JP6867207B2 - ガラス板合紙用木材パルプ及びその使用、ガラス板用合紙、並びにガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙の検査方法 - Google Patents

ガラス板合紙用木材パルプ及びその使用、ガラス板用合紙、並びにガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙の検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ等のフラットパネル・ディスプレイ用のガラス板を複数枚積層して保管、運搬する過程において、ガラス板を包装する紙、及び、ガラス板の間に挟み込む紙、並びに、これらの紙の製造に使用される木材パルプに関するものである。
一般に、フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板を、複数枚積層して保管する保管過程、トラック等で運搬する流通過程等において、ガラス板同士が衝撃を受けて接触して擦れ傷が発生し、また、ガラス表面が外界からの汚染物質によって汚染されるのを防止する目的でガラス板の間に合紙と称される紙を挟み込むことが行われている。
フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板は、一般の建築用窓ガラス板、車両用窓ガラス板等に比べて、高精細ディスプレイ用に使用されることから、ガラス表面は紙表面に含まれる不純物が極力無いクリーンな表面を保持していること、また、高速応答性や視野角拡大のために平坦度に優れていることが求められる。
このような用途に使用される合紙としては、ガラス板の割れや表面の傷つきを防止できる合紙、また、ガラス表面を汚染しない合紙として、既にいくつか提案されている。例えば、特許文献1には、合紙の表面にフッ素コーティング皮膜を形成する手法が開示されている。また、特許文献2には、ポリエチレン系樹脂製発泡シートとポリエチレン系樹脂製フィルムが貼合された合紙が、特許文献3には、さらしケミカルパルプ50質量%以上を含有するパルプからなる紙であって、特定のアルキレンオキサイド付加物や水可溶性ポリエーテル変性シリコーンを含有するガラス用合紙が、そして、特許文献4には、紙中の樹脂分の量を規定し、ガラス表面の汚染に考慮した原料を使用したガラス板合紙がそれぞれ開示されている。
しかし、これらの合紙によってフラットパネル・ディスプレイ用のガラス板表面の汚染を完全に防げるわけではなく、場合によっては、何らかの原因によるガラス板表面の汚染のため、ガラス板の欠陥率が上昇することがあるのが実状である。
特に最近はフラットパネル・ディスプレイの大型化や高精細化により、ディスプレイの画像等においてこれまで問題とされなかった微小な異物や傷(それらに起因するボツや断線を含む)が存在しても製品として規格外となり歩留まり低下につながる。この問題は年々増えており、また採算性の観点からも、フラットパネル・ディスプレイ等の製造工程において高い歩留まりが求められ、フラットパネル・ディスプレイ用に使用されるガラス板表面の汚染をいかに防止するかが重要である。
特開2012−188785号公報 特開2010−242057号公報 特開2008−208478号公報 特開2006−44674号公報
本発明は、高い清浄度及び傷品位が要求されるフラットパネル・ディスプレイ用の基板材料として用いられるガラス板向けの、当該ガラスの表面の汚染を実際上問題のないレベルにまで低減することが可能な合紙、並びに、当該合紙用の木材パルプを提供することを課題とする。
例えば、TFT液晶ディスプレイの製造工程の一つであるアレイ工程のカラーフィルター基板作製時に、ガラス板表面が汚染されている場合、断線等の問題が生じることが知られている。カラーフィルター基板は、ガラス板に半導体膜、ITO膜(透明導電膜)、絶縁膜、アルミ金属膜等の薄膜をスパッタリングや真空蒸着法等で形成して作製されるが、ガラス板表面に汚染物質が存在すると薄膜から形成した回路パターンに断線が生じたり、絶縁膜の欠陥による短絡が生じるからである。また、カラーフィルター基板の作製において、ガラス板にフォトリソグラフィによるパターンを形成するが、この工程でレジスト塗布時のガラス板面に汚染物質が存在すると、露光や現像後のレジスト膜にピンホールが生じ、その結果断線や短絡が生じる。同様な問題が有機ELディスプレイの製造でも確認されている。有機ELディスプレイはガラス基板にITO陽極、有機発光層、陰極等の薄膜をスパッタリングや蒸着や印刷等で形成して作製されるため、ガラス基板表面に薄膜を阻害する異物が存在すると非発光となる問題が生じる。
このようなガラス板の汚染原因は特定が困難であったが、その原因の一つがガラス板用合紙の表面からガラス板の表面に転写する、極微小且つ極微量の粒子状異物であることが判明している。
したがって、ガラス板用合紙(以下、「ガラス板合紙」ともいう)の表面に存在する粒子状異物のサイズ及び個数を一定以下にすることが考えられる。しかし、ガラス板用合紙の表面の粒子状異物のサイズ及び個数を制限するだけでは、ガラス板表面の汚染を実際上問題のないレベルにまで低減することが困難な場合があることが判明した。
そこで、鋭意検討の結果、本発明者らは、ガラス板合紙の表面だけではなく、その内部における粒子状異物も留意する必要があること、そして、完成品としてのガラス板合紙の内部に存在する粒子状異物を観察するのではなく、ガラス板合紙を解体して又はガラス板合紙の原料である木材パルプを解体して、当該合紙又は当該木材パルプを構成する繊維の分散物の状態とした上で粒子状異物を観察した上で、そのサイズ及び個数を制限することによって、ガラス板の表面の汚染を実際上問題のないレベルにまで低減することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の第1の態様は、ガラス板合紙用木材パルプであって、
JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って前記木材パルプを分散させてスラリーを調製し、
前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が30000個/μg以下であるガラス板合紙用木材パルプである。
本発明の第2の態様は、木材パルプを原料とするガラス板用合紙であって、
JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って前記合紙を分散させてスラリーを調製し、
前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が15000個/μg以下であるガラス板用合紙である。
前記着色剤又は発色剤は疎水性であることが好ましい。
前記発色剤は蛍光発色剤であることが好ましい。
前記蛍光発色剤はナイルブルー又はナイルレッドであることが好ましい。
前記異物は疎水性物質を含むことが好ましい。前記疎水性物質はシリコーン、ピッチ、樹脂、ゴム、油及び疎水性異物を吸着したタルクからなる群から選択される。前記シリコーンはシリコーン油であることが好ましい。前記シリコーン油はジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
