JP6848408B2 - ガラス物品の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、各作業者の技量によって洗浄後のガラス物品の仕上り度合にバラツキが生じることや、人件費が嵩み最終製品としてのガラス物品のコスト低減化の障害となることや、例えば厚みが数mm以内の薄板ガラスからなるガラス物品に対して人力による洗浄作業が困難であることなどの理由から、近年では、バッチ型の超音波式洗浄装置を用いてガラス物品を洗浄することにより除去するのが一般的となっている(例えば、「特許文献1」を参照)。
そして、超音波振動子より発せられる超音波によって洗浄液が振動し、当該洗浄液中に被洗浄物であるガラス物品が浸漬される。
これにより、洗浄液を介して超音波の振動がガラス物品に伝播され、当該ガラス物品に付着していた付着物がより効果的に除去される。
また、ガラス物品より一旦除去された後洗浄液中を浮遊する付着物が、超音波の振動によって洗浄槽の中央部へと集められて滞留し、再びガラス物品の中央部に付着する恐れもあった。
このようなことから、バッチ型の超音波式洗浄装置のように、超音波を用いてガラス物品を洗浄する場合において、より洗浄効果を高めるための技術が切望されていた。
また、洗浄液中において、ガラス物品を略円形状の軌跡を描くように可動させることにより、当該ガラス物品における、超音波による洗浄効果の低い領域に曝されていた箇所を、超音波による洗浄効果の高い領域に周期的に移動させることが可能となり、当該ガラス物品に対する洗浄ムラの発生を防止することができる。
その結果、洗浄液を三次元的に撹拌させることが可能となり、例えば曲面を有した形状からなるガラス物品であっても、当該曲面に付着する付着物を、より効果的に洗浄液の流れに曝すことができ、十分な洗浄効果を期待することができる。
その結果、例え曲面を有した形状からなるガラス物品であっても、当該曲面に付着する付着物を、より効果的に洗浄液の流れに曝すことができ、十分な洗浄効果を期待することができる。
即ち、本発明に係るガラス物品の製造方法によれば、ガラス物品の洗浄効果をより高め、高品質なガラス物品を得ることができる。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1、図2、図3、および図6に示した矢印の方向によって、超音波式洗浄装置1(または別実施形態における超音波洗浄装置101)のX軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、およびZ軸方向(前後方向)を規定して記述する。
また、図4および図5に示した矢印の方向によって、洗浄槽10のX軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、およびZ軸方向(前後方向)を規定して記述する。
先ず、本発明に係るガラス物品の製造方法を具現化する、超音波洗浄装置1の構成について、図1、図2、および図3を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、被洗浄物としてガラス基板Gを挙げているが、例えば、球体状のガラス物品や、表面の一部に曲面を有する三次元的なガラス物品であってもよい。
洗浄槽10は、上面を開口された槽本体11を備え、当該槽本体11は、基体フレーム40より前方に延設された架台41上に固設される。
また、槽本体11の底面11aには、給水口11dが穿孔されるとともに、オーバーフロー槽12の底面12aには、排水口12bが穿孔されている。
また、回収タンク13と給水口11dとを繋ぐ配管部材の中途部には、ポンプ14およびフィルタ15が順に配置されている。
そして、回収タンク13に供給された洗浄液は、供給配管13aを介して回収タンク13に別途供給される新たな洗浄液と混和されて更新され、その後、ポンプ14およびフィルタ15を通過して給水口11dに送られ、槽本体11に供給される。
その結果、洗浄槽10において、洗浄液は、常にオーバーフローの状態にあり、ガラス基板Gより除去された付着物を含む洗浄液は、洗浄槽10より排出される一方、新たな洗浄液が洗浄槽10内に供給されることとなり、洗浄液の清浄性を維持することができる。
