JP2013219125A - 熱交換器 - Google Patents

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喜正 大久保
Yukihiro Konishi
幸弘 小西
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Abstract

【課題】小型軽量であり、生産性に優れたハウジング部を有する熱交換器を提供する。
【解決手段】管状の冷却管部3と、冷却管部3の外周面から延設された板状のプレート部20とを備えたハウジング部2と、冷却管部3の一部を切除して設けた切り欠き開口部30に配設されたヒートシンク部4と、冷却管部3の長手方向の両端部に接合された継ぎ手部5とを有する熱交換器である。ヒートシンク部4は、発熱体を搭載するための発熱体搭載面を有する板状のベース部40と、ベース部40における発熱体搭載面と反対側の面から立設させた放熱フィン部41とを備えていると共に、放熱フィン部41を冷却管部3の内部に挿入した状態でベース部40と冷却管部3の切り欠き開口部30周縁とが接合されている。ハウジング部2は、冷却管部3とプレート部20とを一体的に備えるよう押出成形により形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の発熱体を冷却するための熱交換器に関する。
現在広く使用されるようになってきたハイブリッド自動車や、次世代の環境対策自動車として注目される電気自動車には、駆動用モータを制御するための電子部品としてインバーターユニットが用いられている。インバーターユニットには、スイッチング機能を果たすIGBTが備えられている。IGBTは、使用時に発熱するが、高温になれば本来の機能を発揮し得ないため、冷却を十分に行う必要がある。一方、高速スイッチング機能等のIGBTに求められる特性が年々高まり、これに伴って発熱量も増大してきており、IGBTを冷却するシステムの機能向上がますます重要視されている。
IGBTの冷却には、ヒートシンクを用いるのが効果的である。ヒートシンクは、熱伝導性のよい材料を用いて作製され、単位面積当たりの表面積を大きくすることにより、接触配置された発熱体からの熱を放熱する機能を有する。表面積を大きくする形態としては、フィンタイプ、コルゲートタイプなどの様々な形態がある。
また、放熱性能をさらに向上させるため、ヒートシンクのフィン部分を冷却液が流通する流路内に配置することによって、冷却液を媒体として効率よく放熱する液冷式の冷却システムが知られている。例えば、特許文献1〜3には、冷却液の流通する流路と、冷却液の入口及び出口とがヒートシンクとしてのアッパーケースを受けるロワケースに形成された熱交換器が提案されている。これらの熱交換器は、ヒートシンクのフィン部分をロワケースの流路部分に配置した状態でアッパーケースとロワケースとを接合して構成されている。このようにして作製した熱交換器は、アッパーケースのフィン部と反対側の面にIGBTなどの発熱体を接触配置させることで、その冷却機能が発揮されることとなる。
また、車載用のIGBTを冷却するための熱交換器には、放熱性能のみならず、小型かつ軽量であることが求められている。このような要求に対応するため、アルミニウム材を採用した熱交換器がある。
特開2001−313357号公報 特開2009−135477号公報 特開2010−69503号公報
従来、ヒートシンクを受けるハウジング部は、特許文献1〜3に開示されたロワケースのごとく略直方体状を呈しており、ハウジング部に設けられる流路は、ハウジング部の一面に凹部を設けることにより形成されている。また、この流路の両端部には、ロワケースの外部と流路とを連通する連通路が設けられている。
このような形状を呈する従来のハウジング部を形成する方法としては、一般的にはダイキャスト成形などの鋳造や、鍛造が採用されている。しかしながら、鋳造や鍛造によってハウジングを形成する方法は必ずしも生産性に優れるとは言えず、他の製法の開発が望まれていた。
また、上記ハウジング部を鍛造により形成する場合には、流路の壁面や底面等の肉厚を薄くすることは困難であるため、ハウジング部の軽量化及び小型化には限界があるという問題があった。
本発明は上記の背景に鑑みてなされたものであって、小型軽量であり、生産性に優れたハウジング部を有する熱交換器を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、管状の冷却管部と、該冷却管部の外周面から延設された板状のプレート部とを備えたハウジング部と、
