図1は通信システム1の一例を示す図である。通信システム1は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)で使用されるシステムである。具体的には、通信システム1は、ITSの安全運転支援通信システムである。安全運転支援通信システムは、安全運転支援システムと呼ばれたり、安全運転支援無線システムと呼ばれたりする。
通信システム1は、複数種類の情報処理装置を備える。複数種類の情報処理装置には、携帯型の電子機器10と、路側機5と、車両6に搭載された、車載用の電子機器60とが含まれる。なお図1には、1つの路側機5しか示されていないが、通信システム1は、複数の路側機5を備える。以後、携帯型の電子機器10を「携帯機器10」と呼ぶことがある。また、車載用の電子機器60を「車載機器60」と呼ぶことがある。車載機器60は、車両6内の電子機器であると言える。
通信システム1では、図1に示されるように、交差点2等に配置されている路側機5と、車道7を走る自動車等の車両6と、歩行者9が持つ携帯機器10とが、互いに無線通信を行うことが可能である。また、複数の路側機5は、互いに無線通信を行うことが可能である。また、複数の車両6は、互いに無線通信を行うことが可能である。路側機5と車両6との間の通信、路側機5間の通信、車両6間の通信、路側機5と歩行者9の携帯機器10との間の通信、歩行者9の携帯機器10と車両6の間の通信は、それぞれ、路車間通信、路路間通信、車車間通信、路歩間通信、歩車間通信と呼ばれる。なお、複数の路側機5は互いに有線通信を行ってもよい。
携帯機器10は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機である。携帯機器10は、自身が備える加速度センサーでの検出結果等に基づいて、当該電子機器10のユーザの状態を特定することが可能である。例えば、携帯機器10は、ユーザが停止しているのか否か、ユーザが移動しているのか否かを特定することができる。また、携帯機器10は、ユーザが移動している場合には、その移動手段を特定することができる。例えば、携帯機器10は、ユーザが、徒歩で移動しているのか、自転車で移動しているのか、自動車で移動しているのか等を特定することができる。携帯機器10は、特定したユーザの状態に関する情報などを路側機5等に通知することが可能である。
なお携帯機器10は、携帯電話機以外の電子機器であってもよい。携帯機器10は、例えば、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブル機器などであってよい。携帯機器10として採用されるウェアラブル機器は、リストバンド型あるいは腕時計型などの腕に装着するタイプであってもよいし、ヘッドバンド型あるいはメガネ型などの頭に装着するタイプであってもよいし、服型などの体に装着するタイプであってもよい。
路側機5は、例えば信号機4を制御することが可能である。また路側機5は、信号機4の点灯に関する情報及び道路規制に関する情報などを、車両6、携帯機器10及び他の路側機5に通知することが可能である。また、路側機5は、その近くの車両6及び歩行者9を検知することが可能である。交差点2に配置された路側機5は、例えば、横断歩道3を渡る歩行者9を検知することが可能である。そして、路側機5は、検知した車両6及び歩行者9に関する情報を、車両6、携帯機器10及び他の路側機5に通知することが可能である。また、路側機5は、車両6、携帯機器10及び他の路側機5から通知される情報を、他の車両6、他の携帯機器10及びさらに別の路側機5に通知することが可能である。
車両6は、当該車両6に関する車両情報を、当該車両6に搭載されている車載機器60から、他の車両6、路側機5及び携帯機器10に対して通知することが可能である。車両6は車両情報を例えば定期的に送信している。車両情報には、例えば、車両6の識別情報、車両6の種類を示す種別情報、車両6の位置情報、車両6の速度情報及び車両6のウィンカーに関する情報などが含まれる。また車両6は、当該車両6に搭載されている車載機器60によって、路側機5等から通知される各種情報を受け取ることができる。また車両6は、自己の車両情報と、路側機5等から通知される情報とに基づいて、警告等の各種通知を運転者に行うことによって、運転者の安全運転を支援することが可能である。車両6は、当該車両6に搭載されている車載機器60によって、運転者に各種通知を行うことが可能である。例えば、車両6は、交差点2を右折する際に、前方から他の車両6が近づいてきていることを運転者に通知したり、右折先の横断歩道3に歩行者9が存在することを通知したりすることができる。
このように、通信システム1では、路車間通信、路路間通信、車車間通信、路歩間通信及び歩車間通信が行われることによって、車両6の運転者の安全運転が支援される。
なお図1の例では、車両6として、自動車の車両が示されているが、車両6は、自動車以外の車両であってもよい。例えば、車両6は、自動二輪車の車両であってもよいし、バスの車両であってもよいし、路面電車の車両であってもよいし、自転車の車両であってもよい。
以下では、図1に示されるように、路側機5が交差点2に配置されているものとして通信システム1を説明するが、路側機5は交差点2以外の道路に配置されてもよい。
<路側機の構成例>
図2は路側機5の構成の一例を示す図である。図2に示されるように、路側機5は、例えば、制御部500、通信部510、カメラ520及びセンサー530を備える。
制御部500は、路側機5の他の構成要素を制御することによって、路側機5の動作を統括的に管理することが可能である。制御部500は制御装置あるいは制御回路とも言える。制御部500は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、または複数の通信可能に接続された集積回路IC及び/またはディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された1以上の回路またはユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続きまたは処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイス及び構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
本例では、制御部500は、CPU(Central Processing Unit)501、DSP(Digital Signal Processor)502及び記憶部503を備える。記憶部503は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの、CPU501及びDSP502が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部503が有するROMは、例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROM(フラッシュメモリ)である。記憶部503には、路側機5を制御するための複数の制御プログラム503a等が記憶されている。制御部500の各種機能は、CPU501及びDSP502が記憶部503内の各種制御プログラム503aを実行することによって実現される。
なお制御部500は、複数のCPU501を備えてもよい。また制御部500は、DSP502を備えなくてもよいし、複数のDSP502を備えてもよい。また、制御部500の全ての機能あるいは制御部500の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。
記憶部503は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。記憶部503は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)などを備えてもよい。記憶部503内の少なくとも一つの制御プログラム503aは、記憶部503内にあらかじめ記憶されているものであってよい。また、記憶部503内の少なくとも一つの制御プログラム503aは、路側機5が他の装置からダウンロードして記憶部503内に記憶したものであってよい。
通信部510は、アンテナ511を有している。アンテナ511は、一つのアンテナ素子で構成されてもよいし、複数のアンテナ素子で構成されてもよい。複数のアンテナ素子で構成されたアンテナとしては、例えばアレイアンテナが存在する。通信部510は通信回路とも言える。路側機5の通信部510は、アンテナ511を使用して、車両6の車載機器60、携帯機器10及び他の路側機5と無線通信することが可能である。通信部510は、例えば、ITSに割り当てられている700MHz帯を使用して無線通信を行うことが可能である。以後、ITSに割り当てられている700MHz帯を使用した無線通信を「700MHz帯通信」と呼ぶことがある。
通信部510は、アンテナ511で受信した信号に対して増幅処理等の各種処理を行い、処理後の受信信号を制御部500に出力する。制御部500は、入力される受信信号に対して各種処理を行って、当該受信信号に含まれる情報を取得する。また、制御部500は、情報を含む送信信号を通信部510に出力する。通信部510は、入力される送信信号に対して増幅処理等の各種処理を行って、処理後の送信信号をアンテナ511から無線送信する。
なお通信部510は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能であってもよい。この場合には、通信部510は、基地局を通じて、インターネットに接続された機器(例えば、携帯電話機及びウェブサーバ等)と通信することが可能である。また通信部510は、近距離無線通信を行うことが可能であってもよい。例えば、通信部510は、Bluetooth(登録商標)に準拠して無線通信することが可能であってもよい。また通信部510は、Wifi等の無線LAN(Local Area Network)を用いて無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部510は、他の無線通信方式に基づいて無線通信することが可能であってもよい。
カメラ520は、路側機5が設置された交差点2の様子を撮影することが可能である。カメラ520で生成された、交差点2の様子が写る画像は制御部500に入力される。カメラ520は、動画及び静止画を撮影することが可能である。
センサー530は、路側機5が設置された交差点2の状況を検知することが可能である。センサー530は、例えば、3Dレーザースキャナ及び赤外線センサー等を備えている。センサー530は、例えば、交差点2に存在する歩行者9と、交差点2付近に存在する歩行者9とを検出することができる。例えば、センサー530は、横断歩道3を渡る歩行者9を検知することが可能である。またセンサー530は、交差点2で接続された複数の車道7のそれぞれについて、当該車道7上の車両6を検知することが可能である。センサー530は、検知結果を制御部500に出力する。制御部500は、センサー530からの検知結果等に基づいて、車両6等に送信すべき情報を生成する。センサー530の構成は上記の限りではない。
路側機5は、図3に示されるように、少なくとも一つの表示部540を備えてもよい。表示部540は、図4に示されるように、例えば車道7の上方に配置される。これにより、車道7を走行する車両6の運転者は、表示部540で表示される情報を視認することができる。図4には、路側機5が備える2つの表示部540が示されている。表示部540は、道路情報板、情報板、電光掲示板、道路情報掲示板あるいは道路情報表示装置などと呼ばれることがある。表示部540は、発光体として、例えば発光ダイオードを備えている。
<車載機器の構成例>
図5は車載機器60の構成の一例を示す図である。車載機器60は、例えば、カーナビゲーション装置と、ラジオ等を含む音響機器とが一体化された電子機器である。車載機器60は、音響機器とは別体のカーナビゲーション装置であってもよいし、カーナビゲーション装置とは別体の音響機器であってもよい。また、車載機器60は、車両6のライト及び方向指示器等を制御する車両制御機能を有してもよい。
