JP6863059B2 - W−Ti積層膜 - Google Patents
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Description
この場合、密着層の膜密度が16.55g/cm3以下とさらに低く設定されているので、基材との密着性をさらに向上させることができる。
この場合、表面層の膜厚が上記の範囲とされているので、W−Ti積層膜全体の膜応力を過度に上昇させずに、表面層の硬度を高くすることができるので、基材に対する密着性と硬度とがよりバランスよく向上する。
この場合、表面層の膜厚と密着層の膜厚との比が上記の範囲とされているので、基材に対する密着性と硬度とがさらにバランスよく向上する。
本実施形態のW−Ti積層膜は、基材に対する密着性が高い密着層と、硬度が高く、耐摩耗性や摺動性に優れる表面層とを有する。このため、本実施形態のW−Ti積層膜は、例えば、サーマルプリンタヘッド、金属歯車、軸受、切削工具などの各種部品の保護膜として有利に利用することができる。
図1において、保護膜付基材1は、基材2と、基材2の表面に備えられたW−Ti積層膜3とを含む。
基材2は、例えば、サーマルプリンタヘッド、金属歯車、軸受、切削工具などの各種部品である。基材2は、表面粗さ(Ra)が、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、特に好ましくは200nm以上である。基材2の表面粗さ(Ra)が大きい方が、W−Ti積層膜3との密着性が向上して、W−Ti積層膜3が剥がれにくくなる傾向がある。なお、基材2の表面粗さ(Ra)が大きくなりすぎると、W−Ti積層膜3の表面が粗くなり、耐摩耗性や摺動性が低下するおそれがある。このため、基材2の表面粗さ(Ra)は500nm以下であることが好ましい。
以下に、W−Ti積層膜3の組成、密着層4および表面層5の膜密度と膜厚を、上述のように規定した理由について説明する。
Tiの含有量が少なくなりすぎると、膜密度が低くなりにくくなり、低密度で密着性に優れる密着層4が得られにくくなるおそれがある。一方、Tiの含有量が多くなりすぎると膜密度が高くなりにくく、高密度で硬度が高い表面層5が得られにくくなるおそれがある。このため、本実施形態においては、W−Ti積層膜3におけるTiの含有量を5質量%以上20質量%以下の範囲内に設定している。
なお、Ti含有量は、W−Ti積層膜3全体に対する含有量である。Ti含有量は、密着層4と表面層5とで同じである必要はない。
密着層4は、基材2とW−Ti積層膜3を密着させるための層である。密着層4は、表面層5と比較して相対的に低密度として、残留応力を低くすることによって、基材2との密着性を向上させる。密着層4の膜密度が16.80g/cm3よりも大きいと、基材2に対する十分な密着性が得られずに、基材2からW−Ti積層膜3が剥離しやすくなるおそれがある。
このため、本実施形態においては、密着層4の膜密度を16.80g/cm3以下と設定している。さらに、基材との密着性をより向上させる観点から、密着層4の膜密度は16.55g/cm3以下であることが好ましい。
なお、密着層4の膜密度が低くなりすぎると、強度が低下して、形状を維持できなくなるおそれがある。このため、密着層4の膜密度は、15.80g/cm3以上であることが好ましい。
表面層5は、密着層4の上側の面の上に配置され、外部に直接曝される層であり、W−Ti積層膜3の硬度を高くし、耐摩耗性や摺動性を向上させるための層である。表面層5は、密着層4と比較して相対的に高密度として、膜組織を緻密にすることによって硬度を高くしている。表面層5の膜密度が17.00g/cm3よりも小さいと、表面層5の硬度が低くなり、耐摩耗性や摺動性が低下するおそれがある。
このため、本実施形態においては、表面層5の膜密度を17.00g/cm3以上と設定している。
なお、表面層5の膜密度が高くなりすぎると、かえって脆くなり、割れやひびが発生しやすくなるおそれがある。このため、表面層5の膜密度は、18.00g/cm3以下であることが好ましい。
密着層4は、膜厚が0.1μmよりも薄いと、基材2に対して十分な密着性が得られないおそれがある。
このため、本実施形態においては、密着層4の膜厚を0.1μm以上と設定している。なお、密着層4の膜厚は、生産コストの低減の観点から、5μm以下であることが好ましい。
このため、本実施形態においては、表面層5の厚さを0.3μm以上10μm以下の範囲と設定している。
このため、本実施形態においては、表面層5の膜厚/密着層4の膜厚を、1.0以上6.0以下の範囲と設定している。
以上のような工程により得られたW−Tiスパッタリングターゲットは、例えば、Inをはんだとして、Cu又はSUS(ステンレス)又はその他の金属(例えばMo)からなるバッキングプレートにボンディングして使用される。
次に、表面層5を密着層4の上に形成する。このとき、スパッタ装置のガス圧は、密着層4を形成するときよりも低くする。具体的には、0.2Pa以上1.3Pa以下と設定する。
例えば、本実施形態では、W−Ti積層膜3を、Tiを5質量%以上20質量%以下の範囲内で含有し、残部がWおよび不可避不純物からなる組成を有するものとして説明したが、これに限定されることなく、密着層4と表面層5の膜密度が本発明の範囲にあれば、Tiの含有量は5質量%未満であってもよいし、20質量%を超えていてもよい。
