以下、本発明における打込機の一実施形態を図面を参照して説明する。各図において、同じ要素は同じ符号を付してある。
図1に示す打込機10は、ハウジング11、打撃部12、マガジン13、電動モータ14、駆動機構15、制御基板16、電池パック17及びウェイト18を有する。ハウジング11は、筒形状の本体部19と、本体部19に接続されたハンドル20と、本体部19に接続されたモータケース21と、を有する。装着部22がハンドル20及びモータケース21に接続されている。
図2のように、射出部23が本体部19の外に設けられ、射出部23が本体部19に固定されている。接触部材24が射出部23に取り付けられている。射出部23及び接触部材24に亘って射出路25が設けられている。ユーザは、接触部材24の先端を被打込材W1に押し付ける。
マガジン13は、ハウジング11及び射出部23により支持されている。マガジン13は、止具26を複数収容する。止具26は釘を含み、止具26の材質は、金属、非鉄金属、鋼を含む。止具26同士は接続要素で互いに接続されている。接続要素は、ワイヤ、接着剤、樹脂の何れでもよい。止具26は棒形状である。マガジン13はフィーダを有する。フィーダは、マガジン13に収容された止具26を射出路25に送る。接触部材24は、止具26の打ち込み位置、止具26の姿勢、止具26の打ち込み方向をガイドする。
打撃部12は、本体部19の内外に亘って設けられている。打撃部12は、本体部19内に配置された金属製または合成樹脂製のプランジャ27と、プランジャ27に固定された金属製のドライバブレード28と、を有する。プランジャシャフト29が本体部19内に設けられている。図2及び図3に示すトップホルダ30及びボトムホルダ31が、ハウジング11内に固定して設けられている。プランジャシャフト29は、トップホルダ30及びボトムホルダ31に固定されている。図4乃至図10のように、2個のガイドバー32A,32Bが設けられている。ガイドバー32A,32Bは本体部19内に配置され、かつ、トップホルダ30及びボトムホルダ31に固定されている。ガイドバー32A,32Bは、共にプレート状であり、かつ、プランジャシャフト29の軸線A1と平行に配置されている。
図5、図7、図9のように、ガイドバー32Aにはガイド孔77が設けられ、ガイドバー32Bにはガイド孔78が設けられている。ガイド孔77,78は、軸線A1と平行に配置されている。ガイドバー32A,32Bを平面断面視すると、軸線A1は、ガイド孔77,78の幅方向の軸線A3上に位置する。
図9のように、ガイドバー32Aは接触部81を有し、ガイドバー32Bは接触部82を有する。図3、図6、図8及び図10のように、接触部81,82は、軸線A1方向でトップホルダ30とボトムホルダ31との間に配置されている。接触部81,82は、軸線A1方向で異なる位置に配置されている。接触部82は、軸線A1方向でトップホルダ30と接触部81との間に配置されている。図9のように、接触部81は、ガイドバー32Aから軸線E1方向に突出し、接触部82は、ガイドバー32Bから軸線E1方向に突出している。軸線E1は、軸線A1を通り、かつ、軸線A3と直角に交差する。軸線E1は、接触部81と接触部82との間に位置する。
接触部81は突起81Aを有し、接触部82は突起82Aを有する。突起81Aは、接触部81から軸線A3方向で接触部82に近づく向きに突出している。突起82Aは、接触部82から軸線A3方向で接触部81に近づく向きに突出している。軸線A3方向で、突起81Aと突起82Aとの間隔は、ガイドバー32Aとガイドバー32Bとの間隔よりも小さい。突起81A及び突起82Aはウェイト18及びプランジャ27に設けられていてもよい。
接触部81,82及び突起81A,82Aは、金属素材の摩擦係数よりも摩擦係数の小さい、低摩擦材料で構成することが望ましい。低摩擦材料は、例えば、自己潤滑性樹脂、被覆処理を行った金属材料、潤滑材を含浸させた金属材料を含む。自己潤滑性樹脂は、ポリアセタール(Polyoxymethylene:POM)樹脂、フッ素樹脂を含む。金属材料に施す被覆処理は、自己潤滑性樹脂または固体潤滑被膜の被覆処理を含む。また、被覆処理は、塗布やメッキ処理を含む。
プランジャ27は貫通孔27Aを有し、プランジャシャフト29は貫通孔27A内に配置されている。プランジャ27は、プランジャシャフト29に沿って軸線A1方向に移動可能である。プランジャ27は、軸線A3方向でガイドバー32Aとガイドバー32Bとの間に配置されている。プランジャ27は、突起79,80を有する。突起79はガイド孔77に配置され、突起80はガイド孔78に配置されている。プランジャ27が軸線A1方向に移動すると、突起79はガイド孔77内で移動し、突起80はガイド孔78内で移動する。
プランジャシャフト29は、プランジャ27を軸線A1を中心とする径方向に位置決めし、かつ、プランジャ27を直線状に移動させる機能を有する。図5、図7及び図9のように、軸線A1に対して垂直な平面断面内において、ガイドバー32A,32Bは、プランジャ27を軸線A1を中心として回転方向に位置決めする機能と、プランジャ27を軸線A3方向に位置決めする機能と、を有する。
ドライバブレード28は、プランジャ27と共に軸線A1に対して平行に移動可能であり、かつ、本体部19内及び射出路25内で移動する。
ウェイト18は、ハウジング11が受ける反動を抑制する。ウェイト18の材質は、金属、非鉄金属、鋼、セラミックの何れでもよい。ウェイト18は貫通孔83を有し、プランジャシャフト29は貫通孔83に配置されている。プランジャシャフト29は、ウェイト18を軸線A1方向に移動可能に支持する。プランジャシャフト29は、ウェイト18を軸線A1に対して径方向に位置決めする機能を有する。ウェイト18は、2個の突起84を有する。図3は、便宜上、1個の突起84のみを示す。2個の突起84は、ガイド孔77,78にそれぞれ配置されている。ウェイト18がプランジャシャフト29に沿って軸線A1方向に移動すると、2個の突起84は、ガイド孔77,78内で軸線A1方向に移動する。
