(実施形態)
図1は、実施形態の電力需給管理システムの構成例を示した図である。図1に示される例では、電力自由化時の電力システム全体を示している。本実施形態においては、電力取引支援装置として、蓄電池の制御を行う需給管理サーバ100に適用した例について説明するが、電力の取引を行う装置であれば、他の装置であっても良い。
図1に示されるように、電力需給管理システムは、需給管理サーバ100と、メータ管理サーバ103と、発電システム104と、事前調達電力サーバ105と、蓄電池を設けた需要家101と、蓄電池を設けていない需要家102と、電力市場サーバ180と、気象データサーバ181と、を備えている。
発電事業者の発電システム104で発電された電力が、電力系統ネットワーク152を介して各需要家101、102の各々に供給される。本実施形態の電力需給管理システムは、発電システム104を含む配電系統から供給される電力を、需要家101の蓄電池121で充放電制御することで、電力の需要調整を行う。
図1に示されるように、発電システム104から、電力系統ネットワーク152を介して需要家101、102に電力が供給されている。本実施形態においては、スマートメータ111、112は、全ての需要家に配置される。このため、蓄電池を設けられたか否かにかかわらず、需要家の消費電力を計測できる。
蓄電池を設けていない需要家102の消費電力は、需要家102_1、102_2、…、102_m毎に設けられているスマートメータ112_1、112_2、…、112_m(以下、スマートメータ112とする。)毎に計測されている。
蓄電池を設けた需要家101の消費電力は、需要家101の各々に設けられているスマートメータ111_1、111_2、111_3、…、111_n(以下、スマートメータ111とする。)毎に計測されている。
スマートメータ112及びスマートメータ111で計測された電力は、30分毎にAMI網(スマートメータ網)153を介して、配電事業者のメータ管理サーバ103に通知される。
一般的な電力小売事業者は、30分毎に計測されたスマートメータ111、112のデータを、電力システム事業者間ネットワーク154を介して、配電事業者から取得できる。本実施形態では、配電事業者のメータ管理サーバ103が収集したデータが、電力システム事業者間ネットワーク154を介して電力小売事業者の需給管理サーバ100に送信される。
そして、本実施形態の需給管理サーバ100は、配電系統から供給される電力を消費する需要家のうち、蓄電池121が設けられた需要家101の蓄電池121を制御することで、電力の需要調整を行う。本実施形態の需給管理サーバ100は、スマートメータ111、112による30分単位の計測データに基づいて、電力の需要調整を行う。
電力市場サーバ180は、電力システム事業者間ネットワーク154を介して配電事業者、発電事業者、小売事業者が設けた電力取引用のサーバと接続されている。これにより、配電事業者、発電事業者、小売事業者は、1日前市場、時間前市場、及びネガワット市場における電力の取引が可能となる。
1日前市場、時間前市場における電力取引は、発電事業者が販売電力を入札し、小売事業者又は配電事業者が、当該電力を購入する。ネガワット市場は、需要家が配電系統(例えば発電システム104)から受電する予定であった電力を、当該需要家が使用せずに、他の需要家に融通する、ネガワットの売買を行う市場である。
本実施形態は、需要家101に設置された蓄電池121を用いて、ネガワットを創出する。つまり、需要家101が発電システム104から受電する予定であった電力の代わりに、予め充電した蓄電池121からの放電を用いることで、受電する予定であった電力を他の需要家に融通することとした。
このように、蓄電池121を使用したネガワットの場合、自家消費分が放電分と等しくなるため、放電電力を計量することで正確なネガワット量を把握することが可能である。
次に、需給管理サーバ100について説明する。図2は、本実施形態の需給管理サーバ100の構成を例示した図である。図2に示されるように、需給管理サーバ100は、第1の通信I/F201と、第2の通信I/F202と、第3の通信I/F203と、制御部204と、メータ情報記憶部205と、充放電パターン管理データベース206と、を備えている。
第1の通信I/F201は、電力システム事業者間ネットワーク154と接続するための通信I/Fとする。これにより、第1の通信I/F201は、電力市場サーバ180、事前調達電力サーバ105、メータ管理サーバ103と、の間で通信可能となる。
第1の通信I/F201は、1日前市場、時間前市場、ネガワット市場、それぞれの電力の売買のためのデータ交換・通信を、電力市場サーバ180と行う。
また、第1の通信I/F201は、事前(例えば数ヶ月前)に(発電システム104)の発電事業者から購入するベースとなる電力の売買取引を行うためのデータ交換・通信を、事前調達電力サーバ105と行う。
また、第1の通信I/F201は、配電事業者が収集しているスマートメータの電力値等を取得するためのデータ交換・通信を、メータ管理サーバ103と行う。
第2の通信I/F202は、気象予報機関による気象データサーバ181から、気象データ(気温・湿度など)を受信する。第2の通信I/F202が受信するデータは、気象データサーバ181から送信される気象データに制限するものではなく、需要予測を行うために有効なデータであれば良い。
