JP2016213099A - 加熱調理器 - Google Patents
加熱調理器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016213099A JP2016213099A JP2015096995A JP2015096995A JP2016213099A JP 2016213099 A JP2016213099 A JP 2016213099A JP 2015096995 A JP2015096995 A JP 2015096995A JP 2015096995 A JP2015096995 A JP 2015096995A JP 2016213099 A JP2016213099 A JP 2016213099A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heating
- microwave
- waveguide
- heating chamber
- food
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】被加熱物を集中加熱する省エネ性能の高い加熱方法と、被加熱物の全体を均一加熱する均一加熱性能の高い加熱方法を、それぞれ両立可能で、容易に切換可能とする。【解決手段】食品を収納する加熱室と、加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、加熱室の外部に加熱室と連通して設けられる導波管と、を備え、前記マイクロ波発生手段が位相と発振周波数を設定できる半導体素子から構成されており、前記導波管に複数の前記マイクロ波発生手段の出力端子が接続されており、前記マイクロ波発生手段で発生したマイクロ波は、前記導波管内で合成された後に前記加熱室内に供給される。【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロ波で食品を加熱する加熱調理器に関するものである。
従来の電子レンジでは、真空管の一種であるマグネトロンをマイクロ波発振器として使用する。マグネトロンは、その出力が大きく動作効率が高いという利点がある。
一方、その内部の構造により発振するマイクロ波の周波数である発振周波数が決まっており、発振周波数を自在に制御することができない不利益もある。また、マグネトロン自身の発振周波数スペクトルは、食品を含む電子レンジの負荷インピーダンスの影響を受けて変動することがある。そのため、負荷インピーダンスの状態によっては、食品の加熱に不適切な周波数のマイクロ波を発振し、意図しない部分での食品の部分加熱や、不均一な加熱、効率の悪い加熱を生じる場合がある。
また、マグネトロンは発振するマイクロ波の発振周波数や位相を任意に制御することができないため、複数のマグネトロンを近接して設置すると、一方のマグネトロンが発振したマイクロ波が他方のマグネトロンに影響を与え、破壊してしまう可能性がある。そのため、複数のマグネトロンを設置する場合には、マグネトロンの間隔を十分に空けて配置するか、マグネトロン毎に導波管を設けることが必要であり、外形容積に対する加熱室の容積効率が低くなることがあった。
ここで、近年半導体素子の技術革新が進んだことにより、マイクロ波を出力できる半導体素子を用いたマイクロ波発振器が実用化され始めている。半導体素子を用いたマイクロ波発振器では、負荷インピーダンスに影響を受けずに任意でマイクロ波の発振周波数や位相を可変制御することが可能であり、その発振周波数スペクトルの帯域幅がマグネトロンに比べて狭帯域で鋭いという特徴がある。
従来のマグネトロンに代えて半導体素子をマイクロ波発振器として使用する加熱調理器の構造として、以下の方法が提案されている。
特許文献1には、被加熱物が収納される加熱室と、前記加熱室へ供給するマイクロ波を発生させる周波数可変機能付きマイクロ波発生手段と、加熱室へ供給するマイクロ波を放射する複数の放射手段と、前記複数の放射手段のそれぞれからマイクロ波発生手段側に伝送するマイクロ波反射電力を検出する手段とを有し、所定量を超える反射電力になると対象の放射手段に接続された増幅部の駆動電力を減少あるいは停止させるように制御したマイクロ波利用装置が記載されている。
特許文献2には、被加熱物を収容する加熱質と、発振部と、発振部の出力をそれぞれ電力増幅する増幅部と、前記加熱室にマイクロ波電力を放射する放射部と前記増幅部の出力を前記放射部に伝える伝播部で構成された給電部、を備え、前記給電部の前記伝播部を軸形状とし、前記放射部が前記伝播部を中心軸として回転動作可能とし、前記放射部の回転動作により前記放射部から放射するマイクロ波の電界又は磁界の向きが変わる構成としたマイクロ波処理装置が記載されている。
