JP6862176B2 - 乳化組成物 - Google Patents

乳化組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6862176B2
JP6862176B2 JP2016256850A JP2016256850A JP6862176B2 JP 6862176 B2 JP6862176 B2 JP 6862176B2 JP 2016256850 A JP2016256850 A JP 2016256850A JP 2016256850 A JP2016256850 A JP 2016256850A JP 6862176 B2 JP6862176 B2 JP 6862176B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
higher fatty
acid
mass
emulsified composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016256850A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018108951A (ja
Inventor
行雄 中村
行雄 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2016256850A priority Critical patent/JP6862176B2/ja
Publication of JP2018108951A publication Critical patent/JP2018108951A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6862176B2 publication Critical patent/JP6862176B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、皮膚を柔らかくする乳化組成物に関する。
多くの人、特に女性は、何歳になっても「美しい肌でありたい」という願望をもっており、それを叶えるための製品や方法が複数提案されている。特に加齢によって、皮膚の柔らかさが低下するため、これを改善し、皮膚の柔らかさを取り戻したいという要望は根強く存在する。
従来より、マルターゼクロス像を示す構造を有する乳化組成物は、液晶構造(非晶化構造)を有しており、セラミドの結晶が析出せず安定であること(特許文献1)、角質水分蒸散量を抑制すること(特許文献2)等の機能を有することが知られている。
特開2016−108243号公報 特開2010−280587号公報
本発明は、皮膚を柔らかくすることのできる、好ましくはさらに皮膚にふっくら感を付与することのできる乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねていたところ、品温25℃の条件で液晶構造を有するとともに、同温度条件下、偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合に針状様結晶像を示す構造(以下、単に「針状様結晶像を示す構造」ということがある。)を有する乳化組成物を皮膚に塗布することで、思いがけずも、皮膚を柔らかく、ふっくら感を付与することができることを見出した。またその原因をin vivo共焦点ラマン分光装置を用いて確認したところ、当該皮膚は角質細胞の厚みが増していることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有するものである。
(I)乳化組成物
(I−1)品温25℃の条件下、液晶構造を有し、且つ偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合に針状様結晶像を示す構造を有する乳化組成物。
(I−2)前記針状様結晶像を示す構造が非晶性の結晶であることを特徴とする(I−1)記載の乳化組成物。
(I−3)高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、及び高級アルコールを含有する(I−1)または(I−2)に記載する乳化組成物。
(I−4)高級脂肪酸の含有量が5〜25質量%、高級脂肪酸塩の含有量が2〜10質量%、及び高級アルコールの含有量が0.5〜8質量%である、(I−3)に記載する記載の乳化組成物。
(I−5)前記高級脂肪酸及び前記高級脂肪酸塩の高級脂肪酸が、それぞれ同一又は異なって、炭素数14〜18の飽和又は不飽和脂肪酸である(I−3)または(I−4)に記載する乳化組成物。
(I−6)前記高級アルコールが炭素数14〜18の飽和または不飽和の一価のアルコールである(I−3)〜(I−5)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−7)中和率が20〜40%である、好ましくは30%程度である(I−1)〜(I−6)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−8)さらに液体飽和グリコールを含有する(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−9)液体飽和グリコールの含有量が0.5〜60質量%である(I−8)に記載する乳化組成物。
(I−10)液体飽和グリコールがプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種である、(I−8)または(I−9)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−11)O/W型乳化組成物である、(I−1)〜(I−10)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−12)皮膚外用剤である(I−1)〜(I−11)のいずれかに記載する乳化組成物。
(II)乳化組成物の製造方法
(II−1)原料として少なくとも高級脂肪酸、アルカリ、及び高級アルコールを用いて、これらを混合する工程、及び静置する工程を有する、(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する乳化組成物の製造方法。
(II−2)高級脂肪酸の配合量が8〜30質量%、アルカリの配合量が0.2〜5質量%、及び高級アルコールの含有量が0.5〜8質量%である、(II−1)記載の製造方法。
