JP6872946B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は吸収性物品に関するものである。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品では、一般に吸収可能量は多い方がよい。周知のように、吸収性物品の吸収可能量は吸収要素の素材とその含有量により決まる。よって、例えばパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を集積した一般的な吸収体を含む吸収要素において吸収可能量を増加させるには、吸収体のパルプ量を増加させるか、又は高吸収性ポリマー粒子の含有量を増加させることが一般的である。また、吸収体を二層構造とすることも、広く行われている。
しかし、吸収体のパルプ量を増加させたり、単に二層構造(例えば特許文献1、2参照)としたりすると、吸収体の厚みが増加し、装着感等の悪化を招くことになる。また、高吸収性ポリマー粒子の含有量を増加させると、パルプ繊維間の絡み合いが弱くなることにより、吸収体の強度が弱くなり、形状が崩れやすくなる。
さらに、吸収可能量は吸収体のすべてが有効に吸収に利用されたときに最大となるが、現実には、複数回の排泄に対して繰り返し吸収する場合であっても、吸収体の全体にまんべんなく排泄液が拡散することはないため、吸収体のすべてを吸収に使い切ることはできない。つまり、吸収可能量を増加するには、吸収体の素材とその含有量だけでなく、拡散性についても改善する必要がある。拡散性の改善策としては、拡散性を向上させるためのシートを吸収体上に付加したり、吸収体にスリットを設けたりすることが知られているが、前者は部材点数の増加、厚みの増加をもたらす点で、後者は吸収可能量を減少させる点では好ましい対策とはいえない。
特開2006−167196号公報 特開2012−034715号公報
そこで、本発明の主たる課題は、吸収体の強度低下及び吸収体の厚みの増加を防止しつつ、吸収可能量を向上させること等にある。
上記課題を解決した本発明の代表的態様は以下のとおりである。
<第1の態様>
下吸収要素と、
前記下吸収要素の上側に配置された上吸収要素とを有し、
前記上吸収要素は、前記下吸収要素の前後方向の中間、かつ前記下吸収要素の幅方向の中間に配置されており、
前記上吸収要素は、第1不織布層と、第2不織布層と、これら第1不織布層と第2不織布層との間に保持された高吸収性ポリマー粒子とを有する積層体であり、
前記上吸収要素の幅方向両端部の位置に、前記上吸収要素と前記下吸収要素とが接合された接合部を有するとともに、これら接合部の間に位置し、前記上吸収要素の前後方向全体にわたり前記上吸収要素と前記下吸収要素とが接合されていない非接合部を有している、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本態様では、排泄時、上吸収要素に供給された排泄液は上吸収要素内に浸透及び拡散し、一部は上吸収要素内の高吸収性ポリマー粒子に吸収され、残りは高吸収性ポリマー粒子により吸収されずに浸透及び拡散し、下吸収要素に向かうこととなる。ここで、非接合部では上吸収要素と下吸収要素との隙間が多く、上吸収要素から下吸収要素への排泄液の移行が起こりにくいため、上吸収要素内の排泄液は周囲に拡散しやすくなり、下吸収要素に対する排泄液の供給がより広範囲となる。つまり、上吸収要素の高吸収性ポリマー粒子による吸収可能量の増加に加え、拡散性の向上による吸収可能量の増加も図られる。しかも、上吸収要素は不織布を主体とするものであるため強度が高い。さらに、上吸収要素は高吸収性ポリマー粒子により吸収可能量を増加させるものであるため、吸収可能量を顕著に増加させても厚みの増加は非常に小さい。
<第2の態様>
前記上吸収要素に含まれる前記高吸収性ポリマー粒子は、前記第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方に固定されている、
第1の態様の吸収性物品。
(作用効果)
本態様のような構造の上吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子が排泄液を吸収して膨張すると剛性が向上し、吸収後において上吸収要素と下吸収要素との隙間が維持されやすくなるため、繰り返し吸収時の拡散性に優れるものとなる。
<第3の態様>
前記上吸収要素は、両側部が下側に折り返された折り返し部分となっており、前記上吸収要素における前記折り返し部分と非折り返し部分とが接合されておらず、前記接合部は前記折り返し部分と前記下吸収要素とが接合されたものである、
第1又は2の態様の吸収性物品。
(作用効果)
本態様のように、上吸収要素が折り返し部分を有し、この折り返し部分を脚としてそれ以外の部分が下吸収要素から浮いた構造となっていると、上吸収要素から下吸収要素への排泄液の移行がより一層起こりにくくなり、拡散性がさらに向上する。特に、上吸収要素に含まれる高吸収性ポリマー粒子が第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方に接着されている形態では、高吸収性ポリマー粒子が排泄液を吸収して膨張すると上吸収要素の剛性が向上するだけでなく、高吸収性ポリマー粒子の膨張力が、折り返し部分を復元するように作用するため、吸収後においては上吸収要素と下吸収要素との隙間がより大きく、かつより多く形成されるようになり、繰り返し吸収時の拡散性がさらに向上する。
<第4の態様>
前記下吸収要素は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の集積体、又はこの集積体を包装シートで包んだものである、
