JP7479972B2 - 被覆pc鋼撚り線用被覆軟化装置、被覆pc鋼撚り線の被覆樹脂除去方法、光ファイバーの取り出し方法 - Google Patents

被覆pc鋼撚り線用被覆軟化装置、被覆pc鋼撚り線の被覆樹脂除去方法、光ファイバーの取り出し方法 Download PDF

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Description

本開示は、被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法、光ファイバーの取り出し方法に関するものである。
特許文献1には、強接着プラスチック製被膜を備えた高強度鋼製ワイヤーのストランドが開示されている。
特開昭59-130960号公報
PC鋼撚り線は、コンクリート構造物にプレストレス、具体的には圧縮力を導入するために用いられる。例えばPC鋼撚り線の長手方向の一方の端部を定着具で固定し、他方の端部をジャッキ等で牽引することで、PC鋼撚り線に緊張力を導入し、PC鋼撚り線を設置したコンクリート構造物に圧縮力を導入できる。
そして、コンクリート構造物等に設置したPC鋼撚り線の耐久性を向上させること等を目的として、PC鋼撚り線を樹脂で被覆加工した被覆PC鋼撚り線が従来から用いられていた。
ところで、被覆PC鋼撚り線は、被覆PC鋼撚り線同士を接続する場合などに、被覆樹脂の一部を除去する必要があった。しかしながら、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂は、PC鋼撚り線を構成するPC鋼線間にも配置されている場合があり、また硬度も高い。このため、グラインダー等の工具で除去する場合、多くの時間や労力を要していた。
そこで、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の除去を容易に行えるように、被覆樹脂を軟化できる被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置が求められていた。
本開示は、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化することができる、被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置を提供することを目的とする。
本開示の一観点によれば、中心軸に沿って、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入するための貫通孔を有する筒状体と、
前記筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターを含む被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置を提供する。
本開示によれば、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化することができる、被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置を提供することが可能となる。
図1は、被覆PC鋼撚り線の第1の構成例の説明図である。 図2は、被覆PC鋼撚り線の第2の構成例の説明図である。 図3は、本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置が有するヒーターの説明図である。 図4は、本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置が有するヒーターに被覆部材を設置した場合の説明図である。 図5は、本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置を、被覆PC鋼撚り線に設置した場合の説明図である。 図6は、本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置が有するヒーターにおける、電熱線部の他の構成例の説明図である。 図7は、本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法のフローチャートである。
実施するための形態について、以下に説明する。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
(1) 本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置は、中心軸に沿って、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入するための貫通孔を有する筒状体と、
前記筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターを含む。
本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置が、筒状体と筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部を備えたヒーターを含むことで、筒状体の貫通孔内に被覆PC鋼撚り線を挿入する操作により、被覆PC鋼撚り線に容易にヒーターを設置できる。そして、係るヒーターの電熱線に通電することで、被覆PC鋼撚り線を加熱し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化させることができる。
(2) 前記電熱線部のうち、前記中心軸方向の一方の端部側を第1領域とし、前記中心軸方向の中央部を第2領域とし、前記一方の端部と反対側に位置する他方の端部側を第3領域とした場合に、
前記第1領域、および前記第3領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数が、前記第2領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数よりも多くてもよい。
被覆PC鋼撚り線を加熱する場合、ヒーターから供給した熱がPC鋼撚り線を介して放熱され、電熱線部の両端部側はその傾向が強くなる。
電熱線は高密度に配置するほど、該電熱線で囲まれた領域内に供給する熱量を多くすることができる。そこで、本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置のヒーターは、放熱が起こりやすい電熱線部の両端部側である第1領域、および第3領域における電熱線の中心軸方向の単位長さ当たりの巻数を、第2領域よりも多くすることが好ましい。電熱線の巻数を上記構成とすることで、第1領域、第3領域に供給する熱量を多くできる。その結果、ヒーターを配置した部分の被覆PC鋼撚り線全体を十分に加熱でき、ヒーターを除去した後に被覆樹脂が冷え、硬化するまでの時間を特に長くできる。
(3) 前記一方の端部側に位置する、前記貫通孔の開口部が、前記被覆PC鋼撚り線の挿入口であり、
前記第1領域における、前記中心軸の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数が、
前記第3領域における、前記中心軸の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数よりも多くてもよい。
被覆PC鋼撚り線の挿入口となる、貫通孔の開口部側には、通常未加熱の被覆PC鋼撚り線が挿入されることになる。このため、係る開口部側に位置する第1領域における電熱線の中心軸方向の単位長さ当たりの巻数を他の領域よりも多くすることで、被覆PC鋼撚り線を特に十分に加熱し、被覆樹脂を軟化しやすくできる。
(4) 前記ヒーターは、前記電熱線部を覆う被覆部材と、前記被覆部材に接続された把持部と、をさらに有してもよい。
電熱線部を覆う被覆部材を設けることで、電熱線部が他の部材等と接触して破損することを防止できる。
把持部を設けることで、ヒーターを容易に把持し、被覆PC鋼撚り線へのヒーターの設置や、被覆PC鋼撚り線上のヒーターの位置の変更等を容易にできる。
(5) 前記ヒーターは、測温部をさらに有してもよい。
測温部を設けることで、電熱線部の温度を精度よく制御できる。
(6) 前記ヒーターを複数個有してもよい。
本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置が複数個のヒーターを有する場合、被覆PC鋼撚り線について、より広い範囲を同時に加熱し、効率よく被覆樹脂を軟化させることができる。
また、1つの長いヒーターではなく、複数個のヒーターを用いることで、被覆PC鋼撚り線が曲がっていたとしても、容易に設置できる。
