JP6851389B2 - 熱現像感光材料及びその作製方法 - Google Patents

熱現像感光材料及びその作製方法 Download PDF

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Description

本開示は、熱現像感光材料及びその作製方法に関する。
近年、医療分野において環境保全及び省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれており、レーザーイメージセッター又はレーザーイメージャーにより効率的に露光させることができ、解像度及び鮮明さが良好な黒色画像を形成することができる、医療診断用及び写真技術用の光感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。このような熱現像感光材料によれば、溶液系処理化学薬品を使用することなく、より簡単で環境に優しい熱現像処理システムを提供することができる。
熱現像感光材料としては、例えば、支持体上の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、発色現像薬、及びカプラーを含有する黒白熱現像感光材料であって、感光性ハロゲン化銀を含有する層を少なくとも2層の画像形成層を有し、第1の画像形成層が少なくとも銀イオンのための還元剤を含有し、第2の画像形成層が発色現像薬を含有し、第1の画像形成層と第2の画像形成層の感度差が画像濃度1.0を得るのに必要な露光量Eの対数値であるLogEで表して0.2以上であることを特徴とする、黒白熱現像感光材料が提案されている(例えば、特開2008−58820号公報参照)。この黒白熱現像感光材料は、高感度、高濃度、更に低濃度領域から高濃度領域に渉って画像色調に優れているものとされている。
他の例としては、支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、熱現像のための還元剤を有する熱現像感光材料であって、熱現像感光材料が下記の赤外染料及びマゼンタ染料を含有し、(1)750nm以上850nm以下に極大光吸収を有し、(2)810nmにおける吸光度に対する785nmにおける吸光度の比率が0.8以上1.2以下であり、且つ、(3)650nmでの吸光度が極大光吸収における吸光度の5%以上有する、熱現像感光材料が提案されている(例えば、特開2009−86588号公報参照)。この熱現像感光材料は、種々の異なる熱現像装置での共通に利用できる汎用性のあるものとされている。
しかしながら、従来、露光に使用する赤外光レーザーの波長が異なると、熱現像感光材料ごとに使用する染料の種類を変更する必要があった。波長ごとに素材の種類を変更するには、製品を開発するにあたって人材及び時間を要することになり、大きなコストアップの要因となっていた。
例えば、特開2008−58820号公報に記載されている黒白熱現像感光材料は、波長が700nm以上である赤外光レーザーを使用した場合に吸収を示さないため、複数の異なる波長を有するレーザーに対しても使用可能なものにするという観点、及び、画質の鮮鋭度を改良しながら感度を維持するという観点で改善の余地がある。
また、特開2009−86588号公報に記載されている熱現像感光材料は、赤外染料及びマゼンタ染料を併用することで吸収帯をブロードにしたというものであるが、複数の異なる波長を有するレーザーに対しても使用可能なものにするという観点で改善の余地がある。また、特開2009−86588号公報に記載されている熱現像感光材料は、画質の鮮鋭度の向上と感度の維持とを両方満たす構造を有するものとする観点で改善の余地がある。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、露光を波長の異なる赤外線により行った場合であっても、感度を維持しながら、得られる画像における画質の鮮鋭度を改良した熱現像感光材料及びその作製方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 支持体の一方の面に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有し、支持体の他方の面に、非感光性バック層を有し、上記画像形成層、又は、上記画像形成層及び上記非感光性バック層が、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有する熱現像感光材料。
<2> 上記赤外線吸収染料が、下記式(I)で表されるシアニン系染料である上記<1>に記載の熱現像感光材料。
Figure 0006851389
式中、Z及びZはそれぞれ独立に、縮環していてもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群であり;R及びRはそれぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基であり;Lは、3個、5個、又は7個のメチン基からなるメチン鎖であり;a、b及びcはそれぞれ独立に、0又は1であり;Xは、アニオンになりうる原子団である。
<3> 上記含窒素複素環が、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環及びベンゾインドニレン環よりなる群から選ばれた環である上記<2>に記載の赤外線吸収染料。
<4> 上記非感光性バック層が、上記赤外線吸収染料として、下記式(II)で表されるオキソノール染料を含む上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱現像感光材料。
Figure 0006851389
式中、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環又は複素環を形成するのに必要な非金属原子群であり;Lは、奇数個のメチン基からなるメチン鎖であり;Xは、水素原子又はカチオンになりうる原子団である。
<5> 上記画像形成層が、下記式(III)で表される赤外増感色素を更に含む上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱現像感光材料。
Figure 0006851389
式中、V、V、V、V、V及びVはそれぞれ独立に、それぞれのハメット値σpをσpi(i=1〜6)とした場合に、Y=σp1+σp2+σp3+σp4+σp5+σp6<−0.27を満たす置換基を表し;R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基を表し;L、L、L、L、L、L及びLはそれぞれ独立に、メチン基を表し;mは、0又は1を表し;Zは、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表し;Xは、電荷均衡対イオンを表し;nは、0以上の電荷を中和するのに必要な値を表す。
<6> 上記画像形成層が、下記式(IV)で表される強色増感化合物を更に含む上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱現像感光材料。
Figure 0006851389
式中、R41及びR42はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し;X41は酸アニオン基を表し;Y41は一価の金属イオンを表す。
<7> 上記画像形成層が、下記式(V)によって表される強色増感化合物を更に含む、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の熱現像感光材料。
Figure 0006851389
式中、Z52は、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し;R51は、水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し;R52は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;X52−は、酸アニオンを表す。
<8> 上記画像記録層における銀元素の含有量が、0.3g/m以上1.5g/m以下である上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の熱現像感光材料。
<9> 上記画像形成層及び上記非感光性バック層が、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有する上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の熱現像感光材料。
<10> 上記画像形成層を水性塗布によって形成する工程を含む上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の熱現像感光材料の作製方法。
<11> 上記式(III)で表される赤外増感色素、上記式(IV)で表される強色増感化合物及び上記式(V)で表される強色増感化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の化合物を感光性ハロゲン化銀を含む組成物に50℃以上の温度条件下で少なくとも添加して画像形成層形成用塗布液を調製する工程を含み、上記画像形成層を水性塗布によって形成する工程が、上記画像形成層形成用塗布液を水性塗布して上記画像形成層を形成する工程である上記<10>に記載の熱現像感光材料の作製方法。
本発明の実施形態によれば、露光を波長の異なる赤外線により行った場合であっても、感度を維持しながら、得られる画像における画質の鮮鋭度に優れる熱現像感光材料及びその作製方法を提供することができる。
以下、本開示について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本開示におけるアルキル基、アリール基、アルキレン基及びアリーレン基等の炭化水素基は、特に断りのない限り、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
以下、本開示に係る熱現像感光材料について詳細に説明する。
(熱現像感光材料)
本開示に係る熱現像感光材料は、支持体の一方の面に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有し、支持体の他方の面に、非感光性バック層を有し、上記画像形成層、又は、上記画像形成層及び上記非感光性バック層が、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有する。
また、本開示に係る熱現像感光材料は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、上記画像形成層及び上記非感光性バック層がそれぞれ、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有することが好ましい。
上述したように、従来、露光に使用する赤外光レーザーの波長が異なると、熱現像感光材料ごとに使用する染料の種類を変更する必要があった。波長ごとに素材の種類を変更するには、製品を開発するにあたって人材及び時間を要することになり、大きなコストアップの要因となっていた。
上記の状況に鑑みて、本開示に係る熱現像感光材料は、上記態様とすることにより、露光を波長の異なる赤外線により行った場合であっても、得られる画像における画質の鮮鋭度に優れ、感度を維持する。
詳細な機構は不明であるが、非感光性バック層を有し、かつ画像形成層が、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を少なくとも含有することにより、露光時における種々の波長の赤外光の散乱(イラジエーション)を防止し、また、支持体の画像形成層とは反対側から赤外光が反射して像(画像)がぼやける現象(ハレーション)を防止し、露光を波長の異なる赤外線により行った場合であっても、得られる画像における画質の鮮鋭度に優れかつ感度を低下することを防いでいると推定される。
<画像形成層>
本開示に係る熱現像感光材料は、支持体の一方の面に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有する。
また、上記画像形成層は、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有する。
<<赤外線吸収染料>>
本開示に係る熱現像感光材料における画像形成層は、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有する。
赤外線吸収染料としては、特に制限はなく、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する染料であればよい。
なお、本開示における赤外線吸収染料は、赤外線吸収染料を含有する溶液のpHを調整することにより、吸収波長を制御できる。詳細は不明だが、溶液のpH変化によって赤外線吸収染料の会合状態が変化するためと推察される。例えば本開示に係る熱現像感光材料における画像形成層については、画像形成層の形成に用いる塗布液の調製時において、最終的な液pHを調整することにより、画像形成用の露光レーザー波長に対して所望の吸収波長特性を有する赤外線吸収染料の含有状態を達成できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収することの確認方法としては、特に制限はなく、公知の方法により、上記染料の光吸収(波長700nm以上の赤外線領域の吸収)を確認すればよい。
また、上記画像形成層は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、下記式(I)で表されるシアニン染料及び下記式(II)で表されるオキソノール染料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の赤外線吸収染料を含有することが好ましく、下記式(I)で表されるシアニン染料を少なくとも含有することがより好ましい。
−式(I)で表されるシアニン染料−
本開示に係る熱現像感光材料における画像形成層は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、下記式(I)で表されるシアニン染料を少なくとも含有することが好ましい。
Figure 0006851389
式中、Z及びZはそれぞれ独立に、縮環していてもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群であり;R及びRはそれぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基であり;Lは、3個、5個、又は7個のメチン基からなるメチン鎖であり;a、b及びcはそれぞれ独立に、0又は1であり;Xは、アニオンになりうる原子団である。
含窒素複素環には、他の複素環、芳香族環又は脂肪族環が縮合してもよい。
含窒素複素環及びその縮合環の例には、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環及びキノキサリン環が含まれる。含窒素複素環は、6員環より5員環の方が好ましい。5員の含窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環が縮合していることが更に好ましい。中でも、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環及びベンゾインドニレン環よりなる群から選ばれた環が特に好ましい。
含窒素複素環及びその縮合環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−N(R)2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−N(R)2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−N(R)2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−N(R)2が含まれる。Rはそれぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。なお、カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離していても、塩の状態であってもよい。また、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
本明細書において脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基又は置換アルキニル基を意味する。アルキル基は、環状であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8が特に好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基の例としては、上記の置換基が挙げられる。また、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
置換アルキル基の例としては、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−ジエチルアミノエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
アルケニル基は、環状であってもよい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基及び2−ヘキセニル基が含まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同様である。
アルキニル基は、環状であってもよい。鎖状アルキニル基は、分岐を有していてもよい。アルキニル基の炭素数は2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。アルキニル基の例としては、エチニル基及び2−プロピニル基が挙げられる。
置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同様である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基又は置換アリール基を意味する。アリール基の炭素数は、6〜25であることが好ましく、6〜15であることがより好ましく、6〜10であることが特に好ましい。アリール基の例としては、フェニル基及びナフチル基が含まれる。
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例には、上記の置換基が挙げられる。
置換アリール基の例としては、4−カルボキシフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、3−メタンスルホンアミドフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メタンスルホンアミドフェニル基及び4−ブタンスルホンアミドフェニル基が含まれる。
本明細書において、複素環基は、無置換複素環基、又は置換複素環基を意味する。複素環基の複素環は、5員環又は6員環であることが好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環(縮合環を含む)の例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が含まれる。置換複素環基の置換基は、置換アリール基の置換基と同様である。
式(I)におけるR及びRはそれぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義及び例は、上述した通りである。
式(I)におけるLは、5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖であることがより好ましい。
メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基としては、上述の置換基が挙げられる。また、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
また、上記メチン鎖における少なくとも2つのメチン基におけるの二つの置換基が結合して5員環又は6員環を形成することが好ましい。
式(I)におけるa及びbは、0であることが好ましい。
式(I)におけるcはシアニン染料がスルホ基やカルボキシル基のようなアニオン性置換基を有して分子内塩を形成する場合は、0である。
式(I)におけるXはアニオンになりうる原子団である。上記アニオンは、一価のアニオンであっても、二価以上のアニオンであってもよい。アニオン(X1−)の例には、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、I-)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -、BF4 -及びClO4 -が含まれる。
上記式(I)で表されるシアニン染料は、カルボキシル基及びスルホ基のいずれかを置換基として有することが好ましい。
上記式(I)で表されるシアニン染料の具体例としては、特開2010−72575号公報に記載のものが好適に挙げられる。
−式(II)で表されるオキソノール染料−
本開示に係る熱現像感光材料における画像形成層は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、下記式(II)で表されるオキソノール染料を少なくとも含有することが好ましい。
Figure 0006851389
式中、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環又は複素環を形成するのに必要な非金属原子群であり;Lは、奇数個のメチン基からなるメチン鎖であり;Xは、水素原子又はカチオンになりうる原子団である。
式(II)において、Y及びYが形成する環としては、脂肪族環よりも複素環が好ましい。
脂肪族環の例には、インダンジオン環が含まれる。
複素環の例には、5−ピラゾロン環、イソオキサゾロン環、バルビツール酸環、ピリドン環、ローダニン環、ピラゾリジンジオン環、ピラゾロピリドン環及びメルドラム酸環が含まれる。5−ピラゾロン環及びバルビツール酸環が好ましい。上記脂肪族環及び複素環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基が挙げられる。
式(II)におけるLは、3個、5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖であることが好ましく、5個のメチン基からなるメチン鎖であること特に好ましい。メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基としては、上述した置換基が挙げられる。また、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
また、上記メチン鎖における少なくとも2つのメチン基における二つの置換基が結合して5員環又は6員環を形成することが好ましい。
式(II)におけるXは、水素原子又はカチオンになりうる原子団である。上記カチオンは、一価のカチオンであっても、二価以上のカチオンであってもよい。カチオン(X2+)の例には、アルカリ金属(例えば、Na、K)イオン、アンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンが含まれる。
上記式(II)で表されるオキソノール染料の具体例としては、特開2010−72575号公報の段落0055〜0062に記載のものが好適に挙げられる。
本開示に係る熱現像感光材料は、式(II)で表されるオキソノール染料を少なくとも画像形成層又は非感光性バック層に含有することにより、反射防止(アンチハレーション)性能に優れ、得られる画像における画質の鮮鋭度により優れたものとなる。
また、本開示に係る熱現像感光材料は、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、非感光性バック層が上記式(II)で表されるオキソノール染料を含有することが好ましく、非感光性バック層のみが上記式(II)で表されるオキソノール染料を含有することが特に好ましい。
本開示に係る熱現像感光材料における画像形成層及び非感光性バック層は、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記画像形成層における上記赤外線吸収染料の添加量は、熱現像処理後の画像の色調を好ましく調整するために、銀色調やほかの添加剤によってもたらされる色調と組み合わせて決定される。目的とする波長で測定したときの光学濃度が1.0を越えない量で使用することが好ましい。光学濃度は、好ましくは0.1〜1.0であり、より好ましくは0.2〜0.9であり、特に好ましくは0.3〜0.8である。
このような光学濃度を得るための上記赤外線吸収染料の使用量は、好ましくは1×10−6mol/m〜5×10−4mol/m、より好ましくは2×10−6mol/m〜2.5×10−4mol/m、更に好ましくは5×10−6mol/m〜1×10−4mol/m程度の範囲内で任意に調整して用いればよい。
<<感光性ハロゲン化銀>>
上記画像形成層は、感光性ハロゲン化銀を含有する。
1)ハロゲン組成
本開示に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀及びヨウ化銀を好適に用いることができ、臭化銀、ヨウ臭化銀及びヨウ化銀がより好ましく挙げられる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀又は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は、当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号明細書に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627号公報、又は、特開2000−347335号公報に記載の方法も好ましい。
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく、具体的には0.20μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより好ましく、0.02μm以上0.12μm以下があることが更に好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
4)粒子形状
感光性ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることができるが、本開示においては、立方体状粒子が特に好ましい。また、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い(100)面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数(100)面の比率は増感色素の吸着における(111)面と(100)面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
5)重金属
本開示における感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1族〜第18族までを示す。)の第6族〜第13族の金属又は金属錯体を含有することができる。好ましくは第6族〜第10族の金属又は金属錯体を含有する。周期律表の第6族〜第10族の金属又は金属錯体の中心金属として好ましくは、鉄、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムが挙げられる。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10−9モル〜1×10−3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については、特開平7−225449号公報、特開平11−65021号公報の段落0018〜0024、又は、特開平11−119374号公報の段落0227〜0240に記載されている。
本開示においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)4−、[Fe(CN)3−、[Ru(CN)4−、[Os(CN)4−、[Co(CN)3−、[Rh(CN)3−、[Ir(CN)3−、[Cr(CN)3−、及び、[Re(CN)3−などが挙げられる。本開示においては六シアノ鉄錯体が好ましい。
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、又は、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、又は、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10−5モル以上1×10−2モル以下が好ましく、1×10−4モル以上1×10−3モル以下がより好ましい。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感及びテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、又は、化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
なお、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
更に、本開示に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)4−)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については、特開平11−84574号公報の段落0046〜0050、特開平11−65021号公報の段落0025〜0031、又は、特開平11−119374号公報の段落0242〜0250に記載されている。
6)ゼラチン
本開示に用いられる感光性ハロゲン化銀乳剤は、ゼラチンを含有してもよい。
上記ゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量(Mw)10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
感光性ハロゲン化銀の添加量は、上記画像形成層1m当たりの塗布銀量(銀元素量)で示して、0.03g/m以上0.6g/m以下であることが好ましく、0.05g/m以上0.5g/m以下であることが更に好ましく、0.07g/m以上0.4g/m以下であることが特に好ましい。
また、感光性ハロゲン化銀の添加量は、非感光性有機銀塩1モルに対して、0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.2モル以下が更に好ましい。
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と後述する非感光性有機銀塩との混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本開示の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
感光性ハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本開示の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」((株)日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
<<非感光性有機銀塩>>
上記画像形成層は、非感光性有機銀塩を含有する。
1)組成
上記画像形成層に用いることのできる非感光性有機銀塩(以後の説明で、後述の第2の非感光性有機銀塩と区別するため、第1の非感光性有機銀塩と記述することがある。)は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号公報の段落0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号明細書の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号明細書、特開平11−349591号公報、特開2000−7683号公報、特開2000−72711号公報等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀及びこれらの混合物などが挙げられる。本開示においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、更に好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。ステアリン酸含有率を1モル%以下とすることにより、感応する最低濃度(Dmin)が低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。ステアリン酸含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
更に、非感光性有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いDminを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
2)形状
本開示に用いることができる非感光性有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、及び、りん片状のいずれでもよいが、りん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と短軸との長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体又はジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と短軸との長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像時のかぶりが少ない。特に、長軸と短軸との比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短い方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
Figure 0006851389
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。ちなみに、針状とは1≦x(平均)<1.5であるものとする。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく、0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、更に好ましくは1以上4以下、特に好ましくは1以上3以下である。
球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。本開示において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
リン片状粒子において、(粒子の球相当直径)/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
3)調製
本開示に用いられる非感光性有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号公報、欧州特許公開第0803763A1号明細書、欧州特許公開第0962812A1号明細書、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号の各公報等を参考にすることができる。
なお、非感光性有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、かぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本開示では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、更に好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
本開示において非感光性有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液とを混合して熱現像感光材料を製造することが可能であるが、非感光性有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1モル%〜30モル%の範囲が好ましく、2〜20モル%の範囲がより好ましく、3モル%〜15モル%の範囲が特に好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液とを混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
4)添加量
上記非感光性有機銀塩は所望の量で使用できるが、画像形成層は、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量(銀元素量)として、感度、及び、画像保存性の観点から、0.1g/m〜1.5g/mが好ましく、0.3g/m〜1.5g/mがより好ましく、更に好ましくは0.3g/m〜1.4g/m、特に好ましくは0.5g/m〜1.3g/mである。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.5g/m以下であることが好ましく、0.8g/m〜1.3g/mであることがより好ましい。後述する好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度を得ることが可能である。
<<還元剤>>
上記画像形成層は、還元剤を含有する。
本開示に係る熱現像感光材料は、還元剤を含有し、非感光性有機銀塩のための還元剤を含有することが好ましい。非感光性有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11−65021号公報の段落0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号明細書の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本開示において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記式Rで表される化合物がより好ましい。
Figure 0006851389
式Rにおいて、R11A及びR11Bはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R12A及びR12Bはそれぞれ独立に、水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表し、Lは−S−基又はCHR13A−基を表し、R13Aは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、X1A及びX1Bはそれぞれ独立に、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。
式Rについて詳細に説明する。
以下でアルキル基と称するとき、特に明記していない場合はシクロアルキル基もこれに含まれる。
1)R11A及びR11B
11A及びR11Bはそれぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基である。アルキル基の置換基としては、特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基及びハロゲン原子等が挙げられる。
2)R12A及びR12B、X1A及びX1B
12A及びR12Bはそれぞれ独立に、水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1A及びX1Bはそれぞれ独立に、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基及びアシルアミノ基が挙げられる。
3)L
は−S−基又はCHR13A−基を表す。R13Aは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13Aの無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、及び3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキル基の置換基の例はR11Aの置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基及びスルファモイル基などが挙げられる。
4)好ましい置換基
11A及びR11Bとして好ましくは炭素数1〜15の1級、2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、及び1−メチルシクロプロピル基などが挙げられる。R11A及びR11Bとしてより好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、その中でもメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、又は、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基、又は、t−ブチル基が最も好ましい。
12A及びR12Bとして好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、及びメトキシエチル基などが挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は、t−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基、又は、エチル基である。
1A及びX1Bは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又は、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
は好ましくは−CHR13A−基である。
13Aとして好ましくは水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としては鎖状のアルキル基の他、環状のアルキル基も好ましく用いられる。また、これらのアルキル基の中にC=C結合を有しているものも好ましく用いることができる。アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、又は3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等が好ましい。R13Aとして特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
11A、R11Bが3級のアルキル基でR12A、R12Bがメチル基の場合、R13Aは炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等)が好ましい。
11A、R11Bが3級のアルキル基でR12A、R12Bがメチル基以外のアルキル基の場合、R13Aは水素原子が好ましい。
11A、R11Bが3級のアルキル基でない場合、R13Aは水素原子又は2級のアルキル基であることが好ましく、2級のアルキル基であることが特に好ましい。R13Aの2級アルキル基として好ましい基はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
還元剤はR11A、R11B、R12A、R12B及びR13Aの組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調製することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
以下に、本開示に好適に用いられる式Rで表される化合物をはじめとする還元剤の具体例を示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006851389
上記以外の本開示の好ましい還元剤の例は特開2001−188314号公報、同2001−209145号公報、同2001−350235号公報、同2002−156727号公報、欧州特許公開第1278101A2号明細書に記載された化合物である。
本開示において還元剤の添加量は、0.1g/m〜3.0g/mであることが好ましく、より好ましくは0.2g/m〜2.0g/mであり、更に好ましくは0.3g/m〜1.0g/mである。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、8モル%〜30モル%含まれることがより好ましく、10モル%〜20モル%で含まれることが更に好ましい。還元剤は画像形成層、及び、その隣接層に含有させることが好ましい。
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやオレオイル−N−メチルタウリン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調整の目的でα−メチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
また、固体粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するジルコニウム(Zr)等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが好ましくは1ppm〜1000ppmの範囲である。熱現像感光材料中のZrの含有量が、銀1g当たり0.5mg以下であることが好ましい。
水分散物には、防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
固体粒子分散法によって還元剤を粒子化して添加することが特に好ましく、粒子の平均粒子サイズとしては0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましく、0.1μm〜2μmが更に好ましい。本開示においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
<<バインダー>>
上記画像形成層は、バインダーを含有する。
本開示における画像形成層に用いられるバインダー(バインダーポリマー)としては、いかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、及び、ポリ(アミド)類が挙げられる。バインダーは水又は有機溶媒又はエマルションから被覆形成してもよい。
なお、本開示において、バインダーにおける“透明”とは、可視光(400〜700nm)の透過率が80%以上であることとし、“半透明”とは、可視光(400〜700nm)の透過率が10%以上80%未満であることとする。
バインダーのガラス転移温度(Tg)は0℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということもある。)ことが好ましく、10℃以上70℃以下であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
Figure 0006851389
ここで、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xはi番目のモノマーの質量分率(ΣX=1)、Tgはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tg)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
バインダーは必要に応じて2種以上を併用してもよい。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
本開示においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本開示においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、更に画像形成層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶又は分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
ここでいうポリマーが可溶又は分散可能である水系溶媒とは、水又は水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量Wと25℃で絶乾状態(absolute dry condition)にあるポリマーの質量Wを用いて以下のように表すことができる。
Figure 0006851389
平衡含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本開示におけるバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は、2質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上1質量%以下が更に好ましい。
本開示においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態又はミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm以上50000nm以下、好ましくは5nm以上1000nm以下の範囲で、より好ましくは10nm以上500nm以下の範囲、更に好ましくは50nm以上200nm以下の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
本開示において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばスチレンブタジエンゴム(SBR樹脂))、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で、好ましくは5,000以上1,000,000以下、より好ましくは10,000以上200,000以下である。上記範囲であると、画像形成層の力学強度が十分であり、また、成膜性にも優れる。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
−ラテックスの具体例−
好ましいポリマーラテックスの具体例としては、以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
・P−1;MMA(70)−EA(27)−MAA(3)のラテックス(分子量37,000、Tg61℃)
・P−2;MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)のラテックス(分子量40,000、Tg59℃)
・P−3;St(50)−Bu(47)−MAA(3)のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
・P−4;St(68)−Bu(29)−AA(3)のラテックス(架橋性、Tg17℃)
・P−5;St(71)−Bu(26)−AA(3)のラテックス(架橋性、Tg24℃)
・P−6;St(70)−Bu(27)−IA(3)のラテックス(架橋性)
・P−7;St(75)−Bu(24)−AA(1)のラテックス(架橋性、Tg29℃)
・P−8;St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)のラテックス(架橋性)
・P−9;St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)のラテックス(架橋性)
・P−10;VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)のラテックス(分子量80,000)
・P−11;VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)のラテックス(分子量67000)
・P−12;Et(90)−MAA(10)のラテックス(分子量12,000)
・P−13;St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130,000、Tg43℃)
・P−14;−MMA(63)−EA(35)−AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
・P−15;St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)のラテックス(架橋性、Tg23℃)
・P−16;St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)のラテックス(架橋性、Tg20.5℃)
・P−17;St(61.3)−イソプレン(35.5)−AA(3)のラテックス(架橋性、Tg17℃)
・P−18;St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)のラテックス(架橋性、Tg27℃)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。
MMA;メチルメタクリレート、EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸、2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート、St;スチレン、Bu;ブタジエン、AA;アクリル酸、DVB;ジビニルベンゼン、VC;塩化ビニル、AN;アクリロニトリル、VDC;塩化ビニリデン、Et;エチレン、IA;イタコン酸。
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上、旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
上記ポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
−好ましいラテックス−
本開示に用いられるポリマーラテックスとしては、後述の中間層のバインダーとして説明する一般式(M)で表されるモノマー成分を有するポリマーラテックスが好ましく、特に好ましくは、スチレン−ブタジエン共重合体の若しくはスチレン−イソプレン共重合体ラテックスである。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位及びブタジエンのモノマー単位が、上記共重合体に占める割合は60質量%〜99質量%であることが好ましい。また、本開示におけるポリマーラッテクスは、アクリル酸又はメタクリル酸をスチレンとブタジエンとの和に対して1質量%〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜5質量%含有する。本開示におけるポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。好ましいモノマー含量の範囲は上記と同様である。また、スチレン−イソプレン共重合体における共重合体比などはスチレン−ブタジエン共重合体の場合と同じである。
本開示に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、上記のP−3〜P−9,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。また、スチレン−イソプレン共重合体の例としては上記のP−16、17が挙げられる。
本開示に係る熱現像感光材料の画像形成層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本開示における非感光性有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。画像形成層のバインダーの量は、全バインダー/非感光性有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、更に好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(画像形成層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
本開示における画像形成層の全バインダー量は、好ましくは0.2g/m以上30g/m以下、より好ましくは1g/m以上15g/m以下、更に好ましくは2g/m以上10g/m以下の範囲である。本開示における画像形成層には、架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
<<増感化合物>>
上記画像形成層は、増感化合物を含有することが好ましい。
増感化合物としては、700nm〜1,400nmに極大吸収波長を有する増感色素が好ましく、750nm〜900nmに極大吸収波長を有する増感色素がより好ましい。
増感化合物としては、後述する式(III)で表される赤外増感色素、式(IV)で表される強色増感化合物、及び、式(V)で表される強色増感化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の増感化合物が好ましく挙げられる。
中でも、上記画像形成層は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、後述する式(III)で表される赤外増感色素、式(IV)で表される強色増感化合物、及び、式(V)で表される強色増感化合物の3種の増感化合物を含有することが特に好ましい。
−式(III)で表される赤外増感色素−
上記画像形成層は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、下記式(III)で表される赤外増感色素を含有することが好ましい。
Figure 0006851389
式中、V、V、V、V、V及びVはそれぞれ独立に、それぞれのハメット値σpをσpi(i=1〜6)とした場合に、Y=σp1+σp2+σp3+σp4+σp5+σp6<−0.27を満たす置換基を表し;R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基を表し;L、L、L、L、L、L及びLはそれぞれ独立に、メチン基を表し;mは、0又は1を表し;Zは、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表し;Xは、電荷均衡対イオンを表し;nは、0以上の電荷を中和するのに必要な値を表す。
ハメット値σpに関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。
式(III)におけるV、V、V、V、V及びVはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、スルホ基、アリールオキシ基、又は、アリール基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、又は、アリールオキシ基であることがより好ましい。
また、V、V、V、V、V及びVの炭素数はそれぞれ独立に、0〜10であることが好ましい。
式(III)におけるR及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
式(III)におけるL、L、L、L、L、L及びLはそれぞれ独立に、無置換のメチン基(=CH−)、アルキル基が置換したメチン基、又は、他の構造(他のL〜L又はV)と結合して環構造を形成する基が置換したメチル基であることが好ましく、無置換のメチン基、又は、アルキル基が置換したメチン基であることがより好ましい。
式(III)におけるmは、0であることが好ましい。
式(III)におけるZは、チアゾール環、チアゾリン環、オキサゾール環、オキサゾリン環、セレナゾール環、セレナゾリン環、テルラゾール環、テルラゾリン環、イミダゾール環、3,3−ジアルキルインドレニン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン環、オキサジアゾール環、チオジアゾール環、テトラゾール環、及び、ピリミジン環よりなる群から選ばれた含窒素複素環を形成する基であることが好ましい。また、これらの環には、更にベンゼン環やナフタレン環が縮合していてもよい。
これらの中でも、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、及び、ナフトセレナゾール環よりなる群から選ばれた含窒素複素環を形成する基であることがより好ましい。
式(III)におけるXは、電荷均衡対イオンを表し、Xはアニオンであることが好ましい。上記アニオンは、一価のアニオンであっても、二価以上のアニオンであってもよい。アニオン(X)の例には、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、I-)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、PF6 -、BF4 -及びClO4 -が挙げられる。
上記式(III)で表されるで表される赤外増感色素の具体例としては、特開平4−335342号公報の段落0017〜0024に記載のものが好適に挙げられる。
−式(IV)で表される強色増感化合物−
上記画像形成層は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、下記式(IV)で表される強色増感化合物を含有することが好ましい。
Figure 0006851389

