MR検査におけるストレスを軽減するための技術として、次のような技術が考えられる。例えば、1.ゴーグルタイプのヘッドマウントディスプレイ、2.検査室の天井や壁への液晶モニタの設置、3.架台後方に配置された液晶モニタの映像を見るための鏡が取付けられたヘッドコイルがある。しかしながら、1の技術の場合、ヘッドマウントディスプレイを患者に取り付けることにより患者に圧迫感及び閉塞感を与えてしまう。2の技術の場合、患者の頭部が架台内に入ると液晶モニタの映像を見ることができない。3の技術の場合、MR撮像中はヘッドコイルに装着された鏡を介して映像を見ることができるのでボアによる閉塞感を軽減することができる。しかし、鏡をヘッドコイル毎に取り付けなければならない。また、頭部を覆うヘッドコイルの隙間に鏡が取り付けられているため患者は映像の広がりをあまり感じることができない。また、架台の後方に液晶モニタが設置され架台の前方を隠すものはないため、患者はMR撮像前において架台外にいるときにボアを容易に視認できてしまい、その後にたとえヘッドコイルを付けて鏡を介して映像を見ていてもボア内に居る感覚を拭い去ることはできない。更に、鏡と液晶モニタとの位置関係が天板の移動と共に変わるため、天板の移動中に鏡を介して液晶モニタの映像を見ていても患者はボア内を進む感覚も残存する。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる磁気共鳴イメージングシステム、磁気共鳴イメージング装置及び映像投影プログラムを説明する。
図1は、本実施形態に係る医用画像診断装置10を含む医用画像診断システム1の構成を示す図である。図1に示すように、医用画像診断システム1は、互いに有線又は無線で通信可能に接続された医用画像診断装置10と映写機100と映写機制御装置200とを含む。医用画像診断装置10は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15及び撮像制御ユニット17を有する。例えば、架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15は、検査室に設置され、撮像制御ユニット17は、検査室に隣接する制御室に設置される。架台11は、医用撮像を実現するための機構を装備する。架台11には中空形状を有するボアが形成されている。架台11の前方には寝台13が設置されている。寝台13は患者が載置される天板を移動自在に支持する。寝台13は架台11及び撮像制御ユニット17等による制御に従い天板を移動する。架台11のボア内には移動式スクリーン装置15が移動可能に設けられている。架台11の前方又は後方には映写機100が設置されている。移動式スクリーン装置15には映写機100からの映像が投影される。
映写機制御装置200は、映写機100を制御するコンピュータ装置である。映写機制御装置200は、映写対象の映像信号を映写機100に供給する。映写機100は、映写機制御装置200からの映像信号に対応する映像を移動式スクリーン装置15のスクリーンに投影する。映写機100としては、例えば、液晶方式やDLP(Digital Light Processing)方式、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式、GLV(Grating Light Valve)方式等が用いられると良い。この場合、映写機100は、少なくとも表示機器と光源とを搭載する。表示機器は、映写機制御装置200からの映像信号に対応する映像を表示する。光源は直接的又は光学系を介して間接的に表示機器に光を照射する。表示機器から透過又は反射した光(以下、投影光と呼ぶ)は、直接的又は光学系を介して間接的に映写機100の外部に射出される。投影光が移動式スクリーン装置15に照射されることにより、当該投影光に対応する映像が移動式スクリーン装置15に映し出される。
撮像制御ユニット17は、医用画像診断装置10の中枢として機能する。例えば、撮像制御ユニット17は、医用撮像を行うために架台11を制御する。また、撮像制御ユニット17は、医用撮像において架台11により収集された生データに基づいて患者Pに関する医用画像を再構成する。なお、撮像制御ユニット17は、映写機制御装置200を介して映写機100を制御可能に構成されても良い。
本実施形態に係る医用画像診断システム1は、映写機100と移動式スクリーン装置15とを利用して、医用画像診断装置10による医用撮像時におけるボア内における居住性を高めることを可能にする。本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、ボアが形成された架台11を用いて患者Pを撮像可能な如何なる装置でも良い。具体的には、本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の単一モダリティに適用可能である。或いは、本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、MR/PET装置、CT/PET装置、MR/SPECT装置、CT/SPECT装置等の複合モダリティに適用されても良い。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る医用画像診断装置10は、磁気共鳴イメージング装置10であるとする。また、磁気共鳴イメージング装置10と映写機100と映写機制御装置200とを含む医用画像診断システム1を磁気共鳴イメージングシステム1と呼ぶことにする。
図2は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の構成を示す図である。図2に示すように、磁気共鳴イメージング装置10は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15、撮像制御ユニット17及び位置計測器19を有する。撮像制御ユニット17は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール27を有する。コンソール27は、撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38を有する。撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25は、コンソール27と架台11とは別個に設けられている。
架台11は、静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRFコイル45を有する。また、静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とは架台11の筐体(以下、架台筐体と呼ぶ)51に収容されている。架台筐体51には中空形状を有するボア53が形成されている。架台筐体51のボア53内にRFコイル45が配置される。また、架台筐体51のボア53内に本実施形態に係る移動式スクリーン装置15が配置される。
静磁場磁石41は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41としては、例えば、永久磁石、超伝導磁石または常伝導磁石等が使用される。ここで、静磁場磁石41の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸と呼び、Z軸に水平に直交する軸をX軸と呼ぶことにする。X軸、Y軸、及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
傾斜磁場コイル43は、静磁場磁石41の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43は、傾斜磁場電源21からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。
傾斜磁場電源21は、撮像制御回路31による制御に従い傾斜磁場コイル43に電流を供給する。傾斜磁場電源21は、傾斜磁場コイル43に電流を供給することにより、傾斜磁場コイル43に傾斜磁場を発生させる。
