JP6872062B2 - 時計、特に少なくとも1つのカバーを備えた懐中時計 - Google Patents

時計、特に少なくとも1つのカバーを備えた懐中時計 Download PDF

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Description

本発明は、時計、特に、例えば一組の針がその上を移動する文字盤を包み隠す少なくとも1つのカバーを備えた懐中時計に関する。
懐中時計タイプの時計は、人によって使用された最初の時計であった。これらの懐中時計は、従来、時計ケースを備えており、その内側に、文字盤の上を移動する一組の時間針および分針を駆動する時計ムーブメントが収納されている。時間針および分針は、従来、時計ガラスによって覆われている。時計ガラスを引っ掻き傷から保護し、また、破損の危険から保護するために、これらの懐中時計のいくつかはカバーを備えており、このカバーは、カバーがガラスを覆う閉じた位置と、カバーが文字盤および針を所有者に示す開いた位置との間で移動することができる。頂部カバーおよび底部カバーを備えた懐中時計も同じく存在している。頂部カバーは、例えば現在の時刻を示す第1の文字盤および第1のセットの時間針および分針を覆い、また、底部カバーは、第2のセットの時間針および分針がその上を移動し、第1のセットの針によって提供される時間帯とは異なる第2の時間帯を示す第2の文字盤を覆う。別法としては、第2のカバーは、装飾パターン、家族の写真または他の要素を保護するガラスを覆うことも可能である。
懐中時計の多くの実施形態が既に提案されている。これらの懐中時計のうちの1つは、それぞれ頂部カバーおよび底部カバーである2つのカバーを備えており、また、静止位置では、時計ケースの面の平面内を垂直方向に展開するペンダント・リングを備えている。これらのカバーは、ペンダント・リングを時計ケースの面の平面から前方または後方に向かって傾斜させることによって開き、また、頂部カバーまたは底部カバーを開く選択は、前記ペンダント・リングを傾斜させる方向によってなされる。例えばペンダント・リングを時計ケースの面の平面から前方に向かって傾斜させると頂部カバーが開き、一方、同じペンダント・リングを時計ケースの面の平面から後方に向かって傾斜させると底部カバーが開く。
そのために、懐中時計は、それぞれ頂部カバーおよび底部カバーを開き、また、閉じた状態で保持するように配置される2つのばねを備えている。2つのピストンがばねの自由端の頂部を押しつけている。ペンダント・リングは2つのカム経路を備えており、これらのカム経路は、ペンダント・リングが前方または後方に向かって傾けられると、これらのカム経路が交互に2つのピストンのうちの一方を駆動するように配置されており、駆動されたピストンは対応するばねを押しつけ、したがって選択されたカバーのロックを解除する。
以上から理解されるように、上で簡単に説明した懐中時計のカバーを開くための機構は極めて基本的な機構であり、その主な欠点は、ペンダント・リングを前方または後方に向かって単純に傾斜させることによって、対応するカバーを瞬時に開くことにある。したがってこれらのカバーのうちのどちらかが偶然に開く危険が極めて高く、これは、安価な懐中時計に対しては許容可能であっても、高価な懐中時計に対しては、全くその限りではない。
本発明の目的は、懐中時計の1つまたは複数のカバーを、単純で、かつ、確実な方法で開くことができ、その一方で、これらのカバーのあらゆる偶然の開きを事実上不可能にするデバイスを備えた懐中時計などの時計を提供することにより、上で言及した問題およびそれ以上の問題を克服することである。
そのために、本発明は、時計、特に懐中時計に関しており、懐中時計は、中央部分によって範囲が定められたケースを備え、その中心に時計ムーブメントが収納され、時計は、時計の面のうちの少なくとも1つに、情報または装飾パターンを表示するためのデバイスを覆うカバーをさらに備え、時計は、カバーを開くためのデバイスをさらに備え、このカバーは、ロッキングばねによって閉じた位置で保持され、開くためのデバイスは、時計の中央部分の内側に取り付けられた固定ペンダントを備え、さらに、この固定ペンダント内をケースの中心に向かって同軸でスライドすることができる可動ペンダントを備え、可動ペンダントは、軸方向の案内グルーブガイド溝に沿って移動することができ、次に、この軸方向の案内溝が開いている円周方向の案内溝の中へ移動することができる案内要素を備え、軸方向の案内溝および円