(7) 本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法は、中心軸に沿って貫通孔を有する筒状体と、前記筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターの前記貫通孔内に、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入し、前記被覆PC鋼撚り線に前記ヒーターを設置する設置工程と、
前記電熱線に通電し、前記被覆PC鋼撚り線の前記被覆樹脂を加熱する加熱工程と、
前記ヒーターを前記被覆PC鋼撚り線から取り外す取り外し工程と、
前記被覆樹脂を除去する除去工程と、を有する。
設置工程において、筒状体の貫通孔内に被覆PC鋼撚り線を挿入する操作により、被覆PC鋼撚り線に容易にヒーターを設置できる。そして、加熱工程において、係るヒーターの電熱線に通電することで、被覆PC鋼撚り線を加熱し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化させることができる。このため、除去工程では、加熱工程により加熱され軟化した被覆樹脂を容易に除去できる。
(8) 前記電熱線部のうち、前記中心軸方向の一方の端部側を第1領域とし、前記中心軸方向の中央部を第2領域とし、前記一方の端部と反対側に位置する他方の端部側を第3領域とした場合に、
前記第1領域、および前記第3領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数が、前記第2領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数よりも多くてもよい。
被覆PC鋼撚り線を加熱する場合、ヒーターから供給した熱がPC鋼撚り線を介して放熱され、電熱線部の両端部側はその傾向が強くなる。
電熱線は高密度に配置するほど、該電熱線で囲まれた領域内に供給する熱量を多くすることができる。そこで、加熱工程で用いるヒーターは、放熱が起こりやすい電熱線部の両端部側である第1領域、および第3領域における電熱線の中心軸方向の単位長さ当たりの巻数を、第2領域よりも多くすることが好ましい。電熱線の巻数を上記構成とすることで、第1領域、第3領域に供給する熱量を多くできる。その結果、ヒーターを配置した部分の被覆PC鋼撚り線全体を十分に加熱でき、ヒーターを除去した後に被覆樹脂が冷え、硬化するまでの時間を特に長くできる。
(9) 前記加熱工程の間、前記被覆PC鋼撚り線の長手方向に沿って、前記ヒーターの位置を変化させてもよい。
ヒーターの位置を変化させることで、広い範囲に渡って加熱し、被覆樹脂を軟化、除去できる。
(10) 前記加熱工程と、前記除去工程とを同時に実施する時間を含み、前記加熱工程の間、前記被覆PC鋼撚り線の長手方向に沿って、前記ヒーターの位置を変化させ、前記除去工程では、前記加熱工程で既に加熱された前記被覆樹脂を除去してもよい。
本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法が、加熱工程と、除去工程とを同時に実施する時間を含む場合、加熱工程で既に加熱された被覆樹脂の温度が下がる前に、除去工程を実施し、効率的に被覆樹脂を除去できる。また、本開示の一態様に係る被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法が、加熱工程と、除去工程とを同時に実施する時間を含むことで、所定の領域の被覆樹脂を除去するために要する時間を短縮できる。
(11) 前記設置工程において、前記被覆PC鋼撚り線に複数個の前記ヒーターを設置してもよい。
複数のヒーターを同時に用いることで、被覆PC鋼撚り線について、より広い範囲を同時に加熱し、効率よく被覆樹脂を軟化させることができる。
また、1つの長いヒーターではなく、複数個のヒーターを用いることで、被覆PC鋼撚り線が曲がっていたとしても、容易に設置できる。
(12) 本開示の一態様に係る光ファイバーの取り出し方法は、中心軸に沿って貫通孔を有する筒状体と、前記筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターの前記貫通孔内に、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入し、前記被覆PC鋼撚り線に前記ヒーターを設置する設置工程と、
前記電熱線に通電し、前記被覆PC鋼撚り線の前記被覆樹脂を加熱する加熱工程と、
前記ヒーターを前記被覆PC鋼撚り線から取り外す取り外し工程と、
前記被覆樹脂を除去する除去工程と、を有し、
前記被覆PC鋼撚り線は、前記被覆樹脂により固定された光ファイバーを有しており、前記除去工程において前記被覆樹脂を除去し、前記被覆PC鋼撚り線から前記光ファイバーを取り出すことができる。
設置工程において、筒状体の貫通孔内に被覆PC鋼撚り線を挿入する操作により、被覆PC鋼撚り線に容易にヒーターを設置できる。そして、加熱工程において、係るヒーターの電熱線に通電することで、被覆PC鋼撚り線を加熱し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化させることができる。このため、除去工程では加熱工程により加熱され軟化した被覆樹脂を除去し、光ファイバーを容易かつ効率的に取り出すことができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法、光ファイバーの取り出し方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本実施形態に係る被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法、光ファイバーの取り出し方法を説明する前に、本実施形態の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置等を適用する被覆PC鋼撚り線の構成例について説明する。
[被覆PC鋼撚り線]
(第1の構成例)
図1に、第1の構成例に係る被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な断面を示す。
図1に示す様に、被覆PC鋼撚り線10は、PC鋼撚り線11と、PC鋼撚り線11の表面の少なくとも一部に配置された被覆樹脂12とを備えることができる。
被覆PC鋼撚り線10は、コンクリート構造物にプレストレス、具体的には圧縮力を導入するプレストレス導入用のPC鋼材の一種である。上記PC鋼撚り線等のPCは、プレストレスト・コンクリートを意味している。
被覆PC鋼撚り線が有する各部材について説明する。
(1)PC鋼撚り線
PC鋼撚り線11は、複数の鋼製の素線であるPC鋼線111が撚り合わされて形成されている。PC鋼撚り線11が有するPC鋼線111の本数は特に限定されない。PC鋼撚り線11は、例えば図1に示した様に、中心に1本の第1PC鋼線111Aを配置し、第1PC鋼線111Aの外周に6本の第2PC鋼線111Bをさらに配置できる。この場合、PC鋼撚り線11は、全部で7本のPC鋼線111を有することができる。
また、PC鋼撚り線は、第2PC鋼線111Bを2層にすることもできる。この場合、図1の第2PC鋼線111Bの外周にさらに12本の第2PC鋼線111Bを配置し、全部で19本のPC鋼線111を有することができる。
第1PC鋼線111Aと、第2PC鋼線111Bとは、その線径、すなわち長手方向と垂直な断面における直径が同じであってもよく、異なっていても良い。第1PC鋼線111A、および第2PC鋼線111Bの線径D111は、例えば1.6mm以上9mm以下であることが好ましく、3mm以上8mm以下であることがより好ましい。
PC鋼撚り線11の外径は特に限定されないが、例えば5mm以上30mm以下であることが好ましく、5mm以上25mm以下であることがより好ましく、9mm以上23mm以下であることがさらに好ましい。PC鋼撚り線11の外径を5mm以上とすることで、該PC鋼撚り線11の強度を十分に高めることができる。また、PC鋼撚り線11の外径を30mm以下とすることで、PC鋼撚り線11が過度に大きくなることを抑制し、重量を抑制できる。このため、取扱い性に優れたPC鋼撚り線、被覆PC鋼撚り線とすることができる。
PC鋼撚り線11の外径は、PC鋼撚り線11を構成する複数のPC鋼線111の外接円C11の直径とすることができる。
(2)被覆樹脂
被覆PC鋼撚り線10は、さらに被覆樹脂12を備えることができる。