図5に示されるように、車載機器60は、例えば、制御部600、通信部610、表示部620、タッチパネル630、操作ボタン群640及び衛星信号受信部650を備える。さらに車載機器60は、スピーカ660、マイク670、加速度センサー680、地磁気センサー690及びジャイロセンサ700を備える。
以後、車載機器60の動作を説明する場合に車両6と言えば、特に断らない限り、当該車載機器60が搭載されている車両6を意味する。また、車載機器60の動作を説明する場合に自車両6と言えば、当該車載機器60が搭載されている車両6を意味する。また、車載機器60の動作を説明する場合に運転者と言えば、特に断らない限り、当該車載機器60が搭載されている車両6の運転者を意味する。
制御部600は、車載機器60の他の構成要素を制御することによって、車載機器60の動作を統括的に管理することが可能である。制御部600は制御装置あるいは制御回路とも言える。制御部600は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。なお、制御部600が備える少なくとも一つのプロセッサの構成については、路側機5の制御部500が備える少なくとも一つのプロセッサの上述の構成と同様であるため、その説明は省略する。
本例では、制御部600は、CPU601、DSP602及び記憶部603を備える。記憶部603は、携帯機器10の記憶部503と同様に、ROM及びRAMなどの、CPU601及びDSP602が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部603には、車載機器60を制御するための複数の制御プログラム603a等が記憶されている。制御部600の各種機能は、CPU601及びDSP602が記憶部603内の各種制御プログラム603aを実行することによって実現される。
なお、路側機5の制御部500と同様に、制御部600は、複数のCPU601を備えてもよいし、DSP602を備えなくてもよいし、複数のDSP602を備えてもよい。また、制御部600の全ての機能あるいは制御部600の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、路側機5の記憶部503と同様に、記憶部603は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えてもよい。また、記憶部603内の少なくとも一つの制御プログラム603aは、記憶部603内にあらかじめ記憶されているものであってよい。また、記憶部603内の少なくとも一つの制御プログラム603aは、車載機器60が他の装置からダウンロードして記憶部603内に記憶したものであってよい。
通信部610は、アンテナ611を有している。アンテナ611は、一つのアンテナ素子で構成されてもよいし、複数のアンテナ素子で構成されてもよい。通信部610は通信回路とも言える。通信部610は、アンテナ611を使用して、路側機5、他の車両6の車載機器60及び携帯機器10と無線通信することが可能である。通信部610は例えば700MHz帯通信を行う。
通信部610は、アンテナ611で受信した信号に対して増幅処理等の各種処理を行い、処理後の受信信号を制御部600に出力する。制御部600は、入力される受信信号に対して各種処理を行って、当該受信信号に含まれる情報を取得する。また、制御部600は、情報を含む送信信号を通信部610に出力する。通信部610は、入力される送信信号に対して増幅処理等の各種処理を行って、処理後の送信信号をアンテナ611から無線送信する。
なお通信部610は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能であってもよい。この場合には、通信部610は、基地局を通じて、インターネットに接続された機器と通信することが可能である。また通信部610は、近距離無線通信を行うことが可能であってもよい。例えば、通信部610は、Bluetoothに準拠して無線通信することが可能であってもよい。また通信部610は、無線LANを用いて無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部610は、他の無線通信方式に基づいて無線通信することが可能であってもよい。
表示部620は、例えば、液晶表示パネルあるいは有機ELパネルを備えている。表示部620は、制御部600によって制御されることによって、文字、記号、図形などの各種情報を表示することが可能である。
タッチパネル630は、表示部620の表示画面に対する指等の操作子による操作を検出することが可能である。タッチパネル630は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルである。車載機器60のユーザが指等の操作子によって、表示部620の表示画面に対して操作を行ったとき、その操作に応じた電気信号をタッチパネル630は制御部600に入力することが可能である。制御部600は、タッチパネル630からの電気信号に基づいて、表示画面に対して行われた操作の内容を特定することが可能である。そして制御部600は、特定した操作内容に応じた処理を行うことが可能である。
操作ボタン群640は、複数の操作ボタンを備える。操作ボタン群640の各操作ボタンは、例えばハードウェアボタンである。各操作ボタンは、ユーザによって操作されると、操作されたことを示す操作信号を制御部600に出力することが可能である。これにより、制御部600は、各操作ボタンについて、当該操作ボタンが操作されたか否かを判断することができる。操作信号が入力された制御部600が他の構成要素を制御することによって、車載機器60では、操作された操作ボタンに割り当てられている機能が実行される。
衛星信号受信部650は、測位衛星が送信する衛星信号を受信することが可能である。そして、衛星信号受信部650は、受信した衛星信号に基づいて、車両6の位置を示す位置情報を取得することが可能である。衛星信号受信部650が取得する位置情報には、例えば、車両6の位置を示す緯度経度が含まれる。以後、衛星信号受信部650を単に受信部650と呼ぶことがある。
受信部650は、例えばGPS受信機であって、GPSの測位衛星からの無線信号を受信することが可能である。受信部650は、受信した無線信号に基づいて車両6の現在位置を例えば緯度経度で算出し、算出した緯度経度を含む位置情報を制御部600に出力する。
なお受信部650は、GPS以外のGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの信号に基づいて車両6の位置情報を求めてもよい。例えば、受信部650は、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、COMPASS、Galileoあるいは準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellites System)の測位衛星からの信号に基づいて車両6の位置情報を求めてもよい。
スピーカ660は、例えばダイナミックスピーカである。スピーカ660は、制御部600からの電気的な音信号を音に変換し、それによって得られた音を車載機器60の外部に出力することが可能である。
マイク670は、車載機器60の外部の音を検出することが可能である。マイク670は、検出した音を電気的な音信号に変換して制御部600に出力することが可能である。
加速度センサー680は、車載機器60の加速度を検出することが可能である。言い換えれば、加速度センサー680は、車両6の加速度を検出することが可能である。加速度センサー680は例えば3軸加速度センサーである。地磁気センサー690は、例えば3軸の地磁気センサーである。地磁気センサー690は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の磁場を検出することが可能である。ジャイロセンサ700は、例えば3軸ジャイロセンサである。ジャイロセンサ700は、x軸、y軸及びz軸のそれぞれの軸周りの角速度を検出することが可能である。制御部600は、加速度センサー680、地磁気センサー690及びジャイロセンサ700での検出結果に基づいて、車両6の進行方向等を特定することが可能である。また制御部600は、加速度センサー680、地磁気センサー690及びジャイロセンサ700での検出結果に基づいて、受信部650で取得される位置情報を補正することが可能である。
なお車載機器60は、加速度センサー680、地磁気センサー690及びジャイロセンサ700の少なくとも一つのセンサーを備えなくてもよい。この場合、車載機器60は、それとは別体の当該少なくとも一つのセンサーと、無線あるいは有線で接続されてよい。また車載機器60は、加速度センサー680、地磁気センサー690及びジャイロセンサ700以外のセンサーを備えてもよい。この場合、車載機器60は、それとは別体の、加速度センサー680、地磁気センサー690及びジャイロセンサ700以外のセンサーと、無線あるいは有線で接続されてもよい。
以上のような構成を備える車載機器60では、通信部610が、路側機5の通信部510が送信する情報を受信する。車載機器60では、制御部600が、受信部650、加速度センサー680、地磁気センサー690及びジャイロセンサ700で得られた各種情報等に基づいて、車両6に関する車両情報を生成する。車載機器60は、生成した車両情報及び路側機5からの情報等に基づいて、車両6の運転者に対して警告等の通知を行う。車載機器60は、表示部620及びスピーカ660等を用いて、車両6の運転者に対して警告等の通知を行うことができる。
<路側機の動作例>
図6は路側機5の動作の一例を説明するための図である。図6には、交差点2A〜2Dが示されている。交差点2A〜2Dのそれぞれでは、4つの車道7が接続されている。図6の例では、各車道7は、片側1車線の車道であって、第1車線7aと、第1車線7aの対向車線である第2車線7bとを備えている。
交差点2A〜2Dには、4つの路側機5がそれぞれ位置する。交差点2における路側機5の位置は図6の例に限られない。以後、交差点2Aに位置する路側機5、交差点2Bに位置する路側機5、交差点2Cに位置する路側機5及び交差点2Dに位置する路側機5を、それぞれ、路側機5A、路側機5B、路側機5C及び路側機5Dと呼ぶことがある。また、図を参照して通信システム1を説明する場合に、上側、下側、右側及び左側と言えば、図を見たときの上側、下側、右側及び左側をそれぞれ意味する。
交差点2A〜2Dのそれぞれには、4つの信号機4が位置する。具体的には、図6に示されるように、交差点2Aには、上側の信号機4A1と、下側の信号機4A2と、右側の信号機4A3と、左側の信号機4A4とが位置する。交差点2Bには、上側の信号機4B1と、下側の信号機4B2と、右側の信号機4B3と、左側の信号機4B4とが位置する。交差点2Cには、上側の信号機4C1と、下側の信号機4C2と、右側の信号機4C3と、左側の信号機4C4とが位置する。交差点2Dには、上側の信号機4D1と、下側の信号機4D2と、右側の信号機4D3と、左側の信号機4D4とが位置する。
図6の例では、赤色の発光体が点灯している信号機4では、赤色の発光体を示す丸印が黒く塗りつぶされている。また、青色の発光体が点灯している信号機4では、青色の発光体を示す丸印に斜線が示されている。以後、赤色の発光体が点灯している信号機4の状態を「赤信号状態」と呼ぶことがある。また、青色の発光体が点灯している信号機4の状態を「青信号状態」と呼ぶことがある。
図6の例では、信号機4A1,4A2,4B1,4B2,4C3,4C4,4D1,4D2が赤信号状態となっている。一方で、信号機4A3,4A4,4B3,4B4,4C1,4C2,4D3,4D4が青信号状態となっている。
本例では、特定の車両6が近づいてきている路側機5は、当該特定の車両6の予測経路200に基づいて、当該路側機5が存在する場所からの当該特定の車両6の行き先を特定することが可能である。そして、路側機5は、特定した行き先に存在する他の路側機5に対して第1情報110を送信することが可能である。特定の車両6は、例えば、救急車及び消防車などの緊急車両である。第1情報110には、例えば、特定の車両6に関する情報が含まれる。以後、特定の車両6を「特定車両6X」あるいは「緊急車両6X」と呼ぶことがある。