<W−Tiスパッタリングターゲット>
原料粉末として、純度が99.9質量%、平均粒径が15μmとされたTi粉末と、純度が99.9質量%、平均粒径が1μmとされたW粉末を用意した。用意したTi粉末とW粉末を、表1に示す配合組成となるように秤量した。秤量したTi粉末とW粉末とを、転動ボールミル装置を用いて混合して混合粉末を得た。
表1に記載の材質で、表面粗さ(Ra)を有する基板(10mm×10mm)を用意した。
上記のW−Tiスパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにはんだ付けした。バッキングプレート付のW−Tiスパッタリングターゲットと、上記の基材とをマグネトロンスパッタ装置(株式会社アルバック製SIH−450H)に装着した。そして、以下の条件にてスパッタリング法によって、基材の上に、密着層と表面層をこの順で成形してW−Ti積層膜を成膜した。なお、本発明例4では、基材の上に、密着層と中間層と表面層をこの順で成形した。
基材とターゲットの距離:70mm
到達真空度:5×10−4Pa
電力:直流700W
スパッタガス:Arガス
ガス圧:表1に記載
膜厚:表1に記載
得られたW−Ti積層膜の断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。図2に、本発明例2で成膜したW−Ti積層膜のSEM写真を示す。図2のSEM写真からW−Ti積層膜は、密着層と表面層とがそれぞれ柱状の結晶から構成されていることがわかる。なお、本発明例1〜11で成膜したW−Ti積層膜は、SEM観察の結果、全て密着層と表面層とがそれぞれ柱状の結晶から構成されていることが確認された。
得られたW−Ti積層膜を酸で溶解した。得られた溶液中のTiとWの量をICP発光分析により測定して、W−Ti積層膜の組成を分析した。
W−Ti積層膜の各層の膜密度は、X線反射率法(XRR法)により測定した。測定装置は、Rigaku社製smartlabを用いた。
W−Ti積層膜の密着性は、クロスカット試験により評価した。試験は、JIS K 5400に規定された方法に準拠して行った。すなわち、W−Ti積層膜に、カッターガイドとカッターナイフを用いて、幅1mmの等間隔の切れ込みを11本入れ、その後カッターガイドの向きを90°変えて、同様に幅1mmの等間隔の切れ込みを11本入れた。この切れ込みにより1mm×1mmの大きさのマスを10×10=100個形成した。切り込みを入れたW−Ti積層膜表面にセロハン粘着テープを貼り付け、上部からこすって膜にテープを付着させた。セロハン粘着テープを付着させてから1〜2分後にテープの端を持ってW−Ti積層膜面に直角に保ち、瞬間的に引き剥がして、100個のマスの中から剥がれたマスの個数を数えた。
W−Ti積層膜の硬度は、マイクロスクラッチテスターを用いて評価した。W−Ti積層膜表面にダイヤモンド圧子(頂角120°、曲率半径0.05mm)を押付け、荷重を0.1mNから徐々に増加させながら、そのダイヤモンド圧子を一方向に引っ掻き、W−Ti積層膜の剥離が生じたときの荷重値(臨界荷重値)を計測した。
これに対して、密着層の膜密度が本発明の範囲よりも大きい比較例1、3、4、5については、密着性が低下した。特に、密着層の膜密度が表面層の膜密度よりも大きい比較例1、4については、自然剥離が起こり、密着性と硬度の評価試験を実施できなかった。
一方、表面層の膜密度が本発明の範囲よりも小さい比較例2、6については、硬度が低下した。特に、表面層の膜密度が密着層の膜密度よりも大きい比較例2については、硬度が大幅に低下した。
2 基材
3 W−Ti積層膜
4 密着層
5 表面層
Claims (4)
- TiとWとからなる組成を有し、
基材に密着させるための密着層と、前記密着層の前記基材に密着させる面とは反対側の面の上に配置される表面層とを含む2層以上の積層膜であり、
前記密着層は膜密度が16.80g/cm3以下であって、前記表面層は膜密度が17.00g/cm3以上であることを特徴とするW−Ti積層膜。 - 前記密着層の膜密度が16.55g/cm3以下であることを特徴とする請求項1に記載のW−Ti積層膜。
- 前記表面層の膜厚が0.3μm以上10μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のW−Ti積層膜。
- 前記表面層の膜厚と前記密着層の膜厚との比(表面層の膜厚/密着層の膜厚)が1.0以上6.0以下の範囲にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のW−Ti積層膜。
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| JP2017093118A JP6863059B2 (ja) | 2017-05-09 | 2017-05-09 | W−Ti積層膜 |
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| JP2017093118A JP6863059B2 (ja) | 2017-05-09 | 2017-05-09 | W−Ti積層膜 |
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