JP6861010B2 - 練歯磨組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、練歯磨組成物に関する。
歯表面に歯垢や種々の汚れが付着すると、これを温床とする細菌によって産出される酸が浸潤又は拡散することとなるため、エナメル質の主体であるハイドロキシアパタイトが浸蝕されて、歯の表層下脱灰が進行するおそれがあるだけでなく、歯表面の荒れやくすみが生じるおそれもある。こうしたなか、口腔内においてフッ素イオンを放出することのできるフッ素イオン供給化合物は、歯表面にてエナメル質に有効に作用させると、ハイドロキシアパタイトの水酸基をフッ素に置換し、フルオロアパタイトに変化させて再石灰化を促進することが可能となることから、従来より種々の口腔用組成物に用いられている。
例えば、特許文献1には、カルシウムイオン供給化合物、フッ素イオン供給化合物、及びポリオールリン酸イオン供給化合物等を使用時に混合して用いる多組成物系の口腔用組成物が開示されており、組成物中でフッ化カルシウムが析出してしまうのを未然に防止しつつ、歯の脱灰抑制効果や再石灰化促進効果を高めている。また、特許文献2には、研磨性シリカ、フッ素イオン供給化合物、乳酸カルシウム等のカルシウムイオン供給化合物、及び糖アルコールを含有する歯磨き剤が開示されており、優れた研磨性や再石灰化の効果を付与している。さらに、特許文献3には、フッ素イオン供給化合物、乳酸カルシウム等のカルシウムイオン供給化合物及び糖アルコールを含有し、これらの化合物により生じるカルシウムイオンのモル数がフッ素イオンのモル数の0.5倍以上である口腔用組成物が開示されており、コロイド状のフッ化カルシウムを生成させて再石灰化の促進を図っている。
一方、特許文献4には、ブロメライン及びキシリトールを含み、グリセロリン酸カルシウムと無機又は有機マグネシウム塩とを抗カリエスミネラル添加剤として併用する組成物が開示されており、マグネシウムによって歯組織へのリン酸塩取り込みを促進し、歯の再石灰化の維持やエナメル質のう蝕耐性増強効果を高めている。
特開2005−112841号公報 特開平11−49653号公報 特開2000−191486号公報 特開2009−517382号公報
しかしながら、特許文献1のような多組成物系の口腔用組成物であると、使用時に混合する手間が生じてしまう一方、特許文献2〜3に記載の組成物であっても、組成物中におけるフッ化カルシウムの形成を充分に抑制できないおそれがあり、組成物の保存安定性が損なわれるおそれがあるだけでなく、歯表面において効率よくフッ素イオンを供給できないおそれもある。他方、特許文献4に記載の組成物では、マグネシウムの存在によってフッ化カルシウムの形成が阻害されるおそれがあり、フッ素イオンの取り込み量を充分に増大させるには、依然として改善の余地がある。
したがって、本発明は、フッ化カルシウムの析出を抑制して組成物の保存安定性を確保するとともに、フッ素イオンの取り込み量を充分に増大させることのできる練歯磨組成物に関する。
そこで本発明者は、種々検討したところ、キシリトール、特定量のフッ素イオン供給化合物、グリセロリン酸カルシウム、及び水を各々特定の質量比で含有しつつ、特定の多価金属の含有を制限することにより、フッ化カルシウムの微粒子化を図りながらその析出を有効に抑制して組成物の保存安定性を確保し、フッ素イオンの取り込み量を効果的に増大させることのできる練歯磨組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)キシリトール
(B)フッ素イオン供給化合物 0.02質量%以上5質量%以下
(C)グリセロリン酸カルシウム
(D)水
を含有し、
成分(C)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((C)/(B))が0.8以上8以下であり、成分(A)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((A)/(D))が0.22以上1以下であり、かつ
マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛、及び錫から選ばれる1種又は2種以上の多価金属の含有量が金属原子換算量で0.002質量%以下
である練歯磨組成物に関する。
また、本発明は、予め加温した成分(D)に、成分(A)、(B)、及び(C)を添加する工程を備える上記練歯磨組成物の製造方法に関する。
本発明の練歯磨組成物によれば、形成されるフッ化カルシウムを有効に微粒子化して歯表面に効率的に付着させ、組成物中でフッ化カルシウムが析出してしまうのを効果的に抑制して、組成物の高い保存安定性を確保することができる。そのため、歯表面においてフッ素イオンの取り込み量を増大させ、これを効果的に作用させることができるので、再石灰化の促進に大いに寄与するとともに、脱灰が進行して脆弱化した歯の硬度を回復させることが可能である。また、歯表面において微粒子化されたフッ化カルシウムを緻密かつ均一に付着させることもできるため、歯の光沢感を高めて歯表面に美しい艶をもたらすことも可能である。
試験例1において、実施例4及び比較例1〜2で得られた歯磨組成物を用いて求めたΔSMHの値を示すグラフである。 試験例2において、実施例4で得られた歯磨組成物を用いて処理した歯表面を観察したSEM写真である。図2(a)は600μm×450μmのSEM写真であり、図2(b)は図2(a)の中央部周辺を部分拡大した60μm×45μmのSEM写真である。 試験例2において、比較例1で得られた歯磨組成物を用いて処理した歯表面を観察したSEM写真である。図3(a)は600μm×450μmのSEM写真であり、図3(b)は図3(a)の中央部周辺を部分拡大した60μm×45μmのSEM写真である。 試験例2において、実施例4及び比較例1〜2で得られた歯磨組成物を用いて求めた光沢度を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の練歯磨組成物は、成分(A)としてキシリトールを含有する。かかる成分(A)は、後述する成分(B)のフッ素イオン供給化合物と成分(C)のグリセロリン酸カルシウムにより形成されるフッ化カルシウムの粒子を包埋して、かかる粒子同士の凝集を効果的に抑制し、歯表面に付着するフッ化カルシウムの微粒子化を促進することができる。
