基板上に成膜される。
第3電極811は、整流素子を形成する整流素子付4端子スイッチ822上のみに存在し、整流素子付4端子スイッチ822上で2つの領域に分離される。この結果、整流素子付4端子スイッチ822上にて2つの整流素子が独立に配置される。
第1ハードマスク膜812は、第3電極811、第2電極810aおよび第2電極810b、整流層808aおよび整流層808b、イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bをエッチングする際のハードマスク膜兼パッシベーション膜となる膜である。第1ハードマスク膜812には第1実施形態などと同様に、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。第1ハードマスク膜812は、保護絶縁膜814、およびバリア絶縁膜807と同一材料を含むことが好ましい。
第2ハードマスク膜813は、第3電極811、第2電極810aおよび第2電極810b、整流層808aおよび整流層808b、イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bをエッチングする際のハードマスク膜となる膜である。第2ハードマスク膜813には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。
第2ハードマスク膜813の形状により、整流素子付4端子スイッチ822と2端子スイッチ823を作り分ける。整流素子付4端子スイッチ822および2端子スイッチ823のバリア絶縁膜807上に、イオン伝導層809aおよびイオン伝導層809b、第2電極810aおよび第2電極810b、整流層808aおよび整流層808b、第3電極811、第1ハードマスク膜812、第2ハードマスク膜813を成膜する。その後、2回のパターニングとエッチングを経て形成した第2ハードマスク膜813の形状を整流素子付4端子スイッチ822部に転写する要領で、2つの整流素子を1回のエッチング工程で分離して第2電極810a上に形成している。
すなわち、ウェハ全面に一度、整流素子付4端子スイッチ822のための積層構造体を成膜し、2端子スイッチ823を形成したい素子部には整流素子付4端子スイッチ822における整流素子部を形成するパターニングを行わない(レジストを残さない)ようにする。これにより、2端子スイッチ823上の第2ハードマスク膜813を目減りさせる。その後、エッチングを行うことで、2端子スイッチ823上の第3電極811を除去することができる。すなわち、整流素子付4端子スイッチ822上の整流素子が形成されていない箇所と同じ状態となる。2端子スイッチ823の第2電極810a上には整流層808bが残っていても良いし、残っていなくても良い。また、第1ハードマスク膜812および第2ハードマスク膜813は、2端子スイッチ823上には残っていない。
保護絶縁膜814は、整流素子付4端子スイッチ822および2端子スイッチ823にダメージを与えることなく、さらにイオン伝導層809aおよびイオン伝導層809bからの酸素の脱離を防ぐ機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜814には、例えば、窒化シリコン膜、炭窒化シリコン膜等を用いることができる。保護絶縁膜814は、第1ハードマスク膜812およびバリア絶縁膜807と同一材料であることが好ましい。同一材料である場合には、保護絶縁膜814とバリア絶縁膜807および第1ハードマスク膜812とが一体化して、界面の密着性が向上し、整流素子付4端子スイッチ822および2端子スイッチ823をより保護することができるようになる。
層間絶縁膜815は、保護絶縁膜814上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜815には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜815は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜815は、層間絶縁膜817と同一材料としてもよい。層間絶縁膜815には、ビア819a、ビア819b、ビア819cを埋め込むための下穴が形成され、当該下穴に第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cを介して、ビア819a、ビア819b、ビア819cが埋め込まれている。
Low−k絶縁膜816は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜816は、層間絶縁膜815、817間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜816には、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜816の当該配線溝に、第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cを介して、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cが埋め込まれている。
層間絶縁膜817は、Low−k絶縁膜816上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜817には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜817は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜817は、層間絶縁膜815と同一材料としてもよい。層間絶縁膜817には、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜817の当該配線溝に、第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cを介して第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cが埋め込まれている。
第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cは、層間絶縁膜817およびLow−k絶縁膜816に形成された配線溝に、第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cを介して埋め込まれた配線である。第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cは、ビア819a、ビア819b、ビア819cと一体になっている。
ビア819aおよびビア819bは、層間絶縁膜815、および保護絶縁膜814、第1ハードマスク膜812および第2ハードマスク膜813に形成された下穴に、第2バリアメタル820aおよび第2バリアメタル820bを介して埋め込まれている。ビア819cは、層間絶縁膜815、および保護絶縁膜814に形成された下穴に、第2バリアメタル820cを介して埋め込まれている。
ビア819aおよびビア819bは、第2バリアメタル820aおよび第2バリアメタル820bを介して第3電極811と電気的に接続されている。ビア819cは、第2バリアメタル820cを介して第2電極810bと電気的に接続されている。第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cおよびビア819a、ビア819b、ビア819cには、例えば、銅を用いることができる。
第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cは、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818c、およびビア819a、ビア819b、ビア819cの側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cは、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818c(ビア819a、ビア819b、ビア819cを含む)を形成する金属が、層間絶縁膜815、817や下層へ拡散することを防止する。
第2配線818a、第2配線818b、第2配線818c、およびビア819a、ビア819b、ビア819cが銅を主成分とする金属元素からなる場合には、第2バリアメタル820a、第2バリアメタル820b、第2バリアメタル820cには、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜821は、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cを含む層間絶縁膜817上に形成された絶縁膜である。バリア絶縁膜821は、第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、上層への第2配線818a、第2配線818b、第2配線818cを形成する金属の拡散を防ぐ役割を有する。バリア絶縁膜821には、例えば、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、2つの整流素子を有する整流素子付4端子スイッチ822と、整流素子を搭載しない2端子スイッチ823を、多層配線構造の同一配線中に有する半導体装置を実現できる。本実施形態では、同じ配線層中に同時に、2つの整流素子を有する整流素子付4端子スイッチ822と2端子スイッチ823を形成することができる。
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態による半導体装置、およびその製造方法について、説明する。本実施形態は、多層配線層内部に「整流素子付2端子スイッチおよび3端子スイッチ」を形成した半導体装置である。図12は、第4実施形態の半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。本実施形態は、図16(a)に等価回路図を示す、多層配線層内部に整流素子付2端子スイッチおよび3端子スイッチを含む半導体装置である。
(構成)
図12の半導体装置は、半導体基板901上の多層配線層の内部に、整流素子付2端子スイッチ922および3端子スイッチ923を有する。
多層配線層は、半導体基板901上にて、層間絶縁膜902、Low−k絶縁膜903、層間絶縁膜904、バリア絶縁膜907、保護絶縁膜914、層間絶縁膜915、Low−k絶縁膜916、層間絶縁膜917、およびバリア絶縁膜921の順に積層した絶縁積層体を有する。多層配線層は、層間絶縁膜904およびLow−k絶縁膜903に形成された配線溝に、第1バリアメタル906a、第1バリアメタル906bを介して、第1配線905a、第1配線905bが埋め込まれている。
さらに多層配線層は、層間絶縁膜917およびLow−k絶縁膜916に形成された配線溝に、第2配線918a、第2配線918bが埋め込まれている。さらに、層間絶縁膜915、保護絶縁膜914、および第1ハードマスク膜912に形成された下穴に、ビア919a、ビア919bが埋め込まれている。第2配線918aとビア919a、第2配線918bとビア919bが一体となっている。さらに、第2配線918aとビア919a、第2配線918bとビア919bの側面乃至底面が第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bによって覆われている。
バリア絶縁膜907に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線905a、バリア絶縁膜907の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜907上に、イオン伝導層909a、第2電極910a、整流層908a、および第3電極911が順に積層されて、整流素子付2端子スイッチ922が形成されている。さらに、第3電極911上に第1ハードマスク膜912および第2ハードマスク膜913が形成されている。さらに、イオン伝導層909a、第2電極910a、整流層908a、第3電極911、第1ハードマスク膜912および第2ハードマスク膜913の積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜914で覆われている。
多層配線層は、バリア絶縁膜907に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線905bおよび第1配線905c、第1配線905bおよび第1配線905cに挟まれた層間絶縁膜904、バリア絶縁膜907の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜907上に、イオン伝導層909b、第2電極910b、整流層908bの順に積層した3端子スイッチ923が形成されており、イオン伝導層909b、第2電極910bの積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜914で覆われている。
第1配線905aの一部を、整流素子付2端子スイッチ922の下部電極とし、第1配線905bおよび第1配線905cの一部を、3端子スイッチ923の下部電極とすることで、工程数を簡略化しながら、電極抵抗を下げることができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、少なくとも3PRのマスクセットを作成するだけで、整流素子付2端子スイッチ922と3端子スイッチ923を同じ配線層内に搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成することができるようになる。
整流素子付2端子スイッチ922は、バリア絶縁膜907に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層909aと第1配線905aとが直接接している。そして、イオン伝導層909aの一部を構成する金属が、第1配線905aに拡散して、合金層を形成している。
3端子スイッチ923は、バリア絶縁膜907に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層909bと第1配線905bおよび第1配線905cが直接接している。そして、イオン伝導層909bの一部を構成する金属が、第1配線905bおよび第1配線905cに拡散して、合金層を形成している。