第1〜3のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の集積体は、パルプ繊維により吸収速度を確保しつつ、高吸収性ポリマー粒子により吸収量を確保できるため広く用いられているが、これのみでは吸収体の強度低下及び吸収体の厚みの増加を防止しつつ、吸収可能量を向上させることは困難である。これに対して、前述の上吸収要素を組み合わせることにより、効果的に、吸収体の強度低下及び吸収体の厚みの増加を防止しつつ、吸収可能量を向上させるとともに、吸収速度も確保することができる。
<第5の態様>
前記下吸収要素は、前記非接合部における少なくとも前後方向及び幅方向の中間に、前後方向に細長く延びた、上面がくぼんだ凹部又は上下方向に貫通する貫通部を有する、
第1〜4のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
このような凹部又は貫通部を有すると、上吸収要素と下吸収要素との隙間が確実に確保され、上吸収要素から下吸収要素への排泄液の移行遅延による拡散性の向上が図られるだけでなく、下吸収要素に移行した排泄液が凹部又は貫通部に沿って前後方向に拡散しやすくなる。
<第6の態様>
前記下吸収要素の表層における前記非接合部と重なる部分に、疎水剤又は撥水剤が含有されている、
第1〜5のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
本態様のように疎水剤又は撥水剤を含有する加工を有することにより、上吸収要素から下吸収要素への排泄液の移行がより起こりにくくなり、拡散性がさらに向上するため好ましい。なお、疎水剤又は撥水剤を含有する部分における疎水効果又は撥水効果が、排泄液との接触により低下するようになっているのも一つの好ましい形態である。
<第7の態様>
前記上吸収要素の前縁と前記下吸収要素の前縁との前後方向の離間距離が、前記下吸収要素の全長の5〜45%であり、
前記上吸収要素の後縁と前記下吸収要素の後縁との前後方向の離間距離が、前記下吸収要素の全長の5〜50%であり、
前記上吸収要素の側縁と前記下吸収要素の側縁との幅方向の離間距離が、前記下吸収要素の全幅の5〜50%であり、
前記非接合部の幅は、前記上吸収要素の全幅の10〜80%である、
第1〜6のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
上吸収要素、下吸収要素及び非接合部の寸法は適宜定めればよいが、通常の場合、本態様の範囲内であることが好ましい。
以上のとおり、本発明によれば、吸収体の強度低下及び吸収体の厚みの増加を防止しつつ、吸収可能量を向上できる等の利点がもたらされる。
テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、展開状態の平面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、展開状態の平面図である。 図1の5−5線断面図である。 図1の6−6線断面図である。 (a)図1の7−7線断面図、(b)図1の8−8線断面図である。 (a)ウエスト伸縮シートの平面図、(b)ウエスト伸縮シートの断面図である。 図1の9−9線断面図である。 上吸収要素の断面図である。 図1の5−5線断面図である。 要部のみを示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合するホットメルト接着剤を示しているが、ホットメルト接着剤に代えて、他の接着剤を用いたり、ヒートシール、超音波シール等の溶着を用いたりすることにより接合してもよいことはいうまでもない。また、以下の説明において、「前後方向LD(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向WD」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
図1〜図7はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。このテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向中央Cより前側に延在する腹側部分F、及び前後方向中央Cより後側に延在する背側部分Bを有するものであり、腹側部分Fの胴周り部の外面に設けられたターゲットシート20と、背側部分Bの胴周り部の左右両側に設けられた、ターゲットシート20に対して着脱可能に連結される連結部13Aとを備えている。図1及び図2に示す例では、腹側部分F及び背側部分Bの胴周り部は、左右両側に延び出た(股間側の側縁よりも側方に位置する)ウイング部分WPを有し、腹側部分F及び背側部分Bは左右のウイング部分WPの間に位置する中間部分CPを有する(換言すれば、側縁が脚周りに沿うように前後方向LDの中間がくびれた)形態となっているが、腹側部分F及び背側部分Bの両方にウイング部分WPを有しない形態としたり、背側部分Bはウイング部分WPを有するが、腹側部分Fはウイング部分WPを有しない形態としたりすることもできる。
(本体)
図1及び図2に示す例では、中間部分CP、背側部分Bのウイング部分WPにおける先端側の一部を除く部分、腹側部分Fのウイング部分WPは、吸収体56と、吸収体56の表側を被覆する液透過性のトップシート30と、吸収体56の裏側を被覆する液不透過性シート11とを有する本体10のシート(図示例ではギャザーシート62、液不透過性シート11、及び外装シート12)により形成されている。図示しないが、中間部分CPは本体10により形成され、背側部分Bのウイング部分WP及び腹側部分Fのウイング部分WPは、本体10の両側部に取り付けられた本体10とは別の部品により形成されていてもよい。