成分(A)の含有量は、フッ化カルシウムの微粒子化を有効に促進する観点から、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは14質量%以上であり、よりさらに好ましくは17質量%以上である。また、成分(A)の含有量は、組成物の保存安定性を確保する観点から、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは27質量%以下であり、よりさらに好ましくは24質量%以下である。そして、成分(A)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは8〜30質量%であり、さらに好ましくは14〜27質量%であり、よりさらに好ましくは17〜24質量%である。
本発明の練歯磨組成物は、成分(B)として、フッ素イオン供給化合物を0.02質量%以上5質量%以下含有する。かかる成分(B)を特定の量で含有することにより、口腔内において有効にフッ素イオンを供給し、成分(A)の存在下、後述する成分(C)のグリセロリン酸カルシウムと相まって、効果的に成分(A)に包埋されつつ有効に微粒子化されたフッ化カルシウムを生成させることができる。
成分(B)としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸ヘキシルアミン、フッ化水素酸デカノールアミン、及びフッ化水素酸オクタデセニルアミンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、効率的にフッ化カルシウムを形成し、歯表面におけるフッ素イオンの取り込み量を有効に増大させる観点から、成分(B)としてフッ化ナトリウムを含むのが好ましい。
成分(B)の含有量は、フッ化カルシウムを効率的に形成させる観点から、本発明の練歯磨組成物中に、0.02質量%以上であって、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.16質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、組成物の保存安定性を確保する観点から、本発明の練歯磨組成物中に、5質量%以下であって、より好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。そして、成分(B)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、0.02〜5質量%であって、好ましくは0.1〜2質量%であり、より好ましくは0.16〜0.5質量%である。なお、成分(B)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、フッ素原子換算量で0.01〜2.26質量%であって、好ましくは0.05〜0.9質量%であり、より好ましくは0.07〜0.23質量%である。
成分(A)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((A)/(B))は、成分(A)が効果的にフッ化カルシウムの粒子を包埋して微粒子化を促進する観点から、好ましくは80以上であり、より好ましくは140以上であり、さらに好ましくは160以上であり、よりさらに好ましくは180以上である。また、成分(A)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((A)/(B))は、組成物の保存安定性及び高いフッ素イオンの取り込み量を確保する観点から、好ましくは500以下であり、より好ましくは400以下であり、さらに好ましくは300以下であり、よりさらに好ましくは250以下である。そして、成分(A)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((A)/(B))は、好ましくは80〜500であり、より好ましくは140〜400であり、さらに好ましくは160〜300であり、よりさらに好ましくは180〜250である。
本発明の練歯磨組成物は、成分(C)として、グリセロリン酸カルシウムを含有する。かかる成分(C)は、乳酸カルシウム等の他のカルシウム源とは異なり、成分(B)と相まって効率よくフッ化カルシウムを形成しながら微粒子化を促進することができ、歯表面への吸着性を効果的に高め、フッ素イオンの取り込み量増大に大きく寄与することが可能となる。
成分(C)の含有量は、フッ化カルシウムの微粒子化を有効に促進する観点から、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.08質量%以上であり、より好ましくは0.12質量%以上であり、さらに好ましくは0.15質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.18質量%以上である。また、成分(C)の含有量は、組成物の保存安定性を確保する観点から、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.6質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.48質量%以下である。そして、成分(C)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.08〜1質量%であり、より好ましくは0.12〜0.8質量%であり、さらに好ましくは0.15〜0.6質量%であり、よりさらに好ましくは0.15〜0.5質量%であり、よりさらに好ましくは0.18〜0.48質量%である。なお、成分(C)は、組成物中において、グリセロリン酸又はグリセロリン酸カルシウムとして存在し得るため、本明細書において成分(C)の含有量とは、グリセロリン酸カルシウム換算量を意味する。