周方向の案内溝は、固定ペンダントの内部表面に構築され、円周方向の案内溝は、軸方向の案内溝が開いている場所から離れた境界を備え、それにより可動ペンダントがケースの中心に向かって押されると、この可動ペンダントは最初に軸方向に変位し、次に、案内要素が、円周方向の案内溝の範囲を定める、その境界に当接する場所によって画定される角度だけピボットすることができ、開くためのデバイスは、ケースの中心に向かって軸方向に展開し、かつ、可動ペンダントとロッキングばねの間に一定のクリアランスで配置される少なくとも1つのピンをさらに備え、可動ペンダントは、ピンの側に螺旋溝を有し、この螺旋溝はピンと接触し、可動ペンダントが押されると、その軸方向の変位をロッキングばねの方へ向け、次に、ピンがロッキングばねを押しつけて、ロッキングばねによって加えられた保持力からカバーを解放するようピボットする。
本発明の特定の一実施形態によれば、軸方向の案内溝が円周方向の案内溝中に開く場所と、境界が円周方向の案内溝の範囲を定めている場所との間の角度は、90°に等しいか、または実質的に90°に等しい。
本発明の別の特定の実施形態によれば、開くためのデバイスは、時計の中央部分の内側に、固定ペンダントの内側に同軸で固定されるように取り付けられたペンダント・パイプを備えており、可動ペンダントは、固定ペンダントとペンダント・パイプの間をスライドすることができる。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、開くためのデバイスは、可動ペンダントの内側に同軸で配置された戻りばね、および可動ペンダントとペンダント・パイプの間の軸受を備えている。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、開くためのデバイスは、可動ペンダントの内側に同軸で配置されたクラウン・パイプをさらに備え、その上に戻りばねがねじ込まれ、このクラウン・パイプはペンダント・パイプを押しつける。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、開くためのデバイスは、可動ペンダント上に取り付けられたマニューバリング・リングを備えている。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、開くためのデバイスは、クラウン・パイプの内側に同軸で配置され、かつ、ペンダント・パイプによって案内される設定ステムを備えている。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、開くためのデバイスは、設定ステムに固定されるように取り付けられたクラウンを備えている。
本発明のさらに別の特定の実施形態によれば、時計は、第1の面の上に第1のカバーを備え、また、第2の面の上に第2のカバーを備え、第1のカバーは、第1のロッキングばねによって閉じた位置で保持され、一方、第2のカバーは、第2のロッキングばねによって閉じた位置で保持され、軸方向の案内溝は、第1の円周方向の案内溝および第2の円周方向の案内溝中に開き、第1の円周方向の案内溝および第2の円周方向の案内溝は、この軸方向の案内溝の両側に展開し、これらはいずれも境界によって範囲が定められ、それにより可動ペンダントがケースの中心に向かって押されると、この可動ペンダントは最初に軸方向に変位し、次に、可動ペンダントが配置される第1の円周方向の案内溝または第2の円周方向の案内溝の範囲を定めている境界に案内要素が当接する場所によって画定される角度だけ左側または右側へピボットすることができ、開くためのデバイスは、ケースの中心に向かって軸方向に展開し、かつ、可動ペンダントと第1のロッキングばね、それぞれ第2のロッキングばねの間に一定のクリアランスで配置される第1のピンおよび第2のピンを備え、可動ペンダントは、第1のピンおよび第2のピンの側に第1の螺旋溝および第2の螺旋溝を有し、これらの第1の螺旋溝および第2の螺旋溝は、可動ペンダントが押された後にピボットする方向に応じて、第1の螺旋溝が第1のピンと接触するか、あるいは第2の螺旋溝が第2のピンと接触し、それにより、場合によっては、第1のピンが第1のロッキングばねを押しつけて、第1のロッキングばねによって加えられた保持力から第1のカバーを解放するか、あるいは第2のピンが第2のロッキングばねを押しつけて、第2のロッキングばねによって加えられた保持力から第2のカバーを解放するよう、第1のピンまたは第2のピンの軸方向の変位を第1のロッキングばね、またはそれぞれ第2のロッキングばねの方へ向けるように配置される。