しかしながら、これらの先行技術では、被加熱物の特定位置を集中加熱して加熱効率を高めることと、被加熱物全体を均一加熱して加熱ムラを低減することを、両立することが困難だった。また、集中加熱と均一加熱を容易に切り替えることができなかった。
例えば、マグネトロンは、発振周波数が自在に制御できず、負荷によって発振周波数スペクトルが意図せず変動してしまうため、任意の位置の負荷を部分的に集中加熱することが困難だった。
これに対して半導体素子を用いたマイクロ波発振器は、負荷によって発振周波数が変動せず、かつ発振周波数が任意に設定可能であるため、任意の位置の負荷を集中加熱しやすい。
また、マグネトロンでは発振周波数付近で最も出力が大きく、その周囲の周波数では徐々に出力が小さくなり、発振周波数前後の一定の周波数領域に渡って裾野を生じるような出力特性を示す。一方、半導体素子を用いたマイクロ波発振器では、発振周波数の周囲の周波数ではほとんど出力を生じず、マグネトロンに比べて狭い周波数領域で鋭く出力が高い特性を示す。そのため半導体素子を用いたマイクロ波発振器では発振周波数スペクトルの帯域幅がマグネトロンに比べて狭帯域である。
マイクロ波の発振周波数スペクトルが狭帯域である半導体素子では、発振周波数スペクトルが広帯域であるマグネトロンに比べて加熱範囲が狭い部分に限定されており、広範囲をムラ無く加熱することが困難だった。
以下、特許文献1、2に記載の装置の課題について説明する。
(1)特許文献1に記載のマイクロ波利用装置は、複数の放射手段を備え、例えば加熱室の左右に設けた導波管に半導体素子の出力を接続し、複数の放射手段から放射するマイクロ波の発振周波数と位相を制御することで被加熱物を加熱する構造である。
(1)特許文献1に記載のマイクロ波利用装置は、複数の放射手段を備え、例えば加熱室の左右に設けた導波管に半導体素子の出力を接続し、複数の放射手段から放射するマイクロ波の発振周波数と位相を制御することで被加熱物を加熱する構造である。
加熱室内には複数の放射手段から放射されたマイクロ波が合成された定在波が発生するため、被加熱物の任意の位置を加熱するためには、加熱室内の合成された定在波を仮定して複数の放射手段を制御する必要がある。様々な被加熱物に対して任意の位置での高出力加熱を行うためには、被加熱物の形状や物性を正確に判断し、それに適した制御方法で加熱調理を行わなければならないが、実際には常に被加熱物に適した加熱を行うことは困難である。そのため、被加熱物の形状や物性に適した制御方法で加熱できず、被加熱物の意図しない位置が加熱されることがあった。
加熱領域の大きさよりも大きい被加熱物を加熱する場合、均一で高出力の加熱を行うためには、制御方法を時間変動させることで加熱部位を被加熱物全体に渡って移動させる必要があるが、その制御方法は複雑であり、被加熱物の全体を均一に加熱できずに加熱ムラが生じることがあった。
また、周波数を可変できるので、反射波が小さくなるように放射手段を選択し発振周波数を制御することで、常に効率の高い加熱を行う構造であるが、高効率の加熱方法は、被加熱物の一部を集中的に加熱する加熱方法であり、被加熱物の全体を均一に加熱する加熱はできないことがあった。
そのため、本特許文献1に記載のマイクロ波利用装置では、被加熱物の一部を集中加熱する加熱方法と、被加熱物の全体を均一に加熱する加熱方法の両方を、目的に応じて適切に切り替えて両立することが難しかった。
(2)特許文献2に記載の高周波加熱装置は、加熱室内に設けた給電部を回転可能とすることで、マイクロ波の電界や磁界を回転させて加熱室内のマイクロ波分布を制御する構造である。
(2)特許文献2に記載の高周波加熱装置は、加熱室内に設けた給電部を回転可能とすることで、マイクロ波の電界や磁界を回転させて加熱室内のマイクロ波分布を制御する構造である。
半導体素子によるマイクロ波出力部に回転可能な給電部を直接接続すると、接続部で放電などの異常加熱が発生することがあるため、マイクロ波出力部と給電部の間に誘電体を設置し、誘電体を介して接続している。よって、回転する給電部にはマイクロ波は直接伝送されない。そのため本特許文献2に記載の高周波加熱装置の構造では、一旦放射されたマイクロ波を給電部で攪拌することはできても、給電部から直接マイクロ波が放射されないため、加熱室内全体の分布の制御は困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、被加熱物を集中加熱する省エネ性能の高い加熱方法と、被加熱物の全体を均一加熱する加熱ムラ性能の高い加熱方法を、それぞれ両立可能で、容易に切換可能とすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、食品を収納する加熱室と、前記加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、前記加熱室の外部に、加熱室と連通して設けられる導波管と、を備え、前記マイクロ波発生手段が位相と発振周波数を設定できる半導体素子で構成されており、前記導波管に複数の前記マイクロ波発生手段の出力が接続されたことを特徴とする。