図6の例では、交差点2Aに対して緊急車両6Xが近づいてきている。つまり、交差点2Aに位置する路側機5Aに対して緊急車両6Xが近づいてきている。したがって、図6の例では、路側機5Aは、特定車両6Xの予測経路200に基づいて、路側機5Aが存在する場所、つまり交差点2Aからの緊急車両6Xの行き先を特定する。そして、路側機5Aは、特定した行き先に存在する他の路側機5に対して第1情報110を送信する。
ここで、図6の例では、路側機5A〜5Dのそれぞれは、上下方向及び左右方向の隣の路側機5と通信することは可能であるものの、その斜め方向の隣の路側機5とは通信することができない。具体的には、路側機5Aは、その右側に位置する路側機5Bと、その下側に位置する路側機5Cと通信することが可能であるものの、その右下側に位置する路側機5Dとは通信できない。また路側機5Bは、その左側に位置する路側機5Aと、その下側に位置する路側機5Dと通信することが可能であるものの、その左下側に位置する路側機5Cとは通信できない。また路側機5Cは、その右側に位置する路側機5Dと、その上側に位置する路側機5Aと通信することが可能であるものの、その右上側に位置する路側機5Bとは通信できない。そして路側機5Dは、その左側に位置する路側機5Cと、その上側に位置する路側機5Bと通信することが可能であるものの、その左上側に位置する路側機5Aとは通信できない。
図6の例では、緊急車両6Xの予測経路200は、交差点2A→交差点2C→交差点2Dとなっている。路側機5Aは、予測経路200に基づいて、交差点2Aからの緊急車両6Xの行き先が、通信可能な路側機5Bが存在する交差点2Cであることを特定する。そして、路側機5Aは、交差点2Cに存在する路側機5Cに対して第1情報110を送信する。
また本例では、路側機5は、予測経路200に基づいて特定した緊急車両6Xの行き先には存在しない他の路側機5に対して、第2情報120を送信することが可能である。第2情報120には、第1情報110に含まれる緊急車両6Xに関する情報とは異なる緊急車両6Xに関する情報が含まれる。図6の例では、路側機5Aは、緊急車両6Xの行き先である交差点2Cに存在しない、路側機5Aと通信可能な路側機5B(つまり、交差点2Bに位置する路側機5B)に対して第2情報120を送信する。なお路側機5Aは、その上側に、路側機5Aと通信可能な他の路側機5が存在する場合には、その他の路側機5に第2情報120を送信してもよい。また路側機5Aは、その左側に、路側機5Aと通信可能な他の路側機5が存在する場合には、その他の路側機5に第2情報120を送信してもよい。
路側機5に送信される第1情報110には、例えば、当該路側機5が存在する場所に緊急車両6Xが来ることを通知する通知情報が含まれている。これにより、第1情報110を受信した路側機5は、当該路側機5が存在する場所に緊急車両6Xが来ることを知ることができる。第1情報110を受信した路側機5は、受信した第1情報110に基づく第1処理を行う。第1処理については後で詳細に説明する。
また、路側機5に送信される第2情報120には、例えば、当該路側機5が存在する場所に緊急車両6Xが来ないことを通知する通知情報が含まれている。これにより、第2情報120を受信した路側機5は、当該路側機5が存在する場所に緊急車両6Xが来ないことを知ることができる。第2情報120を受信した路側機5は、受信した第2情報120に基づく第2処理を行う。第2処理については後で詳細に説明する。
以下に、緊急車両6Xが近づいている路側機5の動作と、第1情報110を受信する路側機5の動作と、第2情報120を受信する路側機5の動作について詳細に説明する。本例では、路側機5は、他の路側機5、車両6及び携帯機器10と、例えば700MHz帯通信を行う。なお、路側機5は、他の路側機5、車両6及び携帯機器10の少なくとも一つと、他の通信方式で通信してもよい。
以後、緊急車両6Xが送信する車両情報を「緊急車両情報」と呼ぶことがある。また、路側機5の動作を説明する場合に自装置と言えば、その路側機5のことを意味する。
図7は、各路側機5の動作の一例を示すフローチャートである。図7に示されるように、ステップs1において、路側機5の制御部500は、自装置に近づいてきている緊急車両6Xが送信する緊急車両情報を通信部510が受信したと判定すると、ステップs2を実行する。制御部500は、通信部510が受信する車両情報に含まれる種別情報が緊急車両を示す場合には、通信部510が緊急車両情報を受信したと判定することができる。また制御部500は、通信部510が定期的に受信する緊急車両情報に含まれる位置情報と、自装置の位置情報とを比較することによって、緊急車両6Xが自装置に近づいてきているか否かを判定することができる。路側機5の記憶部503には、自装置の位置情報が記憶されている。
ステップs2において、制御部500は、緊急車両6Xの予測経路200を示す経路情報を取得する。本例では、例えば、緊急車両6Xが送信する緊急車両情報に、当該緊急車両6Xの予測経路200を示す経路情報が含まれている。制御部500は、通信部510が受信した緊急車両情報から経路情報を取得する。経路情報が示す予測経路200には、例えば、緊急車両6Xの目的地までの経路が含まれる。
緊急車両6Xに搭載されている車載機器60の制御部600は、ユーザ等から入力される目的地と、記憶部603内の地図情報とに基づいて、当該目的地までの経路を予測経路200として求めて、求めた予測経路200を示す経路情報を生成する。そして、制御部600は、生成した経路情報を含む緊急車両情報を通信部610に送信させる。制御部600は、緊急車両情報に含める経路情報を随時更新してもよい。
なお、路側機5の制御部500は、通信部510が、緊急車両6Xの管理等を行う指令センターと通信できる場合には、当該指令センターから経路情報を取得してもよい。この場合、制御部500は、通信部510が受信する緊急車両情報に含まれる識別情報を、指令センターに対して通信部510に送信させる。指令センターは、受信した識別情報で特定される緊急車両6Xの経路情報を路側機5に送信する。路側機5の通信部510は、経路情報を受信すると、それを制御部500に入力する。これにより、制御部500は、自装置に近づいてくる緊急車両6Xの予測経路200を示す経路情報を取得することができる。
ステップs2において、制御部500は経路情報を取得すると、ステップs3において、取得した経路情報に基づいて、自装置が存在する場所からの緊急車両6Xの行き先を特定する。具体的には、制御部500は、経路情報に基づいて、自装置が通信可能な他の路側機5が存在する、緊急車両6Xの行き先を特定する。図6の例では、緊急車両情報を受信した路側機5Aの制御部500は、緊急車両6Xの行き先が交差点2Cであることを特定する。
ステップs3の後、制御部500はステップs4を実行する。ステップs4では、制御部500は、ステップs3で特定した行き先に存在する路側機5に対して、通信部510に第1情報110を送信させる。図6の例では、路側機5Aの制御部500は、ステップs3で特定した交差点2Cに存在する路側機5Cに対して、通信部510に第1情報110を送信させる。第1情報110には、路側機5Cが存在する交差点2Cに緊急車両6Xが来ることを通知する通知情報が含まれている。
またステップs4において、制御部500は、ステップs3で特定した行き先に存在しない路側機5に対して、通信部510に第2情報120を送信させる。図6の例では、路側機5Aの制御部500は、ステップs3で特定した交差点2Cに存在しない、路側機5Aが通信可能な路側機5Bに対して、通信部510に第2情報120を送信させる。第2情報120には、路側機5Bが存在する交差点2Bに緊急車両6Xが来ないことを通知する通知情報が含まれている。
ステップs4の後、路側機5は、ステップs1において、自装置に近づいてきている緊急車両6Xが送信する緊急車両情報を受信したと判定すると、ステップs2を実行し、以後同様に動作する。
図8は、各路側機5の動作の一例を示すフローチャートである。図8に示されるように、ステップs11において、路側機5の制御部500は、通信部510が第1情報110を受信したと判定すると、ステップs12において、通信部510が受信した第1情報110が自装置宛ての情報であるか否かを判定する。ステップs12において、制御部500は、受信された第1情報110が自装置宛ての情報であると判定すると、ステップs13において、受信された第1情報に基づく第1処理を実行する。一方で、ステップs12において、制御部500は、受信された第1情報110が自装置宛ての情報ではないと判定すると、ステップs14において、受信された第1情報110を破棄する。
ステップs13の後、路側機5は、ステップs11において第1情報110を受信すると、ステップs12を実行し、以後同様に動作する。またステップs14の後、路側機5は、ステップs11において第1情報110を受信すると、ステップs12を実行し、以後同様に動作する。
ここで、上述のステップs4において、路側機5の通信部510は、第1情報110を送信する場合には、送信先の路側機5の識別情報を含む第1情報110を例えばオムニ送信する。図6の例では、緊急車両情報を受信した路側機5Aの通信部510は、送信先の路側機5Cの識別情報を含む第1情報110をオムニ送信する。
同様に、路側機5の通信部510は、第2情報120を送信する場合には、送信先の路側機5の識別情報を含む第2情報120を例えばオムニ送信する。図6の例では、緊急車両情報を受信した路側機5Aの通信部510は、送信先の路側機5Bの識別情報を含む第2情報120をオムニ送信する。路側機5は、その記憶部503に、自装置が通信可能な他の路側機5の識別情報を記憶している。
ステップs12において、制御部500は、受信された第1情報110に含まれる識別情報が、自装置の記憶部503に記憶されている自装置の識別情報と一致するか否かを判定する。制御部500は、第1情報110に含まれる識別情報が、自装置の識別情報と一致する場合には、当該第1情報110が自装置宛ての情報であると判定する。一方で、制御部500は、第1情報110に含まれる識別情報が、自装置の識別情報と一致しない場合には、当該第1情報110が自装置宛ての情報でないと判定する。
ステップs13で実行される第1処理には、例えば、信号機4の制御が含まれる。ステップs13において、制御部500は、受信された第1情報110に基づいて、自装置が存在する交差点に緊急車両6Xが来ることを認識すると、当該交差点に向かってくる緊急車両6Xが、当該交差点を止まらずに安全に通過できるように、当該交差点の信号機4を制御する。図6の例では、第1情報110を受信した路側機5Cの制御部500は、交差点2Cに向かってくる緊急車両6Xが、交差点2Cを止まらずに安全に通過できるように、信号機4C1,4C2を青信号状態とし、信号機4C3,4C4を赤信号状態とする。これにより、緊急車両6Xが目的地に到着するまでの時間を短縮することができる。
第1処理には、信号機4の制御の代わりに、あるいはそれに加えて、他の処理が含まれてもよい。例えば、第1処理には、路側機5からその周辺の装置への通知が含まれてもよい。第1処理には、例えば、路側機5からその周辺の車両6への通知が含まれてもよい。この場合、制御部500は、例えば、自装置の周囲の車両6に対して、緊急車両6Xが近くに来ることを通知する通知情報を、通信部510に送信させる。本例では、通信部510は、車両6に対して情報を送信するときには、例えば、ブロードキャストで情報をオムニ送信する。これにより、路側機5の周辺に存在する複数の車両6に対して通知情報が送信される。通知情報を受信した車両6では、車載機器60が、例えば表示部620及びスピーカ660の少なくとも一方を用いて、運転者に対して、緊急車両6Xが来ることを通知する。具体的には、車載機器60は、表示部620に、緊急車両6Xが来ることを通知する通知情報を表示させる。また、車載機器60は、スピーカ660から、緊急車両6Xが来ることを通知する音声を出力させる。これにより、運転者は、緊急車両6Xの接近に応じた適切な処理を行うことが可能になる。運転者は、例えば、緊急車両6Xが通りやすいように、車両6を事前に車道7の端に寄せることが可能となる。
