JP6863166B2 - 燃焼気筒比率の可変制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、間欠的に気筒休止を行う間欠休止運転中にエンジンの燃焼気筒比率の可変制御を行う燃焼気筒比率の可変制御装置に関する。
従来、上記のような燃焼気筒比率の可変制御装置として、特許文献1に記載のものが知られている。同文献の可変制御装置では、燃焼を休止する気筒を固定せずに動的に変更していくことで、多様な燃焼気筒比率を実現している。
米国特許9200575号明細書
上記文献には、所定の燃焼気筒比率を実現する気筒休止のパターンの一例として、5気筒を続けて燃焼を行った後に1気筒の燃焼を休止し、その後、1気筒で燃焼を行った後に1気筒の燃焼を休止するパターンで気筒休止を行うことで、燃焼気筒比率を75%(=6/8)とすることが記載されている。この気筒休止のパターンには、気筒休止間隔が5気筒分の区間と同間隔が1気筒分の区間とが存在している。
エンジン回転数は、気筒休止に応じて一旦落ち込むが、その後のエンジン回転数の上昇量は、気筒休止間隔が長い区間では大きくなり、同間隔が短い区間では小さくなる。そのため、気筒休止間隔が長い区間と短い区間とが混在すると、エンジンの回転変動が大きくなる。こうしたエンジンの回転変動を抑えるには、気筒毎の個別のトルク管理が必要となる。すなわち、気筒休止間隔が短い区間では燃焼を行う各気筒のトルク発生量を、同間隔が長い区間よりも大きくして、次の気筒休止までのエンジン回転数の上昇量を揃える必要がある。
さらに、燃焼気筒比率の可変制御を行う場合には、同比率の変更に応じて気筒休止のパターンが変化する。そのため、回転変動を抑えるための気筒毎の個別のトルク管理は複雑なものとなる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、燃焼気筒比率の可変制御を行う際の気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの回転変動を好適に抑制することのできる燃焼気筒比率の可変制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する燃焼気筒比率の可変制御装置は、気筒休止を間欠的に行う間欠休止運転中にエンジンの燃焼気筒比率の可変制御を行う。また、同可変制御装置は、一定の間隔での気筒休止の繰り返しにより実現可能な燃焼気筒比率を目標燃焼気筒比率として設定する目標燃焼気筒比率設定部を備えている。こうして設定された目標燃焼気筒比率は、同比率の値が変更された場合、気筒休止の間隔を変更することで、変更前の目標燃焼気筒比率から変更後の目標燃焼気筒比率へと燃焼気筒比率を変更可能な値となる。
ここで、現在の燃焼気筒比率を実現する気筒休止の間隔を現在休止間隔とし、同現在休止間隔で気筒休止を行ってからその次に気筒休止を行うまでの気筒休止の間隔を次回休止間隔とする。また、目標燃焼気筒比率を実現する気筒休止の間隔を目標休止間隔とする。上記可変制御装置は、下記のように次回休止間隔を決定する気筒休止パターン決定部を備えている。すなわち、気筒休止パターン決定部は、現在休止間隔と目標休止間隔との差がX気筒以下の場合には、目標休止間隔を次回休止間隔とし、同差がX気筒を超える場合には、現在休止間隔よりも目標休止間隔にX気筒分近い間隔を次回休止間隔とする。なお、上記「X」は、自然数を値として取り、且つエンジンの運転状態に応じて値が変化する可変値となっている。
こうして次回休止間隔を設定すれば、現在休止間隔が目標休止間隔と一致した状態となれば、目標燃焼気筒比率が変更されるまで、気筒休止の間隔が一定に保たれる。すなわち、燃焼気筒比率を一定としている間は、気筒休止間隔が一定に保たれる。
また、上記のように気筒休止間隔を設定すれば、1回当たりの気筒休止間隔の変更をX気筒分以下として、燃焼気筒比率の変更が行われる。すなわち、X気筒を超える気筒休止間隔の変更を必要とする目標燃焼気筒比率の変更がなされた場合に、複数回に分けて気筒休止間隔を段階的に変更することで、気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの回転変動を抑制するようにしている。
ここで、気筒休止間隔の変更によるエンジンの回転変動を抑制することだけを考えれば、上記Xの値を、すなわち1回当たりの気筒休止間隔の変更量を小さくすればよい。ただし、そうした場合、気筒休止間隔が大きく変更される大幅な燃焼気筒比率の変更に要する時間が長くなり、燃焼気筒比率の可変制御の応答性が悪化する。一方、エンジンの運転状況によっては、一度に気筒休止間隔をある程度大きく変更しても、それにより生じるエンジンの回転変動が許容できる範囲内に留まることがある。そのため、1回当たり気筒休止間隔の最大変更量をエンジンの運転状況に応じて変化させつつ、上記燃焼気筒比率の変更を行えば、応答性の悪化を抑えつつ、エンジンの回転変動を抑制できる。したがって、上記燃焼気筒比率の可変制御装置によれば、燃焼気筒比率の可変制御を行う際の気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの回転変動を好適に抑制することができる。
エンジン回転数が低いときには、燃焼サイクルが長くなり、気筒休止間隔の変更に伴うエンジン回転数の変化も時間をかけて緩やかに生じるようになる。そのため、気筒休止間隔の変更により発生するエンジンの回転変動は、エンジン回転数が低いほど緩やかとなる。すなわち、エンジン回転数が低いほど、許容可能な気筒休止間隔の変更量が大きくなる。よって、上記気筒休止パターン決定部の次回休止間隔の設定は、エンジン回転数が低いときには、同エンジン回転数が高いときよりも上記Xが大きい値となるように、すなわち1回当たりの気筒休止間隔の最大変更量が大きくなるように行うようにするとよい。
また、気筒休止間隔の変更により生じるエンジンの平均トルク(単位時間あたりの発生トルク)の変化率は、変更前の気筒休止間隔が大きいほど小さくなる。そのため、現在休止間隔が大きいほど、許容可能な気筒休止間隔の変更量が大きくなる。よって、上記気筒休止パターン決定部による次回休止間隔の設定は、現在休止間隔が大きいときには、同現在休止間隔が小さいときよりも、上記Xが大きい値となるように、すなわち1回当たりの気筒休止間隔の最大変更量が大きくなるように行うようにするとよい。
さらに、加速時や減速時などのエンジン回転数の変化が大きいときには、すなわち、エンジン回転数の急変中には、気筒休止間隔の変更に伴う回転変動がドライバリティの悪化に繋がり難い。そのため、エンジン回転数の変化が大きいときほど、許容可能な気筒休止間隔の変更量が大きくなる。よって、上記燃焼気筒比率の可変制御装置における気筒休止パターン決定部による次回休止間隔の設定は、エンジン回転数の変化が大きいときには、同変化が小さいときより、上記Xが大きい値となるように、すなわち1回当たりの気筒休止間隔の最大変更量が大きくなるように行うようにするとよい。
1気筒の燃焼により発生するトルクが一定であるとすると、間欠休止運転中にエンジンが単位時間当たりに発生するトルク(以下、エンジンの平均トルクと記載する)は、燃焼気筒比率に比例する。よって、気筒休止間隔を変更したときのエンジンの平均トルクの変化率は、その変更前後の燃焼気筒比率の変化率に比例することになる。そのため、上記Xの値が、現在休止間隔から次回休止間隔に気筒休止の間隔を変更したときの燃焼気筒比率の変化率が既定の制限値未満となる値となっていれば、気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの平均トルクの変化率も制限値未満に制限されることになる。
気筒休止間隔の変更量に最小の量が定められており、その最小量の気筒休止間隔の変更によっても、燃焼気筒比率の変化率が上記制限値以上となってしまうことがあるが、その場合には、その最小の量だけ気筒休止間隔を変更するようにするとよい。すなわち、上記燃焼気筒比率の可変制御装置における気筒休止パターン決定部による次回休止間隔の設定は、上記Xの値が、現在休止間隔から次回休止間隔に気筒休止の間隔を変更したときの燃焼気筒比率の変化率が既定の制限値未満となる値、及び気筒休止の間隔の最小の変更量のうちの大きい方の値となるように行うようにするとよい。
上述のように、エンジン回転数が低いときや同エンジン回転数の変化が大きいときには、許容可能な気筒休止間隔の変更量が大きくなる。そのため、上記次回燃焼気筒比率の設定は、エンジン回転数が低いときには同エンジン回転数が高いときよりも上記制限値が大きくなるように行うようにしたり、エンジン回転数の変化が大きいときには同変化が小さいときよりも上記制限値が大きくなるように行うようにしたりすることが望ましい。
エンジンの全気筒を休止する燃料カットからの復帰後の間欠休止運転に際しては、燃焼気筒比率を如何なる比率としても、燃焼再開によるエンジンの回転変動が発生してしまう。そのため、上記気筒休止パターン決定部は、エンジンの全気筒を休止する燃料カットからの復帰時には、燃料カットにおける最後の気筒休止から同燃料カットからの復帰後における最初の気筒休止までの気筒休止の間隔を目標休止間隔とするとよい。こうした場合、燃料カットの復帰後の間欠休止運転を、燃焼気筒比率を目標燃焼気筒比率とした状態で開始できる。
