JP6869329B2 - 水性下塗用樹脂 - Google Patents
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Description
親水性モノマー(a1)がヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを含み、
単量体成分(a)がスチレン系モノマー(及び必要に応じてさらに(メタ)アクリル系モノマー)を含む疎水性モノマー(a3)を含み、
単量体成分(a)において、疎水性モノマー(a3)の割合が50質量%以上である樹脂(例えば、単量体成分(a)において、酸基含有モノマー(a1)の割合が3質量%以下、親水性モノマー(a2)の割合が1.5質量%以上、疎水性モノマー(a3)の割合が50質量%以上である樹脂)。
前記樹脂は、比較的低分子量の成分(例えば、重量平均分子量1万〜8万の成分)を含んでいてもよい。このような場合、樹脂全体に対する低分子量の成分[重量平均分子量1万〜8万の成分(重合体、重合体成分)]の割合が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにおける面積比率で5〜50%程度であってもよい。また、このような低分子量の成分は、特に、多層構造を有する樹脂において、外層(特に最外層)が有していてもよい。
このような樹脂は、特に、基材の中でも、窯業系基材(例えば、外壁又はサイディングなどの建材)における塗膜性能(例えば、耐透水性)のバラツキ(例えば、同じ基材における部位間や異なる建材間でのバラツキ)を低減しうるものである。
本発明の他の態様では、耐凍害性に優れた塗膜を形成するのに有用な樹脂エマルションを提供することもできる。
本発明の樹脂は、単量体成分(a)を重合成分とする。
単量体成分(a)において、酸基含有モノマー(モノマー(a1)などということがある)の割合は、比較的小さく、例えば、単量体成分(a)全体に対して5質量%未満(例えば、4.7質量%以下)の範囲から選択でき、4.5質量%以下(例えば、4.2質量%以下)、好ましくは4質量%以下(例えば、3.8質量%以下)、さらに好ましくは3.5質量%以下(例えば、3.2質量%以下)、特に好ましくは3質量%以下(例えば、2.9質量%以下)であってもよく、2.8質量%以下(例えば、2.6質量%以下)、2.5質量%以下(例えば、2.4質量%以下)、2.2質量%以下(例えば、2.1質量%以下)、2質量%以下(例えば、1.8質量%以下)、1.5質量%以下などであってもよい。単量体成分(a)は、酸基含有モノマーを実質的に含まないもの[例えば、0.1質量%未満、0.05質量%以下、0.01質量%以下など]であってもよい。
前記のように、単量体成分(a)全体に対する酸基含有モノマーの割合は特定割合である。そのため、単量体成分(a)は、酸基を含有しないモノマー(酸基非含有モノマー)を含んでいる。
親水性モノマー(又は親水性基を有するモノマー)としては、例えば、ヒドロキシル基(水酸基)を有するモノマー、窒素含有モノマー、オキシアルキレン基を有するモノマーなどが挙げられる。なお、親水性モノマーは、前記酸基含有モノマーの範疇に属さないモノマーであってもよい。
親水性モノマー(a2)の割合を上記のような範囲とすることで、塗膜の耐水性低下を抑制しやすく、また、塗膜の耐透水性を維持しやすい。
親水性モノマー(a2)1質量部に対する酸基含有モノマー(a1)の割合を上記のような割合(例えば、2質量部以下)にすることで、耐透水性のような塗膜性能のバラつきを効率よく抑えうる。
単量体成分(a)は、他のモノマー又は疎水性モノマー(又はモノマー(a1)及びモノマー(a2)のいずれの範疇にも属さないモノマー、モノマー(a3)などということがある)を含んでいてもよい。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−アルキルスチレン(例えば、α−メチルスチレンなどのα−C1−4アルキルスチレン)、アルキルスチレン(例えば、ビニルトルエンなどのC1−4アルキルスチレン)、ハロスチレン(例えば、クロロスチレンなど)などが挙げられる。
スチレン系モノマーの割合を上記のような範囲にすることで、塗膜の耐水性低下を抑制しやすく、また、塗膜の耐透水性を効率よく維持しやすい。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、脂肪族(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、(メタ)アクリル系モノマーは、前記のように、通常、酸基含有モノマー及び親水性モノマーの範疇に属しないものであってもよく、例えば、酸基(カルボキシル基など)及び親水性基又は親水性部分(例えば、ヒドロキシル基、オキシアルキレン基及び窒素)を含有しないモノマーであってもよい。
カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、不飽和アルデヒド[例えば、アルケナール(例えば、アクロレイン、メタクロレインなどのC3−10アルケナール)、(メタ)アクリロキシアルキルアルケナール(例えば、アクリルオキシアルキルプロペナール、メタクリルオキシアルキルプロペナール)、ホルミルスチロールなど]、不飽和ケトン{例えば、アルケノン(例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ビニルブチルケトンなど)、(メタ)アクリロイルオキシアルカノン(例えば、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレートなど)、アセトアセトキシ基含有エチレン性不飽和単量体[例えば、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(アセトアセトキシ)エチルアクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート)、アセトアセトキシアリルエステルなど]など}などが挙げられる。