(II−3)高級脂肪酸の配合量100質量部に対するアルカリの配合量が4〜8質量部である(II−1)または(II−2)に記載する製造方法。
(II−4)前記高級脂肪酸及び前記高級脂肪酸塩の高級脂肪酸が、それぞれ同一又は異なって、炭素数14〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸である(II−1)〜(II−3)のいずれかに記載する製造方法。
(II−5)前記高級アルコールが炭素数14〜18の飽和又は不飽和の一価のアルコールである(II−1)〜(II−4)のいずれかに記載する製造方法。
(II−6)中和率20〜40%、好ましくは30%程度の乳化組成物を製造する方法である(II−1)〜(II−5)のいずれかに記載する製造方法。
(II−7)さらに液体飽和グリコールを配合する工程を有する(II−1)〜(II−6)のいずれかに記載する製造方法。
(II−8)液体飽和グリコールの配合量が0.5〜60質量%である(II−7)に記載する製造方法。
(II−9)液体飽和グリコールがプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種である、(II−7)または(II−8)のいずれかに記載する製造方法。
(II−10)乳化組成物がO/W型乳化組成物であって、好ましくは70℃〜90℃で混合する工程を有する、(II−1)〜(II−9)のいずれかに記載する製造方法。
(II−11)上記静置工程が、混合工程で得られた高級脂肪酸、アルカリ、及び高級アルコールの混合物(乳化物)を5〜40℃の条件下で静置する工程である、(II−1)〜(II−11)のいずれかに記載する製造方法。
(II−12)乳化組成物が皮膚外用剤であり、外用形態に調製する工程を有する(II−1)〜(II−11)のいずれかに記載する製造方法。
なお、本発明の製造方法において、上記高級脂肪酸、アルカリ、及び高級アルコール等の原料は、高級脂肪酸と高級アルコールを含む組成物と、溶媒にアルカリを溶解した組成物とを一緒に混合することで乳化される。このため上記において、混合工程は乳化工程と言い換えることもできる。
(III)皮膚柔軟化方法(美容方法)
(III−1)上記(I−1)〜(I−12)のいずれかに記載する乳化組成物を、被験者の皮膚に適用する工程を有する、皮膚を柔らかくする美容方法。
(III−2)上記美容方法が加齢に起因する皮膚症状を改善する方法である、(III−1)に記載する美容方法。
(III−3)上記美容方法が、加齢により皮膚が硬くなり、乾燥感があるといった皮膚症状を改善する美容方法である、(III−1)または(III−2)に記載する美容方法。
本発明の乳化組成物によれば、加齢等により、皮膚が硬い、乾燥感がある等の症状を有する皮膚に適用することで、これらの症状を改善し、皮膚を柔軟にし、ふっくら感を付与することができる。具体的には本発明の乳化組成物は角質細胞に浸透しやすく、浸透することで角質細胞内の成分量(例えば、ケラチンの結合水量)を増し、細胞厚を厚くすることで、皮膚の柔軟性を上げ、皮膚にふっくら感を付与することができる。
実施例1の乳化組成物(品温25℃)を偏光顕微鏡で観察した画像を示す。(A)は調製直後、(B)は調製後25℃で20日間保存して静置した後に偏光顕微鏡観察した結果である。 図1の(B)の画像を、50μm×50μmの視野を重なりなく10視野設けた様子を示す。
(I)乳化組成物
(1)構造
本発明の乳化組成物は、品温25℃の条件下で液晶構造を有し、また同温度条件で偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合に、針状様結晶像を示す構造を有することを特徴とする。なお、乳化組成物が「品温25℃の条件下で液晶構造を有する」ことは、乳化組成物を品温25℃の条件において偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合にマルターゼクロス像を認めることができることで、確認することができる。
偏光顕微鏡による観察に際して、測定する被験試料は、対象とする乳化組成物を、調製後、25℃の暗所条件下に20日間保管(静置)した後(品温25℃)、スライドグラス上に採取し、10×10mmにわたり薄く塗りのばすことで調製される。乳化組成物のスライドグラス上への採取量は1mg容量を挙げることができる。
偏光顕微鏡による観察は、拡大倍率400倍で行い、50μm×50μmの視野を、重なりなく10視野設けて、各視野で観察されるマルターゼクロス像及び針状様結晶像の数をそれぞれカウントし、10視野における各平均値を求めることで実施することができる。なお、マルターゼクロス像は十字状の像であり、針状様結晶像は、長さ方向の大きさが5μm以上の針状の像を意味する。
発明の乳化組成物は、固体と液体の両方の性質を示す状態(液晶)の中に針状様結晶像で示される非晶性成分が混在する構造を有していると考えられる。
本発明の乳化組成物は、上記のように品温25℃の条件下で、偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合に、マルターゼクロス像と針状様結晶像の両方が認められるものであればよいが、10視野の像の数を平均した場合に、マルターゼクロス像が好ましくは1以上、より好ましくは4以上、また針状様結晶像が好ましくは1以上、より好ましくは2以上認められるものであることが好ましい。
(2)組成
本発明の乳化組成物は、上記構造を有するものであれば、その組成は特に制限されないものの、好ましくは高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、及び高級アルコールを含有する。
(A)高級脂肪酸
本発明において、高級脂肪酸は、制限されないものの、炭素数が14〜18の飽和または不飽和脂肪酸であることが好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸(14:0)、ペンタデシル酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、バクセン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、及びエレオステアリン酸(18:3)を挙げることができる。なお、上記化学名の後ろの括弧内の数字は前者が脂肪酸の炭素数、後者が二重結合の数を示す。使用感の良さという観点から、より好ましくは炭素数が16〜18の飽和脂肪酸であり、特に好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸である。