すべての気筒で燃焼を行う全気筒燃焼運転と間欠休止運転との切替えに際しても、平均トルクの変化によるエンジンの回転変動が発生する。このときの回転変動は、全気筒燃焼運転からの切替え後、或いは全気筒燃焼運転への切替え前の間欠休止運転における燃焼気筒比率が1に近いほど小さくなる。すなわち、上記全気筒燃焼運転からの切替え後の最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔、或いは全気筒燃焼運転への切替え前における最後の気筒休止を行う際の気筒休止間隔を大きくするほど、上記切替え時のエンジンの回転変動を抑制できる。一方、エンジン回転数が低いときには、気筒休止間隔の変更に伴うエンジン回転数の変化が時間をかけて緩やかに生じるため、上記切替え時のエンジンの回転変動がドライバビリティの悪化に繋がり難くなる。そのため、上記気筒休止パターン決定部は、すべての気筒で燃焼を行う全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔、及び間欠休止運転から全気筒燃焼運転への切替え前における最後の気筒休止を行う際の気筒休止間隔を、エンジン回転数が低いときには、同エンジン回転数が高いときよりも小さくすることが望ましい。
また、エンジン回転数の変化が大きいときにも、上記のような全気筒燃焼運転、間欠休止運転の切替えに際してのエンジンの回転変動がドライバビリティの悪化に繋がり難くなる。そのため、上記気筒休止パターン決定部は、すべての気筒で燃焼を行う全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔、及び間欠休止運転から全気筒燃焼運転への切替え前における最後の気筒休止を行う際の気筒休止間隔を、エンジン回転数の変化が大きいときには、同変化が小さいときよりも小さくすることが望ましい。
燃焼気筒比率の可変制御装置の第1実施形態の構成を模式的に示す図。 燃焼気筒比率の可変制御に係る同可変制御装置の制御構造を模式的に示すブロック図。 同可変制御装置におけるエンジン回転数、エンジン負荷率と目標燃焼気筒比率との関係を示すグラフ。 同可変制御装置において気筒休止パターン決定部が行う次回燃焼気筒比率決定処理のフローチャート。 同可変制御装置における低回転数域での燃焼気筒比率の変更態様の一例を示すタイムチャート。 同可変制御装置における中回転数域での燃焼気筒比率の変更態様の一例を示すタイムチャート。 同可変制御装置における高回転数域での燃焼気筒比率の変更態様の一例を示すタイムチャート。
(第1実施形態)
以下、燃焼気筒比率の可変制御装置の第1実施形態を、図1〜図7を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施形態の可変制御装置が適用されるエンジン10の構成を示す。同図に示すように、エンジン10は、直列に配列された4つの気筒#1〜#4を備えている。同エンジン10での各気筒#1〜#4の点火順序は、気筒#1、気筒#3、気筒#4、気筒#2の順となっている。エンジン10の吸気通路11には、その内部を流れる吸気の流量(吸入空気量GA)を検出するエアフローメータ12と、吸入空気量GAを調整するための流量制御弁であるスロットルバルブ13とが設けられている。さらに、エンジン10には、燃料を噴射するインジェクタ14と、火花放電により燃料を着火する点火プラグ15とが気筒毎にそれぞれ設けられている。
本実施形態の可変制御装置は、エンジン10の運転制御を行うマイクロコントローラである電子制御ユニット16を備える。電子制御ユニット16には、上述のエアフローメータ12を始め、エンジン10のクランク角を検出するクランク角センサ17、スロットルバルブ13の開度(スロットル開度TA)を検出するスロットル開度センサ18、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセルペダルセンサ19などの各種センサの検出信号が入力されている。そして、電子制御ユニット16は、これらセンサの検出信号に基づき、スロットルバルブ13の開度制御、インジェクタ14の燃料噴射制御、点火プラグ15の点火時期制御などを実施することで、エンジン10の運転制御を行っている。
なお、電子制御ユニット16は、クランク角センサ17が検出したクランク角の変化速度からエンジン回転数NEを求めている。また、電子制御ユニット16は、アクセルペダルセンサ19が検出したアクセルペダルの踏込み量とエンジン回転数NEとから、エンジン10の要求トルクを求めている。
電子制御ユニット16は、エンジン10の運転制御の一環として、燃焼気筒比率の可変制御を行っている。燃焼気筒比率は、燃焼を行う気筒(燃焼気筒)の数と燃焼を休止する気筒(休止気筒)の数との合計に対する燃焼気筒数の比率である。なお、燃焼行程を迎える気筒のすべてで燃焼を行う全気筒燃焼運転では、燃焼気筒比率は、100%(=1)となる。また、一部の気筒で燃焼を休止する間欠休止運転では、燃焼気筒比率は、100%未満の値となる。
なお、全気筒燃焼運転では、すべての気筒#1〜#4において1燃焼サイクル毎に、インジェクタ14の燃料噴射、及び点火プラグ15の放電を繰り返し行うようにしている。これに対して、間欠休止運転では、該当気筒が燃焼休止の対象となっていない間は、同気筒でのインジェクタ14の燃料噴射、及び点火プラグ15の火花放電を1燃焼サイクル毎に繰り返し行う。そして、該当気筒が燃焼休止の対象となったときに、同気筒でのインジェクタ14の燃料噴射、及び点火プラグ15の火花放電を1燃焼サイクルの間停止するようにしている。
図2に、燃焼気筒比率の可変制御に係る電子制御ユニット16の制御構造を示す。同図に示すように、電子制御ユニット16は、上記制御構造として、目標燃焼気筒比率設定部20、気筒休止パターン決定部21、及び空気量調整部22を備える。
目標燃焼気筒比率設定部20は、エンジン10の運転状態に応じて、可変制御における燃焼気筒比率の目標値である目標燃焼気筒比率γtを演算し、気筒休止パターン決定部21は、その演算した目標燃焼気筒比率γtに基づきエンジン10の気筒休止パターンを決定する。これに対して、空気量調整部22は、気筒休止パターンの切替えに、すなわち燃焼気筒比率の変更に応じたエンジン負荷率KLの調整を行っている。エンジン負荷率KLは、最大シリンダ流入空気量に対するシリンダ流入空気量の比率を表している。なお、シリンダ流入空気量は、1気筒の1サイクル当たりの吸気量であり、スロットルバルブ13の開度を最大開度としたときのシリンダ流入空気量が最大シリンダ流入空気量である。
(目標燃焼気筒比率の演算)
ここで、目標燃焼気筒比率設定部20による目標燃焼気筒比率γtの演算について説明する。目標燃焼気筒比率設定部20は、規定の制御周期毎に、エンジン回転数と全気筒燃焼時要求負荷率KLAとに基づき目標燃焼気筒比率γtの演算を行っている。全気筒燃焼時要求負荷率KLAは、エンジン10が全気筒燃焼運転を行っているとした場合に、要求トルク分のトルクの発生に必要なエンジン負荷率KLを表し、その値はエンジン回転数NEと要求トルクとに基づき演算されている。
図3に、本実施形態における目標燃焼気筒比率γtの設定態様を示す。本実施形態では、目標燃焼気筒比率γtは、50%、67%、75%、80%、100%のいずれかの値に設定される。
同図に示すように、エンジン回転数NEが既定値NE1以下の領域では、全気筒燃焼時要求負荷率KLAに拘わらず、目標燃焼気筒比率γtの値は100%に設定される。これに対して、エンジン回転数NEが既定値NE1を超える領域では、全気筒燃焼時要求負荷率KLAに応じて、目標燃焼気筒比率γtの値を50%〜100%の範囲で可変設定している。具体的には、エンジン回転数NEが既定値NE1を超える領域での目標燃焼気筒比率γtは、全気筒燃焼時要求負荷率KLAが既定値KL1未満のときには50%に、既定値KL1以上、且つ既定値KL2(>KL1)未満のときには67%に、それぞれ設定される。さらに、全気筒燃焼時要求負荷率が、既定値KL2以上、且つ既定値KL3(>KL2)未満のときには75%に、既定値KL3以上、且つ既定値KL4(>KL3)未満のときには80%に、既定値KL4以上のときには100%に、それぞれ設定される。
(気筒休止パターンの決定)
続いて、気筒休止パターン決定部21による気筒休止パターンの決定について説明する。本実施形態における燃焼気筒比率の可変制御では、0%、50%、67%、75%、80%、83%、86%、88%、100%の9通りの燃焼気筒比率が使用される。表1には、それら9通りの燃焼気筒比率のそれぞれにおける、気筒の燃焼、休止の順序が示されている。ちなみに、燃料カット時やアイドルストップ時など、一時的に全ての気筒で燃焼を休止する全気筒休止の場合が、燃焼気筒比率が0%の場合となる。