前記ガラス板はディスプレイ用であることが好ましく、特にディスプレイがTFT液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイであることが好ましい。
また、本発明は、本発明の第1の態様の前記木材パルプを含むガラス板合紙、及び/又は、本発明の第2の態様の前記ガラス板用合紙、並びに、ガラス板との積層体にも関する。
更に、本発明は、ガラス板合紙、特に本発明の第2の態様のガラス板合紙、の製造のための本発明の第1の態様の前記木材パルプの使用にも関する。
そして、本発明は、本発明の第2の態様のガラス板合紙をガラス板の間に配置する工程を含むガラス板の保護方法にも関する。
本発明の第3の態様は、
ガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙をJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させてスラリーを調製する工程、
前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えて着色スラリー又は発色スラリーを得る工程、
前記着色又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定して0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数を測定する工程、
前記異物の数が30000個/μg以下のガラス板合紙用木材パルプ又は前記異物の数が15000個/μg以下のガラス板用合紙を選別する工程
を含む、ガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙の検査方法に関する。
本発明のガラス板合紙用木材パルプからなるガラス板合紙並びに本発明のガラス板用合紙は、当該合紙からガラス板への微細な粒子状異物の問題となる転写を効果的に抑制乃至回避することができる。このように、ガラス板への微細な粒子状異物の問題となる転写を抑制乃至回避することにより、TFT液晶ディスプレイ等の製造工程においてカラーフィルム等の回路断線を防止することが可能となる。
本発明では、ガラス板合紙の表面のみの粒子状異物のサイズ及び個数を制限するのではなく、ガラス板合紙を解体して又はガラス板合紙の原料である木材パルプを解体して、当該合紙又は当該木材パルプを構成する繊維の分散物の状態とした上で、粒子状異物を観察して、そのサイズ及び個数を制限するので、ガラス板に転写して問題となる可能性のある微細な粒子状異物を全て制御することができ、当該粒子状異物に由来するガラス板表面の汚染を実際上問題のないレベルにまで低減することが可能となる。
また、本発明では、ガラス板合紙用木材パルプ自体又は当該木材パルプから調製されたガラス板用合紙に含まれる粒子状異物を、当該木材パルプ又は当該ガラス板用合紙を解体して得られたスラリーの着色剤又は発色剤による処理によって、着色異物又は発色異物として容易に識別することができるので、当該異物のサイズ及び個数を測定することによって、選定基準に合致したガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙を容易に選別することができる。
更に、本発明では、フローサイトメーターを用いて着色異物又は発色異物を測定するので、多数の微小な異物について、当該異物のサイズ及び個数を迅速に測定することができる。したがって、本発明の検査方法は、高速で、且つ、容易に実施可能である。
JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従ってスラリーを調製し、当該スラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が30000個/μg以下であるガラス板合紙用木材パルプから製造されたガラス板合紙、並びに、JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従ってスラリーを調製し、当該スラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が15000個/μg以下であるガラス板合紙は、ガラス板への粒子状異物の転写を効果的に抑制乃至回避することができる。したがって、上記ガラス板合紙を使用することによって、ガラス板の表面の汚染を実際上問題のないレベルにまで低減することができる。ここで、上記「30000個/μg」及び上記「15000個/μg」における「μg」とは、フローサイトメーターによる測定対象となるスラリー中のパルプ及び合紙の固形分をそれぞれ意味する。
本発明において、JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法によって得られるスラリー濃度は1g/100mlが好ましい。
本発明における「サイズ」とは体積平均(メジアン)粒子径を意味する。体積平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法によって測定することができる。本発明における異物のサイズは0.1μm〜50μmであるが、0.1μm〜40μmであることが好ましく。0.1μm〜30μmであることがより好ましい。なお、異物が非球形の場合、体積平均粒子径とは異物の球体積相当径の平均(メジアン)を意味する。
本発明の第1の態様は、ガラス板合紙用木材パルプであって、
JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って前記木材パルプを分散させてスラリーを調製し、
前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が30000個/μg以下、好ましくは25000個/μg以下、より好ましくは20000個/μg以下であるガラス板合紙用木材パルプである。
本発明において使用可能な木材パルプは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプを単独或いは混合したものである。この木材パルプを主体とし、必要に応じてこれに麻、竹、藁、ケナフ、楮、三椏や木綿等の非木材パルプ、カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ、レーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリエステル等の合成繊維や化学繊維、又はミクロフィブリル化パルプを単独で、或いは混合して併用することができる。ただし、パルプ中に樹脂分が多く含まれると、当該樹脂分がガラス板表面を汚す等の悪影響を及ぼす可能性があるので、できるだけ樹脂分の少ない化学パルプ、例えば針葉樹晒クラフトパルプを単独で使用することが好ましい。また、砕木パルプのような高収率パルプは、樹脂分が多く含まれるので好ましくない。なお、合成繊維や化学繊維を混合させると削刀性が向上し、合紙を平版にする際の作業性が向上するが、廃棄物処理の面においてリサイクル性が悪くなるので注意が必要である。
