JP6866585B2 - 油圧制御装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、油圧制御装置及びプログラムに関する。
従来、プライマリプーリ及びセカンダリプーリに供給される作動油の油圧を制御することにより、変速比を制御する車載自動変速機の制御装置が提案されている。このプーリに供給される作動油の油圧が高すぎると、プーリ間に巻きかけられたベルトの摩擦が増大して車両の燃費が低下することがある。したがって、車両の燃費を向上させるためには、制御装置は、ベルトのすべりが生じない程度に油圧を低減させて、作動油の油圧を制御することが望ましい。従来、例えば、特許文献1に示すように、圧力センサを用いて油圧のフィードバック制御を行うことにより、作動油の油圧を低圧化させる技術が提案されている。
特開2015−190487号公報
上述のような従来の制御装置においては、油圧センサが故障した場合には、油圧センサの出力に基づいて油圧をフィードバック制御することができなくなるため、作動油の油圧を所定圧上昇させる。この所定圧とは、作動油の油圧を制御する電磁弁の個体間における油圧特性のばらつきを考慮した比較的高い値である。したがって、従来の制御装置においては、油圧センサが故障した場合に、そのまま運転を継続すると、車両の燃費低下が生じてしまうという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、油圧センサが故障した場合においても、車両の燃費低下を抑止することができる油圧制御装置及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
本発明の一つの態様は、電磁弁の駆動電流を制御することにより、前記電磁弁を介して自動変速機に供給される作動油の油圧を制御する油圧制御装置であって、前記作動油の油圧を計測する油圧センサと、前記油圧センサの出力が供給され、前記油圧センサの故障を判定する油圧センサ故障判定部と、前記駆動電流を算出する駆動電流算出部と、を有し、前記駆動電流算出部は、前記油圧センサ故障判定部によって前記油圧センサが故障状態でないと判定された場合には、前記駆動電流算出部に入力される目標値と前記油圧センサによって計測される前記作動油の計測油圧との圧力偏差を算出し、圧力偏差に応じた駆動電流偏差と前記駆動電流とに基づいて新たな前記駆動電流を算出し、前記油圧センサ故障判定部によって前記油圧センサが故障状態であると判定された場合には、前記電磁弁の製品毎の前記駆動電流と前記作動油の油圧との関係を示す油圧特性データと前記電磁弁に所定の前記駆動電流が供給された場合に前記自動変速機に供給される圧力の下限値である下限側油圧規格値とに基づいて、前記下限側油圧規格値に対応する補正後の前記駆動電流を算出する、油圧制御装置である。
本発明の一つの態様は、電磁弁の駆動電流を制御することにより、前記電磁弁を介して自動変速機に供給される作動油の油圧を制御する油圧制御装置が備えるコンピュータに、車両搭載状態において油圧センサによって計測される前記作動油の計測油圧に基づいて、前記駆動電流を算出する駆動電流算出ステップと、前記油圧センサの故障を判定する油圧センサ故障判定ステップと、前記油圧センサ故障判定ステップによって前記油圧センサが故障状態であると判定された場合に、前記電磁弁の製品毎の前記駆動電流と前記作動油の油圧との関係を示す油圧特性データと前記電磁弁に所定の前記駆動電流が供給された場合に前記自動変速機に供給される圧力の下限値である下限側油圧規格値とに基づいて、前記下限側油圧規格値に対応する前記駆動電流へ補正する駆動電流補正ステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明の一つの態様によれば、油圧センサが故障した場合においても、車両の燃費低下を抑止することができる油圧制御装置及びプログラムが提供される。
第1の実施形態の油圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態の油圧特性データの一例を示す図である。 本実施形態の油圧制御装置の動作の一例を示す図である。 第2の実施形態の油圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態の下限側油圧規格データの一例を示す図である。 本実施形態の油圧制御装置の動作の一例を示す図である。 本実施形態の駆動電流と作動油の油圧との関係の一例を示す図である。
[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る油圧制御装置について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
図1は、本実施形態の油圧制御装置10の構成の一例を示すブロック図である。この油圧制御装置10は、上位ユニット20による変速指令に基づいて、車両の自動変速機TMに油圧を供給する。
[自動変速機TMの概要]
自動変速機TMは、プライマリプーリPPと、セカンダリプーリSPと、ベルトVTとを備えている。プライマリプーリPPには、原動機(不図示)が出力する回転力が伝達される。ベルトVTは、プライマリプーリPPと、セカンダリプーリSPとの間に巻きかけられており、プライマリプーリPPに伝達された回転力を、セカンダリプーリSPに伝達する。セカンダリプーリSPは、ベルトVTから伝達された回転力を、回転力の伝達機構(不図示)を介して、車両の車輪(不図示)に伝達する。
プライマリプーリPP、及びセカンダリプーリSPは、いずれもプーリ幅が可変である。
具体的には、プライマリプーリPPは、固定側プライマリプーリPP1と、可動側プライマリプーリPP2とを備えている。可動側プライマリプーリPP2がプーリの回転軸方向に移動することにより、プライマリプーリPPのプーリ幅が変化する。
