上記ヒートシンクにおいて、フィンプレートの形状や間隔は、熱交換器の設計に応じて適宜設定することができる。フィンプレート同士の間隔は、例えば、0.8〜2.0mmの範囲内とすることができる。フィンプレート同士の間隔を0.8mm以上とすることにより、何らかの原因で異物が発生した際に、異物がフィンプレート同士の隙間を通過しやすくなる。そのため、異物がフィンプレート同士の隙間に詰まることによる冷却性能の低下や圧力損失の増大をより確実に回避することができる。
しかし、フィンプレート同士の間隔が過度に大きくなると、上記ヒートシンクにおけるフィンプレートの数が少なくなり、冷却性能の低下を招く。フィンプレート同士の間隔を2.0mm以下とすることにより、上記ヒートシンクにおけるフィンプレートの数を十分に多くし、優れた冷却性能を容易に実現することができる。
上記ヒートシンクは、フィンプレート同士の間隔がd1である狭ピッチ部と、フィンプレート同士の間隔がd1よりも広いd2である広ピッチ部とを有していてもよい。この場合には、狭ピッチ部における冷媒の流路抵抗が広ピッチ部に比べて高くなるため、より多量の冷媒を広ピッチ部に流通させることができる。これにより、フィンプレートの間に流れる冷媒の流量バランスを調整し、熱交換器の冷却性能を向上させることができる。
上記ヒートシンクは、フィンプレート同士の間隔がフィンプレートの板厚よりも狭い部分を有していてもよい。このような構成を有するヒートシンクは、従来の技術では製造することが難しかった。しかし、上記ヒートシンクにおけるフィンプレート同士の間隔は、フィンプレートの板厚方向と平行な方向における、連結部品の位置決め凸部の外寸法を適宜変更することにより自由に調節することができる。それ故、上述した位置決め凸部の外寸法をフィンプレートの板厚よりも小さくすることにより、フィンプレート同士の間隔をフィンプレートの板厚よりも狭くすることができる。
また、フィンプレートの板幅方向におけるヒートシンクの端面の平面度は0.2mm以下であることが好ましい。即ち、板幅方向におけるフィンプレートの一方の端面の全てを互いに平行な2枚の平面の間に挟んだときに、2枚の平面の間隔が0.2mm以下であることが好ましい。同様に、板幅方向におけるフィンプレートの他方の端面の全てを互いに平行な2枚の平面の間に挟んだときに、2枚の平面の間隔が0.2mm以下であることが好ましい。
この場合には、板幅方向における各フィンプレートの端面をジャケットの内壁面に容易にろう付することができるため、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートに効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。熱交換器の冷却性能をより向上させる観点からは、ヒートシンクの端面の平面度を0.1mm以下とすることがより好ましく、0.05mm以下とすることがさらに好ましい。
なお、上述した平面度の測定方法は、実施例において具体的に説明する。
個々のフィンプレートの形状としては、例えば、平板状、曲面板状等の公知の形状を採用することができる。
フィンプレートの板厚は、例えば、0.8〜3.0mmの範囲内とすることができる。フィンプレートの板厚を0.8mm以上とすることにより、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートに効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
また、フィンプレートの板厚を3.0mm以下とすることにより、プレス加工を容易に行うことができる。それ故、この場合には、プレス加工の高い生産性というメリットを活かし、フィンプレートをより効率よく作製することができる。
フィンプレートの板幅は特に限定されることはなく、熱交換器の設計に応じて適宜設定することができる。ヒートシンクが熱交換器のジャケット内に収容される場合には、フィンプレートは、板幅方向における両端面がジャケットの内壁面と当接するように構成されていることが好ましい。この場合には、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートに効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
フィンプレートは、板幅方向における個々の端面の平面度が0.2mm以下であることが好ましい。この場合には、板幅方向における各フィンプレートの両端面をジャケットの内壁面に容易にろう付することができるため、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートに効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