上記冷却管部の一部を切除して設けた切り欠き開口部に配設されたヒートシンク部と、
上記冷却管部の長手方向の両端部に接合された継ぎ手部とを有し、
上記ヒートシンク部は、発熱体を搭載するための発熱体搭載面を有する板状のベース部と、該ベース部における上記発熱体搭載面と反対側の面から立設させた放熱フィン部とを備えていると共に、該放熱フィン部を上記冷却管部の内部に挿入した状態で上記ベース部と上記冷却管部の上記切り欠き開口部周縁とが接合されており、
上記ハウジング部は、上記冷却管部と上記プレート部とを一体的に備えるよう押出成形により形成されていることを特徴とする熱交換器にある(請求項1)。
上記熱交換器は、上記ヒートシンク部における上記放熱フィン部を上記冷却管部の内部に挿入した状態で配置しており、上記ベース部と上記冷却管部の上記切り欠き開口部周縁とが接合されている。これにより、上記冷却管内部に冷媒液が流通した場合に、上記放熱フィン部が上記冷媒液に接触する。その結果、上記冷媒液が上記放熱フィン部から効率よく熱を除去することができるため、上記熱交換器は放熱性能に優れたものとなる。
また、上記ハウジング部は上記冷却管部と上記プレート部とを一体的に備えるよう押出成形により形成されている。押出成形は肉厚の薄い部材を形成しやすい加工方法であるため、上記冷却管部や上記プレート部の肉厚を容易に薄肉化することができる。また、押出成形は生産性に優れた加工方法であるため、上記ハウジング部は生産性に優れたものとなる。さらに、上記冷却管部の長さを自由に選択できるため、上記冷却能力の変更等の設計変更が容易となる。
以上のごとく、上記態様によれば、小型軽量であり、生産性に優れたハウジング部を有する熱交換器を提供することができる。
実施例1における熱交換器の斜視図。 図1のA−A線矢視断面図。 図1のB−B線矢視断面図。 実施例1における熱交換器の部品展開図。 実施例1における、ハウジング部の基本形状となる押出形材の斜視図。 実施例1における、ハウジング部の斜視図(押出形材に切り欠き開口部を形成した状態の斜視図)。 実施例1における、ヒートシンク部の斜視図。 実施例1における、継ぎ手部の基本形状となる角管の斜視図。 実施例1における角管に冷媒流通穴を形成した状態の斜視図。 実施例1における、継ぎ手部の斜視図(角管に連絡口を形成した状態の斜視図)。 実施例2における、一本の冷却管部を有する熱交換器の斜視図。 実施例2における、熱交換器の部品展開図。 実施例3における、冷却管部の幅方向全体にわたって切り欠き開口部を形成したハウジング部とベース部との当接状態を示す断面図(図2に相当する断面図)。 実施例3における、切り欠き開口部周縁に段部が形成されたハウジング部とベース部との当接状態を示す断面図(図2に相当する断面図)。
上記熱交換器において、継ぎ手部とは、上記冷却管部内に形成される冷媒流路と、外部配管とを連絡する部位であり、単純な連絡口(ニップル部)を設ける構造や、複数の冷却管の開口端と連通して複数の流路を1本にまとめるヘッダ部を設ける構造、あるいは連絡口とヘッダ部との双方を有する構造など、種々の構成をとることができる。
また、上記熱交換器は、上記冷却管部を複数有し、該複数の冷却管部が上記プレート部を介して互いに連結されていてもよい(請求項2)。
この場合には、複数列に並べた発熱体を冷却する場合に好適である。また、上記複数の冷却管部は、各々の幅を個々の冷却管部に流通する冷媒液の流速分布を一様とするのに適切な範囲とすることができる。これにより、冷媒液が上記放熱フィン部全体に均一に接触しやすくなるため、上記放熱フィン部全体から均一に放熱することが可能となる。その結果、上記熱交換器は、複数の発熱体を均一に冷却することが可能なものとなる。
また、この場合には、上記複数の冷却管部とこれらを連結しているプレート部とによって凹部を設けてもよい。この場合には、上記熱交換器の周辺部に配置される機器類の一部が上記熱交換器側に突出していても、上記凹部にこの突出部分を収容することができ、デッドスペースを低減することができる。また、この凹部に発熱体を搭載することもできる。この凹部においては、発熱体から発生する熱が凹部を構成するプレート部を介して上記冷却管部の壁面に熱伝導し、上記冷却管部に流通する冷媒液と熱交換を行うことができる。その結果、上記凹部に搭載された発熱体の冷却を行うことが可能となる。