図9のように、軸線A1に対して垂直な平面断面内において、ガイドバー32A,32Bは、ウェイト18を軸線A1を中心として回転方向に位置決めする機能と、ウェイト18を軸線A3方向に位置決めする機能と、を有する。
スプリング33が本体部19内に配置され、スプリング33は、軸線A1方向でプランジャ27とウェイト18との間に配置されている。スプリング33は金属製の圧縮コイルスプリングであり、軸線A1方向に伸縮可能である。スプリング33の材質としては、金属、非鉄金属、セラミックを用いることができる。スプリング33は、軸線A1方向の圧縮力を受けて弾性エネルギを蓄積する。スプリング33は、打込機10に設ける第1付勢機構及び第3付勢機構の具体例である。
図2のように、本体部19内にウェイトバンパ34及びプランジャバンパ35が設けられている。ウェイトバンパ34はトップホルダ30とウェイト18との間に配置され、プランジャバンパ35は、ボトムホルダ31とプランジャ27との間に配置されている。ウェイトバンパ34及びプランジャバンパ35は、共に合成ゴム製である。
プランジャ27は、軸線A1方向でボトムホルダ31に近づく第1方向D1の付勢力を、スプリング33から受ける。ウェイト18は、軸線A1に沿った方向でトップホルダ30に近づく第2方向D2の付勢力を、スプリング33から受ける。第1方向D1と第2方向D2とは互いに逆向きであり、第1方向D1及び第2方向D2は、軸線A1と平行である。プランジャ27及びウェイト18は、共通のスプリング33から付勢力を受ける。
図1及び図2に示す打込機10は、軸線A1が鉛直線と平行な状態である例を示す。打撃部12またはプランジャ27またはウェイト18が、第1方向D1にそれぞれ移動することを下降と呼ぶ。図1において、打撃部12またはプランジャ27またはウェイト18が、第2方向D2にそれぞれ移動することを上昇と呼ぶ。打撃部12及びウェイト18は、軸線A1方向でそれぞれ往復移動可能である。
図1に示す電池パック17は、装着部22に対して取り付け及び取り外し可能である。電池パック17は、収容ケースと、収容ケース内に収容した複数の電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。電池パック17は直流電源であり、電池パック17の電力は電動モータ14に供給可能である。
図1に示す制御基板16は、装着部22内に設けられており、制御基板16には、図11に示すコントローラ37、インバータ回路38が設けられている。コントローラ37は、入力ポート、出力ポート及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。インバータ回路38は、スイッチング素子を有する。インバータ回路38は、電池パック17と電動モータ14との間に形成された電気回路を接続及び遮断する。
図1のように、トリガ39及びトリガスイッチ40がハンドル20に設けられており、ユーザがトリガ39に操作力を加えるとトリガスイッチ40がオンし、トリガ39に加えた操作力を解除するとトリガスイッチ40がオフする。本体部19内に位置検出センサ41が設けられている。位置検出センサ41は、軸線A1方向におけるウェイト18の位置を検出して信号を出力する。コントローラ37は、トリガスイッチ40の信号、位置検出センサ41の信号を受信し、かつ、インバータ回路38を制御する。
電動モータ14は、ロータ及びステータを有し、モータ軸42がロータに連結されている。電動モータ14は、電池パック17から電力が供給されるとモータ軸42が回転する。減速機43がモータケース21内に配置されている。図2に示すように、減速機43は、サンギヤ44、リングギヤ45及びキャリヤ46を有する。リングギヤ45は回転不可能に設けられ、サンギヤ44はモータ軸42と共に回転する。サンギヤ44及びリングギヤ45に噛み合うピニオンギヤ47が設けられ、キャリヤ46は、ピニオンギヤ47を自転及び公転可能に支持する。キャリヤ46は駆動軸48と共に、軸線A2を中心として一体回転可能である。駆動軸48の外周面に駆動ギヤ49が設けられている。
図2に示す駆動機構15は、駆動軸48の回転力を打撃部12の移動力及びウェイト18の移動力に変換する。駆動機構15は、図2及び図4のように、第1ギヤ50、第2ギヤ51及び第3ギヤ52を有する。第1ギヤ50は駆動ギヤ49に噛み合っている。第1ギヤ50は第1支持軸53により回転可能に支持されている。第2ギヤ51は第2支持軸54により回転可能に支持されている。第3ギヤ52は第3支持軸55により回転可能に支持されている。ギヤホルダ56がハウジング11内に固定して設けられ、第1支持軸53、第2支持軸54及び第3支持軸55はギヤホルダ56に取り付けられている。第1ギヤ50は軸線B1を中心として回転し、第2ギヤ51は軸線B2を中心として回転し、第3ギヤ52は軸線B3を中心として回転する。
図4のように、軸線B1,B2,B3は、軸線A1方向に並べて配置されている。軸線B2は、軸線B1と軸線B3との間に配置されている。第1ギヤ50の外径と第3ギヤ52の外径とは同じであり、第2ギヤ51の外径は、第1ギヤ50の外径及び第3ギヤ52の外径よりも小さい。第2ギヤ51は第1ギヤ50及び第3ギヤ52に噛み合っている。
カムローラ57,58が第1ギヤ50に設けられ、カムローラ59が第3ギヤ52に設けられている。カムローラ57,58は第1ギヤ50から軸線B1方向に突出している。カムローラ59は第3ギヤ52から軸線B3方向に突出している。カムローラ57,58は、軸線B1を中心として同一円周上に配置されている。カムローラ57,58,59の直径は全て同一である。
