JP6871422B2 - 固体燃料バーナおよび固体燃料バーナ用保炎器 - Google Patents
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Description
このようなバーナにおいて、燃料ノズルの火炉開口側の先端部には、着火を促進し、火炎の安定化を図る部材として保炎器が設けられることが多い。そして当該保炎器は燃料流れ方向に対して径方向へ階段状もしくは、角度をもって広がる構造が採用される場合が多い。(下記の特許文献1〜5に記載の技術が公知である。)
また、保炎器:flame stabilizer の語に関して、環状の保炎器を保炎リング:Flame Stabilization Ring, Ring Stabilizer と称したり、保炎器の一部としての環状部材をリング、リング部材のように記すこともある。
またノズル先端部の保炎器には、外周側から噴出させる燃焼用ガス(2次空気)の流れをノズル中心軸側から外向きに拡げるような案内部材(案内板)を形成することが多い。案内板はバッフルプレートという名称が使われる場合がある。
これは、固気二相流と燃焼用ガスの流れを分離して、保炎器の火炉側に大きな循環流を形成することにより、燃料粒子の着火促進、火炎の安定性向上や還元炎領域の拡大に伴うNOxの発生量低減、未燃分の低減等を図る目的がある。
このような流路構成により、保炎器およびその案内部材付近を流れる燃焼用ガスの流速を高めることで保炎器およびその案内部材の冷却を促進してその焼損抑制が図られているとともに、前述の循環流を拡大することで着火の安定化を図っている。
特に保炎器やその案内部材は、火炉からの輻射を受け、著しい高温に曝されるので保守の必要性が高い。
このため、案内部材をその火炉開口側から見た投影面が十分に大きなものとして、燃焼用ガス(2次空気)の流れがノズル上流側から火炉側に向けて直進・貫通しないようにその流路を構成する必要があった。
保炎器およびその案内部材は一体的に鋳造品で構成され、燃料ノズルの開口端部に取り付け部材を介して取り付けられることが多い。
このとき、特許文献1,2に記載の構成のように、保炎器や案内部材の外径が、2次空気ノズルの外周壁の内径よりも大きい場合、保炎器等を含む燃料ノズルの部分を、軸方向に沿って炉外の側にそのまま引き抜くことはできない。したがって、ボイラ火炉内側に足場を設置するなどして、保炎器およびその案内部材を取り外す必要があり、メンテナンス性の向上が求められていた。
1)性能面:保炎器の火炉側に大きな循環流を形成することにより、燃料粒子の着火促進、火炎の安定性向上、還元炎領域の拡大に伴うNOxの発生量低減、未燃分の低減等を図ること。
2)信頼性:保炎器およびその案内部材の冷却を促進してその焼損抑制を図ること。
3)メンテナンス性:保炎器およびその案内部材を燃料ノズルから取り外さずに燃料ノズルと一体的に炉外側へ引き抜くこと。
請求項1に記載の発明は、固体燃料と該固体燃料の搬送ガスとの混合流体が流れる筒状の流路を有する第1のガスノズルと、前記固体燃料の燃焼用ガスが流れ、前記第1のガスノズルの外周側に形成される第2の流路を構成する第2のガスノズルと、前記第1のガスノズルの先端外周部に配置され、前記第2の流路を流れる流体を径方向の外側に案内する案内部材と、前記第2の流路の流れ方向に対して、前記案内部材の上流側に配置され、前記第2の流路の断面積を狭くする縮流形成部材と、を備え、前記第2のガスノズルの外周壁の内径に対して、前記案内部材の外径の方が小さく形成され、前記第1のガスノズル、前記案内部材および前記縮流形成部材が、前記第1のガスノズルの軸方向に沿って炉外に向けて、一体的に着脱可能に構成されたことを特徴とする固体燃料バーナである。
図2は図1(B)の固体燃料バーナのII−II線断面図である。
なお、実施例1では、三次空気流路12の入口部分に、流体に旋回を付与する旋回器22が配置されているが、旋回器22を設けない構成とすることも可能である。