成分(C)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((C)/(B))は、形成されるフッ化カルシウムの微粒子化を促進する観点から、0.8以上であって、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは1.8以上であり、よりさらに好ましくは2以上である。また、成分(C)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((C)/(B))は、組成物の保存安定性を確保する観点から、8以下であって、好ましくは7以下であり、より好ましくは6以下であり、さらに好ましくは5.5以下であって、よりさらに好ましくは4.8以下である。そして、成分(C)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((C)/(B))は、0.8〜8であって、好ましくは1〜7であり、より好ましくは1.5〜6であり、さらに好ましくは1.8〜5.5であり、よりさらに好ましくは2〜4.8である。
本発明の練歯磨組成物は、成分(D)として、水を含有する。これにより、各成分を良好に溶解又は分散させつつ、微細なフッ化カルシウム粒子を有効に形成させ、かかる粒子を口腔内に良好に拡散させて効率よく歯表面に付着させることができる。水(D)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、よりさらに好ましくは25質量%以上である。また、成分(D)の含有量は、組成物の保存安定性を確保する観点から、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以下であり、よりさらに好ましくは40質量%以下である。そして、成分(D)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜45質量%であり、よりさらに好ましくは25〜40質量%である。
成分(A)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((A)/(D))は、形成されるフッ化カルシウムの微粒子化を促進する観点から、0.22以上であって、好ましくは0.26以上であり、より好ましくは0.32以上であり、さらに好ましくは0.38以上であり、よりさらに好ましくは0.43以上である。また、成分(A)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((A)/(D))は、組成物の保存安定性を確保する観点から、1以下であって、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.8以下であり、さらに好ましくは0.7以下であり、よりさらに好ましくは0.65以下であり、よりさらに好ましくは0.6以下である。そして、成分(A)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((A)/(D))は、0.22〜1であって、好ましくは0.26〜0.9であり、より好ましくは0.32〜0.8であり、さらに好ましくは0.38〜0.7であり、よりさらに好ましくは0.38〜0.65であり、よりさらに好ましくは0.43〜0.6である。
成分(D)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((D)/(B))は、形成されるフッ化カルシウムの微粒子化を促進する観点から、好ましくは230以上であり、より好ましくは270以上であり、さらに好ましくは300以上であり、よりさらに好ましくは330以上である。また、成分(D)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((D)/(B))は、組成物の保存安定性を確保する観点から、好ましくは510以下であり、より好ましくは480以下であり、さらに好ましくは450以下であり、よりさらに好ましくは420以下である。そして、成分(D)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((D)/(B))は、好ましくは230〜510であり、より好ましくは270〜480であり、さらに好ましくは300〜450であり、よりさらに好ましくは330〜420である。
成分(C)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((C)/(D))は、形成されるフッ化カルシウムの微粒子化を促進する観点から、好ましくは0.002以上であり、より好ましくは0.004以上であり、さらに好ましくは0.006以上であり、よりさらに好ましくは0.008以上である。また、成分(C)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((C)/(D))は、組成物の保存安定性を確保する観点から、好ましくは0.03以下であり、より好ましくは0.025以下であり、さらに好ましくは0.018以下であり、よりさらに好ましくは0.013以下である。そして、成分(C)の含有量と成分(D)の含有量との質量比((C)/(D))は、好ましくは0.002〜0.03であり、より好ましくは0.004〜0.025であり、さらに好ましくは0.006〜0.018であり、よりさらに好ましくは0.008〜0.013である。