これらの特徴により、本発明は、時計、特に、その面のうちの少なくとも1つに、情報、例えば時間指示または装飾パターンを表示するためのデバイスを覆うカバーを備える懐中時計を提供し、この時計は、カバーを容易に開くことができ、かつ、このカバーが偶然に開くあらゆる危険を完全に、またはほぼ完全に防止することができるデバイスをさらに備えている。そのために、開くためのデバイスは、カバーの可動ペンダントとロッキングばねの間に配置された、ケースの中心に向かって軸方向に変位させることができるピンを備えており、可動ペンダントには案内要素が提供されており、軸方向の案内溝に沿って変位させることができ、次に、この軸方向の案内溝が開いている円周方向の案内溝の中へ変位させることができ、これらの2つの軸方向および円周方向の案内溝は、固定ペンダント中に構築されている。したがってピンは、単にロッキングばねを押しつけて、案内要素が円周方向の案内溝の底に到達すると、カバーを解放させることになる。したがってカバーの開きは、時計、特に懐中時計の所有者が、最初に時計、特に懐中時計の中心に向かって軸方向に変位させ、次にピボットさせなければならない可動ペンダントの先行する操作に依存する。これは、時計、特に懐中時計の所有者が思い出し、かつ、実行する困難性を有さない操作であり、また、これは、それと同時に、カバーの偶然の開きをほとんど不可能にする。
本発明の他の特徴および利点は、本発明による時計を形成する懐中時計の一例示的実施形態についての以下の詳細な説明を読むことによってより良好に理解され、添付の図面を参照してなされる前記例は、単に例証の目的で提供されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
本発明による時計を形成している懐中時計の斜視図であり、この懐中時計の前面を覆うそのカバーは開いている。 図1における懐中時計の斜視図であり、この懐中時計の背面を覆うカバーは開いている。 本発明による懐中時計の分解斜視図である。 カバーを開くためのデバイスの斜視図であり、可動ペンダントは省略されている。 図4における図と同様の図であり、可動ペンダントは所定の位置に位置している。 固定ペンダントの内部のピンの配置を見ることができる角度からの、開くためのデバイスの斜視図である。 固定ペンダントの上からの斜視図であり、2つの円周方向の案内溝中に開いている軸方向の案内溝を見ることができる。 固定ペンダントの下からの斜視図であり、2つの円周方向の案内溝中に開いている軸方向の案内溝を見ることができる。 カバーを開くためのデバイスの部分的に分離された状態における斜視図である。 カバーを開くためのデバイスの分離された状態における斜視図であり、とりわけクラウン・パイプおよび設定ステムを見ることができる。 カバーを開くためのデバイスの静止位置における断面図であり、切断面はペンダント・パイプの締付けねじを貫通している。 カバーを開くためのデバイスの静止位置における断面図であり、切断面はカバー・ロッキングばねの駆動ピンを貫通している。 カバーを開くためのデバイスの静止位置における断面図であり、切断面は可動ペンダントの駆動キャッチを貫通している。 図10と同様の断面図であり、カバーを開くためのデバイスは、時計ケースの中心に向かって軸方向に押し込まれている。 図11と同様の断面図であり、カバーを開くためのデバイスは、時計ケースの中心に向かって軸方向に押し込まれている。 図12と同様の断面図であり、カバーを開くためのデバイスは、時計ケースの中心に向かって軸方向に押し込まれている。 図13と同様の図であり、カバーを開くためのデバイスは、その押し込まれた位置から時計方向に回転している。 図14と同様の図であり、カバーを開くためのデバイスは、その押し込まれた位置から時計方向に回転している。 図15と同様の図であり、カバーを開くためのデバイスは、その押し込まれた位置から時計方向に回転している。 図13と同様の図であり、カバーを開くためのデバイスは、その押し込まれた位置から反時計方向に回転している。 図14と同様の図であり、カバーを開くためのデバイスは、その押し込まれた位置から反時計方向に回転している。 図15と同様の図であり、カバーを開くためのデバイスは、その押し込まれた位置から反時計方向に回転している。 可動ペンダントの一部が切り欠かれた斜視図であり、円周方向の案内溝のうちの1つの中に開いている軸方向の案内溝を見ることができる。
