以下、図面を参照しながら、MRI装置及び受信コイルの実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、全身用コイル4、局所用コイル5、寝台6、送信回路7、受信回路8、架台9、インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路13~16を備える。
静磁場磁石1は、被検体Sが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。具体的には、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、内周側に配置された撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、略円筒状に形成された冷却容器と、当該冷却容器内に充填された冷却材(例えば、液体ヘリウム等)に浸漬された超伝導磁石等の磁石とを有する。なお、静磁場磁石1は、例えば、永久磁石を用いて静磁場を発生させるものであってもよい。
傾斜磁場コイル2は、被検体Sが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、内周側に配置された撮像空間に傾斜磁場を発生させる。また、傾斜磁場コイル2は、X軸、Y軸、及びZ軸それぞれに対応するXコイル、Yコイル、及びZコイルを有しており、傾斜磁場電源3から各コイルに供給される電流に応じて、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の各軸方向に沿った傾斜磁場を撮像空間に発生させる。
ここで、X軸、Y軸、及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、X軸は、水平方向に沿うように設定され、Y軸は、鉛直方向に沿うように設定され、Z軸は、傾斜磁場コイル2の軸方向に一致し、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿うように設定される。
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2が有するXコイル、Yコイル、及びZコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、X軸、Y軸、及びZ軸の各軸方向に沿った傾斜磁場を撮像空間に発生させる。このように、傾斜磁場電源3が、Xコイル、Yコイル、及びZコイルそれぞれに適宜に電流を供給することによって、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることができる。
ここで、リードアウト方向に沿った軸、位相エンコード方向に沿った軸、及びスライス方向に沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。具体的には、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス傾斜磁場それぞれに沿った傾斜磁場が、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることで、被検体Sから発生するMR信号に空間的な位置情報を付与する。リードアウト方向の傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、リードアウト方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、位相エンコード方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。スライス傾斜磁場は、スライス方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。例えば、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させるために用いられる。
全身用コイル4は、被検体Sが配置される撮像空間にRF磁場を印加し、当該RF磁場の影響によって被検体Sから発生するMR信号を受信するRFコイルである。具体的には、全身用コイル4は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路7から供給されるRFパルス信号に基づいて、内周側に配置された撮像空間にRF磁場を印加する。また、全身用コイル4は、RF磁場の影響によって被検体Sから発生するMR信号を受信し、受信したMR信号を受信回路8へ出力する。例えば、全身用コイル4は、QD(quadrature)コイルである。
局所用コイル5は、被検体Sから発生したMR信号を受信するRFコイルである。具体的には、局所用コイル5は、被検体Sの部位ごとに用意されたRFコイルであり、被検体Sの撮像が行われる際に、撮像対象の部位の近傍に配置される。そして、局所用コイル5は、全身用コイル4によって印加されるRF磁場の影響によって被検体Sから発生したMR信号を受信し、受信したMR信号を受信回路8へ出力する。なお、局所用コイル5は、被検体SにRF磁場を印加する送信コイルの機能をさらに有していてもよい。その場合には、局所用コイル5は、送信回路7に接続され、送信回路7から供給されるRFパルス信号に基づいて、被検体SにRF磁場を印加する。例えば、局所用コイル5は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルで構成されたアレイコイルである。
寝台6は、被検体Sが載置される天板61を備え、被検体Sの撮像が行われる際に、被検体Sが載置された天板61を撮像空間に移動する。例えば、寝台6は、天板61の長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されている。