整流素子付2端子スイッチ922は、第2電極910a上に整流層908aを有し、整流層908aは上面で第3電極911に接している。第3電極911上には、第1ハードマスク膜912および第2ハードマスク膜913が残っている。第2ハードマスク膜913は、残っていなくても良い。
整流素子付2端子スイッチ922は第3電極911上にて、ビア919aと第3電極911とが第2バリアメタル920aを介して、電気的に接続されている。
整流素子付2端子スイッチ922は、整流層908aを介して、第2電極910aと第1配線905aとの間に電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層909aへの第1配線905aを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。この際、整流層908aにおける電流によってオン抵抗が決まる。
3端子スイッチ923は第2電極910b上にて、ビア919bと第2電極910bとが第2バリアメタル920bを介して電気的に接続されている。第2電極910b上には整流層908bが残っていても良いし、3端子スイッチ923の製造工程のエッチング時に除去されても良い。3端子スイッチ923は、電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層909bへの第1配線905bおよび第1配線905cを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。
半導体基板901は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板901には第1実施形態などと同様に、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI基板、TFT基板、液晶製造用基板等の基板を用いることができる。
層間絶縁膜902は、半導体基板901上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜902には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜902は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
Low−k絶縁膜903は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜903は、層間絶縁膜902、904間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜903には、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜903の当該配線溝に、第1バリアメタル906a、第1バリアメタル906b、第1バリアメタル906cを介して、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cが埋め込まれている。
層間絶縁膜904は、Low−k絶縁膜903上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜904には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜904は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜904には、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜904の当該配線溝に、第1バリアメタル906a、第1バリアメタル906b、第1バリアメタル906cを介して、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cが埋め込まれている。
第1配線905aは、層間絶縁膜904およびLow−k絶縁膜903に形成された配線溝に、第1バリアメタル906aを介して埋め込まれた配線である。第1配線905aは、整流素子付2端子スイッチ922の下部電極を兼ねており、イオン伝導層909aと直接接している。イオン伝導層909aの上面は、第2電極910aに直接接している。第1配線905aおよび第1配線905bを構成する金属には、イオン伝導層909aにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線905aおよび第1配線905bを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1配線905bおよび第1配線905cは、層間絶縁膜904およびLow−k絶縁膜903に形成された配線溝に、第1バリアメタル906bおよび第1バリアメタル906cを介して埋め込まれた配線である。第1配線905bおよび第1配線905cは、3端子スイッチ923の下部電極を兼ねており、イオン伝導層909bと直接接している。イオン伝導層909bの上面は、第2電極910bに直接接している。第1配線905bおよび第1配線905cを構成する金属には、イオン伝導層909bにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線905bおよび第1配線905cを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1バリアメタル906a、第1バリアメタル906b、第1バリアメタル906cは、バリア性を有する導電性膜である。第1バリアメタル906a、第1バリアメタル906b、第1バリアメタル906cは、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属が層間絶縁膜904や下層へ拡散することを防止するために、配線の側面乃至底面を被覆する。第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cが銅を主成分とする金属元素からなる場合、第1バリアメタル906a、第1バリアメタル906b、第1バリアメタル906cには、例えばタンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜907は、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを含む層間絶縁膜904上に形成される。これにより、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、層間絶縁膜915中への第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属の拡散を防いだり、第3電極911、整流層908a、整流層908b、第2電極910a、第2電極910b、イオン伝導層909a、イオン伝導層909bの加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜907には、例えば、SiC膜、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。バリア絶縁膜907は、保護絶縁膜914および第1ハードマスク膜912と同一材料であることが好ましい。
イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bは、抵抗が変化する膜である。第1配線905a、第1配線905b、第1配線905c(下部電極)を形成する金属から生成される金属イオンの作用(拡散、イオン伝導など)により、抵抗が変化する材料を用いることができる。オン状態へのスイッチングに伴う抵抗変化を、金属イオンの還元による金属の析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられる。
イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bはそれぞれ、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cに接する金属酸化物のイオン伝導層と、第2電極910aおよび第2電極910bに接するポリマーのイオン伝導層とで、構成される。
イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bのうち、ポリマーのイオン伝導層は、プラズマCVD法を用いて形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm供給する。
イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bのうち、金属酸化物のイオン伝導層は、複数の役割がある。一つは、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属が、ポリマーのイオン伝導層を堆積している間の加熱やプラズマでポリマーのイオン伝導層中に拡散することを防止する役割である。他の一つは、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cが酸化され、ポリマーのイオン伝導層への拡散が促進されやすくなることを防止する役割である。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、チタンは、金属酸化物のイオン伝導層を構成する金属の成膜後にポリマーのイオン伝導層の成膜チャンバー内で減圧下において酸素雰囲気に曝され、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンとなり、イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bの一部となる。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属膜の最適膜厚は、0.5〜1nmである。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜は、積層を形成したり、単層としたりしても良い。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜の成膜は、スパッタリングで行うことが好ましい。スパッタリングによりエネルギーを得た金属原子またはイオンは、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cに突入、拡散し、合金層を形成する。
イオン伝導層909aは、第1配線905a、バリア絶縁膜907の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜907上に形成されている。
イオン伝導層909bは、第1配線905b、第1配線905c、第1配線905bおよび第1配線905cに挟まれた層間絶縁膜904、バリア絶縁膜907の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜907上に形成されている。
第2電極910aおよび第2電極910bは、整流素子付2端子スイッチ922および3端子スイッチ923の上部電極であり、イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bと直接接している。
第2電極910aおよび第2電極910bには、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどを含有したルテニウム合金を使用する。ルテニウムは、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属よりもイオン化しにくく、イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bにおいて拡散、イオン伝導しにくい金属である。ルテニウム合金に添加される、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムは、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属と密着性が良い。第2電極910aおよび第2電極910bを構成し、ルテニウムに添加される第1の金属は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムよりも負方向に大きい金属を選択することが望ましい。チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどは、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムより負方向に大きく、ルテニウムに比べて化学反応が自発的に起こりやすいため、反応性が高い。このため、第2電極910aおよび第2電極910bを形成するルテニウム合金において、ルテニウムと合金化することで、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属で形成された金属架橋との密着性が向上する。
一方、ルテニウムを含まないチタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどの添加金属のみだと、反応性が高くなってしまい、「オフ」状態に遷移しなくなる。「オン」状態から「オフ」状態への遷移は、金属架橋の酸化反応(溶解反応)によって進行するが、第2電極910aおよび第2電極910bを構成する金属が、その金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが負方向に第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属よりも大きくなった場合、第1配線905a、第1配線905b、第1配線905cを形成する金属で形成された金属架橋の酸化反応よりも第2電極910aおよび第2電極910bを構成する金属の酸化反応が進行するため、「オフ」状態に遷移できなくなる。
