先ず始めに、本発明のマイクロ波加熱装置における各種態様について説明する。
本発明に係る第1の態様のマイクロ波加熱装置は、
被加熱物が載置される平坦な底面を有する加熱室、
前記加熱室の底面の下側に形成された給電室、
前記給電室の内部に設けられ、同一水平面内を回転するアンテナ面を有する平板状アンテナ、
前記平板状アンテナの回転中心に設けられたアンテナ軸を介してマイクロ波伝送可能に結合された導波管、および
前記導波管に伝送されるマイクロ波を形成するマイクロ波形成部、を備え、
前記平板状アンテナのアンテナ面が、2つの細長い開口が交差した開口形状を含む少なくとも1つのマイクロ波放射口を有し、
前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を構成する前記2つの細長い開口の長手方向の中心線のそれぞれが、前記平板状アンテナの回転中心と前記2つの細長い開口が交差した形状における交差点とを結ぶ水平方向に延びる位置規定線に対して角度を有して、前記少なくとも1つのマイクロ波放射口から前記アンテナ面の直上方向に円偏波を放射するよう構成されている。
上記のように構成された第1の態様のマイクロ波加熱装置は、加熱室の被加熱物に対して均一加熱を行うことができると共に、シンプルな構成にもかかわらず高機能を保持しつつ小型化および低価格化を達成した、信頼性の高いマイクロ波加熱装置を提供することができる。
本発明に係る第2の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第1の態様における前記アンテナ面が、前記回転中心から放射上に延びる線により複数の領域に分割され、分割された領域において隣接する領域を平面視の形状が異なる同一平面により構成してもよい。
本発明に係る第3の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第2の態様における前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を、前記分割された領域における少なくとも1つの領域に設けてもよい。
本発明に係る第4の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第2または第3の態様における前記分割された領域において、前記回転中心を間にして対向する領域のそれぞれに前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を設けてもよい。
本発明に係る第5の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第1の態様における前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を構成する前記2つの細長い開口の長手方向の中心線が直交する構成としてもよい。
本発明に係る第6の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第1の態様における前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を構成する前記2つの細長い開口の長手方向の中心線の交差角度において、前記回転中心に対向している領域の角度が90度より狭い角度でもよい。
本発明に係る第7の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第2または第3の態様における前記アンテナ面が、前記回転中心から放射上に延びる線により、2つの第1円弧領域と、前記第1円弧領域のそれぞれより半径が小さな第2円弧領域と、矩形領域との4つの領域に分割された構成を有し、前記第1円弧領域の両側に前記第2円弧領域と前記矩形領域が配設され、2つの前記第1円弧領域のそれぞれに前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を設けてもよい。
本発明に係る第8の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第7の態様における2つの細長い開口の長手方向の長さが同じであるマイクロ波放射口を前記矩形領域に設けてもよい。
本発明に係る第9の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第1から第7の態様において、前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を構成する前記2つの細長い開口の長手方向の長さが異なる構成でもよい。
本発明に係る第10の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第2また第3の態様において、前記アンテナ面が、回転中心から放射上に延びる線により、円弧領域と矩形領域に分割され、前記円弧領域に前記少なくとも1つのマイクロ波放射口が設けられ、
前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を構成する前記2つの細長い開口の長手方向の長さが異なる構成でもよい。
本発明に係る第11の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第1の態様における前記アンテナ面が、平面視の形状が実質的に円形であり、前記少なくとも1つのマイクロ波放射口が、前記回転中心から偏心した位置に交差点が配置され、前記少なくとも1つのマイクロ波放射口を構成する前記2つの細長い開口の長手方向の長さが異なる構成でもよい。
本発明に係る第12の態様のマイクロ波加熱装置においては、前記の第1から第11の態様における前記2つの細長い開口が交差した形状を含む前記マイクロ波放射口において、前記アンテナ軸に対向する開口の縁部が鋭角な部分を有していない構成でもよい。
以下、本発明に係るマイクロ波加熱装置の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態のマイクロ波加熱装置においては電子レンジについて説明するが、電子レンジは例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置は電子レンジに限定されるものではなく、誘電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置などのマイクロ波加熱装置を含むものである。また、本発明は、以下の実施の形態の誘電加熱機能のみを有する構成に限定されるものではなく、例えば、ヒータの輻射加熱によるヒータ加熱機能、熱風の循環によるコンベクション加熱機能、および蒸気によるスチーム加熱機能などのそれぞれの加熱機能が単独で、若しくは組み合わせて誘電加熱機能に付加された構成などを含むものである。