送信回路7は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有のラーモア周波数に対応するRFパルス信号を全身用コイル4に出力する。具体的には、送信回路7は、パルス発生器、RF発生器、変調器、及び増幅器を有する。パルス発生器は、RFパルス信号の波形を生成する。RF発生器は、共鳴周波数のRF信号を発生する。変調器は、RF発生器によって発生したRF信号の振幅をパルス発生器によって発生した波形で変調することで、RFパルス信号を生成する。増幅器は、変調器によって発生したRFパルス信号を増幅して全身用コイル4に出力する。
受信回路8は、全身用コイル4及び局所用コイル5によって受信されたMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路14に出力する。具体的には、受信回路8は、検波器を有しており、当該検波器によって、全身用コイル4及び局所用コイル5によって受信されたMR信号から共鳴周波数の成分を差し引くことでMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路14に出力する。
架台9は、略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成された中空のボア91を有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、及び全身用コイル4を支持している。具体的には、架台9は、静磁場磁石1の内周側に傾斜磁場コイル2を配置し、傾斜磁場コイル2の内周側に全身用コイル4を配置し、全身用コイル4の内周側にボア91を配置した状態で、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、及び全身用コイル4それぞれを支持している。ここで、架台9が有するボア91内の空間が、被検体Sの撮像が行われる際に被検体Sが配置される撮像空間となる。
なお、ここでは、MRI装置100が、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び全身用コイル4それぞれが略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型の構成を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、MRI装置100は、被検体Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルを配置した、いわゆるオープン型の構成を有していてもよい。この場合には、一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルによって挟まれた空間が、トンネル型の構成におけるボアに相当する。
インタフェース10は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、インタフェース10は、処理回路16に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路16に出力する。例えば、インタフェース10は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、インタフェース10は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路もインタフェース10の例に含まれる。
ディスプレイ11は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、処理回路16に接続されており、処理回路16から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ11は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶回路12は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路12は、MR信号データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路13は、寝台制御機能131を有する。寝台制御機能131は、制御用の電気信号を寝台6へ出力することで、寝台6の動作を制御する。例えば、寝台制御機能131は、インタフェース10を介して、天板61を長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板61を移動するように、寝台6が有する天板61の移動機構を動作させる。
処理回路14は、データ収集機能141を有する。データ収集機能141は、傾斜磁場電源3、送信回路7及び受信回路8を駆動することで、被検体SのMR信号データを収集する。具体的には、データ収集機能141は、処理回路16から出力されるシーケンス実行データに基づいて各種のパルスシーケンスを実行することで、MR信号データを収集する。ここで、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信回路7が全身用コイル4に供給するRFパルス信号の強さや供給タイミング、受信回路8がMR信号を検出する検出タイミング等を定義した情報である。そして、データ収集機能141は、各種パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路8からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路12に記憶させる。ここで、データ収集機能141によって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路12に記憶される。
