JP6863456B2 - 2−シアノアクリレート系接着剤組成物 - Google Patents
2−シアノアクリレート系接着剤組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6863456B2 JP6863456B2 JP2019514642A JP2019514642A JP6863456B2 JP 6863456 B2 JP6863456 B2 JP 6863456B2 JP 2019514642 A JP2019514642 A JP 2019514642A JP 2019514642 A JP2019514642 A JP 2019514642A JP 6863456 B2 JP6863456 B2 JP 6863456B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- block
- cyanoacrylate
- mass
- acrylate
- adhesive composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09J—ADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
- C09J153/00—Adhesives based on block copolymers containing at least one sequence of a polymer obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Adhesives based on derivatives of such polymers
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
Description
従来、これらの問題点を解決するために種々の改質剤を配合する方法が提案されているが、一般的な改質剤は2−シアノアクリレート化合物に溶解しないか、混合によって2−シアノアクリレート化合物をアニオン重合させるため、2−シアノアクリレート化合物に配合可能な改質剤は限定的である。このような改質剤を配合した接着剤組成物の例としては、特許文献1〜3に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、シアノアクリレートモノマー(a)とゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリマーのシェルを有し、コアの架橋モノマーがコアに対して0.2〜4.0重量%、グラフトモノマーがコアに対して0.2〜5.0重量%の範囲であるコアシェルポリマー(b)とを含有することを特徴とするシアノアクリレート系接着剤組成物が記載されている。
また、特許文献2には、(a)シアノアクリレート成分、並びに、(b)実質的に、(a)エチレン、メチルアクリレート及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組合せの反応生成物、(b)エチレン及びメチルアクリレートのコポリマー並びに(a)及び(b)の組合せから選ばれてなり、離型剤、抗酸化剤、ステアリン酸および/またはポリエチレングリコールエーテルワックスを実質的に含まないゴム強靭化剤を含む、ゴム強靭化シアノアクリレート接着剤組成物が記載されている。
また、特許文献3には、(a)2−シアノアクリル酸エステルと、(b)加水分解性シリル基を有する重合体と、(c)エラストマーと、(d)酸触媒とを含有し、前記(b)、(c)及び(d)成分の含有量が、前記(a)成分を100質量部とした場合に、(b)成分は5〜200質量部、(c)成分は5〜50質量部、(d)成分は0.0005〜0.5質量部であることを特徴とする接着剤組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、耐衝撃性は向上するものの、耐冷熱サイクル性は十分満足できるものではないことを本発明者らは見出した。
更に、特許文献2に記載された方法においては、用いられるエラストマーは非架橋性であり、耐熱性や、高温環境を含む耐冷熱サイクル性は劣るものであることを本発明者らは見出した。
<1> 2−シアノアクリレート化合物(A)、及び、熱可塑性エラストマー(B)を含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、ブロック(a)とブロック(b)とを有するブロック共重合体であり、前記ブロック(a)のガラス転移温度が、80℃以上であり、前記ブロック(b)のガラス転移温度が、20℃以下である2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<2> 前記ブロック(a)が、マレイミド化合物に由来する構成単位を少なくとも有する、前記<1>に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<3> 前記ブロック(a)が、下記式(1)で表される構成単位を少なくとも有する、前記<1>又は<2>に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<5> 前記ブロック(a)の溶解性パラメータが、10.0(cal/cm3)1/2以上である、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<6> 前記ブロック(b)が、アクリル系重合体ブロックである、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<7> 前記熱可塑性エラストマー(B)の数平均分子量が、10,000〜500,000である、前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<8> 前記熱可塑性エラストマー(B)の含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物(A)の含有量100質量部に対し、1質量部〜100質量部である、前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<9> 前記熱可塑性エラストマー(B)が、リビングラジカル重合法により製造されたブロック共重合体である、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