第3の通信I/F203は、蓄電池121に対して充放電制御の指示を送信するためのインターフェースとする。
メータ情報記憶部205、及び充放電パターン管理データベース206は、需給管理サーバ100の図示しない記憶部(例えばHDD)に設けられる。
メータ情報記憶部205は、メータ管理サーバ103から受信した、需要家101、102各々に設けられたスマートメータ111、112による計測データ(電力値等)を記憶する。
充放電パターン管理データベース206は、充放電パターン算出部213により生成された充放電パターンを管理するためのデータベースとする。
需給管理サーバ100においては、制御部204に設けられた、図示しないプロセッサが、図示しない記憶部(例えばHDD)に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御部204は、需要予測部211と、価格情報取得部212と、充放電パターン算出部213と、充放電パターン選択部214と、売買要求送信制御部215と、充放電制御部216と、を実現する。
需要予測部211は、需要予測を行うために受信したデータ(例えば、気象データ)、及びメータ情報記憶部205に記憶された計測データと、に基づいて、電力市場枠30分単位で1日48個の予め定められた単位時間(以下、時間枠と称す。)の各々について、総需要の予測を行う。
価格情報取得部212は、需要予測部211に予測された1日の総需要に基づいて、1日前市場で電力の売買が行われる、0時から24時について、30分単位の48個の時間枠の各々について、市場価格を予測した市場予測価格を取得する。本実施形態においては、需要予測部211に予測された1日の総需要に基づいて、価格情報取得部212が市場予測価格を算出することで取得する例について説明するが、市場予測価格を外部装置から取得しても良い。
本実施形態においては、1日前市場において電力の売買を行うために、1日の市場予測価格を取得する例について説明するが、1日の市場予測価格を取得することに制限するものではなく、電力の売買を行うための所定期間内であれば良い。また、本実施形態においては電力市場で電力の売買が可能な時間枠30分単位で市場予測価格を取得する例について説明するが、30分単位に制限するものではなく、電力の売買が可能な単位時間毎であればよい。
また、価格情報取得部212は、事前調達電力サーバ105から電力を購入した時における、30分単位の48個の時間枠の各々について事前調達電力価格を取得する。
図3は、事前調達電力価格と、本実施形態の価格情報取得部212により算出された、1日当たりの市場予測価格と、の一覧を示した図である。図3に示されるように、一日において30分単位の時間枠が設けられている。時間枠には、それぞれ番号1〜48が示されている。開始時刻は、時間枠の開始時刻を示している。終了時刻は、時間枠の終了時刻を示している。
事前調達電力価格は、事前調達電力サーバ105との間で事前に調達された電力の価格とする。事前調達電力価格は、一般的に長期的・包括的な契約となるため、時間による価格変動は少ない。
市場予測価格は、本実施形態の価格情報取得部212により算出された、1日前市場で売買される電力の時間枠毎の予測価格とする。市場予測価格は、1日前市場の購入(前日10:00まで購入できる)の判断に使用するために用いられるため、前日10時前に行った予測価格である。市場予測価格は、直近の需要変動予測を反映した価格となるため、変動が大きく需要が増加する。例えば、日中では高額の傾向となり、夜間では低額の傾向となる。
本実施形態の需給管理サーバ100は、事前調達電力価格が安い時間帯で蓄電池121に充電するよう制御し、市場予測価格が高い時間帯において充電した電力をネガワットとして販売する制御を行う。これにより、価格差を収益として得ることが可能であると共に、需要が高い時間帯において電力市場に対して電力を供給することができる。
同様に、需給管理サーバ100は、市場価格が安い時間帯で蓄電池121に充電するよう制御し、事前調達電力価格が高い時間帯で蓄電池121に充電した電力を使用するよう制御する。これにより、事前調達電力価格が高い時間帯における、事前調達電力量を調整(削減)できるので、電力の購入コストを削減できる。
充放電パターン算出部213は、1日に含まれる時間枠(単位時間)の各々について、蓄電池121に蓄電する蓄電時間と、蓄電池121に蓄電された電力を放電する放電時間と、電力の充電及び放電を行わない空き時間とを当てはめた充放電パターンを複数生成する。そして、充放電パターン算出部213は、生成した充放電パターンを、充放電パターン管理データベース206に記憶させる。
さらに、充放電パターン算出部213は、充放電パターン毎に、充放電パターンに従って電力の蓄電するための電力の購入又は放電する電力を販売した場合における、事前調達電力価格、及び市場予測価格の差に基づいた利益に関する情報を算出する。本実施形態の利益に関する情報は、ネガワットとして電力の販売又は購入するための情報であって、ネガワットとして販売した場合の利益の他に、節約費用等が含まれている。
