JP6849334B2 - 開閉具付き合成樹脂系包装用袋 - Google Patents
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Description
<01> この文献に開示された袋のプラスチック製ファスナー(開閉具)についていうと、これは一対の咬合自在なリブ部材(雄開閉部材)と凹溝部材(雌開閉部材)とが袋内の口部側に設けられており、かつ、リブ部材の端縁部および/または凹溝部材の端縁部には、その長さ方向に間隔をおいて多数の変形部分が形成されているものである。かかるファスナーの開閉時の開閉触感や開閉音感は、多数ある変形部分(凹)と該各変形部分間にある非変形部分(凸)とで得られるものである。これについてユーザーを基準に説明すると、ユーザーは、上記変形部分(凹)と上記非変形部分(凸)との違いを指先の知覚で認識して既述のノック触感・クリック触感を得ており、また、ファスナー開閉にともなう発生音を聴取することで開閉音感を得ている。
<02> しかしながら、特許文献1に開示されたものの場合、リブ部材の端縁部や凹溝部材の端縁部など、当該部材の中心部から外れた箇所に変形部分を形成しているために、ユーザー指先を袋外部からファスナー箇所にあてがった際に得られる凹凸触感が十分でない。それはヒトの凹凸知覚の感度良好域が指頭内面の中心部付近にあるのに対し、リブ部材の中心部や凹溝部材の中心部から外れた箇所にある上記変形部分などが、ユーザー指頭内面の中心部付近に十分に当たらないからである。ゆえに、ファスナー閉じ操作時のユーザーは、上記変形部分(凹)と上記非変形部分(凸)との違いを凹凸知覚感度の高い指頭内面の中心部で強く感じ取ることができない。換言すると、指先の凹凸知覚に依拠したノック触感やクリック触感が弱くなる傾向にある。これに加え、ファスナーの開閉音も低くなる傾向にある。
<03> 特許文献1のものにおいてファスナー開閉時のノック触感(クリック触感)を強くしたり開閉音感を高めたりするときは、つぎの対策を講じればよい。その一つは、変形部分の変形度を大きくすることであり、他の一つは、リブ部材の上端縁部と下端縁部、凹溝部材の上端縁部と下端縁部など、より多くの部位に変形部分を形成することである。こうした場合、変形部分と非変形部分との違いがより判然とするし、そのような凹凸部分がより多く存在するのであるから、ノック触感(クリック触感)や開閉音感はたしかに改善される。けれども、こうした対策を講じた場合には、ファスナーの気密性や閉鎖保持力が低下することとなる。それは感度良好な上記変形部分を形成するために、リブ部材や凹溝部材を大きく削ぎ落とすことになるからである。さらに、リブ部材と凹溝部材との二部材とか、その二部材の上下両端縁部(合計四箇所)とかを加工するとなると、ファスナーの製造難易度もかなり高いものになってしまう。
[特許文献2について]
<04> 特許文献2に開示されたファスナーも、特許文献1のものと同様、リブ異形材(雄開閉部材)の端縁部や溝異形材(雌開閉部材)に端縁部に特別な形状を施して閉鎖触感や閉鎖音を得るようにしている。
<05> 特許文献2にみられるリブ異形材の場合、そのヘッドの断面形状を十字形のごとき特殊な形状にしているから、該部の形状構造が複雑化して加工難易度が高いにものになってしまう。この文献記載の溝異形材にみられる上下両フック(上下両端縁部)で、長さ方向に配列された複数の凹部を有するものの場合、これも二つのフックに多数の凹部を形成することとなるので加工難易度が高いにものになってしまう。さらに、リブ異形材や溝異形材において、双方のフックに多数の凹部を形成しているものの場合、その凹部が材料欠失したような空間状を呈することとなってフック形状が鋸歯状化してしまう。かかる材料欠失形の凹部を多数有するリブ異形材や溝異形材も、その材料欠失形の凹部によってファスナーの気密性や閉鎖保持力が低下したりするので、これを解決した上で閉鎖触感や閉鎖音が得られるようにするための工夫が必要である。
[特許文献3について]
<06> 特許文献3に開示された開閉自在パウチのための閉止装置(ファスナー)も、特許文献2のものと同様、閉止部材(雄開閉部材)のヘッド断面形状を十字形のごとき特殊な形状にしているから、これの形状構造が複雑化して加工難易度が高いにものになる。特許文献3のものは、また、他の実施形態において、雄型閉止要素(雄開閉部材)のヘッドや雌型閉止要素(雌開閉部材)のヘッドを、分離間隔をおいて長手方向に配列された多数の不連続部分で形成している。これも分離間隔のある箇所が材料欠失部分となるので、既述と同様にファスナーの気密性や閉鎖保持力が低下する。
