ガラス板へ合紙が使用される際に、合紙中のシリコーン等の疎水性物質がガラス板へ転写する傾向があり、その結果、パネル形成時の問題を引き起こす。そこで、本発明では、ガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙に物理的表面処理を行い、少なくとも表面、好ましくは表面及び内部、に存在する疎水性物質を親水化することによって当該疎水性物質を無害化し、又は、当該疎水性物質の有害性を低減する。
本発明における物理的表面処理とは、処理対象表面の物理的変化による処理を意味しており、界面活性剤等の液状又は固形状の化学物質の処理対象表面への適用を伴う化学的表面処理とは異なり、当該化学物質の適用を伴わない非化学的表面処理である。物理的表面処理は、典型的には、電気的エネルギー及び/又は機械的エネルギーの処理対象表面への適用を伴う。
物理的表面処理は、処理対象表面を親水化可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、熱処理、プラズマ処理、電磁波照射、放射線照射、スパッタリング処理等が挙げられる。すなわち、本発明における物理的表面処理は物理的親水化処理でもある。木材パルプ及び合紙の性状を考慮すると、物理的表面処理はプラズマ処理、電磁波照射及び放射線照射からなる群から選択されることが好ましい。
プラズマ処理の種類としては、真空プラズマ処理、減圧プラズマ処理、常圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等が挙げられる。常圧プラズマ処理は比較的設備費等が安価であり好ましく用いられる。
プラズマ処理を行う場合には、従来のプラズマジェネレータを好適に使用でき、例えば、内部及び外部の容量性結合プラズマ、誘導結合プラズマ、抵抗結合プラズマ、導波管技術を使用する熱プラズマ、無線周波数プラズマ、直流プラズマ、可聴周波数プラズマ、及び、極超矩波プラズマ等を使用することができる。プラズマ発生に必要な電気的励起エネルギーは、可聴周波数から無線周波数、さらに、マイクロ波振動数までの高周波数電源に誘導或いは容量性の手段を使用して結合する内部電極によって生じさせるDCあるいは低周波ACグロー放電によって供給可能である。プラズマ放電処理に用いる電極は、金属、ガラス、石英、セラミック等を、表面をグロー放電によって励起されたプラズマのエネルギーによって分解されない誘電体で被覆して作成することが好ましい。
プラズマ処理におけるプラズマ発生には、電源、無線周波数、露出の持続時間、温度及びガス圧力の調整を行うことが一般に必要である。電源としては5〜800WのDCあるいはAC出力密度レベル(好ましくは15〜500W)であり、無線周波数は13.56MHz以下、露出の持続時間は1秒〜10分(好ましくは5秒〜60秒)、温度は10〜40℃、ガス圧力は0.04〜0.40Torrであることが好ましい。ガス流速は停滞した状態から毎秒いくらかの容量置換に可変することが好ましい。酸素濃度を制御するポンプダウン圧力は0.01〜0.0001Torrが好ましい。
プラズマガスの形成に使用しうるガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオン、ラドン、窒素などの不活性ガス、また酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、四塩化炭素、クロロホルム、水素、アンモニア、カーボンテトラフルオライド、トリクロロフルオロエタン、トリフルオロメタン、アセトン、シランなどが好ましく挙げられる。また、公知のフッ化ガスあるいは上記ガスの混合ガスでもよい。好ましい混合ガスの組み合わせとしては、アルゴン/酸素、アルゴン/アンモニア、アルゴン/ヘリウム/酸素、アルゴン/二酸化炭素、アルゴン/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム/窒素、アルゴン/ヘリウム/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム、アルゴン/ヘリウム/アセトン、ヘリウム/アセトン、ヘリウム/空気、アルゴン/ヘリウム/シランである。
処理密度は、100〜10000W・min/m2の範囲が好ましく、より好ましくは、300〜7000W・min/m2の範囲である。上記範囲内であると、適当な改質効果が得られる。
前記プラズマ処理は、グロー放電処理又はコロナ放電処理が好ましく、コロナ放電処理であることがより好ましい。
コロナ放電処理は、最もよく知られている表面処理方法であり、従来公知のいずれの方法、例えば、特公昭48−5043号公報、同47−51905号公報、特開昭47−28067号公報、同49−83767号公報、同51−41770号公報、同51−131576号公報等に記載の方法により実施することができる。
放電周波数は、通常、50Hz〜5000kHz程度であり、5〜100kHzが好ましい。放電周波数が50Hz以上であると、安定な放電が得られかつ被処理物にピンホールが生じることがなく、また、5000kHz以下であると、インピーダンスマッチングのための特別な装置が不要であり、装置設備費を抑制することができる。被処理物の処理強度は、0.001〜5KV・A・分/m2が好ましく、より好ましくは0.01〜1KV・A・分/m2である。また、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは0.5〜2.5mmが好ましく、より好ましくは1.0〜2.0mmである。コロナ放電処理条件としては、10〜20000kJ/m2が好ましく、100〜5000kJ/m2がより好ましく、150〜500kJ/m2が更により好ましい。
また、電圧×電流/(電極幅×合紙走行速度)(W・min/m2)によって算出されるコロナ放電処理密度は、1〜1000W・min/m2であることが好ましく、50〜800W・min/m2であることがより好ましく、200〜800W・min/m2であることがさらに好ましく、300〜700W・min/m2であることがさらに好ましい。