各フィンプレートは、板幅方向に延びる複数のスリットを有している。各スリットは、フィンプレートの板幅方向における一方の端面に開口していてもよいし、いずれの端面にも開口していなくてもよい。また、フィンプレートは、板幅方向における一方の端面に開口したスリットと、他方の端面に開口したスリットとの両方のスリットを有していてもよい。スリットの形成をより容易に行う観点からは、各スリットがフィンプレートの板幅方向に一方の端面に開口している態様とすることが好ましい。
スリットの幅は、例えば、0.8〜3.0mmの範囲内とすることができる。スリットの幅を0.8mm以上とすることにより、何らかの原因で異物が発生した際に、異物がスリットを通過しやすくなる。そのため、異物がスリットの隙間に詰まることによる冷却性能の低下や圧力損失の増大をより確実に回避することができる。また、この場合には、プレス加工によりスリットを容易に形成することができる。それ故、プレス加工の高い生産性というメリットを活かし、フィンプレートをより効率よく作製することができる。
しかし、スリットの幅が過度に大きくなると、フィンプレートと冷媒との接触面積が小さくなり、かえって冷却性能の低下を招くおそれがある。スリットの幅を3.0mm以下とすることにより、かかる問題を回避し、優れた冷却性能を容易に実現することができる。
スリット同士の間隔は、例えば、1.8mm以上とすることができる。スリット同士の間隔を1.8mm以上とすることにより、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートに効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
熱交換器の冷却性能をより向上させる観点からは、フィンプレートの板厚を0.8〜3.0mmとし、スリット同士の間隔を1.8〜5.0mmとすることが好ましい。このように、スリット同士の間隔をフィンプレートの板厚と同程度にすることにより、スリット同士の間に細長いピン状構造を形成することができる。
従来のピンフィン型ヒートシンクは、ベースプレートと、ベースプレート上に立設された複数のピンフィンとを有しており、一般的に鍛造加工によって形成されている。そのため、ピンフィンの幅に対する高さの比を高くして細長いピンフィンを形成しようとすると、寸法不良や欠肉等の鍛造欠陥が生じやすくなる。それ故、従来のピンフィン型ヒートシンクにおいて、ピンフィンのアスペクト比、即ちピンフィンの幅に対する長さの比を高くすることには限界があった。
これに対し、上記ヒートシンクにおいては、個々のフィンプレートにスリットが形成されるため、スリット同士の間隔を容易に狭くすることができる。また、フィンプレートの板幅を広くすることにより、スリット同士の間に形成されるピン状構造の高さを高くすることができる。それ故、上記ヒートシンクによれば、従来の鍛造加工では難しかった、アスペクト比が高く、細長いピン状構造を容易に形成することができる。そして、ヒートシンクに細長いピン状構造を形成することにより、圧力損失をより低減するとともに、冷却性能をより向上させることができる。
また、熱交換器の冷却性能をより向上させる観点からは、スリット同士の間隔と、フィンプレートとの板厚の積の値を3以上13.5以下とすることもできる。即ち、フィンプレートの板幅方向の断面における、スリット同士の間に存在する部分の断面積が3〜13.5mm2であることが好ましい。この部分の断面積を3mm2以上とすることにより、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートにより効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。また、上記の部分の断面積を13.5mm2以下とすることにより、フィンプレートの長さに対するスリットの数を十分に多くすることができる。その結果、スリットによる作用効果をより確実に得ることができる。
フィンプレートは、その周縁に開口した係止溝を有している。係止溝の位置は、連結部品を取り付けることが可能であれば、特に限定されることはない。例えば、係止溝は、各フィンプレートの長手方向の中央部に形成されていてもよく、長手方向の端部に形成されていてもよい。また、長手方向における係止溝の位置が、隣り合うフィンプレートの係止溝と同一であってもよく、異なっていてもよい。生産性の観点からは、通常、長手方向における係止溝の位置は、隣接するフィンプレートの係止溝と同一である。
係止溝は、各フィンプレートに2箇所以上形成されていることが好ましい。この場合には、複数の連結部品によりフィンプレートの位置を保持することができるため、複数のフィンプレートの位置を容易に安定させることができる。その結果、組み立て後及び熱交換器に取り付けられた後のヒートシンクの寸法精度をより高くすることができる。
上記係止溝は、フィンプレートの長手方向の両端部における、板幅方向の両側に形成されており、連結部品は、フィンプレートの長手方向の両端部において、板幅方向の両側から複数のフィンプレートを保持していることがより好ましい。この場合には、4個の連結部品により複数のフィンプレートの位置を確実に安定させることができる。その結果、組み立て後及び熱交換器に取り付けられた後のヒートシンクの寸法精度をより高くすることができる。
