実施するための形態について、以下に説明する。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
(1)本開示の一態様に係る光ファイバー取出し用装置は、複数のPC鋼線が撚り合わされたPC鋼撚り線と、前記PC鋼撚り線の表面に前記PC鋼撚り線の撚り溝に沿って配置された光ファイバーと、前記PC鋼撚り線及び前記光ファイバーを被覆し、表面に前記PC鋼撚り線の前記撚り溝に対応した溝部を備えた被覆樹脂とを有する被覆PC鋼撚り線を導入する導入口と、
前記導入口から導入された前記被覆PC鋼撚り線の前記被覆樹脂を切削する切削部と、
前記導入口と、前記切削部との間に配置され、前記導入口から導入された前記被覆PC鋼撚り線の、前記光ファイバーが配置された前記撚り溝である光ファイバー配置撚り溝が、前記切削部に対応した位置となるように調整する位置調整部と、を有する。
本開示の一態様に係る光ファイバー取出し用装置は、位置調整部と切削部とを有している。そして、位置調整部により、被覆PC鋼撚り線の光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝が、切削部に対応した位置となるように調整するため、切削部により、光ファイバーを被覆する被覆樹脂を選択的、かつ容易に切削できる。
従って、本開示の一態様に係る光ファイバー取出し用装置によれば、被覆PC鋼撚り線において、光ファイバーを被覆する樹脂を容易に除去することができる。
(2) 前記位置調整部は、前記被覆樹脂の前記溝部に接するガイド部材を有し、
前記ガイド部材は、前記位置調整部に導入された前記被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な断面において、前記被覆PC鋼撚り線の外接円の直径方向に沿って伸縮することができてもよい。
(3) 前記ガイド部材がボールプランジャであってもよい。
(4) 前記切削部は回転工具を有していてもよい。
(5) 前記回転工具が、エンドミル、ドリル、回転刃、及び砥石から選択された1種類以上であってもよい。
(6) 前記切削部は、前記光ファイバー配置撚り溝を形成する2本のPC鋼撚り線と接している場合において、前記光ファイバー配置撚り溝に配置された前記光ファイバー側の前記切削部の最先端部と、前記光ファイバーとの間に隙間を生じる形状を備えていてもよい。
(7) 前記切削部が前記被覆樹脂を切削する際に、前記被覆樹脂のうち少なくとも前記切削部が接している部分を加熱する加熱部をさらに有していてもよい。
(8) 前記被覆樹脂がエポキシ樹脂であってもよい。
(9) 本開示の一態様に係る光ファイバー取出し方法は、複数のPC鋼線が撚り合わされたPC鋼撚り線と、前記PC鋼撚り線の表面に前記PC鋼撚り線の撚り溝に沿って配置された光ファイバーと、前記PC鋼撚り線及び前記光ファイバーを被覆し、表面に前記PC鋼撚り線の前記撚り溝に対応した溝部を備えた被覆樹脂とを有する被覆PC鋼撚り線を準備する被覆PC鋼撚り線準備工程と、
前記被覆PC鋼撚り線の長手方向の一方の端部を、前記被覆PC鋼撚り線の前記被覆樹脂を切削する切削部を備えた光ファイバー取出し用装置の導入口に導入する導入工程と、
前記導入口から導入された前記被覆PC鋼撚り線の、前記光ファイバーが配置された前記撚り溝である光ファイバー配置撚り溝が、前記切削部に対応した位置となるように、前記導入口と前記切削部との間に配置された位置調整部により調整する位置調整工程と、
前記切削部により、前記光ファイバー配置撚り溝に沿って前記被覆樹脂を切削する切削工程と、を有する。
本開示の一態様に係る光ファイバーの取出し方法は、位置調整工程と切削工程とを有している。そして、位置調整工程により、被覆PC鋼撚り線の光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝が、切削部に対応した位置となるように調整するため、切削工程において切削部により、光ファイバーを被覆する被覆樹脂を選択的、かつ容易に切削できる。従って、本開示の一態様に係る光ファイバー取出し方法によれば、被覆PC鋼撚り線において、光ファイバーを被覆する樹脂を選択的に、かつ容易に除去することができる。そして、光ファイバーを被覆する樹脂を除去した後、光ファイバーを容易に取り出すことができる。
(10) 前記被覆PC鋼撚り線の前記一方の端部側を加熱する第1加熱工程をさらに有していてもよい。
(11) 前記被覆PC鋼撚り線の前記一方の端部のうち、前記被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な断面において、前記被覆PC鋼撚り線の外接円の円周方向に沿って、前記光ファイバー配置撚り溝に隣接する隣接撚り溝に押圧部材によって圧力を加え、前記隣接撚り溝を形成する2本のPC鋼撚り線間に配置された前記被覆樹脂に亀裂を生じさせる亀裂導入工程をさらに有していてもよい。
(12) 前記押圧部材は、ピン形状、または刃物形状を有していてもよい。
(13) 前記光ファイバー配置撚り溝と、前記隣接撚り溝との間に位置するPC鋼線について、前記被覆PC鋼撚り線の前記一方の端部側の撚りを解き、前記光ファイバー配置撚り溝に配置された前記光ファイバーを取出す撚り解き・取出し工程をさらに有していてもよい。
(14) 前記位置調整部は、前記被覆樹脂の前記溝部に接するガイド部材を有し、
前記ガイド部材は、前記位置調整部に導入された前記被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な断面において、前記被覆PC鋼撚り線の外接円の直径方向に沿って伸縮することができてもよい。
(15) 前記切削部が回転工具を有していてもよい。
(16) 前記切削部が前記被覆樹脂を切削する際、前記被覆樹脂のうち少なくとも前記切削部が接している部分を加熱する第2加熱工程をさらに有していてもよい。
(17) 前記被覆樹脂がエポキシ樹脂であってもよい。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)に係る光ファイバー取出し用装置、光ファイバー取出し方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許の請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
〔光ファイバー取出し用装置〕
以下、本実施形態に係る光ファイバー取出し用装置について図1〜図9を用いて説明する。
本実施形態に係る光ファイバー取出し用装置は、導入口と、切削部と、位置調整部とを有することができる。
導入口は、光ファイバー取出し用装置に被覆PC鋼撚り線を導入するための開口部となる。被覆PC鋼撚り線は、複数のPC鋼線が撚り合わされたPC鋼撚り線と、PC鋼撚り線の表面にPC鋼撚り線の撚り溝に沿って配置された光ファイバーと、被覆樹脂とを有する。なお、被覆樹脂は、PC鋼撚り線及び光ファイバーを被覆し、表面にPC鋼撚り線の撚り溝に対応した溝部を備えている。
切削部は、導入口から導入された被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を切削することができる。
位置調整部は、導入口と、切削部との間に配置され、導入口から導入された被覆PC鋼撚り線の光ファイバーが配置された撚り溝である光ファイバー配置撚り溝が、切削部に対応した位置となるように調整することができる。
(被覆PC鋼撚り線)
本実施形態の光ファイバー取出し用装置の具体的な構成を説明する前に、本実施形態の光ファイバー取出し用装置に供給し、光ファイバーを被覆する被覆樹脂を除去する被覆PC鋼撚り線の構成例について説明する。