また、本体10は、吸収体56よりも前側及び後側に延びる、吸収体56を有しないエンドフラップ部EFと、吸収体56よりも側方に延びる、吸収体56を有しないサイドフラップ部SFとを有している。なお、符号10Xは本体10の全幅を示し、符号10Lは本体10の全長(図示形態ではおむつの全長に等しい)を示している。
より詳細には、図示例では、本体10の外面全体が外装シート12により形成されており、その内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収体56を含む吸収要素40,50、及びトップシート30がこの順に積層されている。トップシート30及び液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素40,50よりも前後方向LD及び幅方向WDにおいて若干大きい寸法を有しており、トップシート30における吸収要素40,50の側縁よりはみ出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素40,50の側縁よりはみ出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。この部分はエンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFの一部となる。
さらに、本体10の表面における幅方向WDの両側には、装着者の肌側に立ち上がる起き上がりギャザー60,60が設けられており、この起き上がりギャザー60,60を形成するギャザーシート62,62が、トップシート30の両側部から各サイドフラップ部SFまで延在されている。
以下、各部の素材及び特徴部分について順に説明する。
(外装シート)
外装シート12は、使い捨ておむつの裏面を布のような肌触り・外観とするために設けられる。外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。外装シート12は省略することもでき、その場合、使い捨ておむつの裏面に液不透過性シート11が露出する形態とすることができる。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、この他にも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
図示例の液不透過性シート11は、トップシート30よりも幅が若干広く、外装シート12より幅が狭くなっているが、これに限定されず、液不透過性シート11は外装シート12と同じ幅とするなど、適宜変更することができる。
液不透過性シート11における表裏少なくとも一方には、外面から視認可能な装飾印刷11a,11bが施されていてもよい。装飾印刷11a,11bの種類や形状、寸法は特に限定されるものではない。装飾印刷11a,11bとしては、前後方向LD及び幅方向WDに規則的に繰り返す文字(サイズ、ブランド名、メーカー名、絵柄の名前等)や、絵柄等の多数の構成単位からなる連続装飾印刷11aの他、製品ロゴや、キャラクターの絵、写真等のように製品の前後いずれか一方又は両方にのみ配置される間欠装飾印刷11bがあり、いずれか一方又は両方を採用することができる。
(トップシート)
トップシート30としては液透過性を有するもの、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
図示例のトップシート30は、吸収体56の側縁よりも側方に延びているが、これに限定されず、外装シート12の側縁まで延びていてもよく、また起き上がりギャザーを有する形態では起き上がりギャザーの付根部分まで延びていれば、吸収体の側縁よりも幅方向内側までしか延びていなくてもよいなど、適宜変更することができる。
(中間シート)
トップシート30を透過した排泄物を吸収要素40,50へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシート30と吸収要素40,50との間に図示しない中間シート(セカンドシートともいわれる)を設けることができる。この中間シートは、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、トップシート30の表面の肌触りを良くするものである。中間シートは省略することもできる。
中間シートの素材は特に限定されず、例えばトップシート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40はトップシート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シートの素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、トップシート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シートに用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、トップシート30の液残りは発生しにくいが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シートに用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。なお、中間シートはポリエチレンなどのフィルム素材に多数の細孔を設けたメッシュフィルムなどとすることも可能である。
