MR検査におけるストレスを軽減するための技術として、次のような技術が考えられる。例えば、1.ゴーグルタイプのヘッドマウントディスプレイ、2.検査室の天井や壁への液晶モニタの設置、3.架台後方に配置された液晶モニタの映像を見るための鏡が取付けられたヘッドコイルがある。しかしながら、1の技術の場合、ヘッドマウントディスプレイを患者の頭部に取り付けることにより患者に圧迫感及び閉塞感を与えてしまう。2の技術の場合、患者が架台内に入ると液晶モニタの映像を見ることができない。3の技術の場合、MR撮像中はヘッドコイルに装着された鏡を介して映像を見ることができるのでボアによる閉塞感を軽減することができる。しかし、鏡をヘッドコイル毎に取り付けなければならない。また、頭部を覆うヘッドコイルの隙間に鏡が取り付けられているため患者は映像の広がりをあまり感じることができない。また、架台の後方に液晶モニタが設置され架台の前方を隠すものはないため、患者はMR撮像前において架台外にいるときにボアを容易に視認できてしまい、その後にたとえヘッドコイルを付けて鏡を介して映像を見ていてもボア内に居る感覚を拭い去ることはできない。更に、鏡と液晶モニタとの位置関係が天板の移動と共に変わるため、天板の移動中に鏡を介して液晶モニタの映像を見ていても患者はボア内を進む感覚も残存する。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像診断装置及び磁気共鳴イメージング装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る医用画像診断装置10を含む医用画像診断システム1の構成を示す図である。図1に示すように、医用画像診断システム1は、互いに有線又は無線で通信可能に接続された医用画像診断装置10と映写機100と映写機制御装置200とを含む。医用画像診断装置10は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15及び撮像制御ユニット17を有する。例えば、架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15は、検査室に設置され、撮像制御ユニット17は、検査室に隣接する制御室に設置される。架台11は、医用撮像を実現するための機構を装備する。架台11には中空形状を有するボアが形成されている。架台11の前方には寝台13が設置されている。寝台13は患者Pが載置される天板を移動自在に支持する。寝台13は架台11及びコンソール等による制御に従い天板を移動する。架台11のボア内には移動式スクリーン装置15が移動可能に設けられている。架台11の前方又は後方には映写機100が設置されている。移動式スクリーン装置15には映写機100からの映像が投影される。
映写機制御装置200は、映写機100を制御するコンピュータ装置である。映写機制御装置200は、映写対象の映像に関するデータを映写機100に供給する。映写機100は、映写機制御装置200からのデータに対応する映像を移動式スクリーン装置15のスクリーンに投影する。映写機100としては、例えば、液晶方式やDLP(Digital Light Processing)方式、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式、GLV(Grating Light Valve)方式等が用いられると良い。この場合、映写機100は、少なくとも表示機器と光源とを搭載する。表示機器は、映写機制御装置200からのデータに対応する映像を表示する。光源は直接的又は光学系を介して間接的に表示機器に光を照射する。表示機器から透過又は反射した光(以下、投影光と呼ぶ)は、直接的又は光学系を介して間接的に映写機100の外部に射出される。投影光が移動式スクリーン装置15に照射されることにより、当該投影光に対応する映像が移動式スクリーン装置15に映し出される。
撮像制御ユニット17は、医用画像診断装置10の中枢として機能する。例えば、撮像制御ユニット17は、医用撮像を行うために架台11を制御する。また、撮像制御ユニット17は、医用撮像において架台11により収集された生データに基づいて患者Pに関する医用画像を再構成する。なお、撮像制御ユニット17は、映写機制御装置200を介して映写機100を制御可能に構成されても良い。また、撮像制御ユニット17は、映写対象の映像に関するデータを映写機100に供給しても良い。この場合、映写機100は、撮像制御ユニット17からのデータに対応する映像を移動式スクリーン装置15のスクリーンに投影する。
なお、本実施形態における医用画像診断システム1の構成は上記のみに限定されない。例えば、上記の映写機制御装置200による映写機100を制御する機能を撮像制御ユニット17が有しているのであれば、映写機制御装置200は医用画像診断システム1に設ける必要はない。
本実施形態に係る医用画像診断システム1は、映写機100と移動式スクリーン装置15とを利用して、医用画像診断装置10による医用撮像時におけるボア内における居住性を高めることを可能にする。本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、ボアが形成された架台11を用いて患者Pを撮像可能な如何なる装置でも良い。具体的には、本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の単一モダリティに適用可能である。或いは、本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、MR/PET装置、CT/PET装置、MR/SPECT装置、CT/SPECT装置等の複合モダリティに適用されても良い。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る医用画像診断装置10は、磁気共鳴イメージング装置10であるとする。また、磁気共鳴イメージング装置10と映写機100と映写機制御装置200とを含む医用画像診断システム1を磁気共鳴イメージングシステム1と呼ぶことにする。
図2は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の構成を示す図である。図2に示すように、磁気共鳴イメージング装置10は、撮像制御ユニット17、架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15を有する。撮像制御ユニット17は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール27を有する。コンソール27は、撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38を有する。撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25は、コンソール27と架台11とは別個に設けられている。
架台11は、静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRFコイル45を有する。また、静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とは架台11の筐体(以下、架台筐体と呼ぶ)51に収容されている。架台筐体51には中空形状を有するボア53が形成されている。架台筐体51のボア53内にRFコイル45が配置される。また、架台筐体51のボア53内に本実施形態に係る移動式スクリーン装置15が配置される。
静磁場磁石41は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41としては、例えば、永久磁石、超伝導磁石または常伝導磁石等が使用される。ここで、静磁場磁石41の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸と呼び、Z軸に水平に直交する軸をX軸と呼ぶことにする。X軸、Y軸、及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
