JP6857042B2 - 塩化ビニリデン系共重合体ラテックス - Google Patents
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Description
1)より長期間にわたる食品材料品質の保持、薬効の保持;
2)高齢化に伴う、包装製品の内包物の押出し性向上需要に対応した薄膜化;
3)生産性向上の為の薄膜化。
バリア性を有するフィルムを構成する塩化ビニリデン系ラテックスとしては、特許文献1〜3が知られている。
本発明では、塗工後のフィルムの高い酸素、水蒸気バリア性を保ちながら、凝集に関わる機械的安定性が高く、フィルム外観、ひいては成型性に優れた塩化ビニリデン系ラテックスを提供する。
本発明は以下の通りである。
1).塩化ビニリデン85〜95重量部、及び、塩化ビニリデンと共重合可能なモノマー5〜15重量部(塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計は100重量部)を含んでなる塩化ビニリデン系共重合体ラテックスであり、塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーが、塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計100重量部に基づいて、メタクリル酸メチル4〜10重量部、メタアクリロニトリルまたはアクリロニトリル0.3〜5重量部、アクリル酸0〜2重量部を含む、塩化ビニリデン系共重合体ラテックス。
2).上記1)項に記載の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルム。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、塩化ビニリデン、及び、塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーを含んでなる。本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、任意選択で、これら以外のモノマーを含んでよく、含まなくてもよい。通常、この塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、これら以外のモノマーを含まない。
これらのモノマーの組成について、塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計を100重量部とするとき、塩化ビニリデン(以下、VDCと示す)の含有量は85〜95重量部であり、好ましくは90〜93重量部である。他方で、VDCと共重合可能なモノマーの含有量は5〜15重量部であり、好ましくは7〜10重量部である。
これら両成分の重量割合がこの範囲であると、本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルムが、内包物の品質を十分に保持するバリア性を発現することが可能となる。
典型的に、本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、ラテックスの総重量に基づいて、VDC85〜95重量%、及び、VDCと共重合可能なモノマー5〜15重量%を含んでなる。この場合、塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計は、100重量%であってよい(ラテックスは、これら以外のモノマーを含まずに構成されてよい)。好ましくは、本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、VDC90〜93重量%、及び、VDCと共重合可能なモノマー7〜10重量%を含んでなる。
これら重合添加剤は、特に限定されず、例えば本技術分野において従来から好ましく使用されている種類であってよい。これらの物質はラテックスから生成させた塗膜中に残存してバリア性を劣化させる要因となりうるので、その使用量は可能な限り少量であることが好ましい。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの固形分は、特に限定されないが、通常40〜70重量%である。
また、このフィルム上には、任意選択で、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層以外に、塩化ビニリデン以外の重合活性に富む単量体を主体として機能的に調整された共重合体の層を含んでよい。このような層として、例えば、基材上に水系樹脂エマルジョンやアクリル系ディスパージョンを用いてプライマーを形成し、その上に本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を設けてもよい。
さらに、本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスは、ブリスターパッケージへの適用以外に、そのままコーティング剤としてクリヤー皮膜を形成させるために使用することもできる。
また、ラテックスから得られる層を有するフィルムの外観、変色(黄変:ΔYI)の評価法としては、例えば、JIS K7373によるプラスチックの黄色度及び黄変度の求め方がある。
(1).[バリアレベル]=([酸素透過度測定値]+[水蒸気透過度測定値])/2
バリア性としては、酸素バリア性及び水蒸気バリア性の両方を高く保つ必要がある。従って、JIS K7126 B及びASTM D3985−81に示された測定方法に準じた酸素透過度測定値(cc/m2・day@23℃、0%RH)とJIS K7129 B及びASTM F1249−90に示された測定方法に準じた水蒸気透過度測定値(g/m2・day@38℃、100%RH)の平均値である「バリアレベル」(無単位数)によって、本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルムのバリア性を評価することができる。
特に限定されないが、このバリアレベルとして、一般包装用途においては0.1〜10程度、一般医薬包装(塗付量90GSM)で上限1.0程度、高いバリア性が要求される医薬包装においては0.5未満の数値範囲が望ましい。本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルムは、医薬包装を含む幅広い用途に適用されるものであるから、そのバリアレベルの好ましい数値範囲は1.0未満、より好ましくは0.5未満である。