中間シートは、吸収要素40,50の幅より短く中央に配置されていても、また全幅にわたって設けられていてもよい。中間シートの長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素40,50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(吸収要素)
吸収要素40,50は、尿や軟便の液分などの排泄液を吸収保持する部分であり、下吸収要素50と、その上側に配置された上吸収要素40とを有している。
(下吸収要素)
下吸収要素は、図示例では吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっている。吸収体56が形状維持性に優れる場合等、必要に応じて包装シート58は省略することもでき、その場合、下吸収要素50は吸収体56のみからなる。下吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は図示例のように長方形形状とする他、前後方向中間に、その前後両側よりも幅が狭い括れ部を有する砂時計形状とすると、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、本体10の周縁近傍まで延在しているのが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用できる。高吸収性ポリマー粒子の粒径は特に限定されないが、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)、及びこのふるい分けでふるい下に落下する粒子について180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)を行ったときに、500μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下で、180μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定なく用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概にはいえないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
吸収体56における繊維及び高吸収性ポリマー粒子の比率は特に限定されないが、繊維:高吸収性ポリマー粒子が重量比で50:50〜20:80であると、同じ面積かつ同じ吸収量で比較するとより薄い吸収体56とすることができる。この場合、吸収体56の厚み56tは特に限定されるものではないが、3〜15mmとすることができる。
高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の厚み方向又は平面に沿う方向で含有率を変化させることができる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、かつその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(上吸収要素)
上吸収要素40は、図8に示す例のように、第1不織布層41と、第2不織布層42と、これら第1不織布層41と第2不織布層42との間に保持された高吸収性ポリマー粒子43とを有する積層体である。この積層体における隣り合う層は互いにホットメルト接着剤等により接合されていることが好ましい。第1不織布層41及び第2不織布層42は特に限定されないが、高吸収性ポリマー粒子の感触が肌に伝わりにくい点や、高吸収性ポリマー粒子が膨潤するスペースを確保できる点で、嵩高のエアスルー不織布が好適である。また、第1不織布層41及び第2不織布層42における繊維の繊度及び目付けは特に限定されるものではないが、繊度は2.0〜5.0dtex程度、目付けは15〜35g/m2程度とすることが好ましい。第1不織布層41及び第2不織布層42として同じ不織布を用いても、異なる不織布を用いてもよい。
上吸収要素40に含まれる高吸収性ポリマー粒子43としては、下吸収要素50と同様のものを用いることができるが、中でも液透過性に優れるもの、具体的には吸水速度が20〜35秒かつ吸収量が50〜70g/gであるものが好ましい。一方、下吸収要素50に含まれる高吸収性ポリマー粒子43は吸収量が多いもの、具体的には吸水速度が60〜80秒かつ吸収量が50〜70g/gであるものが好適である。上吸収要素40における高吸収性ポリマー粒子43の目付けは適宜定めることができるが、50〜200g/m2程度とすることが好ましい。
上吸収要素40は、第1不織布層41と第2不織布層42との間に高吸収性ポリマー粒子43が保持される限り、第1不織布層41及び第2不織布層42の少なくとも一方の内部に高吸収性ポリマー粒子43を含有していてもよい。例えば、図8に示す例では、上吸収要素40の高吸収性ポリマー粒子43のすべてが第1不織布層41と第2不織布層42との間に保持されているが、一部の高吸収性ポリマー粒子43が第1不織布層41及び第2不織布層42内に混入していてもよい。また、図示しないが、高吸収ポリマー粒子43を保持する不織布層が第1不織布層41と第2不織布層42との間に介在されていてもよい。
上吸収要素40は、拡散性の向上機能も担うため、下吸収要素50の前後方向LDの中間、かつ下吸収要素50の幅方向WDの中間に配置される。具体的には、上吸収要素40の前縁と下吸収要素50の前縁との前後方向LDの離間距離D1が、下吸収要素50の全長50Lの5〜45%であり、上吸収要素40の後縁と下吸収要素50の後縁との前後方向LDの離間距離D2が、下吸収要素50の全長50Lの5〜50%であり、上吸収要素40の側縁と下吸収要素50の側縁との幅方向WDの離間距離D3が、下吸収要素50の全幅50Wの5〜50%であることが好ましい。
