JP6848906B2 - コーティング液及び熱電部材の製造方法 - Google Patents
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Description
ビスマステルル系の熱電材料は古くから研究され、発電用モジュールとして市販されている(非特許文献1)。しかし、ビスマステルル系の熱電材料の常用使用温度は、250℃以下である。発電効率を高めたり、より幅広い熱源を利用するためには、使用温度を高くする必要がある。
(a)市販のシリカゾルとメチルトリエトキシシラン(MTES)からハイブリッドシリカゾルを作製し、
(b)ハイブリッドシリカゾルと、ガラスフリット(主な化学成分はSnO及びP2O5であり、少量のZnO及びSiO2を含む)又はアルミナ粒子と、溶媒とを含むコーティングスラリーを作製し、
(c)スラリーブレード法を用いて、スクッテルダイト系熱電材料(CeFe3CoSb12、又はYb0.3Co4Sb12)の表面にコーティングスラリーを塗布し、
(d)真空中、373K、10時間の条件でスラリーを固化させ、熱電材料の表面にシリカベースの複合コーティングを形成する
方法が開示されている。
(a)ガラスフリット−ハイブリッドシリカコーティング系においては、クラックや剥離のない厚いコーティング層が得られる点、
(b)複合コーティングが施されたスクッテルダイト系熱電材料を真空中、873Kで2時間熱処理した場合、Sbはコーティング層中に拡散しないが、多量のSnがコーティング層から熱電材料中に拡散する点、及び、
(c)複合コーティングと熱電材料の界面には、少量のCo−Pが生成する点
が記載されている。
さらに、コーティング液を用いて材料表面を保護する場合、コーティング液が材料表面ではじかれ、材料表面に緻密な膜を形成できない場合がある。しかし、材料表面の状態によらず、緻密な酸化防止被膜を形成することが可能なコーティング液が提案された例は、従来にはない。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、基材の表面状態によらず、緻密な酸化防止膜を形成することが可能なコーティング液を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、このような緻密な酸化防止被膜を備えた熱電部材の製造方法を提供することにある。
リン酸アルミニウムと、
非イオン性界面活性剤と、
前記リン酸アルミニウム及び前記非イオン性界面活性剤を溶解又は分散させるための水及び/又は水溶性溶媒と
を含む。
熱電部材の表面に、本発明に係るコーティング液を塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を乾燥させ、前駆体被膜を得る乾燥工程と、
前記前駆体被膜が形成された前記熱電部材を焼成する焼成工程と
を備えている。
これに対し、コーティング液に適量の非イオン性界面活性剤を添加すると、材料の種類によらず、緻密な酸化防止膜を形成することができる。これは、疎水的な表面を持つ材料に対してコーティング液を塗布する場合において、コーティング液に非イオン性界面活性剤を添加すると、コーティング液の材料表面への濡れ性が向上するためと考えられる。
[1. コーティング液]
本発明に係るコーティング液は、
リン酸アルミニウムと、
非イオン性界面活性剤と、
前記リン酸アルミニウム及び前記非イオン性界面活性剤を溶解又は分散させるための水及び/又は水溶性溶媒と
を含む。
コーティング液には、リン酸アルミニウム(AlPO4)が溶解又は分散している。リン酸アルミニウムの全部又は一部が溶解しているコーティング液を基材表面に塗布し、比較的低温で熱処理すると、基材表面にリン酸アルミニウムを主成分とする被膜が形成される。この場合、被膜は、非晶質状態(リン酸アルミニウムのユニットがガラス状にネットワークを形成している状態)となる場合が多い。
コーティング液に含まれるリン酸アルミニウムの粒径は、特に限定されないが、薄くかつ均一な被膜を形成するためには、リン酸アルミニウムの粒径は、小さいほど良い。リン酸アルミニウムの平均粒径は、具体的には、100nm以下が好ましい。