式中、R41及びR42はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し;X41は酸アニオン基を表し;Y41は一価の金属イオンを表す。
式(IV)におけるR41及びR42で表される1価の置換基としては、ハロゲン原子;脂肪族基〔飽和脂肪族基(アルキル基、又はシクロアルキル基、ビシクロアルキル基、架橋環式飽和炭化水素基若しくはスピロ飽和炭化水素基を含む環状飽和脂肪族基を意味する);不飽和脂肪族基(二重結合または三重結合を有する、アルケニル基若しくはアルケニル基のような鎖状不飽和脂肪族基、又はシクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、架橋環式不飽和炭化水素基若しくはスピロ不飽和炭化水素基を含む環状不飽和脂肪族基を意味する)〕;アリール基(好ましくは置換基を有してもよいフェニル基);ヘテロ環基(好ましくは、環構成原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含む5〜8員環で、脂環、芳香環やヘテロ環で縮環していてもよい);シアノ基;脂肪族オキシ基(代表としてアルコキシ基);アリールオキシ基;アシルオキシ基;カルバモイルオキシ基;脂肪族オキシカルボニルオキシ基(代表としてアルコキシカルボニルオキシ基);アリールオキシカルボニルオキシ基;アミノ基〔脂肪族アミノ基(代表としてアルキルアミノ基)アニリノ基およびヘテロ環アミノ基を含む〕;アシルアミノ基;アミノカルボニルアミノ基;脂肪族オキシカルボニルアミノ基(代表としてアルコキシカルボニルアミノ基);アリールオキシカルボニルアミノ基;スルファモイルアミノ基;脂肪族(代表としてアルキル)若しくはアリールスルホニルアミノ基;脂肪族(代表としてアルキル)若しくはアリールスルホニルオキシ基;脂肪族チオ基(代表としてアルキルチオ基);アリールチオ基;スルファモイル基;脂肪族(代表としてアルキル)若しくはアリールスルフィニル基;脂肪族(代表としてアルキル)若しくはアリールスルホニル基;アシル基;アリールオキシカルボニル基;脂肪族オキシカルボニル基(代表としてアルコキシカルボニル基);カルバモイル基;アリール若しくはヘテロ環アゾ基;イミド基;脂肪族オキシスルホニル基(代表としてアルコキシスルホニル基);アリールオキシスルホニル基;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;スルホ基を挙げることができ、それぞれの基は更に置換基(例えばここで挙げた置換基)を有していてもよい。
式(IV)におけるX41は、スルホ基が好ましい。
式(IV)におけるY41は、アルキル金属イオンが好ましい。
式(IV)で表される強色増感化合物としては、4,4’−ビス(2,6−ジナフトキシピリミジン−2−イルアミノ)スチルベンジスルホン酸ジナトリウム塩、その異性体及び類縁体が特に好ましく挙げられる。
−式(V)によって表される強色増感化合物−
上記画像形成層は、感度、及び、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、下記式(V)で表される強色増感化合物を含有することが好ましい。
Figure 0006851389
式中、Z52は、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し;R51は、水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し;R52は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;X52−は、酸アニオンを表す。
式(V)におけるZ52は、チアゾリニウム環、オキサゾリウム環、及び、イミダゾリウム環、セレナゾリウム環よりなる群から選ばれた含窒素複素環を形成する基であることが好ましい。また、これらの環には、更にベンゼン環やナフタレン環が縮合していてもよい。これらの中でも、チアゾリニウム環を形成する基であることがより好ましい。
式(V)におけるR51は、アルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、アルキル基であることが好ましい。また、R51の炭素数は、1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
式(V)におけるX52−としては、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、スルホン酸イオンが好ましく挙げられる。
上記式(V)で表されるで表される強色増感化合物の具体例としては、特開平4−335342号公報の段落0045〜0049に記載のものが好適に挙げられる。
また、本開示に用いられる増感化合物としては、欧州特許公開第587,338号公報、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,873,184号明細書、特開平5−341432号公報、同11−109547号公報、同10−111543号公報等に記載の化合物を用いてもよい。
本開示に係る熱現像感光材料は、他の従来知られている増感化合物を併用してもよい。併用できる増感化合物及び添加法については、特開平11−65021号公報の段落0103〜0109、特開平10−186572号公報において一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号公報において一般式(I)で表される色素及び段落0106、米国特許第5,510,236号明細書、同第3,871,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭59−48753号公報に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号明細書の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号公報、特開2001−290238号公報、特開2002−023306号公報等に記載されている。
増感化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記画像形成層における増感化合物の含有量は、感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10−6モル〜5×10−3モルであることが好ましく、1×10−5モル〜2.5×10−3モルであることがより好ましく、4×10−5モル〜1×10−3モルであることが更に好ましい。
<<現像促進剤>>
上記画像形成層は、現像促進剤を含有することが好ましい。
上記画像形成層は、現像促進剤として特開2000−267222号公報や特開2000−330234号公報等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開2001−92075号公報に記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号公報や特開平11−15116号公報等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号公報に記載の一般式(D)や特開2002−278017号公報に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号公報に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系又はナフトール系の化合物が好ましく用いられる。また、特開2002−311533号公報、特開2002−341484号公報に記載されたフェノール系の化合物も好ましい。特に特開2003−66558号公報に記載のナフトール系の化合物が好ましい。これらの現像促進剤は、還元剤に対して0.1モル%〜20モル%の範囲で含有することが好ましく、0.5モル%〜10モル%の範囲であることがより好ましく、1モル%〜5モル%の範囲であることが更に好ましい。熱現像感光材料への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物又は乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤とを使用して分散した乳化分散物として添加するか、又は、高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本開示においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号公報、特開2002−278017号公報に記載ヒドラジン系の化合物及び特開2003−66558号公報に記載されているナフトール系の化合物がより好ましい。
本開示の特に好ましい現像促進剤としては、特開2008−58820号公報の段落0253〜0265に記載された一般式(A−1)及び一般式(A−2)で表される化合物が挙げられる。
<<水素結合性化合物>>
上記画像形成層は、水素結合性化合物を含有することが好ましい。
本開示における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)又はアミノ基(−NHR、Rは水素原子又はアルキル基)を有する場合、特に上述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基又はアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、及び含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(ただし、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(ただし、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(ただし、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本開示で、特に好ましい水素結合性化合物は、下記一般式(D)で表される化合物である。
Figure 0006851389
一般式(D)において、R21〜R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21〜R23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などが挙げられる。置換基として好ましいのはアルキル基又はアリール基で、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などが挙げられる。
21〜R23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などが挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、含窒素脂肪族ヘテロ環基が挙げられる。
21〜R23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基が好ましい。本開示の効果の点ではR21〜R23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基又はアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基又はアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手することができるという点ではR21〜R23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本開示における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006851389
水素結合性化合物の具体例は、上述の他に、欧州特許第1096310号明細書、特開2002−156727号公報、特開2002−318431号公報に記載のものが挙げられる。
一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本開示の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本開示の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と一般式(D)の化合物とを粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
一般式(D)の化合物は、還元剤に対して、1モル%〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、10モル%〜150モル%の範囲で使用することがより好ましく、20モル%〜100モル%の範囲で使用することが更に好ましい。
<<1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物>>
本開示に係る熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。上記化合物は、単独で用いてもよく、上記の種々の化学増感剤化合物と併用してもよく、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本開示に係る熱現像感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは、以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
−タイプ1−
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、更に1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物。
−タイプ2−
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、更に1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まず、タイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、更に1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28頁〜32頁の表E及び表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)の各公報、米国特許第5,747,235号、米国特許第5,747,236号、欧州特許第786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許第893732A1号、米国特許第6,054,260号、米国特許第5,994,051号の各明細書などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
また、タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、更に1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、特開2003−114487号公報に記載の一般式(1)又は一般式(2)に記載の化合物、特開2003−114488号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)に記載の化合物、特開2003−75950号公報に記載の一般式(1)又は一般式(2)に記載の化合物、特開2004−239943号公報に記載の一般式(1)に記載の化合物、特開2004−245929号公報に記載の一般式(3)で表される化合物等が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、更に1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、特開2003−140287号公報に記載の一般式(1)で表される化合物、特開2004−245929号公報に記載の一般式(2)で表される化合物等が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開2003−156823号公報の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。更に好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なってもよい。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、又は1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、又はインダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及びベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、又は5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、及び3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また、窒素又はリンの四級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基など)又は四級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの四級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の四級塩構造が用いられ、更に好ましくは四級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら四級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲン化物イオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF 、PF 、及びPh等が挙げられる。なお、Phはフェニル基を表す。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していてもよい。分子内にない対アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン又はメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
タイプ1、タイプ2の化合物は水、メタノール、又はエタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くしたほうが溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加してもよい。
タイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層とともに保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
本開示の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10−9モル〜5×10−1モル、更に好ましくは1×10−8モル〜5×10−2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に含有する。
<<吸着基及び還元基を有する化合物(吸着性レドックス化合物)>>
本開示においては、上記画像形成層に、分子内にハロゲン化銀への吸着基及び還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。吸着性レドックス化合物としては、下記式(Rd)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006851389
式(Rd)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Bは還元基を表す。
式(Rd)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基等が挙げられる。
吸着基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環若しくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、及びトリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていてもよい。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li、Na、K、Mg2+、Ag、又はZn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基は更にまた、互変異性化してチオン基となっていてもよい。
吸着基としてチオン基とは、鎖状若しくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、−S−基又は−Se−基又は−Te−基又は=N−基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、及びベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基又はジスルフィド基とは、−S−又は−S−S−の化学構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、四級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。四級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、及びイミダゾリオ基などが挙げられる。吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、水素原子は置換されていてもよい。上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
更に、吸着基の具体例としては、特開平11−95355号公報の明細書4頁〜7頁に記載されているものが挙げられる。
式(Rd)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、又はインダゾール基など)であり、更に好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
式(Rd)中、Wは2価の連結基を表す。連結基は写真性に悪影響を与えないものであれば特に制限されない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、又はヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO−、−O−、−S−、−NR−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここで、Rは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、又はアリール基を表す。Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
式(Rd)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合を含む官能基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から、水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していてもよい。
式(Rd)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150頁−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282頁−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5、ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
Bで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が−0.3V〜1.0Vの範囲にあることが好ましく、−0.1V〜0.8Vの範囲であることがより好ましく、0V〜0.7Vの範囲であることが特に好ましい。
式(Rd)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
式(Rd)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
式(Rd)の化合物は、ビス体、トリス体であってもよい。式(Rd)の化合物の分子量は、好ましくは100〜10,000であり、より好ましくは120〜1,000であり、特に好ましくは150〜500である。
以下に式(Rd)の化合物を例示するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006851389
更に、欧州特許第1308776A2号明細書p73〜p87に記載の具体的化合物1〜30、1”−1〜1”−77も吸着基及び還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
吸着基及び還元性基を有する化合物の好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10−6モル〜1モルであることが好ましく、1×10−5モル〜5×10−1モルであることがより好ましく、1×10−4モル〜1×10−1モルであることが更に好ましい。
<<かぶり防止剤>>
上記画像形成層は、かぶり防止剤を含有することが好ましい。
本開示に用いることのできるかぶり防止剤、安定剤、及び安定剤前駆体としては、特開平10−62899号公報の段落0070、欧州特許公開第0803764A1号明細書の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号公報、同9−329864号公報記載の化合物、米国特許第6,083,681号明細書、欧州特許第1048975号明細書に記載の化合物が挙げられる。
1)有機ポリハロゲン化合物の説明
本開示における好ましいポリハロゲン化合物は、下記一般式(H)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006851389
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0〜1を表し、Z及びZはハロゲン原子を表し、Xは水素原子又は電子求引性基を表す。
一般式(H)において、Qは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は窒素原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基(ピリジン、キノリン基等)である。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値である電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。
このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子、電子求引性基で置換されたアルキル基、電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等があげられる。電子求引性基として特に好ましいのは、ハロゲン原子、カルバモイル基、アリールスルホニル基であり、特にカルバモイル基が好ましい。
Xは、電子求引性基であることが好ましい。好ましい電子求引性基としては、ハロゲン原子、脂肪族、アリール、若しくは複素環を有するスルホニル基、脂肪族、アリール、若しくは複素環を有するアシル基、脂肪族、アリール、若しくは複素環を有するオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、カルバモイル基であり、特に好ましくは臭素原子である。