また、本発明の性能を損なわない範囲で、上記した木材パルプを主体とした製紙用繊維に対して、必要に応じて接着剤、防黴剤、各種の製紙用填料、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、着色剤、定着剤、歩留まり向上剤、スライムコントロール剤等を添加し、次いで公知・既存の長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、長網と円網のコンビネーション抄紙機等で抄造して得ることができる。また、これら薬品添加の際には虫やごみ等が混入しないように細心の注意を要する。
本発明の木材パルプを製造する際に、木材パルプの叩解を進めると紙層間強度が増す効果が期待できる。しかしながら、叩解を進めることによって木材パルプ中の微細繊維が増加すると、合紙として使用中に紙粉が発生する恐れがあるので、必要以上に叩解度を進めることは好ましくない。よって本発明において好ましい叩解度は300〜650mlc.s.f.である。
本発明のガラス板合紙用木材パルプの形態は特に限定されるものではなく、シート状、ブロック状又はフレーク状の任意の形態をとることができる。シート状のパルプは、例えば、ワイヤーパート、プレスパート、ドライパート、フィニッシングの4つの工程を備えるパルプマシンを使用して得ることができる。ワイヤーパートでは長網や真空フィルター等を使ってパルプ繊維を抄紙し、プレスパートではロールプレスを使って脱水する。ドライパートではシリンダードライヤーや、フラクトドライヤー等で乾燥し、最後にシート状パルプの両端を切り落としてロールに巻き取る。この様な方法は、紙パルプ技術協会が出版している「紙パルプ製造技術シリーズ」や、「紙パルプの製造 技術全書」に詳細に記載されている。なお、ブロック状のパルプは、例えば、上記シート状パルプを積層して得ることができ、また、フレーク状のパルプは、例えば、上記シート状パルプを粉砕して得ることができる。
前記シート状パルプの厚さは、0.7〜1.5mmであることが好ましく、0.9〜1.3mmであることがより好ましく、1.0〜1.2mmであることが更により好ましい。
前記シート状パルプの坪量は、400〜1300g/mであることが好ましく、500〜1200g/mであることがより好ましく、500〜1100g/mであることが更に好ましく、500〜1000g/mであることが更に好ましく、700〜1000g/mであることが更により好ましい。
本発明の木材パルプを使用して、抄紙等の通常の方法により、ガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、を得ることができる。なお、ガラス板合紙の抄紙の途中及び/又は抄紙後にカレンダー処理、スーパーカレンダー処理、ソフトニップカレンダー処理、エンボス等の加工を行っても構わない。加工処理により、表面性や厚さを調整することができる。
本発明の第2の態様は、木材パルプを原料とするガラス板用合紙であって、
JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って前記合紙を分散させてスラリーを調製し、
前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が15000個/μg以下、好ましくは10000個/μg以下、より好ましくは7000個/μg以下であるガラス板用合紙である。
前記ガラス板合紙の厚さは、0.01〜0.4mmであることが好ましく、0.05〜0.2mmであることがより好ましく、0.06〜0.1mmであることが更により好ましい。
本発明のガラス板用合紙の坪量は、20〜200g/mであることが好ましく、25〜100g/mであることがより好ましく、30〜80g/mであることが更により好ましい。
本発明の第1の態様及び第2の態様で使用される着色剤又は発色剤は異物を着色又は発色させることができるものであれば特には限定されないが、異物を良好に着色又は発色させる一方で、木材パルプ又は合紙を構成するセルロース繊維を着色又は発色させない、或いは、その着色又は発色の程度が小さいものが好ましい。セルロース繊維は、通常、親水性であるので、本発明で使用される着色剤又は発色剤は疎水性のものが好ましい。
前記着色剤は木材パルプ又は合紙中の異物を着色可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、染料、顔料及びこれらの混合物を使用することができる。
染料は任意のものを使用することができる。染料は疎水性のものが好ましく、油溶性染料がより好ましい。
本発明において、疎水性染料としては任意のものを使用することができる。疎水性染料の具体例としては、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジ等が挙げられる。C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、C.I.ディスパーズ・グリーン等の分散染料を使用することもできる。
顔料は任意のものを使用することができる。顔料としては無機系顔料、有機系顔料及びこれらの混合物を使用することができる。顔料は疎水性のものが好ましく、親油性のものがより好ましい。また、顔料は親水性顔料の表面を疎水化処理したものであってもよい。
無機系顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素、カオリン、クレー、セリサイト、カーボンブラック、油煙、ボーンブラック等が挙げられる。
有機系顔料としては、例えば、重合方法等により表面が疎水性となっているポリスチレン粒子、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン樹脂フィラー、尿素ホルマリン樹脂フィラー等が挙げられる。
発色剤は、電磁波照射等の刺激により発色する性質があり、木材パルプ又は合紙のスラリー中の異物を発色可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、電磁波の照射により発色する発色剤、化学物質との接触により発色する発色剤又はこれらの混合物を使用することができる。
発色剤は任意のものを使用することができるが、紫外線、赤外線等の電磁波の照射により蛍光を発色する蛍光発色剤が好ましい。蛍光発色剤としては、例えば、ナイルレッド及びナイルブルーなどのオキサジン環を有するオキサジン誘導体、オイルレッドO、ズダンIII、ズダンIV等の蛍光染料を使用することができる。
また、発色剤は、微粒子内又は微粒子表面に疎水性の蛍光性物質を有する蛍光ミクロスフェア、或いはナノ結晶とも呼ばれる量子ドットであってもよい。量子ドットの表面は疎水性に修飾されていてもよい。
着色剤又は発色剤の適用は、例えば、着色剤又は発色剤を含む溶液、分散液等の組成物を木材パルプ又は合紙からJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って調製されたスラリーに添加することによって実施することができる。前記組成物中の着色剤又は発色剤の前記組成物中の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましく、0.1〜1重量%が更により好ましい。
