JP6860844B2 - 加熱搬送装置、及び、画像形成装置 - Google Patents
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そして、駆動手段によって加圧ローラが回転駆動されて、ニップ部における加圧ローラとの摩擦抵抗によって、定着ベルトも加圧ローラの回転にともない従動回転(連れ回り)することになる。
そして、ヒータによって定着ベルトが直接的に加熱されて、ニップ部に向けて搬送されるシート(被加熱体)上のトナー像が、ニップ部にて熱と圧力とを受けてシート上に定着されることになる。
また、特許文献2には、上述した駆動トルクが大きくなる不具合を防止することを目的として、ウォーミングアップ時に定着ベルトをヒータ(第1加熱手段)によって加熱して、潤滑剤の粘性が低くなるように潤滑剤を温める技術が開示されている。
また、上述した特許文献2の定着装置(加熱搬送装置)は、ヒータ(第1加熱手段)によって加熱された定着ベルト(ベルト部材)の熱が、ニップ部の位置に介在される潤滑剤に充分に伝わらずに、潤滑剤の粘性が充分に低くならなかった。
図1に示すように、本実施の形態における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面には、僅かながら未転写トナーが残存する。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、給紙部12には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
その後、シートPは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
定着装置20は、被加熱体としてのシートP(未定着状態のトナーが担持されたシートである。)を加熱しながら搬送する加熱搬送装置である。
図2〜図4等を参照して、加熱搬送装置としての定着装置20は、ベルト部材としての定着ベルト21、ニップ部形成部材26、補強部材23、第1加熱手段としてのヒータ25(熱源)、弾性ローラ31(加圧ローラ)、減圧機構50、温度検知手段としての温度検知センサ40、シート状部材22(潤滑剤供給部材)、可撓性部材27(板バネ状部材)、第2加熱手段としての面状ヒータ35、等で構成される。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、シートP上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が5〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
ここで、ニップ部形成部材26は、定着ベルト21の内側(内周面側)において定着ベルト21を介して弾性ローラ31に圧接して、シートP(被加熱体)が搬送されるニップ部を形成している。すなわち、ニップ部形成部材26は、定着ベルト21の内周面に摺接するように設置されている。そして、ニップ部形成部材26が定着ベルト21を介して弾性ローラ31に圧接することで、被加熱体としてのシートPが搬送されるニップ部が形成される。
なお、図2、図3等を参照して、ニップ部形成部材26は、補強部材23にネジ締結などによって接合されている。そして、ニップ部形成部材26は、補強部材23とともに、減圧機構50によって図2の黒両矢印方向に移動可能に構成されているが、これについては後で詳しく説明する。
また、図2、図4(A)等を参照して、ニップ部形成部材26には、定着ベルト21に対向する面に対して反対側の面(補強部材23に対向する面である。)に、第2加熱手段としての面状ヒータ35が一体的に設置されているが、これについても後で詳しく説明する。
詳しくは、第1加熱手段としてのヒータ25は、ハロゲンヒータ(又はカーボンヒータ)であって、その両端部が定着装置20の側板43に固定されている(図3を参照できる。)。そして、装置本体1の電源部により出力制御されたヒータ25(第1加熱手段)の輻射熱によって、定着ベルト21においてニップとは異なる加熱領域(ヒータ25に対向する領域である。)が主として加熱される。さらに、加熱された定着ベルト21の表面からシートP上のトナー像Tに熱が加えられる。なお、ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に対向するサーモパイル、サーミスタ等の温度検知センサ40(温度検知手段)によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。また、このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定することができる。
なお、本実施の形態では、定着ベルト21の内周面側に2本のヒータ25(第1加熱手段)を設置したが、定着ベルト21の内周面側に1本又は3本以上のヒータを設置することもできる。