本発明の練歯磨組成物において、マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛、及び錫から選ばれる1種又は2種以上の多価金属の含有量は、金属原子換算量で0.002質量%以下である。すなわち、本発明の練歯磨組成物では、かかるマグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛、及び錫から選ばれる1種又は2種以上の多価金属が存在すると、成分(B)により供給されるフッ素イオンとともにフッ化金属塩を形成して、成分(B)と成分(C)によるフッ化カルシウムの形成を阻害するおそれが高まるため、金属原子換算量を基準にその含有を制限するものである。
かかるマグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛、及び錫から選ばれる1種又は2種以上の多価金属の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、0.002質量%以下であって、好ましくは0.0015質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以下であり、或いは本発明の練歯磨組成物は、カルシウム以外の多価金属を含有しないのが好ましい。
なお、上記多価金属の含有量は、ICP発光分析法(ICP発光分析装置:Perkin Elmer社 Optima 5300DV)で測定し、金属原子量に換算することにより求めることができる。
本発明の練歯磨組成物は、成分(B)のフッ素イオン供給化合物以外のフッ化物として、モノフルオロリン酸等の含フッ素化合物を含有することができる。かかる含フッ素化合物を含有することにより、フッ素イオンの取り込み量の増大をさらに補強することが可能となる。含フッ素化合物の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.1〜0.7質量%である。
本発明の練歯磨組成物において、形成されるフッ化カルシウムの微細化を効果的に促進しつつ、組成物の安定化を有効に図る観点から、グリセロリン酸カルシウム以外のカルシウム塩の含有を制限するのが好ましい。グリセロリン酸カルシウム以外のカルシウム塩としては、例えば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、硝酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム等のほか、研磨剤としても用いられるリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
グリセロリン酸カルシウム以外のカルシウム塩の含有量は、上記観点から、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下であり、或いは本発明の練歯磨組成物は、グリセロリン酸カルシウム以外のカルシウム塩を含有しないのが好ましい。
本発明の練歯磨組成物は、粘結剤(a)、又は粘結剤(b)を含む粘結剤を0.4質量%以上2.5質量%以下含有することが好ましい。かかる粘結剤(a)とは、エーテル化度が1以上2以下であり、かつ25℃1質量%水溶液の粘度が150〜500mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種又は2種以上の粘結剤であり、粘結剤(b)とは、エーテル化度が0.8以上1以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種又は2種以上の粘結剤である。すなわち、本発明の練歯磨組成物中における粘結剤は、粘結剤(a)から選ばれる1種又は2種以上のみを含み、又は粘結剤(b)から選ばれる1種又は2種以上のみを含み、或いは粘結剤(a)及び粘結剤(b)から選ばれる2種以上を含むことが好ましい。粘結剤(a)を用いることにより保形性を高めることができ、粘結剤(b)を用いることにより適度な増粘作用を発揮することができる。そのため、例えば本発明の練歯磨組成物において、さらに後述する顆粒(A)及び顆粒(B)のような顆粒を用いる場合、上記粘結剤であれば、これらの顆粒と相まって泡性能を高めたり曳糸性を抑制したりすることも可能となり、また適度な保形性も付与することができる。
なお、上記粘度は、DVH-BII型粘度計(東機産業(株)製)を用い、25℃、60rpm、1分にて測
定することができる。
具体的には、種々のエーテル化度や粘度を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムが存在するなか、粘結剤(a)は、エーテル化度が1以上2以下であり、かつ25℃1質量%水溶液の粘度が150〜500mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種又は2種以上の粘結剤であることから、適度な増粘作用を発揮しつつ、曳糸性を抑制し、適度な保形性を付与することができる。かかる粘結剤(a)としては、サンローズF35SH(日本製紙ケミカル(株))、CMC1350(ダイセルファインケム(株))等の上市品を用いることができる。
粘結剤(a)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.05質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.07〜0.7質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%である。
