JP6852571B2 - 固体撮像素子用分散液、その製造方法、固体撮像素子用硬化性組成物、赤外線遮蔽膜及び固体撮像素子 - Google Patents

固体撮像素子用分散液、その製造方法、固体撮像素子用硬化性組成物、赤外線遮蔽膜及び固体撮像素子 Download PDF

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Description

本発明は、固体撮像素子用分散液、その製造方法、固体撮像素子用硬化性組成物、赤外線遮蔽膜及び固体撮像素子に関する。
ビデオカメラ、デジタルカメラ、カメラ機能付き携帯電話等には、CCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary MOS)イメージセンサ等の固体撮像素子が搭載されている。これらの固体撮像素子に備わるフォトダイオードの感度は、可視光領域から赤外線領域にわたる。このため、固体撮像素子においては、赤外線を遮断するためのフィルターが設けられている。この赤外線遮断フィルターにより、固体撮像素子の感度を人間の視感度に近づくように補正することができる。
上記固体撮像素子用赤外線遮断フィルターの赤外線遮蔽膜には、赤外線遮蔽剤としての顔料等、及び必要に応じさらに重合性化合物、重合開始剤等の各成分が含有されている(特許文献1参照)。上記赤外線遮蔽膜は、これらの成分及び溶媒を含む組成物の塗工などによって形成される。
特開2013−228433号公報
上記のような固体撮像素子の赤外線遮蔽膜形成用の組成物においては、異物を十分に除去することが重要となる。組成物中の異物は、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽性、コントラスト特性、透明性等に影響を与える。ここで、コントラスト特性とは、所定条件で光を入射させた際の透過光量の最小値と最大値との比(消光比)に関する特性をいう。この比が大きいほどコントラスト特性に優れ、このコントラスト特性は、顔料の分散性の低さや異物の存在などによって低下するとされている。また、上記組成物を用いてパターニングされた赤外線遮蔽膜を形成する場合もあるが、異物の存在は、パターニング性にも影響を与える。
上記組成物中の主たる異物は、粗大粒子である。この粗大粒子の多くは、顔料の凝集物とされる。このため、上記組成物の調製に用いられる顔料分散液には、凝集物を低減すべく、分散処理が施されることがある。顔料の分散処理は、例えば、顔料、溶媒(分散媒)及び分散剤を含む分散液をビーズミルやペイントシェーカー等で処理することによって行われる。しかし、上記ビーズミル等による分散処理を施しても、異物は十分に低減されず、濾過等によって異物を取り除く場合も生じる。なお、濾過の際に取り除かれる異物の量が多いと、回収率が低下し、生産性の低下を招く。また、分散処理を行ったものであっても上記のように異物が十分に除去できていないため、赤外線遮蔽性、コントラスト特性等に関して満足のいく赤外線遮蔽膜を得ることができない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性及びコントラスト特性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができる固体撮像素子用分散液及び固体撮像素子用硬化性組成物、上記固体撮像素子用分散液の製造方法、上記固体撮像素子用硬化性組成物から得られる赤外線遮蔽膜、並びにこの赤外線遮蔽膜を有する固体撮像素子を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、顔料及び溶媒を含有する固体撮像素子用分散液において、上記顔料以外のモース硬度が2以上である無機化合物をさらに含有し、上記無機化合物の含有量が1ppm以上1000ppm以下である固体撮像素子用分散液である。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、顔料及び溶媒を含有する固体撮像素子用分散液の製造方法において、ジルコニア、メノウ、石英、チタニア、タングステンカーバイト、窒化ケイ素、アルミナ、ステンレス鋼、ガラス又はこれらの組み合わせを用い、上記顔料を粉砕する工程、及び上記顔料を含む混合物を遠心分離又は濾過する工程を備える固体撮像素子用分散液の製造方法である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、顔料及び溶媒を含有する固体撮像素子用硬化性組成物において、上記顔料以外のモース硬度が2以上である無機化合物をさらに含有し、上記無機化合物の含有量が0.1ppm以上1000ppm以下である固体撮像素子用硬化性組成物である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該固体撮像素子用硬化性組成物から形成される固体撮像素子用の赤外線遮蔽膜である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該赤外線遮蔽膜を有する固体撮像素子である。
本発明によれば、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性及びコントラスト特性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができる固体撮像素子用分散液及び固体撮像素子用硬化性組成物、上記固体撮像素子用分散液の製造方法、上記固体撮像素子用硬化性組成物から得られる赤外線遮蔽膜、並びにこの赤外線遮蔽膜を有する固体撮像素子を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子用分散液、その製造方法、固体撮像素子用硬化性組成物、赤外線遮蔽膜及び固体撮像素子について、順に詳説する。
<固体撮像素子用分散液>
本発明の一実施形態に係る固体撮像素子用分散液(以下、単に「分散液」ともいう。)は、[A]顔料及び[B]溶媒を含有する固体撮像素子用分散液において、[C]モース硬度が2以上である無機化合物をさらに含有する。当該分散液における[C]無機化合物の含有量は、1ppm以上1000ppm以下である。当該分散液は、固体撮像素子の赤外線遮蔽膜などの形成材料として用いられる。
当該分散液によれば、上記組成を有することにより、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性及びコントラスト特性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができる。この理由は定かでは無いが、以下の理由が推測される。本発明者らは、ビーズミル、ペイントシェーカー等を用いた顔料の分散処理の際に、ビーズ等が粉砕し、これらの破片が異物となって赤外線遮蔽膜等に好ましく無い影響を与えることを知見した。なお、通常、ビーズ等は、モース硬度が2以上の無機化合物から形成されている。そこで、当該分散液においては、ビーズ等の破片である[C]モース硬度が2以上である無機化合物の含有量を1000ppm以下とすることで、異物が低減され、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽性、コントラスト特性、透明性等も良好なものとなっている。