傾斜磁場コイル43は、静磁場磁石41の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43は、傾斜磁場電源21からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。
傾斜磁場電源21は、撮像制御回路31による制御に従い傾斜磁場コイル43に電流を供給する。傾斜磁場電源21は、傾斜磁場コイル43に電流を供給することにより、傾斜磁場コイル43に傾斜磁場を発生させる。
RFコイル45は、傾斜磁場コイル43の内側に配置され、送信回路23からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、RFコイル45は、高周波磁場の作用を受けて患者P内に存在する対象原子核から発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)を受信する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25に供給される。なお、上述のRFコイル45は、送受信機能を有するコイルであるとしたが、送信用RFコイルと受信用RFコイルとが別々に設けられても良い。
送信回路23は、患者P内に存在する対象原子核を励起するための高周波磁場を、RFコイル45を介して患者Pに送信する。対象原子核としては、典型的には、プロトンが用いられる。具体的には、送信回路23は、撮像制御回路31による制御に従って、対象原子核を励起するための高周波信号(RF信号)をRFコイル45に供給する。RFコイル45から発生された高周波磁場は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動し、対象原子核を励起させる。励起された対象原子核からMR信号が発生され、RFコイル45により検出される。検出されたMR信号は、受信回路25に供給される。
受信回路25は、励起された対象原子核から発生されるMR信号をRFコイル45を介して受信する。受信回路25は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を発生する。デジタルのMR信号は、有線又は無線を介して再構成回路32に供給される。
架台11に隣接して寝台13が設置される。寝台13は、天板131と基台133とを有する。天板131には患者Pが載置される。基台133は、天板131をX軸、Y軸、Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台133には寝台駆動装置135が収容される。寝台駆動装置135は、撮像制御回路31からの制御を受けて天板131を移動させる。寝台駆動装置135としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の如何なるモータが用いられても良い。
撮像制御回路31は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。撮像制御回路31は、システム制御回路38から供給されるパルスシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、当該パルスシーケンス情報に応じたパルスシーケンスで患者Pを撮像する。
再構成回路32は、ハードウェア資源として、CPUやGPU(Graphical processing unit)、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。再構成回路32は、受信回路25からのMR信号に基づいて患者Pに関するMR画像を再構成する。例えば、再構成回路32は、k空間または周波数空間に配置されたMR信号にフーリエ変換等を施して実空間で定義されたMR画像を発生する。なお再構成回路32は、再構成機能を実現する特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。
画像処理回路33は、ハードウェア資源として、CPU、GPU、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。画像処理回路33は、再構成回路32により再構成されたMR画像に種々の画像処理を施す。なお画像処理回路33は、上記画像処理機能を実現するASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
通信回路34は、図示しない有線又は無線を介して映写機制御装置200又は映写機100との間でデータ通信を行う。また、通信回路34は、図示しないネットワーク等を介して接続されたPACSサーバ等の外部装置との間でデータ通信を行っても良い。また、通信回路34は、移動式スクリーン装置15に取り付けられた後述の機器との間でデータ通信を行っても良い。
表示回路35は、種々の情報を表示する。例えば、表示回路35は、再構成回路32により再構成されたMR画像や画像処理回路33により画像処理が施されたMR画像を表示する。また、表示回路35は、映写機100により映写される映像を表示しても良い。具体的には、表示回路35は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路36は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路38に供給する。なお、入力回路36は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、磁気共鳴イメージング装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力回路36の例に含まれる。
主記憶回路37は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路37は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路37は、MR画像や磁気共鳴イメージング装置10の制御プログラム等を記憶する。
システム制御回路38は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPUのプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。システム制御回路38は、磁気共鳴イメージング装置10の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路38は、主記憶回路37に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って磁気共鳴イメージング装置10の各部を制御する。
以下、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置10について詳細に説明する。
まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1の設置環境について説明する。図3は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムの設置環境の一例を示す図である。図3に示すように、MR撮像が行われる検査室300と検査室300に隣接する制御室400とが設けられる。検査室300には架台11と寝台13とが設置されている。架台11の前方に寝台13が設けられている。架台11のボアには移動式スクリーン装置15が設けられている。検査室300は、架台11からの漏洩磁場や外部からの電磁場等を遮蔽可能なシールドルームである。検査室300には入退室のためのドアD1が設けられている。また、検査室300と制御室400との間には、検査室300と制御室400との間の往来のためのドアD2が設けられている。制御室400にはコンソール27と映写機100と映写機制御装置200とが設置されている。映写機100は、検査室300と制御室400との間の壁500を隔てて架台11の後方に設置される。壁500のうちの、映写機100から移動式スクリーン装置15に向かう投影光LPが伝播する部分には当該投影光LPが透過可能な窓510が設けられている。窓510を介して、制御室400に設置された映写機100から検査室300の移動式スクリーン装置15に投影光LPを伝播させることができる。制御室400にも入退室のためのドアD3が設けられると良い。
