JP6858330B2 - 抗ウイルス性素材 - Google Patents

抗ウイルス性素材 Download PDF

Info

Publication number
JP6858330B2
JP6858330B2 JP2016036201A JP2016036201A JP6858330B2 JP 6858330 B2 JP6858330 B2 JP 6858330B2 JP 2016036201 A JP2016036201 A JP 2016036201A JP 2016036201 A JP2016036201 A JP 2016036201A JP 6858330 B2 JP6858330 B2 JP 6858330B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antiviral
group
chitin
nanofibers
chitosan
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016036201A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017150117A (ja
Inventor
一英 戸谷
一英 戸谷
山下 和彦
和彦 山下
光正 長田
光正 長田
望 二階堂
望 二階堂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YAEGAKI BIO-INDUSTRY, INC.
Shinshu University NUC
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Original Assignee
YAEGAKI BIO-INDUSTRY, INC.
Shinshu University NUC
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YAEGAKI BIO-INDUSTRY, INC., Shinshu University NUC, Institute of National Colleges of Technologies Japan filed Critical YAEGAKI BIO-INDUSTRY, INC.
Priority to JP2016036201A priority Critical patent/JP6858330B2/ja
Publication of JP2017150117A publication Critical patent/JP2017150117A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6858330B2 publication Critical patent/JP6858330B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