前記適用によって、前記スラリーに含まれる粒子状異物の表面に着色剤又は発色剤が固定され、当該異物が着色されることで「着色異物」となるか、又は、当該異物が発色されることで「発色異物」となる。本発明においては、前記スラリー中に存在する粒子状異物を着色異物又は発色異物として識別することができる。したがって、本発明においては、ガラス板合紙用木材パルプに含まれる、又は、ガラス板用合紙に含まれる粒子状異物を、前記スラリー中の着色物又は発色物の有無、或いは、着色又は発色の濃淡に基づいて識別することができる。
本発明においては、異物が疎水性物質を含むことが好ましい。疎水性物質は疎水性の着色剤又は発色剤により着色又は発色するので、疎水性の着色剤又は発色剤を使用すると、前記スラリーに含まれる粒子状異物に含まれる、好ましくは、粒子状異物の少なくとも表面に存在する疎水性物質に選択的に着色剤又は発色剤が付着又は溶解し、当該疎水性物質を有する異物が着色又は発色する。異物は疎水性物質のみからなることが特に好ましい。
前記疎水性物質は着色剤又は発色剤と親和性を有する限り特に限定されない。疎水性物質は、不揮発性であることが好ましく、油(シリコーン油を除く。例えば、脂肪族炭化水素、植物油、動物油、合成グリセリド、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール及び/又は脂肪酸のエステル)、樹脂(シリコーンを除く)、シリコーン、ピッチ、ゴム、並びに、疎水性異物を吸着したタルクからなる群から選択されることがより好ましく、特に、シリコーン及び疎水性異物を吸着したタルクからなる群から選択されることが更により好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、直鎖状又は分枝状炭化水素、特に、鉱油(流動パラフィン等)、パラフィン、ワセリンすなわちペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、ポリデセン、パールリーム等の水添ポリイソブテン及びデセン/ブテンコポリマー;並びに、これらの混合物を挙げることができる。
他の脂肪族炭化水素の例として、直鎖状若しくは分枝状、又は、場合により環状の、C〜C16低級アルカンを挙げることもできる。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン及びイソデカンが含まれる。
植物油の例として、例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アンズ油、ダイズ油、アララ(arara)油、ヘーゼルナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
動物油の例として、例えば、ミンク油、スクワレン、ペルヒドロスクワレン及びスクワランを挙げることができる。
合成グリセリドの例として、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを挙げることができる。
脂肪酸は、酸性形態(即ち、石けんになるのを回避するため、塩の形態でない)とするべきであり、飽和でも不飽和でもよく、6〜30個の炭素原子、特に9〜30個の炭素原子を含有し、任意選択で、特に1個又は複数個のヒドロキシル基(特に1〜4個)で置換されている。脂肪酸が不飽和の場合、この化合物は1〜3個の共役又は非共役の炭素−炭素二重結合を含むことができる。脂肪酸は、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸から選択される。
「脂肪族アルコール」という用語は、本明細書では、任意の飽和で直鎖状又は分枝状のC〜C30アルコールを意味し、任意選択で、特に1個又は複数個のヒドロキシル基(特に1〜4個)で置換されているものである。
脂肪族アルコールのうち、C12〜C22脂肪族アルコールが好ましく、C16〜C18飽和脂肪族アルコールがより好ましい。これらのうち、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシルアルコール、ミリスチルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
脂肪酸及び/又は脂肪族アルコールのエステルの例として、飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC〜C26脂肪族の一酸又は多酸のエステル、及び飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC1〜C26脂肪族の一価アルコール又は多価アルコールのエステルを特に挙げることができ、エステルの総炭素数は10以上が好ましい。
樹脂(シリコーンを除く)は、疎水性である限り特には限定されない。樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエスエル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、及び、これらの混合物が挙げられる。
シリコーンとしては、シリコーン油が挙げられる。シリコーン油は疎水性であり、その分子構造は、環状、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。シリコーン油の25℃における動粘度は、通常、0.65〜100,000mm/sの範囲であるが、0.65〜10,000mm/sの範囲でもよい。
シリコーン油としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。
直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(1)、(2)及び(3):

SiO−(R SiO)−SiR (1)

Figure 0006867207
(4−c)Si(OSiR (3)

(式中、
は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、或いは、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基で示される基から選択される基であり、
aは、0〜1000の整数であり、
bは3〜100の整数であり、
cは1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数である)
で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
置換若しくは非置換の一価炭化水素基は、典型的には、置換若しくは非置換の、炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜4の一価の飽和炭化水素基;置換若しくは非置換の、炭素原子数2〜30、好ましくは炭素原子数2〜10、より好ましくは炭素原子数2〜6の一価の不飽和炭化水素基;炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の一価の芳香族炭化水素基である。