《実施の形態1》
図1は、本発明の実施の形態1に係るマイクロ波加熱装置である電子レンジの外観を示す斜視図である。図1に示すように、実施の形態1の電子レンジは、当該電子レンジの正面である前面に開口(加熱室開口2a)を有する加熱室2を備える本体1と、加熱室2を開閉する扉3とを有する構成である。実施の形態1における電子レンジの本体1には、その右側に加熱調理の調理設定および調理開始等の各種操作を行うための操作部4が配置されている。
実施の形態1の電子レンジにおいては、加熱対象である被加熱物が収容され載置された加熱室2の内部にマイクロ波を放射するための平板で構成された平板状アンテナ7(図2参照)が加熱室2の平坦な底面Tの下側に設けられている。加熱室2の内部に載置された被加熱物は、平板状アンテナ7から放射されたマイクロ波により誘電加熱される構成である。なお、加熱室2の壁面には加熱室2の内部を照らす庫内灯、被加熱物の表面温度および庫内温度(加熱室内温度)を検出するための各種温度検出センサが設けられている。また、実施の形態1の電子レンジにおいては、被加熱物が加熱室2の内部の何れの領域に載置されているかを検出する位置検出センサ、例えば赤外線センサが設けられている。
図1に示すように、実施の形態1の電子レンジは、扉3において、加熱室開口2aに対して下側の位置に回動軸(ヒンジ)が設けられており、使用者が扉3の上側にある把手3aを握持し、手前側に引いて加熱室開口2aを開成する構造を有している。加熱室2の内部は、扉3の閉成状態により実質的に密閉状態となり、加熱室2の内部に配置された被加熱物が実質的な密閉状態で加熱調理される。
図2は、実施の形態1の電子レンジの本体1を正面から見た断面図である。なお、以下の説明において、実施の形態1の電子レンジの左右方向とは図2に示す加熱室2における左右方向を意味しており、前後方向とは図2の紙面に垂直な方向であり、加熱室2の前面側(手前側)と背面側(奥側)を結ぶ方向を意味する。
図2に示すように、実施の形態1の電子レンジは、被加熱物が載置される加熱室2の底面Tが平坦面に形成されている。加熱室2の底面Tの下側には、マイクロ波を形成し放射する平板状アンテナ7を含むマイクロ波放射ユニット10が設けられている。実施の形態1の電子レンジにおいては、加熱室2の右側である操作部4の裏側の空間には電源回路、制御回路、操作回路などの回路部品、およびマイクロ波を形成するマグネトロン5、冷却ファンなどの構成部品が配設されている。
加熱室2の底面Tの下側に設けられたマイクロ波放射ユニット10は、マイクロ波形成部であるマグネトロン5からのマイクロ波を伝送する導波管6と、マイクロ波を加熱室2に放射する平板状アンテナ7と、平板状アンテナ7を回転させるアンテナモータ8と、を含む。平板状アンテナ7には、導波管6に回転可能であり、マイクロ波伝送可能に結合された金属製のアンテナ軸9が設けられており、アンテナ軸9とアンテナモータ8の駆動軸とは樹脂製の回転シャフト11により接合されている。
図2に示すように、左右に延びる導波管6上面壁において、その右側端から略1/2波長の位置にマグネトロン5の出力端5aが突設されている。出力端5aから出力されたマイクロ波は、直線状に左右に延びる導波管6内を伝送する。実施の形態1における導波管6は、加熱室2の底面Tの下側領域(導波管6の左側領域)における高さH2が、出力端5a側の領域(導波管6の右側領域)の高さH1より低く形成されている(H2<H1)。実施の形態1の構成においては、導波管6の左側領域の高さH2が導波管6の右側領域の高さH1の約1/2の高さとなっている。
導波管6の左側領域は、その高さH2が低く形成されているため、導波管6を貫通した回転シャフト11に接合されたアンテナモータ8の配設空間が確保されている。従って、導波管6は、導波管6の左側領域と右側領域とを繋ぐ略中間領域の下面壁が斜面6aに形成されている。なお、導波管6には、アンテナ側とのインピーダンス整合を図り、且つ導波管6内に形成される定在波の腹と節の位置を規定するために、導波管内部への凹みとなる整合部6bが導波管6の左側領域に形成されている。また、導波管6の右側領域における、マグネトロン5の出力端5aの突出部分に対向する下面壁には、下方へ膨らんだ膨らみ6cが形成されており、出力端5aから下面壁までの間に所望の距離が確保されている。
図2において左右に延びる導波管6の上面壁における左側端から略1/2波長の位置には、平板状アンテナ7のアンテナ軸9が設けられている。アンテナ軸9は、前述のように、導波管6の上面壁に対して回転可能にマイクロ波伝送可能に結合されており、導波管6を伝送したマイクロ波が、アンテナ軸9に接合された金属平板の平板状アンテナ7に給電される。アンテナ軸9の下端には樹脂製の回転シャフト11が接合されており、回転シャフト11はアンテナ軸9と一体化されて導波管6を上下に貫通して、導波管6の下側に設けられたアンテナモータ8に接合されている。
図3は、加熱室2の底面Tの下側に設けられたマイクロ波放射ユニット10の平板状アンテナ7などを示す平面図である。図3の平面図においては、加熱室2の底面Tとなる耐熱ガラスを取り除いた状態を示している。また、図3に示す加熱室2の右側に隣接する空間(操作部4の裏側の領域)においては、導波管6の右側領域とマグネトロン5を示し、その他の部品は省略している。図3においては、斜線で示す領域が加熱室2の平坦な底面Tとなる耐熱ガラスが設けられている領域であり、実施の形態1においては加熱室2の底面形状が略正方形である。
図3に示すように、加熱室2の底面Tの下側には凹み空間である給電室13が設けられており、給電室13の略中央位置に平板状アンテナ7が配設されている。給電室13は、その上面を除き、金属材料で構成されており、平板状アンテナ7からのマイクロ波を反射するよう構成されている。平板状アンテナ7は、平板な金属板、例えば厚みが0.5mmのアルミめっき鋼板で形成され、後述するように特定の形状を有する複数の開口(マイクロ波放射口17,18,19)を有している。また、実施の形態1における平板状アンテナ7は、平面視の外形形状においても特定の形状を有している。
実施の形態1における平板状アンテナ7の平面視(アンテナ面)の形状は、図3に示すように、半径が異なる扇形の円弧領域(14,15)と、略矩形形状の矩形領域(16)とにより同一平面を形成するように構成されている。平板状アンテナ7の外形形状の詳細については、後述する。平板状アンテナ7は、アンテナ軸9の中心を回転中心として同一平面上を回転する構成であり、平板状アンテナ7(アンテナ面)の外周から水平方向の全方位に、そして複数の開口から垂直方向にマイクロ波が放射される構成である。
