JP6850151B2 - 冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物及びこれを用いた冷媒輸送ホース - Google Patents

冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物及びこれを用いた冷媒輸送ホース Download PDF

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Description

本発明は、冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物及びこれを用いた冷媒輸送ホースに関する。
カーエアコン等に用いられる冷媒輸送ホースは、一般に、内側から順に、ポリアミド樹脂組成物層(バリア層)、ゴム層、補強糸層及びゴム層が積層された構造を有する。近年では、ポリアミド樹脂組成物層に、ポリオレフィン系エラストマーを添加することにより、耐衝撃性能を向上させることが行われている。また、冷媒バリア性などを改善するため、フェノール系酸化防止剤や硫黄系酸化防止剤などを添加したホース用ポリアミド樹脂組成物が知られている。
特開平4−298344号公報
冷媒輸送ホースには、これが用いられるカーエアコン等の機器の長寿命化のため耐久性の更なる向上が求められている。また、ポリアミド樹脂組成物を加工してホースを作製する際にはポリアミド樹脂組成物が加工性に優れることが求められる。
したがって、本発明の目的は、耐久性が高く、加工性に優れる冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物、及びこれを用いた冷媒輸送ホースを提供することにある。
上記目的は、(A)ポリアミド、(B)ポリオレフィン系エラストマー、及び(C)オルガノポリシロキサン及びオルガノポリシランからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物、を含み、(C)ケイ素含有化合物の含有量が、(A)ポリアミド及び(B)ポリオレフィン系エラストマーの合計量100質量部に対して0.5〜5質量部であり、(A)ポリアミドと(B)ポリオレフィン系エラストマーとの合計100質量部に対する(B)ポリオレフィン系エラストマーの含有量が10〜40質量部であることを特徴とする冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物により達成される。
冷媒輸送ホース内には輸送される冷媒の他に潤滑油が流れることが通常であるが、潤滑油には微量の水分が存在し、この水分自体や添加剤(特に潤滑油に含まれる極圧剤)の加水分解により発生した酸が原因でポリアミド樹脂組成物層が劣化することが考えられた。上記構成によれば、オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノポリシランを配合することにより、水分がポリアミド樹脂組成物層に浸入する速度が低下するので、ポリアミドの加水分解や酸による劣化を抑制することが可能となる。また、上記の範囲の含有量であれば加工性に優れるポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の好ましい態様は以下のとおりである。
(1)(C)ケイ素含有化合物は、(A)ポリアミドの融点以下の融点を有するポリマーのマスターバッチとして含まれている。
(2)(C)ケイ素含有化合物は、(A)ポリアミドの融点以下の融点を有するポリマーにグラフト結合している状態で含まれている。
(3)(C)ケイ素含有化合物は、ポリメチルフェニルシランである。
(4)(B)ポリオレフィン系エラストマーの少なくとも一部が酸変性されている。
また、上記目的は、本発明の冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物を用いて形成されたバリア層を有する冷媒輸送ホースによっても達成される。
本発明のポリアミド樹脂組成物を用いれば、耐久性に優れる冷媒輸送ホースを高い生産性で製造することができる。
本発明の冷媒輸送ホースの一例を示す模式的な斜視図である。
本発明は、(A)ポリアミド、(B)ポリオレフィン系エラストマー、(C)オルガノポリシロキサン及びオルガノポリシランからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物を含むポリアミド樹脂組成物と、当該ポリアミド樹脂組成物を用いて製造したホースに関するものである。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<(A)ポリアミド>
