JP6871453B2 - ビール様アルコール飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、ビール様アルコール飲料に関する。
近年の低価格志向を背景に、麦芽使用比率が低い、または、麦芽を使用しないビール様飲料が数多く市販されている。このように麦芽使用量を低減させたビール様飲料では本格的なビールの風味やコク感が失われてしまうことが多い。
また、近年の健康ブームを背景に、低糖質、低カロリー、低アルコール、糖質ゼロ又はノンアルコール等、機能系のビール様飲料が数多く市販されている。例えば、糖質やプリン体の含有量を低減させたビール様アルコール飲料は、その製造工程において活性炭処理等の方法により、糖質やプリン体の除去を行っている。その過程で、ビールらしい風味を維持するために本来必要な成分まで除去されてしまい、風味のバランスが崩れてしまうことがある。
また、風味バランスが崩れない場合でも、不要成分を除去する課程でビール様飲料のコク感が低減し、ビールらしい風味が失われてしまうことは多い。
ビール様ノンアルコール飲料は一般的にアルコール発酵工程を経ずに製造されるため、ビールらしさを欠き、飲用意向に劣るという問題がある。
特許文献1には、ビール凍結乾燥物をビール様飲料の風味を改善するために使用することが記載されている。特許文献3では、ビールらしい風味が弱いビール様飲料にビール凍結乾燥物を添加することにより、ビールのコク感又はビールらしい風味を付与又は増強することに成功している。
しかしながら、ビール凍結乾燥物を製造するためには手間及びコストを要し、より簡便かつ低コストで風味改善効果が得られる技術が求められている。
特許文献2及び3では、麦芽又はホップ等のビール原料に含まれる風味物質を使用してビールの風味の一部を改善する試みが行われている。しかし、使用されている風味物質は本来ビールに含まれている風味物質と成分及び組成が相違し、ビールのコク感又はビールらしい風味を付与又は増強することは行われていない。
特許文献4には、2−アセチル−2−チアゾリンを含有する茶飲料並びに2−アセチル−2−チアゾリンを添加することを特徴とする飲食物への火入れ香の付与方法が記載されている。特許文献4でいう火入れ香とは、茶類が本来持つ微妙な軽いローストノートである。
特開2013−201976号公報 特開2005−13166号公報 国際公開WO2010/079778号公報 特開2003−274858号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、ビール様飲料に、ビールらしい風味を付与することができる、又はそのビールらしい風味を増強することができる添加物を提供することにある。
本発明は、2−アセチル−2−チアゾリンを含むビール様アルコール飲料を提供する。
ある一形態においては、風味を改善しようとするビール様飲料が、麦芽を0〜50重量%(w/w)の量で含有するデンプン原料を用いて製造されたものである。
ある一形態においては、風味を改善しようとするビール様飲料が、低カロリービール様アルコール飲料、低糖質ビール様アルコール飲料、糖質ゼロビール様アルコール飲料、低プリン体ビール様アルコール飲料、プリン体ゼロビール様アルコール飲料、又はビール様ノンアルコール飲料である。
ある一形態においては、風味を改善しようとするビール様飲料が、デンプン原料を発酵させることなく製造されたものである。
また、本発明は、風味を改善しようとするビール様飲料に対して請求項1に記載のビール様飲料用風味改善剤を添加することによりビールらしい風味を付与又は増強する工程を包含する、ビール様飲料の製造方法を提供する。
ある一形態においては、前記ビール様飲料用風味改善剤は、風味を改善しようとするビール様飲料に含まれる2−アセチル−2−チアゾリンの濃度が0.5〜5.0ppbになる量で添加される。
また、本発明は、前記ビール様飲料用風味改善剤を含有するビール様飲料を提供する。