本発明は、多糖類のナノファイバーを含有する抗ウイルス性素材に関する。
ナノファイバーは、直径が1nm〜1,000nmで、該直径の100倍以上の長さを有する繊維であり、比表面積が大きいことから、高い吸着性および接着性を示し、また、分子吸着性基を付与することにより、分子認識性を持たせることが可能となる。
さらに、光の波長(400nm〜700nm)より小さい繊維径を有する場合、透明性の高い材料を提供することができる。
それゆえ、衣料用材料としては抗菌素材、消臭素材、透湿防水素材等として利用が検討され、環境分野では、汚染水浄化フィルター、空気清浄フィルター、無菌室フィルター等への利用が検討されている。また、微生物固定化担体、酵素類固定化担体等、バイオ分野への応用や、ドラッグデリバリーシステム、生体適合性材料等、医学分野での応用も検討されている。
特に、医学、環境分野では、細菌、ウイルス等の微生物の捕捉、除去、または不活化機能を有する素材、材料等において、ナノファイバーの利用が提案されている。
たとえば、微生物を捕捉、除去するろ過媒体として、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタラート)、ポリ(ブチレンテレフタラート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(ビニルブチレン)からなる群より選択される重合体および共重合体、誘導体化合物またはそれらの混合物を含むナノファイバーが、多孔性支持体上に配置されたレトロウイルス除去のためのろ過媒体(特許文献1)、前記ナノファイバー層を多孔性メンブレン上に備える微生物捕捉用ろ過媒体(特許文献2)が開示されている。
抗菌、抗ウイルス機能の付与された繊維素材としては、無機多孔質物質を含むマイクロファイバー不織布または織布に、ポリアミド、ポリ乳酸等の樹脂により構成されたナノファイバー不織布の積層された抗菌・防塵生地が提案され(特許文献3)、前記生地は、マスクの鼻口を覆う被覆体に用いられている(特許文献4)。
また、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、フィブロイン、キトサン、キチン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン9T、ナイロン610、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ツェイン、コラーゲン、メトキシメチル化ナイロンからなる群より選択される少なくとも一つのナノファイバーの表面に、カテキンポリフェノール等の機能性物質または食品もしくは食品添加物を均一に担持させた機能性素材を含有するマスク(特許文献5)、およびナノ・マイクロ粒子用バインダー(特許文献6)が開示されている。
さらに、無機材料の抗菌性または抗ウイルス性ナノファイバーの応用も提案されており、酸化チタン、三酸化タングステン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素等の半導体材料のナノチューブまたはナノファイバーで被覆された織物用繊維(特許文献7)、銅と銅の酸化物で構成されるナノファイバーからなる抗ウイルス材(特許文献8)が開示されている。
しかし、これまでに報告された上記素材において用いられている多孔性ポリマー系ナノファイバーは、電界紡糸法により製造されており、水以外の溶媒を使用したり、溶解補助物質を用いた場合には、それらが残存し、様々な影響を与える可能性は否定できない。また、抗菌性または抗ウイルス性物質をナノファイバーに担持させた場合には、その担持効率や、担持された物質の脱離等により、所望の抗菌または抗ウイルス効果が発揮されない場合がある。
さらに、上記特許文献のうち、特許文献8にはウイルス不活化効果が具体的に示されているが、マスク等の医療材料や、空気清浄フィルター等として利用するには、繊維に担持させたり、樹脂に練り込む等の処理が必要である。
また、特許文献5、6には、ナノファイバーとし得るベースポリマーとして、生体親和性の高いキチン、キトサンが挙げられてはいるが、特にキチンについては、水および有機溶媒等の各種溶媒には溶解しないため、特許文献5、6に記載された静電紡糸法によってはナノファイバー化することが困難である。
生体親和性の高いキチン、キトサンを抗菌・抗ウイルス性素材に利用した例としては、銀ナノ粒子を担持させたキトサンが、A型インフルエンザに対して抗ウイルス活性を示すことが報告されている(非特許文献1)。また、機械的に解繊処理して得たキチンナノファイバーに銀ナノ粒子を担持させた複合体シートに、抗真菌活性が認められたことが報告されている(非特許文献2)。
しかし、非特許文献1に記載された銀ナノ粒子担持キトサンでは、十分な抗ウイルス活性を得るには、キトサン1mgあたり少なくとも100μgの銀ナノ粒子を担持させる必要があり、生体や環境への影響が懸念される。また、非特許文献2では、ウイルスに対する効果については全く検討されていない。
従って、安全性および生体親和性が高く、医療用材料としてより好適で、ウイルス不活化効果に優れた抗ウイルス性素材が、依然として求められている。
特表2013−541408号公報 特表2014−514958号公報 特開2008−188791号公報 特開2008−188082号公報 国際公開第2012/091087号 特開2014−012907号公報 特表2011−517295号公報 特開2013−212997号公報
Y. Mori et al. ; Nanoscale Research Letters 8 93 (2013) 伊福 伸介;科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)研究成果報告書 課題番号:23750256,ポリマーブラシ型キチンナノファイバーを足場とした金属ナノ粒子の調製,平成25年4月23日現在
そこで、本発明は、安全性および生体親和性が高く、かつウイルス不活化効果に優れた抗ウイルス性素材を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、多糖類のナノファイバーが、それ自体でウイルス不活化効果を有し、抗ウイルス性素材として利用できることを見出した。
さらに、多糖類のナノファイバーは吸着性が高く、抗ウイルス薬や抗ウイルス活性を有する金属を、その表面に容易に担持させることができ、ウイルス不活化効果を増強させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]多糖類のナノファイバーを含有する、抗ウイルス性素材。
[2]多糖類が、β−グルカン、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上である、[1]に記載の抗ウイルス性素材。
[3]β−グルカンがセルロースである、[2]に記載の抗ウイルス性素材。
[4]さらに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上をナノファイバー表面に担持する、[1]〜[3]のいずれかに記載の抗ウイルス性素材。
[5]抗ウイルス薬が抗インフルエンザ薬である、[4]に記載の抗ウイルス性素材。
[6]抗ウイルス性金属が、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、パラジウムナノ粒子および白金ナノ粒子からなる群より選択される1種または2種以上である、[4]に記載の抗ウイルス性素材。
[7]多糖類を溶媒に分散し、ウォータージェットを用いて解繊処理してナノファイバーとする工程を含む、抗ウイルス性素材の製造方法。
[8]多糖類が、β−グルカン、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上である、[7]に記載の製造方法。
[9]β−グルカンがセルロースである、[8]に記載の製造方法。
[10]さらに、多糖類のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を担持させる工程を含む、[7]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を担持させる工程が、少なくとも下記(i)〜(iii)のいずれか一つの工程を含む、[10]に記載の製造方法。
(i)多糖類のナノファイバーの分散液と、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液とを混合する工程、
(ii)多糖類のナノファイバーを、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液に浸漬する工程、
(iii)多糖類のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液を噴霧し、または塗布する工程。
[12]多糖類を溶媒に分散した分散液に、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を添加して溶解または分散する工程、あるいは、多糖類を水に分散した分散液に、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液を添加、混合する工程、ならびに、前記工程で得られた分散液あるいは混合液を、ウォータージェットを用いて解繊処理して、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上が担持された多糖類のナノファイバーを得る工程を含む、抗ウイルス性素材の製造方法。
本発明により、安全性および生体親和性が高く、ウイルス不活化効果に優れる抗ウイルス性素材を提供することができる。
本発明の抗ウイルス性素材は、容易に繊維化でき、他の繊維や不織布と混合しやすいので、衣類をはじめ繊維製品に抗ウイルス性を付与することができる。
また、本発明の抗ウイルス性素材の水分散液を、マスク、予防着、エアコンや空気清浄機のフィルター等に噴霧することにより、それらに簡便に抗ウイルス性を付与することができる。
さらに、本発明の抗ウイルス性素材は、水に分散させると容易に膨潤して増粘し、ゲルを生成することができ、フィルム、シート等に成形することができるので、抗ウイルス性の機能性食品素材および化粧品素材として有用であり、生体親和性にも優れることから再生医療分野においても有用である。
本発明の実施例1、3、5〜7および11〜13の抗ウイルス性素材、ならびに比較例1〜3のフコイダン水溶液のウイルス不活化効果を示す図である。 本発明の実施例2、4、8〜10、および14〜16の抗ウイルス性素材、ならびに比較例1〜3のフコイダン水溶液のウイルス不活化効果を示す図である。