特に、本実施の形態における定着装置20は、定着ベルト21がヒータ25(第1加熱手段)によって直接的に加熱されるように構成されているため、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上するとともに、定着装置20をさらに低コスト化・小型化することができる。
詳しくは、2つのガイド部材29は、耐熱性樹脂材料等で形成されていて、定着装置20の幅方向両端部の側板43にそれぞれ嵌め込まれている。ガイド部材29には、定着ベルト21の略円筒の姿勢を維持しながら定着ベルト21を保持するためのガイド部29aや、定着ベルト21の幅方向の移動(ベルト寄り)を規制するためのストッパ部、等が設けられている。
なお、ガイド部材29は、ニップ部形成部材26によるニップ部の形成や、後述するニップ部形成部材26(及び、補強部材23)や可撓性部材27の動作を妨げないように、ニップ部を除く周方向の範囲であって、幅方向両端に配置されている。
このように、本実施の形態における定着装置20は、定着ベルト21のさらなる加熱効率の向上や装置の低コスト化・小型化等を目的として、パイプ状の加熱部材を取り外して、パイプ状の加熱部材を介することなく定着ベルト21を第1加熱手段(ヒータ25)によって直接的に加熱する構成を採用している。
図3を参照して、補強部材23は、幅方向の長さがニップ部形成部材26よりも長くなるように形成されていて、その幅方向両端部が定着装置20の側板43に図3の上下方向(図2の左右方向である。)に移動可能に保持されている。
そして、補強部材23がニップ部形成部材26及び定着ベルト21を介して弾性ローラ31に当接することで、ニップ部においてニップ部形成部材26が弾性ローラ31の加圧力を受けて大きく変形する不具合を抑止している。本実施の形態において、補強部材23は、ヒータ25が位置する側に傾斜面が形成された略三角形の断面を有する部材である。この補強部材23は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが好ましい。
なお、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の一部又は全部に、鏡面処理を施したり断熱部材を設けたりした場合であっても、同じような効果を得ることができる。
弾性ローラ31の芯金32は、金属材料で形成された中空構造体(又は、中実構造体)である。弾性ローラ31の弾性層33は、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の材料で形成されている。なお、弾性層33の表層にPFA、PTFE等からなる薄肉の離型層を設けることもできる。弾性ローラ31は定着ベルト21に圧接して、双方の部材間に所望のニップ部を形成する。また、図3を参照して、弾性ローラ31には駆動モータ61の駆動ギアに噛合するギア45が設置されていて、弾性ローラ31は図2中の矢印方向(時計方向)に回転駆動される。また、弾性ローラ31は、その幅方向両端部が定着装置20の側板43に軸受42を介して回転可能に支持されている。なお、弾性ローラ31の内部に、ハロゲンヒータ等の熱源を設けることもできる。
なお、本実施の形態では、ニップ部を形成するニップ部形成部材26の形状を凹状に形成したが、ニップ部を形成するニップ部形成部材26の形状を平面状に形成することもできる。すなわち、ニップ部形成部材26の摺接面(弾性ローラ31に対向する面である。)が平面形状になるように形成することができる。これにより、ニップ部の形状がシートPの画像面に対して略平行になって、定着ベルト21とシートPとの密着性が高まるために定着性が向上する。さらに、ニップ部の出口側における定着ベルト21の曲率が大きくなるために、ニップ部から送出されたシートPを定着ベルト21から容易に分離することができる。
このように、本実施の形態では、ニップ部形成部材26と定着ベルト21との間に、潤滑剤が含浸されたシート状部材22を設けているために、定着ベルト21がニップ部形成部材26に対して間接的に摺接する部分に潤滑剤が介在されていることになる。これに対して、潤滑剤が含浸されたシート状部材を設置せずに、ニップ部形成部材26と定着ベルト21との間に潤滑剤を直接的に塗布することにより、定着ベルト21がニップ部形成部材26に対して直接的に摺接する部分に潤滑剤を介在させても良い。
なお、本実施の形態における定着装置20には、その他に、減圧機構50や可撓性部材27なども設置されているが、これらについては後で詳しく説明する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、弾性ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、ニップ部における弾性ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動回転(連れ回り)する。