<10> 前記熱可塑性エラストマー(B)が、可逆的付加−開裂連鎖移動重合法により製造されたブロック共重合体である、前記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物(以下、単に「接着剤組成物」ともいう。)は、2−シアノアクリレート化合物(A)、及び、熱可塑性エラストマー(B)を含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、ブロック(a)とブロック(b)とを有するブロック共重合体であり、前記ブロック(a)のガラス転移温度が、80℃以上であり、前記ブロック(b)のガラス転移温度が、20℃以下である。
これによる優れた効果の作用機構は明確ではないが、以下のように推定している。
前記熱可塑性エラストマー(B)において、ガラス転移温度が80℃以上であるブロック(a)は、ハードセグメントとして機能し、ガラス転移温度が20℃以下であるブロック(b)は、ソフトセグメントとして機能すると推定される。
前記熱可塑性エラストマー(B)は、ハードセグメントによって硬化後の組成物中において物理架橋するため、耐冷熱サイクル性に優れ、また、ハードセグメント及びソフトセグメントの両方を有することにより、2−シアノアクリレート化合物との相溶性が向上し、2−シアノアクリレート化合物と問題なく配合でき、2−シアノアクリレート化合物を含む接着性組成物の保存安定性に優れると推定される。
また、本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、特に異種の被着体間(例えば、金属と樹脂との間)の接着に使用した場合でも、硬化後の耐冷熱サイクル性に優れる。
本発明の接着剤組成物は、2−シアノアクリレート化合物(A)を含む。
2−シアノアクリレート化合物としては、この種の接着剤組成物に一般に使用される2−シアノアクリレート化合物を特に限定されることなく用いることができる。この2−シアノアクリレート化合物としては、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n−プロピル、i−プロピル、アリル、プロパルギル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロフルフリル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、2−オクチル、n−ノニル、オキソノニル、n−デシル、n−ドデシル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシイソプロピル、メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシイソプロピル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシプロピル、ブトキシイソプロピル、ブトキシブチル、2,2,2−トリフルオロエチル及びヘキサフルオロイソプロピル等のエステルが挙げられる。
また、これらの2−シアノアクリレート化合物のうち、硬化性に優れることから、アルキル2−シアノアクリレート又はアルコキシアルキル2−シアノアクリレートが好ましく、エチル2−シアノアクリレート又はエトキシエチル2−シアノアクリレートがより好ましい。更に、硬化性及び汎用性の観点からは、アルキル2−シアノアクリレートが好ましく、硬化後の耐冷熱サイクル性の観点からは、アルコキシアルキル2−シアノアクリレートが好ましい。
本発明の接着剤組成物における2−シアノアクリレート化合物の含有量は、接着性及び硬化性の観点から、接着剤組成物の全質量に対し、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、50質量%以上99.9質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上99.5質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以上99.5質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の接着剤組成物は、熱可塑性エラストマー(B)を含有する。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)は、ブロック(a)とブロック(b)とを有するブロック共重合体であり、前記ブロック(a)のガラス転移温度(Tg)が、80℃以上であり、前記ブロック(b)のガラス転移温度が、20℃以下である。
なお、前記ブロック(a)を重合体ブロック(a)ともいい、前記ブロック(b)を重合体ブロック(b)ともいう。
本発明における熱可塑性エラストマーとは、ガラス転移温度が80℃以上であるブロック(a)(ハードセグメント)と、ガラス転移温度が20℃以下であるブロック(b)(ソフトセグメント)とを有するブロック共重合体である。
また、ブロック(a)のTgは、350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。
また、ブロック(b)のTgは、−100℃以上であることが好ましく、−80℃以上であることがより好ましい。
前記熱可塑性エラストマー(B)におけるブロック共重合体の構造についても特に制限はなく、AB型ジブロックポリマー、又は、ABA型及びABC型トリブロックポリマー等、各種の線状又は分岐状のブロック共重合体を用いることができる。エラストマー材料として良好な性能が得られる点では、ブロック(a)−ブロック(b)−ブロック(a)からなる、ABAトリブロック共重合体等のA−(BA)n型構造を有するものが好ましい。
また、前記熱可塑性エラストマー(B)におけるブロック(a)及びブロック(b)の総数は、保存安定性、及び、硬化後の耐冷熱サイクル性の観点から、2以上7以下であることが好ましく、2以上5以下であることがより好ましく、3であることが更に好ましい。
更に、前記熱可塑性エラストマー(B)は、保存安定性、及び、硬化後の耐冷熱サイクル性の観点から、ブロック(a)−ブロック(b)−ブロック(a)の構造を有するトリブロック共重合体であることが特に好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)は、ガラス転移温度が80℃以上であるブロック(a)を少なくとも有する。
