JP6865304B2 - 表面処理装置及び表面処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、処理穴の内壁面に表面処理を施すための表面処理装置及び表面処理方法に関する。
例えば、特開2013−159832号公報に記載されるように、管状の電極を挿入した処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、電極と処理穴の内壁面との間に通電することで、該内壁面に電気めっきや陽極酸化皮膜形成等の表面処理を施すことが行われている。
本発明は、この種の技術に関連してなされたものであり、本発明の主たる目的は、延在方向が異なる複数の直線状部を有する処理穴であっても、その内壁面に対して、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく効率的且つ高品質に表面処理を行うことが可能な表面処理装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、延在方向が異なる複数の直線状部を有する処理穴であっても、その内壁面に対して、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく効率的且つ高品質に表面処理を行うことが可能な表面処理方法を提供することにある。
本発明の一実施形態によれば、電極を有し、該電極を挿入した処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、前記電極と前記処理穴の内壁面との間に通電することで、該内壁面に表面処理を施す表面処理装置であって、前記電極は、絶縁部材を介して電気的に絶縁された状態で一体化された第1電極及び第2電極からなり、前記第1電極は、屈折部を有する前記処理穴の一方の開口から挿入され、前記第2電極は、前記処理穴の他方の開口から挿入され、前記第1電極の第1先端部と、前記第2電極の第2先端部とが、前記屈折部の内部で前記絶縁部材を介して当接することにより前記第1電極及び前記第2電極が一体化されている表面処理装置が提供される。
ここで、例えば、延在方向の途中に屈折部を有する処理穴は、一方の開口から屈折部までの間の直線状部(第1直線状部)と、他方の開口から屈折部までの間の直線状部(第2直線状部)とで、互いの延在方向が異なる。このような処理穴の内壁面に対して、例えば、外観形状が直線状である一般的な電極を用いて表面処理を行う場合、先ず、第1直線状部の内壁面に電解処理液が接触しないようにマスキングを施す。次に、処理穴の他方の開口から電極を挿入して、第2直線状部の内壁面に電極を対向させる。
次に、処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、電極と第2直線状部の内壁面との間に通電する通電工程を行って、該内壁面に表面処理を施す。次に、第1直線状部の内壁面に施したマスキングを除去し、表面処理を施した第2直線状部の内壁面にマスキングを施す。次に、第2直線状部の内壁面に対する表面処理と同様に、第1直線状部の内壁面にも通電工程を行って表面処理を施す。すなわち、屈折部を有する処理穴に、外観形状が直線状である一般的な電極を用いて表面処理を行うためには、複数のマスキング工程や、複数の通電工程が必要となってしまう。
しかしながら、上記のように一体化された第1電極及び第2電極を備える本発明に係る表面処理装置では、処理穴の第1直線状部の内壁面に第1電極を対向させるとともに、第2直線状部の内壁面に第2電極を対向させた状態で、通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、処理穴の第1直線状部の内壁面及び第2直線状部の内壁面の両方に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。
しかも、第1電極と第2電極が絶縁されているため、第1電極及び第2電極に対して独立に電流を供給して通電することができる。これによって、例えば、第1電極と第2電極とを絶縁せず、第1電極の基端側から第1先端部及び第2先端部を介して第2電極の基端側まで電流を供給するような場合に比して、処理穴の第1直線状部の内壁面と第2直線状部の内壁面とに電流分布の差が生じることを抑制できる。その結果、処理穴の第1直線状部及び第2直線状部の両方の内壁面に対して、略均一に表面処理を行うことが可能になる。
以上から、この表面処理装置によれば、処理穴が屈折部を有する形状からなる場合であっても、該処理穴の内壁面に対して、効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。
上記の表面処理装置において、前記第1電極及び前記第2電極は、管状部分を有する中空体であり、前記第1先端部には、前記第1電極の先端を閉塞する第1閉塞部が設けられ、前記第2先端部には、前記第2電極の先端を閉塞する第2閉塞部が設けられ、前記第1電極には、その内部を軸方向に延在し、前記第1閉塞部に電気的に接続される第1内側電極が設けられ、前記第2電極には、その内部を軸方向に延在し、前記第2閉塞部に電気的に接続される第2内側電極が設けられていることが好ましい。
この場合、第1内側電極を介して第1電極に電流を供給することにより、第1閉塞部が設けられた第1先端部側から基端側に向かって電流を流すことができる。第2電極も同様に、第2内側電極を介して第2電極に電流を供給することにより、第2閉塞部が設けられた第2先端部側から基端側に向かって電流を流すことができる。これらによって、第1閉塞部及び第2閉塞部と、処理穴の屈折部の内壁面との間に良好に通電を行うことが可能になるため、処理穴の屈折部の内壁面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
本発明の別の一実施形態によれば、電極を有し、該電極を挿入した処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、前記電極と前記処理穴の内壁面との間に通電することで、該内壁面に表面処理を施す表面処理装置であって、前記電極は、絶縁部材を介して電気的に絶縁された状態で一体化された第1電極及び第2電極からなり、前記処理穴は、第1処理穴と、該第1処理穴の内壁面に開口が設けられた第2処理穴とからなり、前記第1処理穴に挿入された前記第1電極の、前記第2処理穴の前記開口に臨む部分には被挿入部が設けられ、前記被挿入部に、前記第2電極の先端部が挿入されることで前記第1電極及び前記第2電極が一体化され、前記被挿入部と前記第2電極の前記先端部との間に前記絶縁部材が介在する表面処理装置が提供される。
第1処理穴と、該第1処理穴の内壁面に開口が設けられた第2処理穴、換言すると、第1処理穴から分岐する第2処理穴とからなる処理穴も、延在方向が異なる複数の直線状部を有する。このような処理穴の内壁面に、外観形状が直線状である一般的な電極を用いて表面処理を行う場合も、第1処理穴及び第2処理穴ごとにマスキングや通電工程を行う必要がある。
これに対して、上記のように一体化された第1電極及び第2電極を備える本発明に係る表面処理装置では、第1処理穴の内壁面に第1電極を対向させるとともに、第2処理穴の内壁面に第2電極を対向させた状態で、通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。また、第1電極と第2電極が絶縁されているため、第1電極及び第2電極に対して独立に電流を供給して通電することができる。これによって、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に対して、略均一に表面処理を行うことができる。
以上から、この表面処理装置によれば、処理穴が分岐部を有する形状からなる場合であっても、該処理穴の内壁面に対して、効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。
上記の表面処理装置において、前記第1電極は、管状部分を有する中空体であり、前記被挿入部は、前記第1電極の周壁を貫通する穴からなり、前記被挿入部の内部に前記絶縁部材が設けられ、前記絶縁部材に雌ねじが形成され、前記第2電極の前記先端部に雄ねじが形成され、前記雌ねじと前記雄ねじとの螺合によって、前記第1電極と前記第2電極とが位置決め固定されていることが好ましい。この場合、第1処理穴及び第2処理穴の各々の内壁面と、第1電極及び第2電極の外周面との位置関係を良好に維持した状態で通電工程を行うことができるため、一層高品質に表面処理を行うことが可能になる。