[特許文献4について]
<07> 特許文献4に開示された包装袋のジッパー(ファスナー)も、たとえば、雄型嵌合部(雄開閉部材)の場合、非嵌合空間を介在して一列状に並ぶ多数の嵌合片でこれが形成されているものである。すなわち、この文献記載の雄型嵌合部は、各嵌合片が非嵌合空間を介在して一列状に並ぶという断続的な構成であるから、特許文献2や特許文献3に開示されたファスナーとほぼ同様の課題を有することとなる。
<第1項>
包装用の袋体とこの袋体の袋口を開閉するための横長の開閉具とを構成要素として具備するものであること、および、
前記開閉具が合成樹脂製で横長の雄開閉部材と合成樹脂製で横長の雌開閉部材とからなるものであり、この雌雄一対の両開閉部材が対面状態において互いに咬み合い自在に対応するものであること、および、
前記開閉具については、前記雄開閉部材と前記雌開閉部材とが、咬み合い自在となる対面関係と前記袋体内における袋口側の部位と前記袋体内の両側部にわたる横長姿勢とを保持して袋表用フィルムの内面と袋裏用フィルムの内面に設けられていること、および、
前記開閉具を袋口側の内部に設けられた前記袋体については、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内に進入してこの雌雄両開閉部材が咬み合うことにより袋口が閉鎖されるものであるとともに、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内から離脱してこの雌雄両開閉部材の咬み合いが外れることにより袋口が開放されるものであること
を前提とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
前記開閉具として、閉じ状態の確認と開き状態の確認とが行える開閉確認型の開閉具を具備するものであること、および、
袋表用と袋裏用の前記両フィルムのうちで、そのいずれか一方のフィルムを一方フィルムとし、その他方のフィルムを他方フィルムとした場合、前記一方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雄開閉部材が、その一方フィルムの内面から他方フィルムの内面に向けて突出する雄基体と、その雄基体の先端側に一体形成された掛け止め用の凸部とを有するものであり、かつ、前記他方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雌開閉部材が、その他方フィルムの内面から一方フィルムの内面に向けて突出する上下一対の掛け止め用のフラップと、この上下両フラップ間に介在する掛け止め用の空間部とを有するものであること、および、
前記掛け止め用凸部と前記掛け止め用空間部については、前記掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内に進入したり前記掛け止め用空間部内から離脱したりするものであり、かつ、前記掛け止め用凸部と上下一対の前記両掛け止め用フラップについては、当該掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内にあるときに互いに掛け止め状態になるものであること、および、
前記開閉確認型開閉具については、この開閉具を閉じたときの閉じ状態を確認するための凹凸触感部が前記雄開閉部材の掛け止め用凸部に設けられており、かつ、この凹凸触感部は、前記雄開閉部材の長さ方向に沿って交互に並んだ凹みのない非凹部と凹みのある凹部とを有していて、前記掛け止め用凸部の上下中間領域にあること、および、
前記雄開閉部材の凹凸触感部には、開閉具を開けるときの開き状態を報知したり開閉具を閉じるときの閉じ状態を報知したりするための報知音発生用の凹部があり、その報知音発生用凹部を当該凹凸触感部の凹部が兼ねていること、および、
前記開閉確認型開閉具の前記雄開閉部材における前記掛け止め用凸部が、相対的に小さい上半部分と相対的に大きい下半部分とからなる上下非対称の横向き尖頭形をしていること、および、