RFコイル45は、傾斜磁場コイル43の内側に配置され、送信回路23からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、RFコイル45は、高周波磁場の作用を受けて患者P内に存在する対象原子核から発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)を受信する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25に供給される。なお、上述のRFコイル45は、送受信機能を有するコイルであるとしたが、送信用RFコイルと受信用RFコイルとが別々に設けられても良い。
送信回路23は、患者P内に存在する対象原子核を励起するための高周波磁場を、RFコイル45を介して患者Pに送信する。対象原子核としては、典型的には、プロトンが用いられる。具体的には、送信回路23は、撮像制御回路31による制御に従って、対象原子核を励起するための高周波信号(RF信号)をRFコイル45に供給する。RFコイル45から発生された高周波磁場は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動し、対象原子核を励起させる。励起された対象原子核からMR信号が発生され、RFコイル45により検出される。検出されたMR信号は、受信回路25に供給される。
受信回路25は、励起された対象原子核から発生されるMR信号をRFコイル45を介して受信する。受信回路25は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を発生する。デジタルのMR信号は、有線又は無線を介して再構成回路32に供給される。
架台11に隣接して寝台13が設置される。寝台13は、天板131と基台133とを有する。天板131には患者Pが載置される。基台133は、天板131をX軸、Y軸、Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台133には寝台駆動装置135が収容される。寝台駆動装置135は、撮像制御回路31からの制御を受けて天板131を移動する。寝台駆動装置135としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の如何なるモータが用いられても良い。
位置計測器19は、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置に関連する物理量を計測する。以下、当該物理量をスクリーン位置情報と呼ぶことにする。スクリーン位置情報としては、例えば、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置に応じて位置が変化する機器、例えば、移動式スクリーン装置15、映写機100、寝台13、架台11及び他の機器の位置が挙げられる。また、スクリーン位置情報としては、映写機100と移動式スクリーン装置15との間の距離、映写機100と天板131との間の距離等でも良い。位置計測器19は、例えば、位置センサや距離センサ、変位センサ、圧力センサ、速度センサ、光センサ、超音波センサ等のセンサからの検出信号をスクリーン位置情報として用いても良いし、当該検出信号に基づいてスクリーン位置情報を計測しても良い。スクリーン位置情報は、有線又は無線を介してコンソール27に供給され、コンソール27の通信回路34により映写機制御装置200に供給される。或いはスクリーン位置情報は、コンソール27を介さずに映写機制御装置200に供給されても良い。なお、位置計測器19は、特許請求の範囲に記載されている取得部の一例である。
撮像制御回路31は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。撮像制御回路31は、システム制御回路38から供給されるパルスシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、当該パルスシーケンス情報に応じたパルスシーケンスで患者Pを撮像する。
再構成回路32は、ハードウェア資源として、CPUやGPU(Graphical processing unit)、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。再構成回路32は、受信回路25からのMR信号に基づいて患者Pに関するMR画像を再構成する。例えば、再構成回路32は、k空間または周波数空間に配置されたMR信号にフーリエ変換等を施して実空間で定義されたMR画像を発生する。なお再構成回路32は、再構成機能を実現する特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。
画像処理回路33は、ハードウェア資源として、CPU、GPU、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。画像処理回路33は、再構成回路32により再構成されたMR画像に種々の画像処理を施す。なお画像処理回路33は、上記画像処理機能を実現するASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
通信回路34は、図示しない有線又は無線を介して映写機制御装置200との間でデータ通信を行う。また、通信回路34は、図示しないネットワーク等を介して接続されたPACSサーバ等の外部装置との間でデータ通信を行っても良い。また、通信回路34は、位置計測器19から供給されたスクリーン位置情報を映写機制御装置200に供給しても良い。
表示回路35は、種々の情報を表示する。例えば、表示回路35は、再構成回路32により再構成されたMR画像や画像処理回路33により画像処理が施されたMR画像を表示する。また、表示回路35は、映写機100により映写される映像と同一の映像を表示しても良い。具体的には、表示回路35は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータを映像信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表す映像信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路36は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路38に供給する。なお、入力回路36は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、磁気共鳴イメージング装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力回路36の例に含まれる。
主記憶回路37は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路37は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路37は、MR画像や磁気共鳴イメージング装置10の制御プログラム等を記憶する。
システム制御回路38は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPUのプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。システム制御回路38は、磁気共鳴イメージング装置10の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路38は、主記憶回路37に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って磁気共鳴イメージング装置10の各部を制御する。
以下、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置10について詳細に説明する。
まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1の設置環境について説明する。図3は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムの設置環境の一例を示す図である。図3に示すように、MR撮像が行われる検査室300と検査室300に隣接する制御室400とが設けられる。検査室300には架台11と寝台13とが設置されている。架台11の前方に寝台13が設けられている。架台11のボアには移動式スクリーン装置15が設けられている。検査室300は、架台11からの漏洩磁場や外部からの電磁場等を遮蔽可能なシールドルームである。検査室300には入退室のためのドアD1が設けられている。また、検査室300と制御室400との間には、検査室300と制御室400との間の往来のためのドアD2が設けられている。制御室400にはコンソール27と映写機100と映写機制御装置200とが設置されている。映写機100は、検査室300と制御室400との間の壁500を隔てて架台11の後方に設置される。壁500のうちの、映写機100から移動式スクリーン装置15に向かう投影光LPが伝播する部分には当該投影光LPが透過可能な窓510が設けられている。窓510を介して、制御室400に設置された映写機100から検査室300の移動式スクリーン装置15に投影光LPを伝播させることができる。制御室400にも入退室のためのドアD3が設けられると良い。
なお、上記のレイアウトは一例であってこれに限定されるものではない。例えば、映写機100と映写機制御装置200とコンソール27とが制御室400に設置されるとしたが、コンソール27と映写機制御装置200とは映写機100とは異なる別の部屋に設置されても良い。また、映写機100を磁場による影響を受けない材料で形成できるのであれば、映写機100を検査室300に設けても良い。また、検査室300と制御室400との他に、傾斜磁場電源21や受信回路25を設置するための機械室等が設けられても良い。
次に、図4を参照しながら架台11の外観について説明する。図4は、本実施形態に係る架台筐体51の斜視図である。図4に示すように、架台筐体51には中空形状のボア53が形成される。架台筐体51のボア53の下部には、ボア53の中心軸Zに平行するレール55が形成されている。レール55は、天板131と移動式スクリーン装置15との中心軸Zに沿うスライドを案内する構造物である。レール55は、ボア53に接する架台筐体51の内壁57に設けられる。レール55は、磁気共鳴撮像に利用される磁場に作用しない非磁性材料により形成される。ここで、Z軸に関して寝台側から映写機側に向かう方向を+Z軸方向に規定し、映写機側から寝台側に向かう方向を−Z軸方向に規定する。
次に図5、図6、図7及び図8を参照しながら移動式スクリーン装置15の構造について説明する。図5は、本実施形態に係る移動式スクリーン装置15の斜視図である。図6は、移動式スクリーン装置15の側面図である。図7は、移動式スクリーン装置15の正面図である。図8は、連結した移動式スクリーン装置15と天板131との斜視図である。
図5、図6、図7及び図8に示すように、移動式スクリーン装置15は、移動台車61、スクリーン63、支持アーム65及び反射板67を有する。移動台車61は、架台筐体51の内壁57に設けられたレール55に沿って移動する構造体である。移動台車61の下部には、レール55における走行性を高めるため、レール55を転がる車輪(図示せず)が取り付けられている。なお、移動台車61がレール55を走行可能であれば、必ずしも車輪が設けられる必要は無く、レール55に接触する面が低摩擦係数を有する材料により形成されれば良い。移動台車61とレール55とは、移動台車61がボア53の寝台13側(−Z側)の端部から映写機100側(+Z側)の端部まで移動可能に形成される。移動台車61の底面は、レール55に嵌合可能な形状を有すると良い。移動台車61とレール55とが係合することにより、移動台車61がボア53の端部に配置された状態において外部から架台11を見た場合、レール55を目立たなくさせることができる。移動台車61は、スクリーン63と支持アーム65とを支持する。移動台車61は、樹脂等の磁場に作用しない非磁性材料により形成される。
図5に示すように、移動台車61には天板131に連結するための連結部69が形成されている。連結部69により、図8に示すように、移動台車61と天板131とが連結する。天板131の前方部(+Z軸方向側)には患者固定具137が取り付けられている。患者固定具137は、天板131に載置された患者Pの頭部を固定する。患者固定具137は、天板131に仰向けに載置された患者Pの視界を遮ることなく後頭部を覆うことが可能なように湾曲形状を有している。すなわち、患者固定具137の前頭部側は開放されている。よって患者固定具137は、頭部全体を覆う固定部に比して、患者Pの閉塞感を軽減し、また、患者Pの視野の狭窄を軽減することができる。患者固定具137は、例えば、上記形状を有する金型を用いて樹脂等の非磁性材料により一体的に成型される。
図5、図6、図7及び図8に示すように、スクリーン63は、移動台車61に立設されている。スクリーン63には図示しない映写機100からの映像が投影される。スクリーン63は、移動台車61に対して傾き可能に設けられている。具体的には、移動台車61に設けられた傾動機構(図示せず)により傾動可能に設けられている。移動台車61の表面に対するスクリーン63の傾き角度を調節することにより、スクリーン63は移動台車61の表面に対して垂直又は所定の傾斜角度で保持される。上記の通り、映写機100は、スクリーン63を挟んで寝台13とは反対側に配置される。ここで、スクリーン63の映写機100側の面を裏面、寝台13側の面を表面と呼ぶことにする。表面に映像を映し出すため、スクリーン63は半透明の材料で形成されると良い。このような半透明の材料としては、半透明のプラスチックや磨りガラス等が用いられると良い。スクリーン63が半透明材料により形成されることにより、映写機100から射出された投影光はスクリーンの裏面に照射され、投影光に対応する映像が表面に映し出される。これにより患者P等は、寝台13側から、表面に映し出された映像を見ることができる。スクリーン63は、平面形状を有する型式であっても曲面形状を有する型式であっても良い。曲面形状を有する場合、凹面が寝台13側を向く、すなわち、表面を成すように配置されると良い。凹面が寝台13側を向くことにより、天板131に載置された患者Pの頭部の後方周辺をスクリーン63で覆うことが可能となる。これにより患者Pの視野をスクリーン63に映し出された映像で満たし、映像に没入させることが可能となる。
図9は、ボア53内に配置されたスクリーン63の模式的な正面図である。図9に示すように、スクリーン63は、架台筐体51のボア53に接する内壁57の径RBよりも小さい外径RSを有する。このように外径RSを内径RBよりも小さく設計することにより、移動式スクリーン装置15をボア53内に挿入することができる。なお、ボア53内には架台11に設けられた換気ファン(図示せず)から風が流れている。スクリーン63の縁と内壁57との間に隙間G1が設けられることにより、換気ファンから送り出される風がスクリーン63により遮られることを防止することができる。外径RSとしては、例えば、内径RBよりも10mmから50mm小さく設計されると良い。換言すれば、隙間G1は、10mmから50mmに設計されると良い。
図5、図6、図7及び図8に示すように、支持アーム65は移動台車61に取り付けられる。後述するように、支持アーム65は、Z軸方向に関してスライド可能に移動台車61に取り付けられている。支持アーム65は、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置するように支持する。反射板67は、移動台車61と天板131とが連結されている状態において、天板131に載置された患者Pの頭部にぶつからない程度に、移動台車61の表面から離隔して支持アーム65により支持される。支持アーム65は、架台11の外部からスクリーン63を見た場合に当該外部観察者の視界を遮らないような形状を有している。当該外部観察者の視界を遮らないため、支持アーム65は、図5、図6、図7及び図8に示すように、スクリーン63の輪郭に沿った円弧部分を有する半環形状又は半鞍形状を有すると良い。この場合、支持アーム65の両端が移動台車61の側部に取り付けられ、支持アーム65の円弧部分がスクリーン63の表面側の空間に位置するように、支持アーム65が移動台車61に取り付けられる。なお支持アーム65の形状は上記の半円環形状又は半鞍形状に限定されず、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置可能であれば如何なる形状を有していても良い。例えば、支持アーム65は、略棒形状を有する一対のアームにより構成されても良い。この場合、当該一対のアームの一端が移動台車61の両側部に取り付けられ、他端に反射板67が取り付けられると良い。