本発明は、表示デバイスを覆う少なくとも1つのカバーを開くためのデバイスを時計、特に懐中時計が備える一般的な発明着想から生まれた。本発明による時計を備える、開くためのデバイスは、その動作の信頼性が極めて高くなるよう、限られた数の部品を利用している。さらに、時計、特に懐中時計のカバーを開くことができるよう、その所有者は、直感的で、かつ、容易に覚えることができ、その一方で、カバーの偶然の開きをほとんど不可能にする策略を実施しなければならない。
「近位」という用語は、本特許出願においては、時計ケース側に位置していることを記述しているものとして理解すべきであり、また、「遠位」という用語は、本明細書においては、時計のクラウン側に位置していることを記述しているものとして理解すべきである。さらに、「軸方向」という用語は、時計ケースの中心に向かって展開している任意の要素を表すことになり、また、「半径方向」という用語は、軸方向の周りを中心とする円の弧で展開する要素に適用されることになる。
一括して参照数表示1で全体として示されている、本特許出願に付随する図に示されている懐中時計は、本発明による時計の特定の実施形態を示している。しかしながら本発明は、このような懐中時計1に限定されないこと、また、本発明は、任意の他のタイプの時計、特に腕時計に適用され得ることを理解されたい。また、本発明の単純化された実施形態では、本発明は、単一のカバーを備えた懐中時計などの時計に適用され得ることを同じく理解されたい。しかしながら以下で与えられる説明は、前面4aに第1のカバー2aを備え、また、背面4bに第2のカバー2bを備える懐中時計1の事例を表している。これらの第1のカバー2aおよび第2のカバー2bは、それらが情報、例えば時間情報を表示し、さらには装飾パターンを表示するためのデバイスを覆い、これらの表示デバイスあるいはこれらの装飾パターンをあらゆる外部攻撃から保護する閉じた位置と、それらがこれらの表示デバイスあるいはこれらの装飾パターンを時計の所有者に示す開いた位置との間で移動することができる。
本発明による懐中時計1は、それぞれ第1のカバー2aおよび第2のカバー2bを閉じた位置で保持することができる第1のロッキングばね6aおよび第2のロッキングばね6bをさらに備えている。非制限の好ましい代替実施形態では、懐中時計1は、それぞれ第1のカバー2aおよび第2のカバー2bを開く動きを容易にする第1のアンロッキングばね8aおよび第2のアンロッキングばね8bをさらに備えている。
上で言及したように、本発明の目的は、単純で、かつ、確実な方法で懐中時計の1つまたは複数のカバーを開くことができ、その一方で、これらカバーのあらゆる偶然の開きを事実上不可能にするデバイスを備えた懐中時計などの時計を提供することである。
そのために、本発明による懐中時計1は、懐中時計1の所有者による第1のカバー2aまたは第2のカバー2bの、選択的で、かつ、信頼性の高い開きを許容するデバイス10を備えている。この開くためのデバイス10は、先ず、とりわけ時計ムーブメント18が収納される内部体積の内側の時計ケース16の範囲を定めている中央部分14に取り付けられた固定ペンダント12を備えている。非制限の方法で、この固定ペンダント12は、全体的に円筒状の形を有するボディー20の形態を取り、その対称の中心軸は、時計ケース16の中心に向かって展開している。有利には、固定ペンダント12は、少なくとも1つ、好ましくは2つの足22によってその近位側を展開しており、その各々には、固定ペンダント12を懐中時計1の中央部分14に取り付けるための2つのねじを通すための孔24が穿たれている。
ここで説明されている例では、ボディー20の対称の中心軸は、時計ケース16の中心に向かって展開しているが、当業者の能力の範囲内での若干の適合により、対称のこの中心軸は異なる配向で与えられ得ることを理解されたい。
懐中時計1の開くためのデバイス10は、好ましいが非排他的方法で、固定ペンダント12の内側に同軸で、懐中時計1の中央部分14の内側に固定されるように取り付けられたペンダント・パイプ28をさらに備えている。このペンダント・パイプ28は、例えば、ペンダント・パイプ28を固定ペンダント12中に取外し可能な方法で締め付けるための2つのねじ34を通すための1つまたは2つの孔32が穿たれたフランジ30を備えており、フランジ30は、そのために、ねじ34を受け取るためのねじが切られた2つの孔35を備えている。
