JP4391482B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Description

本発明は、医療診断用フィルム分野や写真製版フィルム分野等に好適に用いられる熱現像感光材料に関する。
近年、医療分野や印刷製版分野において環境保全、省スペースの観点から写真現像処理のドライ化が強く望まれている。これらの分野では、デジタル化が進展し、画像情報をコンピューターに取り込み、保存、そして必要な場合には加工し、通信によって必要な場所で、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより熱現像感光材料に出力し、現像して画像をその場で作製するシステムが急速に広がってきている。熱現像感光材料としては、高い照度のレーザー露光で記録することができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することがが必要とされている。このようなデジタル・イメージング記録材料としては、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが流通しているが、医療用画像用途としては診断能力を決定する画質(鮮鋭度、粒状性、階調、および画像色調)の点、記録スピード(感度)の点で、不満足であり、従来の湿式現像の医療用ハロゲン化銀フィルムを代替できるレベルに到達していない。
有機銀塩を利用した熱現像感光材料が既に知られている。熱現像感光材料は、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散して含有する画像形成層を有している。
熱現像感光材料を画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱すると、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応が起こり、黒色の銀画像が形成される。この酸化還元反応は、画像露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。その結果、露光領域に黒色の銀画像が形成される。熱現像感光材料は、多くの文献に開示され、また、実用的には医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメージャーFM−DPLが発売された。
この様な有機銀塩を利用した熱現像感光材料は、画像形成に必要な全ての要素を膜中に予め含有していて、露光後に加熱するだけで画像を形成できることに大きな特徴を有している。しかしながら、その反面、解決するべき技術的課題も多い。
通常、ハロゲン化銀写真感光材料は、種々の目的で染料を含有することが一般的であるが、大別して2つの目的で用いられる。
第1の目的が光フィルター、ハレーション防止やイラジエーション防止の目的であり、染料は画像露光過程において機能し、画像が形成された後は不要となる。従って、可視域に分光吸収を有する染料の場合、残存すると画質を損なうため、現像処理過程で消色させることが必要になる。
一方、第2の目的が画像色調を調整する目的であって、この場合は、染料は画像形成後に機能し、生成する現像銀の色調を補完して要求される好ましい画像色調を実現可能な分光吸収特性を有することが望まれる。
熱現像感光材料に用いられる染料は、上記の目的の他に、さらに、熱現像感光材料独特の課題を有する。上述のように、熱現像感光材料は画像形成のための要素を全て予め膜中に含有し、さらに画像形成後も未反応成分および反応生成物が膜中に残存し、染料の保存安定性(画像形成以前および画像形成後)に複雑に影響を及ぼす。特に画像形成後は、種々の画像保存条件(光照射下、高温多湿環境など)においても変色や退色することなく安定であることが望まれる。
特にレーザーで露光する熱現像感光材料では、鮮鋭度の良い画像を得るために、画像露光波長で十分なイラジエーション防止あるいはハレーション防止効果を得るための染料を熱現像感光材料中に含有させることが重要である。レーザー波長としては、近赤外、赤外、あるいは赤色〜青色の可視域まで広い範囲が使用されている。
近赤外〜赤外レーザーで画像露光する熱現像感光材料に対しては、視感度の無い近赤外域に吸収極大を有し、半値幅が狭く、可視域の吸収が少ない染料を使用することで、実質的に消色機構を含まない熱現像感光材料が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
青色〜赤色の可視域レーザーで画像露光する熱現像感光材料に対しては、熱現像処理における加熱で染料を消色する方法が提案されている。例えば、特定の構造を有するポリメチン染料を加熱により消色する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。さらに、カルバニオン発生剤を用いて、ポリメチン染料を加熱により消色する方法が開示されている(例えば、特許文献4〜6参照。)。
しかしながら、これらの消色機構は、染料の消色が不充分であったり、逆に消色性を高めると染料の安定性が不充分になり熱現像感光材料の保存中に染料が消色してしまう問題点を有していた。また、消色反応生成物が膜中で析出して膜を濁らせたり、表面に滲みだして粉を吹くなどの問題も含んでいた。特に、医療診断用途の熱現像感光材料においては、より高い鮮鋭度と好ましい画像色調を有することが求められ、さらに、より迅速に短時間で画像形成が求められた。
写真用染料として、金属フタロシアニン染料は公知であって、水溶性金属フタロシアニン染料や顔料が知られている。水溶性金属フタロシアニン染料を熱現像感光材料に用いることも開示されている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、これらの従来の金属フタロシアニン染料は分光吸収スペクトルがブロードであって、熱現像感光材料に用いる場合、画像の色調に影響を与えない範囲の添加量でしか用いることができず、十分なハレーション防止効果を得るまでには至っていなかった。
一方、500nm〜700nm、あるいは520nm〜580nmに吸収極大を有する染料や顔料を有する熱現像感光材料も知られている(例えば、特許文献8,9参照。)。しかしながら、これらの染料はブロードな吸収スペクトルであったり、保存安定性の点で十分ではなかった。
特開平9−146220号公報 特開平11−228698号公報 米国特許5135842号公報 米国特許5314795号公報 米国特許5324627号公報 米国特許5384237号公報 特開2003−295388号公報 特開平10−268465号公報 特開2000−39685号公報
本発明の目的は、好ましい画像色調を有し、画像保存性に優れた熱現像感光材料を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決された。
<1> 支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層、および少なくとも1層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、非水溶性アゾメチン染料および一般式(PC−1)で表される金属フタロシアニン染料を含有することを特徴とする熱現像感光材料:
Figure 0004391482
(式中、Mは金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して水素原子または置換基であり、これらの内の少なくとも1つは電子求引性基である。X1、X2、X3、およびX4は、それぞれ独立して水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基である。)。
<2> 前記一般式(PC−1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の少なくとも一つが一般式(PC−II)で表される基であることを特徴とする<1>に記載の熱現像感光材料:
一般式(PC−II) −L1−R17
(式中、L1**−SO2***−SO3***−SO2NRN***−SO−***−CO−***−CONRN***−COO−***−COCO−***−COCO2*、および**−COCONRN*より選ばれる基を表す。**はこの位置でフタロシアニン骨格と結合し、*はこの位置でR17と結合することを示す。RNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、およびスルファモイル基より選ばれる原子または基を表す。R17は水素原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基より選ばれる原子または基を表す。)。
<3> 前記一般式(PC−1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8のうち4つ以上が一般式(PC−II)で表される基であることを特徴とする<2>に記載の熱現像感光材料。
<4> 前記一般式(PC−II)で表される基が少なくとも1つの水溶性基を有することを特徴とする<2>または<3>に記載の熱現像感光材料。
<5> 前記一般式(PC−II)で表される基が少なくとも1つの油溶性基を有することを特徴とする<2>または<3>に記載の熱現像感光材料。
<6> 前記金属フタロシアニン染料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とする<5>に記載の熱現像感光材料。
<7> 前記非水溶性アゾメチン染料が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
Figure 0004391482
(式中、Xはカラー写真カプラーの残基を表し、Aは−NR45又はヒドロキシ基を表し、R4及びR5は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。B1は=C(R6)−又は=N−を表わし、B2はC(R7)=又は−N=を表す。R2、R3、R6及びR7は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR51、−SR52、−CO253、−OCOR54、−NR5556、−CONR5758、−SO259、−SO2NR6061、−NR62CONR6364、−NR65CO266、−COR67、−NR68COR69又は−NR70SO271を表し、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70及びR71は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。)。
<8> 前記非水溶性アゾメチン染料が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料:
Figure 0004391482
(式中、R1は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR81、−SR82、−CO283、−OCOR84、−NR8586、−CONR8788、−SO289、−SO2NR9091、−NR92CONR9394、−NR95CO296、−COR97、−NR98COR99又は−NR100SO2101を表し、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、R98、R99、R100及びR101は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。R8は、脂肪族基又は芳香族基を表す。また、R2、R3、A、B1及びB2は、それぞれ前記一般式(I)と同義である。)。
<9> 前記非水溶性アゾメチン染料が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料:
Figure 0004391482
(式中、R9は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR11、−SR12、−CO213、−OCOR14、−NR1516、−CONR1718、−SO219、−SO2NR2021、−NR22CONR2324、−NR25CO226、−COR27、−NR28COR29又は−NR30SO231を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。Zは、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR111、−SR112、−CO2113、−OCOR114、−NR115116、−CONR117118、−SO2119、−SO2NR120121、−NR122CONR123124、−NR125CO2126、−COR127、−NR128COR129又は−NR130SO2131の少なくとも1つで置換されていてもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群を表し、この複素環はさらに別の環と縮合環を形成してもよい。ここでR111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119、R120、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130及びR131は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。また、R2、R3、A、B1及びB2は、それぞれ前記一般式(I)と同義である。)。
<10> 前記非水溶性アゾメチン染料が、下記一般式(IV)で表されることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料:
Figure 0004391482
(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は前記一般式(I)と同義である。R9は、前記一般式(III)と同義である。また、X1及びX2は、各々独立に、−C(R10)=又は−N=を表し、R10は水素原子、脂肪族基、芳香族基を表し、X1及びX2の一方は必ず−N=であり、またX1とX2が同時に−N=となることはない。)。
<11> 前記非水溶性アゾメチン染料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とする<1>〜<10>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<12> 前記非水溶性アゾメチン染料および金属フタロシアニン染料の少なくとも一方を前記画像形成層に含有することを特徴とする<1>〜<12>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<13> 前記非水溶性アゾメチン染料および金属フタロシアニン染料を前記画像形成層に含有することを特徴とする<12>に記載の熱現像感光材料。
<14> 前記非水溶性アゾメチン染料および金属フタロシアニン染料の少なくとも一方を前記画像形成層に含有し、他方を前記非感光性層に含有することを特徴とする<1>〜<12>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<15> 前記非水溶性アゾメチン染料を前記画像形成層に含有し、前記金属フタロシアニン染料を前記非感光性層に含有することを特徴とする<14>に記載の熱現像感光材料。
<16> 前記金属フタロシアニン染料が水溶性であり、前記非感光性層がバック層であることを特徴とする<15>に記載の熱現像感光材料。
<17> 前記画像形成層がガラス転移温度(Tg)が−50℃〜45℃のポリマーラテックスを含有することを特徴とする<1>〜<16>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
本発明により、好ましい画像色調を有し、画像保存性に優れた熱現像感光材料を提供することができる。
本発明の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層、および少なくとも1層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、非水溶性アゾメチン染料および一般式(PC−1)で表される金属フタロシアニン染料を含有することを特徴とする。
Figure 0004391482
式中、Mは金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して水素原子または置換基であり、これらの内の少なくとも1つは電子求引性基である。X1、X2、X3、およびX4は、それぞれ独立して水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基である。
好ましくは、前記非水溶性アゾメチン染料が下記一般式(I)で表される化合物である。
Figure 0004391482
式中、Xはカラー写真カプラーの残基を表し、Aは−NR45又はヒドロキシ基を表し、R4及びR5は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。B1は=C(R6)−又は=N−を表わし、B2はC(R7)=又は−N=を表す。R2、R3、R6及びR7は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR51、−SR52、−CO253、−OCOR54、−NR5556、−CONR5758、−SO259、−SO2NR6061、−NR62CONR6364、−NR65CO266、−COR67、−NR68COR69又は−NR70SO271を表し、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70及びR71は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。
さらに好ましくは、前記非水溶性アゾメチン染料が一般式(II)、更に好ましくは一般式(III)、特に好ましくは一般式(IV)である。
好ましくは、前記非水溶性アゾメチン染料は固体微粒子分散物として含有される。
好ましくは、前記一般式(PC−1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の少なくとも一つが一般式(PC−II)で表される基である。
一般式(PC−II) −L1−R17
式中、L1**−SO2***−SO3***−SO2NRN***−SO−***−CO−***−CONRN***−COO−***−COCO−***−COCO2*、および**−COCONRN*より選ばれる基を表す。**はこの位置でフタロシアニン骨格と結合し、*はこの位置でR17と結合することを示す。RNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、およびスルファモイル基より選ばれる原子または基を表す。R17は水素原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基より選ばれる原子または基を表す。