また、上記ベース部と上記冷却管部の上記切り欠き開口部周縁との接合、及び上記継ぎ手部と上記冷却管部の上記両端開口部との接合が、ろう付けによりなされていてもよい(請求項3)。
この場合には、上記接合を、未接合部分のないように行うことが容易となる。そのため、上記接合部分からの冷媒液の漏出を防止することができる。また、上述のろう付けによる接合を一工程で同時に行うことが可能となるため、上記熱交換器の生産性を向上させることができる。なお、上記ベース部と上記冷却管部との接合には、摩擦撹拌接合や溶接、接着剤による接合等、公知の接合方法を採用することもできる。また、上記継ぎ手部と上記両端開口部との接合も、溶接や接着剤による接合等の公知の接合方法を採用することができる。
(実施例1)
上記熱交換器の実施例を、図1〜図10を用いて説明する。熱交換器1は、図1及び図4に示すごとく、管状の冷却管部3と、冷却管部3の外周面から延設された板状のプレート部20とを備えたハウジング部2と、冷却管部3の一部を切除して設けた切り欠き開口部30に配設されたヒートシンク部4と、冷却管部3の長手方向の両端部に接合された継ぎ手部5とを有している。ヒートシンク部4は、図7に示すごとく、発熱体を搭載するための発熱体搭載面400を有する板状のベース部40と、ベース部40における発熱体搭載面400と反対側の面から立設させたピン型の放熱フィン部41とを備えている。また、ヒートシンク部4は、図2及び図3に示すごとく、放熱フィン部41を冷却管部3の内部に挿入した状態でベース部40と冷却管部3の切り欠き開口部30の周縁とが接合されている。そして、ハウジング部2は、図5及び図6に示すごとく、冷却管部3とプレート部20とを一体的に備えるよう押出成形により形成されている。以下において、冷却管部3の長手方向を「長手方向X」という。
熱交換器1のハウジング部2は、図6に示すごとく、略角管状に形成された2本の冷却管部3と、これらの冷却管部3の外周面から延設された3枚のプレート部20とを有している。2本の冷却管部3は長手方向Xと直交する方向(以下、冷却管部3の並び方向を「幅方向Y」という。)に間隔をあけて互いに平行に並んで配置されている。また、3枚のプレート部20は、2本の冷却管部3の間と、冷却管部3の並び方向(幅方向Y)における外側とに配置されている。そして、これらの冷却管部3の並び方向(幅方向Y)に互いに向かい合う外周面がプレート部20を介して互いに連結されている。
また、2本の冷却管部3は、図6に示すごとく、プレート部20に対して長手方向Xと幅方向Yとの双方に直交する方向(以下、この方向を「高さ方向Z」という。)の一方側に突出するように配置されており、高さ方向Zの他方側は、プレート部20と冷却管部3の外周面とが面一に配置されている。これにより、2本の冷却管部3における互いに向かい合う外周面とこれらを連結するプレート部20とが凹部21を構成している。
また、各々の冷却管部3における高さ方向Zの一方側には、図6に示すごとく、略長方形状の切り欠き開口部30が形成されている。切り欠き開口部30には、図2及び図3に示すごとく、ヒートシンク部4の放熱フィン部41が挿入配置されている。
ヒートシンク部4は、図7に示すごとく、略長方形状のベース部40と、ベース部40から高さ方向Zに立設された放熱フィン部41とを有している。また、放熱フィン部41を形成した面とは反対側の面が、発熱体を搭載する発熱体搭載面400を構成している。
放熱フィン部41は、図7に示すごとく、円柱状のピン410を多数立設して構成されている。また、放熱フィン部41は、上述のごとくハウジング部2の切り欠き開口部30に挿入配置することができるように、ピン410が立設される領域が切り欠き開口部30の開口領域よりも小さくなるように形成されている。また、放熱フィン部41におけるピン410の高さは、冷却管部3の高さ方向Zにおける内寸よりわずかに小さく形成されている。これにより、図2及び図3に示すごとく、放熱フィン部41が挿入配置された状態において、ピン410の先端が冷却管部3の内壁近傍に配置されるように構成されている。このピン410の先端と冷却管部3の内壁とのクリアランスは、小さいほど放熱性を向上させることができる。そのため、ピン410の先端と冷却管部3の内壁とのクリアランスは、0.5mm以下が好ましく、ピン410の先端が冷却管部3の内壁に当接する構成が特に好ましい。
また、放熱フィン部41の周縁のベース部40は平坦に成形されている。これにより、放熱フィン部41が挿入配置された状態において、図2及び図3に示すごとく、切り欠き開口部30周縁とベース部40とが当接するように構成されている。また、切り欠き開口部30周縁とベース部40とはろう付けにより接合されている。