フィンプレートは、上記係止溝の開口端と底面との間を構成する溝側面に、周囲よりも陥没した切り欠き部を有しているとともに、上記切り欠き部よりも上記係止溝の開口端側に、連結部品に押し付けられた爪部を有している。かかる構成を有するフィンプレートによれば、爪部によりフィンプレートを連結部品に固定することができるため、組み立て後におけるヒートシンクの寸法精度をより高くすることができる。さらに、ヒートシンクを組み立てた後に、連結部品やフィンプレートがヒートシンクから外れることを防止できるため、ヒートシンクをより取り扱いやすくすることができる。
上記爪部は、例えば、各フィンプレートの係止溝に連結部品の基部を差し込んだ後に、係止溝の開口端の近傍を板幅方向に押圧してかしめ加工を行うことにより形成することができる。このかしめ加工における押込深さは、例えば、0.1〜0.5mmにすることができ、0.2〜0.3mmにすることが好ましい。
押込深さが0.1mm未満の場合には、爪部がフィンプレートに十分に押し付けられず、爪部の効果が得られないおそれがある。一方、押込深さが0.5mmを超える場合には、かしめ加工の際に押し込まれた部分の陥没量が過度に大きくなるため、例えばジャケットにろう付する際に、押し込まれた部分にろうが供給されなくなるおそれがある。
また、かしめ加工においては、係止溝の開口端から、かしめ加工により形成される押込部の中央までの距離が、0.2〜1.0mmの範囲内であることが好ましい。上記の距離が上記特定の範囲よりも短い場合、即ちフィンプレートを押し込む位置が係止溝に近すぎる場合には、爪部のサイズを大きくすることが難しいため、爪部の効果が得られないおそれがある。一方、上記の距離が上記特定の範囲よりも長い場合、即ちフィンプレートを押し込む位置が係止溝から遠すぎる場合には、爪部がフィンプレートに十分に押し付けられず、爪部の効果が得られないおそれがある。
複数のフィンプレートは、全て同一の構成を有していてもよいし、一部のフィンプレートが他のフィンプレートとは異なる構成を有していてもよい。例えば、一部のフィンプレートの板厚を他のフィンプレートよりも厚くしてもよい。また、全てのフィンプレートにおいて、スリット同士の間隔やスリットの幅、フィンプレートの長手方向におけるスリットの位置を一定としてもよいし、一部のフィンプレートにおけるスリット同士の間隔等を他のフィンプレートとは異なる態様とすることもできる。
冷却性能をより向上させる観点からは、スリットをヒートシンク全体に亘って均等に配置することが好ましい。スリットをヒートシンク全体に亘って均等に配置する態様としては、例えば、全てのフィンプレートにおけるスリット同士の間隔が同一であり、フィンプレートの長手方向において、各フィンプレートのスリットが、当該フィンプレートの隣のフィンプレートのスリットと同一の位置に配置されている態様がある。また、全てのフィンプレートにおけるスリット同士の間隔が同一であり、フィンプレートの長手方向において、各フィンプレートのスリットが、当該フィンプレートの隣のフィンプレートのスリットから上記間隔の半分だけずれた位置に配置されている態様がある。
複数のフィンプレートを保持する連結部品は、棒状を呈する基部と、基部の側面から突出し、基部の長手方向に並んだ複数の位置決め凸部とを有している。連結部品は、例えば、金属板に打ち抜き加工を施すことにより形成することができる。
連結部品の高さ、即ち、基部の長手方向と直角な方向における、基部と位置決め凸部とを併せた連結部品の外寸法は、1.5mm以上であることが好ましい。連結部品の高さを上記特定の範囲にすることにより、各フィンプレートの係止溝に隣り合う位置決め凸部の間の基部を容易に差し込むことができる。また、この場合には、連結部品により複数のフィンプレートの位置を容易に安定させることができる。
フィンプレートの位置を安定させる観点からは、連結部品の高さが高い方が好ましい。しかし、連結部品の高さが過度に高い場合には、隣り合うフィンプレートの間に流れる冷媒の流路抵抗が過度に高くなるおそれがある。また、この場合には、各フィンプレートの係止溝に基部を差し込む際の抵抗が大きくなるおそれがある。これらの問題を回避する観点からは、連結部品の高さは、フィンプレートの板幅の半分未満であることが好ましい。
連結部品は、基部がフィンプレートの板幅方向における端面と面一、あるいはフィンプレートの端面よりも陥没するように取り付けられていることが好ましい。この場合には、フィンプレートの端面をジャケットの内壁面に当接させることができるため、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートに効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
