JP6858809B2 - 苗植付機 - Google Patents
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Description
[1]苗のせ台の苗載置部に並ぶマット状苗に対して、薬剤散布装置によって薬剤を散布供給し、薬剤供給済みの苗を圃場に植付けるように構成されていた(特許文献1参照)。
〔直播機の全体構成〕
図1は、本発明に係る直播機の全体を示す側面図である。図1に示すように、本発明に係る直播機は、車体フレーム10の前部が左右一対の駆動及び操向操作自在な前車輪11,11で支持され、後部が左右一対の駆動自在な後車輪12,12で支持されることにより、自走式の走行機体1を構成している。そして、この走行機体1の車体フレーム10の後部にリンク機構16を介して水田作業装置Aが連結されている。
つまり、直播機は、水田作業装置Aを下降作業状態に下降させて走行機体1を走行させることにより、水田作業装置Aによって4条分の播種作業及び4条分の施肥作業ならびに4条分の施薬作業を行なうように構成してある。
水田作業装置Aについて説明する。
図2乃至図6に示すように、水田作業装置Aは、施肥装置2と、薬剤供給装置3と、播種装置4とを備えるとともに、下部に整地用フロート5を装備している。
図2が水田作業装置Aの全体を示す側面図である。図3は水田作業装置Aの後面視で、後方側の播種装置4部分、及び薬剤供給装置3部分の薬剤繰り出し部31以降の構造を省いた状態で図示している。図4は、水田作業装置Aの後面視で、後方側の播種装置4部分、及び施肥装置2部分の肥料繰り出し部21以降の構造を省いた状態で図示している。図5は水田作業装置Aの後面視で、前方側の施肥装置2部分及び薬剤供給装置3部分を省いて播種装置4部分を図示している。図6は、整地用フロート5部分を示す平面図である。
この機枠フレーム6に対して、前部に機体横方向に一列に並ぶ配置で設けた4つの肥料収容部20aを備えた施肥タンク20が支持され、機枠フレーム6の後部に機体横方向に一列に並ぶ配置で設けた4つの種籾収容部40aを備えた播種タンク40が支持されている。
この機枠フレーム6は、後部リンク16aに対して機体前後向きのローリング支点軸16bを介して連結されている。従って、水田作業装置Aは、ローリング支点軸16bの前後方向のローリング軸芯zまわりで走行機体1に対してローリング作動可能に構成されている。
駆動ケース60は、左右方向での中央部に、走行機体1側のエンジン14の動力を伝える動力伝達軸18からの伝達動力が入力されるフィードケース60Aを備え、そのフィードケース60Aの下端側の両横側部から横外向きに、左右一対の出力軸ケース60B,60Bが延出されている。
また、前記左右一対の出力軸ケース60B,60Bに内装されている伝動軸62の動力は、左右一対の伝動ケース61に内装された伝動機構(図示せず)を介して後方の播種装置4にも伝達され、播種装置4の種籾繰り出し部41を駆動するように構成されている。
施肥装置2について説明する。
図2,3、及び図6に示すように、機枠フレーム6の前部に左右一対の縦フレーム63,63が立設され、この縦フレーム63,63の上端部に横長の前部支持フレーム64を架設してある。
施肥装置2は、前記前部支持フレーム64に肥料繰り出し部21が連結固定されることにより、機枠フレーム6に対して固定支持されている。この肥料繰り出し部21と、その上方位置に設けた施肥タンク20と、肥料繰り出し部21の下部から機体後方下方向きに延出した肥料供給筒23と、肥料供給筒23の延出端部に蛇腹筒24を介して連通された作溝器25と、作溝器25で形成された泥面の溝を埋め戻すための覆土体26とを備えて構成されている。
作溝器25は、薬剤供給装置3の後述する薬剤供給筒33の下端や、播種装置4の後述する落下案内体42の下端に対して、左右方向で横側方に位置ずれした箇所に設けてある。
覆土体26は、作溝器25の後部に連結固定してあり、作溝器25で形成された泥面の溝の左右方向幅w1よりも幅広で、その作溝器25の溝の左右両側にわたる左右方向幅w2を有したへら状の部材で構成してある。