なお、上記のレイアウトは一例であってこれに限定されるものではない。例えば、映写機100と映写機制御装置200とコンソール27とが制御室400に設置されるとしたが、コンソール27と映写機制御装置200とは映写機100とは異なる別の部屋に設置されても良い。また、映写機100を磁場による影響を受けない材料で形成できるのであれば、映写機100を検査室300に設けても良い。また、検査室300と制御室400との他に、傾斜磁場電源21や受信回路25を設置するための機械室等が設けられても良い。
次に、図4を参照しながら架台11の外観について説明する。図4は、本実施形態に係る架台筐体51の斜視図である。図4に示すように、架台筐体51には中空形状のボア53が形成される。架台筐体51のボア53の下部には、ボア53の中心軸Zに平行するレール55が形成されている。レール55は、天板131と移動式スクリーン装置15との中心軸Zに沿うスライドを案内する構造物である。レール55は、ボア53に接する架台筐体51の内壁57に設けられる。レール55は、磁気共鳴撮像に利用される磁場に作用しない非磁性材料により形成される。ここで、Z軸に関して寝台側から映写機側に向かう方向を+Z軸方向に規定し、映写機側から寝台側に向かう方向を−Z軸方向に規定する。
次に図5、図6、図7及び図8を参照しながら移動式スクリーン装置15の構造について説明する。図5は、本実施形態に係る移動式スクリーン装置15の斜視図である。図6は、移動式スクリーン装置15の側面図である。図7は、移動式スクリーン装置15の正面図である。図8は、連結した移動式スクリーン装置15と天板131との斜視図である。
図5、図6、図7及び図8に示すように、移動式スクリーン装置15は、移動台車61、スクリーン63、支持アーム65及び反射板67を有する。移動台車61は、架台筐体51の内壁57に設けられたレール55に沿って移動する構造体である。移動台車61の下部には、レール55における走行性を高めるため、レール55を転がる車輪(図示せず)が取り付けられている。なお、移動台車61がレール55を走行可能であれば、必ずしも車輪が設けられる必要は無く、レール55に接触する面が低摩擦係数を有する材料により形成されれば良い。移動台車61とレール55とは、移動台車61がボア53の寝台13側(−Z側)の端部から映写機100側(+Z側)の端部まで移動可能に形成される。移動台車61の底面は、レール55に嵌合可能な形状を有すると良い。移動台車61とレール55とが係合することにより、移動台車61がボア53の端部に配置された状態において外部から架台11を見た場合、レール55を目立たなくさせることができる。移動台車61は、スクリーン63と支持アーム65とを支持する。移動台車61は、樹脂等の磁場に作用しない非磁性材料により形成される。
図5に示すように、移動台車61には天板131に連結するための連結部69が形成されている。連結部69により、図8に示すように、移動台車61と天板131とが連結する。天板131の前方部(+Z軸方向側)には患者固定具137が取り付けられている。患者固定具137は、天板131に載置された患者Pの頭部を固定する。患者固定具137は、天板131に仰向けに載置された患者Pの視界を遮ることのなく後頭部を覆うことが可能なように湾曲形状を有している。すなわち、患者固定具137の前頭部側は開放されている。よって患者固定具137は、頭部全体を覆う固定部に比して、患者Pの閉塞感を軽減し、また、患者Pの視野の狭窄を軽減することができる。患者固定具137は、例えば、上記形状を有する金型を用いて樹脂等の非磁性材料により一体的に成型される。
図5、図6、図7及び図8に示すように、スクリーン63は、移動台車61に立設されている。スクリーン63には図示しない映写機100からの映像が投影される。スクリーン63は、移動台車61に対して傾き可能に設けられている。具体的には、移動台車61に設けられた傾動機構(図示せず)により傾動可能に設けられている。移動台車61の表面に対するスクリーン63の傾き角度を調節することにより、スクリーン63は移動台車61の表面に対して垂直又は所定の傾斜角度で保持される。上記の通り、映写機100は、スクリーン63を挟んで寝台13とは反対側に配置される。ここで、スクリーン63の映写機100側の面を裏面、寝台13側の面を表面と呼ぶことにする。表面に映像を映し出すため、スクリーン63は半透明の材料で形成されると良い。このような半透明の材料としては、半透明のプラスチックや磨りガラス等が用いられると良い。スクリーン63が半透明材料により形成されることにより、映写機100から射出された投影光はスクリーンの裏面に照射され、投影光に対応する映像が表面に映し出される。これにより患者P等は、寝台13側から、表面に映し出された映像を見ることができる。スクリーン63は、平面形状を有する型式であっても曲面形状を有する型式であっても良い。曲面形状を有する場合、凹面が寝台13側を向く、すなわち、表面を成すように配置されると良い。凹面が寝台13側を向くことにより、天板131に載置された患者Pの頭部の後方周辺をスクリーン63で覆うことが可能となる。これにより患者Pの視野をスクリーン63に映し出された映像で満たし、映像に没入させることが可能となる。
図9は、ボア53内に配置されたスクリーン63の模式的な正面図である。図9に示すように、スクリーン63は、架台筐体51のボア53に接する内壁57の径RBよりも小さい外径RSを有する。このように外径RSを内径RBよりも小さく設計することにより、移動式スクリーン装置15をボア53内に挿入することができる。なお、ボア53内には架台11に設けられた換気ファン(図示せず)から風が流れている。スクリーン63の縁と内壁57との間に隙間G1が設けられることにより、換気ファンから送り出される風がスクリーン63により遮られることを防止することができる。外径RSとしては、例えば、内径RBよりも10mmから50mm小さく設計されると良い。換言すれば、隙間G1は、10mmから50mmに設計されると良い。
図5、図6、図7及び図8に示すように、支持アーム65は移動台車61に取り付けられる。後述するように、支持アーム65は、Z軸方向に関してスライド可能に移動台車61に取り付けられている。支持アーム65は、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置するように支持する。反射板67は、移動台車61と天板131とが連結されている状態において、天板131に載置された患者Pの頭部にぶつからない程度に、移動台車61の表面から離間して支持アーム65により支持される。支持アーム65は、架台11の外部からスクリーン63を見た場合に当該外部観察者の視界を遮らないような形状を有している。当該外部観察者の視界を遮らないため、支持アーム65は、図5、図6、図7及び図8に示すように、スクリーン63の輪郭に沿った円弧部分を有する半環形状又は半鞍形状を有すると良い。この場合、支持アーム65の両端が移動台車61の側部に取り付けられ、支持アーム65の円弧部分がスクリーン63の表面側の空間に位置するように、支持アーム65が移動台車61に取り付けられる。なお支持アーム65の形状は上記の半円環形状又は半鞍形状に限定されず、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置可能であれば如何なる形状を有していても良い。例えば、支持アーム65は、略棒形状を有する一対のアームにより構成されても良い。この場合、当該一対のアームの一端が移動台車61の両側部に取り付けられ、他端に反射板67が取り付けられると良い。
