以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1に示されるように、歯科診療装置1は、歯科分野において歯科医師等の術者Dに用いられ、患者Pの口腔内を観察可能かつ治療可能な装置である。患者Pは、生身の人間であってもよいし、人体模型であってもよいし、頭部模型であってもよい。「歯科」とは、歯学に関する学科であって、歯又は歯に関連した組織(歯周組織等)に関する疾患を扱う診療科である。「歯科」には、例えば一般歯科、矯正歯科、口腔外科、歯科放射線科又は小児歯科等が含まれる。
歯科診療装置1は、筐体10、内視鏡20、ハンドピース70、操作スイッチ30、フートコントローラ40を備える。また、図1及び図2に示されるように、歯科診療装置1は、筐体10の内部に、媒体出力部50と内視鏡可動部60と制御部80とを備える。ハンドピース70は、内視鏡20の先端に着脱可能に取り付けられている。以下、各構成について説明する。なお、「上」及び「下」の語は、歯科診療装置1の観察時の状態における鉛直方向の上方及び下方にそれぞれ対応する。
筐体10は、支持アーム3に支持されている。支持アーム3は、支持位置を変更自在で、且つ、手を放せば当該支持位置で安定して支持し続けるバランスアームである。支持アーム3は、ピボット3aにより水平面内で移動可能に筐体10を支持する。また、支持アーム3は、鉛直方向に沿う軸回り及び水平方向に沿う軸回りに回転自在に筐体10を支持する。支持アーム3は、歯科診療装置4において無影灯又はトレーを支持する垂直支柱4aを含んでいてもよい。垂直支柱4aは、患者Pがうがいを行う装置台6に固定されている。このような支持アーム3に支持された筐体10は、上下方向及び水平面内で自在に可動する共に、観察時には、その場で不動に支持される。なお、支持アーム3としては特に限定されず、公知の種々のアームを用いることができる。支持アーム3は、下部にキャスターを設けて移動自在とされた構成とされていてもよい。支持アーム3の具体的構成としては、例えば実用新案登録第2586294号公報を参照されたい。
筐体10は、矩形箱形状を呈する。筐体10の上面10aは、支持アーム3の先端に固定されている。筐体10の上面10aには、術者用モニタ11が設けられている。術者用モニタ11は、内視鏡20で撮像した画像を表示する表示部として機能する。術者用モニタ11は、その表示面の向きを変更自在に筐体10に固定されている。術者用モニタ11としては、公知の種々のモニタを用いることができる。
筐体10の下面10bは、患者Pと対向する面である。筐体10の下面10bには、患者Pの口腔に向けた口元観察カメラ12が設けられている。口元観察カメラ12は、患者Pの口元を撮像するカメラである。筐体10の前側(観察持の術者D側)の側面10cには、操作スイッチ30が取り付けられている。筐体10における側面10cと直交する一対の側面10dには、筐体10を把持するためのハンドル13がそれぞれ設けられている。
図3に示されるように、内視鏡20は、先端側が口腔内に挿入可能な長尺筒状の観察用機器である。内視鏡20の基端側は、筐体10に保持されている。内視鏡20の先端側は、下方に向かって延出し、筐体10から突出する。内視鏡20としては、軟性鏡が用いられている。軟性鏡は、その少なくとも一部が、可撓性を有する管部分である可撓管(支持部)20aで構成された内視鏡である。本実施形態の内視鏡20は、筐体10に近い部分が直線状の硬い管(支持部)で構成され、且つ、それ以外の部分が可撓管20aで構成された軟性鏡である。
図4(a)は、内視鏡20の先端側を示す概略斜視図である。図5(a)、図5(b)、図6(a)、及び図6(b)は、図4(a)のA−B線、A−C線、A−D1線又はD2線、及びA−E1線又はE2線にそれぞれ沿う縦断面図である。図4〜図6に示されるように、内視鏡20は、撮像用チャンネル21、第1媒体用チャンネル22、第2媒体用チャンネル23、第3媒体用チャンネル24a、第4媒体用チャンネル24c、及び第5媒体用チャンネル24dを内部に有する。撮像用チャンネル21、第1媒体用チャンネル22、第2媒体用チャンネル23、第3媒体用チャンネル24a、第4媒体用チャンネル24c及び第5媒体用チャンネル24dは、内視鏡20の内部において基端から先端に延設された通路である。
撮像用チャンネル21は、内視鏡20の撮像に用いられるチャンネルである。撮像用チャンネル21には、内視鏡撮像部(撮像部)25が設けられている。内視鏡撮像部25は、対物レンズ25a及び撮像素子25bを含む。対物レンズ25aは、撮像用チャンネル21の先端に設けられている。撮像素子25bは、撮像用チャンネル21内における対物レンズ25aの基端側に設けられ、対物レンズ25aを通過した光像を受光する。撮像素子25bとしては、CCD等が用いられている。撮像素子25bは、撮像結果(撮像データ)を制御部80へ有線通信又は無線通信により送信する。撮像素子25bには、電線26が接続され、この電線26を介して電力が供給されている。電線26は、撮像用チャンネル21内に挿通され、後述の電線53と電気的に接続されている。
第1媒体用チャンネル22は、先端側へ水及びエアを通すチャンネルである。第1媒体用チャンネル22では、水管路22aが挿通され、その水管路22aの周囲がエア管路22bとされている。第1媒体用チャンネル22では、先端部においてエア管路22b中に水管路22aが開口しており、水及びエアを同時に供給することでこれらが混合され、先端口からスプレーとして放射(噴射)できる。
第2媒体用チャンネル23は、先端側へ照明光を通すチャンネルである。第2媒体用チャンネル23では、照明光を導光するライトガイド23aが挿通され、先端に設けられた発光部23bが当該ライトガイド23aと光学的に接続されている。
第3媒体用チャンネル24a、第4媒体用チャンネル24c、及び第5媒体用チャンネル24dは、後段にて詳述するハンドピース70に媒体を供給するために設けられたチャンネルである。具体的には、第3媒体用チャンネル24aは、内視鏡20の先端に取り付け(装着)られるハンドピース70に電気(電力)を供給するチャンネルである。第4媒体用チャンネル24cは、内視鏡20の先端に取り付けられるハンドピース70に圧縮空気(高圧エア)を供給するチャンネルである。第5媒体用チャンネル24dは、内視鏡20の先端に取り付けられるハンドピース70に歯科用光重合材料を硬化させるための光を供給するチャンネルである。
内視鏡20は、撮像する画像の拡大率を変更する画像拡大率変更部27を備える。画像拡大率変更部27は、内視鏡20の内部(ここでは、撮像用チャンネル21内)に設けられた撮像用のレンズである拡大レンズ27aと、この拡大レンズ27aを内視鏡20の先端側及び基端側へ移動させるモータ27bと、を含む。拡大レンズ27aは、撮像用チャンネル21内における対物レンズ25aと撮像素子25bとの間に配置されている。モータ27bは、不図示の減速ギアを有する。画像拡大率変更部27は、モータ27bを駆動させて拡大レンズ27aを移動させることで、内視鏡20が撮像する画像の拡大率を変更する。
図7に示されるように、ハンドピース70は、内視鏡20(可撓管20a)の先端に着脱可能に設けられている。例えば、ハンドピース70に接続可能な各チャンネル24a,24c,24dの先端部(ハンドピース70側の端部)に形成された凹部と、ハンドピース70の先端(可撓管20a側の端部)に形成された上記凹部に嵌合可能な凸部とを互いに嵌合させ、ハンドピース70の先端に設けられたナット28をハンドピース70の先端側外周面に設けられたねじ溝に螺合可能な構成とすることにより、内視鏡20とハンドピース70とを着脱可能に設けることができる。本実施形態のハンドピース70と内視鏡20とは、軸回りの位置関係(軸回り角度)が常に同じ状態で接続される。
また、図4(b)に示されるように、内視鏡20は、ハンドピース70が取り外されたときにハンドピース70に媒体を供給するための媒体用チャンネル(第3媒体用チャンネル24a、第4媒体用チャンネル24c、及び第5媒体用チャンネル24d)の先端部を覆う保護部29を備えてもよい。保護部29は、内視鏡20の先端に外挿可能なキャップであり、撮像用チャンネル21、第1媒体用チャンネル22、及び第2媒体用チャンネル23にそれぞれ対応する開口部29a,29b,29cが設けられている。保護部29は、内視鏡20の先端に外挿されて装着されることにより、撮像用チャンネル21、第1媒体用チャンネル22、及び第2媒体用チャンネル23を開口部を解放すると共に、第3媒体用チャンネル24a、第4媒体用チャンネル24c、及び第5媒体用チャンネル24dの開口部を覆う。このような保護部29を設けることにより、各チャンネルに異物が侵入したり、漏電したりすることを防止できる。
なお、図4(b)に示される保護部29では、ハンドピース70に媒体を供給するための媒体用チャンネルの全てを覆う構成を例に挙げて説明したが、保護部は、少なくとも一つの媒体用チャンネルが覆われる構成であればよい。また、保護部は、ハンドピース70に媒体を供給するための媒体用チャンネルのそれぞれを覆うように独立して設けられる構成であってもよい。また、図4(b)に示される保護部29では、ハンドピース70に媒体を供給するチャンネルのみを覆う構成としたが、内視鏡20の先端部の全面を袋状に覆う構成としてもよい。これにより、一日の診療の終わりにあたって、内視鏡20の先端部を覆うことで、非稼働時に内視鏡20の先端から異物が侵入することを防止できる。
内視鏡20とハンドピース70とを着脱可能に設ける構成の例は、これに限定されず、例えば、内視鏡20の先端部に内視鏡20の基端側に凹む袋ナット等が設けられ、ハンドピース70を当該袋ナットに締め込んで接続してもよいし、ハンドピース70側に向けて軸心が段々と細くなる内視鏡20側の接続部と、内視鏡20側から凹部が小さくなるハンドピース側の接続部とからなるワンタッチジョイントを構成し、接続時に軸回りの方向性を考慮することなく容易に着脱できる構成としてもよい。
ハンドピース70は、歯牙を削ったり、歯牙に付着した歯垢又は歯石を除去したり、光重合材料を硬化させたりするといった各種診療に用いられる。ハンドピース70の例には、超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、及び光重合用ハンドピース(光重合照射器)70dが含まれる。
超音波スケーラハンドピース70aは、歯牙に付着した歯垢又は歯石を除去するときに用いられる。超音波スケーラハンドピース70aは、本体部72aの先端に設けられたスケーラチップ71aが、本体部72aに配置された超音波振動子74aによって駆動されて振動する。本体部72aにおける基端には、内視鏡20に配設された第3媒体用チャンネル24aとの接続部73aが形成されている。超音波振動子を駆動するために供給される電気(電力)は、内視鏡20の先端に接続部73aが接続されることによって、内視鏡20に配設された第3媒体用チャンネル24aを介して供給される。
エアタービンハンドピース70bは、歯牙を削るときに用いられる。エアタービンハンドピース70bは、本体部72bの先端にベアリング等によって回転自在に支持され回転部材に装着された切削用部品71bが、エアによって駆動され回転する。本体部72bにおける基端には、内視鏡20に配設された第4媒体用チャンネル24cとの接続部73bが形成されている。上記回転部材に供給されるエアは、内視鏡20の先端に接続部73bが接続されることによって、内視鏡20に配設された第4媒体用チャンネル24cを介して供給される。