上記の表面処理装置において、前記第1電極の先端部には、該第1電極の先端を閉塞し、且つ有底の前記第1処理穴の底面に臨む閉塞部が設けられ、前記第1電極の内部には、該第1電極の軸方向に延在して、前記閉塞部に電気的に接続される内側電極が設けられていることが好ましい。この場合、内側電極から電流を供給することにより、閉塞部が設けられた第1電極の先端部側から基端側に向かって電流を流すことができる。これによって、閉塞部と、第1処理穴の底面との間に良好に通電を行うことが可能になるため、該底面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
本発明の別の一実施形態によれば、電極を有し、該電極を挿入した処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、前記電極と前記処理穴の内壁面との間に通電することで、該内壁面に表面処理を施す表面処理装置であって、前記電極は、絶縁部材を介して電気的に絶縁された状態で一体化された第1電極及び第2電極からなり、前記第1電極及び前記第2電極は、管状部分を有する中空体であり、前記第1電極の外径は、前記第2電極の外径よりも大きく、前記処理穴は、有底の第1処理穴と、該第1処理穴と交差する有底の第2処理穴とからなり、前記第1処理穴に挿入された前記第1電極の、前記第1処理穴と前記第2処理穴の交差部に配置される部分には、前記第2処理穴の延在方向に沿って挿通孔が形成され、前記第2処理穴に挿入された前記第2電極は、前記挿通孔に挿通されることで、前記第1電極と一体化され、前記挿通孔と前記第2電極との間には、前記絶縁部材が介在する表面処理装置が提供される。
第1処理穴と、該第1処理穴と交差する第2処理穴とからなる処理穴も、延在方向が異なる複数の直線状部を有する。このような処理穴の内壁面に、外観形状が直線状である一般的な電極を用いて表面処理を行う場合も、第1処理穴及び第2処理穴ごとにマスキングや通電工程を行う必要がある。
これに対して、上記のように一体化された第1電極及び第2電極を備える本発明に係る表面処理装置では、第1処理穴の内壁面に第1電極を対向させるとともに、第2処理穴の内壁面に第2電極を対向させた状態で、通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。また、第1電極と第2電極が絶縁されているため、第1電極及び第2電極に対して独立に電流を供給して通電することができる。これによって、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に対して、略均一に表面処理を行うことができる。
以上から、この表面処理装置によれば、処理穴が交差部を有する形状からなる場合であっても、該処理穴の内壁面に対して、効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。
上記の表面処理装置において、前記第2電極は、前記第1処理穴よりも小径の第2処理穴に挿入されることが好ましい。このように、第1電極の外径よりも小さい第2電極の外径に応じて、第1処理穴よりも小径の第2処理穴の内壁面に第2電極の外周面を対向させる。これによって、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に対して、電流密度の差が生じることを抑制して、略均一に表面処理を施すことが容易になる。
上記の表面処理装置において、前記第1電極の先端部には、該第1電極の先端を閉塞し、且つ前記第1処理穴の底面に臨む閉塞部が設けられ、前記第1電極の内径は、前記第2電極の外径よりも大きく、前記第1電極の内部には、該第1電極の内周面と前記第2電極の外周面との間を通って、該第1電極の軸方向に延在し、前記第1電極の前記閉塞部に電気的に接続される内側電極が設けられていることが好ましい。
この場合、内側電極から電流を供給することにより、閉塞部が設けられた第1電極の先端部側から基端側に向かって電流を流すことができるため、閉塞部に臨む第1処理穴の底面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
上記の表面処理装置において、前記第2電極の先端部には、該第2電極の先端を閉塞し、且つ前記第2処理穴の底面に臨むように配置される閉塞部が設けられ、前記第2電極には、その内部を軸方向に延在し、前記第2電極の前記閉塞部に電気的に接続される内側電極が設けられていることが好ましい。この場合、第2電極の閉塞部に臨む第2処理穴の底面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
本発明の別の一実施形態によれば、第1電極及び第2電極からなる電極を用いて、処理穴の内壁面に表面処理を施す表面処理方法であって、処理穴の内部で、前記第1電極と前記第2電極とを絶縁部材を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程と、前記処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、前記第1電極及び前記第2電極と前記処理穴の内壁面との間に通電する通電工程と、を有し、前記一体化工程では、前記第1電極の第1先端部及び前記第2電極の第2先端部の少なくとも何れか一方に前記絶縁部材を設け、屈折部を有する前記処理穴の一方の開口から、前記第1電極を挿入し、且つ前記処理穴の他方の開口から前記第2電極を挿入し、前記屈折部の内部で前記絶縁部材を介して前記第1先端部と、前記第2先端部とを当接させる表面処理方法が提供される。
処理穴の内部で、上記のように第1電極及び第2電極を一体化する一体化工程によって、処理穴の一方の開口から屈折部までの間の直線状部(第1直線状部)の内壁面に第1電極を対向させるとともに、他方の開口から屈折部までの間の直線状部(第2直線状部)の内壁面に第2電極を対向させた状態で、通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、第1直線状部及び第2直線状部の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。また、第1電極と第2電極が絶縁されているため、第1電極及び第2電極に対して独立に電流を供給して通電することができる。これによって、処理穴の第1直線状部及び第2直線状部の両方の内壁面に対して、略均一に表面処理を行うことができる。
以上から、この表面処理方法によれば、処理穴が屈折部を有する形状からなる場合であっても、該処理穴の内壁面に対して、効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。
上記の表面処理方法において、前記通電工程では、管状部分を有する中空体からなる前記第1電極の内部を軸方向に延在し、且つ前記第1電極の先端を閉塞する第1閉塞部に電気的に接続される第1内側電極を介して、前記第1電極に通電するとともに、管状部分を有する中空体からなる前記第2電極の内部を軸方向に延在し、且つ前記第2電極の先端を閉塞する第2閉塞部に電気的に接続される第2内側電極を介して、前記第2電極に通電することが好ましい。
この場合、第1閉塞部及び第2閉塞部と、処理穴の屈折部の内壁面との間に良好に通電を行うことが可能になるため、処理穴の屈折部の内壁面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
本発明の別の一実施形態によれば、第1電極及び第2電極からなる電極を用いて、処理穴の内壁面に表面処理を施す表面処理方法であって、処理穴の内部で、前記第1電極と前記第2電極とを絶縁部材を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程と、前記処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、前記第1電極及び前記第2電極と前記処理穴の内壁面との間に通電する通電工程と、を有し、前記一体化工程では、有底の第1処理穴と、該第1処理穴の内壁面に開口が設けられた第2処理穴とからなる前記処理穴の、前記第1処理穴に第1電極を挿入し、且つ前記第2処理穴に前記第2電極を挿入し、前記第1電極の、前記第2処理穴の前記開口に臨む部分に設けられた被挿入部に、前記絶縁部材を介して前記第2電極の先端部を挿入する表面処理方法が提供される。