本発明によれば、被加熱物を集中加熱する省エネ性能の高い加熱方法と、被加熱物の全体を均一加熱する加熱ムラ性能の高い加熱方法を、それぞれ両立可能で、容易に切換可能とする加熱調理器を提供できる。
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
実施例1について、図1と図2を用いて説明する。
図1は、実施例1の加熱調理器を手前上方から見た斜視図である。本実施例の加熱調理器は、マイクロ波を利用して食品を加熱するレンジ加熱機能を備え、食品が載置される回転しない載置台を備えた、ターンテーブルレス式単機能電子レンジ(以下電子レンジ)である。本実施例は、ヒータによるオーブン加熱機能を備えたオーブンレンジや、食品を載置する載置台が回転するターンテーブル式にも適用可能である。
[全体構成]
まず、電子レンジ(加熱調理器)の本体1の構造について説明する。図1に示すように、電子レンジの本体1は、前方が開口した加熱室3と、加熱室3の開口に開閉可能なドア2と、加熱室3の下方に機械室4とを備える。ドア2は機械室4内部に設置されたアーム41に接続されており、上下方向に回動することで開閉が可能である。
まず、電子レンジ(加熱調理器)の本体1の構造について説明する。図1に示すように、電子レンジの本体1は、前方が開口した加熱室3と、加熱室3の開口に開閉可能なドア2と、加熱室3の下方に機械室4とを備える。ドア2は機械室4内部に設置されたアーム41に接続されており、上下方向に回動することで開閉が可能である。
加熱室3の底面には、食品を載置する載置台であるテーブルプレート31が固定されている。テーブルプレート31はセラミックやガラスなどのマイクロ波を透過する材料で構成されており、テーブルプレート31上に食品などの被加熱物を載置した場合には、テーブルプレート31を透過したマイクロ波によって被加熱物を加熱することができる。また、テーブルプレート31は加熱室3の底面と略同一形状であるため、加熱室3の容積を最大限に広く使用することが可能である。そして、加熱室3及び機械室4をキャビネット10で覆うことで電子レンジの本体1は構成されている。
テーブルプレート31の下方には、マイクロ波放射空間51が設置されており、マイクロ波放射空間51の内部には回転アンテナ52が内蔵されている。また、マイクロ波放射空間51の下には導波管5が配置されており、導波管5には複数のマイクロ波放射端子6Cが接続されている。
本実施例の電子レンジは、導波管5の下壁面に複数のマイクロ波放射端子6Cが接続されており、マイクロ波放射端子6Cから放射されたマイクロ波が、一旦導波管5の内部で合成された後に、回転アンテナ52から加熱室3内に供給されることを特徴とする。
食品を加熱調理する際には、まず、テーブルプレート31の上に食品を載置してドア2を閉じ、操作パネル(図示せず)上で加熱調理を指示する。設定した加熱方法に応じてマイクロ波放射端子6Cからマイクロ波を導波管5に供給し、導波管5の内部でマイクロ波を合成した後にマイクロ波放射空間51内部の回転アンテナ52に伝送する。回転アンテナ52に伝送されたマイクロ波がテーブルプレート31を通過して加熱室3内に放射され、テーブルプレート31上に載置された食品に吸収され、熱エネルギーに変換されることで食品の温度が上昇する。以上のように、食品の加熱調理を行う。
[マイクロ波伝送経路構成]
図2は、図1の加熱調理器の導波管周囲を拡大した前面断面図である。図2に示すように、加熱室3の底面に固定されたテーブルプレート31の下方にマイクロ波放射空間51が、またマイクロ波放射空間51の下方には導波管5が接続されており、マイクロ波放射空間51内には回転アンテナ52が配置されている。また、導波管5とマイクロ波放射空間51の間には開口部である導波管開口部50を設け、導波管開口部50に貫通してアンテナ軸53を、導波管5の下壁面の外にアンテナモータ55を、導波管5内部にモータ軸54を備えている。
図2は、図1の加熱調理器の導波管周囲を拡大した前面断面図である。図2に示すように、加熱室3の底面に固定されたテーブルプレート31の下方にマイクロ波放射空間51が、またマイクロ波放射空間51の下方には導波管5が接続されており、マイクロ波放射空間51内には回転アンテナ52が配置されている。また、導波管5とマイクロ波放射空間51の間には開口部である導波管開口部50を設け、導波管開口部50に貫通してアンテナ軸53を、導波管5の下壁面の外にアンテナモータ55を、導波管5内部にモータ軸54を備えている。