当該分散液は、[D]分散剤等をさらに含むことができる。以下、各成分について説明する。
([A]顔料)
[A]顔料は、赤外線遮蔽剤として機能する成分である。[A]顔料は、粒子状であり、当該分散液中に分散して存在する。
[A]顔料は、波長800nm以上2000nm以下の範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。[A]顔料としては、無機酸化物が一般的であり、具体的には、セシウム酸化タングステン、錫ドープ酸化インジウム、錫ドープ酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン等の金属酸化物を挙げることができる。すなわち、[A]顔料としては、波長800nm以上2000nm以下の範囲に極大吸収波長を有する金属酸化物が好ましい。これらの[A]顔料は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
[A]顔料としては、これらの中でも、セシウム酸化タングステンが好ましい。セシウム酸化タングステンは、赤外線(特に波長が約800nm以上1200nm以下の赤外線)に対しては吸収が高く(すなわち、赤外線に対する遮蔽性が高く)、可視光に対しては吸収が低い赤外線遮蔽剤である。よって、セシウム酸化タングステンを用いることで、得られる赤外線遮蔽膜の良好な可視光透過性を維持しつつ、赤外線遮蔽性を高めることができる。
セシウム酸化タングステンは、例えば下記式(1)で表すことができる。
CsWO ・・・(1)
式(1)中、0.001≦x≦1.1である。2.2≦y≦3.0である。
上記式(1)中のxが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができる。xの下限は、0.01が好ましく、0.1がより好ましい。一方、xが1.1以下であることにより、セシウム酸化タングステン中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。xの上限は、1が好ましく、0.5がより好ましい。
上記式(1)中のyが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができる。yの下限は、2.5が好ましい。一方、yが3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
上記式(1)で表されるセシウム酸化タングステンの具体例としては、Cs0.33WO等を挙げることができる。
[A]顔料は、公知の方法によって合成することもできるが、市販品として入手可能である。例えば、セシウム酸化タングステンは、住友金属鉱山社の「YMF−02」等のセシウム酸化タングステン微粒子の分散物としても入手可能である。
当該分散液における[A]顔料の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。[A]顔料の含有量を上記範囲とすることで、分散性を高めることなどができる。
([B]溶媒)
[B]溶媒は、[A]顔料を分散させる分散媒である。当該分散液に、さらに他の成分を加えて組成物とする場合、他の成分は[B]溶媒に分散又は溶解する。[B]溶媒としては、[A]顔料及び他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
[B]溶媒としては、例えば
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類、
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.7)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類、
メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等の鎖状ケトン、シクロペンタノン(SP値:10.0)、シクロヘキサノン(SP値:9.9)等の環状ケトン等のケトン類、
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類、
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類、
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。なお、上記括弧書き中のSP値の単位は「(cal/cm1/2」であるが、記載を省略している。
[B]溶媒のSP値の下限としては、7(cal/cm1/2が好ましく、8(cal/cm1/2がより好ましく、8.5(cal/cm1/2がさらに好ましく、8.8(cal/cm1/2がさらに好ましく、9(cal/cm1/2がよりさらに好ましく、9.5(cal/cm1/2がよりさらに好ましい。一方、この上限としては、12(cal/cm1/2が好ましく、11(cal/cm1/2がより好ましく、10.5(cal/cm1/2がさらに好ましい。このような特定範囲のSP値を有する[B]溶媒を用いることで、[A]顔料の分散性などを高め、その結果、コントラスト特性や経時安定性をより高めることができる。ここで、SP値とは、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14,147(1974)に記載の以下のFedorsの式によって求められる値である。
Fedorsの式:
SP値(δ)=(E/v)1/2=(ΣΔe/ΣΔv1/2
:蒸発エネルギー
v:モル体積
Δe:各成分の原子又は原子団の蒸発エネルギー
Δv:各原子又は原子団のモル体積
[B]溶媒は、環状構造を有する溶媒を含むことが好ましい。環状構造を有する溶媒を用いることで、溶解性や分散性がより良好なものとなり、その結果、コントラスト特性や経時安定性をより高めることができる。上記環状構造は、炭素環であってもよく、複素環であってもよい。また、上記環状構造は、多環であってもよく、単環であってもよい。また、上記環状構造は、芳香環であってもよく、脂肪環であってもよい。
環状構造を有する溶媒としては、環状ケトン、環状エーテル、ラクトン(γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等)、ラクタム、芳香族炭化水素(トルエン等)及びこれらの組み合わせが好ましい。これらの中でも、環状ケトン、ラクトン及び芳香族炭化水素が好ましく、環状ケトン及びラクトンがより好ましく、環状ケトンがさらに好ましい。
環状ケトンとしては、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン等を挙げることができる。これらの中でも、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びシクロヘプタノンが好ましく、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンがより好ましい。