その後、給紙部12から被加熱体としてのシートPが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、シートP上に未定着のカラー画像が担持(転写)される。未定着画像T(トナー像)が担持されたシートPは、ガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び弾性ローラ31のニップ部に送入される。
そして、ヒータ25によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強されたニップ部形成部材26と弾性ローラ31との押圧力とによって、シートPの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出されたシートPは、矢印Y11方向に搬送される。
図2、図3を参照して、本実施の形態における定着装置20には、カム51や圧縮スプリング52などからなる減圧機構50が設けられている。この減圧機構50は、弾性ローラ31に対してニップ部形成部材26を離間する方向(図2の左方であって、図3の上方である。)に移動させて、弾性ローラ31に対するニップ部形成部材26のニップ圧(当接圧)を低下させるものである。特に、本実施の形態における減圧機構50は、ニップ部形成部材26とともに補強部材23と面状ヒータ35とをも上述した離間する方向(以下、適宜に「離間方向」と呼ぶ。)に移動させるように構成されている。
そして、制御部60によるカムモータの制御によって、カム51が図3(A)に示す位置(補強部材23を押動しない位置である。)に回動しているときには、圧縮スプリング52の付勢力によって補強部材23がニップ部形成部材26とともに弾性ローラ31に向けて付勢される。これにより、ニップ部形成部材26が所定のニップ圧で定着ベルト21を介して弾性ローラ31に圧接して、所望のニップ部が形成されることになる。そして、このような状態(図2、図3(A)、図7(B)の状態である。)で、先に説明した定着工程がおこなわれることになる。
これに対して、制御部60によるカムモータの制御によって、カム51が図3(B)に示す位置(補強部材23を押動する位置である。)に回動しているときには、圧縮スプリング52の付勢力に抗するように補強部材23がニップ部形成部材26とともに離間方向に押動される。これにより、ニップ部におけるニップ圧が減圧されることになる。なお、本実施の形態では、このような減圧機構50の動作により、ニップ部形成部材26が定着ベルト21から完全に離間して、ニップ部を形成せず、ニップ圧がゼロになるように構成されている。そして、このような状態(図3(B)、図7(A)の状態である。)で、後述するように、ニップ圧を減じた状態で弾性ローラ31の回転駆動にともない定着ベルト21を従動回転させる「ウォーミングアップ動作」がおこなわれることになる。
可撓性部材27は、図7(A)に示すように、減圧機構50によってニップ部形成部材26が離間方向(離間する方向)に移動しているとき(ニップ圧が低下されているときである。)には、定着ベルト21を付勢して定着ベルト21を介して弾性ローラ31のローラ部に圧接するように変形する。
これに対して、可撓性部材27は、図7(B)に示すように、ニップ部形成部材26によってニップ部(定着工程をおこなう通常時に形成されるニップ部である。)が形成されているときには、ニップ部に沿うように変形する。
このとき、可撓性部材27の変形によって定着ベルト21(及び、弾性ローラ31)を付勢する力S2は、弾性ローラ31がニップ部形成部材26(及び、定着ベルト21)を付勢する力Fよりも充分に小さくなるように、可撓性部材27のバネ性やニップ部形成部材26の圧接力などが設定されている。そのため、可撓性部材27に影響されることなく、ニップ部形成部材26と弾性ローラ31との間に、所望の良好なニップ部が形成されることになる。
このとき、可撓性部材27の変形によって定着ベルト21(及び、弾性ローラ31)を付勢する力S1は、図7(B)のときの付勢する力S2よりも小さくなる(F>S2>S1である。)。しかし、そのときの付勢力S1によって、弾性ローラ31との摩擦力によって定着ベルト21が確実に従動回転するように、可撓性部材27のバネ性やニップ部形成部材26の圧接力などが設定されている。そのため、ニップ部形成部材26によって定着ベルト21と弾性ローラ31との間にニップ部が形成されていなくても、弾性ローラ31の回転駆動にともない定着ベルト21を、狙いの回転速度(通常時の回転速度よりも遅い回転速度である。)で、回転不良を生じさせることなく良好かつ安定的に回転させることができる。
そして、このようにニップ圧を減じた状態で弾性ローラ31の回転駆動にともない定着ベルト21を従動回転させる動作は、通常の定着工程(画像形成プロセス)がおこなわれる前のウォーミングアップ時におこなわれる。
なお、可撓性部材27は、定着ベルト21との摺動抵抗を減ずるために、少なくとも定着ベルト21に摺接する部分を、テフロンなどの低摩擦材料で形成することが好ましい。
このように構成することで、可撓性部材27において狙いのバネ性を比較的容易に設定することができて、先に図7を用いて説明した可撓性部材27の変形をコントロールしやすくなる。
保持部材28は、略箱状に形成されている。そして、図7(B)に示すように、通常のニップ部が形成されているときには、可撓性部材27の端部が保持部材28の2つの内壁面(底面と側面とである。)に接触するように、可撓性部材27が保持部材28に保持されて、可撓性部材27のニップ部に沿った変形状態が維持されることになる。これに対して、図7(A)に示すように、ニップ部が解除されているときには、可撓性部材27の端部が保持部材28の1つの内壁面(側面である。)に接触するようにスライドした状態で、可撓性部材27が保持部材28に保持されて、可撓性部材27の略弓状の変形状態が維持されることになる。
そのように、ニップ部形成部材26が設置された範囲の外側に可撓性部材27を設置することで、ニップ部形成部材26の離間方向の移動によって可撓性部材27の変形が妨げられることはなく、さらに、通常の定着工程時においてニップ部形成部材26によって形成されるニップ部が可撓性部材27によって影響を受けにくくなる。
また、弾性ローラ31のローラ部に対向する位置に可撓性部材27を設置することで、ニップ部形成部材26の離間方向の移動によって可撓性部材27が変形したときに、可撓性部材27と弾性ローラ31(ローラ部)との間に定着ベルト21が良好に挟持された状態になって、定着ベルト21が良好に従動回転することになる。すなわち、弾性ローラ31(ローラ部)に対向しない位置(幅方向の外側の範囲である。)に可撓性部材27を設置した場合には、ニップ部形成部材26の離間方向の移動によって可撓性部材27が変形したときに、可撓性部材27と弾性ローラ31(ローラ部)とによって定着ベルト21が歪んだ形状で挟持された状態になり、定着ベルト21が良好に従動回転しないことになる。
これにより、通常の定着工程時において、通紙可能な種々のサイズのシートPに対して、所望のニップ部を形成して良好な定着画像を形成することができる。
これにより、上述したような可撓性部材27の変形が、ガイド部材29によって妨げられる不具合は生じないことになる。
すなわち、定着装置20(画像形成装置1)の稼働が開始される前(ウォーミングアップ時)であって、定着ベルト21とニップ部形成部材26(シート状部材22)とが摺動する部分に介在された潤滑剤が充分に温められておらず粘性が高くなった状態で、通常のニップ部を形成したままでは定着装置20(駆動モータ61)の駆動トルクが大きくなってしまうような場合に、ニップ部を解除した状態で、可撓性部材27により弾性ローラ31の回転にともない定着ベルト21を従動回転させている。これにより、定着装置20(駆動モータ61)の駆動トルクがそれほど大きくなることなく、弾性ローラ31の回転駆動にともない定着ベルト21が充分に安定的に従動回転することになる。そのため、ウォーミングアップ時に、定着ベルト21の回転不良が生じて、ヒータ25によって加熱される定着ベルト21において、周方向の一部が局所的に昇温してしまったり、周方向の加熱ムラが生じてしまったりする不具合が抑止されることになる。
詳しくは、ニップ部形成部材26において、補強部材23に対向する面に凹部を形成して、その凹部に面状ヒータ35を埋め込むように一体的に設置している。先に説明したように、ニップ部形成部材26は、補強部材23に対してネジ締結等によって一体化されている。したがって、ニップ部形成部材26と補強部材23との間に挟まれるように設置された面状ヒータ35も、ニップ部形成部材26と補強部材23とに一体化されていることになる。
面状ヒータ35は、制御部60による制御によって、不図示の電源部から所定のタイミングで電圧が印加されて、ニップ部形成部材26を温めて、シート状部材22に含浸された潤滑剤を温めることになる。
すなわち、ウォーミングアップ時において、図7(A)の状態で弾性ローラ31の回転駆動にともない定着ベルト21の従動回転がおこなわれる前に、弾性ローラ31や定着ベルト21が回転停止した状態で、面状ヒータ35によるプレヒートがおこなわれる。
なお、面状ヒータ35の加熱温度は、その熱によって定着ベルト21が停止状態で加熱されても熱的劣化が生じない程度の温度であって、潤滑剤を温めるのに充分な温度である。
具体的に、潤滑剤の粘性は経時になるほど高くなるため、図2に示すタイマー64によって検知される定着装置20の累積稼働時間(又は、カウンタ63によって検知される累積プリント枚数)が長い(又は、多い)場合に、累積稼働時間(又は、累積プリント枚数)が短い(又は、少ない)場合に比べて、面状ヒータ35によってプレヒートをおこなう時間(所定時間)が長くなるように可変される。