回転アンテナ52とアンテナ軸53はそれぞれ金属材料で構成され、電気的に導通して接続されている。モータ軸54は非金属材料で構成されており、回転アンテナ52及びアンテナ軸53は導波管5の壁面とは電気的に接続されていない構造である。そのため、アンテナ軸53と導波管開口部50は同軸伝送線路を構成しており、アンテナ軸53及び回転アンテナ52上をマイクロ波が直接流れることで、導波管5内のマイクロ波をマイクロ波放射空間51に伝送する構造である。マイクロ波放射空間51に伝送されたマイクロ波は、回転アンテナ52から上方に放射され、テーブルプレート31を透過して加熱室3に供給される。
モータ軸54とアンテナ軸53は連動可能に接続されており、アンテナモータ55を駆動することで、モータ軸54とそれに接続されたアンテナ軸53及び回転アンテナ52が回転する。そのため、アンテナモータ55を駆動して回転アンテナ52を回転させ、加熱室3内に回転アンテナ52から放射されるマイクロ波の分布を変動させることで、加熱室3内部の定在波を制御可能である。
ここで、本実施例では、複数のマイクロ波発振素子6A及び同軸ケーブル6B、マイクロ波放射端子6Cから構成されるマイクロ波発振器6を備えている。マイクロ波発振素子6Aはマイクロ波を発振できる半導体素子であり、同軸ケーブル6Bはマイクロ波を伝送可能な同軸ケーブル、マイクロ波放射端子6Cは中心導体を延長した同軸コネクタ形状の端子である。機械室4内部のマイクロ波発振素子6Aとマイクロ波放射端子6Cは同軸ケーブル6Bで接続されており、導波管5の下側壁面にはマイクロ波放射端子6Cが設置されている。マイクロ波発振素子6Aで発振したマイクロ波は、同軸ケーブル6B内を伝送してマイクロ波放射端子6Cから放射される。つまり、マイクロ波発振器6は導波管5に接続されており、マイクロ波発振器6で発振されたマイクロ波は導波管5に供給され、導波管5内部で合成される構造である。
本実施例におけるマイクロ波発振器6では、3個のマイクロ波発振素子6Aを備え、それぞれのマイクロ波発振素子6Aが3本の同軸ケーブル62を介して3個のマイクロ波放射端子6Cに接続されている。本実施例ではそれぞれ3個の例を示したが、マイクロ波発振素子6Aとマイクロ波放射端子6Cの数はいくつでも良い。また数も同数である必要はなく、例えば複数のマイクロ波発振素子6Aの出力を1つのマイクロ波放射端子6Cに接続することも可能である。また、マイクロ波発振素子6Aとマイクロ波放射端子6Cの間は本実施例では同軸ケーブル6Bを介して接続しているが、同軸ケーブル6Bを使用せずに直接接続することも可能である。
半導体素子を用いたマイクロ波発振器6では、発振するマイクロ波の位相や発振周波数を任意に調整することができる。そのため、本実施例の構造では、マイクロ波分布を制御する回転アンテナ52から効率良くマイクロ波が放射されるようにマイクロ波発振器6から発振されるマイクロ波を調整できる。つまり、本実施例ではマイクロ波発振器6が半導体素子で構成されているため、導波管5に複数のマイクロ波放射端子6Cを接続することが可能であり、また各マイクロ波放射端子6Cの間隔は自由に設定することが可能である。よって、導波管開口部50及び回転アンテナ52のアンテナ軸53とマイクロ波放射端子6Cの距離に制限は無く、任意の位置にマイクロ波放射端子6Cを設けることができる。本実施例では導波管5の下壁面にマイクロ波放射端子6Cを並べた構造であるが、マイクロ波放射端子6Cの位置は導波管5の壁面であればどこでも良い。
本実施例では、以上のような構造の半導体素子を用いたマイクロ波発振器6を用いることと、その複数の出力を導波管5に接続することを特徴としており、被加熱物を集中加熱する省エネ性能の高い加熱方法と、被加熱物の全体を均一加熱する加熱ムラ性能の高い加熱方法を、それぞれ両立可能で、容易に切換可能とすることができる。
[制御方法]
本実施例の構造を用いたマイクロ波発振器6の制御方法について説明する。
本実施例の構造を用いたマイクロ波発振器6の制御方法について説明する。
まず、食品を集中加熱する場合の制御方法について説明する。マイクロ波が供給される加熱室3内部には、定在波が発生する。回転アンテナ52を回転させることでこの定在波は移動するが、回転アンテナ52を停止させた場合には定在波は移動せずに固定される。よって、食品の加熱したい位置での定在波の電界強度が高い角度で回転アンテナ52を停止させて、マイクロ波発振器6を駆動しマイクロ波を発振させることで、加熱室3内に発生するマイクロ波の定在波を固定し、食品の特定の位置を加熱することが可能である。
また、複数のマイクロ波放射端子6Cから放射されるマイクロ波の発振周波数を略一致させて、導波管5から加熱室3に供給されるマイクロ波の発振周波数スペクトルを狭帯域にすることで、加熱室3内部の定在波分布を鋭くして、食品の特定位置を局所的に加熱することが可能である。