これらの[B]溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
([C]無機化合物)
[C]無機化合物は、モース硬度が2以上である無機化合物である。[A]顔料は、[C]無機化合物には含まれない。すなわち、[C]無機化合物は、[A]顔料以外の無機化合物である。[C]無機化合物は、顔料の粉砕処理に用いられるビーズ等の破片として当該分散媒中に含有される。
[C]無機化合物のモース硬度の下限は、3が好ましく、4がより好ましく、5がさらに好ましく、6がさらに好ましい。一方、このモース硬度の上限は、10であってよいが、9であってもよく、8であってもよい。
[C]無機化合物としては、ジルコニア、メノウ、石英、チタニア、タングステンカーバイト、窒化ケイ素、アルミナ、ステンレス鋼、ガラス又はこれらの組み合わせを挙げることができる。これらは、粉砕処理に使用されるビーズの材料として好適な化合物である。上記ガラスとしては、ソーダガラス、低ソーダガラス、ソーダレスガラス、高比重ガラス等を挙げることができる。[C]無機化合物は、1種又は2種以上が含まれていてよい。
[C]無機化合物の中でも、ジルコニア(モース硬度7)が好ましい。ジルコニアはモース硬度が適度に高い。そのため、ジルコニアビーズは顔料の粉砕及び分散に好適に機能する。従って、[C]無機化合物としてジルコニアを含む分散液は、特に良好な分散性等を示す。
当該分散液における[C]無機化合物の含有量の上限は、1000ppmであり、800ppmが好ましく、600ppmがより好ましいこともあり、400ppmがより好ましいこともある。[C]無機化合物の含有量を上記上限以下とすることで、異物が低減され、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽性、コントラスト特性、透明性等も良好なものとなる。
当該分散液における[C]無機化合物の含有量の下限は、1ppmであり、10ppmであってもよく、100ppmであってもよく、200ppmであってもよい。粉砕処理を行った場合、微量な[C]無機化合物は不可避的に混入しうる。十分な粉砕処理を行った上で、[C]無機化合物の含有量を上記下限未満としようとした場合、遠心分離等によって[C]無機化合物を十分に除去する必要があり、生産性が低下する。また、[C]無機化合物の含有量を上記下限未満としようとした場合、過剰な遠心分離等の処理によって[C]無機化合物と共に[A]顔料も除去されやすくなり好ましくない。[A]顔料の除去は、赤外線遮蔽性の低下を引き起こす。
([D]分散剤)
[D]分散剤は、[A]顔料の分散性を高める成分である。[D]分散剤がさらに含有されていることにより、[A]顔料の凝集物等が減少し、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽性、透明性等をより高めることができる。
[D]分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、(メタ)アクリル系分散剤等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル系分散剤が好ましい。[D]分散剤は、ブロック共重合体であることが好ましい。
[D]分散剤は商業的に入手することができ、例えば(メタ)アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN22102(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)の他、BYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)等を挙げることができる。
[D]分散剤のアミン価の下限としては、10mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gがより好ましく、80mgKOH/gがさらに好ましい。一方、このアミン価の上限としては、300mgKOH/gが好ましく、200mgKOH/gがより好ましく、150mgKOH/gがさらに好ましい。このようなアミン価を有する分散剤を用いることで、[A]顔料の分散性が向上し、得られる赤外線遮蔽膜の諸特性をより高めることができる。なお、「アミン価」とは、分散剤固形分1gを中和するのに必要なHClと当量のKOHのmg数である。
[D]分散剤の含有量の下限は、[A]顔料100質量部に対して、5質量部が好ましく、15質量部がより好ましい。一方、この含有量の上限は、100質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。
(その他の成分)
当該分散液は、[A]顔料、[B]溶媒、[C]無機化合物及び[D]分散剤以外の成分をさらに含有していてもよい。但し、当該分散液におけるその他の成分の含有量の上限は、10質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましい。その他の成分の含有量が上記上限以下であることで、分散性をより良好な状態とすることができる。
(最大粒径)
当該分散液に対する動的光散乱法により測定される最大粒径の上限としては、100nmが好ましく、80nmがより好ましく、60nmがより好ましく、40nmがさらに好ましい。上記最大粒径が、上記上限以下であることにより、異物がより少なく、より良好な赤外線遮蔽性、コントラスト特性及び透明性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができる。一方、この最大粒径の下限としては、例えば5nmであり、10nmであってもよい。なお、この最大粒径は、[A]顔料、[C]無機化合物及びその他の任意成分を含む当該分散液中の全ての粒子に対する最大粒径である。
<固体撮像素子用分散液の製造方法>
当該分散液の製造方法は特に限定されないが、好適には、以下の方法によって行うことができる。すなわち、本発明の一実施形態に係る分散液の製造方法は、
ジルコニア、メノウ、石英、チタニア、タングステンカーバイト、窒化ケイ素、アルミナ、ステンレス鋼、ガラス又はこれらの組み合わせを用い、[A]顔料を粉砕する工程(工程1)、及び
[A]顔料を含む混合物を遠心分離又は濾過する工程(工程2)
を備える。
当該製造方法によれば、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性、コントラスト特性及び透明性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができる固体撮像素子用分散液を製造することができる。
(工程1)
工程1は、[A]顔料を粉砕する工程である。具体的には、例えば[A]顔料、[B]溶媒及び[D]分散剤を含む混合物をビーズミル、ペイントシェーカー等に供し、[A]顔料を粉砕する。このビーズミルやペイントシェーカー等におけるビーズとして、ジルコニア、メノウ、石英、チタニア、タングステンカーバイト、窒化ケイ素、アルミナ、ステンレス鋼、ガラス又はこれらの組み合わせのビーズが用いられる。このビーズとしては、ジルコニアビーズが好ましい。