連結部品は、上記基部がフィンプレートの板幅方向の端面と面一となるように取り付けられていることがより好ましい。この場合には、各フィンプレートの端面とともに、連結部品の基部をジャケットの内壁面に容易にろう付することができるため、発熱体からの熱を各フィンプレートにさらに効率よく伝えることができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
基部の側面からは、複数の位置決め凸部が突出している。複数の位置決め凸部は、基部の長手方向に互いに間隔を開けて並んでいる。位置決め凸部の突出量、即ち基部の長手方向と直角な方向における、位置決め凸部の根元から先端までの距離は、0.5mm以上であることが好ましい。位置決め凸部の突出量を上記特定の範囲にすることにより、隣り合う位置決め凸部の間の基部を各フィンプレートの係止溝に容易に差し込むことができる。また、この場合には、連結部品により複数のフィンプレートの位置をより安定させることができる。
上記ヒートシンクを上記ジャケットの冷媒流路に配置することにより、上記熱交換器を構成することができる。ヒートシンクは、例えばろう付によりジャケットの内壁面に接合することができる。
ろう付によりヒートシンクをジャケットに接合する場合、フィンプレートの板幅方向における両端面が上記ジャケットの内表面にろう付されていることが好ましい。この場合には、発熱体搭載面に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレートに効率よく伝えることができるため、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
ヒートシンク及びジャケットは、冷却性能の観点から、熱伝導性が高い金属から構成されていることが好ましい。また、車載用のインバータユニット等に組み込まれる熱交換器には、冷却性能のみならず、小型かつ軽量であることが求められている。そのため、車載用の熱交換器においては、ヒートシンク及びジャケットがアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されていることが好ましい。
(参考例1)
上記ヒートシンクの参考例について、図を用いて説明する。図1及び図2に示すように、ヒートシンク1は、板厚方向に互いに間隔をあけて並んだ複数のフィンプレート2と、複数のフィンプレート2と交差するように配置され、複数のフィンプレート2を保持する連結部品3(3a、3b)とを有している。図6に示すように、連結部品3は、棒状を呈する基部31と、基部31の側面から突出し、基部31の長手方向に並んだ複数の位置決め凸部32とを有している。図5に示すように、フィンプレート2は、その周縁に開口した係止溝21(21a、21b)と、板幅方向に延びる複数のスリット22とを有している。図3に示すように、係止溝21には、連結部品3における隣り合う位置決め凸部32の間の基部31が差し込まれている。
以下において、ヒートシンク1における、フィンプレート2の長手方向に平行な方向を「縦方向X」、フィンプレート2の並び方向に平行な方向を「横方向Y」、フィンプレート2の板幅方向に平行な方向を「高さ方向Z」ということがある。ヒートシンク1の方向に関するこれらの記載は便宜上のものであり、熱交換器に組み込まれた状態や、実際に使用する際のヒートシンク1の向きとは何ら関係がない。
図1及び図2に示すように、本例のヒートシンク1は、直方体状を呈しており、縦方向Xの外寸法と横方向Yの外寸法とが略同一である。ヒートシンク1は、4個の連結部品3(3a、3b)により複数のフィンプレート2を保持している。4個の連結部品3のうち2個の連結部品3aは、縦方向Xにおけるヒートシンク1の一方の端部に配置され、横方向Yに延在している。また、連結部品3aは、高さ方向Zの両側から複数のフィンプレート2に取り付けられている。図4に示すように、連結部品3aは、位置決め凸部32の先端面321同士が対面するように配置されている。また、互いに対面する先端面321の間には、隙間Cが形成されている。
残り2個の連結部品3bは、縦方向Xにおけるヒートシンク1の他方の端部に配置され、横方向Yに延在している。また、連結部品3bは、高さ方向Zの両側から複数のフィンプレート2に取り付けられている。図には示さないが、連結部品3bも、連結部品3aと同様に、位置決め凸部32の先端面321同士が対面するように配置されており、互いに対面する先端面321の間に隙間Cが形成されている。
ヒートシンク1は、各位置決め凸部32の間に形成される隙間Cを介して隣り合うフィンプレート2の間に冷媒を流入させ、または、隣り合うフィンプレート2の間から冷媒を排出することができる。また、ヒートシンク1は、隣り合うフィンプレート2の間の隙間及びスリット22を介して縦方向X及び横方向Yの両方に冷媒を流通させることができる。