樹脂は、単量体成分(a)を重合成分としていればよく、エマルションを構成していてもよい(又はエマルション状態であってもよい)。そのため、エマルションは、樹脂(粒子)と乳化剤(樹脂粒子を被覆する乳化剤)とで構成されていてもよい。また、エマルションは、単量体成分(a)を重合成分とする樹脂(樹脂粒子)[又は当該樹脂(又は樹脂粒子)]が溶媒中に分散したものであってもよい。
その他、乳化重合条件(温度、時間など)は、適宜選択できる。
なお、耐透水性、耐ブロッキング性を向上させる観点から内層がハード層、外層がソフト層であることが好ましい。
酸基含有モノマーについても同様であり、例えば、多層構造の樹脂における酸基を有するモノマーの割合を4質量%以下とするとき、多層構造全体において4質量%以下を充足するだけでなく、外層における酸基を有するモノマーの割合も4質量%以下を充足してもよい。
なお、樹脂全体に対する低分子量の成分の割合の上限値は、特に限定されないが、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(チャート)における面積比率で、例えば、70%、60%、55%、50%、45%、40%、35%などであってもよい。
また、樹脂又はエマルションが、多層構造を有する場合には、多層構造全体として低分子量の成分を有していればよく、いずれかの層(内層又は外層)が低分子量の成分を有していてもよく、内層及び外層が低分子量の成分を有していてもよく、特に、少なくとも外層(特に外層のみ)が、低分子量の成分を含んで(所定の割合で含んで)いてもよい。
なお、外層が2層以上である場合(中間層を有する場合)、特に、最外層(中間層ではない外層)を構成する樹脂の分子量を、内層を構成する樹脂の分子量よりも低くしてもよい。
また、高分子量の樹脂(例えば、内層や中間層を構成する樹脂)の重量平均分子量と、低分子量の樹脂(例えば、外層又は最外層を構成する樹脂)の重量平均分子量との差は、例えば、1万以上(例えば、3万以上)、好ましくは5万以上(例えば、7万以上)、さらに好ましくは10万以上(例えば、15万以上)程度であってもよい。
また、連鎖移動剤の使用割合は、樹脂(例えば、外層又は最外層を構成する樹脂)の単量体成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であってもよく、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下であってもよい。
なお、ガラス転移温度は、例えば、後述の実施例に記載の方法[フォックス(Fox)の式]などで求めてもよい。
耐透水性、耐ブロッキング性を向上させる観点から、内層のガラス転移温度は、例えば20℃〜150℃程度が好ましく、外層のガラス転移温度は、例えば0℃〜50℃程度が好ましい。
このような差を有することで(例えば、20℃以上など)、塗膜の耐透水性を効率良く向上しうる。
なお、固形分(不揮発分)量は、例えば、後述の実施例に記載の方法などで求めてもよい。
本発明の樹脂(又はエマルション、以下同じ)は、塗装又は塗料用、特に、下塗塗装又は下塗用(又はシーラー用)として好適に使用できる。
特に、成膜助剤として、2種以上のグリコールエーテル(グリコールエーテル(A))と、エステル(エステル(B))とを組み合わせてもよい。このような特定の成膜助剤を使用することで、耐透水性と耐ブロッキング性とを効率よく両立させやすくできる場合がある。
以下、特定の成膜助剤について詳述する。
上記成膜助剤(溶媒、溶媒組成物)は、グリコールエーテル(A)及びエステル(B)を含む。
(グリコールエーテル(A))
グリコールエーテル(A)は、少なくとも2種(異なるグリコールエーテルを)使用する限り、限定されないが、特定の群に属する、グリコールエーテル(例えば、グリコールエーテル(A1)及びグリコールエーテル(A2))から選択してもよい。
グリコールエーテル(A1)の水100gに対する溶解度(20℃における溶解度)と、グリコールエーテル(A2)の水100gに対する溶解度(20℃における溶解度)との差(絶対値)は、例えば、5g以上、好ましくは10g以上であってもよい。
水に対する溶解度が低いと、通常、成膜性成分(樹脂粒子など)に対して移行しやすくなり、成膜助剤としての機能を達成しやすくなることが予想される一方で、塗膜中に残存しやすくなり、耐ブロッキング性を低下させる可能性がある。これに対して、本発明では、水に対する溶解度が異なる成膜助剤を組み合わせることで、意外にも、成膜助剤としての機能と耐ブロッキング性とをバランス良く両立しやすいようである。
グリコールエーテル(A1)としては、例えば、
エチレングリコールモノエーテル{例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、イソプロピルグリコール(エチレングリコールモノイソプロピルエーテル)、ブチルグリコール(ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノブチルエーテル)などのエチレングリコールモノC1−4アルキルエーテル]、アリルグリコール(エチレングリコールモノアリルエーテル)など}、プロピレングリコールモノエーテル{例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、メチルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、プロピルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノプロピルエーテル)などのプロピレングリコールモノC1−2アルキルエーテル]など}などのアルカンジオールモノエーテル;