図1は、被覆PC鋼撚り線に含まれる、PC鋼撚り線と、光ファイバーとの配置、構成が分かり易いように、被覆樹脂により被覆する前の、PC鋼撚り線と、光ファイバーとにより構成された光ファイバー付きPC鋼撚り線10の斜視図を示している。なお、該光ファイバー付きPC鋼撚り線の、PC鋼撚り線及び光ファイバーを被覆樹脂により被覆することで、被覆PC鋼撚り線となる。
図2は、被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な面での断面図を示している。図2に示した被覆PC鋼撚り線20は、図1に示した光ファイバー付きPC鋼撚り線10と被覆樹脂の有無以外は同じ構造となっており、同じ部材には同じ番号を付している。
被覆PC鋼撚り線を構成する各部材について図1、図2を用いて説明する。
(1)PC鋼撚り線
被覆PC鋼撚り線20に含まれる光ファイバー付きPC鋼撚り線10は、鋼製の素線であるPC鋼線111を複数本撚り合わせたPC鋼撚り線11を有する。PC鋼撚り線11を構成する各PC鋼線111は、被覆PC鋼撚り線20をコンクリート構造体等に設置した場合に、緊張力を負担する。
PC鋼撚り線11を構成するPC鋼線111の本数は特に限定されるものではなく、被覆PC鋼撚り線の使用形態(内ケーブルや外ケーブル)などに応じて選択することができ、7本、19本などが挙げられる。PC鋼線111の本数が7本の場合、PC鋼撚り線11の構造は、図1、図2に示すように、1本の中心素線となるPC鋼線111Aの外周に、6本の外周素線となるPC鋼線111Bが螺旋状に撚られた1層撚りの構造とすることができる。この場合、外周素線となるPC鋼線111BがPC鋼撚り線11の最外周に位置することになる。図1、図2では、中心素線となるPC鋼線111Aと、外周素線となるPC鋼線111Bとして、同じ径のPC鋼線を用いた例を示しているが、係る形態に限定されない。例えば中心素線となるPC鋼線111Aの径と、外周素線となるPC鋼線111Bの径が異なっていてもよい。
一方、PC鋼線の数が19本の場合、PC鋼撚り線の構造は、図示は省略するが、1本の中心素線となるPC鋼線に対して内側から順に内周素線となるPC鋼線、及び外周素線となるPC鋼線が螺旋状に撚られた2層撚り構造とすることができる。代表的には内周素線と外周素線の本数の組み合わせが異なる2つのタイプがある。
具体的には、1本の中心素線と9本の内周素線と9本の外周素線とで構成されるタイプと、1本の中心素線と6本の内周素線と12本の外周素線とで構成されるタイプとがある。前者のタイプでは、中心素線と外周素線は、同等の径のPC鋼線で構成でき、内周素線は、中心素線よりも径の小さいPC鋼線で構成できる。
後者のタイプでは、中心素線と内周素線は、同等の径のPC鋼線で構成できる。外周素線は、中心素線と同等の径のPC鋼線と、それよりも径の小さいPC鋼線とを交互に配置して構成できる。
図2に示すようにPC鋼撚り線11には、隣接する2本の外周素線となるPC鋼線111Bの間に形成される谷である凹部領域12や、隣接し合う3本のPC鋼線111に囲まれた空間である内部空隙13などの空間が形成される。これらの凹部領域12や、内部空隙13は、PC鋼撚り線11の長手方向に沿って連続する撚り溝14、すなわち隣接する2本のPC鋼線111間に、隣接する2本のPC鋼線111の表面によって形成される溝により構成される。そして、凹部領域12や、内部空隙13、撚り溝14は、中心軸Aを中心とし、PC鋼撚り線11の長手方向に沿って延在した螺旋形状を有する。
なお、図1、図2に示すようにPC鋼撚り線11が1層撚り構造の場合、すなわちPC鋼線の数が7本の場合、内部空隙13は、中心素線となるPC鋼線111Aと2本の外周素線となるPC鋼線111Bとの間に形成される。
また、PC鋼撚り線が2層撚り構造の場合、すなわちPC鋼線の数が19本の場合、内部空隙は、中心素線と2本の内周素線の間、1本の内周素線と2本の外周素線との間、2本の内周素線と1本の外周素線との間に形成される。
(2)光ファイバー
被覆PC鋼撚り線20は、光ファイバー15を有することができる。
光ファイバー15は、PC鋼撚り線11の表面に、撚り溝14に沿って配置することができる。すなわち、PC鋼撚り線11の凹部領域12に沿って配置することができる。
光ファイバー15は、図2に示すように、隣接する2本のPC鋼線111Bの表面と、係る隣接する2本のPC鋼線111Bの共通接線Lと、で囲まれた領域内に配置することが好ましい。
光ファイバー15を、隣接する2本のPC鋼線111Bの表面と、隣接する2本のPC鋼線111Bの共通接線Lとで囲まれた領域内に配置することで、特にPC鋼線111Bの近傍に配置することができ、PC鋼撚り線11の伸縮に追従させ易くなる。このため、光ファイバーを用いてひずみや、ひずみ分布等を測定する場合に、特に精度良く測定できるからである。また、係る領域内に配置することで、被覆樹脂によって、より確実に固定することができるため好ましい。
光ファイバー15は、図2に示すように撚り溝14を形成する隣接する2本のPC鋼線111Bと接するように配置することがより好ましい。これは、光ファイバー15を、撚り溝14を形成する、隣接する2本のPC鋼線111Bと接するように配置することで、光ファイバー15を撚り溝14のうちの最深部に配置することができる。このため、被覆樹脂を切削する際に、切削部により光ファイバー15を損傷することをより確実に防ぐことができ、好ましいからである。
なお、以下、PC鋼撚り線11の、光ファイバー15が配置された撚り溝14を光ファイバー配置撚り溝14Aとして、他の撚り溝14と区別して表記する場合がある。
図2では、被覆PC鋼撚り線20が、光ファイバー15を1本有する例を示しているが、係る形態に限定されるものではない。本実施形態の被覆PC鋼撚り線は、2本以上の複数本の光ファイバーを有することもできる。この場合、複数本の光ファイバーの配置は特に限定されず、例えば同じ撚り溝14に複数本の光ファイバーを配置することもできる。また、異なる複数の撚り溝14にそれぞれ光ファイバーを配置することもできる。
光ファイバーとしては、コアとクラッドとで構成されるものを好適に利用できる。コアとクラッドの材質は、プラスチックや石英ガラスが挙げられる。光ファイバーとしては、クラッドの外周に一次被覆を備える光ファイバー素線や、更に二次被覆を備える光ファイバー芯線、更に二次被覆の外周に補強材と補強材の外周を覆う外被とを備える光ファイバーコードなどが利用できる。一次被覆の材質は、例えば、紫外線硬化型樹脂が挙げられる。二次被覆の材質は、例えば、難燃性ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。補強材の材質は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられる。外被の材質は、難燃性ポリエチレンなどの難燃性ポリオレフィンや、難燃性架橋ポリエチレンなどの難燃性架橋ポリオレフィン、耐熱ビニルなどが挙げられる。
(3)被覆樹脂
図2に示すように、本実施形態の被覆PC鋼撚り線20は、被覆樹脂21を有することができる。
被覆樹脂21は、PC鋼撚り線11や、光ファイバー15を外部環境から保護してPC鋼撚り線11の腐食を抑制する。被覆樹脂21は、PC鋼撚り線11の外周を被覆する外周部211を有することができる。外周部211は、PC鋼撚り線11の外周輪郭に沿った表面を有し、その表面におけるPC鋼撚り線11の撚り溝14に対応した位置に溝部22を有することが好ましい。溝部22は撚り溝14に沿って形成された凹部とすることができ、中心軸Aを中心とし、被覆PC鋼撚り線20の長手方向に沿って延在した螺旋形状を有することができる。なお、被覆樹脂21の外周部211は、PC鋼撚り線11の外周輪郭に沿って形成されている。このため、PC鋼撚り線11の中心軸と、被覆PC鋼撚り線20の中心軸とは同じ中心軸Aで表すことができる。
被覆樹脂21は、各PC鋼線111の間、すなわち内部空隙13に充填される充填部212を有していることが好ましい。充填部212を有することで、PC鋼撚り線11の隙間に水分などが侵入することを抑制でき、PC鋼撚り線11の腐食をより一層抑制し易い。