マイクロモータハンドピース70cは、歯牙を削るときに用いられる。マイクロモータハンドピース70cは、本体部72cの先端にベアリング等によって回転自在に支持され回転部材に装着された切削用部品71cが、本体部72cに配置されたマイクロモータ74cによって駆動され回転する。本体部72cにおける基端には、内視鏡20に配設された第3媒体用チャンネル24aとの接続部73cが形成されている。マイクロモータ74cを駆動するために供給される電気(電力)は、内視鏡20の先端に接続部73cが接続されることによって、内視鏡20に配設された第3媒体用チャンネル24aを介して供給される。
光重合用ハンドピース70dは、歯科用光重合材料を硬化させるときに用いられる。光重合用ハンドピース70dは、本体部72dの先端から光が照射される。本体部72dの先端から照射される光の例には、405±50nmの近紫外線領域、470±30nmの青色領域、700±100nmの赤色領域、赤外線領域、又は、近赤外線領域が含まれる。本体部72dにおける基端には、内視鏡20に配設された第5媒体用チャンネル24dとの接続部73dが形成されている。歯科用光重合材料を硬化させるために供給される光は、内視鏡20の先端に接続部73dが接続されることによって、内視鏡20に配設された第5媒体用チャンネル24dを介して供給される。
内視鏡20の先端部近傍には、ハンドピース70が取り付けられているか否かを検知するハンドピース検出部が設けられている。本実施形態では、ハンドピース検出部として、RFID(radio frequency identifier)タグTを読み取るリーダライタRWが設けられている。リーダライタRWは、内視鏡20から供給される電気によって駆動する。また、ハンドピース70のそれぞれには、RFIDタグTが設けられている。リーダライタRWは、ハンドピース70が内視鏡20の先端に取り付けられたときに、ハンドピース70の接続部73a〜73dのそれぞれに固着されたRFIDを読み取り可能に配置されている。
リーダライタRWは、RFIDタグTが読み取れる状態にあるときは、読み取った識別番号に関する情報を後述するハンドピース制御部88に出力する。また、リーダライタRWは、RFIDタグTが読み取れない状態にあるときは、RFIDタグTが読み取れない状態であることを示す情報をハンドピース制御部88に出力する。
超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、及び光重合用ハンドピース70dのそれぞれに固有の識別番号が付与されたRFIDを固着することにより、どの種類のハンドピース70(超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、又は光重合用ハンドピース70d)が内視鏡20の先端に取り付けられたのかを、後段にて詳述するハンドピース制御部88が識別できるようになっている。
なお、ハンドピース70の例は、上述したような、超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、及び光重合用ハンドピース70dに限定されない。
図2及び図3に示されるように、操作スイッチ30は、歯科診療装置1の各種の操作を受け付ける操作ユニットである。操作スイッチ30は、主として術者Dの手指による操作を受け付ける。操作スイッチ30としては、例えばタッチパネル又は押しボタン型スイッチユニットが用いられる。操作スイッチ30は、その操作結果(操作信号)を制御部80へ有線通信又は無線通信により送信する。操作スイッチ30は、媒体操作部31、内視鏡操作部32、撮像操作部33、ハンドピース媒体操作部34、ハンドピース移動操作部35及びキャリブレーション操作部36を含む。
媒体操作部31は、内視鏡20における媒体の放射(出力)に関する操作を受け付ける。媒体操作部31は、複数の媒体のうち少なくとも一つを選択する媒体選択操作を受け付ける。例えば媒体操作部31は、水、エア、スプレー(水及びエアが混合したもの)及び照明光についての放射のON/OFFを選択する媒体選択操作を受け付ける。なお、媒体選択操作は、放射時間及び放射パターン等を設定する操作を含んでいてもよい。媒体選択操作は、媒体が水、エア及びスプレーの場合には、その圧力を設定する操作を含んでいてもよい。媒体選択操作は、媒体が照明光の場合には、その出力を設定する操作を含んでいてもよい。
内視鏡操作部32は、内視鏡20の視野の変化に関する操作を受け付ける。内視鏡操作部32は、内視鏡20の視野の変化に関する操作として、内視鏡20の移動に関する移動操作を受け付ける。具体的には、内視鏡操作部32は、内視鏡20の先端側の湾曲を操作する移動操作、内視鏡20の長手方向に沿った移動を操作する移動操作、及び、内視鏡20の長手方向を軸方向とする回転方向(以下、「θ方向」ともいう)に沿った回転移動を操作する移動操作を受け付ける。内視鏡操作部32は、内視鏡20を口腔から退出させる退出操作を受け付ける。内視鏡操作部32は、内視鏡20の基端側を筐体10に収納する収納操作を受け付ける。
内視鏡操作部32は、複数の歯牙の部位のうちの何れかを選択する歯牙選択操作を受け付ける。歯牙選択操作としては、歯牙番号の入力であってもよいし、大まかに定められた上下左右の前歯又は臼歯等の歯牙のブロック(領域)番号であってもよい。歯牙番号は、歯牙一本一本に対応していてもよいし、歯牙一本一本に含まれる面部位に対応してもよい。つまり、選択可能な歯牙の部位としては、複数の歯牙それぞれが選択可能なだけでなく、例えば歯牙が奥歯の場合には、その歯牙において区切られた5つの面部位、すなわち、頬側面、舌側面、遠心面、近心面、咬合面が選択可能である。
内視鏡操作部32は、複数の観察目標領域のうちの何れかを選択する目標領域選択操作を受け付ける。観察目標領域は、観察する目標となる領域である。観察目標領域は、特に限定されず、口腔内だけでなく口腔外の領域であってもよい。観察目標領域は、大まかに定められた上下左右前後の各領域であってもよいし、前歯領域又は臼歯領域等であってもよい。選択可能な歯牙の部位及び観察目標領域は、例えば、伸長、体重、年齢、性別等の少なくとも何れかで更に分けられていてもよい。
撮像操作部33は、内視鏡20の撮像に関する撮像操作を受け付ける。例えば撮像操作部33は、撮像記録のON/OFFを実行する撮像操作、及び、画像の拡大率を変更する撮像操作を受け付ける。
ハンドピース媒体操作部34は、ハンドピース70への媒体の供給に関する操作を受け付ける。すなわち、ハンドピース媒体操作部34は、ハンドピース70における媒体の出力に関する操作を受け付ける。ハンドピース媒体操作部34は、ハンドピース70の種類に応じた媒体の出力を受け付ける。例えば、ハンドピース媒体操作部34は、超音波スケーラハンドピース70aが内視鏡20の先端に取り付けられたときは、電力の供給(すなわち振動)のON/OFFを受け付ける。また、例えば、ハンドピース媒体操作部34は、エアタービンハンドピース70bが内視鏡20の先端に取り付けられたときは、エアの供給(すなわち、切削用部品71bが装着された回転部材の回転)のON/OFFを受け付ける。また、例えば、ハンドピース媒体操作部34は、マイクロモータハンドピース70cが内視鏡20の先端に取り付けられたときは、電力の供給(すなわち、回転部材に装着された切削用部品71cが装着された回転部材の回転)ON/OFFを受け付ける。例えば、ハンドピース媒体操作部34は、光重合用ハンドピース70dが内視鏡20の先端に取り付けられたときは、光の供給(すなわち、光の出射)のON/OFFを受け付ける。
なお、媒体選択操作は、放射時間及び放射パターン等を設定する操作を含んでいてもよい。媒体選択操作は、媒体がエアの場合には、その圧力を設定する操作を含んでいてもよい。媒体選択操作は、媒体が光の場合には、その出力強度、又は波長を設定する操作を含んでいてもよい。
ハンドピース移動操作部35は、ハンドピース70における移動に関する操作を受け付ける。ハンドピース移動操作部35は、内視鏡操作部32における内視鏡20の移動に関する移動操作と同様の操作を受け付ける。具体的には、支持部である可撓管20aの先端側の湾曲を操作する移動操作、可撓管20aの長手方向に沿った移動を操作する移動操作、及び、可撓管20aの長手方向を軸方向とする回転方向(以下、「θ方向」ともいう)に沿った回転移動を操作する移動操作を受け付ける。また、ハンドピース移動操作部35は、内視鏡20を口腔から退出させる退出操作を受け付ける。ハンドピース移動操作部35も内視鏡操作部32と同様の歯牙選択操作及び目標領域選択操作を受け付けることができる。すなわち、ハンドピース移動操作部35において受け付けた歯牙領域又は観察領域にハンドピース70を移動させる。なお、ここでは、歯牙選択操作及び目標領域選択操作の詳細な説明は省略する。
キャリブレーション操作部36は、キャリブレーションを実行する操作を受け付ける。
操作スイッチ30は、複数の操作ボタンを有しており、これらの複数の操作ボタンを適宜ON/OFFすることで、上述した操作部31〜36の各操作を実現できる。例えば、操作スイッチ30では、矢印で上下方向に分けた2つのスイッチで、内視鏡20の長手方向に沿った移動を操作してもよい。また例えば、操作スイッチ30では、前後左右をそれぞれ矢印で示す4つのスイッチで、内視鏡20の先端側の湾曲を操作してもよい。操作スイッチ30の機械的構成、配置及び操作方法については特に限定されず、仕様等に応じて適宜設定できる。
フートコントローラ40は、歯科診療装置1の各種の操作を受け付ける操作ユニットである。フートコントローラ40は、術者Dの足元に配置され、主として術者Dの脚(足踏み)による操作を受け付ける。フートコントローラ40は、その操作結果(操作信号)を制御部80へ有線通信又は無線通信により送信する。フートコントローラ40は、操作スイッチ30と同様に、媒体操作部31、内視鏡操作部32、撮像操作部33、ハンドピース媒体操作部34、ハンドピース移動操作部35、及びキャリブレーション操作部36を含む。
図8に示される一例では、フートコントローラ40は、前方ペダル41、第1左ペダル42、第2左ペダル43、第1右ペダル44及び第2右ペダル45を有する。フートコントローラ40は、各ペダル41〜45の機能を切替え可能な機能切替えスイッチ46を有する。機能切替えスイッチ46を押下することで、例えば、ヘッドレスト前後傾動操作用ペダルを操作することで可撓管を左右に操作することを可能にしたり、ヘッドレストの左右傾動操作用ペダルを操作することで可撓管を上下に操作することを可能にしたりする。フートコントローラ40では、機能切替えスイッチ46で機能を適宜切り替えながら各ペダル41〜45を適宜操作することで、上述した操作部31〜36の各操作を実現できる。フートコントローラ40の構成、配置及び操作方法については特に限定されず、仕様等に応じて適宜設定できる。
図1、図2及び図8に示されるように、フートコントローラ40は、ヘッドレスト操作部47、座席シート操作部48及びバックレスト操作部49を更に含む。ヘッドレスト操作部47は、診療台7のヘッドレスト7aの傾動に関する操作を受け付ける。座席シート操作部48は、診療台7の座席シートの昇降に関する操作を受け付ける。バックレスト操作部49は、診療台7のバックレスト7bの傾動に関する操作を受け付ける。フートコントローラ40は、機能切替えスイッチ46で機能を適宜切り替えながら各ペダル41〜45を適宜操作することで、上述した操作部47〜49の各操作、及び、歯科診療装置4の診療用ハンドピースの駆動操作も可能である。なお、上述した操作部47〜49の各操作を、歯科診療装置4の操作部(不図示)から手指により行うことも可能である。