まず、蓄電池121に蓄電する蓄電時間と、蓄電池121に蓄電された電力を放電する放電時間と、について説明する。図4は、本実施形態の需給管理サーバ100における電力を充放電した場合の一例を示した図である。図4に示される例では、時間枠毎に事前調達電力価格を示した一覧401と、時間枠毎に市場予測価格を示した一覧402と、が示されている。図4に示す例では、蓄電池121を介して、時間枠t1で購入した電力を、時間枠t2で販売していることを示している。
図4に示される例では、本実施形態の需給管理サーバ100が、時間枠t1において事前調達電力価格aで購入した電力を需要家101の蓄電池121に充電させ、時間枠t2において需要家101で蓄電池121に蓄電された電力を放電することで、当該時間枠で使用する予定の電力をネガワットとして市場予測価格bで販売する処理を行う。図4に示される例では、a×(1―Lcd)<bを満たした場合に収益が得られる。なお、時間枠t1における事前調達電力価格a、時間枠t2における市場予測価格b、時間枠t1〜時間枠t2までの間の充放電ロス率Lcdとする。
図4に示される例では、事前に調達した調達電力を充電し、短期市場である1日市場において市場電力として販売する例について説明した。本実施形態においては、このような電力の売買に制限するものではない。例えば、1日市場で購入した市場電力で蓄電池121を充電し、事前に購入した調達電力の代わりに放電する手法も考えられる。つまり、市場価格が安い場合に、当該市場価格による市場電力を購入して、調達電力をキャンセルすることで、売買コストを削減することができると共に、電力市場の需要を満たすことができる。なお、電力市場の取引は、販売価格を指定した登録による取引となる。従って、市場予測価格が外れた場合には、取引自体が成立しないことになる。このため、より高い精度で市場価格の予測が必要になる。
本実施形態の需給管理サーバ100は、このような充放電の組み合わせ(充放電パターン)を事前に用意しておき、当該充放電パターンに従った市場電力の売買を、1日前市場に対して行う必要がある。
図5は、需給管理サーバ100により生成された充放電パターンを例示した図である。図5に示される充放電パターンにおいては、“充”は、充電を行う時間枠、換言すれば電力を事前調達電力価格で購入する時間枠とする。“放”は、放電を行う時間枠、換言すれば電力を市場予測価格で販売する時間枠とする。“−”は充電も放電も行わない時間枠、換言すれば電力の販売及び購入を行わない時間枠とする。
本実施形態においては、蓄電池121に予め売買するための容量を設けておく。そして、充電する時間枠(30分)において当該容量全てについて充電が行われ、放電する時間枠(30分)において、当該容量全てについて放電が行われる。さらに、一つの時間枠内で、充電と放電とを行わないものとする。
また充電した電力を電力市場で販売する方法は、ここではネガワットを前提とした。ネガワットとは、予め蓄電池に充電されている電力を自家消費することで、元々系統から受電し使用する予定であった電力を他に融通する電力のことである。系統への電力の送出は逆潮流と呼ばれ一般的には禁止されている。ネガワットとして取引を行う理由は、蓄電池の電力を逆潮流させずに取引を行うことを前提としたためである。
また、図5に示される例では、矢印501、502に示されるように、放電を行う前に、予め蓄電池121に対して充電が行われているものとする。本実施形態の需給管理サーバ100は、充放電による電力取引の収益・節約効果が高くなる充放電パターンの生成が必要となる。
図6は、充放電パターン算出部213が充放パターンを生成するための検索手法を例示した図である。図6に示されるように、充放電パターン算出部213は、時間枠1〜48の各々ついて、“充”(充電)、“放”(放電)、“−”(充電も放電も行わない)を当てはめていく。
最初の時間枠“1”では、充電を行うか、充電及び放電を行わないか、の2通りの選択肢が存在する。次に、時間枠2では、時間枠“1”が「充」の場合の選択肢として“放”か“−”の2通りの選択肢が存在し、「−」の場合の選択肢として“充”か“−”の2通りの選択肢が存在する。
時間枠“3”以降においては、前の時間枠が“充”の場合には“放”又は“−”を当てはめ、前の時間枠が“放”の場合には“充”又は“−”を当てはめる。また、前の時間枠が“−”の場合には最後に実行した充放電が“充”であれば“放”又は“−”を当てはめ、“放”であれば“充”又は“−”を当てはめる。つまり、どのような状況においても、時間枠が一つ進む毎に2通りの選択肢が存在する。
ただし、時間枠“47”から最後の時間枠“48”に移る場合に、翌日も今日と同様の状態、換言すれば蓄電池121において、売買するための容量を空けた状態で開始できるよう(つまり“充”か“−”で開始できるよう)に、充電した状態で終わらないように調整する必要がある。そこで、時間枠“47”が“充”の場合には、時間枠“48”が“放”となり、時間枠“47”が“放”の場合には、時間枠“48”が“−”となる。
従って、48個の時間枠による充放電パターンは、時間枠1〜47までが2分岐となり、時間枠47と時間枠48との間は分岐無しの構成(2分木ツリー)で示される。このような場合、充放電パターンは2^47=約140兆通りとなる。