処理穴の内部で、上記のように第1電極及び第2電極を一体化する一体化工程によって、第1処理穴の内壁面に第1電極を対向させるとともに、第2処理穴の内壁面に第2電極を対向させた状態で、通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。また、第1電極と第2電極が絶縁されているため、通電工程において、第1電極及び第2電極に対して独立に電流を供給して通電することができる。これによって、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に対して、略均一に表面処理を行うことができる。
以上から、この表面処理方法によれば、処理穴が分岐部を有する形状からなる場合であっても、該処理穴の内壁面に対して、効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。
上記の表面処理方法において、前記第1電極は、管状部分を有する中空体からなり、前記被挿入部は、前記第1電極の周壁を貫通する穴からなり、前記一体化工程では、前記被挿入部の内部に設けられた前記絶縁部材に形成された雌ねじと、前記第2電極の前記先端部に形成された雄ねじとを螺合させて、前記第1電極と前記第2電極とを位置決め固定することが好ましい。この場合、第1処理穴及び第2処理穴の各々の内壁面と、第1電極及び第2電極の外周面との位置関係を良好に維持した状態で通電工程を行うことができるため、一層高品質に表面処理を行うことが可能になる。
上記の表面処理方法において、前記通電工程では、前記第1電極の先端を閉塞する第1閉塞部を、前記第1処理穴の底面に臨ませた状態で、前記第1電極の内部を軸方向に延在して前記第1閉塞部に電気的に接続される第1内側電極を介して前記第1電極に通電することが好ましい。この場合、第1電極の閉塞部と第1処理穴の底面との間に良好に通電を行うことが可能になるため、該底面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
本発明の別の一実施形態によれば、第1電極及び第2電極からなる電極を用いて、処理穴の内壁面に表面処理を施す表面処理方法であって、処理穴の内部で、前記第1電極と前記第2電極とを絶縁部材を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程と、前記処理穴の内部に電解処理液を流通させつつ、前記第1電極及び前記第2電極と前記処理穴の内壁面との間に通電する通電工程と、を有し、前記第1電極及び前記第2電極は、管状部分を有する中空体であり、前記一体化工程では、有底の第1処理穴と、該第1処理穴と交差する有底の第2処理穴とからなる前記処理穴の、前記第1処理穴に前記第2電極の外径よりも外径が大きい第1電極を挿入した後に、前記第2処理穴に前記第2電極を挿入して、前記第1電極の、前記第1処理穴と前記第2処理穴の交差部に配置される部分に形成された挿通孔に前記絶縁部材を介して該第2電極を挿通する表面処理方法が提供される。
処理穴の内部で、上記のように第1電極及び第2電極を一体化する一体化工程によって、第1処理穴の内壁面に第1電極を対向させるとともに、第2処理穴の内壁面に第2電極を対向させた状態で、通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。また、第1電極と第2電極が絶縁されているため、通電工程において、第1電極及び第2電極に対して独立に電流を供給して通電することができる。これによって、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に対して、略均一に表面処理を行うことができる。
以上から、この表面処理方法によれば、処理穴が交差部を有する形状からなる場合であっても、該処理穴の内壁面に対して、効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。
上記の表面処理方法において、前記一体化工程では、前記第1処理穴よりも小径の前記第2処理穴に前記第2電極を挿入することが好ましい。この場合、第1処理穴及び第2処理穴の両方の内壁面に対して、電流密度の差が生じることを抑制して、略均一に表面処理を施すことが容易になる。
上記の表面処理方法において、前記第1電極の内径は、前記第2電極の外径よりも大きく、前記通電工程では、前記第1電極の先端を閉塞する閉塞部を、第1処理穴の底面に臨ませた状態で、前記第1電極の内周面と前記第2電極の外周面との間を通って、該第1電極の軸方向に延在し、前記第1電極の前記閉塞部に電気的に接続される内側電極を介して前記第1電極に通電することが好ましい。この場合、第1電極の内側電極から電流を供給することにより、第1電極の先端部側から基端側に向かって電流を流すことができるため、第1電極の閉塞部に臨む第1処理穴の底面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
上記の表面処理方法において、前記通電工程では、前記第2電極の先端を閉塞する閉塞部を、第2処理穴の底面に臨ませた状態で、前記第2電極の内部を軸方向に延在して、前記第2電極の前記閉塞部に電気的に接続される内側電極を介して前記第2電極に通電することが好ましい。この場合、第2電極の内側電極から電流を供給することにより、第2電極の先端部側から基端側に向かって電流を流すことができるため、第2電極の閉塞部に臨む第2処理穴の底面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
本発明の第1実施形態に係る表面処理装置と、該表面処理装置によって内壁の表面処理を行う処理穴との要部概略構成図である。 図1の要部拡大図である。 図1の表面処理装置の変形例に係る電極と処理穴の要部拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る表面処理装置と、該表面処理装置によって内壁の表面処理を行う処理穴との要部概略構成図である。 図4の要部拡大図である。 本発明の第3実施形態に係る表面処理装置と、該表面処理装置によって内壁の表面処理を行う処理穴との要部概略構成図である。 図6の要部拡大図である。 図7の電極のVIII−VIII線矢視断面図である。
本発明に係る表面処理装置及び表面処理方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の図において、同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素に対しては同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
本発明に係る表面処理装置及び表面処理方法は、例えば、電気めっき、電解エッチング、電解脱脂、電着塗装、陽極酸化、陰極酸化、電解研磨、あるいはこれらの前処理又は後処理等、被処理面に対して電気的に表面処理を行う場合に好適に適用することができる。以下では、表面処理装置及び表面処理方法が電気めっきを行う例について説明するが、勿論これには限定されない。
図1に示すように、第1実施形態に係る表面処理装置10は、処理穴12の内壁面に対して、めっき皮膜(不図示)を形成する。めっき皮膜の一例としては、亜鉛−ニッケル複合めっき皮膜等の亜鉛合金からなる皮膜を挙げることができる。この場合、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩化アンモニウム等を混合して調製しためっき浴からなる電解処理液を用いてめっき皮膜を形成することができる。
処理穴12は、例えば、鋳造用金型14に形成され、該鋳造用金型14を冷却するための冷却水が供給される冷却通路であり、延在方向の途中に屈折部16を有する。つまり、処理穴12は、一方の開口18から屈折部16までの間の第1直線状部20と、他方の開口22から屈折部16までの間の第2直線状部24とで、互いの延在方向が異なっている。
鋳造用金型14は、合金鋼材等から形成され、処理穴12内に冷却水が供給される。これによって、鋳造用金型14を成形時に最適な温度を維持したり、成形後に効率的に冷却を行ったりするための温度制御が行われる。この処理穴12の内壁面に、冷却水との接触により生じる腐食生成物や、冷却水中のカルシウム等に由来する堆積物等(以下、これらを総称して付着物ともいう)が付着することにより、冷却水と鋳造用金型14との熱交換や、冷却水の流通が妨げられるようになると、鋳造用金型14の温度制御を安定して行うことが困難になる懸念がある。そこで、表面処理装置10を用いて、処理穴12の内壁面にめっき皮膜を形成することにより、該内壁面に付着物が付着することを抑制する。これによって、鋳造用金型14の温度を最適に維持することが可能になる。