また第1処理には、路側機5から携帯機器10への通知が含まれてもよい。この場合、制御部500は、例えば、自装置の周囲の携帯機器10に対して、緊急車両6Xが近くに来ることを通知する通知情報を、通信部510に送信させる。本例では、通信部510は、携帯機器10に対して情報を送信するときには、例えば、ブロードキャストで情報をオムニ送信する。これにより、路側機5の周辺に存在する複数の携帯機器10に対して通知情報が送信される。通知情報を受信した携帯機器10は、自身が備える表示部及びスピーカの少なくとも一方を用いて、ユーザに対して、緊急車両6Xが来ることを通知する。これにより、携帯機器10を持つ歩行者は、緊急車両6Xの接近に応じた適切な処理を行うことが可能となる。例えば、携帯機器10を持つ歩行者は、歩道がない道路を歩いている場合、緊急車両6Xの走行の邪魔にならないように、事前に道路の端で停止することが可能となる。
また、自装置宛ての第1情報110を受信した路側機5が表示部540を備える場合には、第1処理には、表示部540での情報の表示が含まれてもよい。例えば、自装置宛ての第1情報110を受信した路側機5Cが、図9に示されるように、表示部540Cを備える場合を考える。この場合、制御部500は、緊急車両6Xが交差点2Cに近づいてきていることを通知する通知情報541を、表示部540Cに表示させてもよい。これにより、交差点2C付近に存在する車両6の運転者は、表示部540Cの表示を見ることによって、交差点2Cに緊急車両6Xが来ることを知ることができる。また、交差点2C付近に存在する歩行者は、表示部540Cの表示を見ることによって、交差点2Cに緊急車両6Xが来ることを知ることができる。
図10は、各路側機5の動作の一例を示すフローチャートである。図10に示されるように、ステップs21において、路側機5の制御部500は、通信部510が第2情報120を受信したと判定すると、ステップs22において、通信部510が受信した第2情報120が自装置宛ての情報であるか否かを判定する。
ここで、上述のように、路側機5の通信部510は、ステップs4において、送信先の路側機5の識別情報を含む第2情報120を例えばオムニ送信する。ステップs22において、制御部500は、受信された第2情報120に含まれる識別情報が、自装置の記憶部503に記憶されている自装置の識別情報と一致するか否かを判定する。制御部500は、第2情報120に含まれる識別情報が自装置の識別情報と一致する場合には、当該第2情報120が自装置宛ての情報であると判定する。一方で、制御部500は、第2情報120に含まれる識別情報が自装置の識別情報と一致しない場合には、当該第2情報120が自装置宛ての情報でないと判定する。
ステップs22において、制御部500は、受信された第2情報120が自装置宛ての情報であると判定すると、ステップs23において、受信された第2情報に基づく第2処理を実行する。一方で、ステップs22において、制御部500は、受信された第2情報120が自装置宛ての情報ではないと判定すると、ステップs24において、受信された第2情報120を破棄する。
ステップs23の後、路側機5は、ステップs21において第2情報120を受信すると、ステップs22を実行し、以後同様に動作する。またステップs24の後、路側機5は、ステップs21において第2情報120を受信すると、ステップs22を実行し、以後同様に動作する。
ステップs23で実行される第2処理には、例えば、路側機5からその周囲の装置への通知が含まれてもよい。ステップs23において、制御部500は、例えば、自装置の周囲の車両6に対して、緊急車両6Xが近くに来ないことを通知する通知情報を、通信部510に送信させる。通知情報を受信した車両6では、車載機器60が、例えば表示部620及びスピーカ660の少なくとも一方を用いて、運転者に対して、緊急車両6Xが来ないことを通知する。これにより、運転者は、緊急車両6Xのサイレンが発する音が聞こえたとしても、緊急車両6Xをあまり気にせずに車両6Xを運転することが可能となる。
また第2処理には、路側機5から携帯機器10への通知が含まれてもよい。この場合、制御部500は、例えば、自装置の周囲の携帯機器10に対して、緊急車両6Xが近くに来ないことを通知する通知情報を、通信部510に送信させる。通知情報を受信した携帯機器10は、自身が備える表示部及びスピーカの少なくとも一方を用いて、ユーザに対して、緊急車両6Xが来ないことを通知する。これにより、例えば、携帯機器10を所持する歩行者は、緊急車両6Xのサイレンが発する音が聞こえたとしても、緊急車両6Xをあまり気にせずに歩行を継続することが可能となる。
また、自装置宛ての第2情報120を受信した路側機5が表示部540を備える場合には、第2処理には、表示部540での情報の表示が含まれてもよい。例えば、自装置宛ての第2情報120を受信した路側機5Bが、図11に示されるように、表示部540Bを備える場合を考える。この場合、制御部500は、自装置が存在する場所に緊急車両6Xが来ないことを第2情報120に基づいて認識した後、緊急車両6Xに関する情報ではなく、例えば安全運転を行うことを通知する通知情報542を、表示部540Bに表示させてもよい。これにより、緊急車両6Xが来ない可能性が高い場所を走行している車両6の運転者に対して、不要な通知が行われる可能性を低減することができる。また、緊急車両6Xが来ない可能性が高い場所を歩いている歩行者に対して、不要な通知が行われる可能性を低減することができる。図11は、上述の図10に対して、路側機5Bが備える表示部540Bを追記したものである。
図11の例において、緊急車両6Xが交差点2Aを通過し、その後、図12に示されるように交差点2Cに近づくと、路側機5Cは、上述の図7のステップs1,s2を実行する。その後、路側機5Cは、ステップs3において、経路情報に基づいて、自装置が通信可能な路側機5Dが存在する交差点2Dを、緊急車両6Xの行き先であると特定する。そしてステップs4において、路側機5Cは、交差点2Dに存在する路側機5Dに対して第1情報110を送信する。
第1情報110を受信した路側機5Dは、第1情報110に基づく第1処理を実行する。この第1処理では、例えば、路側機5Dは、緊急車両6Xが交差点2Dを止まらずに安全に通過できるように、図12に示されるように、信号機4D3,4D4を青信号状態とし、信号機4D1,4D2を赤信号状態とする。また、路側機5Dが表示部540Dを備える場合には、図12に示されるように、表示部540Dは通知情報541を表示してもよい。
また路側機5Cは、ステップs4において、ステップs3で特定した行き先、つまり交差点2Dに存在しない、路側機5Cが通信可能な他の路側機5に対して第2情報120を送信する。路側機5Cは、例えば、交差点2Aの路側機5Aに対して第2情報120を送信する。また路側機5Cは、交差点2Cよりも左側の交差点に、自装置が通信可能な他の路側機5が存在する場合には、当該他の路側機5に第2情報120を送信する。また、路側機5Cは、交差点2Cよりも下側の交差点に、自装置が通信可能な他の路側機5が存在する場合には、当該他の路側機5に第2情報120を送信する。
なお路側機5は、自装置の表示部540に通知情報541を表示している場合に、緊急車両情報を受信したときには、自装置が存在する場所を緊急車両6Xが通過した後、表示部540に、通知情報541の表示を消去させてもよい。図12の例では、緊急車両情報を受信した路側機5Cは、緊急車両6Xが交差点2Cに進入して通過すると、表示部540Cに、通知情報541の表示を消去させる。
また、緊急車両情報を受信した路側機5は、ステップs4において、緊急車両6Xが通過した場所に存在する他の路側機5に対して第2情報120を送信しなくてもよい。図12の例では、緊急車両情報を受信した路側機5Cは、緊急車両6Xが通過した交差点2Aに存在する路側機5Aに対して第2情報120を送信しなくてもよい。緊急車両情報を受信した路側機5は、経路情報に基づいて、緊急車両6Xが通過した場所に存在する他の路側機5を特定することができる。
また、緊急車両情報を受信した路側機5は、第1処理と同様の処理を行ってもよい。例えば、緊急車両情報を受信した路側機5は、自装置が存在する交差点2を緊急車両6Xが止まらずに安全に通過できるように、当該交差点2の信号機4を制御してもよい。また路側機5は、その周辺の車両6あるいは携帯機器10に対して、緊急車両6Xが来ることを通知する通知情報を送信してもよい。また路側機5は、表示部540を備えている場合には、緊急車両6Xが来ることを通知する通知情報を表示部540に表示してもよい。
以上のように、本例では、緊急車両6Xが近づいてきている路側機5が、緊急車両6Xの予測経路200に基づいて、緊急車両6Xの行き先を特定している。そして、路側機5は、特定した行き先に存在する他の路側機5に対して、第1情報110を送信することによって、当該他の路側機5が存在する場所に緊急車両6Xが来ることを通知している。これにより、緊急車両6Xが来る可能性が高い場所に存在する路側機5に対して、当該場所に緊急車両6Xが来ることを適切に通知することができる。よって、第1情報110を受け取った路側機5は、緊急車両6Xの接近に応じた適切な処理を実行することができる。上述のように、路側機5は、例えば、緊急車両6Xの接近に応じて信号機4を適切に制御したり、その周囲の装置あるいは人に対して、緊急車両6Xの接近を適切に通知したりすることができる。
また本例では、路側機5は、緊急車両6Xの予測経路200に基づいて特定した緊急車両6Xの行き先には存在しない他の路側機5に対して、第2情報120を送信することによって、当該他の路側機5が存在する場所に緊急車両6Xが来ないことを通知している。これにより、緊急車両6Xが来ない可能性が高い場所に存在する路側機5に対して、当該場所に緊急車両6Xが来ないことを適切に通知することができる。よって、第2情報120を受け取った路側機5は、上述のように、例えば、その周囲の装置あるいは人に対して、緊急車両6Xが来ないことを適切に通知することができる。
なお上記の例では、特定車両6Xは、緊急車両であったが、緊急車両とは別の種類の車両であってもよい。特定車両6Xは、例えば、バス、トラックあるいは特装車等の大型の車両であってもよい。この場合、第1情報110に基づく第1処理には、信号機4の制御が含まれずに、例えば、上記と同様に路側機5からその周辺の装置への通知が含まれてもよい。
特定車両6Xが例えばバスである場合、自装置宛ての第1情報110を受信した路側機5は、第1処理において、自装置の周囲の装置に対して、バスが近くに来ることを通知する通知情報を送信してもよい。この通知情報を受信した装置は、自身が備える表示部及びスピーカの少なく一方を用いて、当該装置のユーザに対して、バスが来ることを通知してもよい。これにより、例えば、狭い車道7を走行している車両6の運転者は、自車両6の車載機器60からバスが来ることが通知された場合、バスの走行あるいは停車によって、自車両6の走行が邪魔されることを避けるために、バスが来る場所を避けて自車両6を走行させることが可能となる。また、携帯機器10を持つ歩行者は、歩道がない狭い道路を歩いている場合に、当該携帯機器10からバスが来ることが通知されると、バスと接触しないようにバスに気を付けて道路の端を歩くことが可能となる。また、第1処理には、バスが近づいてきていることを通知する通知情報541を路側機5の表示部540が表示する処理が含まれてもよい。
特定車両6Xがバス等の大型の車両である場合、第2処理には、例えば、上記と同様に、路側機5がその周辺の装置に対してバス等が来ないことを通知する処理が含まれてもよい。また第2処理には、安全運転を行うことを通知する通知情報542を路側機5の表示部540が表示する処理が含まれてもよい。
路側機5が第1情報110を送信する場合には、通信部510は、アンテナ511の指向性を制御することによって、指向性ビーム511aが送信先の路側機5に向けられたアンテナ511から第1情報110を送信してもよい。路側機5は、例えばアダプティブアレイ技術を用いることによって、アンテナ511の指向性を制御することができる。図13は、路側機5Aの通信部510が、指向性ビーム511aが路側機5Cに向けられたアンテナ511から第1情報110を送信する様子を示す図である。
通信部510が、指向性ビーム511aが送信先の路側機5に向けられたアンテナ511から第1情報110を送信する場合には、第1情報110には、送信先の路側機5の識別情報が含められなくてもよい。また、上述の図8に示されるフローチャートにおいて、ステップs12,14が実行されずに、ステップs11の後にステップs13が実行されてもよい。