非イオン性界面活性剤は、コーティング液の基材表面への濡れ性を改善するために添加される。非イオン性界面活性剤は、分子内に親水性部分及び疎水性部分を持っている。そのため、これをコーティング液に添加すると、疎水性の強い表面を持つ基材であっても、コーティング液がはじかれにくくなる。また、非イオン性界面活性剤は、コーティング液のpHを変化させないので、これをコーティング液に添加しても、コーティング液内に意図しない沈殿が生じることもない。
などがある。
エーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンメチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンエチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシエチレンエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどがある。
アルキルグリコキシドとしては、例えば、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−オクチル−β−D−マルトシド、n−デシル−β−D−グルコシド、n−デシル−β−D−マルトシド、n−ドデシル−β−D−グルコシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−オクチル−β−D−チオグルコシド、n−ノニル−β−D−チオマルトシドなどがある。
オクチルフェノールエトキシレートとしては、例えば、Triton X-100、Triton X-114、Nonidet P-40、Igepal CA-630などがある。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなどがある。
コーティング液には、リン酸アルミニウム及び非イオン性界面活性剤を溶解又は分散させるための溶媒として、水及び/又は水溶性溶媒が含まれる。水溶性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルフォルムアミド、ピリジンなどがある。
本発明において、コーティング液に含まれる溶媒は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な溶媒を用いることができる。通常、コストと取扱性の点から、水とエタノールの混合溶媒が用いられる。
基材表面に均一な被膜を形成可能な限りにおいて、コーティング液には、その他の成分が含まれていても良い。
例えば、コーティング液には、少量のAl(OH)3が含まれることがある。Al(OH)3は、リン酸アルミニウムの一部が分解することにより生成したと考えられる。コーティング液中のAl(OH)3濃度は、2〜4wt%程度になることがある。
また、コーティング液には、
(a)厚膜を形成するための添加剤(例えば、SiC粉末、SiO2粉末など)、
(b)pHを調整し、リン酸アルミニウムを可溶にするための硝酸、
などがさらに含まれていても良い。
[1.5.1. リン酸アルミニウムの含有量]
コーティング液に含まれるリン酸アルミニウムの量が少なすぎると、1回のコーティングで緻密な被膜を形成するのが困難となる。従って、コーティング液中のリン酸アルミニウムの含有量は、20wt%以上が好ましい。リン酸アルミニウムの含有量は、さらに好ましくは、30wt%以上である。
一方、リン酸アルミニウムの量が過剰になると、コーティング液の粘度が過度に増大し、均一な被膜を形成するのが困難となる。従って、コーティング液中のリン酸アルミニウムの含有量は、60wt%以下が好ましい。リン酸アルミニウムの含有量は、さらに好ましくは、40wt%以下である。
基材の表面が疎水的である場合において、非イオン性界面活性剤の含有量が多くなるほど、コーティング液は基材表面に濡れやすくなる。このような効果を得るためには、非イオン性界面活性剤の含有量は、1vol%以上が好ましい。非イオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは、5vol%以上、さらに好ましくは、7.5vol%以上である。
一方、非イオン性界面活性剤を必要以上に添加しても、効果に差がなく、実益がない。従って、非イオン性界面活性剤の含有量は、10vol%以下が好ましい。