表面処理装置10は、電極30と、給液部31と、排液部32と、ポンプ33と、処理液タンク34と、不図示の外部電源とを主に備えている。
電極30は、例えば白金コーティングされたチタン等から形成された管状部分を有する中空の第1電極36及び第2電極38からなる。また、第1電極36の給液部31から突出する部分が処理穴12の第1直線状部20に挿入され、第2電極38の排液部32から突出する部分が処理穴12の第2直線状部24に挿入されている。第1実施形態では、処理穴12に挿入された第1電極36及び第2電極38の各々について、処理穴12の開口18、22側を基端側とし、屈折部16側を先端側として説明する。
図2に示すように、第1電極36の先端部分である第1先端部40には、該第1電極36の管状部分の先端を閉塞する第1閉塞部42が設けられている。第1電極36の内部には、該第1電極36の軸方向に延在し、一端側が第1閉塞部42に電気的に接続された第1内側電極44が設けられている。第1内側電極44の他端側は、給液部31を介して処理穴12の外側に延在して、外部電源に接続されている。
第2電極38は、第1電極36と同様に構成されている。すなわち、第2電極38の先端部分である第2先端部46に第2閉塞部48が設けられ、第2電極38の内部に一端側が第2閉塞部48に電気的に接続された第2内側電極50が設けられている。第2内側電極50の他端側は、排液部32を介して処理穴12の外側に延在して、外部電源に接続されている。
第1電極36及び第2電極38は、互いの第1先端部40及び第2先端部46が、屈折部16の内部で、絶縁部材52を介して当接することにより、電気的に絶縁された状態で一体化されている。すなわち、第1先端部40と第2先端部46において、屈折部16の内部で互いに当接する部分には、それぞれ絶縁部材52が設けられている。
第1先端部40及び第2先端部46の絶縁部材52が設けられる位置は、処理穴12の第1直線状部20と第2直線状部24とがなす角度θ等に応じて調整される。例えば、図2に示す処理穴12のように、角度θが比較的大きい場合には、第1先端部40及び第2先端部46の各々の先端面側(第1閉塞部42及び第2閉塞部48)に絶縁部材52を設ければよい。
また、例えば、図3に示す処理穴12のように、角度θが比較的小さい場合には、第1閉塞部42を第2直線状部24の内壁面に臨ませるように配置し、第1先端部40の外周面に絶縁部材52を設け、第2閉塞部48の先端面側に絶縁部材52を設ければよい。
なお、絶縁部材52は、第1電極36と第2電極38を電気的に絶縁することが可能に設けられればよいため、例えば、第1先端部40及び第2先端部46の何れか一方のみに設けられていてもよい。
給液部31は、処理穴12の一方の開口18に着脱可能に取り付けられ、排液部32は、処理穴12の他方の開口22に着脱可能に取り付けられている。ポンプ33は、供給配管54及び給液部31を介して第1直線状部20の内壁面と第1電極36の外周面との間に電解処理液を供給する。これによって、電解処理液は、処理穴12の一方の開口18から他方の開口22に向かって、第1電極36の外周面と第1直線状部20の内壁面との間、及び第2電極38の外周面と第2直線状部24の内壁面との間を流通した後、排液部32を介して処理穴12から回収配管56に排出される。
処理液タンク34は、上記のようにして排液部32を介して処理穴12から回収配管56に排出された電解処理液を回収する。なお、回収された電解処理液は、ポンプ33を介して、再び、給液部31に供給されることで、表面処理装置10と、処理穴12との間を循環する。
なお、めっき浴からなる電解処理液に代えて、例えば、脱脂洗浄液、エッチング液、スマット除去液、水等を処理穴内に流通させる場合には、ポンプ33によって、上記の液体からなる処理液を、給液部31を介して処理穴12に供給すればよい。また、排液部32を介して処理穴12から排出された上記の液体を処理液タンク34に回収すればよい。
外部電源は、第1内側電極44及び第2内側電極50を介して第1電極36及び第2電極38に電流を供給する。すなわち、図2に矢印Eで示すように、外部電源からの電流は、第1内側電極44及び第2内側電極50の各々を介して第1閉塞部42及び第2閉塞部48に流れる。そして、第1閉塞部42及び第2閉塞部48から第1電極36及び第2電極38の基端側に向かう方向に流れる。これによって、第1電極36と第1直線状部20の内壁面との間、及び第2電極38と第2直線状部24の内壁面との間にそれぞれ電位差を生じさせることができる。
第1実施形態に係る表面処理装置10は、基本的には上記のように構成される。以下、第1実施形態に係る表面処理方法について、表面処理装置10を用いて、処理穴12の内壁面に表面処理としてメッキ処理を施す例を挙げて説明する。
この表面処理方法では、先ず、処理穴12の内部で、第1電極36と第2電極38とを絶縁部材52を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程を行う。具体的には、処理穴12の第1直線状部20に第1電極36を挿入するとともに、給液部31を処理穴12の一方の開口18に取り付ける。同様に、処理穴12の第2直線状部24に第2電極38を挿入するとともに、排液部32を処理穴12の他方の開口22に取り付ける。これによって、屈折部16の内部で、絶縁部材52を介して第1先端部40と第2先端部46を当接させて、第1電極36及び第2電極38を一体化する。
次に、給液部31及び排液部32を介して処理穴12に脱脂洗浄液(例えば、水溶性アルカリ洗浄剤等)を流通させることで、該処理穴12の内壁面から油分を除去する脱脂工程を行う。
次に、給液部31及び排液部32を介して処理穴12にエッチング液(例えば、10重量%の塩酸水溶液又は10重量%の硫酸水溶液等)を流通させることで、処理穴12の内壁面から酸化膜を除去するエッチング処理工程を行う。このエッチング処理工程は、外部電源から第1内側電極44及び第2内側電極50を介して第1電極36及び第2電極38に電流を供給し、電解エッチング(陽極電解)によって行ってもよい。
次に、給液部31及び排液部32を介して処理穴12にスマット除去液(例えば、水酸化ナトリウムとクエン酸ナトリウムの混合溶液等)を流通させることでスマット除去工程を行う。スマット除去工程を行うことで、例えば、上記のエッチング処理工程において酸化膜を除去することにより、水に不溶の金属成分(スマット)が処理穴12の内壁面に露出した場合であっても、このスマットを処理穴12内から除去することができる。
なお、スマット除去工程も、エッチング処理工程と同様に、電解処理(陰極電解又は陽極電解)によって行ってもよい。この場合、処理穴12でスマット除去液が電解されて酸素が発生するため、一層効果的にスマットを除去することが可能になる。
次に、給液部31及び排液部32を介して処理穴12に電解処理液を流通させるとともに、外部電源から第1内側電極44及び第2内側電極50に電流を供給して、第1電極36及び第2電極38と処理穴12の内壁面との間に通電する通電工程を行う。これによって、処理穴12の内壁面にめっき皮膜を形成することができる。
従って、第1実施形態では、上記のように一体化された第1電極36及び第2電極38を用いることにより、第1直線状部20の内壁面に第1電極36の外周面を対向させるとともに、第2直線状部24の内壁面に第2電極38の外周面を対向させた状態で通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、処理穴12の第1直線状部20及び第2直線状部24の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。
しかも、第1電極36と第2電極38が絶縁されているため、第1電極36及び第2電極38の各々に対して独立に電流を供給して通電することができる。これによって、例えば、第1電極36と第2電極38とを絶縁せず、第1電極36の基端側から、第1先端部40及び第2先端部46を介して第2電極38の基端側まで電流を流すような場合に比して、処理穴12の第1直線状部20の内壁面と第2直線状部24の内壁面との間に電流分布の差が生じることを抑制できる。その結果、処理穴12の内壁面に対して、略均一に表面処理を行うことが可能になるため、厚さが略均一で高品質なめっき皮膜を形成することができる。
以上から、第1実施形態に係る表面処理装置10及び表面処理方法によれば、屈折部16を有する処理穴12に対しても、該処理穴12の内壁面に効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。このようにして、処理穴12の内壁面に略均一な厚さのめっき皮膜を形成することで、該内壁面に付着物が付着することを効果的に抑制することができる。内壁面に対する付着物の付着や生成物の生成が抑制された処理穴12では、その内部に冷却水を良好に流通させることや、該冷却水と鋳造用金型14とを良好に熱交換させることができるため、鋳造用金型14の温度制御を安定して行うことが可能になる。ひいては、鋳造用金型14の温度を最適に維持することが可能になる。
また、上記の通り、表面処理装置10では、第1電極36に第1閉塞部42及び第1内側電極44を設け、第2電極38に第2閉塞部48及び第2内側電極50を設けることとした。そして、通電工程では、第1内側電極44を介して第1電極36に電流を供給することにより、第1閉塞部42が設けられた第1先端部40側から基端側に向かって電流を流すこととした。また、第2電極38も同様に、第2内側電極50を介して第2電極38に電流を供給することにより、第2閉塞部48が設けられた第2先端部46側から基端側に向かって電流を流すこととした。これらによって、第1閉塞部42及び第2閉塞部48と、屈折部16の内壁面との間に良好に通電を行うことが可能になるため、屈折部16の内壁面に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
従って、屈折部16の内壁面に十分な膜厚のめっき皮膜を形成することができるため、該屈折部16の内壁面に付着物が付着することや生成物の生成を効果的に抑制できる。ところで、鋳造用金型14では、処理穴12のうち、屈折部16が不図示のキャビティ形成面の近くに配置される場合がある。このキャビティ形成面の近傍では、鋳造用金型14の温度制御を特に安定して行うことが好ましい。上記の通り、内壁面に対する付着物の付着や生成物が抑制された屈折部16では、その内部に冷却水を良好に流通させることや、該冷却水と鋳造用金型14とを良好に熱交換させることができる。このため、例えば、処理穴12のうち、屈折部16がキャビティ形成面の近くに配置されている場合であっても、鋳造用金型14のキャビティ形成面近傍の温度制御を安定して行うことが可能になる。
次に、図4及び図5を参照しつつ、第2実施形態に係る表面処理装置60について説明する。表面処理装置60は、処理穴62の内壁面に対してめっき皮膜(不図示)を形成する。
図4に示すように、処理穴62も、上記の処理穴12と同様に、鋳造用金型14に形成され、該鋳造用金型14を冷却するための冷却水が供給される冷却通路である。この処理穴62は、有底の第1処理穴64と、該第1処理穴64より小径の第2処理穴66とからなる。第2処理穴66では、鋳造用金型14の外部に向かって開口する開口67とは反対側の開口68が、第1処理穴64の内壁面に設けられている。つまり、処理穴62は、第1処理穴64と、該第1処理穴64から分岐する第2処理穴66とから形成された分岐部70を有する。従って、処理穴62も、互いに延在方向が異なる直線状部(第1処理穴64及び第2処理穴66)を有する。
表面処理装置60は、電極30に代えて電極72を備えることを除いて、第1実施形態に係る表面処理装置10と同様に構成されている。電極72は、例えば白金コーティングされたチタン等から形成された管状部分を有する中空の第1電極74及び第2電極76からなる。第1電極74が第1処理穴64に挿入され、該第1電極74の外径より小さい外径の第2電極76が第2処理穴66に挿入される。
第2実施形態では、第1処理穴64に挿入された第1電極74について、該第1処理穴64の開口77側を基端側とし、第1処理穴64の底面78側を先端側として説明する。また、第2処理穴66に挿入された第2電極76について、該第2処理穴66の開口67側を基端側とし、他方の開口68側を先端側として説明する。
図5に示すように、第1電極74は、第2処理穴66の開口68に臨む周壁に被挿入部80が設けられていることを除いて、上記の第1電極36と同様に構成されている。すなわち、第1電極74の先端部分である第1先端部40に、第1閉塞部42が設けられ、第1電極74の内部に第1内側電極44が設けられている。被挿入部80は、第1電極74の第2処理穴66の開口68に臨む周壁を貫通する穴からなり、内部に環状の絶縁部材82が設けられている。この絶縁部材82の内周には、雌ねじ82aが形成されている。
第2電極76は、管状体からなり、該第2電極76の先端部分である第2先端部84の外周面に、絶縁部材82の雌ねじ82aと螺合可能な雄ねじ84aが形成されている。第2電極76の基端側は、排液部32を介して処理穴62の外側に延在し、外部電源に接続されている。
第1電極74及び第2電極76は、第1電極74の被挿入部80に、第2電極76の第2先端部84が挿入されることで一体化される。この際、被挿入部80内に配設された絶縁部材82の雌ねじ82aと、第2先端部84の雄ねじ84aとを螺合させることによって、第1電極74と第2電極76とが位置決め固定されている。
以下、第2実施形態に係る表面処理方法について、表面処理装置60を用いて、処理穴62の内壁面に表面処理としてめっき処理を施す例を挙げて説明する。
この表面処理方法では、先ず、処理穴62の内部で、第1電極74と第2電極76とを絶縁部材82を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程を行う。具体的には、第1処理穴64に第1電極74を挿入して、第1閉塞部42を第1処理穴64の底面78に臨ませるとともに、第1処理穴64の開口77に給液部31を取り付ける。次に、第2処理穴66に第2電極76を挿入し、絶縁部材82の雌ねじ82aに、第2先端部84の雄ねじ84aを螺合させる。これによって、第1電極74及び第2電極76を一体化した後、第2処理穴66の開口67に排液部32を取り付ける。
次に、第1実施形態に係る表面処理方法と同様にして、脱脂工程、エッチング処理工程、スマット除去工程を行った後、処理穴62の内壁面に対して、めっき皮膜を形成するための通電工程を行う。通電工程では、給液部31及び排液部32を介して処理穴62に電解処理液を流通させるとともに、第1閉塞部42を第1処理穴64の底面78に臨ませた状態で、外部電源から第1内側電極44を介して第1電極74及び第2電極76に電流を供給する。このようにして、第1電極74及び第2電極76と処理穴62の内壁面との間に通電することで、処理穴62の内壁面にめっき皮膜を形成することができる。
従って、第2実施形態では、上記のように一体化された第1電極74及び第2電極76を用いることにより、第1処理穴64の内壁面に第1電極74の外周面を対向させるとともに、第2処理穴66の内壁面に第2電極76の外周面を対向させた状態で通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、第1処理穴64及び第2処理穴66の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。
しかも、第1電極74と第2電極76が絶縁されているため、処理穴62の内壁面に対して、略均一に表面処理を行って、厚さが略均一で高品質なめっき皮膜を形成することができる。
以上から、第2実施形態に係る表面処理装置60及び表面処理方法によれば、分岐部70を有する処理穴62に対しても、該処理穴62の内壁面に効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。このようにして、処理穴62の内壁面に略均一な厚さのめっき皮膜を形成することで、該内壁面に付着物が付着することを効果的に抑制することができる。
上記の通り、一体化工程では、雌ねじ82aと雄ねじ84aとの螺合によって、第1電極74と第2電極76とが位置決め固定されていることとした。これによって、第1処理穴64及び第2処理穴66の各々の内壁面と、第1電極74及び第2電極76の外周面との位置関係を良好に維持した状態で通電工程を行うことができるため、一層高品質に表面処理を行うことが可能になる。
なお、第2実施形態に係る表面処理装置60では、第1電極74の外径が前記第2電極76の外径よりも大きく、被挿入部80が第1電極74の周壁を貫通する穴からなることとした。そして、この被挿入部80の内部に設けられた絶縁部材82に雌ねじ82aが形成され、第2電極76の先端部に雄ねじ84aが形成されることとした。しかしながら、特にこれらに限定されるものではない。例えば、被挿入部80は、第1電極74及び第2電極76を一体化するべく、第2先端部84を挿入することが可能な構成であればよい。また、第1電極74及び第2電極76は、被挿入部80と第2先端部84との絶縁部材82を介した嵌合等によって位置決め固定されていてもよい。
また、上記の通り、第2実施形態では、第1電極74に第1閉塞部42及び第1内側電極44を設け、第1閉塞部42を第1処理穴64の底面78に臨ませた状態で、第1内側電極44を介して第1電極74に電流を供給した。これによって、第1閉塞部42と、第1処理穴64の底面78との間に良好に通電を行うことが可能になるため、該底面78に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
従って、第1処理穴64の底面78に十分な膜厚のめっき皮膜を形成して、該底面78に付着物が付着することを効果的に抑制できるため、例えば、第1処理穴64の底面78が、鋳造用金型14のキャビティ形成面の近くに配置されている場合であっても、該キャビティ形成面近傍の温度制御を安定して行うことが可能になる。
次に、図6〜図8を参照しつつ、第3実施形態に係る表面処理装置90について説明する。表面処理装置90は、処理穴92の内壁面に対してめっき皮膜(不図示)を形成する。
図6に示すように、処理穴92も、上記の処理穴12と同様に、鋳造用金型14に形成され、該鋳造用金型14を冷却するための冷却水が供給される冷却通路である。この処理穴92は、複数(本実施形態では5本)の第1処理穴94と、該第1処理穴94と交差する複数(本実施形態では2本)の第2処理穴96とからなる。つまり、処理穴92は、第1処理穴94と第2処理穴96との交差部98を有する。従って、処理穴92も、互いに延在方向が異なる直線状部(第1処理穴94及び第2処理穴96)を有する。
各第1処理穴94は、図6の矢印X1X2方向に沿って延在し、その一端側(矢印X1側)に底面100が設けられた有底穴である。各第2処理穴96は、図6の矢印Y1Y2方向に沿って延在し、その一端側(矢印Y1側)に底面102が設けられた有底穴である。また、第2処理穴96は、第1処理穴94よりも小径であり、第1処理穴94と、該第1処理穴94の底面100に近い位置で交差するように配設されている。なお、本実施形態では第2処理穴96を第1処理穴94よりも小径にしているが、これに限定するものではなく、第2処理穴96は第1処理穴94と同径であってもよい。
表面処理装置90は、上記の電極30に代えて電極104を備え、給液部31及び排液部32に代えて第1処理穴94と同数の第1給排部106及び第2処理穴96と同数の第2給排部108を備え、ポンプ33及び処理液タンク34に代えて不図示の処理液給排手段を備えることを除いて、第1実施形態に係る表面処理装置10と同様に構成されている。
電極104は、第1処理穴94と同数の第1電極110と、第2処理穴96と同数の第2電極112とからなる。第1電極110及び第2電極112のそれぞれは、例えば白金コーティングされたチタン等から形成された管状部分を有する中空体である。第1電極110が第1処理穴94に挿入され、該第1電極110の内径より小さい外径の第2電極112が第2処理穴96に挿入される。
第3実施形態では、第1処理穴94及び第2処理穴96にそれぞれ挿入された第1電極110及び第2電極112について、該第1処理穴94及び第2処理穴96の開口114、116側を基端側とし、底面100、102側を先端側として説明する。
図6〜図8に示すように、第1電極110は、処理液流入口118と、挿通孔120とが設けられていることを除いて、上記の第1電極36と同様に構成されている。すなわち、第1電極110の先端部分である第1先端部40に、第1閉塞部42が設けられ、第1電極110の内部に第1内側電極44が設けられている。
処理液流入口118は、第1電極110の、第1閉塞部42よりやや基端側の周壁に貫通形成され、周方向に間隔をおいて複数設けられている。挿通孔120は、第1処理穴94に挿入された第1電極110の、交差部98に配置される部分を、第2処理穴96の延在方向に沿って貫通するように設けられている。
第2電極112は、処理液流入口122が設けられていることを除いて、上記の第2電極38と同様に構成されている。すなわち、第2電極112の先端部分である第2先端部46に、第2閉塞部48が設けられ、第2電極112の内部に第2内側電極50が設けられている。処理液流入口122は、第2電極112の、第2閉塞部48よりやや基端側の周壁に貫通形成され、周方向に間隔をおいて複数設けられている。
第1電極110及び第2電極112は、第1電極110の挿通孔120に、第2電極112が挿通されることで一体化されている。この際、第2電極112の挿通孔120に挿通される部分の外周面は、絶縁部材124により覆われている。つまり、挿通孔120の内周面と第2電極112の外周面との間に、筒状の絶縁部材124が介在することにより、第1電極110及び第2電極112は電気的に絶縁されている。
また、図8に示すように、第1電極110の第1内側電極44は、挿通孔120を介して第1電極110に挿通された第2電極112及び絶縁部材124を避けるように、該第1電極110の内周面と第2電極112の外周面との間に配設されている。
第1給排部106は、第1処理穴94の開口114に着脱可能に取り付けられ、第2給排部108は、第2処理穴96の開口116に着脱可能に取り付けられている。処理液給排手段は、第1給排部106を介して第1処理穴94の内壁面と第1電極110の外周面との間に電解処理液を供給する。同様に、第2給排部108を介して第2処理穴96の内壁面と第2電極112の外周面との間に電解処理液を供給する。なお、処理液給排手段、第1給排部106、第2給排部108は、例えば、特開2015−30897号公報に記載の構成を用いることができるため、その詳細な説明は省略する。
このようにして、第1処理穴94及び第2処理穴96に供給された電解処理液は、第1電極110及び第2電極112の各々の外周面と処理穴92の内周面との間を通って、第1電極110及び第2電極112の先端側に向かう。そして、図7に矢印Fで示すように、処理液流入口118、122から第1電極110及び第2電極112の各々の内部に流入して、該第1電極110及び第2電極112の内部を基端側まで流通した後、第1給排部106及び第2給排部108を介して処理穴92から排出される。
なお、電解処理液は、第1給排部106及び第2給排部108から、第1電極110及び第2電極112の内部に供給され、処理液流入口118、122を通じて、第1電極110及び第2電極112の外部の第1処理穴94及び第2処理穴96に流出する構成としてもよい。
以下、第3実施形態に係る表面処理方法について、表面処理装置90を用いて、処理穴92の内壁面に表面処理としてめっき処理を施す例を挙げて説明する。
この表面処理方法では、先ず、処理穴92の内部で、第1電極110と第2電極112とを絶縁部材124を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程を行う。具体的には、複数の第1処理穴94のそれぞれに対して、第1電極110を挿入して、第1閉塞部42を第1処理穴94の底面100に臨ませるとともに、第1処理穴94の開口114に第1給排部106を取り付ける。この際、複数の第1電極110にそれぞれ設けられた複数の挿通孔120は、第2処理穴96の延在方向に沿って同軸となるように、交差部98の内部に配置される。
次に、第2処理穴96のそれぞれに対して、第2電極112を挿入することによって、第1電極110の挿通孔120に、第2電極112を挿通する。この際、第1電極110の挿通孔120の内部、又は第2電極112の外周面の挿通孔120に挿入される部分に対し、絶縁部材124を設けておく。これによって、各第2電極112と、複数の第1電極110とを絶縁部材124を介して電気的に絶縁した状態で一体化し、その後、第2処理穴96の開口116に第2給排部108を取り付ける。
次に、第1実施形態に係る表面処理方法と同様にして、脱脂工程、エッチング処理工程、スマット除去工程を行った後、処理穴92の内壁面に対して、めっき皮膜を形成するための通電工程を行う。通電工程では、第1給排部106及び第2給排部108を介して第1処理穴94及び第2処理穴96に電解処理液を流通させる。これとともに、第1閉塞部42及び第2閉塞部48を第1処理穴94及び第2処理穴96の底面100、102にそれぞれ臨ませた状態で、外部電源から第1内側電極44及び第2内側電極50に電流を供給する。このようにして、第1電極110及び第2電極112と第1処理穴94及び第2処理穴96の内壁面との間にそれぞれ通電することで、処理穴92の内壁面にめっき皮膜を形成することができる。
従って、第3実施形態では、上記のように一体化された第1電極110及び第2電極112を用いることにより、第1処理穴94の内壁面に第1電極110の外周面を対向させるとともに、第2処理穴96の内壁面に第2電極112の外周面を対向させた状態で通電工程を行うことができる。これによって、マスキング等の煩雑な工程を経ることなく、第1処理穴94及び第2処理穴96の両方の内壁面に共通の通電工程により表面処理を施すことができる。
しかも、第1電極110と第2電極112が絶縁されているため、処理穴92の内壁面に対して、略均一に表面処理を行って、厚さが略均一で高品質なめっき皮膜を形成することができる。
以上から、第3実施形態に係る表面処理装置90及び表面処理方法によれば、交差部98を有する処理穴92に対しても、該処理穴92の内壁面に効率的且つ高品質に表面処理を行うことができる。このようにして、処理穴92の内壁面に略均一な厚さのめっき皮膜を形成することで、該内壁面に付着物が付着することを効果的に抑制することができる。
上記の通り、第3実施形態では、第1電極110の外径よりも小さい第2電極112の外径に応じて、第1処理穴94よりも小径の第2処理穴96の内壁面に第2電極112の外周面を対向させることとした。これによって、第1処理穴94の内壁面と第1電極110の外周面との距離と、第2処理穴96の内壁面と第2電極112の外周面との距離を略一定にすることができる。このため、第1処理穴94及び第2処理穴96の両方の内壁面に対して、電流密度の差が生じることを抑制して、略均一に表面処理を施すことが容易になる。
上記の通り、第3実施形態では、第1電極110に第1閉塞部42及び第1内側電極44を設け、第1閉塞部42を第1処理穴94の底面100に臨ませた状態で、第1内側電極44を介して第1電極110に電流を供給した。これによって、第1閉塞部42と、第1処理穴94の底面100との間に良好に通電を行うことが可能になるため、該底面100に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
また、第2電極112についても同様に構成したことで、第2閉塞部48と、第2処理穴96の底面102との間に良好に通電を行うことができるため、該底面102に対しても効果的に表面処理を施すことができる。
従って、第1処理穴94及び第2処理穴96の底面100、102に十分な膜厚のめっき皮膜を形成して、該底面100、102に付着物が付着することを効果的に抑制できる。このため、例えば、第1処理穴94の底面100を、鋳造用金型14のキャビティ形成面の近くに配置することによって、該キャビティ形成面近傍の温度制御を安定して行うことが可能になる。
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1電極36、74、110に第1内側電極44を設け、第2電極38、112に第2内側電極50を設けることとしたが、特にこれに限定されるものではなく、第1電極36、74、110及び第2電極38、112は、第1内側電極44及び第2内側電極50を備えていなくてもよい。この場合、第1電極74、110は、第1閉塞部42を備えていなくてもよいし、第2電極112は、第2閉塞部48を備えていなくてもよい。
10、60、90…表面処理装置 12、62、92…処理穴
14…鋳造用金型 16…屈折部
18、22、67、68、77、114、116…開口
20…第1直線状部 24…第2直線状部
30、72、104…電極 31…給液部
32…排液部 36、74、110…第1電極
38、76、112…第2電極 40…第1先端部
42…第1閉塞部 44…第1内側電極
46、84…第2先端部 48…第2閉塞部
50…第2内側電極 52、82、124…絶縁部材
64、94…第1処理穴 66、96…第2処理穴
70…分岐部 78、100、102…底面
80…被挿入部 82a…雌ねじ
84a…雄ねじ 98…交差部
106…第1給排部 108…第2給排部
118、122…処理液流入口 120…挿通孔

Claims (18)

  1. 電極(30)を有し、該電極(30)を挿入した処理穴(12)の内部に電解処理液を流通させつつ、前記電極(30)と前記処理穴(12)の内壁面との間に通電することで、該内壁面に表面処理を施す表面処理装置(10)であって、
    前記電極(30)は、絶縁部材(52)を介して電気的に絶縁された状態で一体化された第1電極(36)及び第2電極(38)からなり、
    前記第1電極(36)は、屈折部(16)を有する前記処理穴(12)の一方の開口(18)から挿入され、
    前記第2電極(38)は、前記処理穴(12)の他方の開口(22)から挿入され、
    前記第1電極(36)の第1先端部(40)と、前記第2電極(38)の第2先端部(46)とが、前記屈折部(16)の内部で前記絶縁部材(52)を介して当接することにより前記第1電極(36)及び前記第2電極(38)が一体化されていることを特徴とする表面処理装置(10)。
  2. 請求項1記載の表面処理装置(10)において、
    前記第1電極(36)及び前記第2電極(38)は、管状部分を有する中空体であり、
    前記第1先端部(40)には、前記第1電極(36)の先端を閉塞する第1閉塞部(42)が設けられ、
    前記第2先端部(46)には、前記第2電極(38)の先端を閉塞する第2閉塞部(48)が設けられ、
    前記第1電極(36)には、その内部を軸方向に延在し、前記第1閉塞部(42)に電気的に接続される第1内側電極(44)が設けられ、
    前記第2電極(38)には、その内部を軸方向に延在し、前記第2閉塞部(48)に電気的に接続される第2内側電極(50)が設けられていることを特徴とする表面処理装置(10)。
  3. 電極(72)を有し、該電極(72)を挿入した処理穴(62)の内部に電解処理液を流通させつつ、前記電極(72)と前記処理穴(62)の内壁面との間に通電することで、該内壁面に表面処理を施す表面処理装置(60)であって、
    前記電極(72)は、絶縁部材(82)を介して電気的に絶縁された状態で一体化された第1電極(74)及び第2電極(76)からなり、
    前記処理穴(62)は、第1処理穴(64)と、該第1処理穴(64)の内壁面に開口(68)が設けられた第2処理穴(66)とからなり、
    前記第1処理穴(64)に挿入された前記第1電極(74)の、前記第2処理穴(66)の前記開口(68)に臨む部分には被挿入部(80)が設けられ、
    前記被挿入部(80)に、前記第2電極(76)の先端部(84)が挿入されることで前記第1電極(74)及び前記第2電極(76)が一体化され、
    前記被挿入部(80)と前記第2電極(76)の前記先端部(84)との間に前記絶縁部材(82)が介在することを特徴とする表面処理装置(60)。
  4. 請求項3記載の表面処理装置(60)において、
    前記第1電極(74)は、管状部分を有する中空体であり、
    前記被挿入部(80)は、前記第1電極(74)の周壁を貫通する穴からなり、
    前記被挿入部(80)の内部に前記絶縁部材(82)が設けられ、
    前記絶縁部材(82)に雌ねじ(82a)が形成され、
    前記第2電極(76)の前記先端部(84)に雄ねじ(84a)が形成され、
    前記雌ねじ(82a)と前記雄ねじ(84a)との螺合によって、前記第1電極(74)と前記第2電極(76)とが位置決め固定されていることを特徴とする表面処理装置(60)。
  5. 請求項4記載の表面処理装置(60)において、
    前記第1電極(74)の先端部(40)には、該第1電極(74)の先端を閉塞し、且つ有底の前記第1処理穴(64)の底面(78)に臨む閉塞部(42)が設けられ、
    前記第1電極(74)の内部には、該第1電極(74)の軸方向に延在して、前記閉塞部(42)に電気的に接続される内側電極(44)が設けられていることを特徴とする表面処理装置(60)。
  6. 電極(104)を有し、該電極(104)を挿入した処理穴(92)の内部に電解処理液を流通させつつ、前記電極(104)と前記処理穴(92)の内壁面との間に通電することで、該内壁面に表面処理を施す表面処理装置(90)であって、
    前記電極(104)は、絶縁部材(124)を介して電気的に絶縁された状態で一体化された第1電極(110)及び第2電極(112)からなり、
    前記第1電極(110)及び前記第2電極(112)は、管状部分を有する中空体であり、
    前記第1電極(110)の外径は、前記第2電極(112)の外径よりも大きく、
    前記処理穴(92)は、有底の第1処理穴(94)と、該第1処理穴(94)と交差する有底の第2処理穴(96)とからなり、