その掛け止め用凸部の相対的に大きな下半部分側に前記凹凸触感部や前記報知音発生用凹部が形成されていること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。
<第2項>
包装用の袋体とこの袋体の袋口を開閉するための横長の開閉具とを構成要素として具備するものであること、および、
前記開閉具が合成樹脂製で横長の雄開閉部材と合成樹脂製で横長の雌開閉部材とからなるものであり、この雌雄一対の両開閉部材が対面状態において互いに咬み合い自在に対応するものであること、および、
前記開閉具については、前記雄開閉部材と前記雌開閉部材とが、咬み合い自在となる対面関係と前記袋体内における袋口側の部位と前記袋体内の両側部にわたる横長姿勢とを保持して袋表用フィルムの内面と袋裏用フィルムの内面に設けられていること、および、
前記開閉具を袋口側の内部に設けられた前記袋体については、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内に進入してこの雌雄両開閉部材が咬み合うことにより袋口が閉鎖されるものであるとともに、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内から離脱してこの雌雄両開閉部材の咬み合いが外れることにより袋口が開放されるものであること
を前提とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
前記開閉具として、閉じ状態の確認と開き状態の確認とが行える開閉確認型の開閉具を具備するものであること、および、
袋表用と袋裏用の前記両フィルムのうちで、そのいずれか一方のフィルムを一方フィルムとし、その他方のフィルムを他方フィルムとした場合、前記一方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雄開閉部材が、その一方フィルムの内面から他方フィルムの内面に向けて突出する雄基体と、その雄基体の先端側に一体形成された掛け止め用の凸部とを有するものであり、かつ、前記他方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雌開閉部材が、その他方フィルムの内面から一方フィルムの内面に向けて突出する上下一対の掛け止め用のフラップと、この上下両フラップ間に介在する掛け止め用の空間部とを有するものであること、および、
前記掛け止め用凸部と前記掛け止め用空間部については、前記掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内に進入したり前記掛け止め用空間部内から離脱したりするものであり、かつ、前記掛け止め用凸部と上下一対の前記両掛け止め用フラップについては、当該掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内にあるときに互いに掛け止め状態になるものであること、および、
前記開閉確認型開閉具については、この開閉具を閉じたときの閉じ状態を確認するための凹凸触感部が前記雄開閉部材の掛け止め用凸部に設けられており、かつ、この凹凸触感部は、前記雄開閉部材の長さ方向に沿って交互に並んだ凹みのない非凹部と凹みのある凹部とを有していて、前記掛け止め用凸部の上下中間領域にあること、および、
前記雄開閉部材の凹凸触感部には、開閉具を開けるときの開き状態を報知したり開閉具を閉じるときの閉じ状態を報知したりするための報知音発生用の凹部があり、その報知音発生用凹部を当該凹凸触感部の凹部が兼ねていること、および、
T=[C×N]/[Q]×[100]なる式中、Qを前記掛け止め用凸部の体積、Cを前記報知音発生用凹部一つ当たりの容積、Nを前記掛け止め用凸部における前記報知音発生用凹部の数、Tをすべての前記報知音発生用凹部が前記掛け止め用凸部に占める割合とした場合、T%が15〜45%の範囲内にあること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。
<第3項>
第1項に記載された開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