本発明の抗ウイルス性素材は、多糖類のナノファイバーを含有する。
本発明において用い得る多糖類としては、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、プルラン等のα−グルカン;カードラン、カロース、ジゾフィラン、セルロース、ラミナラン、リケナン、レンチナン等のβ−グルカン;イヌリン、レバン、グラミナン等のフルクタン;アガロース、カラギーナン等のガラクタンおよびその誘導体;アラビノキシラン、グルクロノキシラン等のキシランを主鎖とするヘテロ多糖;ガラクトマンナン、グルコマンナン等のマンナンを主鎖とするヘテロ多糖;フコースの多糖であるフコイダン;ペクチン等のポリガラクツロン酸;ポリグルクロン酸;アルギン酸およびその誘導体;キチンおよびその脱アセチル化体であるキトサン;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン等のグリコサミノグリカン;アラビアゴム、カラヤゴム、グアーガム、ジェランガム、タマリンドガム、トラガントガム、ローカストビーンガム等の植物の樹皮や種子に含まれるヘテロ多糖;キサンタンガム等の微生物により産生されるヘテロ多糖等が挙げられる。
本発明においては、上記したような多糖類は、1種を選択し、単独でナノファイバーとして用いてもよく、2種以上を併用し、ハイブリッドタイプのナノファイバーとして用いてもよい。
ナノファイバーとした際の強度、ウイルスに対する親和性および抗ウイルス薬等抗ウイルス性物質の吸着性等を考慮すると、ナノファイバーとするための多糖類としては、グルコースがβ結合したホモ多糖であるβ−グルカン、ならびに、ポリN−アセチルグルコサミンであるキチン、およびその脱アセチル化体であるキトサンが好ましい。
β−グルカンとしては、高等植物の細胞壁の主成分であるセルロース、コンブ等の褐藻類に多く含まれる貯蔵多糖であるラミナラン、地衣類の構造多糖であるリケナン、オオムギ、カラスムギ等イネ科植物の種子に含まれるβ−グルカン、高等植物の篩管や花粉に存在するカロース、酵母細胞壁に存在するβ−グルカン、クレスチン、レンチナン、ジゾフィラン等のキノコ類のβ−グルカン、土壌細菌であるAlcaligenes faecalisの変異株により産生されるカードラン等が挙げられる。
本発明の目的には、セルロース、クレスチン等のβ−1,4−結合からなる主鎖を有するものがより好ましく、セルロースが特に好ましい。
本発明において、多糖類として好ましく用いられるセルロースとしては、木材繊維(パルプ)を原料として得ることもできるが、「KCフロック」シリーズ(日本製紙株式会社製)、「アビセル」シリーズ(旭化成ケミカル株式会社製)等、各社より提供されている市販の粉末セルロース製品を使用することもできる。
また、本発明において、多糖類として好ましく用いられるキチンとしては、カニ、エビ等甲殻類の殻等から得られるα−キチン、およびイカの中骨等から得られるβ−キチンのいずれも用いることができるが、解繊しやすく、より微細なナノファイバーを簡便に得られる点で、β−キチンがより好ましく用いられる。
さらに、キチンとして、精製工程の最後に、酸による脱灰処理を行って精製されたものを用いることが、抗ウイルス性薬、抗ウイルス性金属の担持率が良好であるため、より好ましい。
さらにまた、本発明において、多糖類として好ましく用いられるキトサンは、α−キチンやβ−キチンを、濃アルカリ中で煮沸処理する等により脱アセチル化して得られる。
抗ウイルス性薬、抗ウイルス性金属の担持率の観点からは、精製工程の最後に、酸による脱灰処理を行って精製されたキチンより得られたキトサンがより好ましく、さらに、解繊のしやすさ等の観点からは、精製工程の最後に、酸による脱灰処理を行って精製されたβ−キチンより得られたβ−キトサンが好ましい。
強アルカリとしては、16M〜20M程度の強塩基、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機強塩基の水溶液が好ましく用いられる。
本発明においては、上記した多糖類を、直径が1nm〜1,000nmの繊維に解繊できる限り、ナノファイバーの製造方法は特に限定されないが、特にセルロースやキチンのように、水やメタノール、エタノール等の有機溶媒に溶解しない多糖類の場合、従来より汎用されている電界紡糸法による調製が難しいことから、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー等による解繊処理、ウォータージェット法を用いた解繊処理等の物理的な解繊方法を用いることが好ましく、水に分散し、ウォータージェットを用いて解繊処理することがより好ましい。
ウォータージェットを用いた解繊処理とは、ウォータージェットを用いた超微細化装置を用いて解繊処理を行うことをいう。ウォータージェットとは、高圧水を細いノズルから吐出する技術であり、これを用いた超微細化処理装置では、最高圧392MPa程度の超高圧水を小径ノズルから噴射し、高速水噴流の運動エネルギーを利用して超微細化を行うことができる。ウォータージェットを用いた超微細化装置としては、「スターバースト」(株式会社スギノマシン製)が挙げられる。
多糖類の水分散液を、ウォータージェットを用いた解繊処理を行って得られる多糖類のナノファイバーは、水以外の有機溶媒や、溶解補助剤、膨潤化剤等が残存することがないため、安全性の面で好ましく、医療用材料への応用に特に好適である。
本発明においては、多糖類のナノファイバーは、上記したウォータージェットを用いた解繊処理等により調製して用いてもよいが、市販の製品を利用することもできる。
本発明の抗ウイルス性素材に含有される多糖類のナノファイバーは、多糖類の種類やナノファイバーの調製方法によっても異なるが、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均繊維径が通常3nm〜200nm程度であり、平均繊維長が通常1μm以上である。また、ゲル浸透クロマトグラフィー−高速液体クロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量も多糖類の種類により異なるが、通常10kDa〜2,000kDa程度である。
本発明の抗ウイルス性素材に含有される多糖類のナノファイバーを水に分散すると、それぞれ多糖類の種類や平均繊維径等に応じた粘性を示し、半透明〜透明の分散液が得られる。多糖類のナノファイバーの0.05重量%の水分散液について、600nmの光の透過率は通常40%以上である。
なお、上記多糖類のナノファイバーの水分散液の透過率は、医薬部外品原料規格2006「紫外可視吸光度測定法」に準拠して、分光光度計を用い、10mm石英セルにて対照としてイオン交換水を用いて測定される。
本発明の一実施態様において、透明で高粘度の水分散液を得るには、イカの中骨等のβ−キチン含有材料を出発原料とし、少なくとも、(a)アルカリにより脱タンパク処理する工程、および(b)酸により脱灰処理する工程を行って精製する工程、(c)(b)の工程による処理物を乾燥する工程、ならびに(d)(c)の工程による乾燥物を乾式粉砕する工程を含み、さらに(a)、(b)、(c)、(d)の順序で処理を行って製造されるβ−キチン粉末を用いて調製されたβ−キチンナノファイバーが好ましい。
β−キチン含有材料として用いられるイカの中骨としては、特に限定されないが、スルメイカ(Todarodes pacificus)、アカイカ(Ommastrephes bartramii (Lesueur))、ヤリイカ(Loligo (Heterololigo) bleekeri)、ジンドウイカ(Loliolus (Nipponololigo) japonica Hoyle)、アメリカオオアカイカ(Dosidicus gigas)、ケンサキイカ(Loligo (Photololigo) edulis Hoyle)、コウイカ(Sepia (Platysepia) esculenta Hoyle)、アオリイカ(Sepioteuthis lessoniana)、シリヤケイカ(Sepiella japonica Sasaki)、ヒメコウイカ(Sepia (Doratosepion) kobiensis Hoyle)、ソデイカ(Thysanoteuthis rhombus)等から採取されたものが、これらを加工する際に大量に廃棄されるため、入手しやすく好ましい。
なお、廃棄されたイカの中骨は加工場で冷蔵もしくは冷凍した状態のものが好ましいが、場合によっては天日や熱風により乾燥させたものでもかまわない。
上記β−キチン含有材料の精製工程のうち、(a)アルカリにより脱タンパク処理する工程は、通常の方法に従って行うことができる。アルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が好ましく用いられ、水酸化ナトリウムの水溶液がより好ましく用いられる。アルカリの水溶液は、通常0.01M〜4.0M、好ましくは0.1M〜3.0M、より好ましくは0.5M〜2.0M程度の濃度で、β−キチン含有材料1kg(湿重量)に対し、1L〜20L、好ましくは5L〜20L程度用いる。
脱タンパク処理は、たとえば、β−キチン含有材料をアルカリ水溶液に浸漬し、通常は約50℃以上、好ましくは約80℃以上、より好ましくは92℃〜93℃(緩やかに沸騰した状態)で行う。β−キチン含有材料を浸漬したアルカリ水溶液は、撹拌を行ってもよい。アルカリによる脱タンパク処理は、通常は1時間〜24時間、好ましくは2時間〜6時間行う。
上記β−キチン含有材料の精製工程のうち、(b)酸により脱灰処理する工程は、通常の方法に従って行うことができる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、ギ酸、ピログルタミン酸、グリコール酸、クエン酸等の有機酸を用いることができ、無機酸を用いることが好ましく、塩酸を用いることがより好ましい。塩酸等の酸の水溶液は、通常0.01M〜6M、より好ましくは0.01M〜3M、さらに好ましくは0.05M〜1.5M、より一層好ましくは0.1M〜1M程度の濃度で、β−キチン含有材料1kg(湿重量)に対し、1L〜20L、好ましくは5L〜20L程度用いる。
脱灰処理は、たとえば、β−キチン含有材料を塩酸等の水溶液に浸漬し、通常は約10℃〜約50℃、好ましくは約10℃〜約30℃、より好ましくは約10℃〜約20℃で行う。β−キチン含有材料を浸漬した塩酸等の水溶液は、撹拌を行ってもよいが、そのまま静置することが好ましい。酸による脱灰処理は、通常は1時間〜48時間、好ましくは1時間〜36時間、より好ましくは3時間〜25時間、さらに一層好ましくは5時間〜24時間行う。