本発明で用いられるポリアミドは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。これらの構成成分の具体例を挙げるとε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、ビス−p−アミノシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミンなどのジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ゼバシン酸、ドデカン2酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸がある。これらの構成成分は単独あるいは2種以上の混合物の形で重合に供され、得られるポリアミド樹脂はホモポリマー、コポリマーのいずれであっても良い。
特に本発明で有効に用いられる(A)ポリアミドとしては、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(ナイロン66/6T)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6/66)が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。特に、ナイロン6が好ましい。
ポリアミドの重合度については特に制限はなく、1質量%濃度の硫酸溶液の25℃における相対粘度(以下、単に「相対粘度」と称す場合がある。)が1.5〜5.0の範囲内にあるものを任意に用いることができる。また、(A)ポリアミドは、その末端基がモノカルボン酸化合物および/またはジカルボン酸化合物あるいはモノアミン化合物および/またはジアミン化合物の1種以上を任意の段階でポリアミドに添加することにより末端基濃度が調節されていてもよい。
<(B)ポリオレフィン系エラストマー>
本発明のポリアミド樹脂組成物には、(B)ポリオレフィン系エラストマーを配合する。(B)ポリオレフィン系エラストマーの配合により、このポリアミド樹脂組成物で構成されるガスバリア層の柔軟性、耐久性を付与することができる。
(B)ポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・ブテン共重合体、EPR(エチレン−プロピレン共重合体)、変性エチレン・ブテン共重合体、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、変性EEA、変性EPR、変性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、アイオノマー、α−オレフィン共重合体、変性IR(イソプレンゴム)、変性SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、ハロゲン化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸変性体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びその酸変性物、及びそれらを主成分とする混合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(B)ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に、無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル、エポキシ及びその変性体などで変性したものが、ポリアミドをベースポリマーとする微細なアロイ構造を得ることができ、好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物中の(B)ポリオレフィン系エラストマー含有量は、少な過ぎると(B)ポリオレフィン系エラストマーを配合したことによる柔軟性、耐久性の改善効果を十分に得ることができず、多過ぎるとガスバリア性が低下するため、(A)ポリアミドと(B)ポリオレフィン系エラストマーとの合計100質量部に対し、(B)ポリオレフィン系エラストマーの含有量を10〜40質量部、より好ましくは20〜40質量部とする。ポリアミド樹脂組成物中の(B)ポリオレフィン系エラストマーの含有量が多過ぎると、後述の海島構造において海相と島相とが逆転し、ガスバリア性が著しく低下するため、好ましくない。
なお、(B)ポリオレフィン系エラストマーとして酸変性エラストマー等の変性エラストマーを用いた場合、混練り(分散)時に少ない比エネルギー及び高い混練り技術を必要としないという効果が得られるが、その配合量が多いと樹脂のゲル化を引き起こし、押出し時、肌荒れ等の外観不良(フィッシュアイ)を引き起こすため、(B)ポリオレフィン系エラストマーとして変性エラストマーを用いる場合、ポリアミド樹脂組成物中の変性エラストマーの含有量は20質量%以下、例えば5〜20質量%とすることが好ましい。
特に、本発明では、ポリアミド樹脂組成物中の(B)ポリオレフィン系エラストマーのうちの40〜100質量%を酸変性エラストマーとしたものが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物と(B)ポリオレフィン系エラストマーとを相溶状態、即ち、良好な分散状態とするために、エラストマーの少なくとも一部が無水マレイン酸等により変性されていることが好ましく、良好な分散形態を得るために用いるエラストマーの全体の平均の酸価(酸変性率)は0.8mg−CHONa/g以上であることが好ましく、その上限は特に限定されないが、好ましくは30mg−CHONa/g以下、より好ましくは15mg−CHONa/g以下である。