合成樹脂製で横長の雄開閉部材と合成樹脂製で横長の雌開閉部材とを雌雄一対の咬み合い自在な開閉部材とする開閉具が、前記開閉確認型開閉具に近接かつ平行して袋体内の袋口側に設けられており、前記開閉確認型開閉具とこれに近接かつ平行する開閉具とが上下複数段をなしていること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。
<第4項>
第3項に記載された開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
互いに近接して平行する上下二段の開閉具が前記袋体内の袋口側に設けられており、その上段側にある前記開閉具が前記開閉確認型のものであり、その下段側にある前記開閉具が前記開閉確認型のものでないこと
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。
<第5項>
第1項〜第4項のいずれかに記載された開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
前記開閉確認型開閉具の前記雄開閉部材が有する前記掛け止め用凸部について、その掛け止め用凸部における前記凹凸触感部と前記報知音発生用凹部とが加圧成形されたものからなること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。
[合成樹脂系包装用袋における開閉具の高い閉鎖気密性]
<21> 本発明における開閉具は、既述のとおり、開閉具操作時の触感や音量などによってその閉じ状態や開き状態をより判然と知ることができるものである。ここで重要な機能を担う構成要素は雄開閉部材の凹凸触感部や報知音発生用凹部であり、さらには、掛け止め用の凸部に形成された非凹部や凹部である。このうちの非凹部は、掛け止め用の凸部に凹部を形成することで相対的に生じるものであるから、凹凸触感部や報知音発生用凹部などの不可欠構成要素は、止め用の凸部に凹部を形成するだけでよいこととなる。これは雄開閉部材の掛け止め用の凸部に凹部を形成するだけで重要な不可欠構成要素を得られる上、その凹部の形成される領域が掛け止め用凸部の上下中間領域というのであるから、この凹部に起因するような開閉具の気密性不良や気密性低下が生じない。その理由の一つは、開閉具の雌開閉部材にこの種の凹部がないこと、他の理由の一つは、雄開閉部材にある凹部が掛け止め用凸部の上下中間領域に存するので、雌雄両開閉部材を閉じたときに、雄開閉部材の掛け止め用凸部にある凹部が雌開閉部材内に完全埋没して開閉具外と通じることのない封鎖状態になるからである。とくに、当該凹部が加圧成形されたものからなる場合、その凹部の凹み量に相応して掛け止め用凸部の他部が体積膨張し、掛け止め用凸部の掛け止め面積が大きくなっているから、雌開閉部材内での同部材への密着度が増す。ゆえに、本発明のものは、閉じ状態における開閉具の気密性が高く、これに依拠して合成樹脂系包装用袋を高気密の閉鎖状態に維持することができる。
[合成樹脂系包装用袋における開閉具の高い閉鎖保持力]
<22> 一対の雄開閉部材と雌開閉部材とからなる開閉具において、雌雄両開閉部材の上端縁部(上部エッジ)や下端縁部(下部エッジ)を直接凹ませてそこに凹部を形成するものの場合は、雌雄両開閉部材の上部エッジや下部エッジを鋸歯状化し、それによって雌雄両開閉部材の掛け止め面積が減少するので、雄開閉部材と雌開閉部材との相対的な掛け止め力が弱まることとなる。これに対し、本発明の場合は開閉具の高い閉鎖保持力を確保することができる。その理由の一つは、掛け止め面積を減少させる原因(凹部)が雌開閉部材にないことである。他の理由の一つは、凹部のある雄開閉部材にしても、その凹部が掛け止め用凸部の上下中間領域に形成されていて雄開閉部材の上部エッジや下部エッジを直接凹ませることがないからである。すなわちこれは、掛け止め面積を減少させるような原因が雄開閉部材にもないということである。とくに、掛け止め用凸部の上下中間領域に形成された凹部が加圧成形されたものからなるとき、その凹部に対応した量の材料が雄開閉部材の上部エッジ側および/または下部エッジ側に張り出して雄開閉部材の掛け止め面積を大きくするから、開閉具の高い閉鎖保持力を確保する上で効果的となる。この説明で明らかなように、本発明の場合は開閉具を閉じ状態にしたときに、雌雄両開閉部材の上下両端縁部が互いにしっかりと掛かり合って高い閉鎖保持力を発揮するようになる。また、本発明における開閉具が高い閉鎖保持力を発揮することから、これに依拠して閉じ状態にした合成樹脂系包装用袋も、不本意に開放されるような事態は起こりがたくなる。