フィンプレート2の板幅方向(高さ方向Z)におけるヒートシンク1の各端面の平面度は、具体的には以下の方法により測定することができる。まず、ヒートシンク1を定盤上に載置して、各フィンプレート2の板幅方向における一対の端面23(23a、23b)のうち一方の端面23a(図1、図5参照)を定盤に当接させる。次いで、ハイトゲージを用いて、各フィンプレート2の他方の端面23bの高さを種々の位置において測定する。そして、測定結果のうち最大の高さと最小の高さとの差を、フィンプレート2の板幅方向におけるヒートシンク1の一方の端面の平面度とする。また、ヒートシンク1を裏返して上記と同様の測定を行うことにより、ヒートシンク1の他方の端面の平面度を測定することができる。
ヒートシンク1は、図5に示すフィンプレート2を板厚方向に互いに間隔をあけて複数枚並べた後、図3及び図4に示すように、連結部品3における隣り合う位置決め凸部32の間の基部31を各フィンプレート2の係止溝21に差し込むことにより、組み立てることができる。本例のヒートシンク1における、フィンプレート2同士の間隔は1mmである。
ヒートシンク1の各部について、より詳細に説明する。図5に示すように、フィンプレート2は、側面視において略長方形状を呈している。フィンプレート2は、その長手方向における各端部24(24a、24b)に係止溝21(21a、21b)を有している。フィンプレート2は、例えば、アルミニウム板またはアルミニウム合金板にプレス加工を施すことにより作製することができる。具体的には、本例のフィンプレート2は、板厚1mmのアルミニウム合金板に打ち抜き加工を施すことにより作製されている。また、フィンプレート2の板幅は10mmである。
図3に示すように、各係止溝21は、フィンプレート2の板幅方向の端面23に略平行な底面211と、底面211に垂直な一対の溝側面212とを有している。係止溝21の深さは、係止溝21に差し込まれる基部31の高さと略同一である。これにより、連結部品3は、基部31がフィンプレート2の板幅方向の端面23と面一となるように取り付けられている。また、例えば図3に示すように、係止溝21に基部31が差し込まれた状態において、基部31とフィンプレート2との間にはわずかなクリアランスが形成されている。なお、基部31とフィンプレート2とのクリアランスは、通常0.02mm程度である。
図5に示すように、フィンプレートの長手方向における一方の端部24aに設けられた係止溝21aと、他方の端部24bに設けられた係止溝21bとの間には、板幅方向に延びる5本のスリット22が設けられている。本例のスリット22は、フィンプレート2の板幅方向における一方の端面23aに開口している。また、5本のスリット22は、等間隔に配置されている。具体的には、本例のスリット22の幅は1.5mmであり、深さは9mmである。また、スリット22同士の間隔は6mmである。
図1及び図2に示すように、本例のヒートシンク1では、全てのフィンプレート2におけるスリット22同士の間隔が同一である。また、フィンプレート2の長手方向(縦方向X)において、各フィンプレート2のスリット22は、当該フィンプレート2の隣のフィンプレート2のスリット22と同一の位置に配置されている。即ち、本例のヒートシンク1においては、スリット22が縦方向Xに等間隔に配置されているとともに、横方向Yに一列に並んでいる。
図6に示すように、連結部品3は、正面視において長方形状を呈する基部31と、基部31の側面から突出し、基部31の板幅方向に間隔を開けて並んだ複数の位置決め凸部32とを有している。本例の位置決め凸部32は、四角柱状を呈している。連結部品3は、例えば、アルミニウム板またはアルミニウム合金板に打ち抜き加工を施すことにより作製することができる。
図4に示すように、連結部品3の高さ、即ち基部31の長手方向と直角な方向(高さ方向Z)における、基部31と位置決め凸部32とを併せた連結部品3の外寸法は、各フィンプレート2の板幅の1/2よりも低い。具体的には、本例の連結部品3の高さは3mmである。また、位置決め凸部32の突出量、即ち基部31の長手方向と直角な方向(高さ方向Z)における、位置決め凸部32の根元322から先端面321までの距離は1.5mmである。
位置決め凸部32は、基部31が係止溝21に差し込まれた状態において、隣り合うフィンプレート2の間に配置されている。このとき、図には示さないが、位置決め凸部32とフィンプレート2との間には、わずかなクリアランスが形成されている。なお、位置決め凸部32とフィンプレート2とのクリアランスは、通常0.02mm程度である。
次に、本例のヒートシンク1の作用効果を説明する。ヒートシンク1は、複数のフィンプレート2と、連結部品3とを有している。また、連結部品3における隣り合う位置決め凸部32の間の基部31が、各フィンプレート2の係止溝21に差し込まれている。
ヒートシンク1は、フィンプレート2と連結部品3とを別々に製造することができるため、押出加工により一体成形された従来のヒートシンクに比べて、各フィンプレート2の形状や傾き、及び、フィンプレート2同士の間隔等の制約が小さい。それ故、ヒートシンク1は、従来のヒートシンクよりも設計の自由度を高くすることができる。