及びZは好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−、−SO−、−C(=O)N(R)−、−SON(R)−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO−、−C(=O)N(R)−であり、特に好ましくは−SO−、−C(=O)N(R)−である。ここでいうRとは水素原子、アリール基又はアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
nは、0又は1を表し、好ましくは1である。
一般式(H)において、Qがアルキル基の場合、好ましいYは−C(=O)N(R)−であり、Qがアリール基又はヘテロ環基の場合、好ましいYは−SO−である。
一般式(H)において、化合物から水素原子を取り去った残基が互いに結合した形態(一般にビス型、トリス型、テトラキス型と呼ぶ)も好ましく用いることができる。
一般式(H)において、解離性基(例えばCOOH基又はその塩、SOH基又はその塩、POH基又はその塩等)、四級窒素カチオンを含む基(例えばアンモニウム基、ピリジニウム基等)、ポリエチレンオキシ基、水酸基等を置換基に有するものも好ましい形態である。
以下に本開示における一般式(H)の化合物の具体例を示す。
Figure 0006851389
上記以外の本開示に用いることができるポリハロゲン化合物としては、米国特許第3874946号、同4756999号、同5340712号、同5369000号、同5464737号、同6506548号の各明細書、特開昭50−137126号、同50−89020号、同50−119624号、同59−57234号、特開平7−2781号、同7−5621号、同9−160164号、同9−244177号、同9−244178号、同9−160167号、同9−319022号、同9−258367号、同9−265150号、同9−319022号、同10−197988号、同10−197989号、同11−242304号、特開2000−2963号、特開2000−112070号、特開2000−284410号、特開2000−284412、特開2001−33911号、特開2001−31644号、特開2001−312027号、特開2003−50441号の各公報の中において例示化合物として挙げられている化合物が好ましく用いられるが、特に特開平7−2781号、特開2001−33911号、特開2001−312027号の各公報に具体的に例示されている化合物が好ましい。
本開示における一般式(H)で表される化合物は、画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10−4モル以上1モル以下の範囲で使用することが好ましく、10−3モル以上0.5モル以下の範囲で使用することがより好ましく、1×10−2モル以上0.2モル以下の範囲で使用することが更に好ましい。
本開示において、かぶり防止剤を熱現像感光材料に含有せしめる方法としては、上記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
その他のかぶり防止剤としては、特開平11−65021号公報の段落0113の水銀(II)塩、同公報の段落0114の安息香酸類、特開2000−206642号公報のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号公報の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号公報の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号公報の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本開示に係る熱現像感光材料は、かぶり防止を目的としてアゾリウム塩を含有してもよい。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号公報に記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号公報に記載の化合物、特開昭60−153039号公報に記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は熱現像感光材料のいかなる部位に添加してもよいが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、画像形成層に添加することがより好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行ってもよく、画像形成層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加してもよい。本開示においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でもよいが、銀1モル当たり1×10−6モル以上2モル以下が好ましく、1×10−3モル以上0.5モル以下がより好ましい。
<<その他の添加剤>>
上記画像形成層は、上述した以外のその他の添加剤を用いることができる。
その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができる。例えば、メルカプト類、ジスルフィド類、チオン類、色調剤、可塑剤、潤滑剤、上記赤外線吸収染料とは別の染料、顔料、造核剤、及び、増粘剤が好ましく挙げられる。
また、これらその他の添加剤としては、特開2009−86045号公報に記載のものや、特開2009−86588号公報に記載のものが挙げられる。
本開示に係る熱現像感光材料には、更に、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層及び非感光性層のいずれかに添加することが好ましい。それらについて国際公開第98/36322号、欧州特許公開第803764A1号明細書、特開平10−186567号公報、同10−18568号公報等を参考にすることができる。
<非感光性バック層>
本開示に係る熱現像感光材料は、支持体の他方の面(画像形成層が形成された面とは反対の面)に、非感光性バック層を有する。
非感光性バック層については、特開平11−65021号公報の段落0128〜0130に記載されているが、非感光性バック層は、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有していてもよく、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有していることが好ましい。
また、非感光性バック層が含有する波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料としては、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、上記式(II)で表されるオキソノール染料を含むことが好ましい。
非感光性バック層における上記赤外線吸収染料の含有量は、1×10−6mol/m〜5×10−4mol/mであることが好ましく、2×10−6mol/m〜2.5×10−4mol/mであることがより好ましく、5×10−6mol/m〜1×10−4mol/mであることが更に好ましい。
非感光性バック層は、マット剤を含有することが好ましい。マット剤としては、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)が好ましい。また、マット剤の平均粒子サイズとしては、平均粒径3μm以上のマット剤を少なくとも1種類添加することが好ましく、平均粒径5μm以上のマット剤を少なくとも1種類添加することがより好ましい。
バインダーとしては、画像形成層において上述したバインダーが好ましく挙げられる。
非感光性バック層は、バインダーを含有することが好ましい。バインダーとしては、画像形成層において上述したバインダーが好ましく挙げられる。
また、非感光性バック層は、バインダーとして、ゼラチンを少なくとも含有することが好ましい。ゼラチンとしては、後述する最外層のものが好適に用いられる。
更に、非感光性バック層は、画像形成層において上述した、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩及び還元剤以外の各種成分を含有していてもよい。
本開示において、非感光性バック層は、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平1−61745号、特開2001−100363号の各公報などに記載されている。
このような着色剤は、0.1mg/m〜1g/mの範囲で含有されることが好ましい。添加する層としては画像形成層の反対側に設けられる非感光性バック層が好ましい。
また、ベース色調を調整するために580〜680nmに吸収ピークを有する染料を使用することが好ましい。この目的の染料としては、短波長側の吸収強度が小さい、特開平4−359967号公報及び同4−359968号公報に記載のアゾメチン系の油溶性染料、特開2003−295388号公報に記載のフタロシアニン系の水溶性染料が好ましい。この目的の染料はいずれの層に添加してもよいが、画像形成層面側の非感光性層又はバック面側に添加することがより好ましい。
非感光性バック層の厚さは、特に制限はないが、非感光性バック層におけるバインダーの量が、0.1g/m以上5g/m以下となる厚さであることが好ましく、0.5g/m以上3g/m以下となる厚さであることがより好ましい。
また、非感光性バック層は、保護層と赤外吸収染料を含む層との少なくとも2層で構成されていることが好ましい。
上記保護層のゼラチン量は、0.3g/m以上3g/m以下であることが好ましく、0.5g/m以上2g/m以下であることがより好ましい。
上記赤外吸収染料を含む層のゼラチン量は、0.5g/m以上5g/m以下であることが好ましく、1g/m以上4g/m以下であることがより好ましい。
上記保護層の乳化ラテックスの固形分量は、0.02g/m以上2g/m以下であることが好ましく、0.05g/m以上1g/m以下であることがより好ましい。
上記赤外吸収染料を含む層の乳化ラテックスの固形分量は、0.1g/m以上5g/m以下であることが好ましく、0.2g/m以上2g/m以下であることがより好ましい。
<支持体>
本開示に係る熱現像感光材料は、支持体を有する。
支持体としては、透明支持体が好ましい。また、支持体の材質としては、樹脂が好ましい。なお、本開示における“透明”とは、可視光(400nm〜700nm)の透過率が80%以上であることとする。
支持体は、二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130℃〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号公報の実施例に記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体としては、特開平11−84574号公報に記載の水溶性ポリエステル、同10−186565号公報に記載のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号公報に記載の塩化ビニリデン共重合体などを使用することが好ましい。また、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
支持体の厚さは、特に制限はないが、10μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることがより好ましく、150μm以上190μm以下であることが更に好ましい。
<他の層構成>
本開示に係る熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方面に、画像形成層及び非感光性層をこの順で有することが好ましい。非感光性層は最外層であることが好ましく、画像形成層と非感光性層との間に非感光性中間層を有することが好ましい。画像形成層は第一の非感光性有機銀塩を含有し、中間層は第二の非感光性有機銀塩を含有することが好ましい。
本開示に係る熱現像感光材料は、画像形成層と、第二の非感光性有機銀塩を含有する中間層との間に、別の非感光性中間層を有していてもよい。本開示では、以降の説明において、理解を容易にするため、非感光性中間層を中間層B、第二の非感光性有機銀塩を含有する非感光性層を中間層Aと記述する場合がある。
本開示に係る熱現像感光材料は、支持体及びそれに隣接する層の接着性を向上させる観点から、下塗り層を有していてもよい。また、下塗り層は、支持体の両面に有していてもよい。
また、光学フィルターとして作用する層を設ける場合は、画像形成層の露光面側のいずれかの非感光性層に光吸収剤(上記赤外線吸収染料とは別の染料、顔料など)を含有させてもよい。アンチハレーション層を設ける場合は、画像形成層の露光面とは反対面側のいずれかの非感光性層に光吸収剤(上記赤外線吸収染料とは別の染料、顔料など)を含有させてもよい。
−非感光性層に含有される第2の非感光性有機銀塩−
本開示における非感光性層に含有される第2の非感光性有機銀塩としては、好ましくは含窒素ヘテロ環銀塩が挙げられる。
これらの有機銀塩を含有する非感光性層は、画像形成層に対して支持体とは反対側に少なくとも1層の非感光性層を有し、後述の表面保護層や表面保護層と画像形成層の間の中間層などである。これらの非感光性層のいずれか1層が第2の非感光性有機銀塩を含有することが好ましい。
含窒素ヘテロ環銀塩は、含窒素ヘテロ環化合物の銀塩であり、含窒素ヘテロ環化合物としては、アゾール類、オキサゾール類、チアゾール類、チアゾリン類、イミダゾール類、ジアゾール類、ピリジン類、インドリジン類及びトリアジン類が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましくはインドリジン類、イミダゾール類及びアゾール類である。アゾール類として好ましくは、トリアゾール、テトラゾール、及びその誘導体である。更に好ましくは、ベンゾイミダゾール及びその誘導体、ベンゾトリアゾール及びその誘導体である。インドリジン類としては、トリアザインドリジン誘導体が好ましい。
更に代表的な含窒素ヘテロ環化合物を次に挙げるが、これらの化合物に限定されることはない。例えば、1,2,4−トリアゾール、又はベンゾトリアゾール及びその誘導体で、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、又は、5−クロロベンゾトリアゾールが好ましい。更に米国特許第4,220,709号明細書(de Mauriac)に記載されているフェニルメルカプトテトラゾールのような1H−テトラゾール化合物、米国特許第4,260,677号明細書(ウィンズローほか)に記載のイミダゾール及びイミダゾール誘導体等が挙げられ、ベンゾイミダゾール、ニトロベンゾイミダゾールが好ましい。トリアザインドリジン誘導体としては5−メチル−7−ヒドロキシ−1,3,5−トリアザインドリジンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
本開示における第2の非感光性有機銀塩は、平均円相当直径が0.03μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.4μm以下であることがより好ましく、0.08μm以上0.3μm以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、凝集等を抑制し、粗大粒子の生成を抑制し、また、粒子サイズが安定し、所望の性能が容易に得られる。
有機銀塩の粒子サイズ測定方法は、有機銀塩粒子を電顕で観察し、その投影面積を円相当に換算し、円相当直径を求めることができる。
本開示における第2の非感光性有機銀塩の平均円相当直径を本開示の範囲内に調整するために、有機銀塩結晶の調製条件とその分散条件を利用することができる。
《第2の非感光性有機銀塩の結晶調製工程》
本開示における第2の非感光性有機銀塩の結晶は、通常の合成方法で調製することができる。例えば、水中で融点以上(好ましくは10℃〜90℃)に加熱し溶融させ、水酸化ナトリウムを用いてナトリウム塩を調製し、そこに硝酸銀水溶液を加えて銀塩結晶を析出させる。あるいは、アルカリ金属塩の水溶性が高ければ、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムあるいは水酸化リチウムを用いてナトリウム塩、カリウム塩あるいはリチウム塩の水溶液を調製し、このアルカリ金属塩の水溶液と硝酸銀水溶液を混合し銀塩結晶を析出させてもよい。必要により脱塩処理工程を施すことが好ましい。結晶を調製する時にゼラチン、変性ポリビニルアルコール等の親水性コロイドを共存させてもよい。各薬剤の濃度、混合温度、及び混合速度を調整して、次の分散工程で微細に分散されるよう軟構造の結晶を調製することが好ましい。
第2の非感光性有機銀塩の粒子サイズが単分散であることが好ましく、単分散にするために、有機化合物のアルカリ金属塩水溶液と硝酸銀水溶液とを同時添加方法により混合して、非感光性有機銀塩を調製することが好ましい。
同時添加方法によって調整する場合の添加時の反応温度は、本開示の粒子サイズにするために30℃以上95℃以下であることが好ましく、更に好ましくは50℃以上90℃以下である。反応温度が低すぎると粒子サイズの小さい有機銀塩が生成し、保存中の安定性が損なわれてしまい好ましくない。また、反応温度が高すぎると粒子サイズの大きい有機銀塩が生成し、本開示の期待される効果が得られなくなり好ましくない。
《分散工程》
結晶調製後の湿潤したスラリーの状態で分散することが微細分散物を得る上で好ましい。分散に際して、適当な分散剤を用いることが好ましい。分散手段は、本願の還元剤の説明に記載した種々の分散方法を利用することができるが、特に固体分散方法が好ましい。具体的合成方法は、特開平1−100177号公報に記載されている。
非感光性層に含有される第2の非感光性有機銀塩の添加量は、銀量で0.001g/m〜3g/mであることが好ましく、0.005g/m〜1g/mであることがより好ましく、0.01g/m〜0.5g/mであることが更に好ましい。
非感光性層に含有される第2の非感光性有機銀塩は、画像形成層に添加される第一の非感光性有機銀塩に対して、0.5モル%以上50モル%であることが好ましく、1モル%以上20モル%であることがより好ましい。
<<第二の非感光性有機銀塩を含有する非感光性層(中間層A)及び非感光性中間層(中間層B)のバインダー>>
本開示においては、中間層Bのバインダーの少なくとも50質量%以上がポリマーラテックスであるものが好ましい。残りのバインダー成分としては、後述の親水性ポリマーを用いるのが好ましい。中間層Aのバインダーは好ましくは親水性バインダーであり、現像促進剤あるいはかぶり防止剤、上記赤外線吸収染料とは別の染料や顔料、可塑剤や潤滑剤、架橋剤、及び界面活性剤などの添加剤を含有していてもよい。
好ましいポリマーラテックスは、下記一般式(M)で表されるモノマー成分を10質量%以上70質量%以下有するポリマーラテックスである。
Figure 0006851389
式中、R01及びR02は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、及びシアノ基より選ばれる基である。
01及びR02の好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。R01及びR02のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましく、塩素原子が更に好ましい。
01及びR02は、両方が水素原子であるか、又は一方が水素原子で他方がメチル基若しくは塩素原子であることが好ましく、より好ましくは一方が水素原子で他方がメチル基である。
一般式(M)で表されるモノマーの具体例としては、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、及び、2−シアノ−1,3−ブタジエンが挙げられる。
ポリマーラテックス中の一般式(M)で表されるモノマーの共重合比率は、10質量%〜70質量%が好ましく、15質量%〜65質量%はより好ましく、20質量%〜60質量%が更に好ましい。上記範囲であると、バインダーの融着成分が十分であり、加工脆性に優れ、また、バインダーの運動性が適度であり、画像保存性に優れる。
ポリマーラテックスは酸基を有するモノマーを含んでいてもよく、酸基としては、カルボン酸基(−COOH)、スルホン酸基(−SOH)、又は、リン酸基(−OPOH)が好ましく、カルボン酸基が特に好ましい。酸基を有するモノマーの共重合比率は、1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、イソプレンスルホン酸、及び、ホスホリルエチルメタクリレートなどが挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
上記バインダーは、成膜性と画像保存性の点でガラス転移温度(Tg)が−30℃〜70℃の範囲のものが好ましく、−10℃〜50℃の範囲のものがより好ましく、0℃〜40℃の範囲のものが更に好ましい。バインダーとして2種以上のポリマーを併用してもよく、この場合、組成分を考慮し加重平均したTgが上記の範囲内であることが好ましい。また、相分離した場合やコア−シェル構造を有する場合には加重平均したTgが上記の範囲内であることが好ましい。
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
ポリマーラテックスは、25℃60%RHにおける平衡含水率が2質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以上1.0質量%以下であることが更に好ましい。
中間層A及び中間層Bは、必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを含んでいてもよい。上記親水性ポリマーの含有量は、中間層Aの全バインダーの50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
中間層Aの全バインダー塗布量は、0.5g/m〜3.0g/mであることが好ましく、1.0g/m〜2.0g/mであることがより好ましい。
中間層Bの全バインダー塗布量は、0.3g/m〜3.0g/mであることが好ましく、0.5g/m〜1.5g/mであることがより好ましい。
<<最外層>>
上記最外層は、バインダーとして親水性ポリマーを50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましい。
本開示における親水性ポリマーは、好ましくは動物性蛋白質由来の親水性ポリマーである。動物性蛋白質由来の親水性ポリマーとは、にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白などの天然あるいは化学的に修飾された水溶性ポリマーをいう。好ましくはゼラチンであり、その合成方法によって酸処理ゼラチン及びアルカリ処理ゼラチン(石灰処理など)があり、いずれも好ましく用いることができる。分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンのアミノ基やカルボキシル基を利用して変性処理した変性ゼラチンも用いることができる(例えば、フタル化ゼラチンなど)。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。
ゼラチン水溶液では、30℃以上の温度に温めるとゾル化し、それ以下の温度に下げるとゲル化し流動性を失う。このようなゾルーゲル変化が温度で可逆的に起こるため、塗布溶液であるゼラチン水溶液は、30℃より低い温度に冷やされると流動性を失うというセット性を有する。
<<アンチハレーション層>>
本開示に係る熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を、例えば、画像形成層と支持体との間に設けることができる。
アンチハレーション層としては、特開平11−65021号公報の段落0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号の各公報等に記載されているものが挙げられる。
アンチハレーション層は、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含んでいることが好ましい。本開示においては、露光波長が赤外域にあるため赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視光線を吸収しない染料であることが好ましい。また、アンチハレーション染料は、pHによって吸収波長が変化可能な水溶性染料又は固体分散染料を含むことが好ましい。
可視光線を吸収する染料を用いてハレーションを防止する場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることがより好ましく、非感光性層に消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが特に好ましい。これらの技術については特開平11−231457号公報等に記載されている。
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用することが好ましい。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための消色染料の使用量は、好ましくは0.001g/m〜1g/m程度である。
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号公報に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)、2−ナフチルベンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
<膜面pH>
本開示に係る熱現像感光材料は、熱現像処理前の画像形成層における膜面pHが7.0以下であることが好ましく、更に好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。特に好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号公報の段落0123に記載されている。
<硬膜剤>
本開示に係る熱現像感光材料における画像形成層、保護層、非感光性バック層など各層は、硬膜剤を含んでいてもよい。硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)、77頁〜87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同文献の78頁など記載の多価金属イオン、米国特許第4,281,060号明細書、特開平6−208193号公報などのポリイソシアネート類、米国特許第4,791,042号明細書などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号公報などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本開示の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
<界面活性剤>
本開示に適用できる界面活性剤については、特開平11−65021号公報の段落0132、溶剤については、同公報の段落0133、支持体については同公報の段落0134、帯電防止又は導電層については同公報の段落0135、カラー画像を得る方法については同公報の段落0136に、滑り剤については特開平11−84573号公報の段落0061〜0064に記載されている。
本開示に係る熱現像感光材料は、界面活性剤として、炭素原子数が2以上でフッ素原子数が12以下のフッ化アルキル基を有するフッ素化合物を含有することが好ましい。このようなフッ素化合物としては、特開2004−212903号公報の10頁1行目から36頁30行目に記載の化合物を挙げることができる。