また特に、本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスの熱と機械シアによる凝集に関わる機械的安定性や、このラテックスを含む層を有するフィルムの黄変に関わる光学的安定性は、当該フィルムのバリア性と反比例する傾向がある。
そこで、このラテックスの熱と機械シアによる凝集に関わる機械的安定性とフィルムのバリア性との両立の尺度として、JIS−K6828の合成エマルジョンの試験方法により測定された凝集物量(%)と上記バリアレベルとの積である「凝集レベル」(無単位数)を用いる。
特に限定されないが、各条件での凝集物量が1%未満となることが好ましいことから、本発明の凝集レベルの好ましい数値範囲は、一般医薬包装で1.0未満、高いバリア性が要求される医薬包装では0.5未満である。本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルムは、医薬包装を含む幅広い用途に適用されるものであるから、凝集レベルの好ましい数値範囲は1.0未満、より好ましくは0.5未満である。
また、本発明の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルムの変色(黄変)に関わる光学的安定性と、フィルムのバリア性との両立の尺度として、JIS K7373のプラスチックの黄色度及び黄変度の求め方により測定されたΔYIと上記バリアレベルとの積である「外観レベル」(無単位数)を用いる。
アレニウスの法則より、外観レベルの変化について、「120℃、8時間」加熱による劣化は、「常温20℃、1年」加熱による劣化にほぼ等しい。特に限定されないが、この条件でのフィルムの外観レベルは1.5以下となることが好ましく、より好ましくは1.0以下である。
なお、実施例及び比較例中の部及び%は、それぞれ重量部及び重量%を示す。
[参考例1]
ガラスライニングを施した耐圧反応器中に、モノマー100部に対し、純水57部、Dアラボアスコルビン酸ナトリウム0.03部、アルキルスルホン酸ナトリウム0.2部を仕込み、攪拌しながら脱気を行った後、内容物の温度を45℃に保った。別の容器に重量組成比がVDC/MMA/AN=90.1/9.4/0.5となる原料モノマー混合物を作成した。原料モノマー混合物の内20部を上記耐圧反応器中に一括添加し、内圧が降下するまで重合した。続いて、残りのモノマー混合物80部を連続的に定量して圧入した。
並行してt−ブチルハイドロパーオキサイド0.014部を純水3.5部に溶解した開始剤、Dアラボアスコルビン酸ナトリウム0.015部を純水3.5部に溶解した還元剤、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.6部を純水2.5部に溶解した乳化剤を連続的に定量圧入した。この間内容物を攪拌しながら45℃に保ち、内圧が十分に降下するまで反応を進行させた。
重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は原料仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスに対して、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した後、固形分を50〜60%に調整した。
得られた塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mw(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算の数値を指す(以下同様))は、16万であった。
原料モノマー混合物の重量組成比をVDC/MMA/MAN=92.0/7.5/0.5とした以外は、参考例1と同様に重合を行った。
重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は原料仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスに対して、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した後、固形分を50〜60%に調整した。
得られた塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは14万であった。
原料モノマー混合物の重量組成比をVDC/MMA/MAN=92.5/6.5/1.0とした以外は、参考例1と同様に重合を行った。重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は原料仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスに対して、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した後、固形分を50〜60%に調整した。
得られた塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは13万であった。
原料モノマー混合物の重量組成比をVDC/MMA/MAN/AA=92.0/6.5/1.0/0.5とした以外は、参考例1と同様に重合を行った。重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は原料仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスに対して、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した後、固形分を50〜60%に調整した。
得られた塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは13万であった。
原料モノマー混合物の重量組成比をVDC/MMA/MAN/AA=91.5/6.5/1.0/1.0とした以外は参考例1と同様に重合を行った。重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は原料仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスに対して、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した後、固形分を50〜60%に調整した。