処理回路15は、画像生成機能151を有する。画像生成機能151は、記憶回路12に記憶されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、画像生成機能151は、データ収集機能141によって記憶回路12に記憶されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理、即ち、フーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、画像生成機能151は、生成した画像の画像データを記憶回路12に記憶させる。
処理回路16は、主制御機能161を有する。主制御機能161は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、主制御機能161は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)をディスプレイ11に表示する。そして、主制御機能161は、インタフェース10を介して受け付けられた入力操作に応じて、MRI装置100が有する各構成要素を制御する。例えば、主制御機能161は、インタフェース10を介して操作者から撮像条件の入力を受け付ける。そして、主制御機能161は、受け付けた撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、当該シーケンス実行データを処理回路14に送信することで、各種のパルスシーケンスを実行する。また、例えば、主制御機能161は、操作者からの要求に応じて、記憶回路12から画像データを読み出してディスプレイ11に出力する。
ここで、上述した処理回路13~16は、例えば、プロセッサによって実現される。この場合に、各処理回路が有する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12に記憶される。各処理回路は、記憶回路12から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。ここで、各処理回路は、複数のプロセッサによって構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、ここでは、単一の記憶回路12が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
以上、第1の実施形態に係るMRI装置100の全体的な構成について説明した。このような構成のもと、撮像時には、MRI装置100は、ボア91内に配置された被検体SにRF磁場を印加し、被検体Sとともにボア91内に配置された局所用コイル5によって、被検体Sから発生したMR信号を受信する。ここで、局所用コイル5によって受信されたMR信号は、受信回路8へ伝送され、前述した画像生成のための処理が施される。
一般的に、このような構成では、局所用コイル5によって受信されたMR信号は、局所用コイル5に接続された通信用のケーブルを介して、受信回路8へ伝送されることが多い。例えば、局所用コイル5に接続された通信用のケーブルを接続するための複数のコイルポートが天板61の前後や左右の端部に設けられ、寝台6内に配置されたケーブルを介して、各コイルポートから入力されたMR信号が受信回路8へ伝送される。
しかしながら、寝台6内にケーブルを配置する場合には、天板61の移動に追従させてケーブルを移動させるため、ケーブルの長さを局所用コイル5と受信回路8との間の最短距離より長くする必要がある。また、天板61に設けられるコイルポートの数に応じて複数のケーブルが用いられることになるが、天板61の下や寝台6内のスペースは限られているため、ケーブルの太さを細くする必要がある。このように、寝台6内にケーブルを配置する場合には、長くて細い多数のケーブルを寝台6内に配置する必要があり、さらに、ケーブルを移動させるための可動機構を天板61の下に設ける必要があるため、天板61や寝台6の構造が複雑になってしまう。また、ケーブルの可動機構を天板61の下に設けることによって、被検体Sが配置される撮像空間の確保に制限が生じてしまう。
このようなことから、本実施形態に係るMRI装置100は、近接無線通信の技術を利用することで、局所用コイル5と架台9との間で通信用のケーブルを介さずにMR信号を伝送できるように構成されている。
具体的には、MRI装置100は、架台9のボア91内に設けられ、MR信号を処理する受信回路8に接続された架台通信部と、局所用コイル5に設けられ、架台通信部との間で近接無線通信を行って架台通信部へMR信号を伝送するコイル通信部とを備える。なお、局所用コイル5は、受信コイルの一例であり、受信回路8は、信号処理部の一例である。
以下、このような構成を有するMRI装置100について詳細に説明する。なお、本実施形態では、局所用コイル5の例として、胴体撮像用のボディーコイル、脊椎撮像用のスパインコイル、及び、頭部撮像用のヘッドコイルが用いられる場合の例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係るボディーコイルの構成例を示す斜視図である。また、図3は、第1の実施形態に係るボディーコイル、スパインコイル、及び架台の構成を示す正面図である。また、図4は、第1の実施形態に係るボディーコイル、スパインコイル、及び架台の構成を示す側面図である。
図2に示すように、本実施形態に係るボディーコイル51は、矩形の平板状に形成されたアレイコイルであり、撮像時に、被検体Sの胴体に装着されて用いられる。具体的には、ボディーコイル51は、長手方向(図2に示す矢印LDの方向)が被検体Sの胴体の体軸方向に沿い、短手方向(図2に示す矢印SDの方向)が被検体Sの胴体の幅方向に沿うように位置合わせされて用いられる。また、ボディーコイル51は、被検体Sの体表に合わせて湾曲可能となるように、柔軟性を有している。