懐中時計1の開くためのデバイス10は、固定ペンダント12内を、固定ペンダント12とペンダント・パイプ28の間を時計ケース16の中心に向かって同軸でスライドすることができ、次に、ピボットすることができる可動ペンダント36によって完成されている。本発明によれば、この可動ペンダント36は、遠位側から近位側に向かって展開している連続する2つの円筒状パイプ部分38aおよび38bの形態を取っており、第2の円筒状パイプ部分38bは、第1の円筒状部分38aの直径より小さい直径を有している。
より詳細には、第2の円筒状パイプ部分38bは、その外部表面に、軸方向の案内溝42に沿って変位させることができ、次に、この軸方向の案内溝42の近位端46から軸方向の案内溝42の両側に沿って展開している2つの円周方向の案内溝44aおよび44bのうちのいずれか一方の中へ変位させることができるキャッチなどの案内要素40を備えている。図に示されているように、軸方向の案内溝42および円周方向の案内溝44a、44bは、固定ペンダント12の内部表面48に構築されており、円周方向の案内溝44a、44bは、軸方向の案内溝42が開いている場所から離れた境界50a、50bを備えている。したがって可動ペンダント36が時計ケース16の中心に向かって押されると、この可動ペンダント36は、最初に軸方向に変位し、次に、対応する円周方向の案内溝44aまたは44bの範囲を定めている境界50aまたは50bに案内要素40が当接する場所によって画定される角度だけ時計方向または反時計方向にピボットすることができる。
単に例証の目的で、境界50a、50bは、ペンダント・パイプ28のフランジ30に締め付けられるか、あるいはこのフランジ30と一体で構築される2つの柱によって形成されている。固定ペンダント12がペンダント・パイプ28と組み立てられると、2つの柱は、固定パイプ12の底に構築された、円周方向の案内溝44a、44b中に開いているそれぞれの開口51a、51bを貫通する。優先的に、軸方向の案内溝42が円周方向の案内溝44a、44b中に開いている場所と、柱がこれらの円周方向の案内溝44a、44bの範囲を定めている場所との間の角度は、90°に等しいか、または実質的に90°に等しい。
図に示されているように、第1の円筒状パイプ部分38aは、開くためのデバイス10のマニューバリング・リング54を締め付けるための手段52を備えている。このマニューバリング・リング54は任意選択であり、別の駆動部材と置き換えることができる。
第2の円筒状パイプ部分38bは、近位側のそのベース56に、カム経路を形成している第1の螺旋溝58aおよび第2の螺旋溝58bを有している。これらの第1の螺旋溝58aおよび第2の螺旋溝58bは、その各々が90°を超えて展開し、第2の円筒状パイプ部分38bのベース56から時計ケース16の中心に向かって立ち上がり、それらが結合する頂点のところまでに互いに向かって漸近している。以下でより詳細に説明されるように、これらの第1の螺旋溝58aおよび第2の螺旋溝58bの目的は、ピン60a、60のうちの第1のピン、またはそれぞれ第2のピンの時計ケース16の中心へ向かう平行移動を制御することであり、これらのピンは、第1のロッキングばね6a、またはそれぞれ第2のロッキングばね6bを押しつけて、当該ロッキングばね6aまたは6bによって加えられた保持力から対応するカバー2a、2bを解放する。ピン60a、60bは、固定ペンダント12中に構築されたクリアランス61に沿って軸方向に案内され、ペンダント・パイプ28のフランジ30中に提供されている2つの開口62を貫通する。
懐中時計1の開くためのデバイス10は、可動ペンダント36の内側で同軸に係合され、かつ、例えばねじ込みによってペンダント・パイプ28の内側で締め付けられるクラウン・パイプ64をさらに備えている。可動ペンダント36が固定ペンダント12の内側を軸方向にスライドすることができるよう、クラウン・パイプ64の上に戻りばね66がねじ込まれている。その近位端側では、戻りばね66は、ペンダント・パイプ28を押しつけ、一方、その遠位端側では、戻りばね66は、可動ペンダント36の内径縮小70によって画定された第1の肩68を押しつけており、この内径縮小70は、第2の肩72をさらに画定しており、クラウン・パイプ64は、外径拡大74を介して第2の肩72を押しつけている。時計ケース16の中心に向かって押された可動ペンダント36によってなされる移動は、約1ミリメートルに等しい。同様に、第1のピン60aおよび第2のピン60bは、軸方向に対しては自由であり、その軸方向の運動も同じく約1ミリメートルに等しい。
最後に、開くためのデバイス10は、クラウン・パイプ64およびペンダント・パイプ28の内側で同軸に係合され、また、近位端で時計ケース16に侵入して時計ムーブメント18と係合する設定ステム76を備えている。設定ステム76は、その遠位端でクラウン78によって覆われる。
本発明による開くためのデバイス10の動作原理は以下の通りである。最初に、懐中時計1の所有者によって可動ペンダント36が戻りばね66の弾性に対して時計ケース16の中心に向かって押される。この運動の間、案内要素40は、軸方向の案内溝42の内側をスライドする。案内要素40が軸方向の案内溝42の底に当接すると、所有者は、案内要素40が円周方向の案内溝44aまたは44bのうちのいずれかに侵入するよう、可動ペンダント36を時計方向または反時計方向にピボットさせることができる。案内要素40は、第1の円周方向の案内溝44aに侵入することが仮定されており、可動ペンダント36をピボットさせる効果によって第1の螺旋溝58aが第1のピン60aと接触し、第1のピン60aを時計ケース16の中心に向かって軸方向に移動するように徐々に強制することになることを理解されたい。可動ペンダント36が、軸方向に対して自由であった場合に占有していた位置に対して時計方向に90°回転されると、案内要素40が円周方向の案内溝44aの底に位置している境界50aに当接し、また、第1の螺旋溝58aがその頂点を介して第1のピン60aと接触する。この位置では、第1のピン60aが時計ケース16の中心に向かって可能な限り前方へ押され、第1のロッキングばね6aを押しつけて、このロッキングばね6aの作用から第1のカバー2aを解放し、かつ、その開きを許容する。好ましい非制限の方法で、第1のアンロッキングばね8aによって第1のカバー2aの開きを補助することができる。第2のカバー2bの開きは、案内要素40が第2の円周方向の案内溝44b中へスライドして第2のカバー2bが開くことになるよう、所有者が可動ペンダント36を反時計方向へ回転させることを除き、第1のカバー2aの開きと同じ方法で得られる。
第1のカバー2aが開くと、案内要素40が位置している円周方向の案内溝44aから案内要素40を除去するために可動ペンダント36がピボットされ、軸方向の案内溝42の足へ可動ペンダント36をもたらす。この点に到達すると、伸長する戻りばね66の弾性の効果の下で、可動ペンダント36がその遠位位置へ戻される。その懐中時計を見た所有者は、第1のカバー2aが第1のロッキングばね6aと係合する位置へ第1のカバー2aをもたらすことにより、手で第1のカバー2aを閉じることができる。
本発明は、上で説明した実施形態に限定されないこと、また、当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を逸脱することなく、様々な単純な代替および修正が考慮され得ることは言うまでもない。とりわけ、以上の説明では、本発明は、その前面4aに第1のカバー2aを備え、また、その背面4bに第2のカバー2bを備えた懐中時計1を参照して説明されていることに留意されたい。そのために、開くためのデバイス10は、第1のピン60aおよび第2のピン60bに加えて、第1の螺旋溝58aおよび第2の螺旋溝58bを備えている。しかしながらこの例示的設計は、非制限の例として提供されたものであること、また、本発明による懐中時計1は、その開きが単一の螺旋溝58aおよび単一のピン60aによって制御されることになる1つのカバー2aのみを備えることも可能であることを理解されたい。
1 懐中時計
2a 第1のカバー
2b 第2のカバー
4a 前面
4b 背面
6a 第1のロッキングばね
6b 第2のロッキングばね
8a 第1のアンロッキングばね
8b 第2のアンロッキングばね
10 開くためのデバイス
12 固定ペンダント
14 中央部分
16 時計ケース
18 時計ムーブメント
20 ボディー
時計ケースの中心
22 足
24 孔
28 ペンダント・パイプ
30 フランジ
32 孔
34 ねじ
35 ねじが切られた孔
36 可動ペンダント
38a 第1の円筒状パイプ部分
38b 第2の円筒状パイプ部分
40 案内要素
42 軸方向の案内溝
44a 円周方向の案内溝
44b 円周方向の案内溝
46 近位端
48 内部表面
50a 境界
50b 境界
51a 開口
51b 開口
52 締付け手段
54 マニューバリング・リング
56 ベース
58a 第1の螺旋溝
58b 第2の螺旋溝
頂点
60a 第1のピン