より好ましくは、前記一般式(PC−1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8のうち4つ以上が一般式(PC−II)で表される基である。
好ましくは、前記金属フタロシアニン染料が少なくとも1つの水溶性基または油溶性基を有する。より好ましくは、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の内の少なくとも2つがともに水溶性基または油溶性基である。さらに好ましくは、前記R1、R3、R5、およびR7よりなる群、またはR2、R4、R6、およびR8よりなる群の少なくとも1方がともに水溶性基または油溶性基である。さらに好ましくは、油溶性基を有し、固体粒子分散物として含有される。
好ましくは、前記非水溶性アゾメチン染料および金属フタロシアニン染料の少なくとも一方を前記画像形成層に含有する。より好ましくは、前記非水溶性アゾメチン染料を前記画像形成層に含有し、前記金属フタロシアニン染料を前記非感光性層に含有する。
好ましくは、前記画像形成層のバインダーがガラス転移温度(Tg)が−50℃〜45℃のポリマーラテックスである
以下に詳細に本発明を説明する。
(一般式(PC−1)で表される金属フタロシアニン染料)
本発明における一般式(PC−1)で表される金属フタロシアニン染料について説明する。本発明における一般式(PC−1)で表される金属フタロシアニン染料は、好ましくは最大吸光度における半値幅が100nm以下である。より好ましくは、半値幅は80nm以下、より好ましくは50nm以下である。
最大吸光度を示す波長域は、600nm〜750nmが好ましく、より好ましくは600nm〜720nm、さらに好ましくは620nm〜700nmである。
Figure 0004391482
一般式(PC−1)においてMは金属原子を表す。金属原子は安定な錯体を形成するものであればいかなるものでも良く、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Cd、Hg、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Pd、Cd、Sn、Pt、Pb、Sr、およびMnよりなる群より選ばれる金属を使用することができる。好ましくはMg、Ca、Co、Zn、Pd、またはCuが用いられ、より好ましくはCo、Pd、Zn、またはCuが用いられ、特に好ましくはCuが用いられる。
<置換基等の説明>
一般式(PC−1)においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して水素原子または置換基であり、これらの内の少なくとも1つは電子求引性基である。X1、X2、X3、およびX4は、それぞれ独立して水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基である。
一般式(PC−1)における電子求引性基として好ましくは一般式(PC−II)で表される基が用いられる。
一般式(PC−II) −L1−R17
1**−SO2***−SO3***−SO2NRN***−SO−***−CO−***−CONRN***−COO−***−COCO−***−COCO2***−COCONRN*、を表す。**はこの位置でフタロシアニン骨格と結合し、*はこの位置でR17と結合することを示す。RNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。RNはさらに一般式(PC−1)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8がとりうる置換基で置換されていても良い。L1は好ましくは**−SO2***−SO2NRN***−CO−***−CONRN*または**−COO−*が用いられ、より好ましくは**−SO2***−SO2NRN*または**−CONRN*、が用いられ、特に好ましくは**−SO2*または**−SO2NRN*が用いられる。
Nは好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基が用いられ、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のヘテロ環基が用いられ、さらに好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数1〜10のヘテロ環基が用いられ、特に好ましくは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が用いられる。
17は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R17がアルキル基、アリール基またはヘテロ環基の場合は、これらはさらに一般式(PC−1)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8がとりうる置換基で置換されていても良い。R17として好ましくはアルキル基またはアリール基が用いられ、特に好ましくはアルキル基が用いられる。R17は炭素数1〜30のものが用いられ、好ましくは1〜20ものが用いられ、より好ましくは1〜10ものが用いられる。
1)水溶性基
17は水溶性基で置換されていることが好ましい。ここで水溶性基とはカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基またはポリエチレンオキシ基を指す。水溶性基がカルボキシル基、スルホ基、リン酸基の場合は、必要に応じて対カチオンを有していてもよく、対カチオンとしては金属カチオン、アンモニウムイオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
Wが窒素の4級塩構造を有する基またはリンの4級塩構造を有する基の場合は必要に応じて対アニオンを有していてもよく、対アニオンとしては例えばハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、シュウ酸イオン、アルカンスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、アルカンカルボン酸イオン、またはアリールカルボン酸イオン等をとることができる。水溶性基として好ましくはカルボキシル基、スルホ基、またはリン酸基であり、より好ましくはカルボキシル基、またはスルホ基である。この場合、対カチオンとして、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+またはNH4 +が好ましく用いられ、より好ましくはLi+、Na+、K+またはNH4 +が用いられ、特に好ましくはLi+またはNa+が用いられる。
2)油溶性基
好ましくは、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の内の少なくとも2つが油溶性基である。さらに好ましくは、前記R1、R3、R5、およびR7よりなる群、またはR2、R4、R6、およびR8よりなる群の少なくとも1方が油溶性基である。
好ましくは、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、X1、X2、X3、およびX4の内、少なくとも1つは電子求引性基である。さらに好ましくは、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、X1、X2、X3、およびX4の内の少なくとも1つが油溶性電子求引性基である。
本発明における油溶性基は、本発明の染料を添加層のバインダー中に固定することを目的とするもので、染料の水溶性を実質的になくするために有効な置換基を言う。具体的には炭素原子数が6以上の解離性基を有さない基である。油溶性基の炭素原子数は好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。油溶性基が複数である場合には、その炭素数の合計が6以上であればよく、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。油溶性基の具体例としてはアルキル基(例えばn−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロヘキシル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−ノルボルニル基、および1−ヒ゛シクロオクチル基などが挙げられ、油溶性基が複数である場合にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、およびtert−ブチル基なども油溶性基として機能する)、アルケニル基(例えば、アリル基、ブテニル基、オクテニル基、およびシクロヘキセニル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、ヘテロ環基(ピリジニル基、キノリル基、ピロリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピペリジル基、トリアゾリル基、およびチアゾリル基など)、アルコキシ基(アルキル基部分としては前述の基)、アリールオキシ基(アリール基部分としては前述の基)、アミノ基(置換基としては前述のアルキル基もしくはアリール基)アルキルチオ基(置換基としては前述のアルキル基)、アリールチオ基(アリール基としては前述の基)などが挙げられる。
これらの基はさらにハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、カルバモイル基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、ウレイド基、ウレタン基などの置換基で置換されていてもよい。これらの基はフタロシアニン骨格に直接結合してもよいが、2価の連結基を介して結合してもよい。連結基としては酸素原子、硫黄原子、アミノ基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、およびこれらがさらに連結した基が挙げられる。
本発明における油溶性基は電子求引性の連結基を介してフタロシアニン骨格に結合していることが好ましい。
本発明における電子求引性基とは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−C(=O)−R、−C(=O)−C(=O)−R、−S(=O)−R、−S(=O)2−R、−C(=N−R’)−R、−S(=NR’)−R、−S(=NR’)2−R、−P(=O)R2、−O−R"、−S−R"、−N(−R’)−C(=O)−R、−N(−R’)−S(=O)−R、−N(−R’)−S(=O)2−R、−N(−R’)−C(=N−R’)−R、−N(−R’)−S(=NR’)2−R、および−N(−R’)−P(=O)R2で表される基の中から選ばれるものである。ここでRは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、OH基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはSH基を表す。R’は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、またはホスホリル基を表す。R"はペルフルオロアルキル基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、またはスルフィニル基を表す。
R、R’、R"で表される基は置換基で置換されていてもよく、置換基の具体例としてはハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、またはシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
17は油溶性基で置換されていることが好ましい。
本発明の電子求引性油溶性基としては炭素数4以上のアシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルファモイル基、炭素数6以上のベンゾイル基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルバモイル基、アリールスルホニル基、アリールスルファモイル基、ヘテロ環基が好ましく、その中でもアルキルスルホニル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基がより好ましい。電子求引性油溶性基が複数置換されている場合には、その炭素数の合計が6以上であることが好ましく、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
<具体例>
以下に本発明で使用される一般式(PC−1)で表される金属フタロシアニン染料の例を示す。ただし本発明は以下の例に限定されるものではない。また、以下の化合物例では位置異性体混合物を一つの化合物として表記している。
1)水溶性化合物の具体例
Figure 0004391482
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2)油溶性化合物の具体例
Figure 0004391482
素材No 置換基
(1)R:SO225
(2)R:SO249
(3)R:SO2613
(4)R:SO2817
(5)R:SO2NHC37
(6)R:SO2NHC613
(7)R:COOC49
(8)R:COOCH2CH(C25)C49
(9)R:COOC611(cyclo)
(10)R:CONHC49(tert)
(11)R:CONHC611
(12)R:COC511
(13)R:SO265
(14)R:SO264Cl(m)
(15)R:SO264CH3(p)
(16)R:SO264CN(p)
(17)R:SO264(CH32(o,p)
(18)R:NHCOC613
(19)R:NHSO2C6H13
(20)R:OC613
(21)R:SO224OC49
(22)R:SO224COOC49
(23)R:SO224OCOC49
(24)R:SO224SO249
(25)R:SO2N(C252
(26)R:COOCH2CH2OC49
(27)R:COOCH2CH2OCOC49
(28)R:COOCH2CH2COOC49
(29)R:C613
(30)R:CON(C492
Figure 0004391482
上記の構造異性体の混合物
(31)R:SO2817
(32)R:SO2NHC817
(33)R:CONHC817
(34)R:COOC817
(35)R:SOC817
(36)R:SC817
(37)R:OCH2CH249
(38)R:OCH2612
(39)R:SO265
(40)R:NHSO2817
Figure 0004391482
(41)R:SO2817
(42)R:SO21225
(43)R:SO236SO2817
(44)R:SO224COOC817
(45)R:SO224CON(C492
Figure 0004391482
(46)R:SO249
(47)R:SO2NHC613
(48)R:COOC49
(49)R:CONHC611
(50)R:SO236SO2817
Figure 0004391482
(51)R1、R4:一方がSO2CH3、他方がH
2、R3:一方がOC613、他方がH
(52)R1、R4:一方がCN、他方はH
2、R3:一方がNHCOC613、他方がH
(53)R1、R4:一方がSO2817、他方がH
2、R3:Cl
(54)R1、R4:SO237
2、R3:H
(55)R1、R4:H
2、R3:SO237
Figure 0004391482
(56)R:SO224SO249、M:Cu
(57)R:SO224SO249、M:Pd
(58)R:SO224SO249、M:Zn
(59)R:SO224SO249、M:Mg
(60)R:SO224SO249、M:Co
(61)R:SO224SO249、M:Ni
<合成法>
本発明の化合物は特開平8−302224号明細書に記載された方法と同様にして合成することができる。
<染料の添加方法>
水溶性染料の場合は、水溶液で添加することが出来る。
油溶性染料の場合は、高沸点有機溶剤に溶かして水中に分散した乳化分散物もしくは固体微粒子分散物として添加することができる。乳化分散物は常圧で沸点が200℃以上の高沸点有機溶剤と界面活性剤、ポリマーなどの分散剤や保護コロイドを使用し、また必要に応じて低沸点の補助溶剤を併用し、コロイドミル、ホモジナイザー、およびマントンゴーリン分散機などにより微粒子分散物とすることができる。高沸点有機溶剤としてはリン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、フタル酸エステル類、テレフタル酸エステル類、安息香酸エステル類、トリメリト酸エステル類、脂肪族ジカルボン酸エステル類、アミド系オイル類、フェノール系オイル類、エーテル系オイル類、およびエポキシ系オイル類が好ましく用いられる。その中でもリン酸エステル、フタル酸エステル、および脂肪族ジカルボン酸エステル類が好ましい。界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびベタイン界面活性剤などいずれも使用することができるが、特にスルホン酸系のアニオン界面活性剤やポリエーテル系のノニオン界面活性剤が好ましい。分散剤としてはポバール系、変性ポバール系、ポリアミド系、およびポリエーテル系のポリマー類が好ましく、特にアルキルチオ変性ポバール、ポリビニルピロリドン、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロック共重合体が好ましい。
固体微粒子分散物として添加する場合、染料粉末を界面活性剤や分散剤の存在下でウルトラビスコミル、スーパーアペックスミルなどのビーズミルを使って分散することができる。界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびベタイン界面活性剤などいずれも使用することができるが、特にスルホン酸系のアニオン界面活性剤やポリエーテル系のノニオン界面活性剤が好ましい。分散剤としてはポバール系、変性ポバール系、ポリアミド系、およびポリエーテル系のポリマー類が好ましく、特にアルキルチオ変性ポバール、ポリビニルピロリドン、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロック共重合体が好ましい。
<添加される層>
本発明の一般式(PC−1)で表される染料は、画像形成層おおよび非感光性層の少なくとも1層に添加される。好ましくは、非感光性層に添加される。非感光性層は画像形成層と同一面の層であっても反対面のバック層であっても良い。画像形成層と同一面の層としては、支持体の画像形成層より上層であっても支持体と画像形成層の間にあっても良い。本発明の染料は、支持体の両面の層に添加しても良い。
<添加量の範囲>