上記ビーズの粒径の下限としては、0.01mmが好ましく、0.05mmがより好ましい。一方、この粒径の上限としては、5mmが好ましく、2mmがより好ましく、1mmがさらに好ましく、0.3mmがよりさらに好ましいこともある。ビーズの粒径を上記範囲とすることで、十分に[A]顔料を粉砕しつつ、ビーズ自体の粉砕を抑制し、[C]無機化合物の含有量の増加を抑えることができる。
(工程2)
工程2は、[A]顔料を含む混合物を遠心分離又は濾過する工程である。この混合物は、[A]顔料の他、[B]溶媒及び[D]分散剤等を含んでいてよい。
工程2に供せられる混合物は、上記工程1が施されたものであることが好ましい。すなわち、工程1(粉砕工程)を工程2(遠心分離又は濾過工程)よりも前に行うことが好ましい。このような順で処理することで、工程1の粉砕の際に生じたビーズに由来する[C]無機化合物を、工程2の遠心分離又は濾過によって可能な限り除去することができる。
工程2としては、遠心分離及び濾過の中でも、遠心分離を採用することが好ましい。遠心分離を行うことで、[A]顔料が同時に除去されることを抑えつつ、[C]無機化合物の含有量を十分に低減することができる。
遠心分離の処理時間としては、特に限定されないが例えば1分以上60分以下とすることができる。
遠心分離を行う際の遠心分離機の遠心加速度の下限としては、10Gが好ましく、50Gがより好ましく、100Gがさらに好ましく、500Gがよりさらに好ましく、2,000Gがよりさらに好ましいこともあり、4,000Gがよりさらに好ましいこともある。遠心加速度を上記下限以上とすることで、十分に[C]無機化合物の量を低減することができ、得られる赤外線遮蔽膜の諸特性を高めることができる。また、経時安定性を高め、長期間において良好な分散性を維持することができる。一方、この遠心加速度の上限としては、50,000Gが好ましく、20,000Gがより好ましく、8,000Gがさらに好ましい。遠心加速度を上記上限以下とすることで、[A]顔料が遠心分離によって除去されることを抑制することができ、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽能等を高めることができる。
また、遠心分離を行う際の処理時間の下限としては、1分が好ましく、3分がより好ましく、5分がさらに好ましい。処理時間を上記下限以上とすることで、十分に[C]無機化合物の量を低減することができ、得られる赤外線遮蔽膜の諸特性を高めることができる。また、経時安定性を高め、長期間において良好な分散性を維持することができる。一方、この処理時間の上限としては、4,500分が好ましく、900分がより好ましく、450分がさらに好ましく、100分がよりさらに好ましいこともあり、60分がよりさらに好ましいこともある。処理時間を上記上限以下とすることで、[A]顔料が遠心分離によって除去されることを抑制することができ、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽能等を高めることができる。また、処理時間を上記上限以下とすることで、生産性を高めることもできる。
また、遠心分離を行う際の遠心分離機の遠心加速度と処理時間との積の下限としては、100G・分が好ましく、500G・分がより好ましく、5,000G・分がさらに好ましく、20,000G・分がよりさらに好ましく、40,000G・分がよりさらに好ましい。遠心加速度と処理時間との積を上記下限以上とすることで、十分に[C]無機化合物の量を低減することができ、得られる赤外線遮蔽膜の諸特性を高めることができる。また、経時安定性を高め、長期間において良好な分散性を維持することができる。一方、この遠心加速度と処理時間との積の上限としては、1,000,000G・分が好ましく、500,000G・分がより好ましく、200,000G・分がさらに好ましく、80,000G・分がよりさらに好ましい。遠心加速度と処理時間との積を上記上限以下とすることで、[A]顔料が遠心分離によって除去されることを抑制することができ、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽能等を高めることができる。
<固体撮像素子用硬化性組成物>
本発明の一実施形態に係る固体撮像素子用硬化性組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、[A]顔料及び[B]溶媒を含有する固体撮像素子用硬化性組成物において、[C]モース硬度が2以上である無機化合物をさらに含有する。当該組成物における[C]無機化合物の含有量は0.1ppm以上1000ppm以下である。当該組成物は、固体撮像素子の赤外線遮蔽膜などの形成材料として用いられる。当該組成物によれば、上記組成を有することにより、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性、コントラスト特性及び透明性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができる。
当該組成物は、[D]分散剤、[E]重合性化合物、[F]重合開始剤、[G]有機色素等をさらに含有することができる。当該組成物が[D]分散剤をさらに含む場合、[A]顔料の分散性がより高まり、異物をより低減することなどができる。また、当該組成物が[E]重合性化合物及び[F]重合開始剤を含有する場合、当該組成物は良好なパターニング性を発揮することができる。また、当該組成物が[G]有機色素を含有する場合、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽性をより高めることなどができる。
([A]顔料)
当該組成物に含有される[A]顔料は、上述した当該分散液に含有される[A]顔料と同様の成分である。
当該組成物における全固形分に占める[A]顔料の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。この含有量の下限は、さらに20質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましい。[A]顔料の含有量を上記範囲とすることで、分散性を高め、得られる赤外線遮蔽膜の諸特性をより良好なものとすることができる。
([B]溶媒)
当該組成物に含有される[B]溶媒は、上述した当該分散液に含有される[B]溶媒と同様の成分である。
当該組成物における[B]溶媒の含有量は、特に限定されるものではない。当該組成物における固形分濃度([B]溶媒を除いた各成分の合計濃度)の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。一方、この固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。固形分濃度を上記範囲とすることにより、分散性、安定性、塗布性等がより良好なものとなる。
([C]無機化合物)