次に充放電パターン毎に得られる利益について説明する。式(1)は、充放電パターンで得られる合計利益Pr_sumを示している。CG(1)〜CG(48)は、時間枠毎に充電を行うか否かを示したパラメータとし、充電が行われる場合には“1”が設定され、充電が行われない場合には“0”が設定される。DG(1)〜DG(48)は、時間枠毎に放電を行うか否かを示したパラメータとし、放電が行われる場合には“1”が設定され、放電が行われない場合には“0”が設定される。また、事前調達電力価格Pp(1)〜Pp(48)、市場予測価格Mp(0)〜Mp(48)とする。充放電ロス率Lcdとする。なお、式(1)で示される例では、充放電ロス率Lcdを考慮しているが、充放電ロス率Lcdを考慮しない手法を用いても良い。
Pr_sum=Σ{DC(i)×Mp(i)−CG(i)×Pp(i)÷(1−Lcd)} (i=1〜48)……(1)
上述したように、充放電パターンは約140兆通り存在する。そして、全ての充放電パターンに対して式(1)から合計利益Pr_sumを算出し、合計利益Pr_sumが最も大きい充放電パターンを選択すれば、最も収益が得られる充放電を行うことができる。
上述した実施形態においては、充放電ロス率Lcdを考慮した場合について説明した。しかしながら、他のパラメータを考慮しても良い。例えば、蓄電池121には充放寿命回数が設定されているため、当該充放寿命回数を考慮してもよい。次に充放電寿命回数を検討した場合について説明する。本実施形態においては、充放電寿命回数Ncdに基づいた、蓄電池121における1回の充放電のコストをBcdとする。充放電コストBcdは、Bp÷Ncdから算出される。なお、蓄電池121の価格をBpとする。
そして、蓄電池121のコストを含めて利益を得るためには、式(2)を満たす必要がある。なお、事前仕入を行った時間枠i1、市場に販売を行った時間枠i2とする。
Mp(i2)>{Pp(i1)÷(1−Lcd)}+Bcd……(2)
このように、充放電ロス率Lcdを考慮した事前調達電力価格に、充放電コストBcdを加算した価格よりも、市場予測価格が高いことが取引を行う条件となる。
本実施形態においては、上述した状況を考慮した上で、最適な(収益最大となる)充放電パターンの算出を行う必要がある。
図7は、本実施形態の需給管理サーバ100における電力売買の一例を示した図である。図7に示される例では、電力を売買する市場が逆の場合を示している。つまり、図7で示される例は、時間枠t3において市場予測価格cで購入した電力を蓄電池121に充電させ、事前調達電力価格dで購入した電力を使用する予定であった時間枠t4において蓄電池121に蓄電された電力を、ネガワットとして放電している。
つまり、電力市場において市場予測価格が安いタイミングで電力を充電し、調達電力を使用する予定だった時間でネガワットとして放電する例である。電力市場での販売ではないため直接的な収入ではないが、安価に充電した市場電力を、調達電力が高い時間で利用することで、経費の節約を実現できる。具体的には、式(3)で表すことができる。
Saving=Σ{DC(i4)×Pp(i4)−CG(i3)×Mp(i3)÷(1−Lcd)} (i=1〜48)……(3)
式(3)においても、上記と同様に、Pp(i4)>{Mp(i3)÷(1−Lcd)}+Bcdを満たす必要がある。なお、市場で購入を行った時間枠i3、事前仕入れを行った時間枠i4とする。
また、図7で示される例では、時間枠t5において事前調達電力価格eで購入された調達電力で充電し、時間枠t6において市場予測価格fでネガワットとして市場販売しているものとする。このように複数の態様を組み合わせても良い。
本実施形態における態様として、調達電力で充電し、ネガワットとして市場で販売する例と、市場電力を購入充電し、調達電力として消費する例について説明した。前者は価格差を収益とし、後者は価格差を節約として収益を創出する。
上述した手法においては、48個の時間枠全てを用いた場合、充放電パターンが140兆通りとなる。140兆通りの充放電パターンの各々についてコストを算出し、効果が最も高くなる充放電パターンを選択するためには、非常に高い演算能力が求められる。通常のPCやサーバで演算を行う場合には、数時間〜数日の時間が必要になると考えられる。翌日の需要状況や市場価格状況に基づいて市場予測価格等を予測しつつ、かつ翌日の市場取引を行うための1日前市場の締切である前日10時に間に合うように充放電パターンを生成するために演算時間の短縮が求められる。例えば、10時の30分〜1時間前から演算を開始し、10時までに演算結果が算出されるよう、30分前後で計算が完了するのが望ましい。
そこで、本実施形態の充放電パターン算出部213では、演算を高速化するためにいくつかの手法を用いることとした。
図8は、本実施形態の充放電パターン算出部213により用いられる高速化手法の一例を示した図である。図8に示される例では、48個の時間枠が示されている。上述したように、事前調達電力を時間枠iで充電し、時間枠jで1日前市場で販売することで、得られる収益(充放電ロス、及び蓄電池の充放電コストを考慮した収益とする。また、収益が得られない場合は0とする)を、Pr(i,j)とする。この場合、時間枠taが関わる収益パターンPr−taは、以下の式(4)で示すことができる。
Pr−ta={Pr(1,ta),Pr(2,ta),…,Pr(ta−1,ta),Pr(ta,ta+1),Pr(ta,ta+2),…,Pr(ta,47),Pr(ta,48)}…(4)