炭素原子数1〜30の一価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基、並びに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
炭素原子数2〜30の一価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐状のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;シクロペンテニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、シクロヘキセニルプロピル基等のシクロアルケニルアルキル基;及び、エチニル基、プロパルギル基等のアルキニル基が挙げられる。
炭素原子数6〜30の一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等のアリール基が挙げられる。フェニル基が好ましい。なお、本明細書において芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素のみからなる基以外に、芳香族炭化水素と脂肪族飽和炭化水素が複合した基をも含む。芳香族炭化水素と飽和炭化水素が複合した基の例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
上記の一価炭化水素基上の水素原子は、1以上の置換基によって置換されていてもよく、当該置換基は、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、水酸基、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基からなる群から選択される。具体的には、3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピル基、3−カルボキシプロピル基、10−カルボキシデシル基、3−イソシアネートプロピル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられるが、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
より具体的には、直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2mPa・sや6mPa・s等の低粘度〜100万mPa・s等高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、ジメチコノール等が例示される。
環状オルガノポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
分岐状オルガノポリシロキサンとしては、メチルトリストリメチルシロキシシラン、エチルトリストリメチルシロキシシラン、プロピルトリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、フェニルトリストリメチルシロキシシラン等が挙げられる。
本発明におけるシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサンコポリマー、ポリメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン等が好ましい。本発明におけるシリコーンとしては、ジメチルポリシロキサンが典型的である。
本発明におけるシリコーン油は変性シリコーン油であってもよい。変性シリコーン油としては、例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーン油が挙げられる。
ポリオキシアルキレン変性シリコーン油は、分子中にケイ素−炭素結合を介してポリオキシアルキレン基が結合しているシリコーン油であり、好ましくは、常温、具体的には25℃において水溶性を示すものであって、より好ましくはノニオン系のものである。
ポリオキシアルキレン変性シリコーン油は、具体的には、例えば直鎖状又は分岐状のシロキサンよりなるシリコーン油とポリオキシアルキレンとの共重合体であり、種々のものがあるが、特に下記式(4)で表わされるものが好ましい。

SiO−(R SiO)−(RASiO)−SiR (4)

(式中、
は、それぞれ独立して、上記と同様であり、
は、それぞれ独立して、R又はAであり、
Aは、それぞれ独立して、RGで表される基であり、Rは、置換若しくは非置換の二価炭化水素基であり、Gはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜5のアルキレンオキサイドを少なくとも1種含有してなるポリオキシアルキレン基を表し、
dは1〜500の整数を表し、
eは1〜50の整数を表す)。
置換若しくは非置換の二価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ヘキセニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜30のアルケニレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等の炭素原子数6〜30のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等の炭素原子数7〜30のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、水酸基、又は、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。二価炭化水素基は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数3〜5のアルキレン基がより好ましい。
例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーン油の具体例としては、下記のものを挙げることができる。
Figure 0006867207
(式中、
xは20〜160であり、yは1〜25であり、x/yの値は50〜2であり、
Aは、例えば−(CHO−(CHCHO)−(CHCHCHO)−Rであり、mは7〜40、nは0〜40、m+nの値は少なくとも1であり、グラフト重合されたものでもランダム重合されたものでもよく、Rは水素原子又は上記置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す。好適には、mは7〜30、nは0〜30である)
また、変性シリコーン油としては、例えば、アミノアルキル変性シリコーン油が挙げられる。
アミノアルキル変性シリコーン油は、分子中にケイ素−炭素結合を介してアミノアルキル基が結合しているシリコーン油であり、好ましくは、常温、具体的には25℃において10〜100000csの粘度を示すものである。
前記アミノアルキルシリコーン油としては、上記式(4)において、Gを式:−(NRCHCHNR (式中、Rはそれぞれ独立して上記のとおりであり、zは0≦z≦4の数である)で置換したものが挙げられる。