また、ハウジング部2の幅方向Yにおける両端には、図1に示すごとく、一対の継ぎ手部5がろう付けにより接合されている。一対の継ぎ手部5は、図10に示すごとく、外部配管を接続する連絡口52と、2本の冷却管部3の開口端と連通して複数の流路を1本にまとめるヘッダ部53とを有している。
ヘッダ部53は、図10に示すごとく略角管状に形成されており、図1に示すごとく、その長手方向を幅方向Yに向けて配置されている。また、図10に示すごとく、ヘッダ部53の長手方向の一端には円筒状の連絡口52が形成されており、長手方向の他端は閉塞されている。そして、ヘッダ部53におけるハウジング部2と接合される面には、2つの冷媒流通穴54が各々の冷却管部3の開口端と合致する位置に形成されている。
次に、熱交換器1の製造方法を説明する。熱交換器1の製造は、ハウジング部2を形成するハウジング部形成工程と、継ぎ手部5を形成する継ぎ手部形成工程と、ヒートシンク部4を形成するヒートシンク部形成工程とを有している。そして、これらの各工程により得られたハウジング部2、継ぎ手部5及びヒートシンク部4を公知の接合方法により接合する組立工程を行うことにより、熱交換器1を得る。
ハウジング部形成工程は、ハウジング部2の基本形状となる押出形材200を形成する押出工程と、押出工程により得られる押出形材200に切り欠き開口部30を形成する開口部形成工程とから構成されている。押出工程においては、アルミニウム材のビレットを、熱間あるいは冷間押出加工を行うことにより、冷却管部3とプレート部20とを一体的に形成する。本例においては、6063材のビレットを熱間押出加工を行うことにより、図5に示すごとく、2本の冷却管部3と3枚のプレート部20とが連結された押出形材200を得た。
開口部形成工程においては、上記押出工程により得られる押出形材200に対して切削加工を行う。これにより、図6に示すごとく押出形材200に切り欠き開口部30を形成し、ハウジング部2を得た。
継ぎ手部形成工程は、継ぎ手部5の基本形状となる、片側が開口した角管500を形成するインパクト成形工程と、この角管500に冷媒流通穴54を形成する穴あけ工程と、角管500の開口端を円筒形状に成形する端末加工工程とから構成されている。インパクト成形工程においては、角柱形状のアルミニウム材にパンチで衝撃を与えることにより、一端が閉塞され、一端が開口した角管500を得る。本例においては、1100材よりなる角柱形状のアルミニウム材にインパクト成形を施すことにより、図8に示すごとく一端が閉塞され、一端が開口した角管500を得た。
穴あけ工程においては、上記インパクト成形工程において得られた角管500に対して切削加工を行い、冷媒流通穴54を形成する。本例では、図9に示すごとく、長手方向に互いに並んだ2個の冷媒流通穴54を形成した。
そして、端末加工工程においては、角管500の開口端にプレス成形等の塑性加工を施すことにより、上記開口端に円筒状の連絡口52を形成する。本例では、上記角管500の開口端に略円錐状の成形プラグを圧入することにより、角管500の断面を略円筒状に成形する塑性加工を行った。これにより、図10に示すごとく略円筒状の連絡口52を形成した継ぎ手部5を得た。
ヒートシンク部形成工程においては、鋳造や鍛造等の種々の方法によりヒートシンク部4を形成する。本例においては、後述する特定の化学成分と特定の機械特性とを有するアルミニウム合金材を熱間鍛造することにより、図7に示すヒートシンク部4を得た。
以下、ヒートシンク部形成工程について詳説する。本例では、化学成分組成が、Si:0.2%(質量%、以下同じ)以上1.0%以下、Mg:0.4%以上1.0%以下、Fe:0.35%以下を含有し、残部が不可避的不純物と98%以上のアルミニウムからなり、耐力が120MPa以上であるアルミニウム合金材からなる鍛造用ブロックを準備した。次いで、この鍛造用ブロックを500℃に加熱すると共に、鍛造金型を150℃に加熱し、フリクションプレスにより熱間鍛造した。
上記の熱間鍛造直後のヒートシンク部4の温度は、金型から取り出した時点で330℃であった。このヒートシンク部4を大気中に配置して放冷(炉外放冷)することにより室温まで冷却した。本例では、300℃〜50℃までの冷却期間中の冷却速度が0.45℃/秒の冷却速度となる条件で冷却した。
ヒートシンク部4を室温まで冷却した後、200℃で4時間の加熱処理(人工時効処理)を行った。
