JP6872325B2 - 筒型リチウム一次電池、および筒型リチウム一次電池用負極集電体 - Google Patents

筒型リチウム一次電池、および筒型リチウム一次電池用負極集電体 Download PDF

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Description

本発明は、負極にリチウム金属あるいはリチウム合金を用いた筒型リチウム一次電池、および筒型リチウム一次電池に用いられる負極集電体に関する。
周知のインサイドアウト構造を有し、リチウム金属あるいはリチウム合金を負極活物質として用いた筒型リチウム一次電池は、エネルギー密度が高く高容量であるという特徴を有し、例えば、定置型のガスメータや水道メーターの電源など、長期に亘って機器に電力を供給し続ける用途に広く用いられている。
図1に従来の筒型リチウム一次電池1の一例として、正極集電体を兼ねる有底円筒状の電池缶を備えた、所謂「ボビン型リチウム電池」を示した。図1では電池缶10の円筒軸100延長方向を上下(縦)方向としたときの縦断面を示している。また、筒型リチウム一次電池1を構成する各種部品や部材の上下方向については、電池缶10の外にあっても、筒型リチウム一次電池1に組み込まれた状態を基準にして規定することとする。
筒型リチウム一次電池1は、概略的には、二酸化マンガンなどの正極活物質を黒鉛等の導電助剤とともに中空円筒状に成形してなる正極合剤20、円筒状の金属リチウムやリチウム合金からなる負極リチウム30、円筒カップ状のセパレータ40、および電解液を発電要素として、その発電要素が電池缶10内に収納されているとともに、電池缶10の開口が絶縁性の樹脂からなるガスケット50を介して封口体60によって封止されたものである。
具体的には、電池缶10は、金属製で電池ケースと正極集電体を兼ねており、その外底面には凸状の正極端子部11がプレス加工により形成され、開口部近傍の周囲には絞り加工によるビーディング部12が形成されている。封口体60は、負極端子61と封口板62とから構成されており、負極端子61は金属製で、電池缶10の開口を上方とすると、上方を底とした皿状で、皿の縁にはフランジが形成されている。封口板62は金属製の円板で、負極端子61におけるフランジの下面に積層されている。ガスケット50は、当初の形状が上方に開口するカップ状で、底部中央が開口している。このガスケット50は電池缶10の内方にて上記のビーディング部12を座にして載置され、ガスケット50の内側には封口板62と負極端子61が配置されている。そして電池缶10のビーディング部から開口に至る領域が内方にかしめられることで封口体60がガスケット50を介して電池缶10に嵌着され、電池缶10内が密閉されている。
負極リチウム30は、板状のリチウム金属やリチウム合金を中空円筒状に丸めたものであり、その中空内面側には金属製平板からなる負極集電体70aの一端側が圧着などの方法によって取り付けられている。負極集電体70aは、負極リチウム30に取り付けられている集電部71aとその集電部71aの上端側に接続されたリード部72とで構成されており、リード部72は、ガスケット50の底部開口を介して封口板62の下面63まで案内されているとともに、先端側が封口板62の下面63に溶接などによって取り付けられている。図2に負極集電体70bの概略構造を示した。図2(A)は負極集電体70bの平面図であり、図2(B)は図2(A)における円101内を拡大した図である。そして図2(C)は図2(A)におけるa−a矢視断面図である。
図2(A)に示したように、負極集電体70bは、集電部71bが矩形平板状で、その集電部71aの上端に帯状に突出するリード部72が接続された一体的な部材である。なお円筒形の筒型リチウム一次電池1では、負極リチウム30が筒状に成形されていることから、負極集電体70bは、筒型リチウム一次電池1に組み込まれた状態では、集電部71bが負極リチウム30の表面形状に沿って湾曲している。
また集電部71bには、図2(B)に拡大して示したように、集電部71bには多数の突起73が形成されており、集電部71bはこの突起73が形成されている面を負極リチウム30の表面に対面させた状態で圧着されることで負極リチウム30に取り付けられる。それによって突起73が負極リチウム30の表面に食い込み、集電部71bが負極リチウム30から脱落しないようになっている。この例では、V字状の切欠によって形成された三角形状の舌片を立ち上げることで突起73を形成している。そして図2(C)に示したように、各突起73は、集電部71bの面74に対して所定の角度θ(例えば、θ=30゜〜40゜)で斜めの方向に突出しており、負極リチウム30の表面に食い込んだ突起73が抜け難くなっている。