このため、第2電極910aおよび第2電極910bを構成する金属の形成に使用する金属材料は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが銅よりも負方向に小さいルテニウムとの合金とする必要がある。
さらに、第2電極910aおよび第2電極910bを構成する金属に金属架橋の成分である銅が混入すると、標準ギブズエネルギーが負方向に大きい金属を添加した効果が薄れる。このため、ルテニウムに添加する金属は銅および銅イオンに対してバリア性のある材料が好ましい。例えば、タンタル、チタンなどである。一方、添加金属の量は大きいほど、「オン」状態が安定化することがわかっており、5atm%の添加によっても安定性が向上することがわかっている。特に添加金属をチタンとした場合にオフへの遷移とオン状態の安定性に優れており、特に第2電極910aおよび第2電極910bを構成する金属をルテニウムとチタンの合金とし、チタンの含有率を20atm%〜30atm%の範囲が好ましい。該ルテニウム合金における、ルテニウムの含有比率は、60atm%以上90atm%以下が望ましい。
ルテニウム合金の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて合金を成膜する場合、ルテニウムと第1の金属との合金ターゲットを用いる方法、ルテニウムターゲットと第1の金属のターゲットを同一チャンバー内で同時にスパッタリングするコスパッタ法、予め第1の金属の薄膜を形成し、その上に、スパッタリング法を用いてルテニウムを成膜し、衝突原子のエネルギーで合金化するインターミキシング法がある。コスパッタ法およびインターミキシング法を用いると、合金の組成を変えることができる。インターミキシング法を採用する際には、ルテニウムの成膜を完了した後に、混合状態の「平坦化」のため、400℃以下での熱処理を加えることが好ましい。
第2電極910aおよび第2電極910bは、2層構造であることが望ましい。イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bと接する第2電極910aおよび第2電極910bがルテニウム合金だとすると、整流層908aおよび整流層908bに接する側は整流素子の下部電極となる。金属種は酸化しにくく、加工しやすく、かつ、組成によって仕事関数の調整が可能な金属窒化物、例えば窒化チタンや窒化タンタルを用いることができる。
第2電極910aおよび第2電極910bの、整流層908aおよび整流層908bとの界面における酸化を抑制できるのであれば、チタンやタンタルを用いても良い。窒化チタン、窒化タンタル、チタン、タンタルはルテニウム合金の上層にスパッタリング法により真空一貫で成膜する。窒化する場合はチャンバー内に窒素を導入し、リアクティブスパッタリング法により窒化物を成膜する。
整流層908aおよび整流層908bは双極性の整流効果を有する層であり、印加電圧に対して電流が非線形的に増加する特徴を有する。プール・フレンケル型の絶縁膜や、ショットキー型の絶縁膜、スレッショルドスイッチング型の揮発性抵抗変化膜、などを用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化イットリウム、酸化マンガン、酸化ニオブ、窒化シリコン、炭窒化シリコン、酸化シリコン、非晶質シリコンのいずれかを含む膜を用いることができる。特に非晶質シリコン、窒化シリコン、非晶質シリコンの順で積層とすることで、優れた非線形性が生じる。非晶質シリコンで窒化シリコン膜を挟むことで窒化シリコン膜の一部の組成を化学量論比から窒素欠乏の状態とし、第2電極910aや第3電極911とのバリアハイトの差を少なくすることで、高電圧印加時に窒化シリコンにトンネル電流が流れやすくすることができる。この結果、非線形的な電流変化が生ずる。
第3電極911は整流素子の上部電極となる金属で、例えば、タンタル、チタン、タングステンあるいはそれらの窒化物等を用いることができる。整流素子の電流電圧特性を正・負、両極において対称とするために、第2電極910aと同じ材料を用いることが望ましい。また、第3電極911は、ビア919aを第2電極910a上に電気的に接続する場合に、エッチングストップ層としての機能も有する。そのため、層間絶縁膜915のエッチングに使用するフッ化炭素系のガスのプラズマに対して、エッチング速度が小さいことが好ましい。第3電極911の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて金属窒化物を成膜する場合、窒素とアルゴンの混合ガスのプラズマを用いて金属ターゲットを蒸発させるリアクティブスパッタ法を用いることが好ましい。金属ターゲットより蒸発した金属は窒素と反応し、金属窒化物となって基板上に成膜される。
第3電極911は、整流素子を形成する整流素子付2端子スイッチ922上のみに存在し、3端子スイッチ923には存在しない。
第1ハードマスク膜912は、第3電極911、第2電極910aおよび第2電極910b、整流層908aおよび整流層908b、イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bをエッチングする際のハードマスク膜兼パッシベーション膜となる膜である。第1ハードマスク膜912には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。第1ハードマスク膜912は、保護絶縁膜914、およびバリア絶縁膜907と同一材料を含むことが好ましい。
第2ハードマスク膜913は、第3電極911、第2電極910aおよび第2電極910b、整流層908aおよび整流層908b、イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bをエッチングする際のハードマスク膜となる膜である。第2ハードマスク膜913には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。
第2ハードマスク膜913の形状により、整流素子付2端子スイッチ922と3端子スイッチ923を作り分ける。整流素子付2端子スイッチ922および3端子スイッチ923のバリア絶縁膜907上に、イオン伝導層909aおよびイオン伝導層909b、第2電極910aおよび第2電極910b、整流層908aおよび整流層908b、第3電極911、第1ハードマスク膜912、第2ハードマスク膜913を成膜する。その後、2回のパターニングとエッチングを経て形成した第2ハードマスク膜913の形状を整流素子付2端子スイッチ922部に転写する要領で、第2電極910a上に形成している。
すなわち、ウェハ全面に一度、整流素子付2端子スイッチ922のための積層構造体を成膜し、3端子スイッチ923を形成したい素子部には整流素子付2端子スイッチ922における整流素子部を形成するパターニングを行わない(レジストを残さない)ようにする。これにより、3端子スイッチ923上の第2ハードマスク膜913を目減りさせる。その後、エッチングを行うことで、3端子スイッチ923上の第3電極911を除去することができる。すなわち、整流素子付2端子スイッチ922上の整流素子が形成されていない箇所と同じ状態となる。3端子スイッチ923の第2電極910a上には整流層908bが残っていても良いし、残っていなくても良い。また、第1ハードマスク膜912および第2ハードマスク膜913は、3端子スイッチ923上には残っていない。
保護絶縁膜914は、整流素子付2端子スイッチ922および3端子スイッチ923にダメージを与えることなく、さらにイオン伝導層909aおよびイオン伝導層909bからの酸素の脱離を防ぐ機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜914には、例えば、窒化シリコン膜、炭窒化シリコン膜等を用いることができる。保護絶縁膜914は、第1ハードマスク膜912およびバリア絶縁膜907と同一材料であることが好ましい。同一材料である場合には、保護絶縁膜914とバリア絶縁膜907および第1ハードマスク膜912とが一体化して、界面の密着性が向上し、整流素子付2端子スイッチ922および3端子スイッチ923をより保護することができるようになる。
層間絶縁膜915は、保護絶縁膜914上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜915には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜915は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜915は、層間絶縁膜917と同一材料としてもよい。層間絶縁膜915には、ビア919a、ビア119bを埋め込むための下穴が形成され、当該下穴に第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bを介してビア919a、ビア919bが埋め込まれている。
Low−k絶縁膜916は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜916は、層間絶縁膜915、917間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜916には、第2配線918a、第2配線918bを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜916の当該配線溝に、第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bを介して第2配線918a、第2配線918bが埋め込まれている。
層間絶縁膜917は、Low−k絶縁膜916上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜917には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜917は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜917は、層間絶縁膜915と同一材料としてもよい。層間絶縁膜917には、第2配線918a、第2配線918bを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜917の当該配線溝に、第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bを介して第2配線918a、第2配線918bが埋め込まれている。
第2配線918a、第2配線918bは、層間絶縁膜917およびLow−k絶縁膜916に形成された配線溝に第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bを介して埋め込まれた配線である。第2配線918a、第2配線918bは、ビア919a、ビア919bと一体になっている。
ビア919aは、層間絶縁膜915、および保護絶縁膜914、第1ハードマスク膜912および第2ハードマスク膜913に形成された下穴に第2バリアメタル920aを介して埋め込まれている。ビア919bは、層間絶縁膜915、および保護絶縁膜914に形成された下穴に、第2バリアメタル920bを介して埋め込まれている。
ビア919aは、第2バリアメタル920aを介して第3電極911と電気的に接続されている。ビア919bは、第2バリアメタル920bを介して第2電極910bと電気的に接続されている。第2配線918a、第2配線918bおよびビア919a、ビア919bには、例えば、銅を用いることができる。
第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bは、第2配線918a、第2配線918b、ビア919a、ビア919bの側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bは、第2配線918a、第2配線918b(ビア919a、ビア919bを含む)を形成する金属が、層間絶縁膜915、917や下層へ拡散することを防止する。
例えば、第2配線918a、第2配線918b、ビア919a、ビア919bが銅を主成分とする金属元素からなる場合には、第2バリアメタル920a、第2バリアメタル920bには、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜921は、第2配線918a、第2配線918bを含む層間絶縁膜917上に形成された絶縁膜である。バリア絶縁膜921は、第2配線918a、第2配線918bを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、上層への第2配線918a、第2配線918bを形成する金属の拡散を防ぐ役割を有する。バリア絶縁膜921には、例えば、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、1つの整流素子を有する整流素子付2端子スイッチ922と、整流素子を搭載しない3端子スイッチ923を、多層配線構造の同一配線中に有する半導体装置を実現できる。本実施形態では、同じ配線層中に同時に、2つの整流素子を有する整流素子付2端子スイッチ922と3端子スイッチ923を形成することができる。
〔第5実施形態〕
次に、第5実施形態による半導体装置、およびその製造方法について、説明する。本実施形態は、多層配線層内部に「整流素子付3端子スイッチおよび3端子スイッチ」を形成した半導体装置である。図13は、第5実施形態の半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。本実施形態は、図16(b)に等価回路図を示す、多層配線層内部に整流素子付3端子スイッチおよび3端子スイッチを含む半導体装置である。
(構成)
図13の半導体装置は、半導体基板1001上の多層配線層の内部に、整流素子付3端子スイッチ1022および3端子スイッチ1023を有する。
多層配線層は、半導体基板1001上にて、層間絶縁膜1002、Low−k絶縁膜1003、層間絶縁膜1004、バリア絶縁膜1007、保護絶縁膜1014、層間絶縁膜1015、Low−k絶縁膜1016、層間絶縁膜1017、およびバリア絶縁膜1021の順に積層した絶縁積層体を有する。多層配線層は、層間絶縁膜1004およびLow−k絶縁膜1003に形成された配線溝に、第1バリアメタル1006a、第1バリアメタル1006bを介して、第1配線1005a、第1配線1005bが埋め込まれている。さらに多層配線層は、層間絶縁膜1004およびLow−k絶縁膜1003に形成された配線溝に、第1バリアメタル1006c、第1バリアメタル1006dを介して、第1配線1005c、第1配線1005dが埋め込まれている。