    前記第1処理穴(94)に挿入された前記第1電極(110)の、前記第1処理穴(94)と前記第2処理穴(96)の交差部(98)に配置される部分には、前記第2処理穴(96)の延在方向に沿って挿通孔(120)が形成され、
    前記第2処理穴(96)に挿入された前記第2電極(112)は、前記挿通孔(120)に挿通されることで、前記第1電極(110)と一体化され、
    前記挿通孔(120)と前記第2電極(112)との間には、前記絶縁部材(124)が介在することを特徴とする表面処理装置(90)。
  7. 請求項6記載の表面処理装置(90)において、
    前記第2電極(112)は、前記第1処理穴(94)よりも小径の前記第2処理穴(96)に挿入されることを特徴とする表面処理装置(90)。
  8. 請求項6又は7記載の表面処理装置(90)において、
    前記第1電極(110)の先端部(40)には、該第1電極(110)の先端を閉塞し、且つ前記第1処理穴(94)の底面(100)に臨む閉塞部(42)が設けられ、
    前記第1電極(110)の内径は、前記第2電極(112)の外径よりも大きく、
    前記第1電極(110)の内部には、該第1電極(110)の内周面と前記第2電極(112)の外周面との間を通って、該第1電極(110)の軸方向に延在し、前記第1電極(110)の前記閉塞部(42)に電気的に接続される内側電極(44)が設けられていることを特徴とする表面処理装置(90)。
  9. 請求項6〜8の何れか1項に記載の表面処理装置(90)において、
    前記第2電極(112)の先端部(46)には、該第2電極(112)の先端を閉塞し、且つ前記第2処理穴(96)の底面(102)に臨むように配置される閉塞部(48)が設けられ、
    前記第2電極(112)には、その内部を軸方向に延在し、前記第2電極(112)の前記閉塞部(48)に電気的に接続される内側電極(50)が設けられていることを特徴とする表面処理装置(90)。
  10. 第1電極(36)及び第2電極(38)からなる電極(30)を用いて、処理穴(12)の内壁面に表面処理を施す表面処理方法であって、
    処理穴(12)の内部で、前記第1電極(36)と前記第2電極(38)とを絶縁部材(52)を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程と、
    前記処理穴(12)の内部に電解処理液を流通させつつ、前記第1電極(36)及び前記第2電極(38)と前記処理穴(12)の内壁面との間に通電する通電工程と、
    を有し、
    前記一体化工程では、前記第1電極(36)の第1先端部(40)及び前記第2電極(38)の第2先端部(46)の少なくとも何れか一方に前記絶縁部材(52)を設け、屈折部(16)を有する前記処理穴(12)の一方の開口(18)から、前記第1電極(36)を挿入し、且つ前記処理穴(12)の他方の開口(22)から前記第2電極(38)を挿入し、前記屈折部(16)の内部で前記絶縁部材(52)を介して前記第1先端部(40)と、前記第2先端部(46)とを当接させることを特徴とする表面処理方法。
  11. 請求項10記載の表面処理方法において、
    前記通電工程では、管状部分を有する中空体からなる前記第1電極(36)の内部を軸方向に延在し、且つ前記第1電極(36)の先端を閉塞する第1閉塞部(42)に電気的に接続される第1内側電極(44)を介して、前記第1電極(36)に通電するとともに、管状部分を有する中空体からなる前記第2電極(38)の内部を軸方向に延在し、且つ前記第2電極(38)の先端を閉塞する第2閉塞部(48)に電気的に接続される第2内側電極(50)を介して、前記第2電極(38)に通電することを特徴とする表面処理方法。
  12. 第1電極(74)及び第2電極(76)からなる電極(72)を用いて、処理穴(62)の内壁面に表面処理を施す表面処理方法であって、
    処理穴(62)の内部で、前記第1電極(74)と前記第2電極(76)とを絶縁部材(82)を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程と、
    前記処理穴(62)の内部に電解処理液を流通させつつ、前記第1電極(74)及び前記第2電極(76)と前記処理穴(62)の内壁面との間に通電する通電工程と、
    を有し、
    前記一体化工程では、有底の第1処理穴(64)と、該第1処理穴(64)の内壁面に開口(68)が設けられた第2処理穴(66)とからなる前記処理穴(62)の、前記第1処理穴(64)に第1電極(74)を挿入し、且つ前記第2処理穴(66)に前記第2電極(76)を挿入し、前記第1電極(74)の前記第2処理穴(66)の前記開口(68)に臨む部分に設けられた被挿入部(80)に、前記絶縁部材(82)を介して前記第2電極(76)の先端部(84)を挿入することを特徴とする表面処理方法。
  13. 請求項12の表面処理方法において、
    前記第1電極(74)は、管状部分を有する中空体からなり、
    前記被挿入部(80)は、前記第1電極(74)の周壁を貫通する穴からなり、
    前記一体化工程では、前記被挿入部(80)の内部に設けられた前記絶縁部材(82)に形成された雌ねじ(82a)と、前記第2電極(76)の前記先端部(84)に形成された雄ねじ(84a)とを螺合させて、前記第1電極(74)と前記第2電極(76)とを位置決め固定することを特徴とする表面処理方法。
  14. 請求項12又は13記載の表面処理方法において、
    前記通電工程では、前記第1電極(74)の先端を閉塞する第1閉塞部(42)を、前記第1処理穴(64)の底面(78)に臨ませた状態で、前記第1電極(74)の内部を軸方向に延在して前記第1閉塞部(42)に電気的に接続される第1内側電極(44)を介して前記第1電極(74)に通電することを特徴とする表面処理方法。
  15. 第1電極(110)及び第2電極(112)からなる電極(104)を用いて、処理穴(92)の内壁面に表面処理を施す表面処理方法であって、
    処理穴(92)の内部で、前記第1電極(110)と前記第2電極(112)とを絶縁部材(124)を介して電気的に絶縁した状態で一体化する一体化工程と、
    前記処理穴(92)の内部に電解処理液を流通させつつ、前記第1電極(110)及び前記第2電極(112)と前記処理穴(92)の内壁面との間に通電する通電工程と、
    を有し、
    前記第1電極(110)及び前記第2電極(112)は、管状部分を有する中空体であり、
    前記一体化工程では、有底の第1処理穴(94)と、該第1処理穴(94)と交差する有底の第2処理穴(96)とからなる前記処理穴(92)の、前記第1処理穴(94)に前記第2電極(112)の外径よりも外径が大きい第1電極(110)を挿入した後に、前記第2処理穴(96)に前記第2電極(112)を挿入して、前記第1電極(110)の、前記第1処理穴(94)と前記第2処理穴(96)の交差部(98)に配置される部分に形成された挿通孔(120)に前記絶縁部材(124)を介して該第2電極(112)を挿通することを特徴とする表面処理方法。
  16. 請求項15記載の表面処理方法において、
    前記一体化工程では、前記第1処理穴(94)よりも小径の前記第2処理穴(96)に前記第2電極(112)を挿入することを特徴とする表面処理方法。
  17. 請求項15又は16記載の表面処理方法において、
    前記第1電極(110)の内径は、前記第2電極(112)の外径よりも大きく、
    前記通電工程では、前記第1電極(110)の先端を閉塞する閉塞部(42)を、第1処理穴(94)の底面(100)に臨ませた状態で、前記第1電極(110)の内周面と前記第2電極(112)の外周面との間を通って、該第1電極(110)の軸方向に延在し、前記第1電極(110)の前記閉塞部(42)に電気的に接続される内側電極(44)を介して前記第1電極(110)に通電することを特徴とする表面処理方法。
  18. 請求項15〜17の何れか1項に記載の表面処理方法において、
    前記通電工程では、前記第2電極(112)の先端を閉塞する閉塞部(48)を、第2処理穴(96)の底面(102)に臨ませた状態で、前記第2電極(112)の内部を軸方向に延在して、前記第2電極(112)の前記閉塞部(48)に電気的に接続される内側電極(50)を介して前記第2電極(112)に通電することを特徴とする表面処理方法。
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