ジエチレングリコールモノエーテル{例えば、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、メチルジグリコール(メチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、イソプロピルジグリコール(ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル)、イソブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル)、ブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルカルビトール)などのジエチレングリコールモノC1−4アルキルエーテル]、ベンジルジグリコール(ジエチレングリコールモノベンジルエーテル)など}、ジプロピレングリコールモノエーテル{例えば、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、メチルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)などのジプロピレングリコールモノC1−2アルキルエーテル]など}、トリエチレングリコールモノエーテル{例えば、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、メチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノメチルエーテル)、ブチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)などのトリエチレングリコールモノC1−4アルキルエーテル]など}、トリプロピレングリコールモノエーテル{例えば、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、メチルプロピレントリグリコール(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)などのトリプロピレングリコールモノC1−2アルキルエーテル]など}などのポリアルキレングリコールモノエーテル;
エチレングリコールジエーテル{例えば、エチレングリコールジアルキルエーテル[例えば、ジメチルグリコール(エチレングリコールジメチルエーテル)などのエチレングリコールジC1−12アルキルエーテル]など}などのアルカンジオールジエーテル;
ジエチレングリコールジエーテル{例えば、ジエチレングリコールジアルキルエーテル[例えば、ジメチルジグリコール(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチルジグリコール(ジエチレングリコールジエチルエーテル)などのジエチレングリコールジC1−3アルキルエーテル]など}、ジプロピレングリコールジエーテル{例えば、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル[例えば、ジメチルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールジメチルエーテル)などのジプロピレングリコールジC1−12アルキルエーテル]など}、トリエチレングリコールジエーテル{例えば、トリエチレングリコールジアルキルエーテル[例えば、ジメチルトリグリコール(トリエチレングリコールジメチルエーテル)などのトリエチレングリコールジC1−12アルキルエーテル]など}などのポリアルキレングリコールジエーテル;
などが挙げられる。
上記のようなグリコールエーテル(A1)を使用することで、限られた乾燥時間の中で揮発する速度を向上しやすいためか、乾燥後に残る成膜助剤量を減少できる。また、塗料の表面張力が下がるため基材(特に窯業系基材)に湿潤しやすくなり、含浸効果も期待できる。
エチレングリコールモノエーテル{例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、ヘキシルグリコール(エチレングリコールモノヘキシルエーテル)、2−エチルヘキシルグリコール(エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル)などのエチレングリコールモノC6−12アルキルエーテル]、フェニルグリコール(エチレングリコールモノフェニルエーテル)、ベンジルグリコール(エチレングリコールモノベンジルエーテル)など}、プロピレングリコールモノエーテル{例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、ブチルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノブチルエーテル)などのプロピレングリコールモノC3−12アルキルエーテル]、フェニルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノフェニルエーテル)など}などのアルカンジオールモノエーテル;