図2及び図3に戻り、媒体出力部50は、内視鏡20の先端にハンドピース70が取り付けられていないときには、媒体を内視鏡20の先端側から放射させ、内視鏡20の先端にハンドピース70が取り付けられているときには、媒体を内視鏡20の先端側からハンドピース70に供給(出力)させる。
ハンドピース70が取り付けられていない場合に、媒体出力部50が放射させる媒体のうちの水及びエアは、支持アーム3の内部空間5(図1参照)に配置された流体管路である水管路51及びエア管路52を介して供給される。内部空間5は、筐体10内と歯科診療装置4の装置台6内とを連通する。水管路51は、装置台6から筐体10内へ高圧水を導入する管路である。エア管路52は、装置台6から筐体10内へ高圧エアを導入する管路である。また、内部空間5には、装置台6から筐体10内へ電力を供給する電線53が配置されている。媒体出力部50は、注水用電磁弁54、エア用電磁弁55及び照明光光源56を含む。
注水用電磁弁54は、その弁を開くことで水管路51から第1媒体用チャンネル22の水管路22aへ高圧水を注水し、第1媒体用チャンネル22の先端口から水を放射させる。エア用電磁弁55は、その弁を開くことでエア管路52から第1媒体用チャンネル22のエア管路22bへ高圧エアを流通させ、第1媒体用チャンネル22の先端口からエアを放射させる。また、第1媒体用チャンネル22では、エア管路22b中に水管路22aが開口していることから、注水用電磁弁54及びエア用電磁弁55の双方の弁を開くことで、高圧水及び高圧エアを混合させ、第1媒体用チャンネル22の先端口からスプレーを放射させる。
照明光光源56は、照明光を出射し、ライトガイド23cを介して第2媒体用チャンネル23のライトガイド56aに導光することで、第2媒体用チャンネル23の先端の発光部23bから照明光を放射させる。
ハンドピース70が取り付けられている場合に、媒体出力部50がハンドピース70に出力させるエアは、支持アーム3の内部空間5(図1参照)に配置された流体管路であるエア管路52を介して供給され、媒体出力部50がハンドピース70に出力させる電力は、装置台6から筐体10内へ電力を供給する電線53を介して供給される。媒体出力部50は、スイッチ回路57、エア用電磁弁58及び光重合用光源59を含む。
スイッチ回路57は、マイクロモータハンドピース70cに供給する電力のON/OFFを切り替える。エア用電磁弁58は、エアタービンハンドピース70bに供給するエアのON/OFFを切り替える。光重合用光源59は、歯科用光重合材料を硬化させるための光を出射し、第5媒体用チャンネル24dに導光することで、第5媒体用チャンネル24dを介して光重合用ハンドピース70dに光を供給する。
内視鏡可動部60は、内視鏡の視野が変化するように内視鏡を可動する。内視鏡可動部60は、内視鏡20の先端側を移動させる内視鏡移動機構として、直動機構61、回転移動機構62及び湾曲機構63を有する。
直動機構61は、内視鏡20の長手方向に沿って筐体10に対して内視鏡20を相対的に移動(以下、「直動」ともいう)する機構である。直動機構61は、筐体10の内部に設けられたモータ61aと、モータ61aに連結された減速機構61bと、減速機構61bに連結された複数のローラ61cと、を含む。複数のローラ61cは、内視鏡20の周囲に配置され、内視鏡20をその長手方向に移動自在に保持する。直動機構61では、モータ61aが駆動されることで減速機構61bを介してローラ61cが回転し、これにより、内視鏡20が直動する。
回転移動機構62は、θ方向に沿って筐体10に対して内視鏡20を相対的に回転する機構である。回転移動機構62は、筐体10の内部に設けられたモータ62aと、モータ62aに連結された減速機構62bと、減速機構62bに連結されたローラ62cと、を含む。回転移動機構62では、モータ62aが駆動されることで減速機構62bを介してローラ62cが回転し、これにより、鉛直軸回りのθ方向に沿って内視鏡20が回転する。
湾曲機構63は、内視鏡20の先端側を自在に湾曲させる機構である。図9に示されるように、湾曲機構63は、複数の湾曲駒63aと、湾曲駒63aに接続された第1ワイヤ対63b及び第2ワイヤ対63cと、第1ワイヤ対63bを牽引駆動する第1モータ63dと、第2ワイヤ対63cを牽引駆動する第2モータ63eと、を有する。
複数の湾曲駒63aは、内視鏡20内の先端部に、内視鏡20の長手方向に沿って並ぶように設けられている。複数の湾曲駒63aは、リベット63fにより回動自在に連結されている。複数の湾曲駒63aは、内視鏡20の長手方向に対して垂直な第1方向に内視鏡20の先端側を湾曲させると共に、内視鏡20の長手方向及び第1方向に対して垂直な第2方向に内視鏡20の先端側を湾曲させる。第1ワイヤ対63b及び第2ワイヤ対63cの先端は、最先端に位置する湾曲駒63a又は内視鏡20内の先端部に固着されている。第1ワイヤ対63bの基端は、第1モータ63dが連結された第1プーリ63gにかけ渡されている。第2ワイヤ対63cの基端は、第2モータ63eが連結された第2プーリ63hにかけ渡されている。
湾曲機構63では、第1モータ63dが駆動されることで第1プーリ63gが回転し、第1ワイヤ対63bが牽引される。これにより、当該牽引量に応じて内視鏡20の先端側が第1方向に湾曲する。また、湾曲機構63では、第2モータ63eが駆動されることで第2プーリ63hが回転し、第2ワイヤ対63cが牽引される。これにより、当該牽引量に応じて内視鏡20の先端側が第2方向に湾曲される。なお、湾曲機構63の構成としては、上述の具体的構成に限定されず、種々の公知の構成を採用することができる。例えば湾曲機構63は、多数の剛体を連結し、これらの剛体をまとめてワイヤで湾曲操作できる構成であってもよい。
図2及び図3に示されるように、制御部80は、例えば一以上のコンピュータ装置により構成される。制御部80は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、記録媒体であるRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。制御部80は、CPU及びRAM等のハードウェア上にプログラム等を読み込ませることにより、各種の制御を実行する。制御部80は、機能的構成として、媒体制御部81、内視鏡制御部82、撮像制御部84、画像制御部85、記憶部86、キャリブレーション制御部87、ハンドピース制御部88、ヘッドレスト制御部8a、座席シート制御部8b、バックレスト制御部8cを有する。
媒体制御部81は、媒体操作部31で受け付けた操作に基づいて、媒体出力部50による媒体の放射を制御する。具体的には、媒体制御部81は、媒体操作部31で媒体選択操作を受け付けた場合、受け付けた媒体選択操作に係る少なくとも一つの媒体を媒体出力部50によって放射させる。より具体的には、媒体制御部81は、水、空気又はスプレーを選択する媒体選択操作を媒体操作部31で受け付けた場合、その媒体選択操作に係る水、注水用電磁弁54及びエア用電磁弁55を制御し、空気又はスプレーを第1媒体用チャンネル22の先端口から放射させる。媒体制御部81は、照明光を選択する媒体選択操作を媒体操作部31で受け付けた場合、照明光光源56から照明光を出射させ、第2媒体用チャンネル23の発光部23bから照明光を放射させる。
内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で受け付けた操作に基づいて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で受け付けた移動操作に基づいて、直動機構61、回転移動機構62及び湾曲機構63の少なくとも何れかの動作を、エンコーダ等で位置検出してフィードバック制御する。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32において内視鏡20の先端側の湾曲を操作する移動操作を受け付けた場合、その移動操作に応じて、湾曲機構63によって内視鏡20の先端側を湾曲させる。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32において内視鏡20の直動を操作する移動操作を受け付けた場合、その移動操作に応じて、直動機構61によって内視鏡20を直動させる。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32において内視鏡20のθ方向に沿った回転移動を操作する移動操作を受け付けた場合、その移動操作に応じて、回転移動機構2によって内視鏡20をθ方向に回転させる。
内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で退出操作を受け付けた場合、湾曲機構63により内視鏡20を直線状に延びるように可動させた後、当該内視鏡20を初期位置まで口腔から離れる方向に移動させる。初期位置としては、特に限定されないが、内視鏡20の先端が口腔から一定距離以上離れる位置である。
内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で収納操作を受け付けた場合、直動機構61により内視鏡20を移動させ、内視鏡20の少なくとも基端側を筐体10内に収納させる。収納する内視鏡20の範囲は特に限定されないが、内視鏡20の基端側から中央部に亘る範囲であってもよいし、内視鏡20の先端部以外の範囲であってもよい。
内視鏡制御部82は、診療台7のヘッドレスト7aの基準姿勢に対する傾きに応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。内視鏡制御部82は、診療台7のバックレスト7bの基準姿勢に対する傾きに応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。内視鏡制御部82は、診療台7の座席シートの昇降位置に応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。一例として、内視鏡制御部82は、ヘッドレスト7a及びバックレスト7bの基準姿勢に対する傾きの大小に応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動量を増減するように補正する。
ヘッドレスト7a及びバックレスト7bの傾きは、バックレスト7bの幅方向を軸方向とするピッチ角の傾きと、バックレスト7bの上下方向を軸方向とするロール角の傾きと、バックレスト7bの前後方向を軸方向とするヨーイング角の傾きと、の少なくとも何れかを含んでいてもよい。基準姿勢は、特に限定されないが、例えば通常治療時の姿勢である。
ヘッドレスト7aの傾きは、ヘッドレスト7aの傾きを制御するヘッドレスト制御部8aの制御信号に基づいて認識可能である。座席シートの昇降位置は、座席シートの昇降を制御する座席シート制御部8bの制御信号に基づいて認識可能である。バックレスト7bの傾きは、バックレスト7bの傾きを制御するバックレスト制御部8cの制御信号に基づいて認識可能である。ヘッドレスト制御部8a、座席シート制御部8b及びバックレスト制御部8cは、歯科診療装置4の診療装置制御部8に具備されている。
