JP6853123B2 - 滑り軸受および滑り軸受の製造方法 - Google Patents

Description

本発明は滑り軸受と、滑り軸受を製造するための方法とに関する。

実践から知られている滑り軸受は典型的に、金属材料から成る軸受基体を有し、当該軸受基体上に、同じく金属材料から成る滑り軸受層が、直接的に、あるいは中間層を介して間接的に設けられている。実践から知られている滑り軸受において、軸受基体は典型的に鋼から製造され、滑り軸受層は典型的に白色合金または青銅から製造されている。実践から知られている滑り軸受において、当該滑り軸受を製造するために、軸受基体または当該軸受基体上に設けられた中間層に、白色合金材料または青銅材料が吹き付けられ、それにより、滑り軸受層の良好な固着を確実にする。

実践から知られている滑り軸受はすでに、望ましい滑り特性および望ましい耐摩耗性に関して良好な特性を有しているが、滑り軸受をその特性に関してさらに向上させることが求められている。従って金属材料から成る滑り軸受層を、非金属材料から成る滑り軸受層に替える試みがすでになされている。

しかしながらその際、滑り軸受層のための非金属材料が、所望の滑り軸受特性を提供しないという問題、あるいは、このような滑り軸受を製造するための方法は手間がかかり過ぎるという問題のいずれかが生じる。

上記の点に鑑みて本発明は、改善された特性を備える新式の滑り軸受と、当該滑り軸受を容易に製造するための方法とを創出することを課題とする。

上記の課題は、本発明の第一の態様によれば、請求項１に記載の滑り軸受と、請求項８に記載の、このような滑り軸受を製造するための方法とによって解決される。

それによれば中間層は、ワイヤから成る構造体、または多孔板であり、当該ワイヤから成る構造体、または多孔板はアンダーカット部を形成し、滑り軸受層はポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）または他のプラスチックから成る層である。中間層は、連続気泡発泡金属であってもよい。滑り軸受層は補強材または潤滑剤で充填されていてもよい。このような滑り軸受は良好な滑り特性を有する一方、高度な耐摩耗性を有する。このような滑り軸受はまた、容易に製造され得る。

中間層は好ましくはワイヤから成る構造体であり、当該ワイヤから成る構造体は好ましくはワイヤメッシュ、ワイヤ組物、またはワイヤ編物である。ワイヤから成る構造体は、異なる金属材料から成るワイヤを含み得、および／またはワイヤはガルバニックコーティングされていてよい。これにより、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層が中間層に固着することが、特に有利に保証され得る。このような滑り軸受はまた、容易に製造され得る。

一の有利な発展的構成によれば、ワイヤから成る構造体、または多孔板は、軸受基体上に溶接、またははんだ付け、または接着され、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層は、ワイヤから成る構造体、または多孔板に溶着されている。これは滑り軸受の特に容易な製造を可能にする。滑り軸受層は、付加製造法（３Ｄプリント）を介しても設けられ得る。

本発明の第二の態様によれば上記の課題は、請求項１０に記載の滑り軸受と、請求項１１に記載のこのような滑り軸受を製造するための方法とによって解決される。

それによれば軸受基体は、アンダーカット部を備える表面を有し、滑り軸受層はポリエーテルエーテルケトンから成る層として形成されるとともに、直接的に、すなわち軸受基体と滑り軸受層との間の中間層を有さずに、軸受基体上の、アンダーカット部を形成する表面の領域内に設けられている。当該滑り軸受も良好な滑り特性と高度な耐摩耗性を有し、さらに容易に製造され得る。軸受基体は、付加製造法（３Ｄプリント）を介しても製造され得る。

本発明の有利なさらなる構成は、従属請求項および以下の詳細な説明に記載されている。本発明の実施の形態を図面に基づいてより詳しく説明するが、本発明は当該実施の形態に限定されるものではない。図面に示すのは以下の通りである。

本発明の第一の態様による、滑り軸受の概略的な部分を示す図である。 本発明の第二の態様による、滑り軸受の概略的な部分を示す図である。

図１は、本発明の第一の態様による、本発明に係る滑り軸受１の概略的な断面を示している。本発明に係る当該滑り軸受１は、金属材料から成る軸受基体２と、当該軸受基体２上に設けられた、同じく金属材料から成る中間層３と、当該中間層３上に設けられた、非金属材料、すなわちポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）から成る滑り軸受層４とを有している。