本発明に係るコーティング液は、構成元素の揮発又は酸化が問題となるあらゆる基材に対して適用することができる。特に、金属間化合物系の熱電材料は、易揮発性元素及び/又は易酸化性元素を含み、かつ、中温〜高温域で使用されされるものが多い。そのため、本発明に係るコーティング液を熱電材料の表面コーティングに適用すると、構成元素の揮発又は酸化による熱電特性の劣化を抑制することができる。
「易酸化性元素」とは、金属の標準酸化還元電位(E0)が−1V以下である元素(例えば、Li、K、Ba、Sr、Ca、Na、Mg、Al、Ti、Zr、Hf、Mnなど)をいう。
(a)R(Fe、Co)Sb12系熱電材料(但し、R=La、Ba、Yb、Ca、In、Al、Ga、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素)、
(b)ハーフホイスラー材料: ANiSn、ACoSb(A=Ti、Zr、Hf)、
(c)カルコゲナイド化合物: ZnSb、Bi2(Sb、Te)3、PbTe、La3Te4、PbSe、Sb2Se3、Bi2Se3、Ag2Te、Yb14MnSb11、(GeTe)1-x(AgSbTe2)x、Cu−Sb−Se、Cu−Sb−S、Cu−Sn−S、Cu2-xSe、Cu2-xS、Cu2-xTe、
(d)シリサイド: Mg2(Si、Sn)、
(e)クラスレート: Ba8Ga16Ge30、Sr8Ga16Ge30
などがある。
一方、P型ビスマステルルの表面に、非イオン性界面活性剤を含まないコーティング液を塗布した場合、コーティング液がはじかれ、均一な被膜を形成することができない。これは、P型ビスマステルルの表面が疎水的であるためと考えられる。
これに対し、P型ビスマステルルに対して本発明に係るコーティング液を塗布すると、均一な被膜を形成することができる。これは、コーティング液に非イオン性界面活性剤を添加することによって、疎水的な表面に対するコーティング液の濡れ性が向上したためと考えられる。
本発明に係る熱電部材の製造方法は、
熱電部材の表面に、本発明に係るコーティング液を塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を乾燥させ、前駆体被膜を得る乾燥工程と、
前記前駆体被膜が形成された前記熱電部材を焼成する焼成工程と
を備えている。
まず、熱電部材の表面に、本発明に係るコーティング液を塗布し、塗膜を形成する(塗布工程)。
熱電部材の形状、及び材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な形状及び材料を選択することができる。上述したように、熱電部材の材料は、特にP型ビスマステルルが好ましい。
コーティング液の塗布方法は、特に限定されない。塗布方法としては、スプレー噴霧法、浸漬法などがある。また、コーティングは、1回のみ行っても良く、あるいは、複数回行っても良い。さらに、塗布/乾燥/焼成を1回のみ行っても良く、あるいは、複数回繰り返して行っても良い。
次に、前記塗膜を乾燥させ、前駆体被膜を得る(乾燥工程)。乾燥条件は、特に限定されるものではなく、溶媒を揮発させることができ、かつ、均一な前駆体被膜を形成可能な条件であれば良い。通常、乾燥は、100℃以下の温度で行われる。
次に、前記前駆体被膜が形成された前記熱電部材を焼成する(焼成工程)。これにより、基材表面に緻密な酸化防止膜を形成することができる。
焼成は、前駆体被膜を緻密化させるために行われる。一般に、焼成温度が低すぎる場合及び/又は焼成時間が短すぎる場合、緻密な被膜が得られない。一方、焼成温度が高すぎる場合及び/又は焼成時間が長すぎる場合、実益がないだけでなく、被膜と熱電材料とが反応することがある。
最適な焼成条件は、熱電材料の組成にもよるが、焼成温度は300℃以上が好ましい。焼成時間は30分〜12時間が好ましく、さらに好ましくは30分〜1時間である。焼成時の雰囲気は、特に限定されない。通常、大気中で焼成が行われる。
被膜は、熱電部材の全面にコーティングされていても良く、あるいは、一部にコーティングされていても良い。熱電材料は、通常、棒状部材に加工され、棒状部材の一端が高温に加熱され、他端は低温に保持される。そのため、少なくとも構成元素の揮発や酸化が問題となる領域に被膜がコーティングされていれば良い。