染料の添加量は、熱現像処理後の画像の色調を好ましく調製するために、銀色調やほかの添加剤によってもたらされる色調と組み合わせて決定される。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度が1.5を越えない量で使用する。光学濃度は、0.01から1.2であり、好ましくは0.05から1.0であり、さらに好ましくは0.1から0.8である。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.5mg/m2〜200mg/m2、好ましくは1mg/m2〜160mg/m2、より好ましくは5mg/m2〜120mg/m2程度である。
(非水溶性アゾメチン染料)
本発明における非水溶性アゾメチン染料は、好ましくは一般式(I)で表される化合物である。
Figure 0004391482
<置換基等の説明>
一般式(I)において、Xはカラー写真カプラーの残基を表し、Aは−NR45又はヒドロキシ基を表し、R4及びR5は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。Aは−NR45であることが好ましい。前記R4及びR5は、各々独立に、水素原子又は脂肪族基であることが好ましく、水素原子であること、アルキル基又は置換アルキル基であることがより好ましく、水素原子であること、炭素原子数が1〜18のアルキル基又は炭素原子数が1〜18の置換アルキル基であることがさらに好ましい。
さらに詳しく述べると、R4がR5ともにメチル基又はともにエチル基、R4がエチル基でR5が2−ヒドロキシエチル基、R4がエチル基でR5が(2−メタンスルホニルアミノ)エチル基であることが最も好ましい。
前記一般式(I)においてB1は=C(R6)−又は=N−を表わし、B2は−C(R7)=又は−N=を表す。B1、B2が同時に−N=とならない場合が好ましく、B1が=C(R6)−、B2が−C(R7)=となる場合がより好ましい。
2、R3、R6及びR7は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR51、−SR52、−CO253、−OCOR54、−NR5556、−CONR5758、−SO259、−SO2NR6061、−NR62CONR6364、−NR65CO266、−COR67、−NR68COR69又は−NR70SO271であって、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70及びR71は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。
前記R2及びR7は、各々独立に、上記のうち水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、−OR51、−NR62CONR6364、−NR65CO266、−NR68COR69又は−NR70SO271であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基、置換アルキル基、−NR62CONR6364又は−NR68COR69であることがより好ましく、水素原子であること、塩素原子であること、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数1〜10の置換アルキル基であることが更に好ましく、水素原子であること、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4の置換アルキル基であることが最も好ましい。さらに詳しく述べると、R2は水素原子又はメチル基でありR7が水素原子であることが最も好ましい。
3及びR6は、各々独立に、上記のうち水素原子、ハロゲン原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基又は置換アルキル基であることがより好ましく、水素原子であること、塩素原子であること、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10の置換アルキル基であることが更に好ましく、水素原子であること、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4の置換アルキル基であることが最も好ましい。さらに詳しく述べると、R3とR6はともに水素原子であることが最も好ましい。
前記一般式(I)においてR2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6及びR6とR7は互いに結合して環を形成することができる。環を形成する組み合わせはR3とR4、R4とR5又はR5とR6であることが好ましい。前記R2とR3、又はR6とR7が互いに結合して形成する環は、5員環又は6員環であることが好ましい。環は芳香族環(例、ベンゼン環)又は不飽和複素環(例、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピリミジン環、ピロール環、フラン環)であることが好ましい。
前記R3とR4、又はR5とR6が互いに結合して形成する環は、5員環又は6員環であることが好ましい。環の例にはテトラヒドロキノリン環及びジヒドロインドール環が含まれる。前記R4とR5が、互いに結合して形成する環は5員環又は6員環であることが好ましい。環の例にはピロリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環が含まれる。
なお本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。前記アルキル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。
アルキル基の炭素原子数は1〜150であり、好ましくは炭素原子数1〜100である。
前記置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。
前記アルケニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は炭素原子数は2〜150であり、好ましくは炭素原子数2〜100である。前記置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。前記アルキニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は2〜150であり、好ましくは炭素原子数2〜100である。前記置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。
前記アラルキル基及び置換アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。
前記置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基、−OR141、−SR142、−CO2143、−NR144145、−CONR146147、−SO2148、−SO3149、−SO2NR150151が含まれる。R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148、R149、R150及びR151は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。ただしR143、R149はこれに加えて、Li、Na、K、Mg、Caから選ばれる金属原子であることも含まれる。前記置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
本明細書において、芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味し、アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましい。前記置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。前記置換アリール基の置換基の例にはハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、脂肪族基、複素環基、−OR161、−SR162、−CO2163、−NR164165、−CONR166167、−SO2168、−SO3169及び−SO2NR170171が含まれる。R161、R162、R163、R164、R165、R166、R167、R168、R169、R170及びR171は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。ただしR163、R169はこれに加えて、Li、Na、K、Mg、Caから選ばれる金属原子であることも含まれる。
本明細書において、複素環基は、5員もしくは6員の飽和又は不飽和複素環を含むことが好ましい。複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例には、B、N、O、S、Se及びTeが含まれる。ヘテロ原子としてはN、O及びSが好ましい。複素環は、炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)ことが好ましい。
飽和複素環の例には、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環及び1,3−チアゾリジン環が含まれる。不飽和複素環の例には、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びキノリン環が含まれる。複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR171、−SR172、−CO2173、−NR174175、−CONR176177、−SO2178及び−SO2NR179180が含まれる。
171、R172、R173、R174、R175、R176、R177、R178、R179及びR180は、各々独立に、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。
前記一般式(I)において、Xで表されるカプラーは以下のカプラーが好ましい。米国特許4,310,619号、同4,351,897号、欧州特許73,636号、米国特許3,061,432号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、同No.24230(1984年6月)、特開昭60−33552号、同60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許4,500,630号、同4,540,654号、同4,556,630号、国際公開WO88/04795号、特開平3−39737号(L−57(11頁右下),L−68(12頁右下),L−77(13頁右下))、欧州特許456,257号の〔A−4〕−63(134頁),〔A−4〕−73,−75(139頁)、同486,965号のM−4,−6(26頁),M−7(27頁)、同571,959A号のM−45(19頁)、特開平5−204106号の(M−1)(6頁)、同4−362631号の段落0237のM−22、米国特許3,061,432号、同3,725,067号。
前記一般式(I)で表される化合物のうち、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。次に一般式(II)について説明する。
Figure 0004391482
一般式(II)において、R1は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR81、−SR82、−CO283、−OCOR84、−NR8586、−CONR8788、−SO289、−SO2NR9091、−NR92CONR9394、−NR95CO296、−COR97、−NR98COR99又は−NR100SO2101であって、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、R98、R99、R100及びR101は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。R8は、脂肪族基又は芳香族基である。
また、R2、R3、A、B1及びB2は、それぞれ前記一般式(I)と同義であり、それらの好ましい範囲も同じである。
前記一般式(II)で表される化合物のうち、Aが−NR45であるものはより好ましい。
次に、前記一般式(II)で表される化合物について更に詳しく説明する。前記R1は、前述のうち脂肪族基、芳香族基、−NR8586、−NR92CONR9394、−NR95CO296、−NR98COR99又は−NR100SO2101であることが好ましく、−NR8586、−NR98COR99又は−NR100SO2101であることがより好ましく、−NR8586、−NR98COR99であることが特に好ましい。
前記R8は、脂肪族基又は芳香族基であり、芳香族基であることが好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物のうち、特に下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。次に一般式(III)について説明する。
Figure 0004391482
一般式(III)において、R9は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR11、−SR12、−CO213、−OCOR14、−NR1516、−CONR1718、−SO219、−SO2NR2021、−NR22CONR2324、−NR25CO226、−COR27、−NR28COR29又は−NR30SO231であって、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。
Zは、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR111、−SR112、−CO2113、−OCOR114、−NR115116、−CONR117118、−SO2119、−SO2NR120121、−NR122CONR123124、−NR125CO2126、−COR127、−NR128COR129又は−NR130SO2131の少なくとも1つで置換されていてもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群である。この複素環はさらに別の環と縮合環を形成してもよい。
ここでR111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119、R120、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130及びR131は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。また、R2、R3、A、B1及びB2は、それぞれ前記一般式(I)と同義であり、それらの好ましい範囲も同じである。
前記一般式(III)で表される化合物のうち、Aが−NR45であるものはより好ましい。
次に、前記一般式(III)で表される化合物について更に詳しく説明する。前記R9は、前述のうち水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR11、−SR12、−NR1516、−SO219、−NR22CONR2324、−NR25CO226、−NR28COR29又は−NR30SO231であることが好ましく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR11又は−NR1516であることがより好ましく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、フェノキシ基、置換フェノキシ基、ジアルキルアミノ基、又は置換ジアルキルアミノ基であることが更に好ましく、水素原子であること、炭素原子数1〜50のアルキル基、炭素原子数1〜50の置換アルキル基、炭素原子数6〜50のアリール基又は炭素原子数6〜50の置換アリール基であることが更に好ましく、水素原子であること、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数1〜30の置換アルキル基であることが最も好ましい。
前記Zは、5もしくは6員の含窒素複素環を形成するのが好ましく5員の含窒素複素環を形成するのが更に好ましい。5員の含窒素複素環の例には、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環が含まれる。
また、前記一般式(I)で表される化合物のうち、特に下記一般式(IV)で表されるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましい。
Figure 0004391482
前記一般式(IV)において、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR9は、前記一般式(I)、一般式(III)と同義である。また、前記一般式(IV)において、X1及びX2は、各々独立に、−C(R10)=又は−N=を表し、R10は水素原子、脂肪族基、芳香族基を表し、X1及びX2の一方は必ず−N=であり、またX1とX2が同時に−N=となることはない。
このとき、前記R10は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜100の置換アルキル基、炭素数1〜100の置換アリール基であることがより好ましく、炭素数1〜30の置換アルキル基、炭素数1〜30の置換アリール基であることが特に好ましい。
前記一般式(IV)において、より好ましくはX1が−N=であり、X2が−C(R10)=となるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物である。
本発明で用いられる一般式(I)〜(IV)で表される化合物はポリマーの部分構造として存在していてもよく、この場合は前述の置換基における炭素数の規定は適用されない。
ポリマーの部分構造としての存在形態については、一般式(I)〜(IV)で表される化合物がポリマー主鎖中に存在する形態であっても、側鎖として存在する形態であっても良い。
以下に本発明における具体的な化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004391482
Figure 0004391482
Figure 0004391482
Figure 0004391482
Figure 0004391482
Figure 0004391482
