JP6850365B2 - 析出硬化型Ag−Pd−Cu−In−B系合金 - Google Patents

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Description

本発明は、電気・電子機器用途の部品や部材、例えば、コネクタ、端子、電気接点やコンタクトプローブなどに適用される合金に関する。
ICテストソケットは、基板に配列された多数のコンタクトプローブピンにより構成される。ICテストソケットは、検査対象であるIC(集積回路)等の半導体素子の電極と検査装置(テスタ)を接続する役割を担い、コンタクトプローブピンを半導体素子上の電極やSnハンダ等に接触させることで、その電気的検査に用いられる。
IC(集積回路)の電気的検査は、室温環境下で行われる場合もあるが、IC(集積回路)の使用用途に応じて、その使用環境を想定した高温環境下(例えば、120〜160℃)で行われる場合もある。
このようなコンタクトプローブピンの材質には、Re−W系合金(例えば、特許文献1)、Au等のメッキを施したBe−Cu系合金(例えば、特許文献2)、析出硬化型のAg−Pd−Cu系合金(例えば、特許文献3)が用いられてきた。
ICテストソケットに用いられるコンタクトプローブピンの材質には、良好な電気抵抗値が得られること(比抵抗が低いこと)、長期間の使用を行っても安定した接触抵抗値が得られること(耐酸化性)、数百〜数万回に及ぶ検査対象物との繰り返し接触によって摩耗しにくいこと(高硬度)が要求される。
しかし、上述した合金を材質とするコンタクトプローブピンでは、高温環境下の電気的検査において、コンタクトプローブピンの材質に求められる全ての要求を十分に満たさない。
具体的には、Re−W系合金等のWを使用しているコンタクトプローブピンは、比抵抗が低く、十分に高硬度であり耐摩耗性に優れている。しかし、高温環境下での耐酸化性に劣るため表面に絶縁性の酸化被膜が生成され、さらにその酸化物が脱落して検査対象物に付着し、導通不良が発生するといった場合があり、安定した接触抵抗値が得られない。
Au等のメッキ処理を施したBe−Cu系合金を使用しているコンタクトプローブピンは、比抵抗が低い点で優れている。しかし、Be−Cu系合金の酸化を防止するためのメッキが、検査対象物との繰り返し接触によって剥離するため、耐摩耗性に劣り、さらに高温環境下での検査対象物との繰り返し接触によって、例えば、検査対象物であるSnメッキ電極やSnハンダに含まれるSn成分と、接触端子のメッキ成分であるAu等を由来とする、Au−Sn系合金が接触端子表面を浸食しやすいため、接触抵抗安定性に劣る。
Ag−Pd−Cu系合金を使用しているコンタクトプローブピンは、導電性に優れる貴金属やCuを多く含むために低い比抵抗が得られ、さらに貴金属は酸化しにくい性質も有するため、酸化防止のメッキ処理が不要であり、耐酸化性に優れている。耐摩耗性においても、Be−Cu合金よりも硬く、Re−W系合金に次ぐ高硬度材であるため、最適ではないが実用上は問題がない。
このような総合的な観点から、従来のコンタクトプローブピンの材質には、Ag−Pd−Cu系合金が多用されてきたが、近年では、IC(集積回路)の高密度化に対応するにあたり、コンタクトプローブピン先端部の形状をより細く尖鋭なものにする必要があり、コンタクトプローブピンが折損しやすく、かつ摩耗しやすい傾向にある。これに伴って、コンタクトプローブピンの材質には、少なくともこれまでと同等程度の低い比抵抗と接触抵抗安定性(耐酸化性)が求められるのは勿論、さらなる機械的強度や耐摩耗性(高硬度)が必要とされている。
特開平10−221366号公報 特表2014−523527号公報 特開昭50−160797号公報 特開2011−122194号公報
佐藤充典、「電気接点―材料と特性―」、日刊工業新聞社、昭和59年6月30日、初版1刷、p74