よって、食品を集中加熱したい場合には、回転アンテナ52を特定の角度で停止させて、複数のマイクロ波放射端子6Cの発振周波数を略一致させることで、加熱室3内部の定在波分布を鋭くして変動を抑え、食品の一部分を集中加熱することができる。なお、回転アンテナ52の停止とマイクロ波の発振周波数の一致は、両方行うことで食品の集中加熱の効果は高くなるが、どちらか一方でも集中加熱の効果は得られる。
次に、食品全体を均一に加熱する場合の制御方法について説明する。回転アンテナ52を回転させながらマイクロ波発振器6を駆動しマイクロ波を発振させることで、加熱室3内に発生するマイクロ波の定在波の分布を時間変動させ、食品の加熱位置を時間変動させることが可能である。
また、複数のマイクロ波放射端子6Cからそれぞれ異なる周波数にピークを持つマイクロ波を出力させることで、加熱室3内部には異なる周波数のマイクロ波が合成された定在波が生成され、食品の全体を均一に加熱することが可能である。また、発振周波数や位相を時間変動させることで、食品の全体を加熱することが可能である。
よって、食品の全体を均一加熱したい場合には、回転アンテナ52を回転させて、複数のマイクロ波放射端子6Cから異なる発振周波数のマイクロ波を放射し、加熱室3内部の定在波分布を時間変動させ、電界強度の分布を移動させることによって、加熱対象の食品の全体を均一加熱することができる。ここで、回転アンテナ52の駆動とマイクロ波の発振周波数制御は、必ずしも両方を行う必要はなく、どちらか一方でも均一加熱の効果が得られる。
以上のようにマイクロ波放射端子6Cから放射するマイクロ波出力を制御することで、食品の集中加熱と、食品の均一加熱が可能である。そして、制御方法を切り替えることで、容易に食品の集中加熱と均一加熱を切り替え可能である。
[加熱方法]
次に、実際に食品を加熱する場合の加熱方法について説明する。
次に、実際に食品を加熱する場合の加熱方法について説明する。
まず、テーブルプレート31上に食品を載置してドア2を閉じ、加熱調理を指示する。機械室4内の制御手段(図示せず)によって選択された出力に応じてマイクロ波発振器6が駆動される。マイクロ波発振器6を駆動することでマイクロ波発振素子6Aから発振されたマイクロ波は、同軸ケーブル6B内を通り、マイクロ波放射端子6Cから導波管5内部に伝送される。マイクロ波放射端子6Cから伝送されたマイクロ波は導波管5内部で合成され、アンテナ軸53を介してマイクロ波放射空間51に供給された後に、回転アンテナ52から加熱室3に放射される。テーブルプレート31を通過したマイクロ波が、テーブルプレート31上の食品に吸収されることで、食品が加熱される。
ここで、食品の一部分を集中して加熱したい場合には、加熱したい位置において定在波の出力が鋭く大きくなるように、回転アンテナ52の回転角度を固定し、3個の半導体素子が発振するマイクロ波の発振周波数を略一致させることで、高効率で食品の特定位置の集中加熱が可能である。
また、食品全体をムラ無く加熱したい場合には、回転アンテナ52の回転角度を時間変動させて、3個の半導体素子が発振するマイクロ波をそれぞれ異なる発振周波数とすることで、また発振周波数と位相を時間変動させることで、食品の均一加熱が可能である。
よって、本実施例における加熱調理器では、高出力での食品の集中加熱と均一加熱が可能であり、それぞれの加熱方法を自在に切り替えることが可能である。
[導波管形状の一例]
本実施例では導波管5を加熱室3の下方に配置した場合の構造を示すが、導波管5は加熱室3に内部が連通していればどこに配置しても良い。また導波管5は略直方体形状であるが、導波管5の形状も内部にマイクロ波が伝送される形状であればどのような形状でも良く、例えば途中が屈曲した形状や、湾曲した形状、曲面形状でも良い。
本実施例では導波管5を加熱室3の下方に配置した場合の構造を示すが、導波管5は加熱室3に内部が連通していればどこに配置しても良い。また導波管5は略直方体形状であるが、導波管5の形状も内部にマイクロ波が伝送される形状であればどのような形状でも良く、例えば途中が屈曲した形状や、湾曲した形状、曲面形状でも良い。
実施例1の導波管形状の一例について、図3を用いて説明する。図3は、導波管開口部50及びアンテナ軸53から周囲の3方向に略直方体形状を備えたY字型に分岐した導波管形状の上面図である。マイクロ波発振器6の3つのマイクロ波放射端子6Cは導波管5のうちそれぞれ外周方向に突出した導波管の先端付近に配置されており、マイクロ波発振素子6Aで発振したマイクロ波が同軸ケーブル6Bを介してマイクロ波放射端子6Cから導波管5内に放射される構造である。このように、マイクロ波放射端子6Cをそれぞれ全く異なる位置に取り付けることによって、組み立て時にマイクロ波放射端子6Cを誤って取り付けることを防止できる、組み立て性の良い加熱調理器を提供できる。またそれぞれのマイクロ波発振素子6Aをマイクロ波放射端子6Cの取り付け位置に応じて適切に制御することが可能となる。図3に示したのは導波管5の形状の一例であるが、マイクロ波発振素子6Aとマイクロ波放射端子6Cを同軸ケーブル6Bで接続することで、様々な形状の導波管5形状においてマイクロ波放射端子6Cの配置を自由に設定することが可能となる。