第1ギヤ50に設けたカムローラ57,58は、第1ギヤ50に対して自転可能であり、カムローラ57,58は、第1ギヤ50の回転方向で90度の間隔をおいて配置されている。第3ギヤ52に設けたカムローラ59は、第3ギヤ52に対して自転可能である。
電池パック17の電力が電動モータ14に供給されてモータ軸42が正回転すると、モータ軸42の回転力が減速機43を介して第1ギヤ50に伝達される。電動モータ14の回転力が第1ギヤ50に伝達されると、第1ギヤ50は図4で時計回りに回転する。第2ギヤ51は反時計回りに回転し、第3ギヤ52は時計回りに回転する。
図3のように、プランジャアーム部61がプランジャ27に設けられている。プランジャアーム部61は、プランジャ27と共に軸線A1方向に移動可能である。プランジャアーム部61は金属製であり、プランジャアーム部61は、係合部62,63を有する。係合部62,63は、プランジャアーム部61から軸線E1方向に突出している。係合部62,63は、軸線A1方向で異なる位置に配置されている。軸線A1方向におけるプランジャ27の位置に関わりなく、係合部63は、軸線A1方向で係合部62とトップホルダ30との間に配置されている。第1ギヤ50が回転すると、カムローラ57は係合部63に係合及び解放可能である。第1ギヤ50が回転すると、カムローラ58は係合部63に係合及び解放可能である。
ウェイトアーム部65がウェイト18に設けられている。ウェイトアーム部65はウェイト18から軸線E1方向に突出している。第3ギヤ52が回転すると、カムローラ59は、ウェイトアーム部65に係合及び解放可能である。
図1に示すように、回転規制機構66が、モータケース21内に設けられている。回転規制機構66は、図4に示す第1ギヤ50の反時計回りの回転力が、駆動ギヤ49に伝達された場合に、その回転力でモータ軸42が逆回転することを防止する。
次に、打込機10の使用例を説明する。コントローラ37は、トリガスイッチ40のオフを検出していると、電動モータ14に電力を供給せ、モータ軸42を停止している。ここで、駆動機構15は、図6に示すように、カムローラ58は係合部62に係合され、かつ、カムローラ57は係合部63から解放されている。また、カムローラ59はウェイトアーム部65に係合されている。
コントローラ37は、位置検出センサ41の信号を処理することにより、プランジャ27及びウェイト18の軸線A1方向の位置を推定している。コントローラ37は、プランジャ27がプランジャバンパ35から離れ、かつ、ウェイト18がウェイトバンパ34から離れている状態で、電動モータ14を停止している。
プランジャ27がプランジャバンパ35から離れていると、プランジャ27はスプリング33から第1方向D1の付勢力を受ける。プランジャ27が受ける第1方向D1の付勢力の一部は、係合部62及びカムローラ58を介して第1ギヤ50に伝達され、第1ギヤ50は図6で反時計回りの回転力を受ける。プランジャ27が受ける第1方向D1の付勢力の一部は、ウェイトアーム部65及びカムローラ59を介して第3ギヤ52に伝達される。第3ギヤ52は図6で反時計回りの回転力を受ける。第3ギヤ52が受けた回転力は、第2ギヤ51を介して第1ギヤ50に伝達され、第1ギヤ50は図6で反時計回りの回転力を受ける。
回転規制機構66は、電動モータ14のモータ軸42が逆回転することを防止する。このため、第1ギヤ50及び第3ギヤ52は停止した状態に維持される。このようにして、プランジャ27はプランジャバンパ35から離れた位置、つまり、待機位置に保持される。また、ウェイト18はウェイトバンパ34から離れた位置、つまり、待機位置で停止している。
さらに、プランジャ27が待機位置で停止していると、接触部81はプランジャアーム部61から離れている。ウェイト18が待機位置で停止していると、接触部82はウェイトアーム部65から離れている。
ユーザが接触部材24の先端を被打込材W1に押し付け、かつ、コントローラ37がトリガスイッチ40をオンを検出すると、コントローラ37は電動モータ14に電力を供給し、モータ軸42を正回転させる。モータ軸42の回転力は、減速機43で増幅されて駆動ギヤ49に伝達され、第1ギヤ50が図6で時計回りに回転する。
第1ギヤ50が時計回りに回転すると、第2ギヤ51は反時計回りに回転し、第3ギヤ52は時計回りに回転する。このため、プランジャ27は、スプリング33の付勢力に抗して第2方向D2で移動する。つまり、打撃部12は上昇する。また、ウェイト18は第1方向D1で移動する。つまり、ウェイト18は下降する。
そして、図9のように、接触部81の突起81Aがプランジャアーム部61に接触した後、図8のように、打撃部12は上死点に到達する。図9に示すプランジャアーム部61のうち、突起81Aが接触する箇所61Aは、軸線E1と平行である。また、図9のように、接触部82がウェイトアーム部65に接触した後、図8のように、ウェイト18は下死点に到達する。図9のように、ウェイトアーム部65のうち、突起82Aが接触する箇所65Aは、軸線E1と平行である。打撃部12の上死点は、打撃部12がプランジャバンパ35から最も離れた位置である。ウェイト18の下死点は、ウェイト18がウェイト18がウェイトバンパ34から最も離れた位置である。
第1ギヤ50が図8で更に時計回りに回転すると、カムローラ58が係合部62から解放され、打撃部12は、図10のようにスプリング33の付勢力で下降する。また、第3ギヤ52が図8で更に時計回りに回転すると、カムローラ59ウェイトアーム部65から解放され、ウェイト18は、図10のようにスプリング33の付勢力で上昇する。ここで、カムローラ58が係合部62から解放された後、接触部81はプランジャアーム部61から離れる。また、カムローラ59がウェイトアーム部65から離れた後、接触部82はウェイトアーム部65から離れる。