そして、本実施形態では、ボディーコイル51に、2つの第1のコイル通信部181が設けられている。具体的には、ボディーコイル51の短手方向における両側辺部それぞれに、第1のコイル通信部181が設けられている。なお、図2では、配置の関係で、一方の側辺部における第1のコイル通信部181のみが示されている。
ここで、本実施形態では、第1のコイル通信部181は、ボディーコイル51の側辺部において、当該ボディーコイル51の長手方向における略中央の位置に配置されている。
また、図3及び4に示すように、本実施形態に係るスパインコイル52は、天板61に内蔵されており、撮像時に上側に被検体Sが配置されて用いられる。具体的には、スパインコイル52は、細長い矩形の平板状に形成されたアレイコイルであり、天板61の長手方向に沿って延在するように配置されている。
そして、本実施形態では、スパインコイル52に、1つの第2のコイル通信部182が設けられている。具体的には、スパインコイル52の短手方向における略中央の位置に、第2のコイル通信部182が設けられている。
ここで、本実施形態では、第2のコイル通信部182は、スパインコイル52の長手方向における略中央の位置に配置されている。
また、図3及び4に示すように、架台9は、被検体Sが載置される天板61をボア91内で移動可能に支持する架台レール92を有している。架台レール92は、架台9のボア91内の下側に、ボア91の軸方向に沿って延在するように設けられている。また、架台レール92は、短手方向に沿った断面がボア91の周方向に沿って湾曲した形状となるように形成されており、短手方向における両側辺部が、天板61の短手方向における両端部の下側をボア91の軸方向に沿って移動可能に支持している。
そして、本実施形態では、架台9のボア91内に、2つの第1の架台通信部171と、1つの第2の架台通信部172とが設けられている。具体的には、架台9のボア91の内壁における、架台レール92の短手方向における両側辺部それぞれの近傍に、第1の架台通信部171が設けられている。また、架台レール92の上面側で、当該架台レール92の短手方向における略中央の位置に、第2の架台通信部172が設けられている。なお、図4では、図示の都合上、第1の架台通信部171については図示を省略している。
ここで、第1の架台通信部171及び第2の架台通信部172は、それぞれ、ボア91の軸方向における略中央の位置に配置されている。すなわち、第1の架台通信部171及び第2の架台通信部172は、それぞれ、ボア91の軸方向に沿った位置が、静磁場磁石1によって発生する静磁場の中心である磁場中心の位置(図4に示す一点鎖線の位置)と略一致するように配置されている。
このような構成のもと、撮像時には、撮像対象の部位がスパインコイル52の長手方向における略中央に位置合わせされるように、被検体Sが天板61上に配置される。また、ボディーコイル51が、当該ボディーコイル51の略中央が撮像対象の部位に位置合わせされるように、被検体Sに装着される。そして、被検体Sが、天板61の移動によって、ボディーコイル51及びスパインコイル52とともにボア91内に移動される。
このとき、通常、静磁場の均一性は磁場中心で最も高くなるため、被検体Sは、撮像対象の部位が磁場中心の付近に配置されるように移動される。その結果、ボディーコイル51に設けられている第1のコイル通信部181、及び、スパインコイル52に設けられている第2のコイル通信部182が、それぞれ、磁場中心の付近に配置されることになる。これにより、ボア91の軸方向において、第1のコイル通信部181及び第2のコイル通信部182が、それぞれ、架台9に設けられている第1の架台通信部171及び第2の架台通信部172に近い位置に配置されることになる。
ここで、第1のコイル通信部181は、ボディーコイル51におけるボア91の内壁に近い側の両側辺部に配置されているため、第2の架台通信部172と比べて、第1の架台通信部171に対して、より近い位置に配置されることになる。このため、第1のコイル通信部181は、第1の架台通信部171との間で近接無線通信を行って、ボディーコイル51によって受信されたMR信号を第1の架台通信部171へ伝送する。
この一方で、第2のコイル通信部182は、スパインコイル52の短手方向における略中央の位置に配置されているため、第1の架台通信部171と比べて、第2の架台通信部172に対して、より近い位置に配置されることになる。このため、第2のコイル通信部182は、第2の架台通信部172との間で近接無線通信を行って、スパインコイル52によって受信されたMR信号を第2の架台通信部172へ伝送する。
そして、本実施形態では、ボディーコイル51及びスパインコイル52は、それぞれ、受信したMR信号を増幅する増幅器と、増幅器によって増幅されたMR信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するアナログ-デジタル(Analog to Digital:A/D)変換回路とを有している。そして、第1のコイル通信部181は、A/D変換回路によってデジタル信号に変換されたMR信号を近接無線通信によって第1の架台通信部171へ伝送する。また、第2のコイル通信部182は、A/D変換回路によってデジタル信号に変換されたMR信号を近接無線通信によって第2の架台通信部172へ伝送する。
ここで、近接無線通信を行うための技術としては、例えば、Transfer Jet(登録商標)や、NFC(Near Field Communication)等が用いられる。
一方、架台9に設けられている第1の架台通信部171及び第2の架台通信部172は、それぞれ、光ケーブル19によって受信回路8に接続されている。そして、第1の架台通信部171及び第2の架台通信部172は、それぞれ、光ケーブル19を介して、受信回路8へMR信号を伝送する。このように、光ケーブル19を介してMR信号を伝送することで、MR信号へのノイズの混入を低減することができる。