酸による脱灰処理を、3M〜6M程度の高濃度の強酸、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸等の無機強酸を用いて、3時間〜48時間程度行うことにより、ゲル浸透クロマトグラフィー−高速液体クロマトグラフィー法により測定される平均分子量が、700kDa以下程度のβ−キチンナノファイバーの製造に適するβ−キチン粉末が得られる。かかる高濃度の強酸による処理は、0.1M〜1M程度の酸による脱灰処理を行った後に行うことがより好ましい。
β−キチン含有材料の精製工程に続く(c)(b)の工程による処理物を乾燥する工程は、天日乾燥、風乾、温熱乾燥、真空乾燥等により行うことができるが、温熱乾燥機等を用いて、40℃〜100℃で1時間〜48時間行うことが好ましく、50℃〜70℃で3時間〜24時間行うことがより好ましい。
次いで、(d)(c)の工程による乾燥物を乾式粉砕する工程は、一般的な乾式粉砕機、たとえばカッターミル粉砕機(株式会社奈良機械製作所製、増幸産業株式会社製、IKA社製等)、ハンマーミル粉砕機(株式会社奈良機械製作所製、株式会社パウレック製、株式会社ダルトン製等)、転動ボールミル粉砕機(ヤマト科学株式会社製、ホソカワミクロン株式会社製等)、乾式気流粉砕機(「サイクロンミル」、日鉄住金ファインテック株式会社製等)、対向気流乾式粉砕機(「ドライバースト」、株式会社スギノマシン製等)等により行うことができるが、ハンマーミル粉砕機または転動ボールミル粉砕機により行うことが、微細な粒子が得られるため、好ましい。乾式粉砕処理は、使用する粉砕機の種類等にもよるが、通常室温で0.5時間〜24時間程度行う。
上記β−キチン粉末の上記製造方法には、(a)、(b)、(c)、(d)の順序で各工程が含まれる限り、各工程の前後に他の工程が含まれていてもよい。
たとえば、(c)の工程の前に行われるβ−キチン含有材料を精製する工程において、最後に(b)の酸により脱灰処理する工程が行われる限り、(a)のアルカリにより脱タンパク処理する工程および(b)の酸により脱灰処理する工程は、それぞれ2回以上行ってもよい。(c)の工程の前に酸により脱灰処理を行うことにより、得られるβ−キチンが物性的にもろくなり、後の粉砕加工が容易となる。なお、β−キチンの精製度および製造効率を考慮すると、β−キチン含有材料を精製する工程において、(a)の工程および(b)の工程を1回ずつ行う、または、(a)の工程を2回続けて行い、次いで(b)の工程を行う、あるいは、(b)の工程の後に(a)の工程を2回続けて行い、次いで(b)の工程を行って精製することが好ましい。
上記β−キチン粉末の製造方法に含まれ得る他の工程としては、洗浄工程、脱色工程等が挙げられる。
洗浄工程は、上記(a)および(b)の工程間、ならびに(b)の工程の後に行うことが好ましく、水を用いて行うことが好ましい。特に、(a)の工程の後に(b)の工程を行う前、または(b)の工程の後に(a)の工程を行う前、および(b)の工程を行った後に(c)の工程を行う前には、複数回、たとえば2回〜5回程度繰り返して行うことが好ましい。
水による洗浄は、水道水を用いて行ってもよく、蒸留水、脱イオン水等の精製水を用いて行ってもよい。また、β−キチン含有原料1kg(湿重量)あたり、1回につき、5L〜20L程度の水で洗浄することが好ましい。
脱色工程は、たとえば、上記(b)の工程の後洗浄し、(c)の工程の前に加えることができる。脱色はいずれの方法で行ってもよく、たとえば、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、還元系漂白剤等の漂白剤を用いて行うことができる。
β−キチン含有材料を出発原料として、上記製造方法により得られるβ−キチン粉末は、N−アセチル化度がほぼ0.9であって、脱アセチル化はほとんど認められず、ローリー法により定量される残存タンパク質量が1重量%以下、乾式灰化法により定量される残存灰分量が1重量%以下である。
次いで、精製されたβ−キチン粉末は、水に均一になるように混合攪拌して分散し、「スターバースト」(株式会社スギノマシン製)等のウォータージェットを用いた超微細化装置にて、高圧ポンプを介して200MPa以上の高圧に加圧し、440m/sec〜700m/secの高速で前記β−キチン粉末の分散液を衝突させることにより、解繊処理される。
上記解繊処理は、解繊処理に供する水分散液中のβ−キチン粉末添加量、すなわちβ−キチン粉末の仕込み量を0.5重量%〜10重量%とし、1回あたり、通常室温にて、1分〜4時間程度行い、好ましくは2回〜20回繰り返して行う。
なお、得られるβ−キチンナノファイバー分散液の透明性の観点からは、上記の解繊処理は5回〜20回繰り返して行うことがより好ましく、10回程度繰り返して行うことがさらに好ましい。
上記製造方法により調製されたβ−キチンナノファイバーは、キチンミクロフィブリル単位にまで微細かつ均一に解繊され、透過型電子顕微鏡観察により測定される平均繊維径は3nm〜20nmであり、1μm以上の平均繊維長を有する。
また、ゲル浸透クロマトグラフィー−高速液体クロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量は、10kDa〜1,400kDaである。
上記製造方法により調製されたβ−キチンナノファイバーは、微細かつ均一に解繊されていることから、水に対する分散性が良好で、水に分散させると容易に膨潤して増粘し、透明性の高いゲルを生成することができ、0.05重量%の水分散液における600nmの光の透過率は70%以上であり、0.69重量%〜0.84重量%の水分散液について、25℃における粘度は、400mPa・s〜35,000mPa・sである。
なお、上記β−キチンナノファイバー分散液の透過率は、上記した医薬部外品原料規格2006「紫外可視吸光度測定法」に準拠した分光光度計法により測定される値である。また、上記β−キチンナノファイバー分散液の粘度は、医薬部外品原料規格2006「粘度測定法 第2法 回転粘度計法」により、B型回転粘度計を用いて25℃で測定される値である。
上記したセルロースナノファイバー、キチンナノファイバーおよびキトサンナノファイバー等の多糖類のナノファイバーは、良好なウイルス不活化効果を有し、抗ウイルス性素材として有用である。
また、上記した多糖類のナノファイバーは、抗ウイルス薬や、抗ウイルス性金属の吸着性に優れ、これらを担持させることによって、抗ウイルス性を一層向上させることができる。
なお、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属の担持効率の観点からは、アミノ基に由来する正電荷を有するキチンナノファイバーおよびキトサンナノファイバーが特に好ましい。
本発明において、多糖類のナノファイバーに担持させ得る抗ウイルス薬としては、抗ウイルス活性を有し、多糖類のナノファイバーに吸着等により担持させ得る限り特に限定されないが、たとえば、アシクロビル、塩酸バラシクロビル、ビダラビン等の抗ヘルペスウイルス薬;ガンシクロビル、バルガンシクロビル塩酸塩、ホスカルネットナトリウム水和物等の抗サイトメガロウイルス薬;リン酸オセルタミビル、ザナミビル水和物等の抗インフルエンザウイルス薬;パリビズマブ等の抗RS(respiratory syncytial)ウイルス薬;ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、ラミブシン、サニルブシン、硫酸アバカビル、フマル酸テノホビルジソプロキシル等の抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)薬(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬);ネビラピン、エファビレンツ、メシル酸デラビルジン等の抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)薬(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬);硫酸インジナビルエタノール付加物、サキナビル、メシル酸サキナビル、リトナビル、ロピナビル、メシル酸ネルフィナビル、アンプレナビル、硫酸アタザナビル等の抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)薬(HIVプロテアーゼ阻害薬)等が挙げられる。
また、本発明においては、上記した抗ウイルス薬として、ウイルス不活化効果を有する物質または材料、あるいはウイルスに対する抵抗性を向上させ得る物質または材料を用いることができる。
かかる物質または材料としては、コンブ、ワカメ、モズク等の褐藻類の粘質物に含まれる硫酸化多糖であり、インフルエンザウイルスに対する阻害活性が報告されているフコイダン、鉄結合性糖タンパク質であり、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)等に対する阻害効果が報告されているラクトフェリン、インターフェロン誘起作用や網内系賦活作用による抗ウイルス作用が報告されているグリチルリチン、免疫系調節機能を有するサイトカインの1種であり、ウイルス増殖阻止作用を有するインターフェロン、ウイルス等に対する免疫反応の主要タンパク質である免疫グロブリン等が挙げられる。
本発明においては、抗ウイルス薬を多糖類のナノファイバー表面に担持させて、ウイルスと接触させることができるため、アシクロビル、ビダラビン、ガンシクロビル、ザナビル水和物等の水に難溶性または水に溶けにくい抗ウイルス薬であっても、好適に担持させることができる。
また、インフルエンザ等、特に飛沫感染により感染するウイルス性疾患の予防に好適に用いることができることから、多糖類のナノファイバーに担持させる抗ウイルス薬としては、抗インフルエンザ薬が好ましい。なお、ここで「抗インフルエンザ薬」は、インフルエンザウイルスに対する阻害作用または抵抗性向上作用を有する物質または材料を含む概念である。
本発明の抗ウイルス性素材においては、多糖類のナノファイバー自身がウイルス不活化効果を有するため、抗ウイルス薬が、ウイルスに対して不活化効果または抵抗性向上効果等を奏し得る通常の濃度に比べて、はるかに低濃度を担持させることにより、良好なウイルス不活化効果を発揮させることができる。
従って、本発明の抗ウイルス性素材における抗ウイルス薬の担持量は、担持させる抗ウイルス薬の種類にもよるが、通常ナノファイバー1mg(乾燥重量)あたり0.001μg〜1,000μg程度、好ましくはナノファイバー1mg(乾燥重量)あたり0.01μg〜100μg程度である。
本発明において、多糖類のナノファイバーに担持させ得る抗菌性金属としては、金、銀、パラジウム、白金等が挙げられ、透過型電子顕微鏡観察下に測定される平均粒子径が1nm〜100nm程度の金属粒子を用いることができ、好ましくは前記平均粒子径が5nm〜20nm程度の前記金属のナノ粒子を用いることができる。