前記ブロック(a)は、2−シアノアクリレート化合物への相溶性、保存安定性、及び、硬化後の耐冷熱サイクル性の観点から、マレイミド化合物に由来する構成単位を含むブロックであることが好ましく、マレイミド化合物に由来する構成単位とスチレン化合物に由来する構成単位とを含むブロックであることがより好ましい。
置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセチル基、ハロゲン原子及びアリール基が挙げられる。
前記式(1)のR1におけるアリール基は、炭素数6〜20であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましく、炭素数6〜8であることが更に好ましい。また、前記アリール基は、下記置換基を有していてもよい。
置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセチル基、ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基が挙げられる。
また、前記式(1)のR1におけるアリール基は、−Ph−R2であることが好ましい。なお、Phはフェニレン基を表し、R2は水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセチル基又はハロゲン原子を表す。
前記R2は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1若しくは2のアルコキシ基、アセチル基又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
中でも、重合性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、及び、p−ヒドロキシスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。
式(2)におけるsnは、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、アミド基含有ビニル化合物、アミノ基含有ビニル化合物、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ヒドロキシ基含有ビニル化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、2−シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、アミド基含有ビニル化合物が好ましい。
ブロック(a)において、前記他の単量体に由来する構成単位を有する場合、前記他の単量体に由来する構成単位が占める割合は、ブロック(a)の全質量に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜45質量%であることがより好ましく、10質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸の脂肪族環式エステル化合物;
(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシブチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシブチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)は、ガラス転移温度が20℃以下であるブロック(b)を少なくとも有する。
前記ブロック(b)は、Tgが20℃以下であり、合成可能なブロックであれば特に限定されないが、2−シアノアクリレート化合物への相溶性、保存安定性、及び、硬化後の耐冷熱サイクル性の観点から、アクリル系重合体ブロックであることが好ましい。
本発明におけるアクリル系重合体ブロックは、アクリル化合物に由来する構成単位を、ブロックの全質量に対し、50質量%以上含むブロックであり、アクリル化合物に由来する構成単位を、ブロックの全質量に対し、80質量%以上含むブロックであることが好ましく、アクリル化合物に由来する構成単位を、ブロックの全質量に対し、90質量%以上含むブロックであることがより好ましく、アクリル化合物に由来する構成単位からなるブロックであることが特に好ましい。
アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル化合物;
アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロドデシル等のアクリル酸の脂肪族環式エステル化合物;
アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸n−プロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸n−プロポキシプロピル、アクリル酸n−ブトキシプロピル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸エトキシブチル、アクリル酸n−プロポキシブチル、アクリル酸n−ブトキシブチル等のアクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物などが挙げられる。この他にも、アミド基、アミノ基、カルボキシ基及びヒドロキシ基等の官能基を有するアクリル酸エステル化合物を用いてもよい。
これらの中でも、柔軟性に優れたブロック共重合体が得られる点で炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル化合物が好ましい。また、2−シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、前記アクリル系単量体は、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜3のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル化合物を含むものであることがより好ましい。
アクリル系単量体以外の単量体としては、アクリロイル基以外の不飽和基を有する単量体を用いることができ、メタクリル酸エステル等のメタクリロイル基含有化合物、並びに、アルキルビニルエステル、アルキルビニルエーテル及びスチレン化合物等の脂肪族又は芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
ブロック(b)のSP値は、熱可塑性の発現の観点から、上限については、20(cal/cm3)1/2以下であることが好ましい。