[合成樹脂系包装用袋における開閉具の良好な閉鎖適合性]
<23> 開閉具操作時の触感や音を高めることのない通常の開閉具についていうと、雌雄両開閉部材には既述の凹部をもたないのが一般である。むしろ、凹部をもたないほうが雌雄両開閉部材を形成しやすく、当該両部材の閉鎖適合性も維持しやすい。これに関して本発明での開閉具は、雌開閉部材にこの種の凹部がなく、雄開閉部材も、その掛け止め用凸部の上下中間領域にのみ凹部が形成されるというものである。これは開閉具のきわめて限られた領域にだけ凹部があって、しかも、それが掛け止め用凸部の上下中間領域というものであるから、当該凹部が開閉具の閉鎖適合性に与える影響もほとんどなく、良好な閉鎖適合性を維持することができる。この閉鎖適合性は、また、上述の閉鎖気密性や閉鎖保持力にも通じるものである。とくに、雄開閉部材の掛け止め用凸部が相対的に小さい上半部分と相対的に大きい下半部分とからなる上下非対称の横向き尖頭形をしていて、その掛け止め用凸部の相対的に大きな下半部分側に凹凸触感部や前記報知音発生用凹部が形成されているものは、この閉鎖適合性がよい。それは尖頭形状を大きく損なうことがないからであり、雄開閉部材の本来の機能をそのまま維持するからである。
[合成樹脂系包装用袋における開閉具の良好な開閉操作性]
<24> 対をなす雄開閉部材と雌開閉部材とからなる開閉具の場合、雄開閉部材と雌開閉部材とを咬合状態(閉じ状態)にしたり離脱状態(開き状態)にしたりする開閉操作は、もともと難易度が高くない。とはいえ、開閉具操作時の触感や音量を高めるべく雌雄両開閉部材の加工率を高めたり変形度を大きくしたりした場合、それに応じて開閉具の開閉操作性が低下し、雌雄両開閉部材が開閉しがたいものになることがある。これについて本発明での開閉具の場合、凹凸触感部や報知音発生用凹部が設けられるのは雄開閉部材のみであり、しかもそれは、掛け止め用の凸部にある非凹部と凹部とのうち、凹部のみを掛け止め用凸部の上下中間領域に形成すればよいだけである。これは開閉具全体からみた加工率や変形度がかなり抑制されるので、通常の開閉具と同様、難なく雌雄両開閉部材を開閉することができるものとなる。とくに、尖頭形掛け止め用凸部の大きな下半部分側に凹部が形成されるものは、既述のようにその尖頭形状を大きく損なうことがないので望ましい。また、すべての報知音発生用凹部が掛け止め用凸部に占める割合T(%)について、このTが15〜45%の範囲内にあるものも望ましい。ちなみに、Tが15%未満のものは既述の触感や音量を十分に得ることができず、かつ、Tが45%超過のものは変形量が大きくなりすぎるゆえに望ましくない。よって、本発明における開閉具の場合、開閉操作の際の触感や音量を得るタイプでありながらも、良好な開閉操作性を確保することができる。
[合成樹脂系包装用袋における開閉具の開閉触感と開閉音感の向上]
<25> 開閉具の雄開閉部材について、[T>45%]のものは変形量が大きすぎるゆえに望ましくないことを課題として指摘し、また、[T<15%]のものは既述の触感や音量が得がたいことを課題として指摘した。これに対し、所要の凹部が掛け止め用凸部に形成される本発明での雄開閉部材は、その凹部が掛け止め用凸部の上下中間領域に形成されるので、Tを適切に設定して上記二つの課題を容易に解消することができる。もちろん、凹部が尖頭形掛け止め用凸部の大きな下半部分側に形成されるものも、上記二つの課題を容易に解消することができる。さらに、かかる雄開閉部材のTについて、積極的に[15%≦T≦45%]としたものは、Tが適切範囲にあるので、上記二つの課題が解消される。本発明における開閉具の場合、このようしてTを適切に設定することができるので、開閉操作の際の触感や音量を得るタイプの開閉具として、開閉触感や開閉音感を向上させることができる。
[合成樹脂系包装用袋における開閉具の強度向上]