平板状アンテナ7が設けられている給電室13は、前後方向の幅が狭い細長い空間形状を有しており、加熱室2の中心位置と給電室13の中心位置が一致している(図3参照)。給電室13の中心位置は、平板状アンテナ7の回転中心である。また、給電室13の前後左右の四方の側面壁は、上方側を向くように傾斜しており、平板状アンテナ7から水平方向に放射されたマイクロ波を加熱室3側(上側)に反射する機能を有する。なお、給電室13における前後の側面壁の傾斜角度は、給電室3における左右の側面壁の傾斜角度に比べてゆるくなっており、反射されたマイクロ波がより上方側を向くように形成されている。これは、前後方向の幅が狭い給電室13において、給電室13の前後の側面壁により反射したマイクロ波が加熱室2の前後の領域に幅広く拡げるためである。
図4は、マイクロ波形成部であるマグネトロン5がマイクロ波放射ユニット10に設けられた構成を示す側面図であり、給電室13、導波管6、平板状アンテナ7などは断面で示している。図5は、導波管6と平板状アンテナ7との結合部分を拡大して示す断面図である。
図4および図5に示すように、平板状アンテナ7のアンテナ軸9の一部(下端部分)が導波管6内に配置されており、その下端部分に接合された回転シャフト11が導波管6の下面壁を貫通してアンテナモータ8に接合されている。また、導波管6の上面壁には上方に膨らんだ形状のアンテナ保持部6dが形成されている。アンテナ保持部6dには、アンテナ軸9が貫通する孔が形成されており、その孔の外周には耐摩耗性樹脂で形成されたアンテナ受け12が装着されている。アンテナ受け12は、アンテナ軸9により貫通される貫通孔12aを有している。また、アンテナ受け12には、上方に突設された複数の保持部12bが形成されており、少なくとも3カ所の保持部12bの上端面が平板状アンテナ7を摺動するように支持して、平板状アンテナ7の上面であるフラット面(アンテナ面)Aが所望の位置(水平面)に確実に保持される。平板状アンテナ7は、上面のフラット面Aがアンテナ面として機能する平板形状を有している。従って、平板状アンテナ7のフラット面Aは、アンテナモータ8の駆動により、水平面と実質的に平行な同一水平面内を回転する。
図6は、実施の形態1における平板状アンテナ7のフラット面Aの平面視の形状を示す平面図である。図6に示すように、実施の形態1の電子レンジにおいては、3つの開口(17,18,19)が形成されている。これらの開口(17,18,19)が平板状アンテナ7のフラット面Aに形成されているため、回転する平板状アンテナ7のフラット面Aから複数の円偏波および直線偏波が直上方向に放射される構成である。
図6に示すように、平板状アンテナ7の平面視の形状は、アンテナ軸9の回転中心Pを間に挟んで対向した位置にある2つの扇形形状である第1円弧領域14,14と、2つの第1円弧領域14と14とにより挟まれた領域における一方の領域に形成された扇形形状の第2円弧領域15と、2つの第1円弧領域14と14とにより挟まれた他方の領域に形成された矩形領域16とにより、同一平面が形成されている。即ち、2つの第1円弧領域14,14の上面はアンテナ軸9の回転中心Pを間にした対向した位置にあり、同一平面に含まれる。また、第2円弧領域15および矩形領域16の各上面は、アンテナ軸9の回転中心Pを間にした対向した位置にあり、同一平面に含まれる。図6から明らかなように、第1円弧領域14,14の扇形形状は、第2円弧領域15の扇形形状より、半径が大きな扇形形状である。上記のように、平板状アンテナ7のフラット面(アンテナ面)Aは、回転中心Pから放射上に延びる線により4つの領域に分割されており、分割された領域において隣接する領域が平面視の形状が異なっている。
以上のように、実施の形態1における平板状アンテナ7の平面視の形状は、同一平面内において、2つの第1円弧領域14,14、第2円弧領域15、および矩形領域16による4つの領域により構成されている。実施の形態1においては、例えば、第1円弧領域14の中心角度が約80度、第2円弧領域15の中心角度が約100度、そして矩形領域16の中心角度が約100度で構成した。なお、実施の形態1における平板状アンテナ7の半径寸法としては、例えば、第1円弧領域14の半径が60mmであり、第2円弧領域15の半径が45mmである。また、矩形領域16の外側辺(図6における右端辺)は、回転中心Pから70mmの位置に形成されており、矩形領域16における略四角形の突設領域(図6における右側に突設した略四角形領域)の幅が50mmで形成した。なお、第1円弧領域14の半径を60mmに設定したのは、当該電子レンジにおいて用いられる周波数(2.45GHz)の約1波長の長さを考慮したものである。
上記のように、実施の形態1における平板状アンテナ7の平面視の形状を具体的な寸法で説明したが、この具体例は一構成例であり、電子レンジの仕様に応じて適宜変更されるものであり、本発明はこの構成例に特定されるものではない。
実施の形態1における平板状アンテナ7に形成された3つの開口(17,18,19)に関しては、第1マイクロ波放射口17、第2マイクロ波放射口18、および第3マイクロ波放射口19として以後説明する。
実施の形態1における第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18は、同じ開口形状を有しており、同じ長さの細長い開口(20、21)の長手方向の中心線(J、K)が直交した形状のクロス開口形状である。即ち、第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18は、同じX字形状を有している。
第1マイクロ波放射口17のクロス開口形状(X字形状)は、2つの細長い開口(20、21)のそれぞれの長手方向の中心線(JまたはK)が、アンテナ軸9の回転中心Pとクロス開口形状の交差点Bとを結ぶ直線(第1位置規定線E)に対して45度の角度を成している。同様に、第2マイクロ波放射口18のクロス開口形状は、2本の細長い開口(20、21)のそれぞれの長手方向の中心線(JまたはK)が、アンテナ軸9の回転中心Pとクロス開口形状の交差点Cとを結ぶ直線(第1位置規定線E)に対して45度の角度を成している。即ち、第1マイクロ波放射口17のクロス開口形状(略X字形状)において、第1開口部20の長手方向に延びる中心線Jが、アンテナ軸9の回転中心Pとクロス開口形状の交差点Bとを結ぶ第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。同様に、第2開口部21の長手方向に延びる中心線Kが第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。