特徴的には、上吸収要素40の幅方向WD両端部の位置に、上吸収要素40と下吸収要素50とが接合された接合部80を有するとともに、これら接合部80の間に位置し、上吸収要素40の前後方向LD全体にわたり上吸収要素40と下吸収要素50とが接合されていない非接合部81を有している。非接合部81の幅は特に限定されるものではないが、上吸収要素40の全幅40Wの10〜80%であると好ましい。接合部80は、図示例のように前後方向LDに連続的に設ける他、前後方向LDに間欠的に設けることもできる。
排泄時には、上吸収要素40に供給された排泄液は上吸収要素40内に浸透及び拡散し、一部は上吸収要素40内の高吸収性ポリマー粒子43に吸収され、残りは高吸収性ポリマー粒子43により吸収されずに浸透及び拡散し、下吸収要素50に向かうこととなる。ここで、図10に矢印で排泄液Liの流れを示すように、非接合部81では上吸収要素40と下吸収要素50との隙間が多く、上吸収要素40から下吸収要素50への排泄液Liの移行が起こりにくいため、上吸収要素40内の排泄液Liは周囲に拡散しやすくなり、下吸収要素50に対する排泄液の供給がより広範囲となる。つまり、上吸収要素40の高吸収性ポリマー粒子43による吸収可能量の増加に加え、拡散性の向上による吸収可能量の増加も図られる。しかも、上吸収要素40は不織布を主体とするものであるため強度が高い。さらに、上吸収要素40は高吸収性ポリマー粒子43により吸収可能量を増加させるものであるため、吸収可能量を顕著に増加させても厚みの増加は非常に小さい。
図8に示すように、上吸収要素40に含まれる高吸収性ポリマー粒子43は、第1不織布層41及び第2不織布層42の少なくとも一方に固定されているのは好ましい形態である。このような構造の上吸収要素40は、高吸収性ポリマー粒子43が排泄液を吸収して膨張すると剛性が向上し、吸収後において上吸収要素40と下吸収要素50との隙間が維持されやすくなるため、繰り返し吸収時の拡散性に優れるものとなる。なお、このような構造の上吸収要素40は、例えば第1不織布層41及び第2不織布層42における一方の対向面の全体にわたり連続的又は間欠的にホットメルト接着剤44を塗布し、その塗布面上に高吸収性ポリマー粒子43を散布した後に、第1不織布層41及び第2不織布層42を貼り合わせることにより製造することができる。
また、図3及び図10に示す例のように、上吸収要素40の両側部が下側に折り返された折り返し部分45となっており、上吸収要素40における折り返し部分45と非折り返し部分46とが接合されておらず、上吸収要素40と下吸収要素50との接合部80は折り返し部分45と下吸収要素50とが接合されたものであると好ましい。折り返し部分45の幅は接合部80の幅の1.0〜2.5倍程度とすることができる。このように、上吸収要素40が折り返し部分45を有し、この折り返し部分45を脚としてそれ以外の部分が下吸収要素50から浮いた構造となっていると、上吸収要素40から下吸収要素50への排泄液の移行がより一層起こりにくくなり、拡散性がさらに向上する。特に、上吸収要素40に含まれる高吸収性ポリマー粒子43が第1不織布層41及び第2不織布層42の少なくとも一方に接着されている形態では、高吸収性ポリマー粒子43が排泄液を吸収して膨張すると上吸収要素40の剛性が向上するだけでなく、高吸収性ポリマー粒子43の膨張力が、折り返し部分45を復元するように作用するため、吸収後においては上吸収要素40と下吸収要素50との隙間がより大きく、かつより多く形成されるようになり、繰り返し吸収時の拡散性がさらに向上する。
前述の上吸収要素40の役割を考慮すると、下吸収要素50は、図示例のようにパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子43の集積体、又はこの集積体を包装シート58で包んだものであることが好ましい。このような下吸収要素50と前述の上吸収要素40を組み合わせることにより、効果的に、吸収体56の強度低下及び吸収体56の厚みの増加を防止しつつ、吸収可能量を向上させるとともに、吸収速度も確保することができる。
また、前述の上吸収要素40の役割を考慮すると、下吸収要素50は、非接合部81における少なくとも前後方向LD及び幅方向WDの中間に、前後方向LDに細長く延びた、上面がくぼんだ凹部51(又は上下方向に貫通する貫通部でもよい。以下同じ。)を有することが好ましい。これにより上吸収要素40と下吸収要素50との隙間が確実に確保され、上吸収要素40から下吸収要素50への排泄液の移行遅延による拡散性の向上が図られるだけでなく、下吸収要素50に移行した排泄液が凹部51に沿って前後方向LDに拡散しやすくなる。凹部51は、その少なくとも一部が非接合部81における少なくとも前後方向LD及び幅方向WDの中間に位置する限り、上吸収要素よりも前後少なくとも一方側に延びていてもよい。一つの例としては、下吸収要素50の前端を0%とし、下吸収要素50の後端を100%としたとき、凹部51の前端は10〜30%の範囲に位置し、凹部51の後端は40〜80%の範囲に位置しているのが好ましい。また、凹部51は、幅方向WDの中央に一本設ける他、左右両側に各一本設ける等、幅方向WDに間隔を空けて複数本設けることもできる。凹部51を幅方向WDに間隔を空けて複数本設ける場合、凹部51の幅方向位置は左右対称となることが好ましい。また、凹部51の幅方向WDの間隔は下吸収要素50の幅の10〜60%程度とすることができる。凹部51の幅は、下吸収要素50の幅の3〜15%程度とすることができる。また、凹部51の深さは、下吸収要素50の厚みの50〜100%程度とすることができる。凹部51を幅方向WDに間隔を空けて複数本設ける場合、そのうちの少なくとも一本が非接合部81と重なる位置に位置していればよい。図3に示す例では、下吸収要素50の吸収体56にスリットを設け、包装シート58をこのスリット内に落ちくぼませることにより凹部51を形成しているが、図9に示す例のように、包装シート58の上側から吸収体56内までくぼむようにエンボス加工を施すことにより凹部51を形成してもよい。