粘結剤(b)は、エーテル化度が0.8以上1以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種又は2種以上の粘結剤である。かかる粘結剤(b)のカルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、例えば、サンローズF03HC(日本製紙ケミカル(株))、CMC1260(ダイセルファインケム(株))等の上市品を用いることができる。
粘結剤(b)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.1質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.15〜0.7質量%であり、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%である。
本発明の練歯磨組成物は、粘結剤(a)および粘結剤(b)に加え、さらに25℃における1質量%水溶液の粘度が1000mPa・sより大きく10000mPa・s以下のキサンタンガムを含有することが好ましい。キサンタンガムとしては、例えば、ケルデント(DSP五協フード&ケミカル(株))等の上市品を用いることができる。 キサンタンガムの含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.01〜0.5質量%であり、好ましくは0.05〜0.3質量%である。
本発明の練歯磨組成物は、さらに低エーテル化度(エーテル化度が0.1〜0.6)のカルボキシメチルセルロース又はその塩を含有してもよい。エーテル化度が上記範囲外のカルボキシメチルセルロース又はその塩は、例えば上記粘結剤(a)や粘結剤(b)のように、増粘作用を有するために粘結剤として用いられるが、かかる低エーテル化度カルボキシメチルセルロース又はその塩は、そのような増粘作用を有さないものの、例えば上記粘結剤(a)や粘結剤(b)とともに用いることによって、粘度の調整や曳糸性の抑制を容易とし、また良好な保形性や安定性をもたらすことができる。かかる低エーテル化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩としては、具体的には、25℃において1%の水溶液の粘度が200mPa・s未満であるものが好ましく、1〜150mPa・sであるものがより好ましく、10〜150mPa・sであるものがさらに好ましく、例えば、日本製紙ケミカル製のサンローズSLD-F1、サンローズSLD-FMの上市品が挙げられる。かかる低エーテル化度のカルボキシメチルセルロース又はその塩のより好ましいエーテル化度は、0.1〜0.5であり、さらに0.2〜0.4であることが好ましい。
なお、カルボキシメチルセルロースナトリウムにおけるエーテル化度とは、グルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度をいう。エーテル化度は、例えばCMC工業会分析法(灰化法)に従い得ることができる。カルボキシメチルセルロースナトリウム1gを精秤し、磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10硫酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定し、カルボキシメチルセルロースナトリウム1gあたりの滴定量YmLを次式に入れて計算し、求めたエーテル化度を示すことができる。
エーテル化度=(162×Y)/(10,000−80×Y)
本発明の練歯磨組成物に用いられる粘結剤としては、粘度の調整の観点、適度な保形性、曳糸性抑制の観点、安定性の観点から、粘結剤(a)から選ばれる1種又は2種以上のみを含む粘結剤であるのが好ましく、保形性と粘性のバランス、より優れた泡性能の観点から、粘結剤(a)から選ばれる1種又は2種以上と、粘結剤(b)から選ばれる1種又は2種以上と、キサンタンガムとを併用するのが好ましい。また、本発明の練歯磨組成物は、保形性と粘性のバランス、より優れた泡性能の観点、さらに使用時の清掃効果を高める観点から、粘結剤(a)、粘結剤(b)、或いは上記低エーテル化度のカルボキシメチルセルロース等のいずれかのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、キサンタンガムとを併用するのが好ましい。
本発明の練歯磨組成物は、さらに他の粘結剤を含有することができる。粘結剤としては、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム及びメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の練歯磨組成物は、上記粘結剤とともに、さらに増粘性シリカを併用することが好ましい。増粘性シリカとは、吸油量が200〜400mL/100gのシリカである。ここで、吸油量とは、シリカが担持できる油量を示したものであり、JIS K5101−13−2(2004年制定)に基づく測定方法により、吸収される煮あまに油の量により特定される値である。かかる増粘性シリカの含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは1〜12質量%である。
本発明の練歯磨組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに研磨剤を含有することができる。本発明の練歯磨組成物は、フッ素イオン取り込み量を増大させることに加え、歯面に優れた光沢感をもたらすこともできるため、さらに研磨剤を含有することで歯垢や汚れ等の除去効果を高めて、かかる光沢付与効果を増強させることも可能となる。研磨剤としては、例えば研磨性シリカ(吸油量が50〜150mL/100gであり、かかる吸油量とは上記と同様の方法により測定される値を意味する)等が挙げられる。研磨剤は、RDA値(Radioactive Dentine Abrasion values、ISO11609(2010年制定)研磨性の試験方法 付随書Aにより測定される値)が20〜250のものが一般に用いられる。研磨剤の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは1〜20質量%である。なお、研磨剤とは、粒径が45μm未満の粉体を意味する。