エラストマーの酸価は高いほど、分散形態は良好となるが、酸価の増大に伴って得られるポリアミド樹脂組成物の粘度が増大し、成形加工性が損なわれる。このため、この酸価の増大による粘度増加を低減するために、エラストマーの酸価は、良好な分散状態が得られる範囲において低い方が好ましく、用いるエラストマーの全体での平均酸価は7.5mg−CHONa/g以下であることが好ましい。
また、同じ平均酸価であっても、用いるエラストマー中に含まれる変性エラストマーの酸価が高い場合、このような変性エラストマーを未変性エラストマーと混合することにより、平均酸価を下げても、押し出し時に局部的な過反応によると思われるゲル状の異物が発生してしまう。従って、用いる変性エラストマーの酸価は、30mg−CHONa/g以下が好ましく、より好ましくは15.0mg−CHONa/g以下である。
このようにポリアミド樹脂組成物に(B)ポリオレフィン系エラストマーを配合することにより、柔軟性、耐久性は改善されるものの、ガスバリア性の低下は避けられない。しかしながら、ポリアミドとエラストマーとの微細なアロイ構造をとることにより、特に、ポリアミドの海相内にエラストマーの島相が分散すると共に、このエラストマーの島相内にポリアミドが散点状に分散した構造であることにより、エラストマーを配合したことによるガスバリア性の低下を抑制することができ、好ましい。
<(C)ケイ素含有化合物>
上述したように、ケイ素含有化合物はオルガノポリシロキサン及び/又はオルガノポリシランである。オルガノポリシロキサンとオルガノポリシランは両方含まれていてもよい。本発明におけるオルガノポリシロキサンは、下記繰り返し単位(1)を有するポリマーであることが好ましい。
Figure 0006850151
(式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、好ましくは脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素基、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、特に好ましくはメチル基である。)
線状構造のオルガノポリシロキサンだけでなく、環状構造を有するオルガノポリシロキサン、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサンも好適に使用することができる。
本発明におけるオルガノポリシランは、下記繰り返し単位(2)を有する有機ポリマーであることが好ましい。
Figure 0006850151
(式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して炭化水素基である。Rは、好ましくは芳香族炭化水素基、より好ましくは炭素原子数5〜10の芳香族炭化水素基、更に好ましくは置換又は非置換のフェニル基、特に好ましくは非置換のフェニル基である。Rは好ましくは脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素原子数1〜8の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは炭素原子数1〜5の脂肪族炭化水素基、特に好ましくは炭素原子数1〜3の脂肪族炭化水素基、極めて好ましくはメチル基又はエチル基、最も好ましくはメチル基である。)
(C)ケイ素含有化合物は、本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド(A)の融点以下の融点を有するポリマー(以下、「ポリマーP」とも称する。)のマスターバッチとして本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれていることが好ましい。これにより、(A)ポリアミド及び(B)ポリオレフィンエラストマーにケイ素含有化合物を良好に分散させることが可能となる。マスターバッチ中におけるケイ素含有化合物の含有量は特に限定されないが例えばマスターバッチの質量を基準として40〜70質量%である。
(C)ケイ素含有化合物は、本発明の組成物に含まれるポリアミド(A)の融点以下の融点を有するポリマー(ポリマーP)の分子鎖にグラフト結合している形で本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれていてもよい。ケイ素含有化合物がポリマーPの分子鎖にグラフト結合している場合、長期使用の間のケイ素含有化合物のブリードアウトを抑制できるため、ケイ素含有化合物による効果を長期に亘って維持することができる。したがって、「ケイ素含有化合物を含む」の「含む」とは、化学的結合を介さずにそのまま含まれている場合と、ポリマーPに化学的結合している状態で含まれている場合の両方を含む。