ジエチレングリコールモノエーテル{例えば、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、ヘキシルジグリコール(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)、2−エチルヘキシルジグリコール(ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル)などのジエチレングリコールモノC6−12アルキルエーテル]、フェニルジグリコール(ジエチレングリコールモノフェニルエーテル)など}、ジプロピレングリコールモノエーテル{例えば、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、プロピルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル)、ブチルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールモノブチルエーテル)などのジプロピレングリコールモノC3−12アルキルエーテル]など}、トリプロピレングリコールモノエーテル{例えば、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル[例えば、ブチルプロピレントリグリコール(トリプロピレングリコールモノブチルエーテル)などのトリプロピレングリコールモノC3−12アルキルエーテル]など}などのポリアルキレングリコールモノエーテル;
ジエチレングリコールジエーテル{例えば、ジエチレングリコールジアルキルエーテル[例えば、ジブチルジグリコール(ジエチレングリコールジブチルエーテル)などのジエチレングリコールジC4−12アルキルエーテル]など}などのポリアルキレングリコールジエーテル;
などが挙げられる。
上記のようなグリコールエーテル(A2)を使用することで限られた乾燥時間の中で揮発する速度を向上しやすいためか、乾燥後に残る成膜助剤量を減少できる。また、塗料の表面張力が下がるため基材(特に窯業系基材)に湿潤しやすくなり、含浸効果も期待できる。さらに、限られた乾燥時間の中でも、粒子融着を促し安定的に造膜させやすく、優れた耐透水性を有する塗膜を効率良く得やすい。
エステル(B)としては、前記グリコールエーテル(A)との組み合わせにおいて、塗料における成膜助剤などとして使用できれば特に限定されないが、特に、疎水性又は難水溶性のエステルを好適に使用してもよい。
ポリオールエステル{例えば、脂肪族ポリオールのエステル[例えば、アルカンポリオールアシレート(例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートなどのC2−10アルカンポリオールC1−20アシレート、好ましくはC3−10アルカンジオールモノ又はジC1−12アシレート、さらに好ましくはC4−8アルカンジオールモノ又はジC3−10アシレート)などの脂肪族ポリオールと脂肪族カルボン酸とのエステル]など}、
ポリカルボン酸エステル{例えば、脂肪族ジカルボン酸エステル[例えば、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)など)、セバシン酸エステル(例えば、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)など)などの炭素数3以上の脂肪族ジカルボン酸エステル、好ましくはC4−10脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル、さらに好ましくはC4−10アルカンジカルボン酸ジアルキルエステルなど]、脂肪族トリカルボン酸エステル[例えば、クエン酸エステル(例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリノルマルブチル、クエン酸アセチルトリノルマルブチル、クエン酸アセチル2−エチルヘキシルなど)など]などの脂肪族ポリカルボン酸エステル;芳香族ジカルボン酸エステル[例えば、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ビス(2−ブトキシエチル)など)など]、芳香族トリカルボン酸エステル[例えば、トリメリット酸エステル(例えば、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリノルマルアルキル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリノルマルオクチルなど)など]などの芳香族ポリカルボン酸エステル}、
モノカルボン酸エステル{例えば、脂肪族モノカルボン酸エステル[例えば、ミリスチン酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ラウリルなど)などの炭素数6以上の脂肪族モノカルボン酸エステル、好ましくはモノ高級脂肪酸エステル、さらに好ましくはC10−30脂肪族モノカルボン酸エステル]など}
などが挙げられる。
上記のようなエステル(B)をグリコールエーテル(A)と組み合わせることで、限られた乾燥時間の中であっても、成膜性成分である樹脂粒子などの融着を促し安定的に造膜させることができる一方で、造膜後は速やかに揮発させやすい。その結果、優れた耐透水性、耐凍害性(耐凍結融解性)を効率よく得やすい。
例えば、予め調製した成膜助剤(すなわち、グリコールエーテル(A)とエステル(B)を含む成膜助剤)を、塗料[又は塗料を構成する他の成分(例えば、成膜性成分)]に混合して製造してもよいし、成膜助剤を塗料の調製の際に(塗料中で)形成させることもできる。具体的には、塗料[又は塗料を構成する他の成分(例えば、成膜性成分)]に、グリコールエーテル(A)及びエステル(B)を個別に又は一括で混合してもよい。個別に混合する場合、2種以上のグリコールエーテル(A)の混合順序や、グリコールエーテル(A)とエステル(B)との混合順序は、特に限定されない。例えば、グリコールエーテル(A1)、グリコールエーテル(A2)、エステル(B)を順不同で混合してもよく、グリコールエーテル(A1)及びグリコールエーテル(A2)の混合物、エステル(B)の順に混合するなどしてもよい。