これらのプーリのベルトVTが巻きかけられている面は、円錐状である。プーリ幅が広い状態では、ベルトVTは、プーリの内周部分に接する。プーリ幅が狭い状態では、ベルトVTは、プーリの外周部分に接する。プライマリプーリPPのプーリ幅と、セカンダリプーリSPのプーリ幅とを変化させることにより、減速比が変化する。具体的には、プライマリプーリPPのプーリ幅を広く、セカンダリプーリSPのプーリ幅を狭くすると、減速比が大きくなる。逆に、プライマリプーリPPのプーリ幅を狭く、セカンダリプーリSPのプーリ幅を広くすると、減速比が小さくなる。
プライマリプーリPP及びセカンダリプーリSPは、いずれも油室(不図示)を備えている。これらのプーリは、油室に存在する作動油の量によって、プーリの回転軸方向の位置が定められる。これらのプーリは、油室に存在する作動油の量が多いほどプーリ幅が広がる方向に移動し、作動油の量が少ないほどプーリ幅が狭まる方向に移動する。逆に、これらのプーリは、油室に存在する作動油の量が多いほどプーリ幅が狭まる方向に移動し、作動油の量が少ないほどプーリ幅が広がる方向に移動する構成であってもよい。
プライマリプーリPP及びセカンダリプーリSPには、ベルトVTの張力によって、プーリ幅を広げる方向に働く力がベルトVTから加えられる。プライマリプーリPP及びセカンダリプーリSPには、この力に抗するために、所定の圧力に加圧された作動油が供給される。以下の説明において、この所定の圧力を、供給圧とも記載する。供給圧の設定範囲は、本実施形態の一例では、4〜5[Mpa]程度である。つまり、プライマリプーリPP及びセカンダリプーリSPには、4〜5[Mpa]程度に加圧された作動油が供給される。
[油圧供給部30の概要]
油圧供給部30は、オイルパンOPと、オイルポンプPと、電磁弁Vと、油圧センサPSとを備えており、オイルポンプPによって加圧された作動油OILを自動変速機TMに供給する。
オイルポンプPは、作動油配管HP1と作動油配管HP2との間に設けられており、オイルパンOPに貯留されている作動油OILを、作動油配管HP1を介して吸い上げ、作動油配管HP2に吐出する。つまり、オイルポンプPは、図中の矢印A方向に作動油を移動させる。オイルポンプPとは、一例として、電動ポンプ、又はエンジンの回転力によって回転するポンプである。オイルポンプPが電動ポンプである場合には、不図示の制御ユニットによる制御に基づいて動作する。
電磁弁Vは、作動油配管HP2と、作動油配管HP3との間に設けられている。電磁弁Vは、ソレノイドSLを備えている。電磁弁Vは、ソレノイドSLに供給される駆動電流Iの大きさに応じてバルブ開度を変化させる。本実施形態の一例では、電磁弁Vは、駆動電流Iがより大きい場合、バルブ開度をより小さくする。また、電磁弁Vは、駆動電流Iがより小さい場合、バルブ開度をより大きくする。電磁弁Vは、バルブ開度を増減させて、オイルポンプPによって加圧された作動油OILの図中の矢印B方向に通過する量を増減することにより、自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧を制御する。すなわち、電磁弁Vは、自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧コントロール弁として機能する。
油圧センサPSは、作動油配管HP3と、作動油配管HP4との間に設けられており、自動変速機TMに供給される作動油OILの油圧、すなわち供給圧を検出する。油圧センサPSは、検出した圧力を油圧制御装置10に計測油圧信号SOPとして出力する。
なお、油圧供給部30は、アキュムレータACCを備えていてもよい。アキュムレータACCは、オイルポンプPが発生させた油圧が付された作動油OILを蓄える。油圧供給部30は、アキュムレータACCを備えることにより、オイルポンプPの動作による油圧の脈動やサージを低減することができる。また、油圧供給部30は、アキュムレータACCを備えることにより、オイルポンプPが停止している状態において作動油OILに圧力を付すことができる。
以下、油圧制御装置10による作動油の供給圧の制御について説明する。なお、プライマリプーリPP及びセカンダリプーリSPのいずれに作動油OILが供給されるかについて、つまり、変速比の制御については説明を省略する。
[油圧制御装置10の構成]
油圧制御装置10の構成について説明する。油圧制御装置10は、演算部100と、記憶部200とを備える。油圧制御装置10は、その入力側が、上位ユニット20と、油圧センサPSとに接続されている。また、油圧制御装置10は、その出力側が、電磁弁VのソレノイドSLに接続されている。
なお、油圧制御装置10は、オイルポンプPの回転数を制御することにより、吐出油圧を制御してもよい。この油圧制御装置10によるオイルポンプPの吐出油圧の制御については、その説明を省略する。以下、オイルポンプPの吐出油圧が一定である場合について説明する。
記憶部200は、油圧特性データ記憶部210を備える。油圧特性データ記憶部210には、油圧特性データDIPが記憶されている。この油圧特性データDIPの一例について、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態の油圧特性データDIPの一例を示す図である。油圧特性データ記憶部210には、電磁弁VのソレノイドSLを駆動する駆動電流Iの電流値と、この駆動電流Iが供給された場合の作動油OILの供給圧とが対応付けられて油圧特性データDIPとして記憶されている。この油圧特性データDIPは、電磁弁Vの製品毎の駆動電流Iと作動油OILの供給圧との関係を示す。すなわち、油圧特性データDIPは、電磁弁Vの製品毎の駆動電流−油圧特性を示す。以下の説明において、電磁弁Vの駆動電流−油圧特性を、単に「電磁弁Vの油圧特性」とも記載する。