PC鋼撚り線11を被覆樹脂12で被覆することで、PC鋼撚り線11が腐食等することを抑制でき、耐久性を高められる。被覆PC鋼撚り線10は、後述するように光ファイバーを有することもできる。被覆PC鋼撚り線が光ファイバーを有する場合、被覆樹脂12は光ファイバーを固定したり、保護する役割を有することもできる。被覆樹脂を、主に光ファイバーを固定や、保護することを目的として設けることもできる。この場合には、例えば光ファイバーの近傍のみに被覆樹脂を設けたり、光ファイバーを固定できる程度に、PC鋼撚り線11および光ファイバーの表面の一部のみに設けたりすることもできる。
被覆樹脂12は、PC鋼撚り線11の表面を覆うように配置できる。また、図1に示す様に、第1PC鋼線111Aと、第2PC鋼線111Bとで囲まれた内部空間13に被覆樹脂12を充填されていることが好ましい。内部空間13に被覆樹脂12を充填することで、PC鋼撚り線11が腐食することを特に抑制できる。
被覆樹脂12の材料は特に限定されないが、熱硬化性樹脂であることが好ましい。被覆樹脂12は、PC鋼撚り線11が、緊張力の導入により変形した際に追従できる材料であることが好ましく、かつ比較的硬い樹脂が好ましい。被覆樹脂12としては、例えばエポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂等から選択された1種類以上を好適に用いることができる。
被覆樹脂12の厚さは特に限定されないが、クラウン部14における被覆樹脂の厚さT12が0.4mm以上1.2mm以下であることが好ましい。
クラウン部14とは、PC鋼撚り線11の外周側に突出した箇所に相当する。具体的には、図1に示したように、PC鋼撚り線11の長手方向と垂直な断面における、第1PC鋼線111Aの中心O111Aと、第2PC鋼線111Bの中心O111Bとを結ぶ直線l111と、第2PC鋼線111Bの外周との交点を交点P1、P2とする。この場合、クラウン部14は、交点P1、P2のうち、PC鋼撚り線11の外表面側に位置する交点P2を意味する。そして、T12は、クラウン部14である交点P2における被覆樹脂12の厚さとなる。
被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な任意の一断面において、クラウン部14は複数箇所存在することになる。図1に示した被覆PC鋼撚り線10においては、外周に6本の第2PC鋼線111Bを有するため、6箇所のクラウン部14が存在する。そして、被覆PC鋼撚り線10においては、被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な任意の一断面において測定した、全てのクラウン部14における被覆樹脂の厚さT12が上記範囲内にあることが好ましい。
被覆PC鋼撚り線は、さらに任意の部材を有することもできる。
(3)光ファイバー
被覆PC鋼撚り線10は光ファイバーをさらに有することもできる。
被覆PC鋼撚り線10が光ファイバーをさらに有することで、該光ファイバーを用いて、例えば被覆PC鋼撚り線10に生じたひずみや、ひずみ分布等の各種測定を行うことができる。
光ファイバー15は、PC鋼撚り線11の表面に、PC鋼撚り線11の長手方向に沿って配置できる。光ファイバー15は、PC鋼撚り線11の撚り溝112に沿って配置することが好ましい。
光ファイバー15は、図1に示すように、隣接する2本の第2PC鋼線111Bの表面と、係る隣接する2本の第2PC鋼線111Bの共通接線l111Bと、で囲まれた領域内に配置することが好ましい。
光ファイバー15を、隣接する2本の第2PC鋼線111Bの表面と、隣接する2本の第2PC鋼線111Bの共通接線l111Bとで囲まれた領域内に配置することで、特に第2PC鋼線111Bの近傍に配置でき、PC鋼撚り線11の伸縮に追従させ易くなる。このため、例えば光ファイバーを用いてひずみや、ひずみ分布等の測定を実施する場合に、特に精度良く測定できるからである。また、係る領域内に配置することで、被覆樹脂12によって、光ファイバー15をより確実に固定できるため好ましい。
光ファイバー15は、図1に示すように撚り溝112を形成する隣接する2本の第2PC鋼線111Bと接するように配置することがより好ましい。これは、光ファイバー15を、撚り溝112を形成する、隣接する2本の第2PC鋼線111Bと接するように配置することで、光ファイバー15を撚り溝112のうちの最深部に配置することができる。このため、被覆PC鋼撚り線10の端部で、被覆樹脂12の一部を除去し、光ファイバー15を取出す際に、光ファイバー15を損傷することをより確実に防ぐことができるからである。
図1では、被覆PC鋼撚り線10が、光ファイバー15を2本有する例を示しているが、係る形態に限定されない。被覆PC鋼撚り線は、1本または3本以上の光ファイバーを有することもできる。被覆PC鋼撚り線が2本以上の複数本の光ファイバーを有する場合、複数本の光ファイバーの配置は特に限定されず、例えば同じ撚り溝112に複数本の光ファイバーを配置することもできる。また、異なる複数の撚り溝112にそれぞれ光ファイバーを配置することもできる。
光ファイバーとしては、コアとクラッドとで構成されるものを好適に利用できる。コアとクラッドの材質は、プラスチックや石英ガラスが挙げられる。光ファイバーとしては、クラッドの外周に一次被覆を備える光ファイバー素線や、更に二次被覆を備える光ファイバー芯線、更に二次被覆の外周に補強材と補強材の外周を覆う外被とを備える光ファイバーコードなどが利用できる。一次被覆の材質は、例えば、紫外線硬化型樹脂が挙げられる。二次被覆の材質は、例えば、難燃性ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。補強材の材質は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられる。外被の材質は、難燃性ポリエチレンなどの難燃性ポリオレフィンや、難燃性架橋ポリエチレンなどの難燃性架橋ポリオレフィン、耐熱ビニルなどが挙げられる。
(4)粒状体
被覆PC鋼撚り線は粒状体をさらに有することもできる。例えばPC鋼撚り線11を覆う被覆樹脂12が、複数の粒状体を含むこともできる。粒状体の材料は特に限定されないが、例えば無機系の硬い粒子が好ましい。例えばSiO、Al、Fe、MgOおよびCaOよりなる群から選択される1種類以上が挙げられる。
粒状体は、被覆樹脂(被覆層)の表面に部分的に埋め込むようにして、被覆樹脂の表面に配置できる。すなわち、粒状体の少なくとも一部は、被覆樹脂から露出するように配置できる。粒状体を被覆樹脂の表面に部分的に埋め込み、残部を突出させることで、グラウトとの付着性を特に高めることができる。
(第2の構成例)
図2に、第2の構成例に係る被覆PC鋼撚り線の長手方向と垂直な断面を示す。
図2に示す様に、被覆PC鋼撚り線20は、PC鋼撚り線11と、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に配置された被覆樹脂21とを備えることができる。
図2に示した被覆PC鋼撚り線20においては、被覆樹脂21を光ファイバー15の周辺のみに配置している点以外は第1の構成例で示した被覆PC鋼撚り線10と同様に構成できるため、同じ部材には同じ番号を付けて説明を省略する。
図2に示した被覆PC鋼撚り線20は、例えば光ファイバー15をPC鋼撚り線11の撚り溝112に配置後、光ファイバー15の周囲に被覆樹脂21を配置することができる。また、予め、PC鋼撚り線11の撚り溝112に合わせて、光ファイバー15の周囲に被覆樹脂21を配置した光ファイバー部材22を作製しておき、該光ファイバー部材22をPC鋼撚り線11の撚り溝112に設置することもできる。光ファイバー部材22を撚り溝112に設置する際、例えば撚り溝112を構成している第2PC鋼線111Bのいずれか1本、または2本の両方に接着し、固定できる。
被覆樹脂21としては、第1の構成例と同じ材料を用いることができるため、ここでは説明を省略する。
ここまで、被覆PC鋼撚り線について、2つの構成例を挙げて説明したが係る形態に限定されない。例えば図2に示した被覆PC鋼撚り線20よりも少ない量の被覆樹脂21でPC鋼撚り線11、および光ファイバー15の表面の一部を覆い、PC鋼撚り線11に光ファイバー15を固定した被覆PC鋼撚り線であってもよい。すなわち、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置されていれば、本実施形態の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置等を適用する被覆PC鋼撚り線に含まれる。
〔被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置〕