図5、図6、図7及び図8に示すように、反射板67は、支持アーム65の略最上部に設けられている。反射板67は、スクリーン63の表面に映し出された映像を反射する。反射板67は、非磁性材料により形成され、対象を光学的に反射可能であれば如何なる素材により形成されても良い。例えば、反射板67としては、アクリルにアルミ蒸着処理を施した鏡や誘電体膜を付着させたハーフミラー等が用いられれば良い。患者固定具137に頭部が配置された患者Pは、表面に投影された映像を、反射板67を介して見ることができる。
反射板67は、患者Pにより反射板67の角度を手動で調整するために、支持アーム65に回転可能に設けられている。具体的には、支持アーム65に設けられた回転機構(図示せず)により回転軸RR1回りに回転可能に設けられている。回転軸RR1は、例えば、スクリーン63の表面に対する反射板67の向きを調節可能なようにX軸に平行に設けられる。より詳細には、支持アーム65は、少なくとも、後述する第1の映写形式のための第1の角度と第2の映写形式のための第2の角度との間で切替可能に設けられると良い。第1の映写形式は、架台11外から反射板67を介さずにスクリーン63の映像を見る形式である。そのため、第1の映写形式における反射板67の第1の角度は、架台11外にいる患者P等の視界を遮らない角度、例えば、略水平に設定されると良い。第2の映写形式はボア53内において反射板67を介して映像を見る形式である。そのため、第2の映写形式における反射板の第2の角度は、観察者たる患者Pの体格等に応じて、水平と垂直との間の任意の角度に設定されると良い。
反射板67のZ軸に関する位置を調節するため、支持アーム65のスライド機構71が移動台車61に設けられると良い。図10は、図6の支持アーム65がZ軸に関してスライドされた移動式スクリーン装置15の側面を示す図である。図6と図10とに示すように、スライド機構71は、支持アーム65のZ軸に沿うスライドを案内するガイド611が移動台車61に形成されている。ガイド611は、支持アーム65とスクリーン63とへの接触を回避するため、移動台車61の両側面においてZ軸に沿って設けられている。ガイド611は如何なる形態により実現されても良いが、例えば、移動台車61の側面にZ軸に沿って設けられた空隙により実現される。図6と図10とに示すように、支持アーム65の摺動性を高めるため、支持アーム65のうちのガイド611に面する基部には車輪651が設けられると良い。スライド機構71が設けられることにより、医師や技師、看護士等の医療従事者及び患者P等が支持アーム65をZ軸方向に押したり引いたりすることにより反射板67をスクリーン63に対して接近又は離間することができる。これにより、反射板67のZ軸方向に関する位置を調節することができる。
なお上記の説明においてスライド機構71は、移動台車61に設けられたガイド611と支持アーム65に設けられた車輪651とにより実現されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係るスライド機構71としては、支持アーム65を移動台車61に対して相対的にスライド可能であれば如何なる機構であっても良い。例えば、支持アーム65にZ軸に沿うガイドが設けられ、当該ガイドを走行する車輪が移動台車61に設けられても良い。また、スライド機構71は、ボールネジやスライドレール等により実現されても良い。
図11は、架台11のボア53に配置された移動式スクリーン装置15の簡易な側面図である。図11に示すように、移動式スクリーン装置15の移動台車61がレール55にスライド可能に設けられている。典型的には、移動式スクリーン装置15には駆動装置が搭載されていない。移動式スクリーン装置15は、寝台駆動装置135による天板131のスライドに連動してスライドする。なお、移動式スクリーン装置15は、患者Pや医療従事者等により押したり引いたりすることによりZ軸に関してスライドすることも可能である。
次に、移動式スクリーン装置15と天板131との連結について説明する。図12は、移動式スクリーン装置15と天板131との簡易な側面図である。なお、図12において寝台13の基台133の図示は省略している。図12に示すように、移動式スクリーン装置15の移動台車61の寝台側の端部には連結雄部69が設けられ、天板131の架台筐体51側の端部には連結雄部69に対応する連結雌部139が設けられている。連結雄部69と連結雌部139とは互いに嵌合可能な形状を有している。連結雄部69と連結雌部139とが嵌まり合うことにより移動式スクリーン装置15と天板131とが機械的に連結する。具体的には、連結雄部69は少なくとも一の鉤爪により実現され、連結雌部139は天板131の上面に形成された少なくとも一の溝により形成される。鉤爪69は、移動台車61に旋回軸RR2回りに旋回可能に設けられている。より詳細には、鉤爪69の先端部が移動台車61から突き出すように基部が移動台車61に枢設されている。なお、鉤爪69は、下方(−Y軸方向)への復元力を生じさせるためにバネ(図示せず)を介して移動台車61に枢設されると良い。
図13は、移動式スクリーン装置15と天板131との連結を示す図である。移動式スクリーン装置15と天板131との連結は、典型的には、患者Pが天板131に載置され、天板131をボア53内に挿入する際に行われる。移動式スクリーン装置15と天板131とを連結するため、図13に示すように、移動式スクリーン装置15は、移動台車61の寝台13側の端面610がボア53の寝台側端PE1に位置し、鉤爪69の先端部が寝台側端PE1から突き出るように配置される。なお、鉤爪69の先端部が寝台側端PE1から突き出るのであれば、移動台車61は、端面610が寝台側端PE1に厳密に一致している必要は無く、端面610が寝台側端PE1よりも寝台側に配置されても、ボア53の内側に配置されても良い。
まず、図13に示すように、鉤爪69の先端部が天板131の溝139の真上に位置するように天板131が移動される。そして天板131を上昇させることにより溝139に鉤爪69が嵌まり合う。これにより移動式スクリーン装置15と天板131とを連結することができる。連結状態において寝台駆動装置135の動力により天板131をスライドすることにより、自己の動力源を有しない移動式スクリーン装置15を天板131のスライドに連動してスライドさせることができる。なお、天板131の移動は、例えば、ユーザによる入力回路36を介した指示に従い寝台駆動装置135により行われる。このように本実施形態によれば、天板131を上昇させるだけの簡単な操作により、天板131と移動式スクリーン装置15とを連結することができる。なお、天板131の上昇は、MR撮像のために患者Pをボア53内に挿入するために行われる操作である。すなわち、追加の工程を設けることなく、天板131と移動式スクリーン装置15とを連結することができる。
なお、寝台13の機械的誤差等により溝139と鉤爪69とにZ軸方向に関する位置ずれが生じ、天板131を上昇しても溝139が鉤爪69に嵌まり合わない場合がある。この場合、天板131の上昇後、天板131を移動式スクリーン装置15に向けてスライドすると良い。天板131のスライドによる鉤爪69への押圧により天板131が鉤爪69を上方に押し退ける。上方に押し退けられた鉤爪69は下方への復元力を生じることとなり、天板131を更にスライドさせることにより鉤爪69を溝139に嵌めることができる。このように本実施形態によれば、たとえ天板131の上昇により天板131と移動式スクリーン装置15とを連結できない場合であっても、天板131のスライドのみにより天板131と移動式スクリーン装置15とを連結することができる。