また、フィンプレート2の係止溝21に連結部品3の基部31を差し込むという単純な作業により、ヒートシンク1を組み立てることができる。それ故、ヒートシンク1の生産性を従来よりも向上させることができる。
また、ヒートシンク1は、フィンプレート2の係止溝21に連結部品3の基部31を差し込むだけで、複数のフィンプレート2を保持することができる。このとき、横方向Yにおけるフィンプレート2の位置ずれは、連結部品3の位置決め凸部32により規制される。また、縦方向Xにおけるフィンプレート2の位置ずれは、連結部品3の基部31により規制される。
そのため、ヒートシンク1は、従来のヒートシンクのように、フィンプレート2を固定するために連結部品3を複数のフィンプレート2に圧入する必要がない。従って、ヒートシンク1は、組み立て時におけるフィンプレート2の傾きや変形の発生を回避することができる。さらに、複数のフィンプレート2は、上述した態様で連結部品3に保持されているため、ヒートシンク1を熱交換器のジャケットにろう付する際に、フィンプレート2が傾く、あるいは位置ずれを起こすなどの問題を回避することができる。
このように、ヒートシンク1は、組み立て時やジャケットへのろう付の際のフィンプレート2の位置ずれ等を回避することができる。それ故、ヒートシンク1は、熱交換器に取り付けられた後の寸法精度を従来よりも高くすることができる。
また、各フィンプレート2は、板幅方向に延びる複数のスリット22を有している。これにより、スリット22を有さない場合に比べて、フィンプレート2と冷媒との接触面積を広くすることができる。さらに、ヒートシンク1は、冷媒をフィンプレート2に沿って縦方向Xに流通させるだけではなく、スリット22を介してフィンプレート2の板厚方向(横方向Y)にも流通させることができる。その結果、ヒートシンク1と冷媒との熱交換を促進し、冷却性能をより向上させることができる。
また、本例のヒートシンク1では、全てのフィンプレート2におけるスリット22同士の間隔が同一である。そして、図2に示すように、フィンプレート2の長手方向(縦方向X)において、各フィンプレート2のスリット22が、当該フィンプレート2の隣のフィンプレート2のスリット22と同一の位置に配置されている。このように、本例のヒートシンク1においては、スリット22がヒートシンク1全体に亘って均等に配置されている。それ故、本例のヒートシンク1は、冷却性能をより向上させることができる。
また、本例の係止溝21は、フィンプレート203の長手方向の両端部24における、板幅方向の両側に形成されている。そして、連結部品3は、フィンプレート2の長手方向の両端部24において、板幅方向の両側から複数のフィンプレート2を保持している。これにより、4個の連結部品3により複数のフィンプレート2の位置を確実に安定させることができる。その結果、組み立て後及び熱交換器に取り付けられた後のヒートシンク1の寸法精度をより高くすることができる。
以上のように、ヒートシンク1は、高い設計の自由度、優れた生産性及び冷却性能を有し、熱交換器に取り付けられた後の寸法精度を高くすることができる。
(実施例1)
本例は、フィンプレート202にかしめ加工を施すことにより、連結部品3を固定する爪部25(図7参照)を形成したヒートシンク102の例である。なお、本実施例以降において用いる符号のうち、既出の参考例または実施例において用いた符号と同一のものは、特に説明のない限り、既出の参考例または実施例における構成要素等と同様の構成要素等を表す。
図には示さないが、本例のフィンプレート202は、板幅方向に延びる複数のスリット22と、連結部品3における隣り合う位置決め凸部32の間の基部31が差し込まれた係止溝26とを有している。係止溝26は、フィンプレート202の長手方向の両端部24における、板幅方向の両側に形成されている。
図8に示すように、本例の係止溝26は、フィンプレート202の板幅方向の端面23に略平行な底面261と、底面261に垂直な一対の溝側面262とを有している。また、溝側面262における、底面261と係止溝26の開口端263との間には、周囲よりも陥没した切り欠き部264が設けられている。
切り欠き部264は、溝側面262における板幅方向の略中央部に形成されている。本例の切り欠き部264は、具体的には、半円形断面を有し、板厚方向に延びた溝である。
フィンプレート202に爪部25を形成するためのかしめ加工は、係止溝26に連結部品3の基部31を差し込んだ後に、フィンプレート202の板幅方向の端面23における開口端263の近傍を、その周囲よりも陥没するように押し込むことにより行われる。かしめ加工により開口端263の近傍が押し込まれると、図7に示すように押込部231が形成されるとともに、切り欠き部264よりも開口端263側の溝側面262が基部31側に突出し、爪部25が形成される。そして、爪部25を連結部品3に押し付ることにより、フィンプレート202を連結部品3に固定することができる。その他は参考例1と同様である。