時間枠taの収益パターンPr−taのうち収益の最大値をPr−tamaxとする。そして、Pr−tamax=0となる場合、換言すれば時間枠taに係る収益パターンで収益が得られない場合、時間枠taを充放電パターンの最大収益の検索から除外して良いことになる。
つまり、充放電パターン算出部213は、140兆通りの売買パターンを全て検索するのではなく、事前に時間枠t=1〜48の各々に対してPr−tamaxを算出し、除外できる時間枠を抽出する。時間枠を抽出するための演算は、時間枠48×時間枠48枠の収益を求める演算であるため、演算負荷は非常に軽くなる。
例えば、市場予測価格と事前調達電力価格が、ほぼ等しい場合、上記の事前処理を行うことで、多くの時間枠を演算対象から除外することができると考えられる。仮に、時間枠が30個程度に削減できた場合、売買パターンの数は、2^29=約5.3億通りとなる。このように、140兆通りの場合に比べて、演算負荷及び演算に要する時間の短縮を実現できる。
上述した例は、事前調達電力で蓄電池121を充電し、放電により電力市場でのネガワット販売を想定した場合について説明した。しかしながら、上述したように、時間枠iにおいて電力市場で購入した電力で蓄電池121を充電し、時間枠jで蓄電池121を放電することで得られる節約額(充放電ロス、及び蓄電池の充放電コストを考慮した節約額とする。なお、節約額が得られない場合は0とする)を、Sv(i,j)とする。そして、時間枠taにおける節約の最大値Sv−tamax=0となる場合、充放電パターン算出部213は、時間枠aを、節約額が最大となる充放電パターンの演算の際に除外する。
同様に、収益又は節約額の合計が最大となる充放電パターンを検索する場合、Pr−tamax AND Sv−tamax=0が成立する場合に、時間枠taを、充放電パターンの演算の際に除外する。
このように、充放電パターン算出部213は、1日に含まれる時間枠の各々のうち、当該時間枠における事前調達電力価格及び市場予測価格のうちいずれか一つ以上に基づいて、当該時間枠について、蓄電池121に蓄電する蓄電時間、蓄電池121から放電する放電時間、及び蓄電及び放電を行わない空き時間を当てはめる対象から除外する。
本実施形態の充放電パターン算出部213は、上述した処理で、検索対象から所定の時間枠を除外することで、充放電パターンの演算の高速化、及び演算負荷の軽減を実現できる。
図9は、本実施形態の充放電パターン算出部213により用いられる高速化手法の一例を示した図である。図9で示す例では、さらに、詳細に検索が不要な充放電パターンを除外する手法が示されている。図9で示される例では、矢印901は、時間枠“1”で充電し、時間枠“3”で放電する例が示されている。この場合、収益Pr(1,3)として示すことができる。
本実施形態の充放電パターン算出部213は、収益Pr(1,3)>0、換言すれば収益を得られると判断した場合には、2分岐による検索をさらに進める。
また、図9で示される例では、矢印902は、時間枠“5”で充電し、時間枠“7”で放電する例が示されている。そして、充放電パターン算出部213は、収益Pr(5,7)=0、換言すれば収益を得られないと判断した場合には、2分岐による検索を停止する。換言すれば、時間枠“5”で充電し、時間枠“7”で放電する状況では、利益が得られないので、以降の時間枠“8”〜時間枠“48”の探索は省略される。
このように、本実施形態の充放電パターン算出部213は、検索時において充放電が行われる毎に収益が生じているか否かを判断し、収益が生じていないと判断した場合には、以降の2分岐検索を停止する。これにより、充放電パターンの検索数を削減し、収益が最も高い充放電パターンの検索の高速化を図ることができる。
また、本実施形態においては、図8に示した所定の時間枠を除外する処理と、図9に示した所定の時間枠以降の検索処理を省略する処理と、を組み合わせる例について説明するが、いずれか一つのみ行っても良い。
本実施形態の充放電パターン算出部213は、図8に示した所定の時間枠を除外する処理と、図9に示した所定の時間枠移行の検索処理を省略する処理と、を行った場合であっても、充放電パターンの検索数が多く、1日前市場の取引に間に合わなくなる状況も考えられる。
そこで、本実施形態の充放電パターン算出部213は、図8に示した所定の時間枠を除外する処理と、図9に示した所定の時間枠移行の検索処理を省略する処理と、を行っても検索数が多く、さらに演算負荷の軽減が必要な場合、以下に示す処理を行う。
本実施形態においては、時間枠1〜48を分割して、分割された時間枠毎に、充放電パターンを検索することとした。
図10は、時間枠1〜48を、3個の分割時間枠1001、1002、1003に分割した例を示した図である。図10に示される分割時間枠1001は時間枠1〜aとし、分割時間枠1002は時間枠a+1〜bとし、分割時間枠1003は時間枠b+1〜48とする。
分割時間枠毎の充放電パターンの検索数は以下の通りとなる。以下に示す例では、分割時間枠1001の検索数を、Pattern(1,a)とし、分割時間枠1002の検索数を、Pattern(a+1,b)とし、分割時間枠1003の検索数を、Pattern(b+1,48)とする。
Pattern(1,a)=2^(a−1)
Pattern(a+1,b)=2^(b−a−1)
Pattern(b+1,48)=2^(48−b−1)