図14は、移動式スクリーン装置15と天板131との連結の解除を示す図である。図14に示すように、移動式スクリーン装置15と天板131との連結を解除する場合、移動台車61の端面610が寝台側端PE1に位置するように、天板131がボア53の外側までスライドされる。次に天板131が下降される。鉤爪69は溝139に対し水平方向(Z軸方向及びX軸方向)に介しては固定されているが鉛直方向(Y軸方向)に対しては固定されていない。よって、天板131を下降させることにより移動式スクリーン装置15と天板131との連結を簡易に解除することができる。
なお、天板131と移動式スクリーン装置15との連結形態は上記のみに限定されない。天板131の上昇により天板131と移動式スクリーン装置15とが連結され、天板131の下降により天板131と移動式スクリーン装置15とが連結解除されるのであれば、如何なる形態により連結されても良い。また、手動的又は機械的にONとOFFとを切り替え可能な、天板131と移動式スクリーン装置15とによる連結のロック機構が設けられても良い。
次に、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムの動作例について説明する。図15は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムを利用したMR検査の典型的な流れを示す図である。
図15に示すように、まず、患者Pの検査室への入室に先立ち、医療従事者等が移動式スクリーン装置15をボア53の寝台側端PE1に配置する(ステップS1)。移動式スクリーン装置15がボア53の寝台側端PE1に配置されることにより、患者Pが架台11の外側から当該架台11を見たときにボア53が視界に入ることを防ぐことができる。
ステップS1が行われると映写機制御装置200は、所定の映像を移動式スクリーン装置15に投影するように映写機100を制御する(第1の映写形式P1)。移動式スクリーン装置15がボア53の寝台側端PE1に配置されている状態において映像を当該移動式スクリーン装置15に投影する形式を第1の映写形式P1と呼ぶことにする。映写機100により映像を投影するため、医療従事者は、まず映写機制御装置200の入力回路を介して映写指示を入力する。映写指示を受けて映写機制御装置200は、所定の映像の画像データを映写機100に送信する。画像データを受信すると映写機100は、受信された画像データに対応する映像を、移動式スクリーン装置15のスクリーン63に投影する。映像は、動画であっても良いし静止画であっても良い。映像の内容は特に限定しない。例えば、映像は、リラックス効果のある動画又は静止画であっても良いし、検査時の注意や検査終了時までの時刻等の検査支援情報等であっても良い。
第1の映写形式P1による映像の投影が開始されると患者Pが検査室に入室する(ステップS2)。
図16は、第1の映写形式P1における移動式スクリーン装置15を架台11の側方から示す図である。図17は、第1の映写形式P1における移動式スクリーン装置15を架台11の正面から示す図である。図16と図17とに示すように、第1の映写形式P1において移動式スクリーン装置15は、例えば、移動台車61の端面610がボア53の寝台側端PE1に位置するように配置される。これにより、スクリーン63がボア53の寝台側端PE1又はその近傍(以下、寝台側端部と呼ぶ)に配置される。なお、第1の映写形式P1においてスクリーン63が配置される寝台側端部は、ボア53の外からスクリーン63を見た場合にボア53の内部を意識させないのであれば、ボア53の寝台側端PE1からボア53の内側に配置されても良いし、ボア53の外側に配置されても良い。寝台側端部に配置されることにより、スクリーン63がボア53を塞ぐので患者Pがボア53の内部を見ることを防止することができる。また、この時、スクリーン63に映像PIが映し出されているので、ボア53が検査空間であるという患者Pの認識を鈍らせ、ボア53内へ入り込むことへの恐怖感を和らげることができる。
第1の映写形式P1において、架台11外部からのスクリーン63の視認性を高めるため、反射板67は、患者P等の視界を遮ることのない角度で保持されていると良い。例えば、上記の通り、反射板67の回転軸RR1回りの角度は支持アーム65により略水平に維持されると良い。なお、第1の映写形式P1における反射板67の角度は略水平に限定されず、患者Pの体格等に応じて任意の角度に決定されれば良い。
ステップS2が行われ移動式スクリーン装置15に投影された映像を見ると患者Pが天板に載置される(ステップS3)。ステップS3において患者Pの頭部は天板131の患者固定具137により固定される。
ステップS3が行われると天板131が上昇され、天板131と移動式スクリーン装置15とが連結される(ステップS4)。具体的には、ステップS4において医療従事者は、架台11又は寝台13に設けられた上昇ボタンを押下する。上昇ボタンの押下を受けて撮像制御回路31は、天板131の上昇に対応する電気信号(以下、上昇信号と呼ぶ)を寝台駆動装置135に供給する。上昇信号を受けた寝台駆動装置135は、天板131をY軸方向に上昇する。天板131を上昇すると、上記の通り、天板131の溝139と移動式スクリーン装置15の鉤爪69が嵌まり合い天板131と移動式スクリーン装置15とが連結する。移動式スクリーン装置15と天板131とが連結している状態において映像を当該移動式スクリーン装置15に投影する形式を第2の映写形式P2と呼ぶことにする。
ステップS4が行われると第1の映写形式P1による投影が終了される。なお、第1の映写形式P1による映像の投影は、必ずしも天板131と移動式スクリーン装置15との連結(S4)が行われた後に終了される必要はない。例えば、患者Pが天板に載置されてから天板131と移動式スクリーン装置15とが連結されるまでの間に第1の映写形式P1による映像の投影が終了しても良い。なお、映写機100は、映写機制御装置200から映写停止信号の供給を受けて映像の投影を終了する。映写機制御装置200は、例えば、医療従事者による入力回路等を介した映像停止指示を受けて当該映写停止信号を映写機100に供給する。
ステップS4が行われると映写機制御装置200は、所定の映像を移動式スクリーン装置15に投影するように映写機100を制御する(第2の映写形式P2)。具体的には、医療従事者は、映写機制御装置200の入力回路を介して映写指示を入力する。映写指示を受けて映写機制御装置200は、所定の映像の画像データを映写機100に送信する。画像データを受信すると映写機100は、受信された画像データに対応する映像を、移動式スクリーン装置15に投影する。映像は、第1の映写形式P1において投影した映像と同一であっても良いし異なっても良い。
第2の映写形式P2による映像の投影が開始されると天板131がボア53内に挿入される(ステップS5)。ステップS5において医療従事者は、架台11又は寝台13に設けられた挿入ボタンを押下する。挿入ボタンの押下を受けて撮像制御回路31は、天板131の挿入に対応する電気信号(以下、挿入信号と呼ぶ)を寝台駆動装置135に供給する。挿入信号を受けた寝台駆動装置135は、天板131を+Z軸方向にスライドする。天板131と移動式スクリーン装置15とが連結しているので、天板131のスライドに連動して移動式スクリーン装置15も+Z方向にスライドする。医療従事者は、天板131が撮影位置までスライドすると挿入ボタンの押下を終了し、天板を停止させる。
図18は、第2の映写形式P2における移動式スクリーン装置15を架台11の側方から示す図である。図18に示すように、第2の映写形式P2において天板131に載置された患者Pは、スクリーン63の表面に映し出された映像を反射板67を介して見ることができる。天板131と移動式スクリーン装置15とが連結しているため、移動式スクリーン装置15のZ軸方向のスライドに関わらず患者Pとスクリーン63との距離は一定に保たれる。よってスクリーン63に映し出される映像への没入感を高め、ボア53内での閉塞感を和らげることができる。第2の映写形式P2による映像の投影はステップS4の終了時からS7の終了時まで継続される。