フッ素化合物は、界面活性剤として、画像形成層が設けられた面側のいずれかの層を形成するための塗布組成物に好ましく用いられている。中でも、熱現像感光材料の最外層の形成に用いると、効果的な帯電防止能と塗布の均一性を得ることができるので特に好ましい。本開示におけるフッ素化合物は、帯電防止能と塗布の均一性を示す点でも有用であるが、保存安定性、使用環境依存性を改良するためにも有効である。
フッ素化合物の使用量については特に制約はなく、用いるフッ素化合物の構造や用いる層、組成物中に含まれる他の素材の種類や量等に応じて、その使用量を任意に決定することができる。例えば、熱現像感光材料の最外層用塗布液として用いる場合、フッ素化合物の塗布量としては、0.1mg/m〜100mg/mであることが好ましく、0.5mg/m〜20mg/mであることがより好ましい。
本開示においては、フッ素化合物は1種類を単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。更に、上記炭素原子数が2以上でフッ素原子数が12以下のフッ化アルキル基を有するフッ素化合物以外のフッ素化合物を併用してもよい。また、フッ素化合物と、フッ素化合物以外の界面活性剤とを併用してもよい。
<帯電防止剤>
本開示に係る熱現像感光材料は、金属酸化物又は導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は、下塗り層、又は、非感光性バック層の表面保護層などとして使用してもよく、これらの層とは別の層として使用してもよい。帯電防止層に含まれる導電性材料は、金属酸化物の酸素が欠陥しており、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO、SnOが好ましく、ZnOに対してはAl、Inを添加すること、SnOに対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等を添加すること、TiOに対してはNb、Ta等を添加することが、それぞれ好ましい。導電性材料としては、Sbを添加したSnOが特に好ましい。
異種原子の添加量は、0.01モル%〜30モル%の範囲であることが好ましく、0.1モル%〜10モル%の範囲であることがより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の観点から、長軸/単軸比が2.0以上であることが好ましく、3.0〜50の針状粒子であることがより好ましい。金属酸化物の使用量は、好ましくは1mg/m〜1,000mg/mの範囲であり、より好ましくは10mg/m〜500mg/mの範囲であり、更に好ましくは20mg/m〜200mg/mの範囲である。
帯電防止層は、支持体の画像形成層を有する側及び非感光性バック層を有する側のいずれに設置してもよいが、支持体と非感光性バック層との間に設置することが好ましい。帯電防止層の具体例は特開平11−65021号公報の段落0135、特開昭56−143430号公報、同56−143431号公報、同58−62646号公報、同56−120519号公報、特開平11−84573号公報の段落0040〜0051、米国特許第5,575,957号明細書、特開平11−223898号公報の段落0078〜0084に記載されている。
<包装材料>
本開示に係る熱現像感光材料は、生保存時の写真性能の変動を押えるため、又はカール、巻癖などを抑制するために、酸素透過率及び水分透過率の低い包装材料の少なくとも一方で包装することが好ましい。酸素透過率は、25℃で50mL/atm・m・day以下であることが好ましく、10mL/atm・m・day以下であることがより好ましく、1.0mL/atm・m・day以下であることが更に好ましい。水分透過率は、10g/atm・m・day以下であることが好ましく、5g/atm・m・day以下であることがより好ましく、1g/atm・m・day以下であることが更に好ましい。
酸素透過率及び/又は水分透過率の低い包装材料の具体例としては、特開平8−254793号公報、又は、特開2000−206653号公報に記載されている包装材料が挙げられる。
<その他の利用できる技術>
本開示に係る熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、欧州特許出願公開第803764A1号明細書、欧州特許出願公開第883022A1号明細書、国際公開第98/36322号、特開昭56−62648号公報、同58−62644号公報、特開平9−43766号公報、同9−281637号公報、同9−297367号公報、同9−304869号公報、同9−311405号公報、同9−329865号公報、同10−10669号公報、同10−62899号公報、同10−69023号公報、同10−186568号公報、同10−90823号公報、同10−171063号公報、同10−186565号公報、同10−186567号公報、同10−186569号公報〜同10−186572号公報、同10−197974号公報、同10−197982号公報、同10−197983号公報、同10−197985号公報〜同10−197987号公報、同10−207001号公報、同10−207004号公報、同10−221807号公報、同10−282601号公報、同10−288823号公報、同10−288824号公報、同10−307365号公報、同10−312038号公報、同10−339934号公報、同11−7100号公報、同11−15105号公報、同11−24200号公報、同11−24201号公報、同11−30832号公報、同11−84574号公報、同11−65021号公報、同11−109547号公報、同11−125880号公報、同11−129629号公報、同11−133536号公報〜同11−133539号公報、同11−133542号公報、同11−133543号公報、同11−223898号公報、同11−352627号公報、同11−305377号公報、同11−305378号公報、同11−305384号公報、同11−305380号公報、同11−316435号公報、同11−327076号公報、同11−338096号公報、同11−338098号公報、同11−338099号公報、同11−343420号公報、特開2000−187298号公報、同2000−10229号公報、同2000−47345号公報、同2000−206642号公報、同2000−98530号公報、同2000−98531号公報、同2000−112059号公報、同2000−112060号公報、同2000−112104号公報、同2000−112064号公報、同2000−171936号公報も挙げられる。
(熱現像感光材料の作製方法)
本開示に係る熱現像感光材料の作製方法は、特に制限はないが、pHを調節しやすく、ハロゲン化銀の化学増感及び色増感などの機構導入が容易となる観点から、上記画像形成層を水性塗布によって形成する工程を含むことが好ましい。
また、本開示に係る熱現像感光材料の作製方法は、得られる画像における画質の鮮鋭度の観点から、上記式(III)で表される赤外増感色素、上記式(IV)で表される強色増感化合物及び上記式(V)で表される強色増感化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の化合物を、感光性ハロゲン化銀を含む組成物に50℃以上の温度条件下で少なくとも添加して画像形成層形成用塗布液を調製する工程を含み、上記画像形成層を水性塗布によって形成する工程が、上記画像形成層形成用塗布液を水性塗布して上記画像形成層を形成する工程であることがより好ましい。上記増感化合物の添加温度が50℃以上であることで、増感化合物のハロゲン化銀表面への吸着を高め、感材の保存性及び生産工程における安定性などを向上することができる。
また、本開示に係る熱現像感光材料の作製方法は、非感光性層を水性塗布によって形成する工程を含むことが好ましい。
本開示に係る熱現像感光材料における画像形成層等の各層は、いかなる方法で塗布されてもよい。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを用いる押出コーティングを含む、種々のコーティング方法が使用されてよく、Stephen F.Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN&HALL社刊、1997年)、399頁〜536頁に記載のエクストルージョンコーティング、又はスライドコーティングが好ましく用いられ、スライドコーティングがより好ましく用いられる。スライドコーティングに使用するスライドコーターの形状としては、同書427頁のFigure 11b.1に記載されている。また、所望により、同書399頁から536頁に記載の方法、米国特許第2,761,791号明細書及び英国特許第837,095号明細書に記載の方法によって、2層又はそれ以上の層を同時に被覆することができる。本開示において、特に好ましい塗布方法としては、特開2001−194748号公報、同2002−153808号公報、同2002−153803号公報、同2002−182333号公報などに記載された方法が挙げられる。
画像形成層塗布液は、チキソトロピー流体であることが好ましい。チキソトロピー流体については、特開平11−52509号公報等を参考にすることができる。本開示の有機銀塩含有層塗布液は、剪断速度0.1S−1における粘度が400mPa・s以上100,000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以上20,000mPa・s以下であることがより好ましい。また、画像形成層塗布液は、剪断速度1,000S−1における粘度が1mPa・s以上200mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上80mPa・s以下であることがより好ましい。
本開示において熱現像感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
塗布液を調合する場合において、2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機を用いることが好ましい。本開示の好ましいインライン混合機としては、特開2002−85948号公報に、好ましいインプラント混合機としては特開2002−90940号公報にそれぞれ記載されているものが挙げられる。
塗布液は、塗布面状を良好に保つために脱泡処理をすることが好ましい。本開示の好ましい脱泡処理方法としては、特開2002−66431号公報に記載された方法が挙げられる。
塗布液を塗布する際には、支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本開示における好ましい除電方法としては、特開2002−143747号公報に記載されている方法が挙げられる。
本開示においては、非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するために、乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。好ましい乾燥方法としては、特開2001−194749号公報及び同2002−139814号公報などに詳しく記載されている。
本開示に係る熱現像感光材料は、成膜性を向上させるために、塗布して乾燥させた直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度としては、膜面温度で60℃〜100℃の範囲であることが好ましく、70℃〜90℃の範囲であることがより好ましい。加熱時間としては、1秒〜60秒の範囲であることが好ましく、2秒〜10秒の範囲であることがより好ましい。好ましい加熱処理の方法としては、特開2002−107872号公報に記載されているものが挙げられる。
また、本開示に係る熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号公報、同2002−182333号公報に記載の製造方法が好ましく用いられる。
本開示に係る熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
(画像形成方法)
1)露光
本開示に係る熱現像感光材料はいかなる方法で露光されてもよいが、露光光源としてはレーザー光による走査露光を用いることが好ましい。レーザーとしては、赤〜赤外のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、又は、青〜緑発光のAr,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーを用いることができる。本開示では、赤色〜赤外半導体レーザーを用いることが好ましく、レーザー光は、700nm〜900nmの波長範囲にピークを有することが好ましく、720nm〜850nmの波長範囲にピークを有することがより好ましい。また、青色半導体レーザーを用いることも好ましく、この場合にレーザー光は、300nm〜500nmの波長範囲にピークを有することが好ましく、400nm〜500nmの波長範囲にピークを有することがより好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
2)熱現像
本開示に係る熱現像感光材料はいかなる方法で現像されてもよいが、通常画像様(イメージワイズ)に露光した熱現像感光材料を昇温して現像する。現像温度としては、80℃〜250℃が好ましく、100℃〜140℃がより好ましく、110℃〜130℃が更に好ましい。現像時間としては、1秒〜60秒が好ましく、3秒〜30秒がより好ましく、5秒〜25秒が更に好ましく、7秒〜15秒が特に好ましい。
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号公報に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、上記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ上記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、上記押えローラと上記プレートヒーターとの間に上記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2段〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号公報にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
熱現像機の小型化及び熱現像時間の短縮のためには、より安定にヒーターを制御することが好ましく、また、1枚のシート感材に対して先頭部から露光を開始し、後端部の露光が終わらないうちに熱現像を開始することが好ましい。本開示において迅速処理が可能な撮像装置(イメージャー)、例えば特開2002−289804号公報及び同−287668号公報に記載されている。このイメージャーを使用することによって、例えば、107℃、121℃及び121℃にそれぞれ制御された3段のプレート型ヒーターを使用して14秒で熱現像処理することができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。このような迅速現像処理のためには高感度で、環境温度の影響を受けにくい本開示に係る熱現像感光材料を組み合わせて使用することが好ましい。
3)システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては、富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DPL(富士フイルム(株)製)が挙げられる。FM−DPLに関しては、Fuji Medical Review No.8,page39〜55に記載されており、それらの技術を本開示に係る熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用してもよい。また、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に適応したネットワークシステムとして富士フイルムメディカル(株)が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
(用途)
本開示に係る熱現像感光材料は、銀を含む黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、コンピューター出力マイクロフィルム(COM)用の熱現像感光材料として使用することができる。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<実施例1>
((PET支持体の作製))
(製膜)
テレフタル酸とエチレングリコールとを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66dL/g(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)に溶解させて、25℃で測定した。)のポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥して、300℃で溶融して、T型ダイから押し出して急冷して、未延伸フィルムを作製した。
なお、固有粘度IVとは、溶液粘度(η)と溶媒粘度(η)の比η(=η/η;相対粘度)から1を引いた比粘度(ηsp=η−1)を濃度で割った値を濃度がゼロの状態に外挿した値である。
固有粘度IVは、以下の方法により測定した。
1)対象サンプルを50mlメスフラスコに1.5000g〜1.5005g秤量する。
2)メスフラスコにIV溶液(フェノール/テトラクロルエタン=6/4)30mlを添加する。
3)上記で得られた混合液を、145℃のオイルバスで15分間加熱撹拌溶解後、10分間室温(25℃)下で放冷する。
4)その後、25℃の水槽内で15分間冷却した後、IV溶液を追加し、上記メスフラスコの標線までメスアップする。
5)オストワルド型粘度管を備えた測定装置(ヤマトラボテック(株)製、型式:AVM−102)を用いて、IV溶媒の落下秒数(t1)と調製溶液の落下秒数(t2)とを測定する。
6)測定値の比(t2/t1)からハギンスの粘度式を用いて、固有粘度を算出する。
上記で得た未延伸フィルムを、周速の異なるロールを用いて3.3倍に縦延伸して、ついでテンターで4.5倍に横延伸した。この時の温度は、それぞれ、110℃、130℃であった。続いて、240℃で20秒間熱固定した後、240℃で横方向に4%緩和した。この後テンターのチャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、4kg/cmで巻き取り、厚み175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)支持体のロールを得た。
(表面コロナ処理)
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用いて、PET支持体の両面に対して、室温(25℃、以下同様)下において20m/分でコロナ処理を行った。この時の電流及び電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/mで処理がなされていることがわかった。コロナ処理における処理周波数は9.6kHzであり、電極と誘電体ロ−ルとのギャップクリアランスは1.6mmであった。
(下塗り)
1)下塗り層塗布液の作製
処方(1)(画像形成層用の下塗り層塗布液)
・ペスレジンA−520(高松油脂(株)製、30質量%溶液):46.8g
・バイロナールMD−1200(東洋紡績(株)製):10.4g
・ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル:11.0g
(平均エチレンオキシド数=8.5;1質量%溶液)
・MP−1000(綜研化学(株)製、平均粒径0.4μmのポリメタクリル酸メチル(PMMA)ポリマー粒子):0.91g
・蒸留水:931mL
処方(2)(バック面側第1層用の下塗り層塗布液)
・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン(株)製、固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32):130.8g
・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩(富士フイルムファインケミカルズ(株)製、8質量%水溶液):5.2g
・ポリスチレン粒子分散物(日本ゼオン(株)製、平均粒子径2μm、20質量%):0.5g
・蒸留水:854mL
処方(3)(バック面側第2層用の下塗り層塗布液)
・SnO/SbO(三菱マテリアル(株)製、9/1質量比、平均粒径0.5μm、17質量%分散物):84g
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製):7.9g
・メトローズTC−5(信越化学工業(株)製、2質量%水溶液):10g
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液:10mL
・NaOH(1質量%):7g
・プロキセル(アビシア社製):0.5g
・蒸留水:881mL
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の表面及び裏面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、一方面(画像形成層面)に下塗り層塗布液処方(1)をワイヤーバーで湿潤(ウエット)塗布量が6.6mL/m(片面当たり)になるように塗布して、180℃で5分間乾燥した。続いて、他方面(非感光性バック層面)に下塗り層塗布液処方(2)をワイヤーバーで湿潤(ウエット)塗布量が5.7mL/mになるように塗布して、180℃で5分間乾燥した。続いて、更に非感光性バック層面に下塗り層塗布液処方(3)をワイヤーバーでウエット塗布量が8.4mL/mになるように塗布して、180℃で6分間乾燥して、下塗り層を有する支持体を作製した。
2)赤外線吸収染料分散物Bの調製
下記に示す赤外線吸収染料Bを含む染料0.5kg、カルボキシメチルセルロースの10質量%水溶液3.0kg、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製)の48質量%水溶液)42g、及び消泡剤(サーフィノール104E(信越化学工業(株)製))3.0gを添加して、よく混合してスラリーとした。
Figure 0006851389
上記で得られたスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0g及び水を加えて、非水溶性染料の濃度が5質量%になるように調整した。上記で得られた分散液を40℃で2時間加温して、赤外線吸収染料Bの固体分散物を得た。得られた固体分散物に含まれる染料粒子はメジアン径が0.49μmであり、最大粒子径が2.6μm以下であった。得られた固体分散物を孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターを用いてろ過して、ゴミ等の異物を除去し、赤外線吸収染料分散物Bを得た。赤外線吸収染料分散物BのpHは、苛性ソーダを用いて5〜9の範囲に調整することができる。
3)赤外線吸収染料水溶液Cの調製
下記に示す赤外線吸収染料Cを含む染料0.4gを、100mLの純水に添加して、
0.4質量%の水溶液を作製した。得られた水溶液にpHは、苛性ソーダを用いて5〜9の範囲に調整することができる。なお、下記におけるEtはエチル基を表す。
Figure 0006851389
((非感光性バック層、及び、非感光性バック面保護層))
(非感光性バック層)
1)非感光性バック層用塗布液−1の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、下記青色染料−2の5質量%水溶液45mL、クラリアント社製の青色染料FRL−SFの10質量%水溶液6.1mL、水1,544mLを加えてゼラチンを溶解させた。得られた溶液に、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液27mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液25mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの3質量%水溶液72mL、後述のイソプレンラテックスTP−1の10質量%水分散液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の4質量%水溶液52mLを混合した。得られた塗布液の粘度は、B型粘度計(一円筒型粘度計ビスメトロン、型式 VS−A1、芝浦システム(株)製、No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、32mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で5.15であった。
Figure 0006851389
2)非感光性バック層塗布液−2の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、青色染料−2の5質量%水溶液45mL、クラリアント社製青色の染料FRL−SFの10質量%水溶液6.1mL、水1,544mLを加えてゼラチンを溶解させた。得られた溶液に、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液27mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液25mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの3質量%水溶液72mL、後述のイソプレンラテックスTP−1の10質量%水分散液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の4質量%水溶液52mLを混合した。得られた溶液に、上記赤外線吸収染料Cの0.4重量%赤外吸収染料水溶液を179mL加えた。得られた塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、32mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で5.15であった。
3)非感光性バック層塗布液−3の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、青色染料−2の5質量%水溶液45mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液6.1mL、水1,544mLを加えてゼラチンを溶解させた。得られた溶液に、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液27mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液25mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの3質量%水溶液72mL、後述のイソプレンラテックスTP−1の10質量%水分散液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の4質量%水溶液52mLを混合した。得られた溶液に、上記赤外線吸収染料Cの0.4重量%赤外吸収染料水溶液を179mL加えて、続いて、上記赤外線吸収染料Bの5重量%固体分散赤外吸収染料を15mL加えた。得られた塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、32mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で5.15であった。