そして、48個の時間枠が均等に3分割された場合には、a=16、b=31となるため、Pattern(1,16)=Pattern(17,31)=Pattern(32,48)=2^15=32,768となる。この場合、充放電パターンの数が少なく、高速な検索を実現できる。
しかしながら、分割時間枠単位で検索がなされるため、分割時間枠間をまたがった電力の売買ができない。このため、最も利益又は節約額が高くなる充放電パターンを導き出せない可能性がある。そこで、本実施形態の充放電パターン算出部213は、適切な分割時刻を導出することとした。
図11は、本実施形態の充放電パターン算出部213による時間枠の分割手法を説明する図である。図11を用いて分割時刻の特定手法を説明する。
まず、充放電パターン算出部213は、時間枠1〜48の各々について、当該時間枠における市場予測価格と、事前調達電力価格と、に基づいた利益Pr(1,1),Pr(2,2),Pr(3,3),…,Pr(47,47),Pr(48,48)を算出する。
その後、充放電パターン算出部213は、利益が高いものからN個の利益Pr(x、x)を抽出する。本実施形態においては、N=4とする。そして、図11に示される例では、利益Pr(24,24),Pr(25,25),Pr(27,27),Pr(29,29)が抽出された例とする。
そして、充放電パターン算出部213は、抽出された利益に対応する時間枠のうち、最も遅い時間枠の後を、分割時刻として設定する。そして、充放電パターン算出部213は、時間枠1〜48を2つに分割する。図11に示される例では、時間枠29の後が、分割時刻となる。そして、充放電パターン算出部213は、時間枠1〜48を、第1の分割時間枠1101と、第2の分割時間枠1102と、に分割する。
ところで、利益が高い時間枠は、日中12時〜15時の需要の不確定性の高いところで発生する特性がある。本実施形態では、当該時間枠が、時間枠1〜48の中央であることを考慮して、当該時間枠の後を分割時刻とすることとした。利益が高い時間枠は、充放電が集中している可能性が高いため、すでに充電した電力も、抽出された時間枠で放電される可能性が高い。このため、抽出された時間枠の後を分割時刻とすることで、適切な充放電を実現すると共に、充放電パターンを算出するための演算量を軽減することが可能となる。
なお、本実施形態はN=4の場合について説明したが、N=4に制限するものではなく、他の数値でも良い。例えば、N=1としてもよい。この場合、収益Pr(x,x)が最大となる時間枠xの後を分割時刻とする。
上述した説明は、収益を最大にする場合について説明したが、同様に節約を最大にする場合においても適応できる。同様に、収益の最大にする場合と、節約を最大にする場合と、を組み合わせた場合においても同様の手法を用いることができる。
図11で示したような分割処理を行った場合であっても、分割時刻が偏っていれば、充放電パターンの演算に処理負荷が大きくなることも考えられる。このような場合には、さらなる高速化手法が必要となる。
図12は、本実施形態の充放電パターン算出部213による分割時間枠に含まれる時間枠を取り除く手法を説明する図である。図12に示される例では、分割時刻が時間枠“34”の後と偏っていたために、第1の分割時間枠1201が第2の分割時間枠1202と比べて長くなったため、充放電パターンの演算の負荷が大きくなった場合とする。
つまり、分割時刻が時間枠“34”の後の場合には、第1の分割時間枠1201の充放電パターンの検索には、2^33=約86億通りの検索が必要となる。このような場合には、目標時間内の計算が終わらない可能性がある。そこで、充放電パターン算出部213は、第1の分割時間枠1201から時間枠を取り除くことで、演算時間を短くすることとした。
充放電パターン算出部213は、第1の分割時間枠1201内の時間枠1〜34毎に、当該時間枠iで電力を売買した場合の利益Pr(i,i)(i=1〜34)を算出し、当該利益Pr(i,i)(i=1〜34)の平均値Pr−ave(1,34)を算出する。
そして、充放電パターン算出部213は、時間枠1〜34のうち、平均値Pr−ave(1,34)に近い収益Pr(i,i)の時間枠iを所定数だけ取り除く。所定の数Mは、検索のパターンの数に基づいた演算処理が、目的時刻前に終わるように充放電パターン算出部213により設定される。例えば、M=3とする。目的時刻とは、1日前市場による取引が終了する前の時刻とする。
そこで、充放電パターン算出部213は、図12に示されるように、時間枠1211、1212、1213を検索対象から取り除く。そして、充放電パターン算出部213は、31個の時間枠で充放電パターンの検索を行うことで高速化を実現できる。
つまり、収益Pr(i,i)が平均値Pr−ave(1,34)に近い時間枠は、充電及び放電を行わない時間となる可能性が高いため、検索対象から除外する処理を行うものとした。これにより、充電及び放電を行わない可能性がある時間を検索対象から取り除くことで、高速化を図りつつ、収益の大きい充放電パターンの生成を実現できる。