本発明の練歯磨組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに顆粒を含有することができる。本発明の練歯磨組成物は、フッ素イオン取り込み量を増大させることに加え、歯面に優れた光沢感をもたらすこともできるため、さらに顆粒を含有することで歯垢や汚れ等の除去効果を高めて、かかる光沢付与効果を増強させることも可能となる。なお、顆粒とは、45μm以上の粒径を有するものを意味する。
かかる顆粒としては、例えば平均粒径が100μm以上300μm以下であり、かつ顆粒1個に荷重速度1.51g/secの圧縮をかけて崩壊する時点の(式1):
変形率(%)=(崩壊時点の圧縮方向の変位/圧縮前の粒子径)×100・・(式1)
で表される圧縮方向の粒子の変形率が35%以上70%以下である顆粒(A)が挙げられる。顆粒(A)は、荷重を低めたブラッシングによっても容易に変形するため、適度な平均粒径を有することとも相まって、歯と歯の隙間のような狭小な部位にも有効に侵入し、次第に崩壊していく一部の顆粒とも絡み合いながら、効果的に歯垢や汚れ等を除去することができる。かかる顆粒(A)を製造するにあたり、用いる材料としては、好ましくはシリカ、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ゼオライト、複合アルミノケイ酸塩、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム及び不溶性メタリン酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはシリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びゼオライトから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはシリカであり、湿式のゲル化法により製造されるのが好ましい。
顆粒(A)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.5〜5質量%であり、より好ましくは0.7〜4質量%であり、さらに好ましくは1〜3質量%である。
かかる顆粒(A)としては、例えば、特開2014−237619号公報に記載の歯磨剤顆粒が挙げられる。
また、本発明の練歯磨組成物において用い得る顆粒として、研磨性粉体40〜90質量%、及び水不溶性無機結合剤10〜45質量%を含有し、表面に凹凸面が形成され、かつ平均粒子径が50〜500μmである顆粒(B)も挙げられる。顆粒(B)の表面の凹凸は、線解析による算術平均粗さ(Ra値)として求めることができる。線解析によるRa値は、平均高低差と同じく、仮想断面でみたときの周縁における周方向の任意の直線における表面の凹凸の高さを平均して求めることができる。本発明の顆粒の線解析によるRa値は、0.5〜5μmであるものが好ましく、1〜3μmであるものが好ましい。
なお、本発明の顆粒の表面の凹凸の高さは、走査電子顕微鏡(VK-9500 キーエンス社製)により測定することができる。顆粒(B)は、口腔内において崩壊前から崩壊後に至るまで、歯の表面及び歯と歯の隙間における清掃性に優れるため、例えば歯磨き開始から終了時まで歯垢や汚れ等を除去し続けることができる。かかる顆粒(B)の製造方法としては、まず研磨性粉体である無水ケイ酸に、コロイダルシリカ(スノーテックスSK、日産化学(株))、セルロース(KCフロック W−400G、日本製紙ケミカル(株))及び精製水を混合して水スラリーとする。このときの水スラリーは固形分50%濃度となるように調整し、さらに水スラリーを噴霧造粒機により送風温度約200℃、排風温度80〜90℃で噴霧造粒する。その後得られた顆粒を1〜90μm/500μm(粒子径90〜500μm)のふるいで分級する方法が挙げられる。
顆粒(B)の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは2〜10質量%であり、より好ましくは3〜8質量%であり、さらに好ましくは4〜7質量%である。
かかる顆粒(B)としては、例えば、特開2011−11998号公報に記載の歯磨剤顆粒が挙げられる。
本発明の練歯磨組成物では、これらの顆粒(A)、及び顆粒(B)から選ばれる1種又は2種を用いるのが好ましく、顆粒(A)及び顆粒(B)を併用するのがより好ましく、顆粒(A)と顆粒(B)の含有量の質量比(顆粒A/顆粒B)は、柔軟な顆粒Aと凹凸のある顆粒Bとの相乗効果により歯の清掃性を向上させる観点から、好ましくは0.1〜1であり、より好ましくは0.2〜0.8であり、さらに好ましくは0.3〜0.6である。
本発明の練歯磨組成物は、さらに、湿潤効果及び風味の観点から、ソルビトールを含有することが好ましい。かかるソルビトールの含有量は、良好な風味と湿潤効果を得る観点から、本発明の練歯磨組成物中に、ソルビトール自体の有効量で、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2.5質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