前記電磁波照射における電磁波は紫外線が好ましい。
紫外線照射処理は、紫外線を処理表面に照射することにより、該表面を改質する処理方法であり、例えば、特公昭43−2603号公報、特公昭43−2604号公報、特公昭45−3828号公報等に記載の処理方法が好ましく挙げられる。
紫外線の波長は、220〜380nmの範囲内が好ましく、木材パルプ又は合紙の表面温度を余り上昇させたくない場合には、上記範囲内において低波長領域で照射することが好ましい。
紫外線照射処理に水銀灯を用いる場合は、石英管からなる低圧水銀灯あるいは高圧水銀灯を用いることが好ましい。また、オゾンレスタイプの高圧水銀ランプ、及び低圧水銀ランプを使用することも可能である。本発明においては、処理表面の表面温度をなるべく低く維持する観点から、254nmを主波長とする低圧水銀ランプを用いることが好ましい。
照射光量は、多いほど処理表面の改質効果は向上するが、光量の増加に伴い木材パルプ又は合紙が着色し、また、脆くなるおそれがある。したがって、254nmを主波長とする低圧水銀ランプを用いるときには、その照射光量が100〜10000(mJ/cm2)程度であることが好ましく、より好ましくは300〜1500(mJ/cm2)である。
前記放射線照射における放射線は、粒子放射線が好ましく、電子線がより好ましい。
電子線の加速電圧は適宜選定し得るが、通常100〜1000keV程度であり、好ましくは加速電圧70〜300kVである。電子線の照射は、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、木材パルプ又は合紙が劣化してしまうおそれがある。そのような場合は、電子線の透過深さが木材パルプ又は合紙の表面層の範囲となるように、加速電圧を選定することにより、木材パルプ又は合紙の余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による木材パルプ又は合紙の劣化を最小限にとどめることができる。
照射線量は、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)程度であり、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。照射量が5kGy以上であると、表面処理効果が十分であり、照射量が200kGy以下であると、木材パルプ又は合紙の損傷を抑制することができる。
また、表面処理の際の雰囲気は、酸素濃度500ppm以下が好ましく、200ppm以下がより好ましい。
本発明では、ガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙に物理的表面処理を施すことにより、ガラス板合紙用木材パルプ又はガラス板用合紙の少なくとも表面に存在する疎水性物質の少なくとも一部、好ましくは全部が親水化される。これにより、疎水性物質が無害化され、又は、当該疎水性物質の有害性が低減される。したがって、ガラス板用合紙の表面から疎水性物質がガラス板、特にディスプレイ用ガラス板、に転移することがないか、或いは、その転移量が低減する。したがって、ガラス板上に形成される回路パターンに断線等の不都合が生じることがないか、或いは、当該不都合の程度又は発生頻度を低減することができる。なお、仮に、親水化された疎水性物質がガラス板に転移しても、当該親水化された疎水性物質による不都合はほぼない。
前記疎水性物質は特に限定されない。疎水性物質は、不揮発性であることが好ましく、脂肪族炭化水素、植物油、動物油、合成グリセリド、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール及び/又は脂肪酸のエステル、並びに、シリコーンからなる群から選択されることがより好ましく、特に、シリコーンを含む又はシリコーンであることが更により好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、直鎖状又は分枝状炭化水素、特に、鉱油(流動パラフィン等)、パラフィン、ワセリンすなわちペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、ポリデセン、パールリーム等の水添ポリイソブテン及びデセン/ブテンコポリマー;並びに、これらの混合物を挙げることができる。
他の脂肪族炭化水素の例として、直鎖状若しくは分枝状、又は、場合により環状の、C6〜C16低級アルカンを挙げることもできる。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン及びイソデカンが含まれる。
植物油の例として、例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アンズ油、ダイズ油、アララ(arara)油、ヘーゼルナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
動物油の例として、例えば、スクワレン、ペルヒドロスクワレン及びスクワランを挙げることができる。
合成グリセリドの例として、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを挙げることができる。
脂肪酸は、酸性形態(即ち、石けんになるのを回避するため、塩の形態でない)とするべきであり、飽和でも不飽和でもよく、6〜30個の炭素原子、特に9〜30個の炭素原子を含有し、任意選択で、特に1個又は複数個のヒドロキシル基(特に1〜4個)で置換されている。脂肪酸が不飽和の場合、この化合物は1〜3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。脂肪酸は、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸から選択される。