ケイ素含有化合物をポリマーPにグラフト結合させる方法としては、例えば、ポリマーPに、片末端変性(片末端反応性)ケイ素含有化合物を反応させることで製造することができる。片末端変性(片末端反応性)ケイ素含有化合物としては、オルガノポリシロキサン又はオルガノポリシランの一方の末端に反応性基を導入したものが挙げられ、反応性基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、アミノアルキル基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジルオキシアルキル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」と「メタクリロイル基」とを指す。
片末端変性(片末端反応性)オルガノポリシロキサン又はオルガノポリシランとしては、下記式(3)又は(4):
Figure 0006850151
Figure 0006850151
で表わされるオルガノポリシロキサン又はオルガノポリシランが好ましい。式(3)及び(4)中、Aは反応性基であり、Rは炭化水素基であり、nはジメチルシロキサン部分又はジメチルシラン部分の繰り返し数で、1以上の数である。ここで、式(3)及び式(4)中のAとしては、ヒドロキシル基、アミノ基、アミノアルキル基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジルオキシアルキル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基等が挙げられ、Rとしては、アルキル基、アリール基等が好ましい。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
オルガノポリシロキサン又はオルガノポリシランがポリマーPの分子鎖にグラフト結合したグラフトポリマーを使用する場合、グラフトポリマー全体における(C)ケイ素含有化合物部分の含有率は、特に限定されるものではないが、グラフトポリマー全体の質量を基準として40〜80質量%の範囲が好ましく、この範囲であればより安定的に本発明の効果を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物における(C)ケイ素含有化合物の含有量は、(A)ポリアミド及び(B)ポリオレフィン系エラストマーの合計量100質量部に対して0.5〜5質量部、好ましくは0.5〜4質量部、より好ましくは1〜3.75質量部、特に好ましくは1.5〜3.6質量部、更に好ましくは1.8〜3質量部、最も好ましくは2〜3質量部である。0.5質量部未満である場合は、オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノポリシランによる効果が十分に得られない。5質量部を超える場合は加工性が低下する。なお、(C)ケイ素含有化合物の含有量とは、ケイ素含有化合物が化学的結合を介さずにポリアミド樹脂組成物に含まれている場合は、そのケイ素含有化合物の量自体のことをいい、(C)ケイ素含有化合物がポリマーPへの化学的結合を介してポリアミド樹脂組成物に含まれている場合は、ポリマーPの分子鎖にグラフト結合しているケイ素含有化合物部分の含有量を指す。
上記のマスターバッチ及びグラフトポリマーに使用するポリマーP(即ち、本発明の組成物に含まれるポリアミド(A)の融点以下の融点を有するポリマー)としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)やポリアミドなどを使用することができる。特に、低分子量ポリエチレン(LDPE)及びポリアミド(特にナイロン6)が好ましい。本発明のポリアミド樹脂組成物において海相となる成分(A)としてのポリアミドに分散しやすく、(C)ケイ素含有化合物の効果が発揮しやすい点でポリアミドをポリマーPとして使用することが特に好ましい。
<その他の成分>
本発明のポリアミド樹脂組成物は酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、セミヒンダードフェノール、レスヒンダードフェノール、ヒンダードフェノール、フェノールアクリレート、ビスフェノールなどの多様なフェノール系化合物や、チオエーテル化合物、メルカプトベンズイミダゾール化合物、ジチオカルバミン酸化合物、チオウレア化合物などの硫黄系酸化防止剤を使用することができる。酸化防止剤の添加量は、成分(A)、(B)の合計100質量部に対して3.0質量部以下が好ましく、より好ましくは0.3質量部〜1質量部、特に好ましくは0.4質量部〜0.8質量部である。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は金属不活性化剤を含んでいてもよい。金属不活性化剤としては、ヒンダードフェノール構造を有するフェノール系化合物を使用することができる。金属不活性化剤の含有量は、(A)ポリアミドと(B)ポリオレフィン系エラストマーとの合計100質量部に対して通常0.01質量部〜1.5質量部、好ましくは0.05質量部〜1質量部、さらに好ましくは0.05質量部〜0.5質量部である。