充填部212を備える場合、外周部211と充填部212とは同一材質で一連に形成されていることが好ましい。
被覆樹脂21の材質は、特に限定されないが、例えば耐食性に優れる樹脂を好ましく用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。特にエポキシ樹脂は耐食性能が高いものの、その反面除去することが困難であった。一方、本実施形態の光ファイバー取出し用装置によれば、被覆樹脂がエポキシ樹脂であっても容易に除去でき、特に高い効果を発揮できることから、被覆樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
被覆PC鋼撚り線20は、例えば以下の手順により製造できる。
例えばまず、PC鋼撚り線11と、光ファイバー15とを用意し、隣接する2本の外周素線となるPC鋼線111Bの間の撚り溝14に光ファイバー15を配置することで光ファイバー付きPC鋼撚り線を形成する(光ファイバー配置工程)。
次いで、光ファイバー付きPC鋼撚り線の外周側から溶融状態の被覆樹脂の構成樹脂を押し出すことで、被覆樹脂を形成することができる(被覆樹脂形成工程)。
(光ファイバー取出し用装置)
次に、本実施形態の光ファイバー取出し用装置の構成例について説明する。
本発明の発明者らは、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を除去し、光ファイバーを取出すための装置、方法について鋭意検討を行った。
当初、被覆PC鋼撚り線の端部をアセトン等の有機溶剤に浸し、膨潤させる方法を検討したが、光ファイバーを覆う被覆樹脂を選択的に除去することはできず、また膨潤に多くの時間を要し、容易に除去できないという問題点があった。
また、グラインダーにより被覆樹脂を除去することも検討したが、上述のように光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝14Aは、中心軸Aを中心とし、PC鋼撚り線11の長手方向に沿って延在した螺旋形状を有する。このため、係る形状にあわせて被覆樹脂を選択的に研削し、除去することは困難であった。
そこで更なる検討を行い、本実施形態の光ファイバー取出し用装置を完成させた。以下に具体的に説明する。
図3に本実施形態の光ファイバー取出し用装置の概略図を示す。なお、図3は、光ファイバー取出し用装置30に被覆PC鋼撚り線20を導入した際の被覆PC鋼撚り線20の中心軸A、及び光ファイバー取出し用装置の切削部33を通る面での光ファイバー取出し用装置30の断面図を模式的に示している。図3においては説明のため、被覆PC鋼撚り線20に関して、本来は被覆樹脂で覆われて見えない撚り溝14のうち、光ファイバー配置撚り溝14Aの位置も併せて示している。
図3に示すように、本実施形態の光ファイバー取出し用装置30は、導入口31と、位置調整部32と、切削部33とを有する。
各部材について以下に説明する。
(1)導入口
導入口31は光ファイバー取出し用装置30に対して既述の被覆PC鋼撚り線20を導入するための開口部となっている。導入口31の構成は特に限定されず、被覆PC鋼撚り線を導入できるように、そのサイズ、形状を選択することができる。例えば円形形状の開口部とすることができ、その直径は、被覆PC鋼撚り線20の長手方向と垂直な断面における、被覆PC鋼撚り線20の外接円201(図2を参照)の直径よりも大きくなるように設定することができる。
なお、導入口31から導入した被覆PC鋼撚り線20を装置外に取出すため、取出し口34も併せて設けておくことができる。取出し口34についても、導入口31の場合と同様に、その構成は特に限定されず、被覆PC鋼撚り線を取出せるように、そのサイズ、形状を選択することができる。例えば円形形状の開口部とすることができ、その直径は、被覆PC鋼撚り線20の長手方向と垂直な断面における、被覆PC鋼撚り線20の外接円201(図2を参照)の直径よりも大きくなるように設定することができる。
(2)位置調整部
導入口31から導入された被覆PC鋼撚り線20は、位置調整部32内に導入される。位置調整部32は、導入口31から導入された被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aが、切削部33に対応した位置となるように調整することができる。
図1に示したように、光ファイバー配置撚り溝を含む撚り溝14は、中心軸Aを中心とし、PC鋼撚り線11の長手方向に沿って延在した螺旋形状を有する。このため、光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って被覆樹脂を切削するためには、切削部により被覆樹脂を切削する位置(切削位置)を光ファイバー配置撚り溝14Aの螺旋形状にあわせて移動させる必要がある。しかしながら、例えば手作業で、切削部により被覆樹脂を切削しながら、該切削部を光ファイバー配置撚り溝14Aの形状にあわせて移動させることは技能を要し、困難である。一方、本実施形態の光ファイバー取出し用装置では、上述のように位置調整部32により、被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aが切削部33に対応した位置となるように調整することができる。このため、切削部により光ファイバーを被覆する被覆樹脂を選択的、かつ容易に除去できる。
位置調整部32は、導入口から導入された被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部33に対応した位置に調整可能に構成されていればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
位置調整部32の構成例について、図4を用いて説明する。図4は図3のB−B´線での断面図を模式的に示している。なお、被覆PC鋼撚り線20については既に説明したため、図4中の被覆PC鋼撚り線20については番号を一部省略している。
図4に示すように、位置調整部32は、例えば被覆PC鋼撚り線20の、被覆樹脂21の溝部22に接するガイド部材42を有することが好ましい。
図2を用いて説明したように、被覆PC鋼撚り線20の溝部22は、PC鋼撚り線11の表面の撚り溝14に対応した位置に形成されている。このため、被覆PC鋼撚り線20の溝部22は、撚り溝14と同様に、中心軸Aを中心とし、被覆PC鋼撚り線20の長手方向に沿って延在した螺旋形状を有する。
従って、ガイド部材42が上記溝部22に接した状態で、光ファイバー取出し用装置30を被覆PC鋼撚り線20の長手方向に沿って移動させると、溝部22の被覆PC鋼撚り線20の外周での位置の変化に応じて、ガイド部材42と接続された光ファイバー取出し用装置30が回転する。具体的には図3に示したように中心軸Aを回転軸として、被覆PC鋼撚り線20の外接円の円周方向に沿って、すなわち図3中の両矢印37のいずれかの向きに光ファイバー取出し用装置30が回転する。このため、光ファイバー取出し用装置30に設置された切削部33の、被覆PC鋼撚り線20と接する箇所も同様に、溝部22に沿って移動することになる。
そして、溝部22は、被覆PC鋼撚り線20の光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って配置されている。このため、切削部33が光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って、被覆樹脂を切削できるように位置を予め調整しておき、光ファイバー取出し用装置30を上述のように移動させるのみで、光ファイバー配置撚り溝14Aを切削部33に対応した位置に調整できる。すなわち、切削部により被覆樹脂を切削する位置(切削位置)を光ファイバー配置撚り溝14Aの螺旋形状にあわせて移動させることができる。