この他に本発明で使用できるアゾメチン染料としては、特開平4−247449号公報記載の一般式(I)、特開昭63−145281号公報記載の一般式(I)、特開2002−256164号公報記載の一般式(1)、特開平3−244593号公報記載の一般式(I)、特開平3−7386号公報記載の一般式(I)、特開平2−252578号公報記載の一般式(II)、(III)、(IV)、特開平4−359967号公報記載の一般式(I)、(II)、特開平4−359968号公報記載の一般式(I)、(II)等を挙げることができ、具体的化合物もこれら特許に記載されている染料を挙げることができる。
<合成方法、合成例>
前記一般式(I)で表される染料は、例えば特開昭60−32851号公報、特開平4−126772号公報、特公平7−94180号公報及び特願平11−365187号公報に記載された方法を参考にして合成することができる。
例示化合物(15)の合成
Figure 0004391482
化合物A(特開平7−316161に記載の方法で合成、14.7g、25mmol)、フェニレンジアミン誘導体Bの3/2硫酸塩1水和物(16.4g、44.4mol)、イソプロパノール(60mL)、水(100mL)、K2CO3(19g、138mmol)の混合物に、過硫酸アンモニウム(9.43g、41.3mmol)の水溶液(250mL)を室温で1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した後に、分液し水相を除去した。有機相を希塩酸で洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。
ここで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、例示化合物15を得た。(14.1g、収率69%)1H NMR:(400MHz、CDCl3)δ:9.02(t,J=8.8Hz,1H),8.13(d,J=8.4Hz,2H),7.95(s,1H),7.63(d,J=8.8Hz,2H),6.57−6.60(m,2H),5.27(t,J=6.4Hz,1H),4.11(t,J=6.8Hz,2H),3.67(t,J=6.6Hz,2H),3.59(q,J=7.1Hz,2H),3.47(q,J=6.5Hz,2H),3.03(s,3H),2.68−2.80(m,4H),2.28(s,3H),1.2−1.7(36H),0.87(t,J=6.8Hz,3H)
<染料の添加方法>
本発明の非水溶性アゾメチン染料は、高沸点有機溶剤に溶かして水中に分散した乳化分散物もしくは固体微粒子分散物として添加することができる。乳化分散物は常圧で沸点が200℃以上の高沸点有機溶剤と界面活性剤、ポリマーなどの分散剤や保護コロイドを使用し、また必要に応じて低沸点の補助溶剤を併用し、コロイドミル、ホモジナイザー、およびマントンゴーリン分散機などにより微粒子分散物とすることができる。高沸点有機溶剤としてはリン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、フタル酸エステル類、テレフタル酸エステル類、安息香酸エステル類、トリメリト酸エステル類、脂肪族ジカルボン酸エステル類、アミド系オイル類、フェノール系オイル類、エーテル系オイル類、およびエポキシ系オイル類が好ましく用いられる。その中でもリン酸エステル、フタル酸エステル、および脂肪族ジカルボン酸エステル類が好ましい。界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびベタイン界面活性剤などいずれも使用することができるが、特にスルホン酸系のアニオン界面活性剤やポリエーテル系のノニオン界面活性剤が好ましい。分散剤としてはポバール系、変性ポバール系、ポリアミド系、およびポリエーテル系のポリマー類が好ましく、特にアルキルチオ変性ポバール、ポリビニルピロリドン、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロック共重合体が好ましい。
固体微粒子分散物として添加する場合、染料粉末を界面活性剤や分散剤の存在下でウルトラビスコミル、スーパーアペックスミルなどのビーズミルを使って分散することができる。界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびベタイン界面活性剤などいずれも使用することができるが、特にスルホン酸系のアニオン界面活性剤やポリエーテル系のノニオン界面活性剤が好ましい。分散剤としてはポバール系、変性ポバール系、ポリアミド系、およびポリエーテル系のポリマー類が好ましく、特にアルキルチオ変性ポバール、ポリビニルピロリドン、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロック共重合体が好ましい。
本発明の非水溶性アゾメチン染料は、低沸点の補助溶剤や高沸点有機溶剤を使用せずに分散し添加できる固体微粒子分散物として添加することがより好ましい。
<添加される層>
本発明の非水溶性アゾメチン染料は、画像形成層および非感光性層の少なくとも1層に添加される。非感光性層に添加する場合は、画像形成層と同一面の層であっても反対面のバック層であっても良い。画像形成層と同一面の層としては、支持体の画像形成層より上層であっても支持体と画像形成層の間にあっても良い。本発明の染料は、支持体の両面の層に添加しても良い。好ましくは、画像形成層に添加する。
<添加量の範囲>
本発明の非水溶性アゾメチン染料の添加量は、熱現像処理後の画像の色調を好ましく調製するために、銀色調やほかの添加剤によってもたらされる色調と組み合わせて決定される。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度が1.0を越えない量で使用する。光学濃度は、0.01から0.5であり、好ましくは0.02から0.3であり、さらに好ましくは0.05から0.2である。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に1mg/m2〜50mg/m2、好ましくは2mg/m2〜30mg/m2、より好ましくは5mg/m2〜20mg/m2程度である。
<フタロシアニン染料との併用比率>
フタロシアニン染料と非水溶性アゾメチン染料の塗布量のバランスで好ましいベース色調及び画像色調を得ることができる。両者の使用比率は特に制限はないが、フタロシアニン染料:非水溶性アゾメチン染料の質量比で100:1〜1:1程度の範囲で調整して使用するのが好ましい。より好ましくは、50:1〜2:1である。更に好ましくは、25:1〜5:1である。
(非感光性有機銀塩)
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀およびこれらの混合物などを含む。
本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。前記ステアリン酸銀含有率を1モル%以下とすることにより、かぶりが低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。前記ステアリン酸銀含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
さらに、有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いかぶりを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀塩粒子は長軸と単軸の長さの比が5を越える長針状粒子に比べて熱現像時のかぶりが少ないという特徴を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、さらに好ましくは1以上4以下、最も好ましくは1以上3以下である。
前記球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。前記球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。
本発明において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
前記リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
3)調製
本発明に用いられる有機銀塩の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、かぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1モル%〜30モル%の範囲が好ましく、更に2モル%〜20モル%、特に3モル%〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
4)添加量
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1g/m2〜3.0g/m2が好ましく、より好ましくは0.5g/m2〜2.0g/m2、さらに好ましくは0.8g/m2〜1.7g/m2である。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.5g/m2以下、より好ましくは1.3g/m2以下であることが好ましい。
本発明の好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度をが可能である。
(非感光性有機銀塩のための還元剤)
本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のための還元剤である熱現像剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11−65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本発明において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0004391482
一般式(R)において、R11およびR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
一般式(R)について詳細に説明する。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
2)R12およびR12’、X1およびX1
12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1およびX1’も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシルアミノ基が挙げられる。
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基などがあげられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基などが挙げられる。
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数1〜15の1級、2級または3級のアルキル基であり、具体的にはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、その中でもメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
1およびX1’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、該アルキル基としては鎖状のアルキル基の他、環状のアルキル基も好ましく用いられる。また、これらのアルキル基の中にC=C結合を有しているものも好ましく用いることができる。アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基の場合、R13は炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等)が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基以外のアルキル基の場合、R13は水素原子が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でない場合、R13は水素原子または2級のアルキル基であることが好ましく、2級のアルキル基であることが特に好ましい。R13の2級アルキル基として好ましい基はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調製することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004391482
上記以外の本発明の好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号、EP1278101A2号に記載された化合物である。
本発明において還元剤の添加量は0.1g/m2〜3.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.2g/m2〜1.5g/m2で、さらに好ましくは0.3g/m2〜1.0g/m2である。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは8モル%〜30モル%であり、10モル%〜20モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
(感光性ハロゲン化銀)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀およびヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第6族〜第13族の金属又は金属錯体を含有することが出来る。好ましくは、第6族〜第10族の金属または金属錯体である。周期律表の第6族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、鉄、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[Fe(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(CN)64-、[Co(CN)63-、[Rh(CN)63-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)63-、[Re(CN)63-などが挙げられる。
本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やかぶりの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10-6モル〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4モル〜10-1モルである。
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。
本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価または+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特開2002−278016号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8モル〜10-2モル、好ましくは10-7モル〜10-3モル程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-3モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-4モルである。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40℃〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本発明における感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28〜32頁の表E及び表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開平2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開平2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開平2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開平2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開平2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開平2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開平2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特開2004−239943号に記載の一般式(1)と同義)、又は化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特開2004−245929号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。
またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 0004391482
式中RED1、RED2は還元性基を表す。R1は炭素原子(C)とRED1とともに5員若しくは6員の芳香族環(芳香族複素環を含む)のテトラヒドロ体、若しくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R2は水素原子又は置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。L1は脱離基をあらわす。EDは電子供与性基をあらわす。Z1は窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。X1は置換基を表し、m1は0〜3の整数を表す。Z2は、−CR1112−、−NR13−、又は−O−を表す。R11、R12はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表す。R13は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X1はアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。L2はカルボキシ基若しくはその塩又は水素原子を表す。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開平2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特開2004−245929号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 0004391482