なお、ローラー塗装において、ロールコーターは、例えば、ダイレクトロールコーター、リバースロールコーターなどが挙げられ、特に限定されない。
乾燥時間は、塗装方法などにもよるが、例えば、120分以下(例えば、1〜120分)、好ましくは60分以下(例えば、1〜60分)、さらに好ましくは30分以下(例えば、1〜30分)であってもよい。
本発明では、このような限られた時間の乾燥であっても、良好な塗膜を効率良く得ることができる。
なお、実施例において、「部」「%」は断りのない限り、それぞれ「質量(重量)部」「質量%」を意味する。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水800部を仕込んだ。
滴下ロートに、脱イオン水270部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールNF−08〕の20%水溶液150部(乳化剤30部)、スチレン711部、2−エチルヘキシルアクリレート197部、n−ブチルアクリレート20部、アクリル酸6部、メタクリル酸6部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート60部からなる滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の5%にあたる71部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液87部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液60部を270分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
次に、25%アンモニア水を添加し、pHを8に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、100メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを得た。
なお、全モノマー中、酸基を有するモノマー(この例ではアクリル酸、メタクリル酸)の割合は1.2%、酸基非含有の親水性モノマー(この例では2−ヒドロキシエチルメタクリレート)の割合は6.0%である。
また、得られたエマルションにおいて、固形分割合(有効成分割合)は43%、ガラス転移温度は41℃であった。
なお、エマルションにおける固形分割合(不揮発分量)は、エマルション1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔シーラー用樹脂エマルション1g〕)×100
に基づいて求めた(以下同じ)。
また、ガラス転移温度は、各モノマーの単独重合体のガラス転移温度を用いて、式:
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分におけるモノマーmの含有率(重量%)、Tgmはモノマーmの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求めた(以下同じ)。
メタクリル酸メチル(MMA):105℃
スチレン(St):100℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
アクリル酸(AA):95℃
メタクリル酸(MAA):130℃
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):55℃
t−ブチルメタクリレート(t−BMA):107℃
イソボルニルメタクリレート(IBXMA):180℃
γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(TMSMA):70℃
実施例1において、滴下用プレエマルションに使用する成分及びその割合を下記表1に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂エマルションを得た。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水800部を仕込んだ。
滴下ロートに、脱イオン水90部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールNF−08〕の20%水溶液50部(乳化剤10部)、スチレン355部、2−エチルヘキシルアクリレート98部、n−ブチルアクリレート10部、アクリル酸1部からなる滴下用プレエマルション(1段目のプレエマルション)を調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の5%にあたる71部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を90分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、脱イオン水180部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールNF−08〕の20%水溶液100部(乳化剤20部)、スチレン361部、2−エチルヘキシルアクリレート99部、n−ブチルアクリレート10部、アクリル酸3部、メタクリル酸3部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート60部からなる2段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液58部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を180分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