当該組成物に含有される[C]無機化合物は、上述した当該分散液に含有される[C]無機化合物と同様の成分である。
当該組成物における[C]無機化合物の含有量の上限は、1000ppmであり、800ppmが好ましく、600ppmがより好ましいこともあり、400ppmがより好ましいこともある。[C]無機化合物の含有量を上記上限以下とすることで、異物が低減され、得られる赤外線遮蔽膜の赤外線遮蔽性、コントラスト特性、透明性等も良好なものとなる。
当該組成物における[C]無機化合物の含有量の下限は、0.1ppmであり、1ppmであってもよく、10ppmであってもよく、100ppmであってもよく、200ppmであってもよい。
([D]分散剤)
当該組成物に含有される[D]分散剤は、上述した当該分散液に含有される[D]分散剤と同様の成分である。当該組成物における[A]顔料100質量部に対する[D]分散剤の好適な含有量も、当該分散液における含有量と同様である。
([E]重合性化合物)
[E]重合性化合物は、当該組成物に良好な硬化性や得られる赤外線遮蔽膜の良好な耐熱性等を付与することができる成分である。[E]重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えばエチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。[E]重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましく、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。[E]重合性化合物は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物等である多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの反応物等である多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物等であるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物や、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。上記酸無水物としては、例えば無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸の無水物や、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の四塩基酸二無水物を挙げることができる。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、例えばω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、こはく酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の中でも、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、3個以上10個以下の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えばメラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
当該組成物における全固形分に占める[E]重合性化合物の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、70質量%が好ましく、50質量%がより好ましい。
([F]重合開始剤)
[F]重合開始剤は、光や熱の付与により、[E]重合性化合物の重合を開始させる成分である。[F]重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤等を挙げることができるが、光重合開始剤が好ましい。これにより、当該組成物に感光性(感放射線性)を付与することができる。光重合開始剤とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、[E]重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物をいう。[F]重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
[F]重合開始剤としては、例えばチオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。これらの中でも、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物が好ましく、O−アシルオキシム系化合物がより好ましい。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
アセトフェノン系化合物としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
ビイミダゾール系化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
なお、ビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。
トリアジン系化合物としては、例えば特公昭57−6096号公報、特開2003−238898号公報の段落[0063]〜[0065]に記載の化合物を挙げることができる。
O−アシルオキシム系化合物としては、1,2−オクタンジオン−1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製))、OXE−03、OXE−04(以上、BASF社製)等を使用することもできる。
光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
当該組成物における全固形分に占める[F]重合開始剤の含有量の下限としては、0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、30質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。
([G]有機色素)
[G]有機色素は、波長600nm以上1,000nm以下の範囲に極大吸収波長を有する色素が好ましい。このような極大吸収波長を有する[G]有機色素を用いることで、得られる赤外線遮蔽膜の可視光透過性や赤外線遮蔽性をより良好にすることができる。
[G]有機色素としては、従来公知の有機色素を適宜選択して用いることができる。[G]有機色素としては、ジイミニウム化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、アゾ化合物、アントラキノン化合物、ポルフィリン化合物、ピロロピロール化合物、オキソノール化合物、クロコニウム化合物、ヘキサフィリン化合物又はこれらの組み合わせを用いることができる。[G]有機色素は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