第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18のクロス開口形状においては、放電を防止するため、端部および屈曲部は全て曲面で構成されている。なお、実施の形態1のクロス開口形状における第1開口部20と第2開口部21は、平板状アンテナ7の回転中心Pからみて左奥側から右手前側に形成された細長い開口を第1開口部20とし、右奥側から左手前側に形成された細長い開口を第2開口部21とする。以下の各実施の形態の説明においても、(略)クロス開口形状における第1開口部および第2開口部の位置関係を同様とする。
第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18は、アンテナ軸9の回転中心Pを間にして対向して配設されており、半径の大きな第1円弧領域14,14のそれぞれに形成されている。第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18の各クロス開口形状の交差点(B,C)を結ぶ直線(第1位置規定線E)はアンテナ軸9の回転中心Pを通っており、その第1位置規定線Eは第1円弧領域14,14を実質的に同じ面積に二分する中心線である。
なお、実施の形態1における第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18の具体的なクロス開口形状は、細長い開口の長手方向の長さが、例えば35mmであり、細長い開口の幅が、例えば10mmである。これらの数値は例示であり、本発明をこれらの数値に特定するものではない。
実施の形態1における第3マイクロ波放射口19は、前述の第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18より大きな開口形状を有している。第3マイクロ波放射口19は、矩形領域16に形成されている。第3マイクロ波放射口19は、同じ長さの細長い開口が直交して交差したクロス開口形状を含む略クロス開口形状である。更に、第3マイクロ波放射口19の略クロス開口形状は、図6に示すように、当該クロス開口形状により4つの領域に区分される外側領域の1つの領域Gが略三角形形状に開口しており、当該三角形形状の開口を含むものである。また、第3マイクロ波放射口19の略クロス開口形状においては、2本の細長い開口のそれぞれの長手方向の中心線が、アンテナ軸9の回転中心Pと略クロス開口形状の交差点Dとを結ぶ直線(第2位置規定線F)に対して45度の角度を有している。
図6に示すように、第3マイクロ波放射口19の略クロス開口形状は、同じ長さの細長い開口が直交したクロス開口形状(X字形状)と、当該クロス開口形状の外側領域におけるアンテナ軸9の回転中心Pに対向する領域Gが略三角形開口形状とにより構成されている。これは、第3マイクロ波放射口19が第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18に比べて、より大きな開口形状であり、第3マイクロ波放射口19において電界が強くなり、アンテナ軸9に近い領域に屈曲部分が存在すると放電のおそれがあるため、アンテナ軸9に近い領域に略三角形開口形状の領域Gを形成して、鋭角な部分を無くした構成である。
また、第3マイクロ波放射口19の形成位置は、アンテナ軸9の回転中心Pと、略クロス開口形状の交差点Dとを結ぶ直線(第2位置規定線F)が矩形領域16および第2円弧領域15を実質的に同じ面積に二分する中心線となる位置である。第3マイクロ波放射口19の略クロス開口形状においては、放電を防止するため、端部および屈曲部は全て曲面で構成されている。なお、実施の形態1における第3マイクロ波放射口19の具体的な開口形状は、例えば、細長い開口の長手方向の長さが、45mmであり、細長い開口の幅が、10mmである。これらの数値は例示であり、本発明をこれらの数値に特定するものではない。
上記のように、実施の形態1における平板状アンテナ7は、実質的に平坦な一枚の板材によりマイクロ波を放射するフラット面(アンテナ面)Aを形成し、その回転中心P(フラット面Aの裏面)にアンテナ軸9を設けた構成である。従って、実施の形態1の平板状アンテナ7は、導波管構造を有しておらず、導波管構造によりマイクロ波を所定方向に伝送して放射する構成とは異なる構成である。このため、平板状アンテナ7は、回転しながら、平板状アンテナ7の外周部分から水平方向の四方にマイクロ波を放射すると共に、フラット面Aに形成された複数の開口(第1マイクロ波放射口17、第2マイクロ波放射口18、および第3マイクロ波放射口19)から円偏波および直線偏波を放射する構成である。
図7は、実施の形態1の構成の平板状アンテナ7に関して、発明者らによる解析により得られた結果を示すものである。図7の(a)は、平板状アンテナ7における第1マイクロ波放射口17、第2マイクロ波放射口18、および第3マイクロ波放射口19から放射されるマイクロ波の電界ベクトルの軌跡を破線により示した図である。図7の(b)は、平板状アンテナ7における電界強度をコンター図で示したものである。図7の(b)のコンター図において、中央領域において色合いの濃い領域が電界強度の強い領域を示している。ここで用いたコンター図はカラー図であり、中央領域において色の濃い領域が赤色であり、外側領域の色合いの濃い部分は青色であり、電界強度は低い部分である。以下に説明するコンター図においても、同様に、中央領域において色の濃い領域が電界強度の強い領域を示している。
図7の(a)に示すように、第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18からは電界ベクトルの軌跡が楕円形状の円偏波である楕円偏波のマイクロ波が放出されている。一方、第3マイクロ波放射口19からは直線偏波のマイクロ波が放出されている。第3マイクロ波放射口19から放射される直線偏波は、平板状アンテナ7のフラット面Aにおいて、回転中心Pと第3マイクロ波放射口19の略クロス開口形状の交差点Dとを結ぶ略線上が電界ベクトルの軌跡となる直線偏波である。
第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18から円偏波が放射される理由としては、平板状アンテナ7のフラット面(アンテナ面)Aに流れる電流の向きがマイクロ波放射口の開口の両側領域において対称的に流れていないためと考えられる。即ち、第1マイクロ波放射口17または第2マイクロ波放射口18の交差点(BまたはC)と、導波管6とマイクロ波伝送可能に結合されているアンテナ軸9の回転中心Pとを結ぶ線(第1位置規定線E)で二分された外側領域が対称的な形状を有していないためと考えられる。なお、第3マイクロ波放射口19に関しては、開口形状の交差点Dと、アンテナ軸9の回転中心Pとを結ぶ線(第2位置規定線F)で二分された外側領域が対称的である。