本発明においては、シグマ−アルドリッチ社等より提供されている市販の製品を使用することができる。
本発明においては、多糖類のナノファイバーに対する抗菌性金属の担持率は、ナノファイバーに対する添加量の50%〜90%と良好である。また、多糖類のナノファイバー自体が有するウイルス不活化効果との相乗効果が期待されることから、抗菌性金属の担持量は、ナノファイバー1mg(乾燥重量)あたり0.01μg〜20μg程度、好ましくはナノファイバー1mg(乾燥重量)あたり0.1μg〜2μg程度でよく、非特許文献1において、抗ウイルス活性を奏するために必要であると報告された量(キトサン1mgに対し少なくとも100μg)に比べて、はるかに少量でよい。
従って、本発明の抗ウイルス性素材においては、抗菌性金属のナノファイバーからの離脱が低減され、ヒトおよび動物の健康や、環境に対する影響を低減させることができる。
本発明においては、上記した抗ウイルス薬および抗菌性金属は、1種を選択して多糖類のナノファイバーに担持させてもよく、2種以上を組み合わせて担持させてもよい。
本発明において、多糖類のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を担持させる方法としては、多糖類のナノファイバー上に抗ウイルス薬等を吸着させ得る限り、特に限定されないが、たとえば、多糖類のナノファイバーの分散液と、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液とを、超音波ホモジナイザー等により混合する方法、シート状、フィルム状、繊維状等の状態に成形した多糖類のナノファイバーを、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液に浸漬する方法、シート状、フィルム状、繊維状等の状態に成形した多糖類のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液を噴霧もしくは塗布等の手段により、付着させる方法等が挙げられる。また、多糖類の分散液に、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を添加して溶解または分散し、あるいは、多糖類の分散液と、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液とを混合し、該分散液あるいは混合液を、ウォータージェットを用いた解繊処理に付して、多糖類のナノファイバーとしてもよい。
多糖類のナノファイバーを分散させる溶媒としては、水が好ましく用いられる。また、抗ウイルス薬や抗ウイルス性金属を溶解または分散させる溶媒としては、水やエタノール、プロパノール等の有機溶媒が挙げられるが、医療用材料等への応用のしやすさ等の観点から、水を用いることが好ましい。
多糖類のナノファイバーの分散液と、抗ウイルス性薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液との混合、あるいは、シート状、フィルム状、繊維状等の状態とした多糖類のナノファイバーへの抗ウイルス性薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液の付着等は、抗ウイルス性薬や抗ウイルス性金属の担持量が上記した範囲内となるように行われる。
たとえば、多糖類のナノファイバーに対する抗ウイルス薬や抗ウイルス性金属の吸着率をあらかじめ評価した後、多糖類のナノファイバーに対する抗ウイルス薬や抗菌性金属の添加量を調整する等である。
また、多糖類の解繊処理の際に、抗ウイルス性薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を加えて担持させる場合においても、最終的に得られる多糖類のナノファイバーに対する抗ウイルス性薬等の吸着率等を評価し、多糖類に対する抗ウイルス性薬等の添加量を調整する。
本発明の抗ウイルス性素材は、水等の溶媒に分散した状態で保存することもでき、また、凍結乾燥等により乾燥して、粉末の状態で保存することもできる。
本発明の抗ウイルス性素材は、他の繊維や不織布等と容易に混合することができ、それにより、抗ウイルス性繊維を提供することができる。
また、本発明の抗ウイルス性素材は、水に良好に分散して容易に膨潤して増粘し、ゲルを生成することができるため、該ゲルを成形して乾燥することにより、抗ウイルス性のシートまたはフィルムを提供することができる。
さらに、本発明の抗ウイルス性素材を水に分散し、エアーコンディショナーや空気清浄機のフィルターに噴霧して付着させたり、マスク、予防着等に噴霧して付着させることにより、抗ウイルス性を付与することができる。
さらにまた、本発明の抗ウイルス性素材は、ウイルス性疾患に対する医薬品、抗ウイルス効果、ウイルス感染予防効果等の期待される医薬部外品、化粧品、食品等として、あるいは、抗ウイルス効果、ウイルス感染予防効果等の付加された医療用材料としても利用され得る。
本発明はまた、多糖類を水に分散し、ウォータージェットを用いて解繊処理してナノファイバーとする工程を含む、抗ウイルス性素材の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ということもある)を提供する。
本発明の製造方法における「多糖類」および「ウォータージェットを用いた解繊処理」については、上記した通りである。
さらに、本発明の製造方法は、多糖類のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を担持させる工程を含む。
本発明の製造方法における「抗ウイルス薬」、「抗ウイルス性金属」およびこれらの担持量等については、上記した通りである。
本発明の製造方法における「多糖類のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を担持させる工程」には、少なくとも次のいずれか一つの工程が含まれ得る。すなわち、
(i)多糖類のナノファイバーの分散液と、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液とを混合する工程、
(ii)多糖類のナノファイバーを、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液に浸漬する工程、
(iii)多糖類のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液を噴霧し、または塗布する工程。
多糖類のナノファイバーを分散させる溶媒、抗ウイルス薬、抗ウイルス性金属を溶解または分散させる溶媒等については、上記した通りである。
また、本発明は、多糖類の分散液に、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を添加して溶解または分散する工程、あるいは、多糖類の分散液に、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液を添加して混合する工程、ならびに、前記工程で得られた分散液あるいは混合液を、ウォータージェットを用いて解繊処理し、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上が担持された多糖類のナノファイバーを得る工程を含む、抗ウイルス性素材の製造方法を提供する。
さらに本発明について、実施例により詳細に説明する。
[実施例1]抗ウイルス性素材(β−キチンナノファイバー)
三陸産スルメイカ(Todarodes pacificus)から分別した中骨を軽く水切りし(湿重量=2.0kg)、そのまま下記(a)の工程に供し、蒸留水20Lで1回洗浄した後、再度(a)の工程を行って処理した。次いで蒸留水20Lで4回洗浄し、下記(b)の工程を行って処理し、精製した。次いで、蒸留水20Lで4回洗浄後、下記(c)および(d)の工程を行って処理し、β−キチン粉末を得た。
(a)アルカリにより脱タンパク処理する工程:1M水酸化ナトリウム水溶液10Lを加え、92℃〜93℃(緩やかな沸騰状態)で、ときどき撹拌しながら2時間加熱した。
(b)酸により脱灰処理する工程:0.1M塩酸水溶液10Lを加え、15℃で16時間静置した。
(c)乾燥工程:温熱乾燥機にて、65℃で16時間乾燥した。
(d)乾式粉砕工程:乾式気流粉砕機(「サイクロンミル」、日鉄住金ファインテック株式会社製)にて室温で1〜2時間乾式粉砕し、次いで、ハンマーミル(「微粉砕機サンプルミル TASM−1」東京アトマイザー製造株式会社製)による乾式粉砕処理を室温で数分間行った。
次いで、得られたβ−キチンを1重量%となるように水に分散し、「スターバースト」(株式会社スギノマシン製)にて、室温で10回湿式解繊処理し、β−キチンナノファイバーの水分散液を得、実施例1の抗ウイルス性素材とした。
[実施例2]抗ウイルス性素材(β−キチンナノファイバー)
上記(b)の工程を行って洗浄した後に、(a)の工程を2回行った他は、実施例1と同様に処理してβ−キチンナノファイバーの水分散液を得、実施例2の抗ウイルス性素材とした。
[実施例3]抗ウイルス性素材(β−キトサンナノファイバー)
実施例1の抗ウイルス性素材の製造工程において、β−キチンを精製し、洗浄した後、濃アルカリ(18M水酸化ナトリウム水溶液)で処理して脱アセチル化した後、同様に乾燥し、乾式気流粉砕機(「サイクロンミル」、日鉄住金ファインテック株式会社製)にて室温で1〜2時間、次いで、ハンマーミル(「微粉砕機サンプルミル TASM−1」東京アトマイザー製造株式会社製)にて室温で数分間、さらに小型製粉機(「ミクロ・パウダーMPW−G008」、有限会社ウェスト製)にて室温で数分間乾式粉砕処理してβ−キトサン粉末を得た。前記β−キトサン粉末を1重量%となるように水に分散し、同様に解繊処理してβ−キトサンナノファイバーの水分散液を得、実施例3の抗ウイルス性素材とした。
[実施例4]抗ウイルス性素材(セルロースナノファイバー)
セルロース微粉末(「KCフロックW−300G」、日本製紙株式会社製)を1重量%となるように水に分散し、実施例1の場合と同様に解繊処理してセルロースナノファイバーの水分散液を得、実施例4の抗ウイルス性素材とした。
[実施例5〜7]抗ウイルス性素材(フコイダンを担持したβ−キチンナノファイバー)
実施例1の抗ウイルス性素材の製造過程で得られるβ−キチン粉末の1重量%、0.9重量%および0.5重量%の各濃度の水分散液を調製し、前記水分散液のそれぞれに対して、フコイダンの0.01重量%、0.1重量%および0.5重量%の各濃度の水溶液をそれぞれ添加して混合し、実施例1の場合と同様に解繊処理して、フコイダンが担持されたβ−キチンナノファイバー(β−キチン:フコイダン=1:0.01、1:0.1および1:1(重量比))を得、それぞれ実施例5〜7の抗ウイルス性素材とした。