次に、本実施形態の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置(以下、単に「軟化装置」とも記載する)について図3~図6を用いて説明する。図3は、本実施形態の軟化装置30が有するヒーター31の側面図である。図4は、ヒーター31に被覆部材を設置した場合の側面図となる。図5は、ヒーター31を含む軟化装置30を被覆PC鋼撚り線に設置した場合の説明図である。図6は、本実施形態の軟化装置が有するヒーターにおける、電熱線部の他の構成例の説明図である。図5においては電熱線部等一部の部材の記載を省略している。
本発明の発明者は、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を容易に除去できるように、被覆樹脂を軟化できる被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置について検討を行った。
被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂としては、既述のようにエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂が用いられる場合がある。しかしながら、本発明の発明者の検討によれば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂についても、加熱することで軟化させることができる。このため、ヒーターを備えた軟化装置とし、係るヒーターにより被覆PC鋼撚り線を加熱することで被覆樹脂を軟化し、容易に除去できることを見出し、本発明を完成させた。
図3に示すように本実施形態の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置30は、筒状体32と、電熱線部33とを備えたヒーター31を含むことができる。
以下、本実施形態の軟化装置が有する各部材について説明する。
(1)ヒーター
(1-1)筒状体
図3に示すように、筒状体32は中心軸CAに沿って、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入するための貫通孔321を有することができる。
筒状体32は、上述のように貫通孔321を有し、円筒形状とすることができる。
貫通孔321には上述のように被覆PC鋼撚り線を挿入する。このため、貫通孔321は、被覆PC鋼撚り線に対応した形状、例えば中心軸CAと垂直な断面が円形状を有することが好ましい。ここでの円形状は真円以外に楕円形状等も含む。
貫通孔321のサイズは特に限定されない。ただし、貫通孔321は、被覆PC鋼撚り線を挿入できるようにそのサイズを選択することが好ましい。例えば貫通孔321の中心軸CAと垂直な断面において、円の直径D321の最小値が、挿入する被覆PC鋼撚り線の外径よりも大きくなるように選択できる。上記円の直径D321の最小値は、例えば貫通孔321に挿入する被覆PC鋼撚り線の外径にクリアランス、すなわち所定の隙間長さを加えた長さとすることができる。クリアランスは例えば1mm以上10mm以下とすることが好ましく、2mm以上5mm以下であることがより好ましい。クリアランスを1mm以上とすることで貫通孔321に容易に被覆PC鋼撚り線を挿入できる。また、クリアランスを10mm以下とすることで、筒状体32の内側面32Aと、被覆PC鋼撚り線との間の距離を抑制し、被覆PC鋼撚り線を加熱する際に、放出される熱量を抑制できる。なお、貫通孔321の、中心軸CAと垂直な断面における円の直径D321は一定である必要はない。例えば場所により異なっていてもよい。
筒状体32の中心軸CAと垂直な面における直径D32の最小値は特に限定されないが、例えば貫通孔321の上記直径D321の最小値に筒状体32の肉厚T×2を加えた長さとすることができる。筒状体32の肉厚Tは、電熱線部33からの熱を貫通孔321に挿入した被覆PC鋼撚り線に伝熱させつつ、電熱線部33を支持できるように、そのサイズを選択することが好ましい。肉厚Tは例えば2mm以上15mm以下とすることが好ましく、5mm以上10mm以下とすることがより好ましい。
筒状体32の材料は特に限定されないが、外側面32Bに電熱線部33を設け、被覆PC鋼撚り線を加熱するため、熱伝導度が高く、加熱時の温度に耐えられる材料であることが好ましい。筒状体32の材料としては各種金属材料を好適に用いることができ、例えばステンレス鋼等を用いることが好ましい。
(1-2)電熱線部
ヒーター31は、筒状体32の外側面32Bに設置した電熱線331を含む電熱線部33を有することができる。なお、筒状体32の外側面32Bとは、筒状体32の外周面のうち、中心軸CAに沿って配置された面を意味する。
電熱線331の材料は特に限定されず、適用する被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を、該被覆樹脂を軟化できる温度に加熱できる材料を用いることができる。
電熱線331は、筒状体32の外側面32Bに巻き付けて設置できる。そして、電熱線331の端部331Aは、電源と接続できるように、引き出しておくことができる。図3では、1本の電熱線331を、筒状体32の外側面32Bに、中心軸CAに沿って螺旋状に巻き付け、コイル形状とした例を示したが、係る形態に限定されない。例えば図6に示すように、複数本の電熱線631A~631Fを、それぞれ環状に筒状体32の外側面32Bに巻き付けて設置することもできる。各電熱線631A~631Fは、それぞれ電源と接続できる。このように複数本の電熱線を用いることで、各電熱線に供給する電力量を調整し、温度制御をより精密に行うことができる。
また、一部の電熱線を、図3に示すように、筒状体32の外側面に、中心軸CAに沿って螺旋状に巻き付け、他の電熱線を、図6に示すように、筒状体32の外側面32Bに環状に巻き付けてもよい。
電熱線331の構成は特に限定されないが、筒状体32の外側面32Bに設置した電熱線331間でショートしないように、電熱線331の表面に絶縁体を配置しておくことが好ましい。発熱体となる電熱線331を保護するため、電熱線331を金属管、すなわちシース内に配置しておくこともできる。
軟化装置が、筒状体32と筒状体32の外側面32Bに設置した電熱線331を有する電熱線部33を備えたヒーター31を含むことで、筒状体32の貫通孔321内に被覆PC鋼撚り線を挿入する操作により、被覆PC鋼撚り線に容易にヒーター31を設置できる。そして、係るヒーター31の電熱線331に通電することで、被覆PC鋼撚り線を加熱し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化させることができる。
電熱線部33における電熱線331の巻数等は特に限定されない。例えば筒状体32の中心軸CAに沿って、電熱線331間の距離が等しくなるように等間隔に巻くこともできる。
しかし、被覆PC鋼撚り線は、熱伝導性に優れた金属製のPC鋼撚り線を含んでいる。このため、ヒーターにより被覆PC鋼撚り線の加熱を行った場合に、PC鋼撚り線を介して放熱し、ヒーターを設置した領域のうち、筒状体32の中心軸CA方向の両端部側において被覆樹脂を十分に加熱できない場合がある。そこで、本実施形態の軟化装置30が有するヒーター31の電熱線部33は、電熱線331を所定の巻き方とすることが好ましい。
ここで、電熱線部33のうち、中心軸CA方向の一方の端部33A側を第1領域341とし、中心軸CA方向の中央部を第2領域342とし、一方の端部33Aと反対側に位置する他方の端部33B側を第3領域343とする。
なお、第1領域341、第2領域342、および第3領域343の各領域は重複しないように、中心軸CAに沿って配置されていればよく、各領域間に隙間が設けられていてもよい。ただし、例えば一方の端部33Aと、他方の端部33Bとの間の電熱線部33の中心軸CA方向の長さL33を3つの領域に分割し、各領域を配置することが好ましい。例えば第1領域341の長さL341と、第2領域342の長さL342と、第3領域343の長さL343が、L341:L342:L343=1:2:1の割合となるように、電熱線部33の中心軸CA方向の長さL33を分割し、各領域を連続して配置することが好ましい。
そして、上記電熱線部33は、第1領域341、および第3領域343における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数を、第2領域342における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数よりも多くすることが好ましい。
被覆PC鋼撚り線を加熱する場合、上述のようにヒーターから供給した熱がPC鋼撚り線を介して放熱され、電熱線部の両端部側はその傾向が強くなる。