本発明においては、異物がシリコーンの場合、木材パルプ又はガラス板合紙に含まれるシリコーンの量が、木材パルプ又は合紙の絶乾質量に対して0.5ppm以下であることが好ましく、0.4ppm以下であることがより好ましく、0.3ppm以下が更により好ましく、0.2ppm以下が更により好ましく、0.1ppm以下であることが特に好ましい。0.5ppmを超える量のシリコーンが存在する場合、携帯端末など非常に高精細なディスプレイを必要とする場面において、ガラスに転移した微量のシリコーンが要因で発生するカラーフィルムの断線箇所が高精彩であるが故に目立ち、品質不良と判断されてしまうおそれが高まるからである。なお、本発明において「絶乾」とは、乾燥により被乾燥対象物中に水分が実質的に存在しない状態を意味しており、例えば、「絶乾」状態の物体の室温(25℃)での1時間当たりの重量変化は1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。
一般に、木材パルプ中にはシリコーンが含有されていることが多い。これは、木材パルプの製造過程、特に洗浄工程において泡の発生による洗浄能力の低下を防ぐために使用される消泡剤としてシリコーン系消泡剤が多用されるからであり、このシリコーン系消泡剤由来のシリコーンがパルプに残存する。シリコーン系消泡剤は、例えば、シリコーンオイル及び疎水性シリカの混合物に変性シリコーン、界面活性剤等を混合して製造される。
タルクは滑石を粉砕した無機粉末であり、層状構造を有する一般式:Mg(SiO(OH)またはMgSi10(OH)の含水ケイ酸マグネシウムである。タルクは填料、ピッチコントロール剤、又は塗工剤として使用されており、木材パルプ中に含まれていることがある。
したがって、本発明の木材パルプ又はガラス板合紙に含まれる疎水性異物の量は、JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法によって当該木材パルプを分散させて得られるスラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が30000個/μg以下である程度に、並びに、JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法によって当該合紙を分散させて得られるスラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が15000個/μg以下である程度に低減されていることが好ましい。
特に、本発明の木材パルプ又はガラス板合紙に含まれる、シリコーン、ピッチ、樹脂、ゴム、油(シリコーン油を除く)及び疎水性異物を吸着したタルクからなる群から選択される0.1μm〜50μmのサイズの疎水性物質の量が、当該木材パルプ又はガラス板合紙をJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法によって分散させて得られるスラリーに、当該スラリーをフローサイトメーターで測定したときに30000個/μg以下(木材パルプのスラリーの場合)又は15000個/μg以下(合紙のスラリーの場合)の割合となる程度に低減されていることがより好ましい。
本発明の木材パルプ又はガラス板合紙に含まれる問題となる異物の含有量を低減する手段は特に限定されるものではないが、木材パルプ又は合紙の製造時に使用する消泡剤として非シリコーン系消泡剤を使用すること、及び、填料としてタルク以外のものを使用することが好ましい。
非シリコーン系の消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、高級アルコール系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、アミド系消泡剤、アミン系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、スルホン酸エステル系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤及び植物油系消泡剤が挙げられる。
鉱物油系消泡剤は、例えば、炭化水素油等の鉱物油、鉱物ワックス等を含む。
高級アルコール系消泡剤は、例えば、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール等を含む。
脂肪酸系消泡剤は、例えば、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等を含む。
脂肪酸エステル系消泡剤は、例えば、ステアリン酸イソアミル、グリセリンモノリシノレート、ソルビトールモノラウレート、ソリビトールトリオレエート等を含む。
アミド系消泡剤は、例えば、アクリレートポリアミン等を含む。
アミン系消泡剤は、例えば、ジアリルアミン等を含む。
リン酸エステル系消泡剤は、例えば、リン酸トリブチル、オクチルリン酸ナトリウム等を含む。
金属石鹸系消泡剤は、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カリウム等を含む。
スルホン酸エステル系消泡剤は、例えば、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等を含む。
ポリエーテル系消泡剤は、例えば、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数8以上の高級アルコールや炭素数12〜14の2級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等を含む。
植物油系消泡剤は、例えば、大豆油、トウモロコシ油、ヤシ油、アマニ油、菜種油、綿実油、ゴマ油、ヒマシ油等の植物油を含む。
また、非シリコーン系消泡剤は、疎水性シリカ等の無機粒子を含むことができる。疎水性シリカとしては、親水性のシリカのシラノール基をメチル基等のアルキル基で置換することによって疎水化処理されたシリカを使用することが好ましい。
非シリコーン系消泡剤は、必要に応じて、界面活性剤等を含むこともできる。したがって、非シリコーン系消泡剤はエマルジョン型であってもよい。
タルク以外の填料としては、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機填料、及び尿素樹脂等の有機填料を使用することができる。
本発明のガラス板合紙用木材パルプは、JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法によって当該木材パルプを分散させて得られるスラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が30000個/μg以下である。したがって、本発明のガラス板合紙用木材パルプはスラリー化される前のものを意図する。