具体的には、被膜は、熱電部材の表面の内、少なくとも使用時に温度が500℃以上となる領域にコーティングされているのが好ましい。
被膜の厚さは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な厚さを選択することができる。一般に、被膜が薄くなりすぎると、構成元素の揮発や酸化を抑制する効果が不十分となる。従って、被膜の厚さは、0.7μm以上が好ましい。
一方、被膜が厚くなりすぎると、揮発や酸化を抑制する効果が飽和するだけでなく、被膜にピンホールやクラックを生成させる場合がある。従って、被膜の厚さは、2.0μm以下が好ましい。被膜の厚さは、さらに好ましくは、1.5μm未満である。
熱電素子は、一般に、柱状のp形熱電部材(脚部)と柱状のn形熱電部材(脚部)とを平行に並べ、両者の一端を電極で接合した構造(π形構造)を取ることが多い。また、このようなπ形構造をxy平面上に並べて直列に接続した構造、あるいは、π形構造をxy平面上に並べると同時にz軸方向にも積み重ねた構造(カスケード形構造)を取ることもある。
本発明において、熱電素子の構造は特に限定されない。すなわち、本発明に係るコーティング液は、あらゆる構造を備えた熱電素子に対して適用することができる。
リン酸アルミニウムは、融点が1800℃と高く、熱的安定性が高い。このリン酸アルミニウムを主成分とする緻密な被膜を、熱電材料などの基材の表面に形成すると、被膜が大気中の酸素をブロックし、かつ、基材に含まれる構成元素の揮発を抑制する。さらに、リン酸アルミニウム被膜は、熱的安定性が高いため基材と反応することもない。
また、被膜の厚さを最適化すれば、被膜にピンホールが生じたり、あるいは、熱応力による被膜の剥がれや割れが生じることがない。さらに、被膜は、リン酸アルミニウムを主成分とするため、基材が熱電材料である場合であっても、被膜が熱電材料の起電力や温度差を減少させることもない。
これに対し、コーティング液に適量の非イオン性界面活性剤を添加すると、材料の種類によらず、緻密な酸化防止膜を形成することができる。これは、疎水的な表面を持つ材料に対してコーティング液を塗布する場合において、コーティング液に非イオン性界面活性剤を添加すると、コーティング液の材料表面への濡れ性が向上するためと考えられる。
これに対し、本発明を用いると、P型ビスマステルルの表面に、緻密なリン酸アルミニウム被膜を簡便に形成することができる。また、形成された被膜により耐酸化性が向上するため、P型ビスマステルルからなる熱電部材の使用温度を350℃まで上げることができる。
例えば、R(Fe、Co)4Sb12系熱電材料は、550〜600℃の温度域において、熱電性能が最も高くなることが知られている。しかしながら、この材料を高温域で使用すると、次第にSbが揮発し、熱電特性が劣化することが知られている。これに対し、R(Fe、Co)4Sb12系熱電材料の表面に緻密なリン酸アルミニウム被膜を形成すると、大気中において600℃で24時間保持しても熱電特性が劣化することはなく、良好な界面と熱電特性を維持することができる。
すなわち、リン酸アルミニウムは、融点が1800℃と高く安定で有り、酸素や易揮発性元素のブロック性が高く、ビスマステルル系熱電材料やR(Fe、Co)4Sb12系熱電材料の表面と親和性の良い耐食性被膜として作用する。
他のリン酸塩がそうであるように、リン酸アルミニウムもFe、Cu、Mn、Tiなどの大抵の金属と親和性が良いため、リン酸アルミニウムは、TeやSb以外の易揮発性元素又は易酸化性元素を含む基材に対しても有効な被膜となる。
[1. 試料の作製]
P型及びN型ビスマステルル焼結体を1×1×10mmの直方体に加工し、表面を研磨した。また、コーティング液には、市販のリン酸アルミニウム系コーティング剤(株式会社オーデック製、マスターシールJ)に各種添加剤を10vol%添加し、500rpmで1時間撹拌したものを用いた。
(a)ポリオキシエチレンオクチルエーテル(トリトンX)(実施例1)、
(b)エチレングリコール(実施例2)、
(c)トリエチレングリコールモノブチルエーテル(実施例3)、
(d)1−メチル−2−ピロリドン(実施例4)、
(e)アセトン(比較例1)、
(f)N,N−ジメチルホルムアミド(比較例2)、
(g)ジエチルアミン(比較例3)、
(h)酢酸ブチル(比較例4)、又は、
(i)トルエン(比較例5)、