本例のフィンプレート202は、係止溝26の開口端263と底面261との間を構成する溝側面262に、周囲よりも陥没した切り欠き部264を有しているとともに、切り欠き部264よりも係止溝26の開口端263側に、連結部品3に押し付けられた爪部25を有している。そのため、爪部25によりフィンプレート202を連結部品3に固定し、組み立て後におけるヒートシンク102の寸法精度をより高くすることができる。さらに、ヒートシンク102を組み立てた後に、連結部品3やフィンプレート202がヒートシンク102から外れることを防止できるため、ヒートシンク102をより取り扱いやすくすることができる。その他、本例のヒートシンク102は、参考例1と同様の作用効果を奏することができる。
(参考例2)
本例は、図9に示すように、スリット22がチェッカーボード状に配置されたヒートシンク103の例である。本例のヒートシンク103は、5本のスリット22を備えたフィンプレート203aと、6本のスリット22を備えたフィンプレート203bとを有している。フィンプレート203aとフィンプレート203bとは、横方向Yに交互に並んでいる。
本例のヒートシンク103では、全てのフィンプレート203におけるスリット22同士の間隔が同一である。また、フィンプレート203の長手方向(縦方向X)において、各フィンプレート203のスリット22は、当該フィンプレート203の隣のフィンプレート203のスリット22から、スリット22同士の間隔の半分だけずれた位置に配置されている。即ち、フィンプレート203aのスリット22は、これに隣り合うフィンプレート203bのスリット22から、スリット22同士の間隔の半分だけずれた位置に配置されている。その他は参考例1と同様である。
本例のように、スリット22をチェッカーボード状に配置することによっても、スリット22をヒートシンク103全体に亘って均等に配置することができる。それ故、本例のヒートシンク103は、冷却性能をより向上させることができる。その他、本例のヒートシンク103は、参考例1と同様の作用効果を奏することができる。
(参考例3)
本例は、スリット22の他の態様の例である。スリット22は、参考例1に示したように、フィンプレート2の板幅方向における一方の端面23aに開口していてもよい。また、図10に示すフィンプレート204のように、板幅方向のいずれの端面23にも開口していないスリット224を設けることもできる。
さらに、図11に示すフィンプレート205のように、板幅方向の各端面23a、23bから板幅方向の中央に向かって延びるスリット225(225a、225b)を設けてもよい。フィンプレート205においては、板幅方向の一方の端面23aから延びるスリット225aが他方の端面23bから延びるスリット225bと同一の位置に配置されている。また、図には示さないが、スリット225aの長手方向における位置とスリット225bの長手方向における位置とが異なっていてもよい。
これらのフィンプレートは、参考例1におけるフィンプレート2に代えて使用することができる。
(参考例4)
本例は、スリット22同士の間隔を変更したヒートシンク105の例である。本例のヒートシンク105は、図12に示すように、13本のスリット22を備えたフィンプレート206を有している。フィンプレート206の板厚は2mmであり、各スリット22の幅は1.5mmである。また、スリット22同士の間隔は1.8mmである。隣り合うスリット22の間には、細長く伸びたピン状構造26が形成されている。フィンプレート206の板幅方向の断面における、ピン状構造26の断面積は3.6mm2である。その他は参考例1と同様である。
本例のように、個々のフィンプレート206にスリット22を形成することにより、スリット22同士の間隔を容易に狭くすることができる。また、フィンプレート206の板幅を広くすることにより、スリット22の深さをより深くし、ひいてはスリット22同士の間に形成されるピン状構造26の高さを高くすることができる。それ故、ヒートシンク105によれば、従来の鍛造加工では難しかった、アスペクト比が高く、細長いピン状構造26を容易に形成することができる。その結果、熱交換器の冷却性能をより向上させることができる。
(参考例5)
本例は、複数のフィンプレート207が1個の連結部品3により保持されたヒートシンク106の例である。本例のヒートシンク106は、図13に示すように、縦方向Xにおけるヒートシンク1の一方の端部に配置された連結部品3を有している。連結部品3は、横方向Yに延在しており、高さ方向Zにおける片側から複数のフィンプレート207に取り付けられている。
図には示さないが、本例のフィンプレート207は、その長手方向の一方の端部23aにおける板厚方向の片側に、1箇所の係止溝21を有している。係止溝21は、フィンプレート207の板幅方向における他方の端面23b、即ち、スリット22が開口している側と反対側の端面に設けられている。そして、図12に示すように、係止溝21には、連結部品3の基部31が差し込まれている。その他は参考例1と同様である。