4)非感光性バック層塗布液−4の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、青色染料−2の5質量%水溶液45mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液6.1mL、水1,544mLを加えてゼラチンを溶解させた。得られた溶液に、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液27mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液25mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの3質量%水溶液72mL、後述のイソプレンラテックスTP−1の10質量%水分散液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の4質量%水溶液52mLを混合した。得られた溶液に、上記赤外線吸収染料Cの0.4重量%染料水溶液を179mL加えて、続いて、上記赤外線吸収染料Bの5重量%固体分散染料を15mL加えた。得られた塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、32mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で7.5であった。
5)非感光性バック層塗布液−5の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、青色染料−2の5質量%水溶液45mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液6.1mL、水1,544mLを加えてゼラチンを溶解させた。得られた溶液に、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液27mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液25mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの3質量%水溶液72mL、後述のイソプレンラテックスTP−1の10質量%水分散液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液52mLを混合した。得られた溶液に、上記赤外線吸収染料Bの5重量%固体分散染料を30mL加えた。得られた塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、32mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で5.15であった。
6)非感光性バック層塗布液−6の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、青色染料−2の5質量%水溶液45mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液6.1mL、水1,544mLを加えてゼラチンを溶解させた。得られた溶液に、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液27mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液25mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの3質量%水溶液72mL、後述のイソプレンラテックスTP−1の10質量%水分散液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液52mLを混合した。得られた溶液に、上記赤外線吸収染料Bの5重量%固体分散染料を30mL加えた。得られた塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、32mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で7.5であった。
(非感光性バック面保護層)
1)非感光性バック面保護層塗布液の調製
処方(1)バック面保護層塗布液−1
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、マット剤として単分散ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子サイズ6μm、粒径標準偏差0.4)5.7gを一種類のみ添加し、ベンゾイソチアゾリノン637mg、水1,645mLを加えてゼラチンを溶解させた。更にカルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セレゾール524)の30質量%溶液15.8mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液5.7mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液24mL、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム3質量%水溶液50mL、下記フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を12mL、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液2.4mL、エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/4)ラテックスの20質量%液72gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液90mLを混合して、バック面保護層塗布液−1とした。塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で28mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で5.5であった。
Figure 0006851389
Figure 0006851389
((非感光性バック層の塗布))
上記下塗り層を有する支持体のバック面側に、表1に記載の非感光性バック層塗布液をゼラチン塗布量が1.5g/mとなるように、またバック面保護層塗布液−1をゼラチン塗布量が0.73g/mとなるように同時重層塗布して、乾燥させて、非感光性バック層を形成した。
((画像形成層、中間層及び表面保護層))
以下のように、塗布用材料の準備を行った。
(ハロゲン化銀乳剤)
1)ハロゲン化銀乳剤1の調製
蒸留水1,421mLに1質量%臭化カリウム溶液3.1mLを加え、更に0.5mol/L濃度の硫酸を3.5mL、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液を、ステンレス製反応壺中で撹拌しながら、27℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mLに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。続いて、得られた溶液に、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10mL添加して、更にベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8mL添加した。得られた溶液に、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて希釈した溶液C317.5mL、並びに臭化カリウム44.2g及びヨウ化カリウム2.2gに蒸留水を加えて希釈した溶液D400mLを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。溶液C及び溶液Dを添加しはじめてから10分後に、銀1モル当たり1×10−4モルになるように六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に、六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モルとなるように全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗を行った。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記で得られたハロゲン化銀分散物を撹拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5mL加え、40分後に62℃に昇温した。昇温の20分後に、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムのメタノール溶液を、銀1モルに対して7.6×10−5モルとなるように加え、更に5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり5.2×10−4モル加えて、91分間撹拌しながら62℃に温度を維持した。その後、分光増感色素A(フェノキシエタノール8%及びメタノール92%の溶液に溶解)を3.0×10−3モル添加し、強色増感化合物B1(メタノール溶液)を2.3×10−3モルと強色増感化合物B2(メタノール溶液)を6.40×10−3モル加え、更に4分後に、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾール(メタノール溶液)を銀1モルに対して5.4×10−3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10−3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
調製した上記ハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径が0.034μmであり、球相当径の変動係数が20%であるヨウド(Iodo)を均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用いて1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の(100)面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求めた。
2)ハロゲン化銀乳剤2の調製
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、沈殿/脱塩/水洗/分散を行い、続いて、得られた溶液の温度を62℃に昇温して、赤外増感色素Aを添加せず、ハロゲン化銀乳剤1同様に熟成した乳剤をハロゲン化銀乳剤2とした。
3)ハロゲン化銀乳剤3の調製
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、沈殿/脱塩/水洗/分散を行い、続いて、得られた溶液の温度を62℃に昇温して、強色増感化合物B1を添加せず、ハロゲン化銀乳剤1同様に熟成した乳剤をハロゲン化銀乳剤3とした。
4)ハロゲン化銀乳剤4の調製
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、沈殿/脱塩/水洗/分散を行い、続いて、得られた溶液の温度を62℃に昇温して、強色増感化合物B2を添加せず、ハロゲン化銀乳剤1同様に熟成した乳剤をハロゲン化銀乳剤4とした。
Figure 0006851389
Figure 0006851389
Figure 0006851389
Figure 0006851389
((塗布液用ハロゲン化銀乳剤Aの調製))
ハロゲン化銀乳剤1を溶解し、乳剤1kgあたり水を513mL添加し、調整した。
塗布液用乳剤Aの銀含有率は、35.4g/Kgであった。
更に、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物として、下記化合物1と化合物20と化合物26とをそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10−3モル添加して塗布液用混合乳剤Aを調製した。
Figure 0006851389
(脂肪酸銀分散物の調製)
1)再結晶ベヘン酸の調製
ベヘン酸(ヘンケル社製、製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールに混合し、50℃で溶解させ、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで冷却して再結晶を行った。再結晶をする際の冷却スピードは3℃/時間であった。得られた結晶を遠心濾過して、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してガスクロマトグラフ−水素炎イオン化型検出器(GC−FID)を用いて測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%であり、リグノセリン酸の含有率は2モル%であり、アラキジン酸の含有率は2モル%であり、エルカ酸の含有率は0.001モル%であった。
2)脂肪酸銀分散物の調製
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合して、75℃で1時間攪拌して反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別途、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を調製して、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを加えた反応容器を30℃に保温して、十分に撹拌しながら、上記ベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量及び硝酸銀水溶液の全量を、流量一定にしてそれぞれ93分15秒及び90分かけて添加した。
ただし、硝酸銀水溶液の添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみを添加して、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始して、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみを添加した。反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温して、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形状を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった(a,b,cは上述した規定である。)。
乾燥固形分260kgの湿潤(ウエット)ケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kg及び水を添加して、全体量を1,000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業(株)製:PM−10型)で予備分散した。
続いて、予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)を用いて、圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
(還元剤分散物の調製)
1)還元剤−1分散物の調製
還元剤−1(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、十分に混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散した後、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g及び水を加えて還元剤の濃度を25質量%に調整した。得られた分散液を40℃で1時間加熱した後、80℃で1時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。得られた還元剤−1分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径が0.50μmであり、最大粒子径が1.6μm以下であった。
得られた還元剤−1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去した。
2)還元剤−2分散物の調製
下記還元剤(PP−1)10kg、及び変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、十分に混合してスラリーとした。得られたスラリーをダイアフラムポンプで送液して、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g及び水を加えて還元剤の濃度を25質量%に調整した。得られた分散液を40℃で1時間加熱した後、80℃で1時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。得られた還元剤−2分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径が0.35μmであり、最大粒子径が1.6μm以下であった。
得られた還元剤−2分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去した。
Figure 0006851389
(水素結合性化合物−1分散物の調製)
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kg、及び変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、十分に混合してスラリーとした。得られたスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g及び水を加えて、水素結合性化合物の濃度を25質量%に調整した。得られた分散液を40℃で1時間加熱した後、80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。得られた水素結合性化合物−1分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径が0.45μmであり、最大粒子径が1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物−1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去した。
(現像促進剤−1分散物の調製)
下記現像促進剤−1を10kg、及び変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液を20kgに、水10kgを添加して、十分に混合してスラリーとした。得られたスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散した後、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g及び水を加えて、現像促進剤の濃度を20質量%に調整して、現像促進剤−1分散物を得た。得られた現像促進剤−1分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径が0.48μmであり、最大粒子径が1.4μm以下であった。得られた現像促進剤−1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去した。
Figure 0006851389
(現像促進剤−2及び色調調整剤−1の分散物調製)
下記現像促進剤−2及び下記色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、20質量%の分散液を得た。
Figure 0006851389
Figure 0006851389
(ポリハロゲン化合物の調製)
1)有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製
下記有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgとを添加して、十分に混合してスラリーとした。得られたスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g及び水を加えて、有機ポリハロゲン化合物の濃度を26質量%に調整して、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。得られた有機ポリハロゲン化合物−1分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径が0.41μmであり、最大粒子径が2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物−1分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去した。
Figure 0006851389
2)有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製
下記有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgとを添加して、十分に混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2g及び水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度を30質量%に調整した。得られた分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。得られたポリハロゲン化合物−2分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径が0.40μmであり、最大粒子径が1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物−2分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去した。
Figure 0006851389
(フタラジン化合物−1溶液の調製)
8kgの変性ポリビニルアルコールMP203(クラレ(株)製)を水174.57kgに溶解し、続いてトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kg及び下記フタラジン化合物−1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgをそれぞれ添加して、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
Figure 0006851389
(メルカプト化合物の調製)
1)メルカプト化合物−2水溶液の調製
下記メルカプト化合物−2((1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール))20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
Figure 0006851389
(アゾメチン染料固体分散物の調製)
下記アゾメチン染料−Aを1.0kgと、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液3.0kgと、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製)の48質量%水溶液)42gと、消泡剤(サーフィノール104E(信越化学(株)製))3.0gとを添加して、十分に混合してスラリーとした。
得られたスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0g及び水を加えて非水溶性アゾメチン染料の濃度を10質量%に調整した。得られた分散液を40℃で2時間加温し、アゾメチン染料固体分散物を得た。得られたアゾメチン染料固体分散物に含まれるアゾメチン染料粒子はメジアン径0.49μm、最大粒子径2.6μm以下であった。得られたアゾメチン染料分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
Figure 0006851389
(ベンゾトリアゾール銀分散物の調製)
水酸化ナトリウム360gを水9,100mLで溶解した溶液にベンゾトリアゾール1kgを添加し、60分間撹拌し、ベンゾトリアゾールナトリウム溶液BTとした。
蒸留水1,400mLに、アルカリ処理脱イオンゼラチン55.9gを添加した液をステンレス製反応壺中で撹拌しながら、70℃に液温を保ち、硝酸銀54.0gに蒸留水を加え400mLに希釈した溶液Aと、ベンゾトリアゾールナトリウム溶液BT397mLを蒸留水で希釈して容量420mLに調整した溶液Bとを、ダブルジェット法で、溶液Bをステンレス製反応壷へ20mL/分の一定流量で11分間かけて220mL添加し、溶液Aを溶液Bの添加開始1分後に、ステンレス製反応壷へ20mL/分の一定流量で10分間かけて200mL添加した。その後、6分間後に溶液A及びBを同時に33.34mL/分の一定流量で6分間かけて200mLずつ添加した。温度を45℃に降下後、撹拌しながらデモールN(10%水溶液、花王(株)製)92mLを添加し、1mol/L濃度の硫酸を用いてpHを4.1に調整し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を行った。
その後、温度を50℃に調整し、撹拌しながら1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを51mL添加後、ベンゾイソチアゾリノンのメタノール溶液(3.5%)11mL、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムのメタノール溶液(1%)7.7mL添加し、80分間撹拌後、1mol/L濃度の硫酸を用いてpHを7.8に調整し、ベンゾトリアゾール銀分散物を調製した。
調製したベンゾトリアゾール銀分散物の粒子は、平均円相当径が0.172μm(変動係数18.5%)であり、平均長辺径が0.32μmであり、平均短辺径が0.09μmであり、平均長短辺比が0.298であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用いて300個の粒子の平均から求めた。
(イソプレンラテックスTP−1の調製)
イソプレンラテックスTP−1は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500gを添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面及びステンレス製撹拌装置などの部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを加えて、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。反応溶液に、過硫酸アンモニウム2.61gを水40mLに溶解した溶液を添加して、6時間撹拌した。この時点での重合転化率は、固形分測定によると90%であった。反応溶液に、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した溶液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mLに溶解した液を更に添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで温度を下げた後、1mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)及び水酸化アンモニウム(NHOH)をNaイオン:NH4+イオン=1:5.3のモル比で添加して、pHを8.4に調整した。得られた生成物を孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して、イソプレンラテックスTP−1を1,248g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度が3ppmであった。キレート剤の濃度は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したところ、142ppmであった。