しかしながら、従来の3元系のAg−Pd−Cu系合金は、この系での最高の硬さ(450HV)を示す組成が30mass%Ag−40mass%Pd−30mass%Cu(24.7at%Ag−33.4at%Pd−41.9at%Cu)であり、これはこの組成でPdCu、PdCu3などの金属間化合物が全て析出すると考えられているためであり、これ以上の高硬度化が不可能であるという問題がある(例えば、非特許文献1)。
また、種々の添加元素を30mass%Ag−40mass%Pd−30mass%Cuに加えて固溶硬化することで高硬度化を図った様々な材料開発が行われてきたが(例えば、特許文献4)、添加元素を加えて多元系とすればするほど、添加元素の添加量が増えれば増えるほど、必然的に比抵抗が高くなる傾向があり、さらなる高硬度化と低い比抵抗の維持を両立することが実質的に不可能であるという問題がある。
また、強加工(塑性加工)を付与すればするほど合金の硬さが向上することは周知のことだが、上述した添加元素を加えて固溶硬化するほど塑性加工性が低下するため、これ以上の高硬度化も実質的に不可能であるという問題がある。
さらに、上記各種材質を用いたコンタクトプローブピンにおいては、接触端子のクリーニングや交換が多頻度で必要となるが、これらは検査工程の信頼性と稼働率を著しく低下させるという問題がある。
このような状況から、市場において、少なくともこれまでと同等程度の、低い比抵抗、塑性加工性および接触抵抗安定性(耐酸化性)があり、かつこれまで以上に高硬度であることを全て兼ね備えたトータルバランスの優れたコンタクトプローブピン用材料の開発が求められている。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
そこで、本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討の結果、以下の特定組成領域からなる析出硬化型Ag−Pd−Cu−In−B系合金を提供するに至った。
本願第1の発明は、Agを17〜23.6at%、Bを0.5〜1.1at%、PdとCuの合計量を74.9〜81.5at%として、前記PdとCuのat%比を1:1〜1:1.2とし、残部がInと不可避不純物からなる析出硬化型の合金であることを特徴とする。
また、第2の発明は、上記第1の発明において、ビッカース硬さが515HV以上であることを特徴とする。
また、第3の発明は、上記第2の発明において、比抵抗が15μΩ・cm以下であることを特徴とする。
また、第4の発明は、上記第3の発明において、結晶粒の最大粒径が1.0μm以下であり、金属間化合物が均一に分散している金属組織を有することを特徴とする。
また、第5の発明は、上記第1から第4の発明のうちいずれか1つの発明による合金が、電気・電子機器に適用されることを特徴とする。
また、第6の発明は、上記第1から第4の発明のうちいずれか1つの発明による合金が、コンタクトプローブピンに適用されることを特徴とする。
本発明の析出硬化型Ag−Pd−Cu−In−B系合金において、Agを17〜23.6at%、PdとCuの合計量を74.9〜81.5at%として、前記PdとCuのat%比を1:1〜1:1.2とし、Bの含有量を0.5〜1.1at%とした理由は、金属間化合物が均質に析出した金属組織とすることが可能であり、耐酸化性に優れ、低い比抵抗が得られるためである。また、Bの含有量が0.5at%未満だと十分な硬さが得られず、Bの含有量が1.1at%を超えると塑性加工性が低下するうえに金属間化合物の析出を阻害してしまうためである。
残部におけるInの含有量は0.5at%以上が好ましく、0.5〜1.5at%がより好ましく、0.75〜0.8at%が最も好ましい。この理由は、0.5at%未満だと十分な硬さ向上の効果が得られず、1.5at%を超えるとIn添加量に対する硬さの向上幅が少ないにもかかわらず塑性加工性が低下し、比抵抗が上昇傾向となるためである。
なお、本発明では析出硬化型Ag−Pd−Cu−In−B系合金に対する添加元素として、Ir、Rh、Co、Ni、Zn、Sn、Au、Ptの群から選ばれた少なくとも1種以上を合計で0.1〜2.0at%含んでもよい。
本発明における不可避不純物の定義とは、量産するうえで回避することができない100ppm以下の不純物を意味する。