本例のヒートシンク106のように、1個以上の連結部品3を有していれば、複数のフィンプレート207を保持することができる。その他、本例のヒートシンク106は、フィンプレート207の板幅方向の両側から連結部品3を取り付けることによる作用効果を除き、参考例1と同様の作用効果を奏することができる。
(参考例6)
本例は、ヒートシンク102を備えた熱交換器4の例である。図14〜図17に示すように、熱交換器4は、ヒートシンク102と、ヒートシンク102を収容するジャケット41とを有している。図16に示すように、ジャケット41は、発熱体を搭載する発熱体搭載面411を外表面に備えている。また、ジャケット41は、冷媒が流入する冷媒流入口412と、冷媒が流出する冷媒流出口413と、冷媒流入口412と冷媒流出口413とを繋ぐ冷媒流路414とを有している。ヒートシンク102は、冷媒流路414に配置されている。
ジャケット41は、図14、図16及び図17に示すように、カップ状を呈するカップ部42と、カップ部42の開口面を覆う天板部43とを有しており、カップ部42と天板部43との間に冷媒流路414が形成されている。カップ部42は、冷媒流入口412及び冷媒流出口413を備え、略長方形状を呈する底面部421と、底面部421の外周端縁から天板部43側に延出した側面部422と、側面部422の先端に形成され、天板部43に接合されたフランジ部423とを有している。
図14及び図15に示すように、冷媒流入口412は、底面部421の外周縁部における一方の短辺に沿って配置されており、冷媒流出口413は、他方の短辺に沿って配置されている。また、フランジ部423と天板部43との接合は、例えば、ろう付、溶接及び摩擦撹拌接合等の公知の方法により行うことができる。
図14及び図15に示すように、天板部43は略長方形状を呈している。また、図16及び図17に示すように、天板部43の外表面には発熱体搭載面411が設けられている。
図15及び図17に示すように、ヒートシンク102は、冷媒流路414における、冷媒流入口412と冷媒流出口413との間に配置されている。ヒートシンク102における、フィンプレート202の長手方向の一方の端部24aは冷媒流入口412側を向いており、他方の端部22bは冷媒流出口413側を向いている。
図17に示すように、ヒートシンク102は、スリット22の開口が底面部421側を向くようにして配置されている。ヒートシンク102における、フィンプレート202の板幅方向の一方の端面23a、即ちスリット22が開口している側の端面は、ろう付により底面部421に接合されている。またフィンプレート202の他方の端面23bは、ろう付により天板部43に接合されている。また、図16に示すように、基部31の長手方向(横方向Y)における連結部品3の両端面33は、側壁部432に当接している。
本例の熱交換器4においては、発熱体搭載面411に搭載された発熱体からの熱が、天板部43を介してヒートシンク102に伝達される。また、冷媒流入口412から供給された冷媒は、連結部品3aにおける先端面321同士の隙間Cからヒートシンク102内に進入する。
ヒートシンク102内に進入した冷媒は、フィンプレート202同士の隙間を通ってヒートシンク102の縦方向Xに流れるとともに、スリット22を通って横方向Yにも流れる。連結部品3bにおける先端面321同士の隙間Cからヒートシンク102の外部に流出した冷媒は、冷媒流出口413から排出される。そして、冷媒がヒートシンク102内を流れる過程において、冷媒とヒートシンク102との間で熱交換が行われることにより、発熱体搭載面に搭載された発熱体を冷却することができる。
また、本例においては、フィンプレート202の板幅方向における両端面23がジャケット41の内表面にろう付されている。そのため、発熱体搭載面411に搭載した発熱体からの熱を各フィンプレート202に効率よく伝えることができる。これにより、熱交換器4の冷却性能をより向上させることができる。
本発明に係るヒートシンク及び熱交換器は、上述した実施例1及び参考例1〜参考例6の態様に限定されるものではなく、その趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。例えば、実施例1及び参考例1〜参考例4においては、複数のフィンプレートが全て同一の構成を有する例を示したが、複数のフィンプレートのうち一部のフィンプレートが、他のフィンプレートよりも板厚が厚い等、他のフィンプレートと異なる構成を有していてもよい。
また、参考例1〜3及び参考例5にはヒートシンクを組み立てた後にフィンプレートのかしめ加工を行わない例を示したが、連結部品を取り付けた後に、実施例1と同様にフィンプレートのかしめ加工を行ってもよい。この場合には、各参考例の作用効果に加えて、爪部による作用効果を奏することができる。
また、参考例6においては、フィンプレート202の板幅方向における両端面23がジャケット41の内表面にろう付された熱交換器の例を示したが、例えば、天板部43に当接する端面23bのみをろう付してもよい。また、フィンプレート202の底面部421側の端面23aが底面部421から離隔していてもよい。