さらに多層配線層は、層間絶縁膜1017およびLow−k絶縁膜1016に形成された配線溝に、第2配線1018a、第2配線1018bが埋め込まれている。さらに、層間絶縁膜1015、保護絶縁膜1014、および第1ハードマスク膜1012に形成された下穴に、ビア1019a、ビア1019bが埋め込まれている。第2配線1018aとビア1019a、第2配線1018bとビア1019bが一体となっている。さらに、第2配線1018aとビア1019a、第2配線1018bとビア1019bの側面乃至底面が第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bによって覆われている。
バリア絶縁膜1007に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線1005aおよび第1配線1005b、第1配線1005aおよび第1配線1005bに挟まれた層間絶縁膜1004、バリア絶縁膜1007の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜1007上に、イオン伝導層1009a、第2電極1010a、整流層1008a、および第3電極1011が順に積層されて、整流素子付3端子スイッチ1022が形成されている。さらに、第3電極1011上に第1ハードマスク膜1012および第2ハードマスク膜1013が形成されている。さらに、イオン伝導層1009a、第2電極1010a、整流層1008a、第3電極1011、第1ハードマスク膜1012および第2ハードマスク膜1013の積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜1014で覆われている。
多層配線層は、バリア絶縁膜1007に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線1005cおよび第1配線1005d、第1配線1005cおよび第1配線1005dに挟まれた層間絶縁膜1004、バリア絶縁膜1007の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜1007上に、イオン伝導層1009b、第2電極1010b、整流層1008bの順に積層した3端子スイッチ1023が形成されており、イオン伝導層1009b、第2電極1010bの積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜1014で覆われている。
第1配線1005aおよび第1配線1005bの一部を、整流素子付3端子スイッチ1022の下部電極とし、第1配線1005cおよび第1配線1005dの一部を、3端子スイッチ1023の下部電極とすることで、工程数を簡略化しながら、電極抵抗を下げることができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、少なくとも3PRのマスクセットを作成するだけで、整流素子付3端子スイッチ1022と3端子スイッチ1023を同じ配線層内に搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成することができるようになる。
整流素子付3端子スイッチ1022は、バリア絶縁膜1007に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層1009aと第1配線1005aおよび第1配線1005bとが直接接している。そして、イオン伝導層1009aの一部を構成する金属が、第1配線1005aおよび第1配線1005bに拡散して、合金層を形成している。
3端子スイッチ1023は、バリア絶縁膜1007に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層1009bと第1配線1005cおよび第1配線1005dが直接接している。そして、イオン伝導層1009bの一部を構成する金属が、第1配線1005cおよび第1配線1005dに拡散して、合金層を形成している。
整流素子付3端子スイッチ1022は、第2電極1010a上に整流層1008aを有し、整流層1008aは上面で第3電極1011に接している。第3電極1011上には、第1ハードマスク膜1012および第2ハードマスク膜1013が残っている。第2ハードマスク膜1013は、残っていなくても良い。
整流素子付3端子スイッチ1022は第3電極1011上にて、ビア1019aと第3電極1011とが第2バリアメタル1020aを介して、電気的に接続されている。
整流素子付3端子スイッチ1022は、整流層1008aを介して、第2電極1010aと第1配線1005aもしくは第1配線1005b間に電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層1009aへの第1配線1005aおよび第1配線1005bを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。この際、整流層1008aにおける電流によってオン抵抗が決まる。
3端子スイッチ1023は第2電極1010b上にて、ビア1019bと第2電極1010bとが第2バリアメタル1020bを介して電気的に接続されている。第2電極1010b上には整流層1008bが残っていても良いし、3端子スイッチ1023の製造工程のエッチング時に除去されても良い。3端子スイッチ1023は、電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層1009bへの第1配線1005cおよび第1配線1005dを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。
半導体基板1001は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板1001には、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI基板、TFT基板、液晶製造用基板等の基板を用いることができる。
層間絶縁膜1002は、半導体基板1001上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1002には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜1002は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
Low−k絶縁膜1003は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜1003は、層間絶縁膜1002、1004間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜1003には、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜1003の当該配線溝に、第1バリアメタル1006a、第1バリアメタル1006b、第1バリアメタル1006c、第1バリアメタル1006dを介して、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dが埋め込まれている。
層間絶縁膜1004は、Low−k絶縁膜1003上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1004には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜1004は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜1004には、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜1004の当該配線溝に、第1バリアメタル1006a、第1バリアメタル1006b、第1バリアメタル1006c、第1バリアメタル1006dを介して、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dが埋め込まれている。
第1配線1005aおよび第1配線1005bは、層間絶縁膜1004およびLow−k絶縁膜1003に形成された配線溝に、第1バリアメタル1006aおよび第1バリアメタル1006bを介して埋め込まれた配線である。第1配線1005aおよび第1配線1005bは、整流素子付3端子スイッチ1022の下部電極を兼ねており、イオン伝導層1009aと直接接している。イオン伝導層1009aの上面は、第2電極1010aに直接接している。第1配線1005aおよび第1配線1005bを構成する金属には、イオン伝導層1009aにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線1005aおよび第1配線1005bを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1配線1005cおよび第1配線1005dは、層間絶縁膜1004およびLow−k絶縁膜1003に形成された配線溝に、第1バリアメタル1006cおよび第1バリアメタル1006dを介して埋め込まれた配線である。第1配線1005cおよび第1配線1005dは、3端子スイッチ1023の下部電極を兼ねており、イオン伝導層1009bと直接接している。イオン伝導層1009bの上面は、第2電極1010bに直接接している。第1配線1005cおよび第1配線1005dを構成する金属には、イオン伝導層1009bにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線1005cおよび第1配線1005dを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1バリアメタル1006a、第1バリアメタル1006b、第1バリアメタル1006c、第1バリアメタル1006dは、バリア性を有する導電性膜である。第1バリアメタル1006a、第1バリアメタル1006b、第1バリアメタル1006c、第1バリアメタル1006dは、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属が層間絶縁膜1004や下層へ拡散することを防止するために、配線の側面乃至底面を被覆する。第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dが銅を主成分とする金属元素からなる場合、第1バリアメタル1006a、第1バリアメタル1006b、第1バリアメタル1006c、第1バリアメタル1006dには、例えばタンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜1007は、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを含む層間絶縁膜1004上に形成される。これにより、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、層間絶縁膜1015中への第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属の拡散を防いだり、第3電極1011、整流層1008a、整流層1008b、第2電極1010a、第2電極1010b、イオン伝導層1009a、イオン伝導層1009bの加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜1007には、例えば、SiC膜、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。バリア絶縁膜1007は、保護絶縁膜1014および第1ハードマスク膜1012と同一材料であることが好ましい。
イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bは、抵抗が変化する膜である。第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005d(下部電極)を形成する金属から生成される金属イオンの作用(拡散、イオン伝導など)により、抵抗が変化する材料を用いることができる。オン状態へのスイッチングに伴う抵抗変化を、金属イオンの還元による金属の析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられる。
イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bはそれぞれ、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dに接する金属酸化物のイオン伝導層と、第2電極1010aおよび第2電極1010bに接するポリマーのイオン伝導層とで、構成される。
イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bのうち、ポリマーのイオン伝導層は、プラズマCVD法を用いて形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm供給する。
イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bのうち、金属酸化物のイオン伝導層は、複数の役割がある。一つは、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属が、ポリマーのイオン伝導層を堆積している間の加熱やプラズマでポリマーのイオン伝導層中に拡散することを防止する役割である。他の一つは、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dが酸化され、ポリマーのイオン伝導層への拡散が促進されやすくなることを防止する役割である。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、チタンは、金属酸化物のイオン伝導層を構成する金属の成膜後にポリマーのイオン伝導層の成膜チャンバー内で減圧下において酸素雰囲気に曝され、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンとなり、イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bの一部となる。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属膜の最適膜厚は、0.5〜1nmである。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜は、積層を形成したり、単層としたりしても良い。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜の成膜は、スパッタリングで行うことが好ましい。スパッタリングによりエネルギーを得た金属原子またはイオンは、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dに突入、拡散し、合金層を形成する。
イオン伝導層1009aは、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005aおよび第1配線1005bに挟まれた層間絶縁膜1004、バリア絶縁膜1007の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜1007上に形成されている。
イオン伝導層1009bは、第1配線1005c、第1配線1005d、第1配線1005cおよび第1配線1005dに挟まれた層間絶縁膜1004、バリア絶縁膜1007の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜1007上に形成されている。
第2電極1010aおよび第2電極1010bは、整流素子付3端子スイッチ1022および3端子スイッチ1023の上部電極であり、イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bと直接接している。
第2電極1010aおよび第2電極1010bには、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどを含有したルテニウム合金を使用する。ルテニウムは、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属よりもイオン化しにくく、イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bにおいて拡散、イオン伝導しにくい金属である。ルテニウム合金に添加される、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムは、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属と密着性が良い。第2電極1010aおよび第2電極1010bを構成し、ルテニウムに添加される第1の金属は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムよりも負方向に大きい金属を選択することが望ましい。チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどは、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムより負方向に大きく、ルテニウムに比べて化学反応が自発的に起こりやすいため、反応性が高い。このため、第2電極1010aおよび第2電極1010bを形成するルテニウム合金において、ルテニウムと合金化することで、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属で形成された金属架橋との密着性が向上する。
一方、ルテニウムを含まないチタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどの添加金属のみだと、反応性が高くなってしまい、「オフ」状態に遷移しなくなる。「オン」状態から「オフ」状態への遷移は、金属架橋の酸化反応(溶解反応)によって進行するが、第2電極1010aおよび第2電極1010bを構成する金属が、その金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが負方向に第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属よりも大きくなった場合、第1配線1005a、第1配線1005b、第1配線1005c、第1配線1005dを形成する金属で形成された金属架橋の酸化反応よりも第2電極1010aおよび第2電極1010bを構成する金属の酸化反応が進行するため、「オフ」状態に遷移できなくなる。
このため、第2電極1010aおよび第2電極1010bを構成する金属の形成に使用する金属材料は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが銅よりも負方向に小さいルテニウムとの合金とする必要がある。
さらに、第2電極1010aおよび第2電極1010bを構成する金属に金属架橋の成分である銅が混入すると、標準ギブズエネルギーが負方向に大きい金属を添加した効果が薄れる。このため、ルテニウムに添加する金属は銅および銅イオンに対してバリア性のある材料が好ましい。例えば、タンタル、チタンなどである。一方、添加金属の量は大きいほど、「オン」状態が安定化することがわかっており、5atm%の添加によっても安定性が向上することがわかっている。特に添加金属をチタンとした場合にオフへの遷移とオン状態の安定性に優れており、特に第2電極1010aおよび第2電極1010bを構成する金属をルテニウムとチタンの合金とし、チタンの含有率を20atm%〜30atm%の範囲が好ましい。該ルテニウム合金における、ルテニウムの含有比率は、60atm%以上90atm%以下が望ましい。
ルテニウム合金の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて合金を成膜する場合、ルテニウムと第1の金属との合金ターゲットを用いる方法、ルテニウムターゲットと第1の金属のターゲットを同一チャンバー内で同時にスパッタリングするコスパッタ法、予め第1の金属の薄膜を形成し、その上に、スパッタリング法を用いてルテニウムを成膜し、衝突原子のエネルギーで合金化するインターミキシング法がある。コスパッタ法およびインターミキシング法を用いると、合金の組成を変えることができる。インターミキシング法を採用する際には、ルテニウムの成膜を完了した後に、混合状態の「平坦化」のため、400℃以下での熱処理を加えることが好ましい。
第2電極1010aおよび第2電極1010bは、2層構造であることが望ましい。イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bと接する第2電極1010aおよび第2電極1010bがルテニウム合金だとすると、整流層1008aおよび整流層1008bに接する側は整流素子の下部電極となる。金属種は酸化しにくく、加工しやすく、かつ、組成によって仕事関数の調整が可能な金属窒化物、例えば窒化チタンや窒化タンタルを用いることができる。
第2電極1010aおよび第2電極1010bの、整流層1008aおよび整流層1008bとの界面における酸化を抑制できるのであれば、チタンやタンタルを用いても良い。窒化チタン、窒化タンタル、チタン、タンタルはルテニウム合金の上層にスパッタリング法により真空一貫で成膜する。窒化する場合はチャンバー内に窒素を導入し、リアクティブスパッタリング法により窒化物を成膜する。
整流層1008aおよび整流層1008bは双極性の整流効果を有する層であり、印加電圧に対して電流が非線形的に増加する特徴を有する。プール・フレンケル型の絶縁膜や、ショットキー型の絶縁膜、スレッショルドスイッチング型の揮発性抵抗変化膜、などを用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化イットリウム、酸化マンガン、酸化ニオブ、窒化シリコン、炭窒化シリコン、酸化シリコン、非晶質シリコンのいずれかを含む膜を用いることができる。特に非晶質シリコン、窒化シリコン、非晶質シリコンの順で積層とすることで、優れた非線形性が生じる。非晶質シリコンで窒化シリコン膜を挟むことで窒化シリコン膜の一部の組成を化学量論比から窒素欠乏の状態とし、第2電極1010aや第3電極1011とのバリアハイトの差を少なくすることで、高電圧印加時に窒化シリコンにトンネル電流が流れやすくすることができる。この結果、非線形的な電流変化が生ずる。
第3電極1011は整流素子の上部電極となる金属で、例えば、タンタル、チタン、タングステンあるいはそれらの窒化物等を用いることができる。整流素子の電流電圧特性を正・負、両極において対称とするために、第2電極1010aと同じ材料を用いることが望ましい。また、第3電極1011は、ビア1019aを第2電極1010a上に電気的に接続する場合に、エッチングストップ層としての機能も有する。そのため、層間絶縁膜1015のエッチングに使用するフッ化炭素系のガスのプラズマに対して、エッチング速度が小さいことが好ましい。第3電極1011の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて金属窒化物を成膜する場合、窒素とアルゴンの混合ガスのプラズマを用いて金属ターゲットを蒸発させるリアクティブスパッタ法を用いることが好ましい。金属ターゲットより蒸発した金属は窒素と反応し、金属窒化物となって基板上に成膜される。
第3電極1011は、整流素子を形成する整流素子付3端子スイッチ1022上のみに存在し、3端子スイッチ1023には存在しない。
第1ハードマスク膜1012は、第3電極1011、第2電極1010aおよび第2電極1010b、整流層1008aおよび整流層1008b、イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bをエッチングする際のハードマスク膜兼パッシベーション膜となる膜である。第1ハードマスク膜1012には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。第1ハードマスク膜1012は、保護絶縁膜1014、およびバリア絶縁膜1007と同一材料を含むことが好ましい。
第2ハードマスク膜1013は、第3電極1011、第2電極1010aおよび第2電極1010b、整流層1008aおよび整流層1008b、イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bをエッチングする際のハードマスク膜となる膜である。第2ハードマスク膜1013には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。
第2ハードマスク膜1013の形状により、整流素子付3端子スイッチ1022と3端子スイッチ1023を作り分ける。整流素子付3端子スイッチ1022および3端子スイッチ1023のバリア絶縁膜1007上に、イオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009b、第2電極1010aおよび第2電極1010b、整流層1008aおよび整流層1008b、第3電極1011、第1ハードマスク膜1012、第2ハードマスク膜1013を成膜する。その後、2回のパターニングとエッチングを経て形成した第2ハードマスク膜1013の形状を整流素子付3端子スイッチ1022部に転写する要領で、1つの整流素子を第2電極1010a上に形成している。
すなわち、ウェハ全面に一度、整流素子付3端子スイッチ1022のための積層構造体を成膜し、3端子スイッチ1023を形成したい素子部には整流素子付3端子スイッチ1022における整流素子部を形成するパターニングを行わない(レジストを残さない)ようにする。これにより、3端子スイッチ1023上の第2ハードマスク膜1013を目減りさせる。その後、エッチングを行うことで、3端子スイッチ1023上の第3電極1011を除去することができる。すなわち、整流素子付3端子スイッチ1022上の整流素子が形成されていない箇所と同じ状態となる。3端子スイッチ1023の第2電極1010a上には整流層1008bが残っていても良いし、残っていなくても良い。また、第1ハードマスク膜1012および第2ハードマスク膜1013は、3端子スイッチ1023上には残っていない。
保護絶縁膜1014は、整流素子付3端子スイッチ1022および3端子スイッチ1023にダメージを与えることなく、さらにイオン伝導層1009aおよびイオン伝導層1009bからの酸素の脱離を防ぐ機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜1014には、例えば、窒化シリコン膜、炭窒化シリコン膜等を用いることができる。保護絶縁膜1014は、第1ハードマスク膜1012およびバリア絶縁膜1007と同一材料であることが好ましい。同一材料である場合には、保護絶縁膜1014とバリア絶縁膜1007および第1ハードマスク膜1012とが一体化して、界面の密着性が向上し、整流素子付3端子スイッチ1022および3端子スイッチ1023をより保護することができるようになる。
層間絶縁膜1015は、保護絶縁膜1014上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1015には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜1015は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜1015は、層間絶縁膜1017と同一材料としてもよい。層間絶縁膜1015には、ビア1019a、ビア1019bを埋め込むための下穴が形成され、当該下穴に第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bを介してビア1019a、ビア1019bが埋め込まれている。