また、前記熱可塑性エラストマー(B)におけるブロック(b)の含有量は、保存安定性、及び、硬化後の耐冷熱サイクル性の観点から、熱可塑性エラストマー(B)の全質量に対し、40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。
また、前記熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量(Mw)の値を前記数平均分子量(Mn)の値で除して得られる分子量分布(Mw/Mn)は、2−シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、1.5以下であることが好ましく、1.4以下であることがより好ましく、1.3以下であることが更に好ましく、1.2以下であることが特に好ましい。なお、分子量分布の下限値は1.0である。
なお、本発明おける樹脂の数平均分子量(Mn)、及び、重量平均分子量(Mw)の値は、後述する実施例において記載する通り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得ることができる。
前記熱可塑性エラストマー(B)は、ブロック(a)及びブロック(b)を少なくとも有するブロック共重合体を得る限りにおいて特段の制限を受けるものではなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、リビングラジカル重合及びリビングアニオン重合等の各種制御重合法を利用する方法や、官能基を有する重合体同士をカップリングする方法等を挙げることができる。これらの中でも、操作が簡便であり、広い範囲の単量体に対して適用することができる点、及び、保存安定性の観点から、リビングラジカル重合法が好ましく、後述するRAFT重合法がより好ましい。RAFT重合によって得られた熱可塑性エラストマー(B)は、重金属触媒を含まないため、接着剤組成物の保存安定性を最も高めることができる。
リビングラジカル重合法の種類についても特段の制限はなく、可逆的付加−開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)、ニトロキシラジカル法(NMP法)、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、有機テルル化合物を用いる重合法(TERP法)、有機アンチモン化合物を用いる重合法(SBRP法)、有機ビスマス化合物を用いる重合法(BIRP法)及びヨウ素移動重合法等の各種重合方法を採用することができる。これらの内でも、重合の制御性と実施の簡便さの観点から、RAFT重合法、NMP法及びATRP法が好ましく、RAFT重合法がより好ましい。
RAFT剤は、活性点を1箇所のみ有する一官能のものを用いてもよいし、二官能以上のものを用いてもよい。前記A−(BA)n型構造のブロック共重合体を効率的に得やすい点では、二官能型のRAFT剤を用いることが好ましい。
また、RAFT剤の使用量は、用いる単量体及びRAFT剤の種類等により適宜調整される。
前記アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤は1種類のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
この場合、重合前駆体は分子内に2以上の活性点を有するため、より分子量分布の狭い重合体を得ることができる。前記A−(BA)n型構造のブロック共重合体を効率的に得やすい観点から、分子内に活性点を2つ有する二官能型の重合前駆体を用いることが好ましい。
また、ニトロキシド化合物の使用量は、用いる単量体及びニトロキシド化合物の種類等により適宜調整される。
前記第一重合工程及び第二重合工程を含む製造方法を採用する場合、重合開始剤は、前記二官能性の重合開始剤又は重合前駆体を用いることが好ましい。
連鎖移動剤は公知のものを使用することができ、具体的には、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、2−メチルヘプタン−2−チオール、2−ブチルブタン−1−チオール、1,1−ジメチル−1−ペンタンチオール、1−オクタンチオール、2−オクタンチオール、1−デカンチオール、3−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、2−ドデカンチオール、1−トリデカンチオール、1−テトラデカンチオール、3−メチル−3−ウンデカンチオール、5−エチル−5−デカンチオール、tert−テトラデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール及び1−オクタデカンチオール等の炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキルチオール化合物の他、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール等が挙げられる。
連鎖移動剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の接着剤組成物は、前記2−シアノアクリレート化合物(A)及び前記熱可塑性エラストマー(B)以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、従来、2−シアノアクリル酸エステルを含有する接着剤組成物に配合して用いられている安定剤、硬化促進剤、可塑剤、増粘剤、粒子、着色剤、香料、溶剤、強度向上剤等を、目的に応じて、接着剤組成物の硬化性及び接着強さ等を損なわない範囲で適量配合することができる。
前記粒子の平均粒子径は、10μm〜200μmであることが好ましく、15μm〜200μmであることがより好ましく、15μm〜150μmであることが更に好ましい。
粒子の材質は、使用する2−シアノアクリレート化合物に不溶であり、重合等の変質を引き起こさないものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等の架橋樹脂;球状シリカ、ガラスビーズ、ガラスファイバー等の無機化合物;シリコーン化合物;有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格を含んでなる有機無機複合粒子等が挙げられる。