ここで、油圧特性データDIPに記憶されている電磁弁Vの油圧特性は、電磁弁Vの使用初期状態において計測された油圧特性であってもよい。この場合、油圧特性データDIPは、電磁弁Vの使用初期状態において電磁弁V毎に計測された駆動電流Iと作動油OILの油圧との関係を示すデータである。油圧特性データDIPに記憶されている電磁弁Vの油圧特性は、電磁弁Vの工場出荷時における出荷検査などにおいて計測されることが可能である。電磁弁Vの出荷検査などにおいて計測される場合には、規格化された手順による測定が可能になり、精度のよい油圧特性データDIPが得られる。
具体的な一例として、油圧特性データ記憶部210には、駆動電流I=200[mA]と、使用初期油圧PI=4500[kPa]とが対応付けられて、油圧特性データDIPとして記憶されている。また、油圧特性データ記憶部210には、駆動電流I=600[mA]と使用初期油圧PI=1500[kPa]とが、駆動電流I=800[mA]と、使用初期油圧PI=500[kPa]とが、駆動電流I=1000[mA]と使用初期油圧PI=200[kPa]とが、それぞれ対応付けられて油圧特性データDIPとして記憶されている。
なお、この使用初期油圧PIとは、電磁弁Vの検査時に計測された油圧特性データの一例である。すなわち、使用初期油圧PIとは、電磁弁Vの油圧特性データのうち、出荷検査など電磁弁Vの使用初期状態において計測された油圧特性データである。以下の説明において、使用初期油圧PIを、検査時計測圧Pとも記載する。
電磁弁Vの駆動電流Iと作動油OILの油圧との関係は、電磁弁Vの寸法誤差や組み立て誤差等によって、電磁弁Vの製品毎に互いに異なる。油圧特性データDIPは、電磁弁Vの製品毎に取得される。
油圧特性データ記憶部210は、情報の追記又は情報の書き換えが可能な不揮発性の記憶素子によって構成されている。電磁弁Vの工場の出荷検査等において、電磁弁Vの製品ごとに油圧特性データDIPが取得される。取得された油圧特性データDIPは、この電磁弁Vを制御する油圧制御装置10の油圧特性データ記憶部210に書き込まれる。
ここで、電磁弁Vと油圧制御装置10とは、それぞれ別々に車両の組み立て工場に納入される場合がある。この場合、複数ある電磁弁Vの個体のうち、いずれの電磁弁Vの個体が油圧制御装置10と組み合わせられるのかは、車両の組み立て工程において、車両に組みつけられる電磁弁Vの個体と、油圧制御装置10の個体とが決定されることにより判明する。車両に組みつけられる電磁弁Vの個体と、油圧制御装置10の個体との組み合わせが決定されると、油圧制御装置10の油圧特性データ記憶部210に記憶させるべき油圧特性データDIPが特定される。
油圧特性データDIPは、電磁弁Vの外装部分に表示されてもよい。例えば、油圧特性データDIPは、油圧特性データDIPを2次元コードによって示したステッカーが電磁弁Vの外装に貼付されることにより表示され、又は当該2次元コードが電磁弁Vの外装に刻印されることにより表示される。この場合には、車両に組みつけられる電磁弁Vの個体と、油圧制御装置10の個体との組み合わせが決定された後に、当該個体の油圧特性データDIPがスキャナ等によって読み取られる。さらに、読み取られた油圧特性データDIPが、油圧制御装置10の油圧特性データ記憶部210に書き込まれる。
図1に戻り、演算部100は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、油圧センサ故障判定部110と、駆動電流算出部120とをその機能部として備えている。
油圧センサ故障判定部110には、油圧センサPSの出力が供給される。油圧センサ故障判定部110は、供給される油圧センサPSの出力に基づいて、油圧センサPSの故障を判定する。ここで、油圧センサPSの故障には、油圧センサPSの機械的な破損や、電気的な特性の変化が含まれる。また、ここでいう「油圧センサPSの出力」とは、例えば、計測油圧信号SOPである。計測油圧信号SOPは、油圧センサPSによって検出される油圧の大きさに応じた電気的特性を有する信号である。計測油圧信号SOPは、例えば、油圧センサPSによって検出される油圧の大きさに応じた電位、電流値、デューティー比、又は周波数特性を有する。油圧センサ故障判定部110は、この計測油圧信号SOPを取得することにより、油圧センサPSの故障を判定する。
油圧センサ故障判定部110は、油圧の目標値TGTと、油圧センサPSが計測する計測油圧信号SOPとの偏差に基づいて、油圧センサPSの故障を判定する。一例として、油圧センサ故障判定部110は、油圧の目標値TGTと油圧センサPSが出力する計測油圧信号SOPとの偏差が所定の範囲内であるか否かに基づいて、油圧センサPSの故障を判定する。
油圧センサ故障判定部110は、判定した結果を故障有無情報DFとして駆動電流算出部120に供給する。
駆動電流算出部120は、駆動電流Iの電流値を算出する。なお、以下の説明において、駆動電流Iの電流値を算出することを、単に「駆動電流Iを算出する」とも記載する。
[駆動電流Iの算出手順(1)]
駆動電流算出部120は、上位ユニット20が出力する油圧の目標値TGTと、油圧センサPSが出力する計測油圧信号SOPとに基づいて、駆動電流Iを算出する。具体的には、駆動電流算出部120は、上位ユニット20から目標値TGTを取得する。駆動電流算出部120は、油圧センサPSから計測油圧信号SOPを取得する。駆動電流算出部120は、取得した目標値TGTと、計測油圧信号SOPとの圧力偏差を算出する。駆動電流算出部120は、算出した圧力偏差に応じた駆動電流偏差ΔIを算出する。駆動電流算出部120は、算出した駆動電流偏差ΔIと駆動電流Iの電流値とに基づいて、新たな駆動電流Iの電流値を算出する。駆動電流算出部120は、算出した電流値の駆動電流Iを電磁弁VのソレノイドSLに対して出力する。
すなわち、駆動電流算出部120は、目標値TGTと計測油圧信号SOPとに基づいて、計測油圧信号SOPが目標値TGTに近づくようにして駆動電流Iを算出する、いわゆるフィードバック制御を行う。
[駆動電流Iの算出手順(2)]