イソプレンラテックスTP−1は平均粒径が113nmであり、ガラス転移温度(Tg)が15℃であり、固形分濃度が41.3質量%であり、25℃60%RHにおける平衡含水率が0.4質量%であり、イオン伝導度が5.23mS/cmであった。なお、イオン伝導度は、東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用して、25℃で測定した。
(画像形成層塗布液の調製)
1)画像形成層塗布液Aの調製
反応容器に、脂肪酸銀分散物1,000g、青色染料−2の5質量%水溶液、アゾメチン染料固体分散物、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、フタラジン化合物−1溶液、増粘剤としてメトローズ60SH50(信越化学工業(株)製)の2質量%水溶液、イソプレンラテックスTP−1液、還元剤−1分散物、還元剤−2分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して十分に混合してpHを7.5に調整して画像
形成層塗布液Aとした。
2)画像形成層塗布液B−1の調製
画像形成層塗布液Aに対して、pHを7.5に調整して、赤外線吸収染料分散物Bを10.3g添加して、画像形成層塗布液B−1を調製した。
3)画像形成層塗布液B−2の調製
画像形成層塗布液Aに対して、pHを5.8に調整して、赤外線吸収染料分散物Bを10.3g添加して、画像形成層塗布液B−2を調製した。
4)画像形成層塗布液B−3の調製
画像形成層塗布液Aに対して、pHを5.8に調整して、赤外線吸収染料分散物Bを5.2g、赤外線吸収染料Cを64.5g添加して、画像形成層塗布液B−3を調製した。5)画像形成層塗布液C−1の調製
画像形成層塗布液Aに対して、pHを5.8に調整して、赤外線吸収染料Cを129g添加して、画像形成層塗布液C−1を調製した。
6)画像形成層塗布液C−2の調製
画像形成層塗布液Aに対して、pHを7.5に調整して、赤外線吸収染料Cを129g添加して、画像形成層塗布液C−2を調製した。
7)画像形成層塗布液Dの調製
画像形成層塗布液Aに対して、ハロゲン化銀乳剤1のかわりにハロゲン化銀乳剤2を等量添加して、塗布した。
8)画像形成層塗布液Eの調製
画像形成層塗布液Aに対して、ハロゲン化銀乳剤1のかわりにハロゲン化銀乳剤3を等量添加して、塗布した。
9)画像形成層塗布液Fの調製
画像形成層塗布液Aに対して、ハロゲン化銀乳剤1のかわりにハロゲン化銀乳剤4を等量添加して、塗布した。
(中間層塗布液の調製)
1)中間層塗布液−1の調製
反応容器に、ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1,000g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液37mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液153mL、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%水分散液4,632mLをそれぞれ添加して、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を565mL、還元剤−1分散物を2,319g、水を加えて総量13,200mLとして、NaOHを加えてpHを7.5に調整して中間層塗布液−1を調製して、8.3mL/mの液量でコーティングダイへ送液した。
得られた中間層塗布液−1の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、58mPa・sであった。
(表面保護層第1層塗布液)
1)表面保護層第1層塗布液の調製
反応容器に、イナートゼラチン1,000g、ベンゾイソチアゾリノン1g、ベンゾトリアゾール銀分散物A385g、フタル酸の15質量%メタノール溶液543mL、4−メチルフタル酸の15質量%水溶液160mL、ホモフタル酸を17質量%及びトリスヒドロキシアミノメタンを23質量%含む混合水溶液58mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液55.2mLを加えて混合して、水を加えて総量を9,913mLにして、塗布直前にメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックスの19質量%水分散液1,788mL、及び4質量%のクロムみょうばん406mLをスタチックミキサーで混合したものを、塗布液量が25mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
得られた表面保護層第1層塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、20mPa・sであった。
(表面保護層第2層塗布液)
2)表面保護層第2層塗布液の調製
反応容器に、イナートゼラチン1,000g、ベンゾイソチアゾリノン1g、カルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セレゾール524)の30質量%溶液185mL、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックスの19質量%水分散液1,762mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液389mL、下記フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液129mL、下記フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液50mL、下記界面活性剤(F−3)の10質量%水溶液240mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液244mL、マット剤としてポリメチルメタクリレートポリメチルメタクリレート粒子(平均粒径6.3μm)164g、総量13,242mLになるように水を加えて混合して、表面保護層第2層塗布液を調製した。続いて、表面保護層第2層塗布液を液量8.3mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
表面保護層第2層塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、24mPa・sであった。
Figure 0006851389
((熱現像感光材料の作製))
支持体の、非感光性バック層を有する側とは反対側の面に、下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布して、熱現像感光材料を作製した。中間層塗布液の塗布量は8.3mL/mであり、表面保護層第1層塗布液の塗布量は25mL/mであり、表面保護層第2層塗布液の塗布量は8.3mL/mであった。
画像形成層における各化合物の塗布量(単位:g/m)は、以下の通りである。
・脂肪酸銀(Agとして) 0.958
・青色染料−2 0.006
・アゾメチン染料−A 0.009
・ポリハロゲン化合物−1 0.10
・ポリハロゲン化合物−2 0.19
・フタラジン化合物−1 0.12
・増粘剤(60SH50) 0.10
・イソプレンラテックスTP−1 5.95
・還元剤−1 0.31
・還元剤−2 0.32
・水素結合性化合物−1 0.05
・現像促進剤−1 0.011
・現像促進剤−2 0.016
・色調調整剤−1 0.003
・メルカプト化合物−2 0.009
・ハロゲン化銀(Agとして) 0.09
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布は180m/minのスピードで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリング(冷却)ゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風を送って塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風を送って乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿した後、膜面を70℃〜90℃に加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
(実施例2〜実施例16、並びに、比較例1及び比較例2)
画像形成層及び非感光性バック層の組成を下記表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例16、並びに、比較例1及び比較例2の熱現像感光材料をそれぞれ作製した。
Figure 0006851389
なお、表1に記載の“シアニン”は赤外線吸収染料分散物Bであり、“オキソノール”は赤外線吸収染料Cであり、式(III)で表される赤外増感色素は赤外増感色素Aであり、式(IV)で表される強色増感化合物は、B1であり、式(V)で表される強色増感化合物は、B2である。
4.写真性能の評価
1)準備
得られた熱現像感光材料は半切サイズに切断し、そのうちの一片を25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
<包装材料>
・PET10μm/ポリエチレン(PE)12μm/アルミ箔9μm/ナイロン(Ny)15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μmを積層したラミネートフィルム;
・酸素透過率:0.02mL/atm・m・25℃・day、
・水分透過率:0.10g/atm・m・25℃・day。
2)熱現像感光材料の露光及び現像
各熱現像感光材料は、富士メディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000を用いて、半導体レーザーによって熱現像(107℃−121℃−125℃に設定した3枚のパネルヒータで合計14秒)して、得られた画像の評価を濃度計(マクベス社製)により行った。
ただし、熱現像は、搭載する半導体レーザーを最大30mW出力の780nm半導体レーザー又は810nm半導体レーザーに載せ換えて行った。
1)評価方法
(写真性能)
最大濃度(Dmax)は、上記熱現像感光材料を試料とし、上記露光現像条件において、露光量を増やして飽和した最大濃度を表した。
−感度評価−
A:実施例1の値を基準にして、同等(±5%未満の差)である。
B:実施例1の値に対して、5%以上10%未満感度が低い値である。
C:実施例1の値に対して、10%以上感度が低い値である。
(画質試験)
《鮮鋭度の評価》
DRYPIX7000の660nm半導体レーザーを、780nm半導体レーザー又は810nm半導体レーザーに載せ換えて、濃度2.0のテストパターンを出力し、両方の波長での鮮鋭度を評価した。鮮鋭度は、1mmあたりの画像分解能5本の再現性をMTF(空間分解能周波数関数)により、評価した。
−鮮鋭度評価−
A:テストパターンの画像歪みが最も少なく良好である。再現性の値(MTF値)=0.85以上1.00以下
B:再現性の値(MTF値)が、0.80以上0.85未満
C:再現性の値(MTF値)が、0.75以上0.80未満
D:再現性の値(MTF値)が、0.75未満
各評価結果を下記表2に記載する。
Figure 0006851389
実施例1〜実施例16の熱現像感光材料では、比較例1に比して、散乱(イラジエーション)及び反射(ハレーション)の防止が十分に行われているため画像鮮鋭度の観点で優れていることがわかった。また、実施例1〜実施例16の熱現像感光材料は、感度も十分であった。
実施例1〜実施例16の中では、画像形成層のpHが6.5以上である実施例6、7及び9〜16の熱現像感光材料が780nmレーザーに対して良好な画像鮮鋭度を示し、画像形成層のpHが6.5以下である、あるいは、非感光性バック層のpHが6.5以下である実施例2〜5及び8の熱現像感光材料が810nmレーザーに対して良好な画像鮮鋭度を示すことがわかった。すなわち、本開示に係る熱現像感光材料は、調液pHを変化させることにより、赤外線吸収染料の吸収波長を制御し、異なった波長の赤外線レーザーに対応して最適な性能を有するものである。
<実施例17〜22>
((PET支持体の作製))
実施例1で使用した、画像形成層用の下塗り層塗布液とバック面側の第1層用と第2層用の下塗り層塗布液を塗布した支持体を用いた。
((非感光性バック層、バック面保護層))
(非感光性バック層)
1)非感光性バック層塗布液−7の調製
容器を40℃に保存し、容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、クラリアント社製青色の染料FRL−SFの10質量%水溶液20.4mL、水1544mLを加えてゼラチンを溶解させた。得られた溶液に、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液27mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液25mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの3質量%水溶液50mL、後述のイソプレンラテックスTP−1の10質量%水分散液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の4質量%水溶液65mLを混合した。得られた溶液に、上記赤外線吸収染料Cの0.4重量%赤外吸収染料水溶液を101mL加えた。得られた塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、32mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で5.15であった。
(非感光性バック面保護層)
1)非感光性バック面保護層塗布液−2の調製
処方(1)バック面保護層塗布液−2
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、マット剤として単分散ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)72.1gを一種類のみ添加し、ベンゾイソチアゾリノン637mg、水1,645mLを加えてゼラチンを溶解させた。更にカルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セレゾール524)の30質量%溶液15.8mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液5.7mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液24mL、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム3質量%水溶液50mL、実施例1で使用したフッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を12mL、エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/4)ラテックスの20質量%液72mlを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液90mLを混合して、バック面保護層塗布液−2とした。塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で18mPa・sであった。塗布液のpHは、40℃で5.5であった。
((非感光性バック層の塗布))
上記下塗り層を有する支持体のバック面側に、表3に記載の非感光性バック層塗布液−7をゼラチン塗布量が1.5g/mとなるように、またバック面保護層塗布液−2をゼラチン塗布量が0.73g/mとなるように同時重層塗布して、乾燥させて、非感光性バック層を形成した。
((画像形成層、中間層及び表面保護層))
以下のように、新たに、色調調節剤−2及び界面活性剤−1を調製した。
(色調調整剤の調製)
1)色調調節剤−2の調製
下記の化合物2A(トリヒドロキシメチルアミノメタン)を229.38g計量し、水を727.05ml計量する。その後、化合物2B(2−カルボキシフェニル酢酸)を170.57g計量し、60分撹拌し、色調調整剤−2を得た。
Figure 0006851389
(界面活性剤の調製)
1)界面活性剤−1の調製
下記の界面活性剤A(パイオニンA−43−S:竹本油脂(株)社製)に水を加え、8%水溶液として調整した。
Figure 0006851389
(画像形成層塗布液)
1)画像形成層塗布液A−2の調製
反応容器に、実施例1で調製した脂肪酸銀分散物1,000g、実施例1で調製したアゾメチン染料−A(濃度10%固体分散物)3.7g、実施例1で調製した有機ポリハロゲン化合物−1分散物(濃度26%固体分散物)22.7g、実施例1で調製した有機ポリハロゲン化合物−2分散物(濃度30%固体分散物)49.3g、実施例1で調製したフタラジン化合物−1溶液(濃度5%)169.8g、増粘剤としてメトローズ60SH50(信越化学工業(株)製)の2質量%水溶液71.3ml、塗布液の表面張力調整剤として上記のように調製した界面活性剤−1(濃度8%)53ml、実施例1で調製したイソプレンラテックスTP−1液(濃度42%)901.1g、実施例1で調製した還元剤−1固体分散物(濃度25%)58.6g、実施例1で調製した還元剤−2固体分散物(濃度25%)89.4g、実施例1で調製した現像促進剤−1固体分散物(濃度20%)3.52g、実施例1で調製した現像促進剤−2固体分散物(濃度23%)6.86g、上記のように調製した色調調整剤−2を2.6ml、メルカプト化合物−2(濃度2%)水溶液34.2mlを順次添加し、塗布直前に実施例1で調製したハロゲン化銀混合乳剤A106.5gを添加して十分に混合してpHを7.5に調整し、画像形成層塗布液A−2とした。
2)画像形成層塗布液Gの調製
反応容器に、実施例1で調製した脂肪酸銀分散物1,000g、実施例1で調製したアゾメチン染料−A(濃度10%固体分散物)3.7g、実施例1で調製した有機ポリハロゲン化合物−1分散物(濃度26%固体分散物)22.7g、実施例1で調製した有機ポリハロゲン化合物−2分散物(濃度30%固体分散物)49.3g、実施例1で調製したフタラジン化合物−1溶液(濃度5%)169.8g、増粘剤としてメトローズ60SH50(信越化学工業(株)製)の2質量%水溶液71.3ml、塗布液の表面張力調整剤として上記のように調製した界面活性剤−1(濃度8%)53ml、実施例1で調製したイソプレンラテックスTP−1液(濃度42%)901.1g、実施例1で調製した還元剤−1分散物(濃度25%)58.6g、実施例1で調製した還元剤−2分散物(濃度25%)89.4g、実施例1で調製した現像促進剤−1固体分散物(濃度20%)3.52g、実施例1で調製した現像促進剤−2固体分散物(濃度23%)6.86g、上記のように調製した色調調整剤−2を2.6ml、メルカプト化合物−2 (濃度2%)水溶液34.2mlを順次添加し、塗布直前に実施例1で調製したハロゲン化銀混合乳剤A106.5gを添加して十分に混合してpHを7.5に調整し、画像形成層塗布液Gとした。
3)画像形成層塗布液Hの調整
反応容器に、実施例1で調製した脂肪酸銀分散物1,000g、実施例1で調製したアゾメチン染料−A(濃度10%固体分散物)3.7g、実施例1で調製した有機ポリハロゲン化合物−1分散物(濃度26%固体分散物)22.7g、実施例1で調製した有機ポリハロゲン化合物−2分散物(濃度30%固体分散物)49.3g、実施例1で調製したフタラジン化合物−1溶液(濃度5%)169.8g、増粘剤としてメトローズ60SH50(信越化学工業(株)製)の2質量%水溶液71.3ml、塗布液の表面張力調整剤として上記のように調製した界面活性剤−1(濃度8%)53ml、実施例1で調製したイソプレンラテックスTP−1液(濃度42%)901.1g、実施例1で調製した還元剤−1分散物(濃度25%)29.3g、実施例1で調製した還元剤−2分散物(濃度25%)190.4g、実施例1で調製した現像促進剤−1固体分散物(濃度20%)3.52g、実施例1で調製した現像促進剤−2固体分散物(濃度23%)6.86g、上記のように調製した色調調整剤−2を2.6ml、メルカプト化合物−2(濃度2%)水溶液34.2mlを順次添加し、塗布直前に実施例1で調製したハロゲン化銀混合乳剤A106.5gを添加して十分に混合してpHを7.5に調整し、画像形成層塗布液Hとした。
(中間層塗布液)
1)中間層塗布液−2の調製
反応容器に、ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1,000g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液37mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液153mL、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%水分散液4,632mLをそれぞれ添加して、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を565mL、還元剤−2分散物25質量%を1160g、水を加えて総量13,200mLとして、NaOHを加えてpHを7.5に調整して中間層塗布液−1を調製して、8.3mL/mの液量でコーティングダイへ送液した。
得られた中間層塗布液−1の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、58mPa・sであった。
2)中間層塗布液−3の調製
反応容器に、ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1,000g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液37mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液153mL、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%水分散液4,762mLをそれぞれ添加して、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を283mL、還元剤−2分散物25質量%を290g、水を加えて総量10890mLとして、NaOHを加えてpHを7.5に調整して中間層塗布液−3を調製し、8.3mL/mの液量でコーティングダイへ送液した。
得られた中間層塗布液−3の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、45mPa・sであった。
(表面保護層第1層塗布液)
反応容器に、イナートゼラチン1,000g、ベンゾイソチアゾリノン1g、ベンゾトリアゾール銀分散物A385g、フタル酸の15質量%メタノール溶液197mL、4−メチルフタル酸の15質量%水溶液160mL、ホモフタル酸を17質量%及びトリスヒドロキシアミノメタンを23質量%含む混合水溶液103.5mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液66.9mLを加えて混合して、水を加えて総量を9,913mLにして、塗布直前にメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックスの19質量%水分散液1,561mL、及び4質量%のクロムみょうばん242mLをスタチックミキサーで混合したものを、塗布液量が24mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
得られた表面保護層第1層塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、20mPa・sであった。
(表面保護層第2層塗布液)
反応容器に、イナートゼラチン1,000g、ベンゾイソチアゾリノン1g、カルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セレゾール524)の30質量%溶液185mL、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックスの19質量%水分散液1,811mL、フタル酸の15質量%メタノール溶液389mL、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液129mL、下記界面活性剤(F−3)の10質量%水溶液240mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液146mL、マット剤としてポリメチルメタクリレートポリメチルメタクリレート粒子(平均粒径8.0μm)20質量%1,898g、続いて、苛性ソーダ1mol/L溶液17.3ml、硫酸12mol/L溶液を添加し、総量13,242mLになるように水を加えて混合して、表面保護層第2層塗布液を調製した。続いて、表面保護層第2層塗布液を液量8.3mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
表面保護層第2層塗布液の粘度は、B型粘度計(No.1ローター、60rpm)により40℃で測定したところ、24mPa・sであった。
((熱現像感光材料の作製))
支持体の、非感光性バック層を有する側とは反対側の面に、下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布して、熱現像感光材料を作製した。中間層塗布液の塗布量は8.3mL/mであり、表面保護層第1層塗布液の塗布量は25mL/mであり、表面保護層第2層塗布液の塗布量は8.3mL/mであった。
画像形成層における各化合物の塗布量(単位:g/m)は、以下の通りである。
・脂肪酸銀(Agとして) 1.02
・アゾメチン染料−A 0.009
・赤外線吸収染料−B 0.0076
・ポリハロゲン化合物−1 0.089
・ポリハロゲン化合物−2 0.22
・フタラジン化合物−1 0.098
・増粘剤(60SH50) 0.021
・イソプレンラテックスTP−1 5.68
・還元剤−1 0.110
・還元剤−2 0.714
・現像促進剤−1 0.011
・現像促進剤−2 0.024
・色調調整剤−2 0.014
・メルカプト化合物−2 0.010
・ハロゲン化銀(Agとして) 0.06
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布は180m/minのスピードで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリング(冷却)ゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風を送って塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風を送って乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿した後、膜面を70℃〜90℃に加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
(実施例17〜実施例22、並びに、比較例3及び比較例4)
画像形成層、中間層及び非感光性バック層の組成を下記表3のように変更し、バック面保護層塗布液−2を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例17〜実施例22、並びに、比較例3及び比較例4の熱現像感光材料をそれぞれ作製した。
Figure 0006851389
各評価は、実施例1と同様にして行った。結果を表4に示した。
Figure 0006851389
実施例17〜実施例22の熱現像感光材料では、比較例3又は4に比して、散乱(イラジエーション)及び反射(ハレーション)の防止が十分に行われているため画像鮮鋭度の観点で優れていることがわかった。また、実施例17〜実施例22の熱現像感光材料は、感度も十分であった。
2016年10月20日に出願された日本国特許出願第2016−206373号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (11)