電熱線は高密度に配置するほど、該電熱線で囲まれた領域内に供給する熱量を多くすることができる。そこで、本実施形態の軟化装置30のヒーター31は、放熱が起こりやすい電熱線部33の両端部側である第1領域341、および第3領域343における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数を、第2領域342よりも多くすることが好ましい。電熱線331の巻数を上記構成とすることで、第1領域、第3領域に供給する熱量を多くできる。その結果、ヒーター31を配置した部分の被覆PC鋼撚り線全体を十分に加熱でき、ヒーターを除去した後に被覆樹脂が冷え、硬化するまでの時間を特に長くできる。
ここで、図3に示したヒーター31の場合を例に、各領域における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数を説明する。
第1領域341における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数とは、第1領域341に位置する電熱線の巻数5を、第1領域341の中心軸CA方向の長さL341で割った値となる。
第2領域342における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数とは、第2領域342に位置する電熱線の巻数6を、第2領域342の中心軸CA方向の長さL342で割った値となる。
第3領域343における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数とは、第3領域343に位置する電熱線の巻数4を、第3領域343の中心軸CA方向の長さL343で割った値となる。
なお、2つの領域間にまたがって配置されている電熱線は、図3に示すように任意の一側面における該電熱線の表面積について、各領域内に位置する部分の面積割合を算出し、面積割合の大きい方の領域に位置するものとする。2つの領域にまたがって配置されている電熱線の表面積について、2つの領域の面積割合が等しい場合には、巻数について0.5を2つの各領域に加算する。
図3中、第1領域341と、第2領域342とにまたがって配置される電熱線3311は、表面積のうち、第2領域342内に位置する面積割合が大きいため、第2領域342に位置するものとして上記単位長さ当たりの巻数を計算する。また、第2領域342と第3領域343にまたがって配置される電熱線3312は、表面積のうち、第3領域343内に位置する面積割合が大きいため、第3領域343に位置するものとして上記単位長さ当たりの巻数を計算する。
第1領域341と、第3領域343とについては、各領域における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数の関係は特に限定されず、同じであってもよく、異なっていてもよい。ただし、被覆PC鋼撚り線の挿入口が配置されている側について、中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数が多い方が好ましい。
すなわち、上記一方の端部33A側に位置する、貫通孔321の開口部321Aが、被覆PC鋼撚り線の挿入口であるとする。この場合、第1領域341における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数が、第3領域343における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数よりも多いことが好ましい。
被覆PC鋼撚り線の挿入口となる、貫通孔321の開口部321A側には、通常未加熱の被覆PC鋼撚り線が挿入されることになる。このため、係る開口部321A側に位置する第1領域341における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数を他の領域よりも多くすることで、被覆PC鋼撚り線を特に十分に加熱し、被覆樹脂を軟化しやすくできる。
本実施形態の軟化装置はさらに任意の部材を有することもできる。
(1-3)被覆部材
図3に示したように、本実施形態の軟化装置が有するヒーター31は、電熱線部33の電熱線331が露出していてもよいが、電熱線部33を覆う被覆部材をさらに有することが好ましい。
具体的には例えば図4に示すように、ヒーター31は、ヒーター31の電熱線部33を覆う被覆部材41を有することが好ましい。なお、図4中電熱線部33は電熱線331を個別に示さず、模式的に示している。
被覆部材41は、少なくとも電熱線部33の外側面33Cを覆う側面被覆部材411を有することが好ましい。被覆部材41は、電熱線部33の中心軸CA方向の端部である一方の端部33Aや他方の端部33Bを覆う端部被覆部材412をさらに有することもできる。
このように、電熱線部33を覆う被覆部材41を設けることで、電熱線部33が他の部材等と接触して破損することを防止できる。
被覆部材41の材料は特に限定されず、電熱線部33による加熱時の温度に耐えられる材料であることが好ましい。筒状体32の材料としては各種金属材料を好適に用いることができ、例えばステンレス鋼等を用いることが好ましい。
図4においては1層、すなわち1枚の被覆部材41を配置した例を示しているが、係る形態に限定されず、電熱線を2層以上、すなわち複数枚の被覆部材41で覆うこともできる。
(1-4)把持部
図4に示すように、ヒーター31は、ヒーター31を把持するための把持部42を有することが好ましい。把持部42は、被覆部材41に接続して設けることができる。把持部42を設けることで、ヒーター31を容易に把持し、被覆PC鋼撚り線へのヒーターの設置や、被覆PC鋼撚り線上のヒーターの位置の変更等を容易にできる。
把持部42の形態は、図4に示した例に限定されるものではなく、任意の形状で、任意の位置に設けることができる。
(1-5)測温部
図4に示すように、ヒーター31は、測温部43をさらに有することもできる。測温部43を設けることで、電熱線部33の温度を精度よく制御できる。
測温部43を設置する場所や、数は特に限定されない。例えば、電熱線部33の中心軸CA方向の中央部に測温部43を設置することもできる。被覆PC鋼撚り線にヒーター31を設置し、加熱を行う場合、電熱線部33の中心軸CA方向の中央部近傍の温度は外気の影響を受けにくい。
このため、電熱線部33の中心軸CA方向の中央部に測温部43を設けることで安定して、電熱線部33の温度を制御できるからである。
ただし、係る形態に限定されず、例えば、電熱線部33の中心軸CA方向の端部に測温部43を設けてもよく、中心軸CA方向の中央部、および端部の両方に測温部43を設けてもよい。
測温部43の具体的な構成は特に限定されないが、例えば熱電対を用いることができる。
(1-6)その他
ここまで、本実施形態の軟化装置30が有するヒーター31について説明したが、本実施形態の軟化装置30は、複数個のヒーター31を有することもできる。
図5に示すように、ヒーター31は、被覆PC鋼撚り線51に設置して用いることができる。ただし、被覆PC鋼撚り線51の被覆樹脂を軟化したい領域に対して、ヒーター31の長さが十分ではない場合、例えばヒーター31の位置を、矢印Aに沿って点線で示したヒーター31´の位置まで変化させ、複数回に渡って加熱を行う必要がある。
これに対して、軟化装置30が複数個のヒーター31を有する場合、例えば図5中のヒーター31´にも同時にヒーターを配置できる。このため、被覆PC鋼撚り線51について、より広い範囲を同時に加熱し、効率よく被覆樹脂を軟化させることができる。
また、1つの長いヒーターではなく、複数個のヒーターを用いることで、被覆PC鋼撚り線が曲がっていたとしても、容易に設置できる。
(2)制御部
本実施形態の軟化装置30は、上記ヒーター31以外にも任意の部材をさらに有することができる。
本実施形態の軟化装置30は、例えばヒーター31の電熱線部の温度を制御する制御部52をさらに有することもできる。
制御部52は、例えば既述の測温部43や、電熱線部33の電熱線331と接続しておき、測温部43で測定した温度に基づき、電熱線331に供給する電力量を制御することもできる。図5中電熱線部33の電熱線331の記載を省略しているが、電熱線331は、例えば把持部42から引き出し、制御部52等と接続できる。
[被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法]
本実施形態の被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法(以下、単に「被覆樹脂除去方法」とも記載する)は、例えば図7に示したフローチャート70に沿って実施でき、以下の工程を有することができる。ただし、各工程を実施する順番やタイミングはフローチャート70に示した形態に限定されず、後述するように例えば加熱工程と除去工程とを並行して、同時に実施することもできる。なお、本実施形態の被覆樹脂除去方法は、既述の軟化装置を用いて実施できる。このため、既に説明した事項については説明を一部省略する。
中心軸に沿って貫通孔を有する筒状体と、筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターの貫通孔内に、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入し、被覆PC鋼撚り線にヒーターを設置する設置工程。
電熱線に通電し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を加熱する加熱工程。
ヒーターを被覆PC鋼撚り線から取り外す取り外し工程。
被覆樹脂を除去する除去工程。
各工程について以下に説明する。
(1)設置工程(S1)
本実施形態の被覆樹脂除去方法は、既述の軟化装置を用いて実施できる。
既述の軟化装置30は、筒状体32と、筒状体32の外側面32Bに設置した電熱線331を有する電熱線部33とを有するヒーター31を含んでいる。
このため、設置工程では、図5に示すように、筒状体32の貫通孔321内に被覆PC鋼撚り線51を挿入する操作により、被覆PC鋼撚り線に容易にヒーターを設置できる。そして、後述する加熱工程において、係るヒーターの電熱線331に通電することで、被覆PC鋼撚り線を加熱し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化させることができる。
既述の軟化装置は、複数個のヒーター31を有することもできる。軟化装置が複数個のヒーター31を有する場合、設置工程において、例えば図5に示したように、被覆PC鋼撚り線51にヒーター31に加えて、点線で示したヒーター31´も併せて設置できる。すなわち、設置工程において、複数個のヒーターを設置することもできる。
このように複数のヒーター31、31´を同時に用いることで、被覆PC鋼撚り線51について、より広い範囲を同時に加熱し、効率よく被覆樹脂を軟化させることができる。
また、1つの長いヒーターではなく、複数個のヒーターを用いることで、被覆PC鋼撚り線が曲がっていたとしても、容易に設置できる。
なお、複数のヒーターは同じ構成である必要はなく、例えば筒状体に電熱線を巻く際の条件が異なるヒーターを用いることもできる。
(2)加熱工程(S2)
加熱工程では、ヒーター31の電熱線部33が有する電熱線331に通電し、被覆PC鋼撚り線51の被覆樹脂を加熱できる。
既述のように電熱線部33における電熱線331の巻数等は特に限定されない。例えば筒状体32の中心軸CAに沿って、電熱線331間の距離が等しくなるように等間隔に巻くこともできる。しかし、ヒーターを設置した領域のうち、筒状体32の中心軸CA方向の両端部側において被覆樹脂を十分に加熱できない場合がある。そこで、軟化装置30が有するヒーター31の電熱線部33は、電熱線331を所定の巻き方とすることが好ましい。
既述のように、電熱線部33のうち、中心軸CA方向の一方の端部33A側を第1領域341とし、中心軸CA方向の中央部を第2領域342とし、一方の端部33Aと反対側に位置する他方の端部33B側を第3領域343とすることができる。この場合、第1領域341、および第3領域343における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数を、第2領域342における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数よりも多くすることが好ましい。
被覆PC鋼撚り線を加熱する場合、ヒーターから供給した熱がPC鋼撚り線を介して放熱され、電熱線部の端部側はその傾向が強くなる。
電熱線は高密度に配置するほど、該電熱線で囲まれた領域内に供給する熱量を多くすることができる。そこで、加熱工程で用いるヒーター31は、放熱が起こりやすい電熱線部33の両端部側である第1領域341、および第3領域343における電熱線331の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数を、第2領域342よりも多くすることが好ましい。電熱線331の巻数を上記構成とすることで、第1領域、第3領域に供給する熱量を多くできる。その結果、ヒーター31を配置した部分の被覆PC鋼撚り線全体を十分に加熱でき、ヒーターを除去した後に被覆樹脂が冷え、硬化するまでの時間を特に長くできる。
図5に示したように、ヒーター31は、電熱線部33の一方の端部33A側に位置する、貫通孔321の開口部321Aを、被覆PC鋼撚り線の挿入口とすることもできる。この場合、第1領域341における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数が、第3領域343における、中心軸CA方向の単位長さ当たりの電熱線331の巻数よりも多いことが好ましい。
被覆PC鋼撚り線の挿入口となる、貫通孔321の開口部321A側には、通常未加熱の被覆PC鋼撚り線が挿入されることになる。このため、係る開口部321A側に位置する第1領域341における電熱線331の密度を他の領域よりも高くすることで、被覆PC鋼撚り線を特に十分に加熱し、被覆樹脂を軟化しやすくできる。
図4に示すように、ヒーター31は、測温部43を有することもできる。また、図5に示すように軟化装置30は、制御部52を有することもできる。このため、加熱工程では、例えば測温部43で測定した温度に基づいて、電熱線部33に供給する電力量を制御し、被覆樹脂を所定の温度に加熱できる。
加熱工程における加熱温度は特に限定されず、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の材料等に応じて選択できる。例えば加熱温度と、被覆樹脂の軟化の程度との関係を予め評価しておき、係る評価結果に基づいて加熱温度を選択できる。
加熱工程において加熱する時間についても、被覆PC鋼撚り線のサイズや、被覆樹脂の材料等に応じて選択できるが、例えば5分間以上30分間以下であることが好ましく、10分間以上25分間以下であることが好ましい。5分間以上加熱することで、被覆樹脂を十分に軟化させることができる。加熱時間を30分間以下とすることで生産性を高めることができる。
なお、以下に説明するように、加熱工程の間、ヒーター31の位置を移動させることもできる。このため、上記加熱時間は、ヒーター31により表面が覆われ、該ヒーターにより加熱している時間を意味する。
加熱工程の間、被覆PC鋼撚り線51の長手方向に沿って、ヒーター31の位置を変化させることもできる。
被覆PC鋼撚り線51の被覆樹脂を除去したい範囲が、ヒーター31のサイズに比べて広い場合、上述のように、加熱工程の間、ヒーター31の位置を変化させることができる。このように、ヒーター31の位置を変化させることで、広い範囲に渡って加熱し、被覆樹脂を軟化、除去できる。
加熱工程においてヒーター31の位置を変化させる場合、ヒーター31をゆっくり動かしながら加熱してもよく、ヒーター31を移動させた後、移動をやめて加熱を行うこともできる。
ヒーター31は、既述のように、電熱線部33を覆う被覆部材41と、被覆部材41に接続された把持部42とを有することもできる。この場合には、把持部42を把持し、ヒーター31の位置を変化させることができる。
なお、上述のように加熱工程の間に、ヒーター31の位置を変化させる場合、併せて後述する除去工程を実施してもよい。すなわち、本実施形態の被覆樹脂除去方法は、加熱工程と、除去工程とを同時に実施する時間を含むこともできる。
この場合、加熱工程の間、被覆PC鋼撚り線の長手方向に沿ってヒーターの位置を変化させることができる。位置を変化させた、すなわち移動させたヒーターは、移動後の位置で、被覆樹脂の加熱を実施できる。
除去工程では加熱工程で既に加熱された被覆樹脂、すなわちヒーターを移動させる前に加熱していた部分の被覆樹脂を除去できる。
このように、本実施形態の被覆樹脂除去方法が、加熱工程と、除去工程とを同時に実施する時間を含む場合、加熱工程で既に加熱された被覆樹脂の温度が下がる前に、除去工程を実施し、効率的に被覆樹脂を除去できる。また、本実施形態の被覆樹脂除去方法が、加熱工程と、除去工程とを同時に実施する時間を含むことで、所定の領域の被覆樹脂を除去するために要する時間を短縮できる。
(3)取り外し工程(S3)
取り外し工程では、ヒーター31を被覆PC鋼撚り線51から取り外すことができる。
取り外し工程では、設置工程の場合とは反対に、ヒーター31をスライドし、被覆PC鋼撚り線51から、ヒーターを脱離させることができる。
(4)除去工程(S4)
除去工程では、被覆PC鋼撚り線から被覆樹脂を除去できる。
加熱工程で加熱することで、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂は軟化している。このため、冷えて再度硬度が高くなる前に、マイナスドライバーや、へら、彫刻刀等で、被覆樹脂を削ぐことで、被覆樹脂を容易に除去できる。除去工程で被覆樹脂を除去する程度は特に限定されず、要求に応じて除去すればよい。
なお、既述のように、被覆PC鋼撚り線は、光ファイバーを有することもできる。この場合、除去工程で、被覆樹脂を除去した際、または被覆樹脂を除去した後、光ファイバーを取り出すこともできる。
すなわち、被覆PC鋼撚り線が光ファイバーを有する場合、本実施形態の被覆樹脂除去方法を用いた、被覆PC鋼撚り線からの光ファイバーの取り出し方法とすることもできる。[光ファイバーの取り出し方法]
本実施形態の光ファイバーの取り出し方法は、以下の工程を有することができる。なお、本実施形態の光ファイバーの取り出し方法は、既述の軟化装置を用いて、既述の被覆樹脂除去方法と同様にして実施できる。このため、既に説明した事項については説明を一部省略する。
中心軸に沿って貫通孔を有する筒状体と、筒状体の外側面に、中心軸に沿って螺旋状に電熱線を設置した電熱線部と、を備えたヒーターの貫通孔内に、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入し、被覆PC鋼撚り線にヒーターを設置する設置工程。
電熱線に通電し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を加熱する加熱工程。
ヒーターを被覆PC鋼撚り線から取り外す取り外し工程。
被覆樹脂を除去する除去工程。
そして、除去工程では、被覆PC鋼撚り線が有する光ファイバーを固定していた被覆樹脂を除去し、被覆PC鋼撚り線から光ファイバーを取り出すことができる。
設置工程に供する、被覆PC鋼撚り線は、被覆樹脂により固定された光ファイバーを有することができる。
設置工程に供する被覆PC鋼撚り線は、例えば図1や、図2に示したように、被覆樹脂中に埋設された光ファイバーを有することができる。また、設置工程に供する被覆PC鋼撚り線は、例えば図2に示した被覆PC鋼撚り線20よりも少ない量の被覆樹脂でPC鋼撚り線および光ファイバーの表面の一部を覆い、光ファイバーを固定していてもよい。本実施形態の光ファイバーの取り出し方法の設置工程に供する被覆PC鋼撚り線は、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置されているものであればよい。
除去工程において被覆樹脂を除去し、光ファイバーを取り出す点以外は、既述の被覆樹脂除去方法と同様にして実施できるため、各工程の具体的な操作についての説明は省略する。
なお、被覆樹脂除去方法で既述のように、加熱工程の間に、ヒーターの位置を変化させる場合、併せて除去工程を実施してもよい。すなわち、本実施形態の光ファイバーの取り出し方法は、加熱工程と、除去工程とを同時に実施する時間を含むこともできる。
本実施形態の光ファイバーの取り出し方法によれば、設置工程において、筒状体の貫通孔内に被覆PC鋼撚り線を挿入する操作により、被覆PC鋼撚り線に容易にヒーターを設置できる。そして、加熱工程において、係るヒーターの電熱線に通電することで、被覆PC鋼撚り線を加熱し、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂を軟化させることができる。除去工程では、加熱工程により軟化された被覆樹脂を除去し、光ファイバーを容易、かつ効率的に取り出すことができる。
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、実験条件、評価結果について説明する。実験例1~3はいずれも実施例となる。
[実験例1]
(被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置)
図3~図5に示した、軟化装置30を作製した。
具体的には、中心軸CAに沿って、貫通孔321を有する筒状体32と、筒状体32の外側面に設置した電熱線331を有する電熱線部33と、を備えたヒーター31を用意した。
筒状体32はステンレス鋼製で、貫通孔321の中心軸CAと垂直な断面は、円形状を有しており、直径D321の最小値は19mmであった。また、筒状体32の中心軸CAと垂直な断面における直径D32の最小値30mmであった。このため、肉厚Tは5.5mmとなる。筒状体32の中心軸方向の長さL32は200mmとした。
電熱線部33は、電熱線331を、筒状体32の中心軸CA方向全体に渡って、螺旋状に巻き付けて形成した。電熱線部33の第1領域341の長さL341、第2領域342の長さL342、第3領域の長さL343は、L341:L342:L343=1:2:1の割合となるように各領域を連続して設定した。各領域の中心軸方向の単位長さ当たりの電熱線の巻数の比が表1に示した、第1領域:第2領域:第3領域=3:1:2となるように、筒状体32に、電熱線331を巻き付け、電熱線部33を形成した。
そして、図4に示すように、電熱線部33を覆うように、ステンレス鋼製の被覆部材41を配置した。また、被覆部材41に接続された把持部42を設けた。
ヒーター31には、電熱線部33の中心軸方向の中央部に熱電対である測温部43をさらに設置した。
また、軟化装置30は、上記ヒーター31以外にさらに、制御部52を有しており、制御部52には、上記測温部43および電熱線部33の電熱線331が接続されている。
(被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の除去)
上記軟化装置を用いて、被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の除去を行った。具体的には、図7に示したフローチャート70に沿って実施した。
(1)設置工程
図1に示した断面構造を有する、被覆PC鋼撚り線10を用意した。被覆樹脂はエポキシ樹脂であり、被覆PC鋼撚り線の外径は16.4mmであった。
係る被覆PC鋼撚り線に、上記軟化装置30のヒーター31を設置した。
具体的には図5に示すように、ヒーター31の貫通孔321に、被覆PC鋼撚り線51の端部51A側から、被覆PC鋼撚り線51を挿入した。
ヒーター31は予め加熱されており、制御部52において加熱温度を200℃に設定しておき、測温部43で測定した温度が200℃に到達したことを確認してから、上述のように被覆PC鋼撚り線51に設置した。
(2)加熱工程
設置工程後、ヒーター31の位置を固定し、15分間保持した。なお、加熱工程の間、測温部43で測温した温度が200℃に保持されていることを確認した。
(3)取り外し工程
ヒーター31を、被覆PC鋼撚り線51から取り外した。
(4)除去工程
マイナスドライバーを、被覆PC鋼撚り線の撚り溝に当て、被覆樹脂を除去したところ、被覆樹脂は軟化されていたため、容易に除去できた。
取り外し工程後、被覆PC鋼撚り線の表面のうち、上記第1領域~第3領域が配置されていた各部分が105℃になるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
[実験例2]
(被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置)
ヒーター31の電熱線部33について、各領域の中心軸方向の単位長さ当たりの電熱線の巻数の比が表1に示す値となるように、筒状体32に、電熱線331を巻き付け、電熱線部33を形成した。
以上の点以外は、実験例1と同じ構成の軟化装置30を作製した。
(被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の除去)
上記軟化装置を用いた点以外は、実験例1の場合と同様にして被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の除去を行った。
除去工程において、マイナスドライバーを被覆PC鋼撚り線の撚り溝に当て、被覆樹脂を除去したところ、被覆樹脂は軟化されていたため、容易に除去できた。
取り外し工程後、被覆PC鋼撚り線の表面のうち、上記第1領域~第3領域が配置されていた各部分が105℃になるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
[実験例3]
(被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置)