また、上述した手法では、分割期間から取り除く時間枠を特定するために、平均値Pr−aveを用いる場合について説明した。しかしながら、分割期間から取り除く時間枠を特定する手法を、平均値Pr−aveを用いる手法に制限するものではなく、例えば、分割時間枠1〜34の範囲内の市場予測価格及び事前調整価格の最大値・最小値間の中間値を求め、中間値に近い時間枠を除外する手法を用いても良い。さらには、分割時間枠1〜34内の市場予測価格及び事前調整価格の分布から充放電枠となる可能性の低い時間枠を取り除く手法を用いても良い。
図11及び図12に示される例では、説明を容易にするため、予め時間枠が取り除かれていない場合について説明した。しかしながら、図11及び図12に示される手法は、図8で示した時間枠を取り除く処理や、図9で示した検索不要な充放電パターンを取り除いた後に行っても良い。これにより、さらなる高速化と演算負荷の軽減を実現できる。そして、充放電パターン算出部213は、検索された充放電パターン毎に利益に関する情報(利益及び節約額)を算出する。算出された利益に関する情報は、充放電パターン管理データベース206に登録される。
充放電パターン選択部214は、充放電パターン管理データベース206に記憶された充放電パターン毎の利益(電力の売買コスト)に基づいて、複数生成された充放電パターンのうちいずれか一つを選択する。
売買要求送信制御部215は、選択された充放電パターンに基づいて時間枠毎に設定された蓄電池121に対する充電及び放電に従って、電力市場サーバ180の1日前市場に対して電力の販売及び購入要求を、第1の通信I/F201を介して送信する。
充放電制御部216は、選択された充放電パターンに基づいた充電又は放電の指示を、第3の通信I/F203を介して、蓄電池121の需要家101に対して送信する。さらに、充放電制御部216は、メータ情報記憶部205に記憶された需要家101の計測データに基づいて、需要を考慮した蓄電池121の制御を行っても良い。本実施形態においては、蓄電池121から放電された電力は、需要家101内で消費可能な例として説明した。
次に、本実施形態の需給管理サーバ100の1日前市場に対して電力の売買を行うまでの処理について説明する。図13は、本実施形態の需給管理サーバ100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
まず、需要予測部211は、気象データサーバ181から受信した気象データ、及びメータ情報記憶部205に記憶された計測データと、に基づいて、電力市場枠30分単位で1日48個の時間枠の各々について、総需要の予測を行う(S1301)。
次に、価格情報取得部212は、総需要の予測に基づいて、1日前市場による時間枠毎の市場予測価格を算出する(S1302)。さらに、価格情報取得部212は、事前調達電力価格も取得しておく。
充放電パターン算出部213は、1日の時間枠毎に、当該時間枠と、当該時間枠以外の時間枠との間で電力を売買した際に、利益=0及び節約額=0が成立する場合に、当該時間枠を、充放電パターンの生成対象から取り除く(S1303)。
充放電パターン算出部213は、2分岐で検索を行って、充放電パターンの検索数を算出する際に、当該充放電パターンの所定の時間枠で行われた電力の販売又は購入で利益=0又は節約額=0となる場合に、所定の時間枠以降の検索を停止し、当該充放電パターンを選択候補から取り除く(S1304)。
そして、充放電パターン算出部213は、S1304で検索される充放電パターンの検索数に基づいて、所定の時間内に終了するか否かを判定する(S1305)。所定の時間内に終了すると判定した場合(S1305:Yes)、検索処理を行った後、S1311に遷移する。
一方、所定の時間内に終了しないと判定した場合(S1305:No)、充放電パターン算出部213は、時間枠毎の利益に基づいて、分割時刻を特定する(S1306)。次に、充放電パターン算出部213は、分割時刻で分割された分割時間枠毎に、充放電パターンを検索する(S1307)。
そして、充放電パターン算出部213は、S1307で検索された充放電パターンの検索数に基づいて、所定の時間内に終了するか否かを判定する(S1308)。所定の時間内に終了すると判定した場合(S1308:Yes)、検索処理を行った後、S1311に遷移する。
一方、所定の時間内に終了しないと判定した場合(S1305:No)、充放電パターン算出部213は、所定の時間内に終了するために適した個数の時間枠を、分割時間枠から取り除く(S1309)。
そして、充放電パターン算出部213は、分割時間枠に対して、充放電パターンを検索する(S1310)。
そして、充放電パターン算出部213は、充放電パターン毎の電力の売買による利益に関する情報(利益及び節約額)を算出する(S1311)。
そして、充放電パターン選択部214が、利益に関する情報(利益及び節約額)に基づいて、充放電パターンを選択する(S1312)。
そして、売買要求送信制御部215が、選択された充放電パターンに従うように、電力市場サーバ180に対して、電力の販売及び購入の要求を送信する(S1313)。
本実施形態においては、上述した構成を備えることで、一日の需要を予測した後、1日前市場の締め切りである時刻(例えば10時)に間に合うように演算時間を調整しながら、充放電パターンを算出する手法について説明した。このように、一日の総需要を予測した後から充放電パターンを算出できるので、1日前市場の需要に応じた充放電を実現できる。
(変形例1)