<26> 包装用袋に設けられる開閉具で雌雄一対の両開閉部材からなるものの場合、既述の触感や音量を得るために雌雄両開閉部材の変形量を大きくした場合は、その開閉機能が低下するだけでなく、開閉具そのものの強度が低下する。かかる強度低下は、上記の触感や音量を得るために行う部分的加工といえども、雄開閉部材や雌開閉部材をかなり多く欠失させてしまう開閉具において顕著である。これに対し、本発明における開閉具は、雄開閉部材の特定部位にのみ、複数の凹部が加工量の少ない状態で形成されるものであるから、この種の加工を施さない雌開閉部材に変形がないのはもちろん、加工される雄開閉部材の変形量も小さく抑制される。したがって、開閉具は強度低下をきたすことなく応分の強度を発揮する。とくに、既述のTについて[15%≦T≦45%]としたものは、開閉具の強度を維持する点からも望ましいものとなる。ゆえに、本発明における開閉具は、既述の触感や音量を得るタイプの開閉具としてその強度を向上させることができる。
[合成樹脂系包装用袋における開閉具の構成の簡潔化]
<27> 本発明における開閉具は、これまでに述べたとおり、既述の触感や音量を得るための主たる構成が雄開閉部材の掛け止め用凸部に形成された凹部だけというものである。したがって、このタイプの開閉具として構成がきわめて簡潔なものとなる。
[合成樹脂系包装用袋の製作難易度の緩和]
<28> 本発明に係る開閉具付き合成樹脂系包装用袋の場合、袋体の製作に関しては既成のものとの差異がなく、袋体内に開閉具を設けることも従来のそれとほぼ同じであるが、前述した触感や音量を得るための新たな加工を開閉具に施すことが必要になる。この新たな加工としては、不良品の発生を防止して包装用袋の歩留まりを高める観点から、手数が少なくて簡易であることが望まれる。これについて本発明における開閉具は、すでに述べたとおり、雌雄両開閉部材のうちの雄開閉部材に加工を施すだけ、しかもそれは、雄開閉部材にあって加工の施しやすい掛け止め用凸部の上下中間領域に凹部を形成すればよいだけであるから、開閉具の加工をも含めた包装用袋の製作難易度が緩和される。とくに、所要の凹部を加圧成形する場合は、これを部分欠失や部分切削などで形成する場合に比し、より加工難易度が緩和される。
[開閉具付き合成樹脂系包装用袋のコストダウン]
<29> 本発明に係る開閉具付き合成樹脂系包装用袋の場合、開閉時に明快な開閉触感を付与したり判然とした開閉音を発生させたりするところの特殊な開閉具を具備するものであるが、かかる開閉具につき、構成を簡潔化したり加工率を低減したりしながら製作難易度を緩和して製品の歩留まりを高め得るものであるから、この点で当該包装用袋のコストダウンをはかることができる。しかも、開閉具の強度低下をきたすことなくこれを達成しているので、有用かつ有益なものといえる。
a.アイオノマー樹脂
b.各種のポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレンなど)
c.ポリ塩化ビニルフィルム
d.ポリ塩化ビニリデンフィルム
e.ポリ塩化ビニルアルコール
f.ポリプロピレン
g.ポリエステル
h.ポリカーボネート
i.ポリスチレン
j.ポリアクリロニトリル
k.エチレン酢酸ビニル共重合体
l.エチレン−ビニルアルコール共重合体
m.エチレン−メタクリル酸共重合体
n.ナイロン(ポリイミド、ポリアミドなど)
上記(1)式において、Qは掛け止め用凸部34の体積、Cは報知音発生用凹部37一つ当たりの容積、Nは掛け止め用凸部34における報知音発生用凹部37の数、Tはすべての報知音発生用凹部37が掛け止め用凸部34に占める割合(%)をそれぞれ示す。
12 袋表用フィルム
12a 凸条
13 袋裏用フィルム
13a 凸条
14 サイドシール
15 サイドシール
16 トップシール
17 ボトムシール
31 開閉確認型の開閉具
32 雄開閉部材
33 雄基体
34 掛け止め用の凸部
34a 上半部分
34b 下半部分
34c 掛け止め面
34d 掛け止め面
35 凹凸触感部
36 非凹部
37 報知音発生用凹部
38 雌開閉部材
39 雌基体
40 フラップ
41a 掛け止め片
41b 掛け止め片
41c 掛け止め面
41d 掛け止め面
42 掛け止め用の空間部
51 非開閉確認型の開閉具
52 雄開閉部材
53 雄基体
54 掛け止め用の凸部
54a 上半部分
54b 下半部分
54c 掛け止め面
54d 掛け止め面
58 雌開閉部材
59 雌基体
60 フラップ
61a 掛け止め片
61b 掛け止め片
61c 掛け止め面
61d 掛け止め面
62 掛け止め用の空間部
Claims (5)
- 包装用の袋体とこの袋体の袋口を開閉するための横長の開閉具とを構成要素として具備するものであること、および、