  1. 支持体の一方の面に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有し、
    支持体の他方の面に、非感光性バック層を有し、
    前記画像形成層、又は、前記画像形成層及び前記非感光性バック層が、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有し、
    前記画像形成層が下記式(IV)で表される強色増感化合物及び下記式(V)で表される強色増感化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含む
    熱現像感光材料。
    Figure 0006851389


    式(IV)中、R 41 及びR 42 はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し;X 41 は酸アニオン基を表し;Y 41 は一価の金属イオンを表す。
    Figure 0006851389


    式(V)中、Z 52 は、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し;R 51 は、水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し;R 52 は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;X 52− は、酸アニオンを表す。
  2. 前記赤外線吸収染料が、下記式(I)で表されるシアニン系染料である請求項1に記載の熱現像感光材料。
    Figure 0006851389


    式中、Z及びZはそれぞれ独立に、縮環していてもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群であり;R及びRはそれぞれ独立に、脂肪族基又は芳香族基であり;Lは、3個、5個、又は7個のメチン基からなるメチン鎖であり;a、b及びcはそれぞれ独立に、0又は1であり;Xは、アニオンになりうる原子団である。
  3. 前記含窒素複素環が、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環及びベンゾインドニレン環よりなる群から選ばれた環である請求項2に記載の赤外線吸収染料。
  4. 前記非感光性バック層が、前記赤外線吸収染料として、下記式(II)で表されるオキソノール染料を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
    Figure 0006851389