槽本体11の底面11aに配設される、第一超音波発生手段としての超音波振動子16(以下、適宜「下側超音波振動子16A」と記載する)は、上下方向(Y軸方向)に伝播する超音波を発生させて、槽本体11内に貯溜される洗浄液を振動させることにより、当該洗浄液の洗浄効果を高める。
また、槽本体11の対向する一対の側面、即ち右側面11bおよび左側面11cに各々配設される、第二超音波発生手段としての超音波振動子16(以下、適宜「右側超音波振動子16B」と記載する)、および第三超音波発生手段としての超音波振動子16(以下、適宜「左側超音波振動子16C」と記載する)は、左右方向(X軸方向、即ち下側超音波振動子16Aより発せられる超音波の伝播方向との正面視直交方向)に伝播する超音波を発生させて、槽本体11内に貯溜される洗浄液を振動させることにより、当該洗浄液の洗浄効果を高める。
従って、後述するように、洗浄槽10内におけるガラス基板Gの配置姿勢が、前後方向(Z軸方向、即ち下側超音波振動子16Aより発せられる超音波の伝播方向との側面視直交方向)に平面を向けた状態となることから、本実施形態においては、左右方向に伝播する超音波の発生源として、槽本体11の右側面11bおよび左側面11cに超音波振動子16・16を配設することとしている。
但し、本実施形態に示すように、下側超音波振動子16A、右側超音波振動子16B、および左側超音波振動子16Cからなる三個の超音波振動子16・16・16を設ける構成とすることにより、ガラス基板Gに付着する付着物に対して、X軸方向およびY軸方向の二方向より超音波の振動を伝播させることが可能となり、超音波による洗浄効果をより高めることができる。
被洗浄物保持機構20は、複数のガラス基板G・G・・・を所定の姿勢にて纏めて保持するものである。
被洗浄物保持機構20は、例えば図2に示すように、支持フレーム21、昇降ベース22、第一規制ガイド機構23、および第二規制ガイド機構24などにより構成される。
ここで、支持アーム部21Bは、側面視にてクランク状に形成されており、例えば、支持フレーム21によって保持された複数のガラス基板G・G・・・を洗浄液中に浸漬する際において、槽本体11やオーバーフロー槽12との干渉を防止する構成となっている。
また、これら複数のガラス基板G・G・・・は、互いに隣接するガラス基板G・Gが所定の隙間を有するように互いに離間した状態で、載置台部21Aの上面に載置される。
そして、支持フレーム21は、第一規制ガイド23を介して、昇降ベース22に対し左右方向(X軸方向)に移動可能に設けられるとともに、支持フレーム21および昇降ベース22は、第二規制ガイド24を介して、基体フレーム40に対し上下方向(Y軸方向)に一体的に移動可能に設けられる。
また、前記出力軸25aの先端部には、摺動ローラー26が軸心方向を前後方向(Z軸方向)として回転可能に設けられる。
一方、支持フレーム21の上端部には、上下方向(Y軸方向)に延出する長円形状の孔部21C1を有したカム板部21Cが、第一駆動モータ25(図2を参照)と対向して配設されており、当該孔部21C1内に摺動ローラー26が挿通されている。
その結果、摺動ローラー26は孔部21C1内を摺動することとなり、これに伴い、支持フレーム21が左右方向(X軸方向)に揺動される。
駆動機構30は、支持フレーム21に駆動力を伝達し、基体フレーム40に対して当該支持フレーム21を上下方向(Y軸方向)に移動させるためのものである。
駆動機構30は、例えば図2に示すように、牽引部材31、第二駆動モータ32、第三駆動モータ33、アイドラー34、およびウエイト35などにより構成される。
また、牽引部材31は、その中途部において、後述する複数のスプロケット36・37・38に係合しつつ、屈曲された状態によって配設される。
これにより、昇降ベース22は、支持フレーム21とともに牽引部材31によって上方に牽引され(上昇し)、または支持フレーム21とともに牽引部材31を伴いつつ自重によって下降する。
また、前記出力軸32aの先端部には、スプロケット36が同軸上に貫設される。