また突起73を形成することで形成された集電部71bの表裏を貫通する孔75は、より多くの電解液を収納するための保液空間として機能するとともに、電解液と負極リチウム30との接触面積を増大させるための機能も担っている。なお筒型リチウム一次電池の負極集電体の構造や機能については以下の非特許文献1に記載されている。また以下の非特許文献1には、製品として実際に提供されている筒型リチウム一次電池の構造や特性などが記載されている。
特開2016−58220号公報
FDK株式会社、"高容量円筒形リチウム一次電池"、[online]、[平成28年7月7日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/battery/lithium/lithium_cylindrical.html>
筒型リチウム一次電池に外部回路を接続して放電させると、負極リチウムが放電に伴って電解液中に溶解し、電離したリチウムイオンがセパレータを通過して正極に至る。負極リチウムの電離に伴って発生した電子は正負極間に接続された外部回路を通って正極に至る。そして負極リチウムは、放電に伴って徐々に体積が減少し、負極リチウムが全て消費された時点で筒型リチウム一次電池の放電反応が停止する。
ところで、筒型リチウム一次電池では、負極リチウムに負極集電体の集電部が取り付けられており、電離によって発生した電子はこの集電部を経由する。そのため負極リチウムは、電子を失い易い集電部から遠い領域から先行して溶解し、集電部に向かって徐々に瘠せていく。そして放電末期では、負極リチウムにおいて、集電部が取り付けられている領域が徐々に薄くなっていく。しかしながら、従来の筒型リチウム一次電池では、負極リチウムの上下長が集電部の上下長よりも長く、集電部は負極リチウムの上端側など、負極リチウムの上下方向にわたる領域の一部に取り付けられている。そのため放電末期になって集電部の周囲の負極リチウムが瘠せて、かつ薄くなってくると、周知のエッジ効果によって他の領域に対して集電部の下端(あるいは上端)の近傍領域で電界強度が増大し、この領域では他の領域に対して相対的に負極リチウムの消費速度が速くなる。それによって、例えば、集電部が負極リチウムの上端側に取り付けられている場合であれば、集電部の下端で負極リチウムが切断される「リチウム切れ」が発生することがある。リチウム切れが発生すると、全ての負極リチウムを消費する前に放電が停止することになり、実質的に放電容量が減少してしまう。
そこで本発明は、リチウム切れの発生による放電容量の低下を防止することができる筒型リチウム一次電池、および筒型リチウム一次電池用負極集電体を提供することを主な目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、正極集電体を兼ねる有底筒状の電池缶内に、中空筒状に成形された正極合剤と、当該正極合の中空筒内にセパレータを介して配置される負極リチウムが収納されてなるとともに、前記電池缶の開口が負極端子を備えた封口体によって封止されてなる筒型リチウム一次電池であって、
前記負極リチウムは板状のリチウム金属またはリチウム合金が中空筒状に成形されてなり、
前記負極リチウムの中空内面には金属製平板からなる負極集電体が圧着され、
前記電池缶の底部を下方として、前記負極集電体は、前記負極リチウムに取り付けられる平板状の集電部と、当該集電部から上方に突出して帯状に延長するリード部とが一体的に形成されてなり、
前記リード部は、先端が前記封口体の下端に取り付けられて前記負極端子と電気的に接続され、
前記集電部は、前記負極リチウムに取り付けられる面に複数の突起を備えるとともに、上端から所定の幅で下方に延長する矩形状の拡幅部、当該拡幅部に対して縮幅して下端に至る帯状の縮幅部と、が接続された形状を有し、
前記負極リチウムを上下方向に縦断して取り付けられている、
ことを特徴とする筒型リチウム一次電池としている。
また前記負極集電体が、硬度100Hv以上210Hv未満の金属製平板からなり、前記リード部が上方に向かって屈曲しながら延長し、前記突起が前記集電部に形成された切欠によって形成された舌片が立ち上げられてなるものとすればより好ましい。