また、潤滑剤の粘性は低温になるほど高くなるため、図2に示す温度センサ62(定着装置20の近傍に設置されている。)によって検知される周囲温度が低い場合に、周囲温度が高い場合に比べて、面状ヒータ35によってプレヒートをおこなう時間(所定時間)が長くなるように可変される。
さらに、潤滑剤の粘性は低温になるほど高くなるため、図2に示す温度検知センサ40によって検知されるベルト表面温度(面状ヒータ35やヒータ25による加熱を開始する前のベルト表面温度である。)が低いときに、ベルト表面温度が高いときに比べて、面状ヒータ35によってプレヒートをおこなう時間(所定時間)が長くなるように可変される。
このような制御をおこなうことにより、潤滑剤の粘性の程度に応じて、面状ヒータ35(第2加熱手段)によるプレヒートを効率的におこなうことができる。
そして、図8に示すように、本実施の形態では、定着工程(被加熱体を加熱しながら搬送する工程である。)が開始される前に、減圧機構50によってニップ部形成部材26を離間方向に移動させた状態で、駆動モータ61(駆動手段)によって弾性ローラ31を回転駆動して、可撓性部材27によって付勢された定着ベルト21を少なくとも加熱領域がニップ部に達するまで従動回転させた後に、その状態で温度検知センサ40によって検知される温度が所定値に達するようにヒータ25(第1加熱手段)を制御している。
すなわち、通常のニップ圧にて定着工程が開始されるよりも少し早いタイミングで、ニップ部が解除された図7(A)の状態で弾性ローラ31の回転とともに定着ベルト21を従動回転させながら、先に図2を用いて説明したような、温度検知センサ40の検知結果に基いたヒータ25の出力制御をおこなっている。
これにより、ニップ圧が低くて駆動トルクが小さな状態で定着ベルト21を回転させながら、定着ベルト21とニップ部形成部材26(シート状部材22)との間に介在される潤滑剤をさらに温めて低粘度化することができる。
図9は、変形例1としてのニップ部形成部材26と可撓性部材27との動作を示す図であって、本実施の形態における図7に対応する図である。また、図10は、図9に示す定着装置20における制御を示すタイミングチャートであって、本実施の形態における図8に対応する図である。
変形例1における定着装置20は、図9(A)に示すように、ウォーミングアップ時において減圧機構50によってニップ部形成部材26(及び、補強部材23)が離間方向(図9の左方である。)に移動されるときに、ニップ部形成部材26が定着ベルト21の内周面から完全に離間するのではなくて、ニップ部形成部材26の角部が定着ベルト21の内周面に部分的に接触した状態(軽加圧した状態である。)になる。そして、このような状態で、ウォーミングアップ時に、弾性ローラ31の回転駆動にともなう定着ベルト21の従動回転がおこなわれることになる。
したがって、ウォーミングアップから定着工程に至る定着装置20の制御に関わるタイミングチャートは、図10のようになる。
そして、変形例1のように構成した場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
図11は、変形例2としての定着装置20を示す概略図であって、本実施の形態における図5(B)に対応する図である。
変形例2における定着装置20は、図11に示すように、減圧機構50が、ニップ部形成部材26(及び、補強部材23)とともにガイド部材29をも離間方向(離間する方向)に移動させるように構成されている。すなわち、通常の定着工程時には、ニップ部形成部材26、補強部材23、ガイド部材29は、図11の実線で示す位置にある。これに対して、ウォーミングアップ時には、減圧機構50(カム51)が稼働されて、ニップ部形成部材26、補強部材23、ガイド部材29は、図11の破線で示す位置に移動する。
ここで、変形例2では、減圧機構50によってガイド部材29が離間方向に移動されたときであっても、定着ベルト21が略筒状の姿勢を保持したまま離間方向に移動しないように構成されている。これにより、減圧機構50によってガイド部材29が離間方向に移動されたときに、移動したガイド部材29によって定着ベルト21が変形して、その変形による力が作用して図7(A)に示すような可撓性部材27の略弓状の変形状態が崩れる不具合を防止することができる。具体的に、ガイド部材29(ガイド部29a)は、図11に示すように、定着ベルト21の内周面に対して隙間をあけて、定着ベルト21をルーズにガイドするように形成されている。
そして、変形例2のように構成した場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
図12は、変形例3としての定着装置20を示す概略図であって、本実施の形態における図5(B)に対応する図である。
変形例3における定着装置20は、図12に示すように、第2加熱手段としての棒状ヒータ36によって弾性ローラ31が加熱される点が、第2加熱手段としての面状ヒータ35によってニップ部形成部材26が加熱される本実施の形態のものと相違する。