燃料ノズル10の開口端部(=火炉17側出口)には、一次空気13と二次空気14の間の循環流31を拡大するための保炎器23が設けられている。この保炎器23は、該保炎器23の下流側に循環流31を形成して着火性と保炎効果を高めるように燃料ノズル10の先端部にリング状に設けられる。また、燃料ノズル10側には、さめ歯状の突起を形成したものを用いても良い。
図1、図2において、実施例1の保炎器23には、二次空気流路11a内に、二次空気14の流れ方向に沿って延びる板状のフィン部材36が支持されている。フィン部材は、保炎器23の周方向に沿って間隔をあけて複数配置されており、放射状の板材により構成されている。フィン部材36は、保炎器23の上流端に衝突して乱れた二次空気を整流する。
なお、実施例1の縮流形成部材50は、筒壁部50bがフィン部材36に固定支持されている。よって、縮流形成部材50は、フィン部材36と一体的に移動可能な構成となっている。なお、縮流形成部材50と、二次空気ノズル11の間には、移動可能な程度の微少な隙間、遊びが形成されている。なお、この微少な隙間には、二次空気14が漏れないように耐火材を充填する構成とすることも可能である。また、固体燃料バーナ1の使用時の熱膨張で隙間が埋まると共に、メンテナンス前の冷却に伴う熱収縮で隙間が形成されるように、隙間の大きさを調整することも可能である。
特に、実施例1では、縮流形成部材50は、二次空気ノズル11の流路の外周側に設置されていることで、流れの向きを一旦、径方向中心軸向きに絞り(すなわち、第2の流路の断面積を狭くし)、その後、反転して外向きに拡がる流れを形成している。なお、実施例1の縮流形成部材50は、二次空気ノズル11とは分離した部材で保炎器23側から支持されている。
図3(A)において、実施例1の縮流形成部材50は、周方向全体に一様な円環状(リング状)の一体の(ひとまとまりの)部材で構成されている。なお、図3(B)に示す形態とすることも可能である。
図3に示すように、縮流形成部材50は、周方向に区切られていない1つの部材で構成することが望ましいが、周方向に複数に分割可能な構成とすることも可能である。なお、縮流形成部材50は、保炎器23と一体形成されることが望ましい。保炎器23は、一般的に鋳造品であり、縮流形成部材50を保炎器23と一体物として製作することが可能である。
すなわち、前述したように、縮流形成部材50と二次空気ノズル11の間に、縮流形成部材50が二次空気ノズル11に対して移動可能な程度の微少な隙間、遊びを形成した場合、少量ではあるが二次空気が隙間をショートパスするような流れが発生し得る。この流れは、ノズル軸方向に沿って直進するような流れである。この流れは、保炎器23の先端部に配置された案内リング34により、外側に偏向させて噴出した二次空気の流れを阻害するおそれがある。
ここで、X1が二次空気流れ(二次空気ノズル11)の下流側、ノズル開口端に近い部位に設定されているとそのような作用が強く働く。一方、上流側に設定すれば、ショートパスする流れは減衰し、その作用を弱めることができる。
図4は実施例1の固体燃料バーナにおいて、第1のガスノズルの部分が引き出された状態の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の固体燃料バーナ1では、前述のように、二次空気ノズル11の内径L1に対して、案内リング34および縮流形成部材50の外径L2の方が小さく設定されている。ボイラの定期検査に、固体燃料バーナ1を分解する工程において、案内リング34が二次空気ノズル11に引っ掛からずに、燃料ノズル10等と共に引き抜くことが可能である。したがって、特許文献1,2に記載の構成のように、火炉17の内部に足場を設置する等の工程が不要となり、メンテナンス性が向上する。
図5(A)、図5(B)、図5(E)、図5(F)において、比較例1では、実施例1と同様に、二次空気ノズル11の流路構成は、燃焼用ガス(二次空気)の流れが二次空気ノズル11上流側から火炉側に向けて直進・貫通しない構成となっている。しかし、比較例1では、実施例1とは異なり、縮流形成部材50が設けられないことで、二次空気の流速が、実施例1や比較例3よりも低速になり、循環流31の領域が小さくなる問題がある。