Figure 0006863166
上記9通りの燃焼気筒比率のうち、0%は全気筒休止の場合の比率であり、100%は全気筒燃焼の場合の比率である。よって、表1に示される燃焼気筒比率のうちで、エンジン10の間欠休止運転中に使用される比率は、50%、67%、75%、80%、83%、86%、及び88%の7通りとなる。これらの燃焼気筒比率では、燃焼行程を迎える気筒の順にn個の気筒を続けて燃焼させた後に1個の気筒の燃焼を休止するパターンで気筒休止が繰り返される。すなわち、間欠休止運転中に使用される燃焼気筒比率はすべて、上記パターンの気筒休止の繰り返しによって、すなわち一定の間隔での気筒休止の繰り返しによって実現可能な比率となっている。そして、目標燃焼気筒比率設定部20が間欠休止運転中の目標燃焼気筒比率γtとして演算する、50%、67%、75%、及び80%の各燃焼気筒比率も、一定の間隔での気筒休止の繰り返しによって実現可能な燃焼気筒比率となっている。
上記のように間欠休止運転中の燃焼気筒比率は、50%、67%、75%、80%、83%、86%、88%のいずれかに設定されることになるが、これらの間では気筒の休止間隔を1気筒ずつ変更することで燃焼気筒比率の変更が可能である。すなわち、本実施形態では、間欠休止運転中の燃焼気筒比率の変更に際して、気筒休止間隔の最小の変更量は1気筒となっている。
本実施形態では、上記気筒休止パターンのそれぞれに、各パターンの気筒休止間隔を値とする識別番号(ID)を付している。さらに、本実施形態では、燃焼気筒比率が0%(全気筒休止)及び100%(全気筒燃焼)の場合については、次の扱いとしている。すなわち、気筒休止のみが繰り返される燃焼気筒比率が0%(全気筒休止)の場合については、1回の気筒休止からなるパターンを便宜上の気筒休止パターンとし、その識別番号を「0」としている。また、燃焼のみが繰り返される燃焼気筒比率が100%の場合については、1回の燃焼からなるパターンを便宜上の気筒休止パターンとし、その識別番号を「8」としている。
気筒休止パターン決定部21は、エンジン10の運転中、既定の制御周期毎に、実施中の気筒休止パターンの次に実施する気筒休止パターンの燃焼気筒比率(以下、次回燃焼気筒比率γnと記載する)を決定する。この決定に際して、気筒休止パターン決定部21は、実施中の気筒休止パターンの燃焼気筒比率(以下、現在燃焼気筒比率γcと記載する)、目標燃焼気筒比率γt、及びエンジン回転数NEを読み込む。そして、気筒休止パターン決定部21は、予め電子制御ユニット16に記憶された演算マップを参照して、次回燃焼気筒比率γnを演算する。
なお、電子制御ユニット16は、気筒休止パターンを変更する際には、変更前の気筒休止パターンを最後まで行ってから、変更後の気筒休止パターンを最初から開始するようにしている。すなわち、現在燃焼気筒比率γcに対応した気筒休止パターンを最後まで行った後、次回燃焼気筒比率γnに対応した気筒休止パターンを最初から開始するようにしている。
図4に、次回燃焼気筒比率γnを演算するための次回燃焼気筒比率演算処理ルーチンの処理手順を示す。気筒休止パターン決定部21は、エンジン10の運転中、既定の演算周期毎に本ルーチンの処理を実施する。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、現在燃焼気筒比率γc、目標燃焼気筒比率γt、エンジン回転数NE、及び同エンジン回転数NEの変化量ΔNEが読み込まれる。変化量ΔNEは、既定時間におけるエンジン回転数NEの変化量を表している。
続いて、ステップS110において、現在燃焼気筒比率γcが0%であるか否かが、すなわち燃料カットの実施中であるか否かが判定される。ここで、現在燃焼気筒比率γcが0%であれば(S110:YES)、ステップS120に処理が進められる。そして、そのステップS120において、次回燃焼気筒比率γnの値として目標燃焼気筒比率γtの値が設定された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
これに対して、現在燃焼気筒比率γcが0%でない場合には、ステップS130に処理が進められ、そのステップS130において、エンジン回転数NEが既定値α未満であること、同エンジン回転数NEの変化量ΔNEが既定値εを超えていること、の少なくとも一方が満たされているか否かが判定される。そして、同ステップS130において肯定判定(YES)された場合にはステップS140に処理が進められ、否定判定(NO)された場合にはステップS150に処理が進められる。
ステップS140に処理が進められると、そのステップS140において、低回転数用の演算マップM1を用いて次回燃焼気筒比率γnが演算された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。なお、本実施形態では、次回燃焼気筒比率γnの演算に用いるマップとして、上記低回転数用の演算マップM1に加え、中回転数用の演算マップM2と高回転数用の演算マップM3との3つの演算マップが、電子制御ユニット16に予め記憶されている。これらの演算マップM1〜M3の具体的な内容、及びそれらを用いた次回燃焼気筒比率γnの演算の詳細については後述する。
一方、ステップS150に処理が進められると、そのステップS150において、エンジン回転数NEが既定値β(>α)未満であるか否かが判定される。エンジン回転数NEが既定値β未満の場合(S150:YES)、ステップS160に処理が進められ、そのステップS160において、中回転数用の演算マップM2を用いて次回燃焼気筒比率γnが演算された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。これに対して、エンジン回転数NEが既定値β以上の場合(S150:NO)、ステップS170に処理が進められ、そのステップS170において、高回転数用の演算マップM3を用いて次回燃焼気筒比率γnが演算された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
続いて、こうした次回燃焼気筒比率演算処理ルーチンにおいて使用する3つの演算マップM1〜M3、及びそれらを用いた次回燃焼気筒比率γnの演算態様の詳細を説明する。上述のように、低回転数用の演算マップM1は、燃料カットの実施中でなく、エンジン回転数NEが既定値α未満、又はその変化量ΔNEが既定値εを超える場合の次回燃焼気筒比率γnの演算に使用される。これに対して、中回転数用の演算マップM2は、燃料カットの実施中でなく、エンジン回転数NEが既定値α以上、且つ既定値β未満の場合の次回燃焼気筒比率γnの演算に、高回転数用の演算マップM3は、燃料カットの実施中でなく、エンジン回転数NEが既定値β以上の場合の次回燃焼気筒比率γnの演算に、それぞれ使用される。
これらの演算マップM1〜M3は、現在燃焼気筒比率γcに対して、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率の範囲を表すものとなっている。気筒休止パターン決定部21は、上記ステップS140、S160、S170の処理において、該当する演算マップM1〜M3を参照して、現在燃焼気筒比率γcから次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率を取得する。そして、気筒休止パターン決定部21は、設定可能な燃焼気筒比率のうちで、目標燃焼気筒比率γtに最も近い比率を次回燃焼気筒比率γnの値として演算する。
Figure 0006863166
ここで、上記各演算マップM1〜M3の具体的な設定態様について説明する。表2に、50%、67%、75%、80%、83%、86%、88%、100%の間で燃焼気筒比率を変更した場合における、変更前後の燃焼気筒比率の変化率Δγを示している。なお、変更前の燃焼気筒比率を「γ1」とし、変更後の燃焼気筒比率を「γ2」としたとき、変化率Δγは式(1)の関係を満たす値となる。
Figure 0006863166
ここで、間欠休止運転中に使用される50%〜88%の7通りの燃焼気筒比率に対応した各気筒休止パターンを繰り返して間欠休止運転を行ったときのエンジン10の単位時間当たりの発生トルクを、間欠休止運転時の平均トルクとする。1気筒の燃焼で発生するトルクが一定であるとすると、間欠休止運転時の平均トルクは、全気筒燃焼時のエンジン10の単位時間当たりの発生トルクに燃焼気筒比率を乗算した積となる。そのため、1気筒の燃焼で発生するトルクが一定であるとすると、燃焼気筒比率を変更した際の平均トルクの変化率は、変更前後の燃焼気筒比率の変化率Δγと同じ比率となる。
一方、エンジン回転数NEが低いときには、燃焼サイクルが長くなり、燃焼気筒比率を変更したときの平均トルクの変化に応じたエンジン回転数NEの変化も時間をかけて緩やかに生じるようになる。そのため、エンジン回転数NEが低いときには、燃焼気筒比率の変更によるエンジン10の回転変動がドライバビリティの悪化に繋がり難くなる。