また、析出硬化型とは、析出硬化元素を含有する合金をいい、固溶化温度まで加熱することにより析出硬化元素を母相中に過飽和に固溶させた後、固溶度曲線より低い温度に一定時間保持すると、飽和固溶体の結晶から析出物となる金属間化合物の微粒子が析出し、これにより析出硬化を図ることができる機能を有する合金のことを意味し、物の構造または特性を特定する用語として概念が定着しているものである。
このようにした本発明は、上記第1の発明によれば、少なくともこれまでと同等程度の塑性加工性および接触抵抗安定性(耐酸化性)が得られるという効果がある。
また、上記第2の発明によれば、上記第1の発明による効果に加えて、これまで以上の機械的強度および耐摩耗性(高硬度)が得られるという効果がある。
また、上記第3の発明によれば、上記第2の発明による効果に加えて、少なくともこれまでと同等程度の低い比抵抗が得られるという効果がある。
また、上記第4の発明によれば、上記第3の発明による効果に加えて、結晶粒の最大粒径が1.0μm以下であり、金属間化合物が均一に分散している金属組織を有することにより、このような緻密で均質な金属組織がより一層の安定した機械的強度および耐摩耗性を発現し、信頼性の高い合金が得られるという効果がある。
また、上記第5の発明によれば、上記第1から第4の発明のうちいずれか1つの発明による合金を使用した電気・電子機器であるので、少なくともこれまでと同等程度の、低い比抵抗、塑性加工性および接触抵抗安定性(耐酸化性)があり、かつこれまで以上に機械的強度と耐摩耗性(高硬度)が向上し、電気・電子機器を低廉かつ簡単に製造することができるという効果がある。
また、上記第6の発明によれば、少なくともこれまでと同等程度の、低い比抵抗、塑性加工性および接触抵抗安定性(耐酸化性)があり、かつこれまで以上に高硬度であることを全て兼ね備えたトータルバランスの優れたコンタクトプローブピン用材料の提供が可能となることで、IC(集積回路)等の検査工程において、信頼性と稼働率を向上させることができるという効果がある。
実施例(No.4)の溶体化処理材における断面組織のSEM像 比較例(No.20)の溶体化処理材における断面組織のSEM像 比較例(No.21)の溶体化処理材における断面組織のSEM像 実施例(No.4)の析出硬化処理材における断面組織のSEM像 比較例(No.20)の析出硬化処理材における断面組織のSEM像 比較例(No.21)の析出硬化処理材における断面組織のSEM像 本発明による析出硬化処理材の断面におけるビッカース硬さと比抵抗の関係性を示す説明図 本発明による析出硬化処理材の断面におけるビッカース硬さと比抵抗の関係性を示す説明図
以下、図面を参照して本発明における析出硬化型Ag−Pd−Cu−In−B系合金の実施例および比較例を説明する。
Ag、Pd、Cu、InおよびBを目的の各種組成になるように配合した後、高周波溶解によりインゴット(Φ15mm×L100mm)を作製した。各実施例および比較例における組成を表1に記載する。なお、比較例19および20は従来の合金であるAg−Pd−Cu系合金、比較例21は従来の合金であるAg−Pd−Cu−In系合金の組成を示す。
各種組成は定量分析を行い、成分組成の残部であるInおよび不可避不純物はBalance(Bal.)と記載した。
なお、本発明によるインゴットの作製方法は、高周波溶解に限定されず、例えば、ガス溶解、電気炉、真空溶解法、連続鋳造法、ゾーンメルティング法など、現在及び今後確立される任意の溶解法を本発明に適用することが可能である。
Figure 0006850365
次に、上記インゴットの湯引け等の溶解欠陥部を除去した後、伸線加工を施して所定寸法(Φ1.0mm)まで塑性加工した。その後、還元雰囲気中(H2とN2の混合雰囲気中)にて800℃で60min加熱し、常温まで水冷する方法で溶体化処理し、溶体化処理材とした。
なお、本発明の塑性加工方法は、伸線加工に限定されず、求められる特性や形状に応じて、様々な塑性加工方法を単一または複数で適用できる。例えば、圧延加工、溝圧延加工やスウェージング加工などが挙げられる。