本発明の範囲には、筒型リチウム一次電池に用いられる負極集電体も含まれており、当該負極集電体は、有底筒状で正極集電体を兼ねる電池缶内に、中空筒状に成形された正極合剤と、当該正極合の中空筒内にセパレータを介して配置される負極リチウムが収納されてなるとともに、前記電池缶の開口が負極端子を備えた封口体によって封止されてなる筒型リチウム一次電池に用いられる負極集電体であって、
金属製の平板からなるとともに、集電部と、当該集電部から一方向に突出して帯状に延長するリード部とが一体的に形成されてなり、
前記集電部は、一主面側に複数の突起を備えるとともに、リード部の突出方向を上方として、上端から所定の幅で下方に延長する矩形状の拡幅部、当該拡幅部に対して縮幅して下端に至る帯状の縮幅部と、が接続された形状を有している、
ことを特徴としている。
そして上記筒型リチウム一次電池用負極集電体を、硬度が100Hv以上210Hv未満の金属製平板からなるものとし、前記突起を前記集電部に形成された切欠によって形成された舌片が立ち上げられてなるものとすればより好ましい。
本発明によれば、負極リチウム切れの発生がなく、放電容量特性に優れた筒型リチウム一次電池を提供することができる。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
従来の筒型リチウム一次電池の構造を示す図である。 上記従来の筒型リチウム一次電池に用いられる負極集電体を示す図である。 本発明の実施例に係る負極集電体を示す図である。 本発明の実施例、従来例、および比較例に係る負極集電体の形状や負極リチウムへの取り付け状態を比較するための図である。 筒型リチウム一次電池における封口構造を示す図である。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===実施形態===
本発明の一実施形態に係る筒型リチウム一次電池(以下、電池)は、負極集電体以外は図1に示した従来の電池1とほぼ同じ構成と構造を有している。しかし実施形態に係る電池では、負極集電体の構造に特徴を有してリチウム切れを確実に防止し、優れた放電特性を備えている。図3に本実施形態に係る電池に用いた負極集電体70aの構造を示した。ここでは負極集電体70aの平面形状を示しており、図3に示したように、実施形態に係る電池に用いた負極集電体(以下、実施例の負極集電体70aとも言う)は、集電部71aの形状が図2に示した従来の負極集電体(以下、従来例の負極集電体70bとも言う)の集電部71bとは異なっており、集電部71aは、上端76から所定の幅w1で下方に延長する上下長L1の矩形状の領域(以下、拡幅部171とも言う)の下方に拡幅部171に対して縮幅して下端77に至る帯状の領域(以下、縮幅部271とも言う)が接続された形状を有している。また集電部71aには、図2に示した負極集電体70bと同様に、切欠によって形成された舌片を立ち上げてなる突起73と、その突起73を立ち上げたことによって形成される孔75を備えている。
====性能評価===
<サンプル>
次に実施形態に係る電池の性能を評価するために、平面形状が異なる3種類の負極集電体を作製し、各負極集電体を用いて電池をサンプルとして作製した。作製したサンプルは、直径17mm、上下高45.0mmの外形寸法を有し、IEC規格で言う「17450型」に準じたリチウム一次電池に相当する。図4に各サンプルに採用した負極集電体(70a、70b、70c)の平面形状を示した。ここでは負極リチウム30に取り付けられた状態の負極集電体(70a、70b、70c)を示した。また図中では集電部(71a、71b、71c)に形成されている突起を省略しているが実際には図2に示した従来例の負極集電体70aと同様の突起73とその形成跡である孔75が集電部(71a、71b、71c)の全領域にわたって形成されている。
図4(A)は実施例の負極集電体70aであり、リード部は幅wL=3mm、上下長さLL=19mmで、集電部71aの拡幅部171は幅w1=8mm、上下長L1=15mmである。そして縮幅部271は幅w2=3mm、上下長L2=3mmである。そしてこの実施例の負極集電体70aの集電部71aが幅W=21mm、上下長L=40.5mmの負極リチウム30に取り付けられている。なお集電部71aは負極リチウム30の中央に配置されて、上端と下端に余白を有して負極リチウム30の全長にわたって取り付けられている。