図5、図6、図7及び図8に示すように、反射板67は、支持アーム65の略最上部に設けられている。反射板67は、スクリーン63の表面に映し出された映像を反射する。反射板67は、非磁性材料により形成され、対象を光学的に反射可能であれば如何なる素材により形成されても良い。例えば、反射板67としては、アクリルにアルミ蒸着処理を施した鏡や誘電体膜を付着させたハーフミラー等が用いられれば良い。患者固定具137に頭部が配置された患者Pは、表面に投影された映像を、反射板67を介して見ることができる。
反射板67は、患者Pにより反射板67の角度を手動で調整するために、支持アーム65に回転可能に設けられている。具体的には、支持アーム65に設けられた回転機構(図示せず)により回転軸RR1回りに回転可能に設けられている。回転軸RR1は、例えば、スクリーン63の表面に対する反射板67の向きを調節可能なようにX軸に平行に設けられる。より詳細には、支持アーム65は、少なくとも、後述する第1の映写形式のための第1の角度と第2の映写形式のための第2の角度との間で切替え可能に設けられると良い。第1の映写形式は、架台11外から反射板67を介さずにスクリーン63の映像を見る形式である。そのため、第1の映写形式における反射板67の第1の角度は、架台11外にいる患者P等の視界を遮らない角度、例えば、略水平に設定されると良い。第2の映写形式はボア53内において反射板67を介して映像を見る形式である。そのため、第2の映写形式における反射板の第2の角度は、観察者たる患者Pの体格等に応じて、水平と垂直との間の任意の角度に設定されると良い。
反射板67のZ軸に関する位置を調節するため、支持アーム65のスライド機構71が移動台車61に設けられると良い。図10は、図6の支持アーム65がZ軸に関してスライドされた移動式スクリーン装置15の側面を示す図である。図6と図10とに示すように、スライド機構71として、支持アーム65のZ軸に沿うスライドを案内するガイド611が移動台車61に形成されている。ガイド611は、支持アーム65とスクリーン63とへの接触を回避するため、移動台車61の両側面においてZ軸に沿って設けられている。ガイド611は如何なる形態により実現されても良いが、例えば、移動台車61の側面にZ軸に沿って設けられた空隙により実現される。図6と図10とに示すように、支持アーム65の摺動性を高めるため、支持アーム65のうちのガイド611に面する基部には車輪651が設けられると良い。スライド機構71が設けられることにより、医師や技師、看護士等の医療従事者及び患者P等が支持アーム65をZ軸方向に押したり引いたりすることにより反射板67をスクリーン63に対して接近又は離隔することができる。これにより、反射板67のZ軸方向に関する位置を調節することができる。
なお上記の説明においてスライド機構71は、移動台車61に設けられたガイド611と支持アーム65に設けられた車輪651とにより実現されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係るスライド機構71としては、支持アーム65を移動台車61に対して相対的にスライド可能であれば如何なる機構であっても良い。例えば、支持アーム65にZ軸に沿うガイドが設けられ、当該ガイドを走行する車輪が移動台車61に設けられても良い。また、スライド機構71は、ボールネジやスライドレール等により実現されても良い。
図11は、架台11のボア53に配置された移動式スクリーン装置15の簡易な側面図である。図11に示すように、移動式スクリーン装置15の移動台車61がレール55にスライド可能に設けられている。典型的には、移動式スクリーン装置15には駆動装置が搭載されていない。移動式スクリーン装置15は、寝台駆動装置135による天板131のスライドに連動してスライドする。なお、移動式スクリーン装置15は、患者Pや医療従事者等により押したり引いたりすることによりZ軸に関してスライドすることも可能である。
上記の構成により本実施形態に係る医用画像診断装置10は、移動式スクリーン装置15がボア53の寝台側端部に配置された状態において移動式スクリーン装置15に映像を投影する第1の映写形式と、天板131と移動式スクリーン装置15とが連結した状態において移動式スクリーン装置15に映像を投影する第2の映写形式とを実現することができる。
図12は、第1の映写形式における移動式スクリーン装置15を架台11の側方から示す図である。図13は、第1の映写形式における移動式スクリーン装置15を架台11の正面から示す図である。図12と図13とに示すように、第1の映写形式において移動式スクリーン装置15は、スクリーン63がボア53の寝台側端部に位置するように配置される。第1の映写形式において患者Pや医療従事者は、架台筐体51の外側からスクリーン63に映し出された映像PIを反射板67を介さずに見ることとなる。スクリーン63が寝台側端部に配置されるので、スクリーン63がボア53を塞ぎ、患者Pがボア53の内部を見ることを防止することができる。また、スクリーン63に映像PIが映し出されているので、ボア53が検査空間であるという患者Pの認識を鈍らせ、ボア53内へ入り込むことへの恐怖感を和らげることができる。以下、第1の映写形式のための架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15の配置形態を第1の配置形態と呼ぶことにする。
図14は、第2の映写形式における移動式スクリーン装置15を架台11の側方から示す図である。図14に示すように、第2の映写形式において患者Pは、天板131に載置されてボア53に挿入された状態において、スクリーン63の表面に映し出された映像を反射板67を介して見ることとなる。天板131と移動式スクリーン装置15とが連結しているため、移動式スクリーン装置15のZ軸方向のスライドに関わらず患者Pとスクリーン63との距離は一定に保たれる。よってスクリーン63に映し出される映像への没入感を高め、ボア53内での閉塞感を和らげることができる。以下、第2の映写形式のための架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15の配置形態を第2の配置形態と呼ぶことにする。
上記の通り、本実施形態においては、映写機100が固定された状態において移動式スクリーン装置15がZ軸方向に関してスライドするため、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置が変化する。そのため、移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影された映像のサイズが、移動式スクリーン装置15のZ軸方向に関する位置に応じて変化する。以下、映写機100に入力される映像を入力映像と呼び、移動式スクリーン装置15に映し出された映像を出力映像と呼ぶことにする。
図15は、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置の変化に伴う出力映像のサイズの変化を示す図である。図15に示すように、映写機100は所定の位置PPに固定されている。映写機100には映写機制御装置200から所定のサイズの入力映像IIに関する映像信号が入力される。本実施形態に係る映像のサイズは、当該映像の水平方向の長さ、垂直方向の長さ、対角線上の長さ及び面積等の当該映像の大きさに応じて変化する如何なる形態的特徴量を含むものとする。本実施形態において映写機100は、光学系を用いて入力映像IIのサイズを調節することはしないものとする。従って入力映像IIのサイズは常に一定であるものとする。入力映像IIのサイズは、入力回路250を介して医療従事者等により任意に設定可能である。
図15に示すように、入力映像IIは、コンテンツ領域RICと背景領域RIBとを有する。コンテンツ領域RICは、入力映像IIのうちのコンテンツが描出される映像領域である。本実施形態においてコンテンツとは、映像の実体的な情報(中身)を意味する。背景領域RIBは、入力映像IIのうちのコンテンツ以外の映像が描出される映像領域、換言すれば、コンテンツ領域RIC以外の映像領域である。背景領域RIBには、コンテンツ以外の任意の情報が表示されると良い。例えば、背景領域RIBには残り検査時間や患者名等の検査情報等が表示されても良いし、コンテンツの視認性を高めるため黒等の所定の色が表示されても良い。