ステップS5が行われるとMR撮像が行われる(ステップS6)。ステップS6において医療従事者は、MR撮像の開始ボタンを押下する。開始ボタンが押下されると撮像制御回路31は、予め設定された撮像シーケンスに従い傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、MR撮像を実行する。MR撮像により患者Pに関するMR信号が受信回路25により収集され、再構成回路32によりMR信号に基づいてMR画像が再構成される。MR撮像の間、患者Pはスクリーン63に映し出された映像を、反射板67を介して鑑賞することができる。よって比較的長時間に及ぶMR撮像時においてもボア53内で快適に過ごすことができる。
ステップS6が行われMR撮像が終了すると天板131がボア53外に退避される(ステップS7)。ステップS7において医療従事者は、架台11又は寝台13に設けられた退避ボタンを押下する。退避ボタンの押下を受けて撮像制御回路31は、天板131の退避に対応する電気信号(以下、退避信号と呼ぶ)を寝台駆動装置135に供給する。退避信号を受けた寝台駆動装置135は、天板131を−Z軸方向にスライドする。天板131が架台11外までスライドされると移動式スクリーン装置15はボア53の寝台側端PE1に配置されることとなる。天板131をボア53外に移動させている間にも患者Pは、スクリーン63に映し出された映像を、反射板67を介して鑑賞し続けることができる。
ステップS7が行われると第2の映写形式P2での映像の投影が終了される。例えば、医療従事者等は、映写機制御装置200の入力回路を介して映写停止指示を入力する。映写停止指示を受けて映写機制御装置200は、停止信号を映写機100に供給する。停止信号を受けた映写機100は、映像の投影を終了する。
ステップS7が行われると天板131が下降され、天板131と移動式スクリーン装置15との連結が解除される(ステップS8)。具体的には、ステップS8において医療従事者は、架台11又は寝台13に設けられた下降ボタンを押下する。下降ボタンの押下を受けて撮像制御回路31は、天板131の下降に対応する電気信号(以下、下降信号と呼ぶ)を寝台駆動装置135に供給する。下降信号を受けた寝台駆動装置135は、天板131をY軸方向に下降する。天板131を下降すると、上記の通り、天板131の溝139から移動式スクリーン装置15の鉤爪69が外れ天板131と移動式スクリーン装置15との連結が解除される。天板131が初期位置まで下降されると医療従事者は、下降ボタンの押下を終了する。
その後、患者Pは天板131を降り検査室を退室する。
以上により、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1の動作例についての説明を終了する。
なお、上記のMR検査の流れは一例であり本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1の動作例上記流れに限定されない。例えば、上記の流れにおいては、天板131を初期位置からボア53内の撮影位置まで移動するため上昇ボタンと挿入ボタンとを個別に押下するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、天板131の上昇と挿入とを一括で指示する自動挿入ボタンが押下されても良い。また、上記の流れにおいては、天板131をボア53内から初期位置まで移動するため退避ボタンと下降ボタンとを個別に押下するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、天板131の退避と下降とを一括で指示する自動退避ボタンが押下されても良い。
上記の説明の通り、本実施形態に係る医用画像診断装置10は、架台11、レール55、寝台13及び移動式スクリーン装置15を有する。架台11は、ボア53を有し、医用撮像機構を装備する。レール55は、架台11のボア53に面する内壁57においてボア53の中心軸Zに平行に設けられる。寝台13は、レール55に沿って天板131を移動させる。また、ボア53の内壁57には移動式スクリーン装置15が設けられる。移動式スクリーン装置15は、移動台車61、スクリーン63、反射板67及び支持アーム65を有する。移動台車61は、天板131とは別個に設けられ、レール55に沿って移動可能に設けられている。スクリーン63は、移動台車61に立設され、映写機100からの映像が投影される。反射板67は、スクリーン63に投影された映像を反射する。支持アーム65は、移動台車61に設けられ、反射板67を支持する。
上記の構成により本実施形態に係る医用画像診断装置10は、移動式スクリーン装置15がボア53の寝台側端PE1に配置された状態において移動式スクリーン装置15に映像を投影する第1の映写形式と、天板131と移動式スクリーン装置15とが連結した状態において移動式スクリーン装置15に映像を投影する第2の映写形式とを実現することができる。第1の映写形式による映像の投影は患者Pが天板131に載置される前に行われる。第1の映写形式は、スクリーン63でボア53を塞ぎつつスクリーン63に映像を投影することができる。よってボア53外にいる患者Pは、ボア53内を視認することなく、スクリーン63に映し出された映像を見ることができる。第2の映写形式による映像の投影は患者Pが天板131に載置され、天板131と移動式スクリーン装置15とが連結している状態において行われる。典型的には、MR撮像のため天板131に載置された患者Pがボア53内に挿入されている時に行われる。
上記の説明の通り、移動式スクリーン装置15はスクリーン63と反射板67とを有し、患者Pの頭部の後方はスクリーン63が配置され、患者Pの前方にはスクリーン63に投影された映像を反射する反射板が配置される。第2の映写形式においては天板131と移動式スクリーン装置15とが連結しているので、天板131の移動に関わらずスクリーン63と反射板67との間の距離を一定に保つことできる。よって常に一定のサイズの映像を反射板67に映し出すことができる。また、本実施形態によれば、ヘッドコイル又はヘッドマウントディスプレイ等の患者Pの頭部を覆う構造物を装着する必要がないため患者Pは、閉塞感を感じること無く且つ広い視界のもとで映像を見ることができる。また、ヘッドコイルに反射板67を装着する場合に比して、撮影部位やコイル形状に応じて移動式スクリーン装置15を設ける必要もない。
上記の通り、第1の映写形式と第2の映写形式とを続けて行うことにより、患者Pは検査室に入室してから一度もボア53内を視認することなくMR撮像を終えることが可能となる。よって患者Pは、ボア53を意識することがないので、ボア53を視認してからボア53内で映像を見る場合に比して、MR撮像中の閉塞感を感じず映像を楽しむことできる。また、第1の映写形式においてはボア53の入口である寝台側端部にスクリーン63が配置され当該スクリーン63に映像が投影されるので、ボア53を映像投影空間として患者Pに意識させることができる。よって天板131のボア53への挿入時における患者Pの不安感を軽減させることもできる。
かくして本実施形態によれば、架台11のボア内の居住性を向上することが可能となる。
(応用例1)
上記の実施形態において支持アーム65はスライド機構によりスライド可能に支持されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、支持アーム65はリンク機構により旋回可能に設けられても良い。
図19は、応用例1に係る移動式スクリーン装置15を簡略に示す図である。図19に示すように、移動台車61にはリンク機構73が設けられている。リンク機構73は、旋回軸RR3に沿って旋回可能に支持アーム65を支持する。旋回軸RR3は、支持アーム65を移動台車61に向けて倒したり起こしたりすることを可能にするため、X軸に平行に設けられると良い。これにより第1の映写形式においては支持アーム65を移動台車61に向けて倒すことができる。支持アーム65を倒すことにより、反射板67と支持アーム65が患者Pの視界を遮ることを防ぐことができる。また、第2の映写形式においては支持アーム65を移動台車61から起こすことができる。支持アーム65を起こすことにより、天板131に載置された患者P等は反射板67を介してスクリーン63に投影された映像を見ることが可能となる。