本発明の練歯磨組成物は、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、カチオン性殺菌剤を含有することができる。本発明の練歯磨組成物に含有されるカチオン性殺菌剤としては、具体的には、第四級アンモニウム化合物、ビグアニド系化合物等が挙げられる。第四級アンモニウム化合物に属するカチオン性殺菌剤としては、例えば塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、及び塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウムから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、ビグアニド系化合物に属するカチオン性殺菌剤としては、例えばクロルヘキシジン及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。なかでも、第四級アンモニウム化合物から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、さらに塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムが好ましく、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウムから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
カチオン性殺菌剤の含有量は、殺菌効果、組成物の保存安定性及び味の観点から、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以下である。そして、カチオン性殺菌剤の含有量は、本発明の練歯磨組成物中に、好ましくは0.001〜0.05質量%であり、より好ましくは0.005〜0.03質量%である。
本発明の練歯磨組成物は、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種界面活性剤;グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の湿潤剤;酸化チタン等の着色剤;甘味剤;香料;pH調整剤;抗炎症剤;防腐剤;植物抽出物;その他有効成分等を含有することができる。
本発明の練歯磨組成物を口腔内に適用することにより、歯表面におけるフッ素イオンの取り込み量を有効に増大させ、効果的に再石灰化を促進することができるので、脱灰の進行等により脆弱化した歯の硬度を充分に回復させることも可能である。ここで、歯表面の硬度は、ヌープ硬度((SMH)、JISZ−2251(2005年制定))で表すことができる。本発明の練歯磨組成物を適用した際の歯表面の硬度回復度(ΔSMH)は練歯磨組成物の適用前におけるヌープ硬度(脱灰後硬度)と適用後のヌープ硬度(再石灰化後硬度)の値を元に、次式で表される。
歯表面の硬度回復度(ΔSMH)=再石灰化後硬度−脱灰後硬度
なお、ヌープ硬度の値は、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の練歯磨組成物は、予め加温した成分(D)に、成分(A)、(B)、及び(C)を添加する工程を備える製造方法により得ることができる。成分(A)〜(D)以外の成分は、成分(A)、(B)、及び(C)とともに添加すればよく、これらの成分を添加した後、常法にしたがって混合すればよい。成分(D)を加温する際の温度は、好ましくは60〜80℃であり、より好ましくは60〜70℃であるかかる製造方法により、各成分が良好に溶解又は分散し、所望の効果を充分に発揮することのできる本発明の練歯磨組成物を得ることができる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[実施例1〜5]
表1に示す処方にしたがい、予め精製水を60〜80℃に加温し、恒温槽に投入した後、成分(A)、(B)、(C)、及びその余の成分を投入して混合し、各練歯磨組成物を調製した。
次いで、得られた練歯磨組成物を用い、下記方法にしたがってフッ素イオン取り込み量の測定及び保存安定性の評価を行った。
結果を表1に示す。
《フッ素イオン取り込み量の測定》
実施例1〜5の練歯磨組成物2.5gをイオン交換水にて4倍希釈し、各試料10gを得た。得られた各試料の4倍希釈液にHAPペレット(APP−100 HOYA)10mm×10mm×2mmを浸漬して3分間置いた後、イオン交換水で練歯磨組成物を除去してペレットを乾燥させた。乾燥後のペレットから1Nの塩酸によって30秒間フッ素イオンの抽出を行い、フッ素イオン電極(ionplus20Fluoride(ORION社製))を用い、イオンアナライザー(Expandable ionAnalyzer EA 940(ORION社製))を使用してHAPペレットに吸着したフッ素量をフッ素イオン取り込み量とみなして定量した。
《保存安定性》
実施例1〜5の練歯磨組成物を、保存用のチューブに詰め、40℃で1か月間保存する。その後、チューブを切り開いて、練歯磨組成物の状態をフッ素イオンの取り込み量の保存前と保存後の変化量で評価する。
Figure 0006861010
[試験例1:歯面硬度の回復度(ΔSMH)の測定]
表1に示す処方の実施例4、及び表2に示す処方の比較例1〜2の練歯磨組成物を用い、以下の手順にしたがってΔSMHの測定を行った。
手順1.脱灰後硬度の測定
牛歯の歯冠部を4分割した後、表層を150μm深さで鏡面研磨して、4×4mmのウィンドウを除いて油性マニキュアで被覆し、試験に用いる牛歯切片を形成した。次に、各牛歯切片を脱灰ゲル(pH4.5)20mLに37℃、3日間浸漬した。ここで脱灰ゲルとしては、3mMのカルシウム、1.8mMのリン酸、0.1M規定の乳酸緩衝液、及びヒドロキシエチルセルロースゲルから作成したものを用いた。その後、脱灰ゲルから取出し乾燥させた牛歯切片ウィンドウ内の5点を25gの荷重で5秒間押圧することにより表面のヌープ硬度を測定し、それぞれの硬度の平均値を算出して、脱灰後硬度の値とした。
手順2.再石灰化後硬度の測定
(1)牛歯切片を試験液に5分浸漬した。ここで、試験液とは実施例4、比較例1,2の各練歯磨組成物のイオン交換水による4倍希釈液である。