<その他の成分>
本発明のポリアミド樹脂組成物には、他の添加剤、すなわち、酸化防止剤、金属不活性化剤、滑剤、帯電防止剤、受酸剤、(A)及び(B)以外の他の樹脂成分、着色剤、老化防止剤、結晶核剤、充填剤、補強材、耐熱剤、耐光剤、などを1種以上添加することもできる。
本発明の組成物を用いたホースとその製造方法も特に限定されないが、以下に一例を説明する。
<ホース及びその製造方法>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、バリア性や耐久性などに優れるため、液体、ガスなど多様な物質の冷媒輸送用のホースのガスバリア層として適しており、ガスバリア層に1層以上の他の層が積層された複層構造の冷媒輸送ホースに特に適している。
図1の符号1はホースの具体例を示している。このホース1は冷媒輸送ホースであって、その製造方法は特に限定されないが、一般的には、本発明のポリアミド樹脂組成物を溶融させ、その溶融物をマンドレル(管型)上に押し出してバリア層2を形成する。
バリア層2の膜厚は、バリア性を考慮すると厚い方が好ましいが、膜厚が厚すぎると柔軟性が低下する。従って、バリア層2の膜厚は50μm〜400μmが好ましく、より好ましくは150μm〜350μmである。
複層構造とする場合は、一般に、バリア層2の上に、ゴム層3、5、7と、補強糸層4、6のいずれか1以上を積層するが、バリア層2の内側にもゴム層を設けることも可能である。ここでは、バリア層2の外周上に、内側ゴム層3、第1補強糸層4、中間ゴム層5、第2の補強糸層6、外側ゴム層7を記載した順番に形成している。
補強糸層4、6は特に限定されず、通常用いられる補強糸を用いることが可能である。一般的には、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、ナイロン、ビニロン、レーヨン、アラミド、ポリ有レート、ポリエチレンナフタレート及びこれらの混撚り糸が用いられ、これら補強糸をスパイラル状に巻き溶けて形成する。
補強糸層4、6の層数は2層に限定されず、1層でもよいし、3層以上でもよいが、補強糸層4、6を複数層設ける場合は、スパイラルの向きを隣接する他の補強糸層4、6と逆方向とすることが好ましい。
ゴム層3、5、7を構成するゴムとしては、一般にブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(C1−IIR)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、イソブチレン−ブロモパラメチルスチレン共重合体、EPR(エチレン−プロピレン共重合体)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、水素添加NBR、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)、これらのゴムの2種以上のブレンド物、或いは、これらのゴムを主成分とするポリマーとのブレンド物、好ましくはブチル系ゴム、EPDM系ゴムが用いられる。これらのゴムには、通常用いられる充填剤、加工助剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等の配合処方を適用できる。
これらゴム層3、5、7に用いるゴム種は同種であっても、異種であってもよいが、中間ゴム層5には内側ゴム層3及び外側ゴム層7と接触性の良いゴムを用いることが好ましい。
内層ゴム層3の厚さは、柔軟性の面から0.5〜4mm程度とするのが好ましい。中間ゴム層5の厚さは0.1〜0.6mm程度、外側ゴム層7の厚さは0.5〜2mm程度とするのが好ましい。
これらのゴム層3、5、7は接着剤を介してバリア層2上に接着してもよいし、溶融ゴムを積層後、140℃〜170℃で30分〜120分間程度加硫して形成してもよいが、いずれの場合もバリア層2から添加剤成分が溶出(ブリードアウト)すると、接着の反応活性が低下して接着阻害が生じるおそれがあり、また、バリア層2と隣接する内側ゴム層3との界面剥離の原因にもなる。
冷媒輸送ホース内には輸送される冷媒の他に潤滑油が流れることが通常であるが、潤滑油には微量の水分が存在し、この水分自体や添加剤(特に潤滑油に含まれる極圧剤)の加水分解により発生した酸が原因でポリアミド樹脂組成物の層が劣化するものと考えられた。本発明によれば、オルガノポリシロキサン及び/又はオルガノポリシランを配合することにより、水分がポリアミド樹脂組成物層に浸入する速度が低下するので、ポリアミドの加水分解や酸による劣化を抑制することが可能となる。また、上述した範囲の含有量であれば加工性に優れるポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
(1)シートの作製