その後、バリ取りを行い、さらにスケール除去のためにショットブラストを行った。
その後、ベース部40における放熱フィン部41を配置した面とは反対側の面(発熱体搭載面400)を切削し、さらに放熱フィン部41の周縁を軽く面削仕上げすることにより、図7に示すヒートシンク部4を得た。
組立工程においては、上述のごとく得られたハウジング部2、継ぎ手部5及びヒートシンク部4を、公知の接合方法により接合し、図1に示す熱交換器1を得る。本例では、ヒートシンク部4におけるベース部40とハウジング部2における切り欠き開口部30周縁との接合、及び継ぎ手部5と冷却管部3の両端部との接合をろう付けにより同時に行った。具体的には、図4に示すごとく、上述の接合部分の形状に合わせて穴部を形成したブレージングプレート501を作製し、ベース部40と切り欠き開口部30周縁との間、及び継ぎ手部5と冷却管部3との間に配置した。その後、加熱炉内でブレージングプレート501の融点まで加熱を行うことによりろう付けを行い、熱交換器1を得た。
このように構成された熱交換器1には、一対の継ぎ手部5における連絡口52に、外部配管としての冷媒導入管と冷媒導出管とが接続され、以下のごとく発熱体の冷却が行われる。まず、冷媒導入管から冷媒液が供給されると、ヘッダ部53により冷媒液が分配され、冷媒流通穴54から各々の冷却管部3内に冷媒液が流入する。冷却管部3内においては、冷媒液は、反対側のヘッダ部53へ向けて流通すると同時に、接触した放熱フィン部41との間で熱交換を行い、放熱フィン部41に蓄積される熱を除去する。そして、反対側の冷媒流通穴54に達した冷媒液は、ヘッダ部53を通過して冷媒導出管へ排出される。
また、上述のごとく熱交換器により冷却される発熱体としては、例えば、IGBT等のパワー半導体素子や、リアクトルやコンデンサ等の電子部品、あるいはこれらを組み合わせたパワーモジュール等、種々のものを発熱体として発熱体搭載面400に搭載することができる。
次に、本例の作用効果を説明する。熱交換器1は、図2及び図3に示すごとく、ヒートシンク部4における放熱フィン部41を冷却管部3の内部に挿入した状態で配置しており、ベース部40と冷却管部3の切り欠き開口部30周縁とが接合されている。これにより、冷却管部3の内部に冷媒液が流通した場合に、放熱フィン部41が冷媒液に接触するように構成されている。その結果、冷媒液が放熱フィン部41から効率よく熱を除去することができるため、熱交換器1は放熱性能に優れたものとなる。
また、図5及び図6に示すごとく、ハウジング部2は冷却管部3とプレート部20とを一体的に備えるよう押出成形により形成されている。そのため、冷却管部3やプレート部20の肉厚を容易に薄肉化することができるとともに、ハウジング部2は生産性に優れたものとなる。さらに、冷却管部3の長さを自由に選択できるため、冷却能力の変更等の設計変更が容易となる。
また、熱交換器1は、図6に示すごとく冷却管部3を複数有し、該複数の冷却管部3がプレート部20を介して互いに連結されている。これにより、複数の冷却管部3は、各々の幅を個々の冷却管部3に流通する冷媒液の流速分布を一様とするのに適切な範囲とすることができる。そのため、冷媒液が放熱フィン部41全体に均一に接触しやすくなり、放熱フィン部41全体から均一に放熱することが可能となる。その結果、熱交換器1は、複数の発熱体を均一に冷却することが可能なものとなる。
また、図6に示すごとく、複数の冷却管部3とこれらを連結しているプレート部20とによって凹部21が設けられている。そのため、熱交換器1の周辺部に配置される機器類の一部が熱交換器1側に突出していても、凹部21に上記機器類の突出部分を収容することができ、デッドスペースを低減することができる。
また、図4に示すごとく、ベース部40と冷却管部3の切り欠き開口部30周縁との接合、及び継ぎ手部5と冷却管部3の両端部との接合が、ろう付けによりなされている。これにより、上記の接合を、未接合部分のないように行うことが容易となる。そのため、接合部分からの冷媒液の漏出を防止することができる。また、上記の接合を一工程で同時に行うことが可能となるため、熱交換器1の生産性をより向上させることができる。
以上のごとく、本例によれば、小型軽量であり、生産性に優れたハウジング部を有する熱交換器を提供することができる。
また、本例においては、ヒートシンク部4を、上記特定の化学成分組成を有するアルミニウム材を熱間鍛造することにより作製している。このように得られたヒートシンク部4は、比較的高強度であり、後工程の切削加工及び組立工程においても放熱フィン部41やベース部40の変形を小さくすることができる。その結果、放熱フィン部41の寸法精度や発熱体搭載面400の平坦度等を向上させやすくなる。