図4(B)は従来の負極集電体70bであり、実施例の負極集電体70aの拡幅部171に対応する幅w1=8mm、上下長L1=15mmの集電部71bを有する。リード部72の幅wLと上下長LLは実施例の負極集電体70aと同じである。そしてこの比較例の負極集電体70bが、負極リチウム30の上端側で実施例の負極集電体70aの拡幅部171と同じ位置に取り付けられている。図4(C)は実施例の負極集電体70aに対する比較例として作製した負極集電体70cであり、集電部71cは、幅w1=8mm、上下長L3=30mmで、幅w1が実施例の負極集電体70aにおける拡幅部171と同じで、上下長L3が実施例の負極集電体70aにおける拡幅部171と縮幅部271を含めた集電部71aの全長に等しい(L3=L1+L2)。そしてこの比較例の負極集電体70cが負極リチウム30に対して実施例の負極集電体70aと同じ上下位置に取り付けられている。なお実施例および比較例の負極集電体(70a、70c)は、従来例の負極集電体70bと同じ材料から作製されており、ここでは厚さ80μmのステンレス板を用いている。また突起73の形状や間隔も従来例の負極集電体70bに準じている。
<放電容量特性>
上述した実施例、従来例、および比較例の負極集電体(70a、70b、70c)を用いた3種類の電池をサンプルとして、各サンプルについて3個の個体を製した。そして全個体に対し、23℃の温度下で1kΩの負荷を掛けて連続放電させる放電試験を行い、終止電圧2.0Vになるまでの時間を測定することで放電容量特性を評価した。また封口前の電池缶内に所定の高さ位置まで電解液を注液したときの注液量を測定した。
以下の表1に各サンプルについての注液量と放電容量特性を示した。
Figure 0006872325
表1では、実施例、従来例、および比較例の負極集電体(70a、70b、70c)を用いたサンプルをそれぞれサンプルA、サンプルB、およびサンプルCとしている。また従来例の負極集電体70bを用いたサンプルBを100とした相対値で各サンプルにおける注液量と放電容量特性を示している。表1に示したように、サンプルBに対してサンプルAでは注液量が1%減少したものの、放電容量特性は8%向上した。一方、サンプルCではサンプルBに対して注液量が3%減少し、放電容量特性は5%向上した。しかし放電容量特性はサンプルAよりも3%劣った。
そして放電試験後に各サンプルを分解したところ、サンプルBではリチウム切れが発生しており、そのリチウム切れによってサンプルBが他のサンプルに対して放電容量が低下したことが確認できた。サンプルAとサンプルCではリチウム切れが発生していなかった。したがって、比較例の負極集電体70cを用いたサンプルCでは負極リチウム30の上下長にわたって集電部71cが取り付けられているため、リチウム切れが発生しなかったが、集電部71bの体積が増加した分だけ電解液の注液量が低下し、放電容量特性の向上はサンプルBに対して5%にとどまったものと考えることができる。そして実施例の負極集電体70aを用いたサンプルAでは、負極リチウム30の上下長にわたって集電部が取り付けられているため、リチウム切れが発生せず、かつ集電部71aが拡幅部171の下端に縮幅部271が連続する形状であるため、サンプルBの集電部71bに対するサンプルAの集電部71aの体積増加はサンプルCよりも少ない。それによって実施例の負極集電体70aを用いた電池では、比較例の負極集電体70cを用いた電池よりも電解液の注液量が増え、負極リチウムを使い切ることによる放電容量特性の向上効果が顕著となり、放電容量が、サンプルCに対して3%、従来の負極集電体を用いたサンプルAに対しては8%も増加したものと考えられる。
<その他の効果>
ところで電池には内部構造が同じで電池缶の高さが異なる種類がある。すなわち負極リチウムの上下長が異なる電池がある。このような場合、サイズが異なる電池間で部品を共通化することでコストダウンが図れる。そして上記実施例の負極集電体70aでは集電部71aが幅広の拡幅部171と細い帯状の縮幅部271とによって構成されており、縮幅部271を切断するだけで、当初の集電部71aの上下長(L1+L2)よりも短い集電部を備えた負極集電体を得ることができる。それによって高さがより低い電池に同じ負極集電体70aを適用することができる。しかも縮幅部は幅が狭いため、拡幅部よりも切断が容易であり、切断用の金型の摩耗を少なくし、金型の寿命を延長させることができる。もちろん必要に応じて縮幅部271と同様に細い帯状のリード部72を適当な長さとなるように切断することもできる。このように実施例の負極集電体70aは、高さの異なる電池と部品を共通化することが可能となり、複数の種類の電池の製造コストを低減させることができる。また複数の電池で部品を共通化させるためには細い帯状の縮幅部を切断するだけでよく、金型の寿命延長も含めてその切断加工に掛かるコストも安価にすることができる。