を用いた。
さらに、添加剤を加えないリン酸アルミニウム系コーティング剤をそのまま試験に用いた(比較例6)。
各種コーティング液を、P型及びN型ビスマステルル焼結体の表面に刷毛塗りし、顕微鏡下で目視により濡れ性を確認した。表1に、結果を示す。
なお、表1中、「○」は、溶媒と添加剤とを混合した時に溶液が均一に混ざり、かつ、焼結体表面に塗布した時に濡れ性が良好であることを表す。
「△」は、溶媒と添加剤とを混合した時に溶液が均一に混ざり、かつ、焼結体表面に塗布した時に濡れ性が改善されるが、部分的にムラが生じて完全に濡れないことを表す。
「×」は、溶媒と添加剤とを混合した時に溶液が2相分離したり、あるいは、溶液が焼結体表面ではじかれたために、均一なコーティングができないことを表す。
表1より、以下のことが分かる。
(2)実施例1〜4の添加剤の場合、刷毛塗りの際にコーティング液がはじかれることがなく、濡れ性改善に有効であることが分かった。
(4)比較例3の添加剤の場合、添加剤の混合によりリン酸アルミニウムが沈殿した。また、比較例4、5の添加剤の場合、コーティング剤と添加剤が2層に分離してしまった。そのため、いずれも均一な塗膜を形成することができなかった。
[1. 試料の作製]
N型ビスマステルル焼結体、並びに、組成の異なる2種類のP型ビスマステルル焼結体(P型−1、P型−2)を1×1×10mmの直方体に加工し、表面を研磨した。
また、コーティング液には、市販のリン酸アルミニウム系コーティング剤(株式会社オーデック製、マスターシールJ)にポリオキシエチレンオクチルエーテル(トリトンX)を添加し、500rpmで1時間撹拌したものを用いた。トリトンXの添加量は、0vol%(比較例7)、1vol%(実施例5)、5vol%(実施例6)、又は10vol%(実施例7)とした。
得られた試料を大気中、380℃で24時間保持する耐久試験を実施した。耐久試験後、電子顕微鏡により表面の酸化状態を観察した。図1に、各試料の耐久試験(大気中、380℃で24時間保持)後の断面写真を示す。表2に、各試料の耐久性の違いを示す。
なお、図1及び表2中、
「○」は、試料表面の大部分(試料の表面積の80%以上)の領域において、反応層の厚さが10μm以下であることを表し、
「△」は、試料表面の一部(試料の表面積の20〜80%)の領域において、反応層の厚さが10μm以上であることを表し、
「×」は、試料表面の大部分(試料の表面積の80%以上)の領域において、反応層の厚さが10μm以上であることを表す。
図1及び表2より、以下のことが分かる。
(2)P型ビスマステルルに関しては、トリトンXを添加しないコーティング液では、表面が酸化した。一方、トリトンXを添加したコーティング液では、酸化防止効果が認められた。特に、トリトンXを10vol%添加したコーティング液を用いた場合、P型−1及びP型−2のいずれも、良好な表面状態を維持していることが分かった。
Claims (5)
- 以下の構成を備えたコーティング液。
(1)前記コーティング液は、
リン酸アルミニウムと、
非イオン性界面活性剤と、
前記リン酸アルミニウム及び前記非イオン性界面活性剤を溶解又は分散させるための水及び/又は水溶性溶媒と
を含む。
(2)前記コーティング液は、金属間化合物系の熱電材料の表面コーティングに用いられる。 - 前記非イオン性界面活性剤の含有量が1vol%以上10vol%以下である請求項1に記載のコーティング液。
- 前記非イオン性界面活性剤は、エステル、エーテル、アルキルグリコキシド、オクチルフェノールエトキシレート、ピロリドン、及び、多価アルコールからなる群から選ばれるいずれか1以上である請求項1又は2に記載のコーティング液。
- 前記熱電材料は、P型ビスマステルルである請求項1から3までのいずれか1項に記載のコーティング液。
- 金属間化合物系の熱電材料からなる熱電部材の表面に、請求項1から4までのいずれか1項に記載に記載のコーティング液を塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を乾燥させ、前駆体被膜を得る乾燥工程と、
前記前駆体被膜が形成された前記熱電部材を焼成する焼成工程と
を備えた熱電部材の製造方法。
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