下記表に示す配合で、ナイロン樹脂、エラストマー及び添加剤を、東洋精機製作所製の二軸混練機を用いて溶融混練を行い、樹脂ペレットを得た。その後、東洋精機製作所製のTダイ成形機を用い、厚さ0.35mmの樹脂シートを得た。この樹脂シートを用い、以下の評価試験を行った。
(2)評価
(2−1)接触角
製膜したシートを用い、接触角計(協和界面化学株式会社製DM−501)を用いて、水に対する接触角を測定した。
(2−2)引張破断伸度、及び耐油老化後伸度保持率
上記の樹脂シートを、引張試験用のダンベル片に打ち抜き、水分量を2000ppmに調製したオイル(ダフニーハーメチックオイルSP−A2:出光興産株式会社製)を47g耐圧容器に入れ、ダンベル片を投入した。この耐圧容器を、−30℃に設定された冷凍オーブン内で30分間冷却した後、5分間真空引きを行った。常温に戻した耐圧容器を、150℃に設定したオーブンに投入し、168h経過するまで、オーブン内に設置した。評価は168h経過後のサンプルを引張速度100mm/minの速度で破断試験を行い、引張破断伸度を測定した。老化前の引張破断伸度も測定し、老化前の同試験項目を100%として劣化率(耐油老化後伸度保持率)として表した。
(2−3)加工性
上記シートの作成時において、フィーダーに粉末状のポリシランが付着して、ペレット状のポリマーが詰まるなど加工性が悪かったものを×とし、加工性が軽度に悪かったものを△とし、良好なものを○とし、全く支障がなかったものを◎とした。
Figure 0006850151

Figure 0006850151
上記表1及び2に記載した材料は下記の通りである。
ポリアミド:ナイロン6
エラストマー:三井化学社製のタフマー1050S(未変性エチレン・ブテン共重合体)及びタフマー7010(マレイン酸変性α‐オレフィンポリマー(エチレン−ブテン共重合体))
酸化防止剤:アデカ社製のアデカスタブAO−80(セミヒンダードフェノール)、アデカスタブAO−412S(硫黄系酸化防止剤)
金属不活性化剤:アデカ社製のアデカスタブCDA−10(ヒンダードフェノール型)
ポリシロキサンマスターバッチ(1):東レ・ダウコーニング社製、商品名「MB50−011」、超高分子量オルガノポリシロキサンポリマーとナイロン6との混練物、バスターバッチ中のシロキンポリマーの割合=50質量%
ポリシロキサンマスターバッチ(2):東レ・ダウコーニング社製、商品名「BY27−202」、超高分子量オルガノポリシロキサンポリマーとLDPEとの混練物、バスターバッチ中のシロキンポリマーの割合=50質量%
ポリシロキサングラフト化ポリマー:東レ・ダウコーニング社製、商品名「BY27−202H」、オルガノシロキサンポリマーがLDPEにグラフト結合しているグラフトポリマー、グラフトポリマー中のオルガノシロキサンポリマーの割合=60質量%
ポリシラン:大阪ガスケミカル社製オグソールSI−10−10(ポリメチルフェニルシラン、数平均分子量M2100、重量平均分子量M12700)、
ポリシラン:大阪ガスケミカル社製オグソールSI−10−20(ポリメチルフェニルシラン、数平均分子量M1100、重量平均分子量M1800)
1…ホース
2…バリア層
3、5、7…ゴム層
4、6…補強糸層

Claims (6)

  1. (A)ポリアミド、
    (B)ポリオレフィン系エラストマー、及び
    (C)オルガノポリシロキサン及びオルガノポリシランからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物、
    を含み、(C)ケイ素含有化合物の含有量が、(A)ポリアミド及び(B)ポリオレフィン系エラストマーの合計量100質量部に対して0.5〜5質量部であり、
    (A)ポリアミドと(B)ポリオレフィン系エラストマーとの合計100質量部に対する(B)ポリオレフィン系エラストマーの含有量が10〜40質量部であることを特徴とする冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物。
  2. (C)ケイ素含有化合物は、(A)ポリアミドの融点以下の融点を有するポリマーのマスターバッチとして含まれている、請求項1に記載の冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物。
  3. (C)ケイ素含有化合物は、(A)ポリアミドの融点以下の融点を有するポリマーにグラフト結合している状態で含まれている、請求項1に記載の冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物。
  4. (C)ケイ素含有化合物は、ポリメチルフェニルシランである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物。
  5. (B)ポリオレフィン系エラストマーの少なくとも一部が酸変性されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の冷媒輸送ホース用ポリアミド樹脂組成物を用いて形成されたバリア層を有する冷媒輸送ホース。
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