Low−k絶縁膜1016は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜1016は、層間絶縁膜1015、1017間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜1016には、第2配線1018a、第2配線1018bを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜1016の当該配線溝に、第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bを介して第2配線1018a、第2配線1018bが埋め込まれている。
層間絶縁膜1017は、Low−k絶縁膜1016上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1017には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜1017は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜1017は、層間絶縁膜1015と同一材料としてもよい。層間絶縁膜1017には、第2配線1018a、第2配線1018bを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜1017の当該配線溝に、第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bを介して第2配線1018a、第2配線1018bが埋め込まれている。
第2配線1018a、第2配線1018bは、層間絶縁膜1017およびLow−k絶縁膜1016に形成された配線溝に第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bを介して埋め込まれた配線である。第2配線1018a、第2配線1018bは、ビア1019a、ビア1019bと一体になっている。
ビア1019aは、層間絶縁膜1015、および保護絶縁膜1014、第1ハードマスク膜1012および第2ハードマスク膜1013に形成された下穴に第2バリアメタル1020aを介して埋め込まれている。ビア1019bは、層間絶縁膜1015、および保護絶縁膜1014に形成された下穴に、第2バリアメタル1020bを介して埋め込まれている。
ビア1019aは、第2バリアメタル1020aを介して第3電極1011と電気的に接続されている。ビア1019bは、第2バリアメタル1020bを介して第2電極1010bと電気的に接続されている。第2配線1018a、第2配線1018bおよびビア1019a、ビア1019bには、例えば、銅を用いることができる。
第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bは、第2配線1018a、第2配線1018b、ビア1019a、ビア1019bの側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bは、第2配線1018a、第2配線1018b(ビア1019a、ビア1019bを含む)を形成する金属が、層間絶縁膜1015、1017や下層へ拡散することを防止する。
例えば、第2配線1018a、第2配線1018b、ビア1019a、ビア1019bが銅を主成分とする金属元素からなる場合には、第2バリアメタル1020a、第2バリアメタル1020bには、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜1021は、第2配線1018a、第2配線1018bを含む層間絶縁膜1017上に形成された絶縁膜である。バリア絶縁膜1021は、第2配線1018a、第2配線1018bを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、上層への第2配線1018a、第2配線1018bを形成する金属の拡散を防ぐ役割を有する。バリア絶縁膜1021には、例えば、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、1つの整流素子を有する整流素子付3端子スイッチ1022と、整流素子を搭載しない3端子スイッチ1023を、多層配線構造の同一配線中に有する半導体装置を実現できる。本実施形態では、同じ配線層中に同時に、1つの整流素子を有する整流素子付3端子スイッチ1022と3端子スイッチ1023を形成することができる。
〔第6実施形態〕
次に、第6実施形態による半導体装置、およびその製造方法について、説明する。本実施形態は、多層配線層内部に「整流素子付3端子スイッチおよび2端子スイッチ」を形成した半導体装置である。図14は、第6実施形態の半導体装置の一構成例を示す断面模式図である。本実施形態は、図16(c)に等価回路図を示す、多層配線層内部に整流素子付3端子スイッチおよび2端子スイッチを含む半導体装置である。
(構成)
図14の半導体装置は、半導体基板1101上の多層配線層の内部に、整流素子付3端子スイッチ1122および2端子スイッチ1123を有する。
多層配線層は、半導体基板1101上にて、層間絶縁膜1102、Low−k絶縁膜1103、層間絶縁膜1104、バリア絶縁膜1107、保護絶縁膜1114、層間絶縁膜1115、Low−k絶縁膜1116、層間絶縁膜1117、およびバリア絶縁膜1121の順に積層した絶縁積層体を有する。多層配線層は、層間絶縁膜1104およびLow−k絶縁膜1103に形成された配線溝に、第1バリアメタル1106a、第1バリアメタル1106bを介して、第1配線1105a、第1配線1105bが埋め込まれている。さらに多層配線層は、層間絶縁膜1104およびLow−k絶縁膜1103に形成された配線溝に、第1バリアメタル1106cを介して、第1配線1105cが埋め込まれている。
さらに多層配線層は、層間絶縁膜1117およびLow−k絶縁膜1116に形成された配線溝に、第2配線1118a、第2配線1118bが埋め込まれている。さらに、層間絶縁膜1115、保護絶縁膜1114、および第1ハードマスク膜1112に形成された下穴に、ビア1119a、ビア1119bが埋め込まれている。第2配線1118aとビア1119a、第2配線1118bとビア1119b、が一体となっている。さらに、第2配線1118aとビア1119a、第2配線1118bとビア1119bの側面乃至底面が第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bによって覆われている。
バリア絶縁膜1107に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線1105aおよび第1配線1105b、第1配線1105aおよび第1配線1105bに挟まれた層間絶縁膜1104、バリア絶縁膜1107の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜1107上に、イオン伝導層1109a、第2電極1110a、整流層1108a、および第3電極1111が順に積層されて、整流素子付3端子スイッチ1122が形成されている。さらに、第3電極1111上に第1ハードマスク膜1112および第2ハードマスク膜1113が形成されている。さらに、イオン伝導層1109a、第2電極1110a、整流層1108a、第3電極1111、第1ハードマスク膜1112および第2ハードマスク膜1113の積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜1114で覆われている。
多層配線層は、バリア絶縁膜1107に形成された開口部にて、第1電極となる第1配線1105c、バリア絶縁膜1107の開口部の壁面、乃至バリア絶縁膜1107上に、イオン伝導層1109b、第2電極1110b、整流層1108bの順に積層した2端子スイッチ1123が形成されており、イオン伝導層1109b、第2電極1110bの積層体の上面乃至側面が、保護絶縁膜1114で覆われている。
第1配線1105aおよび第1配線1105bの一部を、整流素子付3端子スイッチ1122の下部電極とし、第1配線1105cの一部を、2端子スイッチ1123の下部電極とすることで、工程数を簡略化しながら、電極抵抗を下げることができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに追加工程として、少なくとも3PRのマスクセットを作成するだけで、整流素子付3端子スイッチ1122と2端子スイッチ1123を同じ配線層内に搭載することができ、素子の低抵抗化と低コスト化を同時に達成することができるようになる。
整流素子付3端子スイッチ1122は、バリア絶縁膜1107に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層1109aと第1配線1105aおよび第1配線1105bとが直接接している。そして、イオン伝導層1109aの一部を構成する金属が、第1配線1105aおよび第1配線1105bに拡散して、合金層を形成している。
2端子スイッチ1123は、バリア絶縁膜1107に形成された開口部の領域にて、イオン伝導層1109bと第1配線1105cが直接接している。そして、イオン伝導層1109bの一部を構成する金属が、第1配線1105cに拡散して、合金層を形成している。
整流素子付3端子スイッチ1122は、第2電極1110a上に整流層1108aを有し、整流層1108aは上面で第3電極1111に接している。第3電極1111上には、第1ハードマスク膜1112および第2ハードマスク膜1113が残っている。第2ハードマスク膜1113は、残っていなくても良い。
整流素子付3端子スイッチ1122は第3電極1111上にて、ビア1119aと第3電極1111とが第2バリアメタル1120aを介して、電気的に接続されている。
整流素子付3端子スイッチ1122は、整流層1108aを介して、第2電極1110aと第1配線1105aもしくは第1配線1105b間に電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層1109aへの第1配線1105aおよび第1配線1105bを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。この際、整流層1108aにおける電流によってオン抵抗が決まる。
2端子スイッチ1123は第2電極1110b上にて、ビア1119bと第2電極1110bとが第2バリアメタル1120bを介して電気的に接続されている。第2電極1110b上には整流層1108bが残っていても良いし、2端子スイッチ1123の製造工程のエッチング時に除去されても良い。2端子スイッチ1123は、電圧の印加、あるいは電流を流すことで、オン/オフの制御を行い、例えば、イオン伝導層1109bへの第1配線1105cを形成する金属から供給される金属イオンの電界拡散を利用して、オン/オフの制御を行う。
半導体基板1101は、半導体素子が形成された基板である。半導体基板1101には、例えば、シリコン基板、単結晶基板、SOI基板、TFT基板、液晶製造用基板等の基板を用いることができる。
層間絶縁膜1102は、半導体基板1101上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1102には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜1102は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。
Low−k絶縁膜1103は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜1103は、層間絶縁膜1102、1104間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜1103には、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜1103の当該配線溝に、第1バリアメタル1106a、第1バリアメタル1106b、第1バリアメタル1106cを介して、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cが埋め込まれている。
層間絶縁膜1104は、Low−k絶縁膜1103上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1104には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜1104は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜1104には、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜1104の当該配線溝に、第1バリアメタル1106a、第1バリアメタル1106b、第1バリアメタル1106cを介して、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cが埋め込まれている。
第1配線1105aおよび第1配線1105bは、層間絶縁膜1104およびLow−k絶縁膜1103に形成された配線溝に、第1バリアメタル1106aおよび第1バリアメタル1106bを介して埋め込まれた配線である。第1配線1105aおよび第1配線1105bは、整流素子付3端子スイッチ1122の下部電極を兼ねており、イオン伝導層1109aと直接接している。イオン伝導層1109aの上面は、第2電極1110aに直接接している。第1配線1105aおよび第1配線1105bを構成する金属には、イオン伝導層1109aにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線1105aおよび第1配線1105bを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1配線1105cは、層間絶縁膜1104およびLow−k絶縁膜1103に形成された配線溝に、第1バリアメタル1106cを介して埋め込まれた配線である。第1配線1105cは、2端子スイッチ1123の下部電極を兼ねており、イオン伝導層1109bと直接接している。イオン伝導層1109bの上面は、第2電極1110bに直接接している。第1配線1105cを構成する金属には、イオン伝導層1109bにおいて拡散、イオン伝導可能な金属が用いられ、例えば、銅等を用いることができる。第1配線1105cを構成する金属(例えば、銅)は、アルミニウムと合金化されていてもよい。