[その他の効果]
半導体素子は現状では一般的にマグネトロンよりもマイクロ波出力が低いが、本実施例の構造を用いることで、出力の低い半導体素子でも、複数の出力を導波管5で合成することで、高出力のマイクロ波を加熱室3内に直接供給することが可能である。そのため、半導体素子よりも出力が大きいマグネトロンと同様に食品を高効率で集中加熱することが可能である。例えば本実施例ではマイクロ波発振素子6Aが3個であるため、1つの素子の出力が300Wの場合でも、合計で900Wの出力を得ることができる構造である。3つの素子の出力を合計することで、1つの素子で加熱する場合に比べて、出力を3倍し、加熱時間を1/3に短縮することが可能である。
半導体素子は現状では一般的にマグネトロンよりもマイクロ波出力が低いが、本実施例の構造を用いることで、出力の低い半導体素子でも、複数の出力を導波管5で合成することで、高出力のマイクロ波を加熱室3内に直接供給することが可能である。そのため、半導体素子よりも出力が大きいマグネトロンと同様に食品を高効率で集中加熱することが可能である。例えば本実施例ではマイクロ波発振素子6Aが3個であるため、1つの素子の出力が300Wの場合でも、合計で900Wの出力を得ることができる構造である。3つの素子の出力を合計することで、1つの素子で加熱する場合に比べて、出力を3倍し、加熱時間を1/3に短縮することが可能である。
本実施例では複数のマイクロ波発振素子6Aの出力を合成して加熱室3へ供給する構造であるため、複数のマイクロ波発振素子6Aのうち、全部、あるいは一部を使用した場合でも、加熱室3へのマイクロ波の供給状態は同様にできる。そのため、被加熱物を高出力で加熱したい場合はマイクロ波発振器6のマイクロ波発振素子6Aを3個全て駆動するが、低出力の場合はマイクロ波発振素子6Aの全部を駆動する必要は無く、一部だけを駆動しても良い。また、万が一半導体素子の一部が故障して発振できなくなった場合でも、故障していない残りの半導体素子を組み合わせることで、出力は低くなるものの故障のない場合と同等の加熱が可能である。
加熱調理器に食品の状態を検知できるセンサを備えた場合、食品の状態をフィードバックして食品の状態に適した加熱を行うことも可能である。例えば食品の温度を検知する温度センサを備えていれば、加熱途中の食品のうち温度の低い部分を検出し、その部分を集中して加熱することにより、食品の全体を均一に加熱することが可能である。また例えば、食品の形状を検知する画像センサを備えていれば、食品が大きい場合には均一加熱を重視した制御方法に、また食品が小さい場合には集中加熱を重視した制御方法に自動的に切り換えることによって、様々な種類や形状の食品においても食品の全体をムラ無くかつ高効率で加熱することが可能である。
また、複数の半導体素子の出力を1つの導波管に接続することで、複数の導波管を備える必要がないため、本体1に対する加熱室3の容積を最大限に拡大することが可能である。
実施例2について、図4と図5を用いて説明する。なお、実施例1と同等の点は説明を省略する。実施例2の加熱調理器について、図4は手前上方から見た斜視図であり、図5は、導波管周囲を拡大した前面断面図である。
本実施例の加熱調理器は、加熱室3の下方のマイクロ波放射空間51に、導波管開口部50を開口部として連通して導波管5が直接接続されており、回転アンテナを備えていない点において、実施例1と異なる。マイクロ波発振素子6A及び同軸ケーブル6B、マイクロ波放射端子6Cから構成されるマイクロ波発振器6を備え、マイクロ波発振器6を導波管5に接続している構造は、実施例1と同様である。
よって、マイクロ波放射端子6Cから放射されたマイクロ波は、導波管5内部で合成された後に、導波管開口部50を通過してマイクロ波放射空間51に供給され、加熱室3に放射される。
ここで、食品を集中加熱したい場合は、実施例1と同様に複数のマイクロ波放射端子6Cの発振周波数を一致させてマイクロ波発振器6を駆動することで、加熱室3内部のマイクロ波定在波分布の変動を抑え、食品の特定の位置を集中加熱することができる。
また、実施例1と同様にマイクロ波放射端子6Cの発振周波数を変えるかあるいは位相や発振周波数を時間変動させることで、食品の全体を均一加熱することができる。
よって、実施例2の構造を用いることで、回転アンテナを備えない構成であっても、食品の集中加熱と均一加熱を容易に切り替えて両立することが可能である。