ヘッドレスト制御部8aは、ヘッドレスト7aを傾動させるヘッドレスト駆動部9aの駆動を制御する。座席シート制御部8bは、座席シートを昇降させる座席シート駆動部9bの駆動を制御する。バックレスト制御部8cは、バックレスト7bを傾動させるバックレスト駆動部9cの駆動を制御する。
内視鏡制御部82は、口元観察カメラ12の観察結果に応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。一例として、内視鏡制御部82は、口元観察カメラ12で撮像した口元の位置に応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動量を増減するように補正する。内視鏡制御部82は、口元観察カメラ12の観察結果により患者Pが口腔を閉じていると判断できる場合には、内視鏡20が可動(口腔内への挿入、湾曲等)しないように制御する。
内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で歯牙選択操作を受け付けた場合、受け付けた歯牙選択操作に係る歯牙の部位に対応する第1可動プラン(後述)を記憶部86から読み込み、読み込んだ可動プランに基づいて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で目標領域選択操作を受け付けた場合、受け付けた目標領域選択操作に係る観察目標領域に対応する第2可動プラン(後述)を記憶部86から読み込み、読み込んだ可動プランに基づいて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。
撮像制御部84は、撮像操作部33で受け付けた撮像操作に基づいて、内視鏡撮像部25の動作を制御する。撮像制御部84は、撮像操作部33において撮像記録のON/OFFを実行する撮像操作を受け付けた場合、内視鏡撮像部25による撮像を開始/停止させる。撮像制御部84は、撮像操作部33において画像の拡大率を変更する撮像操作を受け付けた場合、画像拡大率変更部27のモータ27bを駆動させて拡大レンズ27aを移動させ、内視鏡20が撮像する画像の拡大率を変更する。
画像制御部85は、内視鏡撮像部25の撮像結果(撮像データ)に係る画像を術者用モニタ11に表示させる。画像制御部85は、内視鏡撮像部25の撮像結果に対して公知の種々の画像処理を実行してもよい。記憶部86は、内視鏡可動部60による内視鏡20の第1可動プランを、複数の歯牙の部位ごとに当該歯牙の部位に応じて記憶する。記憶部86は、内視鏡可動部60による内視鏡20の第2可動プランを、複数の観察目標領域ごとに当該観察目標領域に応じて記憶している。記憶部86は、第1記憶部及び第2記憶部を構成する。
第1可動プラン及び第2可動プランは、内視鏡20を可動させる際に予定される内視鏡可動部60の動作遷移である。第1可動プラン及び第2可動プランは、内視鏡20を自動的に可動する際に指針となる制御プランである。第1可動プランは、内視鏡操作部32で歯牙選択操作を受け付けた場合に係るプランであって、例えば当該歯牙の部位を観察しやすい位置(距離)、向き、ないし姿勢等となるように、内視鏡20を可動させるプランである。第2可動プランは、内視鏡操作部32で目標領域選択操作を受け付けた場合に係るプランであって、例えば当該観察目標領域を観察しやすい位置(距離)、向き、ないし姿勢等となるように、内視鏡20を可動させるプランである。
第1可動プラン及び第2可動プランは、直動機構61、回転移動機構62及び湾曲機構63の少なくとも何れかについての可動順序、可動量及び可動時間の少なくとも1つ含んでいてもよい。なお、第1可動プラン及び第2可動プランは特に限定されず、種々のパラメータ等を含んでいてもよい。
キャリブレーション制御部87は、キャリブレーション操作部36においてキャリブレーションを実行する操作を受け付けた場合、キャリブレーションを実行する。キャリブレーションでは、内視鏡可動部60で内視鏡20を可動する際の初期位置又は初期状態をキャリブレートすることができる。例えば、キャリブレーションでは、内視鏡可動部60の直動機構61で内視鏡20を可動させる際の初期位置をキャリブレートすることができる。また例えば、キャリブレーションでは、内視鏡可動部60の回転移動機構62で内視鏡20を可動させる際の初期θ方向位置をキャリブレートすることができる。また例えば、キャリブレーションでは、内視鏡可動部60の湾曲機構63で内視鏡20を可動させる際の初期湾曲状態をキャリブレートすることができる。
ハンドピース制御部88は、リーダライタRWから送信されてくる情報に基づいて、内視鏡20の先端にハンドピース70が取り付けられているか否かを判断する。更に、ハンドピース制御部88は、内視鏡20の先端にハンドピース70が取り付けられている場合には、出力されてくる固有の識別番号に基づいて、どのハンドピース70(超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、又は光重合用ハンドピース70d)が取り付けられているかを判断する。
ハンドピース制御部88は、リーダライタRWにおける検出の有無に基づいて、操作スイッチ30又はフートコントローラ40における操作機能を切り替える。具体的には、操作スイッチの場合、ハンドピース70が取り付けられている場合と取り付けられていない場合とで、スイッチ(ボタン)と各種操作(機能)との対応関係を変更する。操作スイッチがタッチパネルの場合には、ハンドピース70が取り付けられている場合と取り付けられていない場合とで、インタフェイスを変更してもよい。フートコントローラ40の場合も同様に、各ペダル41〜45と各種操作(機能)との対応関係を変更する。言い換えれば、術者Dによって実行される機能切替えスイッチ46による機能切替操作が、ハンドピース70の有無の検知結果に基づいて自動的に実行される。
ハンドピース制御部88は、ハンドピース媒体操作部34で受け付けた操作に基づいて媒体出力部50による媒体の出力、すなわちハンドピース70からの媒体の放射を制御する。ハンドピース制御部88は、ハンドピース媒体操作部34で媒体選択操作を受け付けた場合、取り付けられたハンドピース70に対応する媒体を媒体出力部50によってハンドピース70に供給させる。具体的には、ハンドピース制御部88は、超音波スケーラハンドピース70aが取り付けられているときには、スイッチ回路57を制御して超音波スケーラハンドピース70aに電力を供給させ、エアタービンハンドピース70bが取り付けられているときには、エア用電磁弁58を制御してエアタービンハンドピース70bにエアを供給させ、マイクロモータハンドピース70cが取り付けられているときには、スイッチ回路57を制御してマイクロモータハンドピース70cに電力を供給させ、光重合用ハンドピース70dが取り付けられているときには、光重合用光源59を制御して光重合用ハンドピース70dに光を供給させる。
また、ハンドピース制御部88は、ハンドピース移動操作部35で受け付けた操作に基づいてハンドピース70の移動を制御する。ハンドピース70の移動に関する制御は、内視鏡制御部82における内視鏡20の可動制御と基本的に同じであるので詳細な説明は省略する。例えば、ハンドピース制御部88は、支持部としての可撓管20aに取り付けられるハンドピース70のサイズ等に応じたオフセット制御をしてもよい。この場合には、ハンドピース制御によって判断されるハンドピース70の種類に応じてオフセット量を変更してもよい。
ハンドピース70には、方向性が無いストレートハンドピースと方向性のあるコントラアングル型ハンドピースとがある。切削工具が取り付けられるヘッドが把持部に対して角度を持たせたコントラアングルハンドピースでは、切削工具を目的とする歯牙に向けるために適切に方向性を持たせる必要がある。内視鏡20に取り付けられたハンドピース70の種類がハンドピース制御部88によって識別できる本実施形態では、ハンドピース制御部88は、上記方向性を考慮して、ハンドピース70の移動に関する制御を実施することができる。
以上、歯科診療装置1では、術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32を操作することで、内視鏡20の視野が所望な視野となるように内視鏡20を可動させ、口腔内での観察部位を自動的に変更することができる。また、内視鏡20の先端側にハンドピース70が取り付けられているときには、ハンドピース移動操作部35において操作を行うことで、ハンドピース70が所望位置に位置するように内視鏡20の可動部を可動させ、口腔内での診療位置を自動的に変更することができる。したがって、口腔内での観察部位及び診療部位の変更を、術者の操作により自動的に実行することが可能となる。この結果、内視鏡20における観察部位だけでなくハンドピース70における診療部位の変更を、術者Dの操作により自動的に実行できるようになり、機能の拡充を図ることが可能となる。また、術者Dは、例えばPD(proprioceptive derivation)コンセプトに基づくポジションを維持した治療が容易に可能となる。
歯科診療装置1は、内視鏡20にハンドピース70が着脱されているか否かを検出するリーダライタRWを更に備え、ハンドピース制御部88は、リーダライタRWにおける検出の有無に基づいて操作スイッチ30又はフートコントローラ40における操作機能を切り替えている。これにより、ハンドピース70の有無に基づいて術者Dが意図的に操作機能を切り替えなくとも、操作スイッチ30又はフートコントローラ40における操作機能が自動的に切り替えることができる。
歯科診療装置1は、媒体操作部31及び内視鏡操作部32を含むフートコントローラ40を備える。これにより、術者Dは、口腔内での観察部位及び診療部位の変更を手で使わずに操作することができる。術者Dは患者Pの口腔内に手指を入れて診療することから、手で使わずに操作できることは、交差感染を防ぐ意味でも特に有効である。
歯科診療装置1では、媒体出力部50は、複数の媒体のうちの少なくとも一つを出力させる。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の媒体操作部31又はハンドピース媒体操作部34を操作し、複数の媒体のうち少なくとも一つを選択する媒体選択操作を実行することで、その媒体選択操作に応じて媒体出力部50を動作させ、所望の媒体を内視鏡20の先端開口から放射又はハンドピース70に供給させることができる。
歯科診療装置1では、媒体出力部50は、水、空気、電気及び照明光のうちの少なくとも一つを出力させる。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の媒体操作部31又はハンドピース媒体操作部34を操作し、水、空気、電気及び照明光のうち少なくとも一つを選択する媒体選択操作を実行することで、その媒体選択操作に応じて媒体出力部50を動作させ、所望の媒体(水、空気、電気及び照明光のうちの少なくとも一つ)を内視鏡20の先端開口から放射又はハンドピース70に供給させることができる。
歯科診療装置1では、媒体出力部50で出力させるエア、水、電力は、支持アーム3の内部に配置された内部空間5を介して供給される。この構成では、支持アーム3の内部を利用してエア、水、電力を供給することが可能となる。