駆動電流算出部120は、油圧特性データ記憶部210に記憶されている油圧特性データDIPに基づいて、駆動電流Iを算出する。具体的には、駆動電流算出部120は、上位ユニット20から目標値TGTを取得する。駆動電流算出部120は、油圧特性データ記憶部210から、油圧特性データDIPを取得する。駆動電流算出部120は、取得した目標値TGTの油圧に対応する駆動電流Iの電流値を、油圧特性データDIPのグラフに基づいて算出する。駆動電流算出部120は、算出した電流値の駆動電流Iを電磁弁VのソレノイドSLに対して出力する。
すなわち、駆動電流算出部120は、目標値TGTと油圧特性データDIPとに基づいて、駆動電流Iを算出する、いわゆるオープンループ制御を行う。
ここで、駆動電流算出部120は、油圧センサPSの故障の有無によって駆動電流Iの算出手順を変更する。具体的には、駆動電流算出部120は、油圧センサPSが故障状態でない場合には、上述した算出手順(1)によって、すなわち目標値TGTと計測油圧信号SOPとに基づくフィードバック制御によって駆動電流Iを算出する。
また、駆動電流算出部120は、油圧センサPSが故障状態である場合には、上述した算出手順(2)によって、すなわち目標値TGTと油圧特性データDIPとに基づくオープンループ制御によって駆動電流Iを算出する。
[油圧制御装置10の動作]
次に、油圧制御装置10の動作について図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態の油圧制御装置10の動作の一例を示す図である。
(ステップS10)油圧制御装置10は、上位ユニット20から油圧の制御目標値である目標値TGTを取得する。
(ステップS20)油圧制御装置10は、油圧センサPSから計測油圧、すなわち計測油圧信号SOPを取得する。
(ステップS30)油圧制御装置10の駆動電流算出部120は、ステップS10において取得される目標値TGTと、ステップS20において取得される計測油圧信号SOPとの偏差ΔPを算出する。
(ステップS40)油圧制御装置10の油圧センサ故障判定部110は、油圧センサPSの故障有無の判定条件が成立している場合に、油圧センサPSの故障有無の判定を開始する。具体的には、油圧センサ故障判定部110は、油圧センサPSが出力する計測油圧信号SOPに変化が生じる条件が成立している場合に、油圧センサPSの故障有無の判定条件が成立していると判定する。
(ステップS50)油圧センサ故障判定部110は、油圧センサPSの故障有無の判定を開始した場合、計測油圧信号SOPに変化が生じる条件下において、油圧センサPSが出力する計測油圧信号SOPと、推定油圧との偏差ΔPMEの大きさに基づいて油圧センサPSの故障有無を判定する。
(ステップS60)油圧センサ故障判定部110は、計測油圧信号SOPと推定油圧との偏差ΔPMEが所定値を超える場合には、「油圧センサPSの故障有り」と判定して、処理をステップS80に進める。油圧センサ故障判定部110は、偏差ΔPMEが所定値未満である場合には、「油圧センサPSの故障無し」と判定して、処理をステップS70に進める。
(ステップS70)「油圧センサPSの故障無し」と判定された場合、駆動電流算出部120は、計測油圧信号SOPに基づく作動油OILの圧力制御、すなわち、フィードバック制御を行って、一連の動作を終了する。
(ステップS80)「油圧センサPSの故障有り」と判定された場合、駆動電流算出部120は、計測油圧信号SOPに基づかない作動油OILの圧力制御、すなわち、オープンループ制御を行う。具体的には、駆動電流算出部120は、油圧特性データ記憶部210から油圧特性データDIPを取得する。駆動電流算出部120は、取得した油圧特性データDIPと、目標値TGTとに基づいて、目標値TGTに対する駆動電流Iの電流値を算出する。駆動電流算出部120は、算出した電流値の駆動電流Iを、電磁弁VのソレノイドSLに供給する。
(ステップS90)油圧制御装置10は、「油圧センサPSの故障有り」を示す信号を、例えば、上位ユニット20に対して出力して、一連の動作を終了する。
以上説明したように、駆動電流算出部120は、油圧センサPSに故障が発生した場合、油圧特性データ記憶部210に記憶されている油圧特性データDIPに基づいて、電磁弁Vが自動変速機TMに供給する作動油OILの供給圧を制御する。つまり、本実施形態の油圧制御装置10は、油圧センサPSに故障が発生した場合、電磁弁Vの個体ごとにそれぞれ取得された油圧特性データDIPに基づいて、作動油OILの供給圧を制御する。
従来技術では、油圧センサPSに故障が発生して油圧フィードバック制御ができない場合には、作動油OILの供給圧についてオープンループ制御が行われる場合があった。この従来技術においてオープンループ制御を行う場合に、電磁弁Vの個体の油圧特性までを考慮した油圧制御をおこなっていなかった。したがって、この従来技術においては、油圧センサPSに故障が発生した場合に、油圧特性に個体ばらつきがある電磁弁Vのうち、最下限の油圧特性を有する電磁弁V、つまり規格下限品の油圧特性に合わせてオープンループ制御を行う場合があった。この場合には、規格下限品ではない電磁弁Vによる作動油OILの供給圧が、規格下限品の電磁弁Vによる供給圧に比べて高くなるという問題があった。このため、従来技術によると、油圧センサPSに故障が発生した場合に、電磁弁Vの個体によっては供給圧が比較的高くなり、車両の燃費低下を抑止することができないという問題があった。
本実施形態の油圧制御装置10は、電磁弁Vの個体ごとにそれぞれ取得された油圧特性データDIPに基づいて、作動油OILの供給圧を制御するため、電磁弁Vの個体の特性に応じた下限圧力まで供給圧を低減することができる。つまり、本実施形態の10によれば、油圧センサPSに故障が発生した場合に、車両の燃費低下を抑止することができる。
[第2の実施形態]