以上のように、位置調整部32がガイド部材42を有することで、容易に被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部33に対応した位置に調整することができるため好ましい。
なお、ここでは光ファイバー取出し用装置30を移動させる場合を例に説明したが、光ファイバー取出し用装置30を固定しておき、被覆PC鋼撚り線20を、光ファイバー取出し用装置の導入口31から取出し口34に向かって搬送し、移動させてもよい。この場合、被覆PC鋼撚り線20の溝部22にガイド部材42が接しているため、被覆PC鋼撚り線20は、中心軸Aを回転軸として、被覆PC鋼撚り線20の外接円201の円周方向、すなわち図3中の両矢印37のいずれかの向きに回転する。このため、切削部33が光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って、被覆樹脂を切削できるように位置を予め調整しておき、被覆PC鋼撚り線20を上述のように移動させるのみで、光ファイバー配置撚り溝14Aを切削部33に対応した位置に調整できる。
ガイド部材42は、位置調整部32に供給された被覆PC鋼撚り線20の溝部22に接するように配置すればよく、位置調整部32におけるガイド部材42の配置場所は特に限定ない。
位置調整部32は、例えば導入口31と、切削部33が配置された切削室36との間を接続し、その内部に被覆PC鋼撚り線20を通す連通孔41を有することができる。そして、ガイド部材42は、連通孔41の内壁に固定しておくことができる。なお、図4では連通孔41の断面形状を円形としているが、被覆PC鋼撚り線20を通すことができるようにそのサイズ、形状を選択しておけばよく、係る形状に限定されるものではない。例えば、連通孔41の断面形状を四角形等他の形状とすることもできる。
ガイド部材42の数も特に限定されないが、光ファイバー取出し用装置や、被覆PC鋼撚り線を移動させた場合に、溝部22の形状に沿って、光ファイバー取出し用装置や、被覆PC鋼撚り線を回転させ易いように複数個のガイド部材を設けることが好ましい。
例えば、図4に示すように連通孔41内の対向する位置に2個のガイド部材42を配置することができる。また、3個以上のガイド部材を配置することもできる。
なお、ここでは、B−B´線の断面でのガイド部材の配置例を示しているが、図3中の被覆PC鋼撚り線20の長手方向に沿って、複数個のガイド部材を配置することもできる。
ガイド部材42は形状や、構造は特に限定されず、被覆PC鋼撚り線20の被覆樹脂の溝部22に接するように選択することができる。ガイド部材42は、例えば板状体や、棒状体、球状体等とすることができる。
ただし、ガイド部材42は、位置調整部32に導入された被覆PC鋼撚り線20の長手方向と垂直な断面において、被覆PC鋼撚り線20の外接円201の直径方向に沿って伸縮できることが好ましい。
図4に示したガイド部材42の場合、被覆PC鋼撚り線20の外接円201の直径方向に当たる、図中に示した両矢印43に沿って伸縮可能に構成されていることが好ましい。溝部22は被覆樹脂の表面であるため微細な凹凸を含む場合がある。このため、ガイド部材42を上述のように伸縮可能に構成することで、係る凹凸に追従することができ、光ファイバー取出し用装置、または被覆PC鋼撚り線を移動させる際に、係る凹凸による抵抗を低減し、容易に移動させることができるからである。
ガイド部材42を伸縮可能な部材とする場合、ガイド部材はボールプランジャとすることが好ましい。
ボールプランジャは、図4に示したようにコイルばね421と、先端に設けられたボール422とを備えた構造を有する。ボールプランジャは、先端部がボール422であり、さらにその位置をコイルばね421により変位させることができるため、溝部22の微細な凹凸に特に追従し易くなり好ましい。
(4)切削部
そして、本実施形態の光ファイバー取出し用装置30は、切削部33を有することができる。切削部33は、導入口31から導入された被覆PC鋼撚り線20の被覆樹脂21を切削することができる。特に既述の位置調整部32と組み合わせて用いることで、光ファイバー15が配置された光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って被覆樹脂21を切削することができる。
切削部33は、被覆樹脂を切削できる部材であれば良く、その具体的な構成は特に限定されるものではない。ただし、切削部としては、既述のように螺旋形状を有する光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って連続的に被覆樹脂を切削できる部材であることが好ましく、例えば回転工具や、彫刻刀などを好適に用いることができる。切削部として彫刻刀を用いる場合、より容易に被覆樹脂を切削できるように彫刻刀に振動を加える振動機構も併せて有することが好ましい。
切削部は回転工具を有することがより好ましい。これは、回転工具は切削能力が高く、特に容易に被覆樹脂を除去できるからである。
回転工具としては特に限定されないが、例えばエンドミル、ドリル、回転刃、及び砥石から選択された1種類以上を好ましく用いることができる。これらの回転工具は比較的容易に入手することができ、また切削能力が高いため容易に被覆樹脂を除去できるからである。
エンドミルは側面刃と先端刃とを有する。従って、エンドミルの先端刃により穴を形成し、削り込むこと等ができる。また、エンドミルの側面刃を使用することによって被切削物に形成された穴の側面を削り広げることができる。
エンドミルの形状は特に限定されないが、光ファイバー配置撚り溝14Aに対応した形状を有することが好ましい。例えば図5に示したエンドミル50のように、先端刃51が球状のボールエンドミルを好ましく用いることができる。
エンドミルにより被覆樹脂を切削する場合、先端刃51を、光ファイバー配置撚り溝を覆う被覆樹脂に押し当てた状態で、中心軸52を回転軸としてエンドミル50を回転させることで切削することができる。そして、既述の位置調整部32により、被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部33のエンドミルに対応した位置に調整しながら、切削位置を移動させることで、光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って被覆樹脂を切削できる。
また、ドリルは、切削を行う部材であるドリルビットを有している。図6にドリルビットの構成例を示す。ドリルにより被覆樹脂を切削する場合、ドリルビット60の先端刃61で被覆樹脂を切削することができる。ドリルビットの形状は特に限定されないが、例えば先端刃61が球状であることが好ましい。
ドリルにより被覆樹脂を切削する場合、先端刃61を、光ファイバー配置撚り溝を覆う被覆樹脂に押し当てた状態で、中心軸62を回転軸としてドリルビット60を回転させることで切削することができる。そして、既述の位置調整部32により、被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部33のドリルビットに対応した位置に調整しながら、切削位置を移動させることで、光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って被覆樹脂を切削できる。
図7に示すように回転刃70は円板形状を有しており、その外周側面には切削用の刃71が配置されている。
回転刃により被覆樹脂を切削する場合、回転刃70の外周側面、すなわち刃71の先端部を、光ファイバー配置撚り溝を覆う被覆樹脂に押し当てた状態で、回転穴72を中心として回転刃70を回転させることで切削することができる。そして、既述の位置調整部32により、被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部33の回転刃に対応した位置に調整しながら、切削位置を移動させることで、光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って被覆樹脂を切削できる。