歯科診療装置1では、筐体10に術者用モニタ11が設けられている。これにより、内視鏡20による口腔内の観察結果及びハンドピース70による口腔内の診療結果を筐体10上で表示することが可能となる。
歯科診療装置1では、筐体10には、口腔に向けた口元観察カメラ12が設けられている。これにより、口元観察カメラ12の観察結果を利用して、患者Pの口腔の開口度を把握することが可能となる。
歯科診療装置1では、内視鏡可動部60は、内視鏡の先端側を移動させる内視鏡移動機構(直動機構61、回転移動機構62及び湾曲機構63)を有する。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35を操作し、内視鏡20を移動させる移動操作を実行することで、その移動操作に応じて内視鏡移動機構を動作させ、内視鏡20の先端側又はハンドピース70の先端側を自動的に移動させることができる。
歯科診療装置1では、内視鏡可動部60は湾曲機構63を有する。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35を操作し、湾曲機構63の移動操作を実行することで、その移動操作に応じて湾曲機構63を動作させ、内視鏡20の先端側を自動的に湾曲させることができる。
歯科診療装置1では、内視鏡可動部60は回転移動機構62を有する。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35を操作し、回転移動機構62の移動操作を実行することで、その移動操作に応じて回転移動機構62を動作させ、θ方向において内視鏡20又はハンドピース70を自動的に回転させることができる。その結果、術者Dは、歯牙(歯式)を判断しやすいように、内視鏡20で撮像する画像をθ方向に回転させたり、歯牙に対しハンドピース70を所望の角度で近接させたりすることができる。
歯科診療装置1では、内視鏡可動部60は直動機構61を有する。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35を操作し、直動機構61の移動操作を実行することで、その移動操作に応じて直動機構61を動作させ、内視鏡20又はハンドピース70を自動的に直動させることができる。
歯科診療装置1では、術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35を操作し、内視鏡20又はハンドピース70を口腔から退出させる退出操作を実行することで、内視鏡20を直線状に延びるように可動させた後、当該内視鏡20又はハンドピース70を初期位置まで口腔から離れる方向に移動させることができる。したがって、退出操作を行うことで、内視鏡20又はハンドピース70を患者Pの歯牙及び頬に触れないように直線状にした上で、当該内視鏡20又はハンドピース70を口腔から自動的に退出させることができる。
歯科診療装置1では、術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32を操作し、内視鏡20を筐体10に収納する収納操作を実行することで、直動機構61により内視鏡20を移動させ、内視鏡20の少なくとも基端側を筐体10内に収納させることができる。これにより、歯科診療装置1の不使用時、内視鏡20の少なくとも基端側を筐体10内に収納してコンパクト化することができる。
歯科診療装置1では、記憶部86は、内視鏡可動部60による内視鏡20の第1可動プランを、複数の歯牙の部位ごとに当該歯牙の部位に応じて記憶する。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35を操作し、複数の歯牙の部位のうちの何れかを選択する歯牙選択操作を実行することで、その歯牙選択操作に係る歯牙の部位に対応する第1可動プランが記憶部86から読み込まれる。そして、読み込まれた第1可動プランに基づいて内視鏡可動部60による内視鏡20の可動が制御され、当該歯牙の部位に応じて内視鏡20又はハンドピース70が自動的に移動される。すなわち、当該歯牙の部位を内視鏡20による観察及びハンドピース70による治療をする上で有効な位置、向き、ないし姿勢となるように、内視鏡20又はハンドピース70を自動的に移動させることができる。歯牙の部位を観察する際、いちいち内視鏡20の先端位置又はハンドピース70の先端を調整しなくともよく、歯牙の部位ごとに当該歯牙の部位に応じた操作を行う必要性を低減することが可能となる。
ちなみに、歯牙選択操作として、大まかに定められた上下左右の前歯又は臼歯等の歯牙のブロック(領域)を選択することで、この歯牙のブロックへ内視鏡20又はハンドピース70の先端側を自動的に移動させた後、細かな調整のみ内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35でマニュアル操作してもよい。
歯科診療装置1では、記憶部86は、内視鏡可動部60による内視鏡20の第2可動プランを、複数の観察目標位置ごとに当該観察目標位置に応じて記憶すると共に、複数の治療目標位置ごとに当該治療目標位置に応じて記憶する。術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40の内視鏡操作部32を操作し、複数の観察目標位置のうちの何れかを選択する目標位置選択操作を実行することで、その目標位置選択操作に係る観察目標位置に対応する第2可動プランが記憶部86から読み込まれる。そして、読み込まれた第2可動プランに基づいて内視鏡可動部60による内視鏡20の可動が制御され、当該観察目標位置に応じて内視鏡20又はハンドピース70が自動的に移動される。また、術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40のハンドピース移動操作部35を操作し、複数の治療目標位置のうちの何れかを選択する目標位置選択操作を実行することで、その目標位置選択操作に係る治療目標位置に対応する第2可動プランが記憶部86から読み込まれる。そして、読み込まれた第2可動プランに基づいて内視鏡可動部60による内視鏡20の可動が制御され、当該治療目標位置に応じて内視鏡20又はハンドピース70が自動的に移動される。すなわち、当該観察目標位置又は当該治療目標位置を観察する上で有効な位置、向き、ないし姿勢となるように、内視鏡20又はハンドピース70を自動的に移動させることができる。
歯科診療装置1では、内視鏡制御部82又はハンドピース制御部88は、診療台7のヘッドレスト7aの基準姿勢に対する傾きに応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。これにより、ヘッドレスト7aの傾きを考慮して、口腔内での観察部位又は治療部位を自動的に変更することが可能となる。同様に、内視鏡制御部82又はハンドピース制御部88は、診療台7のバックレスト7bの基準姿勢に対する傾きに応じて、内視鏡可動部60による内視鏡20の可動を制御する。これにより、バックレスト7bの傾きを考慮して、口腔内での観察部位又は治療部位を自動的に変更することが可能となる。
なお、歯科診療装置1は、以下のように構成されていてもよい。
第1実施形態の歯科診療装置1では、ハンドピース70の例として、超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、及び光重合用ハンドピース70dを例に挙げたが、例えば、治療用のレーザ光を照射可能なレーザ光ハンドピース(レーザ照射器)であってもよい。
この場合には、媒体出力部50は、治療用のレーザ光を発生させるレーザ光光源を有し、このレーザ光を内視鏡20に形成されたレーザ光用のチャンネル24f(図4(a)参照)を介し、内視鏡20の先端側からレーザ光ハンドピースに供給させてもよい。この場合、レーザ光光源は、筐体10に搭載される。レーザ光光源としては、主に半導体レーザが用いられるが、小型のレーザ光源であれば半導体レーザに限られず、他のレーザ光源を用いられていてもよい。ハンドピース媒体操作部34は、レーザ光についての放射のON/OFFを選択する媒体選択操作を受け付ける。当該媒体選択操作は、レーザ光の出力強度、放射時間、放射パターン等を設定する操作を含んでいてもよい。ハンドピース制御部88は、当該媒体選択操作をハンドピース媒体操作部34で受け付けた場合、レーザ光光源を制御し、レーザ光を放射させる。この構成によれば、術者Dの操作に応じて内視鏡20の先端側からレーザ光をレーザ光ハンドピースに供給し、レーザ光ハンドピースからレーザ光を照射して患部の治療を実施することが可能となる。
或いは、支持アーム3に沿って配設したレーザ導光部を介して、外部のレーザ光光源で発生させたレーザ光を筐体10内に導光し、このレーザ光をチャンネル24fを介して内視鏡20の先端側からレーザ光ハンドピースに供給し、レーザ光ハンドピースからレーザ光を照射させてもよい。例えば外部のレーザ光光源としては、診療台7の近傍に配置されたNd−YAGレーザ、CO2レーザ又はEr−YAGレーザ等が用いられる。
また、歯科診療装置1は、炭酸ガスレーザ、エルビュームヤグレーザ、ネオジウムヤグレーザ等の光源を備え、レーザ光ハンドピースに、炭酸ガスレーザ、エルビュームヤグレーザ、ネオジウムヤグレーザ等を出力させてもよい。これらのレーザ光ハンドピースによれば、硬組織である歯牙を切削又は蒸散したり、歯茎等の軟組織を切開、蒸散、又は止血したりすることができる。
また、ハンドピース70は、根管内観察用ハンドピースであってもよい。根管内観察用ハンドピースは、そのアダプタ先端部が歯の根管内に挿入されて根管の内視を行うものである。アダプタ先端部は、ナイロンチューブ等のような屈曲自在な材料で形成されている。根管内観察用ハンドピースによって観察された画像は、内線又は有線を介して制御部80に出力され、術者用モニタ11に表示させてもよい。また、ハンドピース70は、光重合材料充填装置であってもよい。
また、ハンドピース70は、口腔内の形状を取得する、三次元スキャナであってもよい。この構成では、操作スイッチ30及びフートコントローラ40に設けられたスタートボタンが押されると、ハンドピース制御部88は、内視鏡可動部60によって内視鏡20を可動制御する。そして、ハンドピース制御部88は、三次元スキャナを所定の経路で患者の口腔内を移動させ、自動的に歯牙の三次元形状データを取得する。三次元スキャナは、取得したデータを有線(例えば、内視鏡20に設けられたデータ送信用のチャンネル24f)又は無線でハンドピース制御部88に出力する。ハンドピース制御部88は、入力された三次元形状データを例えば術者用モニタ11に表示させる。また、ハンドピース制御部88は、取得された三次元形状データに基づいて、内視鏡20の先端を移動させてもよい。
また、ハンドピース70は、バキュームシリンジ、又はスリーウェイシリンジであってもよい。この構成では、歯科医としての術者が行う治療だけでなく、医療衛生士としての術者が行う処置も行うことができる。ハンドピース70としてバキュームシリンジを用いる場合には、内視鏡20に吸引用のチャンネル24fを設ければよい。また、ハンドピース70としてスリーウェイシリンジを用いる場合には、内視鏡20に設けられた第1媒体用チャンネル22に接続してもよい。
歯科診療装置1では、内視鏡20(撮像用チャンネル21)の先端部に撮像素子25bを設けたが、撮像素子25bの配置構成は特に限定されず、例えば内視鏡20の基端部に撮像素子25bを設けてもよい。歯科診療装置1は、使い勝手に合わせて、操作スイッチ30及びフートコントローラ40の何れか一方のみを備えていてもよい。