同様に、路側機5が第2情報120を送信する場合には、通信部510は、アンテナ511の指向性を制御することによって、指向性ビーム511aが送信先の路側機5に向けられたアンテナ511から第2情報120を送信してもよい。図14は、路側機5Aの通信部510が、指向性ビーム511aが路側機5Bに向けられたアンテナ511から第2情報120を送信する様子を示す図である。
通信部510が、指向性ビーム511aが送信先の路側機5に向けられたアンテナ511から第2情報120を送信する場合には、第2情報120には、送信先の路側機5の識別情報が含められなくてもよい。また、上述の図10に示されるフローチャートにおいて、ステップs22,24が実行されずに、ステップs21の後にステップs23が実行されてもよい。
また、路側機5の通信部510は、空間分割多元接続(Spatial Division Multiple Access(SDMA))を用いて、第1情報110及び第2情報120をアンテナ511から送信してもよい。つまり、通信部510は、アンテナ511の指向性を制御することによって、アンテナ511の2つの指向性ビーム511aを、第1情報110の送信先の路側機5と第2情報120の送信先の路側機5とにそれぞれ向けた状態で、第1情報110及び第2情報120を、同一周波数を用いて同じタイミングで(つまり同時に)アンテナ511から送信してもよい。これにより、周波数利用効率が向上する。図15は、路側機5Aが、SDMAを用いて、第1情報110及び第2情報120を路側機5C,5Bにそれぞれ送信する様子を示す図である。図15では、路側機5Aのアンテナ511の2つの指向性ビーム511aが、第1情報110の送信先の路側機5Cと第2情報120の送信先の路側機5Bとにそれぞれ向けられた状態で、第1情報110及び第2情報120がアンテナ511から送信される様子が示されている。
また、路側機5に送信される第1情報110には、当該路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間が含まれてもよい。つまり、第1情報110を送信する路側機5は、特定車両6Xの予測経路200に基づいて特定した行き先に特定車両6Xが到達する予測時間を、当該行き先に存在する他の路側機5に対して通知してもよい。この場合、例えば、第1情報110の送信元の路側機5の制御部500は、特定車両6Xから車両情報を受信すると、当該車両情報に含まれる特定車両6Xの位置情報を取得する。そして、制御部500は、取得した特定車両6Xの位置情報と、自装置の位置情報と、特定車両6Xの平均的な走行速さとに基づいて、自装置が存在する場所(例えば交差点2)に特定車両6Xが到達する予測時間T1を求める。また、送信元の路側機5の制御部500は、自装置の位置情報と、第1情報110の送信先の路側機5の位置情報と、特定車両6Xの平均的な走行速さとに基づいて、特定車両6Xが、自装置が存在する場所(例えば交差点2)から、送信先の路側機5が存在する場所(例えば交差点2)まで進むのにかかる予測時間T2を求める。そして、送信元の路側機5の制御部500は、求めた予測時間T1,T2の合計時間を、送信先の路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間とする。つまり、送信元の路側機5の制御部500は、求めた予測時間T1,T2の合計時間を、経路情報に基づいて特定した行き先に特定車両6Xが到達する予測時間とする。なお、各路側機5の記憶部503には、自装置の位置情報と、自装置が通信可能な他の路側機5の位置情報と、特定車両6Xの平均的な走行速さとが記憶されている。
このように、路側機5に送信される第1情報110に、当該路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間が含まれている場合には、路側機5は、受信した第1情報110に含まれる予測時間に合わせて、信号機4を制御することができる。よって、路側機5は、特定車両6Xが実際に来るタイミングに合わせて信号機4を適切に制御することができる。その結果、交通渋滞等が発生する可能性を低減することができる。また、路側機5は、その周辺の装置(例えば車両6あるいは携帯機器10)に対して、自装置が存在する場所に特定車両6Xが到着する予測時間を通知することができる。また、路側機5は、表示部540を使用して、自装置の周辺に存在する歩行者に対して、自装置が存在する場所に特定車両6Xが到着する予測時間を通知することができる。
また、第1情報110は、複数の路側機5の間で順次転送されてもよい。以下にこの点について詳細に説明する。以後、説明対象の複数の路側機5を互いに区別するために、当該複数の路側機5を、便宜上、第1の路側機5、第2の路側機、・・・第Nの路側機5(Nは1以上の整数)と呼ぶことがある。また、第1の路側機5と言えば、図6に示される路側機5Aのように、特定車両6Xからの車両情報の受信に応じて第1情報110を送信する路側機5を意味する。
第1の路側機5から第1情報110を受信した第2の路側機5は、第1処理において、第1の路側機5と同様に、特定車両6Xの予測経路200に基づいて、自装置が存在する場所からの特定車両6Xの行き先を特定する。そして、第2の路側機5は、第1処理において、特定した行き先に存在する第3の路側機5に第1情報110を送信し、特定した行き先に存在しない第4の路側機5に第2情報120を送信する。第3の路側機5は、受信した第1情報110に基づく第1処理を実行し、第4の路側機5は、受信した第2情報120に基づく第2処理を実行する。第3の路側機5は、第1処理において、特定車両6Xの予測経路200に基づいて、自装置が存在する場所からの特定車両6Xの行き先を特定する。そして、第3の路側機5は、第1処理において、特定した行き先に存在する第5の路側機5に第1情報110を送信し、特定した行き先に存在しない第6の路側機5に第2情報120を送信する。以後、通信システム1では、第1情報110を受信した路側機5と、第2情報120を受信した路側機5は、同様に動作する。これにより、第1情報110が、複数の路側機5の間で順次転送される。なお、第1情報110を受け取った路側機5が、自装置が存在する場所が特定車両6Xの目的地である等の理由で、特定車両6Xの行き先を特定できない場合には、第1情報110の転送は終了する。
第1情報110が複数の路側機5の間で順次転送される場合には、第1の路側機5は、送信する第1情報110に、取得した、特定車両6Xの予測経路200を示す経路情報を含める。第2の路側機5は、受信した第1情報110から経路情報を取得し、取得した経路情報に基づいて、自装置が存在する場所からの特定車両6Xの行き先を特定する。そして、第2の路側機5は、取得した経路情報を含む第1情報110、特定した行き先に存在する第3の路側機5に送信する。以後、通信システム1では、第1情報110を受信した路側機5は同様に動作する。なお、路側機5は、特定車両6Xの管理等を行う指令センターと通信可能である場合には、指令センターから経路情報を取得してもよい。
図16は、第1情報110が複数の路側機5の間で順次転送される様子の一例を示す図である。図16の例では、第1の路側機5である路側機5Aから第1情報110を受信した路側機5Cは、第1処理において、表示部540Cに通知情報541を表示する。また、路側機5Cは、第1処理において、特定車両6Xの予測経路200に基づいて、自装置が存在する場所からの特定車両6Xの行き先を特定する。ここでは、路側機5Cは、交差点2Dが行き先であると特定する。そして、路側機5Cは、第1処理において、特定した行き先に存在する路側機5Dに第1情報110を送信し、特定した行き先に存在しない下側の路側機5に第2情報120を送信する。第1情報110を受け取った路側機5Dは、第1処理において、表示部540Dに通知情報541を表示する。
このように、上記の例では、通信システム1において、第1情報110の送信元の路側機5が、特定車両6Xの予測経路200に基づいて、特定車両6Xの行き先を特定し、特定した行き先に存在する送信先の路側機5に対して第1情報110を送信し、当該第1情報110を受信した送信先の路側機5があらたに送信元の路側機5となって同様に動作する処理が繰り返し実行される。これにより、特定車両6Xの予測経路200に存在する路側機5に対して第1情報110を早く通知することができる。図16の例では、特定車両6Xが交差点2A付近に存在する段階で、路側機5Cだけではなく、予測経路200において路側機5Cよりも先に存在する路側機5Dに対して、第1情報110を通知することができる。よって、路側機5は、特定車両6Xが来るまでに、第1情報110に基づく第1処理を余裕をもって行うことができる。例えば、路側機5は、特定車両6Xが来るまでに、余裕をもって表示部540に通知情報541を表示することができる。
なお、第1情報110が複数の路側機5の間で順次転送される場合の第1情報110の転送回数は制限されてもよい。転送回数の上限をM回(M≧2)とすると、第1の路側機5は、(M−1)を示す転送可能回数を含む第1情報110を、送信先の路側機5に送信する。第1情報110を受け取った路側機5は、受け取った第1情報110に含まれる転送可能回数が零でない場合には、転送可能回数を1つ減少させた上で第1情報110に含めて、送信先の路側機5に第1情報110を送信する。一方で、路側機5は、受け取った第1情報110に含まれる転送可能回数が零である場合には、第1情報110を送信しない。これにより、路側機5からの第1情報110の送信がM回実行されると、第1情報110の転送が終了する。路側機5は、転送可能回数が零である場合には、第2情報120を送信してもよいし、送信しなくてもよい。
また、各路側機5が、転送回数の上限がM回であることを事前に知っている場合には、第1の路側機5は、1を示す転送回数を含む第1情報110を、送信先の路側機5に送信してもよい。この場合、第1情報110を受け取った路側機5は、受け取った第1情報110に含まれる転送回数がMでない場合には、転送回数を1つ増加少させた上で第1情報110に含めて、送信先の路側機5に第1情報110を送信する。一方で、路側機5は、受け取った第1情報110に含まれる転送回数がMである場合には、第1情報110を送信しない。この場合であっても、路側機5からの第1情報110の送信がM回実行されると、第1情報110の転送が終了する。路側機5は、転送回数がMである場合には、第2情報120を送信してもよいし、送信しなくてもよい。
このように、第1情報110の転送回数に上限を設定することによって、特定車両6Xが実際にはまだまだ来ないにもかかわらず、特定車両6Xが来ることが路側機5に通知される可能性を低減することができる。よって、路側機5においてあまり有効でない第1処理が行われる可能性を低減することができる。例えば、特定車両6Xがまだまだ来ない状況において、路側機5の表示部540が通知情報541を表示することはあまり有効ではないと言える。第1情報110の転送回数に上限を設定することによって、このようなことが発生する可能性が低減する。また、第1の路側機5が取得した経路情報が、転送される第1情報110に常に含められる場合には、言い換えれば、第1情報110に含められる経路情報が更新されない場合には、第1情報110の転送回数に上限を設定することによって、古い経路情報(言い換えれば、特定車両6Xが実際には走行しない経路を示す経路情報)が路側機5に通知される可能性を低減することができる。
なお、第1情報110が転送される場合、第1情報110を受信した路側機5は、送信先の路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間を含む第1情報110を、送信先の路側機5に送信してもよい。
例えば、第1の路側機5は、上述のようにして、受信した車両情報に含まれる特定車両6Xの位置情報と、自装置の位置情報と、特定車両6Xの平均的な走行速さと、第1情報110の送信先の路側機5の位置情報とに基づいて、送信先の路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間を求める。そして、第1の路側機5は、求めた予想時間を含む第1情報110を、送信先の路側機5に送信する。