本発明の第一の態様によれば、金属材料から成る軸受基体２上に設けられている、金属材料から成る中間層３は、ワイヤ５から成る構造体（図１参照）、または代替的に多孔板（図示せず）である。ワイヤ５から成る構造体または多孔板は、アンダーカット部７を形成する。アンダーカット部７を備えるこのような中間層３上に、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層４が設けられており、これにより、中間層３上に滑り軸受層４が良好に固着し、それにより軸受基体２上に滑り軸受層が良好に固着することが保証されている。

本発明の第一の態様の、第一の有利な発展的構成によれば、中間層３はワイヤ５から成る構造体によって提供され、当該ワイヤ５はワイヤメッシュ、またはワイヤ組物６（図１参照）、またはワイヤ編物を形成する。このときワイヤ５から成る構造体は好ましくは、溶接により、またははんだ付けにより、または接着により、軸受基体２上に設けられている。ワイヤメッシュ、またはワイヤ組物、またはワイヤ編物は、多数のアンダーカット部７を提供する。アンダーカット部７を備えるこのような中間層３上に、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層４は特に有利に溶着され得、しかもそのとき中間層３に滑り軸受層４を良好に固着させ、それにより最終的に軸受基体２に滑り軸受層を良好に固着させる。

すでに述べたように、軸受基体２は金属材料、好ましくは鋼またはステンレス鋼から成る軸受基体である。滑り軸受層４はポリエーテルエーテルケトン、すなわちポリアリルエーテルケトンの材料グループに属する熱可塑性プラスチックから成る層である。軸受基体２の中間層３のワイヤ５は金属材料から製造されており、従って当該ワイヤは例えば、鋼および／またはステンレス鋼および／または銅から製造されていてよい。特に、ワイヤ５から成る構造体は、異なる金属材料から成るワイヤ５を有し得、すなわち例えば第一のワイヤ５はステンレス鋼から成り、第二のワイヤ５は銅から成ることが行われている。これにより、中間層３の熱伝導性は好適に調整され得る。

図１に例として示される、ワイヤ組物６を形成するワイヤ５は、断面が円形である。しかしながら他の断面形状を備えるワイヤ５を用いることも可能である。

中間層３が、ワイヤ５から成る構造体によって提供され、ワイヤ５がワイヤメッシュ、またはワイヤ組物６、またはワイヤ編物を形成するとき、特に好適に、ワイヤメッシュ、またはワイヤ組物６、またはワイヤ編物に由来する複数の層は、重なり合うように設けられて中間層３を形成し得る。特にワイヤメッシュ、またはワイヤ組物、またはワイヤ編物に由来する複数の層において、個々の層内で、ワイヤは異なる材料から製造されていてよい、および／または異なる断面形状を有してよい、および／または軸受基体２に対して異なる向きもしくは異なる角度で設けられていてよい。

本発明の第一の態様の第二の発展的構成によれば、中間層３は多孔板によって提供される。このような多孔板も、金属材料、特にステンレス鋼から製造されており、多孔板の孔は、アンダーカット部を形成しながら異なる形状、例えば漏斗形状、マッシュルーム形状などを有し得る。相応のアンダーカット部を備える多孔板から成るこのような中間層上にも、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層は良好に固着し、従って軸受基体上に確実に設けられ得る。

すでに述べたように、ワイヤ５から成る構造体、多孔板、発泡金属のいずれかである中間層３は、好ましくははんだ付けにより、または溶接により、または接着により、軸受基体２上に設けられる。

軸受基体２上への中間層３のはんだ付けは、好ましくはろう付けとして行われる。このとき相応のろうは中間層３および軸受基体２と共に溶融され、ろう付けにおける当該ろうは、好ましくは黄銅または銀合金である。

中間層３を軸受基体２にはんだ付けするとき、はんだとして好ましくは、両面に銀合金によるコーティングを備えた銅箔が用いられ、当該銅箔はその場合、一方で軸受基体２と中間層３との間で、他方で中間層３と滑り軸受層４との間で、膨張の調整を良好に行うことができる。好ましくは、後に中間層上に溶着される、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層の融点よりも融点が著しく高いはんだが用いられる。

はんだは、軸受基体２上にも、中間層３上にも電気的に設けられ得る。はんだ付けは好ましくは、中間層の材料の融点を上回る加熱により、安定化させる圧力下で行われ、これにより中間層としてのワイヤ５から成る構造体において、ワイヤ５は構造体内にはんだ付けされる。