実施例3について、図6を用いて説明する。なお、実施例1と同等の点は説明を省略する。図6は、実施例3の加熱調理器の前面断面図である。加熱室3の底面に回転テーブル33を設けた点、導波管5を加熱室3の右側面に設けた点、マイクロ波発振素子6Aとマイクロ波放射端子6Cを直接接続している点において、実施例1と異なる。
加熱室3の底面に設けた回転テーブル33は、加熱室3の下方に設けたテーブルモータ34と接続されており、テーブルモータ34を駆動することで回転テーブル33を回転させることができる。よって、食品を回転テーブル33上に裁置して回転テーブル33を回転させることで、加熱室3内で食品の位置を回転させることが可能である。
加熱室3の右側面に設けた導波管5は、導波管開口部50を介して加熱室3に連通して設置されており、導波管開口部50には仕切り板32が設置されている。仕切り板32はマイカのようなマイクロ波を透過させる材質である。マイクロ波発振器6はマイクロ波発振素子6Aとマイクロ波放射端子6Cで構成されている。
以上の構造である実施例3でも、実施例1と同様に、マイクロ波発振器6で発振したマイクロ波を導波管5内部で合成した後に、加熱室3内に供給する構造である。
食品を集中加熱したい場合には、テーブルモータ34の駆動を停止して回転テーブル33を特定の角度で停止させることで食品の位置を固定し、複数のマイクロ波放射端子6Cの発振周波数を一致させることで、加熱室3内部の定在波分布の変動を抑え、食品の特定の位置を集中加熱することができる。
また、食品の全体を均一加熱したい場合には、テーブルモータ34を駆動して回転テーブル33を回転させることで食品を回転移動させることに加えて、マイクロ波放射端子6Cの発振周波数を変えるかあるいは時間変動させることで、食品の全体を均一加熱することができる。
このように導波管5が加熱室3の側面にあり、加熱室3底面に回転テーブル33を設けた場合でも、実施例1と同様の効果が得られる。
1:本体 10:キャビネット
2:ドア 3:加熱室 31:テーブルプレート
32:仕切り板
33:回転テーブル 34:テーブルモータ
4:機械室 41:アーム
5:導波管 50:マイクロ波放射口 51:マイクロ波放射空間
52:回転アンテナ 53:アンテナ軸 54:モータ軸
55:アンテナモータ
6:マイクロ波発振器 6A:マイクロ波発振素素子 6B:同軸ケーブル
6C:マイクロ波放射端子
2:ドア 3:加熱室 31:テーブルプレート
32:仕切り板
33:回転テーブル 34:テーブルモータ
4:機械室 41:アーム
5:導波管 50:マイクロ波放射口 51:マイクロ波放射空間
52:回転アンテナ 53:アンテナ軸 54:モータ軸
55:アンテナモータ
6:マイクロ波発振器 6A:マイクロ波発振素素子 6B:同軸ケーブル
6C:マイクロ波放射端子
Claims (3)
- 食品を収納する加熱室と、
該加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、
前記加熱室の外部に、該加熱室と連通して設けられる導波管とを備え、
前記マイクロ波発生手段が位相と発振周波数を設定できる半導体素子で構成されており、
前記導波管に複数の前記マイクロ波発生手段の出力端子が接続されたことを特徴とする加熱調理器。 - 前記導波管と前記加熱室の間にマイクロ波放射空間を備え、
該マイクロ波放射空間と前記導波管の間の導波管開口部に貫通するアンテナ軸と、
該アンテナ軸と電気的に導通して接続されており、かつ前記導波管とは電気的に導通していない金属製の回転アンテナを前記マイクロ波放射空間内に設置し、
前記回転アンテナが回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。 - 前記加熱室内に食品を裁置する載置台を設け、
前記載置台が回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015096995A JP2016213099A (ja) | 2015-05-12 | 2015-05-12 | 加熱調理器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015096995A JP2016213099A (ja) | 2015-05-12 | 2015-05-12 | 加熱調理器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016213099A true JP2016213099A (ja) | 2016-12-15 |
Family