式中、Xは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはXが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。L2はXとYを連結する連結基を表す。R2は水素原子又は置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開平2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及びベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及び5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また窒素又はリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基など)又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。
特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 -、PF6 -、Ph4-等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオン又はメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
吸着性基として窒素又はリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
一般式(X) (P−Q1−)i−R(−Q2−S)j
一般式(X)においてP、Rは、各々独立して増感色素の部分構造ではない窒素又はリンの4級塩構造を表す。Q1、Q2は、各々独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN−、−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、又はこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Sはタイプ(1)又は(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1又は2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することもできる。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。これらの化合物の添加時期は、増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9モル〜5×10-1モル、更に好ましくは1×10-8モル〜5×10-2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に含有する。
10)吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物
本発明においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(AR)で表される化合物であることが好ましい。
式(AR) A−(W)n−B
式(AR)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Bは還元基を表す。
式(AR)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基等が挙げられる。
吸着基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環若しくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、及びトリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li+、Na+、K+、Mg2+、Ag+、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状若しくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、−S−基又は−Se−基又は−Te−基又は=N−基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、及びベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基又はジスルフィド基とは、−S−、又は−S−S−の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
式(AR)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
式(AR)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO2−、−O−、−S−、−NR1−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここでR1は水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
式(AR)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、及びハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
式(AR)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明におけるBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0V〜約0.7Vの範囲である。
式(AR)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
本発明における式(AR)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
本発明における式(AR)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本発明における式(AR)の化合物の分子量は好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
以下に本発明における式(AR)の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004391482
さらに欧州特許1308776A2号明細書p73〜p87に記載の具体的化合物1〜30、1"−1〜1"−77も本発明における吸着基と還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
これらの化合物は公知の方法にならって容易に合成することができる。本発明における式(AR)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
本発明における式(AR)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。また画像形成層に使用するのが好ましいが、画像形成層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6モル以上1モル以下、好ましくは1×10-5モル以上5×10-1モル以下、さらに好ましくは1×10-4モル以上1×10-1モル以下である。
本発明における式(AR)の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸又は塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
11)ハロゲン化銀の複数併用
本発明に用いられる感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
12)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03g/m2以上0.6g/m2以下であることが好ましく、0.05g/m2以上0.4g/m2以下であることがさらに好ましく、0.07g/m2以上0.3g/m2以下であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
13)感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
14)ハロゲン化銀の塗布液への混合
ハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
(好ましい塗布液の溶媒)
本発明において感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
(現像促進剤の説明)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特開2002−278017号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5モル%〜10モル%の範囲で、より好ましくは1モル%〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物がより好ましい。
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
1−NHNH−Q2
式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。
一般式(A−1)において、Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
2で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、及びN−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
2で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、及びベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
2で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、及び4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
2で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Q2で表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQ1で表される5員〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Q1としては5員〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Q2はカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
Figure 0004391482
一般式(A−2)においてR1はアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R3、R4はそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。R3とR4は互いに連結して縮合環を形成してもよい。
1は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。R2は好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
3は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。R4は水素原子、アルキル基、又はアシルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はR1と同様である。R4がアシルアミノ基である場合R4はR3と連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
一般式(A−2)においてR3とR4が互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、R1はカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。R2はアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004391482
(水素結合性化合物の説明)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)またはアミノ基(−NHR、Rは水素原子またはアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
Figure 0004391482
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、及びホスホリル基などが挙げられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、及び4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、及び3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、及びベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、及びN−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004391482
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特開2002−318431号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は還元剤に対して、1モル%〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20モル%〜100モル%の範囲である。
(バインダーの説明)
本発明では、有機銀塩を含有する層に併用できるバインダーのガラス転移温度は−50℃以上45℃以下であることが好ましく、より好ましくは−30℃〜35℃であり、さらに好ましくは−20℃〜20℃である。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。
尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm〜50000nm、好ましくは5nm〜1000nmの範囲で、より好ましくは10nm〜500nmの範囲、さらに好ましくは50nm〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
−ラテックスの具体例−
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
・P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37
000、Tg61℃)
・P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテック
ス(分子量40000、Tg59℃)
・P−3;−St(62)−Bu(35)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg
5℃)
・P−4;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg
−17℃)
・P−5;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg1
7℃)
・P−6;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg2
4℃)
・P−7;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
・P−8;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg2
9℃)
・P−9;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス
(架橋性)
・P−10;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス
(架橋性)
・P−11;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)
−のラテックス(分子量80000)
・P−12;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテック
ス(分子量67000)
・P−13;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
・P−14;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量13
0000、Tg43℃)
・P−15;−MMA(63)−EA(35)−AA(2)のラテックス(分子量330
00、Tg47℃)
・P−16;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋
性,Tg23℃)
・P−17;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋
性,Tg20.5℃)
・P−18;−St(60.4)−イソプレン(36.6)−AA(3)−のラテックス
(架橋性,Tg17℃)
・P−19;−St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)−のラテッ
クス(架橋性,Tg27℃)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
市販されている疎水性ポリマーとしては、以下のようなポリマーを利用することができる。
アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上、日本ゼオン(株)製)などを挙げることができる。
ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル製)などである。
ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学(株)製)などである。
ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)などである。
ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製)などである。
ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上、旭化成工業(株)製)などである。
ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP−1〜P−10、P−16、P−17、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
スチレン−イソプレン共重合体のラテックスとしては、前記のP−18、P−19等が挙げられる。
(合成例−例示化合物P−5の合成−)
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/L、NaOH14.06mL、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mLに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、例示化合物P−5を774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)であった。
(合成例2−例示化合物P−18の合成−)
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/LのNaOHを19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.61gを水40mLに溶解した液を添加し、そのまま6時間撹拌した。この時点でのは重合転化率は固形分測定から90%であった。ここで、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mLに溶解した液をさらに添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.2に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、例示化合物P−18を1248g(固形分40.3質量%、粒径113nm)得た。
これらの疎水性ポリマーは、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。また、これら以外のポリマーを併用してもよい。
疎水性ポリマーの水分散物の最低造膜温度をコントロールするために、造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は一時可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)である。例えば、前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))に記載されている。好ましい造膜助剤は以下の化合物であるが、本発明で用い得る化合物は、以下の具体例に限定されるものではない。
・Z−1:ベンジルアルコール
・Z−2:2,2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
・Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
・Z−4:ジエチレングリコール
本発明の熱現像感光材料の画像形成層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(画像形成層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は5〜400、より好ましくは10〜200の範囲である。
本発明の画像形成層の全バインダー量は好ましくは0.2g/m2〜30g/m2、より好ましくは1g/m2〜15g/m2、さらに好ましくは2g/m2〜10g/m2の範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
(かぶり防止剤)
1)有機ポリハロゲン化合物
以下、本発明で用いることができる好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0〜1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または窒素原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基(ピリジン、キノリン基等)である。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子、電子求引性基で置換されたアルキル基、電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基等が挙げられる。電子求引性基として特に好ましいのは、ハロゲン原子、カルバモイル基、又はアリールスルホニル基であり、特にカルバモイル基が好ましい。
Xは好ましくは電子求引性基である。好ましい電子求引性基は、ハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、又はスルファモイル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、カルバモイル基であり、特に好ましくは臭素原子である。
1およびZ2は好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−、−SO2−、−C(=O)N(R)−、−SO2N(R)−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2−、−C(=O)N(R)−であり、特に好ましくは−SO2−、−C(=O)N(R)−である。ここでいうRとは水素原子、アリール基またはアルキル基を表し、より好ましくは水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
nは、0または1を表し、好ましくは1である。
一般式(H)において、Qがアルキル基の場合、好ましいYは−C(=O)N(R)−であり、Qがアリール基またはヘテロ環基の場合、好ましいYは−SO2−である。
一般式(H)において、該化合物から水素原子を取り去った残基が互いに結合した形態(一般にビス型、トリス型、テトラキス型と呼ぶ)も好ましく用いることが出来る。
一般式(H)において、解離性基(例えばCOOH基またはその塩、SO3H基またはその塩、PO3H基またはその塩等)、4級窒素カチオンを含む基(例えばアンモニウム基、ピリジニウム基等)、ポリエチレンオキシ基、水酸基等を置換基に有するものも好ましい形態である。
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示す。
Figure 0004391482
上記以外の本発明に用いることが出来るポリハロゲン化合物としては、US3874946号、US4756999号、US5340712号、US5369000号、US5464737号、US6506548号、特開昭50−137126号、同50−89020号、同50−119624号、同59−57234号、特開平7−2781号、同7−5621号、同9−160164号、同9−244177号、同9−244178号、同9−160167号、同9−319022号、同9−258367号、同9−265150号、同9−319022号、同10−197988号、同10−197989号、同11−242304号、特開2000−2963、特開2000−112070、特開2000−284410、特開2000−284412、特開2001−33911、特開2001−31644、特開2001−312027号、特開2003−50441号明細書の中で当該発明の例示化合物として挙げられている化合物が好ましく用いられるが、特に特開平7−2781号、特開2001−33911、特開2001−312027号に具体的に例示されている化合物が好ましい。
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10-4モル〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3モル〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10-2モル〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明において、かぶり防止剤を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
2)その他のかぶり防止剤
その他のかぶり防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本発明における熱現像感光材料はかぶり防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。
本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特開2002−303954号、特開2002−303951等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸または4メチルフタル酸との組み合わせである。
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
4)染料、顔料
本発明の熱現像感光材料には、前記金属フタロシアニン染料とともに、色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
5)造核剤
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に造核剤を添加することが好ましい。造核剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特開2000−284399号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、造核促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有させることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料で造核剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やかぶりなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1mg/m2〜500mg/m2が好ましく、0.5mg/m2〜100mg/m2がより好ましい。
(塗布液の調製および塗布)
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
(層構成および構成成分)
本発明の画像形成層は、支持体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像形成層または両層中にいくつかの他の成分を含んでも良い。
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有する。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)または(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)の層として感光材料に設けられる。
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。
表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2000−171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜4.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜5.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を画像形成層に対して光源から遠い側に設けることができる。好ましくは、バック層もしくは画像形成層と支持体との間の層である。
アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
本発明の熱現像感光材料は、前記の金属フタロシアニン染料をアンチハレーション染料として用いるのが好ましい。
染料の添加量は、一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001g/m2〜1g/m2程度である。
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300nm〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開平2001−100363などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては画像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
4)マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤は感光材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1mg/m2〜400mg/m2、より好ましくは5mg/m2〜300mg/m2である。
本発明においてマット剤の形状は定型、不定形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用いられる。平均粒径は0.5μm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1.0μm〜8.0μm、さらに好ましくは2.0μm〜6.0μmの範囲である。また、サイズ分布の変動係数としては50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは、30%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3より大きいものを2種併用することも好ましい。
また、画像形成層面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
5)ポリマーラテックス
本発明の熱現像感光材料は、表面保護層やバック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
さらに、表面保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号明細書のポリマーラテックスの組み合わせ、特開2000−267226号明細書の段落番号0021〜0025に記載の技術、特願平11−6872号明細書の段落番号0027〜0028に記載の技術、特開2000−19678号明細書の段落番号0023〜0041に記載の技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテックスの比率は全バインダーの10質量%以上90質量%以下が好ましく、特に20質量%以上80質量%以下が好ましい。
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
7)硬膜剤
本発明の画像形成層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊)、77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
8)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特開2002−82411号、特開2003−57780号および特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特開2003−57780号および特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は画像形成層面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は画像形成層面、バック面それぞれに0.1mg/m2〜100mg/m2の範囲で、より好ましくは0.3mg/m2〜30mg/m2の範囲、さらに好ましくは1mg/m2〜10mg/m2の範囲である。特に特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01mg/m2〜10mg/m2の範囲が好ましく、0.1mg/m2〜5mg/m2の範囲がより好ましい。
9)帯電防止剤
本発明においては金属酸化物あるいは導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねてもよく、また別途設けてもよい。帯電防止層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO2、SnO2が好ましく、ZnOに対してはAl、Inの添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が好ましい。
特にSbを添加したSnO2が好ましい。異種原子の添加量は0.01モル%〜30モル%の範囲が好ましく、0.1モル%〜10モル%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m2〜1000mg/m2の範囲で、より好ましくは10mg/m2〜500mg/m2の範囲、さらに好ましくは20mg/m2〜200mg/m2の範囲である。
本発明の帯電防止層は画像形成層面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。
本発明の帯電防止層の具体例は特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載されている。
10)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130℃〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。支持体に画像形成層もしくはバック層を塗布するときの、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
11)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