第1バリアメタル1106a、第1バリアメタル1106b、第1バリアメタル1106cは、バリア性を有する導電性膜である。第1バリアメタル1106a、第1バリアメタル1106b、第1バリアメタル1106cは、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属が層間絶縁膜1104や下層へ拡散することを防止するために、配線の側面乃至底面を被覆する。第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cが銅を主成分とする金属元素からなる場合、第1バリアメタル1106a、第1バリアメタル1106b、第1バリアメタル1106cには、例えばタンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜1107は、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを含む層間絶縁膜1104上に形成される。これにより、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、層間絶縁膜1115中への第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属の拡散を防いだり、第3電極1111、整流層1108a、整流層1108b、第2電極1110a、第2電極1110b、イオン伝導層1109a、イオン伝導層1109bの加工時にエッチングストップ層としての役割を有する。バリア絶縁膜1107には、例えば、SiC膜、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。バリア絶縁膜1107は、保護絶縁膜1114および第1ハードマスク膜1112と同一材料であることが好ましい。
イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bは、抵抗が変化する膜である。第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105c(下部電極)を形成する金属から生成される金属イオンの作用(拡散、イオン伝導など)により、抵抗が変化する材料を用いることができる。オン状態へのスイッチングに伴う抵抗変化を、金属イオンの還元による金属の析出によって行う場合には、イオン伝導可能な膜が用いられる。
イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bはそれぞれ、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cに接する金属酸化物のイオン伝導層と、第2電極1110aおよび第2電極1110bに接するポリマーのイオン伝導層とで、構成される。
イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bのうち、ポリマーのイオン伝導層は、プラズマCVD法を用いて形成する。環状有機シロキサンの原料とキャリアガスであるヘリウムを反応室内に流入し、両者の供給が安定化し、反応室の圧力が一定になったところでRF電力の印加を開始する。原料の供給量は10〜200sccm、ヘリウムの供給は原料気化器経由で500sccm供給する。
イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bのうち、金属酸化物のイオン伝導層は、複数の役割がある。一つは、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属が、ポリマーのイオン伝導層を堆積している間の加熱やプラズマでポリマーのイオン伝導層中に拡散することを防止する役割である。他の一つは、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cが酸化され、ポリマーのイオン伝導層への拡散が促進されやすくなることを防止する役割である。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、チタンは、金属酸化物のイオン伝導層を構成する金属の成膜後にポリマーのイオン伝導層の成膜チャンバー内で減圧下において酸素雰囲気に曝され、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンとなり、イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bの一部となる。金属酸化物のイオン伝導層を形成する金属膜の最適膜厚は、0.5〜1nmである。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜は、積層を形成したり、単層としたりしても良い。金属酸化物のイオン伝導層の形成に使用する金属膜の成膜は、スパッタリングで行うことが好ましい。スパッタリングによりエネルギーを得た金属原子またはイオンは、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cに突入、拡散し、合金層を形成する。
イオン伝導層1109aは、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105aおよび第1配線1105bに挟まれた層間絶縁膜1104、バリア絶縁膜1107の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜1107上に形成されている。
イオン伝導層1109bは、第1配線1105c、バリア絶縁膜1107の開口部に形成されているテーパ面、乃至バリア絶縁膜1107上に形成されている。
第2電極1110aおよび第2電極1110bは、整流素子付3端子スイッチ1122および2端子スイッチ1123の上部電極であり、イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bと直接接している。
第2電極1110aおよび第2電極1110bには、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどを含有したルテニウム合金を使用する。ルテニウムは、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属よりもイオン化しにくく、イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bにおいて拡散、イオン伝導しにくい金属である。ルテニウム合金に添加される、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムは、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属と密着性が良い。第2電極1110aおよび第2電極1110bを構成し、ルテニウムに添加される第1の金属は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムよりも負方向に大きい金属を選択することが望ましい。チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどは、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーがルテニウムより負方向に大きく、ルテニウムに比べて化学反応が自発的に起こりやすいため、反応性が高い。このため、第2電極1110aおよび第2電極1110bを形成するルテニウム合金において、ルテニウムと合金化することで、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属で形成された金属架橋との密着性が向上する。
一方、ルテニウムを含まないチタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムなどの添加金属のみだと、反応性が高くなってしまい、「オフ」状態に遷移しなくなる。「オン」状態から「オフ」状態への遷移は、金属架橋の酸化反応(溶解反応)によって進行するが、第2電極1110aおよび第2電極1110bを構成する金属が、その金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが負方向に第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属よりも大きくなった場合、第1配線1105a、第1配線1105b、第1配線1105cを形成する金属で形成された金属架橋の酸化反応よりも第2電極1110aおよび第2電極1110bを構成する金属の酸化反応が進行するため、「オフ」状態に遷移できなくなる。
このため、第2電極1110aおよび第2電極1110bを構成する金属の形成に使用する金属材料は、金属から金属イオンを生成する過程(酸化過程)の標準生成ギブズエネルギーが銅よりも負方向に小さいルテニウムとの合金とする必要がある。
さらに、第2電極1110aおよび第2電極1110bを構成する金属に金属架橋の成分である銅が混入すると、標準ギブズエネルギーが負方向に大きい金属を添加した効果が薄れる。このため、ルテニウムに添加する金属は銅および銅イオンに対してバリア性のある材料が好ましい。例えば、タンタル、チタンなどである。一方、添加金属の量は大きいほど、「オン」状態が安定化することがわかっており、5atm%の添加によっても安定性が向上することがわかっている。特に添加金属をチタンとした場合にオフへの遷移とオン状態の安定性に優れており、特に第2電極1110aおよび第2電極1110bを構成する金属をルテニウムとチタンの合金とし、チタンの含有率を20atm%〜30atm%の範囲が好ましい。該ルテニウム合金における、ルテニウムの含有比率は、60atm%以上90atm%以下が望ましい。
ルテニウム合金の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて合金を成膜する場合、ルテニウムと第1の金属との合金ターゲットを用いる方法、ルテニウムターゲットと第1の金属のターゲットを同一チャンバー内で同時にスパッタリングするコスパッタ法、予め第1の金属の薄膜を形成し、その上に、スパッタリング法を用いてルテニウムを成膜し、衝突原子のエネルギーで合金化するインターミキシング法がある。コスパッタ法およびインターミキシング法を用いると、合金の組成を変えることができる。インターミキシング法を採用する際には、ルテニウムの成膜を完了した後に、混合状態の「平坦化」のため、400℃以下での熱処理を加えることが好ましい。
第2電極1110aおよび第2電極1110bは、2層構造であることが望ましい。イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bと接する第2電極1110aおよび第2電極1110bがルテニウム合金だとすると、整流層1108aおよび整流層1108bに接する側は整流素子の下部電極となる。金属種は酸化しにくく、加工しやすく、かつ、組成によって仕事関数の調整が可能な金属窒化物、例えば窒化チタンや窒化タンタルを用いることができる。
第2電極1110aおよび第2電極1110bの、整流層1108aおよび整流層1108bとの界面における酸化を抑制できるのであれば、チタンやタンタルを用いても良い。窒化チタン、窒化タンタル、チタン、タンタルはルテニウム合金の上層にスパッタリング法により真空一貫で成膜する。窒化する場合はチャンバー内に窒素を導入し、リアクティブスパッタリング法により窒化物を成膜する。
整流層1108aおよび整流層1108bは双極性の整流効果を有する層であり、印加電圧に対して電流が非線形的に増加する特徴を有する。プール・フレンケル型の絶縁膜や、ショットキー型の絶縁膜、スレッショルドスイッチング型の揮発性抵抗変化膜、などを用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、酸化イットリウム、酸化マンガン、酸化ニオブ、窒化シリコン、炭窒化シリコン、酸化シリコン、非晶質シリコンのいずれかを含む膜を用いることができる。特に非晶質シリコン、窒化シリコン、非晶質シリコンの順で積層とすることで、優れた非線形性が生じる。非晶質シリコンで窒化シリコン膜を挟むことで窒化シリコン膜の一部の組成を化学量論比から窒素欠乏の状態とし、第2電極1110aや第3電極1111とのバリアハイトの差を少なくすることで、高電圧印加時に窒化シリコンにトンネル電流が流れやすくすることができる。この結果、非線形的な電流変化が生ずる。
第3電極1111は整流素子の上部電極となる金属で、例えば、タンタル、チタン、タングステンあるいはそれらの窒化物等を用いることができる。整流素子の電流電圧特性を正・負、両極において対称とするために、第2電極1110aおよび第2電極1110bと同じ材料を用いることが望ましい。また、第3電極1111は、ビア1119aを第2電極1110a上に電気的に接続する場合に、エッチングストップ層としての機能も有する。そのため、層間絶縁膜1115のエッチングに使用するフッ化炭素系のガスのプラズマに対して、エッチング速度が小さいことが好ましい。第3電極1111の形成には、スパッタリング法を用いることが望ましい。スパッタリング法を用いて金属窒化物を成膜する場合、窒素とアルゴンの混合ガスのプラズマを用いて金属ターゲットを蒸発させるリアクティブスパッタ法を用いることが好ましい。金属ターゲットより蒸発した金属は窒素と反応し、金属窒化物となって基板上に成膜される。
第3電極1111は、整流素子を形成する整流素子付3端子スイッチ1122上のみに存在し、2端子スイッチ1123には存在しない。
第1ハードマスク膜1112は、第3電極1111、第2電極1110aおよび第2電極1110b、整流層1108aおよび整流層1108b、イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bをエッチングする際のハードマスク膜兼パッシベーション膜となる膜である。第1ハードマスク膜1112には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。第1ハードマスク膜1112は、保護絶縁膜1114、およびバリア絶縁膜1107と同一材料を含むことが好ましい。