また、粒子の含有量は特に限定されないが、2−シアノアクリレート化合物の含有量を100質量部とした場合に、0.1質量部〜10質量部であることが好ましく、1質量部〜5質量部であることがより好ましく、1質量部〜3質量部であることが更に好ましい。前記0.1質量部〜10質量部の範囲であると、硬化速度や接着強さに与える影響を少なくすることができる。
本発明における粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定した体積基準の平均値である。
また、熱可塑性エラストマーにおけるブロックのSP値については、前述した方法により算出した。
製造例で得られた重合体の分析方法について以下に記載する。
得られた重合体について、以下に記載の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、ポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
−測定条件−
カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperMultiporeHZ−M×4本
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
検出器:示差屈折率計(RI)
流速:600μL/min
得られた重合体の組成比は1H−NMR測定より同定又は算出した。
得られた重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点での接線の交点から決定した。熱流束曲線は試料約10mgを−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで300℃まで昇温し、引き続き−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで350℃まで昇温する条件で得た。
測定機器:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220
測定雰囲気:窒素雰囲気下
なお、アクリル系重合体ブロック(b)のTgは、各製造例で得られた重合体を試料とした。また、実施例及び比較例において得られたブロック共重合体を試料とすることにより、(アクリル系重合体ブロック(b)のTgとともに)重合体ブロック(a)のTgが得られる。
ナス型フラスコに1−ドデカンチオール(42.2g)、20%KOH水溶液(63.8g)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(1.5g)を加えて氷浴で冷却し、二硫化炭素(15.9g)、テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう。)(38ml)を加え20分撹拌した。α,α’−ジクロロ−p−キシレン(16.6g)のTHF溶液(170ml)を30分かけて滴下した。室温(25℃、以下同様。)で1時間反応させた後、クロロホルムから抽出し、純水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ロータリーエバポレータで濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した後、酢酸エチルから再結晶することにより、以下の式(R)で表される1,4−ビス(n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼン(以下「DLBTTC」ともいう。)を収率80%で得た。1H−NMR測定より7.2ppm、4.6ppm、3.4ppmに目的物のピークを確認した。
撹拌機、温度計を装着した1Lフラスコに合成例1で得られたRAFT剤(DLBTTC)(3.0g)、2,2’−アゾビス2−メチルブチロニトリル(以下「ABN−E」ともいう。)(0.17g)、アクリル酸エチル(EA、456g)及びアニソール(Anisole、81.0g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、60℃の恒温槽で重合を開始した。3時間30分後、室温まで冷却し反応を停止した。反応を停止した重合溶液を、ヘキサンから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体1を得た。得られた重合体1の分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定(ポリスチレン換算)より、Mn72,100、Mw78,600、Mw/Mnは1.09であった。
アクリル酸エチルに加えて、アクリル酸n−ブチル(BA)を用い、表1に記載の通り仕込み量を変更するとともに、反応時間を適宜調整した以外は重合体1の製造と同様の操作を行い、重合体2を得た。重合体2の分子量を測定し、表1に示した。また、1H−NMR測定から重合体中のアクリル酸エチルとアクリル酸n−ブチルとの組成比を決定したところ、アクリル酸エチル/アクリル酸n−ブチル=25/75(質量%)であった。
アクリル酸エチルに代えて、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル(HA)を用い、表1に記載の通り仕込み量を変更するとともに、反応時間を適宜調整した以外は重合体1の製造と同様の操作を行い、重合体3を得た。重合体3の分子量を測定し、表1に示した。また、1H−NMR測定から重合体中のアクリル酸n−ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの組成比を決定したところ、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル=76/24(質量%)であった。
DLBTTCの使用量を表1に記載の通りとするとともに、反応時間を適宜調整した以外は重合体3の製造と同様の操作を行い、重合体4を得た。重合体4の分子量を測定し、表1に示した。また、1H−NMR測定から重合体中のアクリル酸n−ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの組成比を決定したところ、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル=75/25(質量%)であった。
アクリル酸エチルに代えて、アクリル酸メチル(MA)を用い、表1に記載の通り仕込み量を変更するとともに、反応時間を適宜調整した以外は重合体1の製造と同様の操作を行い、重合体5を得た。重合体5の分子量を測定し、表1に示した。