12)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN&HALL社刊、1997年)、399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号に記載された方法である。
本発明における有機銀塩含有層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。本発明における有機銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S-1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
本発明の塗布液を調合する場合において2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機が好ましく用いられる。本発明の好ましいインライン混合機は特開2002−85948号に、インプラント混合機は特開2002−90940号に記載されている。
本発明における塗布液は塗布面状を良好に保つため脱泡処理をすることが好ましい。本発明の好ましい脱泡処理方法については特開2002−66431号に記載された方法である。
本発明の塗布液を塗布する際には支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本発明において好ましい除電方法の例は特開2002−143747に記載されている。
本発明においては非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するため乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。本発明の好ましい乾燥方法は特開2001−194749号、同2002−139814号に詳しく記載されている。
本発明の熱現像感光材料は成膜性を向上させるために塗布、乾燥直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度は膜面温度で60℃〜100℃の範囲が好ましく、加熱時間は1秒〜60秒の範囲が好ましい。より好ましい範囲は膜面温度が70℃〜90℃、加熱時間が2秒〜10秒の範囲である。本発明の好ましい加熱処理の方法は特開2002−107872号に記載されている。
また、本発明の熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号、同2002−182333号に記載の製造方法が好ましく用いられる。
熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
13)包装材料
本発明の感光材料は生保存時の写真性能の変動を押えるため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50mL/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは10mL/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0mL/atm・m2・day以下である。水分透過率は10g/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m2・day以下である。
該酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号。特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
14)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特開2000−187298号、同2000−10229号、同2000−47345号、同2000−206642号、同2000−98530号、同2000−98531号、同2000−112059号、同2000−112060号、同2000−112104号、同2000−112064号、同2000−171936号も挙げられる。
(画像形成方法)
1)露光
本発明の熱現像感光材料は、いかなる手段によって画像露光しても良い。本発明の熱現像感光材料は、好ましくは、レーザー光で走査露光するのが好ましい。
本発明で用いることの出来る好ましいレーザーは、赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr+,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーである。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザーであり、レーザー光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。
一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザー光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80℃〜250℃であり、好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。現像時間としては1秒〜60秒が好ましく、より好ましくは3秒〜30秒、さらに好ましくは5秒〜25秒である。
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2段〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。
本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特開2002−289804号および同−287668号に記載されている。
3)システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては富士メディカル・ドライレーザーイメージャーFM−DPL、およびDRYPIX7000を挙げることができる。FM−DPLに関しては、Fuji Medical Review No.8,page39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士フィルムメディカル(株)が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
(本発明の用途)
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(PET支持体の作製)
(1)製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作製した。
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
(2)表面コロナ放電処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ放電処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
(3)下塗り
1)下塗層塗布液の作製
処方(1)(感光層側下塗り層用)
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 59g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5)10質量%溶液 5.4g
綜研化学(株)製MP−1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
蒸留水 935mL
処方(2)(バック面第1層用)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩(8質量%水溶液)
20g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10mL
蒸留水 854mL
処方(3)(バック面側第2層用)
SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物)
84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g
綜研化学(株)製MP−1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10mL
NaOH(1質量%) 6mL
プロキセル(ICI社製) 1mL
蒸留水 805mL
2)下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6mL/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(2)をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7mL/m2になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(3)をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7mL/m2になるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
(バック層、バック面保護層)
1)ハレーション防止染料の分散物、および水溶液の調製
《乳化分散物の調製》
本発明の一般式(I)で表される油溶性染料(2)5.0gを15.0gのトリクレジルホスフェートと40mLの酢酸エチルに添加し、60℃で溶解させた。得られた溶液を15gの石灰処理ゼラチンおよび1.0gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを溶解した150gの水溶液に混合し、ディゾルバー攪拌機を用いて10000rpmで20分間かけて乳化分散した。その後全量が250gになるようにイオン交換水を加え、さらに200rpmで10分間混合し乳化物を得た。
《固体分散物の調製》
本発明の一般式(I)で表される油溶性染料(9)10.0g、ポリビニルピロリドンの10質量%水溶液20.0g、および40mLの水を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを使用してサンドグラインダーミルで15時間分散した。これに水を30mL加え、ビーズを分離後、10μmのフィルターで濾過し染料の固体分散物を得た。
《比較の顔料分散物の調製》
C.I.Pigment Blue60(表中ではPB60と略称で表記する。)を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調整して顔料分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
《金属フタロシアニン染料の水溶液1の調製》
本発明の一般式(PC−1)で表される水溶性染料No.11、32、及び91の2質量%水溶液を調製した。
《金属フタロシアニン染料の水溶液2の調製》
比較の水溶性フタロシアニン(Kayafect Turquoise RN(日本化薬)(表中では、K.T.RNと略称で表記する。)のして2質量%の水溶液を調製した。
2)バック層塗布液−1〜5の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)20g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水570mLを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液2.3mL、上記で調製した染料の分散物または溶液を表1に示すように添加し、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液12mL、SBRラテックス10質量%液180g、を混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液80mLを混合し、バック層塗布液とした。
3)バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、ベンゾイソチアゾリノン35mg、水840mLを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液5.8mL、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.5g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液10mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液20mL、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%溶液を2.4mL、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4mL、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液32gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液25mLを混合しバック面保護層塗布液とした。
4)バック層−1〜5の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、バック層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が0.52g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
5)分光吸収スペクトルの測定
バック層の吸収スペクトルを日立製U4100分光器で測定した。分光器には積分球を設置し、サンプルは積分球の中心に配置し、散乱光を捕捉して測定した。リファレンスにバック層を塗布していない下塗り支持体を用いた。
表1に極大吸収波長と極大吸収波長における半値幅を示した。比較の染料および顔料に対して本発明における染料は、半値幅が55nm以下と極めて小さく、シャープな吸収スペクトルを有していた。
(画像形成層、中間層、および表面保護層)
1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mLに1質量%臭化カリウム溶液3.1mLを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5mL、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mLに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10mL添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8mL添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mLに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mLに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5mL加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10-3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mLを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mLに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10-3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10-3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
《塗布液用混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
さらに「1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物」として、化合物1と2と3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった(a,b,cは本文の規定)。
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤−1(2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。
こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
《還元剤−2分散物の調製》
還元剤−2(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調整し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
6)現像促進剤−2の分散物調製
現像促進剤−2の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%の分散液を得た。
7)ポリハロゲン化合物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調整し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。
こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調整した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
8)フタラジン化合物−1溶液の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物−1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
9)メルカプト化合物の調製
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
10)SBRラテックス液の調製
SBRラテックスは以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/L、NaOH14.06mL、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。
真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mLに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)であった。