前記開閉具が合成樹脂製で横長の雄開閉部材と合成樹脂製で横長の雌開閉部材とからなるものであり、この雌雄一対の両開閉部材が対面状態において互いに咬み合い自在に対応するものであること、および、
前記開閉具については、前記雄開閉部材と前記雌開閉部材とが、咬み合い自在となる対面関係と前記袋体内における袋口側の部位と前記袋体内の両側部にわたる横長姿勢とを保持して袋表用フィルムの内面と袋裏用フィルムの内面に設けられていること、および、
前記開閉具を袋口側の内部に設けられた前記袋体については、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内に進入してこの雌雄両開閉部材が咬み合うことにより袋口が閉鎖されるものであるとともに、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内から離脱してこの雌雄両開閉部材の咬み合いが外れることにより袋口が開放されるものであること
を前提とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
前記開閉具として、閉じ状態の確認と開き状態の確認とが行える開閉確認型の開閉具を具備するものであること、および、
袋表用と袋裏用の前記両フィルムのうちで、そのいずれか一方のフィルムを一方フィルムとし、その他方のフィルムを他方フィルムとした場合、前記一方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雄開閉部材が、その一方フィルムの内面から他方フィルムの内面に向けて突出する雄基体と、その雄基体の先端側に一体形成された掛け止め用の凸部とを有するものであり、かつ、前記他方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雌開閉部材が、その他方フィルムの内面から一方フィルムの内面に向けて突出する上下一対の掛け止め用のフラップと、この上下両フラップ間に介在する掛け止め用の空間部とを有するものであること、および、
前記掛け止め用凸部と前記掛け止め用空間部については、前記掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内に進入したり前記掛け止め用空間部内から離脱したりするものであり、かつ、前記掛け止め用凸部と上下一対の前記両掛け止め用フラップについては、当該掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内にあるときに互いに掛け止め状態になるものであること、および、
前記開閉確認型開閉具については、この開閉具を閉じたときの閉じ状態を確認するための凹凸触感部が前記雄開閉部材の掛け止め用凸部に設けられており、かつ、この凹凸触感部は、前記雄開閉部材の長さ方向に沿って交互に並んだ凹みのない非凹部と凹みのある凹部とを有していて、前記掛け止め用凸部の上下中間領域にあること、および、
前記雄開閉部材の凹凸触感部には、開閉具を開けるときの開き状態を報知したり開閉具を閉じるときの閉じ状態を報知したりするための報知音発生用の凹部があり、その報知音発生用凹部を当該凹凸触感部の凹部が兼ねていること、および、
前記開閉確認型開閉具の前記雄開閉部材における前記掛け止め用凸部が、相対的に小さい上半部分と相対的に大きい下半部分とからなる上下非対称の横向き尖頭形をしていること、および、
その掛け止め用凸部の相対的に大きな下半部分側に前記凹凸触感部や前記報知音発生用凹部が形成されていること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。 - 包装用の袋体とこの袋体の袋口を開閉するための横長の開閉具とを構成要素として具備するものであること、および、
前記開閉具が合成樹脂製で横長の雄開閉部材と合成樹脂製で横長の雌開閉部材とからなるものであり、この雌雄一対の両開閉部材が対面状態において互いに咬み合い自在に対応するものであること、および、
前記開閉具については、前記雄開閉部材と前記雌開閉部材とが、咬み合い自在となる対面関係と前記袋体内における袋口側の部位と前記袋体内の両側部にわたる横長姿勢とを保持して袋表用フィルムの内面と袋裏用フィルムの内面に設けられていること、および、