同じく、本発明のガラス板用合紙は、JIS P 8120による普通紙試験片の離解方法によって当該合紙を分散させて得られるスラリーに着色剤又は発色剤を加えた後の着色スラリー又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数が15000個/μg以下である。したがって、本発明のガラス板用合紙はスラリー化される前のものを意図する。
本発明の木材パルプから得られた合紙、特に本発明のガラス板合紙、はガラス板の間に挿入されて使用される。例えば、前記ガラス板合紙は複数のガラス板の間に、典型的には、1枚ずつ挿入され、全体として、積層体とされ、当該積層体が保管、運搬の対象となる。また、本発明の木材パルプからなる合紙、特に本発明のガラス板合紙、を用いてガラス板単体又は前記積層体を包装してもよい。したがって、本発明は、上記ガラス板用合紙をガラス板間に配置(特に、挿入)する工程を含むガラス板の保護方法の側面を有する。
ガラス板としては特に限定されるものではないが、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル(特にTFT液晶ディスプレイパネル)、有機ELディスプレイパネル等のフラットパネル・ディスプレイ用のガラス板であることが好ましい。フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板の表面には微細な電極、隔壁等が形成されるが、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、を使用することにより、ガラス板へのシリコーン等の疎水性物質といった問題となる微細な異物の転写が抑制乃至回避されるので、ガラス板の表面に微細な電極、隔壁等が形成されても、当該異物による不都合を抑制乃至回避することができ、結果的に、ディスプレイの欠陥を抑制乃至回避することができる。
特に、ディスプレイの大型化に伴い、フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板のサイズ及び重量は増大しているが、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、はそのような大型乃至大重量のガラス板の表面を良好に保護することができる。特に、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙は、0.1μm〜50μmのサイズの異物、特に、シリコーン、ピッチ、樹脂、ゴム、油(シリコーンを除く)及び疎水性異物を吸着したタルク等の疎水性異物の含有量が極めて少ないので、大重量のガラス板によって押圧されても当該異物がガラス板に転写することが抑制乃至回避される。したがって、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙は、表面の清浄性が特に求められるフラットパネル・ディスプレイ用のガラス板に好適に使用することができる。
また、本発明はガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙の検査方法にも関する。本発明のガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙の検査方法は、
ガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙をJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させてスラリーを調製する工程、
前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えて着色スラリー又は発色スラリーを得る工程、
前記着色又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定して0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数を測定する工程、
前記異物の数が30000個/μg以下のガラス板合紙用木材パルプ又は前記異物の数が15000個/μg以下のガラス板用合紙を選別する工程
を含む。
ガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙をJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させてスラリーを調製する工程では、スラリー濃度は1g/100mlが好ましい。
本発明における「サイズ」とは体積平均(メジアン)粒子径を意味する。体積平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法によって測定することができる。本発明における異物のサイズは0.1μm〜50μmであるが、0.1μm〜40μmであることが好ましく。0.1μm〜30μmであることがより好ましい。
前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えて着色スラリー又は発色スラリーを得る工程は、例えば、着色剤又は発色剤を含む溶液、分散液等の組成物を前記スラリーに添加することによって実施することができる。前記組成物中の着色剤又は発色剤の前記組成物中の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましく、0.1〜1重量%が更により好ましい。
前記着色又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定して0.1μm〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数を測定する工程は、フローサイトメーターを使用して実施することができる。
フローサイトメーターとは、フローサイトメトリーを実施する機器である。フローサイトメトリーとは、具体的には、測定対象物の懸濁液を高速の流体、特に水流、とし、当該流体にレーザー光、水銀光等を照射することにより発生する散乱光、蛍光を測定・定量することによって、測定対象物の大きさ、量等を精度よく測定したり、測定対象物の粒子を分取したりする手法である。測定対象物は非常に微細な管(フローセル)内に導入され、測定対象物の1つ1つが整列した状態で当該管内を流通する間に前記照射が行われる。
本発明におけるフローサイトメーターは、異物に励起光を照射し、当該異物からの反射光及び/若しくは散乱光、並びに/又は、当該異物の励起状態からの蛍光を測定することによって、当該異物のサイズ、個数等を自動的に測定することができる。フローサイトメーターは特にバイオテクノロジー分野において汎用されており、その装置自体も市販されているので、本発明におけるフローサイトメーターによる測定に困難を伴うものではない。本発明において使用可能なフローサイトメーターとしては、例えば、シスメックス社製CyFlow Cube 6が挙げられる。
本発明におけるフローサイトメーターによる測定対象物であるスラリーの流速は、1000個/秒が好ましい。
フローサイトメーターでは、多数の微小な異物について、当該異物のサイズ及び個数を迅速に測定することができる。したがって、本発明の検査方法は、高速で、且つ、容易に実施可能である。
なお、前記工程を実施する前に、巨大な異物を予め除去するために、スラリーを適宜濾過してもよい。