ID=57549764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015096995A Pending JP2016213099A (ja) | 2015-05-12 | 2015-05-12 | 加熱調理器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016213099A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110081475A (zh) * | 2019-04-30 | 2019-08-02 | 广东美的厨房电器制造有限公司 | 微波炉的控制方法、系统及微波炉 |
CN111052861A (zh) * | 2018-03-26 | 2020-04-21 | 松下知识产权经营株式会社 | 微波加热装置 |
JP7341032B2 (ja) | 2019-11-07 | 2023-09-08 | 三菱電機株式会社 | 加熱調理器 |
-
2015
- 2015-05-12 JP JP2015096995A patent/JP2016213099A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111052861A (zh) * | 2018-03-26 | 2020-04-21 | 松下知识产权经营株式会社 | 微波加热装置 |
CN111052861B (zh) * | 2018-03-26 | 2023-03-24 | 松下知识产权经营株式会社 | 微波加热装置 |
CN110081475A (zh) * | 2019-04-30 | 2019-08-02 | 广东美的厨房电器制造有限公司 | 微波炉的控制方法、系统及微波炉 |
JP7341032B2 (ja) | 2019-11-07 | 2023-09-08 | 三菱電機株式会社 | 加熱調理器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2988574B1 (en) | Microwave heating device | |
KR101495378B1 (ko) | 마이크로파 가열 장치 | |
JP6004281B2 (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
US8803051B2 (en) | Microwave oven | |
CN106231712B (zh) | 微波炉的天线组件及微波炉 | |
TW201833481A (zh) | 烹調至少一個食品的系統 | |
JP2016213099A (ja) | 加熱調理器 | |
WO2013005438A1 (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
JP2008166090A (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
WO2000003564A1 (fr) | Unite a impedance variable, dispositif l'utilisant, et four a micro-ondes | |
CN109417839B (zh) | 具有改进的烘脆功能的多重馈送式微波炉 | |
JP2017528884A (ja) | パッチアンテナを介した直接加熱 | |
JP6111421B2 (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
WO2018050098A1 (zh) | 微波炉的天线组件及微波炉 | |
JP2013098021A (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
JP2003059639A (ja) | 高周波加熱装置 | |
JP4966650B2 (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
JP4966648B2 (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
JP5402406B2 (ja) | 電子レンジ | |
EP4326002A1 (en) | High-frequency heating apparatus | |
JP5877304B2 (ja) | マイクロ波加熱装置 | |
JP2015162321A (ja) | 高周波加熱装置 | |
CN116867134A (zh) | 微波烹饪电器和微波探针组件 | |
CN116963336A (zh) | 烹饪器具 | |
JP4888221B2 (ja) | マイクロ波加熱装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20170119 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20170125 |