[実施例8〜10]抗ウイルス性素材(銀ナノ粒子を担持したβ−キチンナノファイバー)
実施例2のβ−キチンナノファイバーに、銀ナノ粒子(「イオンフレア」八千代工業株式会社製、平均粒子径=5nm)を、体積比が1:0.01、1:0.1、1:1となるように加え(β−キチンナノファイバー1mg(乾燥重量)に対し、0.18μg、1.8μg、18μgに相当)、それぞれ超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、UH−150、OUTPUT2、10分)で分散させた後、一日冷蔵下にて放置した。その後8,000rpm、10分間遠心分離し、5mLの蒸留水で4回洗浄(ボルテックス)を行った。その後反応前のナノファイバーの質量からナノファイバー濃度を1重量%に復元し、超音波ホモジナイザーで分散させて、実施例8〜10の抗ウイルス性素材とした。
なお、銀ナノ粒子を担持したβ−キチンナノファイバーの回収時および洗浄時における各上清の395nmにおける吸光度を測定し、上清中に回収される銀ナノ粒子の濃度を求めて、β−キチンナノファイバーに対する銀ナノ粒子の吸着率を算出したところ、80%であった。
従って、実施例8〜10の各抗ウイルス性素材における銀ナノ粒子の担持量は、β−キチンナノファイバー1mg(乾燥重量)あたり、それぞれ0.144μg、1.44μg、および14.4μgである。
[実施例11〜13]抗ウイルス性素材(銀ナノ粒子を担持したβ−キトサンナノファイバー)
実施例3のβ−キトサンナノファイバーに、銀ナノ粒子(「イオンフレア」八千代工業株式会社製、平均粒子径=5nm)を、体積比が1:0.01、1:0.1、1:1となるように加え(β−キトサンナノファイバー1mg(乾燥重量)に対し、0.18μg、1.8μg、18μgに相当)、それぞれ超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、UH−150、OUTPUT2、10分)で分散させた後、一日冷蔵下にて放置した。その後8,000rpm、10分遠心分離し、5mLの蒸留水で4回洗浄(ボルテックス)を行った。その後反応前のナノファイバーの質量からナノファイバー濃度を1重量%に復元し、超音波ホモジナイザーで分散させて、実施例11〜13の抗ウイルス性素材とした。
なお、銀ナノ粒子を担持したβ−キトサンナノファイバーの回収時および洗浄時における各上清の395nmにおける吸光度を測定し、上清中に回収される銀ナノ粒子の濃度を求めて、β−キトサンナノファイバーに対する銀ナノ粒子の吸着率を算出したところ、90%であった。
従って、実施例11〜13の各抗ウイルス性素材における銀ナノ粒子の担持量は、β−キトサンナノファイバー1mg(乾燥重量)あたり、それぞれ0.162μg、1.62μg、および16.5μgである。
[実施例14〜16]抗ウイルス性素材(銀ナノ粒子を担持したセルロースナノファイバー)
実施例4のセルロースナノファイバーに、銀ナノ粒子(「イオンフレア」八千代工業株式会社製、平均粒子径=5nm)を、体積比が1:0.01、1:0.1、1:1となるように加え(セルロースナノファイバー1mg(乾燥重量)に対し、0.18μg、1.8μg、18μgに相当)、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、UH−150、OUTPUT2、10分)で分散させた後、一日冷蔵下にて放置した。その後8,000rpm、10分遠心分離し、5mLの蒸留水で4回洗浄(ボルテックス)を行った。その後反応前のナノファイバーの質量からナノファイバー濃度を1重量%に復元し、超音波ホモジナイザーで分散させて、実施例14〜16の抗ウイルス性素材とした。
なお、銀ナノ粒子を担持したセルロースナノファイバーの回収時および洗浄時における各上清の395nmにおける吸光度を測定し、上清中に回収される銀ナノ粒子の濃度を求めて、セルロースナノファイバーに対する銀ナノ粒子の吸着率を算出したところ、50%であった。
従って、実施例14〜16の各抗ウイルス性素材における銀ナノ粒子の担持量は、セルロースナノファイバー1mg(乾燥重量)あたり、それぞれ0.09μg、0.9μg、および9μgである。
実施例1〜7の抗ウイルス性素材について、以下の通り、平均繊維径、水分散液の粘度、および水分散液の光の透過率を測定し、測定結果を表1に示した。
<平均繊維径の測定>
透過型電子顕微鏡(「JEM−2100」、日本電子株式会社製)にて、倍率=10,000倍で観察し、観察画像より平均繊維径を測定した。
観察用試料は、実施例1〜7の各抗ウイルス性素材を、水で0.1重量%に希釈懸濁後、適量をカーボン蒸着マイクログリッド上に点着し、1分後に余分な懸濁液を除去して調製した。
<水分散液の25℃における粘度>
実施例1〜7の抗ウイルス性素材(水分散液)について、医薬部外品原料規格2006の「粘度測定法 第2法 回転粘度計法」に準拠し、B型回転粘度計「BROOKFIELD DIGITAL VISCOMETER MODEL DV−II」(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃、1,000mPa・s以下ではs62番スピンドル、1,000mPa・s以上ではs64番スピンドル、回転数=50rpmの条件で測定し、測定開始直後から観察される粘度低下がある程度落ち着く、測定開始から500秒後を基準として、水分散液の粘度を決定した。
<水分散液の600nmの光の透過率>
実施例1〜7の各抗ウイルス性素材を水で0.05重量%となるように希釈、懸濁化し、医薬部外品原料規格2006「紫外可視吸光度測定法」に準拠し、分光光度計(「紫外可視分光光度計V−630 BIO型」、日本分光株式会社製)にて、10mm石英セルを用いてイオン交換水を対照として測定した。
Figure 0006858330
[比較例1〜3]
0.01重量%、0.1重量%および1重量%の各濃度のフコイダン水溶液を調製し、比較例1〜3とした。
[試験例1]インフルエンザウイルスに対する不活化試験
実施例1〜16の抗ウイルス性素材および比較例1〜3のフコイダン水溶液について、インフルエンザイウイルスに対する不活化効果を下記の方法で評価した。
(1)A型インフルエンザウイルス(A/WSN/33(H1N1)、TCID50/mL=10,000)液250μLを、実施例1〜16の抗ウイルス性素材の各0.8重量%水分散液250μL、および比較例1〜3の各水溶液250μLとそれぞれ混合し、ボルテックスミキサーにて5秒間撹拌して、25℃で1時間インキュベーションした。次いで孔径0.2μmのろ過滅菌フィルター(「ステラディスク 25」(製品番号:S−2502)、倉敷紡績株式会社製)でろ過し、感染維持培地(ビタミン含有無血清イーグル最小必須培地(E−MEM))で3倍希釈し、次いで2倍ずつ段階的に希釈したウイルス液を調製した。
(2)Madin-Darby canine kidney cell(MDCK細胞)を10(w/v)%の血清含有E−MEM(和光純薬工業株式会社製)で3.0×10cells/mLに調製し、96ウェルプレートに100μL/ウェル播種し、37℃、5%二酸化炭素存在下にて24時間培養した。次いで無血清E−MEMで1回洗浄し、前記ウイルス液を、50μL/ウェル添加し、37℃、5%二酸化炭素存在下にて24時間培養した後、感染維持培地を50μL/ウェル添加した。プレートシェーカーにて室温で30秒間撹拌後、37℃、5%二酸化炭素存在下にて72時間培養した。
(3)培養後、各ウェルより培養液を除去し、70容量%エタノール水溶液を200μL/ウェル添加し、室温下で5分間静置した。クリスタルバイオレット溶液を200μL/ウェル添加し、室温下で5分間静置した。クリスタルバイオレット溶液を除去後、水道水で軽く洗浄し、マイクロプレートリーダーにて560nmにおける吸光度を測定した。
(4)測定値をもとに、各ウェルについてMDCK細胞の変性を観察して、Reed & Munch法に従ってウイルスの感染力価を算出した。
(5)対照として、実施例および比較例の各試料の代わりに滅菌水を用いて同様に操作し、算出された感染力価から、対照におけるウイルス感染力価を100とした力価相対値を求め、表2、3および図1、2に示した。
Figure 0006858330
Figure 0006858330
表2、3および図1、2より、β−キチンナノファイバー(実施例1、2)、β−キトサンナノファイバー(実施例3)およびセルロースナノファイバー(実施例4)は、いずれもフコイダンや銀ナノ粒子を担持しない場合であっても、ウイルス感染力価を対照の10%以下にまで低減させ、優れたウイルス不活化効果を示すことが認められた。
また、銀ナノ粒子を担持したβ−キチンナノファイバー(実施例8〜10)、銀ナノ粒子を担持したβ−キトサンナノファイバー(実施例11〜13)、および銀ナノ粒子を担持したセルロースナノファイバー(実施例14〜16)も、優れたウイルス不活化効果を示し、乾燥重量にして1mgのナノファイバーに対し、0.09μg〜1.6μg程度の少量の銀ナノ粒子の担持により、十分なウイルス不活化効果を奏することが認められた。
一方、0.01重量%および0.1重量%のフコイダン水溶液(比較例1、2)については、ウイルス感染力価の低減は見られず、0.5重量%フコイダン水溶液(比較例3)について、力価相対値の平均値は対照の50%弱であった。これに対し、フコイダンを担持したβ−キチンナノファイバー(β−キチンナノファイバーに対するフコイダンの乾燥重量比を0.01または0.1として調製した抗ウイルス性素材)(実施例5、6)は、優れたウイルス不活化効果を示したが、β−キチンナノファイバーに対するフコイダンの乾燥重量比を1として調製した抗ウイルス性素材(実施例7)では、ウイルス感染力価は対照の30%程度まで低減するにとどまり、β−キチンナノファイバーのウイルス不活化効果が阻害される傾向が見られた。
以上詳述したように、本発明により、ウイルス不活化効果に優れる抗ウイルス性素材を提供することができる。
本発明の抗ウイルス性素材は、容易に繊維化でき、他の繊維や不織布と混合しやすいので、衣類をはじめ繊維製品に抗ウイルス性を付与することができる。
また、本発明の抗ウイルス性素材の水分散液は、マスク、予防着、エアコンや空気清浄機のフィルター等に噴霧することにより、それらに簡便に抗ウイルス性を付与することができる。
さらに、本発明の抗ウイルス性素材は、水に分散させると容易に膨潤して透明性の高いゲルを生成することができ、フィルム、シート等に成形することができるため、抗ウイルス性の機能性食品素材および化粧品素材として有用であり、生体親和性にも優れることから再生医療分野において有用である。