図7の(b)のコンター図に示すように、第1マイクロ波放射口17、第2マイクロ波放射口18、および第3マイクロ波放射口19においては電界強度が強く、また平板状アンテナ7の外周部分においても電界強度が強くなっており、出力の大きなマイクロ波が放射されている。
図8は、実施の形態1における平板状アンテナ7の変形例を示す平面図である。図8に示す平板状アンテナ7Aにおいて、図6に示した平板状アンテナ7との違いは、第3マイクロ波放射口19Aの開口形状であり、その他の構成は同じである。図8に示すように、第3マイクロ波放射口19Aは、同じ長さの細長い開口が直交した形状のクロス開口形状である。即ち、図8に示す第3マイクロ波放射口19Aのクロス開口形状においては、図6に示したような略三角形開口形状(G)を含まないクロス開口形状である。このように、平板状アンテナ(7,7A)に示すように、当該電子レンジの仕様などに応じて、マイクロ波放射口の開口形状を、クロス開口形状、若しくは略三角形開口形状(領域Gの開口)を含む略クロス開口形状に構成することが可能である。即ち、加熱出力、加熱容量が大きな装置においては、放電発生をより確実に防止するために、アンテナ軸9に近い領域のマイクロ波放射口の縁部が鋭角な部分を有しておらず、例えば略三角形開口形状(領域Gの開口)を含むような構成として鋭角な部分を取り除く開口形状とし、反対に加熱出力、加熱容量が小さな装置においては、単純なクロス開口形状として構成することも可能である。
以上のように、実施の形態1のマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいては、円偏波および直線偏波のマイクロ波を放射する平坦なアンテナ面(A)を有する平板で構成された平板状アンテナにより、加熱室の容量が小さく、加熱出力が小さい仕様であっても、加熱室内の被加熱物に対して実質的に均一加熱することができる高機能を保持しており、更にアンテナ構造がシンプルで小さいため、装置全体として小型化を達成することができ、かつ低価格化を達成することができる。また、実施の形態1の電子レンジにおいては、アンテナ構造が単純化されているため、故障の少ない信頼性の高いマイクロ波加熱装置を提供することができる。
《実施の形態2》
以下、実施の形態2のマイクロ波加熱装置について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態2の説明において、前述の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。また、前述の実施の形態1と同様の作用を有する内容についても、重複記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態2のマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいて実施の形態1の電子レンジと異なる点は、平板状アンテナの形状であり、特に開口形状が異なっている。図9は、実施の形態2の電子レンジにおける平板状アンテナ7Bのフラット面(アンテナ面)Aを示す平面図である。
実施の形態2における第1マイクロ波放射口17Bおよび第2マイクロ波放射口18Bは、第3マイクロ波放射口19Bの開口形状の交差点Dと、アンテナ軸9の回転中心Pとを結ぶ第2位置規定線Fに関して、線対称に配置されており、同じ開口形状を有している。第1マイクロ波放射口17Bおよび第2マイクロ波放射口18Bのそれぞれは、長さの異なる細長い開口(第1開口部20Bおよび第2開口部21B)が交差したクロス開口形状(略X字形状)である。各クロス開口形状の交差点(B,C)の位置は、前述の実施の形態1における平板状アンテナ7のフラット面(アンテナ面)Aにおける交差点(B,C)の位置と同じである。
第1マイクロ波放射口17Bのクロス開口形状(略X字形状)において、第1開口部20Bの長手方向に延びる中心線Jが、アンテナ軸9の回転中心Pとクロス開口形状の交差点Bとを結ぶ第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。一方、第2開口部21Bの長手方向に延びる中心線Kが第1位置規定線Eに対して25度の角度を成している。即ち、第1マイクロ波放射口17Bを構成する2つの細長い開口の長手方向の中心線(J、K)の交差角度において、回転中心に対向している領域の角度が90度より狭い角度(70度)である。
同様に、第2マイクロ波放射口18Bのクロス開口形状において、第1開口部20Bの長手方向に延びる中心線Jが、第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。一方、第2マイクロ波放射口18Bにおける第2開口部21Bの長手方向に延びる中心線Kが第1位置規定線Eに対して25度の角度を成している。第1マイクロ波放射口17Bおよび第2マイクロ波放射口18Bのクロス開口形状は、放電を防止するため、端部および屈曲部が全て曲面構成である。
第1マイクロ波放射口17Bおよび第2マイクロ波放射口18Bは、実施の形態1の構成と同様に、第1円弧領域14,14のそれぞれに形成されている。また、第1マイクロ波放射口17Bおよび第2マイクロ波放射口18Bの各クロス開口形状の交差点(B,C)は、第1位置規定線E上に存在しており、第1位置規定線Eは第1円弧領域14,14を実質的に同じ面積に二分する中心線である。
なお、実施の形態2における第1マイクロ波放射口17Bおよび第2マイクロ波放射口18Bの具体的なクロス開口形状は、第1開口部20Bの長手方向の長さが、例えば50mmであり、第2開口部21Aの長手方向の長さが、例えば35mmである。即ち、第1開口部20Bの長手方向の長さに関しては、クロス開口形状の各交差点(BまたはC)から第2位置規定線Fが存在する方向に32.5mmの長さであり、各交差点(BまたはC)から反対方向に17.5mmの長さである。第1開口部20Bおよび第2開口部21Bの幅は、例えば10mmである。
実施の形態2における第3マイクロ波放射口19Bは、前述の実施の形態1における第3マイクロ波放射口19と同じ形状であり、平板状アンテナ7Bの矩形領域16に形成されている。なお、実施の形態2における第3マイクロ波放射口19Bの具体的な開口形状は、例えば、細長い開口の長手方向の長さが、45mmであり、細長い開口の幅が、10mmである。上記の具体的な数値は例示であり、本発明をこれらの数値に特定するものではない。