以下、図面を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る油圧制御装置について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態に係る油圧制御装置10−2は、作動油OILの油圧のオープンループ制御において「下限側の油圧規格値」に基づいて制御する点で、上述した第1の実施形態に係る油圧制御装置10と異なる。
図4は、本実施形態の油圧制御装置10−2の構成の一例を示すブロック図である。油圧制御装置10−2は、上述した演算部100及び記憶部200に代えて、演算部100−2及び記憶部200−2を備える。
演算部100−2は、上述した演算部100が備える各部に加えて、偏差算出部130を備える。また、演算部100−2は、上述した駆動電流算出部120に代えて、駆動電流算出部120−2を備える。記憶部200−2は、上述した記憶部200が備える各部に加えて、下限側油圧規格値記憶部220を備える。
下限側油圧規格値記憶部220には、下限側油圧規格データDSPが記憶されている。この下限側油圧規格データDSPの一例について、図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態の下限側油圧規格データDSPの一例を示す図である。下限側油圧規格値記憶部220には、電磁弁VのソレノイドSLを駆動する駆動電流Iの電流値と、この駆動電流Iが供給される場合の作動油OILの油圧の下限側油圧規格値Pとが対応付けられて下限側油圧規格データDSPとして記憶されている。下限側油圧規格データDSPは、電磁弁Vの駆動電流Iと作動油OILの油圧の下限側油圧規格値Pとの関係を示す。
ここで、下限側油圧規格値Pとは、電磁弁Vの設計規格値として管理される値である。この下限側油圧規格値Pは、電磁弁Vに所定の電流値の駆動電流Iが供給された場合に、電磁弁Vを介して自動変速機TMに供給される作動油OILの圧力、すなわち供給圧の下限値を示す。
具体的な一例として、下限側油圧規格値記憶部220には、駆動電流I=200[mA]と、下限側油圧規格値P=4000[kPa]とが対応付けられて、下限側油圧規格データDSPとして記憶されている。また、油圧特性データ記憶部210には、駆動電流I=600[mA]と下限側油圧規格値P=1000[kPa]とが、駆動電流I=800[mA]と下限側油圧規格値P=300[kPa]とが、駆動電流I=1000[mA]と下限側油圧規格値P=100[kPa]とが、それぞれ対応付けられて、下限側油圧規格データDSPとして記憶されている。
偏差算出部130は、自動変速機TMの下限側油圧規格データDSPと、油圧特性データDIPとの偏差DSIを算出する。この偏差算出部130が算出する偏差DSIについて説明する。
上述したように、電磁弁Vの油圧特性データDIPは、電磁弁Vの組み立て工場での出荷検査などにおいて、電磁弁Vの個体ごとに取得される。より具体的には、駆動電流Iが供給された場合の、電磁弁Vから自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧が、検査時計測圧Pc1として計測される。計測された検査時計測圧Pc1は、駆動電流Iの電流値に対応付けられて、油圧特性データDIPとして記録される。次に、駆動電流Iとは電流値が異なる駆動電流Iについて、駆動電流Iが供給された場合の電磁弁Vから自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧が、検査時計測圧Pc2として計測される。計測された検査時計測圧Pc2は、駆動電流Iの電流値に対応付けられて、油圧特性データDIPとして記録される。
ここで、電磁弁Vの工場での出荷検査などにおいて、電磁弁Vは、油圧特性データDIPが示す供給圧が、下限側油圧規格値Pを下回らないことを合格基準にして、電磁弁Vの個体毎に検査される。より具体的には、電磁弁Vには、駆動電流Iに対する検査時計測圧Pc1の下限値である下限側油圧規格値Ps1と、駆動電流Iに対する検査時計測圧Pc2の下限値である下限側油圧規格値Ps2とが予め定められている。
電磁弁Vの個体によっては、所定の電流値の駆動電流Iを供給した場合に、自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧が下限側油圧規格値Ps1を下回る場合がある。例えば、組み立て不良が生じた電磁弁Vは、作動油OILの供給圧が下限側油圧規格値Pを下回る場合がある。電磁弁Vから自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧が下限側油圧規格値Pを下回ると、自動変速機TMが正常に動作しない場合がある。
そこで、電磁弁Vの工場での出荷検査において、電磁弁Vのある個体について作動油OILの供給圧が下限側油圧規格値Pを下回る場合には、その個体を不良品として管理し、出荷を停止する等の措置を行う。
すなわち、車両に組み付けられる電磁弁Vの個体は、いずれの個体も下限側油圧規格値Pの検査を合格している。つまり、車両に組み付けられる電磁弁Vの個体は、いずれの個体も作動油OILの供給圧が下限側油圧規格値Pを上回る。作動油OILの供給圧が下限側油圧規格値Pをどの程度上回るかは、電磁弁Vの個体毎に程度のばらつきがある。
作動油OILの供給圧が下限側油圧規格値Pにより近い場合には、下限側油圧規格値Pを大きく上回る場合に比べて、自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧が低い。自動変速機TMは、プライマリプーリPPとベルトVTとの間、及びベルトVTとセカンダリプーリSPとの間において摩擦が生じる。この摩擦は、自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧が高いほど大きくなる。この摩擦が大きい場合には、摩擦が少ない場合に比べて自動変速機TMでの回転力伝達ロスが大きくなり、結果的に車両の燃費が悪化する。したがって、車両の燃費を向上させるためには、自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧は、下限側油圧規格値Pを大きく上回る場合に比べ下限側油圧規格値Pに近いほうが好ましい。