Claims (8)

  1. セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上のナノファイバーを含有する、抗ウイルス性素材であって、Madin-Darby canine kidney cell(MDCK細胞)を用いてReed & Munch法に従ってウイルスの感染力価(TCID50/mL)を算出したとき、下記式により算出される力価相対値が10%以下である、抗ウイルス性素材。
    Figure 0006858330
  2. さらに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上ナノファイバー表面に吸着または付着された、請求項1に記載の抗ウイルス性素材。
  3. 抗ウイルス薬が抗インフルエンザ薬である、請求項2に記載の抗ウイルス性素材。
  4. 抗ウイルス性金属が、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、パラジウムナノ粒子および白金ナノ粒子からなる群より選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗ウイルス性素材。
  5. Madin-Darby canine kidney cell(MDCK細胞)を用いてReed & Munch法に従ってウイルスの感染力価(TCID50/mL)を算出したとき、下記式により算出される力価相対値が10%以下である、抗ウイルス性素材の製造方法であって、セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上を溶媒に分散し、ウォータージェットを用いて解繊処理してナノファイバーとする工程を含む、抗ウイルス性素材の製造方法。
    Figure 0006858330
  6. さらに、セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を吸着させまたは付着させる工程を含む、請求項5に記載の製造方法。
  7. 抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を吸着させまたは付着させる工程が、少なくとも下記(i)〜(iii)のいずれか一つの工程を含む、請求項6に記載の製造方法。
    (i)セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上のナノファイバーの分散液と、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液とを混合する工程、
    (ii)セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上のナノファイバーを、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液に浸漬する工程、
    (iii)セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上のナノファイバーに、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液を噴霧し、または塗布する工程。
  8. 抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上が吸着または付着され、Madin-Darby canine kidney cell(MDCK細胞)を用いてReed & Munch法に従ってウイルスの感染力価(TCID50/mL)を算出したとき、下記式により算出される力価相対値が10%以下である、抗ウイルス性素材の製造方法であって、セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上を溶媒に分散した分散液に、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上を添加して溶解または分散する工程、あるいは、セルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上を水に分散した分散液に、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上の溶液または分散液を添加、混合する工程、ならびに、前記工程で得られた分散液あるいは混合液を、ウォータージェットを用いて解繊処理して、抗ウイルス薬および抗ウイルス性金属からなる群より選択される1種または2種以上が吸着または付着されたセルロース、キチンおよびキトサンからなる群より選択される1種または2種以上のナノファイバーを得る工程を含む、抗ウイルス性素材の製造方法。
    Figure 0006858330
JP2016036201A 2016-02-26 2016-02-26 抗ウイルス性素材 Active JP6858330B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036201A JP6858330B2 (ja) 2016-02-26 2016-02-26 抗ウイルス性素材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036201A JP6858330B2 (ja) 2016-02-26 2016-02-26 抗ウイルス性素材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017150117A JP2017150117A (ja) 2017-08-31
JP6858330B2 true JP6858330B2 (ja) 2021-04-14