本発明の乳化組成物におけるこれらの高級脂肪酸の含有割合は、制限されないものの、通常5〜25質量%程度である。好ましくは7〜20質量%、より好ましくは7〜11質量%である。
(B)高級脂肪酸塩
高級脂肪酸塩は、後述するように、製造工程において、原料として使用する高級脂肪酸にアルカリが反応することによって生成されるが、これに限らず、別途添加配合されたものであってもよく、その由来は特に制限されるものではない。
高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸は、制限されないものの、炭素数が14〜18の飽和または不飽和脂肪酸であることが好ましい。かかる脂肪酸としては、上記高級脂肪酸と同様に、ミリスチン酸(14:0)、ペンタデシル酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、バクセン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、及びエレオステアリン酸(18:3)を挙げることができる。使用感の良さという観点から、より好ましくは炭素数が16〜18の飽和脂肪酸であり、特に好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸である。
高級脂肪酸塩としては、上記高級脂肪酸のアルカリ金属塩(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム等)、アルカリ土類金属塩(例えば、脂肪酸マグネシウム、脂肪酸カルシウム、脂肪酸バリウム等)、及びアンモニア塩(脂肪酸アンモニウム)の他、上記高級脂肪酸とアミン類、ヒドロキシルアミン類、イミン類、グアニジン類、アミンオキシド類、アルカノールアミン類、アルコキシル化アミン類、および、アルキルアミン類(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノブタノール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、モルフォリン、トロメタミン)、コカミン類、ソイアミン類、オレアミン類、ステアラミン類、クオテルニウム類などの有機アミンとの反応物を例示することができる。好ましくは脂肪酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であり、より好ましくは脂肪酸のアルカリ金属塩である脂肪酸ナトリウム塩、または脂肪酸カリウムである。
本発明の乳化組成物におけるこれらの高級脂肪酸塩の含有割合は、制限されないものの、通常2〜10質量%程度である。好ましくは2〜9質量%、より好ましくは3〜9質量%である。
(C)高級アルコール
本発明において、高級アルコールは、制限されないものの、炭素数が14〜18の飽和または不飽和の一価のアルコールであることが好ましい。かかる高級アルコールとしては、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、セトスアリルアルコール、パルミトレイルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リシノレイルアルコール等の脂肪アルコールまたは合成アルコールを挙げることができる。使用感の良さという観点から、好ましくは炭素数が16〜18の飽和の一価アルコールであり、特に好ましくはセタノール、セトスアリルアルコール、パルミトレイルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールである。
本発明の乳化組成物におけるこれらの高級アルコールの含有割合は、制限されないものの、通常0.5〜8質量%程度である。好ましくは1〜8質量%、より好ましくは1〜3質量%である。
(D)液体飽和グリコール
本発明の乳化組成物は、液体飽和グリコールを含有するものであってもよい。当該液体飽和グリコールは、皮膚に対して保湿剤または柔軟剤として作用する。かかる液体飽和グリコールとして、制限されないが、具体的には、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びポリエチレングリコールであり、より好ましくはプロピレングリコール、ポリエチレングリコールである。本発明における液体飽和グリコールの含有割合として、制限されないものの0.5〜60質量%の範囲を挙げることができる。好ましくは1〜60質量%、より好ましくは5〜60質量%を挙げることができる。
(E)その他の成分
本発明の乳化組成物は、皮膚を柔らかくするという本発明の効果を妨げないことを限度として、上記(A)〜(C)成分、または上記(A)〜(D)成分に加えて、他の成分が含まれていてもよい。かかる成分としては、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、油性成分、抗酸化剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、香料、顔料、水等を例示することができる。
保湿剤としては、制限されないものの、例えばグリセリン;ソルビトール、キシリトール、及びトレハロースなどの糖類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸菌発酵米、ヒアルロン酸及びその誘導体(例えば分子量数千から数百万のヒアルロン酸又はその塩類、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸プロピレングリコール、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムなど)、ムコ多糖類(例えばコンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体など)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、加水分解シルク蛋白質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、フィトステロール、大豆リン脂質、イソステアリン酸コレステリル、海藻抽出物、魚介類由来コラーゲン及びその誘導体、各種アミノ酸及びそれらの誘導体(例えばトリメチルグリシンなど)、ヘチマ抽出物、ビャッキュウ抽出物、豆乳発酵液、納豆エキス、米由来抽出物及びその発酵物などが挙げられる。