前記異物の数が30000個/μg以下のガラス板合紙用木材パルプ又は前記異物の数が15000個/μg以下のガラス板用合紙を選別する工程は、例えば、予め設定された30000個/μg以下又は15000個/μg以下の基準に従って、当該基準に合致するガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙を手動又は自動で選別することによって実施することができる。
具体的には、例えば、同じロットの木材パルプ又は当該木材パルプによって得られた合紙の一部について上記適用・測定・決定工程を行い、当該木材パルプ又は当該合紙が上記基準に合致する場合に、当該木材パルプ又は当該合紙の全部について基準を満たすとみなして合格とすることができる。
本発明の検査方法は、フローサイトメーターを使用することができるので、高速に、且つ、容易に実施することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例1](木材パルプの製造)
蒸解工程と、洗浄工程と、酸素脱リグニン反応工程と、二酸化塩素及び過酸化水素による多段晒漂白工程とからなる針葉樹晒クラフトパルプの製造装置において、蒸解工程後にノットを除去した直後のドラムウォッシャーの洗浄液に使用される消泡剤として非シリコーン系の消泡剤である鉱物油系消泡剤「プロナールA5044」(東邦化学社製)の原液を適量連続添加した。また、プレス洗浄の工程でウォッシュプレスに添加される消泡剤として同じく「プロナールA5044」を適量加えた。なお、洗浄工程ではトルエンとメタノールを混合した溶剤で洗浄し、ろ過する溶剤洗浄を5回繰り返した。以上のように、製造工程中で非シリコーン系消泡剤を使用した針葉樹晒クラフトパルプAを得た。この針葉樹晒クラフトパルプAの形態を、定法に従って、厚さ1.2mm、坪量700g/mのシート状パルプとした。
この針葉樹晒クラフトパルプAをJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させて1g/100mlの濃度のスラリーを調製し、前記スラリーに「ナイルレッド」(和光純薬工業(株))を20ppm添加した後の着色スラリーをフローサイトメーター(シスメックス社製CyFlow Cube 6)で測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの発色異物の個数は26000個/μgであった。
[比較例1](木材パルプの製造)
前記溶剤洗浄を行わない以外は実施例1と同様にして針葉樹晒クラフトパルプBを得た。この針葉樹晒クラフトパルプBの形態を、定法に従って、厚さ1.2mm、坪量700g/mのシート状パルプとした。
この針葉樹晒クラフトパルプAをJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させて1g/100mlの濃度のスラリーを調製し、前記スラリーに「ナイルレッド」(和光純薬工業(株))を20ppm添加した後の着色スラリーをフローサイトメーター(シスメックス社製CyFlow Cube 6)で測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの発色異物の個数は38000個/μgであった。
[実施例2](ガラス板合紙の製造)
木材パルプとして実施例1の針葉樹晒クラフトパルプAを100質量部用意し、これを離解して叩解度を520mlc.s.f.に調製したスラリーに紙力増強剤としてポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン1250、荒川化学工業社製)を全パルプ質量に対して0.5質量部添加し、0.4%濃度のパルプスラリーを調製した。これから、長網抄紙機を使用して、坪量50g/m、厚さ0.093mmのガラス板合紙を得た。
このガラス板合紙をJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させて1g/100mlの濃度のスラリーを調製し、前記スラリーに「ナイルレッド」(和光純薬工業(株))を20ppm添加した後の着色スラリーをフローサイトメーター(シスメックス社製CyFlow Cube 6)で測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの発色異物の個数は12000個/μgであった。
[比較例2](ガラス板合紙の製造)
木材パルプとして比較例1の針葉樹晒クラフトパルプB100質量部を使用した以外は実施例2と同様の手法で、坪量50g/mのガラス板合紙を得た。
このガラス板合紙をJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させて1g/100mlの濃度のスラリーを調製し、前記スラリーに「ナイルレッド」(和光純薬工業(株))を20ppm添加した後の着色スラリーをフローサイトメーター(シスメックス社製CyFlow Cube 6)で測定したときの0.1μm〜50μmのサイズの発色異物の個数は19000個/μgであった。
実施例2及び比較例2で得たガラス板合紙のガラス板への転写を輸送テストにて確認したところ、実施例2の合紙を使用したガラス板を用いた液晶パネルのアレイ形成の際には、カラーフィルムの断線が認められなかった。一方、比較例2の合紙を使用したガラス板を用いた液晶パネルのアレイ形成の際には、カラーフィルムの断線が認められた。

Claims (6)

  1. TFT液晶ディスプレイ用若しくは有機ELディスプレイ用であるガラス板合紙用木材パルプ又はTFT液晶ディスプレイ用若しくは有機ELディスプレイ用であるガラス板用合紙をJIS P 8120による普通紙試験片の離解方法に従って分散させてスラリーを調製する工程、
    前記スラリーに着色剤又は発色剤を加えて着色スラリー又は発色スラリーを得る工程、
    前記着色又は発色スラリーをフローサイトメーターで測定して0.1〜50μmのサイズの着色異物又は発色異物の個数を測定する工程、
    前記異物の数が30000個/μg以下の木材パルプ又は前記異物の数が15000個/μg以下の合紙を選別する工程
    を含む、TFT液晶ディスプレイ用若しくは有機ELディスプレイ用であるガラス板合紙用木材パルプ又はTFT液晶ディスプレイ用若しくは有機ELディスプレイ用であるガラス板用合紙の検査方法。
  2. 前記着色剤又は発色剤が疎水性である、請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記発色剤が蛍光発色剤である、請求項1又は2に記載の検査方法。
  4. 前記蛍光発色剤がナイルブルー又はナイルレッドである、請求項3に記載の検査方法。
  5. 前記異物が疎水性物質を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の検査方法。
  6. 前記疎水性物質がシリコーン、ピッチ、樹脂、ゴム、油及び疎水性異物を吸着したタルクからなる群から選択される、請求項5に記載の検査方法。
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