Family

ID=59740537

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016036201A Active JP6858330B2 (ja) 2016-02-26 2016-02-26 抗ウイルス性素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6858330B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7032905B2 (ja) * 2017-10-18 2022-03-09 スターライト工業株式会社 積層体およびそれを用いたフィルター濾材
CN111566130B (zh) 2018-01-05 2023-01-24 凸版印刷株式会社 复合颗粒、复合颗粒的制造方法、干燥粉体以及成型用树脂组合物
JP7085860B2 (ja) * 2018-03-05 2022-06-17 株式会社ファンケル 抗ウイルス剤
JP7240663B2 (ja) * 2018-09-06 2023-03-16 国立大学法人東京工業大学 防水フィルム、使い捨ておむつ用バックシート、汚物処理袋、及び防水フィルムの製造方法
CN109984950A (zh) * 2018-12-06 2019-07-09 上海益好纳米科技有限公司 一系列免洗全吸收型纳米纤维功能面膜及其制备方法
JP2020152755A (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 大王製紙株式会社 スプレー用溶液及びスプレー容器
CN110067130A (zh) * 2019-05-23 2019-07-30 余晨 抗菌抗皱水凝胶的制备方法及其在纺织品中的应用
JP7346921B2 (ja) * 2019-06-06 2023-09-20 凸版印刷株式会社 パーソナルケア用粒子、パーソナルケア用粒子の製造方法、パーソナルケア用品、パーソナルケア用組成物
JP7140940B2 (ja) * 2020-08-05 2022-09-22 有限会社ハマショク インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法
KR102486333B1 (ko) * 2020-08-10 2023-01-10 주식회사 코프라 항바이러스성 생분해 시트의 제조방법 및 그로부터 제조된 항바이러스성 생분해 시트의 용도

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4526851B2 (ja) * 2004-03-31 2010-08-18 明彦 谷岡 多糖類のナノスケールの繊維および成形体
JP6248511B2 (ja) * 2013-09-30 2017-12-20 凸版印刷株式会社 増粘発色抗菌剤およびその製造方法並びにパーソナルケア製品用組成物
JP6402442B2 (ja) * 2013-11-27 2018-10-10 凸版印刷株式会社 セルロースナノファイバー分散体の製造方法および当該製造方法を用いた膜
JP6727713B2 (ja) * 2015-07-03 2020-07-22 株式会社Nbcメッシュテック 殺菌・抗ウイルス性を有するセルロースナノファイバー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017150117A (ja) 2017-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6858330B2 (ja) 抗ウイルス性素材
Shoueir et al. Chitosan based-nanoparticles and nanocapsules: Overview, physicochemical features, applications of a nanofibrous scaffold, and bioprinting
Barhoum et al. Plant celluloses, hemicelluloses, lignins, and volatile oils for the synthesis of nanoparticles and nanostructured materials
Yang et al. Recent progress in preparation and application of nano‐chitin materials
Kurd et al. Basil seed mucilage as a new source for electrospinning: Production and physicochemical characterization
Zhang et al. Engineering strategies for chitin nanofibers
HPS et al. A review on chitosan-cellulose blends and nanocellulose reinforced chitosan biocomposites: Properties and their applications
Rojas et al. Current trends in the production of cellulose nanoparticles and nanocomposites for biomedical applications
Zargar et al. A review on chitin and chitosan polymers: structure, chemistry, solubility, derivatives, and applications
Fatullayeva et al. Recent advances of chitosan-based polymers in biomedical applications and environmental protection
Lee et al. Nanochitin and nanochitosan: Chitin nanostructure engineering with multiscale properties for biomedical and environmental applications
Padil et al. Electrospun fibers based on carbohydrate gum polymers and their multifaceted applications
Maeda et al. Composite polysaccharide fibers prepared by electrospinning and coating
Abbas et al. Cost-effective face mask filter based on hybrid composite nanofibrous layers with high filtration efficiency
Ren et al. Recent advance in biomass membranes: Fabrication, functional regulation, and antimicrobial applications
Lu et al. Modification of chitosan nanofibers with CuS and fucoidan for antibacterial and bone tissue engineering applications
CN105506984A (zh) 用天然生物材料对纺织品进行抗菌、抗病毒整理的方法
El Knidri et al. Chitin and chitosan: chemistry, solubility, fiber formation, and their potential applications
Ngasotter et al. Nanochitin: An update review on advances in preparation methods and food applications
Raza et al. Recent developments in polysaccharide-based electrospun nanofibers for environmental applications
Liu et al. Electrospun antibacterial and antiviral poly (ε-caprolactone)/zein/Ag bead-on-string membranes and its application in air filtration
CN106811968A (zh) 一种壳聚糖光触媒抗菌毛巾
Gong et al. Research on the degradation performance of the lotus nanofibers-alginate porous materials
Elamri et al. Chitosan: A biopolymer for textile processes and products
He et al. Effect of the degree of acetylation of chitin nonwoven fabrics for promoting wound healing

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20160526

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20160531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160531

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20160617

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160617

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200526

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200722

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200925

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210202

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6858330

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250