上記の溶体化処理材のSEM(Scanning Electron Microscope)による断面組織観察結果を図1〜3に示す。
次に、上記の溶体化処理材について、伸線加工を施して塑性加工性の評価を行った。
なお、本発明による溶体化処理材の塑性加工方法は、伸線加工に限定されず、求められる特性や形状に応じて、様々な塑性加工方法を単一または複数で適用できる。例えば、圧延加工、溝圧延加工やスウェージング加工などが挙げられる。
溶体化処理材の塑性加工性の評価は、
断面減少率(%)=[(塑性加工前の断面積−塑性加工後の断面積)/ 塑性加工前の断面積 ]×100
と定義し、伸線加工時に、割れまたは破断等が発生するまでの断面減少率を調査することにより行った。
具体的には、断面減少率が50%未満に塑性加工できたものをC、断面減少率が50%以上75%未満に塑性加工できたものをB、割れまたは破断等が発生せずに断面減少率で75%に塑性加工できたものをAと評価した。各実施例および比較例における塑性加工性を表2に示す。なお、各実施例および比較例はNo.で区別し、表1に対応する形式で表2を示す。
Figure 0006850365
表2より、本発明の特定組成領域では、従来の合金であるAg−Pd−Cu系合金およびAg−Pd−Cu−In系合金と同等の塑性加工性である評価Aが得られている。
なお、表2では、同一条件下で本発明と比較例との比較評価を行うために、コンタクトプローブピン用途へ好適に利用できる断面減少率75%としているが、本発明では硬さ等の求められる特性に応じて断面減少率を0〜99.5%の範囲で増減させることが可能である。
次に、溶体化処理材の伸線加工後、還元雰囲気中(H2とN2の混合雰囲気中)にて360℃で60min加熱することで、析出物となる金属間化合物を析出させる析出硬化処理を十分に施した。得られた析出硬化処理材は、電気・電子機器用途もしくはコンタクトプローブピン用途に好適に利用できる。
なお、本発明の析出硬化型合金は、求められる特性によって析出硬化処理の有無やその程度は適宜調整できる。
上記の析出硬化処理材のSEM(Scanning Electron Microscope)による断面組織観察結果を図4〜6に示す。また、各実施例および比較例における析出硬化処理材のビッカース硬さ(試験荷重0.2kg)および比抵抗を表2に併記する。析出硬化処理材の比抵抗は、デジタルマルチメーターを用いて4端子法にて抵抗値を測定し、析出硬化処理材の実寸法から算出した。
表2より、本発明の特定組成領域では、従来の合金であるAg−Pd−Cu系合金およびAg−Pd−Cu−In系合金と比較して、実用上問題のない15μΩ・cm以下の低い比抵抗とビッカース硬さ515HV以上のさらなる高硬度化の両立ができていることを確認できた。
上記の析出硬化処理材の耐酸化性を評価した。耐酸化性の評価方法としては、恒温器を用いて150℃の高温大気中にて24時間保持し、試験後に析出硬化処理材の表面を目視と電子顕微鏡を用いて観察し、変色(酸化物やその他の変質)の有無を調査した。さらに、前記試験前後で析出硬化処理材の比抵抗に変化が生じるかどうかを調査した。
その結果、本発明の実施例および比較例はいずれも変色が発生せず、比抵抗が変化せず、かつ高温環境下で良好な耐酸化性が得られることを確認できた。
さらに、図1〜3の溶体化処理材と図4〜6の析出硬化処理材の断面組織を対比すると、
従来の3元系の析出硬化型Ag−Pd−Cu系合金や4元系の析出硬化型Ag−Pd−Cu−In系合金は、溶体化処理時に生成された粗大な結晶粒が析出硬化処理後においても残存しおり、不均質な金属組織となっている(図2に対する図5、図3に対する図6)。
これら合金の析出硬化処理材に残存する粗大な結晶粒を調査したところ、最大粒径で5μmの結晶粒が残存していた。なお、最大結晶粒径は、析出硬化処理材の5つの任意箇所において、測定倍率を10000倍としたSEM(Scanning Electron
Microscope)による断面組織観察を行い、各観察範囲内に存在する結晶の長径を測定することにより求めた。