当該組成物における全固形分に占める[G]有機色素の含有量の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、30質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。
(その他の成分等)
当該組成物は、その他の成分(固形分)をさらに含有していてもよい。その他の成分としては、バインダーポリマー、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、残渣改善剤、現像性改善剤等を挙げることができる。
バインダーポリマーは、当該組成物から得られる赤外線遮蔽膜における基材となる成分である。バインダーポリマーとしては、特に限定されるものではないが、カルボキシ基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシ基を有する重合体(以下、「カルボキシ基含有重合体」とも称する。)が好ましい。カルボキシ基含有重合体としては、例えば、1個以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。
上記不飽和単量体(1)としては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
上記不飽和単量体(2)としては、例えば
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−位置換マレイミド、
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレン等の芳香族ビニル化合物、
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン等の(メタ)アクリル酸エステル、
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン等のビニルエーテル、
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
また、バインダーポリマーとしては、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を用いることもできる。また、ポリシロキサン等もバインダーポリマーとして用いることができる。
界面活性剤としては、フッ素界面活性剤、シリコーン界面活性剤等を挙げることができる。
密着促進剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサ−スピロ[5.5]ウンデカン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等を挙げることができる。酸化防止剤の含有量としては、[A]フタロシアニン化合物100質量部に対して、通常0.01質量部以上10質量部以下とすることができる。
紫外線吸収剤としては、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等を挙げることができる。
凝集防止剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。
残渣改善剤としては、マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等を挙げることができる。
現像性改善剤としては、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等剤等を挙げることができる。
当該組成物における全固形分に占める上記その他の成分の含有量の上限としては、例えば50質量%が好ましいことがあり、20質量%がより好ましいことがあり、10質量%がより好ましいことがある。その他の成分の含有量を上記上限以下とすることで、異物がより低減され、得られる赤外線遮蔽膜の諸特性をより高めることなどができる。
(調製方法)
当該組成物の調製方法としては、特に限定されない。例えば、上述した[A]顔料、[B]溶媒及び[C]無機化合物を含む分散液に他の成分を加えることによって、当該組成物を調製することができる。他の成分は、予め溶媒に溶解させておき、この溶液と上記分散液とを混合することが好ましい。このようにして調製された組成物は、濾過によって異物を取り除いてもよい。
<赤外線遮蔽膜>
本発明の一実施形態に係る赤外線遮蔽膜は、当該固体撮像素子用硬化性組成物から形成される固体撮像素子用の赤外線遮蔽膜である。当該赤外線遮蔽膜は、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性、コントラスト特性及び透明性を兼ね備える。
当該赤外線遮蔽膜は、一構成部材として、固体撮像素子に組み込まれているものであることが好ましい。この場合、当該赤外線遮蔽膜が、単体で光学フィルター(赤外線カットフィルター)として機能する。固体撮像素子に当該赤外線遮蔽膜が組み込まれていることで、大きなプロセスマージンを獲得することなどができ好ましい。当該赤外線遮蔽膜が固体撮像素子に組み込まれている場合、当該赤外線遮蔽膜は、例えば固体撮像素子のマイクロレンズの外面側、マイクロレンズとカラーフィルターとの間、カラーフィルターとフォトダイオードとの間などに配することができる。当該赤外線遮蔽膜は、マイクロレンズとカラーフィルターとの間又はカラーフィルターとフォトダイオードとの間に積層されることが好ましい。
光学フィルターとしては、透明基板の表面に当該赤外線遮蔽膜が積層されてなるものであってもよい。上記透明基板としては、ガラスや透明樹脂等が採用される。上記透明樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。このような光学フィルターも、固体撮像素子における赤外線カットフィルターなどとして好適に用いられる。
当該赤外線遮蔽膜の形成方法の一例は、
基板の一方の面側に塗膜を形成する工程(工程a)、
上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(工程b)、及び
放射線照射後の上記塗膜を現像する工程(工程c)
を備え、
上記塗膜を当該固体撮像素子用硬化性組成物により形成する。
(工程a)
工程aにおいては、当該組成物を用い、基板(支持体)の一方の面側に塗膜を形成する。上記基板としては、ガラス基板、合成樹脂基板等が挙げられる。なお、基板の形状は、板状に限定されるものではない。なお、固体撮像素子中に赤外線遮蔽膜を組み込む場合、固体撮像素子の構成要素である透明基板、マイクロレンズ、カラーフィルター等が、上記基板に相当する。
塗膜の形成は、通常、当該組成物の塗布により行うことができる。上記塗布は、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができる。
塗布の後、プレベークを行って溶媒を蒸発させることで、塗膜が形成される。上記プレベークにおける加熱乾燥の条件としては、例えば70℃以上110℃以下、1分以上10分以下程度である。