「脂肪族アルコール」という用語は、本明細書では、任意の飽和で直鎖状又は分枝状のC8〜C30アルコールを意味し、任意選択で、特に1個又は複数個のヒドロキシル基(特に1〜4個)で置換されているものである。
脂肪族アルコールのうち、C12〜C22脂肪族アルコールが好ましく、C16〜C18飽和脂肪族アルコールがより好ましい。これらのうち、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシルアルコール、ミリスチルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
脂肪酸及び/又は脂肪族アルコールのエステルの例として、飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC1〜C26脂肪族の一酸又は多酸のエステル、及び飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC1〜C26脂肪族の一価アルコール又は多価アルコールのエステルを特に挙げることができ、エステルの総炭素数は10以上が好ましい。
シリコーンとしては、シリコーン油が挙げられる。シリコーン油は疎水性であり、その分子構造は、環状、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。シリコーン油の25℃における動粘度は、通常、0.65〜100,000mm2/sの範囲であるが、0.65〜10,000mm2/sの範囲でもよい。
シリコーン油としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。
直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(1)、(2)及び(3):
R
1 3SiO−(R
1 2SiO)
a−SiR
1 3 (1)
R
1 (4−c)Si(OSiR
1 3)
c (3)
(式中、
R
1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、或いは、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基で示される基から選択される基であり、
aは、0〜1000の整数であり、
bは3〜100の整数であり、
cは1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数である)
で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
置換若しくは非置換の一価炭化水素基は、典型的には、置換若しくは非置換の、炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜4の一価の飽和炭化水素基;置換若しくは非置換の、炭素原子数2〜30、好ましくは炭素原子数2〜10、より好ましくは炭素原子数2〜6の一価の不飽和炭化水素基;炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の一価の芳香族炭化水素基である。
炭素原子数1〜30の一価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基、並びに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
炭素原子数2〜30の一価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐状のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;シクロペンテニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、シクロヘキセニルプロピル基等のシクロアルケニルアルキル基;及び、エチニル基、プロパルギル基等のアルキニル基が挙げられる。
炭素原子数6〜30の一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等のアリール基が挙げられる。フェニル基が好ましい。なお、本明細書において芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素のみからなる基以外に、芳香族炭化水素と脂肪族飽和炭化水素が複合した基をも含む。芳香族炭化水素と飽和炭化水素が複合した基の例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
上記の一価炭化水素基上の水素原子は、1以上の置換基によって置換されていてもよく、当該置換基は、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、水酸基、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基からなる群から選択される。具体的には、3,3,3−トリフロロプロピル基、3―クロロプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピル基、3−カルボキシプロピル基、10−カルボキシデシル基、3−イソシアネートプロピル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられるが、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
より具体的には、直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2mPa・sや6mPa・s等の低粘度〜100万mPa・s等高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、ジメチコノール等が例示される。
環状オルガノポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