上記のように、実施の形態2における平板状アンテナ7Bは、実質的に平坦な一枚の板材によりマイクロ波を放射するフラット面(アンテナ面)Aを形成し、その回転中心にアンテナ軸9を設けた構成である。従って、実施の形態2の平板状アンテナ7Bは、導波管構造を有しておらず、導波管構造によりマイクロ波を所定方向に伝送して放射する構成とは異なる構成である。このため、実施の形態2における平板状アンテナ7Bは、回転しながら、平板状アンテナ7Aの外周部分から水平方向の四方にマイクロ波を放射すると共に、フラット面Aに形成された複数の開口(第1マイクロ波放射口17B、第2マイクロ波放射口18B、および第3マイクロ波放射口19B)から円偏波および直線偏波を放射する構成である。
図10は、実施の形態2の構成の平板状アンテナ7Bに関して、発明者らによる解析により得られた結果を示すものである。図10の(a)は、平板状アンテナ7Bにおける第1マイクロ波放射口17B、第2マイクロ波放射口18B、および第3マイクロ波放射口19Bから放射されるマイクロ波の電界ベクトルの軌跡を破線により示した図である。図10の(b)は、平板状アンテナ7Bから放射される電界強度をコンター図で示したものである。
図10の(a)に示すように、第1マイクロ波放射口17Bおよび第2マイクロ波放射口18Bからは電界ベクトルの軌跡が楕円偏波のマイクロ波が放出されている。前述の実施の形態1における第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18から放射される楕円偏波より、電界ベクトルの軌跡が大きな径の楕円偏波である。なお、第3マイクロ波放射口19Aからは直線偏波のマイクロ波が放出される。第3マイクロ波放射口19Aから放射されるマイクロ波は直線偏波であるため、電界ベクトルの軌跡は略直線上となる。
図10の(b)のコンター図に示すように、第1マイクロ波放射口17B、第2マイクロ波放射口18B、および第3マイクロ波放射口19Bにおいては電界強度が強く、また平板状アンテナ7Bの外周部分からも電界強度の強いマイクロ波が放射されている。
以上のように、実施の形態2のマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいては、円偏波および直線偏波のマイクロ波を放射する平坦なアンテナ面(A)を有する平板状アンテナにより、加熱室の容量が小さく、加熱出力が小さい仕様であっても、加熱室内の被加熱物に対して実質的に均一加熱することができる高機能を保持しており、更にアンテナ構造がシンプルで小さいため、装置全体として小型化を達成することができ、かつ低価格化を達成することができる。また、実施の形態2の電子レンジにおいては、アンテナ構造が単純化されているため、故障の少ない信頼性の高いマイクロ波加熱装置を提供することができる。
《実施の形態3》
以下、実施の形態3のマイクロ波加熱装置について、実施の形態1および実施の形態2との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態3の説明において、前述の実施の形態1および実施の形態2と同じ機能を有する構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。また、前述の実施の形態1および実施の形態2と同様の作用を有する内容についても、重複記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態3のマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいて実施の形態1および実施の形態2の電子レンジと異なる点は、平板状アンテナの形状であり、特に外形形状および開口形状が異なっている。図11は、実施の形態3の電子レンジにおける平板状アンテナ7Bのフラット面(アンテナ面)Aを示す平面図である。
実施の形態3おける第1マイクロ波放射口17Cよび第2マイクロ波放射口18Cは、第3マイクロ波放射口19Cの開口形状の交差点Dと、アンテナ軸9の回転中心Pとを結ぶ第2位置規定線Fに関して、線対称に配置されており、同じ開口形状を有している。第1マイクロ波放射口17Cおよび第2マイクロ波放射口18Cのそれぞれは、長さが異なる細長い開口(第1開口部20Cおよび第2開口部21C)が直交したクロス開口形状(略X字形状)である。各クロス開口形状の交差点(B,C)の位置は、前述の実施の形態1における平板状アンテナ7のフラット面(アンテナ面)Aにおける交差点(B,C)の位置と同じである。
第1マイクロ波放射口17Cのクロス開口形状(略X字形状)において、第1開口部20Cの長手方向に延びる中心線Jが、第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。また、第2開口部21Cの長手方向に延びる中心線Kが第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。
同様に、第2マイクロ波放射口18Cのクロス開口形状において、第1開口部20Cの長手方向に延びる中心線Jが、第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。第2マイクロ波放射口18Cにおける第2開口部21Cの長手方向に延びる中心線Kが第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。
実施の形態3における第1マイクロ波放射口17Cおよび第2マイクロ波放射口18Cの開口形状は、同じ形状であるが、それぞれの第1開口部20Cおよび第2開口部21Cにおける長手方向の中央位置に交差点(B,C)が位置されていない。即ち、第1開口部20Cにおいて、その交差点Bから第2位置規定線Fの方向に延びる開口領域が、交差点Bから反対方向に延びる開口領域より長く形成されている。同様に、第2開口部21Cにおいて、その交差点Bから第2位置規定線Fの方向に延びる開口領域が、交差点Bから反対方向に延びる開口領域より長く形成されている。