また、本発明は、前記ビール様飲料用風味改善剤を0.5〜5.0ppbの濃度で含有する、麦芽を0〜50重量%(w/w)の量で含有するデンプン原料を用いて製造されたビール様飲料を提供する。
また、本発明は、2−アセチル−2−チアゾリンのビール様飲料用風味改善剤としての使用を提供する。
本発明のビール様飲料用風味改善剤を、風味を改善しようとするビール様飲料に添加すると、ビール様飲料のビールらしい風味が生成又は増強される。特に、本発明のビール様飲料用風味改善剤は、ビールらしい風味が弱いビール様飲料に、ビール特有の味の膨らみ、後味の余韻及び穀物香を付与することができ、総合的なビールらしさに優れたビール様飲料を提供することができる。
本発明の風味改善剤はビール様飲料の風味を改善するために使用される。風味とは香りや味わいをいう。改善とは一般的な消費者の嗜好に合うように改変することをいう。
ビール様飲料とは、ビールらしい風味を有する飲料の全てを指していう。例えば、ビール様飲料には、デンプン原料を糖化して糖液を得、これにホップを添加し、酵母で発酵させたアルコール飲料が一例として挙げられる。デンプン原料としては、麦芽、及び大麦、米、とうもろこし等の穀物類、穀物類から分離したデンプンなどが使用される。ビール様飲料の具体例には、ビール、発泡酒、雑酒、リキュール類、スピリッツ類、低アルコール飲料、ノンアルコール飲料などであって、ビールらしい風味を有するものが含まれる。
中でも、風味を改善する対象として好ましいビール様飲料は低糖質ビール様アルコール飲料、糖質ゼロビール様アルコール飲料、低プリン体ビール様アルコール飲料、プリン体ゼロビール様アルコール飲料、低カロリービール様アルコール飲料及びカロリーゼロビール様アルコール飲料等のいわゆる機能系のビール様アルコール飲料である。これらは、低糖質化、低カロリー化又は低プリン体化される過程で適切な風味を実現するのに必要な香味物質が除去されてしまい、コク感又はビールらしい風味が減少していることが多いからである。
また、ビール様アルコール飲料には、飲用水に、麦汁、麦芽エキス、糖類、香料及びエタノールなどを加えることによりビールらしい風味及び味質に仕上げたものもある。発酵工程を行わないか、発酵工程を行う場合でも、実質的な量のアルコールを生成させない程度に制限したビール様アルコール飲料は、以下、「非発酵ビール様アルコール飲料」という。
非発酵ビール様アルコール飲料はデンプン原料を発酵させることなく製造され、発酵感が不足し、アルコールの刺激臭又はアルコール感が強いという問題がある。それゆえ、非発酵ビール様アルコール飲料は風味を改善する対象として好ましい。
また、ビール風味炭酸飲料等のビール様ノンアルコール飲料はデンプン原料を発酵させることなく製造され、コク感及びビールらしい風味に乏しく、麦汁臭を呈することが多い。それゆえ、ビール様ノンアルコール飲料も風味を改善する対象として好ましい。
本発明のビール様飲料用風味改善剤は2−アセチル−2−チアゾリンを含有する。本発明のビール様飲料用風味改善剤は、風味を改善しようとするビール様飲料に適量添加される。そのことにより、コク感又はビールらしい風味が付与又は増強されたビール様飲料が製造される。
風味改善剤の添加量の最適範囲は、風味改善の対象とするビール様飲料の種類又は目標とする呈味レベルによって異なる。一般には、ビール様飲料に含まれる風味改善剤の濃度が0.25〜10.0ppb、好ましくは0.5〜5.0ppb、より好ましくは1.0〜2.5ppbの範囲になるように、適宜調節される。風味改善剤の濃度が0.25ppb未満であると風味改善効果が不十分となり、10.0ppbを超えると香味バランスが崩れ、ビールらしい風味が損なわれる場合がある。