図15に示すように、映写機100からの投影光LPが移動式スクリーン装置15のスクリーン63に照射されることにより、入力映像IIに対応する出力映像IOがスクリーン63に投影される。出力映像IOは、映写機100に入力された入力映像IIの投影である。出力映像IOは、コンテンツ領域ROCと背景領域ROBとを有する。コンテンツ領域ROCは、スクリーン63に投影された出力映像IOのうちの、入力映像IIのコンテンツ領域RICの投影領域である。背景領域ROBは、スクリーン63に投影された出力映像IOのうちの、入力映像IIの背景領域RIBの投影領域である。
図15に示すように、入力映像IIのサイズが一定の下、移動式スクリーン装置15が移動した場合、映写機100から移動式スクリーン装置15への距離DSPと出力映像IOのサイズとにより規定される相似比は一定に保たれる。よって、距離DSPの変化に伴い出力映像IOのサイズが当該相似比に従い拡大又は縮小する。例えば、スクリーン63がボア53内P2に位置する第2の配置形態のときの出力映像IO2は、スクリーン63が寝台側端部P1に位置する第1の配置形態のときの出力映像IO1に比して、スクリーン63が映写機100に接近しているためサイズが小さくなる。入力映像IIに含まれるコンテンツ領域RICと背景領域RIBとのサイズの比率が一定である場合、出力映像IOに含まれるコンテンツ領域ROCと背景領域ROBとのサイズも出力映像IOのサイズに連動して上記相似比に従い拡大又は縮小することとなる。このように、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置DSPの変化に伴い出力映像IOに含まれるコンテンツ領域ROCのサイズが変化すると、当該コンテンツ領域ROCを見ている患者Pが違和感を抱き、患者Pの出力映像IOへの集中を削ぐ虞がある。
本実施形態に係る映写機制御装置200は、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置に依らず、スクリーン63に投影される出力映像のサイズを一定にするように入力映像を処理する。
図16は、本実施形態に係る映写機制御装置200の構成を示す図である。図16に示すように、本実施形態に係る映写機制御装置200は、処理回路210、映像記憶回路220、通信回路230、表示回路240、入力回路250、主記憶回路260及び接続回路270を有する。処理回路210、映像記憶回路220、通信回路230、表示回路240、入力回路250、主記憶回路260及び接続回路270は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
映像記憶回路220は、移動式スクリーン装置15に投影される映像に関する画像データ(以下、映像データと呼ぶ)を記憶する。映像は、一枚のフレームから構成される静止画であっても良いし、時系列で配列された複数枚のフレームから構成される動画でも良い。以下の説明を具体的に行うため映像は動画であるものとする。例えば、一個の映像を構成する複数のフレームの画像データが一個のファイルとして映像記憶回路220に記憶される。
通信回路230は、図示しない有線又は無線を介してコンソール27又は他のコンピュータとの間でデータ通信を行う。例えば、通信回路230は、コンソール27からスクリーン位置情報を受信する。
表示回路240は、種々の情報を表示する。例えば、表示回路240は、映写機100に供給される映像信号に対応する映像をリアルタイムで表示する。具体的には、表示回路240は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象の映像に関する映像データを映像信号に変換する。映像信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象の映像信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路250は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介して処理回路210に供給する。
主記憶回路260は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路260は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路260は、本実施形態に係る映像投影プログラム等を記憶する。
接続回路270は、図示しない有線又は無線を介して映写機100に映像信号を供給するインタフェース回路である。接続回路270は、映写機100の映写方式に応じてアナログの映像信号を供給しても良いし、デジタルの映像信号を供給しても良い。以下、本実施形態に係る映写機100に供給される映像信号についてアナログの映像信号とデジタルの映像信号とを区別せず単に映像信号と呼ぶことにする。
処理回路210は、ハードウェア資源として、CPUやGPU、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路210は、映写機制御装置200の中枢として機能する。処理回路210は、主記憶回路260に記憶されている映像投影プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された映写投影プログラムを実行する。映写投影プログラムの実行により処理回路210は、位置情報取得機能211、映像処理機能213及び映像出力機能215を実現する。
位置情報取得機能211の実行により処理回路210は、位置計測器19から直接的に又はコンソール27を介して間接的に供給されたスクリーン位置情報を取得する。
映像処理機能213の実行により処理回路210は、入力映像に関する画像データに画像処理を施す。画像処理として処理回路210は、例えば、拡大縮小処理等を行う。具体的には、処理回路210は、拡大縮小処理において、スクリーン位置情報に応じて出力映像のコンテンツ領域の形態を変化させる。コンテンツ領域の形態とは、入力映像又は出力映像に占めるコンテンツ領域の位置、大きさ及び形状等の幾何学的特徴を指すものとする。また、処理回路210は、画像処理としてトリミング領域設定処理を行っても良い。トリミング領域設定処理において処理回路210は、入力映像のうちの切り取り対象の領域(以下、トリミング領域と呼ぶ)を、当該入力映像に設定する。処理回路210は、拡大縮小処理において、トリミング領域の形態をスクリーン位置情報に応じて変化することも可能である。
映像出力機能215の実行により処理回路210は、入力映像に関する映像信号を通信回路230を介して映写機100に出力する。本実施形態において処理回路210は、映像処理機能213によりスクリーン位置情報に応じて形態が変化するコンテンツ領域を含む入力映像に関する映像信号を映写機100に出力する。具体的には、処理回路210は、入力映像に関する映像信号をフレーム単位で時系列に出力する。
次に、本実施形態に係る映像投影プログラムに従い処理回路210により実行される映像投影処理について説明する。図17は、本実施形態に係る映像投影プログラムに従い処理回路210により実行される映像投影処理の典型的な流れを示す図である。映像投影プログラムは、入力回路250を介した医療従事者等による開始指示を受けて処理回路210により主記憶回路37から読み出され実行される。
まず処理回路210は、映像の投影の開始指示がなされることを待機する(ステップS1)。映像の投影は、移動式スクリーン装置15がボア53の寝台側端部に配置されているのであれば、如何なるタイミングでも開始可能である。しかしながら、患者Pにボア53を意識させないという目的のためには、患者Pが検査室300に入室する前に開始されると良い。投影開始は、例えば、入力回路250を介した医療従事者等による開始指示を受けて処理回路210により受け付けられる。
映像の投影の開始指示がなされると処理回路210は、映像出力機能215を実行する(ステップS2)。ステップS2において処理回路210は、第1の配置形態用の入力映像の映像信号を接続回路270を介して映写機100に出力する。具体的には、処理回路210は、まず映像記憶回路220から入力映像の画像データを読み出す。そして処理回路210は、読み出した入力映像の画像データをフレーム単位で映像信号に変換し、接続回路270を介して映写機100にフレーム単位に時系列で出力する。映像信号を受けた映写機100は、当該映像信号を移動式スクリーン装置15に投影する。これにより架台外11の外側にいる患者Pや医療従事者は、移動式スクリーン装置15のスクリーン63に映し出された出力映像を見ることができる。