さらに、図5(A)、図5(D)において、比較例3では、縮流形成部材50が設けられていないが、実施例1と異なり、案内リング34の外径L2が二次空気ノズル11の内径L1よりも大きい(L2>L1)。したがって、二次空気ノズル11の流路構成は、燃焼用ガス(二次空気)の流れが二次空気ノズル11上流側から火炉側に向けて直進・貫通しにくい。しかしながら、L2>L1であるため、案内リング34が二次空気ノズル11に引っ掛からずに、燃料ノズル10を引き抜くことができない。
なお、特許文献1の図11(第10の実施形態)には、狭隘部(65)を形成することが記されている。しかし、特許文献1の明細書段落番号「0064」には、「二次空気ノズル11内にガイドスリーブ12に、空気流の流れ方向に対し流路を狭める狭隘部65を周方向に複数個設ける」と記載され、本発明の実施例1のような円環状の部材、即ち、周方向全体に一様なひとまとまりの部材であるかどうか、明確ではない。
また、実施例1では縮流形成部材50を燃料ノズル10側から支持・固定し、二次空気ノズル11からは分離可能であるが、特許文献1において、狭隘部(65)を周方向に複数個設けるための部材に関する図面及び関連の記載からは、分離可能とは読み取れない。
従って、特許文献1に記載の構成において、実施例1の長さL4に相当する狭隘部(65)の内径と、長さL2に相当する案内板・リング(30)の外径の関係がL4<L2であった場合、案内板・リング(30)を燃料ノズルと一体で炉外側に引き抜こうとしたとき、狭隘部(65)を通すことができない。
特許文献5の図1,3,5,6,9におけるベンチュリ(21)は、ノズル中心軸側に二次空気ノズル(11)の流路が狭まるようになっている点で、実施例1における縮流形成部材50に類似している。
しかし、少なくとも以下の2点で両者は異なる。
1)(縮流形成)部材と二次空気ノズルの関係(部材の支持形態)
実施例1では縮流形成部材50を燃料ノズル10側から支持・固定し、二次空気ノズル11からは分離可能である点について、特許文献5のベンチュリ(21)は、図面及び関連記載において、そのような記載がない。
2)一旦縮流を形成した後流側の流路形態(二次空気の流れ)
特許文献5のベンチュリ(21)は、徐々に流路が外周側に拡張していくような錐壁部分が設けられている。
即ち、ベンチュリ(21)の後流側では二次空気の流れがノズルの径方向で一様となるようにされている。
このため、縮流形成部材50の内径L4と、案内リング34の外径L2との関係がL4<L2となっている。
特許文献5では長さL4に相当するベンチュリ(21)の内径と、長さL2に相当する部分の長さの関係がL4<L2となっているかどうかが明確ではない。仮にL4<L2であるとすると(ベンチュリ(21)が二次空気ノズルから分離可能で燃料ノズル側から支持・固定されているか明らかでないことから)、保炎器に相当する部材を燃料ノズルと一体で炉外側に引き抜こうとしたとき、ベンチュリ(21)と干渉してしまう。
図6において、縮流形成部材50の形状は、図1に示す断面L字状に限定されず、図6(A)に示す断面三角形状や、図6(B)に示すように断面四角形状、図6(C)に示すように断面U字形状、図6(D)に示すように断面90度円弧状とすることが可能である。また、図6(E)に示すように左右反転したL字状としたり、図6(F)に示すように上下反転したT字状とする等、縮流を形成可能な任意の形状とすることが可能である。
一方、縮流形成部材50と、二次空気ノズル11の間の隙間が狭く調整可能な場合はこの限りではない。たとえばバーナ容量が小さく、すなわちバーナ寸法が小さい場合、相対的に上記隙間は小さく精度よく製作することが可能である。したがって、上述した隙間をショートパスする流れは抑えられ、外側に偏向させて噴出した二次空気の流れ14への影響も抑制される。そのような場合においては、図6(E)や(F)に例示した縮流形成部材50も選択し得る。これらは、(A)〜(D)の例に比べて、簡素な構造であることから、製作が容易で装置コストの低減につながる。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H03)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、縮流形成部材50をフィン部材36に支持する構成とする方が、部品点数が増加しない点で好ましいが、これに限定されない。例えば、フィン部材36とは別個に、縮流形成部材50を支持する部材(サポート、ステー)を設けて、縮流形成部材50を支持する構成とすることが可能である。よって、フィン部材36を設ける構成とすることが望ましいが、フィン部材を有しない構成とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、燃料ノズルの流路断面形状が真円状のバーナの構成を例示したが、これに限定されない。例えば、流路断面形状が扁平な形状(特許第5832653号公報等参照)のバーナにも適用可能である。
10…第1のガスノズル、
10a…混合流体が流れる流路、
11…第2のガスノズル、
11a…第2の流路、
14…2次空気、
25…ウインドボックス、
34…案内部材、
36…フィン部材、
50…縮流形成部材、
50a…縮流形成部材、上壁部、
50b…縮流形成部材、下壁部、
L1…第2のガスノズルの外周壁の内径、
L2…案内部材および縮流形成部材の外径、
L3…フロントプレート、1次ノズル引き抜き部径、
L4…縮流形成部位の内径。
Claims (5)
- 固体燃料と該固体燃料の搬送ガスとの混合流体が流れる筒状の流路を有する第1のガスノズルと、
前記固体燃料の燃焼用ガスが流れ、前記第1のガスノズルの外周側に形成される第2の流路を構成する第2のガスノズルと、
前記第1のガスノズルの先端外周部に配置され、前記第2の流路を流れる流体を径方向の外側に案内する案内部材と、
前記第2の流路の流れ方向に対して、前記案内部材の上流側に配置され、前記第2の流路の断面積を狭くする縮流形成部材と、
を備え、
前記第2のガスノズルの外周壁の内径に対して、前記案内部材の外径の方が小さく形成され、
前記第1のガスノズル、前記案内部材および前記縮流形成部材が、前記第1のガスノズルの軸方向に沿って炉外に向けて、一体的に着脱可能に構成された
ことを特徴とする固体燃料バーナ。 - 前記第2のガスノズルの外周壁の内径をL1とし、前記案内部材の外径をL2とし、前記縮流形成部材の内径をL4とした場合に、
L1>L2>L4
の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の固体燃料バーナ。 - 前記縮流形成部材と前記案内部材との間に配置され、前記第2の流路を流れる2次空気を整流するフィン部材、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の固体燃料バーナ。 - 前記フィン部材に支持された前記縮流形成部材、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の固体燃料バーナ。 - 固体燃料と搬送ガスとの混合流体が流れる筒状の第1のガスノズルと前記第1のガスノズルの外周側に配置された第2のガスノズルとを有する固体燃料バーナの燃料ノズル開口端部に設けられた保炎器であって、
当該保炎器の外周側を流れる燃焼用ガスの流路を外側から内側へと縮小させる環状の縮流形成部材と、
前記燃焼用ガスの流れに沿った方向に延びる複数のフィン部材を当該保炎器の周方向に備え、
前記環状の縮流形成部材を通過した燃焼用ガスの流れを外向きに偏向させる案内部材が設けられており、
前記案内部材の外径は、前記環状の縮流形成部材の内径よりも大きく、
前記第1のガスノズル、前記案内部材、前記フィン部材および前記縮流形成部材が、前記第1のガスノズルの軸方向に沿って炉外に向けて一体的に着脱可能に構成された
ことを特徴とする固体燃料バーナ用保炎器。
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