(工程b)
工程bにおいては、上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。塗膜の露光に用いる放射線の光源としては、例えばキセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190nm以上450nm以下の範囲にある放射線が好ましい。放射線の露光量は、一般的には10J/m以上50,000J/m以下程度である。
(工程c)
工程cにおいては、放射線照射後の上記塗膜を現像する。上記現像液としては、アルカリ現像液又は有機溶媒現像液が一般的である。なお、現像後は、通常、水洗する。
アルカリ現像液としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤等を適量添加することもできる。
有機溶媒現像液としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類を好ましく用いることができる。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5秒以上300秒以下程度である。
上記現像により、塗膜の非露光部が溶解除去される。その後、必要に応じポストベークすることにより、所定形状にパターニングされた赤外線遮蔽膜が得られる。ポストベークの条件としては、通常180℃以上280℃以下、1分以上60分以下程度である。
なお、当該組成物が、[E]重合性化合物及び[F]重合開始剤を含有しない場合は、上記形成方法と異なり、露光処理や現像処理を行わなくてもよく、この場合、パターニングされていない赤外線遮蔽膜を形成することができる。
このようにして形成された固体撮像素子用赤外線遮蔽膜の平均膜厚の下限としては、通常0.5μmであり、1μmが好ましい。一方、この平均膜厚の上限としては、通常100μmであり、50μmが好ましい。赤外線遮蔽膜の平均膜厚が上記範囲であることによって、可視光透過性と赤外線遮蔽性とのバランスがより良好なものとなる。
<固体撮像素子>
本発明の一実施形態に係る固体撮像素子は、当該赤外線遮蔽膜を有する固体撮像素子である。当該固体撮像素子は、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性、コントラスト特性及び透明性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を有するため、良好な視感度補正がなされる。
当該固体撮像素子は、一般的に、複数のフォトダイオードが配置される層、カラーフィルター、及びマイクロレンズがこの順に積層されてなる構造を有する。また、これらの層間には、平坦化層が設けられていてもよい。当該固体撮像素子においては、マイクロレンズ側から光が入射する。入射光は、マイクロレンズ及びカラーフィルターを透過し、フォトダイオードに到達する。なお、カラーフィルターについては、例えばR(赤)、G(緑)及びB(青)のフィルターのそれぞれにおいて、特定の波長範囲の光のみが透過するよう構成されている。
当該固体撮像素子において、当該赤外線遮蔽膜は、上記マイクロレンズの外面側、上記マイクロレンズと上記カラーフィルターとの間、上記カラーフィルターと上記複数のフォトダイオードが配置される層との間などに設けられることができる。当該赤外線遮蔽膜は、マイクロレンズとカラーフィルターとの間又はカラーフィルターとフォトダイオードとの間に積層されることが好ましい。なお、当該赤外線遮蔽膜と、マイクロレンズ、カラーフィルター、フォトダイオード等との間には、さらに別の層(平坦化層等)が設けられていてもよい。
当該固体撮像素子の具体例としては、カメラモジュールとしてのCCDやCMOSなどが挙げられる。当該固体撮像素子は、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、医療機器等に有用である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<合成例1>(セシウム酸化タングステン粉末の合成)
特許第4096205号公報の段落[0113]に記載の方法を用いて、セシウム酸化タングステン(Cs0.33WO)粉末を合成した。
[実施例1]
[A]顔料としての上記合成例1で得られたセシウム酸化タングステン粉末25.0質量部、[B]溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)64.4質量部、[D]分散剤としてのアクリル系高分子分散剤溶液(アミン価120mg/KOH、固形分濃度60質量%)10.6質量部、及びジルコニアビーズ(粒径0.1mm)2000質量部を混合した。この混合物に対して、ペイントシェーカーを用いて6時間粉砕処理を行った。粉砕処理を行った上記混合物からジルコニアビーズを取り除いた。この混合物に対し、ジルコニアビーズ由来の[C]無機化合物を含む異物を除去すべく、遠心加速度3000Gで10分間遠心分離を施し、実施例1の分散液を得た。
得られた分散液について、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計:アジレント・テクノロジー社の「7500cs」)を用いて、[C]無機化合物であるジルコニアの含有量を測定した。含有量は、450ppmであった。また、得られた分散液について、光散乱測定装置(ドイツALV社の「ALV−5000」)を用いた動的散乱法(DLS)による測定によって最大粒径を測定した。最大粒径は、35nmであった。
[E]重合性化合物としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び[F]重合開始剤としてのADEKA社の「NCI−930」(O−アシルオキシム系化合物)を[B]溶媒としてのPGMEAに溶解した。これらの混合比は、最終的に得られる組成物が以下の組成となる量とした。上記溶液と上記分散液とを1:4の質量比で混合し、実施例1の硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物における各成分の含有量は以下の通りである。
[A]:セシウム酸化タングステン 20.0質量%
[B]:PGMEA 66.0質量%
[D]:アクリル系高分子分散剤(固形分)8.5質量%
[E]:重合性化合物 5.0質量%
[F]:重合開始剤 0.5質量%
また、得られた硬化性組成物について、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計:アジレント・テクノロジー社の「7500cs」)を用いて、[C]無機化合物であるジルコニアの含有量を測定した。含有量は、361ppmであった。
[実施例2〜10、比較例1〜4]