分岐状オルガノポリシロキサンとしては、メチルトリストリメチルシロキシシラン、エチルトリストリメチルシロキシシラン、プロピルトリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、フェニルトリストリメチルシロキシシラン等が挙げられる。
本発明におけるシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサンコポリマー、ポリメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン等が好ましい。本発明におけるシリコーンとしては、ジメチルポリシロキサンが典型的である。
本発明におけるシリコーン油は変性シリコーン油であってもよい。変性シリコーン油としては、例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーン油が挙げられる。
ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイルは、分子中にケイ素−炭素結合を介してポリオキシアルキレン基が結合しているシリコーンオイルであり、好ましくは、常温、具体的には25℃において水溶性を示すものであって、より好ましくはノニオン系のものである。
ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイルは、具体的には、例えば直鎖状または分岐状のシロキサンよりなるシリコーンオイルとポリオキシアルキレンとの共重合体であり、種々のものがあるが、特に下記式(4)で表わされるものが好ましい。
R2 3SiO−(R1 2SiO)d−(R1ASiO)e−SiR2 3 (4)
(式中、
R1は、それぞれ独立して、上記と同様であり、
R2は、それぞれ独立して、R1又はAであり、
Aは、それぞれ独立して、R3Gで表される基であり、R3は、置換若しくは非置換の二価炭化水素基であり、Gはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜5のアルキレンオキサイドを少なくとも1種含有してなるポリオキシアルキレン基を表し、
dは1〜500の整数を表し、
eは1〜50の整数を表す)。
置換若しくは非置換の二価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ヘキセニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜30のアルケニレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等の炭素原子数6〜30のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等の炭素原子数7〜30のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、水酸基、又は、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。二価炭化水素基は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数3〜5のアルキレン基がより好ましい。
例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイルの具体例としては、下記のものを挙げることができる。
(式中、
xは20〜160、yは1〜25であり、x/yの値は50〜2であり、
Aは、例えば−(CH
2)
3O−(CH
2CH
2O)
m−(CH
2CH
2CH
2O)
n−R
4であり、mは7〜40、nは0〜40、m+nの値は少なくとも1であり、グラフト重合されたものでもランダム重合されたものでもよく、R
4は水素原子又は上記置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す。好適には、mは7〜30、nは0〜30である)
また、変性シリコーン油としては、例えば、アミノアルキル変性シリコーン油が挙げられる。
アミノアルキル変性シリコーンオイルは、分子中にケイ素−炭素結合を介してアミノアルキル基が結合しているシリコーンオイルであり、好ましくは、常温、具体的には25℃において10〜100000csの粘度を示すものである。
前記アミノアルキルシリコーンオイルとしては、上記式(4)において、Gを式:−(NR4CH2CH2)zNR4 2(式中、R4はそれぞれ独立して上記のとおりであり、zは0≦z≦4の数である)で置換したものが挙げられる。
本発明においては、木材パルプ、ひいては当該木材パルプからなるガラス板合紙、に含まれるシリコーンの量が、木材パルプ又は合紙の絶乾質量に対して0.5ppm以下であることが好ましく、0.4ppm以下であることがより好ましく、0.3ppm以下が更により好ましく、0.2ppm以下が更により好ましく、0.1ppm以下であることが特に好ましい。0.5ppmを超える量のシリコーンが存在する場合、携帯端末など非常に高精細なディスプレイを必要とする場面において、ガラスに転移した微量の未親水化シリコーンが要因で発生するカラーフィルムの断線箇所が高精彩であるが故に目立ち、品質不良と判断されてしまうおそれが高まるからである。なお、本発明において「絶乾」とは、乾燥により被乾燥対象物中に水分が実質的に存在しない状態を意味しており、例えば、「絶乾」状態の物体の室温(25℃)での1時間当たりの重量変化は1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。
一般に、木材パルプ中にはシリコーンが含有されていることが多い。これは、木材パルプの製造過程、特に洗浄工程、において泡の発生による洗浄能力の低下を防ぐために使用される消泡剤としてシリコーン系消泡剤が多用されるからであり、このシリコーン系消泡剤由来のシリコーンがパルプに残存する。シリコーン系消泡剤は、例えば、シリコーンオイル及び疎水性シリカの混合物に変性シリコーン、界面活性剤等を混合して製造される。