以上を踏まえて本実施形態では、上述の演算マップM1〜M3を下記のように設定している。表3〜5は、各演算マップM1〜M3における現在燃焼気筒比率γcと次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率との関係を示している。
Figure 0006863166
Figure 0006863166
Figure 0006863166
低回転数用の演算マップM1では、現在燃焼気筒比率γcから次回燃焼気筒比率γnへと燃焼気筒比率を変更したときの変更前後の燃焼気筒比率の変化率Δγが25%未満となる比率が、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率とされている。これに対して、中回転数用の演算マップM2では、現在燃焼気筒比率γcから次回燃焼気筒比率γnへと燃焼気筒比率を変更したときの変更前後の燃焼気筒比率の変化率Δγが15%未満となる比率が、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率とされている。すなわち、これらの演算マップM1、M2では、上記変化率Δγが既定の制限値MX未満となる比率が、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率とされている。
なお、現在燃焼気筒比率γcの値によっては、上記変化率Δγが上記制限値MX未満となる燃焼気筒比率が、現在燃焼気筒比率γcと同じ比率しか存在しない場合がある(例えばγc=50%の場合)。演算マップM1、M2では、こうした場合にも、燃焼気筒比率を変更可能とするため、いずれの現在燃焼気筒比率γcにおいても、対応する気筒休止パターンの識別番号の値の差が1以内の燃焼気筒比率は、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能とされている。
こうした低回転数用、中回転数用の演算マップM1、M2では、全気筒燃焼運転時又は間欠休止運転時に設定可能な上記8通りの燃焼気筒比率のうち、次の要件(A)、(B)の少なくとも一つを満たす燃焼気筒比率が次回燃焼気筒比率γnとして設定可能とされている。
(A)現在燃焼気筒比率γcに対して燃焼気筒比率の変化率Δγが既定の制限値MX未満となる燃焼気筒比率であること。
(B)現在燃焼気筒比率γcに対して、対応する気筒休止パターンの識別番号の差が1以内の燃焼気筒比率であること。
ここで、気筒休止間隔の変更により燃焼気筒比率を変更する間欠休止運転中に限れば、上記要件(B)を満たす燃焼気筒比率は、現在燃焼気筒比率γcに対して1気筒以内の気筒休止間隔の変更で実現可能な比率となる。一方、上述のように間欠休止運転中の燃焼気筒比率の変更に際して、気筒休止間隔の最小の変更量は1気筒分となっている。よって、上記要件(B)を満たす燃焼気筒比率は、現在燃焼気筒比率γcに対する気筒休止間間隔の差が、同気筒休止間隔の最小変更量以内となる比率となっている。
一方、表5に示すように高回転数用の演算マップM3では、現在燃焼気筒比率γcに対して、対応する気筒休止パターンの識別番号の値の差が1以内の比率だけが次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率とされている。なお、こうした高回転数用の演算マップM3も、制限値MXを0%とした場合の上記要件(A)、(B)の少なくともの一方を満たす燃焼気筒比率が次回燃焼気筒比率γnとして設定可能とされた演算マップということができる。
(エンジン負荷率の調整)
続いて、空気量調整部22が行う要求負荷率KLTの調整について説明する。空気量調整部22は、全気筒燃焼時要求負荷率KLA、燃焼気筒比率γに対して、式(2)の関係を満たすように、要求負荷率KLTの演算を行っている。
Figure 0006863166
ここで、全気筒燃焼時要求負荷率KLAをエンジン負荷率KLとして全気筒燃焼運転を行ったときのエンジン10の単位時間当たりの発生トルクを全気筒燃焼時平均トルクとする。また、エンジン10の出力トルクが0となるエンジン負荷率KLの値を、ゼロトルク負荷率KL0とする。さらに、上述したように、50%〜88%の燃焼気筒比率に対応した各気筒休止パターンを繰り返して間欠休止運転を行ったときのエンジン10の単位時間当たりの発生トルクを、間欠休止運転時の平均トルクとする。このときの式(2)は、次に実行する気筒休止パターンの平均トルクが全気筒燃焼時平均トルクと等しい大きさとなるエンジン負荷率KLを、要求負荷率KLTの値として演算する式となっている。
そして、空気量調整部22は、スロットルバルブ13を通過する吸気の挙動の物理モデルであるスロットルモデルを用いて、エンジン負荷率KLを要求負荷率KLTとするために必要なスロットル開度TAの目標値である目標スロットル開度TATを算出する。
電子制御ユニット16は、スロットル開度TAが同目標スロットル開度TATと同じ値となるようにスロットルバルブ13を制御する。これにより、燃焼気筒比率の変更に伴う平均トルクの変化を抑えるように、エンジン負荷率KLの調整が行われている。
なお、空気量調整部22は、実施中の気筒休止パターンにおける最後の燃焼気筒の吸気行程が終了したときに、要求負荷率KLTの演算に使用する燃焼気筒比率γの値を、現在燃焼気筒比率γcから次回燃焼気筒比率γnに切替えている。そして、この時点から、現在燃焼気筒比率γcに応じた要求負荷率KLTから次回燃焼気筒比率γnに応じた要求負荷率KLTへとエンジン負荷率KLを変更するためのスロットル開度TAの変更を開始するようにしている。
ここで、現在燃焼気筒比率γcから次回燃焼気筒比率γnへの燃焼気筒比率の変更に際して必要なエンジン負荷率KLの調整量(以下、要求調整量ΔKLと記載する)は、燃焼気筒比率の変化率Δγが大きいほど大きくなる。こうした要求調整量ΔKL分のエンジン負荷率KLの調整が、切替え後の気筒休止パターンにおける最初の燃焼気筒の吸気行程が開始するまでに完了すれば、燃焼気筒比率の変更前後の平均トルクが同じとなる。よって、上記エンジン負荷率KLの調整は、切替え前の気筒休止パターンにおける最後の燃焼気筒の吸気行程が終了した時点から、切替え後の気筒休止パターンにおける最初の燃焼気筒の吸気行程が開始する時点までの期間(以下、負荷率調整期間と記載する)に完了することが望ましい。
なお、スロットルバルブ13の動作やスロットルバルブ13から気筒#1〜#4までの吸気の搬送の遅れのため、一定の時間内に行えるエンジン負荷率KLの変更の量には限界がある。これに対して、上記負荷率調整期間は、エンジン回転数NEが低いほど長い時間となる。
したがって、要求負荷率調整量ΔKL分のエンジン負荷率KLの調整を上記負荷率調整期間に完了可能となる燃焼気筒比率の変化率Δγは、エンジン回転数NEが低いほど大きくなる。これを反映して、上記演算マップM1〜M3では、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率の変化率Δγの制限値MXが、高回転用の演算マップM3、中回転用の演算マップM2、低回転用の演算マップM1の順に大きい値となるように設定されている。
(第1実施形態の作用効果)
上記のように構成された本実施形態の燃焼気筒比率の可変制御装置では、目標燃焼気筒比率設定部20により、エンジン10の運転状況(エンジン回転数NE、エンジン負荷率KL)に応じて目標燃焼気筒比率γtが設定される。目標燃焼気筒比率設定部20が間欠休止運転時に設定する目標燃焼気筒比率γtの値は、一定の間隔での気筒休止の繰り返しにより実現可能な燃焼気筒比率となっている。
また、本実施形態では、気筒休止パターン決定部21により、目標燃焼気筒比率γtに応じて、次回燃焼気筒比率γnが決定される。次回燃焼気筒比率γnは、現在実施中の気筒休止パターンの次に実施する気筒休止パターンの燃焼気筒比率を表す。気筒休止パターン決定部21が間欠休止運転中に設定する次回燃焼気筒比率γnの値はいずれも、一定の間隔での気筒休止を繰り返すことで、すなわちN個の気筒を続けて燃焼させた後に1個の気筒の燃焼を休止するパターンで気筒休止を繰り返すことで実現可能な燃焼気筒比率となっている。
電子制御ユニット16は、実施中の気筒休止パターンの完了後に、次回燃焼気筒比率γnに対応する気筒休止パターンを開始するようにエンジン10の運転制御を行う。そのため、エンジン10では、N個の気筒を続けて燃焼させた後に1個の気筒を休止するパターンの気筒休止を連続して行うことで間欠休止運転が行われる。こうした間欠休止運転中の燃焼気筒比率の変更は、気筒休止間隔の変更を通じて行われる。
こうした本実施形態では、次回燃焼気筒比率γnにより、現在燃焼気筒比率γcを実現する間隔で気筒休止を行ってからその次に気筒休止を行うまでの気筒休止の間隔が一義に定まる。以下の説明では、現在燃焼気筒比率γcを実現する気筒の休止間隔を現在休止間隔Ncと記載し、現在休止間隔Ncで気筒休止を行ってからその次に気筒休止を行うまでの気筒休止の間隔を次回休止間隔Nnと記載する。また、目標燃焼気筒比率γtを実現する気筒休止の間隔を、目標休止間隔Ntと記載する。