顔料の粉砕方法、用いたジルコニアビーズの粒径、遠心分離の際の遠心加速度及び処理時間、並びに用いた[B]溶媒を表1及び表2に示すとおりとしたこと以外は実施例1と同様の操作をして、実施例2〜10及び比較例1〜4の各分散液を得た。なお、実施例9、10及び比較例3においては、顔料の粉砕方法として、混合物に対して、ジルコニア製ビーズを用いたビーズミルにより1500rpmで1時間の粉砕処理を行った。また、比較例1、4については粉砕処理を行わなかった。さらに、比較例1〜3については、遠心分離の処理を行わなかった。その後、実施例1と同様の操作をして、実施例2〜10及び比較例1〜4の各硬化性組成物を得た。なお、実施例4においては、分散液の調製及び硬化性組成物の調製のいずれにおいても、[B]溶媒として、シクロペンタノン(CPN)を用いた。
得られた各分散液について、実施例1と同様の方法にて、[C]無機化合物であるジルコニアの含有量及び最大粒径を測定した。なお、比較例1、4については、最大粒径を測定することができなかった。また、得られた各硬化性組成物について、実施例1と同様の方法にて、[C]無機化合物であるジルコニアの含有量を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
<評価>
上記実施例及び比較例で得られた各硬化性組成物について、以下の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
(赤外線遮蔽性)
ガラス基板に硬化性組成物をスピナーを用いて塗布し、膜厚が2.0μmの塗膜を形成した。分光光度計(日立製作所社の「150−20型ダブルビーム」)を用いて、塗膜の波長1200nmの透過率を測定した。この透過率が低いほど、赤外線遮蔽性が良好である。上記透過率に基づき、以下の基準で赤外線遮蔽性を評価した。
A:1%以下
B:1%超2%以下
C:2%超
(コントラスト特性)
ガラス基板に硬化性組成物をスピナーを用いて塗布し、膜厚が1μmの塗膜を形成した。コントラスト計(TUBOSAKA社製の「CT−1BA」)を用い、塗膜のコントラスト値を測定した。このコントラスト値が高いほど、コントラスト特性が良好である。上記コントラスト値に基づき、以下の基準でコントラスト特性を評価した。
A:10,000超
B: 5,000超10,000以下
C: 5,000以下又は測定不可
(塗膜中の異物)
シリコン基板に硬化性組成物をスピナーを用いて塗布し、膜厚が1μmの塗膜を形成した。欠陥/異物検査装置(KLA−Tencor社の「KLA 2351」)を用いて、塗膜の欠陥密度(Defect density)を測定した。ここで、欠陥とは、サイズが1μm以上となる検出点を指す。この欠陥密度の値が小さいほど、異物が少ないと判断できる。上記欠陥密度に基づき、以下の基準で塗膜中の異物の少なさを評価した。
A:10/cm以下
B:10/cm超50/cm以下
C:50/cm
(組成物中の異物)
硬化性組成物200mLを0.5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製フィルターを用いて0.5MPaで3分間加圧濾過した。このときのろ液の回収率に基づいて以下の基準で、組成物中の異物の量(濾過性)を評価した。A又はBの場合、異物量が少なく、Aの場合、特に優れると評価した。なお、異物の捕集が多く、回収率が90%未満(C)の場合、濾過が不十分となり、生産性が著しく低下する。
A:95%以上
B:90%以上95%未満
C:90%未満
(経時安定性:コントラスト特性及び異物の量の経時変化評価)
硬化性組成物を1週間放置した。1週間経過後の硬化性組成物について、上記「コントラスト特性」と同様の方法及び基準にて、コントラスト特性を評価した。また、1週間経過後の硬化性組成物について、上記「塗膜中の異物」の評価の方法及び基準にて、塗膜中の異物の量について評価した。
Figure 0006852571
Figure 0006852571
表1及び表2に示されるように、実施例1〜10の分散液及び硬化性組成物からは、異物が少なく、良好な赤外線遮蔽性及びコントラスト特性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができる。また、実施例1〜10の硬化性組成物は、コントラスト特性の経時変化も小さいことがわかる。また、用いた溶媒の種類のみが異なる実施例3と実施例4とを比べると、CPNを用いた実施例4の方が、コントラスト特性やこのコントラスト特性の経時安定性に優れることがわかる。一方、比較例1〜4の硬化性組成物は、いずれも分散性が悪かった。このため、比較例1〜4の硬化性組成物からは、異物が少なくかつ良好な赤外線遮蔽性及びコントラスト特性を兼ね備える赤外線遮蔽膜を得ることができなかった。
本発明の固体撮像素子用分散液及び固体撮像素子用硬化性組成物は、固体撮像素子の赤外線遮断フィルターの材料として好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 顔料及び溶媒を含有する固体撮像素子用分散液において、
    上記顔料以外のモース硬度が2以上である無機化合物をさらに含有し、
    上記無機化合物の含有量が100ppm以上1000ppm以下である固体撮像素子用分散液。
  2. 上記無機化合物が、ジルコニア、メノウ、石英、チタニア、タングステンカーバイト、窒化ケイ素、アルミナ、ステンレス鋼、ガラス又はこれらの組み合わせである請求項1に記載の固体撮像素子用分散液。
  3. 上記固体撮像素子用分散液に対する動的光散乱法により測定される最大粒径が、100nm以下である請求項1又は請求項2に記載の固体撮像素子用分散液。
  4. 上記顔料が、波長800nm以上2000nm以下の範囲に極大吸収波長を有する金属酸化物である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の固体撮像素子用分散液。
  5. 上記顔料が、セシウム酸化タングステンである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固体撮像素子用分散液。
  6. 顔料及び溶媒を含有する固体撮像素子用分散液の製造方法において、
    無機化合物として、ジルコニア、メノウ、石英、チタニア、タングステンカーバイト、窒化ケイ素、アルミナ、ステンレス鋼、ガラス又はこれらの組み合わせを用い、上記顔料を粉砕する工程、及び
    上記顔料を含む混合物を遠心分離又は濾過する工程
    を備え
    上記遠心分離又は濾過する工程において、上記固体撮像素子用分散液中の上記無機化合物の含有量を100ppm以上1000ppm以下にする固体撮像素子用分散液の製造方法。
  7. 上記粉砕する工程を上記遠心分離又は濾過する工程よりも前に行う請求項6に記載の固体撮像素子用分散液の製造方法。
  8. 顔料及び溶媒を含有する固体撮像素子用硬化性組成物において、
    上記顔料以外のモース硬度が2以上である無機化合物をさらに含有し、
    上記無機化合物の含有量が100ppm以上1000ppm以下である固体撮像素子用硬化性組成物。
  9. 請求項8に記載の固体撮像素子用硬化性組成物から形成される固体撮像素子用の赤外線遮蔽膜。
  10. 請求項9の赤外線遮蔽膜を有する固体撮像素子。
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