このように打撃部12が下降すると、ドライバブレード28は止具26を打撃し、止具26は被打込材W1に打ち込まれる。さらに、プランジャ27は、図2及び図4のようにプランジャバンパ35に衝突し、打撃部12が下死点で停止する。また、ウェイト18は、図2及び図4のようにウェイトバンパ34に衝突し、ウェイト18は上死点で停止する。具体的には、打撃部12が下死点に到達した後、ウェイト18が下死点に到達する。このように、打撃部12が下降する際、ウェイト18は打撃部12とは逆方向に移動するため、ハウジング11の振動及び反動を低減可能である。つまり、ウェイト18は反動低減機構である。なお、打撃部12が下死点で停止した際、接触部81はプランジャアーム部61から離れている。また、ウェイト18が上死点で停止した際、接触部82はウェイトアーム部65から離れている。
止具26を被打込材W1に打ち込んだ後に、ユーザが接触部材24を被打込材W1から離し、かつ、トリガスイッチ40がオフされた後も、コントローラ37は電動モータ14を正回転させる。そして、カムローラ57が係合部63に係合すると、打撃部12がスプリング33の付勢力に抗して下死点から上昇し、プランジャ27はプランジャバンパ35から離れる。
さらに、第1ギヤ50が回転すると、カムローラ57が係合部63に係合されている間に、カムローラ58が係合部62に係合される。次いで、カムローラ57は係合部63から解放され、カムローラ58を介してプランジャ27に伝達される力で打撃部12が上昇する。さらに、第3ギヤ52の回転によりカムローラ58がウェイトアーム部65に係合され、ウェイト18が上死点から下降する。コントローラ37は、プランジャ27が図6のように待機位置に到達したことを検出すると、電動モータ14を停止する。
本実施形態において、プランジャシャフト29及びガイドバー32A,32Bは、軸線A1方向における打撃部12の位置に関わりなく、打撃部12を軸線A1に対して径方向に位置決めする。特に、軸線E1,A3方向に位置決めする。また、ガイドバー32A,32Bは、打撃部12の軸線A1方向の位置に関わりなく、打撃部12を軸線A1を中心とする回転方向に位置決めする。つまり、ガイドバー32A,32Bは、打撃部12の回り止めの機能を有する。
また、図8のように打撃部12が上死点を含む所定範囲にあると、図9のように、接触部81はプランジャアーム部61に接触し、打撃部12が軸線A1を中心として時計回りに回転することを防止する。また、打撃部12が上死点を含む所定範囲内にあると、接触部81はプランジャアーム部61に接触し、打撃部12を軸線A3方向に位置決めする。このため、カムローラ58が係合部62から離れる際に、カムローラ58と係合部62との接触箇所の反力で、打撃部12が図9で軸線A1を中心として時計回りに回転することを抑制でき、かつ、打撃部12が軸線A3方向に移動することを抑制できる。
さらに、接触部81は摩擦係数の小さい材料で構成されることから、接触部81がプランジャアーム部61に押し付けられる際の接触抵抗を低減できる。したがって、カムローラ58が係合部62から解放される際に、軸線A1方向における打撃部12の移動をスムーズにできる。
つまり、カムローラ58が係合部62から解放される際に、軸線A1方向における打撃部12の位置が変化することを抑制できる。したがって、打撃部12を位置決めする条件に関わりなく、打撃部12から止具26に加わる打撃力が、打撃を行う毎に変化することを抑制できる。打撃部12を位置決めする条件は、部品の寸法のバラツキ、部品同士の組み付け誤差等を含む。打撃部12を位置決めする条件は、貫通孔27Aの内径、プランジャシャフト29の外径、軸線A3方向におけるガイドバー32Aとガイドバー32Bとの間隔、軸線E1方向におけるガイド孔77,78の幅、軸線E1方向におけるガイド孔77とガイド孔78との位置関係、軸線E1方向における突起79,80の幅、軸線E1方向における突起79と突起80との位置関係、軸線A3方向におけるプランジャ27の幅を含む。
打撃部12の所定範囲は、例えば、次のような意味を含む。打撃部12の所定範囲例1は、図9に示すカムローラ58と係合部62との係合により、打撃部12に軸線A3方向の荷重F1が加わる間に、図8で打撃部12が軸線A1方向に移動する範囲である。打撃部12の所定範囲例2は、図9に示すカムローラ58と係合部62との係合により、打撃部12に軸線A1を中心とする反時計回りの荷重F2が加わる間に、図8で打撃部12が軸線A1方向に移動する範囲である。なお、荷重F1,F2は、分力を含む。
さらに、打撃部12が所定範囲外にあると、接触部81はプランジャアーム部61から離れている。このため、打撃部12が第2方向D2で移動する際の移動抵抗が増加することを抑制できる。また、打撃部12が第1方向D1で移動する際の移動抵抗が増加することを抑制できる。したがって、打撃部12が止具に加える打撃エネルギの低下を抑制できる。
また、プランジャシャフト29は、軸線A1方向におけるウェイト18の位置に関わりなく、ウェイト18を軸線A1を中心とする径方向に位置決めする。特に、図9でウェイト18を軸線E1,A3方向に位置決めする。また、ガイドバー32A,32Bは、ウェイト18の軸線A1方向の位置に関わりなく、ウェイト18を軸線A1を中心とする回転方向に位置決めする。つまり、ガイドバー32A,32Bは、ウェイト18の回り止めの機能を有する。