(応用例2)
上記の実施形態において支持アーム65はスライド機構又はリンク機構により支持されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、支持アーム65は、スライド機構とリンク機構との両方により支持されても良い。
図20は、応用例2に係る移動式スクリーン装置15を簡略に示す図である。図20に示すように、支持アーム65は、第1のリンク機構73とスライド機構71との両方により支持されている。例えば、支持アーム65が第1のリンク機構73により旋回軸RR3回りに旋回可能に支持され、第1のリンク機構73がスライド機構71によりZ軸に関してスライド可能に移動台車61に支持されると良い。また、支持アーム65は、第2のリンク機構75により折畳み可能に構成される。この場合、支持アーム65は、反射板67が回転軸RR1回りに回転可能に設けられた第1のアーム653と、第1のリンク機構73を介して移動台車61に接続される第2のアーム655とを有し、第1のアーム653と第2のアーム655とが第2のリンク機構75により第2の旋回軸RR4回りに旋回可能に接続される。このように支持アーム65は、第2のリンク機構75により折畳み可能に構成されている。支持アーム65が第2のリンク機構75を装備することにより、支持アーム65をコンパクトに収納し、反射板67の位置決めの自由度を向上することが可能となる。
また、より支持アーム65をコンパクトに収納し、反射板67の位置決めの自由度をより向上するため、更なるスライド機構又はリンク機構を組み合わせることにより支持アーム65の可動の自由度をより多くすることも可能である。
(応用例3)
図21は、応用例3に係る移動式スクリーン装置15の側面図である。図22は、応用例3に係る移動式スクリーン装置15と架台11との全体の側面図である。図21と図22とに示すように、応用例3に係る移動式スクリーン装置15には、天板131に載置された患者Pを撮影するための光学式カメラ80が設けられている。
図22に示すように、光学式カメラ80は、対物レンズ81と光ファイバ83とを有する。光学式カメラ80はCCD(Charge-coupled device)に接続されている。対物レンズ81と光ファイバ83とは非磁性材料により形成される。対物レンズ81は、天板131に載置された患者Pの顔に面するように反射板67に設けられる。より詳細には、光学式カメラ80は、反射板67を見ている患者Pの視界に入らないように、反射板67の側面部等に設けられると良い。対物レンズ81は、患者Pからの光を収束又は発散する。光ファイバ83は、対物レンズ81からの光を導く光導波路である。光ファイバ83は、対物レンズ81からの光を、架台11外部に設けられたCCD85に導くため、対物レンズ81とCCD85とを接続する。光ファイバ83は、レール55又は架台筐体51の内壁57の表面に取り付けられても良いし、レール55又は架台筐体51の内部に埋設されても良い。CCD85は、光ファイバ83からの光を受光し、当該光を電気信号に変換する複数の受光素子を有する。CCD85は、複数の受光素子からの電気信号に基づいて、患者Pの顔が描出された光学画像データを発生する。
なお、対物レンズ81とCCD85とを結ぶ光ファイバ83は剛性を有しているので、移動式スクリーン装置15のスライドに伴い光ファイバ83が破損する虞がある。これを防止するため、例えば、移動式スクリーン装置15のスライドに関わらず、光ファイバ83が一定の曲率を保持したまま対物レンズ81とCCD85とを接続可能な機構が設けられても良い。
光学画像データは通信回路34を介してコンソール27に供給される。供給された光学画像データに対応する光学式画像は表示回路35により表示される。医療従事者等は、光学式画像を観察することによりMR撮像中の患者Pを監視することができる。
上記の通り、本実施形態において光学式カメラ80は、ボア53内に配置された移動式スクリーン装置15に設けられるので、架台11外に設けられた従来の監視用カメラに比して、より患者Pに近い位置に設けられることとなる。これにより、例えば、架台11内の患者Pの表情を撮影することができるので、MR撮像中における患者Pの様子を正確に捉えることが可能となる。
なお、光学式カメラ80、より詳細には、対物レンズ81は、反射板67に設けられるとしたが、本実施形態はこれに限定されず、患者Pの顔を撮影できるのであれば、図23に示すように、支持アーム65に設けられても良い。また、光学式カメラ80、より詳細には、対物レンズ81は、図24に示すように、スクリーン63に設けられても良い。スクリーン63に対物レンズ81が設けられた場合、スクリーン63と患者Pの頭部との位置関係により、対物レンズ81を患者Pの頭部に正対させることは困難である。従って対物レンズ81は、患者Pの頭部を反射板67を介して映すことが可能なようにスクリーン63の端部に設けられると良い。
(応用例4)
上記応用例3において光学式カメラ80は患者Pの監視のために使用されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。応用例4においては光学式カメラ80を患者Pの体動情報の収集に使用するものとする。応用例4においても光学式カメラ80は、体動の収集対象の部位を撮影可能に、反射板67、スクリーン63又は支持アーム65に設けられると良い。なお、体動情報は、患者Pの体動に伴い変化する任意点等の位置情報である。光学式カメラ80により撮影される光学画像は、患者Pの体動に伴い変化する上記特徴点の位置情報を含んでいる。
応用例4において画像処理回路33は、光学式カメラ80により撮影された光学画像を利用して再構成画像の体動補正を行う。例えば、画像処理回路33は、時系列の光学画像の特徴点の位置を時系列で追跡し、特徴点の移動量を算出する。特徴点としては、光学画像に描出された患者Pの顎や額、頸椎、患者Pに付されたマーカ等の任意の部位に設定可能である。そして画像処理回路33は、算出された移動量に従い再構成画像を座標変換することにより体動が補正された画像を発生する。
なお、応用例4においては体動情報を光学式カメラ80により収集するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、光学式センサ、超音波センサ、加速度センサにより患者Pの任意点の体動情報が収集されても良い。また、応用例4に係る光学式カメラは、応用例3に係る患者Pの監視用のカメラとは別個に設けられても良い。
(応用例5)
図25は、応用例5に係る移動式スクリーン装置15の側面図である。図26は、応用例5に係る移動式スクリーン装置15と架台11との全体の側面図である。
図25と図26とに示すように、応用例5に係る移動式スクリーン装置15にはマイクロホン91が設けられている。マイクロホン91は、例えば、患者Pから発せられた声を集音するために設けられる。例えば、マイクロホン91は、反射板67に取り付けられる。マイクロホン91は、ケーブル93を介して、ボア53外に設けられた増幅器95に接続される。マイクロホン91は、例えば、振動板と変換器とを有し、音による振動板の振動を変換器により電気信号(音声信号)に変換する。音声信号は、ケーブルを介して変換器に供給され、変換器により増幅される。変換器により増幅された音声信号は、有線又は無線を介してコンソール27に伝送される。伝送された音声信号は、コンソール27に設けられたスピーカ等を介して音声として発せられる。これにより患者Pの音声を制御室等にいる医療従事者に伝達することができる。
本実施形態に係るマイクロホン91は、非磁性であれば如何なる型式のものであっても良い。しかしながら、本実施形態に係るマイクロホン91としては、例えば、高感度且つ非磁性の光マイクロホンが好適である。
