JP2017025354A - プローブピン用合金材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
析出硬化するAu合金およびPd合金等に硬さ向上を目的として添加元素を加えると、硬さの向上と反比例して塑性加工性が低下してしまうことになる。そこで、すぐれた塑性加工性を有し、かつ硬さを向上させる技術が求められる。
【解決手段】
Pd33〜42質量%、Cu18〜32質量%、In0.5〜2質量%およびRe0.05〜2質量%、残部にAgと不可避不純物を含み、結晶を微細化し塑性加工性を向上させたことを特徴とするプローブピン用合金。
【選択図】 なし
析出硬化するAu合金およびPd合金等に硬さ向上を目的として添加元素を加えると、硬さの向上と反比例して塑性加工性が低下してしまうことになる。そこで、すぐれた塑性加工性を有し、かつ硬さを向上させる技術が求められる。
【解決手段】
Pd33〜42質量%、Cu18〜32質量%、In0.5〜2質量%およびRe0.05〜2質量%、残部にAgと不可避不純物を含み、結晶を微細化し塑性加工性を向上させたことを特徴とするプローブピン用合金。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プローブピン用途の材料およびその製造方法に関する。
電気・電子機器用途において使用される材料は低い接触抵抗や耐食性に優れている等の諸特性が求められるため、高価なPt合金、Au合金、Pd合金、Ag合金などの貴金属合金を広く用いている。しかしながら使用用途(例えば、半導体集積回路等の検査用プローブピンなど)によっては、低い接触抵抗や耐食性の他に、硬さ(耐磨耗性)なども要求される。
そこで、塑性加工を施した状態で高い硬さを示すPt合金、Ir合金等や析出硬化するAu合金およびPd合金等が好んで使用されている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
プローブピン用途の場合、試験のための何万回もの繰り返し動作により先端形状が摩耗により変形し、その結果、抵抗値に変化をもたらし正確な試験が行えなくなってしまうことがある。そこで、低い接触抵抗で耐食性に優れていて、塑性加工性の優れる耐摩耗性の材料が求められている。
耐摩耗性とはすなわち高い硬さの材料であり、望ましくは500HV以上であり、塑性加工可能な範囲内で硬さは高いほど望ましい。先端形状が摩耗による変形が少ないプローブピンを利用することができれば、先端形状の摩耗よる抵抗値の変化が軽減し、より正確な試験が可能になり、検査歩留りも向上することになる。
一般的に金属は加工硬化し耐摩耗性(硬さ)が向上する。そこで、耐摩耗性を向上させる目的で、塑性加工を施した状態で高い硬さを示すPt合金、Ir合金等を望む場合、難加工性材料である場合が多く、所望の形状(細線や薄板化等)へ塑性加工が不可能な場合や塑性加工は可能であっても熱処理、伸線加工や圧延加工等の製造工数が多くなってしまう場合が多い。
また、析出硬化するAu合金およびPd合金等は、塑性加工性には優れていても、析出硬化による硬さ向上の効果が十分でないものがある。
このような要望に対して、析出硬化するAu合金およびPd合金等に硬さ向上を目的として添加元素を加えると、硬さの向上と反比例して塑性加工性が低下してしまうことになる。そこで、すぐれた塑性加工性を有し、かつ硬さを向上させる技術が求められている。
本発明は、Pd33〜42質量%、Cu18〜32質量%、In0.5〜2質量%およびRe0.05〜2質量% 、残部がAgと不可避不純物よりなり、塑性加工後の析出硬化時の硬さが400HV以上になることを特徴とするプローブピン用合金材料を提供するものである。
さらに、その製造方法として、鋳造後にスェージング加工を施して結晶を微細化して加工性を向上させる。これによってインゴットの鋳造組織が微細化されて、後の塑性加工性が飛躍的に向上する。
なお、スェージング加工により結晶組織を微細化するには、断面減少率で21%以上の塑性加工を施す必要があり、望ましくは断面減少率で40%以上である。断面減少率で20%未満の場合は結晶組織が微細化されきっておらず、その後の塑性加工時に大きなワレやクラックが発生し加工不可能である。
断面減少率で21〜40%の範囲では、その後の塑性加工時に小さなワレやクラックが発したものの塑性加工可能であり、断面減少率が高くなるに従ってワレやクラックの発生率や大きさも軽減していき、断面減少率40%以上でその後の塑性加工時にワレやクラックが発生しなくなる。
結晶組織が微細化された後、熱処理と塑性加工を繰り返し所定の形状まで加工を施す場合、最終熱処理後の望ましい断面減面率は40%以上である。断面減少率で40%未満の場合は析出硬化処理後に十分な硬さが得られない可能性があるためである。
つぎに、Ag−Pd−Cu合金にInとReを合わせて添加する理由としては、In単体での添加でも硬さは向上するがReと合せて添加することにより、より一層硬さが向上するためである。
また、一般的にAg−Pd−Cu合金はPdの含有量が40質量%の時が析出硬化時に最も硬くなりPdの含有量が下がるに従って、硬さも低下する。最大の硬さを必要とされない用途ではInと Reと合せて添加することにより、高価なPdの含有率を低減させることも可能となる。