実施の形態3における第1マイクロ波放射口17Cおよび第2マイクロ波放射口18Cの具体的なクロス開口形状は、第1開口部20Cの長手方向の長さが、例えば50.0mmであり、第2開口部21Cの長手方向の長さが、例えば42.5mmである。即ち、第1開口部20Cの長手方向の長さに関しては、クロス開口形状の各交差点(BまたはC)から第2位置規定線Fの方向に32.5mmの長さであり、各交差点(BまたはC)から反対方向に17.5mmの長さである。一方、第2開口部21Cの長手方向の長さに関しては、クロス開口形状の各交差点(BまたはC)から第2位置規定線Fの方向に25.0mmの長さであり、各交差点(BまたはC)から反対方向に17.5mmの長さである。第1開口部20Cおよび第2開口部21Cの幅は、例えば10mmである。これらの数値は例示であり、本発明をこれらの数値に特定するものではない。なお、第1マイクロ波放射口17Cおよび第2マイクロ波放射口18Cのクロス開口形状は、放電を防止するため、端部および屈曲部が全て曲面構成である。
実施の形態3における第3マイクロ波放射口19Cは、前述の実施の形態1における第3マイクロ波放射口19(図5)と同じ形状であり、平板状アンテナ7Cの矩形領域16Cに形成されている。なお、実施の形態3における第3マイクロ波放射口19Cの具体的な開口形状は、例えば、細長い開口の長手方向の長さが、45mmであり、細長い開口の幅が、10mmである。これらの数値は例示であり、本発明をこれらの数値に特定するものではない。なお、実施の形態3における第1マイクロ波放射口17C、第2マイクロ波放射口18C、および/または第3マイクロ波放射口19Cにおいては、変形例として示した図6の第3マイクロ波放射口19Aのように、アンテナ軸9に近い領域において、例えば略三角形形状(領域Gの開口)のような開口を形成して、鋭角な部分を無くし、放電発生のリスクをより防止した構成としてもよい。
実施の形態3の電子レンジにおいて、平板状アンテナ7Cの平面視の形状(アンテナ面の形状)は、実施の形態1における平板状アンテナ7の平面視の形状と異なっている。図11に示したように、実施の形態3における平板状アンテナ7Cにおいては、第1円弧領域14および第2円弧領域15が同じ半径を有しており、一つの円弧領域22が形成されている。即ち、実施の形態3の構成においては、平板状アンテナ7Cのフラット面(アンテナ面)は、円弧領域22および矩形領域16により構成されており、円弧領域22の中心角度が約260度となっている。
実施の形態3における第1マイクロ波放射口17Cおよび第2マイクロ波放射口18Cは、円弧領域22において回転中心Pを間にして対向して形成されている。第1マイクロ波放射口17Cおよび第2マイクロ波放射口18Cの各クロス開口形状の交差点(B,C)は、第1位置規定線E上に存在している。
上記のように、実施の形態3における平板状アンテナ7Cは、実質的に平坦な一枚の板材によりマイクロ波を放射するフラット面(アンテナ面)Aを形成し、その回転中心Pにアンテナ軸9を設けた構成である。従って、実施の形態3の平板状アンテナ7Cは、導波管構造を有しておらず、導波管構造によりマイクロ波を所定方向に伝送して放射する構成とは異なる構成である。このため、実施の形態3における平板状アンテナ7Cは、回転しながら、平板状アンテナ7Cの外周部分から水平方向の四方にマイクロ波を放射すると共に、フラット面Aに形成された複数の開口(第1マイクロ波放射口17C、第2マイクロ波放射口18C、および第3マイクロ波放射口19C)から円偏波および直線偏波を放射する構成である。
図12は、実施の形態3の構成の平板状アンテナ7Cに関して、発明者らによる解析により得られた結果を示すものである。図12の(a)は、平板状アンテナ7Cにおける第1マイクロ波放射口17C、第2マイクロ波放射口18C、および第3マイクロ波放射口19Cから放射されるマイクロ波の電界ベクトルの軌跡を破線により示した図である。図12の(b)は、平板状アンテナ7Cにおける電界強度をコンター図で示したものである。
図12の(a)に示すように、第1マイクロ波放射口17Cおよび第2マイクロ波放射口18Cからは電界ベクトルの軌跡が楕円偏波のマイクロ波が放出されている。前述の実施の形態1における第1マイクロ波放射口17および第2マイクロ波放射口18から放射される楕円偏波より、電界ベクトルの軌跡が真円に近い楕円偏波である。なお、第3マイクロ波放射口19Cからは直線偏波のマイクロ波が放射される。
図12の(b)のコンター図に示すように、第1マイクロ波放射口17C、第2マイクロ波放射口18C、および第3マイクロ波放射口19Cにおいては電界強度が強く、また平板状アンテナ7Cの外周部分においても電界強度が強くなっており、出力の大きなマイクロ波が放射されている。
以上のように、実施の形態3のマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいては、円偏波および直線偏波のマイクロ波を放射する平坦なアンテナ面(A)を有する平板状アンテナにより、加熱室の容量が小さく、加熱出力が小さい仕様であっても、加熱室内の被加熱物に対して実質的に均一加熱することができる高機能を保持しており、更にアンテナ構造がシンプルで小さいため、装置全体として小型化を達成することができ、かつ低価格化を達成することができる。また、実施の形態3の電子レンジにおいては、アンテナ構造が単純化されているため、故障の少ない信頼性の高いマイクロ波加熱装置を提供することができる。
《実施の形態4》
以下、実施の形態4のマイクロ波加熱装置について、実施の形態1から実施の形態3との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態4の説明において、前述の実施の形態1から実施の形態3と同じ機能を有する構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。また、前述の実施の形態1から実施の形態3と同様の作用を有する内容についても、重複記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態4のマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいて実施の形態1から実施の形態3の電子レンジと異なる点は、平板状アンテナの形状であり、特に外形形状および開口形状が異なっている。図13は、実施の形態4の電子レンジにおける平板状アンテナ7Dのフラット面(アンテナ面)Aを示すと共に、当該平板状アンテナ7Dに関する解析結果を示している。図13の(a)は、平板状アンテナ7Dの形状を示すと共に、平板状アンテナ7Dにおけるマイクロ波放射口23から放射されるマイクロ波の電界ベクトルの軌跡を破線により示した図である。図13の(b)は、平板状アンテナ7Dにおける電界強度をコンター図で示したものである。