上述したように、第1の実施形態では、ボア内に設けられた架台通信部と、受信コイルに設けられたコイル通信部との間で近接無線通信を行って、MR信号を伝送する。
このような構成によれば、局所用コイル5と架台9との間で通信用のケーブルを介さずにMR信号を伝送できる。これにより、局所用コイル5に接続される通信用のケーブルが不要になり、ワークフローの改善を実現することができる。また、天板61の下に設けられるケーブルの可動機構が不要になり、患者スペースの確保のための自由度を増やすことができる。また、天板61や寝台6の構造を簡素化することができ、寝台6の軽量化及び簡素化、信頼性の向上、コスト削減等を実現することができる。また、ドッカブル寝台や、ストレッチャー等の簡易な構成の寝台を用いることができるようになる。また、天板61や寝台6の構造が簡素化することで、天板61又は寝台6に、照明等を設ける等、他の付加価値を加えることができるようになる。また、寝台6が軽量化することで、据え付け期間を短縮することができるようになる。
以上、第1の実施形態について説明したが、上述したMRI装置及び受信コイルは、その構成要素の一部を目的や用途に応じて適宜に変更して実施することも可能である。そこで、以下では、MRI装置及び受信コイルの他の実施形態について詳細に説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、先に説明した実施形態と異なる点を中心に説明することとし、先に説明した実施形態と重複する内容については詳細な説明を省略する。
(第2の実施形態)
例えば、上述した第1の実施形態では、コイル通信部と架台通信部とが磁場中心の付近で近接通信を行う場合の例を説明したが、コイル通信部と架台通信部とは、磁場中心からずれた位置で近接通信を行うように構成されてもよい。以下では、このような構成の例を第2の実施形態として説明する。
図5は、第2の実施形態に係るボディーコイルの構成例を示す斜視図である。また、図6は、第2の実施形態に係るボディーコイル、スパインコイル、及び架台の構成を示す正面図である。また、図7は、第2の実施形態に係るボディーコイル、スパインコイル、及び架台の構成を示す側面図である。
図5に示すように、本実施形態では、ボディーコイル51に、2つの第1のコイル通信部281が設けられている。具体的には、ボディーコイル51の短手方向における両側辺部それぞれに、第1のコイル通信部281が設けられている。なお、図5では、配置の関係で、一方の側辺部における第1のコイル通信部281のみが示されている。
ここで、本実施形態では、第1のコイル通信部281は、ボディーコイル51に対する位置を変更可能に構成されている。具体的には、第1のコイル通信部281は、ボディーコイル51の側辺部において、当該ボディーコイル51の全長の範囲内で長手方向に沿った位置を変更可能に構成されている。これにより、第1のコイル通信部281は、ボディーコイル51の長手方向において略中央の位置からずれた位置に配置可能となっている。
また、図6及び7に示すように、本実施形態では、スパインコイル52に、1つの第2のコイル通信部282が設けられている。具体的には、スパインコイル52の短手方向における略中央の位置に、第2のコイル通信部282が設けられている。
ここで、本実施形態では、第2のコイル通信部282は、スパインコイル52に対する位置を変更可能に構成されている。具体的には、第2のコイル通信部282は、スパインコイル52の全長の範囲内で、スパインコイル52の長手方向に沿った位置を変更可能に構成されている。これにより、第2のコイル通信部282は、スパインコイル52の長手方向において略中央の位置からずれた位置に配置可能となっている。
また、図6及び7に示すように、本実施形態では、架台9のボア91内に、2つの第1の架台通信部271と、1つの第2の架台通信部272とが設けられている。具体的には、架台9のボア91の内壁における、架台レール92の短手方向における両側辺部それぞれの近傍に、第1の架台通信部271が設けられている。また、架台レール92の上面側で、当該架台レール92の短手方向における略中央の位置に、第2の架台通信部272が設けられている。なお、図7では、第1の架台通信部271については図示を省略している。
ここで、本実施形態では、第1の架台通信部271及び第2の架台通信部272は、それぞれ、架台9に対する位置を変更可能に構成されている。具体的には、第1の架台通信部271及び第2の架台通信部272は、ボア91の長さの範囲内で、ボア91の軸方向に沿った位置を変更可能に構成されている。これにより、第1の架台通信部271及び第2の架台通信部272は、ボア91の軸方向において略中央の位置からずれた位置に配置可能となっている。すなわち、第1の架台通信部271及び第2の架台通信部272は、ボア91の軸方向に沿って、磁場中心の位置(図7に示す一点鎖線の位置)からずれた位置に配置可能となっている。
このような構成のもと、撮像時には、第1の実施形態と同様に、天板61の移動によってボディーコイル51及びスパインコイル52が被検体Sとともに移動されて、それぞれの略中央が磁場中心の付近に配置される。このとき、ボディーコイル51に設けられている第1のコイル通信部281、及び、スパインコイル52に設けられている第2のコイル通信部282は、それぞれ、ボア91の軸方向に沿って、磁場中心の位置からずれた位置に配置されることになる。これにより、本実施形態では、第1のコイル通信部281と第1の架台通信部271、及び、第2のコイル通信部282と第2の架台通信部272とが、磁場中心からずれた位置で近接通信を行うことになる。
(第3の実施形態)