一方、本発明の5元系の析出硬化型Ag−Pd−Cu−In−B系合金は、その金属組織中に金属間化合物を含まない粗大な結晶粒が存在しておらず、合金全体に金属間化合物が均質に析出した金属組織となっていることが確認できた(図1に対する図4)。
さらに、本願発明の特定組成領域における析出硬化処理材に残存する結晶粒を上記と同様に調査したところ、最大粒径で1.0μmであり、金属間化合物が均一に分散した極めて緻密で均質な金属組織が得られていることが確認できた。
このような現象は、本発明の特定組成領域において、初めて確認された現象である。
この特異な現象は、本発明の特定組成領域では金属間化合物の生成が従来よりも促進されることにより、均質で微細な金属組織が得られ、このような金属組織がさらなる高硬度かつ低い比抵抗の維持の両立を可能にしていると考えられる。
なお、本発明の析出物は、Ag、Pd、Cu、In、Bの群から選ばれる少なくとも2つの元素からなる金属間化合物を少なくとも1種以上含む構成であると考えられる。
図7に表2における実施例(No.1〜No.7)の析出硬化処理材断面のビッカース硬さと比抵抗の関係性を示す。
図7より、本発明の特定組成領域でのみ、515HV以上の高硬度かつ15μΩ・cm以下の低い比抵抗を両立できることが確認できた。
図8に表2における各実施例(No.3、No.8〜No.11)のPdとCuのat%比を1:1に固定し、さらにAgの含有量を変化させた時の析出硬化処理材断面のビッカース硬さと比抵抗の関係性を示す。
各実施例(図8中)と比較例(No.20〜21)を比較すると、本発明の特定組成領域では、Agの含有量を変化させても、515HV以上のさらなる高硬度かつ15μΩ・cm以下の低い比抵抗を両立できることが確認できた。
ここで、各実施例の総合評価を行う。評価方法は、各実施例のうち、15μΩ・cm以下の比抵抗、断面減少率75%以上の塑性加工性、515HV以上のビッカース硬さ、高温環境下における接触抵抗安定性(耐酸化性)を有することの、4つの条件をすべて満たすような特に優れている場合のみ合格とし表2中に〇で併記して、それ以外は不合格として表2中に×で併記する。
以上の結果より、本発明の特定組成領域では、少なくともこれまでと同等程度の、低い比抵抗(15μΩ・cm以下)、塑性加工性(断面減少率75%以上)および接触抵抗安定性(耐酸化性)があり、これまで以上に高硬度(515HV以上)であることを全て兼ね備えたトータルバランスの優れたコンタクトプローブピン用材料の提供が可能であることが確認できた。また、これら特性を有する電気・電子機器用材料(例えば、コネクタ、端子、電気接点)の提供が可能であることが確認できた。
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に限定されるものではなく、目的とする形状、寸法や特性により適宜調整することができるものである。

Claims (6)

  1. Agを17〜23.6at%、Bを0.5〜1.1at%、PdとCuの合計量を74.9〜81.5at%として、前記PdとCuのat%比を1:1〜1:1.2とし、残部がInと不可避不純物からなる析出硬化型合金。
  2. ビッカース硬さが515HV以上であることを特徴とする請求項1に記載の析出硬化型合金。
  3. 比抵抗が15μΩ・cm以下であることを特徴とする請求項2に記載の析出硬化型合金。
  4. 結晶粒の粒径が1.0μm以下であり、金属間化合物が均一に分散している金属組織を有することを特徴とする請求項3に記載の析出硬化型合金。
  5. 電気・電子機器用途であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1つに記載の析出硬化型合金。
  6. コンタクトプローブピン用途であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1つに記載の析出硬化型合金。
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