また、下吸収要素50の表層(図示例では包装シート58における吸収体56の上側に位置する部分)における非接合部81と重なる部分に、疎水剤又は撥水剤が含有されているのも好ましい形態である。このように疎水剤又は撥水剤を含有する加工を有することにより、上吸収要素40から下吸収要素50への排泄液の移行がより起こりにくくなり、拡散性がさらに向上するため好ましい。なお、疎水剤又は撥水剤を含有する部分における疎水効果又は撥水効果が、排泄液との接触により低下するようになっているのも一つの好ましい形態である。このような疎水剤又は撥水剤としては、C12〜C22脂肪アルコール、ワセリン、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホオバ油、ベニバナ油、スクワラン及びスクワレン等)、ジグリセライド、トリグリセライド、パラフィンワックス、C12〜C22脂肪酸、シリコーン、シリコーン系レジン等を用いることができる。
(サイドギャザー)
図2及び図3に示すように、本体10の側部の前後方向LD中間に位置する脚周り部分のフィット性を向上させるために、サイドフラップ部SFの前後方向LD中間におけるシート層間(図示例ではギャザーシート62と液不透過性シート11との間)に、前後方向LDに延びるサイド弾性部材70が設けられており、このサイド弾性部材70の伸縮により、サイド弾性部材70を有する部分が前後方向LDに伸縮するようになっている。
(起き上がりギャザー)
トップシート30上を横方向に移動する尿や軟便を遮り、横漏れを防止するために、使い捨ておむつの表面における幅方向WDの両側には、トップシート30の側部から肌側に立ち上がる(突出する)起き上がりギャザー60が前後方向全体にわたり設けられている。
図示例の起き上がりギャザー60は、サイドフラップ部SFを含む領域に固定された付根部分65と、この付根部分65から延び出た突出部分66と、この突出部分の前後方向両端部が倒伏状態に固定された倒伏部分67と、突出部分66のうち前後の倒伏部分間に位置する非固定の起き上がり部分68と、この起き上がり部分68の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性部材63とを有している。起き上がりギャザー60は、先端で折り返されたギャザーシート62により形成されており、ギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、またギャザー弾性部材63としては糸ゴム等の細長状弾性部材を用いることができる。ギャザー弾性部材63は、図1及び図2に示すように各複数本、間隔を空けて設ける他、各1本設けることができる。ギャザー弾性部材63を有する部分の伸長率は特に限定されないが、通常の場合150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。
図示例の起き上がりギャザー60の付根部分65は、サイドフラップ部SFにのみ設けられており、液不透過性シート11の側部及び外装シート12の側部に接合されているが、サイドフラップ部SFから吸収体56と重なる領域の側部まで延びていてもよい。
起き上がりギャザー60の突出部分66は、前後方向LDの両端部が倒伏部分となっているものの、その間の部分は非固定の起き上がり部分68とされており、この起き上がり部分68がギャザー弾性部材63の収縮力により起立するようになる。おむつの装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そしてギャザー弾性部材63の収縮力が作用するので、ギャザー弾性部材63の収縮力により起き上がりギャザー60が立ち上がり脚周りに弾力的に密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
(ウエスト伸縮シート)
背側部分Bにおける本体10の胴周り部には帯状のウエスト伸縮シート90が設けられ、背側部分Bが幅方向WDに弾性伸縮するものとなっていると好ましい。ウエスト伸縮シート90は、幅方向WDの両端部が非伸縮領域96となっているとともに、これら非伸縮領域96の間の部分は、幅方向WDに伸縮する中間伸縮領域95となっているものである。ウエスト伸縮シート90は、エンドフラップ部EFにのみ位置していてもよいが、図示例のようにエンドフラップ部EFから吸収体56の後端部までにわたるように配置されていると、吸収体56の後端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。
ウエスト伸縮シート90は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図6に示すように、二枚の不織布等のシート層91をホットメルト接着剤等の接着剤により貼り合わせるとともに、両シート層91間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性部材92を幅方向WDに沿って伸長した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート層91の素材としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性部材92の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性部材92として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの前後方向間隔で5〜15本程度設けるのが好ましい。