また、例えば、上述した第2の実施形態では、コイル通信部及び架台通信部の位置をボア91の軸方向に沿って変更可能とした場合の例を説明したが、コイル通信部及び架台通信部は、ボア91の軸方向における複数の位置に設けられていてもよい。以下では、このような構成の例を第3の実施形態として説明する。
図8は、第3の実施形態に係るボディーコイルの構成例を示す斜視図である。また、図9は、第3の実施形態に係るボディーコイル、スパインコイル、及び架台の構成を示す正面図である。また、図10は、第3の実施形態に係るボディーコイル、スパインコイル、及び架台の構成を示す側面図である。
図8に示すように、本実施形態では、ボディーコイル51に、6つの第1のコイル通信部381が設けられている。具体的には、ボディーコイル51の短手方向における両側辺部それぞれに、ボディーコイル51の長手方向に沿って、3つの第1のコイル通信部381が並べて設けられている。なお、図8では、配置の関係で、一方の側辺部における第1のコイル通信部381のみが示されている。
ここで、本実施形態では、第1のコイル通信部381は、ボディーコイル51における複数の位置に設けられている。具体的には、第1のコイル通信部381は、ボディーコイル51の側辺部において、当該ボディーコイル51の長手方向における略中央の位置、及び、その両側の位置に配置されている。これにより、ボディーコイル51において、当該ボディーコイル51の長手方向に沿って、略中央の位置、及び、略中央の位置からずれた位置に、それぞれ、第1のコイル通信部381が配置されることになる。
また、図9及び10に示すように、本実施形態では、スパインコイル52に、3つの第2のコイル通信部382が設けられている。具体的には、スパインコイル52の短手方向における略中央の位置に、スパインコイル52の長手方向に沿って、第2のコイル通信部382が設けられている。
ここで、本実施形態では、第2のコイル通信部382は、スパインコイル52における複数の位置に設けられている。具体的には、第2のコイル通信部382は、スパインコイル52の長手方向における略中央の位置、及び、その両側の位置に配置されている。これにより、スパインコイル52において、当該スパインコイル52の長手方向に沿って、略中央の位置、及び、略中央の位置からずれた位置に、それぞれ、第2のコイル通信部382が配置されることになる。
また、図9及び10に示すように、本実施形態では、架台9のボア91内に、10個の第1の架台通信部371と、5つの第2の架台通信部372とが設けられている。具体的には、架台9のボア91の内壁における、架台レール92の短手方向における両側辺部それぞれの近傍に、ボア91の軸方向に沿って、5つの第1の架台通信部371が並べて設けられている。また、架台レール92の上面側で、当該架台レール92の短手方向における略中央の位置に、ボア91の軸方向に沿って、5つの第2の架台通信部372が並べて設けられている。なお、図10では、第1の架台通信部371については図示を省略している。
ここで、本実施形態では、第1の架台通信部371及び第2の架台通信部372は、それぞれ、架台9における複数の位置に設けられている。具体的には、第1の架台通信部371及び第2の架台通信部372は、それぞれ、ボア91の軸方向における略中央の位置、その両側の位置、及び、さらにその両側の位置に配置されている。これにより、架台9において、ボア91の軸方向に沿って、磁場中心の位置(図10に示す一点鎖線の位置)と略一致する位置、その両側の位置、及び、さらにその両側の位置に、それぞれ、第1の架台通信部371及び第2の架台通信部372が配置されることになる。
このような構成によれば、撮像時には、ボア91の軸方向に沿って、複数の第1のコイル通信部381、複数の第2のコイル通信部382、複数の第1の架台通信部371、及び、複数の第2の架台通信部372が配置されることになる。これにより、例えば、撮像領域が変更となり天板61が移動された場合でも、近い位置にある第1のコイル通信部381と第1の架台通信部371との間、及び、近い位置にある第2のコイル通信部382と第2の架台通信部372との間で、近接通信を行うことができる。
(第4の実施形態)
また、例えば、上述した実施形態では、局所用コイル5の例として、ボディーコイル51及びスパインコイル52が用いられる場合の例を説明したが、頭部撮像用のヘッドコイルが用いられてもよい。以下では、このような構成の例を第4の実施形態として説明する。
図11は、第4の実施形態に係るヘッドコイルの構成例を示す斜視図である。また、図12は、第4の実施形態に係るヘッドコイル及び架台の構成を示す正面図である。また、図13は、第4の実施形態に係るヘッドコイル及び架台の構成を示す側面図である。
図11に示すように、本実施形態に係るヘッドコイル53は、有底の略円筒状に形成されたアレイコイルであり、撮像時に被検体Sの頭部に被せるように装着されて用いられる。具体的には、ヘッドコイル53は、長手方向(図11に示す矢印LDの方向)が被検体Sの頭部の上下方向に沿い、短手方向(図11に示す矢印SDの方向)が被検体Sの頭部の左右方向に沿うように位置合わせされて用いられる。また、ヘッドコイル53は、撮像時に、天板61に固定されて用いられる。
そして、本実施形態では、ヘッドコイル53に、1つの第3のコイル通信部483が設けられている。具体的には、ヘッドコイル53の下部における、当該ヘッドコイル53の短手方向における略中央の位置に、第3のコイル通信部483が設けられている。なお、図11では、図示の便宜上、ヘッドコイル53の側部に第3のコイル通信部483を示している。
ここで、本実施形態では、第3のコイル通信部483は、ヘッドコイル53の下部において、当該ヘッドコイル53の長手方向における略中央の位置に配置されている。