===負極集電体の材質について===
上述したように実施形態に係る電池は、上記実施例の負極集電体を備えて、リチウム切れが確実に防止され、電解液の注入量の低下も最小限に抑えられて、優れた放電容量特性を有している。しかし放電容量特性の向上は、負極集電体の集電部が負極リチウムに確実に接触し、かつ使用に際して脱落しないように強固に取り付けられていることが前提となる。言い換えれば、負極集電体の集電部の突起が曲がったり欠けたりせずに確実に形成されている必要がある。そこで本発明者が突起の形成状態を左右する条件について検討してみたところ、負極集電体を構成する金属平板の硬度が重要であることを知見した。確かに金属平板をプレス加工することで負極集電体を形成していることから、硬度とともに厚さも重要な要件となるはずである。しかし厚さは極めて正確に制御することができ、負極集電体の材料である金属平板のメーカに対して厚さを指定すれば、指定通りの厚さの金属平板を入手することができる。そして負極集電体用の金属平板として一般的に使用されている厚さ(例えば、50μm〜250μm)であれば、厚さを制御することでコストが嵩むことはほとんどない。言い換えれば、現時点で負極集電体に使用している厚さの材料をそのまま使えばよい。
一方硬度は厳密に制御することが難しく、硬度を指定して入手した金属平板であってもその硬度に幅があることが判明した。上記の実施例、従来例、および比較例の負極集電体は、事前に金属平板の硬度を測定し、160Hv〜180Hvの硬度の金属平板を用いて作製したものである。しかし負極集電体を作製する際に金属平板の硬度を測定したり、硬度の誤差が小さな高品質な金属平板のみを使用したりすれば、上述した部品の共通化が図れても電池のコストを増加させてしまう可能性がある。
さらに負極集電体用の金属平板の硬度と突起の形成状態との関係について検討を続けたところ、金属平板の硬度は、突起の形成状態を左右するだけではなく、電池缶の封口性能にも影響を与えることが判明した。図5に金属平板の硬度(以下、硬度とも言う)と電池の封口状態との関係を示した。なお図5に示した電池1では実施例の負極集電体70aを用いているが、硬度と封口状態との関係は他の負極集電子であっても同様に説明することができる。図5(A)は電池缶10の封口工程を示す概略図であり、ここでは開口状態の電池缶10に対する封口体60の配置やリード部72の接続状態を縦断面図にして示した。図5(B)は、図1に示した電池1の上端側を拡大した図であり、正常に電池缶10が封口されている状態を示している。図5(C)は異常があるときの封口状態を示す縦断面図である。
図5(A)に示したように、電池缶10の開口13を封口する工程では、負極集電体70aの集電部が、すでに負極リチウムに取り付けられている。そして上方に開口するカップ状のガスケット50内に封口板62と負極端子61を順次装填して一体化しておく。またガスケット50の底部に形成されている孔51に負極集電体70aのリード部72を挿通し、その先端を封口板62の下面63に取り付けておく。そしてリード部72を折り曲げながら封口板62と負極端子61で構成される封口体60とガスケット50との一体化部品(以下、封口部品とも言う)を電池缶10の開口13から電池缶10内に装着する。そして電池缶10のビーディング部12を座にしてこの封口部品を載置し、電池缶10のビーディング部12から開口13に至る領域を内方にかしめる。それによって、図5(B)に示したように、封口部品(50、60)が電池缶10の開口13に嵌着され、電池缶10内が密閉される。なお上記の電池缶10の封口方式は「クリンプ方式」と呼ばれるものである。