ウエスト伸縮シート90の幅は適宜定めることができるが、図示例のように、左右のサイドフラップ部SF間にわたる幅となっていることが好ましく、特に左右のウイング部分WP間にわたる幅となっていることが好ましい。具体的な寸法としては、ウエスト伸縮シート90の幅は本体10の全幅10Xの80〜95%程度とすることが好ましい。
ウエスト伸縮シート90における中間伸縮領域95及び非伸縮領域96の寸法は適宜定めることができるが、中間伸縮領域95の幅は後述する左右のファスナアセンブリ13の連結部13A間の幅の45〜100%とすることが好ましく、非伸縮領域96の幅は本体10への取り付け時の縮みやめくれ防止のため5〜20mm程度とすることが好ましい。非伸縮領域96は弾性部材92を有しない領域としてもよいが、特許文献3記載のように、中間伸縮領域95及び非伸縮領域96にわたり弾性部材92を取り付けるとともに、非伸縮領域96では弾性部材92を切断する等により、非伸縮領域96に弾性部材92が残留するもののほとんど又は全く伸縮しない構造としてもよい。
また、弾性部材92の一部が吸収体56を横断するように配置することもできるが、図6に示すように、弾性部材92が吸収体56と重なる部分の一部又は全部を切断する等により、弾性部材92が残留するもののほとんど又は全く伸縮しない構造とすると、吸収体56の後端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
ウエスト伸縮シート90は、図示形態では、液不透過性シート11と吸収要素40,50との間に配置されているが、この配置に特に限定されるものではない。例えば、ウエスト伸縮シート90は液不透過性シート11と外装シート12との間に配置されていてもよいし、外装シート12の外側に設けてもよい。また、外装シート12を複数枚のシート層を重ねて形成する場合には、ウエスト伸縮シート90全体を、外装シート12のシート層間に設けても良い。
(ファスナアセンブリ)
連結部13Aは、背側部分Bの胴周り部における本体10の左右両側にそれぞれ取り付けられたファスナアセンブリ13に設けられている。より詳細には、ファスナアセンブリ13は、本体10の裏面に固定されたファスナ固定部13Bと、このファスナ固定部13Bから側方に延び出た非固定のファスナ自由部13Fとを有しており、ファスナ自由部13Fの先端部に連結部13Aが設けられている。図示例とは異なり、連結部13Aは、胴周り部における本体10の左右両側部に設けられていてもよい。
連結部13Aとしては、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)を設ける他、粘着剤層を設けてもよい。フック材は、その連結面に多数の係合突起を有するものであり、係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。おむつの装着に際しては、ウイング部分WPを腰の両側から腹側部分Fの外面に回して、ウイング部分WPの連結部13Aを腹側部分F外面の適所に連結する。
ファスナアセンブリ13としては、図1に示すように、サイド伸縮領域を有しない非伸縮タイプ(タブタイプ)だけでなく、図示しないが、少なくともファスナ固定部13Bと連結部13Aとの間の部分が幅方向WDに伸縮するサイド伸縮領域を有する伸縮タイプ(サイドパネルタイプ)を採用することもできる。
非伸縮タイプのファスナアセンブリ13の構造は特に限定されるものではなく、公知のものを採用することができる。図示例の非伸縮タイプのファスナアセンブリ13は、本体10の側縁から突出する支持片13Cと、この支持片13Cにおける本体10の側縁から突出する部分の幅方向WD中間に設けられた連結部13Aとを有するものである。支持片13Cの素材としては、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材等、特に限定なく公知の素材を使用できるが、繊度1.0〜3.5dtex、目付け20〜100g/m2、厚み1mm以下のスパンボンド不織布、エアスルー不織布、又はスパンレース不織布が好ましい。
(ターゲットシート)
腹側部分Fにおける連結部13Aの連結箇所には、連結を容易にするためのターゲットシート20が設けられている。連結部13Aがフック材の場合、ターゲットシート20としては、プラスチックフィルムや不織布からなる基層と、その外面全体に設けられた、連結部13Aのフックが着脱自在に係合する係合層とを有するものを好適に用いることができる。この場合における係合層としては、基層に縫い込まれた糸により基層上にループが形成されている形態の他、熱可塑性樹脂の不織布層が間欠的な超音波シールにより基層上に取り付けられ、不織布の繊維がループをなす形態が知られているがいずれも好適に用いることができる。また、熱可塑性樹脂の不織布にエンボス加工を施したもので基層のないタイプのターゲットシート20を用いることもできる。これらのターゲットシート20では、連結部13Aのフックがループに絡まる又は引っ掛かることにより、連結部13Aがターゲットシート20に連結される。また、連結部13Aが粘着材層の場合には、ターゲットシート20として、平滑で粘着性に富む表面を有するプラスチックフィルムの表面に剥離処理を施したものを好適に用いることができる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載がない限り、以下の意味を有するものである。