増粘剤としては、制限されないものの、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダンなどの褐藻、緑藻或いは紅藻由来成分;ビャッキュウ抽出物、ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体などの多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガムなどのガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体などの合成高分子類;ポリグルタミン酸及びその誘導体;グルコシルトレハロースと加水分解水添澱粉を主体とする糖化合物などが挙げられる。
界面活性剤としては、制限されないものの、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪族アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′,N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤などを挙げることができる。また、乳化剤または乳化助剤として、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、レシチン及びその誘導体、乳酸菌発酵米、乳酸菌発酵発芽米、乳酸菌発酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)、ビャッキュウ抽出物などを配合することもできる。
油性成分としては、制限されないものの、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;などが挙げられる。
抗酸化剤としては、制限されないが、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC(アスコルビン酸)及びその誘導体、ユビデカキノン(ユビキノン)、ルチン、ルチングルコシド、白芥子抽出物、イネ抽出物、ムラサキシキブ抽出物、シラカバ抽出物、ハマメリス抽出物、ウーロン茶抽出物、黒豆加水分解抽出液、シャクヤク抽出物、ビャッキュウ抽出物、ハゴロモグサ抽出液などが挙げられる。
防腐・殺菌剤としては、制限されないが、例えば尿素、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、樹皮乾留物、プロポリスエキス、メチルイソチアゾリノンなどを挙げることができる。
粉体成分としては、制限されないものの、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、6−又は12−ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビなど)のパウダー、豆類(大豆、小豆など)のパウダーなどがある。
さらに必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、他の生理活性成分(線維芽細胞賦活剤、美白剤、皮膚老化防止・肌荒れ改善剤など)を配合してもよい。
線維芽細胞賦活剤としては、制限はされないが、例えばビルベリー葉エキス、ポリアミン、アロエエキス、カッコンエキス、クロレラエキス、プラセンタエキス、サトウカエデ樹液、ローヤルゼリー、酵母エキス、ムコ多糖体液、ヒオウギ抽出液、ダイズエキス、ホエイなどを挙げることができる。
美白剤としては、制限されないが、例えばt−シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、ビタミンC(アスコルビン酸)及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4−メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'−ジプロピル−ビフェニル−2,2’−ジオール)、4−HPB(ロドデノール、4−(4−ヒドロキシフェニル)−4−ブタノール))、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α−ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀類)、ムラサキシキブ抽出物、ハス種子抽出物又はその加水分解物、ハス種子発酵物、党参抽出物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物等を挙げることができる。
皮膚老化防止・肌荒れ改善成分としては、制限されないが、例えばサンゴ草抽出物、イネの葉の抽出物又はその加水分解物、ナス(水ナス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、アマモ等の海産顕花植物の抽出物、クラゲ水、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵エキス、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、黒豆抽出物又はその加水分解物、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、セラミドなどの細胞間脂質、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t−シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、t−シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体(d,l−α−トコフェリルリン酸ナトリウムなど)、アラントイン、α−ヒドロキシ酸類、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、コエンザイムQ−10、α−リポ酸、エルゴチオネイン、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、ニンジン抽出物、アロエ抽出物、ミツイシコンブ抽出物、アナアオサ抽出物、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物、ブナ抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、イチョウ抽出物、スギナ抽出物、ベニバナ抽出物、オタネニンジン抽出物、セイヨウニワトコ抽出物、ハゴロモグサ抽出物、レンゲ抽出物、マンゴー抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴスチン抽出物、タベブイア・インペティギノーサ抽出物、酵母抽出物、卵殻膜抽出蛋白質、デオキシリボ核酸カリウム塩、ハス種子発酵液、花粉荷エキスなどが挙げられる。