ここで、偏差算出部130が算出する偏差DSIとは、油圧特性データDIPと、下限側油圧規格データDSPとの差である。すなわち、偏差DSIとは、電磁弁Vの個体の供給圧が下限側油圧規格値Pをどの程度上回るのかを示す値である。
偏差算出部130は、電磁弁Vの個体ごとに油圧特性データ記憶部210に記憶されている当該個体の油圧特性データDIPと、下限側油圧規格データDSPとの偏差を、偏差DSIとして算出する。
なお、油圧特性データDIPが電磁弁Vの経年変化に応じて更新される場合がある。この場合には、偏差算出部130は、更新された油圧特性データDIPに基づいて、偏差DSIを算出する。またこの場合、偏差算出部130は、駆動電流算出部120−2が駆動電流Iを算出する毎に更新された油圧特性データDIPを参照して、偏差DSIを算出してもよい。つまり、偏差算出部130は、リアルタイム処理によって偏差DSIを算出してもよい。このように構成することにより、偏差算出部130は、車両の経年変化に応じて変化する電磁弁Vの油圧特性に基づいて偏差DSIを算出することができるため、偏差DSIの算出精度の低下を抑止することができる。
駆動電流算出部120−2は、偏差算出部130が算出する偏差DSIに基づいて駆動電流Iを算出する点において、上述した駆動電流算出部120と異なる。具体的には、駆動電流算出部120−2は、油圧センサPSが故障状態でない場合には、上述した算出手順(1)と同様にして、駆動電流Iを算出する。また、駆動電流算出部120−2は、油圧センサPSが故障状態である場合には、算出手順(2−2)によって駆動電流Iを算出する。
[駆動電流Iの算出手順(2−2)]
駆動電流算出部120−2は、上位ユニット20から供給される油圧の目標値TGTと、油圧特性データ記憶部210に記憶されている油圧特性データDIPと、偏差算出部130が算出する偏差DSIとに基づいて、駆動電流Iを算出する。具体的には、駆動電流算出部120−2は、上位ユニット20から油圧の目標値TGTを取得する。駆動電流算出部120−2は、油圧特性データ記憶部210から、油圧特性データDIPを取得する。駆動電流算出部120−2は、偏差算出部130から偏差DSIを取得する。この偏差DSIは、上述したように、電磁弁Vの油圧特性データDIPと、下限側油圧規格データDSPとの偏差である。
駆動電流算出部120−2は、取得した目標値TGTに対応する駆動電流Iの電流値を、油圧特性データDIPのグラフに基づいて算出する。
駆動電流算出部120−2は、算出した駆動電流Iを、偏差DSIによって補正する。具体的には、駆動電流算出部120−2は、算出した駆動電流Iに対応する下限側油圧規格値Pを、下限側油圧規格データDSPに基づいて算出する。駆動電流算出部120−2は、算出した下限側油圧規格値Pと、油圧特性データDIPとに基づいて、下限側油圧規格値Pに対応する補正後の駆動電流Iを算出する。
換言すれば、駆動電流算出部120−2は、自動変速機TMの下限側油圧規格データDSPと油圧特性データDIPとの圧力偏差に基づいて、駆動電流Iを算出する。
[油圧制御装置10−2の動作]
次に、図6を参照して、油圧制御装置10−2の動作について説明する。
図6は、本実施形態の油圧制御装置10−2の動作の一例を示す図である。なお、図6に示す動作の各ステップは、図3に示すステップS80の具体的な動作の一例を示す。
[(1)偏差ΔPの算出]
(ステップS8010)駆動電流算出部120−2は、油圧特性データ記憶部210に記憶される油圧特性データDIPを参照して、駆動電流Iに対応する使用初期油圧PIを検査時計測圧Pc2として取得する。具体的な一例として、図2に示す油圧特性データDIPにおいて、駆動電流I=1000[mA]である場合には、使用初期油圧PI=200[kPa]である。この場合、駆動電流算出部120−2は、駆動電流I=1000[mA]に対応する使用初期油圧PI=200[kPa]を検査時計測圧Pc2として取得する。
(ステップS8020)駆動電流算出部120−2は、油圧特性データ記憶部210に記憶される油圧特性データDIPを参照して、駆動電流Iに対応する使用初期油圧PIを検査時計測圧Pc1として取得する。具体的な一例として、図2に示す油圧特性データDIPにおいて、駆動電流I=200[mA]である場合には、使用初期油圧PI=4500[kPa]である。この場合、駆動電流算出部120−2は、駆動電流I=200[mA]に対応する使用初期油圧PI=4500[kPa]を検査時計測圧Pc1として取得する。
(ステップS8030)駆動電流算出部120−2は、ステップS8010において取得された駆動電流I及び検査時計測圧Pc2と、ステップS8020において取得された駆動電流I及び検査時計測圧Pc1とに基づいて、駆動電流−油圧特性曲線偏差Δの傾きを算出する。以下の説明において、駆動電流−油圧特性曲線CC1の傾きを「偏差ΔPc」とも記載する。
ここで、駆動電流Iの電流値と、上述した駆動電流Iの電流値とは互いに異なる値である。つまり、ステップS8010からステップS8030において、駆動電流算出部120−2は、駆動電流Iの電流値が互いに異なる2点についての駆動電流−油圧特性を取得して、偏差ΔPを算出する。この駆動電流Iと、作動油OILの油圧との関係の一例について、図7に示す。
図7は、本実施形態の駆動電流Iと作動油OILの油圧との関係の一例を示す図である。油圧特性データ記憶部210に記憶される油圧特性データDIPに基づいて算出される駆動電流−油圧特性の一例を、駆動電流−油圧特性曲線CC1に示す。この駆動電流−油圧特性曲線CC1は、油圧特性データ記憶部210に記憶される油圧特性データDIPが直線補間された線分である。