ステップS2が行われると処理回路210は、位置情報取得機能211を実行する(ステップS3)。ステップS3において処理回路210は、位置計測器19から送信されたスクリーン位置情報をリアルタイムで取得する。
上記の通り、スクリーン位置情報は、映写機100に対するスクリーン63の位置に関連する物理量である。位置計測器19としては、天板131の位置制御に用いられる天板131の位置を計測するエンコーダが利用可能である。エンコーダは、寝台13に内蔵された天板131の駆動装置、例えば、サーボモータの回転軸に取り付けられる。当該回転軸が所定角度回転する毎にエンコーダはスクリーン位置情報としてパルス信号を出力する。エンコーダにより出力されたスクリーン位置情報は、コンソール27の撮像制御回路31に供給され、天板131の位置制御に用いられる。本実施形態においてエンコーダにより出力されたスクリーン位置情報は、撮像制御回路31による天板131の位置制御とともに、後述の処理回路210による形態変化処理に兼用される。例えば、当該スクリーン位置情報は、コンソール27内の通信回路34を介して映写機制御装置200にリアルタイムで送信される。
なお、スクリーン位置情報を計測する位置計測器19は、天板131の位置制御用のエンコーダのみに限定されない。本実施形態に係る位置計測器19は、当該エンコーダとは別に取り付けられても良い。このような位置計測器19としては、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置に応じて変化する位置を計測可能であれば如何なる計測器であっても良い。例えば、位置計測器19は、移動式スクリーン装置15、映写機100、寝台13、架台11及び他の機器の位置を計測する位置センサであっても良い。あるいは、位置計測器19は、映写機100と移動式スクリーン装置15との間の距離、映写機100と天板131との間の距離を計測する距離センサでも良い。この場合、位置計測器19により出力されたスクリーン位置情報は、コンソール27を介さずに直接的にリアルタイムで映写機制御装置200に送信されれば良い。
ステップS3が行われると処理回路210は、映像処理機能213を実行する(ステップS4)。ステップS4において処理回路210は、ステップS3において取得されたスクリーン位置情報に応じて、入力映像に含まれるコンテンツ領域の形態を変化させる。
ここで、図18及び図19を参照しながら、処理回路210によるコンテンツ領域の形態変化処理について具体的に説明する。以下の具体例において形態変化処理における変化対象は、コンテンツ領域の大きさであるものとする。コンテンツ領域の形態変化処理としては、入力映像に含まれるコンテンツ領域の形態を直接的に変化させる形式(以下、直接変化形式と呼ぶ)と、入力映像に含まれるトリミング領域の形態を変化させることによりコンテンツ領域の形態を間接的に変化させる形式(以下、間接変化形式と呼ぶ)とがある。また、以下の具体例においてスクリーン位置情報は、映写機100とスクリーン63との間の距離であるものとする。
図18は、直接変化形式によるコンテンツ領域の形態変化処理を説明する図である。なお、図18においては、簡便のため、移動式スクリーン装置15の全体を描写せずスクリーン63のみを図示している。図18に示すように、映写機100は、位置PPに固定されている。第1の配置形態においてスクリーン63は、ボアの寝台側端部に設定された初期位置P1に配置されている。上記の通り、第1の配置形態において患者は、ボアの外側から、スクリーン63に映し出された出力映像IO1を見る。そしてMR撮像のため、患者が天板131に載置され、天板131が移動式スクリーン装置15に連結して第2の配置形態に移行する。第2の配置形態において天板131に載置された患者は、スクリーン63に映し出された出力映像IO2を反射板67を介して見ることとなる。第2の配置形態においては天板131の映写機100側へのスライドに連動してスクリーン63も映写機100に向けてスライドする。すなわち、第2の配置形態におけるスクリーン63の位置P2は、第1の配置形態における位置P1に比して映写機100の位置PPよりも接近している。そして天板131は、患者の撮影部位が撮影位置に配置されるように位置決めされる。天板131が位置決めされると磁気共鳴イメージング装置10によりMR撮像が行われる。この間、患者は、スクリーン63に映し出された出力映像IO2を反射板67を介して見ている。そしてMR撮像が終了すると天板131がボア外に退避される。
図18に示すように、第1の配置形態において、映写機制御装置200から映写機100に入力映像II1がフレーム単位で入力され、映写機100から入力映像II1に対応する投影光LPがリアルタイムで射出される。投影光LPはコンテンツ領域RIC1に対応する光領域(以下、コンテンツ光領域と呼ぶ)LPC1と背景領域RIB1に対応する光領域(以下、背景光領域と呼ぶ)LPB1とに区分される。投影光LPがスクリーン63に照射され出力映像IO1が映し出される。より詳細には、入力映像II1のコンテンツ光領域LPC1がスクリーン63に照射されることにより、出力映像IO1のうちのコンテンツ領域ROC1がスクリーン63に映し出され、背景光領域LPC1がスクリーン63に照射されることにより、出力映像IO1のうちの背景領域ROB1がスクリーン63に映し出される。なお、上記の通り、本実施形態に係る入力映像IIのサイズSIIが不変であるので、例えば、第1の配置形態に係る入力映像II1のサイズSII1と第2の配置形態に係る入力映像II2のサイズSII2とは同一である。
スクリーン63と映写機100との間の距離DSPは、位置計測器19によりリアルタイムで計測されている。処理回路210は、位置計測器19により計測された距離DSPに応じて、入力映像IIに含まれるコンテンツ領域RICのサイズを初期的なサイズに対してフレーム単位にリアルタイムで変化させる。本具体例においてサイズは、水平方向の長さであるとする。入力映像IIのコンテンツ領域RICの初期的なサイズ(以下、初期入力コンテンツサイズと呼ぶ)は、例えば、スクリーン63が初期位置に配置されている場合における、最適な出力映像IOのコンテンツ領域ROCのサイズ(以下、最適出力コンテンツサイズと呼ぶ)SOC1に対応する入力映像II1のコンテンツ領域RIC1のサイズSIC1に設定される。当該初期位置は、例えば、第1の配置形態におけるスクリーン63の位置P1、すなわち、寝台側端部に設定されると良い。最適出力コンテンツサイズSOC1は、患者Pが当該出力コンテンツ領域ROCを見やすいサイズに任意に設定されると良い。初期入力コンテンツサイズSIC1は、主記憶回路260に記憶される。なお、上記の初期入力コンテンツサイズSIC1は、一例であり、患者や医療従事者等の趣向に合わせて任意に設定可能である。
図18に示すように、第2の配置形態において処理回路210は、距離DSP2の変化に関わらず、出力映像IO2のコンテンツ領域ROC1のサイズSOC2が最適出力コンテンツサイズSOC1で一定になるように、入力映像IIのコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2をリアルタイムで変化させる。例えば、処理回路210は、距離DSPとコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2との対応関係を規定するテーブル(以下、距離/コンテンツサイズ対応テーブルと呼ぶ)を記憶する。各距離DSP2におけるコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2は、各距離DSP2において出力映像IO2のコンテンツ領域ROC2のサイズSOC2が最適出力コンテンツサイズSOC1に一致するような値に設定される。入力映像IIのコンテンツ領域RICのサイズSICは、出力映像IOのコンテンツ領域ROCのサイズSOCと距離DSPとに、サイズSICとサイズSOCと距離DSPとの間に成立する相似関係を適用することにより決定される。例えば、初期的な距離DSP1における最適出力コンテンツサイズSOC1と初期入力コンテンツサイズSIC1との組合せと、任意の距離DSP2における最適出力コンテンツサイズSOC1とコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2との組合せとは、当該相似関係が成立する。処理回路210は、予め当該相似関係に基づいて各距離DSP2における入力映像II2のコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2を決定する。算出対象の距離DSP2は、スクリーン63の可動範囲に応じて決定されれば良い。