本発明の乳化組成物は、後述するように、原料として高級脂肪酸とアルカリを用いて製造され、その結果、高級脂肪酸の一部が中和された状態で含むものである。かかる本発明の乳化組成物の鹸化率としては、制限されないものの20〜40%の範囲を挙げることができる。好ましくは20〜35%であり、より好ましくは25〜35%、特に好ましくは30%程度である。
本発明の乳化組成物は、上記(A)〜(C)成分、また必要に応じて(D)成分、及び/または(E)成分を配合混合して、所望の形状(固形状、半固形状[ゲル状、クリーム状、軟膏状等]、液体[乳液状、ローション状等])に調製することができる。好ましくは乳化物、特にO/W型の乳化物であり、より好ましくはクリーム状の外用組成物として調製することができる。当該外用組成物は、医薬品、医薬部外品、及び化粧品のいずれの範疇に含まれるものであってもよい。好ましくは外用の医薬部外品、及び化粧品であり、より好ましくは化粧品である。
外用の医薬品または医薬部外品としての形態としては、制限されないものの、例えばクリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、ローション剤、乳液剤、液剤、エアゾール剤等を挙げることができる。好ましくはクリーム剤、及び乳液剤である。化粧品としての形態としては、制限されないものの、例えばスキンケア化粧品として、化粧水、美容液、パック、マッサージクリーム、乳液、モイスチャークリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、リップクリーム等を挙げることができる。好ましくはマッサージクリーム、乳液、モイスチャークリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリームである。
(II)乳化組成物の製造方法
前述する少なくとも(A)〜(C)成分を含有する本発明の乳化組成物は、原料として少なくとも高級脂肪酸、アルカリ、及び高級アルコールを用いて、これらを混合する工程、及び静置する工程を経て調製することができる。
ここで使用される高級脂肪酸及び高級アルコールの種類は、上記(I)に記載の通りであり、上記記載を援用することができる。
製造に使用する高級脂肪酸の量としては、調製後の乳化組成物中に含まれる高級脂肪酸の割合が前述するように、通常5〜25質量%程度、好ましくは7〜20質量%、より好ましくは7〜11質量%となり、その場合の中和率が20〜40%、好ましくは20〜35%であり、より好ましくは25〜35%となるような割合であればよく、その限りにおいて特に制限されるものではない。製造原料の総量を100質量%とした場合に、使用する高級脂肪酸の割合として通常8〜30質量%を挙げることができる。好ましくは10〜30質量%であり、より好ましくは10〜15質量%である。
製造に使用する高級アルコールの量としては、制限されないものの、製造原料の総量を100質量%とした場合に、(I)に記載されるように、通常0.5〜8質量%程度を挙げることができる。好ましくは1〜8質量%、より好ましくは1〜3質量%である。
また製造に使用するアルカリは、水溶液とした場合にpH7以上を示す物質であり、上記高級脂肪酸と反応して中和物として、前述する高級脂肪酸塩を生成する物質である。
当該アルカリには、無機アルカリと有機アルカリのいずれもが含まれる。無機アルカリとしては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム)、アルカリ金属のリン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)、アンモニアの無機塩(例えば水酸化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸または重炭酸アンモニウム)等を挙げることができる。有機アルカリとしては、例えばアミン類、ヒドロキシルアミン類、イミン類、グアニジン類、アミンオキシド類、アルカノールアミン類、アルコキシル化アミン類、および、アルキルアミン類(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノブタノール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、イソプロピルアミン、メチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、モルフォリン、トロメタミン)、コカミン類、ソイアミン類、オレアミン類、ステアラミン類、クオテルニウム類などを例示することができる。好ましくは無機のアルカリである。より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物塩、アルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩、またはリン酸塩であり、アルカリ金属の水酸化物塩が特に好ましい。
製造に使用するアルカリの量として、制限されないものの、製造原料の総量を100質量%とした場合に、通常0.5〜5質量%程度を挙げることができる。好ましくは0.5〜2質量%であり、より好ましくは0.6〜2質量%である。
また製造原料として使用する前記高級脂肪酸100質量部に対する上記アルカリの割合として、制限されないものの、中和率が20〜40%、好ましくは20〜35%であり、より好ましくは25〜35%となるような割合を挙げることができ、この限りにおいて制限されないものの、具体的には例えば0.5〜5質量部、好ましくは0.5〜2質量部、より好ましくは0.6〜2質量部を挙げることができる。
さらに本発明の乳化組成物が他成分として液体飽和グリコール及び/又はその他の任意成分を含有する場合、本発明の乳化組成物は上記成分に加えて、液体飽和グリコール及び/又はその他の任意成分を配合することで製造される。液体飽和グリコールの種類は前述した通りであり、その量は製造原料の総量を100質量%とした場合に、通常0.5〜60質量%程度を挙げることができる。好ましくは1〜60質量%であり、より好ましくは5〜60質量%である。