上述の次回燃焼気筒比率γnの演算マップM1〜M3は、現在燃焼気筒比率γcに対して、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率の範囲を定めるものとなっている。すなわち、演算マップM1〜M3は、現在休止間隔Ncに対して、次回休止間隔Nnとして設定可能な気筒休止間隔の範囲を定めるものとなっている。
ここで、次回休止間隔Nnとして設定可能な気筒休止間隔の範囲が、現在休止間隔Ncに対して目標休止間隔Nt側にX気筒以内の範囲であるとする。このときのXの値が0であると、燃焼気筒比率を変更は一切できないことになる。そのため、Xの値は1以上の整数、すなわち自然数となる。一方、次回燃焼気筒比率γnの決定では、エンジン回転数NE及びその単位時間当たりの変化量により、使用する演算マップM1〜M3が切替えられている。そして、現在燃焼気筒比率γcを引数として演算マップM1〜M3を参照することで、次回休止間隔Nnとして設定可能な気筒休止間隔の範囲が求められている。よって、上記Xは、値として自然数を取り、且つ現在燃焼気筒比率γc(現在休止間隔Nc)やエンジン回転数NEといったエンジン10の運転状況に応じて変化する可変値となる。
そして、気筒休止パターン決定部21は、設定可能な燃焼気筒比率の範囲内に目標燃焼気筒比率γtが存在すれば、目標燃焼気筒比率γtを次回燃焼気筒比率γnとし、同範囲内に目標燃焼気筒比率γtが存在しなければ、その範囲内で目標燃焼気筒比率γtに最も近い比率を次回燃焼気筒比率γnとしている。一方、次回休止間隔Nnとして設定可能な気筒休止間隔の範囲が現在休止間隔NcからX気筒以内の範囲であるとすると、現在休止間隔Ncと目標休止間隔Ntとの差ΔNがX気筒以下であれば、上記設定可能な燃焼気筒比率の範囲内に目標燃焼気筒比率γtが存在することになる。よって、気筒休止パターン決定部21は、現在休止間隔Ncと目標休止間隔Ntとの差ΔNがX気筒以下の場合には、目標休止間隔Ntを次回休止間隔Nnとし、同差ΔNがX気筒を超える場合には、現在休止間隔Ncよりも目標休止間隔NtにX気筒分近い間隔を次回休止間隔Nnとしていることになる。
なお、次回燃焼気筒比率γnの決定に際して気筒休止パターン決定部21は、エンジン回転数NEが既定値α未満の場合、又はエンジン回転数NEの変化量ΔNEが既定値εよりも大きい場合には低回転数用の演算マップM1を使用する。また、エンジン回転数NEの変化量ΔNEが既定値ε以下の場合にあってエンジン回転数NEがα以上の場合には中回転数用、高回転数用の演算マップM2、M3を使用する。そして、低回転数用の演算マップM1では、中回転数用の演算マップM2よりも次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率の範囲が広くなっており、更にその演算マップM2では高回転数用の演算マップM3よりも同範囲が広くなっている。よって、次回休止間隔Nnとして設定可能な気筒休止間隔の範囲を現在休止間隔NcからX気筒以内の範囲としたときのXの値は、エンジン回転数NEが低いときやその変化が大きいときには、エンジン回転数NEが高いときやその変化が小さいときよりも大きい値となっている。
また、低回転数用の演算マップM1、及び中回転数用の演算マップM2は、現在燃焼気筒比率γcが大きくなるほど、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率の範囲が広くなるように設定されている。すなわち、本実施形態では、低回転数域及び中回転数域においては、次回休止間隔Nnとして設定可能な気筒休止間隔の範囲を現在休止間隔NcからX気筒以内の範囲としたときのXの値は、現在休止間隔Ncが大きいときには、同現在休止間隔Ncが小さいときよりも大きい値となる。
ちなみに、上述のように上記各演算マップM1〜M3では、上記要件(A)、(B)の少なくとも一方を満たす比率が、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率とされている。すなわち、要件(A)現在燃焼気筒比率γcに対して燃焼気筒比率の変化率Δγが既定の制限値MX未満となる燃焼気筒比率であること、及び要件(B)現在燃焼気筒比率γcに対して、対応する気筒休止パターンの識別番号の差が1以内の燃焼気筒比率であること、の少なくとも一方を満たす比率である。
上述のように要件(B)を満たす燃焼気筒比率は、間欠休止運転中に限れば、現在燃焼気筒比率γcに対して、最小量(1気筒)分の気筒休止間隔の変更で実現可能な燃焼気筒比率となっている。すなわち、上記要件(B)を満たす燃焼気筒比率は、次回休止間隔Nnとして設定可能な気筒休止間隔の範囲を現在休止間隔NcからX気筒以内の範囲としたときのXの値が、気筒休止間隔の最小の変更量となる比率である。
一方、上記要件(A)を満たす燃焼気筒比率は、現在休止間隔Ncから次回休止間隔Nnに気筒休止の間隔を変更したときの燃焼気筒比率の変化率Δγが制限値MX未満となる燃焼気筒比率である。よって、上記要件(A)、(B)の少なくとも一方を満たす燃焼気筒比率の範囲は、上記Xの値が、現在休止間隔Ncから次回休止間隔Nnに気筒休止の間隔を変更したときの燃焼気筒比率の変化率Δγが制限値MX未満となる値、及び気筒休止の間隔の最小の変更量のうちの大きい方の値となる燃焼気筒比率の範囲となる。
そして、低回転数用の演算マップM1は上記制限値MXを25%として、中回転数用の演算マップM2は上記制限値MXを15%として、高回転数用の演算マップM3は上記制限値MXを0%として、それぞれ構成されている。すなわち、気筒休止パターン決定部21は、エンジン回転数NEが低いときには、同エンジン回転数が高いときよりも上記制限値MXが大きい値となるものとして、次回燃焼気筒比率γnを、すなわち次回休止間隔Nnを決定する。また、気筒休止パターン決定部21は、エンジン回転数NEの変化が大きいときには、同エンジン回転数の変化が小さいときよりも同制限値MXが大きい値となるものとして次回休止間隔Nnを決定する。
ところで、現在燃焼気筒比率γcが100%の場合に、すなわち全気筒燃焼運転の場合に次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率の範囲は、低回転数用の演算マップM1では80%〜100%の範囲となっている。一方、本実施形態では、図3に示すように、間欠休止運転中に目標燃焼気筒比率γtとして設定される比率は80%以下となっている。そのため、全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替えに際して、次回燃焼気筒比率γnの決定に低回転数用の演算マップM1を使用する状況では、燃焼気筒比率を80%とした状態で間欠休止運転が開始される。これに対して中回転数用の演算マップM2では同範囲は86%〜100%の範囲となっており、更に高回転数用の演算マップM3では同範囲は88%〜100%の範囲となっている。よって、中回転数用の演算マップM2を使用する状況では燃焼気筒比率を86%とした状態で、高回転数用の演算マップM3を使用する状況では燃焼気筒比率を88%とした状態で、それぞれ間欠休止運転が開始される。
上述のように、80%、86%、88%の燃焼気筒比率は、それぞれ気筒休止の間隔を4気筒、6気筒、7気筒として気筒休止を繰り返すことで実現される。よって、全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔は、低回転数用の演算マップM1を使用する状況では4気筒、中回転数用の演算マップM2を使用する状況では6気筒、高回転数用の演算マップM3を使用する状況では7気筒となる。
一方、低回転数用の演算マップM1では、現在燃焼気筒比率が83%以上の場合に100%の燃焼気筒比率を次回燃焼気筒比率γnとして設定可能となっている。これに対して、中回転数用、高回転数用の演算マップM2、M3では、現在燃焼気筒比率が88%以上の場合に100%の燃焼気筒比率を次回燃焼気筒比率γnとして設定可能となっている。そのため、低回転数用の演算マップM1を使用する状況では、燃焼気筒比率が83%の状態、すなわち、気筒休止間隔を5気筒として間欠休止運転を行っている状態から直ちに全気筒燃焼運転に切替え可能となる。これに対して、中回転数用、高回転数用の演算マップM2、M3を使用する状況では、燃焼気筒比率が88%の状態、すなわち、気筒休止間隔を7気筒として間欠休止運転を行う状態としてからしか、全気筒燃焼運転に切替えられないことになる。
ここで、全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔を間欠休止運転の開始休止間隔とする。また、間欠休止運転から全気筒燃焼運転への切替え前における最後の気筒休止を行う際の気筒休止間隔を間欠休止運転の終了休止間隔とする。上記のように本実施形態では、エンジン回転数NEが低いときには同エンジン回転数NEが高いときよりも、間欠休止運転の開始休止間隔、及び終了休止間隔が小さくされている。また、エンジン回転数NEの変化量ΔNEが大きいときには、同変化量ΔNEが小さいときよりも、間欠休止運転の開始休止間隔、及び終了休止間隔が小さくされている。