したがって、未親水化シリコーンの転移の可能性を抑制するためには、特に合紙の原料となる木材パルプがシリコーンを多く含まないことが好ましい。本発明の第一の態様において、合紙の原料となる木材パルプ中のシリコーンの含有量を低減する手段は特に限定されるものではないが、木材パルプ製造時に使用する消泡剤として非シリコーン系消泡剤を使用することが好ましい。
非シリコーン系の消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、高級アルコール系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、アミド系消泡剤、アミン系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、スルホン酸エステル系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤及び植物油系消泡剤が挙げられる。
鉱物油系消泡剤は、例えば、炭化水素油等の鉱物油、鉱物ワックス等を含む。
高級アルコール系消泡剤は、例えば、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール等を含む。
脂肪酸系消泡剤は、例えば、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等を含む。
脂肪酸エステル系消泡剤は、例えば、ステアリン酸イソアミル、グリセリンモノリシノレート、ソルビトールモノラウレート、ソリビトールトリオレエート等を含む。
アミド系消泡剤は、例えば、アクリレートポリアミン等を含む。
アミン系消泡剤は、例えば、ジアリルアミン等を含む。
リン酸エステル系消泡剤は、例えば、リン酸トリブチル、オクチルリン酸ナトリウム等を含む。
金属石鹸系消泡剤は、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カリウム等を含む。
スルホン酸エステル系消泡剤は、例えば、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等を含む。
ポリエーテル系消泡剤は、例えば、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数8以上の高級アルコールや炭素数12〜14の2級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等を含む。
植物油系消泡剤は、例えば、大豆油、トウモロコシ油、ヤシ油、アマニ油、菜種油、綿実油、ゴマ油、ヒマシ油等の植物油を含む。
また、非シリコーン系消泡剤は、疎水性シリカ等の無機粒子を含むことができる。疎水性シリカとしては、親水性のシリカのシラノール基をメチル基等のアルキル基で置換することによって疎水化処理されたシリカを使用することが好ましい。
非シリコーン系消泡剤は、必要に応じて、界面活性剤等を含むこともできる。したがって、非シリコーン系消泡剤はエマルジョン型であってもよい。
本発明において使用可能な木材パルプは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプを単独あるいは混合したものである。この木材パルプを主体とし、必要に応じてこれに麻、竹、藁、ケナフ、楮、三椏や木綿等の非木材パルプ、カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ、レーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリエステル等の合成繊維や化学繊維、またはミクロフィブリル化パルプを単独で、あるいは混合して併用することができる。ただし、パルプ中に樹脂分が多く含まれると、当該樹脂分がガラス板表面を汚す等の悪影響を及ぼす可能性があるので、できるだけ樹脂分の少ない化学パルプ、例えば針葉樹晒クラフトパルプを単独で使用することが好ましい。また、砕木パルプのような高収率パルプは、樹脂分が多く含まれるので好ましくない。なお、合成繊維や化学繊維を混合させると削刀性が向上し、合紙を平版にする際の作業性が向上するが、廃棄物処理の面においてリサイクル性が悪くなるので注意が必要である。
また、本発明の性能を損なわない範囲で、上記した木材パルプを主体とした製紙用繊維に対して、必要に応じて接着剤、防黴剤、各種の製紙用填料、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、着色剤、定着剤、歩留まり向上剤、スライムコントロール剤等を添加し、次いで公知・既存の長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、長網と円網のコンビネーション抄紙機等で抄造して得ることができる。また、これら薬品添加の際には虫やごみ等が混入しないように細心の注意を要する。
本発明の木材パルプを製造する際に、木材パルプの叩解を進めると紙層間強度が増す効果が期待できる。しかしながら、叩解を進めることによって木材パルプ中の微細繊維が増加すると、合紙として使用中に紙粉が発生する恐れがあるので、必要以上に叩解度を進めることは好ましくない。よって本発明において好ましい叩解度は300〜650mlc.s.f.である。
本発明の木材パルプを使用して、通常の方法により、ガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、を得ることができる。なお、ガラス板合紙の抄造の途中および/または製造後でカレンダー処理、スーパーカレンダー処理、ソフトニップカレンダー処理、エンボス等の加工を行っても構わない。加工処理により、表面性や厚さを調整することができる。
前記ガラス合紙の厚みは、0.01〜2mmであることが好ましく、0.05〜1mmであることがより好ましく、0.1〜0.5mmであることが更により好ましい。