詳しくは、第2加熱手段としての棒状ヒータ36は、ニップ部形成部材26の幅方向の範囲とほぼ同じ範囲に延在するように形成されたハロゲンヒータ(又は、カーボンヒータ)であって、弾性ローラ31の内側(中空構造の芯金32の内部である。)において回転中心よりもニップ部に近い位置に固定して配置されている。そして、変形例3でも、棒状ヒータ36について、本実施の形態における面状ヒータ35と同じようなプレヒート制御が、おこなわれることになる。
このように構成した場合であっても、ウォーミングアップ時におこなうプレヒートにおいて、ニップ部の位置にある潤滑剤が、棒状ヒータ36によって加熱された弾性ローラ31によって充分かつ効率的に温められることになり、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。特に、変形例3では、棒状ヒータ36を弾性ローラ31の回転中心よりもニップ部に近い位置に配置しているため、ニップ部の位置にある潤滑剤を効率的に温めやすい。
これにより、潤滑剤の粘性が高くなる状態であっても、その潤滑剤の粘性を充分に低くするとともに、装置の駆動トルクがそれほど大きくなることなく、弾性ローラ31の回転駆動にともない定着ベルト21を充分に安定的に従動回転させることができる。
また、本実施の形態における定着装置20は、断面が略三角形の補強部材23や、略平板状のニップ部形成部材26を用いて、ヒータ25を定着ベルト21の内部の中心から上流側にずれた位置に配置したが、補強部材23やニップ部形成部材26の形態やヒータ25の位置などはこれに限定されることなく、種々の構成の定着装置に対して本発明を適用することができる。
そして、これらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、画像形成装置本体1に設置される定着装置20に対して本発明を適用したが、本発明の適用は定着装置に限定されることなく、被加熱体を加熱しながら搬送する加熱搬送装置のすべてに対して本発明を適用することができる。
そして、これらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
20 定着装置(加熱搬送装置)、
21 定着ベルト(ベルト部材)、
22 シート状部材、
23 補強部材、
25 ヒータ(第1加熱手段)、
26 ニップ部形成部材(固定部材)、
27 可撓性部材(板バネ状部材)、
28 保持部材、
29 ガイド部材(フランジ)、
29a ガイド部、
31 弾性ローラ(加圧ローラ)、
35 面状ヒータ(第2加熱手段)、
36 棒状ヒータ(第2加熱手段)、
40 温度検知センサ(温度検知手段)、
50 減圧機構、
51 カム(減圧機構)、
52 圧縮スプリング(減圧機構)、
61 駆動モータ(駆動手段)、
P シート(記録媒体)。
Claims (16)
- 被加熱体を加熱しながら搬送する加熱搬送装置であって、
弾性層を有するローラ部を具備して、駆動手段によって所定方向に回転駆動される弾性ローラと、
前記弾性ローラの前記ローラ部に外接して、前記弾性ローラの回転にともない従動回転する無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材の内側において前記ベルト部材を介して前記弾性ローラに圧接して前記被加熱体が搬送されるニップ部を形成するニップ部形成部材と、
前記被加熱体を加熱するために前記ベルト部材を加熱する第1加熱手段と、
前記ニップ部形成部材又は前記弾性ローラを加熱する第2加熱手段と、
前記弾性ローラに対して前記ニップ部形成部材を離間する方向に移動させて、前記弾性ローラに対する前記ニップ部形成部材のニップ圧を低下させる減圧機構と、
を備え、
前記ベルト部材が前記ニップ部形成部材に対して直接的又は間接的に摺接する部分に潤滑剤が介在され、
前記減圧機構によって前記ニップ部形成部材が前記離間する方向に移動しているときには前記ベルト部材を付勢して前記ベルト部材を介して前記弾性ローラの前記ローラ部に圧接するように変形して、前記ニップ部形成部材によって前記ニップ部が形成されているときには前記ニップ部に沿うように変形する板バネ状部材が、前記ベルト部材の内側に設置され、
前記板バネ状部材は、前記ニップ部形成部材における幅方向両端部の外側であって、前記弾性ローラの前記ローラ部に対向する位置に設置されたことを特徴とする加熱搬送装置。 - 前記第2加熱手段は、前記駆動手段によって前記弾性ローラの回転駆動と前記ベルト部材の従動回転とが開始される前に、前記駆動手段の駆動を停止した状態で、前記ニップ部形成部材又は前記弾性ローラの加熱を所定時間おこなうことを特徴とする請求項1に記載の加熱搬送装置。
- 前記所定時間は、当該加熱搬送装置の累積稼働時間が長い場合に、前記累積稼働時間が短い場合に比べて、長くなるように可変されることを特徴とする請求項2に記載の加熱搬送装置。