・「展開状態」とは自然長の状態から、収縮や弛みなく完全に完全に平坦に伸ばし広げた状態を意味する。
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、テープタイプ使い捨ておむつでは、MD方向が製品の前後方向となるものであり、CD方向が製品の幅方向となるものである。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置した後常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「人工尿」は、尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したものであり、特に記載のない限り、温度37度で使用される。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、10倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・試験や測定における環境条件についての記載がない場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載がない限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例のようなテープタイプ使い捨ておむつの他、パンツタイプ若しくはパッドタイプの使い捨ておむつはもちろん、生理用ナプキン等、吸収性物品全般に適用できるものである。
B…背側部分、C…前後方向中央、CP…中間部分、EF…エンドフラップ部、F…腹側部分、LD…前後方向、SF…サイドフラップ部、WD…幅方向、WP…ウイング部分、10…本体、11…液不透過性シート、12…外装シート、13…ファスナアセンブリ、13A…連結部、13B…ファスナ固定部、13C…支持片、13F…ファスナ自由部、20…ターゲットシート、30…トップシート、40…上吸収要素、50…下吸収要素、40,50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザーシート、63…ギャザー弾性部材、70…サイド弾性部材、90…ウエスト伸縮シート、95…中間伸縮領域、96…非伸縮領域、41…第1不織布層、42…第2不織布層、43…高吸収性ポリマー粒子、80…接合部、81…非接合部、44…ホットメルト接着剤、45…折り返し部分、46…非折り返し部分。

Claims (6)

  1. 下吸収要素と、
    前記下吸収要素の上側に配置された上吸収要素とを有し、
    前記上吸収要素は、前記下吸収要素の前後方向の中間、かつ前記下吸収要素の幅方向の中間に配置されており、
    前記上吸収要素は、第1不織布層と、第2不織布層と、これら第1不織布層と第2不織布層との間に保持された高吸収性ポリマー粒子とを有する積層体であり、
    前記上吸収要素の幅方向両端部の位置に、前記上吸収要素と前記下吸収要素とが接合された接合部を有するとともに、これら接合部の間に位置し、前記上吸収要素の前後方向全体にわたり前記上吸収要素と前記下吸収要素とが接合されていない非接合部を有しており
    前記上吸収要素は、両側部が下側に折り返された折り返し部分となっており、前記上吸収要素における前記折り返し部分と非折り返し部分とが接合されておらず、前記接合部は前記折り返し部分と前記下吸収要素とが接合されたものである、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記上吸収要素に含まれる前記高吸収性ポリマー粒子は、前記第1不織布層及び第2不織布層の少なくとも一方に固定されている、
    請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記下吸収要素は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の集積体、又はこの集積体を包装シートで包んだものである、
    請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記下吸収要素は、前記非接合部における少なくとも前後方向及び幅方向の中間に、前後方向に細長く延びた、上面がくぼんだ凹部又は上下方向に貫通する貫通部を有する、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記下吸収要素の表層における前記非接合部と重なる部分に、疎水剤又は撥水剤が含有されている、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記上吸収要素の前縁と前記下吸収要素の前縁との前後方向の離間距離が、前記下吸収要素の全長の5〜45%であり、
    前記上吸収要素の後縁と前記下吸収要素の後縁との前後方向の離間距離が、前記下吸収要素の全長の5〜50%であり、
    前記上吸収要素の側縁と前記下吸収要素の側縁との幅方向の離間距離が、前記下吸収要素の全幅の5〜50%であり、
    前記非接合部の幅は、前記上吸収要素の全幅の10〜80%である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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