上述した実施形態においては、充放電の回数を考慮せずに、充放電パターンを検索する場合について説明した。しかしながら、蓄電池においては実行可能な充放電回数が定められている。このため、蓄電池で充放電を行なわれた場合には、当該蓄電池の寿命が短くなったとみなすことができる。つまり、蓄電池で充放電が行われた場合に、短くなった寿命に対応するコストより利益が生じている必要がある。このために、本変形例では、1日に実行可能な充放電の数を設定した場合について説明する。
図14は、一日に実施可能な充放電回数“4”とした場合の充放電パターンの一例を示した図である。図14は、充放電1401、1402、1403、1404が行われた例とする。
図14に示されるような充放電回数を“4”の場合には、充放電パターンの数が限られる。このため、充放電パターンの検索の高速化も実現できる。また、本変形例においても、第1の実施形態と同様の高速化手法と組み合わせても良い。これにより、さらなる高速化を実現できる。
なお、1日当たりの充放電回数を“4”に制限するものではなく、蓄電池121の充放電性能(充放電回数の理論値)や、蓄電池121の寿命を考慮して定める。例えば、蓄電池121の充放電性能が10,000回で、10年間使用することを想定している場合、10,000÷(365×10)=2.7/日となる。同様に、蓄電池121を10年使用することを想定し、充放電性能20,000回の場合には5.4回/日となり、充放電性能40,000回の場合には11.2回/日となる。
しかしながら、充放電回数は予め定められた回数に制限するのではなく、利益に応じて、1日当たりの充放電回数を変更しても良い。変形例においては、1日当たりの充放電可能な回数の基準値を“D”とする。そして、充放電パターン算出部213は、充放電で得られる効果に応じて、充放電の回数を変更する。本変形例の充放電パターン算出部213は、式(5)に基づいて、充放電回数を増加させた場合の利益Ef(D+1)と、基準値“D”の場合の利益Ef(D)と、に基づいて、当該利益の差分値Ef_diffを算出する。
Ef_diff=Ef(D+1)―Ef(D)…(5)
そして、充放電パターン算出部213は、差分値Ef_diffが、予め定められた閾値Ef_thより高いか否かを判定する。差分値Ef_diffが、閾値Ef_thより高いと判定した場合には、減る寿命以上の利益が生じるものとして、充放電回数を“D+1”に変更する。差分値Ef_diffが、閾値Ef_th以下と判定した場合、寿命を維持するために、充放電回数を“D”とする。
さらに、充放電パターン算出部213は、充電回数を“D+1”に変更した後に、続いて、充放電回数“D+2”、“D+3”に変更可能か否かの判定を行っても良い。当該変更可能か否かについても、同様に閾値Ef_thを超える効果が生じるか否かに基づいて判定する。
また、充放電回数“D”を、上述したような固定値に制限するものではなく、他の手法で決定しても良い。例えば、前年の市場予測価格及び事前調達電力価格に基づいて決定してもよい。
また、例えば、充放電パターン算出部213は、蓄電池121を使用する所定期間(例えば、10年)中において、予め設定された周期(例えば、1年、5年)毎に、それまでに行われた蓄電池121の充放電の回数の合計(以下、充放電合計回数と言う)を計数する。次に、充放電パターン算出部213は、計数した充放電合計回数に基づいて、蓄電池121を所定期間まで使用した場合の充放電合計回数を予測する。そして、充放電パターン算出部213は、予測した充放電合計回数が、充放電性能回数に達しているか否かを判断する。ここで、充放電性能回数は、蓄電池121の充放電が可能な回数の上限である。予測した充放電合計回数が充放電性能回数に達しないと判断した場合、充放電パターン算出部213は、蓄電池121を所定期間まで使用した場合の充放電合計回数が、充放電性能回数に達するように、1日当たりの充放電可能な回数の基準値“D”を増加させる。これにより、蓄電池121の充放電により生じる利益が少ない場合であっても蓄電池121の1日当たりの充放電の回数を増やして利益を生じさせつつ、所定期間中に充放電性能回数まで蓄電池121の充放電を繰り返して、蓄電池121の性能を使い切ることができる。
(変形例2)
上述した実施形態及び変形例においては、1日前市場に合わせて、10時前に1日分の充放電パターンを算出する手法について説明した。しかしながら、充放電パターンを算出する所定の期間を、0時〜24時の1日分に制限するものではない。そこで、変形例2としては、所定の期間が8時〜15時(時間枠16〜30)の場合について説明する。
本変形例においては、充放電パターン算出部213は、8時〜15時における充放電パターンを生成する。このように本変形例においては、需要が高い時間に限り、電力の販売又は購入を行うことで、電力市場における需要に対応すると共に、充放電パターンの演算の負荷を軽減できる。本変形例においては、充放電パターンを算出するための時間枠を変更した以外は、第1の実施形態と同様の処理を行うものとして説明を省略する。
上述した実施形態及び変形例においては、電力市場で電力の購入及び販売を行って、蓄電池を用いた充放電制御を行う際に、利益又は節約額の向上を図ることができる。換言すれば、電力の需要が高い時間帯に、当該電力市場を介して電力の供給を実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。