本発明の製造方法は、基本的には前述するように上記成分を原料として用いて、これらを配合し混合する工程を有する。混合は、製造する乳化組成物の形状(固形状、液状、半固形状)、製剤形状(クリーム、軟膏、硬膏、パップ、ローション、乳液、液剤、エアゾール)、投与経路(内服、外用)、並びにその用途(医薬品、医薬部外品及び化粧品)に応じて、その定法に従って実施することができる。本発明の乳化組成物の好ましい態様は乳化物、より好ましくはクリーム状、特にO/W型クリーム形状の乳化組成物であることから、好ましくは、乳化物、より好ましくはクリーム状、特にO/W型クリームの製造方法に従って、混合による乳化工程を経て調製することができる。
混合工程(乳化工程)は、原料を所定の温度になるように加熱した後に、ホモジナイザー、ホモミキサー、攪拌機等の混合機を用いて所定条件で撹拌し乳化する等、定法に従って実施することができる。より具体的には、予め加温して溶解しておいた高級脂肪酸と高級アルコールの混合物と、同様に予め加温して溶媒に溶解しておいたアルカリとを、例えば上記混合機を用いて撹拌混合する方法を挙げることができ、斯くして所望の乳化物を調製することができる。制限されないものの、かかる混合工程は、加温された状態で行われることが好ましい。その温度は特に制限されないものの、好ましくは60〜90℃、好ましくは70〜90℃、より好ましくは75〜85℃を例示することができる。斯くして得られた乳化物は、次いで冷却されることで(好ましくは30〜35℃程度以下)、乳化が安定した乳化組成物を調製することができる。
本発明の乳化組成物は、乳化調製後、静置工程に供せられる。静置工程は、上記で調製される乳化組成物において偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合に針状様結晶像を示す構造を構成するうえで重要な工程である。かかる静置工程は液晶構造及び針状様結晶像を示す構造を有する乳化組成物が調製できる条件であればよいが、通常、5〜40℃の温度条件で静置することによって実施することができる。好ましくは10〜30℃の温度条件下での静置である。静置する期間は、制限されないものの、好ましくは5〜28日間、より好ましくは7〜21日間である。
(III)美容方法
本発明は、加齢等により皮膚の柔軟性が低下した被験者に対して、前述する本発明の乳化組成物を適用し、当該被験者の皮膚の柔軟性を上げ、ふっくら感を付与する美容方法に関する。なお、本発明が対象とする方法は、美容方法であり、ヒトに対する治療方法ではない。
例えば加齢等により皮膚の柔軟性が低下した被験者は、皮膚が硬い、乾燥感がある等の皮膚の劣化症状を有している。
対象とする被験者は、特に制限されないものの、好適には加齢による皮膚劣化症状を有する者である。通常、男女ともに30歳を超えると当該該当の被験者になる可能性がある。好ましくは40歳以上、より好ましくは45歳以上、さらに好ましくは50歳以上である。
本発明の乳化組成物は、その形態によっても異なるが、硬膏、軟膏、クリーム、リニメント、ローション、乳液、液、エアゾール等の形態を有する場合、当該外用の医薬品、医薬部外品及び化粧品を被験者の所望の部位の皮膚に塗布または噴霧することによって使用することができる。また外用の医薬品、医薬部外品及び化粧品がパップ剤の形態を有する場合、当該外用の医薬品、医薬部外品及び化粧品を被験者の所望の部位の皮膚に貼付することによって使用することができる。皮膚への適用は、1日1回または複数回行ってよく、例えば朝と晩(寝る前)に適用する方法を挙げることができる。斯くして加齢等による皮膚の柔軟性が低下した被験者が有する皮膚の劣化症状の発生を抑制し(予防)、また改善することが可能になる。
以下、本発明を実験例及び実施例に基づいて説明する。但し、当該実験例及び実施例は、本発明の一例であり、本発明はこれらの実験例や実施例に制限されるものではない。
実験例1 偏光顕微鏡観察、角質細胞厚の測定
表2に示す組成からなる皮膚外用乳化組成物(クリーム剤)(実施例1〜4)、及び表3に示す組成からなる皮膚外用乳化組成物(クリーム剤)(比較例1)を調製し、偏光顕微鏡観察をした。また各乳化組成物をそれぞれヒトの皮膚に適用して角質細胞厚を測定した。
(1)被験試料(皮膚外用乳化組成物)の調製
表2に記載する組成物(実施例1〜4)を下記のようにして調製した。
1.表1に記載するA相の各成分を、表記載の割合で混合して80℃に加熱する。
2.次いでB相の各成分を表1記載の割合で混合して80℃に加熱する。
3.次いでA相成分の混合物にB相成分の混合物を加えて80℃条件下で攪拌する。
4.次いでこれを30℃まで冷却(自然放冷)しながら攪拌して、表2に記載の組成からなる乳化物(クリーム状)(被験試料)を調製する。
5.調製した各乳化組成物を、25℃の暗所条件下で20日間静置して保存する。
なお、表1及び2の配合量はいずれも質量%を意味する。
一方、比較例1は表3に記載する各成分を当該配合量(質量%)で混合し、クリーム状(W/Oクリーム)の被験試料(皮膚外用乳化組成物)を調製した。具体的には下記の方法に従って調製した。なお、表3中「PCA−Na」は「dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液」である。
また、下記の方法の3〜6の工程は75℃条件下で行った。
1.表3に記載するAに属する各成分を秤り取り、75℃で撹拌しながら混合する(組成A)。
2.同様に表3に記載するB、C及びDにそれぞれ属する成分を秤り取り、75℃で撹拌しながら混合する(組成B〜D)。
3.組成Aが均一になれば、これに組成Bを少しずつ加えて乳化する(組成AB)。
4.斯くして調製した組成ABに、組成Cを撹拌しながら添加し、組成ABCを調製する。
5.斯くして調製した組成ABCを撹拌しながら、組成Dを加えて、組成ABCDを調製する。
6.これをホモミキサーにかけて均一化する。
7.これを撹拌しながら、35℃まで冷却する。
8.調製した乳化組成物を25℃の暗所条件下で20日間静置して保存する。
実施例1〜4及び比較例1の調製は、記載している事項を除いて、すべて室温環境下で行った。
Figure 0006862176
(2)実験方法
(2−1)偏光顕微鏡観察
上記で調製した乳化組成物(実施例1〜4,比較例1)をそれぞれスライドグラスに1mgとり、これを偏光顕微鏡(×400倍)によってクロスニコル下で観察した。50μm×50μmの視野を重なりなく10視野設けて、各視野に認められるマルターゼクロス像と針状様結晶像をそれぞれカウントして平均をとった。
下記に示す基準に従って評価した。10視野で観察されるマルターゼクロス像または針状様結晶像のそれぞれについて、平均が1以上であるものを○、1未満であるものを×と評価した。
(2−2)角質細胞厚の測定