ところで図5(A)に示したように、電池缶10内では金属平板からなる負極集電体70aのリード部72が折り曲げられていることから、その折り曲げたリード部72は板バネとして作用し、封口体60にはガスケット50内から外方へ押し出す方向の力が加わる。そして負極集電体70aの硬度や厚さが過剰であると、図5(C)に示したように封口体60が傾き、負極端子61や封口板62が変形したり、ガスケット50から逸脱した封口体60が電池缶10の内面に接触して短絡が発生したりする可能性がある。したがって封口性能の信頼性を確保するためにも負極集電体70aの硬度や厚さを適切に設定する必要がある。そして上述したように厚さについてはコストアップを招かずに容易に制御可能であるが、硬度については安価に制御することが難しい。すなわち、このままでは負極集電体の形状を工夫することで放電性能に優れた電池を得ることができるものの、その電池をより安価に提供することが難しくなる。
そこで視点を変え、負極集電体を構成する金属平板は、厚さについては厳密に制御できるものの、硬度についてはある程度の幅があることを前提とし、突起を適切に形成でき、かつ電池缶を正常に封口できる適正な硬度範囲を見極めることとした。そしてその硬度範囲がある程度広ければ、敢えて負極集電体を作製する際に事前に硬度を測定したり、高品質の原材料のみを調達したりする必要がなくなり、コストダウンが図れ、負極集電体が確実に負極リチウムに取り付けられ、電池缶も適切に封口できる。それによって電池の信頼性も向上する。そこで許容できる硬度範囲を見極めるために、実施例の負極集電体を硬度と厚さが異なる金属平板を用いて作製し、その各種負極集電体をサンプルとした。そして各サンプルを用いて電池を組み立てた。なお各サンプルおよび電池の組立には、上記非特許文献1に記載の17450型に準じた筒型リチウム一次電池の製造ラインを用いた。また各サンプルについて20個ずつの個体を作製した。そして各個体について、突起の形成状態と、電池組み立て時の封口状態とを目視により検査した。
以下の表2に各サンプルにおける負極集電体の突起の形成状態と封口状態を示した。
Figure 0006872325
上述したように、硬度にはバラツキがある。そこで金属平板の硬度を測定した上で所定の硬度を有する金属平板を用いた各サンプルを作製した。そして表2におけるサンプル1〜3は、硬度が不足することを想定した硬度80Hvの金属平板を用いた負極集電体であり、サンプル4〜6の負極集電体は、硬度のバラツキを許容したサンプルであり、サンプル4〜6のそれぞれに含まれる20個の個体には、100Hv以上210Hv未満の硬度を有する負極集電体を平均して混在させている。サンプル6〜8は硬度が過剰となることを想定したサンプルであり、硬度を230Hvに統一している。また厚さについては、サンプルに応じて40μm、80μm、および250μmのいずれかとした。そして表2に示したように、硬度が低いサンプル1〜3のうち、厚さが40μmと80μmのサンプル1と2では突起を適切に形成することができず、切欠を立ち上げて突起に形成する際に突起が変形したり切欠が破断したりした部位が数多く存在し、サンプル1では20個中15個に、サンプル2では20個中12個に突起の形成不良が発生した。なお厚さが250μmあり突起の形成には問題がないと思われたサンプル3でも20個中3個の個体に突起が正常に形成されていない突起が存在した。
サンプル4〜6は、硬度にバラツキがあるものの、全ての厚さにおいて不良率が10%以下となった。具体的には、厚さが40μmのサンプル4では20個中2個のサンプルに突起の形成不良があった。厚さが250μmのサンプル6では全ての個体で突起が正常に形成されたものの、20個中1個の個体において封口不良が発生した。そして厚さが80μmのサンプルでは全ての個体において突起が正常に形成され、封口不良も発生しなかった。硬度が230Hvのサンプルでは全てのサンプルにおいて多数の個体に封口不良が発生した。以上より、100Hv以上210Hv未満の硬度であれば極めて高い確率で突起を正常に形成することができ、かつ電池缶を正常に封口することができると言える。少なくともサンプル4〜6に用いた金属平板の厚さが40μm以上250μm以下であるので、この範囲であれば極めて高い歩留まりで電池を作製することができる。なお適正な硬度を有するサンプル4〜6を用いて作製した電池の放電特性を調べてみたところ、放電容量特性にも大きな問題はなかった。
以下の表3にサンプル4〜6の放電容量特性を示した。
Figure 0006872325