第1の路側機5から第1情報110を受信した路側機5は、自装置の位置情報と、送信先の路側機5の位置情報と、特定車両6Xの平均的な走行速さとに基づいて、特定車両6Xが、自装置が存在する場所から、送信先の路側機5が存在する場所まで進むのにかかる予測時間T3を求める。そして、路側機5は、第1の路側機5から受信した第1情報110に含まれる予測時間に対して、求めた予測時間T3を足し合わせて得られる時間を、送信先の路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間として第1情報110に含める。そして、路側機5は第1情報110を送信先の路側機5に送信する。
第1情報110を次に受信した路側機5は、同様にして、特定車両6Xが、自装置が存在する場所から、送信先の路側機5が存在する場所まで進むのにかかる予測時間T3を求める。そして、路側機5は、受信した第1情報110に含まれる予測時間に対して、求めた予測時間T3を足し合わせて得られる時間を、送信先の路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間として第1情報110に含める。そして、路側機5は第1情報110を送信する。以後、通信システム1では、第1情報110を受信した路側機5は同様に動作する。
このように、第1情報110に対して、それが転送される先の路側機5が存在する場所に特定車両6Xが到達する予測時間が含められることによって、第1情報110を受け取る各路側機5は、自装置が存在する場所に特定車両6が到着する予測時間を認識することができる。よって、第1情報110を受け取る各路側機5は、自装置が存在する場所に特定車両6Xが来るタイミングに合わせた適切な処理を実行することができる。
また上記の例では、路側機5は、第1情報110及び第2情報120の両方を送信しているが、第1情報110及び第2情報120のうち第1情報110だけを送信してもよい。
以上のように、路側機5は、特定車両6Xの予測経路200に基づいて、特定車両6Xの行き先を特定し、特定した行き先に存在する他の路側機5に対して情報を送信する。これにより、特定車両6Xの行き先に存在する路側機5は、特定車両6Xが来るまでに、受け取った情報に基づく処理を行うことができる。よって、路側機5の利便性が向上する。
また、路側機5は、特定車両6Xの行き先に存在する他の路側機5と、当該行き先に存在しない他の路側機5とに対して、異なる情報を送信する。これにより、特定車両6Xの行き先に存在する路側機5と、特定車両6Xの行き先に存在しない路側機5とは、互いに異なる処理を行うことができる。よって、路側機5の利便性が向上する。
<路側機の他の動作例>
本例では、路側機5は、その周辺の複数の車両6から、送信対象の車両6を、特定車両6Xの予測経路200に基づいて決定し、決定した送信対象の車両6に対して情報を送信することが可能である。以後、送信対象の車両6を「送信対象車両6」と呼ぶことがある。また、特定車両6Xが送信する車両情報を「特定車両情報」と呼ぶことがある。
図17は、本例の路側機5の動作の一例を説明するための図である。図17では、走行中の車両6の先頭に矢印が示されており、停車中の車両6には矢印が示されていない。また図17には、路側機5が車両6と通信する際の受信エリア512の一例が破線で示されている。図17には、路側機5Aの受信エリア512は示されているが、路側機5Cの受信エリア512は示されていない。路側機5は、受信エリア512に存在する車両6が送信する情報を受信することができる。路側機5が車両6と通信する際の送信エリアの範囲は、例えば、受信エリア512の範囲と同じである。以後、走行中の車両を「走行車両」と呼び、停車中の車両を「停車車両」と呼ぶことがある。
本例では、特定車両情報を受信した路側機5は、受信エリア512に存在する、特定車両6Xを除く複数の車両6から、送信対象車両6を、特定車両6Xの予測経路200に基づいて決定する。言い換えれば、特定車両情報を受信した路側機5は、その車両情報を受信した、特定車両6Xを除く複数の車両6から、送信対象車両6を、特定車両6Xの予測経路200に基づいて決定する。
図17の例では、路側機5Aの受信エリア512には、特定車両6X以外に、車両6a〜6gが存在している。したがって、路側機5Aは、車両6a〜6gから車両情報を受信することができる。特定車両情報を受信した路側機5Aは、車両6a〜6gから、送信対象車両6を、特定車両6Xの予測経路200に基づいて決定する。以後、単に車両情報と言えば、特定車両6X以外の車両6から送信される車両情報を意味する。また、単に車両6と言えば、特定車両6X以外の車両6を意味する。また、説明対象の車両6を「対象車両6」と呼ぶことがある。
図18は、特定車両情報を受信する路側機5の動作の一例を示すフローチャートである。図18に示されるように、ステップs31において、路側機5の制御部500は、上述のステップs1と同様にして、自装置に近づいてきている特定車両6Xが送信する特定車両情報を通信部510が受信したと判定すると、ステップs32を実行する。ステップs31においては、上述のステップs1と同様に、制御部500は、通信部510が定期的に受信する特定車両情報に含まれる位置情報と、自装置の位置情報とを比較することによって、特定車両6Xが自装置に近づいてきているか否かを判定する。
ステップs32では、制御部500は、自装置の受信エリア512内に存在する複数の車両6から、送信対象車両6を、特定車両6Xの予測経路200に基づいて決定する。制御部500は、通信部510が車両情報を受信すると、受信された車両情報に含まれる識別情報で特定される車両6を、受信エリア512内に存在する車両6とする。また制御部500は、上記のように、ステップs31で受信された特定車両情報から、特定車両6Xの予測経路200を示す経路情報を取得する。そして、制御部500は、取得した経路情報に基づいて、受信エリア512内に存在する複数の車両6から送信対象車両6を決定する。
なお、上記の例のように、路側機5は、通信部510が指令センターと通信できる場合には、当該指令センターから経路情報を取得してもよい。送信対象車両6の決定方法につては後で詳細に説明する。
ステップs32において、制御部500は、送信対象車両6を決定すると、ステップs33において、送信対象車両6に対して通信部510に情報を送信させる。以後、当該情報を「第3情報」と呼ぶ。上記の例では、車両情報を受信した路側機5は、車両6に対してブロードキャストで情報を送信していたが、本例では、車両6に対して個別に情報を送信する。路側機5は、送信対象車両6の識別情報を含む第3情報を送信することによって、送信対象車両6に対して個別に第3情報を送信することができる。第3情報には、例えば、特定車両6Xが送信対象車両6に向かってくることを通知する通知情報が含まれる。また、路側機5が送信する第3情報には、当該路側機5が存在する交差点2の信号機4の点灯に関する情報が含まれてもよい。ステップs33において、通信部510は第3情報を例えばオムニ送信する。
ステップs33では、通信部510は、ステップs32で決定された送信対象車両6のすべての識別情報を含む第3情報を送信することによって、ステップs32で決定された各送信対象車両6に対して第3情報を送信してもよい。また通信部510は、一つの送信対象車両6の識別情報を含む第3情報を複数回送信することによって、ステップs32で決定された各送信対象車両6に対して第3情報を送信してもよい。
ステップs33の後、路側機5は、ステップs31において、自装置に近づいてきている特定車両6Xが送信する特定車両情報を受信したと判定すると、ステップs32を実行し、以後同様に動作する。
なお、制御部500は、ステップs31の後に、上述の図7に示されるステップs2〜s4を実行して、第3情報だけではなく、第1情報110及び第2情報120を送信してもよい。
図19は、第3情報を受信する車両6の動作の一例を示すフローチャートである。図19には、車両6に搭載された車載機器60の動作の一例が示されているとも言える。以後、車載機器60の動作を説明する場合に自装置と言えば、その車載機器60のことを意味する。
図19に示されるように、ステップs41において、車載機器60の制御部600は、通信部610が第3情報を受信したと判定すると、ステップs42において、通信部610が受信した第3情報が自装置宛ての情報であるか否かを判定する。ステップs42において、制御部600は、通信部610が受信した第3情報に含まれる識別情報が、自車両6の識別情報と一致する場合、通信部610が受信した第3情報が自装置宛ての情報であると判定する。一方で、制御部600は、通信部610が受信した第3情報に含まれる識別情報が、自車両6の識別情報と一致しない場合、通信部610が受信した第3情報が自装置宛ての情報ではないと判定する。車載機器60の記憶部603には、自車両6の識別情報が記憶されている。
ステップs42において、制御部600は、受信された第3情報が自装置宛ての情報であると判定すると、ステップs43において、受信された第3情報に基づく第3処理を実行する。一方で、ステップs42において、制御部600は、受信された第3情報が自装置宛ての情報ではないと判定すると、ステップs44において、受信された第3情報を破棄する。
ステップs43の後、車載機器60は、ステップs41において第3情報を受信すると、ステップs42を実行し、以後同様に動作する。またステップs44の後、車載機器60は、ステップs41において第3情報を受信すると、ステップs42を実行し、以後同様に動作する。
ステップs43において、制御部600は、第3処理として、例えば、表示部620及びスピーカ660の少なくとも一方に、運転者に対して、特定車両6Xが来ることを通知させてもよい。具体的には、制御部600は、表示部620に、特定車両6Xが来ることを通知する通知情報を表示させてもよい。また、制御部600は、スピーカ660から、特定車両6Xが来ることを通知する音声を出力させてもよい。これにより、運転者は、特定車両6Xの接近に応じた適切な処理を行うことが可能になる。運転者は、例えば、特定車両6Xの接近を考慮して、車両6をより慎重に運転したり、車両6を車道7の端に寄せて停車させたりすることができる。
次に、路側機5が送信対象車両6として決定する車両6の一例について説明する。
上述のステップs32において、路側機5の制御部500は、経路情報に基づいて、受信エリア512内の対象車両6が、特定車両6Xが来る場所(例えば交差点2)に対して近づいていくと判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定してもよい。図17の例では、受信エリア512内の走行車両6eは、特定車両6Xが来る交差点2Aに近づいていっている。したがって、路側機5Aの制御部500は、走行車両6eを送信対象車両6として決定する。以後、特定車両6Xが来る場所に対して近づいていく車両6を「接近車両6」と呼ぶことがある。
制御部500は、経路情報に基づいて、受信エリア512内の対象車両6が、予測経路200上に存在すると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定してもよい。図17の例では、受信エリア512内の走行車両6fは、特定車両6Xの予測経路200上に存在する。したがって、路側機5Aの制御部500は、走行車両6fを送信対象車両6として決定する。以後、予測経路200上に存在する車両6を「経路上車両6」と呼ぶことがある。
制御部500は、経路情報に基づいて、受信エリア512内の対象車両6が、予測経路200に対向する領域上に存在すると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定する。図17の例では、受信エリア512内の停車車両6gは、予測経路200に対向する第1車線7a上に存在する。したがって、路側機5Aの制御部500は、停車車両6gを送信対象車両6として決定する。以後、予測経路200に対向する領域上に存在する車両6を「対向領域上車両6」と呼ぶことがある。