Inの添加量を0.5〜2質量%、Re0.05〜2質量%の添加量をとする理由は、Inの添加量が0.5質量%、Reの添加量が0.05質量%未満では硬さ向上の効果は現われず、In、Reの添加量が2質量%を超えると著しく加工性が低下し、さらに所定の硬さが得られないためである。
本発明のAg−Pd−Cu−In−Re合金に、さらに用途により特性を改善する添加元素としてAu、Ni、Pt、Sn、Zn、Bのうち少なくとも1種以上4種以下を最大で合計10質量%までを添加するとよい。
添加元素量を最大で合計10質量%までとする理由は10質量%を超えると塑性加工性が低下するためである。各添加元素の添加許容量は、Auが0.1〜10質量%、Au以外の添加元素が0.1〜2.0質量%である。
Auを0.1〜10質量%添加する理由は、耐酸化性および硬さを向上させるためであり、0.1質量%未満ではその効果がなく、10質量%を超えると塑性加工性が低下するためである。
Pt、Sn、Zn、B、を0.1〜2.0質量%添加する理由は硬さを向上させるためである。0.1質量%以下では望む効果が得られず、2.0質量%を超えると加工性が低下する。
Niは硬さ向上の他にAg−Pd−Cu合金の析出後の折り曲げ性向上の効果材としても作用する。
以下に本発明の実施例を説明する。
なお、本実施例では、真空溶解にて各Ag−Pd−Cu合金にInおよびReまたは、用途により、さらに特性を改善する添加元素を加えた合金のインゴット(φ15×L100)を作製した。湯引け等の溶解欠陥部を除去した後、スェージング加工によりφ10まで加工を行った。その後、溝圧延加工と引抜加工を含む塑性加工と溶体化処理(800℃×1hr H2とN2の混合雰囲気中)をφ1まで繰り返し、最終断面減少率が約75%になるように引抜加工したものを試験片(φ0.5×L10)とし、析出硬化の条件は、H2とN2の混合雰囲気中にて400〜500℃×1hrで行った。なお本実施例では、比較評価の為に熱処理条件や塑性加工条件を統一してあるが、プローブピン用材料の求められる特性により最適なものを選択できる。
また、試験片の硬さ測定は、断面硬さをビッカース硬さ試験機で、HV0.2 にて測定を行った。
本実施例の溶解方法は真空溶解を用いたが、真空溶解以外の様々な溶解方法、例えるならば、連続鋳造法、ガス溶解等でも可能であり、今後、確立されるであろう新たな溶解方法においても溶解可能と推測される。
本実施例はφ15で鋳込んだインゴットにスェージング加工を施しφ10まで加工した後、溝圧延加工と引抜加工による塑性加工と溶体化処理を繰り返し試験片である線材を製造したが、重要なのは鋳造組織が微細化するまでスェージング加工を施す事である。
スェージング加工に限らず今後、確立されるであろう新たな塑性加工方法においても鋳造組織の微細化ができれば、その後の塑性加工が可能と推測される。
表1に本発明の実施例として組成一覧、塑性加工後および析出硬化後の硬さを示す。
表1の結果より、電気・電子機器用途にて広く使用されるAg−Pd−Cu合金である比較例1〜3に比べ、それらのAg−Pd−Cu合金にInおよびReを添加した実施例1〜3は、いずれも硬さの向上が確認できた。
同様に比較例4〜8に関しても、実施例4〜8のAg−Pd−Cu−In−Re合金にさらにAu、Ni、Pt、Sn、Zn、B、の少なくとも1種を添加した合金においても、いずれも硬さの向上が確認できた。
つぎに、スェージング加工に必要な断面減少の検証をする。
塑性加工性におよぼすスェージング加工による断面減少率の影響を検証するため、真空溶解にて表1の実施例1〜8における各種合金組成のインゴット(φ15×L100)を作製した。
これらインゴットの湯引け等の溶解欠陥部を除去した後、スェージング加工により断面減少率で10%、21%、30%、40%、50%および60%までそれぞれ加工を行った。その後、これらに溶体化処理(800℃×1hr H2とN2の混合雰囲気中)を行ったものを試験片とし、各試験片を断面減少率で80%になるように溝圧延加工を行い塑性加工性の評価を行った結果を表2に示す。断面減少率で80%に塑性加工不可能なものをC、微小なクラックはあるが塑性加工可能であったものをB、破断やクラック無く塑性加工可能なものをAと評価した。
本発明の合金材料によると、低い接触抵抗で耐食性に優れると共に塑性加工性に優れ、しかも塑性加工後の析出硬化時の硬さに優れたプローブピン用材料となる。
Claims (3)
- Pd33〜42質量%、Cu18〜32質量%、In0.5〜2質量%およびRe0.05〜2質量%、残部にAgと不可避不純物を含み、スェージング加工を施して結晶を微細化し、さらに溶体化処理、塑性加工と析出硬化処理を施して硬さが400HV以上であることを特徴とするプローブピン用合金材。
- 請求項1のAg−Pd−Cu−In−Re合金に、さらに用途により特性を改善する添加元素としてAu、Ni、Pt、Sn、Zn、Bのうち1種以上4種以下を最大で合計10質量%まで添加し、各添加元素の添加許容量としてAuは0.1〜10質量%、Au以外の添加元素は0.1〜2.0質量%含むことを特徴とするプローブピン用合金材。
- 請求項1または請求項2のプローブピン用合金材の製造において、鋳造後に断面減少率で21%以上、望ましくは断面減少率40%以上でスェージング加工を施して結晶を微細化して加工性を向上させ、さらに溶体化処理、塑性加工と析出硬化処理を施すことで硬さが400HV以上とすることを特徴とするプローブピン用合金材の製造方法。
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