表1に記載の通り仕込み量を変更するとともに、反応時間を適宜調整した以外は重合体3の製造と同様の操作を行い、重合体6を得た。重合体6の分子量を測定し、表1に示した。また、1H−NMR測定から重合体中のアクリル酸n−ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルの組成比を決定したところ、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル=25/75(質量%)であった。
撹拌機、温度計を装着した1Lフラスコに2−{[(2−カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸(0.70g)、ABN−E(0.11g)、N−フェニルマレイミド(PhMI、23.9g)、スチレン(St、14.4g)及びアニソール(78.3g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。2時間後、室温まで冷却し反応を停止した後、アクリル酸エチル(193.5g)及びアニソール(30.2g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、アニソール(120.5g)を仕込み、室温まで冷却し反応を停止した後、N−フェニルマレイミド(28.7g)、スチレン(18.7g)及びアニソール(19.4g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。8時間後、アニソール(171.7g)を仕込み、室温まで冷却することで反応を停止した。反応を停止した重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することでブロック共重合体Aを得た。得られたブロック共重合体Aの分子量を測定した結果、Mn86,500、Mw124,000、Mw/Mnは1.43であった。
撹拌機、温度計を装着した1Lフラスコに2−{[(2−カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸(0.70g)、ABN−E(0.11g)、N−フェニルマレイミド(24.0g)、スチレン(12.3g)、α−メチルスチレン(αMeSt、2.5g)及びアニソール(78.4g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。4.5時間後、室温まで冷却し反応を停止した後、アクリル酸エチル(97.8g)、アクリル酸ブチル(49.0g)、アクリル酸2−メトキシエチル(C−1、49.0g)及びアニソール(29.3g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。4.5時間後、アニソール(122.0g)を仕込み、室温まで冷却し反応を停止した後、N−フェニルマレイミド(28.8g)、スチレン(15.9g)、α−メチルスチレン(3.2g)及びアニソール(19.4g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。10時間後、アニソール(167.7g)を仕込み、室温まで冷却することで反応を停止した。反応を停止した重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することでブロック共重合体Bを得た。得られたブロック共重合体Bの分子量を測定した結果、Mn76,600、Mw122,000、Mw/Mnは1.59であった。
撹拌機、温度計を装着した1Lフラスコに重合体1(100.0g)、ABN−E(0.05g)、N−フェニルマレイミド(27.0g)、スチレン(17.7g)及びアニソール(391g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、75℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却し反応を停止した。反応を停止した重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することでブロック共重合体Cを得た。
フラスコに仕込む原料の種類及び仕込み量を表2に記載の通り変更するとともに、反応時間を適宜調整した以外は製造例3と同様の操作を行い、ブロック共重合体D、E、F、H及びIをそれぞれ得た。
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに重合体1(100.0g)、ABN−E(0.05g)、アクリル酸イソボロニル(IBXA、92.0g)及びアニソール(102g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、75℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することでブロック共重合体Gを得た。
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに重合体1(100.0g)、ABN−E(0.05g)、アクリル酸イソボロニル(55.5g)、アクリル酸エチル(EA、17.8g)及びアニソール(179g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、75℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することでブロック共重合体Jを得た。
(実施例1)
エチル2−シアノアクリレートに、二酸化硫黄を20ppm、ハイドロキノンを1000ppm配合し、エチル2−シアノアクリレート配合物を得た。次に、ブロック共重合体Aを20部(前記エチル2−シアノアクリレート配合物を100部とする。)配合して23℃で一晩撹拌し、溶解させて接着剤組成物を製造した。
ブロック共重合体Aを表4に記載の配合剤に変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤組成物を製造した。
PMMA:ポリメタクリル酸メチル、分子量40万
ASA:コアシェル型ゴム粒子を含む樹脂、UMG ABS社製、商品名「ダイヤラックS510」、アクリロニトリル/ブタジエン/アクリル酸ブチル/スチレン共重合体
エトキシエチル2−シアノアクリレートに、二酸化硫黄を20ppm、ハイドロキノンを1,000ppm配合し、エトキシエチル2−シアノアクリレート配合物を得た。次に、ブロック共重合体Aを20部(前記エトキシエチル2−シアノアクリレート配合物を100部とする)配合して23℃で一晩撹拌し、溶解させて接着剤組成物を製造した。