ヒーター31の電熱線部33について、各領域の中心軸方向の単位長さ当たりの電熱線の巻数の比が表1に示す値となるように、筒状体32に、電熱線331を巻き付け、電熱線部33を形成した。
以上の点以外は、実験例1と同じ構成の軟化装置30を作製した。
(被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の除去)
上記軟化装置を用いた点以外は、実験例1の場合と同様にして被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂の除去を行った。
除去工程において、マイナスドライバーを被覆PC鋼撚り線の撚り溝に当て、被覆樹脂を除去したところ、被覆樹脂は軟化されていたため、容易に除去できた。
取り外し工程後、被覆PC鋼撚り線の表面のうち、上記第1領域~第3領域が配置されていた各部分が105℃になるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0007479972000001
Figure 0007479972000002

表2に示した結果から明らかなように、いずれの実験例においても、加熱した被覆樹脂について、硬化を始めるまでに十分な時間を確保できることを確認できた。
特に、実験例1、2の軟化装置を用いた場合、実験例3の軟化装置を用いた場合と比較して、第1領域、第3領域に対応した部分について、被覆樹脂を十分に加熱でき、被覆樹脂が冷え、硬化を始めるまでの時間が長いことを確認できた。これは、実験例1、2の軟化装置は、第1領域、第3領域の電熱線の中心軸CA方向の単位長さ当たりの巻数が多いヒーターを有しているためと考えられる。
10、20、51 被覆PC鋼撚り線
11 PC鋼撚り線
11 外接円
111 PC鋼線
111A 第1PC鋼線
111A 中心
111B 第2PC鋼線
111B 中心
111 線径
111 直線
P1、P2 交点
112 撚り溝
12、21 被覆樹脂
12 厚さ
13 内部空間
14 クラウン部
111B 共通接線
15 光ファイバー
22 光ファイバー部材
30 被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置(軟化装置)
31、31´ ヒーター
32 筒状体
32 直径
32 長さ
T 肉厚
CA 中心軸
321 貫通孔
321 直径
321A 開口部
32A 内側面
32B 外側面
33 電熱線部
33 長さ
331 電熱線
3311 電熱線
3312 電熱線
33A 一方の端部
33B 他方の端部
33C 外側面
331A 端部
341 第1領域
341 長さ
342 第2領域
342 長さ
343 第3領域
343 長さ
41 被覆部材
411 側面被覆部材
412 端部被覆部材
42 把持部
43 測温部
51A 端部
52 制御部
A 矢印
631A~631F 電熱線
70 フローチャート
S1 設置工程
S2 加熱工程
S3 取り外し工程
S4 除去工程

Claims (10)

  1. 中心軸に沿って、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入するための貫通孔を有する筒状体と、
    前記筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターを含み、
    前記電熱線部のうち、前記中心軸方向の一方の端部側を第1領域とし、前記中心軸方向の中央部を第2領域とし、前記一方の端部と反対側に位置する他方の端部側を第3領域とした場合に、
    前記第1領域、および前記第3領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数が、前記第2領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数よりも多い被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置。
  2. 前記一方の端部側に位置する、前記貫通孔の開口部が、前記被覆PC鋼撚り線の挿入口であり、
    前記第1領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数が、
    前記第3領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数よりも多い請求項に記載の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置。
  3. 前記ヒーターは、前記電熱線部を覆う被覆部材と、前記被覆部材に接続された把持部と、をさらに有する請求項1または請求項に記載の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置。
  4. 前記ヒーターは、測温部をさらに有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置。
  5. 前記ヒーターを複数個有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の被覆PC鋼撚り線用被覆軟化装置。
  6. 中心軸に沿って貫通孔を有する筒状体と、前記筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターの前記貫通孔内に、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入し、前記被覆PC鋼撚り線に前記ヒーターを設置する設置工程と、
    前記電熱線に通電し、前記被覆PC鋼撚り線の前記被覆樹脂を加熱する加熱工程と、
    前記ヒーターを前記被覆PC鋼撚り線から取り外す取り外し工程と、
    前記被覆樹脂を除去する除去工程と、を有し、
    前記電熱線部のうち、前記中心軸方向の一方の端部側を第1領域とし、前記中心軸方向の中央部を第2領域とし、前記一方の端部と反対側に位置する他方の端部側を第3領域とした場合に、
    前記第1領域、および前記第3領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数が、前記第2領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数よりも多い被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法。
  7. 前記加熱工程の間、前記被覆PC鋼撚り線の長手方向に沿って、前記ヒーターの位置を変化させる請求項6に記載の被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法。
  8. 前記加熱工程と、前記除去工程とを同時に実施する時間を含み、前記加熱工程の間、前記被覆PC鋼撚り線の長手方向に沿って、前記ヒーターの位置を変化させ、前記除去工程では、前記加熱工程で既に加熱された前記被覆樹脂を除去する請求項6または請求項7に記載の被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法。
  9. 前記設置工程において、前記被覆PC鋼撚り線に複数個の前記ヒーターを設置する請求項から請求項のいずれか1項に記載の被覆PC鋼撚り線の被覆樹脂除去方法。
  10. 中心軸に沿って貫通孔を有する筒状体と、前記筒状体の外側面に設置した電熱線を有する電熱線部と、を備えたヒーターの前記貫通孔内に、PC鋼撚り線の表面の少なくとも一部に被覆樹脂が配置された被覆PC鋼撚り線を挿入し、前記被覆PC鋼撚り線に前記ヒーターを設置する設置工程と、
    前記電熱線に通電し、前記被覆PC鋼撚り線の前記被覆樹脂を加熱する加熱工程と、
    前記ヒーターを前記被覆PC鋼撚り線から取り外す取り外し工程と、
    前記被覆樹脂を除去する除去工程と、を有し、
    前記電熱線部のうち、前記中心軸方向の一方の端部側を第1領域とし、前記中心軸方向の中央部を第2領域とし、前記一方の端部と反対側に位置する他方の端部側を第3領域とした場合に、
    前記第1領域、および前記第3領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数が、前記第2領域における、前記中心軸方向の単位長さ当たりの前記電熱線の巻数よりも多く、
    前記被覆PC鋼撚り線は、前記被覆樹脂により固定された光ファイバーを有しており、前記除去工程において前記被覆樹脂を除去し、前記被覆PC鋼撚り線から前記光ファイバーを取り出す、光ファイバーの取り出し方法。
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