これに対して、接触部82は、ウェイト18が下死点を含む所定範囲内にあると、図9のようウェイトアーム部65に接触して、ウェイト18が軸線A1を中心として反時計回りに回転することを防止する。また、接触部82は、ウェイト18が所定範囲外にあると、図9のようにウェイトアーム部65に接触して、ウェイト18を軸線A3方向に位置決めする。このため、カムローラ59がウェイトアーム部65から解放される際に、カムローラ59とウェイトアーム部65との接触箇所の反力で、ウェイト18が図9で軸線A1を中心として反時計回りに回転することを抑制でき、かつ、ウェイト18が軸線A3方向に移動することを抑制できる。
接触部82を低摩擦材料で構成すると、接触部82がウェイトアーム部65に押し付けられる際の接触抵抗を低減できす。したがって、カムローラ59がウェイトアーム部65から解放される際に、軸線A1方向におけるウェイト18の移動をスムーズにできる。
つまり、カムローラ59がウェイトアーム部65から離れる時点における軸線A1方向のウェイト18の位置が変動することを抑制できる。つまり、打撃部12を位置決めする条件及びウェイト18を位置決めする条件に関わりなく、打撃部12が上死点から下死点に向けて移動するタイミングと、ウェイト18が下死点から上死点に向けて移動するタイミングとが、変化することを抑制可能である。したがって、ウェイト18の反動低減機能の低下を抑制できる。
ウェイト18の所定範囲は、例えば、次のような意味を含む。ウェイト18の所定範囲例1は、カムローラ59とウェイトアーム部65との係合により、ウェイト18に軸線A3方向の荷重F3が加わる間に、図8でウェイト18が軸線A1方向で移動する範囲である。所定範囲例2は、カムローラ59とウェイトアーム部65との係合により、ウェイト18に軸線A1を中心とする時計回りの荷重F4が加わる間に、図8でウェイト18が軸線A1方向に移動する範囲である。なお、荷重F3,F4は、分力を含む。
ウェイト18を位置決めする条件は、部品の寸法のバラツキ、部品同士の組み付け誤差等を含む。ウェイト18を位置決めする条件は、貫通孔83の内径、プランジャシャフト29の外径、軸線A3方向におけるガイドバー32Aとガイドバー32Bとの間隔、軸線E1方向におけるガイド孔77,78の幅、軸線E1方向におけるガイド孔77とガイド孔78との位置関係、軸線E1方向における突起84の幅、軸線E1方向における突起80同士の位置関係、軸線A3方向におけるウェイト18の幅を含む。
また、ウェイト18が所定範囲外にあると、接触部82はウェイトアーム部65から解放されている。このため、ウェイト18が第1方向D1及び第2方向D2で移動する際の移動抵抗が増加することを抑制できる。
次に、打撃部12及びウェイト18を位置決めする機構の他の例を、図12乃至図15を参照して説明する。図12乃至図15に示す要素において、図1乃至図10と同じ要素は、図1乃至図10と同じ符号を付してある。図12乃至図15に示す要素及び機構は、図1及び図2のハウジング11内に設けることが可能である。ガイドバー32Aは、軸線E1方向の幅を他の箇所よりも広くした幅広部86を有する。幅広部86を軸線A3方向に貫通する開口部87が設けられている。開口部87は、軸線E1方向でガイドバー32Aと第1ギヤ50との間に配置されている。
幅広部86における軸線E1方向の両端に、腕部88がそれぞれ接続されている。腕部88は軸89を支持している。図15に示すプランジャ27の平面断面視で、軸89の軸線B4は軸線E1と平行である。ローラ90が軸89に取り付けられている。ローラ90は軸線B4を中心として回転可能である。ローラ90は、軸線E1方向で腕部88と腕部88との間に配置されている。ローラ90の一部は開口部87内に配置され、ローラ90の外周面の一部は幅広部86の表面から突出している。
ガイドバー32Bは、軸線E1方向の幅を他の箇所よりも広くした幅広部91を有する。図12のように、幅広部91は、軸線A1方向で幅広部86とは異なる位置に配置されている。幅広部91は、軸線A1方向で幅広部86とトップホルダ30との間に配置されている。幅広部91を軸線A3方向に貫通する開口部92が設けられている。開口部92は、軸線E1方向でガイドバー32Bと第1ギヤ50との間に配置されている。
幅広部91における軸線E1方向の両端に、腕部93がそれぞれ接続されている。腕部93は軸94を支持している。図15に示すプランジャ27の平面断面視で、軸94の軸線B5は軸線E1と平行である。ローラ95が軸94に取り付けられている。ローラ95は軸線B5を中心として回転可能である。ローラ95は、軸線E1方向で腕部93と腕部93との間に配置されている。ローラ95の一部は開口部92内に配置され、ローラ95の外周面の一部は幅広部91の表面から突出している。
図13において第1ギヤ50が時計回りに回転すると、図1乃至図10について説明した原理と同様の原理で、カムローラ57が係合部62に係合及び解放され、かつ、カムローラ58が係合部63に係合及び解放される。打撃部12は、第2方向D2及び第1方向D1で移動するとともに、打撃部12は、待機位置及び下死点で停止する。打撃部12が第1方向D1で移動する際に、ドライバブレード28が止具26を打撃する。また、ウェイト18は第1方向D1及び第2方向D2で移動するとともに、待機位置及び上死点で停止する。ウェイト18は打撃部12とは逆向きに移動し、ハウジング11の反動を抑制する。
図12乃至図15に示す例では、打撃部12が第1方向D1及び第2方向D2で移動する際、打撃部12が上死点を含む所定範囲内にあると、図15のようにローラ90の外周面は、プランジャアーム部61の箇所61Aに接触し、打撃部12が軸線A1を中心として時計回りに回転することを防止する。また、ローラ90は、プランジャアーム部61の箇所61Aに接触して、打撃部12を軸線A3方向に位置決めする。このため、カムローラ58が係合部62から解放される際に、カムローラ58と係合部62との接触箇所の反力で、打撃部12が図15で軸線A1を中心とする時計回りに回転することを抑制でき、かつ、打撃部12が軸線A3方向に移動することを抑制できる。
さらに、打撃部12がローラ90に接触して転がり摩擦の状態となり、打撃部12とローラ90との接触箇所の摩擦抵抗を抑制できる。このため、打撃部12が上死点を含む所定範囲内を移動する際に、打撃部12の移動抵抗が増加することを抑制できる。したがって、図2乃至図10を用いて説明した原理と同様の原理で、打撃部12から止具26に加わる打撃力が、打撃毎に変化することを抑制できる。
また、打撃部12が所定範囲外にあると、ローラ90はプランジャアーム部61から解放されている。このため、打撃部12が第2方向D2で移動する際の移動抵抗が増加することを抑制できる。また、打撃部12が第1方向D1で移動する際の移動抵抗が増加することを抑制できる。したがって、打撃部12が止具に加える打撃エネルギの低下を抑制できる。
また、ウェイト18が下死点を含む所定範囲内にあると、ローラ95は図15のようにウェイトアーム部65の箇所65Aに接触して、ウェイト18が軸線A1を中心とする反時計回りに回転することを防止する。このため、カムローラ59がウェイトアーム部65から解放される際に、カムローラ59とウェイトアーム部65との接触箇所の反力で、ウェイト18が図15で軸線A1を中心とする反時計回りに回転することを抑制でき、かつ、ウェイト18が軸線A3方向に移動することを抑制できる。
さらに、ウェイト18はローラ95に接触して転がり摩擦の状態になり、ウェイト18とローラ95との接触箇所の摩擦抵抗を抑制できる。したがって、ウェイト18が下死点を含む所定範囲内で移動する際に、ウェイト18の移動抵抗が増加することを抑制できる。
つまり、カムローラ59がウェイトアーム部65から解放される際に、軸線A1方向でウェイト18の位置が変化することを抑制できる。つまり、打撃部12を位置決めする条件及びウェイト18を位置決めする条件に関わりなく、打撃部12が上死点から下死点に向けて移動するタイミングと、ウェイト18が下死点から上死点に向けて移動するタイミングとが、変化することを抑制可能である。したがって、ウェイト18の反動低減機能の低下を抑制できる。
また、ウェイト18が所定範囲外にあると、ローラ95はウェイトアーム部65から解放されている。このため、ウェイト18が第1方向D1及び第2方向D2で移動する際の移動抵抗が増加することを抑制できる。
なお、図12乃至15に示す例において、打撃部12の所定範囲の意味及びウェイト18の所定範囲の意味は、図2乃至図10において説明した打撃部12の所定範囲の意味及びウェイト18の所定範囲の意味と同じである。
図16及び図17は、駆動機構の他の例を示す。駆動機構70は、第1プーリ71、第2プーリ72及びベルト73を有する。第1プーリ71は支持軸74により支持され、第2プーリ72は支持軸75により支持されている。支持軸74,75はホルダ76に取り付けられている。ホルダ76はハウジング11内に設けられる。第1プーリ71は軸線B4を中心として回転可能であり、第2プーリ72は軸線B5を中心として回転可能である。軸線B4,B5は軸線A1上に配置されている。軸線B4と軸線B5とは平行である。
第1プーリ71にカムローラ57,58が設けられ、第2プーリ72にカムローラ59,60が設けられている。カムローラ57,58は、軸線B4を中心とする仮想円C1上に配置されている。カムローラ59,60は、軸線B5を中心とする仮想円C2上に配置されている。ベルト73は環状であり、ベルト73は第1プーリ71及び第2プーリ72に巻き掛けられている。第1プーリ71は、駆動軸48の回転力で時計回りに回転可能である。第1プーリ71が図17で時計回りに回転すると、その回転力はベルト73を介して第2プーリ72に伝達され、第2プーリ72は時計回りに回転する。
第1プーリ71が図17で時計回りに回転すると、カムローラ57が係合部63に係合及び解放され、カムローラ58が係合部62に係合及び解放される。第2プーリ72が図17で時計回りに回転すると、カムローラ60が係合部64に係合及び解放され、カムローラ59がウェイトアーム部65に係合及び解放される。このため、駆動機構70を、図1及び図2の駆動機構15に代えて設けると、打撃部12が上昇及び下降し、ウェイト18が下降及び上昇する。駆動機構70を用いた場合も、駆動機構15を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
そして、図17に示す打撃部12が上死点を含む所定範囲内にあると、図8及び図9のように、接触部81の突起81Aがプランジャアーム部61の箇所61Aに接触する。したがって、図2乃至図10の実施形態と同様の原理で、打撃部12を位置決めできる。なお、打撃部12が所定範囲外にあると、接触部81の突起81Aはプランジャアーム部61から離れている。
また、図17に示すウェイト18が下死点を含む所定範囲内にあると、図8及び図9のように、接触部82の突起82Aがウェイトアーム部65の箇所65Aに接触する。したがって、図2乃至図10の実施形態と同様の原理で、ウェイト18を位置決めできる。また、図17に示すウェイト18が所定範囲外にあると、接触部82の突起82Aはウェイトアーム部65から離れている。
図18及び図19は、打込機の他の構造例を示す断面図である。図18及び図19に示す打込機190は、ハウジング、シリンダ191、射出部192、打撃部193、駆動機構200及び圧力室195を有する。シリンダ191、駆動機構200及び圧力室195は、ハウジング内に設けられている。シリンダ191は金属製であり、シリンダ191は射出部192に固定されている。