下記の手順に従って、ヒトの前腕内側(被験部位)に被験試料(実施例1〜4、比較例1)を塗布し、塗布前後で、皮膚被験部位の角質細胞厚を測定し、上記被験試料の角質細胞厚に対する作用効果を評価した。
(A)塗布方法
(i)ヒト(n=3)の前腕内側(被験部位)を、試験室環境(室温22℃、相対湿度64%)に20分間晒して、室内環境に馴化させる。
(ii)この前腕内側の2cm×2cm画に、被験試料を10mgの割合で塗布する。塗布は肌に馴染むように軽く指で3〜4回すり込むことで行う。室内環境下(室温)で30分間自然放置する。
(iii)被験部位を軽くティッシュで押さえて(ティッシュオフ)、皮膚表面に被験試料の残りがないようにし、測定に供する。
(B)測定方法
被験部位における角質細胞厚の測定は、被験試料の塗布前後で、室温22℃、相対湿度64%の条件で、in vivo共焦点ラマン分光装置(Model 3510、RiverD International B.V.)(測定波長671nm、出力15.1mW)を用いて実施した。具体的には、測定ステージに被験部位を乗せ、被験部位に対してin vivo共焦点ラマン分光装置からレーザー光を照射し水分量の角層深さ(μm)分布を測定し、角質細胞厚を算出した。角質細胞厚(μm)は、in vivo共焦点ラマン分光装置で測定した皮膚深さ(2〜30μm)(横軸)に対する水分量値(mass%)(縦軸)を、皮膚深さ2μmごとにプロットして、文献「鈴木博『ハンドクリーム塗布後の肌の内側(角層)の変化をin vivo共焦点ラマン分光装置で解析する』、COSMETICS STAGE Vol.9, No.6, 2015」の図3や図4で示すように変曲点を求め、当該変曲点における皮膚深さ(μm)として求めることができる。
(C)判定方法
各被験試料の塗布前の測定値(角質細胞厚)と塗布後の測定値(角質細胞厚)とを統計処理して有意水準5%で有意差の有無を判断した(ステューデントのt検定(Student-t test)。塗布後の測定値が測定前の測定値に対して有意差がある場合を○、有意差がない場合を×とした。
(3)実験結果
(3−1)偏光顕微鏡観察
結果を表2及び3に合わせて示す。
比較例1の乳化組成物ではマルターゼクロス像と針状様結晶像のいずれも観察されなかったが、実施例1〜4の乳化組成物はいずれもマルターゼクロス像と針状様結晶像の両方が観察された。つまり、実施例1〜4は液晶構造と針状様結晶像を示す構造を有するが、比較例1はどちらの構造も有しない。
図1に実施例1の乳化組成物(静置後)を偏光顕微鏡で観察した画像を示す。(A)は調製直後(静置前)、(B)は調製後25℃で20日間静置保存した後に偏光顕微鏡観察した結果である。これからわかるように、調製直後(静置保存前)の乳化組成物には、マルターゼクロス像は観察されるものの、針状様結晶像は観察されない。これに対して、静置保存後の乳化組成物にはマルターゼクロス像及び針状様結晶像の両者が観察された。これは実施例2〜4の乳化組成物についても同様であった、つまり、調製直後の実施例1〜4は液晶構造は有するが、針状様結晶像を示す構造は有しない。図2は、一例として(B)の画像を50μm×50μmの視野を重なりなく10視野設けた場合を示す。一例であるが、図中、○で囲った部分にマルターゼクロス像が、□で囲った部分に針状様結晶像が認められる。
(3−2)角質細胞厚の測定
結果を表2及び3に合わせて示す。
Figure 0006862176
Figure 0006862176
表2及び3に示すように、角質細胞厚を高める効果が期待された比較例1のW/Oタイプのクリームはその塗布前後で角質細胞厚に変化は認められなかったのに対し、本発明の皮膚外用組成物(実施例1〜4)は、その塗布により角質細胞厚が有意に厚くなることが認められた。本実験において角質層の層数の変化はなく、角質層に含まれる水分量を指標としていることから、これらの結果は、本発明の皮膚外用乳化組成物を皮膚に塗布することで角質細胞厚が厚くなること、つまり角質層(角質細胞)に保有される水分量が増加し、角質細胞個々の厚みが増加することが判明した。
実験例2 肌の柔軟性に対する効果の評価
実験例1で調製した実施例1及び比較例1の皮膚外用乳化組成物0.5gを、それぞれ化粧品評価専門パネラー(n=10)の顔に塗り、塗布から30分後における皮膚の柔らかさ、及びふっくら感を下記指標により、5段階評価した。
[指標]
5:良好
4:やや良い
3:どちらでもない
2:やや悪い
1:悪い。
各パネラーの評価点を合計し、その合計値から下記のように判断した。
○:90点以上
△:80点以上90点未満
×:80点未満。
その結果、実施例1は○であり、比較例1は×であった。つまり、本発明の皮膚外用乳化組成物は、皮膚に塗布することで皮膚を柔らかく、ふっくらさせる作用があることが判明した。
処方例
表5に記載する組成からなる皮膚外用乳化組成物(クリーム剤)を調製した。具体的には、まず表4に記載するA相の成分を表4記載の割合でとり80℃に加熱する。次いでB相の成分を表4記載の割合でとり80℃に加熱する。次いでA相成分の混合物にB相成分の混合物を加えて80℃で攪拌する。次いでこれを30℃まで冷却(自然放冷)しながら攪拌して表5に記載の組成からなる乳化物(クリーム剤)を調製した。次いで、静置工程として、処方例1は10℃で30日間の静置、処方例8は30℃で5日間の静置、その他の処方例は20℃で25日間の静置を行った。
Figure 0006862176
Figure 0006862176

Claims (8)

  1. 品温25℃の条件下、液晶構造を有し、且つ偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合に針状様結晶像を示す構造を有する乳化組成物を製造する方法であって、
    原料として少なくとも高級脂肪酸、アルカリ、高級アルコール、及び水を用いて、これらを混合する工程、及び10〜30℃の温度条件下で静置する工程を有する、前記製造方法。
  2. 高級脂肪酸の配合量が8〜30質量%、アルカリの配合量が0.2〜5質量%、及び高級アルコールの含有量が0.5〜8質量%である、請求項1に記載する製造方法。
  3. 前記高級脂肪酸及び前記高級脂肪酸塩の高級脂肪酸が、それぞれ同一又は異なって、炭素数14〜18の飽和又は不飽和脂肪酸である請求項1または2に記載する製造方法。
  4. 前記高級アルコールが炭素数14〜18の飽和または不飽和の一価のアルコールである請求項1〜3のいずれかに記載する製造方法。
  5. 中和率が20〜40%の乳化組成物を製造する方法である、請求項1〜4のいずれかに記載する製造方法。