図8に示すように砥石80は円板形状を有することができる。
砥石により被覆樹脂を切削する場合、砥石80の側面81を、光ファイバー配置撚り溝を覆う被覆樹脂に押し当てた状態で、回転穴82を中心として砥石80を回転させることで切削することができる。そして、既述の位置調整部32により、被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部33の砥石に対応した位置に調整しながら、切削位置を移動させることで、光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って被覆樹脂を切削できる。
切削部の形状は、切削部の種類や、光ファイバー配置撚り溝の形状等に応じて選択でき特に限定されない。
ただし、図9に示すように切削部33は、光ファイバー配置撚り溝14Aを形成する2本のPC鋼線111Bと接している場合に、切削部33の光ファイバー15側の最先端部331と、光ファイバー15との間に隙間91が生じる形状を備えていることが好ましい。より具体的には、上述の場合に、切削部33の光ファイバー15側の最先端部331と、光ファイバー15の切削部33側の上端部151との間に距離があり、切削部33と、光ファイバー15とが接しない形状を備えていることが好ましい。
切削部33が2本のPC鋼線111Bと接している場合、切削部33は、光ファイバー配置撚り溝14Aにそれ以上挿入できない状態になっている。このため、係る状態で、光ファイバー15との間に隙間91が生じる形状の場合、切削を行う際に光ファイバー15を誤って損傷する恐れが無く、好ましい。
なお、本実施形態の光ファイバー取出し用装置によれば、光ファイバー配置撚り溝に配置されている光ファイバーを覆う被覆樹脂の一部を除去できれば足りる。このため、上述の様に切削部33と、光ファイバー15との間に隙間が生じていても良い。
切削部33は1つの切削工具を有する形態に限定されず、2以上の切削工具を組み合わせて用いることもできる。例えば、切削部33は、エンドミルと、砥石とを有することもでき、エンドミルで切削した後をさらに砥石で精密に切削することもできる。ただし、切削部33が複数の切削工具を有することで光ファイバー取出し用装置が大型化する恐れもあることから、切削部33は1つの切削工具を有することが好ましい。
切削部33は、例えば図3に示したように、位置調整部32に接続された切削室36を設け、該切削室36の壁等に固定しておくことができる。切削室36を設けることで、切削屑が周囲に飛散等することを抑制できる。なお、切削室36には切削屑を吸引するため、図示しない吸引機構等を接続しておくこともできる。
ここまで、本実施形態の光ファイバー取出し用装置の構成例について説明したが、本実施形態の光ファイバー取出し用装置は、上述の導入口、位置調整部、切削部以外にも任意の部材を有することができる。
(5)加熱部
本実施形態の光ファイバー取出し用装置30は、加熱部35をさらに有することもできる。加熱部35は、切削部33が被覆樹脂を切削する際に、被覆樹脂のうち少なくとも切削部が接している部分を加熱することができる。
加熱部35は、被覆樹脂のうち少なくとも切削部が接している部分を加熱できる部材であればよく、具体的な構成は特に限定されるものではない。加熱部には、例えば電熱線ヒーター等の抵抗加熱装置や、ランプ、誘電加熱装置等から選択された1種類以上を用いることができる。
加熱部35により被覆樹脂のうち少なくとも切削部が接している部分を加熱することで、被覆樹脂の種類によっては軟化させる等して切削を行いやすくすることができる。また、被覆樹脂の種類によっては、加熱することで被覆樹脂が脆くなると考えられることから、切削を行った後、容易に光ファイバーの取出しを行うことができる。
このため、本実施形態の光ファイバー取出し用装置が、加熱部を有することで、切削や、光ファイバーの取出し等をより容易に実施することが可能になり、好ましい。
加熱部35は切削部33の近傍に配置しておくことが好ましいことから、上述のように切削室36を設ける場合には、切削室36内に設けることができる。
なお、加熱部35は、被覆樹脂21のうち、少なくとも切削部33が接している部分を加熱すれば足り、加熱する範囲は特に限定されない。例えば切削部33を設置した切削室36内全体を加熱する等より広い範囲を加熱できるように構成することもできる。
以上に説明した本実施形態の光ファイバー取出し用装置は、上述のように位置調整部と切削部とを有している。そして、位置調整部により、被覆PC鋼撚り線の光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝が、切削部に対応した位置となるように調整するため、切削部により、光ファイバーを被覆する被覆樹脂を選択的、かつ容易に切削できる。このため、本実施形態の光ファイバー取出し用装置によれば、被覆PC鋼撚り線において、光ファイバーを被覆する樹脂を選択的に、かつ容易に除去することができる。
[光ファイバーの取出し方法]
次に、本実施形態の光ファイバーの取出し方法の一構成例について説明する。
本実施形態の光ファイバーの取出し方法は、既述の光ファイバー取出し用装置を用いて実施することができる。このため、既に説明した事項については説明を一部省略する。
本実施形態の光ファイバーの取出し方法は以下の工程を有することができる。
被覆PC鋼撚り線を準備する被覆PC鋼撚り線準備工程。
被覆PC鋼撚り線の長手方向の一方の端部を、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を切削する切削部を備えた光ファイバー取出し用装置の導入口に導入する導入工程。
導入口から導入された被覆PC鋼撚り線の、光ファイバーが配置された撚り溝である光ファイバー配置撚り溝が、切削部に対応した位置となるように、導入口と切削部との間に配置された位置調整部により調整する位置調整工程。
切削部により、光ファイバー配置撚り溝に沿って被覆樹脂を切削する切削工程。
なお、被覆PC鋼撚り線準備工程で準備する被覆PC鋼撚り線は、複数のPC鋼線が撚り合わされたPC鋼撚り線と、PC鋼撚り線の表面に撚り溝に沿って配置された光ファイバーと、被覆樹脂とを有することができる。そして、被覆樹脂は、PC鋼撚り線及び光ファイバーを被覆し、表面にPC鋼撚り線の撚り溝に対応した溝部を備えている。
各工程について以下に説明する。
(1)被覆PC鋼撚り線準備工程
被覆PC鋼撚り線準備工程は、既述の被覆PC鋼撚り線20を準備する工程である。
被覆PC鋼撚り線は、既述のように複数のPC鋼線が撚り合わされたPC鋼撚り線と、光ファイバーと、被覆樹脂とを有することができる。
被覆樹脂は、既述のようにPC鋼撚り線や、光ファイバーを外部環境から保護してPC鋼撚り線の腐食を抑制する。被覆樹脂の材質は特に限定されないが、例えば耐食性に優れる樹脂を好ましく用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。特にエポキシ樹脂は耐食性能が高いものの、その反面除去することが困難であった。一方、本実施形態の光ファイバーの取出し方法によれば、被覆樹脂がエポキシ樹脂であっても容易に除去できることから、被覆樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
被覆PC鋼撚り線を構成するその他の各部材に関して、配置や、構成等については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