打撃部193はピストン194及びドライバブレード196を有する。ドライバブレード196の縁195Bに突起195Aが複数、実施形態では8個設けられている。縁195Bは直線状であり、かつ、シリンダ191の軸線A4と平行である。突起195Aは、縁195Bから直線E2方向に突出している。直線E2は、ドライバブレード196の幅方向であり、かつ、軸線A4に対して直角である。軸線A4に対して垂直な平面視で、軸線E3と軸線E4とは直角に配置されている。
ドライバブレード196において、縁195Bとは反対に位置する縁195Cに突起195Dが設けられている。突起195Dは、縁195Cから直線E2方向に突出している。縁195Cは縁195Bと平行である。突起195Dが縁195Cから突出した向きは、突起195Aが縁195Bから突出した向きとは逆である。軸線A4方向における突起195Dの配置位置は、突起195Aのうち、ドライバブレード196の先端195Eに最も近い突起195Aの配置位置と同じである。
シール部材201及び位置決め部材197が、ピストン194に取り付けられている。シール部材201は合成ゴム製のリングであり、シール部材201はシリンダ191の内周面に接触して圧力室195をシールする。圧力室195には圧縮性の気体が充填されている。気体は、空気、不活性ガスを用いることができる。不活性ガスは、窒素ガス、希ガスを含む。位置決め部材197は、合成樹脂製のリングであり、位置決め部材197がシリンダ191の内周面に接触して、ピストン194を径方向に位置決めする。打撃部193は、シリンダ191の軸線A4方向に移動可能である。
射出部192は、ハウジングに固定されており、射出部192は、筒部198と、筒部198に接続されたノーズ部199と、筒部198に接続された荷重受け部100と、を有する。シリンダ191の一部が筒部198内に配置され、シリンダ191が筒部198に固定されている。シリンダ191内でピストン194と荷重受け部100との間にバンパ101が設けられている。バンパ101は合成ゴム製であり、バンパ101は軸孔102を有する。
ガイド孔103が荷重受け部100に設けられている。ノーズ部199はガイドプレート104を有し、ガイドプレート104により射出路105が形成されている。ドライバブレード196は、軸孔102、ガイド孔103及び射出路105内で軸線A4方向に移動可能である。ガイドプレート104は、直線E2方向に突出した接触部108を有する。接触部108は、ガイドプレート104から射出路105に向けて突出されている。軸線A4に対して垂直な平面視で、射出路105は四角形である。軸線A4に対して垂直な平面視で、ガイドプレート104は、ドライバブレード196が軸線A4を中心として回転することを防止する。
駆動機構200は、電動モータの回転力で反時計回りに回転するピンホイール106と、ピンホイール106に設けた複数のピニオンピン107と、を有する。複数、例えば、8個のピニオンピン107が、ピンホイール106の回転方向に間隔をおいて配置されている。図18及び図19において、ピンホイール106の回転中心である軸線E3は、軸線A4とは交差しない。軸線E3と平行な平面視で、軸線A4と軸線E3とは直角に交差する。
なお、図18及び図19に示す打込機190は、前述したトリガスイッチ、コントローラ、回転規制機構、電池パック、ピンホイール106の回転方向の位相を検出する位相検出センサ等を有する。コントローラは、位相検出センサの信号を処理して、軸線A4方向における打撃部193の位置を推定する。
図18及び図19の打込機190は、トリガスイッチがオフされて電動モータが停止していると、ピンホイール106が停止している。ここで、少なくとも1個のピニオンピン107が突起195Aに係合しており、圧力室195の圧力で打撃部193が第1方向D1で付勢され、打撃部193は待機位置で停止している。打撃部193が待機位置で停止していると、接触部108はドライバブレード196から離れている。
トリガスイッチがオンされて電動モータが回転し、ピンホイール106が反時計回りに回転すると、ピンホイール106の回転力がドライバブレード196に伝達され、打撃部193は第2方向D2で移動、つまり、上昇する。打撃部193が上昇すると、圧力室195の圧力が上昇する。打撃部193が第2方向D2で移動する過程で、接触部108が突起195Dに接触する。そして、図19のように、打撃部193が上死点に到達すると、全てのピニオンピン107が突起195Aから離れ、打撃部193は圧力室195の付勢力で第1方向D1に移動、つまり下降する。このため、接触部108は突起195Dから離れる。そして、ドライバブレード196は止具を打撃し、止具は被打込材に打ち込まれる。接触部108や突起195Dは、低摩擦材料、例えば、自己潤滑性樹脂、四フッ化エチレン樹脂等で構成するとよい。自己潤滑性樹脂は、ポリアセタール(Polyoxymethylene:POM)樹脂、フッ素樹脂を含む。さらに、接触部108や突起195Dを低摩擦材料で構成してもよい。さらにまた、突起195Dをローラで構成してもよい。
さらに、ピストン194がバンパ101に衝突し、バンパ101は打撃部193の運動エネルギの一部を吸収する。ピストン194がバンパ101に衝突した際、打撃部193の位置は下死点である。電動モータは、打撃部193が下死点に到達した後も回転している。そして、少なくとも1個のピニオンピン107が突起195Aに係合すると、打撃部193は下死点から上昇する。コントローラは、打撃部193が待機位置に到達すると電動モータを停止する。
図18及び図19に示す打込機190は、打撃部193が上死点と下死点との間で移動する際、シリンダ191は、打撃部193を直線E2方向、軸線E3方向で位置決めする。ガイドプレート104は、打撃部193を軸線A4を中心として回転方向に位置決めする。