そして、第二駆動モータ32が回転駆動し、スプロケット36が正転方向(図2中の矢印Aの方向)、または逆転方向(図2中の矢印Bの方向)に回転することにより、牽引部材31は一端側(ウエイト35側)または他端側(昇降ベース22側)に向かってそれぞれ移動する。
その結果、支持フレーム21は、昇降ベース22とともに牽引部材31に牽引されて上昇し、または牽引部材31を伴いつつ自重によって下降する。
第三駆動モータ33は、基体フレーム40の中央部、即ち第二駆動モータ32の下方において、出力軸33aの軸心方向を左右方向(X軸方向)として固設される。
また、前記出力軸33aの先端部には、スプロケット37が軸心方向を左右方向(X軸方向)として回転可能に設けられる。
また、スプロケット37は、第二駆動モータ32のスプロケット36とともに、牽引部材31と係合される。
その結果、牽引部材31におけるスプロケット37との係合箇所は、当該スプロケット37の円運動に伴い上下方向(Y軸方向)に往復移動することとなり、これによって、支持フレーム21が上下方向(Y軸方向)に揺動される。
そして、アイドラー34は、基体フレーム40の上部、即ち第三駆動モータ33の上方において、スプロケット38の軸心方向を左右方向(X軸方向)として固設される。
また、スプロケット38は、第二駆動モータ32のスプロケット36、および第三駆動モータ33のスプロケット37とともに、牽引部材31と係合される。
そして、牽引部材31は、一端部より第二駆動モータ32に向かって垂直上方に延出され、スプロケット36を介して屈曲されると、第三駆動モータ33に向かって垂直下方に延出され、スプロケット37を介して再び屈曲されると、アイドラー34に向かって垂直上方に延出され、スプロケット38を介してさらに屈曲されると、他端部に向かって垂直下方に延出される。
また、第三駆動モータ33の駆動力がスプロケット37を介して牽引部材31に伝達し、当該スプロケット37が牽引部材31とともに出力軸33aを中心として回転移動されることにより、支持フレーム21は上下方向(Y軸方向)に揺動する。
次に、洗浄装置1によってガラス基板Gを洗浄する場合の動作手順について、図1乃至図5を用いて説明する。
また、支持フレーム21は、昇降ベース22とともに「待機位置」にて停止した状態となっている。
また、槽本体11に備えられる下側超音波振動子16A、右側超音波振動子16B、および左側超音波振動子16Cは、全て作動状態となっており、洗浄槽10内の洗浄液中においては、上下方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)に伝播する超音波が常に発せられた状態となっている。
そして、図2に示すように、支持フレーム21へのガラス基板G・G・・・の載置作業が終了すると、第二駆動モータ32が起動され、スプロケット36が逆転方向(矢印Bの方向)に回転する。
そして、支持フレーム21が「洗浄位置(図1を参照)」に到達すると、第二駆動モータ32は一旦停止する。
これにより、載置台部21A上の複数のガラス基板G・G・・・は、槽本体11に貯溜された洗浄液中に完全に浸漬された状態となる。
これにより、図1に示すように、支持フレーム21は、左右方向(図1中の矢印S1の方向)への揺動動作を開始する。
その結果、図4(a)に示すように、ガラス基板Gは、槽本体11に貯溜された洗浄液中において、所定の揺動幅X1をもって左右方向(X軸方向)に揺動される。
これにより、図1に示すように、支持フレーム21は、上下方向(Y軸方向)への揺動動作(図1中の矢印S2の方向)を開始する。
その結果、図4(b)に示すように、ガラス基板Gは、槽本体11に貯溜された洗浄液中において、所定の揺動幅X2をもって上下方向(Y軸方向)に揺動される。
つまり、本実施形態においては、洗浄液中において、下側超音波振動子16A、右側超音波振動子16B、および左側超音波振動子16Cより発せられる超音波の伝播方向と平行、且つ左右方向(水平方向)であるX軸方向、および上下方向(垂直方向)であるY軸方向に、支持フレーム21を介してガラス基板Gを同時に揺動させる構成となっている。