被覆PC鋼撚り線準備工程では、予め製造した被覆PC鋼撚り線を以下の導入工程等を実施するために、その配置等を準備する工程であっても良く、被覆PC鋼撚り線を製造する工程であっても良い。被覆PC鋼撚り線を製造する場合の手順については、被覆PC鋼撚り線において既に説明したため、ここでは説明を省略する。
(2)導入工程
導入工程では、図3に示した切削部33を備えた光ファイバー取出し用装置30の導入口31に、光ファイバー付き被覆PC鋼撚り線を導入することができる。導入口31は、既述の様に光ファイバー取出し用装置30に既述の被覆PC鋼撚り線20を導入するための開口部となっている。導入口31の構成は特に限定されず、被覆PC鋼撚り線を導入できるように、そのサイズ、形状を選択することができる。例えば円形形状の開口部とすることができ、その直径は、被覆PC鋼撚り線20の長手方向と垂直な断面における、被覆PC鋼撚り線20の外接円201(図2を参照)の直径よりも大きくなるように設定することができる。
(3)位置調整工程
位置調整工程では、導入口から導入された被覆PC鋼撚り線の光ファイバー配置撚り溝が、被覆樹脂を切削する切削部に対応した位置となるように導入口と切削部との間に配置された位置調整部により調整することができる。
位置調整工程を実施することで、導入口から導入された被覆PC鋼撚り線の光ファイバー配置撚り溝を、被覆樹脂を切削する切削部に対応した位置となるように調整できる。このため、後述する切削工程において、光ファイバーを被覆する被覆樹脂を選択的、かつ容易に切削できる。
位置調整部は、導入口から導入された被覆PC鋼撚り線の光ファイバー配置撚り溝が、被覆樹脂を切削する切削部に対応した位置となるように調整できればよく、その具体的な構成は特に限定されるものではない。位置調整部32は例えば、図4を用いて説明したように、被覆PC鋼撚り線20の、被覆樹脂21の溝部22に接するガイド部材42を有することができる。
被覆PC鋼撚り線20の溝部22は、PC鋼撚り線11の表面の撚り溝14に対応した位置に形成されている。このため、被覆PC鋼撚り線20の溝部22は、撚り溝14と同様に、中心軸Aを中心とし、被覆PC鋼撚り線20の長手方向に沿って延在した螺旋形状を有する。
従って、ガイド部材42が上記溝部22に接した状態で、光ファイバー取出し用装置30を被覆PC鋼撚り線20の長手方向に移動させると、溝部22の被覆PC鋼撚り線20の外周での位置の変化に応じて、ガイド部材42と接続された光ファイバー取出し用装置30が回転する。具体的には図3に示したように中心軸Aを回転軸として、被覆PC鋼撚り線20の外接円の円周方向に沿って、すなわち図3中の両矢印37のいずれかの向きに光ファイバー取出し用装置30が回転する。このため、光ファイバー取出し用装置30に設置された切削部33の、被覆PC鋼撚り線20と接する箇所も同様に、溝部22に沿って移動することになる。
そして、溝部22は、被覆PC鋼撚り線20の光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って配置されている。このため、切削部33が光ファイバー配置撚り溝を切削できるように位置を予め調整しておき、光ファイバー取出し用装置を上述のように移動させるのみで、光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部に対応した位置に調整できる。すなわち、切削部により被覆樹脂を切削する位置(切削位置)を光ファイバー配置撚り溝14Aの螺旋形状にあわせて移動させることができる。
以上のように、位置調整部32がガイド部材42を有することで、容易に被覆PC鋼撚り線20の光ファイバー配置撚り溝14Aを、切削部33に対応した位置に調整することができるため好ましい。
なお、ここでは光ファイバー取出し用装置を移動させる場合を例に説明したが、光ファイバー取出し用装置を固定しておき、被覆PC鋼撚り線20を、光ファイバー取出し用装置の導入口31から取出し口34に向かって搬送し、移動させてもよい。この場合、被覆PC鋼撚り線の溝部22にガイド部材が接しているため、被覆PC鋼撚り線20は、中心軸Aを回転軸として、被覆PC鋼撚り線20の外接円201の円周方向、すなわち図3中の両矢印37のいずれかの向きに回転する。このため、切削部33が光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って、被覆樹脂を切削できるように位置を予め調整しておき、被覆PC鋼撚り線20を上述のように移動させるのみで、光ファイバー配置撚り溝14Aを切削部33に対応した位置に調整できる。
ガイド部材42は、位置調整部32に供給された被覆PC鋼撚り線20の溝部22に接するように配置すればよく、位置調整部32におけるガイド部材42の配置場所は特に限定ない。
位置調整部32は、例えば導入口31と、切削部33が配置された切削室36との間を接続し、その内部に被覆PC鋼撚り線20を通す連通孔41を有することができる。そして、ガイド部材42は、連通孔41の内壁に固定しておくことができる。なお、図4では連通孔41の断面形状を円形としているが、被覆PC鋼撚り線20を通すことができるようにそのサイズ、形状を選択しておけばよく、係る形状に限定されるものではない。例えば、連通孔41の断面形状を四角形等他の形状とすることもできる。
ガイド部材42の数も特に限定されないが、光ファイバー取出し用装置や、被覆PC鋼撚り線を移動させた場合に、溝部22の形状に沿って、光ファイバー取出し用装置や、被覆PC鋼撚り線を回転させ易いように複数個のガイド部材を設けることが好ましい。
例えば、図4に示すように連通孔41内の対向する位置に2個のガイド部材42を配置することができる。また、3個以上のガイド部材を配置することもできる。
なお、ここでは、B−B´線の断面でのガイド部材の配置例を示しているが、図3中の被覆PC鋼撚り線20の長手方向に沿って、複数個のガイド部材を配置することもできる。
ガイド部材42は形状や、構造は特に限定されず、被覆PC鋼撚り線20の被覆樹脂の溝部22に接するように選択することができる。ガイド部材42は、例えば板状体や、棒状体、球状体等とすることができる。
ただし、ガイド部材42は、位置調整部32に導入された被覆PC鋼撚り線20の長手方向と垂直な断面において、被覆PC鋼撚り線20の外接円201の直径方向に沿って伸縮できることが好ましい。
図4に示したガイド部材42の場合、被覆PC鋼撚り線20の外接円201の直径方向に当たる、図中に示した両矢印43に沿って伸縮可能に構成されていることが好ましい。溝部22は被覆樹脂の表面であるため微細な凹凸を含む場合がある。このため、ガイド部材42を上述のように伸縮可能に構成することで、係る凹凸に追従することができ、光ファイバー取出し用装置、または被覆PC鋼撚り線を移動させる際に、係る凹凸による抵抗を低減し、容易に移動させることができるからである。
ガイド部材42を伸縮可能な部材とする場合、ガイド部材はボールプランジャとすることが好ましい。
ボールプランジャは、図4に示したようにコイルばね421と、先端に設けられたボール422とを備えた構造を有する。ボールプランジャは、先端部がボール422であり、さらにその位置をコイルばね421により変位させることができるため、溝部22の微細な凹凸に特に追従し易くなり好ましい。
(4)切削工程
切削工程では、切削部により、光ファイバー配置撚り溝に沿って被覆樹脂を切削することができる。
既述のように、位置調整工程において導入口から導入された被覆PC鋼撚り線の光ファイバー配置撚り溝を、被覆樹脂を切削する切削部に対応した位置となるように調整している。このため、切削工程では、位置調整工程で調整された位置において切削部により被覆PC鋼撚り線の光ファイバーを被覆している被覆樹脂を切削できる。
切削工程において、被覆PC鋼撚り線の長手方向における被覆樹脂を切削する範囲(長さ)は特に限定されない。例えば被覆PC鋼撚り線の長手方向の一方の端部から、取出した光ファイバーを接続する機器等により要求される光ファイバーの長さに対応した範囲に渡って被覆樹脂の切削を行うことができる。