得られた塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは13万であった。
原料モノマー混合物の重量組成比をVDC/MAN/MMA/AA=91.5/5.2/2.4/0.9とした以外は、参考例1と同様に重合を行った。重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は原料仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスに対して、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した後、固形分を50〜60%に調整した。
得られた塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは12万であった。
原料モノマー混合物の重量組成比をVDC/MA/AA=90.3/9.4/0.3とした以外は、参考例1と同様に重合を行った。重合収率は99.9%であった。重合収率は、ほぼ100%なので、共重合体の組成は原料仕込み比にほぼ等しい。かくして得られたラテックスに対して、水蒸気ストリッピングによって未反応モノマーを除去した後、固形分を50〜60%に調整した。
得られた塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量Mwは17万であった。
<熱と機械シアによる凝集に関わる安定性試験>
JIS−K6828の合成エマルジョンの試験方法に準じた凝集物量(%)の測定を、5分間、25℃、30℃、40℃、60℃の各条件にて実施した。
<塗工フィルム作成>
コロナ放電処理を施した延伸ポリ塩化ビニルフィルム250μmの上に、プライマーとして水系樹脂エマルジョン(アクリル系ディスパージョン:固形分40%)を、メイヤーロッド#4を用いて乾燥後塗膜重量が2g/m2となるように塗布し、熱風循環乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行った。このフィルムの上に、参考例1、実施例2〜5及び比較例1、2の各々で得られた塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを、メイヤーロッドにより1回の乾燥後塗膜重量が10〜15g/m2となるように塗布し、熱風循環乾燥機中にて85℃、15秒の乾燥処理を行い、乾燥後の塗膜重量が90g/m2になるまで重ね塗りした。
1)酸素透過度測定
得られた塗工フィルムについて、JIS K7126 B法(等圧法)及びASTM D3985−81に示された測定方法に準じ、23℃及び0%RHの条件下、MOCON社の酸素透過度測定装置を用いて測定した(単位:cc/m2・day@23℃、0%RH)。
2)水蒸気透過度(透湿度)測定
得られた塗工フィルムについて、JIS K7129 B法(赤外センサー法)及びASTM F1249−90に示された測定方法に準じ、38℃及び100%RHの条件下、MOCON社の水蒸気透過度測定装置を用いて測定した(単位:g/m2・day@38℃、100%RH)。
3)バリアレベル
得られた塗工フィルムのバリアレベル(無単位数)を、([酸素透過度測定値]+[酸素透過度測定値])/2で算出した。
得られた塗工フィルムに対し、熱風循環乾燥機中にて、120℃で、0〜8時間の処理を行った後、JIS K7373のプラスチックの黄色度及び黄変度の求め方に示された測定方法に準じ、色差ΔYI値(単位:15g/m2)を測定した(2時間ごとに測定した)。
ラテックスの熱、機械シアによる凝集に関わる機械的安定性と塗工フィルムのバリア性との両立の尺度として、JIS−K6828の合成エマルジョンの試験方法により測定された凝集物量(%)(5分間、25℃、30℃、40℃、60℃の各条件での値)と上記バリアレベルから、以下のように「凝集レベル」(無単位数)を算出した。
[凝集レベル]=[凝集物量]×[バリアレベル]
塗工フィルムの変色(黄変)に関わる光学的安定性と、塗工フィルムのバリア性との両立の尺度として、上記方法により測定された色差ΔYI値(120℃、0〜8時間の2時間ごとに測定)と上記バリアレベルから、以下のように「外観レベル」(無単位数)を算出した。
[外観レベル]=[ΔYI]×[バリアレベル]
JIS−K5600−5−1に示された測定方法(塗料の一般的試験方法)に準じた屈曲試験機を用い、柔軟性(耐屈曲性)を測定した。評価は以下の基準で行った。なお、表2中に示される直径の値(mm)は、この屈曲試験の折り曲げに用いられる円筒形マンドレルの各直径である。
○:6回全てひび割れ無
△:ひび割れ3回以下
×:全て割れ、破断
Claims (5)
- 塩化ビニリデン85〜95重量部、及び、塩化ビニリデンと共重合可能なモノマー5〜15重量部(塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計は100重量部)を含んでなる塩化ビニリデン系共重合体ラテックスであり、
塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーが、塩化ビニリデン及び塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーの合計100重量部に基づいて、
メタクリル酸メチル5〜10重量部、
メタアクリロニトリル0.3〜5重量部、
アクリル酸0〜2重量部を含む、
塩化ビニリデン系共重合体ラテックス。 - 請求項1に記載の塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層を有するフィルム。
- 前記塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層が、20g/m 2 〜100g/m 2 の範囲内である乾燥後の塗膜重量を有するように形成されている、請求項2に記載のフィルム。
- 前記塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを含む層が、ポリ塩化ビニル製のフィルム基材上に形成されている、請求項2または3に記載のフィルム。
- 請求項2ないし4のいずれか1項に記載のブリスターパッケージ用フィルム。
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