次に、25%アンモニア水を添加し、pHを8に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、100メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを得た。
なお、全モノマー中、酸基を有するモノマー(この例ではアクリル酸、メタクリル酸)の割合は0.7%(内層に含まれる酸基を有するモノマーの割合は0.1%、外層に含まれる酸基を有するモノマーの割合は0.6%)、酸基非含有の親水性モノマー(この例では2−ヒドロキシルエチルメタクリレート)の割合は6.0%(内層に含まれる親水性モノマーの割合は0%、外層に含まれる親水性モノマーの割合は6.0%)である。
また、内層に含まれるモノマー中、酸基を有するモノマーの割合は0.2%、親水性モノマーの割合は0%であり、外層に含まれるモノマー中、酸基を有するモノマーの割合は1.1%、親水性モノマーの割合は11.2%である。
さらに、得られたエマルションにおいて、固形分割合は43%、内層と外層との質量比は46/54、ガラス転移温度は41℃(内層のガラス転移温度は40℃、外層のガラス転移温度は42℃)であった。
実施例5において、2段目のプレエマルションに使用する成分の割合を下記表2及び表3に示すものに変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂エマルションを得た。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水800部を仕込んだ。
滴下ロートに、脱イオン水90部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールNF−08〕の20%水溶液50部(乳化剤10部)、スチレン319部、n−ブチルアクリレート20部、及びアクリル酸1部からなる滴下用プレエマルション(1段目のプレエマルション)を調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の5%にあたる71部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液14部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を90分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、脱イオン水90部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールNF−08〕の20%水溶液50部(乳化剤10部)、スチレン225部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、n−ブチルアクリレート50部からなる2段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
次に、脱イオン水90部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールNF−08〕の20%水溶液50部(乳化剤10部)、スチレン212部、2−エチルヘキシルアクリレート97部、アクリル酸3部、メタクリル酸3部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート20部からなる3段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液29部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
次に、25%アンモニア水を添加し、pHを8に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、100メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを得た。
なお、全モノマー中、酸基を有するモノマー(この例ではアクリル酸及びメタクリル酸)の割合は0.7%[内層に含まれる酸基を有するモノマーの割合は0.1%、外層(又は最外層)に含まれる酸基を有するモノマーの割合は0.6%]、酸基非含有の親水性モノマー(この例では2−ヒドロキシルエチルメタクリレート)の割合は2.0%[内層に含まれる親水性モノマーの割合は0%、外層(又は最外層)に含まれる親水性モノマーの割合は2.0%]である。
また、内層に含まれるモノマー中、酸基を有するモノマーの割合は0.3%、親水性モノマーの割合は0%であり、外層に含まれるモノマー中、酸基を有するモノマーの割合は0.9%、親水性モノマーの割合は3.0%であり、外層のうち2層に含まれるモノマー中、酸基を有するモノマーの割合は0%、親水性モノマーの割合は0%であり、外層のうち3層(最外層)に含まれるモノマー中、酸基を有するモノマーの割合は1.8%、親水性モノマーの割合は6.0%である。
さらに、得られたエマルションにおいて、固形分割合は43%、内層と外層との質量比は34/66[外層のうち、第2層と第3層(最外層)との質量比は325/335]、ガラス転移温度は44℃[内層のガラス転移温度は85℃、外層のガラス転移温度は26.5℃(外層のうち、第2層のガラス転移温度は28℃、第3層(最外層)のガラス転移温度は25℃)]であった。
実施例14において、3段目のプレエマルションに使用する成分及びその割合を下記表4に示すものに変更したこと以外は、実施例14と同様にして樹脂エマルションを得た。
実施例14において、滴下用プレエマルション、2段目のプレエマルション及び3段目のプレエマルションに使用する成分及びその割合を下記表4に示すものに変更したこと以外は、実施例14と同様にして樹脂エマルションを得た。