ステップS4において処理回路210は、位置情報取得機能211により距離DSP2が入力される毎に形態変化処理を行う。まず処理回路210は、当該距離DSP2を入力として距離/コンテンツサイズ対応テーブルを探索し、当該距離DSP2に対応するコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2を決定する。そして処理回路210は、映写機100への送信対象のフレームに係る入力映像II2のコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2を、決定されたサイズSIC2に変化させる。サイズ変化後のフレームに係る入力映像II2は、映写機100に入力され、スクリーン63に投影される。当該形態変化処理は、位置情報取得機能211により距離DSP2が入力される毎に行われる。
上記処理により、処理回路210は、出力映像IO2のコンテンツ領域ROC2のサイズSOC2を最適出力コンテンツサイズSOC1に固定するため、スクリーン63が初期位置P1から映写機100に接近するにつれて入力映像II2のコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2を上記相似関係に従い拡大し、また、スクリーン63が映写機100から離隔するにつれてサイズSIC2を上記相似関係に従い縮小する。これにより、出力映像IO2のコンテンツ領域ROC2のサイズSOC2を固定することができる。従って当該コンテンツ領域ROC2を見ている患者Pは、サイズ変化に起因する違和感を抱くことがなく映像を楽しむことが出来る。また、後述の間接変化形式に比して直接変化形式は、入力映像II2のコンテンツ領域RIC2が拡大又は縮小されるので、出力映像IO2においてコンテンツ領域ROC2の全体を映し出すことが出来る。よって直接変化形式は、後述の間接変化形式に比して、出力映像IO2におけるコンテンツ領域ROC2の表示範囲の変動を抑制することができる。
なお、上記の具体例において入力映像II2のコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2は、距離/コンテンツサイズテーブルを利用して決定されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、処理回路210は、距離DSP2と初期入力コンテンツサイズとに上記相似関係に従う変換式を適用してリアルタイムでサイズSIC2を決定しても良い。
次に、間接変化形式によるコンテンツ領域の形態変化処理について説明する。なお、間接変化形式において入力コンテンツ領域のサイズは、映写機100に対するスクリーン63の位置に依らず一定であるとする。なお以下の説明において、直接変化形式と略同一の内容については説明を省略する。
図19は、間接変化形式によるコンテンツ領域の形態変化処理を説明する図である図19に示すように、入力映像IIの周縁部には処理回路210によりトリミング領域RITが設定される。トリミング領域RITは、入力コンテンツ領域RICの形態を整えるための映像領域である。トリミング領域RITには、コンテンツ以外の任意の情報が表示されると良い。例えば、トリミング領域RITには残り検査時間や患者名等の検査情報等が表示されても良いし、コンテンツの視認性を高めるため黒等の所定の色が表示されても良い。トリミング領域RITの形状は、四角形に限定されず、他の任意の多角形でも良いし、円形、楕円形等の任意の形状に設定されれば良い。トリミング領域RITの形状は、時間経過に伴い一定に設定されても良いし、時間経過に従い変化するように設定されても良い。
図19に示すように、映写機制御装置200から映写機100に入力映像IIがフレーム単位で入力され、映写機100から入力映像IIに対応する投影光LPがリアルタイムで射出される。投影光LPはコンテンツ光領域LPCとトリミング領域RITに対応する光領域(以下、トリミング光領域と呼ぶ)LPTとに区分される。投影光LPがスクリーン63に照射され出力映像IOが映し出される。より詳細には、入力映像IIのコンテンツ光領域LPCがスクリーン63に照射されることにより、出力映像IOのうちのコンテンツ領域ROCがスクリーン63に映し出され、トリミング光領域LPTがスクリーン63に照射されることにより、出力映像IOのうちのトリミング領域ROTがスクリーン63に映し出される。
図19に示すように、第2の配置形態において処理回路210は、距離DSPに応じてトリミング領域RITのサイズを初期的なサイズ(以下、初期トリミングサイズと呼ぶ)に対して変化させる。初期トリミングサイズは、例えば、最適出力コンテンツサイズに対応する入力映像II1のコンテンツ領域RIC1のサイズSIC1に応じて設定される。具体的には、入力映像II1のうちの、最適出力コンテンツサイズに対応するコンテンツ領域RIC1以外の映像領域が初期的なトリミング領域RIT1に設定される。初期トリミングサイズは、主記憶回路260に記憶される。なお、上記の初期トリミングサイズは、一例であり、患者や医療従事者等の趣向に合わせて任意に設定可能である。
例えば、処理回路210は、距離DSPとトリミング領域RIT2のサイズSIT2との対応関係を規定するテーブル(以下、距離/トリミングサイズ対応テーブルと呼ぶ)を記憶する。各距離DSP2におけるトリミング領域RIT2のサイズSIT2は、各距離DSP2において出力映像IO2のコンテンツ領域ROC2のサイズSOC2が最適出力コンテンツサイズSOC1に一致するような値に設定される。入力映像II2のトリミング領域RIT2のサイズSIT2は、各距離DSP2について、直接変化形式と同様にコンテンツ領域RIC2のサイズSIC2を決定し、入力映像IIのサイズSIIから当該サイズSIC2を除することにより決定される。
ステップS4において処理回路210は、位置情報取得機能211により距離DSP2が入力される毎に形態変化処理を行う。まず処理回路210は、当該距離DSP2を入力として距離/トリミングサイズ対応テーブルを探索し、当該距離DSP2に対応するトリミング領域RIT2のサイズSIT2を決定する。そして処理回路210は、映写機100への送信対象のフレームに係る入力映像II2のトリミング領域RIT2のサイズSIT2を、決定されたサイズSIT2に変化させる。サイズ変化後のフレームに係る入力映像II2は、映写機100に入力され、スクリーン63に投影される。当該形態変化処理は、位置情報取得機能211により距離DSP2が入力される毎に行われる。
上記処理により、処理回路210は、出力映像IO2のコンテンツ領域ROC2のサイズSOC2を最適出力コンテンツサイズSOC1に固定するため、スクリーン63が初期位置P1から映写機100に接近するにつれてトリミング領域RIT2のサイズSIT2を上記相似関係に従い縮小することにより、コンテンツ領域RIC2のサイズSIC2を拡大する。また、処理回路210は、スクリーン63が映写機100から離隔するにつれてトリミング領域RIT2のサイズSIT2を上記相似関係に従い拡大することにより、コンテンツ領域RIC2のサイズSIC2を縮小する。これにより、出力映像IO2のコンテンツ領域ROC2のサイズSOC2を距離DSPに関わらず同一サイズにすることができる。従って当該コンテンツ領域ROC2を見ている患者Pは、サイズ変化に起因する違和感を抱くことがなく映像を楽しむことが出来る。なお、間接変化形式によれば、入力映像IIのコンテンツ領域RICに対して拡大又は縮小は行われない。よって出力映像IOに含まれるコンテンツ領域ROCは、距離DSPの変化に連動して幾何学的に拡大又は縮小されることとなる。しかしながら、入力映像IIのコンテンツ領域RICに映像処理を行う必要がないので、処理回路210は、直接変化形式に比して簡易的に出力映像IO2のコンテンツ領域ROC2のサイズSOC2を一定にすることができる。