図13の(a)に示すように、実施の形態4における平板状アンテナ7Dの平面視(アンテナ面)の形状は、円板形状である。また、実施の形態4の構成においては、アンテナ面(A)に1つのマイクロ波放射口23が形成されている。マイクロ波放射口23は、前述の実施の形態1から実施の形態3に示したように、長さが異なる細長い2つの開口(第1開口部20Dおよび第2開口部21D)が直交したクロス開口形状(略X字形状)である。
マイクロ波放射口23のクロス開口形状(略X字形状)において、第1開口部20Dの長手方向に延びる中心線Jは、アンテナ軸9の回転中心Pとクロス開口形状の交差点Mとを結ぶ第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。同様に、第2開口部21Dの長手方向に延びる中心線Kが第1位置規定線Eに対して45度の角度を成している。
また、第1開口部20Dの長手方向の長さは、第2開口部21Dの長手方向の長さに比べて長く形成されている。実施の形態4の構成においては、具体的には、第1開口部20Dの長手方向の長さが110.78mmであり、第2開口部21Dの長手方向の長さが51.55mmである。第2開口部21D/第1開口部20Dの長さの比率としては、約46.5%であった。
マイクロ波放射口23は、平板状アンテナ7Dにおけるアンテナ面(A)の回転中心Pから偏心した位置に形成されており、円形のアンテナ面(A)における半径の1/3の位置に交差点Mが設定されている。なお、実施の形態4における平板状アンテナ7Dの外径寸法としては、120mmとしており、当該電子レンジにおいて用いられる周波数(2.45GHz)の約1波長の長さである。
図13の(a)に示すように、実施の形態4における平板状アンテナ7Dのマイクロ波放射口23からは、電界ベクトルの軌跡が略円形の円偏波のマイクロ波が放射されている。図13の(b)のコンター図に示すように、マイクロ波放射口23の近傍、および平板状アンテナ7Dの外周部分においても電界強度が強くなっており、出力の大きなマイクロ波が放射されている。
図14および図15は、実施の形態4における円板状の平板状アンテナ(7E,7F)の構成の変形例を示している。図14は、平板状アンテナ7Eのフラット面(アンテナ面)Aを示すと共に、当該平板状アンテナ7Eに関する解析結果を示している。図15は、平板状アンテナ7Fのフラット面(アンテナ面)Aを示すと共に、当該平板状アンテナ7Fに関する解析結果を示している。
図14の(a)に示す円板状の平板状アンテナ7Eの平面視(アンテナ面)においては、アンテナ面に1つのマイクロ波放射口24が形成されている。マイクロ波放射口24のクロス開口形状(略X字形状)において、図13に示したマイクロ波放射口23との異なる点は、第1開口部20Eおよび第2開口部21Eの長手方向のそれぞれの長さである。平板状アンテナ7Eにおけるマイクロ波放射口24の具体的な長さは、第1開口部20Eの長手方向の長さが98.37mmであり、第2開口部21Eの長手方向の長さが57.9mmである。第2開口部21E/第1開口部20Eの長さの比率としては、約58.9%であった。
マイクロ波放射口24においても、図13に示したマイクロ波放射口23と同様に、平板状アンテナ7Eにおけるアンテナ面(A)の回転中心Pから偏心した位置に形成されており、円形のアンテナ面(A)における半径の1/3の位置に交差点Mが設定されている。また、平板状アンテナ7Eの具体的な外径寸法としては、120mmのものを用いた。
図14の(a)に示すように、平板状アンテナ7Eのマイクロ波放射口24からは、電界ベクトルの軌跡が楕円偏波のマイクロ波が放射されている。図14の(b)のコンター図に示すように、マイクロ波放射口24の近傍、および平板状アンテナ7Eの外周部分においても電界強度が強くなっており、出力の大きなマイクロ波が放射されている。
図15の(a)に示す円板状の平板状アンテナ7Fの平面視(アンテナ面)においては、アンテナ面に1つのマイクロ波放射口25が形成されている。マイクロ波放射口25のクロス開口形状(略X字形状)においては、第1開口部20Fの長手方向の長さが84.04mmであり、第2開口部21Fの長手方向の長さが67.2mmである。第2開口部21F/第1開口部20Fの長さの比率としては、約80%であった。
マイクロ波放射口25においても、図13に示したマイクロ波放射口23と同様に、平板状アンテナ7Eにおけるアンテナ面(A)の回転中心Pから偏心した位置に形成されており、円形のアンテナ面(A)における半径の1/3の位置に交差点Mが設定されている。また、平板状アンテナ7Fの具体的な外径寸法としては、120mmのものを用いた。
図15の(a)に示すように、平板状アンテナ7Fのマイクロ波放射口25からは、電界ベクトルの軌跡が楕円偏波のマイクロ波が放射されている。図15の(b)のコンター図に示すように、マイクロ波放射口25の近傍、および平板状アンテナ7Fの外周部分においても電界強度が強くなっており、出力の大きなマイクロ波が放射されている。
上記のように、実施の形態4の電子レンジの構成においては、アンテナ面(A)が円形平板である平板状アンテナ(7D,7E,7F)を用い、そのアンテナ面(A)の特定の位置に長さが異なる細長い2つの開口を交差させた略クロス開口形状のマイクロ波放射口を形成することにより、アンテナ面(A)における電界分布がアンバランスとなり、マイクロ波放射口から円偏波が放射される構成となっている。
発明者らが解析した結果においては、円板状のアンテナ面(A)を用いた場合には、略クロス開口形状の第1開口部と第2開口部における長手方向の長さの比率(第2開口部/第1開口部)を50〜80%の範囲内とすることにより所望の円偏波が形成され、加熱室内の均一加熱に貢献することが理解できる。
上記のように実施の形態4のマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいては、円偏波のマイクロ波を放射する平坦なアンテナ面(A)を有する円板状の平板状アンテナにより、加熱室の容量が小さく、加熱出力が小さい仕様であっても、加熱室内の被加熱物に対して実質的に均一加熱することができる高機能を保持しており、更にアンテナ構造がシンプルで小さいため、装置全体として小型化を達成することができ、かつ低価格化を達成することができる。また、実施の形態4の電子レンジにおいては、アンテナ構造が単純化されているため、故障の少ない信頼性の高いマイクロ波加熱装置を提供することができる。
以上のように、本発明のマイクロ波加熱装置においては、各実施の形態および変形例を用いて具体的に説明したように、ライフスタイルの変化により、少人数の家庭に対応するように、小容量の仕様でありながら、高機能を保持しつつ小型化、低価格化、そして高い信頼性を有する製品を提供することが可能となり、信頼性の高い構成のマイクロ波加熱装置の提供が可能となる。