実施例1において、滴下用プレエマルションに使用する成分及びその割合を下記表5に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂エマルションを得た。
実施例5において、1段目及び2段目のプレエマルションに使用する成分の割合を下記表6に示すものに変更したこと以外は、実施例5と同様にして樹脂エマルションを得た。
水404.9部、分散剤(花王社製、商品名:デモールEP)20部、分散剤(第一工業製薬社製、ディスコートN14)16.7部、消泡剤(サンノプコ社製、ノプコ8034L)5.0部、炭酸カルシウム(日東粉化工業社製、NS#100)1000部、増粘剤(日本触媒社製、WR−503A)6部をディスパー撹拌下で混合し、30分間熟成し100メッシュの金網でろ過し、不揮発分が70%である炭酸カルシウムペーストを得た。
各実施例及び参考例で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000rpmで分散させながら、造膜助剤としてブチルセロソルブ3部、ブチルプロピレンジグリコール6部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕1部を添加した。
得られた混合物に炭酸カルシウムペーストをPWC(顔料質量濃度)が60%となるように添加し、さらに不揮発分が50質量%となるように希釈水および消泡剤(サンノプコ社製、SNデフォーマー777)を添加した。
その後、BM型粘度計で回転速度30rpmにおける粘度が1000mPa・sとなるように増粘剤(アデカ社製、UH−420)を添加し、ホモディスパー1000rpmで15分間撹拌することにより、シーラー用塗料組成物(下塗塗料)を得た。評価には1日経過後のサンプルを用いた。
耐透水性試験で使用したものと同様にして塗膜が形成された試験板を2枚準備し、2枚の試験板(7×15cm)を60℃の雰囲気中で1時間放置した後、各試験片の塗膜が形成されている面同士を重ね合わせ、その上に300g/cm2の荷重をかけ、その状態で60℃の温度にて24時間静置させた後、各試験板を分離し、塗膜表面の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:塗膜どうしを引き剥がす際に抵抗が全くない
△:塗膜どうしを引き剥がす際に抵抗があるが、引き剥がした後に塗膜の剥がれがない
×:塗膜どうしを引き剥がす際に抵抗があり、引き剥がした後に塗膜の剥がれがある
各実施例及び参考例で得られた樹脂エマルション33部をホモディスパーにより2000rpmで分散させながら造膜助剤として、ブチルセロソルブ1部、ブチルプロピレンジグリコール2部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕0.3部を添加し、10分間攪拌した。
そこに、炭酸カルシウム(日東粉化工業社製、NS#100)30部を1分間かけて添加し、全量添加後、再び炭酸カルシウム(日東粉化工業社製、NS#100)30部を1分間かけて添加した。そのまま、攪拌を継続して行い、エマルションが凝集するまでの時間を測定した。
なお、このような炭酸カルシウム存在下での高速分散(高速撹拌)は、刷毛塗り等とは異なり、高圧が作用するローラー塗装を模擬的に再現したものであり、凝集時間が長い程、樹脂エマルションの機械的安定性が高いことを示す。
各実施例及び参考例で得られた樹脂エマルションを用意し、樹脂エマルション1部あたり1部の割合で濃度の異なる塩化カルシウム水溶液を低濃度のものから投入した。投入は、撹拌中の樹脂エマルションに当該塩化カルシウム水溶液を滴下しながら行い、塩化カルシウム溶液を投入後、樹脂エマルション全体が凝集した時の塩化カルシウム水溶液の濃度を測定した。
なお、塩化カルシウムにより凝集する濃度が大きいほど、塩化カルシウムに対する安定性(化学的安定性)が高いことを示す。窯業系建材には、カルシウムイオンが含まれている場合が多く、カルシウムイオンに対する安定性の高さは窯業系建材における安定性の高さと相関するということができる。
・展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)〔和光純薬工業(株)製、特級〕
・溶媒流量:0.350mL/分
・標準試料:TSK−GEL 標準ポリスチレン〔東ソー(株)製、商品名:PS−オリゴマーキット、品番:0005214、0005202、0005211、0005207、0005205、0005209および0005213〕
・測定側カラム構成:東ソー(株)製、商品名:TSK−GEL SuperMultipore HZ−M 6.0×150を2本直列接続
・リファレンス側カラムの構成:東ソー(株)製、商品名:TSK−GEL SuperH−RC 6.0×150
・カラム温度:40℃
・検出器:示差屈折計(RI)
・測定方法:測定対象物を不揮発分量が約0.2質量%となるようにテトラヒドロフランに溶解させ、フィルターで濾過した後、得られた溶液を用いて重量平均分子量を測定した。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で検量線用標準物質を測定した結果より、検量線(縦軸に分子量および横軸に流出時間を設定したグラフ)を作成し、当該検量線から重量平均分子量の上限値(この場合には8万)に対応する流出時間(ta)および重量平均分子量の下限値(この場合には1万)に対応する流出時間(tb)を求めた。