ブロック共重合体Aを表5に記載の配合剤に変更した以外は、実施例4と同様にして接着剤組成物を製造した。
Vamac:熱可塑性エラストマー、デュポンエラストマー社製、商品名「Vamac G」、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸ランダム共重合体
イソブチル2−シアノアクリレートに、二酸化硫黄を20ppm、ハイドロキノンを1,000ppm配合した。次に、ブロック共重合体Aを20部(前記イソブチル2−シアノアクリレート配合物を100部とする)配合して23℃で一晩撹拌し、溶解させて接着剤組成物を製造した。
2−シアノアクリレートの種類、ブロック共重合体の種類及び配合量を表6に記載の配合に変更した以外は、実施例9と同様にして接着剤組成物を製造した。
<耐冷熱サイクル性>
アルミニウム板(JIS A6061Pに規定された材質)とABS樹脂製(ABS樹脂として新神戸電機(株)製、商品名「ABS−N−WN」を用いた。)の試験片とを、実施例1〜14又は比較例1〜8の接着剤組成物を用いて接着させ、23℃で3日間静置して養生させた後、JIS K 6861に準じて引張せん断接着強さを測定した(これを初期強度とする)。実施例1〜3、9〜14及び比較例1〜3、6〜8においては、接着養生後、冷熱衝撃試験機を用いて−20℃で1時間保持し、その後、60℃で1時間保持する冷熱サイクルを1サイクルとして10サイクル後の引張せん断接着強さを前記と同様にして測定し(これを試験後強度とする。)、下記のようにして保持率を算出した。実施例4〜8、並びに、比較例4及び5においては、接着養生後、−40℃で1時間保持し、その後、80℃で1時間保持する冷熱サイクルを1サイクルとして10サイクル後の引張せん断接着強さを前記と同様にして測定し(これを試験後強度とする。)、保持率を算出した。
保持率(%)=(試験後強度/初期強度)×100
接着剤組成物をポリエチレン(PE)製の容器に充填後、アルミパックで密封し、60℃環境下で放置した時の性状を観察した。
A:60℃で7日間経過した組成物の粘度値が初期に対して3倍以内の変化であった
B:60℃で7日間経過した組成物の粘度値が初期に対して3倍を超える変化であった
また、本発明の接着剤組成物は、特に異種の被着体間(例えば、金属と樹脂との間)の接着に好適に使用することができる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (8)
- 2−シアノアクリレート化合物(A)、及び、
熱可塑性エラストマー(B)を含有し、
前記熱可塑性エラストマー(B)が、ブロック(a)とブロック(b)とを有するブロック共重合体であり、
前記ブロック(a)のガラス転移温度が、80℃以上であり、
前記ブロック(b)のガラス転移温度が、20℃以下であり、
前記ブロック(a)が、下記式(1)で表される構成単位を少なくとも有する
2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
- 前記ブロック(a)が、スチレン化合物に由来する構成単位を少なくとも有する、請求項1に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
- 前記ブロック(a)の溶解性パラメータが、10.0(cal/cm3)1/2以上である、請求項1又は請求項2に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
- 前記ブロック(b)が、アクリル系重合体ブロックである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
- 前記熱可塑性エラストマー(B)の数平均分子量が、10,000〜500,000である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
- 前記熱可塑性エラストマー(B)の含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物(A)の含有量100質量部に対し、1質量部〜100質量部である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
- 前記熱可塑性エラストマー(B)が、リビングラジカル重合法により製造されたブロック共重合体である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
- 前記熱可塑性エラストマー(B)が、可逆的付加−開裂連鎖移動重合法により製造されたブロック共重合体である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017087409 | 2017-04-26 | ||
JP2017087409 | 2017-04-26 | ||
PCT/JP2018/017089 WO2018199268A1 (ja) | 2017-04-26 | 2018-04-26 | 2-シアノアクリレート系接着剤組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2018199268A1 JPWO2018199268A1 (ja) | 2020-05-14 |
JP6863456B2 true JP6863456B2 (ja) | 2021-04-21 |
Family
ID=63919813
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019514642A Active JP6863456B2 (ja) | 2017-04-26 | 2018-04-26 | 2−シアノアクリレート系接着剤組成物 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6863456B2 (ja) |
WO (1) | WO2018199268A1 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR3090666B1 (fr) * | 2018-12-19 | 2021-11-19 | Arkema France | Composition comprenant des cyanoacrylates et au moins un copolymère à blocs |