風味を改善しようとするビール様飲料に本発明の風味改善剤を添加する場合、そのタイミングに制限はなく、ビール様飲料の製造工程における適当な工程で添加することができる。例えば、発泡酒に添加する場合には、麦汁煮沸後の冷却工程、発酵工程又は熟成工程等任意の工程でよいが、添加する工程が前工程であればあるほど、風味改善剤中の各成分の濃度の消長が考えられるため、後発酵工程の終了後が望ましい。また、リキュール類に添加する場合には、税法上、主発酵終了前に添加する必要があるため、主発酵開始前及び主発酵終了直前に添加することが望ましい。
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
風味を改善する対象として新ジャンル発泡性リキュール(「アサヒオフ」(商品名)、アサヒビール社製)を準備した。「アサヒオフ」は糖質含有量が0.4〜0.9g/100ml、プリン体含有量が0〜0.66mg/100ml、カロリー量が26kcal/100mlである。「アサヒオフ」の糖質含有量、プリン体含有量、カロリー量は通常のビール様飲料より低く、「アサヒオフ」は低糖質低プリン体低カロリービール様アルコール飲料である。尚、通常のビール様飲料の例としては、ビールである「アサヒスーパードライ」(商品名)及び新ジャンル発泡性リキュールである「クリアアサヒ」(商品名)が挙げられるが、それらのカロリー量は、それぞれ42kcal/100ml及び45kcal/100mlである。
風味改善剤として2−アセチル−2−チアゾリンを準備した。2−アセチル−2−チアゾリンを「アサヒオフ」に所定量添加し、ビール様アルコール飲料を製造した。そして、専門評価者によって、製造したビール様アルコール飲料の風味の官能評価を行った。その際、「アサヒオフ」を対照として使用し、評価値は、3名の専門評価者の平均値を採用した。評価項目及び評価基準は次の通りである。官能評価の結果を表1に示す。
評価項目
Figure 0006871453
評価基準
Figure 0006871453
[表1]
Figure 0006871453
実施例2
風味を改善する対象としてビール風味炭酸飲料(「アサヒドライゼロ」(商品名)、アサヒビール社製)を準備した。「アサヒドライゼロ」はエネルギー量が0kcal/100ml、糖質含有量が0g/100mlと低く、カロリーゼロ糖質ゼロビール様炭酸飲料である。
「アサヒオフ」の代わりに「アサヒドライゼロ」を使用すること以外は実施例1と同様にして、2−アセチル−2−チアゾリンの風味改善機能を試験した。結果を表2に示す。
[表2]
Figure 0006871453
実施例3
風味を改善する対象としてビール(「アサヒスーパードライ」(商品名)、アサヒビール社製)を準備した。
「アサヒオフ」の代わりに「アサヒスーパードライ」を使用すること以外は実施例1と同様にして、2−アセチル−2−チアゾリンの風味改善機能を試験した。結果を表3に示す。
[表3]
Figure 0006871453
実施例4
風味を改善する対象としてビール(「アサヒザ・マスター」(商品名)、アサヒビール社製)を準備した。
「アサヒオフ」の代わりに「アサヒザ・マスター」を使用すること以外は実施例1と同様にして、2−アセチル−2−チアゾリンの風味改善機能を試験した。結果を表4に示す。
[表4]
Figure 0006871453
実施例1〜4の結果から、2−アセチル−2−チアゾリンを所定量含有させることにより、ビール様飲料の等の総合的なビールらしさが向上することが理解される。特に、機能系ビール様アルコール飲料及びビール様ノンアルコール飲料については、0.5〜5.0ppbの濃度で含有させることにより、総合的なビールらしさ(即ち、ビール特有の味の膨らみ、後味の余韻及び穀物香があること)の顕著な向上が示された。

Claims (3)

  1. 2−アセチル−2−チアゾリンを0.5〜5.0ppb含むビール様アルコール飲料。
  2. 発酵飲料である、請求項1に記載のビール様アルコール飲料。
  3. 麦芽を0〜50重量%(w/w)の量で含有する、請求項1または2に記載のビール様アルコール飲料。
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