歯科診療装置1は、筐体10に設けられたスピーカを備えていてもよい。この場合、スピーカは、制御部80により制御されて、各種の報知を出力する。例えば制御部80は、例えば口元観察カメラ12の観察結果から患者Pの口腔の開口度を判定し、その開口度が所定以下になれば、当該スピーカから音声等で大きく口を開ける旨を患者Pに報知してもよい。
歯科診療装置1は、内視鏡20に取り付けられたハンドピース70の種類を検知する方法としてRFID及びRFIDのリーダライタRWを用いる例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ハンドピース70に複数のピンを設けると共に、内視鏡20に当該複数のピンの挿入口を設け、当該挿入口で検知できるピンの組合せに基づいてハンドピース70の種類を検知してもよい。また、ハンドピース70に互いに抵抗値の異なるピンを設けると共に、内視鏡20に当該ピンの挿入口を設け、当該挿入口で検知される電流値(抵抗値)に基づいてハンドピース70の種類を検知してもよい。
歯科診療装置1では、ハンドピース70は、内視鏡20に対して軸回りの位置関係(軸回り角度)が常に同じ状態で取り付けられる構成を例に挙げて説明したが、任意の角度で取り付けが可能であってもよい。この場合、ハンドピース70が内視鏡20に対してどのような軸回り角度で取り付けられたかを検出するセンサ等が設けられてもよい。このようなセンサがあれば、例えば、内視鏡操作部32又はハンドピース移動操作部35が操作され、複数の歯牙の部位のうちの何れかを選択する歯牙選択操作を実行された場合に、ハンドピース制御部88は、常に同じ角度で指定された歯牙にハンドピース70を近接させることができる。
歯科診療装置1では、筐体10内に一の内視鏡20が収容されている例を挙げて説明したが、複数の内視鏡20を備えてもよい。更に、複数の内視鏡20のそれぞれの先端には、ハンドピース70が着脱可能に設けられてもよい。
第1実施形態の歯科診療装置1では、軟性鏡としての内視鏡20(図3参照)を例に挙げて説明したが、これに代えて、硬性鏡としての内視鏡を備えてもよい。硬性鏡は、少なくとも口腔内に挿入される先端部が直状の管(支持部)で構成された内視鏡であって、内視鏡撮像部(撮像部)25の視野方向を可変にする機構を備えればよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態の説明では、上記第2実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
図10及び図11に示されるように、本実施形態の歯科診療装置200は、上下方向に沿って延びるように1つの内視鏡20を保持する筐体10(図1参照)に代えて、水平方向に沿って延びるように複数の内視鏡220を保持する筐体210を備える。
筐体210は、上下方向及び水平面内で自在に可動するように支持されている。具体的には、装置台6の上面に設けられた回転部201に、水平方向に移動調整可能であるアーム202が接続され、アーム202には、関節部203を介して垂直方向に移動調整可能なアーム204が接続され、アーム204の先端部には、接続部205を介して筐体210が接続されている。アーム202は、回転部201によって水平方向に回転可能である。アーム204は、関節部203を軸として水平方向又は垂直方向に位置調整可能に可動する。筐体210の上面は、水平に保たれている。
図13及び図14に示されるように、筐体210内には、内視鏡220が水平方向に沿って複数並設されている。これら複数の内視鏡220の基端側は、筐体210内に固定支持されている。筐体210の前側(口腔側)には、複数の内視鏡220が挿通させる開口206が形成されている。開口206は、筐体210内が外部から見えないように開閉扉で閉鎖されてもよい。
内視鏡220は、基端側が筐体210に保持されると共に先端側が口腔内に挿入可能とされ、先端側へ媒体を通す媒体用チャンネルを内部に有する支持部240と、支持部240の先端側に設けられた内視鏡撮像部(撮像部)25と、を有する。本実施形態では、支持部240は、後段にて詳述する筒状アーム243〜247と、アーム241,241とからなる。支持部240を構成するそれぞれの部材は、第1実施形態の内視鏡20と同様に、撮像用チャンネル21、第1媒体用チャンネル22、第2媒体用チャンネル23、第3媒体用チャンネル24a、第4媒体用チャンネル24c、及び第5媒体用チャンネル24dを内部に有する。なお、各チャンネルについては、第1実施形態と同じであるのでここでは詳細な説明は省略する。また、内視鏡220(アーム241)の先端には、着脱部(不図示)を介してハンドピース70が着脱可能に設けられている。なお、内視鏡220に対しハンドピース70を着脱可能に取り付ける構成は第1実施形態と同じであるのでここでは詳細な説明は省略する。また、図13及び14において、ハンドピース70を省略している。
第2実施形態の内視鏡可動部(可動部)60は、内視鏡220を伸縮させる伸縮機構230を、内視鏡移動機構として有する。伸縮機構230は、筒状アーム245〜247を含む。筒状アーム245〜247は、水平方向に伸縮可動するようにかつ相互に回転しないように順次嵌め合わせられる。筒状アーム245〜247は、内視鏡220の一部を構成する。以下、内視鏡可動部60について具体的に説明する。
図13に示されるように、1段目の筒状アーム245には、水平方向にガイド溝403が形成されている。2段目の筒状アーム246には、水平方向にガイド溝404が形成されている。2段目の筒状アーム246の外壁には、1段目の筒状アーム247に形成されたガイド溝403に摺動自在に係合するガイド片405が設けられている。3段目の筒状アーム247の外壁には、2段目の筒状アーム246に形成されたガイド溝404に摺動自在に係合するガイド片406が設けられている。これにより、各筒状アーム245〜247は、ガイド溝403,404にそれぞれ係合するガイド片405,406により回転が阻止され、水平方向にのみ移動(伸縮)できる。
伸縮機構230の内部の中央には、2本のねじ軸408,418を含む伸縮ねじ軸407が設けられている。伸縮ねじ軸407は、ねじ軸408の外周にねじ軸418が水平方向に移動自在に且つ相互に回転しないように嵌合するように構成されている。2本のねじ軸408,418は、例えばボールねじである。ねじ軸408の先端部には、水平方向にキー409が設けられている。ねじ軸418の内周には、キー409が係合するキー溝410が形成されている。ねじ軸408,418は、キー溝410に係合するキー409により回転が阻止され、水平方向にのみ移動(伸縮)する。
筒状アーム246の基部には、ねじ軸408に螺合するナット414と、ねじ軸408に嵌合したねじ軸418の基部を回転自在に支持する軸支持部415とが設けられている。軸支持部415の内周には、ねじ軸418を回転自在に支持する軸受416が設けられている。筒状アーム247の基部には、ねじ軸418に螺合するナット417が設けられている。ねじ軸408,418にそれぞれ螺合するナット414,417は、例えばボールナットである。
2段目の筒状アーム246に軸支持部415を介して支持されたナット414は、1段目の回転軸部材としてのねじ軸408の回転力を直線運動に変えて2段目の筒状アーム246を前進(先端側へ移動)又は後退(基端側へ移動)させる。同様に、3段目の筒状アーム247に支持されたナット417は、2段目の回転軸部材としてのねじ軸418の回転力を直線運動に変えて3段目の筒状アーム247を前進又は後退させる。伸縮機構230は、その後端に設けられた、ねじ軸408を回転させる駆動部428を有する。駆動部428は、モータ419、プーリ420,421及びタイミングベルト422を含む。
このような伸縮機構230によれば、駆動部428の駆動によって伸縮ねじ軸407の基端のねじ軸408が一方向に回転すると、ねじ軸408に螺合されたナット414の回転により2段目の筒状アーム246が前進する。筒状アーム246が前進すると、この筒状アーム246に設けられた軸支持部415にその基部が支持されているねじ軸418も筒状アーム246と一体となって前進する。同時に、このねじ軸418は、内周に形成されたキー溝410に係合するねじ軸408のキー409によりねじ軸408の回転が伝達される。このため、ねじ軸418は、筒状アーム246と一体となって前進しながら、ねじ軸408と一体となって回転する。ねじ軸418が回転すると、ねじ軸418に螺合されたナット417の回転により、3段目の筒状アーム247が前進する。一方、ねじ軸408を上記と反対方向に回転させると、筒状アーム246及び筒状アーム247が同時に後退する。
このように、伸縮ねじ軸407の基端のねじ軸408を一方向に回転させると、2段目の筒状アーム246及びと3段目の筒状アーム247が同期して同じ距離だけ前進する。その結果、伸縮機構230が伸張し、内視鏡220が筐体210から突出する。一方、ねじ軸408を反対方向に回転させると、2段目の筒状アーム246及びと3段目の筒状アーム247が同期して同じ距離だけ後退する。その結果、伸縮機構230が縮小し、内視鏡220が筐体210にコンパクトに収納される。なお、筒状アーム245〜247は、同軸状に形成された角筒状であってもよい。伸縮機構230は、2個又は4個以上の筒状アームで構成されていてもよい。
第2実施形態の内視鏡操作部32は、内視鏡220の先端側を移動させる移動操作として、伸縮機構230を伸長又は縮小させる移動操作を受け付ける。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32において当該移動操作を受け付けた場合、その移動操作に応じて伸縮機構230を伸長又は縮小して、内視鏡220の先端側を移動させる。
図13に示されるように、本実施形態の内視鏡可動部60は、内視鏡220を屈曲させる屈曲機構250を内視鏡移動機構として有する。ここでの屈曲機構250は、内視鏡220をθ方向に回転させる機構、及び、内視鏡220を伸縮させる機構を含んでいる。以下、屈曲機構250について具体的に説明する。
屈曲機構250は、筒状アーム244、筒状アーム243、アーム242及びアーム241を含む。筒状アーム244、筒状アーム243、アーム242及びアーム241は、内視鏡220の一部を構成する。筒状アーム244は、筒状アーム247に駆動部235を介して接続されている。駆動部235は、例えばモータであり、筒状アーム244の軸方向に沿う回転軸235aを有する。図13(b)に示されるように、駆動部235が回転すると、筒状アーム247に対してθ方向に筒状アーム244が回転する。
筒状アーム243は、筒状アーム244に駆動部234を介して接続されている。駆動部234は、例えばモータであり、水平方向に沿う回転軸234aを有する。図13(c)に示されるように、駆動部234が回転すると、筒状アーム244に対して上方又は下方に筒状アーム243が回転する。アーム242は、筒状アーム243に伸縮部233を介して接続されている。図13(b)に示されるように、アーム242は、伸縮部233を基準にして、筒状アーム243に収納されたり、筒状アーム243から突出したりする。