本発明のガラス板用合紙の坪量は、20〜80g/m2であることが好ましく、25〜70g/m2であることがより好ましく、30〜60g/m2であることが更により好ましい。
本発明のガラス板用合紙は、その一部又は全部が着色されてもよく、また、未着色のものでもよい。
本発明の木材パルプから得られた合紙、特に本発明のガラス板合紙、はガラス板の間に挿入されて使用される。例えば、前記ガラス板合紙は複数のガラス板の間に、典型的には、1枚ずつ挿入され、全体として、積層体とされ、当該積層体が保管、運搬の対象となる。また、本発明の木材パルプからなる合紙、特に本発明のガラス板合紙、を用いてガラス板単体又は前記積層体を包装してもよい。
ガラス板としては特に限定されるものではないが、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル(特にTFT液晶ディスプレイパネル)、有機ELディスプレイパネル等のフラットパネル・ディスプレイ用のガラス板であることが好ましい。フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板の表面には微細な電極、隔壁等が形成されるが、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、を使用することにより、ガラス板へのシリコーン等の疎水性物質の転写が抑制乃至回避されるので、ガラス板の表面に微細な電極、隔壁等が形成されても、シリコーンによる不都合を抑制乃至回避することができ、結果的に、ディスプレイの欠陥を抑制乃至回避することができる。
特に、ディスプレイの大型化に伴い、フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板のサイズ及び重量は増大しているが、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、はそのような大型乃至大重量のガラス板の表面を良好に保護することができる。特に、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、はシリコーン等の疎水性物質の点在数が極めて少ないので、大重量のガラス板によって押圧されてもシリコーン等の疎水性物質がガラス板に転写することが抑制乃至回避される。したがって、本発明の木材パルプからなるガラス板合紙、特に本発明のガラス板合紙、は、表面の清浄性が特に求められるフラットパネル・ディスプレイ用のガラス板に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[ガラス板への転写試験方法(輸送テスト)]
アルミ製で75度の角度がつけられたL 字架台上のガラス載置面に発泡ウレタンを敷き、ガラス板を垂直方向に載置するための載置面と、載置面の後端部から垂直方向に延びる背もたれ面に向けて、サイズ680mm×880mm×0.7mmのガラス板120枚と各ガラス板の間にガラス板合紙を挿入して、背もたれ面に平行となるように立てかけ、架台に固定された帯状のベルトを後端部から背もたれ面へ全周にわたり掛け渡してガラス板を固定した。上記のようにセットされた架台は、外部からの埃や塵等の混入を防ぐため包装資材で全面を被覆した。その後、トラックでの輸送テストを実施した。輸送テスト条件は、輸送距離1000km(輸送途中に40℃×95%RHの環境下に5日間保管)でテストを実施した。
[実施例1](木材パルプの製造)
蒸解工程と、洗浄工程と、酸素脱リグニン反応工程と、二酸化塩素及び過酸化水素による多段晒漂白工程とからなる針葉樹晒クラフトパルプの製造装置において、蒸解工程後にノットを除去した直後のドラムウォッシャーの洗浄液に使用される消泡剤としてシリコーン系消泡剤「SNデフォーマー551K」(サンノプコ社製)の原液を適量連続添加した。また、プレス洗浄の工程でウォッシュプレスに添加される消泡剤として同じく「SNデフォーマー551K」を適量加えた。以上のように、製造工程中でシリコーン系消泡剤を使用した針葉樹晒クラフトパルプを出力300W、5×10−4Torrのアルゴンガス雰囲気のプラズマ発生装置内で179kJ/m2のプラズマ処理を30秒行って、ガラス板合紙用木材パルプを得た。
[比較例1](木材パルプの製造)
また、前記プラズマ処理を行わない以外は上記と同様にしてガラス板合紙用木材パルプを得た。
[実施例2](ガラス板合紙の製造)
木材パルプとして実施例1のガラス板合紙用木材パルプを100質量部用意し、これを離解して叩解度を520mlc.s.f.に調製したスラリーに紙力増強剤としてポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン1250、荒川化学工業社製)を全パルプ質量に対して0.5質量部添加し、0.4%濃度のパルプスラリーを調成した。これを、長網抄紙機を使用して、坪量50g/m2のガラス板合紙を得た。
[比較例2](ガラス板合紙の製造)
木材パルプとして比較例1のガラス板合紙用木材パルプ100質量部を使用した以外は実施例2と同様の手法で、坪量50g/m2のガラス板合紙を得た。
[実施例3] (ガラス板合紙の製造)
比較例2のガラス板合紙に空気中で片面当たり500W・min/m2の条件でコロナ放電処理を行って、ガラス板合紙を得た。
[実施例4] (ガラス板合紙の製造)
比較例2のガラス板合紙にプラズマ処理装置を用いて、アルゴン雰囲気中で、片面当たり圧力0.3Torr、30秒間の条件でプラズマ処理を行って、ガラス板合紙を得た。
実施例2、実施例3、実施例4及び比較例2で得たガラス板合紙のガラス板への転写を輸送テストにて確認したところ、実施例2、実施例3及び実施例4の合紙を使用したガラス板を用いた液晶パネルのアレイ形成の際には、カラーフィルムの断線が認められなかった。一方、比較例2の合紙を使用したガラス板を用いた液晶パネルのアレイ形成の際には、カラーフィルムの断線が認められた。