従って、図4(a)に示すように、ガラス基板Gにおいて、当該ガラス基板Gに対する相対的な第一超音波W1の波形の位置は、左右方向(X軸方向)に(λ1)/4(図4(a)中の「第一超音波W1a」によって示される位置)だけ、周期的にずれることとなる。
その後、図2において、第二駆動モータ32が再び起動し、スプロケット36が正転方向(矢印Aの方向)に回転する。
そして、支持フレーム21が再び「待機位置(図1を参照)」に到達すると、第二駆動モータ32は停止する。
次に、本発明の別実施形態に係る超音波式洗浄装置101の構成について、図6および図7を用いて説明する。
別実施形態における超音波式洗浄装置101(以下、単に「洗浄装置101」と記載する)は、前述した洗浄装置1と略同等な構成を有する一方、洗浄槽110の構成において洗浄装置1と大きく相違する。
よって、以下の説明においては、主に洗浄装置1との相違点について記載し、洗浄装置1と同等な構成についての記載は省略する。
その結果、板形状のガラス基板Gからなるガラス物品に限らず、例えば球体のような曲面を有した形状からなるガラス物品に対しても、当該曲面に付着する付着物を、より効果的に洗浄液の流れに曝すことができ、十分な洗浄効果を期待することができる。
11b 右側面
11c 左側面
16 超音波振動子(超音波発生手段)
16A 下側超音波振動子(第一超音波発生手段)
16B 右側超音波振動子(第二超音波発生手段)
16C 左側超音波振動子(第三超音波発生手段)
21 支持フレーム(支持手段)
G ガラス基板(ガラス物品)
Claims (8)
- ガラス物品を製造する製造工程において、
洗浄槽に洗浄液を貯溜し、
該洗浄槽に配設された超音波発生手段によって前記洗浄液中に超音波を発生させて伝播させ、
支持手段によって複数の前記ガラス物品を支持しつつ該ガラス物品を前記洗浄液中に浸漬することにより前記ガラス物品を洗浄する、ガラス物品の製造方法であって、
前記洗浄液中において、
前記超音波の伝播方向と平行、且つ水平方向であるX軸方向、および前記超音波の伝播方向と平行、且つ前記X軸方向に垂直方向であるY軸方向に、前記支持手段を介して前記ガラス物品を同時に揺動させ、
複数の前記ガラス物品は、前記X軸方向及び前記Y軸方向に垂直方向であるZ軸方向に並ぶように配列されている、
ことを特徴とする、ガラス物品の製造方法。 - 前記超音波発生手段が発する超音波の波長はλであり、
前記支持手段による前記ガラス物品の前記X軸方向および/またはY方向への揺動幅はλ/4である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記超音波発生手段は、
前記洗浄槽の底面に配設される第一超音波発生手段と、
前記洗浄槽の対向する一対の側面に各々配設される第二超音波発生手段および第三超音波発生手段と、
からなり、
前記第一超音波発生手段は、前記Y軸方向に向かって前記洗浄液中に伝播する超音波を発し、
前記第二超音波発生手段および前記第三超音波発生手段は、前記X軸方向に向かって前記洗浄液中に伝播する超音波を各々発する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記洗浄槽において、
前記洗浄液は、オーバーフローの状態にある、
ことを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記洗浄液中において、
前記ガラス物品は、
前記Z軸方向に、前記洗浄槽と相対的に揺動される、
ことを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記ガラス物品は、板形状からなる、
ことを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記ガラス物品は、曲面を有した形状からなる、
ことを特徴とする、請求項5に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記ガラス物品は、球体状からなる、
ことを特徴とする、請求項7に記載のガラス物品の製造方法。
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