アーム241は、アーム242に駆動部232を介して接続されている。駆動部232は、例えばモータであり、水平方向に沿う回転軸232aを有する。図13(c)に示されるように、駆動部232が回転すると、アーム242に対して上方又は下方にアーム241が回転する。つまり、屈曲機構250は、駆動部232が駆動部234と協働して、内視鏡220をその長手方向に対して屈曲するように構成されている。なお、屈曲機構250の構成としては、上述の具体的構成に限定されず、種々の公知の構成を採用することができる。例えば屈曲機構250は、3〜5個の剛体の管体を屈曲自在に連結してなる構成であってもよい。
図10に示されるように、本実施形態では、このような構成の支持部240を有する内視鏡220が6本設けられている。また、6本の内視鏡220の先端には、それぞれハンドピース70が着脱可能に設けられている。6本のハンドピース70は、超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、光重合用ハンドピース70d、レーザ光ハンドピース、及び三次元スキャナ70fである。なお、図10及び図11では、内視鏡220の先端に取り付けられているハンドピース70の図示を省略する。
図12に示されるように、内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で受け付けた操作に基づいて、内視鏡可動部60による内視鏡220の可動を制御する。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で受け付けた移動操作に基づいて、伸縮機構230及び屈曲機構250の少なくとも一方の動作を、エンコーダ等で位置検出してフィードバック制御する。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32において内視鏡220の基端側の伸縮を操作する伸縮操作を受け付けた場合、その移動操作に応じて、伸縮機構230によって内視鏡220の基端側を伸縮させる。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32において内視鏡220の先端側の屈曲を操作する移動操作を受け付けた場合、その移動操作に応じて、屈曲機構250によって内視鏡220の先端側を屈曲させる。
内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32で収納操作を受け付けた場合、伸縮機構230により内視鏡220を移動させ、内視鏡220を筐体10内に収納させる。収納する内視鏡220の範囲は特に限定されないが、内視鏡220の基端側から中央部に亘る範囲であってもよいし、内視鏡220の先端部以外の範囲であってもよい。
ハンドピース制御部88は、第1実施形態の制御に加え、下記の制御を実行する。すなわち、ハンドピース制御部88は、三次元スキャナによって取得された口腔内の形状に基づいて、内視鏡220(内視鏡220を構成する支持部240)同士が互いに接触しないように内視鏡220の可動を制御する。また、ハンドピース制御部88は、筐体210に設けられた口元観察カメラ12によって撮像された画像に基づいて、内視鏡220(内視鏡220を構成する支持部240)同士が互いに接触しないように内視鏡220の可動を制御してもよい。
なお、媒体制御部81、撮像制御部84、画像制御部85、記憶部86、及びキャリブレーション制御部87における各種制御は、第1実施形態と同じであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
また、歯科診療装置200は、術者用モニタ11(図1参照)に代えて、装置台6に設けられたモニタ211を備える。モニタ211は、内視鏡220で撮像した画像を表示する表示部として機能する。なお、モニタ211は、術者Dへの観察結果の表示用として使用可能であるだけでなく、患者Pへの説明用として使用可能である。
歯科診療装置200において、媒体出力部50は、歯牙を透過観察するための透過光(X線を含む)を発生させる透過光用光源を有し、複数の内視鏡220のうちの少なくとも何れかの先端側から透過光を放射させてもよい。この場合、透過光を放射する内視鏡220とは別の内視鏡220の撮像素子25bは、歯牙を透過した透過光を受光する透過光用の撮像素子であってもよい。
なお、歯科診療装置200では、操作スイッチ30が装置台6に設けられている。装置台6に固定された垂直支柱4aには、マイクロフォン207を保持するアーム207aと、俯瞰カメラ208を保持するアーム208aと、無影灯209を保持するアーム209aと、が接続されている。装置台6の上面には、図示しないスピットンが設けられている。ねじ軸408が中空軸で構成され、その中空軸の中空部に媒体用チャンネル(媒体通路)が挿通され、これにより、他の実施形態と同様に、内視鏡220の先端から媒体を放射可能又は内視鏡220の取り付けられるハンドピース70に供給可能とされている。
以上、歯科診療装置200においても、上記第1実施形態と同様な効果、すなわち、口腔内での観察部位又は治療部位の変更と媒体の放射又は出力とを術者Dの操作により自動的に実行できる等の効果を奏する。
歯科診療装置200では、内視鏡可動部60は屈曲機構250を有する。術者Dは、内視鏡操作部32により移動操作を行うことで、その移動操作に応じて屈曲機構250を動作させ、内視鏡20を所望に屈曲させることができる。
ちなみに、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、筐体210に操作スイッチ30(媒体操作部31、内視鏡操作部32、撮像操作部33、ハンドピース媒体操作部34、ハンドピース移動操作部35及びキャリブレーション操作部36)及び術者用モニタ11(表示部)を設けてもよい。
歯科診療装置200では、6つ(複数)のハンドピース70のうちの一つは、口腔内の形状を取得する三次元スキャナ70fであり、ハンドピース制御部88は、三次元スキャナ70fによって取得された口腔内の形状に基づいて、内視鏡220(内視鏡220を構成する支持部240)同士が互いに接触しないように内視鏡220の可動を制御する。この構成では、三次元スキャナ70fによってそれぞれの内視鏡220の位置を容易に取得できる。これにより、内視鏡220同士が互いに接触しないような内視鏡220の可動制御を容易に実現することができる。
歯科診療装置200では、筐体210には、口元観察カメラ12及び近接センサの少なくとも一方が更に設けられ、ハンドピース制御部88は、口元観察カメラ12によって撮像された画像及び近接センサによって検知された検知結果の少なくとも一方に基づいて、内視鏡220(内視鏡220を構成する支持部240)同士が互いに接触しないように内視鏡220の可動を制御する。この構成では、口元観察カメラ12又は近接センサによってそれぞれの内視鏡220の位置を容易に取得できる。これにより、内視鏡220同士が互いに接触しないような内視鏡220の可動制御を容易に実現することができる。
歯科診療装置200では、複数の内視鏡220を協働させることで、多種多様な観察及び診療が可能となる。例えば、一の内視鏡220と他の内視鏡220とを、歯牙を介して向き合うように配置させ、一の内視鏡220の先端側から透過光を歯牙へ放射し、他の内視鏡220の撮像素子25bにより、歯牙を透過した当該透過光を受光してもよい。これにより、歯牙の透過画像(X線画像を含む)を取得することができる。なお、透過光としてX線を使用する場合には、受光側にX線から変換された可視光を検出するCCD等の撮像素子を配置して透過画像を取得してもよいし、透過X線を直接的に検出する素子を配置して透過画像を取得してもよい。また、投光側として患者Pの口腔内にX線管を挿入して、顔面に押し当てられた受光部に向けてX線を照射する体腔管方式によって透過画像を取得してもよい。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。上記第1実施形態の歯科診療装置1では、支持部としての可撓管20aの先端にハンドピース70が着脱可能に設けられている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、図15及び図16に示されるように、観察機能を有さない支持部としての可撓管120の先端にハンドピース70が着脱可能又は着脱不能(すなわち一体的)に設けられてもよい。すなわち、変形例に係る歯科診療装置300では、内視鏡20を構成要素として有していない。
ハンドピース70が着脱可能に設けられる場合、図4(a)に示される可撓管20aの先端とは異なり、可撓管120には、可撓管120の先端から媒体を放射するためのチャンネル(撮像用チャンネル21、第1媒体用チャンネル22、及び第2媒体用チャンネル23)は形成されず、ハンドピース70に媒体を供給するためのチャンネル(第3媒体用チャンネル24a、第4媒体用チャンネル24c、及び第5媒体用チャンネル24d)のみが形成される。可撓管120は、直動機構61、回転移動機構62、及び湾曲機構63からなる支持部可動部360が、ハンドピース制御部88によって制御されることにより可動可能となる。
図15に示されるような構造を有する可撓管120の構成とすれば、可撓管120の先端にハンドピース70を選択的に取り付けることが可能となる。図15に示される例では、超音波スケーラハンドピース70a、エアタービンハンドピース70b、マイクロモータハンドピース70c、及び光重合用ハンドピース70dが取り付け可能であるが、可撓管120に適切なチャンネル(例えば、チャンネル24f)を追加することにより、レーザ光ハンドピース(レーザ照射器)、根管内観察用ハンドピース、三次元スキャナ、バキュームシリンジ及びスリーウェイシリンジも取り付けることが可能になる。
以上、変形例に係る歯科診療装置300では、術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40のハンドピース移動操作部35において操作を行うことで、ハンドピース70が所望位置に位置するように可撓管120の可動部を可動させ、口腔内での診療位置を自動的に変更することができる。したがって、口腔内での診療部位の変更を、術者の操作により自動的に実行することが可能となる。
また、第2実施形態においても同様に、観察機能を有さない支持部としてのアーム241の先端にハンドピース70が着脱可能又は着脱不能に設けられてもよい。この場合の効果も、上記変形例と同じである。
上記実施形態では、内視鏡20で撮像した画像を表示する表示部としての術者用モニタ11が筐体10と一体的に構成されているが、これに限定されない。図17に示されるように、内視鏡20で撮像した画像を表示するモニタ301が、筐体10と一体的に構成されず、筐体10から離れた場所に配置されていてもよい。図示される一例では、モニタ301は、歯科診療装置4に設けられている既存の診療用モニタである。モニタ301は、支持アーム3の垂直支柱4aに取り付けられている。
上記実施形態では、内視鏡可動部60は、内視鏡の長手方向と垂直で且つ互いに直交する第1方向及び第2方向に沿って筐体に対して内視鏡を相対的に移動する直交移動機構310を、内視鏡移動機構として有していてもよい。以下、図18及び図19を参照して、歯科診療装置1に搭載された直交移動機構310を例に具体的に説明する。