- 前記所定時間は、当該加熱搬送装置の周囲の温度が低い場合に、前記周囲の温度が高い場合に比べて、長くなるように可変されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の加熱搬送装置。
- 前記所定時間は、前記第2加熱手段による加熱を開始する前の前記ベルト部材又は前記弾性ローラの温度が低い場合に、前記温度が高い場合に比べて、長くなるように可変されることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の加熱搬送装置。
- 前記第2加熱手段は、前記ニップ部形成部材に当接する面状ヒータであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の加熱搬送装置。
- 前記第2加熱手段は、前記弾性ローラの内側において回転中心よりも前記ニップ部に近い位置に配置された棒状ヒータであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の加熱搬送装置。
- 前記ニップ部形成部材が設置された幅方向の範囲は、最大サイズの前記被加熱体の幅方向の搬送領域を含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の加熱搬送装置。
- 前記板バネ状部材は、
当該加熱搬送装置に装着されない単体の状態で、前記ベルト部材の曲率よりも小さな曲率を有する湾曲板状の部材、又は、平板状の部材であって、
前記ベルト部材を介して前記弾性ローラに対向する位置で前記ベルト部材の内周面に沿うように湾曲した状態で、当該加熱搬送装置に装着されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の加熱搬送装置。 - 前記湾曲した状態の前記板バネ状部材の両端部を前記ベルト部材の内周面に接触しないように保持するとともに、前記板バネ状部材を変形可能に保持する保持部材を備えたことを特徴とする請求項9に記載の加熱搬送装置。
- 前記ニップ部形成部材が前記ベルト部材に対して前記ニップ圧がゼロになるように離間した状態、又は、前記ニップ部形成部材が前記ベルト部材に対して通常時よりも低い前記ニップ圧で当接した状態、となるように前記減圧機構によって前記ニップ部形成部材が前記離間する方向に移動されたとき、前記板バネ状部材によって付勢された前記ベルト部材が前記弾性ローラの回転にともない従動回転することを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の加熱搬送装置。
- 前記ベルト部材の略筒状の姿勢が保持されるように前記ベルト部材の幅方向両端部をそれぞれガイドするガイド部材を備え、
前記減圧機構は、前記ニップ部形成部材とともに前記ガイド部材をも前記離間する方向に移動させ、
前記減圧機構によって前記ガイド部材が前記離間する方向に移動されたときであっても、前記ベルト部材が前記略筒状の姿勢を保持したまま前記離間する方向に移動しないように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の加熱搬送装置。 - 前記ニップ部形成部材及び前記ベルト部材を介して前記弾性ローラの前記ローラ部に当接するように、前記ベルト部材の内側に設置された補強部材を備え、
前記減圧機構は、前記ニップ部形成部材とともに前記補強部材をも前記離間する方向に移動させることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の加熱搬送装置。 - 前記第1加熱手段は、前記ニップ部とは異なる前記ベルト部材の周方向の領域を加熱領域として加熱するように構成され、
前記ベルト部材の表面温度を検知する温度検知手段を備え、
前記被加熱体を加熱しながら搬送する工程が開始される前に、前記減圧機構によって前記ニップ部形成部材を前記離間する方向に移動させた状態で、前記駆動手段によって前記弾性ローラを回転駆動して、前記板バネ状部材によって付勢された前記ベルト部材を少なくとも前記加熱領域が前記ニップ部に達するまで従動回転させた後に、その状態で前記温度検知手段によって検知される温度が所定値に達するように前記第1加熱手段を制御することを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の加熱搬送装置。 - 前記被加熱体は、未定着状態のトナー像が担持されたシートであって、
前記ベルト部材は、定着ベルトであって、
画像形成装置本体に設置された定着装置であることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の加熱搬送装置。 - 請求項1〜請求項15のいずれかに記載の加熱搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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