また、図12及び13に示すように、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、架台9のボア91内に、2つの第1の架台通信部171と、1つの第2の架台通信部172とが設けられている。具体的には、架台9のボア91の内壁における、架台レール92の短手方向における両側辺部それぞれの近傍に、第1の架台通信部171が設けられている。また、架台レール92の上面側で、当該架台レール92の短手方向における略中央の位置に、第2の架台通信部172が設けられている。なお、図13では、図示の都合上、第1の架台通信部171については図示を省略している。
このような構成のもと、撮像時には、被検体Sが天板61上に配置され、ヘッドコイル53が、被検体Sの頭部に装着された状態で天板61に固定される。そして、被検体Sが、天板61の移動によって、ヘッドコイル53とともにボア91内に移動される。
このとき、前述したように、通常、静磁場の均一性は磁場中心で最も高くなるため、被検体Sは、撮像対象である頭部が磁場中心の付近に配置されるように移動される。その結果、ヘッドコイル53に設けられている第3のコイル通信部483が、磁場中心の付近に配置されることになる。これにより、ボア91の軸方向において、第3のコイル通信部483が、架台9に設けられている第2の架台通信部172に近い位置に配置されることになる。このため、第3のコイル通信部483は、第2の架台通信部172との間で近接無線通信を行って、ヘッドコイル53によって受信されたMR信号を第2の架台通信部172へ伝送する。
そして、本実施形態では、ヘッドコイル53は、それぞれ、受信したMR信号を増幅する増幅器と、増幅器によって増幅されたMR信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換回路とを有している。そして、第3のコイル通信部483は、A/D変換回路によってデジタル信号に変換されたMR信号を近接無線通信によって第2の架台通信部172へ伝送する。
ここで、近接無線通信を行うための技術としては、例えば、Transfer Jet(登録商標)や、NFC等が用いられる。
(第5の実施形態)
また、例えば、上述した第4の実施形態では、コイル通信部と架台通信部とが磁場中心の付近で近接通信を行う場合の例を説明したが、コイル通信部と架台通信部とは、磁場中心からずれた位置で近接通信を行うように構成されてもよい。以下では、このような構成の例を第5の実施形態として説明する。
図14は、第5の実施形態に係るヘッドコイルの構成例を示す斜視図である。また、図15は、第5の実施形態に係るヘッドコイル及び架台の構成を示す正面図である。また、図16は、第5の実施形態に係るヘッドコイル及び架台の構成を示す側面図である。
図14に示すように、本実施形態では、ヘッドコイル53に、1つの第3のコイル通信部583が設けられている。具体的には、ヘッドコイル53の下部における、当該ヘッドコイル53の短手方向における略中央の位置に、第3のコイル通信部583が設けられている。なお、図11では、図示の便宜上、ヘッドコイル53の側部に第3のコイル通信部583を示している。
ここで、本実施形態では、第3のコイル通信部583は、ヘッドコイル53に対する位置を変更可能に構成されている。具体的には、第3のコイル通信部583は、ヘッドコイル53の下部において、当該ヘッドコイル53の全長の範囲内で長手方向に沿った位置を変更可能に構成されている。これにより、第3のコイル通信部583は、ヘッドコイル53の長手方向において略中央の位置からずれた位置に配置可能となっている。
また、図15及び16に示すように、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、架台9のボア91内に、2つの第1の架台通信部271と、1つの第2の架台通信部272とが設けられている。具体的には、架台9のボア91の内壁における、架台レール92の短手方向における両側辺部それぞれの近傍に、第1の架台通信部271が設けられている。また、架台レール92の上面側で、当該架台レール92の短手方向における略中央の位置に、第2の架台通信部272が設けられている。なお、図16では、第1の架台通信部271については図示を省略している。
ここで、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、第2の架台通信部272は、架台9に対する位置を変更可能に構成されている。具体的には、第2の架台通信部272は、ボア91の長さの範囲内で、ボア91の軸方向に沿った位置を変更可能に構成されている。これにより、第2の架台通信部272は、ボア91の軸方向において略中央の位置からずれた位置に配置可能となっている。すなわち、第2の架台通信部272は、ボア91の軸方向に沿って、磁場中心の位置(図16に示す一点鎖線の位置)からずれた位置に配置可能となっている。
このような構成のもと、撮像時には、第4の実施形態と同様に、天板61の移動によってヘッドコイル53が被検体Sとともに移動されて、当該ヘッドコイル53の略中央が磁場中心の付近に配置される。このとき、ヘッドコイル53に設けられている第3のコイル通信部583は、ボア91の軸方向に沿って、磁場中心の位置からずれた位置に配置されることになる。これにより、本実施形態では、第3のコイル通信部583と第2の架台通信部272とが、磁場中心からずれた位置で近接通信を行うことになる。
さらに、図16に示すように、本実施形態では、ヘッドコイル53が、当該ヘッドコイル53と天板61との間の相対角度を変更するチルト機構531を有しており、第3のコイル通信部583は、チルト機構531に設けられている。ここで、チルト機構531は、ヘッドコイル53の下部に設けられており、ヘッドコイル53が用いられる際に天板61に固定される。そして、第3のコイル通信部583は、チルト機構531の下部に設けられており、チルト機構531によってヘッドコイル53の天板61に対する角度が変更された場合でも、天板61における位置が変化しないように構成されている。