なお、上記の具体例において入力映像II2のトリミング領域RIT2のサイズSIT2は、距離/コンテンツサイズテーブルを利用して決定されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、処理回路210は、距離DSP2と初期トリミングサイズSIT1とに上記相似関係に従う変換式を適用してリアルタイムでサイズSIT2を決定しても良い。
なお、上記間接変化形式においては出力映像のコンテンツ領域のサイズを一定にするため、入力映像の周縁部がトリミング領域によりトリミングされるものとした。しかしながら、出力映像のコンテンツ領域のサイズを略一定にできるのであれば、入力映像の周縁部がぼかされても良い。すなわち、上記トリミング領域の全域について透明度がゼロ(透明)に設定されるのではなく、例えば、上記トリミング領域の全域の透明度が1(不透明)からゼロ(透明)の間の任意の所定値(半透明)に設定されても良い。また、入力映像のコンテンツ領域側から端側に向けて、透明度を1(不透明)からゼロ(透明)に連続的又は段階的に変化するように透明度が設定されても良い。このように入力映像の周縁部をぼかすことにより、コンテンツの全域が映し出されないことに対する違和感を軽減することができる。
ステップS4が行われると処理回路210は、映像出力機能215を実行する(ステップS5)。ステップS5において処理回路210は、形態変化後の入力映像の映像信号を通信回路230を介して出力する。
ステップS5が行われると処理回路210は、映像投影の終了指示を待機する(ステップS6)。映像投影の終了指示がなされていない場合(ステップS6:NO)、処理回路210は、ステップS5とステップS6とを繰り返し、移動式スクリーン装置15に映像信号を映写機100に繰り返し出力する。映像投影の終了指示は、例えば、医療従事者等による入力回路250を介した指示により行われる。例えば、医療従事者は、MR撮像が終了し、患者が載置された天板131がボア53の外側に退避された後、映像投影の終了指示を入力する。医療従事者等により入力回路250を介して終了指示が入力された場合(ステップS6:YES)、処理回路210は、映写機100への映像信号の出力を終了する。
以上により、本実施形態に係る映像投影プログラムに従い処理回路210により実行される映像投影処理についての説明を終了する。
なお、上記の映像投影処理の流れは一例であり、本実施形態に係る映像投影処理の流れは上記のみに限定されない。例えば、上記の映像投影処理においては第1の映写形式の開始に伴い当該映像投影処理が開始されるものとした。しかし、第2の映写形式の開始に伴い当該映像投影処理が開始されても良い。
上記の説明の通り、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1は、少なくとも架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15、位置計測器19及び処理回路210を有する。架台11は、ボア53が形成された磁気共鳴撮像用の架台である。寝台13は、天板131を移動自在に支持する。移動式スクリーン装置15は、ボア53の中心軸に沿って移動可能に配置され、映写機100からの出力映像が投影されるスクリーン63とスクリーン63に投影された出力映像を反射する反射板67とを有する。位置計測器19は、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置に関連するスクリーン位置情報を取得する。処理回路210は、スクリーン位置情報に応じて形態が変化するコンテンツ領域を含む入力映像に関する映像信号を、映写機100に出力する。
上記の構成により、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1は、移動式スクリーン装置15に映し出される出力映像のコンテンツ領域のサイズを、映写機100に対する移動式スクリーン装置15の位置に関わらず略一定に維持することができる。そのため、第2の配置形態においてボア53内で天板131に載置されている患者Pは、天板131のスライドに連動して移動式スクリーン装置15がスライドしたとしても、一定のサイズで映し出されたコンテンツを見ることができる。よって患者Pは、ボア53内においても違和感なく快適に過ごすことが出来る。
(変形例1)
上記の実施形態において処理回路210は、映写機100とスクリーン63との距離に依らず入力コンテンツ領域の形態を一定に維持するため、映写機に対してスクリーンが接近するにつれて入力コンテンツ領域を拡大し、離隔するにつれて入力コンテンツ領域を縮小するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例1に係る処理回路210は、映写機100とスクリーン63との距離に無関係に入力コンテンツ領域の形態が変化するように、映写機に対するスクリーンの位置に応じて入力コンテンツ領域の形態を変化させても良い。当該変化態様は、例えば、患者の脳の活動を視覚化するfMRI(functional MRI)の際、患者に視覚的な刺激を与えるために利用されると良い。
(変形例2)
上記の実施形態において磁気共鳴イメージングシステム1は、映写機100を制御する映写機制御装置200を、撮像制御ユニット17とは別体で装備するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。以下、変形例2に係る磁気共鳴イメージングシステムについて説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
図20は、変形例2に係る磁気共鳴イメージングシステム2の構成を示す図である。図20に示すように、変形例2に係る磁気共鳴イメージングシステム2は、磁気共鳴イメージング装置10と映写機100とを有する。磁気共鳴イメージング装置10は、架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15の他に撮像制御ユニット18を有する。撮像制御ユニット18は、架台11及び寝台13の他に、映写機100を制御する。
図21は、変形例2に係る磁気共鳴イメージング装置10’の構成を示す図である。図21に示すように、磁気共鳴イメージング装置10’は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15、撮像制御ユニット18及び位置計測器19を有する。撮像制御ユニット18は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール28を有する。コンソール28は、撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37、システム制御回路39、映像記憶回路220及び接続回路270を有する。撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37、システム制御回路39、映像記憶回路220及び接続回路270は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。
接続回路270は、図示しない有線又は無線を介して映写機100に映像信号を供給するインタフェース回路である。システム制御回路39は、本実施形態に係るシステム制御回路38と同様の機能に加え、本実施形態に係る映写機制御装置200が備える位置情報取得機能211、映像処理機能213及び映像出力機能215を実現する。位置情報取得機能211、映像処理機能213及び映像出力機能215は、例えば、主記憶回路37に記憶される本実施形態に係る映像投影プログラムを読み出してメモリ上に展開することにより実行される。各機能211、213及び215については上記の実施形態と同様なので説明を省略する。
上記の構成により、コンソール27から映写機100に映像信号を供給することができる。また、コンソール27において位置情報取得機能211、映像処理機能213及び映像出力機能215を実行することができる。よって本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1に比して変形例に係る磁気共鳴イメージングシステム2は、簡易な構成とすることができる。
以上、上記の少なくとも一つの実施形態によれば、架台のボア内の居住性を向上可能な磁気共鳴イメージングシステム、磁気共鳴イメージング装置及び映像投影プログラムを提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。