制御部500は、経路情報と、自装置の位置情報と、対象車両6から自装置が受信する車両情報に含まれる位置情報とに基づいて、対象車両6が接近車両6であるのか否かを判定することができる。制御部500は、通信部510が対象車両6から定期的に受信する車両情報に含まれる位置情報に基づいて、対象車両6が停車車両6であるのか走行車両6であるのかを特定する。制御部500は、対象車両6が走行車両6である場合、通信部510が対象車両6から定期的に受信する車両情報に含まれる位置情報に基づいて、対象車両6の進行方向を特定する。また、制御部500は、経路情報に基づいて、自装置が存在する交差点2に特定車両6Xが来ることを特定する。そして、制御部500は、対象車両6の進行方向が、特定車両6Xが来る交差点2(つまり、自装置が存在する交差点2)に向かう方向場合には、対象車両6が接近車両6であると判定する。
制御部500は、経路情報に基づいて、対象車両6が経路上車両6であるのか否かを判定することができる。制御部500は、経路情報が示す予測経路200上に対象車両6が存在する場合、対象車両6が経路上車両6であると判定する。
制御部500は、経路情報と、自装置の周辺の地図情報とに基づいて、対象車両6が対向領域上車両6であるのか否かを判定することができる。制御部500は、記憶部503内の地図情報から、自装置の周辺の地図情報を取得する。次に、制御部500は、取得した地図情報から、経路情報が示す予測経路200に対向する領域を特定する。そして、制御部500は、特定した領域上に対象車両6が存在する場合、対象車両6が対向領域上車両6であると判定する。
なお路側機5は、他の装置からの経路情報を使用せずに、受信エリア512内の対象車両6が接近車両6であるか否かを判定することも可能である。以下にこの点について説明する。
上述のように、ステップs31において、路側機5の制御部500は、通信部510が定期的に受信する特定車両情報に含まれる位置情報と、自装置の位置情報とを比較することによって、自装置に特定車両6Xが近づいてきていることを特定している。これは、制御部500が、自装置まで特定車両6Xが来るという予測を行っているとも言える。言い換えれば、制御部500が、自装置に特定車両6Xが近づいてきていることを特定することは、自装置が存在する交差点2まで特定車両6Xが来るという、特定車両6Xの予測経路を特定していると言える。したがって、ステップs31の処理は、制御部500が、自装置まで来るという予測経路を特定した特定車両6Xが送信する特定車両情報を通信部510が受信したと判定する処理であるともいえる。
このように、制御部500は、特定車両6Xの予測経路200を示す経路情報を他の装置から取得しなくても、通信部510が受信する特定車両情報に含まれる位置情報と自装置の位置情報とに基づいて、特定車両6Xが自装置(言い換えれば自装置が存在する交差点2)まで来るという、予測経路200の一部である予測経路200aを得ることができる。言い換えれば、制御部500は、特定車両6Xの予測経路200を示す経路情報を他の装置から取得しなくても、通信部510が受信する特定車両情報に含まれる位置情報と自装置の位置情報とに基づいて、特定車両6Xが来る場所を特定することができる。図17の例では、路側機5Aは、特定車両6Xが自装置が存在する交差点2Aまで来るという予測経路200aを特定することができる。路側機5は、予測経路200の代わり予測経路200aを使用することによって、対象車両6が接近車両6であるのか否かを上記と同様にして判定することができる。
なお制御部500が、接近車両6、経路上車両6及び対向領域上車両6を送信対象車両6とする場合には、図17の走行車両6a,6b,6dのように、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であり、かつ予測経路200上に存在しない車両6であり、かつ予測経路200に対向する領域上に存在しない車両6に対しては、第3情報が送信されない。さらに、図17の停車車両6cのように、停車中の車両6であり、かつ予測経路200上に存在しない車両6であり、かつ予測経路200に対向する領域上に存在しない車両6に対しては、第3情報が送信されない。
以上のように、本例では、路側機5は、特定車両6Xの予測経路に基づいて送信対象車両6を決定する。これより、路側機5は、自装置が送信する情報が必要である可能性が高い車両6に対して情報を送信することができるとともに、自装置が送信する情報が必要でない可能性が高い車両6に対して情報を送信しないようにすることができる。よって、路側機5と車両6との通信が改善される。
図17の例では、特定車両6Xが来る交差点2Aに近づいていく車両6eの運転者は、前から来る特定車両6Xに注意する必要がある。また、特定車両6Xの予測経路200上の車両6fの運転者は、車両6fが存在する第2車線7bを後ろから走行してくる特定車両6Xに注意する必要がある。また、特定車両6Xの予測経路200に対向する領域上の車両6gの運転者は、車両6gが存在する第1車線7aの対向車線の第2車線7bを前から走行して来る特定車両6Xに注意する必要がある。よって、路側機5Aは、車両6e,6f,6gを送信対象車両6とすることによって、自装置が送信する第3情報が必要である可能性が高い車両6e,6f,6gに対して第3情報を適切に送信することができる。第3情報を受け取った車両6e,6f,6gの運転者は、車両6e,6f,6gに搭載される車載機器60による通知に応じて、例えば、車両6e,6f,6gを車線の端に寄せて停車させることができる。
一方で、特定車両6Xが来る交差点2Aから離れていく、予測経路200上には存在しない車両6a,6b,6dの運転者は、特定車両6Xに注意する必要性があまり無い。また、予測経路200上には存在しない停車中の車両6cの運転者は、特定車両6Xに注意する必要性があまり無い。よって、路側機5Aは、車両6a,6b,6c,6dを送信対象車両6として決定しないことによって、自装置が送信する第3情報が必要である可能性が低い車両6a,6b,6c,6dに対して第3情報を送信しないようにすることができる。
上記の例では、特定車両情報を受信した路側機5が、送信対象車両6を決定しているが、第1情報110を受信した路側機5も、送信対象車両6を決定してもよい。この場合、第1情報110を受信した路側機5は、経路情報に基づいて、自装置が存在する交差点2に特定車両6Xが来ることを特定することができる。図17の例では、路側機5Aから第1情報110を受信した路側機5Cは、経路情報に基づいて、自装置が存在する交差点2Cに特定車両6Xが来ることを特定することができる。第1情報110を受信した路側機5は、経路情報に基づいて、受信エリア512内の対象車両6が、自装置が存在する交差点2に近づいていくと判定すると、対象車両6を送信対象車両6としてもよい。また、第1情報110を受信した路側機5は、経路情報に基づいて、受信エリア512内の対象車両6が、予測経路200上に存在すると判定すると、対象車両6を送信対象車両6としてもよい。また、第1情報110を受信した路側機5は、経路情報に基づいて、受信エリア512内の対象車両6が、予測経路200に対向する領域上に存在すると判定すると、対象車両6を送信対象車両6としてもよい。第1情報110を受信した路側機5は、送信対象車両6を決定すると、第1情報110に基づく第1処理において、決定した送信対象車両6に対して第3情報を送信する。なお、第1情報110を受信した路側機5は、受信した第1情報110から経路情報を取得してもよいし、指令センターから経路情報を取得してもよい。
また、路側機5の制御部500は、経路情報に基づいて、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6を積極的に特定し、特定した車両6を、送信対象車両6として決定しなくてもよい。つまり、制御部500は、経路情報に基づいて、対象車両6が、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定しなくてもよい。
ここで、受信エリア512には、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であり、かつ予測経路200上に存在する車両6が存在する可能性がある。一つ対象車両6について、それを送信対象車両6とするという判断と、それを送信対象車両6としないという判断とが同時に発生しないように、制御部500は、対象車両6が経路上車両6であると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定する場合には、対象車両6が、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であり、かつ予測経路200上に存在しない車両6であると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定しなくてもよい。また制御部500は、対象車両6が、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定しない場合には、対象車両6が経路上車両6であるか否かを判定しなくてもよい。
制御部500は、経路情報と、通信部510が受信する特定車両情報に含まれる位置情報と、自装置の位置情報と基づいて、対象車両6が、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であるか否かを判定することができる。制御部500は、上述のようにして、対象車両6が停車車両6であることを特定した場合には、上述のようにして、対象車両6の進行方向を特定する。また制御部500は、経路情報に基づいて、自装置が存在する交差点2に特定車両6Xが来ることを特定する。そして、制御部500は、対象車両6の進行方向が、特定車両6Xが来る交差点2に向かう方向とは反対の方向である場合には、対象車両6が、特定車両6Xが来る交差点2から離れていく車両6であると判定する。
また、路側機5の制御部500は、経路情報に基づいて、予測経路200上に存在しない停車車両6を積極的に特定し、特定した停車車両6を、送信対象車両6として決定しなくてもよい。つまり、制御部500は、経路情報に基づいて、対象車両6が、予測経路200上に存在しない停車車両6であると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定しなくてもよい。
ここで、受信エリア512には、予測経路200上に存在しない停車中の車両6であり、かつ予測経路200に対向する領域上に存在する車両6が存在する可能性がある。一つ対象車両6について、それを送信対象車両6とするという判断と、それを送信対象車両6としないという判断とが同時に発生しないように、制御部500は、対象車両6が対向領域上車両6であると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定する場合には、対象車両6が、予測経路200上に存在せず、かつ予測経路200に対向する領域上に存在しない停車車両6であると判定したとき、対象車両6を送信対象車両6として決定しなくてもよい。また制御部500は、対象車両6が、予測経路200上に存在しない停車車両6であると判定したときに、対象車両6を送信対象車両6として決定しない場合には、対象車両6が対向領域上車両6であるか否かを判定しなくてもよい。
上記の例では、路側機5は、送信対象車両6として決定した複数の車両6に対して、特定車両6Xに関する同じ情報を送信していたが、特定車両6Xに関する異なる情報を送信してもよい。
例えば、路側機5は、接近車両6及び経路上車両6を送信対象車両6として決定する場合には、接近車両6及び経路上車両6に対して、特定車両6Xに関する異なる情報を送信してもよい。これにより、路側機5は、送信先の車両6に応じた情報を送信することができる。接近車両6に送信される第3情報には、例えば、特定車両6Xが前方から近づいてくることを通知する第1通知情報が含められる。一方で、経路上車両6に送信される第3情報には、例えば、特定車両6Xが後方から近づいてくることを通知する第2通知情報が含められる。