続いて、こうした本実施形態の燃焼気筒比率の可変制御に係る制御動作の具体例を説明する。ここでは、低回転数域、中回転数域、高回転数域のそれぞれにおいて、燃焼気筒比率を100%から50%に変更する場合の、すなわち全気筒燃焼運転中に目標燃焼気筒比率γtが50%に設定された場合の本実施形態の制御動作を説明する。なお、ここでの低回転数域は、次回燃焼気筒比率γnの演算に低回転数用の演算マップM1を使用するエンジン10の運転領域を示している。また、中回転数域は同演算に中回転数用の演算マップM2を使用するエンジン10の運転領域を、高回転数域は同演算に高回転数用の演算マップM3を使用するエンジン10の運転領域を、それぞれ示している。
表3に示すように、低回転数用の演算マップM1において現在燃焼気筒比率γcが100%の場合に次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率は、80%、83%、86%、88%、100%となっている。この中で目標燃焼気筒比率γtの50%に最も近い比率は80%である。また、同演算マップM1において現在燃焼気筒比率γcが80%の場合の次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率は67%、75%、80%、83%、86%、88%となっており、この中で50%に最も近い比率は67%である。更に、同演算マップM1において現在燃焼気筒比率γcが67%の場合の次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率は50%、67%、75%、80%であり、目標燃焼気筒比率γtである50%がその中に含まれる。よって、低回転数域では、100%、80%、67%、50%の順に、3段階の変更を経て、100%から50%への燃焼気筒比率の変更が行われることになる。
同様に、表4に示す中回転数用の演算マップM2に従えば、中回転数域では、100%、86%、75%、67%、50%の順に、4段階の変更を経て、100%から50%への燃焼気筒比率の変更が行われることになる。また、表5に示す高回転数用の演算マップM3に従えば、高回転数域では、100%、88%、86%、83%、80%、75%、67%、50%の順に、7段階の変更を経て、100%から50%への燃焼気筒比率の変更が行われることになる。
図5〜7に、低回転数域、中回転数域、高回転数域のそれぞれにおいて100%から50%に燃焼気筒比率を変更する際の点火信号、気筒休止パターン、エンジン負荷率KL、及び要求負荷率KLTの推移を示す。
これらの図に示す点火信号は実際には、各気筒#1〜#4の点火プラグ15に個別に出力される点火信号の合成波形を示している。各気筒の点火プラグ15の点火信号は、(図示しない)点火コイルの一次コイルの通電開始時期から通電停止時期までオンとされ、点火プラグ15は、一次コイルへの通電停止と共に火花放電を発生して、点火を行うように構成されている。気筒休止を行うときには、該当気筒の点火プラグ15の点火信号のオン出力が1燃焼サイクル分スキップされるため、同信号の合成波形のオン周期が前後よりも長くなる。ここでは、気筒休止の時期や気筒休止間隔を表すために、こうした点火信号の合成波形を示している。
図5に示すように、低回数域では、気筒休止パターンはまず、100%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が8のパターンから80%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が4のパターンに切替えられる。すなわち、このときの全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔nは、4気筒分となる。その後、67%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が2のパターンを経て、目標燃焼気筒比率γtである50%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が1のパターンへと気筒休止パターンが切替えられる。そしてこれに伴い、4気筒、2気筒、1気筒の順に気筒休止間隔が変更される。
図6に示すように、中回転数域では、気筒休止パターンはまず、100%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が8のパターンから86%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が6のパターンに切替えられる。すなわち、このときの全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔nは、6気筒分となる。その後、75%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が3のパターン、67%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が2のパターンを経て、目標燃焼気筒比率γtである50%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が1のパターンへと気筒休止パターンが切替えられる。これにより、6気筒、3気筒、2気筒、1気筒の順に気筒休止間隔が変更される。
図7に示すように、高回転数域では、気筒休止パターンはまず、100%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が8のパターンから88%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が7のパターンに切替えられる。すなわち、このときの全気筒燃焼運転から間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間隔nは、7気筒分となる。その後、識別番号が1ずつ小さいパターンに切替えていくことで、目標燃焼気筒比率γtである50%の燃焼気筒比率に対応する識別番号が1のパターンへと気筒休止パターンが切替えられる。これにより、7気筒、6気筒、5気筒、4気筒、3気筒、2気筒、1気筒の順に気筒休止間隔が変更される。
以上のように、中、高回転数域の場合に比して、低回転数域の場合には、100%から50%に燃焼気筒比率を変更する際の気筒休止パターンの切替え回数が少ない分、同パターンの切替え毎の要求負荷率KLTの変化量が、すなわちエンジン負荷率KLの要求調整量ΔKLが大きくなる。ただし、低回転数域の場合には、中、高回転数域の場合よりも、負荷率調整期間が長い時間となるため、要求調整量ΔKLが大きくても、負荷率調整期間にエンジン負荷率KLの調整を完了することが可能である。
一方、高回転数域の場合には、負荷率調整期間は短い時間となるが、100%から50%に燃焼気筒比率を変更する際の気筒休止パターンの切替え回数が多い分、同パターンの切替え毎の要求調整量ΔKLが小さくなる。そのため、負荷率調整期間が短い時間であっても、同期間にエンジン負荷率KLの調整を完了できるようになる。
また、低回転数域では、燃焼サイクルが長くなるため、気筒休止パターンの切替え回数を多くすると、目標燃焼気筒比率γtへの燃焼気筒比率の変更に非常に長い時間を要してしまう。これに対して、高回転数域では、燃焼サイクルが短くなるため、気筒休止パターンの切替え回数を多くしても、比較的短い時間で目標燃焼気筒比率γtへの燃焼気筒比率の変更を完了することができる。
このように本実施形態では、大幅な目標燃焼気筒比率γtの変更がなされた場合、複数回に分けて気筒休止間隔を段階的に変更していくことで、変更前の目標燃焼気筒比率γtから変更後の目標燃焼気筒比率γtへと燃焼気筒比率を変更している。そして、エンジン回転数NEが低いときや、同エンジン回転数NEの変化が大きいときには、変更後の目標燃焼気筒比率γtに至るまでの気筒休止間隔の変更の回数を少なくするようにしている。そして、これにより、燃焼気筒比率の可変制御を行う際の気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの回転変動を、同可変制御の応答性の悪化を抑えつつ、好適に抑制している。
なお、エンジン10では、車両惰性走行時に全気筒を休止する燃料カットを実施する。こうした燃料カットからの復帰(燃焼再開)は、エンジン回転数NEが既定の復帰回転数以下に低下したときや、アクセルペダルが踏み込まれたとき等に行われる。こうした燃料カットからの復帰に際しては、燃焼再開後の速やかなエンジン出力の回復が求められる。そこで、気筒休止パターン決定部21は、エンジン10の全気筒を休止する燃料カットからの復帰時には、目標燃焼気筒比率γtがどの様な値であっても、同目標燃焼気筒比率γtの値をそのまた次回燃焼気筒比率γnの値に設定している。すなわち、燃料カットの復帰時には、燃料カットにおける最後の気筒休止から同燃料カットからの復帰後における最初の気筒休止までの気筒休止の間隔を目標休止間隔Ntとすることで、燃料カット復帰後の速やかなエンジン出力の回復を可能としている。