前記開閉具を袋口側の内部に設けられた前記袋体については、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内に進入してこの雌雄両開閉部材が咬み合うことにより袋口が閉鎖されるものであるとともに、前記雄開閉部材の先端部が前記雌開閉部材内から離脱してこの雌雄両開閉部材の咬み合いが外れることにより袋口が開放されるものであること
を前提とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
前記開閉具として、閉じ状態の確認と開き状態の確認とが行える開閉確認型の開閉具を具備するものであること、および、
袋表用と袋裏用の前記両フィルムのうちで、そのいずれか一方のフィルムを一方フィルムとし、その他方のフィルムを他方フィルムとした場合、前記一方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雄開閉部材が、その一方フィルムの内面から他方フィルムの内面に向けて突出する雄基体と、その雄基体の先端側に一体形成された掛け止め用の凸部とを有するものであり、かつ、前記他方フィルムの内面に設けられた前記開閉確認型開閉具の雌開閉部材が、その他方フィルムの内面から一方フィルムの内面に向けて突出する上下一対の掛け止め用のフラップと、この上下両フラップ間に介在する掛け止め用の空間部とを有するものであること、および、
前記掛け止め用凸部と前記掛け止め用空間部については、前記掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内に進入したり前記掛け止め用空間部内から離脱したりするものであり、かつ、前記掛け止め用凸部と上下一対の前記両掛け止め用フラップについては、当該掛け止め用凸部が前記掛け止め用空間部内にあるときに互いに掛け止め状態になるものであること、および、
前記開閉確認型開閉具については、この開閉具を閉じたときの閉じ状態を確認するための凹凸触感部が前記雄開閉部材の掛け止め用凸部に設けられており、かつ、この凹凸触感部は、前記雄開閉部材の長さ方向に沿って交互に並んだ凹みのない非凹部と凹みのある凹部とを有していて、前記掛け止め用凸部の上下中間領域にあること、および、
前記雄開閉部材の凹凸触感部には、開閉具を開けるときの開き状態を報知したり開閉具を閉じるときの閉じ状態を報知したりするための報知音発生用の凹部があり、その報知音発生用凹部を当該凹凸触感部の凹部が兼ねていること、および、
T=[C×N]/[Q]×[100]なる式中、Qを前記掛け止め用凸部の体積、Cを前記報知音発生用凹部一つ当たりの容積、Nを前記掛け止め用凸部における前記報知音発生用凹部の数、Tをすべての前記報知音発生用凹部が前記掛け止め用凸部に占める割合とした場合、T%が15〜45%の範囲内にあること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。 - 請求項1に記載された開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
合成樹脂製で横長の雄開閉部材と合成樹脂製で横長の雌開閉部材とを雌雄一対の咬み合い自在な開閉部材とする開閉具が、前記開閉確認型開閉具に近接かつ平行して袋体内の袋口側に設けられており、前記開閉確認型開閉具とこれに近接かつ平行する開閉具とが上下複数段をなしていること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。 - 請求項3に記載された開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
互いに近接して平行する上下二段の開閉具が前記袋体内の袋口側に設けられており、その上段側にある前記開閉具が前記開閉確認型のものであり、その下段側にある前記開閉具が前記開閉確認型のものでないこと
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。 - 請求項1〜4のいずれかに記載された開閉具付き合成樹脂系包装用袋において、
前記開閉確認型開閉具の前記雄開閉部材が有する前記掛け止め用凸部について、その掛け止め用凸部における前記凹凸触感部と前記報知音発生用凹部とが加圧成形されたものからなること
を特徴とする開閉具付き合成樹脂系包装用袋。
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