打撃部193が、軸線A4方向で上死点を含む所定範囲内にあると、接触部108が突起195Dに接触する。このため、ピニオンピン107と突起195Aとの接触箇所の反力で、打撃部193がピンホイール106から離れる向きで、直線E2方向に移動することが防止される。つまり、接触部108は、打撃部193を直線E2方向に位置決めする。したがって、打撃部193の上死点が、軸線A4方向で変化することを抑制でき、打撃部193が止具に加える打撃力の変化を抑制できる。つまり、打撃部193が止具に加える打撃力のばらつきを抑制でき、打ち込みフィーリングを向上可能である。
さらにまた、接触部108を低摩擦材料で構成すると、接触部108が突起195Dに押し付けられる際の接触抵抗を低減できる。したがって、突起195Aがピニオンピン107から解放される際に、軸線A1方向におけるウェイト18の移動をスムーズにできる。
打撃部193の所定範囲は、次のような技術意味を含む。打撃部193の所定範囲例1は、図19のように、複数の突起195Aのうち、先端195Eに最も近い箇所に位置する突起195Aがピニオンピン107に係合している間における、打撃部193の移動範囲である。打撃部193の所定範囲例2は、複数の突起195Aのうち、先端195Eに最も近い箇所に位置する突起195Aがピニオンピン107に係合している間に、打撃部193に直線E2方向の荷重F5が作用する、打撃部193の移動範囲である。荷重F5は、ドライバブレード196を接触部108に押し付ける向きで生じる。なお、荷重F5は分力を含む。
また、打撃部193が所定範囲外にあると、接触部108は突起195Dから離れている。したがって、打撃部193を第1方向D1で移動する際の抵抗の増加を抑制でき、打撃力の低下を抑制できる。また、打撃部193を第2方向D2で移動する際、ピンホイール106を回転させる電動モータの負荷が増加することを抑制できる。
突起195Dまたは接触部108は、何れか一方を設けてもよい。突起195Dのみを設ける場合は、突起195Dをガイドプレート104に接触するか、または、突起195Dとガイドプレート104との間に極微小な隙間を設ける。
接触部108のみを設ける場合は、接触部108を縁195Cに接触するか、または、接触部108と縁195Cとの間に極微小な隙間を設ける。何れの場合であっても、ピニオンピン107と突起195Aとの接触箇所の反力で、打撃部193がピンホイール106から離れる向きで、直線E2方向に移動することが防止される。したがって、打撃部193の上死点が、軸線A4方向で変化することを抑制でき、打撃部193が止具に加える打撃力の変化を抑制できる。
なお、気体が充填された圧力室の圧力で、打撃部を付勢して止具を打撃する打込機は、例えば、特開2016−209941号公報、特開2016−221610号公報及び特開2017−064864号公報に記載されているように公知であるため、打込機190の他の構造及び要素の説明は省略する。
本実施形態で説明した事項の意味は、次の通りある。打撃部12の上死点は第1位置の一例であり、打撃部12の下死点は第2位置の一例である。ウェイト18の下死点は第3位置の一例であり、ウェイト18の上死点は第4位置の一例である。スプリング33、圧力室195は、第1付勢機構の一例である。電動モータ14、第1ギヤ50、第1プーリ71、ピンホイール106は、第2付勢機構の一例である。スプリング33は、第3付勢機構の一例である。第1位置を含む打撃部の移動範囲が第1所定範囲である。第4位置を含むウェイトの移動範囲が第2所定範囲である。
軸線A1方向、軸線A4方向は、打撃部の移動方向の一例である。軸線A3方向、軸線E1方向、直線E2方向は、移動方向に対して交差する方向の一例である。軸線A1、軸線A4を中心として回転する方向は、移動方向を中心として回転する方向の一例である。ガイドバー32A,32B及びプランジャシャフト29は、第1位置決め部材の一例である。また、シリンダ191及びガイドプレート104は、第1位置決め部材の一例である。
接触部81,108、ローラ90は、第2位置決め部材の一例である。接触部82、ローラ95は、第3位置決め部材の一例である。カムローラ57,58、ピニオンピン107は、第1係合部の一例である。カムローラ59は、第2係合部の一例である。
打込機は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第1付勢機構または第3付勢機構は、金属製のスプリングに代えて、合成ゴムを用いることも可能である。第1付勢機構または第3付勢機構として、スプリングを用いる場合、圧縮スプリングまたは引っ張りスプリングの何れを用いてもよい。
さらに、図1乃至図17の実施形態において、打撃部とウェイトとの間に補助圧力室を形成し、補助圧力室に圧縮性の気体を充填することも可能である。この場合、補助圧力室は、第1付勢機構及び第2付勢機構を兼ねる。第2位置決め部材及び第3位置決め部材は、突起、リブ、ピン等、相手部材に接触及び離反可能な構成であればよい。また、第2位置決め部材及び第3位置決め部材は、第1位置決め部材に接続されている構造、または、第1位置決め部材から独立している構造、の何れでもよい。第2位置決め部材及び第3位置決め部材を第1位置決め部材から独立して設ける構造は、第2位置決め部材または第3位置決め部材をハウジングの内面に設ける構造を含む。
また、打撃部の待機位置は、下死点であってもよい。駆動機構に回転力を伝達するモータは、電動モータの他、油圧モータ、空気圧モータ、エンジンを含む。また、電動モータに電力を供給する電源は、直流電源または交流電源の何れでもよい。モータの回転力をウェイトの移動力に変換する機構は、ギヤ、プーリ及びベルトの他、スプロケット及びチェーンを含む。