(第2実施形態)
次に、燃焼気筒比率の可変制御装置の第2実施形態を説明する。なお本実施形態にあって、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態の可変制御装置は、第1バンク、第2バンクの2つのバンクに分かれて6つの気筒が配列されたV型6気筒のエンジンに適用される。以下の説明では、第1バンクに設けられた3つの気筒をそれぞれ気筒#1、気筒#3、気筒#5と記載し、第2バンクに設けられた3つの気筒をそれぞれ気筒#2、気筒#4、気筒#6と記載する。このとき、エンジン10での気筒#1〜#6の点火順序は、気筒#1、気筒#2、気筒#3、気筒#4、気筒#5、気筒#6の順となっている。
なお、上記のようなV型のエンジンでは、間欠休止運転中に燃焼を休止する気筒が、2つのバンクのうちの一方に集中してしまうと、両バンクの排気性状に偏りが生じ、エミッションコントロールが困難となる虞がある。そこで、本実施形態では、間欠休止運転中の燃焼休止を2気筒ずつ連続して行って、第1バンク、第2バンクでそれぞれ1気筒ずつ燃焼を休止することで、バンク間の排気性状の偏りを抑制している。
本実施形態における燃焼気筒比率の可変制御では、0%、50%、60%、67%、71%、75%、80%、83%、86%、88%、100%の11通りの燃焼気筒比率が使用される。表6には、それら11通りの燃焼気筒比率のそれぞれにおける、気筒の燃焼、休止の順序が示されている。表6の燃焼気筒比率のうち、エンジン10の間欠休止運転中に使用される比率は、50%、60%、67%、71%、75%、80%、83%、86%、及び88%の9通りとなる。これらの燃焼気筒比率では、燃焼行程を迎える気筒の順にN個(Nは任意の自然数)の気筒を続けて燃焼させた後に2個の気筒の燃焼を休止するパターンで気筒休止が繰り返される。
Figure 0006863166
なお、表6に示すように、50%〜75%の範囲には、可変制御において使用する燃焼気筒比率として、気筒休止間隔が1気筒ずつ異なる比率が設定されている。これに対して75%〜88%の範囲では、可変制御において使用する燃焼気筒比率として、気筒休止の間隔が2気筒ずつ異なる比率が設定されている。すなわち、本実施形態では、燃焼気筒比率を変更する際の気筒休止間隔の最小の変更量は、50%〜75%の間では1気筒となっており、75%〜88%の間では2気筒となっている。
本実施形態の場合にも、図2に示した第1実施形態のものと同様に、目標燃焼気筒比率設定部20、気筒休止パターン決定部21、及び空気量調整部22を備えた電子制御ユニット16により、燃焼気筒比率の可変制御が行われる。本実施形態においても、目標燃焼気筒比率設定部20による目標燃焼気筒比率γtの演算、空気量調整部22による燃焼気筒比率に応じたエンジン負荷率KLの調整は、第1実施形態の場合と同様に行われる。また、気筒休止パターン決定部21による次回燃焼気筒比率γnの決定も、その決定に使用する演算マップM1〜M3の内容が異なる以外は、第1実施形態の場合と同様に行われる。
本実施形態の可変制御装置において気筒休止パターン決定部21が次回燃焼気筒比率γnの決定に使用する低回転数用、中回転数用、高回転数用の演算マップM1〜M3における現在燃焼気筒比率γcと次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率との関係は、表7〜表9に示す通りとなっている。
Figure 0006863166
Figure 0006863166
Figure 0006863166
Figure 0006863166
これに対して、表10は、50%、60%、67%、71%、75%、80%、83%、86%、88%、100%の間で燃焼気筒比率を変更した場合における、変更前後の燃焼気筒比率の変化率Δγを示している。これらから明らかなように、本実施形態が採用する演算マップM1〜M3でも、いずれの現在燃焼気筒比率γcにおいても、現在燃焼気筒比率γcに対して気筒休止パターンの識別番号の差が1以内となる燃焼気筒比率が、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な比率とされている。すなわち、現在燃焼気筒比率γcと同じ比率と、現在燃焼気筒比率γcに対する気筒休止間隔の差が同間隔の最小の変更量となる比率とが、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な比率とされている。なお、本実施形態では、気筒休止間隔の最小の変更量は、50%〜75%の燃焼気筒比率の間では1気筒となっており、75%〜88%の燃焼気筒比率の間では2気筒となっている。
これに加え、低回転数用の演算マップM1では、変更前後の燃焼気筒比率の変化率Δγが25%未満となる燃焼気筒比率が、中回転数用の演算マップM2では、変更前後の燃焼気筒比率の変化率Δγが15%未満となる燃焼気筒比率が、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な比率とされている。
こうした本実施形態においても、大幅な目標燃焼気筒比率γtの変更がなされた場合、複数回に分けて気筒休止間隔を段階的に変更していくことで、変更前の目標燃焼気筒比率γtから変更後の目標燃焼気筒比率γtへと燃焼気筒比率を変更している。そして、エンジン回転数NEが低いときや、同エンジン回転数NEの変化が大きいときには、変更後の目標燃焼気筒比率γtに至るまでの気筒休止間隔の変更の回数を少なくするようにしている。そして、これにより、燃焼気筒比率の可変制御を行う際の気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの回転変動を、同可変制御の応答性の悪化を抑えつつ、好適に抑制している。
以上説明した各実施形態は、次のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、空気量調整部22により、燃焼気筒比率の変更に応じてエンジン10の要求負荷率KLTを調整するようにしていたが、こうした調整を行わないようにしてもよい。そうした場合にも、燃焼気筒比率を変更するときの気筒休止間隔の変更量をX気筒以内に限定するとともに、そのXの値をエンジン10の運転状況に応じて値が変化する可変値としていれば、燃焼気筒比率の可変制御を行う際の気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの回転変動を抑制できる。
・上記実施形態では、燃料カットからの復帰時には、最初から燃焼気筒比率を目標燃焼気筒比率γtとして燃焼を再開するようにしていた。すなわち、燃料カットの実施中は、目標燃焼気筒比率γtの値をそのまま次回燃焼気筒比率γnの値として設定し、燃料カットからの復帰により目標燃焼気筒比率γtが0%以外の値に変更されたときには、その変更された目標燃焼気筒比率γtの値が次回燃焼気筒比率γnの値として設定されるようにしていた。こうした例外措置を行わず、燃料カットからの復帰時にも通常通りに演算マップM1〜M3を用いて次回燃焼気筒比率γnを演算するようにしてもよい。こうした場合、燃料カットからの復帰時には、まず燃焼気筒比率を50%とした状態で燃焼が再開され、その後、目標燃焼気筒比率γtに近づくように燃焼気筒比率が段階的に変更される、といった態様で燃焼気筒比率の可変制御が行われることになる。
・上記実施形態では、エンジン回転数NE及びその変化量ΔNEに応じて、3つの演算マップM1〜M3の中から次回燃焼気筒比率γnの演算に用いる演算マップを切替えていた。こうした演算マップの数やその切替えの条件等は適宜に変更してもよい。
・上記実施形態では、エンジン回転数NE及びその変化量ΔNEに応じて、次回燃焼気筒比率γnの演算に用いる演算マップを切替えていたが、こうした演算マップの切替えを、エンジン回転数NE及びその変化量ΔNEのうちのいずれか一方のみに基づき行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、次回燃焼気筒比率γnとして設定可能な燃焼気筒比率の範囲を、予め記憶しておいた演算マップを用いて求めていたが、次回燃焼気筒比率γnの演算の都度、同範囲を計算するようにしてもよい。