なお、この一例では、駆動電流−油圧特性曲線CC1が、油圧特性データDIPが直線補間された線分である場合について説明するがこれに限られず、2次曲線や更に高次の曲線によって補間されていてもよい。駆動電流算出部120−2は、この駆動電流−油圧特性曲線CC1の傾きを算出することにより、駆動電流Iの補正を行う。
より具体的には、ステップS8010において、駆動電流算出部120−2は、油圧特性データDIPを参照して、駆動電流Iと検査時計測圧Pc2との交点Qc2を算出する。
ステップS8020において、駆動電流算出部120−2は、油圧特性データDIPを参照して、駆動電流Iと検査時計測圧Pc1との交点Qc1を算出する。
ステップS8030において、駆動電流算出部120−2は、交点Qc2と交点Qc1とを直線補間して駆動電流−油圧特性曲線CC1を求め、この駆動電流−油圧特性曲線CC1の傾き、すなわち偏差ΔPを算出する。
[(2)調圧点における圧力偏差ΔPの算出]
(ステップS8040)図6に戻り、駆動電流算出部120−2は、下限側油圧規格値記憶部220に記憶されている下限側油圧規格データDSPを参照して、駆動電流Iに対応する下限側油圧規格値Ps2を取得する。本実施形態の具体例では、図5に示すように、駆動電流I=1000[mA]には、下限側油圧規格値Ps2=100[kPa]が対応する。この具体例の場合、駆動電流算出部120−2は、駆動電流I=1000[mA]に対応する下限側油圧規格値Ps2=100[kPa]を取得する。
(ステップS8050)駆動電流算出部120−2は、油圧特性データ記憶部210に記憶されている油圧特性データDIPを参照して、駆動電流Iに対応する検査時計測圧Pc2を取得する。本実施形態の具体例では、図2に示すように、駆動電流I=1000[mA]には、検査時計測圧Pc2=200[kPa]が対応する。この具体例の場合、駆動電流算出部120−2は、駆動電流I=1000[mA]に対応する検査時計測圧Pc2=200[kPa]を取得する。
(ステップS8060)駆動電流算出部120−2は、ステップS8050において取得された下限側油圧規格値Ps2と、ステップS8060において取得された検査時計測圧Pc2との圧力偏差ΔPを算出する。この具体例では、駆動電流算出部120−2は、下限側油圧規格値Ps2=100[kPa]と、検査時計測圧Pc2=200[kPa]との圧力偏差ΔPを算出する。
ここで、圧力偏差ΔPとは、調圧点における下限側油圧規格値Pと検査時計測圧Pとの圧力差である。調圧点とは、駆動電流算出部120−2が、駆動電流−油圧特性曲線に基づいて駆動電流Iの電流値の補正を行う場合の基準点である
駆動電流算出部120−2は、図7に示す一例では、駆動電流Iと下限側油圧規格値Ps2との交点Qs2の座標、及び駆動電流Iと検査時計測圧Pc2との交点Qc2とに基づいて、圧力偏差ΔPを算出する。この場合、調圧点とは、交点Qc2である。
すなわち、駆動電流算出部120−2は、ステップS8040からステップS8060において、調圧点における圧力偏差ΔPを算出する。
[(3)調圧点における駆動電流Iの補正]
(ステップS8070)駆動電流算出部120−2は、ステップS8060において算出された圧力偏差ΔPが所定範囲±dの範囲内であるか否かを判定する。駆動電流算出部120−2は、圧力偏差ΔPが所定範囲±dの範囲内であると判定した場合(ステップS8070;YES)には、処理をステップS8090に進める。駆動電流算出部120−2は、圧力偏差ΔPが所定範囲±dの範囲内でないと判定した場合(ステップS8070;NO)には、処理をステップS8080に進める。
(ステップS8080)駆動電流算出部120−2は、ステップS8060において算出された圧力偏差ΔPに相当する電流値を、駆動電流Iに対して加算することにより補正する。具体的には、駆動電流算出部120−2は、下限側油圧規格値Ps2と駆動電流−油圧特性曲線CC1との交点Qc3を算出する。駆動電流算出部120−2は、算出した交点Qc3における駆動電流I+δと、交点Qc2における駆動電流Iとの電流値の差、すなわちδを、圧力偏差ΔPに相当する電流値として算出する。駆動電流算出部120−2は、算出した圧力偏差ΔPに相当する電流値δを、駆動電流Iに対して加算することにより、駆動電流I+δを補正後の駆動電流Iとして算出する。
(ステップS8090)駆動電流算出部120−2は、下限側油圧規格値記憶部220に記憶されている下限側油圧規格データDSPを取得し、取得した下限側油圧規格データDSPに基づいて、駆動電流−下限側油圧規格特性曲線CC2の傾きΔPを算出する。
(ステップS8100)駆動電流算出部120−2は、ステップS8090において算出された駆動電流−下限側油圧規格特性曲線CC2の傾きΔPと、ステップS8030において算出された偏差ΔPとの差、すなわち傾き差ΔΔPを算出する。
(ステップS8110)駆動電流算出部120−2は、ステップS8100において算出された傾き差ΔΔPが所定範囲±ddの範囲内であるか否かを判定する。駆動電流算出部120−2は、傾き差ΔΔPが所定範囲±ddの範囲内であると判定した場合(ステップS8110;YES)には、処理を終了する。駆動電流算出部120−2は、傾き差ΔΔPが所定範囲±ddの範囲内でないと判定した場合(ステップS8110;NO)には、処理をステップS8120に進める。
(ステップS8120)駆動電流算出部120−2は、ステップS8060において算出された傾き差ΔΔPに相当する電流値を、駆動電流Iに対して加算することにより補正する。具体的な一例として、駆動電流算出部120−2が、図7に示す駆動電流Iを補正する場合について説明する。
駆動電流算出部120−2は、駆動電流Iを補正前の駆動電流Iとして算出する。この駆動電流Iが電磁弁Vに供給された場合、電磁弁Vが自動変速機TMに供給するOILの供給圧は、駆動電流−油圧特性曲線CC1において駆動電流Iに対応する圧力、すなわち検査時計測圧Pc1である。