表3において、サンプル5は表1におけるサンプルAに対応しており、表3ではサンプル5の放電特性を100として各サンプルの放電特性を相対値で示している。この表3に示したように、注液量と放電容量とは正確に比例しており、当然のことながら、厚さが厚いほど注液量が減少して放電特性が低下する。しかし厚さが250μmのサンプル6でもサンプルBに対して98%の放電特性が得られており、表1に示した従来例に対応するサンプルBを100とすれば、約106%の放電特性が得られることになり、これは表1に示したサンプルCよりも優れている。また上述したように金属平板の厚さは精密に制御できる。したがって電池に求められる放電容量に応じて適宜な厚さの金属平板から負極集電体を作製すればよい。
===その他の実施例===
上記実施形態に係る電池に使用した負極集電体には集電部に三角形状の突起を設けていたが、この突起の形状は、例えばコの字形の切欠を立ち上げてなる矩形状など、適宜な形状とすることができる。
上記実施形態に係る電池は、封口体が絶縁性の樹脂からなるガスケットを介して電池缶の開口にかしめられることで当該開口が封止されていたが、電池間の封口方式としては、この封口板と負極端子を絶縁しつつ、封口板の周縁を電池缶の開口周縁にレーザー溶接する方式もある。そして本発明は、負極集電体の集電部を負極リチウムに取り付けるとともに、リード部の先端を負極端子と電極的に接続する構造を有する電池であれば、どのような電池にも適用することができる。もちろん電池は円筒状に限らず角筒状であってもよい。
1 円筒型リチウム一次電池、10 電池缶、20 正極合剤、30 負極リチウム、
40 セパレータ、50 ガスケット、60 封口体、61 負極端子、
62 封口板、70a,70b,70c 負極集電体、
71a,71b,71c 集電部、72 リード部、73 突起、171 拡幅部、
271 縮幅部

Claims (4)

  1. 正極集電体を兼ねる有底筒状の電池缶内に、中空筒状に成形された正極合剤と、当該正極合の中空筒内にセパレータを介して配置される負極リチウムが収納されてなるとともに、前記電池缶の開口が負極端子を備えた封口体によって封止されてなる筒型リチウム一次電池であって、
    前記負極リチウムは板状のリチウム金属またはリチウム合金が中空筒状に成形されてなり、
    前記負極リチウムの中空内面には金属製平板からなる負極集電体が圧着され、
    前記電池缶の底部を下方として、前記負極集電体は、前記負極リチウムに取り付けられる平板状の集電部と、当該集電部から上方に突出して帯状に延長するリード部とが一体的に形成されてなり、
    前記リード部は、先端が前記封口体の下端に取り付けられて前記負極端子と電気的に接続され、
    前記集電部は、前記負極リチウムに取り付けられる面に複数の突起を備えるとともに、上端から所定の幅で下方に延長する矩形状の拡幅部、当該拡幅部に対して縮幅して下端に至る帯状の縮幅部と、が接続された形状を有し、
    前記負極リチウムを上下方向に縦断して取り付けられている、
    ことを特徴とする筒型リチウム一次電池。
  2. 請求項1において、前記負極集電体は、硬度が100Hv以上210Hv未満の金属製平板からなり、前記リード部は、上方に向かって屈曲しながら延長し、前記突起は、前記集電部に形成された切欠によって形成された舌片が立ち上げられてなることを特徴とする筒型リチウム一次電池。
  3. 有底筒状で正極集電体を兼ねる電池缶内に、中空筒状に成形された正極合剤と、当該正極合の中空筒内にセパレータを介して配置される負極リチウムが収納されてなるとともに、前記電池缶の開口が負極端子を備えた封口体によって封止されてなる筒型リチウム一次電池に用いられる負極集電体であって、
    金属製の平板からなるとともに、集電部と、当該集電部から一方向に突出して帯状に延長するリード部とが一体的に形成されてなり、
    前記集電部は、一主面側に複数の突起を備えるとともに、リード部の突出方向を上方として、上端から所定の幅で下方に延長する矩形状の拡幅部、当該拡幅部に対して縮幅して下端に至る帯状の縮幅部と、が接続された形状を有している、
    ことを特徴とする筒型リチウム一次電池用負極集電体。
  4. 請求項3において、硬度が100Hv以上210Hv未満の金属製平板からなり、前記突起は、前記集電部に形成された切欠によって形成された舌片が立ち上げられてなることを特徴とする筒型リチウム一次電池用負極集電体。
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