また路側機5は、接近車両6及び対向領域上車両6を送信対象車両6として決定する場合には、接近車両6及び対向領域上車両6に対して、特定車両6Xに関する異なる情報を送信してもよい。この場合、接近車両6に送信される第3情報には、例えば、上記の第1通知情報が含められる。一方で、対向領域上車両6に送信される第3情報には、例えば、特定車両6Xが前方から近づいてきてすれ違う可能性があることを通知する第3通知情報が含められる。なお、制御部500は、対象車両6を、接近車両6であり、かつ対向領域上車両6であると判定する可能性がある。この場合には、制御部500は、対象車両6を、例えば接近車両6として扱わずに対向領域上車両6として扱い、対象車両6に対して、第3通知情報を含む第3情報を送信してもよい。
また路側機5は、経路上車両6及び対向領域上車両6を送信対象車両6として決定する場合には、経路上車両6及び対向領域上車両6に対して、特定車両6Xに関する異なる情報を送信してもよい。この場合、経路上車両6に送信される第3情報には、例えば、上記の第2通知情報が含められる。一方で、対向領域上車両6に送信される第3情報には、例えば、上記の第3通知情報が含められる。
また路側機5は、接近車両6、経路上車両6及び対向領域上車両6を送信対象車両6として決定する場合には、接近車両6、経路上車両6及び対向領域上車両6に対して、特定車両6Xに関する異なる情報を送信してもよい。この場合、例えば、接近車両6に送信される第3情報には第1情報が含められ、経路上車両6に送信される第3情報には第2通知情報が含められ、対向領域上車両6に送信される第3情報には第3通知情報が含められる。
路側機5が送信対象車両6に対して第3情報を送信する場合には、通信部510は、第1情報110及び第2情報120を送信する場合と同様に、アンテナ511の指向性を制御することによって、指向性ビーム511aが送信対象車両6に向けられたアンテナ511から第3情報を送信してもよい。このとき、通信部510は、送信対象車両6に対して1台ずつ指向性ビーム511aが届くようにして1台ずつ第3情報を送信してもよいし、複数台まとめて指向性ビーム511aが届くようにして複数台ずつ第3情報を送信してもよい。また第3情報には、送信対象車両6の識別情報が含められなくてもよい。また、上述の図19に示されるフローチャートにおいて、ステップs42,44が実行されずに、ステップs41の後にステップs43が実行されてもよい。
また通信部510は、指向性ビーム511aが送信対象車両6に向けられたアンテナ511から第3情報を送信する場合には、SDMAを用いて、複数の送信対象車両6に対して、同じ周波数で同じタイミングで第3情報を送信してもよい。
図20は、路側機5Aの通信部510が、SDMAを用いて、複数の送信対象車両6に対して第3情報を送信する様子の一例を示す図である、図20の例では、路側機5Aは、交差点2Aの中心の上方に位置している。図20では、路側機5Aの図示は省略されている。図20の例では、アンテナ511の2つの指向性ビーム511aが、送信対象車両6として決定された接近車両6h及び経路上車両6iにそれぞれ向けられている。路側機5Aの通信部510は、SDMAを用いて、接近車両6h及び経路上車両6iに対して第3情報を送信する。
また、通信システム1において、路側機5は、送信対象車両6の識別情報を含まない第3情報をブロードキャストでオムニ送信し、第3情報を受信した車両6が、特定車両6Xの予測経路に基づいて、受信した第3情報に基づいた第3処理を実行するか否かを決定してもよい。図21はこの場合の車両6の動作の一例を示すフローチャートである。
路側機5は、第3情報をブロードキャストでオムニ送信する場合には、例えば、自装置の位置情報と、特定車両6Xの予測経路200を示す経路情報とを含む第3情報を送信する。車両6に搭載された車載機器60の制御部600は、図21に示されるように、ステップs51において、通信部610が第3情報を受信したと判断すると、ステップs52を実行する。
ステップs52では、制御部600は、特定車両6Xの予測経路200を示す経路情報に基づいて、受信された第3情報に基づいた第3処理を実行するか否かを決定する。制御部600は、受信した第3情報から経路情報を取得することができる。また、制御部600は、自装置が指令センターと通信することが可能である場合には、指令センターから経路情報を取得してもよい。
ステップs52において、制御部600は、第3処理を実行することを決定すると、ステップs53において、上記と同様にして第3処理を実行する。一方で、ステップs52において、制御部600は、第3処理を実行しないことを決定すると、ステップs54において、受信された第3情報を破棄する。
ステップs53の後、車載機器60は、ステップs51において第3情報を受信すると、ステップs52を実行し、以後同様に動作する。またステップs54の後、車載機器60は、ステップs51において第3情報を受信すると、ステップs52を実行し、以後同様に動作する。
ステップs52においては、制御部600は、例えば、自車両6が接近車両6であると判定した場合、第3処理を実行することを決定する。図17の例では、車両6eに搭載された車載機器60の制御部600は、自車両6が接近車両6であると判定し、第3処理を実行することを決定する。
またステップs52において、制御部600は、自車両6が経路上車両6であると判定した場合、第3処理を実行することを決定する。図17の例では、車両6fに搭載された車載機器60の制御部600は、自車両6が経路上車両6であると判定し、第3処理を実行することを決定する。
またステップs52において、制御部600は、自車両6が対向領域上車両6であると判定した場合、第3処理を実行することを決定する。図17の例では、車両6gに搭載された車載機器60の制御部600は、自車両6が対向領域上車両6であると判定し、第3処理を実行することを決定する。
そしてステップs52において、制御部600は、自車両6が、走行車両6、経路上車両6及び対向領域上車両6のいずれにも該当しない場合、第3処理を実行しないことを決定する。図17の例では、車両6a,6b,6c,6dに搭載された車載機器60の制御部600は、自車両6が、走行車両6、経路上車両6及び対向領域上車両6のいずれにも該当しないと判定し、第3処理を実行しないことを決定する。
制御部600は、経路情報と、自車両6の位置情報と、通信部610が受信した第3情報を送信した路側機5(以後、「通信相手の路側機5」と呼ぶことがある)の位置情報とに基づいて、自車両6が走行車両6であるか否かを判定することができる。つまり、制御部600は、経路情報と、自車両6の位置情報と、通信相手の路側機5の位置情報とに基づいて、自車両6が、特定車両6Xが来る場所、つまり通信相手の路側機5が存在する交差点2に近づいていく車両6であるのか否かを判定することができる。制御部600は、受信された第3情報から、通信相手の路側機5の位置情報を取得することができる。また制御部600は、衛星信号受信部650が求める位置情報を、自車両6の位置情報とする。路側機5が対象車両6が走行車両6であるのか否かを判定する場合と同様にして、制御部600は、自車両6が走行車両6であるか否かを判定することができる。
制御部600は、経路情報に基づいて、自車両6が経路上車両6であるのか否かを判定することができる。制御部600は、自車両6が、経路情報が示す予測経路200上に存在するとき、自車両6が経路上車両6であると判定する。
制御部600は、経路情報と、自車両6の周辺の地図情報とに基づいて、自車両6が対向領域上車両6であるのか否かを判定することができる。制御部600は、記憶部603内の地図情報から、自車両6の周辺の地図情報を取得する。次に、制御部600は、取得した地図情報から、経路情報が示す予測経路200に対向する領域を特定する。そして、制御部600は、特定した領域上に自車両6が存在する場合、自車両6が対向領域上車両6であると判定する。
なお、制御部600は、自車両6が接近車両6であると判定した場合、第3処理を実行することを決定し、自車両6が走行車両6でないと判定した場合、第3処理を実行しないことを決定してもよい。
また、制御部600は、自車両6が経路上車両6であると判定した場合、第3処理を実行することを決定し、自車両6が経路上車両6でないと判定した場合、第3処理を実行しないことを決定してもよい。
また、制御部600は、自車両6が対向領域上車両6であると判定した場合、第3処理を実行することを決定し、自車両6が対向領域上車両6でないと判定した場合、第3処理を実行しないことを決定してもよい。
また、制御部600は、自車両6が接近車両6であると判定した場合と、自車両6が経路上車両6であると判定した場合とに第3処理を実行することを決定し、自車両6が走行車両6及び経路上車両6のいずれでもないと判定した場合、第3処理を実行しないことを決定してもよい。
また、制御部600は、自車両6が接近車両6であると判定した場合と、自車両6が対向領域上車両6であると判定した場合とに第3処理を実行することを決定し、自車両6が走行車両6及び対向領域上車両6のいずれでもないと判定した場合、第3処理を実行しないことを決定してもよい。
また、制御部600は、自車両6が経路上車両6であると判定した場合と、自車両6が対向領域上車両6であると判定した場合とに第3処理を実行することを決定し、自車両6が経路上車両6及び対向領域上車両6のいずれでもないと判定した場合、第3処理を実行しないことを決定してもよい。
このように、車両6に搭載された車載機器60が、特定車両6Xの予測経路に基づいて、路側機5から受信した第3情報に基づいた処理を実行するか否かを決定することによって、車載機器60は、必要な場合に、路側機5からの第3情報に基づいた処理を適切に実行することができる。よって、路側機5と車両6との通信が改善される。
なお、路側機5が、対象車両6が特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であるか否かを判定する場合と同様に、車載機器6の制御部600は、経路情報に基づいて、自車両6が特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であるか否かを判定してもよい。そして、制御部600は、自車両6が特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であると判定した場合、第3処理を実行しないと決定してもよい。このとき、一つの車載機器60において、第3処理を実行するという判断と、第3処理を実行しないという判断とが同時に発生しないように、制御部600は、自車両6が経路上車両6であると判定したとき第3処理を実行することを決定する場合には、自車両6が、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であり、かつ予測経路200上に存在しない車両6であると判定したとき、第3処理を実行しないと決定してもよい。また制御部600は、自車両6が、特定車両6Xが来る場所から離れていく車両6であると判定したとき第3処理を実行しないと決定する場合には、自車両6が経路上車両6であるか否かを判定しなくてもよい。
また路側機5が、対象車両6が、予測経路200上に存在しない停車車両6であるか否かを判定する場合と同様に、車載機器60の制御部600は、経路情報に基づいて、自車両6が予測経路200上に存在しない停車車両6であるか否かを判定してもよい。そして、制御部600は、自車両6が予測経路200上に存在しない停車車両6であると判定した場合、第3処理を実行しないと決定してもよい。このとき、一つの車載機器60において、第3処理を実行するという判断と、第3処理を実行しないという判断とが同時に発生しないように、制御部600は、自車両6が対向領域上車両6であると判定したとき第3処理を実行すると決定する場合には、自車両6が、予測経路200上に存在せず、かつ予測経路200に対向する領域上に存在しない停車車両6であると判定したとき第3処理を実行しないと決定してもよい。また制御部600は、自車両6が、予測経路200上に存在しない停車車両6であると判定したときに第3処理を実行しないと決定する場合には、自車両6が対向領域上車両6であるか否かを判定しなくてもよい。
上記の各例において、車載機器60が行う処理は、車両6内の携帯機器10が行ってもよいし、車載機器60と車両6内の携帯機器10とが協働して行ってもよい。
以上のように、通信システム1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種の例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。