次に、樹脂エマルションのGPC測定から得られた結果より、GPCチャート全体の面積(チャートとベースラインとで囲まれた部分の面積、面積S1)と、前記検量線から求めた重量平均分子量の上限値(この場合には8万)に対応する流出時間(ta)から前記検量線から求めた重量平均分子量の下限値(この場合には1万)に対応する流出時間(tb)までの間の測定領域における面積[時間taから時間tbまでのGPCチャートにおける面積(時間をX軸とするとき、X=taと、X=tbと、チャートと、ベースラインとで囲まれた部分の面積、面積S2)]を測定し、値[S2/S1×100](%)として、低分子量成分(低分子量重合体)の割合(面積割合)を算出した。
また、実施例では、優れた機械的安定性と化学的安定性とを両立できた。
特に、実施例と参考例との対比から明らかなように、酸基を有するモノマーの割合を大幅に低減しても、機械的安定性が損なわれない一方で、化学的安定性を非常に高いものとできたことは、意外であった。
Claims (21)
- 単量体成分(a)を重合成分とする樹脂エマルションであって、単量体成分(a)において、酸基含有モノマー(a1)の割合が4.5質量%以下、ヒドロキシル基を有するモノマー、窒素含有モノマー及びオキシアルキレン基を有するモノマーから選択された少なくとも1種の親水性モノマー(a2)の割合が1.5〜8.0質量%、スチレン系モノマーの割合が50質量%以上であり、
多層構造を有し、単量体成分(a)において、外層に含まれる酸基含有モノマー(a1)の割合が1.5質量%以下であり、外層に含まれる親水性モノマー(a2)の割合が1.2質量%以上である、窯業系基材の下塗用樹脂エマルション。 - 単量体成分(a)を重合成分とする樹脂エマルションであって、単量体成分(a)において、酸基含有モノマー(a1)の割合が4.5質量%以下、ヒドロキシル基を有するモノマー、窒素含有モノマー及びオキシアルキレン基を有するモノマーから選択された少なくとも1種の親水性モノマー(a2)の割合が1.5〜8.0質量%、スチレン系モノマーの割合が50質量%以上である、窯業系基材の下塗用樹脂エマルションと、2種以上のグリコールエーテル(A)と、エステル(B)とを含む塗料。
- 親水性モノマー(a2)がヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートである、請求項1又は2記載の樹脂エマルション又は塗料。
- 親水性モノマー(a2)1質量部に対する酸基含有モノマー(a1)の割合が2質量部以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂エマルション又は塗料。
- 樹脂エマルションが、多層構造を有し、単量体成分(a)において、外層に含まれる酸基含有モノマー(a1)の割合が1.5質量%以下であり、外層に含まれる親水性モノマー(a2)の割合が1.2質量%以上である請求項2〜4のいずれかに記載の塗料。
- 樹脂エマルションが、多層構造を有し、単量体成分(a)において、外層に含まれる酸基含有モノマー(a1)の割合が1.5質量%以下であり、外層に含まれる親水性モノマー(a2)の割合が1.8〜8.0質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂エマルション又は塗料。
- 樹脂エマルションが、多層構造を有し、内層を構成する樹脂の重量平均分子量と、最外層を構成する樹脂の重量平均分子量との差が1万以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂エマルション又は塗料。
- 樹脂エマルションが、多層構造を有し、内層のガラス転移温度が20℃〜150℃、外層のガラス転移温度が0℃〜50℃である、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂エマルション又は塗料。
- 内層と外層との質量比が、60/40〜10/90である請求項1、5〜8のいずれかに記載の樹脂エマルション又は塗料。
- 樹脂全体に対する重量平均分子量1万〜8万の重合体の割合が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにおける面積比率で5〜50%である請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂エマルション又は塗料。
- 樹脂全体に対する重量平均分子量1万〜8万の重合体の割合が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにおける面積比率で20〜50%である請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂エマルション又は塗料。
- グリコールエーテル(A)とエステル(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.001〜1/10である、請求項2、3〜11のいずれかに記載の塗料。
- 請求項1、3、4、6〜11のいずれかに記載の樹脂エマルションを含む塗料。
- 窯業系基材のシーラーである、請求項2〜13のいずれかに記載の塗料。
- バックシーラー用である請求項2〜14のいずれかに記載の塗料。
- ローラー塗装用である請求項2〜15のいずれかに記載の塗料。
- 窯業系基材の裏面にバックシーラー層が形成された塗装基材であって、バックシーラー層が請求項2〜16のいずれかに記載の塗料で形成されている塗装基材。
- 窯業系基材の裏面に、請求項2〜16のいずれかに記載の塗料をローラー塗装し、請求項17記載の塗装基材を製造する方法。
- 溶媒中で、単量体成分(a)を乳化重合する、請求項1、3、4、6〜11のいずれかに記載の樹脂エマルションの製造方法。
- 単量体成分(a)を多段乳化重合する、請求項19記載の方法。
- 内層の乳化重合を行った後、外層の乳化重合を行い、多層構造を有する樹脂エマルションを製造する、請求項20記載の方法。
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