(2)牛歯切片を37℃の脱灰液に6時間浸漬した。ここで、脱灰液としては、2mMのカルシウム、2mMのPO4イオン、及び75mM規定の酢酸緩衝液から作成したpH4.3の液体を用いた。
(3)前述の脱灰操作を行った牛歯切片を試験液に5分浸漬した。ここで、試験液とは、前述と同じく、実施例4、比較例1〜2の各練歯磨組成物のイオン交換水による4倍希釈液である。
(4)牛歯切片を37℃の再石灰化液に16時間浸漬した。ここで、再石灰化液としては、1.5mMのカルシウム、0.9mMのPO4イオン、150mMの塩化カリウム水溶液、及び20mMのHEPES(バッファー)から作成したpH7.0の液体を用いた。
(5)上記(1)から(4)までの操作を5回繰り返した後、得られた牛歯切片を37℃の再石灰化溶液に2日間ほど浸漬させた。その後、再石灰化液から取出し乾燥させた牛歯ウィンドウ内の5点を25gの荷重で5秒間押圧することで表面のヌープ硬度を測定し、それぞれの硬度の平均値を算出して、再石灰化後硬度の値とした。
手順3.ΔSMHの算出
上記手順1、及び手順2で得られた脱灰後硬度、及び再石灰化後硬度の値を用いて、下記式にしたがってΔSMHを求め、歯の表面硬度の回復度を評価する指標とした。
歯表面の硬度回復度(ΔSMH)=再石灰化後硬度−脱灰後硬度
実施例4も含め、結果を図1、及び表2に示す。
Figure 0006861010
[試験例2:歯表面の観察、並びに表面形状及び光沢度の測定]
表1に示す処方の実施例4、及び表2に示す処方の比較例1〜2の歯磨組成物の4倍希釈液を試験液とし、試験例1に示す脱灰、再石灰化工程を経た牛歯切片のウィンドウ内の表面をSEM(リアルサーフェスビュー顕微鏡:KEYENCE VE−7800)を用いて撮影した。実施例4で得られた写真を図2に示し、比較例2で得られた写真を図3に示す。
次に、形状解析レーザー顕微鏡(KEYENCE VK−X200)により、歯表面粗さ(Ra:μm)を測定した。また、光沢計(Novo−Curve 曲面光沢計:RHOPOINT)を用い、屈折率1.567の黒色鏡面ガラス板表面において、入射角60°の可視光の鏡面反射率が10%の場合を光沢度100とし、各光沢度を測定した。
実施例4、及び比較例1〜2で得られた結果を図4、及び表2に示す。
[実施例6]
下記処方にしたがい、実施例1と同様にして、フッ素イオン取り込み量及び保存安定性に優れる練歯磨組成物を調製した。
キシリトール 20質量%
フッ化ナトリウム 0.33質量%
グリセロリン酸カルシウム 0.4質量%
ソルビトール 12.14質量%
ポリエチレングリコール 5.0質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウムA※1 0.2質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウムB※2 0.4質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウムC※3 0.5質量%
キサンタンガム 0.1質量%
増粘性シリカ 7.7質量%
研磨性シリカ 10.0質量%
顆粒A※4 2.0質量%
顆粒B※5 5.0質量%
塩化セチルピリジニウム 0.02質量%
DL−リンゴ酸 0.17質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5質量%
酸化チタン 0.1質量%
香料 1.0質量%
サッカリンナトリウム 0.13質量%
精製水 33.32質量%
計 100質量%
※1〜5:表1と同様
a:鏡面研磨した牛歯の光沢度
b:脱灰歯の光沢度

Claims (8)

  1. 次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
    (A)キシリトール
    (B)フッ素イオン供給化合物 0.02質量%以上5質量%以下
    (C)グリセロリン酸カルシウム
    (D)水
    を含有し、
    成分(C)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((C)/(B))が以上8以下であり、成分(A)の含有量と成分(D)の含有量と質量比((A)/(D))が0.22以上1以下であり、かつ
    マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛、及び錫から選ばれる1種又は2種以上の多価金属の含有量が金属原子換算量で0.002質量%以下
    である練歯磨組成物。
  2. 成分(A)の含有量が、5質量%以上40質量%以下である請求項1に記載の練歯磨組成物。
  3. 成分(A)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((A)/(B))が、80以上500以下である請求項1又は2に記載の練歯磨組成物。
  4. 成分(B)が、フッ化ナトリウムを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の練歯磨組成物。
  5. 水(D)の含有量が、15質量%以上50質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の練歯磨組成物。
  6. 成分(D)の含有量と成分(B)のフッ素原子換算量との質量比((D)/(B))が、230以上以下510である請求項1〜5のいずれか1項に記載の練歯磨組成物。
  7. 予め加温した成分(D)に、成分(A)、(B)、及び(C)を添加する工程を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の練歯磨組成物の製造方法。
  8. 加温の温度が、60〜80℃である請求項7に記載の製造方法。
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