この覆土体26が作溝器25の後方側から後方下方へ向けて延出されていることにより、作溝器25で形成された溝内に肥料aを供給した後、その溝に向けて溝両側の泥土を押し込むように作用する。つまり、溝形成の際に作溝器25が泥土を左右に押し退けることにより泥面の溝の左右両側に盛り上がった泥土を、後方下がり姿勢の覆土体26が機体進行に伴って前方へ押し、泥面に形成されている溝内に泥土が押し込まれて埋め戻されることになる。
駆動機構22は、伝動軸62の軸端に固定したクランク体22aと、繰り出し駆動軸27に備えた操作アーム22bと、そのクランク体22aと操作アーム22bとを連結する連動ロッド22cとを備えている。したがって、伝動軸62が一回転する毎に操作アーム22bを所定角度範囲θ1で往復揺動させ、図示しない一方向回転機構を介して繰り出しロールを一定方向に回転させることにより、施肥タンク20内の肥料を所定量づつ繰り出し供給するように構成されている。
病虫害防除用薬剤を供給する薬剤供給装置3について説明する。
図2,4,6、及び図8に示すように、薬剤供給装置3は、薬剤繰り出し部31と、その上方側に設けた薬剤収容タンク30と、薬剤繰り出し部31の下部から下向きに延出した薬剤供給筒33とを備えている。
薬剤供給筒33は、薬剤繰り出し部31に連なる硬質パイプ製の上部筒33aと、その上部筒33aの下端側に連なり、最下端が整地用フロート5に支持された軟質の可撓性ホースからなる下部筒33bとを備えて構成されている。したがって、整地用フロート5が後端側の揺動支点x周りで先端側を上下揺動したとき、下部筒33bも自身の可撓性によって屈撓変化する。
中継リンク32dには、前記支軸32cを挟んでその両側に一対の上部連動ロッド32e,32eの下端側が連結されている。上部連動ロッド32e,32eの各上端部が、繰り出し駆動軸34に備えた一対の操作アーム32f,32fのそれぞれに対して各別に連結されている。
この一対の操作アーム32f,32fは、図示しない一方向回転機構を介して繰り出し駆動軸34を一定方向に回転駆動し、繰り出し駆動軸34とともに回転する繰り出しロールを駆動して、薬剤収容タンク30内の薬剤bを所定量づつ繰り出し供給するように構成されている。
そして、下部筒33bの下端から供給された薬剤bは、整地用フロート5が整地する前の田面GL上に落下し、その薬剤bが落下供給された田面GL上を整地用フロート5が通過することで、図9に示すように、薬剤bが整地用フロート5の沈下量だけ泥土とともに押さえ込まれる。このとき、薬剤bは軟らかい泥面に埋没するように下側の泥中へ押し込まれ、そのほとんどが泥で覆われた状態となる。これによって、薬剤bは泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給された状態となる。
つまり、この構造では、薬剤供給箇所の後を通過する整地用フロート5が、薬剤bが泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給するための薬剤埋入手段を構成している。
その結果、田面GLに対して表面播きされた種籾cは、薬剤bの供給箇所の上側に種籾cが乗っかた状態に供給される。つまり、種籾cを表面播きしながらも、種籾cに対してきわめて近い位置に、日光に晒されることを避けた状態で薬剤bを供給することができる。
播種装置4について説明する。
図2及び図5に示すように、機枠フレーム6の横方向に長い駆動ケース60の両横端部から各別に機体フレーム6の後方向きに延出した左右一対の伝動ケース61の後端部近くに、上向き支持体65を介して、横長の後部支持フレーム66が取り付けられている。この後部支持フレーム66に、機体横方向に一列に並ぶ配置で4つの播種繰り出し部41が連結固定され、それらの播種繰り出し部41の上側に、4つの種籾収容部40aを備えた播種タンク40が支持されている。
播種タンク40内には、種籾cの一例として、鉄コーティングされた種籾cが収容されており、この種籾cが播種繰り出し部41の下部に連設されたチャンネル状断面の落下案内体42の下端部から、下方の泥面に間欠的に落下供給され、点播されるように構成されている。
したがって、種籾cは、肥料aの供給跡からは左右方向で離れた位置で、薬剤供給跡の直上位置に供給されるように、前記落下案内体42の配設位置を設定してある。
上記のように構成されて直播機を用いて直播作業を行う直播方法について説明する。
図6、図9、及び図12(a),(b)に示すように、病虫害防除用薬剤bを供給する薬剤供給工程では、薬剤繰り出し部31から繰り出された薬剤bを、薬剤供給筒33の下部筒33bで案内して、整地用フロート5が整地する前の田面GL上に落下するように、整地用フロート5の前端部側へ移行させる。
つまり、薬剤bの供給された箇所を整地用フロート5が通過することで、整地用フロート5が薬剤bを泥中へ押し込んで埋入させるための薬剤埋入手段として作用し、泥中へ押し込まれた顆粒状の薬剤bは、整地用フロート5に押されて顆粒群が少し水平方向に拡がりながら、その全体もしくは大部分の表面が泥で覆われて、日光に直接に晒されることを避け得る状態となる。これによって、薬剤bは泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給された状態となる。
その結果、田面GLに対して表面播きされた種籾cが、列状に供給された薬剤bの供給箇所の上側に、所定間隔置きに点播された状態で播種される。
この状態では、薬剤供給工程で供給された薬剤bの田面GLに対する供給位置は、播種工程による種籾cの田面GLに対する供給位置よりも下位となっている。
つまり、この状態では、播種位置に対して、供給された肥料aの条列が、供給された薬剤bの条列よりも遠くに離れて位置し、稲の生育過程で、肥料aが病虫害防除用薬剤の薬剤bよりも遅れて作用することになる。
実施の形態では、薬剤埋入手段として整地用フロート5を利用するようにした構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば図10に示すように、整地用フロート5の下面5A側に、整地用フロート5の下面5Aよりも下方側へ延出された幅狭の板状体からなる溝切り用の板状部材35を設け、その板状部材35によって形成された薬剤供給用の溝に、薬剤供給筒33から薬剤bを落下供給するように構成してもよい。
このように構成すれば、整地用フロート5の底面5Aよりも少し深い位置に薬剤bを供給することができ、薬剤bが泥表面に露呈する可能性をより低減することができる。
そして、覆土体36で埋め戻し後に種籾cの播種を行うようにすれば、薬剤供給箇所の条列の直上位置に種籾cを表面播きすることができる。この場合は、図14(a)に示すように、薬剤供給箇所と直上の播種位置との間に少し間隔d1が開いた状態で種籾cが供給された状態となる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、薬剤埋入手段として整地用フロート5や、整地用フロート5に付設された溝切り用の板状部材35などを利用するようにした構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
すなわち、図示はしないが、施肥装置2で用いた作溝器25と同様な施薬用作溝器を、施肥用の作溝器25とは別に備え、その施薬用作溝器を薬剤供給筒33の下端部に設けて、施肥位置とは別の箇所で薬剤供給を行うようにしてもよい。
この場合、施薬用作溝器の田面GLに対する配設深さは、任意に定めることができるが、施肥位置よりは播種位置に近く、かつ浅い位置で、薬剤bが泥表面に露呈する可能性の少ない位置に設定するのが望ましい。また、施薬用作溝器の後方側で、施薬用作溝器で形成された溝を埋め戻すための覆土体も設けるのが望ましい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、薬剤供給位置と施肥位置とを離間させて設けた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば図11に示すように、薬剤供給筒33を、肥料供給筒23の落下経路途中に接続して、薬剤繰り出し部31から繰り出された薬剤bが、肥料繰り出し部21から繰り出される供給肥料aと合流するように構成してもよい。
このように構成した場合、薬剤供給装置3側では特別な薬剤埋入手段などを要することなく、施肥装置2の作溝器25や覆土体26を利用して薬剤供給も行うことができる。
この図11に示す構造の直播機を用いて施肥、施薬、及び播種を行った場合、図17に示すように、播種位置から離れた同じ箇所に、施肥位置及び薬剤供給位置が存在する状態となる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、薬剤供給装置3により薬剤供給工程で供給される供給薬剤を、列状に供給した場合を例示したが、これに限られるものではない。
例えば、図13に示すように、薬剤bの供給を間欠的に行って、薬剤供給箇所が点状に存在するように施薬し、その点状の薬剤供給箇所と種籾cの供給箇所とが合致するように播種タイミングを合わせて点播するようにしてもよい。この場合、薬剤bの使用量を低減し得る利点がある。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、薬剤bの供給位置を播種位置の直下となるようにした例を示したが、必ずしもこれに限るものではない。
例えば、図15又は図16に示すように、平面視で種籾cの播種位置と、肥料aの供給位置との間に、薬剤bの供給位置が存在するようにしてもよい。
この場合、図15に示すものでは、種籾cの播種位置と、肥料aの供給位置と、薬剤bの供給位置とが直線的に並ぶ状態でそれぞれが供給されている。このため、種籾cの播種位置と薬剤bの供給位置との間隔d1は、種籾cの播種位置と肥料aの供給位置との間隔d2よりも必然的に短くなっているものであるが、図16に示す場合と比べて、種籾cの播種位置と薬剤bの供給位置との間隔d1が、より一層、種籾cの播種位置と肥料aの供給位置との間隔d2よりも短くなっている。
尚、種籾cの播種位置と薬剤bの供給位置との間隔d1は、図14に示す場合にも、種籾cの播種位置と肥料aの供給位置との間隔d2よりも短くなっている。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態では、幅広の一つの整地用フロート5を備えた例を示したが、幅狭の整地用フロートの複数を幅広の一つの整地用フロート5に替えて備えて実施してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
実施の形態で用いる病虫害防除用薬剤としては、殺虫剤、又は殺菌剤、あるいはその両方であっても良い。また、殺虫効果はなくとも、害虫が寄って来ないようにするための害虫忌避剤などであってもよく、要は、種籾cや苗の成育過程で病害虫に対する防除効果がある薬剤bであればよい。
実施の形態では、播種装置4で播種する種籾、あるいは播種工程で播種する種籾として、鉄コーティングされた種籾を使用する例を示したが、これに限らず、例えば、カルパーコーティングされた種籾を用いてもよい。
実施の形態で示した施肥装置2や薬剤供給装置3、及び施肥工程、及び薬剤供給工程は、必ずしも直播を行う場合に限らず、例えば苗植え付けを行う場合にも、用いてもよく、植播系作業装置に適用し得るものである。
3 薬剤供給装置
4 播種装置
5 薬剤埋入手段(押さえ体、整地用フロート)
25 共通の作溝器
a 肥料
b 病虫害防除用薬剤
c 種籾
d2 所定間隔
GL 田面
Claims (4)
- 水田に対して苗を植える苗植付装置と、病虫害防除用薬剤を供給する薬剤供給装置とを備えるとともに、
前記苗植付装置による苗の田面に対する供給位置と、前記薬剤供給装置による病虫害防除用薬剤の田面に対する供給位置と、は、機体左右方向において互いに異なる位置である苗植付機。 - 前記薬剤供給装置による病虫害防除用薬剤の田面に対する供給位置が、泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給する薬剤埋入手段が備えられている請求項1に記載の苗植付機。
- 肥料を供給する施肥装置を備え、
前記薬剤供給装置からの病虫害防除用薬剤と前記施肥装置からの肥料とが、共通の作溝器から供給される請求項1又は2に記載の苗植付機。 - 走行機体に対して相対上下位置変更可能に装備された整地用フロートを備え、
前記整地用フロートに、平面視で、後方に開口する凹部が形成され、当該凹部に前記作溝器が設けられている請求項3に記載の苗植付機。
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