    式中、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環又は複素環を形成するのに必要な非金属原子群であり;Lは、奇数個のメチン基からなるメチン鎖であり;Xは、水素原子又はカチオンになりうる原子団である。
  5. 前記画像形成層が、下記式(III)で表される赤外増感色素を更に含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
    Figure 0006851389


    式中、V、V、V、V、V及びVはそれぞれ独立に、それぞれのハメット値σpをσpi(i=1〜6)とした場合に、Y=σp1+σp2+σp3+σp4+σp5+σp6<−0.27を満たす置換基を表し;R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基を表し;L、L、L、L、L、L及びLはそれぞれ独立に、メチン基を表し;mは、0又は1を表し;Zは、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表し;Xは、電荷均衡対イオンを表し;nは、0以上の電荷を中和するのに必要な値を表す。
  6. 前記画像形成層が、下記式(IV)で表される強色増感化合物を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
    Figure 0006851389


    式中、R41及びR42はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し;X41は酸アニオン基を表し;Y41は一価の金属イオンを表す。
  7. 前記画像形成層が、下記式(V)によって表される強色増感化合物を含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
    Figure 0006851389


    式中、Z52は、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し;R51は、水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し;R52は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;X52−は、酸アニオンを表す。
  8. 前記画像形成層における銀元素の含有量が、0.3g/m以上1.5g/m以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  9. 前記画像形成層及び前記非感光性バック層が、波長が700nm以上である赤外光を少なくとも吸収する赤外線吸収染料を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  10. 前記画像形成層を水性塗布によって形成する工程を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の作製方法。
  11. 下記式(III)で表される赤外増感色素、下記式(IV)で表される強色増感化合物及び下記式(V)で表される強色増感化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の化合物を感光性ハロゲン化銀を含む組成物に50℃以上の温度条件下で少なくとも添加して画像形成層形成用塗布液を調製する工程を含み、
    前記画像形成層を水性塗布によって形成する工程が、前記画像形成層形成用塗布液を水性塗布して前記画像形成層を形成する工程である
    請求項10に記載の熱現像感光材料の作製方法。
    Figure 0006851389


    式中、V、V、V、V、V及びVはそれぞれ独立に、それぞれのハメット値σpをσpi(i=1〜6)とした場合に、Y=σp1+σp2+σp3+σp4+σp5+σp6<−0.27を満たす置換基を表し;R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基を表し;L、L、L、L、L、L及びLはそれぞれ独立に、メチン基を表し;mは、0又は1を表し;Zは、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表し;Xは、電荷均衡対イオンを表し;nは、0以上の電荷を中和するのに必要な値を表す。
    Figure 0006851389


    式中、R41及びR42はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表し;X41は酸アニオン基を表し;Y41は一価の金属イオンを表す。
    Figure 0006851389


    式中、Z52は、5員又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し;R51は、水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し;R52は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;X52は酸アニオン基を表す。
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