第2ハードマスク膜1113は、第3電極1111、第2電極1110aおよび第2電極1110b、整流層1108aおよび整流層1108b、イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bをエッチングする際のハードマスク膜となる膜である。第2ハードマスク膜1113には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、それらの積層を用いることができる。
第2ハードマスク膜1113の形状により、整流素子付3端子スイッチ1122と2端子スイッチ1123を作り分ける。整流素子付3端子スイッチ1122および2端子スイッチ1123のバリア絶縁膜1107上に、イオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109b、第2電極1110aおよび第2電極1110b、整流層1108aおよび整流層1108b、第3電極1111、第1ハードマスク膜1112、第2ハードマスク膜1113を成膜する。その後、2回のパターニングとエッチングを経て形成した第2ハードマスク膜1113の形状を整流素子付3端子スイッチ1122部に転写する要領で、1つの整流素子を第2電極1110a上に形成している。
すなわち、ウェハ全面に一度、整流素子付3端子スイッチ1122のための積層構造体を成膜し、2端子スイッチ1123を形成したい素子部には整流素子付3端子スイッチ1122における整流素子部を形成するパターニングを行わない(レジストを残さない)ようにする。これにより、2端子スイッチ1123上の第2ハードマスク膜1113を目減りさせる。その後、エッチングを行うことで、2端子スイッチ1123上の第3電極1111を除去することができる。すなわち、整流素子付3端子スイッチ1122上の整流素子が形成されていない箇所と同じ状態となる。2端子スイッチ1123の第2電極1110a上には整流層1108bが残っていても良いし、残っていなくても良い。また、第1ハードマスク膜1112および第2ハードマスク膜1113は、2端子スイッチ1123上には残っていない。
保護絶縁膜1114は、整流素子付3端子スイッチ1122および2端子スイッチ1123にダメージを与えることなく、さらにイオン伝導層1109aおよびイオン伝導層1109bからの酸素の脱離を防ぐ機能を有する絶縁膜である。保護絶縁膜1114には、例えば、窒化シリコン膜、炭窒化シリコン膜等を用いることができる。保護絶縁膜1114は、第1ハードマスク膜1112およびバリア絶縁膜1107と同一材料であることが好ましい。同一材料である場合には、保護絶縁膜1114とバリア絶縁膜1107および第1ハードマスク膜1112とが一体化して、界面の密着性が向上し、整流素子付3端子スイッチ1122および2端子スイッチ1123をより保護することができるようになる。
層間絶縁膜1115は、保護絶縁膜1114上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1115には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜等を用いることができる。層間絶縁膜1115は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜1115は、層間絶縁膜1117と同一材料としてもよい。層間絶縁膜1115には、ビア1119a、ビア1119bを埋め込むための下穴が形成され、当該下穴に第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bを介してビア1119a、ビア1119bが埋め込まれている。
Low−k絶縁膜1116は、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いる。Low−k絶縁膜1116は、層間絶縁膜1115、1117間に介在した誘電率の低い絶縁膜である。Low−k絶縁膜1116には、第2配線1118a、第2配線1118bを埋め込むための配線溝が形成されている。Low−k絶縁膜1116の当該配線溝に、第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bを介して第2配線1118a、第2配線1118bが埋め込まれている。
層間絶縁膜1117は、Low−k絶縁膜1116上に形成された絶縁膜である。層間絶縁膜1117には、例えば、酸化シリコン膜、SiOC膜、酸化シリコン膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)などを用いることができる。層間絶縁膜1117は、複数の絶縁膜を積層したものであってもよい。層間絶縁膜1117は、層間絶縁膜1115と同一材料としてもよい。層間絶縁膜1117には、第2配線1118a、第2配線1118bを埋め込むための配線溝が形成されている。層間絶縁膜1117の当該配線溝に、第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bを介して第2配線118a、第2配線118bが埋め込まれている。
第2配線1118a、第2配線1118bは、層間絶縁膜1117およびLow−k絶縁膜1116に形成された配線溝に第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bを介して埋め込まれた配線である。第2配線1118a、第2配線1118bは、ビア1119a、ビア1119bと一体になっている。
ビア1119aは、層間絶縁膜1115、および保護絶縁膜1114、第1ハードマスク膜1112および第2ハードマスク膜1113に形成された下穴に第2バリアメタル1120aを介して埋め込まれている。ビア1119bは、層間絶縁膜1115、および保護絶縁膜1114に形成された下穴に、第2バリアメタル1120bを介して埋め込まれている。
ビア1119aは、第2バリアメタル1120aを介して第3電極1111と電気的に接続されている。ビア1119bは、第2バリアメタル1120bを介して第2電極1110bと電気的に接続されている。第2配線1118a、第2配線1118bおよびビア1119a、ビア1119bには、例えば、銅を用いることができる。
第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bは、第2配線1118a、第2配線1118b、ビア1119a、ビア1119bの側面乃至底面を被覆する、バリア性を有する導電性膜である。第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bは、第2配線1118a、第2配線1118b(ビア1119a、ビア1119bを含む)を形成する金属が、層間絶縁膜1115、1117や下層へ拡散することを防止する。
例えば、第2配線1118a、第2配線1118b、ビア1119a、ビア1119bが銅を主成分とする金属元素からなる場合には、第2バリアメタル1120a、第2バリアメタル1120bには、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、炭窒化タングステンのような、高融点金属やその窒化物等、またはそれらの積層膜を用いることができる。
バリア絶縁膜1121は、第2配線1118a、第2配線1118bを含む層間絶縁膜1117上に形成された絶縁膜である。バリア絶縁膜1121は、第2配線1118a、第2配線1118bを形成する金属(例えば、銅)の酸化を防いだり、上層への第2配線1118a、第2配線1118bを形成する金属の拡散を防ぐ役割を有する。バリア絶縁膜1121には、例えば、炭窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、およびそれらの積層構造等を用いることができる。
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、1つの整流素子を有する整流素子付3端子スイッチ1122と、整流素子を搭載しない2端子スイッチ1123を、多層配線構造の同一配線中に有する半導体装置を実現できる。本実施形態では、同じ配線層中に同時に、1つの整流素子を有する整流素子付3端子スイッチ1122と2端子スイッチ1123を形成することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)論理回路の信号経路中に設けられた第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を含み、前記第1のスイッチング素子は、整流素子と、抵抗変化素子とを有し、前記第2のスイッチング素子は、前記整流素子を持たず、抵抗変化素子を有し、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とが同一配線層中に形成されている、半導体装置。
(付記2)論理回路の信号経路中に設けられた第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を含み、前記第1のスイッチング素子は、2つの整流素子と、2つの抵抗変化素子とを有し、前記第2のスイッチング素子は、前記2つの整流素子を持たず、前記2つの抵抗変化素子を有し、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とが同一配線層中に形成されている、半導体装置。
(付記3)論理回路の信号経路中に設けられたスイッチング素子であって、2つの整流素子と、2つの抵抗変化素子を有し、前記2つの抵抗変化素子のそれぞれが2つの端子を有し、前記2つの抵抗変化素子における2つの端子のそれぞれの一方の端子が互いに相手と接続され、前記2つの抵抗変化素子の2つの他方の端子の一方が信号の入力端子であり、他方が信号の出力端子であり、前記2つの整流素子のそれぞれの第1電極または第2電極のうち、一方の電極が前記2つの抵抗変化素子の2つの端子のそれぞれの一方の端子と接続され、他方の電極が制御端子となる第1のスイッチング素子と、整流素子を持たず、2つの抵抗変化素子を有し、前記2つの抵抗変化素子のそれぞれが2つの端子を有し、前記2つの抵抗変化素子における2つの端子のそれぞれの一方の端子が互いに相手と接続され、前記2つの抵抗変化素子の共通の制御端子となり、前記2つの抵抗変化素子の2つの他方の端子の一方が信号の入力端子であり、他方が信号の出力端子である第2のスイッチング素子とが、同一配線層中に形成されている、半導体装置。
(付記4)前記第2のスイッチング素子の、前記2つの抵抗変化素子の共通の制御端子を構成する金属の膜厚が、前記第1のスイッチング素子の、前記2つの抵抗変化素子の共通の制御端子を構成する金属の膜厚よりも薄い、付記2又は付記3に記載の半導体装置。
(付記5)前記第2のスイッチング素子の上には、前記第2のスイッチング素子を加工するためのハードマスク膜が残留していない、付記1乃至付記4のいずれか一つに記載の半導体装置。
(付記6)前記整流素子は非晶質のシリコン、窒化シリコンが主成分である整流層を有している、付記1乃至付記5のいずれか一つに記載の半導体装置。
(付記7)前記抵抗変化素子は、内部において金属イオンが移動可能で、金属架橋が形成することが可能なイオン伝導層を有している、付記1乃至付記5のいずれか一つに記載の半導体装置。
(付記8)前記抵抗変化層が、電界に従って金属イオンを伝導するイオン伝導体であり、少なくともシリコン、酸素、炭素を主成分とし、比誘電率が2.1以上3.0以下である膜を含む、付記1乃至付記5のいずれか一つに記載の半導体装置。
(付記9)第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子とを同時に形成する半導体装置の製造方法であって、前記第1のスイッチング素子は、整流素子と、抵抗変化素子とを含んでおり、前記第2のスイッチング素子は、前記整流素子を持たず、抵抗変化素子を含んでおり、前記抵抗変化素子を形成する電極及び抵抗変化層を成膜し、前記整流素子を形成する電極及び整流層を成膜し、前記第1のスイッチング素子を形成するハードマスクには、前記抵抗変化素子と前記整流素子を構成する第1のパターンを形成し、前記第2のスイッチング素子を形成するハードマスクには、前記抵抗変化素子を構成する第2のパターンを形成し、前記第1のパターン及び前記第2のパターンを形成したハードマスクを用いて、前記整流層及び前記抵抗変化層を同時にエッチングする、半導体装置の製造方法。
(付記10)前記ハードマスクに前記第1のパターンを形成する箇所においては、前記整流素子のパターンをフォトレジストに形成するための露光と、該フォトレジストを使用したエッチングを行った後、前記抵抗変化素子のパターンをフォトレジストに形成するための露光と、該フォトレジストを使用したエッチングを行い、前記ハードマスクに前記第2のパターンを形成する箇所においては、前記整流素子のパターンをフォトレジストに形成するための露光は行わず、前記抵抗変化素子のパターンをフォトレジストに形成するための露光と、該フォトレジストを使用したエッチングを行う、付記9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)第1のスイッチング素子は、2つの整流素子を含んでおり、前記第1のスイッチング素子を形成するハードマスクに、前記抵抗変化素子と前記2つの整流素子を構成する第1のパターンを形成し、前記第1のパターン及び前記第2のパターンを形成したハードマスクを用いて、前記整流層及び前記抵抗変化層を同時にエッチングする、付記9又は付記10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)前記第1のパターン及び前記第2のパターンを形成したハードマスクを用いた、前記整流層のエッチングにより、第2のスイッチング素子が形成される領域に位置する前記整流層の上の電極が除去される、付記9乃至付記11のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)前記第1のパターン及び前記第2のパターンを形成したハードマスクを用いた、前記整流層のエッチングを経ても、第2のスイッチング素子が形成される領域に位置する前記整流層は残存している、付記12に記載の半導体装置の製造方法。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2016年7月1日に出願された日本出願特願2016−131469号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。