上記の例においてマイクロホン91は、反射板67に設けられるとしたが、患者Pの音声を集音することができるのであれば如何なる場所に設けられても良い。例えば、マイクロホン91は、支持アーム65又はスクリーン63等、移動式スクリーン装置15の他の構造物に設けられると良い。
また、本実施形態に係るマイクロホン91は、患者Pの声を集音する用途に限定されない。例えば、本実施形態に係るマイクロホン91は、ノイズキャンセリングに利用されるための、架台11の駆動音を集音するために用いられても良い。
(応用例6)
図27は、応用例6に係る移動式スクリーン装置15の側面図である。図27に示すように、応用例6に係る移動式スクリーン装置15にはスピーカ97が設けられている。具体的には、スピーカ97は、患者Pの頭部に近い位置に配置された支持アーム65に設けられると良い。スピーカ97は、様々な用途に応じた音を発生する。
スピーカ97は、有線又は無線を介して映写機制御装置200に接続されている。この場合、スピーカ97は、例えば、映写機100から移動式スクリーン装置15に投影される映像に対応する、映写機制御装置200から伝送された音声を発すると良い。音声を聞きながら映像を見ることができるので、ボア53内をより快適に過ごすことができる。
また、スピーカ97は、有線又は無線を介してコンソール27に接続されても良い。この場合、スピーカ97は、コンソール27に設けられたマイクロホンにより集音された医療従事者の音声を発しても良い。これによりMR撮像中においても医療従事者の指示等を患者Pに伝えることができる。
なお、患者Pとの意思疎通を図るため、応用例6のスピーカ97と応用例5のマイクロホン91とを組み合わせると良い。応用例6のスピーカ97と応用例5のマイクロホン91とを移動式スクリーン装置15に設けることにより、例えば、患者Pと医療従事者とが会話をすることができる。また、患者Pが小児の場合、ボア53内にいる患者Pと制御室にいる親とが会話をすることもできる。これにより、例えば、小児である患者Pのボア53内での不安感を軽減することができる。
また、ノイズキャンセリングを行うため、応用例6のスピーカ97と応用例5のマイクロホン91とを組み合わせると良い。この場合、マイクロホン91により架台11の駆動音を集音し、当該駆動音に対応する電気信号がコンソール27に伝送される。システム制御回路38は、当該駆動音の音声信号を解析し当該駆動音の逆位相を算出する。そしてシステム制御回路38は、当該駆動音の逆位相の音声信号(以下、キャンセル信号と呼ぶ)を生成する。通信回路34は、キャンセル信号をスピーカ97に伝送する。スピーカ97は、伝送されたキャンセル信号を音波(以下、キャンセル音と呼ぶ)に変換して出力する。架台11の駆動音の位相とキャンセル音の位相とは逆位相の関係にあるので、患者Pの頭部の周囲の空間においては駆動音がキャンセル音により打ち消される。本実施形態においては架台11内に設けられた移動式スクリーン装置15にマイクロホン91とスピーカ97とが設けられているので、患者Pの周囲を伝播する駆動音をより高精度に打ち消すことができる。よって、駆動音による患者Pの不快感を軽減することができる。
(応用例7)
第1の映写形式において支持アーム65はスクリーン63の前方(寝台13側)に位置する。そのため、架台11外側にいる患者Pからスクリーン63の映像を見ると、支持アーム65により視界が遮られる虞がある。また、第2の映写形式において映写機100から射出された投影光の一部(以下、余剰光と呼ぶ)はスクリーン63に照射されず、架台筐体51の内壁57との隙間を抜けてスクリーン63の前方に位置する内壁57の部分に照射される。当該内壁57部分には余剰光に対応する映像(以下、余剰映像と呼ぶ)が映し出される。しかし、当該内壁57部分と患者Pの頭部との位置関係によっては、支持アーム65により遮られて余剰映像が患者Pの視界に入らない場合がある。これら問題を解消するため、支持アーム65の一部又は全体が透明に形成されると良い。これにより、第1の映写形式においては支持アーム65がスクリーン63に映し出された映像の視認を妨げることを防止し、第2の映写形式においては支持アーム65が当該内壁57部分に映し出された余剰映像の視認を妨げることを防止することができる。
(応用例8)
図28は、本実施形態に係る支持アーム65のXZ断面(水平断面)を示す図である。なお、図28において天板131と移動台車61とが図示されているが、これは支持アーム65の位置関係を明確にするものであり、実際、支持アーム65は天板131及び移動台車61と同じ高さにはない。図28に示すように、支持アーム65の水平断面が矩形形状を有する場合、患者Pに向き合いX軸に直交する面65Aが患者Pの視界に入ることとなる。この場合、支持アーム65の映写機100に向き合いZ軸に直交する面65Bに投影光が照射され、支持アーム65の面65Aに投影光は照射されない。そのため患者Pにとって面65Aが暗く視認されてしまう。
図29は、応用例8に係る支持アーム65’のXZ断面(水平断面)を示す図である。図29において天板131と移動台車61とが図示されているが、これは支持アーム65’の位置関係を明確にするものであり、実際、支持アーム65’は天板131及び移動台車61と同じ高さにはない。図29に示すように、応用例8に係る支持アーム65’は、映写機100からの投影光を、支持アーム65’により囲まれる内側空間RI1に向けて反射可能な形状を有する。具体的には、支持アーム65’の映写機100に向かう面65’Aを内側空間RI1に向けてX軸に対して傾くように、支持アーム65’が形成されると良い。例えば、支持アーム65’は、図29に示すように、水平断面が三角形状を有するように形成されると良い。この場合、面65’Aが患者Pの視界に入ることとなるが、面65’AがX軸に対して傾いているので、当該面65’Aは映写機100からの投影光を患者Pに向けて反射することができる。このため患者Pは面65’Aに映る余剰映像を視認することが可能となる。
(応用例9)
上記実施形態においては映写機100から射出された投射光が直接的にスクリーン63に照射されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、以下の形態が考えられる。映写機制御装置200と光ファイバの一端(以下、入口端と呼ぶ)が接続され、他端(以下、出口端と呼ぶ)が非磁性の映写機100に接続される。非磁性の映写機100は、射出口がスクリーン63に向くように、移動式スクリーン装置15に含まれる移動台車61、支持アーム65又は反射板67のうちのスクリーン63の前方側(寝台13側)部分に取り付けられる。上記構成により、映写機制御装置200から当該光ファイバを介して映写機100に伝送された画像データに対応する投射光をスクリーン63の表面(寝台13側の面)に照射することが可能となる。これにより、映像を常に一定のサイズでスクリーン63に映し出すことができる。
(応用例10)
上記実施形態においては、第1の映写形式の場合、ボア53の寝台側端PE1に設置された移動式スクリーン装置15のスクリーン63に映写機100からの映像が投影されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、架台筐体51の寝台13側の壁面においてボア53を塞ぐように別のスクリーンを配置し、当該スクリーンに映写機100から映像を投影しても良い。この場合、移動式スクリーン装置15は、映写機100からの投影光を遮らないよう、ボア53外に退避されると良い。あるいは、移動式スクリーン装置15をボア53外に退避せずに、他の映写機100から当該スクリーンに映像を投影しても良い。また、第1の映写形式における映像の被投影対象はスクリーンのみに限定されない。例えば、空間結像装置により、ボア53の寝台側端PE1の空間に、ボア53を塞ぐように映像を映し出しても良い。
以上述べた少なくとも1つの実施形態の医用画像診断装置及び磁気共鳴イメージング装置によれば、架台のボア内の居住性を向上することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。