切削工程で用いる切削部33は、被覆樹脂を切削できる部材であれば良く、その具体的な構成は特に限定されるものではない。切削部としては、既述のように螺旋形状を有する光ファイバー配置撚り溝14Aに沿って連続的に被覆樹脂を切削できる部材であることが好ましく、例えば回転工具や、彫刻刀などを好適に用いることができる。切削部として彫刻刀を用いる場合、より容易に被覆樹脂を切削できるように彫刻刀に振動を加える振動機構も併せて有することが好ましい。
切削部は特に回転工具を有することが好ましい。これは、回転工具は切削能力が高く、特に容易に被覆樹脂を除去できるからである。
回転工具としては特に限定されないが、例えばエンドミル、ドリル、回転刃、及び砥石から選択された1種類以上を好ましく用いることができる。これらの回転工具は比較的容易に入手することができ、また切削能力が高いため容易に被覆樹脂を除去できるからである。
エンドミル等や、切削部の好適な形状については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
なお、既述のように切削部33は、例えばエンドミルと砥石とのように、2以上の切削工具を組み合わせて用いることもできる。この場合、切削工程では複数の切削工具により被覆樹脂を切削することになる。
切削工程を終えた後、光ファイバー取出し用装置30の取出し口34から被覆PC鋼撚り線20を取出すことができる。そして、光ファイバー周辺の被覆樹脂が十分に除去できている場合には、例えば後述する、被覆PC鋼撚り線の光ファイバーを、光ファイバー配置撚り溝から取出す、取出し工程を実施することもできる。
取出し工程を実施する場合、光ファイバー15は、被覆PC鋼撚り線20の一方の端部から、該光ファイバーを接続する機器等により要求される長さに対応した範囲分だけ取出すことが好ましい。
本実施形態の光ファイバー取出し方法は、上述の被覆PC鋼撚り線準備工程、導入工程、位置調整工程、切削工程以外にも任意の工程を有することができる。
(5)第1加熱工程
本実施形態の光ファイバー取出し方法は、例えば以下の第1加熱工程を有することができる。
第1加熱工程では、被覆PC鋼撚り線の長手方向の一方の端部側を加熱することができる。
このように、被覆PC鋼撚り線の一方の端部側を加熱することで、被覆樹脂の種類にもよるが、被覆樹脂を軟化させたり、脆くさせることができると考えられる。このため、第1加熱工程実施後、被覆PC鋼撚り線から、光ファイバーの取出しを特に容易に行うことができる。
第1加熱工程において加熱する温度は特に限定されず、例えば被覆樹脂の種類や、光ファイバーの耐熱温度等に応じて選択することができる。
第1加熱工程においては、被覆PC鋼撚り線の一方の端部側を加熱すれば足り、加熱する範囲は特に限定されない。ただし、第1加熱工程は、加熱によって、被覆樹脂の軟化や、脆化等、被覆樹脂の状態に変化を与え、光ファイバーを取出し易くすることを目的として実施している。このため、加熱後に被覆PC鋼撚り線の光ファイバーが取出し易くなるようにその加熱範囲を選択することが好ましい。
第1加熱工程では、第1加熱工程の後、特に容易に光ファイバーを取出せるように、被覆PC鋼撚り線のうち、少なくとも本実施形態の光ファイバー取出し方法により、被覆PC鋼撚り線から取出す光ファイバーの部分が収容された領域を加熱することが好ましい。
例えば、被覆PC鋼撚り線の長手方向における加熱範囲は、少なくとも被覆PC鋼撚り線の長手方向の一方の端部から、本実施形態の光ファイバー取出し方法により被覆PC鋼撚り線から取り出す光ファイバーの長さに対応した位置までとすることが好ましい。なお、本実施形態の光ファイバー取出し方法により被覆PC鋼撚り線から取出す光ファイバーの長さは、例えば取出した光ファイバーを接続する機器等に要求される光ファイバーの長さとすることができる。
また、被覆PC鋼撚り線の周面方向における加熱範囲は、例えば少なくとも光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝を覆う被覆樹脂部分を含む範囲とすることが好ましい。
ただし、光ファイバー配置撚り溝を覆う被覆樹脂部分や、その近傍のみを加熱した場合、周辺の温度等によっては光ファイバーを覆う部分の被覆樹脂を目的の温度まで加熱できない可能性もある。このため、被覆PC鋼撚り線の周面方向の加熱範囲は、被覆PC鋼撚り線の周面(外周面)全体とすることがより好ましい。
なお、被覆PC鋼撚り線の周面方向とは、被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な断面における、被覆PC鋼撚り線の外接円の円周方向と言うこともできる。
加熱手段としては特に限定されないが、例えば電熱線ヒーター等の抵抗加熱装置や、ランプ、誘電加熱装置等から選択された1種類以上を用いることができる。加熱範囲を加熱する際、該加熱範囲を複数の領域に分けて、分割した領域毎に加熱することもできる。また、加熱範囲全体を一度に加熱することもできる。
なお、第1加熱工程は、例えば既述の導入工程、位置調整工程、切削工程を実施する前に行うこともできるが、第1加熱工程を実施すると、被覆樹脂の状態等が変化し、位置調整工程等の実施が困難になる恐れがある。このため、切削工程を実施した後の被覆PC鋼撚り線に対して、実施することが好ましい。
また、本実施形態の光ファイバー取出し方法に供する、被覆PC鋼撚り線の被覆の厚さ等によっては、既述の切削工程等による被覆樹脂の切削を実施せず、第1加熱工程を実施するのみで光ファイバーを容易に取出せる場合もある。このため、本実施形態の光ファイバー取出し方法は、例えば既述の導入工程、位置調整工程、切削工程を実施せず、被覆PC鋼撚り線準備工程と、第1加熱工程とを有する構成とすることもできる。この様に光ファイバー取出し方法が、被覆PC鋼撚り線準備工程と、第1加熱工程とを有し、既述の導入工程、位置調整工程、及び切削工程を実施しない場合でも、必要に応じてさらに以下の各任意の工程を実施することもできる。
(6)亀裂導入工程
本実施形態の光ファイバー取出し方法は、例えば以下の亀裂導入工程を有することができる。
亀裂導入工程では、被覆PC鋼撚り線20の長手方向の一方の端部のうち、光ファイバー配置撚り溝14Aに隣接する隣接撚り溝14Bに押圧部材によって圧力を加えることができる。より具体的には、隣接撚り溝14Bを構成する2本のPC鋼線111B間に押圧部材により圧力を加えることができる。これにより、隣接撚り溝14Bを形成する2本のPC鋼線111B間に配置された被覆樹脂21に亀裂を生じさせることができる。
なお、光ファイバー配置撚り溝14Aに隣接する隣接撚り溝とは、被覆PC鋼撚り線20の長手方向と垂直な断面において、被覆PC鋼撚り線の外接円201の円周方向に沿って隣接する撚り溝を意味する。
また、被覆PC鋼撚り線20の長手方向と垂直な断面において、被覆PC鋼撚り線の外接円201の円周方向に沿って、光ファイバー配置撚り溝14Aに隣接する隣接撚り溝としては、図2に示すように隣接撚り溝14Bと、隣接撚り溝14Cとの2つがある。そして、押圧部材により圧力を加えるのは、上記隣接撚り溝14Bに限定されず、隣接撚り溝14B、隣接撚り溝14Cのいずれであってもよい。
既述の切削工程を実施することで、光ファイバーを被覆する被覆樹脂を除去することができる。このため、被覆樹脂の残量等によっては、切削工程終了後、光ファイバーを取出すこともできる。ただし、切削工程のみでは被覆樹脂が光ファイバーの周辺に残存しているため、光ファイバーの取出しが容易ではない場合がある。
そこで、上述の亀裂導入工程を実施し、光ファイバー配置撚り溝14Aを形成する2本のPC鋼線111Bのうち、1本のPC鋼線111Bを固定する被覆樹脂21と、該PC鋼線111Bとの間に亀裂を入れることが好ましい。