(第6の実施形態)
また、上述した第5の実施形態では、コイル通信部と架台通信部とが、磁場中心からずれた位置で近接通信を行う場合の例を説明したが、コイル通信部と架台通信部とは、全身用コイル4によってRF磁場が印加される範囲の外に配置されるように構成されてもよい。以下では、このような構成の例を第6の実施形態として説明する。
図17は、第6の実施形態に係るヘッドコイルの構成例を示す斜視図である。また、図18は、第6の実施形態に係るヘッドコイル及び架台の構成を示す正面図である。また、図19は、第6の実施形態に係るボディーコイル及び架台の構成を示す側面図である。
図17に示すように、本実施形態では、ヘッドコイル53に、1つの第3のコイル通信部683が設けられている。ヘッドコイル53の下部における、当該ヘッドコイル53の短手方向における略中央の位置に、第3のコイル通信部683が設けられている。なお、図17では、図示の便宜上、ヘッドコイル53の側部に第3のコイル通信部683を示している。
ここで、本実施形態では、ヘッドコイル53は、当該ヘッドコイル53の端部から延伸し、先端部が撮像時にWBコイル4によってRF磁場が印加される範囲の外に配置される延伸部532を有している。そして、第3のコイル通信部683は、延伸部532の先端部に設けられている。なお、WBコイル4は、送信コイルの一例である。
具体的には、図18及び19に示すように、ヘッドコイル53の延伸部532は、ヘッドコイル53の略中央が磁場中心の付近に配置された際に、ボア91に軸方向に沿って、WBコイル4の軸方向における全長より外側に先端部が配置されるように構成されている。これにより、第3のコイル通信部683は、撮像時に、ヘッドコイル53の略中央が磁場中心の付近に配置された際に、ボア91に軸方向に沿って、WBコイル4の軸方向における全長より外側に配置されるようになる。
また、図18及び19に示すように、本実施形態では、架台9のボア91内に、2つの第1の架台通信部671と、1つの第2の架台通信部672とが設けられている。具体的には、架台9のボア91の内壁における、架台レール92の短手方向における両側辺部それぞれの近傍に、第1の架台通信部671が設けられている。また、架台レール92の上面側で、当該架台レール92の短手方向における略中央の位置に、第2の架台通信部672が設けられている。なお、図19では、第1の架台通信部671については図示を省略している。
ここで、本実施形態では、第1の架台通信部671及び第2の架台通信部672は、撮像時にWBコイル4によってRF磁場が印加される範囲の外に配置されている。具体的には、第1の架台通信部671及び第2の架台通信部672は、それぞれ、ボア91に軸方向に沿って、WBコイル4の軸方向における全長より外側に先端部が配置されている。
このような構成のもと、撮像時には、第4及び第5の実施形態と同様に、天板61の移動によってヘッドコイル53が被検体Sとともに移動されて、当該ヘッドコイル53の略中央が磁場中心の付近に配置される。このとき、ヘッドコイル53に設けられている第3のコイル通信部683、及び、架台9に設けられている第2の架台通信部672は、それぞれ、ボア91の軸方向に沿って、WBコイル4の軸方向における全長より外側に配置されることになる。これにより、本実施形態では、第3のコイル通信部683と第2の架台通信部672とが、WBコイル4によってRF磁場が印加される範囲の外で近接通信を行うことになる。このような構成によれば、RF磁場と近接無線との電磁波干渉を避けることが可能になる。
(その他の実施形態)
また、例えば、上述した第1~第6の実施形態では、第2の架台通信部が、架台レール92の上面側に設けられている場合の例を説明したが、第2の架台通信部は、架台レール92の下面側に設けられていてもよい。その場合には、例えば、架台レール92が、誘電率の低い材料で形成されており、第2の架台通信部と、第2のコイル通信部又は第3のコイル通信部とは、架台レール92越しに近接無線通信を行う。
また、例えば、上述した第2及び第5の実施形態では、コイル通信部が、局所用コイル5に対する位置を変更可能に構成されており、第3の実施形態では、コイル通信部が、局所用コイル5における複数の位置に設けられている場合の例を説明した。このように、コイル通信部の位置が変更可能となっている場合には、例えば、処理回路16が有する主制御機能161が、コイル通信部の位置に基づいて撮像位置を決定するようにしてもよい。例えば、主制御機能161は、操作者によって撮像条件の設定が行われる際に、被検体Sの位置決め画像をディスプレイ11に表示し、当該位置決め画像上で、コイル通信部の位置に対応する位置に、撮像位置を示すROI等を表示する。
また、例えば、上述した第1~第6の実施形態では、コイル通信部及び架台通信部が、Transfer Jet(登録商標)や、NFC(Near Field Communication)等の技術を用いて近接無線通信を行う場合の例を説明したが、コイル通信部及び架台通信部は、近接無線通信として、光無線通信を行ってもよい。
また、例えば、上述した第1~第6の実施形態では、局所用コイル5の例として、ボディーコイル、スパインコイル、及びヘッドコイルの例を説明したが、他の種類の局所用コイル5が用いられる場合でも、同様の実施形態が適用可能である。
なお、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、例えば、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、受信コイルと架台との間で通信用のケーブルを介さずにMR信号を伝送することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。