駆動電流算出部120−2は、駆動電流−下限側油圧規格特性曲線CC2を参照して、駆動電流Iと、駆動電流−下限側油圧規格特性曲線CC2との交点Qs1を算出することにより、下限側油圧規格値Ps1を算出する。次に、駆動電流算出部120−2は、下限側油圧規格値Ps1と、駆動電流−油圧特性曲線CC1との交点Qc1−2を算出することにより、駆動電流I1−2を算出する。
つまり、駆動電流算出部120−2は、電磁弁Vに駆動電流Iが供給された場合の検査時計測圧Pc1と、駆動電流Iの下限側油圧規格値Ps1との偏差ΔPに基づいて、駆動電流Iの補正値ΔIを算出する。
以上説明したように、駆動電流算出部120−2は、下限側油圧規格値記憶部220に記憶されている下限側油圧規格値Ps1に基づいて、駆動電流Iを補正する。この下限側油圧規格値Ps1は、検査時計測圧Pc1に比べて圧力が低い。つまり、駆動電流算出部120−2は、駆動電流Iを補正することにより、電磁弁Vが自動変速機TMに供給する作動油OILの供給圧を低減する。
従来技術では、油圧センサPSに故障が発生して油圧フィードバック制御ができない場合には、オープンループ制御が行われる場合があった。この従来技術において、オープンループ制御を行う場合に、自動変速機TMに供給される作動油OILの供給圧をどの程度まで低減させることが可能か否かを判定することができなかった。したがって、この従来技術においては、油圧センサPSに故障が発生した場合に、電磁弁Vが自動変速機TMに供給する作動油OILの供給圧を低減することができなかった。このため、従来技術によると、油圧センサPSに故障が発生した場合に、車両の燃費低下を抑止することができないという問題があった。
本実施形態の油圧制御装置10−2は、下限側油圧規格データDSPに基づいて、駆動電流Iを補正するため、電磁弁Vが自動変速機TMに供給する作動油OILの供給圧を、規格値下限まで低減することができる。つまり、本実施形態の10−2によれば、油圧センサPSに故障が発生した場合に、車両の燃費低下を抑止することができる。
なお、上記説明した各実施形態及びその変形例は、相互に矛盾しない範囲内において、構成を適宜組み合わせることができる。
また、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
10、10−2…油圧制御装置、20…上位ユニット、30…油圧供給部、100、100−2…演算部、110…油圧センサ故障判定部、120、120−2…駆動電流算出部、130…偏差算出部、200、200−2…記憶部、210…油圧特性データ記憶部、220…下限側油圧規格値記憶部、P…オイルポンプ、OP…オイルパン、HP…作動油配管、V…電磁弁、SL…ソレノイド、OIL…作動油、TM…自動変速機、PS…油圧センサ

Claims (5)

  1. 電磁弁の駆動電流を制御することにより、前記電磁弁を介して自動変速機に供給される作動油の油圧を制御する油圧制御装置であって、
    前記作動油の油圧を計測する油圧センサと、
    前記油圧センサの出力が供給され、前記油圧センサの故障を判定する油圧センサ故障判定部と、
    前記駆動電流を算出する駆動電流算出部と、
    を有し、
    前記駆動電流算出部は、
    前記油圧センサ故障判定部によって前記油圧センサが故障状態でないと判定された場合には、前記駆動電流算出部に入力される目標値と前記油圧センサによって計測される前記作動油の計測油圧との圧力偏差を算出し、圧力偏差に応じた駆動電流偏差と前記駆動電流とに基づいて新たな前記駆動電流を算出し、
    前記油圧センサ故障判定部によって前記油圧センサが故障状態であると判定された場合には、前記電磁弁の製品毎の前記駆動電流と前記作動油の油圧との関係を示す油圧特性データと前記電磁弁に所定の前記駆動電流が供給された場合に前記自動変速機に供給される圧力の下限値である下限側油圧規格値とに基づいて、前記下限側油圧規格値に対応する補正後の前記駆動電流を算出する
    油圧制御装置。
  2. 前記油圧特性データは、前記電磁弁の使用初期状態において前記電磁弁毎に計測された前記駆動電流と前記作動油の油圧との関係を示すデータである、
    請求項1に記載の油圧制御装置。
  3. 前記自動変速機の前記駆動電流と前記下限側油圧規格値との関係を示す下限側油圧規格値データと、前記油圧特性データとの偏差を算出する偏差算出部
    を更に備え、
    前記駆動電流算出部は、前記下限側油圧規格値データに基づいて前記駆動電流に対応する前記下限側油圧規格値を算出し、前記下限側油圧規格値と油圧特性データとに基づいて、下限側油圧規格値に対応する補正後の前記駆動電流を算出する
    請求項1又は請求項2に記載の油圧制御装置。
  4. 前記油圧センサ故障判定部は、前記油圧の目標値と、前記油圧センサが計測する前記計測油圧との偏差が所定の範囲内であるか否かに基づいて、前記油圧センサの故障を判定する
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の油圧制御装置。
  5. 電磁弁の駆動電流を制御することにより、前記電磁弁を介して自動変速機に供給される作動油の油圧を制御する油圧制御装置が備えるコンピュータに、
    車両搭載状態において油圧センサによって計測される前記作動油の計測油圧に基づいて、前記駆動電流を算出する駆動電流算出ステップと、
    前記油圧センサの故障を判定する油圧センサ故障判定ステップと、
    前記油圧センサ故障判定ステップによって前記油圧センサが故障状態であると判定された場合に、前記電磁弁の製品毎の前記駆動電流と前記作動油の油圧との関係を示す油圧特性データと前記電磁弁に所定の前記駆動電流が供給された場合に前記自動変速機に供給される圧力の下限値である下限側油圧規格値とに基づいて、前記下限側油圧規格値に対応する前記駆動電流へ補正する駆動電流補正ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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