(実施例2)
本例は、実施例1における熱交換器1の冷却管部3の本数を変更した例である。本例の熱交換器1は、図11及び12に示すごとく、1本の冷却管部3を有している。その他は、実施例1と同様である。
このように、熱交換器1の冷却管部3は、発熱体搭載面400に必要な面積や、必要な冷却性能等の冷却設計に応じて、自由に本数を変更したり、長さを変更したりすることが可能である。また、ヒートシンク部4の個数と冷却管部3の本数とは必ずしも同一にする必要は無く、例えば1本の冷却管部3に対して複数のヒートシンク部4を長手方向X、あるいは幅方向Yに配列した構成を取ることも可能である。その他、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例3)
本例は、実施例1における切り欠き開口部30周縁の形状を変更した例である。切り欠き開口部30周縁は、ヒートシンク部4のベース部40を支承可能な形状であれば、特に形状を制限されることはない。例えば、図13に示すごとく、切り欠き開口部30を冷却管3の幅方向全体にわたって形成した構成や、図14に示すごとく、冷却管部3の内側を外側に比べて低くした段部31を形成し、ベース部40の周縁を段部31に嵌合する構成など種々の構成が挙げられる。
ここで、図14に示すベース部40を段部31に嵌合する構成をとる場合には、ベース部40と切り欠き開口部30周縁との接合方法として、摩擦撹拌接合を好適に使用することができる。摩擦撹拌接合は、ブレージングプレート等の接合材を別途使用することなく接合を行うことが可能なため、部品点数を低減することが可能となる。その他、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、上述のごとく摩擦撹拌接合を行う場合には、ヒートシンク部4の発熱体搭載面400と、冷却管部3におけるヒートシンク部4周縁の外周面とを面一に配置することが好ましい。
なお、実施例1〜3には、一対の継ぎ手部5のそれぞれに外部配管との連絡口52を形成した例を示したが、別の構成を取ることも可能である。例えば、実施例1において、2本の冷却管部3それぞれにおける一方の端部に連絡口52を形成し、他方の端部同士をパイプ等で連結する構成を取る構成等が挙げられる。
また、ヒートシンク部4における放熱フィン部41の形状も、円柱状のピン410に限定されることはなく、冷却設計に応じて種々の形状を採用することが可能である。例えば、角柱状のピンやコルゲートフィンを用いても良く、押出加工により作製される断面櫛歯状のプレートフィンを用いてもよい。フィンの配置や密度についても、形状と同様に冷却設計に応じて種々の態様を採用することができる。
1 熱交換器
2 ハウジング部
20 プレート部
3 冷却管部
30 切り欠き開口部
4 ヒートシンク部
40 ベース部
400 発熱体搭載面
41 放熱フィン部
5 継ぎ手部

Claims (3)

  1. 管状の冷却管部と、該冷却管部の外周面から延設された板状のプレート部とを備えたハウジング部と、
    上記冷却管部の一部を切除して設けた切り欠き開口部に配設されたヒートシンク部と、
    上記冷却管部の長手方向の両端部に接合された継ぎ手部とを有し、
    上記ヒートシンク部は、発熱体を搭載するための発熱体搭載面を有する板状のベース部と、該ベース部における上記発熱体搭載面と反対側の面から立設させた放熱フィン部とを備えていると共に、該放熱フィン部を上記冷却管部の内部に挿入した状態で上記ベース部と上記冷却管部の上記切り欠き開口部周縁とが接合されており、
    上記ハウジング部は、上記冷却管部と上記プレート部とを一体的に備えるよう押出成形により形成されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 請求項1に記載の熱交換器において、上記冷却管部を複数有し、該複数の冷却管部が上記プレート部を介して互いに連結されていることを特徴とする熱交換器。
  3. 請求項1または2に記載の熱交換器において、上記ベース部と上記冷却管部の上記切り欠き開口部周縁との接合、及び上記継ぎ手部と上記冷却管部の上記両端部との接合が、ろう付けによりなされていることを特徴とする熱交換器。
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