中間層３は代替的に、軸受基体２に溶接することにより、当該軸受基体上に設けられ得る。溶接の際、軸受基体２と中間層３との溶着は、局所的に高温を導入することにより行われる。このとき溶接は、レーザー溶接、プラズマ溶接、または電気溶接として行われ得る。中間層としての発泡金属においては、振動溶接または超音波溶接が適している。溶接の際、中間層３と軸受基体２は、例えば機械的に押し付けることにより、または磁気的に固定することにより、互いに固定されなければならない。中間層３の構造を得るために、中間層３を軸受基体２に、点状または線状にのみ溶接することも行われ得る。

溶接を拡散溶接によって実施することも可能であり、その場合、真空において機械的な圧力をかけ、所定の温度で、軸受基体２と中間層３とは原子結合によって互いに接合される。

中間層３と軸受基体２とを、接着によって、特に耐高温性を有する接着剤を用いることにより、互いに接合することも可能である。しかしながら軸受基体２と中間層３との接合は、接着よりも、はんだ付けにより、または溶接により行うことが好ましい。

本発明の第一の態様による滑り軸受１を製造するためにまず、金属材料、特に鋼またはステンレス鋼から成る軸受基体２が準備される。続いてワイヤ５から成る構造体、または多孔板として形成されている、金属材料から成る中間層３が軸受基体２上に設けられるが、それはワイヤから成るすでに完成された織物（メッシュ）、または組物、または編物か、完成された多孔板のいずれかが軸受基体２上に設けられるか、あるいは、個々のワイヤが軸受基体２上に設けられるか、のいずれかにより行われる。続いて中間層３上に、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層４が設けられ、すなわち溶着される。

図２は本発明の第二の態様による、本発明に係る滑り軸受１０の概略的な断面を示している。当該滑り軸受１０も、金属材料から成る軸受基体１１と、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層１２とを有しているが、図２の滑り軸受１０は、図１の滑り軸受１とは異なり、滑り軸受層１２が中間層を介して間接的にではなく、このような中間層なしに直接的に軸受基体１１上に、すなわち、アンダーカット部１４を形成するか、もしくは有している軸受基体１１の表面１３上に設けられている。

このために鋼またはステンレス鋼から成る軸受基体１１内に、好ましくはフライス加工、ブラスト処理、レーザー加工、または放電加工によりアンダーカット部１４が設けられ、当該アンダーカット部は例えば傾斜溝、ネジ山、鳩尾などの形状を有し得る。

このような軸受基体１１上に、すなわちアンダーカット部１４を有する軸受基体１１の表面１３上に、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層１２が設けられ、すなわち溶着される。このとき、ポリエーテルエーテルケトンから成る滑り軸受層１２は充填剤を含み得る。

１ 滑り軸受
２ 軸受基体
３ 中間層
４ 滑り軸受層
５ ワイヤ
６ ワイヤ組物
１０ 滑り軸受
１１ 軸受基体
１２ 滑り軸受層
１３ 表面
１４ アンダーカット部

Claims (3)

1. 金属材料から成る軸受基体（１１）と、非金属材料から成る滑り軸受層（１２）とを備える滑り軸受（１０）において、
   前記軸受基体（１１）は、アンダーカット部（１４）を備える表面（１３）を有しており、
   前記滑り軸受層（１２）は、ポリエーテルエーテルケトンから成る層として形成されており、直接的に前記軸受基体（１１）上の、前記アンダーカット部（１４）を形成する前記表面（１３）の領域内に設けられており、
   前記アンダーカット部（１４）がねじ山の形状を有することを特徴とする滑り軸受。
2. 前記金属材料から成る前記軸受基体（１１）が準備され、前記軸受基体（１１）の表面（１３）内に、前記アンダーカット部（１４）が設けられ、
   ポリエーテルエーテルケトンから成る層として形成されている前記滑り軸受層（１２）は、前記アンダーカット部（１４）を形成する前記軸受基体（１１）の前記表面（１３）に、直接的に設けられることを特徴とする、請求項１に記載の滑り軸受を製造するための方法。
3. 前記軸受基体（１１）の前記表面（１３）における前記アンダーカット部（１４）は、フライス加工、またはブラスト処理、またはレーザー加工、または放電加工により形成され、
   ポリエーテルエーテルケトンから成る前記滑り軸受層（１２）は、前記アンダーカット部（１４）を形成する、前記軸受基体（１１）の前記表面（１３）に溶着されることを特徴とする請求項２に記載の方法。

Images