60b 第2のピン
61 クリアランス
62 開口
64 クラウン・パイプ
66 戻りばね
68 第1の肩
70 内径縮小
72 第2の肩
74 外径拡大
76 設定ステム
78 クラウン

Claims (15)

  1. 時計であって、中央部分(14)によって範囲が定められたケース(16)を備え、その中心(O)に時計ムーブメント(18)が収納され、前記時計は、前記時計の前面または背面(4a、4b)のうちの少なくとも1つに、情報または装飾パターンを表示するためのデバイスを覆うカバー(2a、2b)をさらに備え、前記時計が前記カバー(2a、2b)を開くためのデバイス(10)をさらに備え、このカバー(2a、2b)は、ロッキングばね(6a、6b)によって閉じた位置で保持され、前記開くためのデバイス(10)は、前記時計の前記中央部分(14)の内側に取り付けられた固定ペンダント(12)を備え、さらに、前記固定ペンダント(12)内を前記ケース(16)の前記中心(O)に向かって同軸でスライドすることができる可動ペンダント(36)を備え、前記可動ペンダント(36)は、軸方向の案内溝(42)に沿って移動することができ、次に、前記軸方向の案内溝(42)が開いている円周方向の案内溝(44a、44b)の中へ移動することができる案内要素(40)を備え、前記軸方向の案内溝(42)および前記円周方向の案内溝(44a、44b)は前記固定ペンダント(12)の内部表面に構築され、前記円周方向の案内溝(44a、44b)は、前記軸方向の案内溝(42)が開いている場所から離れた境界(50a、50b)を備え、それにより前記可動ペンダント(36)が前記ケース(16)の前記中心(O)に向かって押されると、この可動ペンダント(36)は最初に軸方向に変位し、次に、前記案内要素(40)が、前記円周方向の案内溝(44a、44b)の範囲を定める前記境界(50a、50b)に当接する場所によって画定される角度だけピボットすることができ、前記開くためのデバイス(10)は、前記ケース(16)の前記中心(O)に向かって軸方向に展開し、かつ、前記可動ペンダント(36)と前記ロッキングばね(6a、6b)の間に一定のクリアランスで配置される少なくとも1つのピン(60a、60b)をさらに備え、前記可動ペンダント(36)は前記ピン(60a、60b)の側に螺旋溝(58a、58b)を有し、この螺旋溝(58a、58b)が前記ピン(60a、60b)と接触し、前記可動ペンダント(36)が押されると、その軸方向の変位を前記ロッキングばね(6a、6b)の方へ向け、次に、前記ピン(60a、60b)が前記ロッキングばね(6a、6b)を押しつけて、前記ロッキングばね(6a、6b)によって加えられた保持力から前記カバー(2a、2b)を解放するようピボットする、時計。
  2. 前記軸方向の案内溝(42)が前記円周方向の案内溝(44a、44b)中に開く場所と、前記境界(50a、50b)が前記円周方向の案内溝(44a、44b)の範囲を定めている場所との間の角度は、90°に等しいか、または実質的に90°に等しいことを特徴とする請求項1に記載の時計。
  3. 前記開くためのデバイス(10)は、前記時計の前記中央部分(14)の内側に、前記固定ペンダント(12)の内側に同軸で固定されるように取り付けられたペンダント・パイプ(28)を備え、前記可動ペンダント(36)は、前記固定ペンダント(12)と前記ペンダント・パイプ(28)の間をスライドすることができることを特徴とする請求項1に記載の時計。
  4. 前記開くためのデバイス(10)は、前記時計の前記中央部分(14)の内側に、前記固定ペンダント(12)の内側に同軸で固定されるように取り付けられたペンダント・パイプ(28)を備え、前記可動ペンダント(36)は、前記固定ペンダント(12)と前記ペンダント・パイプ(28)の間をスライドすることができることを特徴とする請求項2に記載の時計。
  5. 前記開くためのデバイス(10)は、前記可動ペンダント(36)の内側に同軸で配置された戻りばね(66)と、前記可動ペンダント(36)と前記ペンダント・パイプ(28)の間の軸受とを備えることを特徴とする請求項3に記載の時計。
  6. 前記開くためのデバイス(10)は、前記可動ペンダント(36)の内側に同軸で配置された戻りばね(66)と、前記可動ペンダント(36)と前記ペンダント・パイプ(28)の間の軸受とを備えることを特徴とする請求項4に記載の時計。