BR112023005478A2 (pt) * | 2020-09-29 | 2023-05-09 | Asahi Chemical Ind | Espessante para adesivos à base de cianoacrilato |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
IE45111B1 (en) * | 1976-07-14 | 1982-06-30 | Loctite Ltd | Cyanoacrylate adhesive paste compositions |
JPS5974176A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Yugo Suzuki | 接着剤組成物 |
JPH06271817A (ja) * | 1993-03-23 | 1994-09-27 | Three Bond Co Ltd | α−シアノアクリレート系接着剤組成物及びその製造方法 |
JPH09143431A (ja) * | 1995-11-22 | 1997-06-03 | Nippon Zeon Co Ltd | 紫外線硬化性組成物、それを用いた接着方法、および接着物 |
JP5434771B2 (ja) * | 2010-04-27 | 2014-03-05 | 東亞合成株式会社 | 接着方法 |
JP6630736B2 (ja) * | 2015-10-27 | 2020-01-15 | 東亞合成株式会社 | ブロック共重合体及びその製造方法、並びに、その利用 |
-
2018
- 2018-04-26 JP JP2019514642A patent/JP6863456B2/ja active Active
- 2018-04-26 WO PCT/JP2018/017089 patent/WO2018199268A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2018199268A1 (ja) | 2020-05-14 |
WO2018199268A1 (ja) | 2018-11-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6785869B2 (ja) | ブロック共重合体及びその製造方法、並びに、その利用 | |
CN110546224B (zh) | 粘接剂组合物 | |
JP7003940B2 (ja) | 粘着剤組成物及びその製造方法 | |
JP7081592B2 (ja) | 硬化性樹脂組成物及びその製造方法 | |
JP6835088B2 (ja) | モールディング樹脂組成物及び成形品 | |
CA2797952A1 (en) | Pressure-sensitive adhesives with high molar masses and narrow molar mass distribution and process for preparing them | |
JP6413767B2 (ja) | 重合体及びその製造方法、並びに成形体 | |
JP5671500B2 (ja) | 樹脂組成物、粘着剤および重合体の製造方法 | |
JP6863456B2 (ja) | 2−シアノアクリレート系接着剤組成物 | |
JPWO2019208386A1 (ja) | 硬化性樹脂組成物、並びに、ブロック共重合体及びその製造方法 | |
JP2010006966A (ja) | アクリル共重合体の製造方法 | |
JP2020059829A (ja) | 粘着剤組成物及びその用途 | |
JP7318883B2 (ja) | (メタ)アクリル系樹脂組成物 | |
JP7081134B2 (ja) | ブロック共重合体の製造方法 | |
JP6807800B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JPWO2018221564A1 (ja) | 接着剤及び構造体 | |
KR102588037B1 (ko) | 시아노아크릴레이트 및 하나 이상의 블록 공중합체를 포함하는 조성물 | |
WO2022230928A1 (ja) | 熱剥離型粘着剤、物品および剥離方法 | |
JP6814691B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP6814690B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2021059644A (ja) | 粘着剤組成物及び粘着シート | |
JP2022169989A (ja) | ポリマーの製造方法、ポリマー、化合物および粘着剤 | |
JP2021113300A (ja) | ブロック共重合体及びその製造方法並びにブロック共重合体の利用 | |
JP2015007190A (ja) | 樹脂フィルム及び粘着テープ | |
JP2009185119A (ja) | アクリル共重合体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
AA64 | Notification of invalidation of claim of internal priority (with term) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764 Effective date: 20200128 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200213 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200303 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210112 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210212 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210302 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210315 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6863456 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |