以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる磁気共鳴イメージング装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10を含む磁気共鳴イメージングシステム1の構成を示す図である。図1に示すように、磁気共鳴イメージングシステム1は、互いに有線又は無線で通信可能に接続された磁気共鳴イメージング装置10と映写機100と映写機制御装置200とを含む。磁気共鳴イメージング装置10は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15及び撮像制御ユニット17を有する。例えば、架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15は、検査室に設置され、撮像制御ユニット17は、検査室に隣接する制御室に設置される。架台11は、MR撮像を実現するための機構を装備する。架台11には中空形状を有する開口(ボア)が形成されている。架台11の前方には寝台13が設置されている。寝台13は患者が載置される天板を移動自在に支持する。寝台13は架台11及び撮像制御ユニット17等による制御に従い天板を移動する。架台11のボア内には移動式スクリーン装置15が移動可能に設けられている。架台11の前方又は後方には映写機100が設置されている。移動式スクリーン装置15には映写機100からの映像が投影される。
映写機制御装置200は、映写機100を制御するコンピュータ装置である。映写機制御装置200は、映写対象の映像信号を映写機100に供給する。映写機100は、映写機制御装置200からの映像信号に対応する映像を移動式スクリーン装置15のスクリーンに投影する。映写機100としては、例えば、液晶方式やDLP(Digital Light Processing)方式、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式、GLV(Grating Light Valve)方式等が用いられると良い。この場合、映写機100は、少なくとも表示機器と光源とを搭載する。表示機器は、映写機制御装置200からの映像信号に対応する映像を表示する。光源は直接的又は光学系を介して間接的に表示機器に光を照射する。表示機器から透過又は反射した光(以下、投影光と呼ぶ)は、直接的又は光学系を介して間接的に映写機100の外部に射出される。投影光が移動式スクリーン装置15に照射されることにより、当該投影光に対応する映像が移動式スクリーン装置15に映し出される。
撮像制御ユニット17は、磁気共鳴イメージング装置10の中枢として機能する。例えば、撮像制御ユニット17は、MR撮像を行うために架台11を制御する。また、撮像制御ユニット17は、MR撮像において架台11により収集された生データに基づいて患者Pに関するMR画像を再構成する。なお、撮像制御ユニット17は、映写機制御装置200を介して映写機100を制御可能に構成されても良い。
図2は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の構成を示す図である。図2に示すように、磁気共鳴イメージング装置10は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15、撮像制御ユニット17及び位置検出器19を有する。撮像制御ユニット17は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール27を有する。コンソール27は、撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38を有する。撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25は、コンソール27と架台11とは別個に設けられている。
架台11は、静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRFコイル45を有する。また、静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とは架台11の筐体(以下、架台筐体と呼ぶ)51に収容されている。架台筐体51には中空形状を有するボア53が形成されている。架台筐体51のボア53内に本実施形態に係る移動式スクリーン装置15が配置される。
静磁場磁石41は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41としては、例えば、永久磁石、超伝導磁石または常伝導磁石等が使用される。ここで、静磁場磁石41の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸と呼び、Z軸に水平に直交する軸をX軸と呼ぶことにする。X軸、Y軸及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
傾斜磁場コイル43は、静磁場磁石41の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43は、傾斜磁場電源21からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。
傾斜磁場電源21は、撮像制御回路31による制御に従い傾斜磁場コイル43に電流を供給する。傾斜磁場電源21は、傾斜磁場コイル43に電流を供給することにより、傾斜磁場コイル43に傾斜磁場を発生させる。
RFコイル45は、傾斜磁場コイル43の内側に配置され、送信回路23からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、RFコイル45は、高周波磁場の作用を受けて患者P内に存在する対象原子核から発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)を受信する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25に供給される。なお、上述のRFコイル45は、送受信機能を有するコイルであるとしたが、送信用RFコイルと受信用RFコイルとが別々に設けられても良い。なお、RFコイル45は、架台11の筐体内に収容されても良いし、架台11の筐体外において患者Pに接触するように配置されても良いし、その両方であっても良い。以下、RFコイル45は、特に言及しない限り、架台11の筐体外に配置されるものとする。
送信回路23は、患者P内に存在する対象原子核を励起するための高周波磁場を、RFコイル45を介して患者Pに送信する。対象原子核としては、典型的には、プロトンが用いられる。具体的には、送信回路23は、撮像制御回路31による制御に従って、対象原子核を励起するための高周波信号(RF信号)をRFコイル45に供給する。RFコイル45から発生された高周波磁場は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動し、対象原子核を励起させる。励起された対象原子核からMR信号が発生され、RFコイル45により検出される。検出されたMR信号は、受信回路25に供給される。
受信回路25は、励起された対象原子核から発生されるMR信号をRFコイル45を介して受信する。受信回路25は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を発生する。デジタルのMR信号は、有線又は無線を介して再構成回路32に供給される。
架台11に隣接して寝台13が設置される。寝台13は、天板131と基台133とを有する。天板131には患者Pが載置される。基台133は、天板131をX軸、Y軸、Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台133には寝台駆動装置135が収容される。寝台駆動装置135は、撮像制御回路31からの制御を受けて天板131を移動する。寝台駆動装置135としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の如何なるモータが用いられても良い。
位置検出器19は、磁気共鳴イメージングシステム1に含まれる各種機器の位置を検出する。当該位置の検出対象の機器としては、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15及び他の機器の何れでも良い。例えば、位置検出器19は、寝台13又は移動式スクリーン装置15に含まれる天板131、移動台車61、スクリーン63、支持アーム65及び反射板67等の各種機器の位置を検出し、検出された位置に関するデジタルの電気信号(以下、位置検出信号と呼ぶ)を出力する。なお、位置検出器19により検出される位置とは、位置そのものだけでなく、位置を規定する角度、距離又は移動量、位置検出器19による当該機器の検知の有無等の指標も含むものとする。上記位置を検出可能であれば如何なる位置検出器19も利用可能である。例えば、位置検出器19としては位置センサや距離センサ、変位センサ、圧力センサ、速度センサ、光センサ、超音波センサ等が利用可能である。位置検出信号は、有線又は無線を介してコンソール27に供給され、コンソール27の通信回路34により映写機制御装置200に供給される。或いは位置検出信号は、コンソール27を介さずに映写機制御装置200に供給されても良い。
撮像制御回路31は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。撮像制御回路31は、システム制御回路38から供給されるパルスシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、当該パルスシーケンス情報に応じたパルスシーケンスで患者Pを撮像する。
再構成回路32は、ハードウェア資源として、CPUやGPU(Graphical processing unit)、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。再構成回路32は、受信回路25からのMR信号に基づいて患者Pに関するMR画像を再構成する。例えば、再構成回路32は、k空間または周波数空間に配置されたMR信号にフーリエ変換等を施して実空間で定義されたMR画像を発生する。なお再構成回路32は、再構成機能を実現する特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。
画像処理回路33は、ハードウェア資源として、CPU、GPU、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。画像処理回路33は、再構成回路32により再構成されたMR画像に種々の画像処理を施す。なお画像処理回路33は、上記画像処理機能を実現するASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
通信回路34は、図示しない有線又は無線を介して映写機制御装置200との間でデータ通信を行う。また、通信回路34は、図示しないネットワーク等を介して接続されたPACSサーバ等の外部装置との間でデータ通信を行っても良い。また、通信回路34は、位置検出器19から供給された位置検出信号を映写機制御装置200に供給しても良い。
表示回路35は、種々の情報を表示する。例えば、表示回路35は、再構成回路32により再構成されたMR画像や画像処理回路33により画像処理が施されたMR画像を表示する。また、表示回路35は、映写機100により映写される支援情報と同一の支援情報を表示しても良い。具体的には、表示回路35は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータを映像信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表す映像信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路36は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路38に供給する。なお、入力回路36は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、磁気共鳴イメージング装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力回路36の例に含まれる。
主記憶回路37は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路37は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路37は、MR画像や磁気共鳴イメージング装置10の制御プログラム等を記憶する。
システム制御回路38は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPUのプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。システム制御回路38は、磁気共鳴イメージング装置10の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路38は、主記憶回路37に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って磁気共鳴イメージング装置10の各部を制御する。
以下、本実施形態の磁気共鳴イメージングシステム1について詳細に説明する。
まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1の設置環境について説明する。図3は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムの設置環境の一例を示す図である。図3に示すように、MR撮像が行われる検査室300と検査室300に隣接する制御室400とが設けられる。検査室300には架台11と寝台13とが設置されている。架台11の前方に寝台13が設けられている。架台11のボアには移動式スクリーン装置15が設けられている。検査室300は、架台11からの漏洩磁場や外部からの電磁場等を遮蔽可能なシールドルームである。検査室300には入退室のためのドアD1が設けられている。また、検査室300と制御室400との間には、検査室300と制御室400との間の往来のためのドアD2が設けられている。制御室400にはコンソール27と映写機100と映写機制御装置200とが設置されている。映写機100は、検査室300と制御室400との間の壁500を隔てて架台11の後方に設置される。壁500のうちの、映写機100から移動式スクリーン装置15に向かう投影光LPが伝播する部分には当該投影光LPが透過可能な窓510が設けられている。窓510を介して、制御室400に設置された映写機100から検査室300の移動式スクリーン装置15に投影光LPを伝播させることができる。制御室400にも入退室のためのドアD3が設けられると良い。
なお、上記のレイアウトは一例であってこれに限定されるものではない。例えば、映写機100と映写機制御装置200とコンソール27とが制御室400に設置されるとしたが、コンソール27と映写機制御装置200とは映写機100とは異なる別の部屋に設置されても良い。また、映写機100を磁場による影響を受けない材料で形成できるのであれば、映写機100を検査室300に設けても良い。また、検査室300と制御室400との他に、傾斜磁場電源21や受信回路25を設置するための機械室等が設けられても良い。
次に図4を参照しながら移動式スクリーン装置15の構造について説明する。図4は、本実施形態に係る移動式スクリーン装置15の斜視図である。
図4に示すように、移動式スクリーン装置15は、移動台車61、スクリーン63、支持アーム65及び反射板67を有する。移動台車61は、架台筐体51のボア53の中心軸に沿って移動する構造体である。例えば、移動台車61は、架台筐体51のボア53を規定する内面下部に設けられたレールに摺動可能に取り付けられる。移動台車61の下部には走行性を高めるための車輪(図示せず)が取り付けられても良い。移動台車61は、スクリーン63と支持アーム65とを支持する。移動台車61は、樹脂等の磁場に作用しない非磁性材料により形成される。
図4に示すように、移動台車61には天板131に連結するための連結部69が形成されている。連結部69は天板131に連結される。これにより移動式スクリーン装置15が天板131と一体にボア53内を中心軸に沿ってスライドすることができる。なお、連結部69は、天板131ではなく頭部保持具(図示せず)に連結されても良い。頭部保持具は、天板131の前方部(+Z軸方向側)に取り付けられている。頭部保持具は、天板に載置された患者Pの頭部を固定する患者保持具である。頭部保持具は、天板131に仰向けに載置された患者Pの視界を遮ることのなく後頭部を覆うことが可能なように、例えば、湾曲形状を有している。また、頭部保持具には頭部コイル等の専用のRFコイル45が取り付けられても良い。更に、天板131には患者の頭部以外の部位を保持するための患者保持具が設けられても良い。患者保持具に当該部位に特化したRFコイル45を取り付けることができる。
図4に示すように、スクリーン63は、移動台車61に立設されている。スクリーン63には図示しない映写機100から照射された支援情報が投影される。スクリーン63は、移動台車61に対して傾き可能に設けられている。具体的には、移動台車61に設けられた傾動機構(図示せず)により傾動可能に設けられている。移動台車61の表面に対するスクリーン63の傾き角度を調節することにより、スクリーン63は移動台車61の表面に対して垂直又は所定の傾斜角度で保持される。映写機100は、スクリーン63を挟んで寝台13とは反対側に配置される。ここで、スクリーン63の映写機100側の面を裏面、寝台13側の面を表面と呼ぶことにする。表面に支援情報を映し出すため、スクリーン63は半透明の材料で形成されると良い。このような半透明の材料としては、半透明のプラスチックや磨りガラス等が用いられると良い。スクリーン63が半透明材料により形成されることにより、映写機100から出力された投影光はスクリーンの裏面に照射され、投影光に対応する支援情報が表面に映し出される。これにより患者Pや医療従事者等は、寝台13側から、支援情報に映し出された映像を見ることができる。スクリーン63は、平面形状を有する型式であっても曲面形状を有する型式であっても良い。曲面形状を有する場合、凹面が寝台13側を向く、すなわち、表面を成すように配置されると良い。凹面が寝台13側を向くことにより、天板131に載置された患者Pの頭部の後方周辺をスクリーン63で覆うことが可能となる。これにより患者Pの視野をスクリーン63に映し出された支援情報、より詳細には、リラックス映像で満たし、リラックス映像に没入させることが可能となる。
図4に示すように、支持アーム65は移動台車61に取り付けられる。支持アーム65は、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置するように支持する。反射板67は、移動台車61と天板131とが連結されている状態において、天板131に載置された患者Pの頭部にぶつからない程度に、移動台車61の表面から離間して支持アーム65により支持される。支持アーム65は、架台11の外部からスクリーン63を見た場合に当該外部観察者の視界を遮らないような形状を有している。当該外部観察者の視界を遮らないため、支持アーム65は、図4に示すように、スクリーン63の輪郭に沿った円弧部分を有する半環形状又は半鞍形状を有すると良い。なお支持アーム65の形状は上記の半円環形状又は半鞍形状に限定されず、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置可能であれば如何なる形状を有していても良い。例えば、支持アーム65は、略棒形状を有する一対のアームにより構成されても良い。この場合、当該一対のアームの一端が移動台車61の両側部に取り付けられ、他端に反射板67が取り付けられると良い。
図4に示すように、反射板67は、支持アーム65の略最上部に設けられている。反射板67は、スクリーン63の表面に映し出された支援情報を反射する。反射板67は、非磁性材料により形成され、対象を光学的に反射可能であれば如何なる素材により形成されても良い。例えば、反射板67としては、アクリルにアルミ蒸着処理を施した鏡や誘電体膜を付着させたハーフミラー等が用いられれば良い。頭部保持具に頭部が配置された患者Pは、表面に投影された支援情報を、反射板67を介して見ることができる。反射板67は、患者Pにより反射板67の角度を手動で調整するために、支持アーム65に回転可能に設けられている。
上記の通り、本実施形態に係る架台11のボア53には、移動式スクリーン装置15が設置されている。移動式スクリーン装置15が寝台側の端部に配置されている場合、移動式スクリーン装置15に映し出されている支援情報は、主に架台11外にいる患者Pや医療従事者等により観察される。移動式スクリーン装置15がボア53内に配置されている場合、移動式スクリーン装置15に映し出されている支援情報は、主にボア53内に挿入された天板131に寝ている患者Pにより観察される。
図5は、本実施形態に係る映写機制御装置200の構成を示す図である。図15に示すように、本実施形態に係る映写機制御装置200は、処理回路210、支援情報記憶回路220、通信回路230、表示回路240、入力回路250、主記憶回路260及び接続回路270を有する。処理回路210、支援情報記憶回路220、通信回路230、表示回路240、入力回路250、主記憶回路260及び接続回路270は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
支援情報記憶回路220は、移動式スクリーン装置15に投影される、MR検査に関する一連の支援情報に関する映像データを記憶する。支援情報は、MR検査における一連の局面(以下、検査局面)において患者Pや医療従事者等を広く支援するための映像情報である。支援情報は検査局面に応じて患者確認情報、コイル設置情報及びリラックス映像が用意されている。例えば、患者確認情報は、患者Pが検査室に入室する検査局面において移動式スクリーン装置15に映し出される。患者確認情報は、撮影室に入室した患者がMR検査対象の患者と同一であるかを確認するための映像データである。コイル設置情報は、例えば、ボア53外において患者Pが天板131に寝ている検査局面において移動式スクリーン装置15に映し出される。コイル設置情報は、医療従事者が検査部位又は検査目的に応じたRFコイル45又は患者固定具を天板131等に設置するための手順を示す映像データである。映像は、例えば、ボア53内において患者Pが天板131に寝ている検査局面において移動式スクリーン装置15に映し出される。リラックス映像は、MR撮像時において患者Pをリラックスさせ、ボア53内における居住性を高めるための映像データである。なお、支援情報は、一枚のフレームから構成される静止画であっても良いし、時系列で配列された複数枚のフレームから構成される動画でも良い。
通信回路230は、図示しない有線又は無線を介してコンソール27又は他のコンピュータとの間でデータ通信を行う。例えば、通信回路230は、磁気共鳴イメージング装置10から種々の情報を受信する。
表示回路240は、種々の情報を表示する。例えば、表示回路240は、映写機100に供給される映像信号に対応する支援情報をリアルタイムで表示する。具体的には、表示回路240は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象の支援情報に関する映像データを映像信号に変換する。映像信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象の映像信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路250は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介して処理回路210に供給する。
主記憶回路260は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路260は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路260は、本実施形態に係る映像投影プログラム等を記憶する。
接続回路270は、図示しない有線又は無線を介して映写機100に映像信号を供給するインタフェース回路である。接続回路270は、映写機100の映写方式に応じてアナログの映像信号を供給しても良いし、デジタルの映像信号を供給しても良い。以下、本実施形態に係る映写機100に供給される映像信号についてアナログの映像信号とデジタルの映像信号とを区別せず単に映像信号と呼ぶことにする。
処理回路210は、ハードウェア資源として、CPUやGPU、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路210は、映写機制御装置200の中枢として機能する。処理回路210は、主記憶回路260に記憶されている映像投影プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された映像投影プログラムを実行する。映像投影プログラムは、入力回路250を介した医療従事者等による開始指示を受けて処理回路210により主記憶回路260から読み出され実行される。
映写投影プログラムの実行により処理回路210は、MR検査の検査情報と天板131の位置とに基づいて、映写機100により投影される支援情報を切り替える。検査情報としては、例えば、RIS等により管理されている、架台11毎のMR検査の検査スケジュールが挙げられる。より詳細には、処理回路210は、天板131が患者載置高さに配置されている場合、支援情報として現検査の患者に関する患者確認情報を表示し、天板131が挿入可能高さに配置された場合、支援情報として現検査の患者に関するコイル設置情報を表示し、天板131が患者降台高さに配置されている場合、支援情報として次検査の患者に関するコイル設置情報を表示し、天板131が患者降台高さに配置され且つ現検査から次検査への患者の切替え指示がされた場合、支援情報として次検査の患者に関する患者確認情報を表示する。具体的には、処理回路210は、映写投影プログラムの実行によりトリガ取得機能211、検査局面判定機能213、支援情報決定機能215及び支援情報出力機能217を実現する。なお、処理回路210は、天板131が患者降台高さに配置されている場合、更に移動式スクリーン装置15が天板131又は患者保持具に取付けられているか否かに応じて支援情報を、コイル設置情報とリラックス映像とで切替えても良い。
図6は、処理回路210による映像投影プログラムに従う映像投影処理の典型的な流れを示す図である。なお、位置検出器19は、映像投影処理の開始以前から天板131の位置を繰り返し検出しているものとする。
図6に示すように、処理回路210は、まずトリガ取得機能211を実行する(ステップS1)。トリガ取得機能211の実行により処理回路210は、検査局面判定機能213における検査局面の判定に使用されるトリガの入力を待機する。トリガとしては、例えば、位置検出器19により検出された天板131の高さ位置と磁気共鳴イメージング装置10の入力回路36を介して医療従事者により行われる患者切替指示とが挙げられる。また処理回路210は、トリガとして、移動式スクリーン装置15が天板131又は患者保持具に取り付けられたことを示す電気信号(以下、取付け信号と呼ぶ)、移動式スクリーン装置15が天板131又は患者保持具から取り外されたことを示す電気信号(以下、取外し信号と呼ぶ)の入力を待機する。
ステップS1においてトリガが入力されたことを契機として処理回路210は、検査局面判定機能213を実行する(ステップS2)。ステップS2において処理回路210は、トリガ取得機能211により取得されたトリガに基づいて現在の検査局面を判定する。検査局面としては、順番に第1局面、第2局面、第3局面及び第4局面がある。第1局面は、天板131が、患者Pが天板131に載置された時の高さ(以下、患者載置高さと呼ぶ)又はその近傍に配置され、且つ移動式スクリーン装置15が天板131に装着されていない局面である。第2局面は、天板131が、ボア53内に挿入可能な高さ(以下、挿入可能高さと呼ぶ)に配置され、且つ移動式スクリーン装置15が天板131に装着されていない局面である。第3局面は、天板131が挿入可能高さに配置され、且つ移動式スクリーン装置15が天板131に装着されている局面である。第4局面は、天板131が、患者Pが天板131から降りる時の高さ(以下、患者降台高さと呼ぶ)に配置され、且つ移動式スクリーン装置15が天板131から取り外されている局面である。
ステップS2において処理回路210は、患者切替指示が入力された場合、支援情報による支援対象の患者を現検査の患者に切替える。患者切替指示後において処理回路210は、天板131が患者載置高さにあることを示す位置信号が取得され、且つ取付け信号が取得されていない(あるいは取外し信号が取得されている)場合、検査局面が第1局面であると判定する。処理回路210は、天板131が挿入可能高さにあることを示す位置信号が取得され、且つ取付け信号が取得されていない(あるいは取外し信号が取得されている)場合、検査局面が第2局面であると判定する。処理回路210は、天板131が挿入可能高さにあることを示す位置信号が取得され、且つ取付け信号が取得されている(あるいは取外し信号が取得されていない)場合、検査局面が第3局面であると判定する。処理回路210は、天板131が患者降台高さにあることを示す位置信号が取得され、且つ取付け信号が取得されていない(あるいは取外し信号が取得されている)場合、検査局面が第4局面であると判定する。
ステップS2が行われると処理回路210は、支援情報決定機能215を実行する(ステップS3)。ステップS3において処理回路210は、検査局面判定機能213により判定された検査局面に対応する支援情報を、MR検査の検査情報に基づいて決定する。具体的には、まず処理回路210は、判定された検査局面に対応する支援情報の種類を、患者確認情報とコイル設置情報とリラックス映像との中から決定する。典型的には、検査局面と支援情報の種類は一対一に対応付けられている。すなわち、第1局面の支援情報は現検査の患者についての患者確認情報、第2局面の支援情報は現検査の患者についてのコイル設置情報、第3局面の支援情報は現検査の患者についてのリラックス映像、第4局面の支援情報は次検査の患者についてのコイル設置情報である。次に処理回路210は、決定した支援情報のコンテンツを検査情報に基づいて決定する。検査情報としては、例えば、RIS等により管理されている、架台11毎のMR検査の検査スケジュールが挙げられる。検査スケジュールには検査日毎に検査の時間割、当該検査の検査対象の患者情報と検査部位とが登録されている。患者情報としては、患者名や生年月日が含まれている。例えば、処理回路210は、患者情報に基づいて患者確認情報のコンテンツを決定する。また、検査スケジュールにより管理されている検査部位に基づいて、コイル設置情報のコンテンツを決定する。
ステップS3が行われると処理回路210は、支援情報出力機能217を実行する(ステップS4)。ステップS4において処理回路210は、支援情報決定機能215により決定された支援情報の映像信号を、接続回路270を介して映写機100に出力する。当該支援情報の映像信号を受信した映写機100は、当該支援情報を移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。
以上により、処理回路210により行われる映像投影処理の流れについての説明を終了する。
上記の映像投影処理によれば、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1は、MR検査の検査情報、天板131の上下位置及び患者の切替の有無に基づいて、検査局面及び患者に応じた適切な支援情報を自動的に決定し、決定された支援情報を患者や医療従事者に提示させることができる。
次に、図7−15を参照しながら、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1の実施例について説明する。図7は、本実施形態に係るトリガ、検査局面及び支援情報を時系列で示す図である。図8は、本実施形態に係る現検査の患者に関する第1局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。図9は、本実施形態に係る現検査の患者に関する第2局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。図10は、本実施形態に係る現検査の患者に関する第3局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。図11は、図10以後の第3局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。図12は、図11以後の第3局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。図13は、図12以後の第3局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。図14は、本実施形態に係る現検査の患者に関する第4局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。図15は、本実施形態に係る次検査の患者に関する第1局面における磁気共鳴イメージングシステム1の配置と支援情報とを示す図である。なお、以下の実施例において処理回路210は、図6に示す映像投影プログラムに従う映像投影処理を実行しているものとする。
まず、患者Pが検査室に入室する。なお、患者Pが検査室に入室している時点において、磁気共鳴イメージング装置10のシステム制御回路38により、コンソール27において現検査の検査対象であると認識されている患者(設定患者)が患者Pに切替えられているものとする。設定患者の切替えは、例えば、磁気共鳴イメージング装置10の表示回路35により表示される検査管理画面において、医療従事者等により入力回路36を介して行われる。検査管理画面においては、例えば、架台11において実行されるMR検査の一覧である検査スケジュールが表示され、入力回路36を介して所定のMR検査が指定されると、指定されたMR検査に関する患者情報や検査部位、撮影プロトコルが表示される。医療従事者は、表示された患者情報や検査部位、撮影プロトコルを確認し、MR撮像の実行準備が整ったと判断すると、当該検査管理画面に表示されているExamボタンを押下する。Examボタンが押下されることを契機として、設定患者が当該MR検査の患者Pに切り替えられる。
図8の(a)に示すように、移動式スクリーン装置15はボア53の寝台側端部に配置されている。患者Pの入室時点において天板131は、典型的には、患者載置高さH1に配置されている。天板131の上には、現検査に用いるRFコイル(例えば、コイルAの)、典型的には、患者Pと天板131との間に設置される後部コイルが既に設置されているものとする。また、天板131には移動式スクリーン装置15が接続されていない。この場合、処理回路210は、天板131が患者載置高さH1にあることを示す位置信号を取得し、取付け信号を取得していないので、検査局面が第1局面であると判定し、投影対象の支援情報が現検査の患者(設定患者)に関する患者確認情報であると判定する。
図8の(b)に示すように、患者確認情報I1は、現検査の患者(設定患者)の患者名や生年月日等の患者情報を確認するための映像である。具体的には、患者確認情報I1として、「あなたは〇〇〇〇さん、昭和××年M月D日生まれ、ですね?」の文字列が含まれる。患者確認情報I1に含まれる患者情報は、上記の通り、現検査に関する設定患者の患者情報に基づいて処理回路210により決定される。患者確認情報I1が決定されると、処理回路210は、当該患者確認情報を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。これにより、入室した患者自身が現検査の検査対象の患者であるか否かを確認することができる。
その後、患者Pは天板131の上に乗り、天板131の上に寝る。そして技師等の医療従事者は、磁気共鳴イメージング装置10の入力回路36を操作して天板131の上昇指示を入力する。上昇指示が入力されると撮像制御回路31は、寝台駆動装置135を制御し天板131を挿入可能高さまで上昇させる。
図9の(a)に示すように、天板131は、挿入可能高さH2に配置される。この場合、処理回路210は、天板131が挿入可能高さH2にあることを示す位置信号を取得し、取付け信号を取得しないので、検査局面が第2局面であると判定し、投影対象の支援情報が現検査の患者(設定患者)に関するコイル設置情報I2であると判定する。
図9の(b)に示すように、コイル設置情報I2は、現検査に用いるRFコイル45及び患者保持具の少なくとも一方の設置手順を示す映像である。具体的には、コイル設置情報I2は、RFコイル45及び患者保持具の少なくとも一方の設置段階に応じた複数のコンテンツを有している。例えば、頭部コイルの設置段階としては、1.後部コイルにパッドを敷き詰める段階、2.天板131に患者を寝かせる段階、3.後部コイルと患者頭部との間にパッドを敷き詰める段階、4.後部コイルに前部コイルを取り付ける段階、等がある。各コンテンツは、各設置段階におけるRFコイル45及び患者保持具の少なくとも一方の設置に関する説明文と設置状況を示す写真とを含む。従って、例えば、設置段階1に関するコンテンツとしては「コイルAにパッドを敷き詰めて下さい」の説明文と、コイルAの後部コイルにパッドを敷き詰めている状況が映し出された写真1とを含む。設置段階2に関するコンテンツとしては「患者さんを寝かせて下さい」の説明文と、患者を天板131に寝かせている状況が映し出された写真2とを含む。設置段階3に関するコンテンツとしては「パッドを詰めて下さい」の説明文と、コイルAと患者頭部との隙間にパッドを詰めている状況が映し出された写真3とを含む。設置段階4に関するコンテンツとしては「Anteriorコイルを付けて下さい」の説明文と、後部コイルに前部コイル(Anteriorコイル)を付けている状況が映し出された写真2とを含む。
コイル設置情報I2の説明対象のコイルは、現検査の検査情報に含まれる検査部位に基づいて決定される。例えば、処理回路210は、RFコイルと当該RFコイルに適した検査部位とを関連づけたコイル/部位対応テーブルを利用して、現検査の検査部位から説明対象のコイルを決定する。コイル/部位対応テーブルは、例えば、支援情報記憶回路220に記憶されている。説明対象のRFコイルが決定されると処理回路210は、当該RFコイルに対応するコイル設置情報を支援情報記憶回路220から読み出す。そして、処理回路210は、当該コイル設置情報を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。技師等の医療従事者は、スクリーン63に映し出されたコイル設置情報を見ながら、RFコイル45の設置作業を行うことができる。
なお、コイル設置情報I2は、図9の(b)に示すように、全ての設置段階に亘る複数のコンテンツが一フレームに描写されるとした。しかしながら、一フレームに一設置段階のコンテンツが描写されても良い。この場合、処理回路210は、トリガ取得機能211として、RFコイル45及び患者保持具の少なくとも一方の接続状態に応じた電気信号(以下、接続信号)を検出し、接続信号の検出に伴いコイル設置情報の表示対象のコンテンツを切替える。RFコイル45の接続状態としては、例えば、RFコイル45が天板131に取付けられていないがシステムには設定されている第1接続状態、RFコイル45の後部コイルが天板131に取付けられているが前部コイルが取り外されている第2接続状態、後部コイルが天板131に取付けられ且つ前部コイルが後部コイルに取付けられている第3接続状態がある。後部コイルが天板131に取付けられた場合、RFコイル45等から第1の接続信号が映写機制御装置200に出力され、前部コイルに後部コイルが取付けられた場合、RFコイル45等から第2の接続信号が映写機制御装置200に出力される。
第1の接続信号及び第2の接続信号の両方が取得されていない場合、処理回路210は、現在の接続状態が第1接続状態であると判定し、第1接続状態に対応するコンテンツを表示対象のコンテンツに決定する。そして処理回路210は、第1接続状態に対応するコンテンツに関する1フレームの支援情報を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。第1の接続信号が取得され第2の接続信号が取得されていない場合、処理回路210は、現在の接続状態が第2接続状態であると判定し、第2接続状態に対応するコンテンツを表示対象のコンテンツに決定する。そして処理回路210は、第2接続状態に対応するコンテンツに関する1フレームの支援情報を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。第1の接続信号及び第2の接続信号の両方が取得されている場合、処理回路210は、現在の接続状態が第3接続状態であると判定し、第3接続状態に対応するコンテンツを表示対象のコンテンツに決定する。そして処理回路210は、第3接続状態に対応するコンテンツに関する1フレームの支援情報を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。これにより、処理回路210は、現在の接続状態を共に、現在の接続状態に対応するコイルの設置方法を医療従事者等に知らせることができる。
RFコイル45の設置が完了すると、図10の(a)に示すように、移動式スクリーン装置15が天板131又は患者保持具に装着される。移動式スクリーン装置15が天板131又は患者保持具に装着されると、移動式スクリーン装置15等から取付け信号が映写機制御装置200に供給される。例えば、移動式スクリーン装置15の連結部69が天板131又は患者保持具に連結されたことを契機として、寝台13、患者保持具又は移動式スクリーン装置15から取付け信号が出力される。図10の(a)の配置の場合、処理回路210は、天板131が挿入可能高さH2にあることを示す位置信号を取得し、且つ取付け信号を取得しているので、検査局面が第3局面であると判定し、投影対象の支援情報がリラックス映像I3であると判定する。処理回路210は、投影対象のリラックス映像I3を、支援情報記憶回路220から読み出し、図10の(b)に示すように、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。投影対象のリラックス映像I3は、リラックス効果を有する如何なる映像であっても良いが、例えば、図10の(b)に示すように、珊瑚礁が分布する海中を泳ぐ魚の映像が用いられると良い。投影対象のリラックス映像I3は、患者Pや医療従事者等の好みに応じて任意に設定されれば良い。
なお、第3局面において投影される支援情報は、リラックス効果を有する映像に限定されず、如何なる心理的効果を与える映像であっても良い。また、第3局面において投影される支援情報は、患者情報や検査情報等でも良い。
移動式スクリーン装置15が天板131又は保持具に装着されると医療従事者は、入力回路36を介して天板131の挿入指示を入力する。挿入指示が入力されると撮像制御回路31は、図11の(a)に示すように、天板131をボア53内に移動させる。そして患者Pの検査部位が撮影位置に配置されると天板131が停止される。天板131が停止し、撮影開始指示が入力回路36を介して入力されると撮像制御回路31は、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を制御してMR撮像を行う。この間、処理回路210は、図11の(b)に示すように、リラックス映像I3を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影している。MR撮像が終了した場合、医療従事者は、入力回路36を介して天板131の退避指示を入力する。
退避指示が入力されると撮像制御回路31は、図12の(a)に示すように、天板131をボア53の寝台側端部に移動させる。この間、処理回路210は、図12の(b)に示すように、リラックス映像I3を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影している。
天板131がボア53の寝台側端部に配置されると、図13の(a)に示すように、医療従事者等により移動式スクリーン装置15が天板131又は保持具から取り外される。この間、処理回路210は、図13の(b)に示すように、リラックス映像I3を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影している。
移動式スクリーン装置15が取り外されると、医療従事者は、入力回路36を介して天板131の下降指示を入力する。下降指示が入力されると撮像制御回路31は、図14の(a)に示すように、天板131を患者降台高さH3まで下降させる。天板131が患者降台高さH3に配置されると患者Pは、天板131から降り検査室を退室する。そして医療従事者は、現検査のために取り付けられていたRFコイル45(コイルA)を取り外し、次検査のためのRFコイル45(コイルB)を天板131に取り付けることとなる。例えば、移動式スクリーン装置15の連結部69が天板131又は患者保持具から解放されたことを契機として、寝台13、保持具又は移動式スクリーン装置15から取外し信号が出力される。
天板131が患者降台高さH3に配置された場合、処理回路210は、天板131が患者降台高さH3にあることを示す位置信号を取得し、且つ取外し信号を取得しているので、検査局面が第4局面であると判定し、投影対象の支援情報が次検査の患者に関するコイル設置情報I4であると判定する。図14の(b)に示すように、コイル設置情報I4は、次検査の患者に使用されるRFコイル45の設置手順を示す映像である。コイル設置情報I4の説明対象のコイルは、次検査の検査情報に含まれる検査部位に基づいて決定される。例えば、処理回路210は、検査スケジュールを参照して現検査の次のMR検査を特定し、特定された次検査の検査情報から検査部位を特定する。そして処理回路210は、上記のコイル/部位対応テーブルを利用して、次検査の検査部位から説明対象のコイルを決定する。説明対象のコイルが決定されると処理回路210は、当該コイルに対応するコイル設置情報を支援情報記憶回路220から読み出す。そして、処理回路210は、当該コイル設置情報を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。技師等の医療従事者は、スクリーン63に映し出されたコイル設置情報を見ながら、次検査のためのRFコイル45の設置作業を行うことができる。なお、この段階では、まだ天板131に患者が載置されていないので、RFコイル45の後部コイル又は患者保持具の取付け作業が行われ、前部コイルの取付け作業は行われない。
医療従事者は、次検査のためのRFコイル45の設置作業を行うと、コンソール27の入力回路36を介して、患者の切替指示を行う。例えば、次検査の患者に関する患者情報や検査情報の入力及び確認をし終え、Examボタンを押下することにより行われる。これにより設定患者が現検査の患者から次検査の患者に切り替えられる。そして、医療従事者は、図15の(a)に示すように、天板131が患者載置高さH1に配置されるように入力回路36を操作する。この場合、処理回路210は、天板131が患者載置高さH1にあることを示す位置信号が取得され、且つ取付け信号が取得されていないので、検査局面が第1局面であると判定し、投影対象の支援情報が次検査の患者(設定患者)に関する患者確認情報I1であると判定する。患者確認情報I1に含まれる患者情報は、次検査の検査情報に基づいて処理回路210により決定される。患者確認情報I1に含まれる患者情報の決定方法は、図8の(b)の患者確認情報I1と同様なので説明を省略する。患者確認情報I1が決定されると、処理回路210は、図15の(b)に示すように、当該患者確認情報I1を、映写機100を介して移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。これにより、入室した患者自身が次検査の検査対象の患者であるか否かを確認することができる。
以後、次検査の患者についても同様に、図8−図15に示す支援情報の切替が行われる。
以上、処理回路210による映像投影プログラムに従う映像投影処理の典型的な流れの説明を終了する。
なお、上記の処理の流れは一例であり、これに限定されない。例えば、上記実施例においてリラックス映像I3からコイル設置情報I4への切替は、天板131が患者降台高さH3に配置されたことを契機として行われるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、天板131が患者降台高さH3に向けて降下し始めたこと、移動式スクリーン装置15からRFコイル45が取り外されたこと等を契機としてリラックス映像I3からコイル設置情報I4に切替えられても良い。
また、上記実施例においてリラックス映像の出力の契機となる取付け信号は、移動式スクリーン装置15が天板131又は患者保持具に取付けられたことを契機として出力されるものとした。しかしながら、取付け信号は、例えば、反射板67の角度の切替や支持アーム65の引き出しを契機として移動式スクリーン装置15から出力されても良いし。天板131のボア53内への移動等を契機として寝台13から出力されても良い。
(変形例1)
上記実施形態において磁気共鳴イメージングシステム1は、映写機100を制御する映写機制御装置200を、撮像制御ユニット17とは別体で装備するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例1に係る磁気共鳴イメージングシステム2は、映写機制御装置200を有さず、磁気共鳴イメージング装置10と映写機100とを有する。以下、変形例1に係る磁気共鳴イメージングシステムについて説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
図16は、変形例1に係る磁気共鳴イメージング装置20の構成を示す図である。図16に示すように、磁気共鳴イメージング装置20は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15、撮像制御ユニット18及び位置検出器19を有する。撮像制御ユニット18は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール28を有する。コンソール28は、撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37、システム制御回路39、支援情報記憶回路220及び接続回路270を有する。撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37、システム制御回路39、支援情報記憶回路220及び接続回路270は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。
接続回路270は、図示しない有線又は無線を介して映写機100に映像信号を供給するインタフェース回路である。システム制御回路39は、本実施形態に係るシステム制御回路38と同様の機能に加え、本実施形態に係る映写機制御装置200が備えるトリガ取得機能211、検査局面判定機能213、支援情報決定機能215及び支援情報出力機能217を実現する。トリガ取得機能211、検査局面判定機能213、支援情報決定機能215及び支援情報出力機能217は、例えば、主記憶回路37に記憶される本実施形態に係る映像投影プログラムを読み出してメモリ上に展開することにより実行される。各機能211、213、215及び217については上記の実施形態と同様なので説明を省略する。
上記の構成により、コンソール27から映写機100に映像信号を供給することができる。また、コンソール27においてトリガ取得機能211、検査局面判定機能213、支援情報決定機能215及び支援情報出力機能217を実行することができる。よって本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1に比して変形例に係る磁気共鳴イメージングシステム2は、簡易な構成とすることができる。
(変形例2)
上記の実施形態において支援情報は、映写機100から移動式スクリーン装置15に投影されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、変形例2に係る磁気共鳴イメージングシステム1又は2において、映写機100に代えて表示機器が設けられても良い。当該表示機器は、天板131に載置された患者等が反射板67を介して当該表示機器に表示された支援情報を視認可能な位置に設けられる。例えば、当該表示機器は、図3に示す検査室300と制御室400との間の壁500に取り付けられると良い。この場合、移動式スクリーン装置15からスクリーン63が取り外される。これにより、天板131に載置された患者等が反射板67を介して、壁500に取り付けられた当該表示機器に表示された支援情報、特にリラックス映像を見ることができる。また、天板131に載置されていない患者又は医療従事者は、壁500に取り付けられた当該表示機器に表示された支援情報を、反射板67を介さずに直接的に見ることができる。
また、当該表示機器に患者確認情報やコイル設置情報を表示させる場合、当該表示機器は、天板131に載置されていない患者又は医療従事者が視認可能な、架台11の筐体の特定箇所に取付けられても良い。
上記の構成の通り、変形例2によれば、磁気共鳴イメージングシステム1又は2は、MR検査に関する一連の支援情報を表示する表示機器と、MR検査の検査情報と天板131の位置とに基づいて支援情報を切替える処理回路210又はシステム制御回路39とを少なくとも有する。これにより、移動式スクリーン装置15を有さない場合であっても、検査局面に応じた支援情報を患者や医療従事者に提示することにより、MR検査のワークフローを改善することができる。
(総括)
以上、上記の少なくとも一つの実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムは、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15又は変形例2の表示機器、及び処理回路210又は変形例1のシステム制御回路39を有する。架台11は、MR撮像機構を搭載する。寝台13は、患者を載置する天板131を移動自在に支持する。移動式スクリーン装置15又は変形例2の表示機器は、MR検査に関する一連の支援情報を提供する。処理回路210又は変形例1のシステム制御回路39は、架台11を利用するMR検査の検査情報と天板131の位置とに基づいて支援情報を切り替える。
より詳細には、処理回路210又は変形例1のシステム制御回路39は、天板131が患者載置高さH1に配置されている場合、支援情報として現検査の患者に関する患者確認情報を表示し、天板131が挿入可能高さH2に配置された場合、支援情報としてコイル設置情報を表示し、天板131が患者降台高さH3に配置されている場合、支援情報として次検査の患者に関するコイル設置情報を表示し、天板131が患者降台高さH3に配置され且つ現検査から次検査への患者の切替え指示がされた場合、支援情報として次検査の患者に関する患者確認情報を表示する。
上記の構成により、上記の少なくとも一つの実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムは、検査局面に応じた支援情報を自動的に決定して患者や医療従事者に提示することができる。
かくして、上記の少なくとも一つの実施形態によれば、MR検査のワークフローを改善することが可能な磁気共鳴イメージングシステム、磁気共鳴イメージング装置及び映像投影プログラムを提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。