  7. 前記開くためのデバイス(10)は、前記可動ペンダント(36)の内側に同軸で配置されたクラウン・パイプ(64)をさらに備え、その上に前記戻りばね(66)がねじ込まれ、このクラウン・パイプ(64)が前記ペンダント・パイプ(28)の内側に固定されることを特徴とする請求項5に記載の時計。
  8. 前記開くためのデバイス(10)は、前記可動ペンダント(36)の内側に同軸で配置されたクラウン・パイプ(64)をさらに備え、その上に前記戻りばね(66)がねじ込まれ、このクラウン・パイプ(64)が前記ペンダント・パイプ(28)の内側に固定されることを特徴とする請求項6に記載の時計。
  9. 前記開くためのデバイス(10)は、前記可動ペンダント(36)上に取り付けられたマニューバリング・リング(54)を備えることを特徴とする請求項7に記載の時計。
  10. 前記開くためのデバイス(10)は、前記クラウン・パイプ(64)の内側に同軸で配置され、かつ、前記ペンダント・パイプ(28)によって案内される設定ステム(76)を備えることを特徴とする請求項7に記載の時計。
  11. 前記開くためのデバイス(10)は、前記クラウン・パイプ(64)の内側に同軸で配置され、かつ、前記ペンダント・パイプ(28)によって案内される設定ステム(76)を備えることを特徴とする請求項8に記載の時計。
  12. 前記開くためのデバイス(10)は、前記クラウン・パイプ(64)の内側に同軸で配置され、かつ、前記ペンダント・パイプ(28)によって案内される設定ステム(76)を備えることを特徴とする請求項9に記載の時計。
  13. 前記開くためのデバイス(10)が、前記設定ステム(76)の上に固定されるように取り付けられたクラウン(78)を備えることを特徴とする請求項10に記載の時計。
  14. 前記前面(4a)の上に第1のカバー(2a)を備え、前記背面(4b)の上に第2のカバー(2b)を備え、前記第1のカバー(2a)は第1のロッキングばね(6a)によって閉じた位置で保持され、一方、前記第2のカバー(2b)は第2のロッキングばね(6b)によって閉じた位置で保持され、前記軸方向の案内溝(42)は、2つの円周方向の案内溝(44a、44b)の両方の中に開き、前記2つの円周方向の案内溝(44a、44b)は、この軸方向の案内溝(42)の両側に展開し、これらはいずれも境界(50a、50b)によって範囲が定められ、それにより前記可動ペンダント(36)が前記ケース(16)の前記中心(O)に向かって押されると、この可動ペンダント(36)は最初に軸方向に変位し、次に、前記可動ペンダント(36)が配置される前記円周方向の案内溝(44a、44b)の範囲を定めている前記境界(50a、50b)に前記案内要素(40)が当接する場所によって画定される角度だけ左側または右側へピボットすることができ、前記開くためのデバイス(10)は、前記ケース(16)の前記中心(O)に向かって軸方向に展開し、かつ、前記可動ペンダント(36)と前記第1のロッキングばね(6a)、それぞれ前記第2のロッキングばね(6b)の間に一定のクリアランスで配置される第1のピンおよび第2のピン(60a、60b)を備え、前記可動ペンダント(36)は、前記第1のピンおよび前記第2のピン(60a、60b)の側に、第1の螺旋溝および第2の螺旋溝(58a、58b)を有し、これらの第1の螺旋溝および第2の螺旋溝(58a、58b)は、前記可動ペンダント(36)が押された後にピボットする方向に応じて、前記第1の螺旋溝(58a)が前記第1のピン(60a)と接触するか、あるいは前記第2の螺旋溝(58b)が前記第2のピン(60b)と接触し、それにより、場合によっては、前記第1のピン(60a)が前記第1のロッキングばね(6a)を押しつけて、前記第1のロッキングばね(6a)によって加えられた保持力から前記第1のカバー(2a)を解放するか、あるいは前記第2のピン(60b)が前記第2のロッキングばね(6b)を押しつけて、前記第2のロッキングばね(6b)によって加えられた保持力から前記第2のカバー(2b)を解放するよう、前記第1のピン(60a)または前記第2のピン(60b)の軸方向の変位を前記第1のロッキングばね(6a)、またはそれぞれ前記第2のロッキングばね(6b)の方へ向けるように配置される、請求項1に記載の時計。
  15. 前記時計は懐中時計であることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の時計。
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