・上記実施形態では、現在燃焼気筒比率γc、エンジン回転数NE及びその変化量ΔNEに応じて値が変化する可変値Xについて、次回休止間隔Nnが、現在休止間隔Ncに対してX気筒以内の気筒休止間隔となるように、次回燃焼気筒比率γnを決定していた。すなわち、現在燃焼気筒比率γc、エンジン回転数NE及びその変化量ΔNEの3つのパラメータを、上記可変値Xの値を決定するエンジン10の運転状況を示すパラメータとしていた。車速や車両の加速度など、エンジン10の運転状況を示すそれ以外のパラメータを、可変値Xの値を決定するパラメータに加えるようにしてもよい。いずれにせよ、そうした可変値Xが次のような値となっていれば、燃焼気筒比率の可変制御を行う際の気筒休止間隔の変更に伴うエンジンの回転変動を好適に抑制できるようになる。すなわち、気筒休止間隔を変更したときのエンジン10の回転変動が大きくなり易い状況にあるときには、同回転変動が大きくなり難い状況にあるときよりも可変値Xが小さい値となる、或いはエンジン10の回転変動がドライバビリティの悪化に繋がり易い状況にあるときには、繋がり難い状況にあるときよりも可変値Xが小さい値となる。
・上記各実施形態では、燃料噴射及び点火の停止により、気筒での燃焼を休止するようにしていた。吸/排気バルブの開弁動作を停止するバルブロック機構が気筒毎に設けられたエンジンに適用する場合には、同バルブロック機構による吸/排気バルブの開弁動作の停止を通じて、気筒での燃焼を休止するように上記各実施形態における燃焼気筒比率の可変制御装置を構成することが可能である。
10…エンジン、11…吸気通路、12…エアフローメータ、13…スロットルバルブ、14…インジェクタ、15…点火プラグ、16…電子制御ユニット(燃焼気筒比率の可変制御装置)、17…クランク角センサ、18…スロットルセンサ、19…アクセルペダルセンサ、20…目標燃焼気筒比率設定部、21…気筒休止パターン決定部、22…空気量調整部。

Claims (9)

  1. 気筒休止を間欠的に行う間欠休止運転中にエンジンの燃焼気筒比率の可変制御を行う燃焼気筒比率の可変制御装置において、
    一定気筒を続けて燃焼させた後に気筒休止することの繰り返しにより実現可能な燃焼気筒比率を目標燃焼気筒比率として設定する目標燃焼気筒比率設定部と、
    現在の燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を現在休止間隔とし、同現在休止間隔で気筒休止を行ってからその次に気筒休止を行うまでの気筒休止間の気筒数を次回休止間隔とし、前記目標燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を目標休止間隔としたとき、
    前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒以下の場合には、前記目標休止間隔を前記次回休止間隔とし、前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒を超える場合には、前記現在休止間隔よりも前記目標休止間隔にX気筒分近い間隔を前記次回休止間隔とする気筒休止パターン決定部と、
    を備えており、且つ前記Xの値が、値として自然数を取り、エンジン回転数が低いときには、同エンジン回転数が高いときよりも前記Xが大きい値となる
    燃焼気筒比率の可変制御装置。
  2. 気筒休止を間欠的に行う間欠休止運転中にエンジンの燃焼気筒比率の可変制御を行う燃焼気筒比率の可変制御装置において、
    一定気筒を続けて燃焼させた後に気筒休止することの繰り返しにより実現可能な燃焼気筒比率を目標燃焼気筒比率として設定する目標燃焼気筒比率設定部と、
    現在の燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を現在休止間隔とし、同現在休止間隔で気筒休止を行ってからその次に気筒休止を行うまでの気筒休止間の気筒数を次回休止間隔とし、前記目標燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を目標休止間隔としたとき、
    前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒以下の場合には、前記目標休止間隔を前記次回休止間隔とし、前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒を超える場合には、前記現在休止間隔よりも前記目標休止間隔にX気筒分近い間隔を前記次回休止間隔とする気筒休止パターン決定部と、
    を備えており、且つ前記Xの値が、値として自然数を取り、前記現在休止間隔が大きいときには、同現在休止間隔が小さいときよりも前記Xが大きい値となる
    焼気筒比率の可変制御装置。
  3. 気筒休止を間欠的に行う間欠休止運転中にエンジンの燃焼気筒比率の可変制御を行う燃焼気筒比率の可変制御装置において、
    一定気筒を続けて燃焼させた後に気筒休止することの繰り返しにより実現可能な燃焼気筒比率を目標燃焼気筒比率として設定する目標燃焼気筒比率設定部と、
    現在の燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を現在休止間隔とし、同現在休止間隔で気筒休止を行ってからその次に気筒休止を行うまでの気筒休止間の気筒数を次回休止間隔とし、前記目標燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を目標休止間隔としたとき、
    前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒以下の場合には、前記目標休止間隔を前記次回休止間隔とし、前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒を超える場合には、前記現在休止間隔よりも前記目標休止間隔にX気筒分近い間隔を前記次回休止間隔とする気筒休止パターン決定部と、
    を備えており、且つ前記Xの値が、値として自然数を取り、エンジン回転数の変化が大きいときには、同エンジン回転数の変化が小さいときよりも前記Xが大きい値となる
    焼気筒比率の可変制御装置。
  4. 気筒休止を間欠的に行う間欠休止運転中にエンジンの燃焼気筒比率の可変制御を行う燃焼気筒比率の可変制御装置において、
    一定気筒を続けて燃焼させた後に気筒休止することの繰り返しにより実現可能な燃焼気筒比率を目標燃焼気筒比率として設定する目標燃焼気筒比率設定部と、
    現在の燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を現在休止間隔とし、同現在休止間隔で気筒休止を行ってからその次に気筒休止を行うまでの気筒休止間の気筒数を次回休止間隔とし、前記目標燃焼気筒比率を実現する気筒休止間の気筒数を目標休止間隔としたとき、
    前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒以下の場合には、前記目標休止間隔を前記次回休止間隔とし、前記現在休止間隔と前記目標休止間隔との差がX気筒を超える場合には、前記現在休止間隔よりも前記目標休止間隔にX気筒分近い間隔を前記次回休止間隔とする気筒休止パターン決定部と、
    を備えており、且つ前記Xの値が、値として自然数を取り、前記Xの値が、前記現在休止間隔から前記次回休止間隔に気筒休止間の気筒数を変更したときの燃焼気筒比率の変化率が既定の制限値未満となる値、及び前記気筒休止間の気筒数の最小の変更量のうちの大きい方の値となっている
    焼気筒比率の可変制御装置。
  5. エンジン回転数が低いときには、同エンジン回転数が高いときよりも前記制限値が大きい値となる
    請求項に記載の燃焼気筒比率の可変制御装置。
  6. エンジン回転数の変化が大きいときには、同エンジン回転数の変化が小さいときよりも前記制限値が大きい値となる
    請求項4又は5に記載の燃焼気筒比率の可変制御装置。
  7. 前記気筒休止パターン決定部は、前記エンジンの全気筒を休止する燃料カットからの復帰時には、前記燃料カットにおける最後の気筒休止から同燃料カットからの復帰後における最初の気筒休止までの気筒休止間の気筒数を前記目標休止間隔とする
    請求項1〜のいずれか1項に記載の燃焼気筒比率の可変制御装置。
  8. 前記気筒休止パターン決定部は、すべての気筒で燃焼を行う全気筒燃焼運転から前記間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間の気筒数、及び前記間欠休止運転から前記全気筒燃焼運転への切替え前における最後の気筒休止を行う際の気筒休止間の気筒数を、エンジン回転数が低いときには、同エンジン回転数が高いときよりも小さくする
    請求項1〜のいずれか1項に記載の燃焼気筒比率の可変制御装置。
  9. 前記気筒休止パターン決定部は、すべての気筒で燃焼を行う全気筒燃焼運転から前記間欠休止運転への切替え後における最初の気筒休止を行う際の気筒休止間の気筒数、及び前記間欠休止運転から前記全気筒燃焼運転への切替え前における最後の気筒休止を行う際の気筒休止間の気筒数を、エンジン回転数の変化が大きいときには、同変化が小さいときよりも小さくする
    請求項1〜のいずれか1項に記載の燃焼気筒比率の可変制御装置。
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