また、既述の第1加熱工程を行った被覆PC鋼撚り線に対して、上述の亀裂導入工程を実施することにより光ファイバーを特に取出し易くすることもできる。
本発明の発明者らの検討によれば、係る亀裂を入れることで、光ファイバー配置撚り溝14Aを形成する2本のPC鋼線111Bのうち、1本のPC鋼線111Bの周辺の被覆樹脂に亀裂が入り、光ファイバーを取出し易くできる。
また、係る1本のPC鋼線111Bの撚りを容易に解くことが可能になる。このため、後述する撚り解き・取出し工程を実施することで、該1本のPC鋼線111Bの撚りを解いた際に同時に光ファイバー15を取出すことが可能になる。または該1本のPC鋼線111Bの撚りを解いた後、光ファイバー15を特に容易に取出すことが可能になる。
亀裂工程で用いる押圧部材は、隣接撚り溝14B(14C)を形成する2本のPC鋼線111Bの間に圧力を加えられる部材であればよく、その形状等は特に限定されるものではない。押圧部材は、隣接撚り溝14B(14C)に挿入する一方の端部が先細りした形状を有することが好ましい。具体的には、例えば図10に示した押圧部材100のように、一方の端部100Aが先細りしたピン形状、もしくは図11に示した押圧部材110のように、幅を有し、一方の端部110Aが先細りした刃物形状を有することができる。
このように、押圧部材が、隣接撚り溝14B(14C)に挿入する一方の端部が先細りしたピン形状や刃物形状を有することで、他方の端部に力を加えた際に、より大きな圧力を加えることが可能になり、特に亀裂を生じやすくなり好ましい。
なお、図10に示した押圧部材100の他方の端部100B、及び図11に示した押圧部材110の他方の端部110Bの形状は特に限定されない。例えば図10、図11に示したように押圧部材100、110の他方の端部100B、110Bは平坦面とし、押圧部材に力を加えた場合に、力を受けやすいように構成できる。
(7)取出し工程
本実施形態の光ファイバー取出し方法は、例えば以下の取出し工程を有することもできる。
取出し工程では、被覆PC鋼撚り線の光ファイバーを、光ファイバー配置撚り溝から取出すことができる。
取出し工程は、例えば既述の切削工程の後や、第1加熱工程の後、亀裂導入工程の後に実施することができる。切削工程を実施することで、光ファイバー周辺の被覆樹脂を低減することができる。このため、切削工程の後、取出し工程を実施することで、容易に光ファイバーを取出すことができる。
第1加熱工程を実施することで、被覆樹脂の軟化や、脆化等、加熱による被覆樹脂の状態等に変化を与え、光ファイバーを取出し易くすることができる。このため、第1加熱工程を実施した後に取出し工程を実施することで、特に容易に光ファイバーを取出すことができる。
亀裂導入工程を実施することで、例えば光ファイバー配置撚り溝14Aを形成する2本のPC鋼線111Bのうち、1本のPC鋼線111Bを固定する被覆樹脂21と、該PC鋼線111Bとの間に亀裂を入れることができる。そして、係る亀裂を入れることで、光ファイバー配置撚り溝14Aを形成する2本のPC鋼線111Bのうち、1本のPC鋼線111Bの周辺の被覆樹脂に亀裂が入り、光ファイバーを特に取出し易くできる。このため、亀裂導入工程を実施した後に取出し工程を実施することで、特に容易に光ファイバーを取出すことができる。
取出し工程において、光ファイバーを取出す具体的な手段は特に限定されない。例えば被覆PC鋼撚り線の一方の端部において、光ファイバー配置撚り溝内の光ファイバーとPC鋼撚り線との間に、彫刻刀等の先端が鋭利な工具を挿入し、光ファイバーを被覆樹脂から剥離して取出すことができる。
取出し工程を実施する場合、光ファイバー15は、被覆PC鋼撚り線20の一方の端部から、該光ファイバーを接続する機器等により要求される長さに対応した範囲分だけ取出すことが好ましい。
(8)撚り解き・取出し工程
本実施形態の光ファイバーの取出し方法は、PC鋼線の撚りを解き、光ファイバーを取出す撚り解き・取出し工程をさらに有することもできる。
撚り解き・取出し工程では、光ファイバー配置撚り溝14Aと、隣接撚り溝14B(14C)との間に位置する1本のPC鋼線111Bについて、被覆PC鋼撚り線の一方の端部側の撚りを解き、光ファイバー配置撚り溝14Aに配置された光ファイバー15を取出すことができる。
上述の切削工程や、場合によってはさらに第1加熱工程や、亀裂導入工程を実施するのみで、光ファイバー15を取出すこともできる。ただし、光ファイバー15への被覆樹脂21の被覆の程度等によっては容易に光ファイバー15を取出せない場合がある。
そこで、撚り解き・取出し工程を実施し、まず上述のように光ファイバー配置撚り溝14Aと、隣接撚り溝14B(14C)との間に位置する1本のPC鋼線111Bについて、被覆PC鋼撚り線の一方の端部側の撚りを解くことができる。この際、撚りを解いた1本のPC鋼線111Bと共に光ファイバー15を取出すことができる場合もある。また、1本のPC鋼線111Bの撚りを解くことで、光ファイバー15を固定する被覆樹脂を特に低減できるので、PC鋼線111Bの撚りを解いた後、容易に光ファイバー15を取出すこともできる。
撚り解き・取出し工程は、例えば切削工程の後や、第1加熱工程の後に実施することもできる。ただし、1本のPC鋼線について、被覆PC鋼撚り線の一方の端部側の撚りを容易に解くことができるように、亀裂導入工程の後に実施することが好ましい。
なお、撚り解き・取出し工程において、光ファイバー15は、被覆PC鋼撚り線20の一方の端部から、該光ファイバーを接続する機器等により要求される長さに対応した範囲分だけ取出すことが好ましい。また、PC鋼線111Bについても同様に、光ファイバーに要求される長さに対応した範囲分だけその撚りを解くことが好ましい。
(9)第2加熱工程
本実施形態の光ファイバーの取出し方法は、第2加熱工程をさらに有することもできる。
第2加熱工程では、切削部が被覆樹脂21を切削する際、被覆樹脂21のうち少なくとも切削部33が接している部分を加熱することができる。
第2加熱工程では、被覆樹脂のうち少なくとも切削部が接している部分を加熱することで、被覆樹脂の種類によっては軟化させる等して切削を行いやすくすることができる。また、被覆樹脂の種類によっては、加熱することで被覆樹脂が脆くなると考えられることから、切削を行った後、容易に光ファイバーの取出しを行うことができる。
このため、第2加熱工程を実施することで、切削や、光ファイバーの取出しをより容易に実施することが可能になり、好ましい。
なお、第2加熱工程では、上述のように被覆樹脂21のうち、少なくとも切削部33が接している部分を加熱するため、既述の切削工程と、第2加熱工程とは同時に実施することができる。
第2加熱工程において加熱する温度は特に限定されず、例えば被覆樹脂の種類や、光ファイバーの耐熱温度等に応じて選択することができる。
また、第2加熱工程においては、上述のように被覆樹脂のうち少なくとも切削部が接している部分を加熱していれば足り、加熱する範囲は特に限定されない。例えば既述の光ファイバー取出し用装置30の切削室36内全体を加熱する等、より広い範囲に渡って加熱を行うこともできる。
第2加熱工程において加熱を行う方法は特に限定されるものではなく、光ファイバー取出し用装置で既に説明した各種加熱部等を用いることができる。
以上に説明した本実施形態の光ファイバーの取出し方法は、上述のように位置調整工程と切削工程とを有している。そして、位置調整工程により、被覆PC鋼撚り線の光ファイバーを配置した光ファイバー配置撚り溝が、切削部に対応した位置となるように調整するため、切削工程において切削部により、光ファイバーを被覆する被覆樹脂を選択的、かつ容易に切削できる。従って、本実施形態の光ファイバー取出し方法によれば、被覆PC鋼撚り線において、光ファイバーを被覆する樹脂を選択的に、かつ容易に除去することができる。そして、光ファイバーを被覆する樹脂を除去した後、光ファイバーを容易に取出すことができる。