直交移動機構310では、筐体10内に設けられた取付座311上に、一対のY軸レール312が設けられている。一対のY軸レール312は、水平且つ互いに平行に延在する。Y軸レール312には、当該Y軸レール312に沿って移動するY軸スライダ313が取り付けられている。Y軸スライダ313には、第1プラットフォーム314が設けられている。筐体10の下部及び第1プラットフォーム314の中央部には、内視鏡20を挿通させる開口315,316がそれぞれ形成されている。
第1プラットフォーム314上には、一対のX軸レール317が設けられている。一対のX軸レール317は、水平且つ互いに平行に延在する。X軸レール317は、Y軸レール312と直交する。X軸レール317には、当該X軸レール317に沿って移動するX軸スライダ318が取り付けられている。X軸スライダ318には、第2プラットフォーム319が設けられている。第2プラットフォーム319の中央部には、内視鏡20の基端側が固着されている。
第1プラットフォーム314には、ボールナット320が固着されている。ボールナット320には、筐体10内に固定されたY軸ステップモータ321の回転軸と結合されたボールねじ322が螺合されている。これにより、第1プラットフォーム314は、Y軸ステップモータ321の回転によってY軸レール312上を摺動する。同様に、第2プラットフォーム319には、ボールナット323が固着されている。ボールナット323には、第1プラットフォーム314に固定されたX軸ステップモータ324の回転軸と結合されたボールねじ325が螺合されている。これにより、第2プラットフォーム319は、X軸ステップモータ324の回転によってX軸レール317上を摺動する。
このような直交移動機構310の下、内視鏡操作部32は、移動操作として、直交移動機構310を駆動させる操作を受け付ける。内視鏡制御部82は、内視鏡操作部32において直交移動機構310を駆動させる移動操作を受け付けた場合、その移動操作に応じて、Y軸ステップモータ321及びX軸ステップモータ324を駆動させる。これにより、X軸方向(第1方向)及びY軸方向(第2方向)に沿って、内視鏡20を筐体10に対して相対的に移動し、ひいては内視鏡20の先端側を移動することが可能となる。したがって、術者Dは、操作スイッチ30又はフートコントローラ40を操作し、内視鏡操作部32で直交移動機構310の移動操作を実行することにより、その移動操作に応じて直交移動機構310を動作させ、内視鏡20を所望にX軸方向及びY軸方向に沿って移動させることができる。
上記実施形態では、内視鏡20,220の先端にハンドピース70が取り付けられていないとき、媒体出力部50により水、エア、スプレー、照明光を放射させたが、媒体出力部50が放射させる媒体は特に限定されず、以下に例示されるように、その他の種々の媒体を放射してもよい。
すなわち、媒体出力部50は、光重合硬化のための第1青色光を発生させる光重合用光源を有し、この第1青色光を内視鏡20,220の先端側から放射させてもよい。この場合、光重合用光源は、筐体10,210に搭載される。例えば光重合用光源は、波長が420μm〜480μmの青色光を第1青色光として発生させる。媒体操作部31は、第1青色光についての放射のON/OFFを選択する媒体選択操作を受け付ける。当該媒体選択操作は、第1青色光の出力強度、放射時間、放射パターン等を設定する操作を含んでいてもよい。媒体制御部81は、当該媒体選択操作を媒体操作部31で受け付けると、光重合用光源を制御し、第1青色光を放射させる。この構成によれば、術者Dの操作に応じて内視鏡20,220の先端側から第1青色光を放射し、光重合硬化を実施することが可能となる。
また、媒体出力部50は、口腔内の異変部の検出を可能とする第2青色光を発生させる異変部検出用光源を有し、この第2青色光を内視鏡20,220の先端側から放射させてもよい。この場合、異変部検出用光源は、筐体10,210に搭載される。例えば異変部検出用光源は、波長が400nm〜470nm及び655nmの青色光を第2青色光として発生させる。媒体操作部31は、第2青色光についての放射のON/OFFを選択する媒体選択操作を受け付ける。当該媒体選択操作は、第2青色光の出力、放射時間、放射パターン等を設定する操作を含んでいてもよい。媒体制御部81は、当該媒体選択操作を媒体操作部31で受け付けた場合、異変部検出用光源を制御し、第2青色光を放射させる。異変部は、第2青色光が照射されると蛍光を発する部位であり、例えば歯石、歯垢、う蝕部、レジン充填物等である。この構成によれば、術者Dの操作に応じて内視鏡20,220の先端側から第2青色光を放射し、異変部の検出を実施することが可能となる。第2青色光を放射する場合、撮像素子25bとしては、可視光用の撮像素子に限定されず、異変部が発する蛍光を受光する蛍光用の撮像素子であってもよい。
上記実施形態では、表示部(モニタ11,211)に2次元画像を表示してもよいし、立体画像(3次元画像)を表示してもよい。立体画像を表示する場合、内視鏡20は、立体観察可能な内視鏡撮像部25を有し、画像制御部85は、当該内視鏡撮像部25で得られた撮像データに基づき立体画像を表示部に表示させる。これにより、表示部において患部を立体視することができる。例えば、根管内の観察で根管分岐部の確認等が行いやすくなる。
立体観察可能な内視鏡撮像部25としては、特に限定されず、立体観察用の公知の種々の技術を採用できる。例えば立体観察可能な内視鏡撮像部25では、RGB−Dカメラ及びライトフィールドカメラの技術を利用することができる。例えば立体観察可能な内視鏡撮像部25は、左眼用の撮像素子と右眼用の撮像素子とを含んで構成することができる。立体画像を取得する手法として、例えば、合焦法、共焦点法、三角測量法、白色干渉法、ステレオ法、フォトグラメトリ法、SLAM法(Simultaneous Localization and Mapping)、又は、光干渉断層法(Optical Coherence Tomography: OCT)等を利用することもできる。
上記実施形態では、画像拡大率変更部27は、モータ27bを駆動させて拡大レンズ27aを移動させることで、内視鏡20が撮像する画像の拡大率を変更したが、これに代えてもしくは加えて、内視鏡20で得られた撮像データに対する画像処理(デジタル拡大画像処理)を実行することで、内視鏡20が撮像する画像の拡大率を変更してもよい。
上記実施形態では、筐体10,210に口元観察カメラ12を設けたが、これに代えてもしくは加えて、近接センサを設けてもよい。この場合、近接センサの検出結果を利用して、患者Pと筐体10,210との接近度を把握することが可能となる。これにより、患者Pが所定距離以下に近づいたときには、内視鏡20,220のそれ以上の患者Pへの接近を停止、又は、患者Pから離れる方向へ移動させることで、内視鏡20,220が歯牙又は頬に当たることを回避できる。また、この構成では、口元観察カメラ12又は近接センサによってそれぞれの内視鏡220の位置を容易に取得できる。これにより、ハンドピース制御部88は、内視鏡220同士が互いに接触しないように内視鏡220の可動制御することができる。
上記実施形態では、各種の動作を実行する駆動源としてモータ27b,61a,62a,63d,63eを用いているが、これに代えてもしくは加えて、油圧ピストン又は空圧ピストン等の種々の駆動源を用いてもよい。上記実施形態では、表示部は、双眼の接眼レンズ及び鏡筒を有し、術者Dが両目でのぞき込むものであってもよい。
上記実施形態では、操作スイッチ30は、媒体操作部31、内視鏡操作部32、撮像操作部33、ハンドピース移動操作部35、キャリブレーション操作部36及びキャリブレーション操作部36を含んでいるが、これらのうちの少なくとも何れかを含んでいればよい。同様に、フートコントローラ40は、媒体操作部31、内視鏡操作部32、撮像操作部33、ハンドピース媒体操作部34、ハンドピース移動操作部35、キャリブレーション操作部36、ヘッドレスト操作部47、座席シート操作部48及びバックレスト操作部49のうちの少なくとも何れかを含んでいてもよい。
上記実施形態の歯科診療装置4では、のヘッドレスト7aの傾動(傾き)と内視鏡20,220の可動(観察装置)とを連動させて制御してもよい。以下、図20及び図21を参照しつつ、具体的に説明する。
図20(a)及び図20(b)に示されるように、診療台7は、昇降自在な座席シート7cと、座席シート7cの端部で傾動自在に接続されたバックレスト7bと、バックレスト7bの端部で傾動自在に接続されたヘッドレスト7aと、を有する。座席シート7cの昇降、バックレスト7bの傾動、及び、ヘッドレスト7aの傾動は、油圧又は電動モータで駆動することができる。
ヘッドレスト7a及びバックレスト7bは、診療台7の長手軸に対して直交する方向を軸にして回転自在に構成され、前後方向に倒れるように傾動する。また、ヘッドレスト7aは、図21に示されるように、その下部に設けられた長手軸7xを中心として左右に振れるように傾動する。例えばヘッドレスト7aは、患者Pが正面を向いた正面姿勢位置(図示する患者PCとなるヘッドレスト7aC)を中心に、右向き姿勢位置(図示する患者PRとなるヘッドレスト7aR)と左向き姿勢位置(図示する患者PLとなるヘッドレスト7aL)との間で左右に傾動する。
記憶部86は、内視鏡可動部60による内視鏡20,220の可動量とヘッドレスト7aの傾動量とを含む制御量セットを、歯牙診療領域に応じて記憶する。記憶部86は第3記憶部を構成する。歯牙診療領域は、診療する歯牙の領域である。歯牙診療領域は、上述した内視鏡操作部32で選択可能な歯牙の部位及び観察目標領域を含む。なお、このような第3記憶部を診療装置制御部8が有していてもよい。
内視鏡制御部82及びヘッドレスト制御部8aは、入力された歯牙診療領域に対応する制御量セットを記憶部86から読み込む。内視鏡制御部82及びヘッドレスト制御部8aは、読み込んだ制御量セットに基づいて、内視鏡可動部60による内視鏡20,220の可動及びヘッドレスト駆動部9aによるヘッドレスト7aの傾動をそれぞれ制御する。例えば歯牙診療領域の入力は、操作スイッチ30、フートコントローラ40及び歯科診療装置4の操作部(不図示)の少なくとも何れかにおいて実行することができる。
これにより、歯牙診療領域を入力することで、その歯牙診療領域に応じて内視鏡20,220の可動とヘッドレスト7aの傾動とを連動させ、内視鏡20,220による観察範囲を拡大することができる。また、患者P及び術者Dの姿勢変更に伴う負担を減らすことができる。なお、ヘッドレスト7aの傾動のみならず、バックレスト7bの傾動及び座席シート7cの昇降の少なくとも何れかについても、内視鏡20,220の可動と連動させてもよい。当該連動には、内視鏡20,220とヘッドレスト7aとを同時に駆動することだけでなく、連続的に駆動することが含まれる。
また、歯牙診療領域に応じて内視鏡20,220の可動とヘッドレスト7aの傾動とを連動させる際、当該連動には、上記のように、ヘッドレスト7aの前後方向への傾動との連動と共に、ヘッドレスト7aの左右方向への傾動との連動が含まれるので、幅広い歯牙診療領域の観察に適合でき、患者Pにとっても術者Dにとってもスムーズに診療することができる。なお、このような内視鏡20,220又は歯科診療装置4の位置ないし形態の変更に対応して、当該位置ないし形態の変更に先立って、内視鏡20,220又は歯科診療装置4から音声ガイドを自動で出力すれば、患者Pにとって安心して対応できるものとなる。また、歯牙診療領域の代わりに歯牙番号を入力し、その歯牙番号に応じて内視鏡20,220の可動とヘッドレスト7aの傾動とを連動させてもよい。