11)染料または顔料分散物の調製
《比較の顔料分散物の調製》
特開平10−268465に記載のC.I.Pigment Violet 37(極大吸収波長:564nm)を同明細書記載の方法で分散した。
《比較の染料固体微粒子分散物の調製》
特開2000−39685に記載のアントラキノン染料B−3を、同明細書に記載の方法で分散した。
Figure 0004391482
《比較染料D−1の水溶液の調製》
下記の水溶性アゾメチン染料D−1を1g採取し、1質量%となるように水を加えて溶解した。
Figure 0004391482
《本発明のアゾメチン染料の固体分散物の調製》
前記の非水溶性アゾメチン染料の例示化合物(27)を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製)の48質量%水溶液)0.17kgと、消泡剤(サーフィノール104E(信越化学(株)製))20gを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて非水溶性アゾメチン染料の濃度が20質量%になるように調整した。この分散液を40℃で3時間加温し、アゾメチン−27分散物を得た。こうして得たアゾメチン染料分散物に含まれるアゾメチン染料粒子はメジアン径0.55μm、最大粒子径1.8μm以下であった。得られたアゾメチン染料分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物1000gに、水、顔料または染料分散物(表1に示す)、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、フタラジン化合物−1溶液、SBRラテックス(Tg:17℃)液、還元剤−1分散物、還元剤−2分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤Aを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液した。
2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液27mL、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液4200mLにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27mL、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135mL、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9mL/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水840mLに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mLを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mLをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1mL/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mLに溶解し、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして8.0g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40mL、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5mL、フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28mL、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3mL/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
3.熱現像感光材料の作製
1)熱現像感光材料−101〜115の作製
バック面と反対の面に下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。バック層と画像形成層の処方の組合せを表1に示した。このとき、画像形成層と中間層の塗布液は31℃に、表面保護層第1層の塗布液は36℃に、表面保護層第2層の塗布液は37℃に温度調整した。
Figure 0004391482
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
脂肪酸銀 5.42
顔料または染料 (表1に示す)
ポリハロゲン化合物−1 0.12
ポリハロゲン化合物−2 0.25
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス 9.70
還元剤−1 0.40
還元剤−2 0.40
水素結合性化合物−1 0.58
現像促進剤−1 0.019
現像促進剤−2 0.016
メルカプト化合物−1 0.002
メルカプト化合物−2 0.012
ハロゲン化銀(Agとして) 0.10
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿した後、膜面を70℃〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
Figure 0004391482
Figure 0004391482
Figure 0004391482
Figure 0004391482
Figure 0004391482
4.写真性能の評価
1)準備
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
<包装材料>
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン2質量%を含むポリエチレン50μmを積層したラミネートフィルム:
酸素透過率:0.02mL/atm・m2・25℃・day;
水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・day。
2)感光材料の露光・現像
各試料は富士メディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000(最大50mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光、および熱現像(107℃−121℃−121℃に設定した3枚のパネルヒータで合計14秒)され、得られた画像の評価を濃度計により行った。
3)性能の評価
《写真性能》
レーザーの露光量を段階的に変化させて露光を行い、現像処理後に得られた画像をMacbeth濃度計により濃度測定を行い、露光量に対する濃度の特性曲線を作製した。
<かぶり>
現像処理後サンプルにおいて、レーザーが露光されていない部分の濃度をかぶりとした。
<感度>
かぶり+1.0の画像濃度を得る露光量の逆数を感度とし、試料No.104に対しての相対値で表記した。
<鮮鋭度>
鮮鋭性は濃度1.2幅0.5mmの露光を行い画像濃度がかぶり+0.1以上となる領域の幅をアパーチャー径50μmのミクロデンシトメーターで測定し、濃度1.2幅5mmの値を100とした相対値で示した。
<画像色調>
現像処理後サンプルにおいて、非露光部の色味を目視で5段階の感応評価を行った。「5」が最も良いレベルであり、「1」が実用上問題となるレベルであり、「3」は実用上ぎりぎり許容できるレべルである。
《画像保存性》
<光安定性(蛍光灯下)>
写真性評価と同様に未露光現像した塗布試料を、蛍光灯8500Luxに1日照射し、色味変化を5段階評価した。5は蛍光灯照射前と同様で変化が見られないレベル。1は明らかに色味変化が分かり実用不可のレベルをあらわす。
<暗熱画像安定性>
写真性評価と同様に未露光現像した塗布試料を、50℃60%RH、3日の条件下に保存して保存前後での色味変化を上記と同様に5段階評価した。
得られた結果を表2に示した。
比較試料の101〜103では、鮮鋭度がやや低く画像色調が悪い。また、比較試料の107では、光照射による染料の安定性が良くない。一方、本発明の試料は、かぶり、感度は問題なく、鮮鋭度に優れ、画像色調も良好であり、保存性にも優れている。
特に、吸収極大が露光波長に合致し、半値幅が小さいシャープな吸収の試料が優れた性能を有していた。
本発明の中でもアゾメチン染料13,14,26,27,32を用いた試料が特に優れた性能を示した。
Figure 0004391482
実施例2
実施例1のバック層及び画像形成面に添加している染料に加えて、本願の金属フタロシアニン染料などを表3に示す様に画像形成層面の層に添加した他は実施例1と同様にして試料201〜222を作製した。
評価は、実施例1と同様にして行った。但し、色調については、銀画像がない未露光部と銀画像が形成された部分の両方の色調を評価した。
Figure 0004391482
得られた結果を表4に示した。
Figure 0004391482
試料No.201〜205では、かぶりが高く画像色調が悪い。画像形成面にバック層と同じ染料を併用することでやや鮮鋭度改良が見られるが十分でなかった。試料No.214では、画像保存性、特に光照射による染料の安定性が悪かった。
本発明の試料において、本発明のフタロシアニン染料を画像形成層面にも用いた場合、かぶりの絶対値が低く更に鮮鋭度が改良され、より好ましい性能であった。

Claims (17)

  1. 支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層、および少なくとも1層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、非水溶性アゾメチン染料および一般式(PC−1)で表される金属フタロシアニン染料を含有することを特徴とする熱現像感光材料:
    Figure 0004391482
    (式中、Mは金属原子を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は、それぞれ独立して水素原子または置換基であり、これらの内の少なくとも1つは電子求引性基である。X1、X2、X3、およびX4は、それぞれ独立して水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基である。)。
  2. 前記一般式(PC−1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の少なくとも一つが一般式(PC−II)で表される基であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料:
    一般式(PC−II) −L1−R17
    (式中、L1**−SO2***−SO3***−SO2NRN***−SO−***−CO−***−CONRN***−COO−***−COCO−***−COCO2*、および**−COCONRN*より選ばれる基を表す。**はこの位置でフタロシアニン骨格と結合し、*はこの位置でR17と結合することを示す。RNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、およびスルファモイル基より選ばれる原子または基を表す。R17は水素原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基より選ばれる原子または基を表す。)。
  3. 前記一般式(PC−1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8のうち4つ以上が一般式(PC−II)で表される基であることを特徴とする請求項2に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記一般式(PC−II)で表される基が少なくとも1つの水溶性基を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱現像感光材料。
  5. 前記一般式(PC−II)で表される基が少なくとも1つの油溶性基を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱現像感光材料。
  6. 前記金属フタロシアニン染料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とする請求項5に記載の熱現像感光材料。
  7. 前記非水溶性アゾメチン染料が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
    Figure 0004391482
    (式中、Xはカラー写真カプラーの残基を表し、Aは−NR45又はヒドロキシ基を表し、R4及びR5は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。B1は=C(R6)−又は=N−を表わし、B2はC(R7)=又は−N=を表す。R2、R3、R6及びR7は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR51、−SR52、−CO253、−OCOR54、−NR5556、−CONR5758、−SO259、−SO2NR6061、−NR62CONR6364、−NR65CO266、−COR67、−NR68COR69又は−NR70SO271を表し、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70及びR71は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。)。
  8. 前記非水溶性アゾメチン染料が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料:
    Figure 0004391482
    (式中、R1は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR81、−SR82、−CO283、−OCOR84、−NR8586、−CONR8788、−SO289、−SO2NR9091、−NR92CONR9394、−NR95CO296、−COR97、−NR98COR99又は−NR100SO2101を表し、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、R98、R99、R100及びR101は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。R8は、脂肪族基又は芳香族基を表す。また、R2、R3、A、B1及びB2は、それぞれ前記一般式(I)と同義である。)。
  9. 前記非水溶性アゾメチン染料が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料:
    Figure 0004391482
    (式中、R9は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR11、−SR12、−CO213、−OCOR14、−NR1516、−CONR1718、−SO219、−SO2NR2021、−NR22CONR2324、−NR25CO226、−COR27、−NR28COR29又は−NR30SO231を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。Zは、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、−OR111、−SR112、−CO2113、−OCOR114、−NR115116、−CONR117118、−SO2119、−SO2NR120121、−NR122CONR123124、−NR125CO2126、−COR127、−NR128COR129又は−NR130SO2131の少なくとも1つで置換されていてもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群を表し、この複素環はさらに別の環と縮合環を形成してもよい。ここでR111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119、R120、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130及びR131は、各々独立に、水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。また、R2、R3、A、B1及びB2は、それぞれ前記一般式(I)と同義である。)。
  10. 前記非水溶性アゾメチン染料が、下記一般式(IV)で表されることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料:
    Figure 0004391482
    (式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は前記一般式(I)と同義である。R9は、前記一般式(III)と同義である。また、X1及びX2は、各々独立に、−C(R10)=又は−N=を表し、R10は水素原子、脂肪族基、芳香族基を表し、X1及びX2の一方は必ず−N=であり、またX1とX2が同時に−N=となることはない。)。
  11. 前記非水溶性アゾメチン染料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  12. 前記非水溶性アゾメチン染料および金属フタロシアニン染料の少なくとも一方を前記画像形成層に含有することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  13. 前記非水溶性アゾメチン染料および金属フタロシアニン染料を前記画像形成層に含有することを特徴とする請求項12に記載の熱現像感光材料。
  14. 前記非水溶性アゾメチン染料および金属フタロシアニン染料の少なくとも一方を前記画像形成層に含有し、他方を前記非感光性層に含有することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  15. 前記非水溶性アゾメチン染料を前記画像形成層に含有し、前記金属フタロシアニン染料を前記非感光性層に含有することを特徴とする請求項14に記載の熱現像感光材料。
  16. 前記金属フタロシアニン染料が水溶性であり、前記非感光性層がバック層であることを特徴とする請求項15に記載の熱現像感光材料。
  17. 前記画像形成層がガラス転移温度(Tg)が−50℃〜45℃のポリマーラテックスを含有することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
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