  6. 前記混合工程において、さらに液体飽和グリコールを配合する工程を有する、請求項1〜5のいずれかに記載する製造方法。
  7. 乳化組成物が皮膚外用剤であって、前記静置工程後に、外用形態に調製する工程を有する、請求項1〜6のいずれかに記載する製造方法。
  8. 高級脂肪酸を5.6〜21質量%、高級脂肪酸塩を2.4〜9質量%、高級アルコールを0.5〜8質量%、及び水を含有し、
    品温25℃の条件下、液晶構造を有し、且つ偏光顕微鏡によってクロスニコル下で観察した場合に針状様結晶像を示す構造を有する乳化組成物であって、
    前記高級脂肪酸がステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、及びパルミチン酸よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記高級脂肪酸が前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩であり、
    前記高級アルコールがステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びオレイルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種である、
    前記乳化組成物。
JP2016256850A 2016-12-28 2016-12-28 乳化組成物 Active JP6862176B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016256850A JP6862176B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 乳化組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016256850A JP6862176B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 乳化組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018108951A JP2018108951A (ja) 2018-07-12
JP6862176B2 true JP6862176B2 (ja) 2021-04-21

Family

ID=62844025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016256850A Active JP6862176B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 乳化組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6862176B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101096868B1 (ko) * 2004-10-26 2011-12-22 가부시키가이샤 시세이도 피부 외용제
JP2009161449A (ja) * 2007-12-28 2009-07-23 Lion Corp Ppar活性促進剤並びに美容用飲食品、皮膚外用剤及び医薬
JP2009221110A (ja) * 2008-03-13 2009-10-01 Shiseido Co Ltd 基底膜安定化剤
WO2015182259A1 (ja) * 2014-05-30 2015-12-03 花王株式会社 皮膚化粧料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018108951A (ja) 2018-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101217382B1 (ko) α,α-트레할로오스의 당질 유도체를 함유하는 것을 특징으로 하는 피부 외용제
JPWO2004016236A1 (ja) 化粧料
JP2012041302A (ja) 皮膚化粧料
JPWO2006115191A1 (ja) 皮膚化粧料及びシワ改善剤
KR20160100931A (ko) 지질펩티드형 화합물을 함유하는 스틱상 기재
JP2022511023A (ja) シスツス・モンスペリエンシス(Cistus monspeliensis)の抽出物の新規な化粧品的及び皮膚科学的使用
TW200836766A (en) Anti-wrinkle agent and ADAM inhibitor
JP4674286B2 (ja) 乳化剤及び化粧料
WO2015147137A1 (ja) セラミド配合外用剤組成物
JP2020128382A (ja) ビタミンd様作用剤
JP2017193506A (ja) 皮膚化粧料
JP2004131401A (ja) 皮膚化粧料
JP2021088523A (ja) 皮膚化粧料
JP6862176B2 (ja) 乳化組成物
FR3034667A1 (fr) Composition cosmetique et/ou dermatologique contre l'acne
KR101261388B1 (ko) 소듐폴리감마글루타메이트의 효능향상을 위한 조성물 및 이의 캡슐화 방법 및 이를 포함하는 화장료 조성물
JP2009256269A (ja) プロフィラグリン及び/又はフィラグリン産生促進剤
JP7305161B2 (ja) 皮膚化粧料
JP2013129638A (ja) 化粧料
JP2004097999A (ja) 乳化剤及び化粧料
JP6957228B2 (ja) 美容方法
JP7433743B2 (ja) 真珠様光沢を有する乳化組成物
JP2024040521A (ja) 外用組成物
JP2018108953A (ja) 角質細胞肥厚化剤
JP2020015699A (ja) 皮膚化粧料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201027

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210331

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6862176

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250